説明

柔軟洗浄剤組成物

【課題】本発明の課題は、洗浄性及び衣類残留性に優れ、柔軟化基剤として粘土鉱物を用いた洗浄剤組成物を提供すること。
【解決手段】(a)粘土鉱物〔以下、粘土鉱物(a)という〕2〜20重量%と、(b)界面活性剤を含有し、平均粒径が150〜500μm、嵩密度が500g/L以上の洗剤粒子群であって、該洗剤粒子群が、5℃の水に該洗剤粒子群を投入し、1Lの硬水(CaCOの含有量71.2mg/L、Ca/Mgのモル比7/3)に試料1gを投入し、1L容の容器内で攪拌子(長さ35mm、直径8mm)にて回転数800rpmで60秒間攪拌し、得られた分散体をJIS Z 8801規定の標準篩(目開き74μm)に供したとき、式(1):〔溶解率〕(%)={1−(T/S)}×100(1)で算出される溶解率が90%以上である洗剤粒子群〔以下、洗剤粒子群(b)という〕60〜98重量%とを含有してなる柔軟洗浄剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、柔軟洗浄剤組成物に関する。更に詳しくは、柔軟化基剤として粘土鉱物を用いた柔軟洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
粒状洗剤は、消費者の利便性より、高嵩密度化や低使用量化が強く指向されている。更に、環境・エネルギー問題や経済性への対応に基づく、洗濯水の低温化、運転時間の短縮化等の近年の洗濯機の傾向は、いずれも洗剤粒子の溶解速度の遅延の要因となり、洗浄力の低下、粉末洗剤の溶け残りが衣類に残留する心配が増大している。
【0003】
一方、近年の消費者のニーズとして、柔軟・やわらかさが強く指向されており、柔軟化剤として古くから知られているスメクタイト等の粘土鉱物(例えば、特許文献1参照)を配合した洗剤も上市されている。
【0004】
しかし、スメクタイト等の粘土鉱物を配合することで、近年の洗濯環境において、洗浄力がより低下したり、洗剤成分や粘土鉱物自体が溶け残りの原因になることが重要な技術的課題として挙げられる。
【特許文献1】特開昭49−85102号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、洗浄性及び衣類残留性に優れ、柔軟化基剤として粘土鉱物を用いた洗浄剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
即ち、本発明は、
(a)粘土鉱物〔以下、粘土鉱物(a)という〕2〜20重量%と、
(b)界面活性剤を含有し、平均粒径が150〜500μm、嵩密度が500g/L以上の洗剤粒子群であって、該洗剤粒子群が、5℃の水に該洗剤粒子群を投入し、1Lの硬水(CaCOの含有量71.2mg/L、Ca/Mgのモル比7/3)に試料1gを投入し、1L容の容器内で攪拌子(長さ35mm、直径8mm)にて回転数800rpmで60秒間攪拌し、得られた分散体をJIS Z 8801規定の標準篩(目開き74μm)に供したとき、式(1):
〔溶解率〕(%)={1−(T/S)}×100 (1)
で算出される溶解率が90%以上である洗剤粒子群〔以下、洗剤粒子群(b)という〕60〜98重量%とを含有してなる柔軟洗浄剤組成物
に関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の柔軟洗浄剤組成物は、粘土鉱物(a)と溶解性に優れた洗剤粒子群(b)とが用いられており、優れた洗浄性及び衣類残留性を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
<洗剤粒子群(b)>
洗剤粒子群(b)は、界面活性剤を含有し、平均粒径が150〜500μm、嵩密度が500g/L以上の洗剤粒子群である。
【0009】
洗剤粒子群のペースト化による溶解遅延の防止の観点から、洗剤粒子群の平均粒径は、150μm以上であり、洗剤粒子自身の溶解性の向上の観点から、洗剤粒子群平均粒径は、500μm以下である。洗剤粒子群の平均粒径は、洗剤粒子群のペースト化による溶解遅延の防止の観点及び洗剤粒子自身の溶解性の向上の観点から、150〜500μm、好ましくは180〜500μm、より好ましくは180〜300μmである。
【0010】
洗剤粒子群における平均粒径が125μm未満の粒子群の含有量は、洗剤粒子群のペースト化による溶解遅延の防止の観点から、10重量%以下、好ましくは8重量%以下、より好ましくは5重量%以下である。洗剤粒子群中における平均粒径が710μm以上の粒子群の含有量は、洗剤粒子自身の溶解性の向上の観点から、10重量%以下、好ましくは8重量%以下、より好ましくは5重量%以下である。
【0011】
洗剤粒子群の嵩密度は、使い勝手の良さ及び製造適性の観点から、500g/L以上、好ましくは500〜1000g/L、より好ましくは600〜1000g/L、特に好ましくは650〜850g/Lである。洗剤粒子群の嵩密度は、経済効率の観点から500g/L以上が好ましく、溶解性の観点から1000g/L以下が好ましい。
【0012】
洗剤粒子群の溶解率は、5℃の水に該洗剤粒子群を投入し、1Lの硬水(CaCOの含有量71.2mg/L、Ca/Mgのモル比7/3)に試料1gを投入し、1L容の容器内で攪拌子(長さ35mm、直径8mm)にて回転数800rpmで60秒間攪拌し、得られた分散体をJIS Z 8801規定の標準篩(目開き74μm)に供したとき、式(1):
〔溶解率〕(%)={1−(T/S)}×100 (1)
に基づいて算出される。
【0013】
洗剤粒子群(b)の溶解率は、洗浄力の観点から、90%以上、好ましくは94%以上、より好ましくは97%以上である。
【0014】
本発明の柔軟洗浄剤組成物における洗剤粒子群(b)の含有量は、柔軟性能及び洗浄性能の観点から、60〜98重量%、70〜95重量%が好ましく、80〜94重量%がより好ましく、82〜93重量%が更に好ましい。
【0015】
洗剤粒子群(b)の溶解率を以下により具体的に説明する。5℃に冷却した1Lの硬水(CaCOの含有量71.2mg/L、Ca/Mgのモル比7/3)を1Lビーカー(内径105mm、高さ150mmの円筒型、例えば、岩城硝子(株)製、1Lガラスビーカー)の中に満たし、ビーカー内の水温をウォーターバスにて5℃に一定に保った状態で、攪拌子〔長さ35mm、直径8mm、例えば、アドバンテック(株)社製、フッ素樹脂製攪拌子(丸型細型)〕にて水深に対する渦巻きの深さが略1/3となる回転数800rpmで攪拌する。
【0016】
1.0000g±0.0010gとなるように縮分し、秤量した洗剤粒子群を攪拌下に水中に投入し、分散させ攪拌を続ける。投入から60秒経過後にビーカー中の洗剤粒子群の分散液を、既知重量のJIS Z 8801に規定の目開き74μmの標準篩(直径100mm)で濾過し、篩上に残留した含水状態の洗剤粒子群を篩と共に既知重量の開放容器に回収する。
【0017】
なお、濾過開始から篩を回収するまでの操作時間を10秒±2秒とする。回収した洗剤粒子群の溶残物を105℃に加熱した電気乾燥機にて1時間乾燥し、その後、シリカゲルを入れたデシケーター(25℃)内で30分間保持して冷却する。
【0018】
冷却後、乾燥した洗剤の溶残物と篩と回収容器の合計の重量を測定し、前記式(1)に基づいて洗剤粒子群の溶解率(%)を算出する。
【0019】
洗剤粒子群は、洗浄性能及び製造適性の観点から、界面活性剤5〜80重量%、水難溶性無機物10〜50重量%及び水溶性ポリマー1〜20重量%で構成されていることが好ましい。
【0020】
洗剤粒子群における界面活性剤の含有量は、製造性能及び泡立ち性の観点から、好ましくは5〜80重量%、より好ましくは10〜60重量%、更に好ましくは20〜50重量%である。洗剤粒子群における水難溶性無機物の含有量は、洗浄力及び製造適性の観点から、好ましくは10〜40重量%、より好ましくは12〜35重量%、更に好ましくは15〜30重量%である。洗剤粒子群における水溶性ポリマーの含有量は、洗浄力及び製造適性の観点から、好ましくは2〜15重量%、より好ましくは2〜10重量%、更に好ましくは3〜8重量%である。
【0021】
洗剤粒子群は、例えば、水難溶性無機物の一部を除いた主成分を、連続ニーダーを用いて捏和・混合し、得られた捏和物と残部の水難溶性無機物とを粉砕機に投入して粉砕することにより得ることができる。得られた洗剤粒子群を篩い分けすることによって所定の平均粒径を有する洗剤粒子群を得ることができる。なお、連続ニーダーとしては、例えば、栗本鉄工所(株)製、品番:KRC2型等が好適であり、粉砕機としては、例えば、ホソカワミクロン(株)製、品番:DKASO6型等が好適である。
【0022】
他の態様の洗剤粒子群として、水難溶性無機物と、水溶性ポリマー及び水溶性塩類からなる群より選ばれる1種以上の水溶性成分とを含有する界面活性剤担持用ベース顆粒群(以下、ベース顆粒群という)に界面活性剤が担持された高嵩密度洗剤粒子群が挙げられる。該洗剤粒子群の平均粒径は、洗剤粒子のペースト化による溶解遅延の防止及び洗剤粒子自身の溶解性の観点から、150〜500μm、好ましくは150〜450μm、より好ましくは180〜400μmである。
【0023】
ベース顆粒群における水難溶性無機物の含有量は、粒子強度及び担持力の観点から、好ましくは20〜90重量%、より好ましくは30〜75重量%、更に好ましくは40〜70重量%である。
【0024】
ベース顆粒群における水溶性ポリマーの含有量は、好ましくは2〜30重量%、より好ましくは3〜20重量%、更に好ましくは5〜20重量%である。ここで、水溶性ポリマーとは、25℃の水100gに対する溶解度が0.5g以上且つ分子量14以上の有機性重合体である。
【0025】
ベース顆粒群における水溶性塩類の含有量は、好ましくは5〜78重量%、より好ましくは10〜70重量%、更に好ましくは20〜60重量%である。
【0026】
これらの範囲内で、水難溶性無機物と、水溶性ポリマー及び水溶性塩類からなる群より選ばれる1種以上の水溶性成分からなるスラリーを噴霧乾燥することにより得られるベース顆粒群の構造は、水溶性ポリマー及び/又は水溶性塩類がベース顆粒の内部よりも表面近傍に多く存在している構造となり得る。このような偏在性を示すベース顆粒は、水中で表面近傍の水溶性成分が速やかに溶解し、それにより洗剤粒子表面からの洗剤粒子の崩壊を促進するという溶解挙動を示す。そのため、かかるベース顆粒群により、高速溶解性が発現され、溶解性に優れた洗剤粒子群を得ることができる。
【0027】
ベース顆粒の構造の偏在性は、次の方法で確認することができる。まず、測定対象のベース顆粒群と、該ベース顆粒群をメノウ乳鉢等で十分に粉砕して均一な状態としたベース顆粒群粉砕物とを用意する。そして、ベース顆粒群の表面から約10μmまでの深さにおける情報が得られる条件で、両者をそれぞれフーリエ変換赤外分光法(FT−IR)と光音響分光法(PAS)とを併用する方法(「FT−IR/PAS」という。)により、ベース顆粒の構造の偏在性の確認を行うことができる。これは、アプライド・スペクトロスコピー(APPLIED SPECTROSCOPY)vol.47 、1311-1316(1993) に記載のとおり、ベース顆粒の表面から深さ方向における物質の分布状態を解析する方法である。
【0028】
偏在性構造を保持した状態で測定した場合の水不溶性無機塩の特性ピークに対する相対面積強度は、粉砕して均一な状態として測定した場合の水不溶性無機塩の特性ピークに対する相対面積強度に対してその比を求めると、水溶性塩類に関しては好ましくは1.1以上、より好ましくは1.3以上であり、水溶性ポリマーについては好ましくは1.3以上、より好ましくは1.5以上である。
【0029】
ベース顆粒に担持させる界面活性剤の量は、洗浄力の観点から、ベース顆粒群100重量部に対して、5〜80重量部が好ましく、5〜60重量部がより好ましく、10〜60重量部が更に好ましく、20〜60重量部が特に好ましい。陰イオン界面活性剤を担持させることにより、上記の偏在性を維持しつつ多量の界面活性剤をベース顆粒に配合することができる。
【0030】
好ましい洗剤粒子群は、水に溶解する過程で、洗剤粒子群の平均粒径の1/10以上の粒径の気泡を粒子内部から放出し得る洗剤粒子(以下、気泡放出洗剤粒子という)を含有する。この気泡放出洗剤粒子は、水に溶解する過程で、まず、粒子内部に少量の水が浸入すると粒子内部から所定の大きさの気泡を放出し、次いで、該粒子内部に大量の水が浸入することによって粒子自体が崩壊(粒子の自己崩壊)し、表面近傍からの溶解のみならず、粒子内部からの溶解及び崩壊が起こる。
【0031】
このような溶解挙動は、気泡放出性の洗剤粒子を水に溶解したときに、洗剤粒子群の平均粒径の好ましくは1/10以上、より好ましくは1/5以上、更に好ましくは1/4以上、特に好ましくは1/3以上の直径の気泡(以下、所定の大きさの気泡という)を放出する現象として、デジタルマイクロスコープや光学顕微鏡等で確認することができる。なお、気泡放出洗剤粒子を水に静置状態にて溶解させてから大きさの気泡が発生するまでの時間は、120秒間以内が好ましく、60秒間以内がより好ましく、45秒間以内が更に好ましい。
【0032】
気泡放出洗剤粒子群は、溶解性の観点から、洗剤粒子群に60重量%以上含有されていることが好ましく、80重量%以上含有されていることがより好ましい。
【0033】
気泡径は、次のようにして測定する。ガラスシャーレ(内径50mm)の底面中心部に両面テープを装着する。高嵩密度洗剤粒子群を両面テープ上に付着させた後、デジタルマイクロスコープを用いて得られる画像から個々の高嵩密度洗剤粒子群の粒子についての円相当径(αμm)を測定する。デジタルマイクロスコープとしては、例えば、KEYENCE社製、商品名:VH−6300を用いることができる。
【0034】
続いてガラスシャーレに20℃のイオン交換水5mLを注入し、測定対象の個々の粒子についての溶解挙動を観察する。粒子内部から気泡が放出される場合、気泡が粒子から離脱する瞬間の画像から気泡の円相当径(βμm)を測定する。なお、粒子内部から複数個の気泡が放出される場合には、それぞれの気泡について測定した円相当径の最大値をβμmとする。粒子の平均粒径に対する気泡径の比(β/α)をそれぞれの粒子について求める。
【0035】
好ましい気泡放出洗剤粒子では、該粒子の内部に洗剤粒子群の平均粒径の1/10〜4/5の、好ましくは1/5〜4/5の径の気孔が存在することが好ましい。
【0036】
気孔径は、次のようにして測定することができる。選択された粒子を壊さないようにメス等で最大粒径を含む面で切断する。切断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、切断粒子の切断面の円相当径(粒径)(γμm)及び粒子内部で気孔の存在が確認された場合には気孔の円相当径(気孔径)(δμm)を測定する。なお、複数個の気孔が確認される場合には、その中で最も大きい気孔についての円相当径をδμmとする。そして粒径に対する気孔径の比(δ/γ)を求める。
【0037】
洗剤粒子群は、例えば、次のようにして調製することができる。まず、ベース顆粒群を構成する成分を含有するスラリーを調製する。次いで、スラリーを噴霧乾燥に付してベース顆粒群を得る。噴霧乾燥により、ベース顆粒を構成する成分のうちの水溶性成分が水分の蒸発に伴ってベース顆粒表面に移動する。したがって、ベース顆粒は、偏在性を示すことになる。
【0038】
次に、得られたベース顆粒群と界面活性剤とを、回分式や連続式の混合機に投入することによりベース顆粒群に界面活性剤を担持させることができる。
【0039】
洗剤粒子群の品質及び洗浄力を向上させる観点から、ベース顆粒群と界面活性剤とを、回分式や連続式の混合機に投入する際に、任意の洗剤成分を添加してもよい。任意の洗剤成分としては、例えば、ゼオライト、クエン酸塩等の金属イオン封鎖能を示す基剤、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ能を示す基剤、結晶性珪酸塩等の金属イオン封鎖能及びアルカリ能を有する基剤等や、金属イオン封鎖能には乏しいが、高い吸油能を有する非晶質シリカや非晶質アルミノシリケート、ベントナイト等の粘土鉱物が挙げられる。
【0040】
洗剤粒子群の流動性及び非ケーキング性の観点から、ベース顆粒群と表面被覆剤とを混合して表面改質を行ってもよい。表面改質剤の平均粒径は、0.1〜20μmであることが好ましい。
【0041】
表面被覆剤としては、例えば、アルミノケイ酸塩、ケイ酸カルシウム、二酸化ケイ素、ベントナイト、タルク、クレイ、非晶質シリカ誘導体、結晶性シリケート化合物等のシリケート化合物、金属石鹸、粉末の界面活性剤等の微粉体、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸ナトリウム、アクリル酸とマレイン酸のコポリマー又はその塩等のポリカルボン酸塩等の水溶性ポリマー及び脂肪酸が挙げられる。脂肪酸を添加する場合、ベース顆粒のアルカリ成分により中和され、石鹸となることが好ましい。
【0042】
次に、洗剤粒子群を構成する成分について述べる。
水不溶性無機物の一次粒子の平均粒径は、0.1〜20μmであることが好ましい。水不溶性無機物の具体例としては、結晶性又は非晶質のアルミノケイ酸塩、二酸化ケイ素、水和ケイ酸化合物、パーライト、ベントナイト等の粘土化合物等が挙げられる。これらのなかでは、金属イオン封鎖能及び界面活性剤の吸油能の観点から、結晶性アルミノケイ酸塩が好ましい。
【0043】
水溶性ポリマーとしては、例えば、カルボン酸系ポリマー、カルボキシメチルセルロース、可溶性澱粉、糖類等が挙げられる。これらのなかでは、金属イオン封鎖能、固体汚れ及び粒子汚れの分散能及び再汚染防止能の観点から、平均分子量が数千〜10万のカルボン酸系ポリマーが好ましく、アクリル酸−マレイン酸コポリマーの塩及びポリアクリル酸塩がより好ましい。塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。
【0044】
水溶性塩類としては、例えば、炭酸塩、炭酸水素塩、硫酸塩、亜硫酸塩、硫酸水素塩、塩酸塩、リン酸塩等のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩等の水溶性無機塩類、クエン酸塩やフマル酸塩等の低分子量の水溶性有機酸塩が挙げられる。水溶性塩類は、該水溶性塩類と水との反応で生じた水和熱又は溶解熱により、洗剤粒子から発生する気泡を熱膨張させ、それにより粒子の崩壊性を促進させることができるので、より好ましい。
【0045】
界面活性剤としては、陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤及び陽イオン界面活性剤が挙げられる。なお、該界面活性剤は、ベース顆粒に担持させる際に使用される界面活性剤としても用いられる。
【0046】
陰イオン界面活性剤としては、例えば、高級アルコール若しくはそのエトキシル化物の硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、パラフィンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸塩若しくはそのエステル塩、脂肪酸塩等が挙げられる。特に、アルキル鎖の炭素数が10〜18(好ましくは12〜14)の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、炭素数が10〜20のα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩が好ましい。塩としては、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニア塩、アルカノールアミン塩等が挙げられる。
【0047】
非イオン界面活性剤としては、例えば、高級アルコールのエチレンオキシド(以下「EO」という)付加物、若しくはEO/プロピレンオキシド(以下「PO」という)付加物、脂肪酸アルカノールアミド、アルキルポリグリコシド等が挙げられる。特に炭素数が10〜16のアルコールのEO1〜10モル付加物が皮脂汚れの除去、耐硬水性、生分解性の点、及び直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩との相性の点で好ましい。
【0048】
洗剤粒子には、衣料用洗剤の分野で通常使用されるビルダー、漂白剤(過炭酸塩、過ホウ酸塩、漂白活性化剤等)、再汚染防止剤(カルボキシメチルセルロース等)、酵素、還元剤(亜硫酸塩等)、蛍光増白剤、抑泡剤(シリコーン等)、香料等を含有させることができる。
【0049】
洗剤粒子群の水分量は、保存安定性の観点から、該洗剤粒子群中10重量%以下が好ましく、5重量%以下がより好ましい。
【0050】
<粘土鉱物(a)>
本発明の柔軟洗浄剤組成物は、粘土鉱物(a)2〜20重量%を含有する。柔軟洗浄剤組成物における粘土鉱物(a)の含有量は、柔軟性能及び洗浄性能の観点から4〜18重量%が好ましく、5〜16重量%がより好ましく、6〜15重量%が更に好ましく、7〜14重量%が特に好ましい。
【0051】
粘土鉱物(a)は、天然物である場合、クォーツ、クリストバライト、カルサイト、長石などの不純物を含有するため、粘土鉱物(a)の含有量は、これらの不純物も含んだものを意味する。また、粘土鉱物(a)が粘土造粒物の場合は、造粒時等に使用した凝集剤や添加物等も合わせて粘土鉱物(a)と見做す。
【0052】
粘土鉱物(a)としては、例えば、タルク、パイロフィライト、スメクタイト(サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スティーブンサイト、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト等)、バーミキュライト、雲母(金雲母、黒雲母、チンワルド雲母、白雲母、パラゴナイト、セラドナイト、海緑石等)、緑泥石(クリノクロア、シャモサイト、ニマイト、ペナンタイト、スドーアイト、ドンバサイト等)、脆雲母(クリントナイト、マーガライト等)、スーライト、蛇紋石鉱物(アンチゴライト、リザーダイト、クリソタイル、アメサイト、クロンステダイト、バーチェリン、グリーナライト、ガーニエライト等)、カオリン鉱物(カオリナイト、ディッカイト、ナクライト、ハロイサイト等)等が挙げられ、これらの中では、柔軟性能の観点から、タルク、スメクタイト、膨潤性雲母、バーミキュライト、クリソタイル、カオリン鉱物等が好ましく、スメクタイトがより好ましく、モンモリロナイトが更に好ましい。これらはそれぞれ単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0053】
粘土鉱物(a)としては、耐ケーキング性、仕上がり感の観点から、式(3):
[Si(MgAl)O20(OH)X−・X/n[Me]n+ (3)
(式中、a及びbは、それぞれ0<a≦6及び0≦b≦4、0.2≦x=12−2a−3b≦1.2、MeはLi、Na、Ka、Ca、Mg及びNHの少なくとも1種を、nはMeの価数を表す)
で表される粘土鉱物が好ましい。また、溶解性の観点から、式(3)で表される粘土鉱物が粘土造粒物である場合には、NaとCaの比率(Na/Ca)は、1.0以上が好ましく、1.5以上がより好ましく、2.0以上が更に好ましい。あるいは、粘土鉱物中のNaが粘土鉱物中1.0重量%以上が好ましく、1.5重量%以上がより好ましい。
【0054】
式(3)で表される粘土鉱物の例としては、その形態がパウダー及び造粒物のいずれであってもよいが、ズード・ケミ社製、商品名:「ラウンドロジルDGA212」、「ラウンドロジルPR414」、「ラウンドロジルDG214」、「ラウンドロジルDGAパウダー」、「フラソフト−1パウダー」、ラヴィオッサ社製、商品名:「デタソフトGIS」、「デタソフトGIB」、「デタソフトGISW」、CSM社製、ピュアベントナイト、スタンダードベントナイト、プレミアムベントナイト等が挙げられる。また、これらを粉砕してパウダーにしたものを用いてもよい。
粘土鉱物は、柔軟性の観点から、一般式(3)で表されるモンモリロナイトと粘土鉱物の不純物として存在するクォーツ、クリストバライト及び水との合計量が粘土鉱物中の90%以上が好ましく、92%以上がより好ましい。
【0055】
NaとCaの比率(Na/Ca)が高いあるいはNaの含有量が高い粘土造粒物を得る方法として、天然品であれば、産地を選択すればよく、例えば、粘土造粒物を製造する際に、Na塩等を添加してNaとCaの比率あるいはNaの含有量を調整することも可能である。また、合成品であれば公知の方法にて任意に調整が可能である。
【0056】
NaとCaの比率が高い粘土造粒物を製造する方法としては、水分を20%以上含む原料粘土鉱石に粉末の炭酸ナトリウム等のNa塩を添加して充分に混合した後に乾燥する工程を含む製法、及びパウダー状に粉砕した粘土鉱物を、造粒機を用いて造粒する際に炭酸ナトリウム等のNa塩の粉末や水溶液を添加する工程を含む製法が好ましい。
【0057】
粘土造粒物中のNaとCaの比率は、粘土造粒物を乳鉢で粉砕し、目開き125μmの篩を通過した試料0.1gをマイクロウェーブ湿式灰化装置(自動)で硫酸−過酸化水素分解した後、メスフラスコにて50mLにメスアップして、ICP発光分析装置で測定してNaとCa量を定量して計算する。
【0058】
粘土造粒物の平均粒径は、低発塵性及び非分級性の観点から、好ましくは200〜1000μm、より好ましくは300〜900μm、更に好ましくは400〜800μmである。
【0059】
粘土造粒物の嵩密度は、非分級性の観点から、好ましくは500〜1200g/L、より好ましくは600〜1100g/L、特に好ましくは700〜1050g/Lである。
【0060】
粘土造粒物を5℃の水に投入し、1Lの硬水(CaCOの含有量71.2mg/L、Ca/Mgのモル比7/3)に試料0.1gを投入し、1L容の容器内で攪拌子にて回転数800rpmで10分間攪拌し、得られた分散体をJIS Z 8801規定の標準篩(目開き74μm)に供したとき、式(2):
〔溶解率〕(%)={1−(T’/S’)}×100 (2)
〔式中、S’は粘土造粒物の投入重量(g)、T’は前記攪拌条件にて得られた水溶液を上記篩に供したときに、篩上の残存する試料の溶残物の乾燥重量(g)〕で算出される溶解率は、柔軟性の発現及び溶け残りの観点から、90%以上が好ましく、93%以上がより好ましく、95%以上が更に好ましい。
【0061】
前記溶解率を測定する際の攪拌条件をより具体的に説明する。5℃に冷却した1Lの硬水(CaCOの含有量71.2mg/L、Ca/Mgのモル比7/3)を1Lビーカー(内径105mm、高さ150mmの円筒型、例えば、岩城硝子(株)製、1Lガラスビーカー)の中に満たし、5℃の水温をウォーターバスにて一定に保った状態で、攪拌子〔長さ35mm、直径8mm、例えば、アドバンテック(株)製、フッ素樹脂製攪拌子(丸型細型)〕にて水深に対する渦巻きの深さが略1/3となる回転数(800rpm)で攪拌する。0.1g±0.0010gとなるように縮分し、秤量した粘土造粒物を攪拌下に水中に投入し、分散させ攪拌を続ける。投入から10分間経過後に、ビーカー内の粘土造粒物の分散液を、既知重量のJIS Z 8801に規定の目開き74μmの標準篩(直径100mm)で濾過し、篩上に残留した含水状態の粘土造粒物を篩と共に既知重量の開放容器に回収する。なお、濾過開始から篩を回収するまでの操作時間を10±2秒とする。回収した粘土造粒物の溶残物を105℃に加熱した電気乾燥機にて1時間乾燥し、その後、25℃、相対湿度が50%に調整された室内で30分間保持して冷却する。冷却後、乾燥した粘土造粒物の溶残物と篩と回収容器の合計の重量を測定し、式(2)によって粘土造粒物の溶解率(%)を算出する。
【0062】
発塵性及び外観の観点から、180〜1410μmの粒子群が全体の90重量部以上を占める粘土造粒物が好ましく、95重量部以上を占める粘土造粒物がより好ましい。
【0063】
粘土造粒物における含水量は、粒子強度の観点から、18重量%以下が好ましく、16重量%以下がより好ましく、14重量%以下が更に好ましい。
【0064】
粘土造粒物の2重量%水溶液のpHは、20℃の測定条件において、品質管理の観点から、9.0以上が好ましく、9.5以上がより好ましく、10.0以上が更に好ましい。
【0065】
柔軟性洗浄剤組成物における粘土鉱物(a)及び洗剤粒子群(b)の合計量は、界面活性剤及び粘土鉱物の作用を十分に発揮させる観点から、好ましくは50〜100重量%、より好ましくは70〜100重量%である。粘土鉱物(a)及び洗剤粒子群(b)に、漂白剤粒子群、酵素粒子群、消泡剤粒子群、香料粒子群等を加えてもよい。本発明の柔軟性洗浄剤組成物は、通常の洗剤組成物に配合される公知の成分を任意成分として含有していてもよい。
【実施例】
【0066】
各実施例における物性の測定方法は、以下のとおりである。
〔平均粒径〕
JIS Z 8801のに規定の篩を用いて求めた。即ち目開きが2000μm、1400μm、1000μm、710μm、500μm、355μm、250μm、180μm、125μmである9段の篩と受け皿を用いて、ロータップマシン(HEIKO SEISAKUSHO製、タッピング:156回/分、ローリング:290回/分)に取り付け、100gの試料を10分間振動して篩い分けを行った後、受け皿、125μm、180μm、250μm、355μm、500μm、710μm、1000μm、1400μm、2000μmの順番に受け皿及び各篩い上に重量頻度を積算していくと、積算の重量頻度が50%以上となる最初の篩の目開きをaμmとし、またaμmよりも一段大きい篩の目開きをbμmとした時、受け皿からaμmの篩までの重量頻度の積算をc%、またaμmの篩上の重量頻度をd%とした場合、
(平均粒径)=10
【0067】
【数1】

【0068】
〔嵩密度〕
JIS K 3362に規定の方法で測定した。
【0069】
〔非分級性〕
着色した粘土造粒物1gを洗剤粒子群(平均粒径350μm、嵩密度820g/L)100gと混合した後、ミキサーで振動を与えた。分級が発生しているかどうかを目視で判断した。
【0070】
実施例1〜3<柔軟洗浄剤組成物1〜3の調製>
以下の方法で洗剤粒子群1を製造した。
攪拌翼を有した混合槽に水を加え、水温が55℃に達した後に、塩化ナトリウム(やき塩、日本製塩製)、硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムを添加した。これを15分間攪拌した後に、炭酸ナトリウムを添加し、添加終了後に40重量部のポリアクリル酸ナトリウム水溶液〔平均分子量1.5万、花王(株)製〕を添加した。これを更に15分間攪拌した後に、ゼオライト〔東ソー(株)製、商品名:4A型ゼオライト〕を添加した。これを30分間攪拌してスラリーを得た。このスラリーの最終温度は60℃であった。
【0071】
このスラリーを噴霧乾燥塔に供給し、噴霧圧力2,45MPaで塔頂より噴霧を行うことによりベース顆粒群1を調製した。得られたベース顆粒群1の組成は、塩化ナトリウム3重量%、ポリアクリル酸ナトリウム6重量%、炭酸ナトリウム26重量%、硫酸ナトリウム23重量%、亜硫酸ナトリウム1重量%、ゼオライト37重量%及び水4重量%で構成されていた。
【0072】
次に、ベース顆粒群1に界面活性剤等を添加することにより、洗剤粒子群を得た。即ち、非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、ポリエチレングリコール及び水からなる70℃の活性剤混合液を調製した。組成は、非イオン界面活性剤40重量%、陰イオン界面活性剤48重量%、ポリエチレングリコール2重量%及び水10重量%で構成されていた。
【0073】
次に、レディゲミキサー〔松阪技研(株)製、容量20L、ジャケット付き〕に上記ベース顆粒群1を100重量部投入し、主軸(100rpm)の攪拌を開始した。そこに、上記活性剤混合液45重量部を3分間で投入し、5分間攪拌を行った。更に、このミキサーにパルミチン酸〔花王(株)製、商品名:ルナックP−95〕2重量部を30秒間で添加し、その後3分間攪拌を行った。更にこのミキサーに結晶性シリケート2重量部とゼオライト15重量部を投入し、表面被覆を行った。
【0074】
なお、非イオン界面活性剤として、炭素数12〜16、平均EO付加モル数6.0のポリオキシエチレンアルキルエーテルを用いた。陰イオン界面活性剤としてはドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを用いた。ポリエチレングリコールとして、平均分子量8500のものを用いた。結晶性シリケートはプリフィード顆粒品〔(株)トクヤマシルテック製〕を用いた。
【0075】
次に、目開き1180μmの篩を用いて洗剤粒子群を分級し、1180μm未満の粒径の洗剤粒子群1を得た。ここで洗剤粒子群の溶解挙動をデジタルマイクロスコープで観察した結果、87%の粒子から粒子径の1/10以上の径の気泡が放出されたことが確認された。洗剤粒子群1の物性を表1に示す。
【0076】
この洗剤粒子群1の87.2重量部に粘土鉱物(I)12重量部と香料0.3重量部及び酵素0.5重量部(花王(株)製、商品名:セルラーゼK、ノボ社製、商品名:カンナーゼ24TK、ノボ社製、商品名:サビナーゼ6.0Tを3:1:2の質量比で使用)を混合して柔軟洗浄剤組成物1を得た。
【0077】
前記と同様に、この洗剤粒子群1の95.2重量部に粘土鉱物(I)4重量部、香料0.3重量部及び酵素0.5重量部を混合して柔軟洗浄剤組成物2を得た。
【0078】
また、洗剤粒子群1の81.2重量部に粘土鉱物(I)18重量部、香料0.3重量部及び酵素0.5重量部を混合して柔軟洗浄剤組成物3を得た。
【0079】
得られた柔軟性洗浄剤組成物1〜3の配合組成及び性能評価を表1に示す。
【0080】
実施例4〜8<柔軟洗浄剤組成物4〜8の調製>
ベース顆粒群1の組成を変更してベース顆粒群2を使用した以外は実施例1と同様の方法で洗剤粒子群2を得た。得られたベース顆粒群2の組成は、塩化ナトリウム8重量%、ポリアクリル酸ナトリウム12重量%、炭酸ナトリウム27重量%、硫酸ナトリウム26重量%、亜硫酸ナトリウム1重量%、ゼオライト24重量%及び水2重量%であった。
【0081】
この洗剤粒子群2の87.2重量部に、粘土鉱物(I)12重量部、香料0.3重量部及び酵素0.5重量部を混合して柔軟洗浄剤組成物4を得た。同様に粘土鉱物(II)、(III)、(IV)、(V)12重量部と香料0.3重量部及び酵素0.5重量部を混合して、柔軟洗浄剤組成物4〜8を得た。柔軟性洗浄剤組成物4〜8の性能評価を表1に示す。
【0082】
実施例9<柔軟洗浄剤組成物9の調製>
実施例4で得られた洗剤粒子群2の83.2重量部に粘土鉱物(I)10重量部、漂白剤粒子5重量部(炭酸ナトリウム・過酸化水素付加物(過炭酸ナトリウム):特開2000−256699号公報の段落0019に記載の漂白剤粒子)、漂白活性化剤粒子1.0重量部(ラウロイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム造粒物(特開2000−256699号公報の段落0018記載の漂白剤粒子)、香料0.3重量部及び酵素0.5重量部を混合して柔軟洗浄剤組成物9を得た。柔軟性洗浄剤組成物9の性能評価を表1に示す。
【0083】
実施例10<柔軟洗浄剤組成物10の調製>
実施例4で得られたベース顆粒群2に界面活性剤等を添加することにより洗剤粒子群3を得た。即ち、レディゲミキサー〔松阪技研(株)製、容量20L、ジャケット付き〕に上記ベース顆粒群2を100重量部とパウダー状の粘土鉱物(フラソフト−1(ズード・ケミ社製))11重量部を投入し、主軸(100rpm)の攪拌を開始した。そこに、実施例1と同様の活性剤混合液45重量部を3分間で投入し、その後5分間攪拌を行った。更に、このミキサーにパルミチン酸〔花王(株)製、商品名:ルナックP−95)2重量部を30秒間で添加し、その後3分間攪拌を行った。更にこのミキサーに結晶性シリケート2重量部とゼオライト15重量部を投入し、表面被覆を行った。
【0084】
次に、目開き1180μmの篩を用いて洗剤粒子群を分級し、1180μm未満の粒径の洗剤粒子群3を得た。洗剤粒子群1の物性を表1に示す。
【0085】
この洗剤粒子群3の93.2重量部に粘土鉱物(I)6重量部と香料0.3重量部及び酵素0.5重量部を混合して柔軟洗浄剤組成物10を得た。柔軟性洗浄剤組成物10の性能評価を表1に示す。
【0086】
実施例11<柔軟洗浄剤組成物11の調製>
以下の方法で洗剤粒子群4を製造した。ゼオライト、陰イオン界面活性剤(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、炭酸ナトリウム、1号珪酸ナトリウム(東ソー(株)製)及び硫酸ナトリウムの成分で含水率50%の水性スラリーを調製した。
【0087】
このスラリーを噴霧乾燥塔に供給し、噴霧圧力25kg/cmで塔頂より噴霧を行うことにより噴霧乾燥粒子を調製した。得られた噴霧乾燥粒子の組成は、ゼオライト11重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム15重量部、カルボキシメチルセルロースナトリウム1重量部、炭酸ナトリウム7重量部、1号珪酸ナトリウム5重量部、硫酸ナトリウム55重量部、水6重量部で構成されていた。
【0088】
次いで得られた噴霧乾燥粒子100重量部をスクリュー押出し造粒機により造粒し、造粒物を分級器で710μm以上を分級し、ゼオライト3重量部と共に粉砕機で粉砕し、710μm未満の造粒物と混合した。次に、得られた混合物とゼオライト3重量部とをロータリーキルンを用いて混合し、洗剤粒子群4を得た。洗剤粒子群4の物性を表1に示す。
【0089】
この洗剤粒子群4の87.2重量部に粘土鉱物(I)12重量部、香料0.3重量部及び酵素0.5重量部を混合して柔軟洗浄剤組成物11を得た。柔軟性洗浄剤組成物11の性能評価を表1に示す。
【0090】
比較例1〜2
実施例10で得られた噴霧乾燥粒子100重量部をスクリュー押出し造粒機により造粒し、得られた造粒物とゼオライト6重量部とを混合した。次に、目開き1410μmの篩を用いて洗剤粒子群を分級し、14ロータリーキルンを用いて10μm未満の粒径の洗剤粒子群5を得た。洗剤粒子群5の物性を表1に示す。
【0091】
この洗剤粒子群5の87.2重量部に粘土鉱物(I)12重量部、香料0.3重量部及び酵素0.5重量部を混合して柔軟洗浄剤組成物12を得た。また、洗剤粒子群5の99.2重量部に、香料0.3重量部及び酵素0.5重量部を混合して粘土鉱物を含まない洗浄剤組成物13を得た。洗浄剤組成物12〜13の性能評価を表1に示す。
【0092】
なお、実施例中の粘土鉱物(I)〜(IV)としては、以下のものを用いた。粘土鉱物(I)〜(IV)の物性等は、表1に示されている。
【0093】
粘土鉱物(I)の製法は、以下のとおりである。
容量2LのヘンシェルミキサーにNa/Ca比率〔重量比〕が0.6、水分25%のベントナイトの粘土鉱石100重量部と炭酸ナトリウム3.6重量部を投入し回転数1600rpmにて3分間混合した。
【0094】
次に、この混合物を80℃の乾燥機にて水分8%まで乾燥させたものを乳鉢にて125μmの篩を通過するまで粉砕した。この粉砕物100重量部をヘンシェルミキサーに投入し、回転数1600rpmにて混合中に水を25重量部添加し、30秒間混合した。この混合物を80℃の乾燥機にて水分12.5%まで乾燥させたものをオーバーサイズ(1410μm以上)とアンダーサイズ(180μm以下)をカットし、粘土鉱物(I)を得た。
【0095】
粘土鉱物(II):粘土鉱物(II)の製法は、以下のとおりである。
Na/Ca比率が0.6、水分25%のベントナイトの粘土鉱石を80℃の乾燥機にて水分8%まで乾燥させたものを乳鉢にて125μmの篩を通過するまで粉砕した。この粉砕物100重量部を容量2Lのヘンシェルミキサーに投入し回転数1600rpmにて混合中に水を25重量部添加し30秒間混合した。この混合物を80℃の乾燥機にて水分12.1%まで乾燥させたものをオーバーサイズ(1410μm以上)とアンダーサイズ(180μm以下)をカットして粘土鉱物(II)を得た。
【0096】
・粘土鉱物(III):Na/Ca比率が0.22の粘土造粒物(「デタソフトGIB」(ラヴィオッサ社製、ベントナイト)。
・粘土鉱物(IV):Na/Ca比率が0.14の粘土造粒物(「スタンダード ベントナイト」(CSM社製、ベントナイト)。
・粘土鉱物(V):Na/Ca比率が0.28、Na量が1.9%の粘土造粒物。
【0097】
【表1】

【0098】
表1に示された結果より、洗剤粒子群の溶解率が高い実施例1〜11で得られた柔軟洗浄剤組成物は、洗剤粒子群の溶解率を高めていない比較例1〜2で得られた柔軟洗浄剤組成物よりも洗浄力が優れていることがわかる。また、粘土造粒物の溶解率と、洗剤粒子群の溶解率も高い実施例1〜4と9〜11で得られた柔軟洗浄剤組成物は、衣類残留性が非常に良好であることがわかる。
【0099】
なお、得られた柔軟洗浄剤組成物の洗浄力、柔軟性及び衣類残留性を以下の方法に従って評価した。これらの結果を表1に併せて記載する。
【0100】
〔洗浄力の評価方法〕
(襟あか布の調製)
JIS K3362:1998記載の襟あか布を調製した。
【0101】
(洗浄条件及び評価基準)
JIS K 3362:1998記載の衣料用合成洗剤の洗浄力評価方法に準じ、表1の柔軟洗浄剤組成物と洗浄力判定用指標洗剤の洗浄力を比較した。表1の柔軟洗浄剤組成物の使用濃度を1.0g/Lとした。
【0102】
(評価基準)
○:指標洗剤より勝る。
△:指標洗剤と同等である。
×:指標洗剤よりも劣る。
【0103】
〔柔軟性の評価方法〕
(評価用タオルの調製)
市販の綿タオル(綿100%)をミニ洗濯機〔松下電器産業(株)製、品番:N−BK2〕を用い、また、その際の前処理剤には非イオン界面活性剤(炭素数12の1級アルコールにエチレンオキサイドを平均6モル付加させたもの)、結晶性シリケート(プリフィード顆粒品)、炭酸ナトリウムを1:1:3(重量比)で混合したものを0.5g/Lで使用した。水温20℃で7分洗浄後、遠心脱水、3分ためすすぎ、脱水、3分ためすすぎ、脱水を合計5回繰り返し、処理剤を除去したものを使用した。
【0104】
(洗浄条件及び評価方法)
20℃の水5Lに表1の柔軟洗浄剤組成物5.0g及び綿タオル0.3kg(70cm×30cmで4枚)を投入し、7分間洗った。脱水後、水5Lで3分間ためすすぎ、脱水、3分間ためすすぎ、脱水して風乾した。
【0105】
柔軟洗浄剤組成物で洗ったタオルと前処理タオルとを一対として5人の判定者が手触りの柔らかさを官能評価した。差がない場合及び硬くなる場合を0点、わずかに柔らかくなる場合を1点、少し柔らかくなる場合を2点、明らかに柔らかくなる場合を3点とし、5人の合計点を以下のように示した。この際、○以上を合格レベルとした。
【0106】
(評価基準)
◎:合計点が10点以上
○:合計点が6点以上10点未満
△:合計点が3点以上6点未満
×:合計点が3点未満
【0107】
(衣類残留性の評価方法)
5℃の水5Lに表1の柔軟洗浄剤組成物5.0g及び黒色綿ブロード40薄地〔(株)谷頭商店製〕0.3kg(30cm×38cmに加工したもので19枚)を投入し、7分間洗った。脱水後、水5Lで3分間ためすすぎ、脱水、3分間ためすすぎ、脱水して風乾した。
【0108】
柔軟洗浄剤組成物で洗った黒色綿ブロード布1枚あたりの表裏の残留物の数や大きさから以下の評価基準にて衣類残留性の評価を行った。
【0109】
(評価基準)
◎:残留物が(ほとんど)認められない。
○:大きめ(0.5mm以上)の粒子の残留物はなく、微粉(0.5mm以下)の残留物が数個〜10個認められる。
△:大きめ(0.5mm以上)の粒子の残留物はなく、微粉(0.5mm以下)の残留物が十数個認められる。
×:大きめ(0.5mm以上)の粒子の残留物があり、微粉(0.5mm以下)の残留物も認められる。
××:大きめ(0.5mm以上)の粒子の残留物が数個以上あり、微粉(0.5mm以下)の残留物も多数認められる。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明の洗浄剤組成物は、柔軟洗浄剤に好適に使用しうるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)粘土鉱物2〜20重量%と、
(b)界面活性剤を含有し、平均粒径が150〜500μmであり、嵩密度が500g/L以上である洗剤粒子群であって、該洗剤粒子群が、5℃の水に該洗剤粒子群を投入し、1Lの硬水(CaCOの含有量71.2mg/L、Ca/Mgのモル比7/3)に試料1gを投入し、1L容の容器内で攪拌子にて回転数800rpmで60秒間攪拌し、得られた分散体をJIS Z 8801規定の標準篩(目開き74μm)に供したとき、式(1):
〔溶解率〕(%)={1−(T/S)}×100 (1)
〔式中、Sは洗剤粒子群の投入重量(g)、Tは前記攪拌条件で得られた水溶液を前記篩に供したときに、篩上の残存する試料の溶残物の乾燥重量(g)を示す〕
で算出される溶解率が90%以上である洗剤粒子群60〜98重量%
とを含有してなる柔軟洗浄剤組成物。
【請求項2】
洗剤粒子群(b)が、該洗剤粒子群が水に溶解する過程で、該洗剤粒子群の平均粒径の1/10以上の直径を有する気泡を粒子内部から放出し得る洗剤粒子を含有する請求項1記載の柔軟洗浄剤組成物。
【請求項3】
洗剤粒子群(b)が、その内部よりも表面近傍に水溶性ポリマー及び/又は水溶性塩類が多く存在している請求項1又は2記載の柔軟洗浄剤組成物。
【請求項4】
粘土鉱物(a)が粘土造粒物であって、該粘土造粒物の平均粒径が200〜1000μm、嵩密度が500g/L以上であり、該粘土造粒物が、5℃の水に該粘土造粒物を投入し、1Lの硬水(CaCOの含有量71.2mg/L、Ca/Mgのモル比7/3)に試料0.1gを投入し、1L容の容器内で攪拌子にて回転数800rpmで10分間攪拌し、得られた分散体をJIS Z 8801規定の標準篩(目開き74μm)に供したとき、式(2):
〔溶解率〕(%)={1−(T’/S’)}×100 (2)
〔式中、S’は粘土造粒物の投入重量(g)、T’は前記攪拌条件にて得られた水溶液を上記篩に供したときに、篩上の残存する試料の溶残物の乾燥重量(g)〕で算出される溶解率が90%以上である請求項1〜3いずれか記載の柔軟洗浄剤組成物。
【請求項5】
粘土鉱物(a)が、式(3):
[Si(MgAl)O20(OH)X−・X/n[Me]n+ (3)
(式中、a及びbは、それぞれ0<a≦6及び0≦b≦4、0.2≦x=12−2a−3b≦1.2であり、MeはLi、Na、Ka、Ca、Mg及びNHの少なくとも1種を、nはMeの価数を表す)
で表され、粘土鉱物中のNaとCaの比率(Na/Caの質量比)が1.0以上あるいは粘土鉱物中のNaが粘土鉱物中1.0質量%以上である請求項1〜4いずれか記載の柔軟洗浄剤組成物。


【公開番号】特開2007−63382(P2007−63382A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−250388(P2005−250388)
【出願日】平成17年8月30日(2005.8.30)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】