説明

校正装置

【課題】粒度分布を測定する光学測定装置を、精度よく校正することのできる校正装置を提供する。
【解決手段】校正装置は、両表面の少なくとも一方に反射防止膜が設けられた複数の透明基材と、透明基材とは異なる屈折率及び被測定体と略一致する透過率を有し、各透明基材の両表面の少なくとも一方に固定された標準粒子と、透明基材と交互に積層され、各透明基材の両表面を光軸に対して略垂直に保つスペーサを備えている。そして、積層された透明基材において、入射側と出射側の両端部間距離が被測定体の光路長と略一致され、標準粒子が固定された透明基材の一表面と同一位置に対応する被測定体の断面とで、粒径分布、単位面積当たりの個数、及び平均粒子間隔が略一致されている。さらに、積層方向において、隣接する標準粒子がそれぞれ固定された透明基材の表面間距離が、被測定体における対応する位置での平均粒子間隔と略一致されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3次元配置された被測定体の粒度分布を測定する光学測定装置を校正するための校正装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、燃料微粒子や粉体、液体中の気泡などの粒子の集合体である被測定体の粒度分布を測定する装置として、影写真・散乱光撮影などの画像計測、レーザ回折・散乱法を用いた光学測定装置が知られている。そして、例えば特許文献1や非特許文献1,2には、上記光学測定装置において、2値化レベルなどの校正に適用される校正装置(校正サンプル)が示されている。
【0003】
特許文献1に示される校正装置は、ガラス基板(透明基材)の一面上に標準サンプル(標準粒子)を配置し、その後、溶融したガラスを流し込むことにより、標準サンプルがガラスに埋設されたものとなっている。
【0004】
また、非特許文献1に示される校正装置は、ガラス基板(透明基材)上に、クロム薄膜からなる不透明な円盤(標準粒子)を重ならないように敷き詰めたものとなっている。
【0005】
また、非特許文献2に示される校正装置は、所定の粒子径分布を有する球形の検定用粒子(標準粒子)を、液中で攪拌などによって分散させたものとなっている。
【特許文献1】特開2001−165846号公報
【非特許文献1】山川、他4名、「パルスレーザーホログラフィー法による噴霧粒径の三次元計測システムの開発」、微粒化シンポジウム、1999、第23巻、第8号、p.19−26
【非特許文献2】森、「レーザ回折・散乱法粒子径分布測定装置による検定用粒子のラウンドロビン試験結果」、粉体と工業、2006、第38巻、第6号、p.35−41
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、このような校正装置では、標準粒子の分散状態を被測定体に近い状態とするほど、校正の精度を高めることができる。
【0007】
しかしながら、特許文献1及び非特許文献1に示される校正装置は、透明基材上に標準粒子が配置された所謂2次元構造となっており、測定光の光軸方向において、粒子により何度も測定光が散乱される多重散乱の影響が考慮されていない。したがって、これら校正装置を、燃料微粒子や粉体、液体中の気泡などの粒子が3次元的に配置されてなる被測定体(3次元配置された被測定体)の粒度分布を測定する光学測定装置の校正に適用したとしても、精度よく校正することができない。
【0008】
また、特許文献1に示される校正装置の場合、溶融したガラスを流し込むので、ガラス基板上に配置された標準サンプルに位置ズレが生じ、基板上における標準サンプルの配置が偏る(例えば所定の平均粒子間隔を確保することができない)。したがって、2次元的に見ても、粒子の分散状態を被測定体と近い所定状態とすることが困難である。
【0009】
さらには、非特許文献2に示される校正装置の場合、液中において標準粒子の位置が経時的に(時々刻々と)変化するため、測定点(カメラ撮影による画像計測の場合は焦点位置)での標準粒子の分散状態が、被測定体に近い状態となっているか否かが不明確である。特に、測定光の光軸方向において、異なる位置(断面)での分散状態が互いに異なる場合には、精度よく校正することができない。
【0010】
本発明は上記問題点に鑑み、3次元配置された被測定体の粒度分布を測定する光学測定装置を、精度よく校正することのできる校正装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成する為に、請求項1に記載の発明は、3次元配置された被測定体の粒度分布を測定する光学測定装置を校正するための校正装置であって、光学測定装置の測定光に対して透明で、測定光が透過される両表面の少なくとも一方に反射防止膜が設けられた複数の透明基材と、透明基材とは異なる屈折率及び被測定体と略一致する透過率を有しており、各透明基材の両表面の少なくとも一方に対し、直接若しくは反射防止膜を介して固定された標準粒子と、透明基材と交互に測定光の光軸方向に積層され、測定光が透過される各透明基材の表面を互いに略平行に保つ(換言すれば、測定光が透過される各透明基材の両表面を光軸に対して略垂直に保つスペーサと、を備えている。そして、スペーサを介して積層された複数の透明基材において、測定光の入射側端部と出射側端部との間の距離が、被測定体における測定光の光路長と略一致され、透明基材の同一表面に固定された標準粒子の、粒径分布、単位面積当たりの個数、及び平均粒子間隔が、被測定体の同一位置に対応する断面での、粒径分布、単位面積当たりの個数、及び平均粒子間隔と略一致され、積層方向において、互いに隣接する標準粒子がそれぞれ固定された透明基材の表面間の距離が、被測定体における対応する位置での平均粒子間隔と略一致するように、反射防止膜を含む透明基材の厚さとスペーサの厚さがそれぞれ設定されていることを特徴とする。
【0012】
本発明では、透明基材の表面に標準粒子が固定され、標準粒子を有する透明基材が測定光の光軸に沿って多層に積層されて校正装置が構成されており、その積層方向において、透明基材の入射側端部と出射側端部との間の距離が、被測定体における測定光の光路長と略一致されている。
【0013】
また、透明基材の表面に固定された標準粒子は、同一表面での、粒径分布、単位面積当たりの個数、及び平均粒子間隔が、測定光の入射部位からの距離が互いに略等しい位置関係にある被測定体の断面での、粒径分布、単位面積当たりの個数、及び平均粒子間隔と略一致されている。すなわち、透明基材の積層方向(測定光の光軸方向)において、いずれの透明基材の表面に固定された標準粒子も、光学的な位置が略等しい関係にある被測定体の断面での(カメラ撮影の場合、被測定体における焦点位置が等しい位置での)粒子の分散状態とほぼ等しくなっている。なお、標準粒子が固定された各層の透明基材としては、光学的な位置が略等しい関係にある被測定体の断面での粒子の分散状態のデータ(粒径分布、単位面積当たりの個数、及び平均粒子間隔)を元に、既知の径の標準粒子を、エアブラシなどによる噴霧や公知の乾式分散ユニットを用いて透明基材の表面上に配置しつつ固定し、その後、顕微鏡などで光学的に計測することで、被測定体の対応する断面と分散状態の略一致が確認されたものを用いている。
【0014】
また、積層方向において、互いに隣接する標準粒子がそれぞれ固定された透明基材の表面間の距離が、被測定体における対応する位置での平均粒子間隔と略一致するように、反射防止膜を含む透明基材の厚さとスペーサの厚さがそれぞれ設定されている。すなわち、標準粒子は、積層方向においても光学的な位置が略等しい関係にある被測定体の部位での平均粒子間隔と略一致されている。
【0015】
このように本発明では、粒子が3次元配置された被測定体における粒子の分散状態により近い状態で、標準粒子が3次元配置されている。したがって、上記した校正装置を用いれば、被測定体での多重散乱を再現することができ、これにより、3次元配置された被測定体の粒度分布を測定する光学測定装置を、精度よく校正することができる。
【0016】
また、本発明では、透明基材における両表面の少なくとも一方に反射防止膜(所謂ARコート)を設けており、これにより、反射防止膜が設けられた透明基材表面での反射が抑制される。したがって、透明基材を多層に積層した構成でありながら、透過光量を確保することができる。好ましくは、透明基材の両表面に反射防止膜が設けられた構成とすると良い。なお、反射防止膜を設けることで、繰り返し反射によるゴーストやフレアを抑制(像のコントラストの低下を抑制)し、校正の精度をより高めることもできる。
【0017】
請求項1に記載の発明においては、請求項2に記載のように、標準粒子が樹脂からなり、その表面の溶着により透明基材に対して固定された構成としても良い。このように樹脂製の標準粒子を用いると、標準粒子の表面のみが溶融(軟化)するように加熱することで、別途接着剤等を必要とせずに、粒子形状を確保しつつ標準粒子を透明基材に対して固定(溶着)させることができるので光学的に好ましい。
【0018】
請求項1又は請求項2に記載の発明においては、請求項3に記載のように、標準粒子が各透明基材の両表面に対してそれぞれ固定され、反射防止膜を含む透明基材の厚さとスペーサの厚さが、被測定体における対応する位置での平均粒子間隔と略一致された構成とすると良い。
【0019】
これによれば、透明基材の両表面に標準粒子が固定されているので、平均粒子間隔が同じであれば、一方の表面のみに標準粒子が固定される構造に比べて、透明基材やスペーサの厚さを厚くすることができる。特に透明基材は、その厚さが薄くなるほど機械的加工の特性により平面度が低下するため、像に歪が生じやすくなるが、上記によれば、このような歪を生じにくくすることができる。
【0020】
次に、請求項4に記載の発明は、3次元配置された被測定体の粒度分布を測定する光学測定装置を校正するための校正装置であって、光学測定装置の測定光に対して透明で、屈折率n1を有する平板状の複数の透明基材と、屈折率n1とは異なる屈折率n2と、被測定体と略一致する透過率とを有し、測定光が透過される各透明基材の両表面の少なくとも一方に対して固定された標準粒子と、透明基材と交互に測定光の光軸方向に積層され、測定光が透過される各透明基材の表面を互いに略平行に保つ(換言すれば、測定光が透過される各透明基材の両表面を光軸に対して略垂直に保つスペーサと、スペーサを介して隣接する透明基材の相対する表面間の領域に充填され、測定光に対して透明で、屈折率n1と略一致する屈折率n3を有する充填材と、を備えている。そして、スペーサを介して積層された複数の透明基材において、測定光の入射側端部と出射側端部との間の距離が、被測定体における測定光の光路長と略一致され、透明基材の同一表面に固定された標準粒子の、粒径分布、単位面積当たりの個数、及び平均粒子間隔が、被測定体の同一位置に対応する断面での、粒径分布、単位面積当たりの個数、及び平均粒子間隔と略一致され、積層方向において、互いに隣接する標準粒子がそれぞれ固定された透明基材の表面間の距離が、被測定体における対応する位置での平均粒子間隔と略一致するように、透明基材の厚さとスペーサの厚さがそれぞれ設定されていることを特徴とする。
【0021】
このように本発明でも、請求項1に記載の発明と同様に、3次元配置された被測定体における粒子の分散状態により近い状態で、標準粒子が3次元配置されている。したがって、上記した校正装置を用いれば、被測定体での多重散乱を再現することができ、これにより、3次元配置された被測定体の粒度分布を測定する光学測定装置を、精度よく校正することができる。
【0022】
また、本発明では、透明基材の屈折率n1と充填材の屈折率n3が略一致され、これにより、屈折率分布の殆どない一様な透明部材内に、標準粒子が3次元配置された構成となっている。したがって、校正装置が、空気中に噴射された燃料微粒子や液中の気泡など、媒体(雰囲気)中の被測定体の状態により近い状態となっており、これにより、校正の精度をより高めることができる。また、透明基材の表面のうち、隣接する透明基材と相対する表面での反射が殆ど生じないので、これにより透過光量を確保することができる。さらには、繰り返し反射による像のコントラストの低下を抑制し、校正の精度をより高めることもできる。
【0023】
また、透明基材の表面に反射防止膜を設けることで反射を抑制する場合、反射防止膜も透明基材の平面度の影響を受けるため、透明基材の厚さを薄くするほど、像に歪が生じやすくなる。これに対し、本発明では、隣接する透明基材の相対する表面間に充填材を充填するので、このような歪を低減することができる。
【0024】
次に、請求項5に記載の発明は、3次元配置された被測定体の粒度分布を測定する光学測定装置を校正するための校正装置であって、光学測定装置の測定光に対して透明で、屈折率n1を有する平板状の複数の透明基材と、屈折率n1よりも大きい屈折率n2と、前記被測定体と略一致する透過率とを有し、測定光が透過される各透明基材の両表面の少なくとも一方に対して固定された標準粒子と、透明基材と交互に測定光の光軸方向に積層され、測定光が透過される各透明基材の表面を互いに略平行に保つ(換言すれば、測定光が透過される各透明基材の両表面を光軸に対して略垂直に保つスペーサと、スペーサを介して互いに隣接する透明基材の相対する表面間の領域に充填され、光学測定装置の測定光に対して透明で、屈折率n1よりも小さく屈折率1よりも大きい屈折率n3を有する充填材と、を備えている。そして、スペーサを介して積層された複数の透明部材において、測定光の入射側端部と出射側端部との間の距離が、被測定体における測定光の光路長と略一致され、透明基材の同一表面に固定された標準粒子の、粒径分布、単位面積当たりの個数、及び平均粒子間隔が、被測定体の同一位置に対応する断面での、粒径分布、単位面積当たりの個数、及び平均粒子間隔と略一致され、積層方向において、互いに隣接する標準粒子がそれぞれ固定された透明基材の表面間の距離が、被測定体における対応する位置での平均粒子間隔と略一致するように、透明基材の厚さと前記スペーサの厚さがそれぞれ設定されていることを特徴とする。
【0025】
このように本発明でも、請求項1に記載の発明と同様に、3次元配置された被測定体における粒子の分散状態により近い状態で、標準粒子が3次元配置されている。したがって、上記した校正装置を用いれば、被測定体での多重散乱を再現することができ、これにより、3次元配置された被測定体の粒度分布を測定する光学測定装置を、精度よく校正することができる。
【0026】
また、本発明では、標準粒子の屈折率n2のほうが、透明基材の屈折率n1よりも大きく、例えば空気中に噴射された燃料微粒子を影写真撮影した場合のように、粒子が影として写る被測定体用の校正装置となっている。そして、このような校正装置において、隣接する透明基材の相対する表面間の領域に、測定光に対して透明で、屈折率n1よりも小さく屈折率1よりも大きい屈折率n3を有する充填材が充填されている。したがって、透明基材の表面に空気(屈折率1)が隣接する構成よりも、隣接する2つの媒質の屈折率の差が小さいので、透明基材の表面における反射を低減し、透明基材を多層に積層した構成でありながら、透過光量を確保することができる。また、繰り返し反射による像のコントラストの低下を抑制し、校正の精度をより高めることもできる。さらには、屈折率n3が屈折率n1よりも小さいので、屈折率n1と屈折率n2とが近い値であっても、像のコントラストの低下を抑制することができる。
【0027】
また、透明基材の表面に反射防止膜を設ける場合、反射防止膜が透明基材の平面度の影響を受けるため、透明基材の厚さを薄くするほど、像に歪が生じやすくなる。これに対し、本発明では、隣接する透明基材の相対する表面間に充填材を充填するので、このような歪を低減することができる。
【0028】
次に、請求項6に記載の発明は、3次元配置された被測定体の粒度分布を測定する光学測定装置を校正するための校正装置であって、光学測定装置の測定光に対して透明で、屈折率n1を有する平板状の複数の透明基材と、屈折率n1よりも小さい屈折率n2と、被測定体と略一致する透過率とを有し、測定光が透過される各透明基材の両表面の少なくとも一方に対して固定された標準粒子と、透明基材と交互に測定光の光軸方向に積層され、測定光が透過される各透明基材の表面を互いに略平行に保つ(換言すれば、測定光が透過される各透明基材の両表面を光軸に対して略垂直に保つスペーサと、スペーサを介して隣接する透明基材の相対する表面間の領域に充填され、光学測定装置の測定光に対して透明で、屈折率n1よりも大きく、屈折率n1との差が屈折率n1と屈折率1との差よりも小さい屈折率n3を有する充填材と、を備えている。そして、スペーサを介して積層された複数の透明部材において、測定光の入射側端部と出射側端部との間の距離が、被測定体における測定光の光路長と略一致され、透明基材の同一表面に固定された標準粒子の、粒径分布、単位面積当たりの個数、及び平均粒子間隔が、被測定体の同一位置に対応する断面での、粒径分布、単位面積当たりの個数、及び平均粒子間隔と略一致され、積層方向において、互いに隣接する標準粒子がそれぞれ固定された透明基材の表面間の距離が、被測定体における対応する位置での平均粒子間隔と略一致するように、透明基材の厚さとスペーサの厚さがそれぞれ設定されていることを特徴とする。
【0029】
このように本発明でも、請求項1に記載の発明と同様に、3次元配置された被測定体における粒子の分散状態により近い状態で、標準粒子が3次元配置されている。したがって、上記した校正装置を用いれば、被測定体での多重散乱を再現することができ、これにより、3次元配置された被測定体の粒度分布を測定する光学測定装置を、精度よく校正することができる。
【0030】
また、本発明では、標準粒子の屈折率n2のほうが、透明基材の屈折率n1よりも小さく、例えば液中の気泡などを影写真撮影した場合のように、粒子が明るく写る被測定体用の校正装置となっている。そして、このような校正装置において、隣接する透明基材の相対する表面間の領域に、測定光に対して透明で、屈折率n1よりも大きく、屈折率n1との差が屈折率n1と屈折率1との差よりも小さい屈折率n3を有する充填材が充填されている。したがって、透明基材の表面に空気(屈折率1)が隣接する構成よりも、隣接する2つの媒質の屈折率の差が小さいので、透明基材の表面における反射を低減し、透明基材を多層に積層した構成でありながら、透過光量を確保することができる。また、繰り返し反射による像のコントラストの低下を抑制し、校正の精度をより高めることもできる。さらには、屈折率n3が屈折率n1よりも大きいので、屈折率n1と屈折率n2とが近い値であっても、像のコントラストの低下を抑制することができる。
【0031】
また、透明基材の表面に反射防止膜を設ける場合、反射防止膜が透明基材の平面度の影響を受けるため、透明基材の厚さを薄くするほど、像に歪が生じやすくなる。これに対し、本発明では、隣接する透明基材の相対する表面間に充填材を充填するので、このような歪を低減することができる。
【0032】
請求項4〜6いずれかに記載の発明においては、例えば請求項7に記載のように、標準粒子が樹脂からなり、その表面の溶着により透明基材に対して固定された構成としても良い。本発明の作用効果は、請求項2に記載の発明の作用効果と同じであるので、その記載を省略する。
【0033】
また、請求項4〜6いずれかに記載の発明においては、例えば請求項8に記載のように、屈折率n1と略一致する屈折率n4を有し、透明基材の両表面の少なくとも一方に設けられた紫外線硬化樹脂からなる接着層をさらに備え、標準粒子が各透明基材における接着層に接着固定された構成としても良い。
【0034】
これによれば、接着層の屈折率が透明基材と略一致されているので、接着層によって標準粒子を透明基材に固定する構成でありながら、接着層での光学的なロスを低減することができる。特に請求項4に記載の構成においては、透明基材、接着層、充填材の屈折率が略一致され、これにより、屈折率分布の殆どない一様な透明部材内に、標準粒子が3次元配置された構成となる。
【0035】
また、請求項4〜8いずれかに記載の発明においては、請求項9に記載のように、標準粒子が各透明基材の両表面に対してそれぞれ固定され、透明基材の厚さとスペーサの厚さが、被測定体における対応する位置での平均粒子間隔と略一致された構成としても良い。本発明の作用効果は、請求項3に記載の発明の作用効果と同じであるので、その記載を省略する。
【0036】
なお、請求項1〜9いずれかに記載の発明では、請求項10に記載のように、複数の透明基材が、スペーサを介して互いに積層された状態で、積層方向における両端側から保持部材によって挟持され、一体化された構成を採用すると良い。これによれば、保持部材による挟持により、複数の透明基材が一体化されているので、一部の透明基材の差し替えなどを容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1は、被測定体の光学測定装置による粒度分布測定の概略構成を示す図である。図2は、第1実施形態に係る校正装置の概略構成を示す断面図である。図3は、図2に示すIII−III線に沿う断面図である。図4は、図2に示す校正装置のうち、主たる特徴部分である積層ユニットの概略構成を示す断面図である。
【0038】
本実施形態に示す校正装置は、燃料微粒子や粉体、液体中の気泡などの粒子が3次元配置された被測定体の粒度分布を測定する影写真・散乱光撮影などの画像計測、レーザ回折・散乱法を用いた光学測定装置の校正に適用することができる。影写真による画像計測に適用した一例として、本実施形態に示す校正装置は、図1に示すように、インジェクター101から噴射された燃料微粒子100a(以下、単に粒子100aと示す)の集合体である被測定体100としての噴霧の所定位置に、図示しない光源から所定の測定光102(以下、単に測定光と示す)を照射し、測定光102が照射された被測定体100の所定エリア(撮像エリア)を測定光102と同軸上に設置したCCDカメラなどの撮像装置103にて撮像して、得られた画像データに基づき粒度分布を算出する光学測定装置を校正するための装置となっている。なお、図1に示すように、被測定体100における測定光102の照射部位の長さ(光路長)は長さLとなっている。すなわち、被測定体100における幅Lの部分に、測定光102が照射されるようになっている。
【0039】
図2に示すように、校正装置10は、主たる特徴部分である積層ユニット20、積層ユニット20における測定光の入射側端部と出射側端部を保護する保護部材30、積層ユニット20及び保護部材30を積層状態で保持するホルダ40を有している。
【0040】
積層ユニット20は、校正装置10のうち、光学測定装置を校正すべく被測定体を模した部分である。具体的には、図4に示すように、要部として、複数枚の透明基材21、透明基材21の表面21aに設けられた反射防止膜22、透明基材21に固定された標準粒子23、標準粒子23の固定された透明基材21と交互に積層されるスペーサ24を有している。
【0041】
透明基材21は、測定光102に対して透明であり、測定光102が透過される表面21a上に標準粒子23を支持する平板状の部材である。そして、標準粒子23が固定された複数枚の透明基材21が、スペーサ24を介して測定光102の光軸方向に積層されている。本実施形態においては、透明基材21が、標準粒子23を構成する材料よりも融点温度が高く、屈折率の小さい材料(例えば屈折率1.524のクラウンガラス)を用いて形成されている。また、透明基材21の枚数は、スペーサ24の枚数とともに、光路長の長さLと平均粒子間隔により決定されている。
【0042】
反射防止膜22は、各透明基材21において、測定光102の透過面である入射側の表面21aと出射側の表面21aの少なくとも一方に設けられ、表面21aでの測定光の反射を相殺的干渉によって低減する単層又は多層の薄膜(所謂ARコート)である。本実施形態では、図4に示すように、各透明基材21において、入射側の表面21a全面と出射側の表面21a全面の両方に、反射防止膜22が設けられている。
【0043】
そして、反射防止膜22を含む透明基材21が複数枚積層されてなる積層ユニット20において、その積層方向(測定光102の光軸方向)における外面間(反射防止膜22を含む)の距離(測定光102の入射側端部20aと出射側端部20bとの間の距離)が、被測定体100における測定光102の光路長と長さLで略一致されている。また、積層方向において、両表面21aに設けられた反射防止膜22を含む各透明基材21の厚さが、被測定体100における対応する位置での平均粒子間隔と略一致する厚さとなっている。なお、対応する位置とは、測定光102の入射側端部(又は出射側端部)を基準とした位置である。すなわち、被測定体100において、測定光102の入射側端部からの距離がX付近での平均粒子間隔が100μm程度とすると、積層ユニット20において、入射側端部20aからの距離がX付近での透明基材21の厚さ(反射防止膜22を含む)も、100μm程度となっている。
【0044】
標準粒子23は、透明基材21とは異なる屈折率及び被測定体100(粒子100a)と略一致する透過率を有する球状や楕円(球)状などの既知の径のサンプル粒子(ビーズ)であり、各透明基材21の両表面21aの少なくとも一方に対し、直接若しくは反射防止膜22を介して固定されている。この標準粒子23が、被測定体100の粒子100aに相当する部分であり、透明基材21の同一表面21aに固定された標準粒子23は、その粒径分布、単位面積当たりの個数、及び平均粒子間隔が、被測定体100における対応する位置の断面での、粒径分布、単位面積当たりの個数、及び平均粒子間隔と略一致されている。すなわち、積層された複数の透明基材21のうち、標準粒子23が固定された表面21aのいずれにおいても、その粒径分布、単位面積当たりの個数、及び平均粒子間隔が、被測定体100の撮像エリアにおける光学的な位置が略等しい関係(焦点位置が等しい関係にある)にある断面での、粒径分布、単位面積当たりの個数、及び平均粒子間隔と略一致されている。したがって、被測定体100での粒子100aの分散状態によっては、積層方向において、測定光102の入射側端部からの距離によらず粒径分布、単位面積当たりの個数、及び平均粒子間隔が一定の場合もあるし、入射側端部からの距離によって粒径分布、単位面積当たりの個数、及び平均粒子間隔が異なる場合もある。
【0045】
本実施形態では、標準粒子23が、被測定体100における対応する位置の断面での、粒径分布、単位面積当たりの個数と略一致するように、径が既知の球状のサンプル粒子を複数種類混合して構成されている。また、標準粒子23として、透明基材21よりも融点が低く、屈折率の大きい樹脂製の材料(例えば屈折率が1.59の架橋ポリスチレン)からなる標準粒子を採用している。そして、透明基材21の表面21aにおける測定光102が照射される撮像エリア(中央部)に樹脂製の標準粒子23が配置され、標準粒子23の表面のみが溶融されて反射防止膜22に溶着されている。すなわち、標準粒子23は、反射防止膜22を介して透明基材21に固定されている。
【0046】
スペーサ24は、透明基材21と交互に測定光102の光軸方向に積層され、測定光102が透過される各等名基材21の両表面21aが測定光102の光軸に対して略垂直となるように、各透明基材21の表面21aを互いに略平行に保ち、且つ、隣接する透明基材21間を所定距離に保つべく、所定の厚さを有する平板状の部材である。このスペーサ24は、透明基材21の表面21aにおいて、測定光102が照射される撮像エリア(中央部)を取り囲む周辺部上に配置されている。本実施形態では、図3に示すように、各スペーサ24が撮像エリアを取り囲む環状とされ、積層方向において、各スペーサ24の厚さが、透明基材10の厚さ同様、被測定体100における対応する位置での平均粒子間隔と略一致する厚さとなっている。
【0047】
このように構成される積層ユニット20では、スペーサ24を介して互いに隣接する透明基材21の、相対する表面21a間(反射防止膜22間)の領域に、空気25が充填されている。これにより、積層ユニット20は、透明基材21(屈折率1.524)及び空気(屈折率1)の中、すなわち、屈折率の小さい媒体中に、それよりも屈折率の大きい標準粒子23(屈折率1.59)が3次元的に配置されたもの(標準粒子23が影として写る構成)となっている。そして、これにより、空気(屈折率1)中に燃料微粒子100a(屈折率1.3876のn−ヘプタン)が3次元配置された被測定体100(粒子100aが影として写る構成)を模した構成となっている。
【0048】
保護部材30は、測定光102に対して透明であり、積層ユニット20における測定光の入射側端部20a及び出射側端部20b上にそれぞれ積層されて、入射側端部20a及び出射側端部20b(積層方向において最外面となる表面21a)を保護する平板状の部材である。本実施形態では、透明基材21と同じ材料からなるガラス製の保護部材30が、スペーサ24を介して、積層ユニット20における測定光の入射側端部20a及び出射側端部20b上に積層されている。また、保護部材30の両表面(透過面)にも、反射防止膜22と同様の反射防止膜31が設けられている。
【0049】
ホルダ40は、反射防止膜22を介して表面21aに標準粒子23の固定された透明基材21を、スペーサ24と交互に複数枚積層した状態で狭持し、一体化された積層ユニット20として保持するものであり、特許請求の範囲に記載の保持部材に相当する。本実施形態では、積層ユニット20とともに保護部材30も挟持して、これらを一体的に保持するようにホルダ40が構成されている。
【0050】
具体的には、ホルダ40が、積層ユニット20の外周を取り囲む筒状の外周部41と、この外周部41と螺子締結などにより一体化された状態で、積層された積層ユニット20及び保護部材30を、積層方向の両端側から挟持する環状の入射側挟持部42及び出射側挟持部43と、を有している。筒状の外周部41は、その内周面が積層ユニット20の外周形状と略一致しており、その大きさが積層ユニット20の外周とほぼ同じか若干大きめ(図2に示す例では若干大きめ)となっている。また、環状の入射側挟持部42は、対応する保護部材30の端面及び入射側表面における周辺部に接しており、環状の出射側挟持部43は、対応する保護部材30の外周面及び出射側表面における周辺部に接している。そして、入射側挟持部42の内周面がホルダ40における入射側開口壁部44となり、出射側挟持部43の内周面がホルダ40における出射側開口壁部45となっている。すなわち、入射側開口壁部44によって囲まれた開口部を通じて測定光102が積層ユニット20に照射され、その透過光が、出射側開口壁部45によって囲まれた開口部を通じて外部に放射されるようになっている。
【0051】
次に、校正装置10の製造方法について説明する。先ず、図1に示したように、光学測定装置により、幅Lの部分での被測定体100の粒度分布測定を実施する。このとき、積層方向(測定光102の光軸方向)において、撮像装置103の焦点位置を変えながら複数点で撮像することにより、焦点の合った粒子100aから、入射側端部からの距離(焦点位置)ごとの粒子100aの分散状態(粒径分布、単位面積当たりの個数、及び平均粒子間隔)の2次元データをそれぞれ取得する。また、入射側端部からの距離に応じた積層方向における平均粒子間隔のデータを取得する。
【0052】
そして、得られた分散状態の2次元データをもとに、標準粒子23として採用する、球状や楕円(球)状などのサンプル粒子(ビーズ)の径(1種類又は複数種類の混合)や個数(混合比率)を決定する。また、積層方向において、異なる表面21aに固定された隣接する標準粒子23の平均粒子間隔が、被測定体100における対応する位置で得られた積層方向における平均粒子間隔のデータと略一致するように、入射側端部からの距離に応じて反射防止膜22を含む透明基材21の厚さ及びスペーサ24の厚さを決定する。
【0053】
次に、エアブラシなどによる噴霧や、公知の乾式分散ユニット(具体的には、MALVERN社製の乾式分散ユニット)を用い、透明基材21の表面21aの撮像エリアにおいて所定の分散状態(単位面積当たりの個数及び粒子間距離)となるように、標準粒子23を、反射防止膜22の設けられた透明基材21の表面21a上に配置する。例えばエアブラシの場合、吹き付け圧力に応じて、単位面積当たりの個数や平均粒子間距離を変化させることができる。
【0054】
また、本実施形態では、標準粒子23を透明基材21の表面21a(反射防止膜22)上に配置する際に、標準粒子23の表面のみが溶融(軟化)する程度まで加熱しながら標準粒子23を透明基材21上に配置する。したがって、標準粒子23が、透明基材21(反射防止膜22)上に配置されつつ溶着固定される。
【0055】
標準粒子23の固定後、標準粒子23の固定された各透明基材21を顕微鏡などで光学的に計測し、固定された表面21aにおける標準粒子23の分散状態(粒度分布、単位面積当たりの個数、平均粒子間隔)が、被測定体100の対応する断面での粒子100aの分散状態と略一致しているか否かを判別する。そして、分散状態が略一致するものを選択して、積層ユニット20を構成する所定位置の透明基材21とする。
【0056】
そして、選択された各透明基材21を、スペーサ24と交互に積層して積層ユニット20とするとともに、積層ユニット20における測定光102の入射側端部20a及び出射側端部20b上に、スペーサ24を介して保護部材30を積層する。そして、これら積層状態をホルダ40にて保持する。以上により、標準粒子23が固定された透明基材21を複数枚積層してなる校正装置10が形成される。
【0057】
次に、このような校正装置10による光学測定装置の校正方法について説明する。図5は、校正方法を説明するための模式図である。なお、図5においては、便宜上、校正装置のうちの積層ユニットのみを図示している。
【0058】
光学測定装置の光源から測定光102を校正装置10に照射した状態で、積層ユニット20における光照射側から例えばn番目の透明基材21に撮像装置103の焦点を合わせて画像を撮影する。撮影された画像には、焦点の合った標準粒子23と、焦点外のぼけた標準粒子23が撮影される。焦点の合った標準粒子23は、積層前に予め顕微鏡などで計測したn番目の透明基材21に固定された標準粒子23であるので、積層前にn番目の透明基材21を撮影した画像における標準粒子23と、積層後に撮影した画像内における焦点の合った標準粒子23とで、位置と粒子径が同じくなるように、例えば2値化レベルを校正する。このようにして、光学測定装置を校正することができる。なお、上記例では、透明基材21を焦点位置としたが、透明基材21における両表面21aの一方を焦点位置としても良い。
【0059】
次に、上記構成の校正装置10の効果について説明する。上記したように、本実施形態では、透明基材21の各表面21aに固定された標準粒子23の分散状態が、被測定体100における対応する位置の断面での、粒子100aの分散状態と略一致されている。そして、表面21aに標準粒子23が固定された透明基材21を、測定光102の光軸に沿って多層に積層することで、校正装置10(積層ユニット20)が構成されている。したがって、積層方向において、校正装置10を構成する複数枚の透明基材21の表面21aのいずれを撮像装置103の焦点位置としても、焦点位置とされた透明基材21の表面21aにおける標準粒子23の分散状態は、被測定体100における対応する位置の断面での、粒子100aの分散状態と略一致することとなる。
【0060】
また、積層方向において、積層ユニット20の入射側端部20aと出射側端部20bとの間の距離が、被測定体100における測定光102の光路長と長さLで略一致されている。そして、各透明基材21の両表面21aに標準粒子23が固定されており、積層方向において、反射防止膜22を含む透明基材21の厚さとスペーサ24の厚さが、被測定体100の対応する位置での平均粒子間隔と略一致されている。
【0061】
このように本実施形態においては、被測定体100における粒子100aの分散状態(3次元の分散状態)により近い状態で、標準粒子23が3次元配置されている。したがって、上記した校正装置10を用いれば、被測定体100での多重散乱を再現することができ、これにより、3次元配置された被測定体100の粒度分布を測定する光学測定装置を、精度よく校正することができる。
【0062】
また、本実施形態では、透明基材21の両表面21aに反射防止膜22が設けられている。したがって、透明基材21を多層に積層した構成でありながら、表面21aでの反射が抑制され、透過光量を確保することができる。なお、この反射防止膜22により、繰り返し反射によるゴーストやフレアを抑制(像のコントラストの低下を抑制)し、校正の精度をより高めることもできる。
【0063】
また、本実施形態では、標準粒子23が樹脂からなり、その表面の溶着により透明基材21に対して固定されている。このように、融点温度が透明基材21よりも低い樹脂製の標準粒子23を採用すると、別途接着剤等を必要とせずに、粒子形状を確保しつつ標準粒子23を透明基材に対して固定(溶着)させることができるので光学的に好ましい。
【0064】
また、本実施形態では、標準粒子23が各透明基材21の両表面21aに対してそれぞれ固定され、反射防止膜22を含む透明基材21の厚さとスペーサ24の厚さが、被測定体100における対応する位置での平均粒子間隔と略一致されている。このように、透明基材21の両表面21aに標準粒子23が固定された構造とすると、平均粒子間隔が同じであれば、一方の表面21aのみに標準粒子23が固定される構造に比べて、透明基材21やスペーサ24の厚さを厚くすることができる。特に透明基材21は、その厚さが薄くなるほど機械的加工の特性(研磨の特性)により平面度が低下する(周辺部よりも中央部が落ち込んだ形状となる)ため、像に歪が生じやすくなるが、上記によれば、このような歪を生じにくくすることができる。
【0065】
また、本実施形態では、複数の透明基材21が、スペーサ24を介して互いに積層された状態で、積層方向における両端20a,20b側からホルダ40(挟持部42,43)によって挟持され、これにより複数枚の透明基材21が一体化されて積層ユニット20となっている。したがって、複数枚の透明基材21のうち、一部のみの差し替えなどを容易に行うことができる。
【0066】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態を、図6〜図8に基づいて説明する。図6は、第2実施形態に係る校正装置のうち、主たる特徴部分である積層ユニットの概略構成を示す断面図である。
【0067】
第2実施形態に係る校正装置は、第1実施形態によるものと共通するところが多いので、以下、共通部分については詳しい説明は省略し、異なる部分を重点的に説明する。なお、第1実施形態に示した要素と同一の要素には、同一の符号を付与するものとする。
【0068】
第1実施形態においては、透明基材21の表面21aに反射防止膜22を設けることで、表面21aにおける測定光102の反射を抑制し、多層構造でありながら透過光量を確保する例を示した。これに対し、本実施形態においては、図6に示すように、スペーサ24を介して互いに隣接する透明基材21の相対する表面21aの間に領域に、測定光102に対して透明な充填材26が充填され、この充填材26により、表面21aでの反射が低減される点を特徴とする。
【0069】
なお、図6に示す例においては、透明基材21の表面21aの反射防止膜22が設けられておらず、樹脂製の標準粒子23が、その表面の溶融により透明基材21に直接固定されている。また、透明基材21の厚さが、被測定体100における対応する位置での平均粒子間隔と略一致されている。そして、それ以外の構成は、第1実施形態と同じとなっている。
【0070】
本実施形態においても、第1実施形態同様、透明基材21の構成材料として、屈折率1.524のクラウンガラスを採用し、標準粒子23の構成材料として、屈折率1.59の架橋ポリスチレンを採用している。そして、充填材26の構成材料として、測定光102に対して透明で、透明基材21の屈折率よりも小さく、空気の屈折率1よりも大きい屈折率を有するイオン交換水(屈折率1.33)を採用している。
【0071】
このように本実施形態でも、第1実施形態に示した校正装置10(積層ユニット20)と同様に、3次元配置された被測定体100における粒子100aの分散状態により近い状態で、標準粒子23が3次元配置されている。したがって、本実施形態に係る校正装置10を用いれば、被測定体100での多重散乱を再現することができ、これにより、3次元配置された被測定体100の粒度分布を測定する光学測定装置を、精度よく校正することができる。
【0072】
また、本実施形態では、標準粒子23の屈折率のほうが、透明基材21の屈折率及び充填材26の屈折率よりも大きくなっている。すなわち、屈折率の小さい媒体中に、それよりも屈折率の大きい標準粒子23(屈折率1.59)が3次元的に配置されたものとなっている。そして、これにより、空気(屈折率1)中に燃料微粒子100a(屈折率1.3876のn−ヘプタン)が3次元配置された被測定体100を模した構成となっている。そして、このような校正装置10において、隣接する透明基材21の相対する表面21a間の領域に、測定光102に対して透明で、透明基材よりも屈折率が小さく空気よりも屈折率の大きい充填材26が充填されている。したがって、透明基材21の表面21aに空気(屈折率1)が隣接する構成よりも、隣接する2つの媒質の屈折率の差が小さいので、透明基材21の表面21aにおける反射を低減し、透明基材21を多層に積層した構成でありながら、透過光量を確保することができる。また、繰り返し反射による像のコントラストの低下を抑制し、校正の精度をより高めることもできる。
【0073】
また、第1実施形態に示したように、透明基材21の表面21aに反射防止膜22を設ける場合、一般的に蒸着法などによる反射防止膜22を設けるため、反射防止膜22も透明基材21の平面度の影響を受けることとなり、透明基材21の厚さを薄くするほど、像に歪が生じやすくなる。これに対し、本実施形態では、隣接する透明基材21の相対する表面21a間に充填材26を隙間なく充填するので、このような歪を低減することができる。
【0074】
なお、隣接する透明基材21の相対する表面21a間に充填材26を隙間なく充填する方法としては特に限定されるものではない。その一例として、本実施形態では、図7及び図8に示すように、スペーサ24が略C字状とされ、ホルダ40を構成する外周部41に、スペーサ24におけるC字状端部間の開口部を介して、隣接する透明基材21の相対する表面21a間の領域と連通する空気抜き孔41aが設けられている。そして、空気抜き孔41aが止め栓46にて閉塞される前の状態で、空気抜き孔41aを上にして充填材26内に校正装置10が浸漬され、空気が抜けた状態で、空気抜き孔41aに止め栓46をすることで、校正装置10が形成されるようになっている。なお、図7に示す符号47は、シール用のガスケットである。また、積層ユニット20における端部と保護部材30との間にも充填材26が充填されており、保護部材30における積層ユニット20と相対する面の裏面のみに反射防止膜31が設けられている。図7は、校正装置の概略構成を示す断面図である。図8は、図7に示すVIII−VIII線に沿う断面図である。
【0075】
なお、充填材26の屈折率を透明基材21の屈折率と略一致させると、透明基材21の表面21aでの反射を殆どなくすことができる。しかしながら、本実施形態に示すように、標準粒子23の屈折率(1.59)が透明基材21の屈折率(1.524)よりも大きいものの、両者が近い値の場合には、充填材26として、透明基材21とほぼ同じ屈折率の所謂インデックスマッチングオイル(例えば屈折率1.52のシリコンオイル)を採用すると、標準粒子23と充填材26との屈折率の差が小さくなる。すなわち、充填材26を透過した測定光102が標準粒子23によって屈折する角度が小さくなる。したがって、透明基材21の枚数が多いほど、図9(a)に示すように、画像上での標準粒子23のコントラストが、図9(c)に示す被測定体100の画像(粒子100aのコントラスト)と比べて低下してしまう。この場合、被測定体100の粒度分布を測定する際とは異なる2値化レベルで精度を検証しなければならないため、校正装置10としては好ましくない。これに対し、本実施形態では、上記したように、充填材26の構成材料として、測定光102に対して透明で、透明基材21の屈折率よりも小さく、空気の屈折率1よりも大きい屈折率を有する材料を採用している。したがって、透明基材21と標準粒子23の屈折率が近い値であっても、図9(b)に示すように標準粒子23のコントラストの低下を抑制して、図9(c)に示す被測定体100の画像(粒子100aのコントラスト)と同程度とすることができる。図9は、光学測定装置により撮影された画像を模式的に示した図であり、(a)は充填材の屈折率を透明基材と略一致させた場合の画像、(b)は充填材の屈折率を透明基材よりも小さく1よりも大きくした場合の画像、(c)は参考例としての被測定体の画像を示している。
【0076】
なお、本実施形態においては、粒子100aの屈折率がその周囲の媒体の屈折率よりも大きい被測定体100を模した校正装置10の例を示した。しかしながら、標準粒子23の屈折率のほうが、透明基材21の屈折率及び充填材26の屈折率よりも小さい、すなわち粒子100aの屈折率がその周囲の媒体の屈折率よりも小さい被測定体100(例えば液中における気泡などの粒子が明るく写る被測定体)を模した校正装置10にも適用することができる。なお、充填材26としては、屈折率が透明基材21よりも大きく、透明基材21との屈折率の差が透明基材21と空気の屈折率の差よりも小さい屈折率を有する材料を採用することができる。これによれば、透明基材21の表面21aに空気(屈折率1)が隣接する構成よりも、隣接する2つの媒質の屈折率の差が小さいので、透明基材21の表面21aにおける反射を低減し、透明基材21を多層に積層した構成でありながら、透過光量を確保することができる。また、繰り返し反射による像のコントラストの低下を抑制し、校正の精度をより高めることもできる。さらには、充填材26に屈折率が透明基材21よりも大きいので、透明基材21と標準粒子23の屈折率が近い値であっても、像のコントラストの低下を抑制することができる。
【0077】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態を、図10に基づいて説明する。図10は、第3実施形態に係る校正装置のうち、主たる特徴部分である積層ユニットの概略構成を示す断面図である。なお、図10においては、積層ユニットとともに積層される保護部材も併せて図示している。
【0078】
第3実施形態に係る校正装置は、上記した各実施形態によるものと共通するところが多いので、以下、共通部分については詳しい説明は省略し、異なる部分を重点的に説明する。なお、各実施形態に示した要素と同一の要素には、同一の符号を付与するものとする。
【0079】
第2実施形態においては、標準粒子23の屈折率(1.59)が透明基材21の屈折率(1.524)よりも大きいものの、両者の値が近く、透明基材21とは異なる屈折率を有する充填材26が、スペーサ24を介して隣接する透明基材21の相対する表面21a間の領域に充填されている例を示した。これに対し、本実施形態では、図10に示すように、標準粒子23の屈折率が透明基材21の屈折率とは異なり、スペーサ24を介して隣接する透明基材21の相対する表面21a間の領域に充填された充填材27の屈折率が、透明基材21の屈折率と略一致されている点を特徴とする。
【0080】
本実施形態では、第1実施形態同様、空気(屈折率1)中に燃料微粒子100a(屈折率1.3876のn−ヘプタン)が3次元配置された被測定体100(粒子100aが影として写る構成)を模した構成となっている。具体的には、透明基材21の構成材料として石英(屈折率1.46)、標準粒子23の構成材料としてユニチカ製のチタンバリウム系ガラス(屈折率1.93)、充填材27の構成材料としてモリテック製の屈折率適合液(屈折率1.46)を採用している。また、ガラス製の標準粒子23を石英からなる透明基材21の表面21aに固定するために、透明基材21の両表面21aにNTTAT製の紫外線硬化性樹脂からなる接着層28(屈折率1.46)を設けている。そして、透明基材21の表面21aに設けられた接着層28上に、標準粒子23を配置した状態で、紫外線を照射することにより、標準粒子23の固定された透明基材21を得るようにしている。なお、接着層28を含む透明基材21の厚さが、被測定体100における対応する位置での平均粒子間隔と略一致されている。それ以外の積層ユニット20の構成は、第1実施形態と同じとなっている。また、積層ユニット20における端部と保護部材30との間にも充填材27が充填されており、保護部材30における積層ユニット20と相対する面の裏面のみに反射防止膜31が設けられている。
【0081】
このように本実施形態でも、第1実施形態に示した校正装置10(積層ユニット20)と同様に、3次元配置された被測定体100における粒子100aの分散状態により近い状態で、標準粒子23が3次元配置されている。したがって、本実施形態に係る校正装置10を用いれば、被測定体100での多重散乱を再現することができ、これにより、3次元配置された被測定体100の粒度分布を測定する光学測定装置を、精度よく校正することができる。
【0082】
また、本実施形態では、透明基材21の屈折率、充填材27の屈折率、接着層28の屈折率が略一致され、これにより、屈折率分布の殆どない一様な媒体(透明部材)内に、標準粒子23が3次元配置された構成となっている。したがって、校正装置10が、空気中に噴射された燃料微粒子など、粒子100aが影として写る被測定体100の状態により近い状態となっており、これにより、校正の精度をより高めることができる。また、本実施形態では、透明基材21の表面21aでの反射が殆ど生じないので、これにより透過光量を確保することができる。さらには、繰り返し反射による像のコントラストの低下を抑制し、校正の精度をより高めることもできる。
【0083】
特に本実施形態では、透明基材21、充填材27、及び接着層28として、屈折率が1.46の材料がそれぞれ採用され、標準粒子23として屈折率1.93のガラスが採用されている。これにより、屈折率分布の殆どない一様な媒体(屈折率1.46)内に、標準粒子23(屈折率1.93)が3次元配置された構成となっている。ここで、媒体に対する標準粒子23の屈折率の比は1.322であり、媒体である空気に対する燃料微粒子100a(n−ヘプタン)の屈折率の比1.3876とほぼ同じ値となっている。したがって、本実施形態に示した校正装置10は、特に燃料微粒子100aの集合体である被測定体100の粒度分布を測定する光学測定装置の校正に好適である。
【0084】
また、本実施形態においても、隣接する透明基材21の相対する表面21a間に充填材27を隙間なく充填することで、透明基材21における反射を低減するようにしている。したがって、第2実施形態同様、透明基材21の平面度に起因する像の歪を低減することができる。
【0085】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態になんら制限されることなく、本発明の主旨(表面21aに標準粒子23が固定された透明基材21を複数枚積層してなる校正装置10)を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することが可能である。
【0086】
第1実施形態においては、反射防止膜22が透明基材21の両表面21aに設けられ、両表面21aの反射防止膜22上に、樹脂製の標準粒子23が溶着によって固定される例を示した。しかしながら、透明基材21の一方の表面21aのみに反射防止膜22が設けられた構成としても良い。また、標準粒子23が透明基材21の表面21a(反射防止膜22が設けられた表面21aの裏面)に直接固定された構成としても良い。なお、標準粒子23が透明基材21の表面21aに直接固定される場合には、透明基材21の構成材料として樹脂を、標準粒子23の構成材料として透明基材21よりも融点の高い材料(例えばガラス)を採用し、加熱により透明基材21の表面(表面21aを含む)を溶融させて標準粒子23が固定された構成としても良い。
【0087】
第1実施形態においては、標準粒子23の屈折率が透明基材21の屈折率よりも大きい例を示した。しかしながら、粒子100aの屈折率が粒子100aの周囲の媒体の屈折率よりも小さい被測定体100を模した校正装置10とする場合には、標準粒子23として、透明基材21よりも屈折率の小さい材料を採用すればよい。
【0088】
第2実施形態においては、透明基材21の表面21aに、樹脂製の標準粒子23が溶着によって直接固定される例を示した。しかしながら、透明基材21の表面21aへの標準粒子23の固定構造は、上記例に限定されるものではない。例えば、上記したように、透明基材21の構成材料として樹脂を、標準粒子23の構成材料として透明基材21よりも融点の高い材料(例えばガラス)を採用し、加熱により透明基材21の表面(表面21aを含む)を溶融させて標準粒子23が固定された構成としても良い。また、屈折率が透明基材21と略一致する接着層28を透明基材21の表面21aに設け、接着層28を介して標準粒子23が透明基材21に固定された構成としても良い。さらには、第1実施形態に示したように透明基材21の表面21a上に反射防止膜22を設け、反射防止膜22を介して標準粒子23が固定された構成としても良い。この場合、反射防止膜22と充填材26の効果により、透明基材21の表面21aでの反射をより低減することができる。
【0089】
第3実施形態においては、屈折率が透明基材21と略一致する接着層28を透明基材21の表面21aに設け、接着層28を介して標準粒子23が透明基材21に固定される例を示した。しかしながら、被測定体100での媒体に対する粒子100aの屈折率の比によっては、透明基材21と標準粒子23とを直接固定する構造とすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】図1は、被測定体の光学測定装置による粒度分布測定の概略構成を示す図である。
【図2】第1実施形態に係る校正装置の概略構成を示す断面図である。
【図3】図2に示すIII−III線に沿う断面図である。
【図4】図2に示す校正装置のうち、主たる特徴部分である積層ユニットの概略構成を示す断面図である。
【図5】校正方法を説明するための模式図である。
【図6】第2実施形態に係る校正装置のうち、主たる特徴部分である積層ユニットの概略構成を示す断面図である。
【図7】校正装置の概略構成を示す断面図である。
【図8】図7に示すVIII−VIII線に沿う断面図である。
【図9】光学測定装置により撮影された画像を模式的に示した図であり、(a)は充填材の屈折率を透明基材と略一致させた場合の画像、(b)は充填材の屈折率を透明基材よりも小さく1よりも大きくした場合の画像、(c)は参考例としての被測定体の画像を示している。
【図10】第3実施形態に係る校正装置のうち、主たる特徴部分である積層ユニットの概略構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0091】
10・・・校正装置
20・・・積層ユニット
21・・・透明基材
21a・・・表面
22・・・反射防止膜
23・・・標準粒子
24・・・スペーサ
25・・・空気
26,27・・・充填材
100・・・被測定体
100a・・・燃料微粒子(粒子)
101・・・インジェクター
102・・・測定光
103・・・撮像装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元配置された被測定体の粒度分布を測定する光学測定装置を校正するための校正装置であって、
前記光学測定装置の測定光に対して透明で、前記測定光が透過される両表面の少なくとも一方に反射防止膜が設けられた平板状の複数の透明基材と、
前記透明基材とは異なる屈折率及び前記被測定体と略一致する透過率を有しており、各透明基材の両表面の少なくとも一方に対し、直接若しくは前記反射防止膜を介して固定された標準粒子と、
前記透明基材と交互に前記測定光の光軸方向に積層され、前記測定光が透過される各透明基材の表面を互いに略平行に保つスペーサと、を備え、
前記スペーサを介して積層された複数の前記透明基材において、前記測定光の入射側端部と出射側端部との間の距離が、前記被測定体における前記測定光の光路長と略一致され、
前記透明基材の同一表面に固定された前記標準粒子の、粒径分布、単位面積当たりの個数、及び平均粒子間隔が、前記被測定体の同一位置に対応する断面での、粒径分布、単位面積当たりの個数、及び平均粒子間隔と略一致され、
積層方向において、互いに隣接する前記標準粒子がそれぞれ固定された前記透明基材の表面間の距離が、前記被測定体における対応する位置での平均粒子間隔と略一致するように、前記反射防止膜を含む透明基材の厚さと前記スペーサの厚さがそれぞれ設定されていることを特徴とする校正装置。
【請求項2】
前記標準粒子は樹脂からなり、その表面の溶着により前記透明基材に対して固定されていることを特徴とする請求項1に記載の校正装置。
【請求項3】
前記標準粒子は、各透明基材の両表面に対してそれぞれ固定され、
前記反射防止膜を含む透明基材の厚さと前記スペーサの厚さが、前記被測定体における対応する位置での平均粒子間隔と略一致されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の校正装置。
【請求項4】
3次元配置された被測定体の粒度分布を測定する光学測定装置を校正するための校正装置であって、
前記光学測定装置の測定光に対して透明で、屈折率n1を有する平板状の複数の透明基材と、
前記屈折率n1とは異なる屈折率n2と、前記被測定体と略一致する透過率とを有し、前記測定光が透過される各透明基材の両表面の少なくとも一方に対して固定された標準粒子と、
前記透明基材と交互に前記測定光の光軸方向に積層され、前記測定光が透過される各透明基材の表面を互いに略平行に保つスペーサと、
前記スペーサを介して隣接する前記透明基材の相対する表面間の領域に充填され、前記測定光に対して透明で、前記屈折率n1と略一致する屈折率n3を有する充填材と、を備え、
前記スペーサを介して積層された複数の前記透明基材において、前記測定光の入射側端部と出射側端部との間の距離が、前記被測定体における前記測定光の光路長と略一致され、
前記透明基材の同一表面に固定された前記標準粒子の、粒径分布、単位面積当たりの個数、及び平均粒子間隔が、前記被測定体の同一位置に対応する断面での、粒径分布、単位面積当たりの個数、及び平均粒子間隔と略一致され、
積層方向において、互いに隣接する前記標準粒子がそれぞれ固定された前記透明基材の表面間の距離が、前記被測定体における対応する位置での平均粒子間隔と略一致するように、前記透明基材の厚さと前記スペーサの厚さがそれぞれ設定されていることを特徴とする校正装置。
【請求項5】
3次元配置された被測定体の粒度分布を測定する光学測定装置を校正するための校正装置であって、
前記光学測定装置の測定光に対して透明で、屈折率n1を有する平板状の複数の透明基材と、
前記屈折率n1よりも大きい屈折率n2と、前記被測定体と略一致する透過率とを有し、前記測定光が透過される各透明基材の両表面の少なくとも一方に対して固定された標準粒子と、
前記透明基材と交互に前記測定光の光軸方向に積層され、前記測定光が透過される各透明基材の表面を互いに略平行に保つスペーサと、
前記スペーサを介して隣接する前記透明基材の相対する表面間の領域に充填され、前記測定光に対して透明で、前記屈折率n1よりも小さく屈折率1よりも大きい屈折率n3を有する充填材と、を備え、
前記スペーサを介して積層された複数の前記透明基材において、前記測定光の入射側端部と出射側端部との間の距離が、前記被測定体における前記測定光の光路長と略一致され、
前記透明基材の同一表面に固定された前記標準粒子の、粒径分布、単位面積当たりの個数、及び平均粒子間隔が、前記被測定体の同一位置に対応する断面での、粒径分布、単位面積当たりの個数、及び平均粒子間隔と略一致され、
積層方向において、互いに隣接する前記標準粒子がそれぞれ固定された前記透明基材の表面間の距離が、前記被測定体における対応する位置での平均粒子間隔と略一致するように、前記透明基材の厚さと前記スペーサの厚さがそれぞれ設定されていることを特徴とする校正装置。
【請求項6】
3次元配置された被測定体の粒度分布を測定する光学測定装置を校正するための校正装置であって、
前記光学測定装置の測定光に対して透明で、屈折率n1を有する平板状の複数の透明基材と、
前記屈折率n1よりも小さい屈折率n2と、前記被測定体と略一致する透過率とを有し、前記測定光が透過される各透明基材の両表面の少なくとも一方に対して固定された標準粒子と、
前記透明基材と交互に前記測定光の光軸方向に積層され、前記測定光が透過される各透明基材の表面を互いに略平行に保つスペーサと、
前記スペーサを介して隣接する前記透明基材の相対する表面間の領域に充填され、前記測定光に対して透明で、前記屈折率n1よりも大きく、前記屈折率n1との差が屈折率n1と屈折率1との差よりも小さい屈折率n3を有する充填材と、を備え、
前記スペーサを介して積層された複数の前記透明基材において、前記測定光の入射側端部と出射側端部との間の距離が、前記被測定体における前記測定光の光路長と略一致され、
前記透明基材の同一表面に固定された前記標準粒子の、粒径分布、単位面積当たりの個数、及び平均粒子間隔が、前記被測定体の同一位置に対応する断面での、粒径分布、単位面積当たりの個数、及び平均粒子間隔と略一致され、
積層方向において、互いに隣接する前記標準粒子がそれぞれ固定された前記透明基材の表面間の距離が、前記被測定体における対応する位置での平均粒子間隔と略一致するように、前記透明基材の厚さと前記スペーサの厚さがそれぞれ設定されていることを特徴とする校正装置。
【請求項7】
前記標準粒子は樹脂からなり、その表面の溶着により前記透明基材に対して固定されていることを特徴とする請求項4〜6いずれか1項に記載の校正装置。
【請求項8】
前記屈折率n1と略一致する屈折率n4を有し、前記透明基材の両表面の少なくとも一方に設けられた紫外線硬化樹脂からなる接着層をさらに備え、
前記標準粒子は、各透明基材における前記接着層に接着固定されていることを特徴とする請求項4〜6いずれか1項に記載の校正装置。
【請求項9】
前記標準粒子は、各透明基材の両表面に対してそれぞれ固定され、
前記透明基材の厚さと前記スペーサの厚さが、前記被測定体における対応する位置での前記平均粒子間隔と略一致されていることを特徴とする請求項4〜8いずれか1項に記載の校正装置。
【請求項10】
複数の前記透明基材は、前記スペーサを介して互いに積層された状態で、積層方向における両端側から保持部材によって挟持され、一体化されていることを特徴とする請求項1〜9いずれか1項に記載の校正装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−300182(P2009−300182A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−153325(P2008−153325)
【出願日】平成20年6月11日(2008.6.11)
【出願人】(000004695)株式会社日本自動車部品総合研究所 (1,981)
【Fターム(参考)】