柱カバーの取付金物
【課題】簡単な構造で生産性や可搬性に優れた柱カバーの取付金物を提供する。
【解決手段】取付金物1は、下から上に向かって垂直にのびる上向きスリットを具えた上側取付片9と、上から下に向かって垂直にのびる下向きスリットを具えかつこの下向きスリットを上向きスリットに挿入させることにより、上側取付片9と略十字状に遊嵌交差する下側取付片10とを含む。略十字状の上側取付片9と下側取付片10とが構成する一つの入隅部nを支柱2のコーナ部5に当接させて上側取付片9及び下側取付片10が支柱2の第1の外面4a及び第2の外面4bに固着される。さらに、上側取付片9及び下側取付片10は、支柱2の外面4に固着される主板部9b、10bと、該主板部9b、10bの両端部に設けられかつ柱カバー3が取り付けられる一対の側板部9c、10cとを含む。
【解決手段】取付金物1は、下から上に向かって垂直にのびる上向きスリットを具えた上側取付片9と、上から下に向かって垂直にのびる下向きスリットを具えかつこの下向きスリットを上向きスリットに挿入させることにより、上側取付片9と略十字状に遊嵌交差する下側取付片10とを含む。略十字状の上側取付片9と下側取付片10とが構成する一つの入隅部nを支柱2のコーナ部5に当接させて上側取付片9及び下側取付片10が支柱2の第1の外面4a及び第2の外面4bに固着される。さらに、上側取付片9及び下側取付片10は、支柱2の外面4に固着される主板部9b、10bと、該主板部9b、10bの両端部に設けられかつ柱カバー3が取り付けられる一対の側板部9c、10cとを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、簡単な構造で生産性や可搬性に優れた柱カバーの取付金物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、図11(a)に示されるように、例えば家屋の外部に立設される玄関ポーチ柱等の化粧柱t等にあっては、鋼材からなりかつ垂直方向にのびる支柱uと、該支柱uから離間するとともに該支柱uを囲む化粧仕上げされた柱カバーwと、この柱カバーwを前記支柱uに取り付けるための取付金物aとから構成される。
【0003】
前記取付金物aは、図11(b)に示されるように、同形状の一対の取付片b、bから構成される。
【0004】
各取付片bは、その長手方向と直角な断面図において、直線状にのびる中央部dと、その両側に連設されかつ前記中央部dに対して実質的に45゜の角度でそれぞれのびることにより実質的に90゜の交角を有する第1取付片c、第2取付片eと、各第1取付片c、第2取付片eの端部でそれぞれ実質的に90゜で折れ曲がる小長さの側片f、gとを具えている。そして、前記取付金物aは、予め工場等で、一対の取付片b、bの中央部dを背中合わせに向き合わせて溶接されることにより、断面略十字状に一体に形成される。
【0005】
このような取付金物aは、現場に搬送された後、支柱uのコーナ部u1に第1取付片c、cの交差部を沿わせて装着し、支柱uの各外面u2にボルトB1にて固定される。また、支柱uに固定された取付金物aの各側片f、gは、木質の下地材hがビスB2にて固着され、この下地材hを介して均等に4分割された断面L字状の柱カバー片w1の端部がビスB3にて固着される。また、柱カバー片w1の間は水密材jが配される。これにより、支柱uに、該支柱uを囲む筒状の柱カバーwが取付される。
【0006】
しかしながら、前記取付金物aは、一対の取付片b、bを溶接により接合されて形成されるため、製造に多くの手間が必要である。また、溶接のバラツキ等により、第1取付片c、cの直角の交差部が得られ難く精度が低下しやすい。さらに、断面略十字状をなすため、かさばり易く、運搬効率が悪い。関連する技術としては、次のものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−56631号公報
【特許文献2】特開2003−97038号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、以上のような問題点に鑑み案出なされたもので、下から上にのびる上向きスリットを具えた上側取付片と、上から下にのびる下向きスリットを具えかつこの下向きスリットを上向きスリットに挿入させることにより上側取付片と略十字状に遊嵌交差する下側取付片とを用いるとともに、嵌合された上側取付片と下側取付片とが構成する一つの入隅部を前記支柱のコーナ部に当接させて上側取付片及び下側取付片を支柱の外面に固着することを基本として、簡単な構造で生産性や可搬性を向上させた柱カバーの取付金物を提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のうち請求項1記載の発明は、垂直方向にのびる第1の外面と第2の外面とが直交する少なくとも一つのコーナ部を有する支柱に、該支柱から離間するとともに該支柱を囲む筒状の柱カバーを取り付けるための取付金物であって、前記取付金物は、下から上に向かって垂直にのびる上向きスリットを具えた上側取付片と、上から下に向かって垂直にのびる下向きスリットを具えかつこの下向きスリットを前記上向きスリットに挿入させることにより前記上側取付片と略十字状に遊嵌交差する下側取付片とを含み、前記略十字状の上側取付片と下側取付片とが構成する一つの入隅部を前記支柱のコーナ部に当接させて上側取付片及び下側取付片が前記支柱の第1の外面及び第2の外面に固着されるとともに、前記上側取付片及び下側取付片は、前記支柱の外面に固着されることにより該外面に沿って水平方向両側にはみ出してのびる板状の主板部と、該主板部の水平方向の両端部に設けられかつ前記柱カバーが取り付けられる取付面を有する一対の側板部とを含むことを特徴とする。
【0010】
また請求項2記載の発明は、前記上側取付片及び前記下側取付片は、同一形状であり、下側取付片は、上側取付片とは上下を逆にして使用される請求項1記載の柱カバーの取付金物である。
【0011】
また請求項3記載の発明は、前記上側取付片の一対の側板部及び下側取付片の一対の側板部は、前記主板部から90゜の角度で折り曲げられた折曲片からなる請求項1又は2記載の柱カバーの取付金物である。
【0012】
また請求項4記載の発明は、前記上側取付片の前記折曲片及び前記下側取付片の前記折曲片は、各々の主板部に対して同一方向に折り曲げられている請求項3記載の柱カバーの取付金物である。
【0013】
また請求項5記載の発明は、前記上側取付片は、その主板部の上縁で前記折曲片とは逆向きに折れ曲がる上部フィンを具え、かつ前記下側取付片は、その主板部の下縁で前記折曲片とは逆向きに折れ曲がる下部フィンを具える請求項4記載の柱カバーの取付金物である。
【0014】
また請求項6記載の発明は、前記上側取付片の主板部及び前記下側取付片の主板部には、前記支柱に固着するためのボルトが通る透孔が形成されている請求項1乃至5のいずれかに記載の柱カバーの取付金物である。
【0015】
また請求項7記載の発明は、前記上側取付片の上向きスリット及び前記下側取付片の下向きスリットは、それぞれ複数本形成されている請求項1乃至6のいずれかに記載の柱カバーの取付金物である。
【発明の効果】
【0016】
本発明の柱カバーの取付金物は、下から上に向かって垂直にのびる上向きスリットを具えた上側取付片と、上から下に向かって垂直にのびる下向きスリットを具えた下側取付片とを各スリットの位置で挿入させることにより、上側取付片と下側取付片とが略十字状に遊嵌交差できる。そして、この略十字状の上側取付片と下側取付片とが構成する一つの入隅部を支柱の直角をなすコーナ部に当接させ、上側取付片及び下側取付片が支柱の外面にそれぞれ固着される。このような固着により、上側取付片と下側取付片とは、ガタを無くして直角に仕上げられて支柱に固着される。従って、従来のように、一対の取付片を予め工場等で溶接固着する必要が無い。従って、本発明の取付金物は生産性が良い。
【0017】
また、上側取付片と下側取付片とは、施工現場にて互いのスリットを挿入し、略十字状に交差させれば良い。従って、工場から施工現場までは、上側取付片と下側取付片とを組み合わせる必要が無く、バラバラで搬送できる。従って、本発明の取付金物は、荷姿が小さく、可搬性が向上する。
【0018】
さらに、本発明の取付金物では、従来と同様、支柱の周囲に4つの柱カバーの取付面を設けることができるため、この取付面を利用して支柱に柱カバーを安定して取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態の柱カバーの取付金物を用いた化粧柱の斜視図である。
【図2】図1の断面図である。
【図3】本実施形態の取付金物を説明する斜視図である。
【図4】図3の取付金物の組立体の斜視図である。
【図5】支柱に取り付けた本実施形態の取付金物の側板部に下地材を取り付けた斜視図である。
【図6】本実施形態の柱カバーの取付金物を搬送するための荷姿の一例を説明する断面図である。
【図7】(a)は、他の実施形態の取付金物を説明する斜視図、(b)は、(a)の取付金物の組立体の斜視図である。
【図8】図7の金物を用いた化粧柱の断面図である。
【図9】さらに他の実施形態の柱カバーの取付金物を説明する斜視図である。
【図10】他の実施形態の支柱を説明する断面図である。
【図11】(a)は、従来の柱カバーの取付金物を用いた化粧柱の断面図、(b)は、その柱カバーの取付金物の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1及び図2に示されるように、本実施形態の柱カバーの取付金物1は、垂直方向にのびる支柱2に、該支柱2から離間するとともに該支柱2を囲む筒状の柱カバー3を取り付けた、例えば玄関ポーチ柱等の化粧柱Aなどに好適に利用される。
【0021】
前記支柱2は、第1の外面4aと第2の外面4bとが直交する少なくとも一つのコーナ部5aを有する。本実施形態の支柱2は、図2に示される断面において、第1の外面4a、第2の外面4bの端部からそれぞれ直交してのび第1乃至第2の外面4a、4bよりも小長さで途切れる第3の外面4c及び第4の外面4dを有する。これにより、支柱2は、第3の外面4c及び第4の外面4d間が開口した合計3つのコーナ部5a乃至5cを有する開断面の角筒状で形成される。ただし、支柱2の断面形状は、例えば図10に示されるような閉断面の角筒状でも良いのは言うまでもない。また、このような支柱2には、例えば炭素鋼、ステンレス鋼又は合金鋼など各種の鉄鋼材料が好適に用いられる。
【0022】
図2から明らかなように、本実施形態の柱カバー3は、断面が略正方形の角筒状で構成される。該柱カバー3は、例えば窯業系材料からなり、好ましくは外表面にタイル等が貼り付けられて化粧仕上げされる。このような柱カバー3は、支柱2をその全長さに亘って目隠し、化粧柱としての見映えを高めるのに役立つ。
【0023】
また、本実施形態の柱カバー3は、例えば、正方形の各辺の中間点で分割されることにより、1辺の長さが等しい断面L字状の4つのコーナ片3aから形成される。なお、柱カバー3の断面形状や分割方法などは、このような具体的な実施形態に限定されるものではない。
【0024】
図3に示されるように、本実施形態の取付金物1は、下から上に向かって垂直にのびる上向きスリット9aを具えた上側取付片9と、上から下に向かって垂直にのびる下向きスリット10aを具えた下側取付片10とを含んで構成される。そして、図4に示されるように、各々のスリット9a、10aを互いに挿入することにより、上側取付片9と下側取付片10とは、略十字状に遊嵌状態で交差することができる。ここで、「略十字状に遊嵌状態で交差する」とは、互いにスリットを介して嵌め合わされた上側取付片9と下側取付片10との交差角度が90゜±10゜程度で範囲で変位可能なようにガタを持った状態を意味する。このような遊嵌状態は、スリット9a、10aの幅W5を各取付片9、10の厚さT1よりも僅かに大きく形成することにより得られる。
【0025】
また、上側取付片9は、支柱2の第1の外面4aに固着される板状の主板部9bと、該主板部9bの水平方向の両端部に設けられかつ前記柱カバー3が取り付けられる取付面13を有する一対の側板部9cとを含む。同様に、下側取付片10も、支柱2の第2の外面4bに固着される板状の主板部10bと、該主板部10bの水平方向の両端部に設けられかつ前記柱カバー3が取り付けられる取付面14を有する一対の側板部10cとを含む。
【0026】
図2及び図3に示されるように、前記各主板部9b、10bは、単一の平面をのびる平板状をなし、いずれも支柱2の外面4a又は4bに沿って固着される。また、各主板部9b、10bは、支柱2の外面4a又は4bに固着されたときに、該支柱2の外面から水平方向両側にはみ出してのびるよう、その水平方向の長さW1が支柱2の第1の外面4a及び第2の外面4bの幅W3よりも大きく設定されている。一方、前記主板部9b、10bの長さW1は、柱カバー3の内法寸法W4よりも小さく設定されている。なお、各主板部9b、10bの垂直方向の長さH1は、材料の強度等を勘案して適宜定められる。
【0027】
また、上側取付片9の主板部9bには、前記上向きスリット9aが形成される。上向きスリット9aは、主板部9bの下縁9xから上縁9yに向かって垂直にかつ該主板部9bの垂直方向の長さH1の半分の長さを有する。同様に、下側取付片10の主板部10bには、前記下向きスリット10aが形成される。下側スリット10aは、主板部10bの上縁10yから下縁10xに向かって垂直にかつ該主板部10bの垂直方向の長さH1の半分の長さを有する。従って、本実施形態では、上側取付片9と下側取付片10とをスリット9a、10aを介して遊嵌交差させたときに、その垂直方向の寸法を最小にできる。なお、前記上向きスリット9a及び下向きスリット10aは、本実施形態では、前記主板部9b及び主板部10bの前記長さW1の中間位置に各1本設けられる。
【0028】
さらに、図2又は図3に示されるように、上側取付片9の主板部9b及び下側取付片10の主板部10bには、前記支柱2に固着するためのボルトB1が通る透孔rが形成されている。なお、支柱2の外面4a、4bにも、透孔rに対応する孔が高さ方向に所定のピッチで形成されている(図示省略)。
【0029】
図3乃至4に示されるように、本実施形態の各側板部9c及び10cは、それぞれ主板部9b、10bの両端部で、該主板部9b、10bに対して実質的に90゜の角度で折り曲げられた折曲片15、16からなる。このような側板部9c、10cの水平方向の長さW2は柱カバー3のコーナ片3aを取り付けるために、例えば10〜30mm程度で適宜定められるのが望ましい。なお 前記各折曲片15及び16は、各々の主板部9b、10bに対してそれぞれ同一方向に折り曲げられている。このような上側取付片9及び下側取付片10は、それぞれ1枚の板状片にスリットを形成するとともに、その両端部を曲げ加工することにより、簡単に製造でき、低コスト化を図ることができる。
【0030】
なお、上側取付片9及び前記下側取付片10は、同一形状で形成されるのが望ましい。この場合、下側取付片10には、前記上側取付片9の上下を逆にして使用することができる。これにより取付片9、10が、1種類となり、部品点数を削減して生産コストが低減される。
【0031】
次に、柱カバー3を支柱2に取り付ける工程の一例について述べる。
図4に示されるように、上側取付片9と下側取付片10とは、互いのスリット9a、10aを挿入して略十字状に遊嵌交差させ、取付金物1の組立体を得る。そして、この組立体の一つの入隅部nが、前記支柱2のコーナ部5aに当接されて固着される。即ち、図5に示されるように、上側取付片9及び下側取付片10は、支柱2の第1の外面4a及び第2の外面4bにそれぞれ沿わされ、透孔rにボルトB1、B1を通して支柱2に固着される。
【0032】
支柱2のコーナ部5aに取り付けられた取付金物1は、該コーナ部5aが直角をなすため、上側取付片9と下側取付片10とは、このコーナ部5aに沿って遊嵌状態から直角に交差するように位置固定される。なお、取付金物1は、支柱2の高さ方向に所定のピッチで隔設されるのが良い。
【0033】
次に、図5に示されるように、本実施形態では、各取付片9、10の側板部9c、10cの取付面13、14に、柱カバー3のコーナ片3aを取り付けるための木質の下地材18がタッピングビスB2等により取り付けられる。該下地材18は、短冊状の薄板材からなり、取付面13、14と柱カバー3の内周面との隙間に合わせて(図2に示す)、1乃至複数枚(本実施形態では3枚)で使用される。このような下地材18は、石膏ボードや窯業の材料からなる柱カバー3と取付面13、14との隙間を埋め、安定して柱カバー3を取付けるのに好適である。
【0034】
なお、取付面13、14に対する下地材18の水平方向の位置を容易に位置決めうるように、本実施形態の取付面13、14には、垂直方向にのびる基準線17が肉眼で確認可能に設けられる一方、下地材18には、この基準線17に合わせるべき位置に、該基準線17を透視可能な小孔からなる覗き孔18aが所定のピッチで設けられている。従って、取付面13、14に下地材18を取り付ける際、下地材18は、その覗き孔18aから基準線17が見える位置に合わされることで正しく位置決めされ、取付面13、14に固着される。この際、覗き孔18aをタッピングビスB2の下孔として用いることができる。これにより、下地材18が取付面13、14に対して水平方向に位置ずれするのを防ぎ、ひいては後述の柱カバー3の取付を安定して行うのに役立つ。
【0035】
また、図2に示されるように、本実施形態では、柱カバー3は、その中心が、支柱2のコーナ部5aよりも支柱2側(支柱2の内部側)に位置ずれして配される。このため、各取付片9、10は、柱カバー3の中心線C1、C2から偏芯するとともに、各取付片9、10の側板部9c、10cは、それぞれ主板部9b、10bから前記中心線C1、C2側(支柱2側)へと折り曲げられている。従って、各側板部9c、10cの取付面13、14は、柱カバー3の中心線C1、C2と交差してのびる支持面を形成する。このような取付面13、14は、前記中心線C1、C2の交差してのびる下地材18を安定して保持できる。従って、前記基準線17は、前記中心線C1又はC2の位置に設けられるとともに、下地材18の幅の中心に覗き孔18aを設けることにより、下地材18を、前記中心線C1又はC2に対してよりバランス良く線対称に配置することができる。
【0036】
次に、図2に示されるように、柱カバー3のコーナ片3aが、ビスB3等で前記下地材18に固着される。この実施形態では、コーナ片3aの両端部3a1、3a1がそれぞれ下地材18に固着されている。隣り合うコーナ片3a、3a間には小隙間が形成されるが、この小隙間にはコーキング材20が配されて水密される。
【0037】
以上説明したように、本発明の取付金物1は、施工現場で上側及び下側取付片9、10のスリット9a、10aを互いに挿入して略十字状に遊嵌交差させて支柱2に固着される。そして、取付金物1は、支柱2へ固着されることにより、上側取付片9と下側取付片10とは、ガタを無くして直角に仕上げられる。従って、本発明の取付金物1は、従来のように、一対の取付片を予め工場等で溶接固着する必要が無く生産性に優れる。
【0038】
また、このような取付金物1は、工場から施工現場までは、例えば図6に示されるように、各取付片9、10を重ね合わせて小さな荷姿で搬送できるため、可搬性に優れる。
【0039】
さらに、本発明の取付金物1では、従来と同様、支柱2の周囲に4つの柱カバー3の取付面13、14を設けることができるため、この取付面13、14を利用して支柱2に柱カバー3を安定して取り付け得るとともに、複雑な工程や作業を必要としない。
【0040】
図7(a)及び(b)には、本発明の取付金物1の他の実施形態の断面図が示される。
この実施形態では、前記上側取付片9は、その主板部9bの上縁9yで前記折曲片15とは逆向きに折れ曲がる矩形の上部フィン9eを具える。また、下側取付片10は、その主板部10bの下縁10xで前記折曲片16とは逆向きに折れ曲がる矩形の下部フィン10eを具える。
【0041】
このような上部及び下部フィン9e、10eを具えた上側取付片9及び下側取付片10は、各取付片9、10の曲げ剛性を高め耐久性に優れる。これは、搬送中の取付片9、10の変形等を効果的に防止しうる。また、図8に示されるように、上部及び下部フィン9e、10eを設けた取付金物1は、支柱2のコーナ部5aを当接可能な主板部9b、10bがなす入隅部が1カ所しか存在しない。従って、このような取付金物1は、支柱2への取付位置が一義的に決定されるので、取付ける向きのミスなどを防止し、施工性を向上できる。
【0042】
また、図9には、さらに本発明の他の実施形態が示される。
この実施形態では、上側取付片9の上向きスリット9a及び前記下側取付片10の下向きスリット10aは、それぞれ複数本(本実施形態では、各々2本)形成されている。この実施形態によれば、上向きスリット9a1、9a2及び下向きスリット10a1、10a2の挿入位置を変えるだけで、容易に上側取付片9と下側取付片10とがなす十字状の形状を変えることができる。具体的には、支柱2のコーナ部5aに当接させる入隅部nから側板部9c、10cの取付面13、14までの距離を変えることができる。従って、このような取付金物1では、図10に示されるように、支柱2に対する柱カバー3の位置を変えることができる。従って、このような取付金物1は、同一の支柱2に対して柱カバー3の配設位置を変えてプランニングに幅を持たせることができる他、支柱2の断面形状が異なる場合でも、柱カバー3を同一位置に形成することができ、汎用性が向上する。
【0043】
なお、このように複数本の上向きスリット9a及び下向きスリット10aが形成された上側取付片9及び下側取付片10の取付面13、14には、その複数本のスリットの位置に対応した前記基準線17(本実施形態では17a及び17b)がスリットの数と同じ本数だけ形成されるのが望ましい。
【0044】
なお、図10に示されるように、支柱2が、閉断面の角筒状の場合、取付金物1は、ボルトB1及びナットを用いることができないため、ビスB5により固着される。なお、図3に示されるように、前記主板部9b、10bには、容易に支柱2の外面4と固着できるように、予めビス穴19も形成されているのが望ましい。
【0045】
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施し得る。
【符号の説明】
【0046】
1 柱カバーの取付金物
2 支柱
3 柱カバー
4 外面
4a 第1の外面
4b 第2の外面
5 コーナ部
9 上側取付片
9a 上向きスリット
9b、10b 主板部
9c、10c 側板部
10 下側取付片
10a 下向きスリット
13、14 側板部の取付面
【技術分野】
【0001】
本発明は、簡単な構造で生産性や可搬性に優れた柱カバーの取付金物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、図11(a)に示されるように、例えば家屋の外部に立設される玄関ポーチ柱等の化粧柱t等にあっては、鋼材からなりかつ垂直方向にのびる支柱uと、該支柱uから離間するとともに該支柱uを囲む化粧仕上げされた柱カバーwと、この柱カバーwを前記支柱uに取り付けるための取付金物aとから構成される。
【0003】
前記取付金物aは、図11(b)に示されるように、同形状の一対の取付片b、bから構成される。
【0004】
各取付片bは、その長手方向と直角な断面図において、直線状にのびる中央部dと、その両側に連設されかつ前記中央部dに対して実質的に45゜の角度でそれぞれのびることにより実質的に90゜の交角を有する第1取付片c、第2取付片eと、各第1取付片c、第2取付片eの端部でそれぞれ実質的に90゜で折れ曲がる小長さの側片f、gとを具えている。そして、前記取付金物aは、予め工場等で、一対の取付片b、bの中央部dを背中合わせに向き合わせて溶接されることにより、断面略十字状に一体に形成される。
【0005】
このような取付金物aは、現場に搬送された後、支柱uのコーナ部u1に第1取付片c、cの交差部を沿わせて装着し、支柱uの各外面u2にボルトB1にて固定される。また、支柱uに固定された取付金物aの各側片f、gは、木質の下地材hがビスB2にて固着され、この下地材hを介して均等に4分割された断面L字状の柱カバー片w1の端部がビスB3にて固着される。また、柱カバー片w1の間は水密材jが配される。これにより、支柱uに、該支柱uを囲む筒状の柱カバーwが取付される。
【0006】
しかしながら、前記取付金物aは、一対の取付片b、bを溶接により接合されて形成されるため、製造に多くの手間が必要である。また、溶接のバラツキ等により、第1取付片c、cの直角の交差部が得られ難く精度が低下しやすい。さらに、断面略十字状をなすため、かさばり易く、運搬効率が悪い。関連する技術としては、次のものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−56631号公報
【特許文献2】特開2003−97038号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、以上のような問題点に鑑み案出なされたもので、下から上にのびる上向きスリットを具えた上側取付片と、上から下にのびる下向きスリットを具えかつこの下向きスリットを上向きスリットに挿入させることにより上側取付片と略十字状に遊嵌交差する下側取付片とを用いるとともに、嵌合された上側取付片と下側取付片とが構成する一つの入隅部を前記支柱のコーナ部に当接させて上側取付片及び下側取付片を支柱の外面に固着することを基本として、簡単な構造で生産性や可搬性を向上させた柱カバーの取付金物を提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のうち請求項1記載の発明は、垂直方向にのびる第1の外面と第2の外面とが直交する少なくとも一つのコーナ部を有する支柱に、該支柱から離間するとともに該支柱を囲む筒状の柱カバーを取り付けるための取付金物であって、前記取付金物は、下から上に向かって垂直にのびる上向きスリットを具えた上側取付片と、上から下に向かって垂直にのびる下向きスリットを具えかつこの下向きスリットを前記上向きスリットに挿入させることにより前記上側取付片と略十字状に遊嵌交差する下側取付片とを含み、前記略十字状の上側取付片と下側取付片とが構成する一つの入隅部を前記支柱のコーナ部に当接させて上側取付片及び下側取付片が前記支柱の第1の外面及び第2の外面に固着されるとともに、前記上側取付片及び下側取付片は、前記支柱の外面に固着されることにより該外面に沿って水平方向両側にはみ出してのびる板状の主板部と、該主板部の水平方向の両端部に設けられかつ前記柱カバーが取り付けられる取付面を有する一対の側板部とを含むことを特徴とする。
【0010】
また請求項2記載の発明は、前記上側取付片及び前記下側取付片は、同一形状であり、下側取付片は、上側取付片とは上下を逆にして使用される請求項1記載の柱カバーの取付金物である。
【0011】
また請求項3記載の発明は、前記上側取付片の一対の側板部及び下側取付片の一対の側板部は、前記主板部から90゜の角度で折り曲げられた折曲片からなる請求項1又は2記載の柱カバーの取付金物である。
【0012】
また請求項4記載の発明は、前記上側取付片の前記折曲片及び前記下側取付片の前記折曲片は、各々の主板部に対して同一方向に折り曲げられている請求項3記載の柱カバーの取付金物である。
【0013】
また請求項5記載の発明は、前記上側取付片は、その主板部の上縁で前記折曲片とは逆向きに折れ曲がる上部フィンを具え、かつ前記下側取付片は、その主板部の下縁で前記折曲片とは逆向きに折れ曲がる下部フィンを具える請求項4記載の柱カバーの取付金物である。
【0014】
また請求項6記載の発明は、前記上側取付片の主板部及び前記下側取付片の主板部には、前記支柱に固着するためのボルトが通る透孔が形成されている請求項1乃至5のいずれかに記載の柱カバーの取付金物である。
【0015】
また請求項7記載の発明は、前記上側取付片の上向きスリット及び前記下側取付片の下向きスリットは、それぞれ複数本形成されている請求項1乃至6のいずれかに記載の柱カバーの取付金物である。
【発明の効果】
【0016】
本発明の柱カバーの取付金物は、下から上に向かって垂直にのびる上向きスリットを具えた上側取付片と、上から下に向かって垂直にのびる下向きスリットを具えた下側取付片とを各スリットの位置で挿入させることにより、上側取付片と下側取付片とが略十字状に遊嵌交差できる。そして、この略十字状の上側取付片と下側取付片とが構成する一つの入隅部を支柱の直角をなすコーナ部に当接させ、上側取付片及び下側取付片が支柱の外面にそれぞれ固着される。このような固着により、上側取付片と下側取付片とは、ガタを無くして直角に仕上げられて支柱に固着される。従って、従来のように、一対の取付片を予め工場等で溶接固着する必要が無い。従って、本発明の取付金物は生産性が良い。
【0017】
また、上側取付片と下側取付片とは、施工現場にて互いのスリットを挿入し、略十字状に交差させれば良い。従って、工場から施工現場までは、上側取付片と下側取付片とを組み合わせる必要が無く、バラバラで搬送できる。従って、本発明の取付金物は、荷姿が小さく、可搬性が向上する。
【0018】
さらに、本発明の取付金物では、従来と同様、支柱の周囲に4つの柱カバーの取付面を設けることができるため、この取付面を利用して支柱に柱カバーを安定して取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態の柱カバーの取付金物を用いた化粧柱の斜視図である。
【図2】図1の断面図である。
【図3】本実施形態の取付金物を説明する斜視図である。
【図4】図3の取付金物の組立体の斜視図である。
【図5】支柱に取り付けた本実施形態の取付金物の側板部に下地材を取り付けた斜視図である。
【図6】本実施形態の柱カバーの取付金物を搬送するための荷姿の一例を説明する断面図である。
【図7】(a)は、他の実施形態の取付金物を説明する斜視図、(b)は、(a)の取付金物の組立体の斜視図である。
【図8】図7の金物を用いた化粧柱の断面図である。
【図9】さらに他の実施形態の柱カバーの取付金物を説明する斜視図である。
【図10】他の実施形態の支柱を説明する断面図である。
【図11】(a)は、従来の柱カバーの取付金物を用いた化粧柱の断面図、(b)は、その柱カバーの取付金物の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1及び図2に示されるように、本実施形態の柱カバーの取付金物1は、垂直方向にのびる支柱2に、該支柱2から離間するとともに該支柱2を囲む筒状の柱カバー3を取り付けた、例えば玄関ポーチ柱等の化粧柱Aなどに好適に利用される。
【0021】
前記支柱2は、第1の外面4aと第2の外面4bとが直交する少なくとも一つのコーナ部5aを有する。本実施形態の支柱2は、図2に示される断面において、第1の外面4a、第2の外面4bの端部からそれぞれ直交してのび第1乃至第2の外面4a、4bよりも小長さで途切れる第3の外面4c及び第4の外面4dを有する。これにより、支柱2は、第3の外面4c及び第4の外面4d間が開口した合計3つのコーナ部5a乃至5cを有する開断面の角筒状で形成される。ただし、支柱2の断面形状は、例えば図10に示されるような閉断面の角筒状でも良いのは言うまでもない。また、このような支柱2には、例えば炭素鋼、ステンレス鋼又は合金鋼など各種の鉄鋼材料が好適に用いられる。
【0022】
図2から明らかなように、本実施形態の柱カバー3は、断面が略正方形の角筒状で構成される。該柱カバー3は、例えば窯業系材料からなり、好ましくは外表面にタイル等が貼り付けられて化粧仕上げされる。このような柱カバー3は、支柱2をその全長さに亘って目隠し、化粧柱としての見映えを高めるのに役立つ。
【0023】
また、本実施形態の柱カバー3は、例えば、正方形の各辺の中間点で分割されることにより、1辺の長さが等しい断面L字状の4つのコーナ片3aから形成される。なお、柱カバー3の断面形状や分割方法などは、このような具体的な実施形態に限定されるものではない。
【0024】
図3に示されるように、本実施形態の取付金物1は、下から上に向かって垂直にのびる上向きスリット9aを具えた上側取付片9と、上から下に向かって垂直にのびる下向きスリット10aを具えた下側取付片10とを含んで構成される。そして、図4に示されるように、各々のスリット9a、10aを互いに挿入することにより、上側取付片9と下側取付片10とは、略十字状に遊嵌状態で交差することができる。ここで、「略十字状に遊嵌状態で交差する」とは、互いにスリットを介して嵌め合わされた上側取付片9と下側取付片10との交差角度が90゜±10゜程度で範囲で変位可能なようにガタを持った状態を意味する。このような遊嵌状態は、スリット9a、10aの幅W5を各取付片9、10の厚さT1よりも僅かに大きく形成することにより得られる。
【0025】
また、上側取付片9は、支柱2の第1の外面4aに固着される板状の主板部9bと、該主板部9bの水平方向の両端部に設けられかつ前記柱カバー3が取り付けられる取付面13を有する一対の側板部9cとを含む。同様に、下側取付片10も、支柱2の第2の外面4bに固着される板状の主板部10bと、該主板部10bの水平方向の両端部に設けられかつ前記柱カバー3が取り付けられる取付面14を有する一対の側板部10cとを含む。
【0026】
図2及び図3に示されるように、前記各主板部9b、10bは、単一の平面をのびる平板状をなし、いずれも支柱2の外面4a又は4bに沿って固着される。また、各主板部9b、10bは、支柱2の外面4a又は4bに固着されたときに、該支柱2の外面から水平方向両側にはみ出してのびるよう、その水平方向の長さW1が支柱2の第1の外面4a及び第2の外面4bの幅W3よりも大きく設定されている。一方、前記主板部9b、10bの長さW1は、柱カバー3の内法寸法W4よりも小さく設定されている。なお、各主板部9b、10bの垂直方向の長さH1は、材料の強度等を勘案して適宜定められる。
【0027】
また、上側取付片9の主板部9bには、前記上向きスリット9aが形成される。上向きスリット9aは、主板部9bの下縁9xから上縁9yに向かって垂直にかつ該主板部9bの垂直方向の長さH1の半分の長さを有する。同様に、下側取付片10の主板部10bには、前記下向きスリット10aが形成される。下側スリット10aは、主板部10bの上縁10yから下縁10xに向かって垂直にかつ該主板部10bの垂直方向の長さH1の半分の長さを有する。従って、本実施形態では、上側取付片9と下側取付片10とをスリット9a、10aを介して遊嵌交差させたときに、その垂直方向の寸法を最小にできる。なお、前記上向きスリット9a及び下向きスリット10aは、本実施形態では、前記主板部9b及び主板部10bの前記長さW1の中間位置に各1本設けられる。
【0028】
さらに、図2又は図3に示されるように、上側取付片9の主板部9b及び下側取付片10の主板部10bには、前記支柱2に固着するためのボルトB1が通る透孔rが形成されている。なお、支柱2の外面4a、4bにも、透孔rに対応する孔が高さ方向に所定のピッチで形成されている(図示省略)。
【0029】
図3乃至4に示されるように、本実施形態の各側板部9c及び10cは、それぞれ主板部9b、10bの両端部で、該主板部9b、10bに対して実質的に90゜の角度で折り曲げられた折曲片15、16からなる。このような側板部9c、10cの水平方向の長さW2は柱カバー3のコーナ片3aを取り付けるために、例えば10〜30mm程度で適宜定められるのが望ましい。なお 前記各折曲片15及び16は、各々の主板部9b、10bに対してそれぞれ同一方向に折り曲げられている。このような上側取付片9及び下側取付片10は、それぞれ1枚の板状片にスリットを形成するとともに、その両端部を曲げ加工することにより、簡単に製造でき、低コスト化を図ることができる。
【0030】
なお、上側取付片9及び前記下側取付片10は、同一形状で形成されるのが望ましい。この場合、下側取付片10には、前記上側取付片9の上下を逆にして使用することができる。これにより取付片9、10が、1種類となり、部品点数を削減して生産コストが低減される。
【0031】
次に、柱カバー3を支柱2に取り付ける工程の一例について述べる。
図4に示されるように、上側取付片9と下側取付片10とは、互いのスリット9a、10aを挿入して略十字状に遊嵌交差させ、取付金物1の組立体を得る。そして、この組立体の一つの入隅部nが、前記支柱2のコーナ部5aに当接されて固着される。即ち、図5に示されるように、上側取付片9及び下側取付片10は、支柱2の第1の外面4a及び第2の外面4bにそれぞれ沿わされ、透孔rにボルトB1、B1を通して支柱2に固着される。
【0032】
支柱2のコーナ部5aに取り付けられた取付金物1は、該コーナ部5aが直角をなすため、上側取付片9と下側取付片10とは、このコーナ部5aに沿って遊嵌状態から直角に交差するように位置固定される。なお、取付金物1は、支柱2の高さ方向に所定のピッチで隔設されるのが良い。
【0033】
次に、図5に示されるように、本実施形態では、各取付片9、10の側板部9c、10cの取付面13、14に、柱カバー3のコーナ片3aを取り付けるための木質の下地材18がタッピングビスB2等により取り付けられる。該下地材18は、短冊状の薄板材からなり、取付面13、14と柱カバー3の内周面との隙間に合わせて(図2に示す)、1乃至複数枚(本実施形態では3枚)で使用される。このような下地材18は、石膏ボードや窯業の材料からなる柱カバー3と取付面13、14との隙間を埋め、安定して柱カバー3を取付けるのに好適である。
【0034】
なお、取付面13、14に対する下地材18の水平方向の位置を容易に位置決めうるように、本実施形態の取付面13、14には、垂直方向にのびる基準線17が肉眼で確認可能に設けられる一方、下地材18には、この基準線17に合わせるべき位置に、該基準線17を透視可能な小孔からなる覗き孔18aが所定のピッチで設けられている。従って、取付面13、14に下地材18を取り付ける際、下地材18は、その覗き孔18aから基準線17が見える位置に合わされることで正しく位置決めされ、取付面13、14に固着される。この際、覗き孔18aをタッピングビスB2の下孔として用いることができる。これにより、下地材18が取付面13、14に対して水平方向に位置ずれするのを防ぎ、ひいては後述の柱カバー3の取付を安定して行うのに役立つ。
【0035】
また、図2に示されるように、本実施形態では、柱カバー3は、その中心が、支柱2のコーナ部5aよりも支柱2側(支柱2の内部側)に位置ずれして配される。このため、各取付片9、10は、柱カバー3の中心線C1、C2から偏芯するとともに、各取付片9、10の側板部9c、10cは、それぞれ主板部9b、10bから前記中心線C1、C2側(支柱2側)へと折り曲げられている。従って、各側板部9c、10cの取付面13、14は、柱カバー3の中心線C1、C2と交差してのびる支持面を形成する。このような取付面13、14は、前記中心線C1、C2の交差してのびる下地材18を安定して保持できる。従って、前記基準線17は、前記中心線C1又はC2の位置に設けられるとともに、下地材18の幅の中心に覗き孔18aを設けることにより、下地材18を、前記中心線C1又はC2に対してよりバランス良く線対称に配置することができる。
【0036】
次に、図2に示されるように、柱カバー3のコーナ片3aが、ビスB3等で前記下地材18に固着される。この実施形態では、コーナ片3aの両端部3a1、3a1がそれぞれ下地材18に固着されている。隣り合うコーナ片3a、3a間には小隙間が形成されるが、この小隙間にはコーキング材20が配されて水密される。
【0037】
以上説明したように、本発明の取付金物1は、施工現場で上側及び下側取付片9、10のスリット9a、10aを互いに挿入して略十字状に遊嵌交差させて支柱2に固着される。そして、取付金物1は、支柱2へ固着されることにより、上側取付片9と下側取付片10とは、ガタを無くして直角に仕上げられる。従って、本発明の取付金物1は、従来のように、一対の取付片を予め工場等で溶接固着する必要が無く生産性に優れる。
【0038】
また、このような取付金物1は、工場から施工現場までは、例えば図6に示されるように、各取付片9、10を重ね合わせて小さな荷姿で搬送できるため、可搬性に優れる。
【0039】
さらに、本発明の取付金物1では、従来と同様、支柱2の周囲に4つの柱カバー3の取付面13、14を設けることができるため、この取付面13、14を利用して支柱2に柱カバー3を安定して取り付け得るとともに、複雑な工程や作業を必要としない。
【0040】
図7(a)及び(b)には、本発明の取付金物1の他の実施形態の断面図が示される。
この実施形態では、前記上側取付片9は、その主板部9bの上縁9yで前記折曲片15とは逆向きに折れ曲がる矩形の上部フィン9eを具える。また、下側取付片10は、その主板部10bの下縁10xで前記折曲片16とは逆向きに折れ曲がる矩形の下部フィン10eを具える。
【0041】
このような上部及び下部フィン9e、10eを具えた上側取付片9及び下側取付片10は、各取付片9、10の曲げ剛性を高め耐久性に優れる。これは、搬送中の取付片9、10の変形等を効果的に防止しうる。また、図8に示されるように、上部及び下部フィン9e、10eを設けた取付金物1は、支柱2のコーナ部5aを当接可能な主板部9b、10bがなす入隅部が1カ所しか存在しない。従って、このような取付金物1は、支柱2への取付位置が一義的に決定されるので、取付ける向きのミスなどを防止し、施工性を向上できる。
【0042】
また、図9には、さらに本発明の他の実施形態が示される。
この実施形態では、上側取付片9の上向きスリット9a及び前記下側取付片10の下向きスリット10aは、それぞれ複数本(本実施形態では、各々2本)形成されている。この実施形態によれば、上向きスリット9a1、9a2及び下向きスリット10a1、10a2の挿入位置を変えるだけで、容易に上側取付片9と下側取付片10とがなす十字状の形状を変えることができる。具体的には、支柱2のコーナ部5aに当接させる入隅部nから側板部9c、10cの取付面13、14までの距離を変えることができる。従って、このような取付金物1では、図10に示されるように、支柱2に対する柱カバー3の位置を変えることができる。従って、このような取付金物1は、同一の支柱2に対して柱カバー3の配設位置を変えてプランニングに幅を持たせることができる他、支柱2の断面形状が異なる場合でも、柱カバー3を同一位置に形成することができ、汎用性が向上する。
【0043】
なお、このように複数本の上向きスリット9a及び下向きスリット10aが形成された上側取付片9及び下側取付片10の取付面13、14には、その複数本のスリットの位置に対応した前記基準線17(本実施形態では17a及び17b)がスリットの数と同じ本数だけ形成されるのが望ましい。
【0044】
なお、図10に示されるように、支柱2が、閉断面の角筒状の場合、取付金物1は、ボルトB1及びナットを用いることができないため、ビスB5により固着される。なお、図3に示されるように、前記主板部9b、10bには、容易に支柱2の外面4と固着できるように、予めビス穴19も形成されているのが望ましい。
【0045】
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施し得る。
【符号の説明】
【0046】
1 柱カバーの取付金物
2 支柱
3 柱カバー
4 外面
4a 第1の外面
4b 第2の外面
5 コーナ部
9 上側取付片
9a 上向きスリット
9b、10b 主板部
9c、10c 側板部
10 下側取付片
10a 下向きスリット
13、14 側板部の取付面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直方向にのびる第1の外面と第2の外面とが直交する少なくとも一つのコーナ部を有する支柱に、該支柱から離間するとともに該支柱を囲む筒状の柱カバーを取り付けるための取付金物であって、
前記取付金物は、下から上に向かって垂直にのびる上向きスリットを具えた上側取付片と、
上から下に向かって垂直にのびる下向きスリットを具えかつこの下向きスリットを前記上向きスリットに挿入させることにより前記上側取付片と略十字状に遊嵌交差する下側取付片とを含み、
前記略十字状の上側取付片と下側取付片とが構成する一つの入隅部を前記支柱のコーナ部に当接させて上側取付片及び下側取付片が前記支柱の第1の外面及び第2の外面に固着されるとともに、
前記上側取付片及び下側取付片は、前記支柱の外面に固着されることにより該外面に沿って水平方向両側にはみ出してのびる板状の主板部と、
該主板部の水平方向の両端部に設けられかつ前記柱カバーが取り付けられる取付面を有する一対の側板部とを含むことを特徴とする柱カバーの取付金物。
【請求項2】
前記上側取付片及び前記下側取付片は、同一形状であり、下側取付片は、上側取付片とは上下を逆にして使用される請求項1記載の柱カバーの取付金物。
【請求項3】
前記上側取付片の一対の側板部及び下側取付片の一対の側板部は、前記主板部から90゜の角度で折り曲げられた折曲片からなる請求項1又は2記載の柱カバーの取付金物。
【請求項4】
前記上側取付片の前記折曲片及び前記下側取付片の前記折曲片は、各々の主板部に対して同一方向に折り曲げられている請求項3記載の柱カバーの取付金物。
【請求項5】
前記上側取付片は、その主板部の上縁で前記折曲片とは逆向きに折れ曲がる上部フィンを具え、かつ
前記下側取付片は、その主板部の下縁で前記折曲片とは逆向きに折れ曲がる下部フィンを具える請求項4記載の柱カバーの取付金物。
【請求項6】
前記上側取付片の主板部及び前記下側取付片の主板部には、前記支柱に固着するためのボルトが通る透孔が形成されている請求項1乃至5のいずれかに記載の柱カバーの取付金物。
【請求項7】
前記上側取付片の上向きスリット及び前記下側取付片の下向きスリットは、それぞれ複数本形成されている請求項1乃至6のいずれかに記載の柱カバーの取付金物。
【請求項1】
垂直方向にのびる第1の外面と第2の外面とが直交する少なくとも一つのコーナ部を有する支柱に、該支柱から離間するとともに該支柱を囲む筒状の柱カバーを取り付けるための取付金物であって、
前記取付金物は、下から上に向かって垂直にのびる上向きスリットを具えた上側取付片と、
上から下に向かって垂直にのびる下向きスリットを具えかつこの下向きスリットを前記上向きスリットに挿入させることにより前記上側取付片と略十字状に遊嵌交差する下側取付片とを含み、
前記略十字状の上側取付片と下側取付片とが構成する一つの入隅部を前記支柱のコーナ部に当接させて上側取付片及び下側取付片が前記支柱の第1の外面及び第2の外面に固着されるとともに、
前記上側取付片及び下側取付片は、前記支柱の外面に固着されることにより該外面に沿って水平方向両側にはみ出してのびる板状の主板部と、
該主板部の水平方向の両端部に設けられかつ前記柱カバーが取り付けられる取付面を有する一対の側板部とを含むことを特徴とする柱カバーの取付金物。
【請求項2】
前記上側取付片及び前記下側取付片は、同一形状であり、下側取付片は、上側取付片とは上下を逆にして使用される請求項1記載の柱カバーの取付金物。
【請求項3】
前記上側取付片の一対の側板部及び下側取付片の一対の側板部は、前記主板部から90゜の角度で折り曲げられた折曲片からなる請求項1又は2記載の柱カバーの取付金物。
【請求項4】
前記上側取付片の前記折曲片及び前記下側取付片の前記折曲片は、各々の主板部に対して同一方向に折り曲げられている請求項3記載の柱カバーの取付金物。
【請求項5】
前記上側取付片は、その主板部の上縁で前記折曲片とは逆向きに折れ曲がる上部フィンを具え、かつ
前記下側取付片は、その主板部の下縁で前記折曲片とは逆向きに折れ曲がる下部フィンを具える請求項4記載の柱カバーの取付金物。
【請求項6】
前記上側取付片の主板部及び前記下側取付片の主板部には、前記支柱に固着するためのボルトが通る透孔が形成されている請求項1乃至5のいずれかに記載の柱カバーの取付金物。
【請求項7】
前記上側取付片の上向きスリット及び前記下側取付片の下向きスリットは、それぞれ複数本形成されている請求項1乃至6のいずれかに記載の柱カバーの取付金物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−208454(P2011−208454A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−78543(P2010−78543)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000004673)パナホーム株式会社 (319)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000004673)パナホーム株式会社 (319)
【Fターム(参考)】
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