説明

核酸の捕捉のための方法およびアッセイ

本開示により、酵素反応を含む、配列特異的核酸標的捕捉のための方法およびシステムが提供される。本開示は、基材、例えばマイクロアレイスライド上、および溶液形式で、flapエンドヌクレアーゼ、リガーゼおよび/またはさらなる酵素、タンパク質または化合物を用いる、標的核酸配列の捕捉およびその後の検出のための複数のオリゴヌクレオチドプローブに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、酵素反応を含む配列特異的核酸標的捕捉のための方法および系を提供する。特に、本発明は、基材、例えばマイクロアレイスライド上のflapエンドヌクレアーゼ、リガーゼ、および/またはさらなる酵素、タンパク質もしくは化合物を使用し、溶液形式での標的核酸配列の捕捉およびその後の検出のための複数のオリゴヌクレオチドプローブを含む。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
核酸マイクロアレイ技術の出現により、数百万の核酸配列のアレイを非常に小さな領域内に、例えば顕微鏡スライド上に構築することが可能である(例えば、US 6,375,903およびUS 5,143,854)。最初は、かかるアレイは、予め合成したDNA配列をスライド上にスポットすることにより作製された。しかしながら、現在、US 6,375,903に記載のようなマスクレスアレイ合成装置(MAS)の構築により、スライド自体への直接的なオリゴヌクレオチド配列のインサイチュ合成が可能である。
【0003】
MAS装置を使用し、現在では、マイクロアレイ上に構築されるオリゴヌクレオチド配列の選択を、研究者の具体的な必要性に基づいて個々のカスタマイズされたアレイを作製することが可能となるようにソフトウエア制御下におく。一般に、MASに基づくオリゴヌクレオチドマイクロアレイ合成技術により、標準的な顕微鏡スライドの非常に小さい領域内での400万を超える独特なオリゴヌクレオチド特徴の並行合成が可能になる。参照配列が一般的に公のデータベースに寄託されている数百の生物の全ゲノムが利用可能であることにより、マイクロアレイは、無数の生物から単離された核酸に関する配列解析を行なうために使用されている。
【0004】
核酸マイクロアレイ技術は、遺伝子の発現および発見、変異検出、対立遺伝子および進化的配列比較、ゲノムマッピング、薬物発見などの研究および診断の多くの分野に適用されている。多くの適用では、遺伝子バリアントおよび全ヒトゲノムにおける変異;バリアントおよび例えば、ヒト疾患の原因であり得る変異の検索が必要とされる。複雑な疾患の場合、これらの検索により、一般的に、1つ以上の疾患と関連している単一ヌクレオチド多型(SNP)またはSNPの組が得られる。かかるSNPの同定は困難で、時間がかかり費用がかかる作業であり、多くの場合、単一塩基変化を見出すため、またはすべての配列バリアントを同定するためには、罹患個体および/または組織試料由来の通常100キロベース(Kb)より大きいゲノムDNAの大領域を再配列決定することが必要とされることが示された。
【0005】
ゲノムは、典型的には、複雑すぎて全体として試験することができず、ゲノムの複雑さを低減するための技術を使用しなければならない。この問題に対処するため、解決法の1つは、US 6,013,440に見れられるような、DNA試料からある種の型のアバンダント配列を減少させることである。代替例では、例えば、Albert,T.J.,et al.,Nat. Meth.,4(2007)903-5;参照によりその全体が本明細書に援用される)およびOkou,D.T.,et al.,Nat. Meth. 4(11)(2007)907-9;参照によりその全体が本明細書に援用される)ならびに米国特許出願第11/789,135号、同第11/970,949号、同第61/032,594号および同第61/026,592;これらはすべて参照によりその全体が本明細書に援用され、さらなる処理および解析を可能にするためにユーザーが規定した様式でゲノム試料の複雑さを有効に低減するのに費用効果が高く、迅速である代替例が開示されている)に記載のような、上記のゲノム配列を濃縮するための方法および組成物が使用される。
【0006】
しかしながら、使用される方法は、信号雑音比が低いという欠点および再現性の課題を有する。そのため、必要とされているものは、例えば、信号雑音比の改善、アッセイごとの再現性の増大、特定の配列の捕捉、すべて定量的なままであることを可能にする方法および系である。かかる方法により、研究者に対し、疾患の原因および関連する治療的処置を理解および同定するための努力において最大限のデータ利用が提供され得る。
【発明の概要】
【0007】
発明の概要
本発明は、酵素反応を含む配列特異的核酸標的捕捉のための方法および系を提供する。特に、本発明は、基材上、例えば、マイクロアレイスライド上のflapエンドヌクレアーゼ、リガーゼ、および/またはさらなる酵素、タンパク質または化合物を使用し、溶液形式での、標的核酸配列の捕捉およびその後の検出のための複数のオリゴヌクレオチドプローブを含む。
【0008】
本発明の特定の例示的な態様を以下に記載する。本発明は、これらの態様に限定されない。
【0009】
本発明のある態様において、オリゴヌクレオチドプローブは、インサイチュで合成されるか、または基材上で合成され、スポットされ、前記プローブは、基材(例えば、マイクロアレイスライド、ビーズ、ミクロスフィア)に固定されており、標的配列に相補的な単鎖5’末端、ならびに標的ヌクレオチドに相補的なヘアピン構造および末端塩基を含む3’末端を含む。本発明の他の態様において、プローブの5’末端に結合された結合部分、例えばビオチンをさらに含む単鎖5’末端、ならびに標的配列に相補的なヘアピン構造および末端塩基を含む3’末端を含むプローブが合成され、プローブは溶液中に維持される。いくつかの態様において、プローブに見られるヘアピン構造は、制限エンドヌクレアーゼ(RE)によって認識されて切断される配列を含む。本発明のいくつかの態様において、標的核酸としては、例えば、ゲノムDNAまたはその誘導体が挙げられ、RNA、cDNA、マイクロRNA(miRNA)、非コードRNA(ncRNA)、プロモーター結合小RNA(PASR)などを添加してプローブと反応させる。
【0010】
いくつかの態様において、核酸は、例えば剪断によって断片化されるが、他の態様では、核酸標的は、例えばPCRまたはクレノウにより増幅される。好ましい態様において、標的核酸は、断片化または増幅後、3’末端で検出可能な部分、例えば、蛍光、ビオチン、ジゴキシゲニンなどの部分により標識される。本発明は、使用した検出部分 および/または方法に限定されず、当業者には、検出目的のために核酸の3’末端に結合され得る検出部分の無数の選択肢が理解されることが予想される。いくつかの態様において、標的核酸配列は、少なくとも100bp、少なくとも200bp、少なくとも300bp、少なくとも400bp、少なくとも500bp、少なくとも600bp長である。しかしながら、本発明は、該サイズの標的核酸配列に限定されず、非断片化ならびに断片化および誘導核酸試料(例えば、PCRアンプリコン、クレノウランダムプライムアンプリコンなど)が本発明の方法およびアッセイでの使用に予期される。いくつかの態様において、標的核酸配列は単一ヌクレオチド多型またはコピー数変異を含む。
【0011】
いくつかの態様において、インテロゲーション(interrogation)ヌクレオチドは、ヘアピン構造の後ろであってプローブの3’末端に位置する。いくつかの態様において、インテロゲーションヌクレオチドは、例えば、5’側のヘアピン構造の直前に位置し、プローブの3’末端は既知標的配列に相補的となるように設計される。いくつかの態様において、近位ヌクレオチドは、5’側の二本鎖ヘアピン構造の上流の2、3、4、5、6、7、8、9または10塩基である。いくつかの態様において、インテロゲーションヌクレオチドをプローブ配列の5’側またはアームに配置することにより、クリベース(cleavase)特異性単独と比べて、クリベースとリガーゼ酵素の両方に関する二重特異性が実現される。いくつかの態様において、インテロゲーションヌクレオチドを上記のように5’側に配置した場合、クリベース特異性は、三部構成の構造およびヘアピンの3’末端と切断された標的の5’末端間のライゲーションのための塩基特異的基質に依存する。
【0012】
いくつかの態様において、標識標的核酸は、ハイブリダイゼーションが起こるのに適した条件下で、基材上または溶液中のいずれかでプローブとともにインキュベートする。ハイブリダイゼーション後、プローブの末端3’ヌクレオチドに相補的な標的配列により、flapエンドヌクレアーゼ(FEN)によって認識されて切断される配列特異的構造が作製される。リガーゼ酵素、好ましい態様において熱安定性リガーゼ酵素が反応液に、プローブの3’末端を切断された標的核酸の5’末端にライゲートし、それにより標的核酸をプローブに共有結合させるために添加される。標的配列がプローブの3’末端ヌクレオチドに相補的でない場合、切断構造は形成されず、flapエンドヌクレアーゼによる切断は起こらず、ライゲーションは進行し得ない。いくつかの態様において、酵素反応は、FENをハイブリダイズされたプローブ/標的複合体に添加した後、別途リガーゼを添加することにより逐次行なわれる。他の態様において、反応が多かれ少なかれ同時に起こる機会を有するように、FENおよびリガーゼは同時に添加される。いくつかの態様において、RecJエキソヌクレアーゼは反応液に、クリベースと一緒に添加される。いくつかの態様において、ssDNA結合タンパク質がさらに反応液に添加される。本発明は特定の機構に限定されない。実際、該機構の理解は、本発明を実施するのに必要ではない。それでもなお、FENと一緒にRecJおよび/またはssDNA結合タンパク質を添加することにより、ハイブリダイズされた標的断片の長い突出端の分解におけるRecJのエキソヌクレアーゼ活性により、RecJおよび/またはssDNA結合が非存在である場合の反応と比べて、最適なクリベース活性ににより適した基質が提供されるため、クリベースの活性の向上がもたらされることが予期される。
【0013】
プローブが基材、例えばマイクロアレイスライドに固定されたいくつかの態様において、非特異的に結合された核酸分子は、共有結合された標的分子から洗い流される。いくつかの態様において、標識プローブは溶液中に維持され、共有結合された標的分子を有する標識プローブが、捕捉分子でコーティングされた基材、例えば、ビーズ、スライド、プレートなどによって捕捉される。例えば、プローブがビオチン標識されている場合、ストレプトアビジンでコーティングされたビーズによりプローブ/標的複合体が捕捉され、それにより、非結合分子から結合された標的分子が分離される。いくつかの態様において、捕捉された標的分子を非特異的に結合された核酸分子からさらに精製するために基材を洗浄する。
【0014】
いくつかの態様において、例えば、標的配列に見られる蛍光部分を検出するため、共有結合された標的を含む基材を、蛍光スキャナーを用いてスキャンし、配列情報を含むデータを、例えばコンピュータまたは他の可視化手段によってユーザーに連絡する。
【0015】
いくつかの態様において、結合された標的核酸は、配列決定などの下流適用のために基材から放出させる。例えば、いくつかの態様において、プローブのヘアピン構造は、1つ以上の制限エンドヌクレアーゼ部位またはウラシルを含む。本発明は、任意の特定の切断可能な配列に限定されず、当業者には、本発明の方法およびアッセイに適した無数の選択肢が認識されよう。標的核酸を本明細書に記載のようにしてプローブに捕捉し、共有結合させ、非特異的結合核酸分子から分離したら、プローブ/標的複合体をREまたはウラシル-DNA-グリコシラーゼで消化した後、エンドヌクレアーゼVIIIでの消化によって標的配列をプローブから放出させ、このとき、REによって認識される配列は、プローブのヘアピン構造内に見られるか、またはウラシルがプローブヘアピン内に合成された。放出されたら、標的配列を当業者に公知の方法を用いて、例えば、標的配列/プローブ複合体を水または低溶質溶液中でインキュベートすることによりプローブから溶出させる。溶出された標的分子は下流適用、例えば、配列決定反応に適用される。
【0016】
本明細書に記載の本発明の方法およびアッセイには、例えば、単一ヌクレオチド多型、ゲノムコピー数変異の検出などにおいて有用性が見出される。ゲノムの異常は、疾患および障害との関連性について試験され得、それにより研究および診断目的のための疾患および障害の原因に対する洞察がもたらされるとともに、
かかる疾患および障害に対する治療的処置を特定するための薬物発見における使用のための潜在的標的がもたらされる。
【0017】
いくつかの態様において、本発明は、核酸試料を提供する工程、前記試料は、検出部分、好ましくはCy-3などの蛍光部分を含み、標的配列、少なくとも1種類のflapエンドヌクレアーゼ、少なくとも1種類のリガーゼ、好ましくは熱安定性リガーゼ、および複数のオリゴヌクレオチドプローブは含んでいても含んでいなくてもよく、前記プローブは標的配列およびヘアピン構造を含む、ハイブリダイゼーションが起こる条件下で前記核酸試料を前記オリゴヌクレオチドプローブに適用する工程、酵素反応が起こることが可能な条件下で前記flapおよびリガーゼ酵素を前記ハイブリダイズされた核酸/プローブ複合体に適用し、それにより前記標的核酸配列を捕捉する工程を含む、標的核酸配列を捕捉するための方法を提供する。好ましい態様において、RecJエキソヌクレアーゼおよびssDNA結合タンパク質は、flapエンドヌクレアーゼとともに反応液に含まれる。いくつかの態様において、核酸試料はゲノムDNA試料またはその誘導体であり、前記試料は哺乳動物、好ましくはヒト由来である。いくつかの態様において、前記標的配列の少なくとも1種類は単一ヌクレオチド多型を含むが、他の態様では、標的配列はゲノムコピー数バリアントである。いくつかの態様において、ヘアピン構造は配列番号:1を含む。いくつかの態様において、捕捉された標的核酸は、さらに、例えば蛍光スキャナーを用いて検出される。いくつかの態様において、プローブは基材、例えばマイクロアレイスライドに結合されるが、他の態様では、プローブは溶液中に維持される。いくつかの態様において、プローブはゲルパッドに結合される。
【0018】
いくつかの態様において、本発明は、核酸試料を提供する工程、前記試料は検出部分、好ましくは例えばCy-3などの蛍光部分を含み、標的配列、少なくとも1種類のflapエンドヌクレアーゼ、少なくとも1種類のリガーゼ、好ましくは熱安定性リガーゼ、および複数のオリゴヌクレオチドプローブを含んでいても含んでいなくてもよく、前記プローブは標的配列およびヘアピン構造を含み、前記ヘアピン構造は切断可能な配列を含む、プローブと標的核酸間でハイブリダイゼーションが起こるための条件を提供する工程、前記flapおよびリガーゼ酵素を前記ハイブリダイズされた核酸/プローブ複合体に、酵素反応が起こり、それにより前記標的核酸配列が捕捉されることを可能にする条件下で適用する工程を含む、標的核酸配列の捕捉方法を提供する。好ましい態様において、RecJエキソヌクレアーゼおよびssDNA結合タンパク質が、flapエンドヌクレアーゼとともに反応に含まれる。いくつかの態様において、切断可能な配列は、制限エンドヌクレアーゼ部位を含み、制限エンドヌクレアーゼによって認識され、切断可能である。いくつかの態様において、標的核酸はプローブから制限エンドヌクレアーゼ消化によって放出させた後、標的配列の検出について配列決定される。
【0019】
いくつかの態様において、本発明は、flapエンドヌクレアーゼ、リガーゼ、およびオリゴヌクレオチドプローブを含む、基材上または溶液中での配列特異的核酸捕捉のための組成物であって、前記プローブがヘアピン構造および相補的な標的核酸配列を含む、組成物を提供する。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドプローブは、基材、例えばマイクロアレイスライドまたはビーズに固定される。
【0020】
いくつかの態様において、本発明は、核酸標的配列を捕捉するために使用されるキットを含み、該キットは、少なくとも1種類のflapエンドヌクレアーゼ、少なくとも1種類の熱安定性リガーゼ、基材に固定された、または精製された状態の複数のオリゴヌクレオチドプローブ、および少なくとも1種類のバッファーを含む。好ましい態様において、RecJエキソヌクレアーゼおよびssDNA結合タンパク質がさらにキットに含まれる。
【0021】
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドプローブは、標的配列に相補的な単鎖5’末端、およびヘアピン構造と標的ヌクレオチドに相補的な末端塩基とから本質的になる3’末端から本質的になる。いくつかの態様において、インテロゲーションヌクレオチドはプローブの5’側に位置する。
【0022】
いくつかの態様において、本発明は、核酸標的配列を捕捉するために使用されるキットを含み、前記キットは、少なくとも1種類のflapエンドヌクレアーゼ、少なくとも1種類の熱安定性リガーゼ、基材に固定された、または精製された状態の複数のオリゴヌクレオチドプローブ、RecJエキソヌクレアーゼ、ssDNA結合タンパク質および少なくとも1種類のバッファーから本質的になる。
【0023】
本明細書で使用するように、用語「試料」は、その最も広い意味において使用される。意味の一例において、任意の供給源から得られる核酸被検物質を含む。生物学的核酸試料は、動物(ヒトを含む)から得られ得、液体、固体、組織などから単離される核酸を包含する。また、生物学的核酸試料は、非ヒト動物、例えば限定されないが、齧歯類、非ヒト霊長類、ヒツジ、ウシ、反芻動物、ウサギ、ブタ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、鳥類などの脊椎動物由来のものであり得る。また、生物学的核酸は、細菌などの原核生物および植物などの他の非動物真核生物から得られ得る。本発明は、核酸試料の供給源によって限定されないことが予期され、任意の生物界由来の任意の核酸が本明細書に記載の方法における有用性が見い出される。
【0024】
本明細書で使用するように、用語「核酸分子」は、任意の試料供給源、例えば限定されないが、DNAまたはRNAに由来する分子を含む任意の核酸をいう。該用語は、DNAおよびRNAの任意の公知の塩基アナログ、例えば限定されないが、4-アセチルシトシン、8-ヒドロキシ-N6-メチルアデニン、アジリジニルシトシン、シュードイソシトシン、5-(カルボキシヒドロキシルメチル)ウラシル、5-フルオロウラシル、5-ブロモウラシル、5-カルボキシメチルアミノメチル-2-チオウラシル、5-カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、イノシン、N6-イソペンテニルアデニン、1-メチルアデニン、1-メチルシュードウラシル、1-メチルグアニン、1-メチルイノシン、2,2-ジメチルグアニン、2-メチルアデニン、2-メチルグアニン、3-メチルシトシン、5-メチルシトシン、N6-メチルアデニン、7-メチルグアニン、5-メチルアミノメチルウラシル、5-メトキシアミノメチル-2-チオウラシル、β-D-マンノシルケオシン、5'-メトキシカルボニルメチルウラシル、5-メトキシウラシル、2-メチルチオ-N6-イソペンテニルアデニン、ウラシル-5-オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル-5-オキシ酢酸、オキシブトキソシン、シュードウラシル、ケオシン、2-チオシトシン、5-メチル-2-チオウラシル、2-チオウラシル、4-チオウラシル、5-メチルウラシル、N-ウラシル-5-オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル-5-オキシ酢酸、シュードウラシル、ケオシン、2-チオシトシン、および2,6-ジアミノプリンを含む配列を包含する。
【0025】
本明細書で使用される用語「オリゴヌクレオチド」は、2個以上、好ましくは3個より多く、通常、10個より多くのデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドで構成された分子をいう。正確なサイズは、オリゴヌクレオチドの最終機能または用途に依存する多くの要素に依存する。オリゴヌクレオチドは、任意の様式で、例えば、化学合成、DNA複製、逆転写またはその組合せによって作製され得る。また、オリゴヌクレオチドという用語は、用語「ポリヌクレオチド」と互換的に使用され得る。
【0026】
本明細書で使用するように、用語「相補的な」または「相補性」は、塩基対形成規則によって関連付けられるポリヌクレオチドに関して使用される。例えば、配列「5'-A-G-T-3'」は、配列「3'-T-C-A-5'」に相補的である。相補性は、塩基対形成規則に従って核酸の塩基のいくつかだけが適合する「一部」であり得る。あるいは、核酸間に「完全な」または「全部」相補性が存在し得る。核酸鎖間の相補性の程度は、例えば、核酸鎖間のハイブリダイゼーションの効率および強度、増幅特異性などに対して有意な効果を有し得る。
【0027】
本明細書で使用するように、用語「ハイブリダイゼーション」は、相補核酸の対形成に関して使用される。ハイブリダイゼーションおよびハイブリダイゼーションの強度(すなわち、核酸間の会合の強度)は、核酸間の相補性の程度、関与する条件のストリンジェンシー、形成されたハイブリッドのTm、および核酸内のG:C比などの要素によって影響を受ける。本発明は特定の組のハイブリダイゼーション条件に限定されないが、ストリンジェントハイブリダイゼーション条件が好ましく使用される。ストリンジェントハイブリダイゼーション条件は配列依存性であり、環境パラメータ(例えば、塩濃度、および有機物の存在)が異なると異なる。一般的に、「ストリンジェント」条件は、規定のイオン強度およびpHにおいて特異的核酸配列の熱融解点(Tm)より約5℃〜20℃低くなるように選択される。好ましくは、ストリンジェント条件は、相補核酸に結合される特異的核酸の熱融解点の約5℃〜10℃低い。Tmは、核酸の50%が、完璧に適合したプローブにハイブリダイズする温度である(規定のイオン強度およびpH下)。
【0028】
本明細書で使用するように、用語「ストリンジェンシー」は、核酸ハイブリダイゼーションが行なわれる温度、イオン強度および有機溶媒などの他の化合物の存在という条件に関して使用される。「低ストリンジェンシー条件」下では、目的の核酸配列は、その正確な相補配列、単一の塩基ミスマッチを有する配列、密接に関連した配列(例えば、90%以上の相同性を有する配列)、および一部分だけ相同性を有する配列(例えば、50〜90%の相同性を有する配列)にハイブリダイズする。「中ストリンジェンシー条件」下では、目的の核酸配列は、その正確な相補配列、単一の塩基ミスマッチを有する配列、および密接に関連した配列(例えば、90%以上の相同性)のみにハイブリダイズする。「高ストリンジェンシー条件」下では、目的の核酸配列は、その正確な相補配列および、(温度などの条件に応じて)単一の塩基ミスマッチを有する配列のみにハイブリダイズする。換言すると、高ストリンジェンシー条件下では、温度は、単一の塩基ミスマッチを有する配列へのハイブリダイゼーションを排除するように上昇され得る。
【0029】
一例として、「ストリンジェント条件」または「高ストリンジェンシー条件」は、50%ホルムアミド、5×SSC(0.75M NaCl、0.075Mクエン酸ナトリウム)、50mMリン酸ナトリウム(pH6.8)、0.1%ピロリン酸ナトリウム、5×デンハルト液、超音波処理したサケ精子DNA(50mg/ml)、0.1%SDS、および10%硫酸デキストラン中42℃でのハイブリダイゼーションと、0.2×SSC(塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム)中42℃および55℃の50%ホルムアミドでの洗浄の後、EDTAを含有する0.1×SSC中で55℃での洗浄を含む。中程度にストリンジェントな条件では、35%ホルムアミド、5×SSC、および0.1%(w/v)ドデシル硫酸ナトリウムを含有するバッファーが、45℃で16〜72時間のハイブリダイズに適していることが予期される。さらに、ホルムアミド濃度は、プローブ長さおよび所望のストリンジェンシーレベルに応じて0〜45%の範囲の間で適当に調整され得ることが予期される。本発明のいくつかの態様において、プローブの最適化は、ハイブリダイゼーション温度またはホルムアミド濃度を増大してプローブ長さの変化を代償することによって、より長いプローブ(例えば、50塩基より大きい)で得られる。ハイブリダイゼーション条件のさらなる例は、本明細書において参照され、援用される多くの参考マニュアル、例えば、「Molecular Cloning:A Laboratory Manual」に示されている。
【0030】
同様に、「ストリンジェント」洗浄条件は、通常、対応するプローブアレイへの標的配列のハイブリダイゼーションについて経験的に決定される。例えば、アレイをまずハイブリダイズさせ、次いで、連続的に減少する濃度の塩もしくは高濃度のデタージェントを含有する洗浄バッファーで、または上昇温度で、非特異的ハイブリダイゼーションに対する特異的ハイブリダイゼーションの信号雑音比が、特異的ハイブリダイゼーションの検出が容易になるのに充分高くなるまで洗浄する。一例として、ストリンジェント温度条件としては、通常、約30℃より高い、より通常には約37℃より高い、場合によっては約45℃より高い温度が挙げられる。ストリンジェント塩条件は、普通、約1000mM未満、通常、約500mM未満、より通常には約150mM未満である。ストリンジェント洗浄およびハイブリダイゼーション条件は、当業者に公知であり、例えば、Wetmur,J.G.およびDavidson,M.,J Mol Biol 31(1968)349-70ならびにWetmur,J.G.,Crit Rev Bio Mol Biol 26(3/4)(1991)227-59;参照によりその全体が本明細書に援用される、に見られ得る。
【0031】
ストリンジェンシー条件を調整および調節するために数多くの同等の条件が使用され得ることは当該技術分野で周知である;プローブの長さおよび性質(DNA、RNA、塩基組成)ならびに標的の性質(溶液中に存在する、または固定化されたDNA、RNA、塩基組成など)ならびに塩および他の成分の濃度(例えば、ホルムアミド、硫酸デキストラン、ポリエチレングリコールの有無)などの要素が考慮される。そのため、ハイブリダイゼーション溶液および洗浄溶液の成分および濃度は、ストリンジェンシーの条件を得るために変更される。本発明の好ましい態様において、ハイブリダイゼーションおよび溶液は、Roche-NimbleGenからの市販で見られるもの(例えば、NimbleChipTMCGH Arrays、NimbleGen Hybridization Kitsなど)が使用される。
【0032】
本明細書で使用するように、用語「プライマー」は、核酸鎖に相補的なプライマー伸長産物の合成が誘導される条件下(すなわち、ヌクレオチドおよびDNAポリメラーゼなどの誘導剤の存在下ならびに適当な温度およびpH下)に置いたとき合成の開始点としての機能を果たし得る精製制限消化物などの天然または合成により作製されたオリゴヌクレオチドをいう。プライマーは、増幅の最大限の効率のために好ましくは単鎖であるが、代替的に二本鎖であってもよい。二本鎖の場合、プライマーは、まず、伸長産物の調製に使用される前にその鎖が分離するように処理される。好ましくは、プライマーはオリゴデオキシリボヌクレオチドである。誘導剤の存在下で伸長産物の合成開始を刺激するのにプライマーは充分に長くなければならない。プライマーの正確な長さは、多くの要素、例えば、温度、プライマーの供給源および使用される方法に依存する。
【0033】
本明細書で使用するように、用語「プローブ」は、別の目的のオリゴヌクレオチドの少なくとも一部分にハイブリダイズし得る、精製制限消化物などの天然または合成、組換えもしくはPCR増幅によって作製されたオリゴヌクレオチド(すなわち、ヌクレオチドの配列)をいう。プローブは単鎖であっても二本鎖であってもよいが、本発明においては、プローブは単鎖であることが意図される。プローブは、特定の遺伝子配列の検出、同定および単離に有用である。プローブは、本発明のある態様において、5’単鎖末端と、ヘアピン構造を含む3’末端とを含む。ヘアピン構造内に制限エンドヌクレアーゼ部位が存在していても存在していなくてもよい。
【0034】
本明細書で使用するように、用語「部分」または「断片」の「その誘導体」は、ヌクレオチド配列に関していう場合(所定のヌクレオチド配列のその誘導体など)は、該配列の断片をいう。断片は、4ヌクレオチドから全ヌクレオチド配列マイナス1ヌクレオチド(10、20、30、40、50、100、200ヌクレオチドなど)の範囲のサイズであり得る。断片は、例えば、超音波処理、PCR増幅、クレノウ増幅、またはヌクレオチド配列をそのより小さい配列に縮小するための当該技術分野で公知の任意の他の手段によって得られ得る。本発明において、核酸配列の断片、誘導体は、好ましくは少なくとも200bp、少なくとも300bp、少なくとも400bp、少なくとも500bp、少なくとも600bpである。しかしながら、本発明は、該サイズの標的核酸配列に限定されない。
【0035】
本明細書で使用するように、用語「精製された」または「精製する」は、試料由来の成分(例えば、夾雑物)および/または夾雑物の除去をいう。用語「精製された」は、その天然の環境から取り出された、単離された、または分離された核酸配列またはアミノ酸配列のいずれかの分子をいう。したがって、「単離された核酸配列または試料」は精製された核酸配列または試料である。「実質的に精製された」分子は、天然状態では結合している他の成分を少なくとも60%含まない、好ましくは少なくとも75%含まない、より好ましくは少なくとも90%含まない。本発明の特定の態様において、「精製された」は、典型的には、1種類以上のストリンジェンシーの洗浄バッファーで洗浄することによるプローブ/標的複合体からの非結合試料核酸分子および反応成分(例えば、酵素など)の分離に関し、それによりプローブ/標的核酸複合体を他の反応成分から「精製」する。
【0036】
本明細書で使用するように、用語「インテロゲーションヌクレオチド」は、単一ヌクレオチド多型などの特異的変異を調べるため、または複数のオリゴヌクレオチドプローブを用いた試料からの標的ヌクレオチドの配列特異的捕捉のための標的配列と相互作用する(例えば、塩基対形成の適合またはミスマッチである)プローブ内のヌクレオチドをいう。いくつかの態様において、インテロゲーションヌクレオチドは、プローブの3’末端に末端塩基として位置する。いくつかの態様において、インテロゲーションヌクレオチドは、ヘアピン幹部構造に近位のプローブの5’側またはアーム(すなわち、プローブの単鎖領域)に位置する。いくつかの態様において、インテロゲーションヌクレオチドは、ヘアピン幹部構造のすぐ隣および上流に位置する。いくつかの態様において、近位ヌクレオチドは、5’側の二本鎖ヘアピン構造の2、3、4、5、6、7、8、9または10塩基上流である。また、インテロゲーションヌクレオチドは、「対立遺伝子特異的ヌクレオチド」とも称され得る。いくつかの態様において、インテロゲーションヌクレオチドは、対応する相補的なヌクレオチドが標的内に存在する場合、クリベースによって認識される標的分子とのオーバーラップ三部構成の構造を作製する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】図1は、標的分子を切断し、マイクロアレイ固相に固定させたプローブにライゲートするためのflapエンドヌクレアーゼおよびリガーゼの使用の例示的な態様を示す;A)潜在的標的DNA配列と結合している標的DNA分子の一方の鎖に対する4つのプローブセット、B)相補的なプローブと結合している正しい標的核酸配列のflapエンドヌクレアーゼ切断、正しくない標的配列は切断しない、およびC)正しい標的配列の5’末端とプローブの3’末端とのライゲーション、正しくない標的配列はプローブにライゲートしない。
【図2A】図2は、標的分子を切断し、溶液中の標識プローブにライゲートするためのflapエンドヌクレアーゼおよびリガーゼの使用の例示的な態様を示す。A)侵入性複合体が形成された場合、標的分子(配列番号:33)の配列特異的切断後、ビオチン化プローブ(配列番号:32)へのライゲーション。
【図2B】図2は、標的分子を切断し、溶液中の標識プローブにライゲートするためのflapエンドヌクレアーゼおよびリガーゼの使用の例示的な態様を示す。B)ストレプトアビジンでコーティングされたビーズに共有結合された標的分子による標識プローブの捕捉。
【図3】図3は、本明細書に記載のオリゴヌクレオチドプローブ(配列番号:1)の例示的なヘアピン配列を示す。
【図4】図4は、CPK6標的配列の捕捉における本方法の使用の実験データを示す。標的配列は、ヘアピンを有するプローブによって捕捉され、FEN切断され、プローブにライゲートされるが、対照配列はされない。
【図5】図5は、標的配列の捕捉における本発明の方法の効率を示す実験データ(正しい塩基コール対正しくない塩基コール)、および正しい標的配列対正しくない標的配列の捕捉における差の倍数を示す。
【図6】図6は、3種類の異なる大腸菌増幅および作製された断片化された実験DNAの制限消化マップを示す。
【図7】図7は、本発明の使用によりゲノム変異が同定されることを例示する。
【図8−1】図8は、低識別スコア(<0.5 Dスコア)によって指示されたとおりに正しく塩基コールを行なうことができる能力に関して、異なるクリベース分子の活性に対する5’flap長さの効果を示す。
【図8−2】図8は、低識別スコア(<0.5 Dスコア)によって指示されたとおりに正しく塩基コールを行なうことができる能力に関して、異なるクリベース分子の活性に対する5’flap長さの効果を示す。
【図9】図9は、クリベース活性の増強におけるRecJの効果を例示する;A)は、RecJを伴わないクリベース反応を示し、B)は、RecJの存在下でクリベースの増強された活性を示す。
【図10】図10は、クリベースおよびリガーゼ反応における単独酵素特異性対二重酵素特異性についてのヘアピン配置の比較を示す。A、C)ヘアピン配置は、例えば、3’末端に1bp突出端を有する幹部長さ(6bp〜12bp)のヘアピンを有する5’から3’に合成されるオリゴマープローブ(配列番号:11-14、34-37)を有する。B、D)ヘアピン配置は、例えば、幹部長さ(6bp〜12bp)のヘアピンを有する5’から3’に合成されるオリゴマープローブ(配列番号:16-19、38-41)を有する。これらにより、ヘアピンの3’末端と切断された標的の5’末端(配列番号:15、42)との間にライゲーションのための塩基特異的基質が生成される。OLは、インテロゲーション部位におけるオーバーラップをいう。したがって、OL1は、インテロゲーション部位における1ヌクレオチドのオーバーラップをいい、OL0は、インテロゲーション部位におけるオーバーラップがゼロまたはないことをいう。
【図11】図11は、種々のヘアピン配置を用いた83bp PCR断片における塩基コールの特異性の評価を示す。該83bp断片において各塩基ごとに識別スコアを計算し、2つの種類のヘアピン配置に対してプロットした。1)二重(OL0)および2)単一(OL1)酵素特異性。各種類内で、いくつかの幹部配列およびループ配列を比較した。ヘアピンのない対照プローブセット(No_HP)は最も低い識別を有したが、二重酵素性ヘアピン配置は最も高かった。
【図12−1】図12は、種々のヘアピン配置を用いた83bp PCR断片における塩基コールの特異性の評価を示す。該83bp断片において各塩基ごとに識別スコアを計算し、2つの種類のヘアピン配置に対してプロットした。1)二重(OL0)(配列番号:20〜25)および2)単一(OL1)(配列番号:26〜31)酵素特異性。各種類内で、いくつかの幹部配列およびループ配列を比較した。
【図12−2】図12は、種々のヘアピン配置を用いた83bp PCR断片における塩基コールの特異性の評価を示す。該83bp断片において各塩基ごとに識別スコアを計算し、2つの種類のヘアピン配置に対してプロットした。1)二重(OL0)(配列番号:20〜25)および2)単一(OL1)(配列番号:26〜31)酵素特異性。各種類内で、いくつかの幹部配列およびループ配列を比較した。
【発明を実施するための形態】
【0038】
発明の詳細な説明
本発明は、固相基材上および溶液中の核酸の標的化捕捉のための方法およびアッセイにおけるflapエンドヌクレアーゼおよびリガーゼの使用のための方法およびアッセイを提供する。本発明の特定の例示的な態様を以下に示す。本発明はこれらの態様に限定されない。
【0039】
Flapエンドヌクレアーゼ(FEN)は、クリベースとしても公知であり、核酸を配列特異的様式で切断し得る構造特異的酵素である。該酵素は、例えば、米国特許および公開特許出願公開公報5,843,669、5,888,780、6,090,606、6,562,611、7,122,364、2007/0003942、2007/0292856、2006/0292580、2006/0183207、2006/0177835、2006/0154269および2006/0040294(これらはすべて参照によりその全体が本明細書に援用される)に見られるような、Third Wave TechnologiesのInvader(登録商標)遺伝子型分類および核酸検出技術の開発における成分として使用された。flapエンドヌクレアーゼ組成物および方法のさらなる例は、米国特許および公開特許出願公開公報6,255,081、6,251,649、6,979,725、5,874,283、2007/0292934、2007/0292864、2007/0231815、および2007/0105138(これらはすべて参照によりその全体が本明細書に援用される)に見られる。FENのエンドヌクレアーゼ活性としては、鎖の一方に侵入性複合体と称される5’突出端(flap)を有するDNA二本鎖の認識が挙げられる(図1および2に例示)。FENは、単鎖DNAと二本鎖DNAの接合部位のホスホジエステル結合の加水分解性切断を触媒する(Harrington,J.J.およびLieber,M.R.,EMBO J 13(5)(1994)1235-46;Harrington,J.J.およびLieber,M.R.,J Biol Chem 270(9)(1995)4503-8;参照によりその全体が本明細書に援用される)。特異的二次構造を認識して切断するFENの能力により、これらの酵素用いて、核酸の具体的な配列の予備知識なく核酸の内部の配列の違いを検出することが可能になる。本発明のいくつかの態様において、プローブの3’末端ヌクレオチドが標的核酸試料内に存在する場合、FENによって認識される特異的構造が作り出され、FEN切断が起こる。しかしながら、プローブ内に見られる配列が標的配列に相補的でない場合、構造は認識されず、FEN切断は起こらない。そのため、標的核酸の配列特異的認識が達成される。
【0040】
リガーゼ、特に熱安定性リガーゼが本発明の方法およびアッセイでの使用にさらに予期される。標的分子の5’末端へのプローブ3’末端のライゲーションは、FEN認識構造が存在する場合、標的分子のFEN切断後に行なわれる。当業者に公知のように、リガーゼは、二本鎖DNAまたはRNA内の並列した3’ヒドロキシル末端と5’リン酸末端間のホスホジエステル共有結合の形成を触媒する(図1および2に例示)。本発明の好ましい態様において、熱安定性リガーゼが予期される。T4 DNAリガーゼなどの非熱安定性リガーゼは、室温で最適な酵素活性を示す。熱安定性リガーゼ、例えば、細菌サーマス・アクアチカス(Thermus aquaticus)およびピロコッカス・フリオサス(Pyrococcus furiosus)に見られるものは、ずっと高い温度、例えば、45℃より高い温度で最適な酵素活性を示し、本明細書に記載の本発明の方法およびアッセイに適用した場合、温度条件がより柔軟性になる。熱安定性リガーゼの例は、例えば、米国特許および公開特許出願6,949,370、6,576,453、6,280,998、6,444,429、5,700,672、2007/0037190、2005/0266487ならびに欧州特許公開公報WO 07/035439に見られ、これらはすべて参照によりその全体が本明細書に援用される。FENが該標的核酸を切断したら、リガーゼ酵素によるライゲーションによって標的配列がプローブに共有結合され、前記プローブは、固相、例えばマイクロアレイスライドに固定されるか、または溶液中に維持されるかのいずれかとなる。そのため、標的核酸の配列特異的捕捉が達成される。
【0041】
さらに、RecJをssDNA結合タンパク質(SSBP)とともに、またはなしで含めることにより、記載のハイブリダイゼーション反応物における侵入性複合体がクリベースによって認識されたら、クリベースの有効性が向上するであろうということが予期された。Rec Jエキソヌクレアーゼ(RecJ)は、単鎖DNAを5’-3’方向に分解し、さらに、ミスマッチ修復および相同組換えに参加する(Lovett,S.T.およびKolodner,R.D.,Proc Natl Acad Sci 86(1989)2627-2631;Yamagata,A.,et al.,Nucl Acids Res 29(22)(2001)4617-4624;Han,E.S.,et al.,Nucl Acids Res 34(4)(2006)1084-1091;参照によりその全体が本明細書に援用される)。Rec Jは、リン酸化末端および非リン酸化 DNA末端の両方を等しい親和性で分解するが、単鎖末端は少なくとも7ヌクレオチド長ことが必要とされる。Rec Jは、プロセッシブ性のエキソヌクレアーゼであり、単鎖末端に結合した後、ほぼ1000個のヌクレオチドを分解し、典型的には、二本鎖DNA接合部にきたら停止する。しかしながら、RecJヌクレアーゼ活性は正確でなく、接合部の数ヌクレオチド手前または接合部(function)の数塩基対後ろで分解活性が停止することもある。単鎖DNAへのRec Jの漸増は、分解反応への単鎖DNA結合タンパク質の添加によって増強され得ることが示唆されている(Han,E.S.,et al.,Nucl Acids Res 34(4)(2006)1084-1091)。そのため、RecJエキソヌクレアーゼおよびSSBPの1種類以上を含めることは、クリベース活性を高め、本明細書に記載の標的核酸の配列特異的捕捉における(is)高効率が可能になることが予期される。
【0042】
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドプローブは、マイクロアレイスライドなどの固相に、その5’末端または5’側または5’アームで結合され、前記プローブは、単鎖であり標的配列に相補的な中央部分と、相補核酸の二本鎖領域に結合された単一のヌクレオチドのループを含むヘアピン構造を含み、目的の標的配列に特異的な3’末端塩基(例えば、単一ヌクレオチド多型などのゲノム変異を調べるためのインテロゲーションヌクレオチド)で終わる3’末端領域とを含む。いくつかの態様において、例えば、変異または多型を調べるための標的配列に特異的な塩基は、プローブの5’側のヘアピンループ構造のすぐ近くに配置される。好ましい態様において、二本鎖ヘアピン領域は、少なくとも3塩基対、少なくとも5塩基対、少なくとも6塩基対、少なくとも8塩基対、少なくとも10塩基対、少なくとも16塩基対である。核酸プローブは、核酸鎖(例えば、DNA、cDNA、gDNA、RNA、mRNA、tRNAなど)、例えば、ヒトゲノムDNA(gDNA)(例えば、全体または断片化されたもの)の複雑な標的集団とともに、核酸プローブの5’末端の単鎖部分に相補的な核酸配列とプローブ3’末端塩基がプローブに特異的にハイブリダイズするような相補的なDNA鎖のハイブリダイゼーションに有利な条件下でインキュベートされる。いくつかの態様において、標的核酸は3’末端が、例えば、検出可能な部分(例えば、フルオロフォア、発色団、放射性同位体など)で標識される。
【0043】
いくつかの態様において、本発明は、その5’末端でマイクロアレイスライドなどの固相に結合されたオリゴヌクレオチドプローブを提供し、前記プローブは、単鎖であり部分的に標的配列に相補的な中央部分と、相補核酸の二本鎖領域に結合された単一のヌクレオチドのループを含むヘアピン構造含み、標的配列に相補的な3’末端塩基で終わる3’末端領域とを含み、ヘアピン構造を含む相補核酸の二本鎖領域の5’末端に近位のヌクレオチドは、目的の標的配列に相補的な配列(例えば、単一ヌクレオチド多型などのゲノム変異を調べるためのインテロゲーションヌクレオチド)を含む。好ましい態様において、近位ヌクレオチドは、二本鎖ヘアピン構造のすぐ近くである。いくつかの態様において、近位ヌクレオチドは、5’側の二本鎖ヘアピン構造の1、2、3、4、5、6、7、8、9または10塩基上流である。好ましい態様において、二本鎖ヘアピン領域は、少なくとも3塩基対、少なくとも10塩基対、少なくとも16塩基対である。核酸プローブは、核酸鎖(例えば、DNA、cDNA、gDNA、RNA、mRNA、tRNAなど)、例えば、ヒトゲノムDNA(gDNA)(例えば、全体または断片化されたもの)の複雑な標的集団とともに、核酸プローブの5’末端の単鎖部分に相補的な核酸配列とプローブ3’末端塩基がプローブに特異的にハイブリダイズするような相補的なDNA鎖のハイブリダイゼーションに有利な条件下でインキュベートされる。いくつかの態様において、標的核酸は3’末端が、例えば、検出可能な部分(例えば、フルオロフォア、発色団、放射性同位体など)で標識される。
【0044】
いくつかの態様において、本発明は、その5’末端でマイクロアレイスライドなどの固相に結合されたオリゴヌクレオチドプローブを提供し、前記プローブは、単鎖であり標的配列に相補的な中央部分と、相補核酸の二本鎖領域に結合された単一のヌクレオチドのループを含むヘアピン構造含み、標的配列に相補的な3’末端塩基で終わる3’末端領域とを含む。好ましい態様において、二本鎖ヘアピン領域は、少なくとも3塩基対、少なくとも10塩基対、少なくとも16塩基対である。核酸プローブは、核酸鎖(例えば、DNA、cDNA、gDNA、RNA、mRNA、tRNAなど)、例えば、ヒトゲノムDNA(gDNA)(例えば、全体または断片化されたもの)の複雑な標的集団とともに、核酸プローブの5’末端の単鎖部分に相補的な核酸配列とプローブ3’末端塩基がプローブに特異的にハイブリダイズするような相補的なDNA鎖のハイブリダイゼーションに有利な条件下でインキュベートされる。いくつかの態様において、標的核酸は3’末端が、例えば、検出可能な部分(例えば、フルオロフォア、発色団、放射性同位体など)で標識される。いくつかの態様において、単鎖であり標的配列に相補的な中央部分と、相補核酸の二本鎖領域に結合された単一のヌクレオチドのループを含むヘアピン構造含み、標的配列に相補的な3’末端塩基で終わる3’末端領域とを含むオリゴヌクレオチドプローブは、欠失、転座などの遺伝子の異常を調べるためのハイブリダイゼーションアッセイに有用性が見い出される。
【0045】
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドプローブは、合成され、DNA Microarray:A Molecular Cloning Manual、2003、編集BowtellおよびSambrook、Cold Spring Harbor Laboratory Press(参照によりその全体が本明細書に援用される)に記載のような基材、例えばマイクロアレイスライドまたはチップに固定される。好ましい態様において、捕捉オリゴヌクレオチドプローブは、マイクロアレイスライドなどの基材上で、例えば、米国特許および特許公開公報7,157,229、7,083,975、6,444,175、6,375,903、6,315,958、6,295,153、5,143,854、2007/0037274、2007/0140906、2004/0126757、2004/0110212、2004/0110211、2003/0143550、2003/0003032、および2002/0041420(これらはすべて参照によりその全体が本明細書に援用される)に記載のマスクレスアレイ合成装置(MAS)を用いて直接合成される。マイクロアレイを印刷するためのMAS装置が使用される場合、オリゴヌクレオチドプローブ配列の選択は、研究者の特定のニーズに基づいて個々にカスタマイズされたアレイが作製されるようなソフトウエアの制御下で、マイクロアレイスライド上でインサイチュで直接構築される。かかるアレイは、数百、数千、数百万個のプローブを含む。
【0046】
オリゴヌクレオチドプローブは、基材(例えばマイクロアレイスライド)上でインサイチュ合成されようと(例えばMAS合成)、合成されてから基材上に配置されようと、典型的には3’から5’へと合成される。しかしながら、ほとんどの核酸酵素(例えば、制限エンドヌクレアーゼ、ポリメラーゼ、ターミナルトランスフェラーゼ、リガーゼ、キナーゼ、ホスファターゼ等)は5’から3’への活性を有するので、酵素反応には、逆化学反応(例えば、5’から3’)を用いたプローブの合成が必要である。このように、本発明の方法およびアッセイの態様は、例えばAlbert, T.J., et al., Nucl Acids Res 31(7) (2003) e35(その全体において参照により本明細書に援用される)に記載されるように、MAS機器を使用して、優先的に5’から3’へと合成されるオリゴヌクレオチドプローブのインサイチュ合成を含む。
【0047】
本発明により、核酸配列の差違、例えば一塩基多型、ゲノムコピー数変異体、メチル化状態等を検出するための方法およびアッセイが提供される。本発明の方法およびアッセイにおいて、標的核酸はプローブとハイブリダイズするが、該プローブは基材に(例えば、インサイチュ合成もしくは他の方法により)固定されるか、または溶液中に見られる。いくつかの態様において、プローブは少なくとも15ヌクレオチド(nt)長、少なくとも20 nt、少なくとも25 nt、少なくとも30 nt、少なくとも35 nt、少なくとも40 nt、少なくとも45 nt、少なくとも50 nt、少なくとも55 nt、少なくとも60ヌクレオチド長である。いくつかの態様において、本発明のプローブは、基材、例えばマイクロアレイスライド、マイクロアレイチップ、ビーズ、プレート等の上でインサイチュ合成される。好ましい態様において、プローブは、MAS機器を用いてインサイチュ合成され、該プローブの5’末端は、基材に固定される。いくつかの態様において、プローブは溶液中で合成されて溶液中に維持される。
【0048】
本発明のプローブは、標的配列に相補的な単鎖5’末端、二本鎖領域を生じる一連の相補的塩基を含むヘアピン構造および二本鎖領域(例えば、ヘアピン構造)の真ん中に一本鎖を生じる相補的でない配列、ならびに特異的標的配列に相補的な3’末端塩基を含む3’末端を含む。いくつかの態様において、ヘアピン構造は少なくとも5塩基、10塩基、少なくとも12塩基、少なくとも14塩基、少なくとも16塩基、少なくとも18塩基長である。いくつかの態様において、ヘアピン構造は少なくとも16塩基である。いくつかの態様において、ヘアピン構造は、図3に例示されるように配列番号:1を含む。しかしながら、本発明はヘアピン構造の配列に限定されることはなく、ヘアピン構造およびそれらの設計のさらなる例は、その両方がその全体において参照により本明細書に援用されるVarani, G., Ann Rev Biophys Biomol Struct 24 (1995) 379-404およびAntao, V.P., et al., Nucl Acids Res 19(21) (1991) 5901-5中に見られる。図1および2に例示されるように、プローブヘアピンの3’末端塩基に相補的なプローブ上のヌクレオチド塩基はアッセイ特異性を決定し、しばしば、「対立遺伝子特異的塩基」と称される。図10に例示されるように、ヘアピン構造に近位のプローブの5’側またはアームの核酸塩基もアッセイ特異性を決定する。対立遺伝子特異的塩基が標的鎖の対応する塩基に相補的である場合、ヘアピンおよび標的分子は、「侵入性複合体」と称され、FEN酵素により認識される特異的な構造を形成する。塩基特異的ヌクレオチドが標的鎖に存在する場合、FENは塩基の3’側の標的鎖を切断し、それにより標的鎖の非ハイブリダイズまたはflap、5’末端が放出される。塩基が対立遺伝子特異的塩基に相補的ではない場合、侵入性複合体は形成されず、FENは標的分子を切断しない。
【0049】
いくつかの態様において、プローブと標的核酸のハイブリダイゼーション後、プローブ/標的複合体を、flapエンドヌクレアーゼ(FEN)、リガーゼ、RecJ、ssDNA結合タンパク質および適当なバッファならびに酵素反応を生じるのに必要な補因子(ATPまたはNAD+)の1つ以上を含むカクテルとインキュベートする。FENは、侵入性複合体を形成する標的分子を切断し、核酸プローブヘアピンと標的核酸分子間にギャップを生じる。ssDNA結合タンパク質有または無でRecJを含むことにより、クリベース(cleavase)反応の効率が増加し、それにより侵入性複合体の切断の感度が増加し得ることが予期される。リガーゼはギャップを修復し、標的分子とプローブを共有結合させる。侵入性複合体が形成されない場合、FENは標的分子を切断せず、標的分子はプローブと連結されない。結合していない分子はその後、洗浄により結合標的から分離される。標的分子は基材上のプローブに共有結合しているので、非共有結合ハイブリダイゼーション法に使用される非常に高いストリンジェンシーで洗浄を行うことができ、それにより、非特異的に結合した非標的分子の除去が増加し、捕捉特異性および信号雑音比が大きく改善される。
【0050】
いくつかの態様において、プローブに結合する標的分子は、本明細書に記載され、当業者に公知のデータ解析機器およびソフトウェアを用いて、検出可能な手段(例えば、比色定量分析、放射測定、蛍光測定、ゲル電気泳動等)により同定される。
【0051】
標的分子がプローブに共有結合しているので、結合していない標的分子の除去のために、アレイを高いストリンジェンシーで洗浄することができ、それによりバックグラウンドシグナルの低減が増加され、アッセイの信号雑音比が増加される。本発明の適用としては、限定されないが比較ゲノムハイブリダイゼーション(CGH)、一塩基多型遺伝子形決定、遺伝子転写プロファイリング、ゲノムメチル化解析、クロマチン免疫沈降マッピング等が挙げられる。
【0052】
いくつかの態様において、本発明により、例えば高出力配列決定適用および他の下流適用のためのDNAの標的捕捉のためのアッセイおよび方法が提供される。
【0053】
いくつかの態様において、核酸プローブは溶液中にあり、その5’末端は捕捉可能部分、例えばビオチン部分に結合している(図2)。該核酸プローブはさらに、前述のように、一本鎖であり、標的配列に相補的な5’領域および相補的核酸の二本鎖領域に挟まれた一本鎖ヌクレオチドのループを含むヘアピン構造を含む3’末端領域を含む。いくつかの態様において、ヘアピン構造は少なくとも5塩基、10塩基、少なくとも12塩基、少なくとも14塩基、少なくとも16塩基、少なくとも18塩基長である。いくつかの態様において、プローブは、少なくとも15ヌクレオチド(nt)長、少なくとも20 nt、少なくとも25 nt、少なくとも30 nt、少なくとも35 nt、少なくとも40 nt、少なくとも45 nt、少なくとも50 nt、少なくとも55 nt、少なくとも60ヌクレオチド長である。該プローブは、好ましくは100塩基未満であることが企図される。いくつかの態様において、ヘアピン配列は、プローブから結合した標的配列を放出して連結するための切断可能配列を含む。例えば、ヘアピン配列は、制限エンドヌクレアーゼ(RE)部位または1つ以上のウラシルを含む。核酸プローブを、核酸鎖(例えば、DNA、cDNA、gDNA、RNA、mRNA、tRNA等)の複雑な標的集団、例えば断片化ヒトゲノムDNA(gDNA)と、核酸プローブの5’末端の一本鎖部分に相補的なゲノムの断片がプローブに特異的にハイブリダイズするように、相補的DNA鎖のハイブリダイゼーションに好ましい条件下でインキュベートする。いくつかの態様において、標的核酸を、例えば検出可能部分(例えば、フルオロフォア、発色団、放射性同位体等)を用いて、3’末端で標識する。
【0054】
図2に見られるように、対立遺伝子特異的塩基が標的鎖の対応する塩基に相補的である場合、ヘアピンと標的分子がハイブリダイズして、FEN酵素により認識される特異的構造を形成する。塩基特異的ヌクレオチドが標的鎖中に存在する場合(図2)、FENは塩基の3’側の標的鎖を切断し、それにより標的鎖の非ハイブリダイズ、またはflap、5’末端を放出する。該塩基が対立遺伝子特異的塩基に相補的ではない場合、侵入性複合体は形成されず、標的分子はFENにより切断されない。FENと共にssDNA結合タンパク質ありまたは無でRecJを統合することにより、クリベース酵素の効率が増加すると予期される。
【0055】
いくつかの態様において、ハイブリダイゼーション後、プローブ複合体を、FEN酵素、リガーゼ酵素、RecJ、ssDNA結合タンパク質、適当なバッファおよび酵素反応を生じるのに必要な補因子(ATPまたはNAD+)の1つ以上を含むカクテルとインキュベートする。FENは、侵入性複合体を形成する標的分子を切断し、核酸プローブヘアピンと標的核酸分子間にギャップを生じる。前述のように、リガーゼは、標的分子とプローブを共有結合してギャップを修復する。侵入性複合体が形成されない場合、FENは標的分子を切断せず、標的分子はプローブと連結されない。いくつかの態様において、図2Bに例示するように、溶液中で標識されたプローブ、この例においてはビオチン標識プローブに共有結合した標的分子は、ストレプトアビジン(SA)コートビーズにより捕捉(例えば結合)され、このときストレプトアビジンは当業者に公知のように標識プローブのビオチンと結合する。ストレプトアビジンの結合後、溶液からビーズを除去して洗浄し、それにより結合していない非標的分子を捕捉ビーズ上の結合標的分子から除去し、標的分子/プローブ複合体を望ましくない反応成分から精製する。標的分子はSA結合ビオチン標識プローブに共有結合しているので、非共有結合法に使用される非常に高いストリンジェンシーで洗浄を行うことができ、それにより非特異的に結合した非標的分子の除去が増加し、捕捉特異性および信号雑音比が大きく改善される。
【0056】
いくつかの態様において、例えば合成の際に制限エンドヌクレアーゼの認識部位がプローブのヘアピン配列中に組み込まれている場合には、標的分子を含むビーズをREに曝露することにより、標的分子をSA結合プローブから放出させる。いくつかの態様において、合成中に1つ以上のウラシルがヘアピン中に組み込まれている場合、標的分子は、ウラシル-DNA-グリコシラーゼ(UDG)とインキュベートして、損傷部位でエンドヌクレアーゼVIII消化することによりSA結合プローブから放出される。本発明は、結合プローブからの標的分子の放出方法に限定されず、DNAを切断する他の当該技術分野に公知の方法が、本発明の方法およびアッセイを用いた使用に企図される。
【0057】
標的分子は、遊離させたら、例えば高出力シーケンサーを用いた配列決定などの下流の適用に供される。本発明の方法およびアッセイはさらに、研究者に、それぞれの捕捉標的核酸分子のエンドポイントおよび指向性、結果的にそれぞれの配列決定読み出しを正確に規定するための能力を提供する。本明細書に記載される酵素的手段を用いた標的配列の放出は、本明細書に記載のように、マイクロアレイなどの固相支持体上で合成されたプローブから標的配列を放出し易いものと予期される。
【0058】
いくつかの態様において、本発明の方法およびアッセイにより、一塩基多型(SNP)の解析が提供される。いくつかの態様において、本発明により、DNA試料、例えばゲノムDNA試料中のコピー数変異体(CNV)の解析のための方法およびアッセイが提供される。SNPおよびCNV解析は、例えば疾患や障害に関連のある異なる種間およびSNPとCNVの間の関連研究に有用である。このように、本発明の方法およびアッセイにより、特定の被験体、例えばヒト被験体におけるゲノム変異体およびそれらの疾患との関連の解析が提供される。しかしながら、本発明は、任意の特定の属および/または種由来のゲノム配列、例えば任意の原核生物または真核生物の配列の解析に限定されず、研究、診断または治療的使用のための本発明の適用に適するものであると期待される。
【0059】
いくつかの態様において、本発明は特定の組のハイブリダイゼーション条件には限定されない。しかしながら、好ましくは、当業者に公知のストリンジェントなハイブリダイゼーション条件が使用される。本発明で使用されるハイブリダイゼーション溶液としては限定されないが、NimbleGen Hybridization Kits (Roche NimbleGen, Madison WI)中に見られるものが挙げられる。いくつかの態様において、本発明は、プローブ/標的複合体を洗浄して、その後酵素切断および連結反応を行い、それにより結合していない核酸分子および非特異的に結合した核酸分子を除去する工程を提供する。いくつかの態様において、本発明は、異なるストリンジェンシーの洗浄、例えば0.2xSSC、0.2% (v/v) SDSおよび0.1mM DTTを含む洗浄バッファI、0.2xSSCおよび0.1mM DTTを含む洗浄バッファIIならびに0.5xSSCおよび0.1mM DTTを含む洗浄バッファIIIを提供する。いくつかの態様において、洗浄、ハイブリダイゼーションおよび酵素反応のための溶液およびバッファはリチウムを含む。本発明は、ハイブリダイゼーションおよび/または洗浄バッファの組成により制限されない。いくつかの態様において、標的配列をプローブから溶出し、その後、例えば水または当業者に公知の同様の低溶質溶液を使用して例えばRE消化を行う。
【0060】
いくつかの態様において、本発明は、標的アレイ系-、ショットガン-、キャピラリー-または当該技術分野に公知の他の配列決定法におけるその後の使用のための標的核酸配列の捕捉を提供する。当業者に公知のように、合成による配列決定は、配列決定反応中の特異的なデオキシヌクレオシド三リン酸の取り込みの際の副生成物の生成をモニタリングする配列決定法であることが解されよう(Ronaghi, M., et al., Science 281 (1998) 363-65;その全体において参照により本明細書に援用される)。例えば、合成反応による配列決定の1つ以上の主な態様は、ピロリン酸配列決定法である。ピロ配列決定において、ヌクレオチド取り込み中のピロリン酸の生成は、化学発光シグナルの生成をもたらす酵素カスケードによりモニタリングされる。454ゲノムシーケンサーシステム(Roche Applied Science、カタログ番号04760085001)は、ピロリン酸配列決定技術に基づく。454 GS20または454 FLX機器を用いた配列決定では、平均ゲノムDNA断片サイズは、好ましくはそれぞれ200または600 bpの範囲である。合成反応による配列決定は、ターミネーター色素型配列決定反応も含み得る。この場合、取り込まれたdNTP構造ブロックは、生じるDNA鎖のさらなる伸長を妨げる蛍光標識などの検出可能標識を含む。例えば、3’-5’エクソヌクレアーゼ活性またはプルーフリーディング活性を含むDNAポリメラーゼを使用したdNTP構造ブロックの鋳型/プライマー伸長ハイブリッドへの取り込みの際に、標識が除去され検出される。しかしながら、本発明は、本発明と共に使用され得る下流の適用の種類に制限されない。
【0061】
いくつかの態様において、標的配列は、酵素消化(例えば、制限エンドヌクレアーゼ、UDGおよびエンドVIII等)によりオリゴヌクレオチドプローブから放出され、該プローブから溶出されて配列決定される。いくつかの態様において、配列決定は、454 Life Sciences Corporationシーケンサーを使用して実施される。いくつかの態様において、本発明は、製造業者のプロトコルに従ったエマルジョンPCR(emPCR)による標的配列増幅、その後の溶出を提供する。クローン増幅されたemPCR由来の標的核酸を含むビーズを製造業者のプロトコルに従って、ピコタイタープレートに移し、配列決定のためにピロリン酸配列決定反応に供する。
【0062】
いくつかの態様において、本発明は、1つのアレイまたは1つの溶液中で複数の異なる標的配列が検出される、例えば複数の標的配列の同時の捕捉および検出が企図される、方法およびアッセイを提供する。かかる態様において、2色標識(例えば、2チャンネル蛍光、蛍光/非蛍光等)が企図される。例えば、一方の標識配列を1つの検出可能部分で標識して、他方の標的配列を第二の検出可能部分で標識する。例えば、一方の標的配列を蛍光部分(例えば、フルオレセイン、Cy-3、Cy-5等)で標識して、第二の標的配列を非蛍光部分(例えば、ビオチン、ジゴキシゲニン)または第一の蛍光部分とは検出波長が異なる蛍光部分で標識する。ターミナルトランスフェラーゼは、例えばフルオロフォアのddCTPコンジュゲート(例えば、フルオレセイン-12-ddCTP)および第二の部分のddCTPコンジュゲート(例えば、ビオチン-11-ddCTP)を用いて、標的配列の3’末端を標識するために使用できる。このように、2チャンネル検出または識別部分検出により、2つの異なる捕捉標的配列間の識別が可能になる。
【0063】
いくつかの態様において、本明細書に記載される本発明の方法およびアッセイの実施の終了時に、検出されたシグナルをさらに増幅する。シグナル増幅法の例としては限定されないが、例えばNEN(登録商標) Life Sciences Products, Inc. (Boston MA)により市販されるTyramide Signal Amplificationキットに見られるものが挙げられる。
【0064】
いくつかの態様において、結合した標的配列に関してデータ解析を行う。データ解析は、例えば捕捉された標的配列中に見られるSNPまたはCNVを同定するために実施される。データ解析は、任意のアレイスキャナー、例えばAxon GenePix 4000B蛍光スキャナーを使用して実施される。データが該スキャナーにより捕捉されると、バイオインフォマティクスプログラムを使用して捕捉されたデータが解析される。蛍光マイクロアレイフォーマットのデータ解析に有用なバイオインフォマティクスプログラムとしては、限定されず、SignalMapTM (NimbleGen) およびNimbleScanTM(NimbleGen) が挙げられるが、本発明の方法により生成されたデータを捕捉および解析できる任意のスキャナーおよびバイオインフォマティクスプログラムが同等に有用である。データ出力は、例えば任意のコンピュータースクリーンまたは本発明を実施して生成されたデータを表示できる他のデバイスを用いて可視化される。
【0065】
いくつかの態様において、本発明により、本明細書に記載される方法およびアッセイを実施するためのキットが提供される。いくつかの態様において、該キットは、本明細書に記載されるように、標的核酸分子の標的核酸捕捉を実施するために充分かつ必要な試薬および/または他の成分(例えば、バッファ、指示書、固相表面、容器、ソフトウェア等)を含む。キットは、異なる保存、例えばそれぞれのキット成分/試薬に特定の光、温度等の要件のために、該キット成分/試薬の異なる保存を必要とし得る、1つ以上の容器(さらに1つ以上のチューブ、パッケージ等を含む)でユーザーに提供される。いくつかの態様において、キットは、1つ以上の固相支持体を含み、該固相支持体は、複数のオリゴヌクレオチド捕捉プローブが固定されたマイクロアレイスライドまたは複数のビーズである。いくつかの態様において、キットは、溶液中にオリゴヌクレオチドプローブを含み、該プローブは捕捉部分およびビーズを含み、該ビーズはオリゴヌクレオチドプローブに固定するように捕捉部分に結合するように設計される。例えば、かかる部分はストレプトアビジンコート固相支持体上での固定化に使用可能なビオチン標識である。あるいは、かかる修飾は、ハプテン認識抗体でコートされた固相支持体上での固定化に使用可能なジゴキシゲニンなどのハプテンである。
【0066】
いくつかの態様において、本発明のキットは、酵素反応を行うための少なくとも1つまたは複数の化合物および試薬、例えば1つ以上のflapエンドヌクレアーゼ、DNAリガーゼ、RecJエクソヌクレアーゼ、ssDNA結合タンパク質、T4ポリヌクレオチドキナーゼ、制限エンドヌクレアーゼ、DNAポリメラーゼ、ターミナルトランスフェラーゼ、Klenow等を含む。いくつかの態様において、キットは、ハイブリダイゼーション溶液、洗浄溶液および/または溶出試薬の1つ以上を含む。キット中に見られる洗浄溶液の例としては、限定されないが、洗浄バッファI(0.2xSSC、0.2% (v/v) SDS、0.1mM DTT)、および/または洗浄バッファII(0.2xSSC、0.1mM DTT)および/または洗浄バッファIII(0.5xSSC、0.lmM DTT)が挙げられる。いくつかの態様において、キット中に見られる1つ以上のバッファまたは溶液は、リチウムを含む。いくつかの態様において、キットは1つ以上の溶出液を含み、該溶出液は純水および/またはTRISバッファおよび/またはEDTAを含む溶液、または他の低溶質液を含む。
【0067】
以下の実施例は、本発明の特定の態様および局面を説明し、さらに例示するために提供され、本発明の範囲の限定を意図しない。
【実施例】
【0068】
実施例1
クレアチンホスホキナーゼ6(CPK6)および制限断片化PCRアンプリコンの標的捕捉
本発明の方法およびアッセイにおけるライゲーション効率を試験する実験を設計した。3’標識CPK6オリゴヌクレオチド(Integrated DNA Technologies (IDT), Coralville IA)および約1100〜約1500bpのアンプリコン(配列番号:2、3および4)を生じる大腸菌ゲノムDNA(ATCC No. 700926D-5)から増幅したPCR断片を使用する実験を設計した。16bpヘアピンを含む50および60塩基のオリゴヌクレオチドプローブを設計した。図3に示すように、使用したヘアピン配列は5’-CCGGAGGATACTCCGG-3’ (配列番号:1)であった。ヘアピン構造を含まない対照プローブを合成した。クエリー配列中の標的ヌクレオチドについて、鎖ごとに4種類全ての塩基を表す4つの組のプローブを設計し、つまり全部で8本のプローブ(例えば、DNA標的のそれぞれの鎖について4本)を設計した。それぞれの4つの組は、鎖ごとに、50/60塩基プローブの3’末端の末端塩基以外は同じプローブ配列を含んだ。Roche NimbleGen (Madison, WI) で、アレイごとに210万のプローブの密度を有するプローブ(HD2)を、アレイ上にインサイチュ合成した。
【0069】
PCRプライマー;
1277-F 5’-ATGAGCAACAATGAATTCCA-3’ (配列番号:5)
1277-R 5’ATGGTCAGCGGATACAGGAA-3’ (配列番号:6)
2205-F 5’ATGAATGACACCAGCTTCGA-3’ (配列番号:7)
2205-R 5’GCCAGTAGCGTAATCGGATG-3’ (配列番号:8)
2825-F 5’-ATGTCTGAACAACACGCACA-3’ (配列番号:9)
2825-R 5’ACAGAATAACGTCGCGGATG-3’ (配列番号:10)
を使用して、大腸菌ゲノムDNAから3種類のPCR断片を増幅した。
【0070】
PCR増幅条件は、まず94℃、2分の変性、次いで94℃/30秒、55℃/60秒、72℃ 60を30サイクル、72℃、7分の最後の伸長を含んだ。2種類の制限酵素(HhaIおよびNlaIII)で断片を消化して、3’突出を有する種々のサイズの断片を得た。制限断片化アンプリコンを等モル濃度でプールし、antarcticホスファターゼ(NEB)でさらに処理をして5’末端を脱リン酸化した。これにより自己-自己ライゲーションおよびアレイ上に合成されたプローブへの直接的な非特異的ライゲーションを防ぐ。断片化および脱リン酸化アンプリコンの3’末端を、ターミナルトランスフェラーゼ(TdT, Roche)を用いてCy3-ddCTPで標識し、例えばMolecular Cloning, A Laboratory Manual, Sambrookら編、Cold Spring Harbor Press(その全体において参照により本明細書に援用される)に見られるような、当業者に公知の方法を使用して、非標識断片から沈殿させた。標識断片を、3’末端をCy3で標識したリン酸化CPK6オリゴヌクレオチド(IDT)と合わせた。
【0071】
マイクロアレイスライドをNimbleChip HX3ミキサー(Roche NimbleGen, Madison WI)でシール(seal)した。変性および標識した標的アンプリコンをマイクロアレイに供した。マイクロアレイ上に見られるプローブは、ヘアピンを有するものと有さないものを含んだ。標的配列を有するマイクロアレイスライドを、ストリンジェントな条件下で、MAUI Hybridization System(BioMicro)中42℃で一晩ハイブリダイズさせ、洗浄バッファで3回洗浄し、スキャンした。適切なバッファ中でAmpligase(登録商標)(Epicentre, Madison WI)を使用してライゲーションを行い、45℃で4時間インキュベーションした。スライドを3回洗浄して、アレイを一定に攪拌しながら約2分間、水中で煮沸した。煮沸後、マイクロアレイスライドを洗浄してスキャンした。Axon GenePix 4000B蛍光スキャナーを使用してスキャンを行った。それぞれのスキャンについてデータを捕捉して、SignalMapTM(NimbleGen)およびNimbleScanTM(NimbleGen)ソフトウェアアプリケーションを使用してデータ解析を行った。
【0072】
結果は、ヘアピンを有さないプローブ(CPK6対照)について、標的捕捉がなかったことを示す(図4)。しかしながら、プローブがヘアピンを含み、標的断片配列が相補的な標的塩基を含んでいた場合、リガーゼにより標的配列をがプローブに連結した。配列の部分断片にクエリー塩基を示すプローブのそれぞれの4つの組について、4つのプローブの1つだけが連結された標識断片を有するように、標的配列捕捉はそれぞれの制限断片の5’末端の末端塩基の同一性に特異的であった。これにより、鎖ごとの4つの組のうち残り3塩基のバックグラウンド強度と比較して、正しいライゲーションプローブについて高いシグナル強度がもたらされる。正しい塩基を有するプローブに関するシグナル強度により、HhaIおよびNlaIIIについての制限部位の位置の予測に基づく配列が完全に同定された。
【0073】
実施例2
クレアチンホスホキナーゼ6(CPK6)およびPCRアンプリコンの標的捕捉
本発明の方法およびアッセイにおけるflapエンドヌクレアーゼおよびライゲーションの効率を試験するための実験を設計した。実施例1に記載のように、3’標識CPK6オリゴヌクレオチド(IDT)および大腸菌ゲノムDNAから増幅したPCR断片を使用する実験を設計した。16bpヘアピンおよび3’末端に相補的な塩基を含む50および60塩基のオリゴヌクレオチドプローブを設計した。使用したヘアピン配列は、5’CCGGAGGATACTCCGG3’ (配列番号:1)であった。ヘアピン構造を含まない対照プローブを合成した。図1Aに示すように、クエリー配列中の標的ヌクレオチドについて、鎖ごとに4種類全ての塩基を表すプローブの4つの組を設計し、つまり全部で8本のプローブ(例えば、DNA標的のそれぞれの鎖について4本)を設計した。Roche NimbleGen (Madison, WI)で、アレイごとに210万のプローブ強度を有するプローブ(HD2)を、アレイ上にインサイチュ合成した。
【0074】
上記のPCRプライマーおよび条件を使用して、大腸菌ゲノムDNAから3種類のPCR断片を増幅した。断片を2種類の制限酵素(HhaIおよびNlaIII)で消化して、3’突出を有する種々のサイズの断片を得た。制限断片化アンプリコンを等モル濃度でプールして、antarcticホスファターゼ(NEB)でさらに処理して5’末端を脱リン酸化した。これにより自己-自己ライゲーションおよびアレイ上に合成されたプローブに対する直接の非特異的ライゲーションを防ぐ。断片化および脱リン酸化されたアンプリコンの3’末端を、ターミナルトランスフェラーゼ(TdT, Roche)を用いてCy3-ddCTPで標識し、例えばMolecular Cloning, A Laboratory Manual, Sambrookら編、Cold Spring Harbor Press(その全体において参照により本明細書中に援用される)中に見られるような当業者に公知の方法を使用して、非標識断片から沈殿させた。標識断片を、3’末端がCy3で標識された脱リン酸化CPK6オリゴヌクレオチド(IDT)と合わせた。
【0075】
マイクロアレイスライドをNimbleChip HX3ミキサー(Roche NimbleGen, Madison WI)でシールし、変性、標識した標的アンプリコンをマイクロアレイに供した。マイクロアレイ上に見られるプローブは、ヘアピンを有するものおよび有さないものを含んだ。標的配列を有するマイクロアレイスライドを、ストリンジェントな条件下でMAUI Hybridization System(BioMicro)中42℃で一晩ハイブリダイズさせ、洗浄バッファで3回洗浄し、スキャンした。適切なバッファ(10mM MOPs:pH7.5、100mM LiCl、4mM MgCl2)中のクリベース酵素を、標的配列が結合したマイクロアレイスライドに添加して、反応物を45℃で1時間インキュベートし、洗浄バッファで3回洗浄してスキャンした。適切なバッファ中のAmpligase(登録商標)(Epicentre, Madison WI)を使用してライゲーションを行い、45℃で4時間インキュベーションした。スライドを3回洗浄し、一定に攪拌しながら約2分間、アレイを水中で煮沸した。煮沸後、マイクロアレイスライドを洗浄してスキャンした。Axon GenePix 4000B蛍光スキャナーを使用してスキャンを行った。それぞれのスキャンについてデータを捕捉し、SignalMapTM(NimbleGen)およびNimbleScanTM(NimbleGen)ソフトウェアアプリケーションを使用してデータ解析を行った。
【0076】
結果は、ヘアピンを有さないプローブ(CPK6対照)について、標的捕捉がなかったことを示す。しかしながら、プローブが標的配列と相補的な塩基を有するヘアピンを含み、標的配列が標的塩基を含む場合、FENおよびリガーゼ酵素は(それぞれ)標的配列を切断し、標的とプローブを連結した。標的配列捕捉は、配列の部分断片に対するクエリー塩基を表す4つの組のプローブについて、4本のプローブ中1本だけがクリベース反応後に連結され標識された断片を有するように、相補的な塩基の同一性に特異的であった。これにより、鎖ごとの4つの組のうち残りの3塩基のバックグラウンド強度と比較して、正しい塩基コール(call)について高いシグナル強度が生じる(図5)。4つの組の正しい塩基と正しくない塩基の間の倍数(fold)差は、正しい塩基コールのシグナル強度と3つの正しくない塩基の平均の比として計算した。アレイ上で合成された、PCRアンプリコンの全てのクエリー断片に対するプローブを通じて、図5で示されるように、35倍までの倍数変化が検出された。
【0077】
実施例3
クレアチンホスホキナーゼ6(CPK6)およびランダム断片化ゲノムDNAの標的捕捉
ヒトおよび大腸菌のゲノムDNA(gDNA)を使用する実験を設計した。実施例1に記載のように、Roche NimbleGen (Madison, WI)で、アレイ当たり210万プローブの強度を有するプローブ(HD2)がインサイチュ合成されるように、オリゴヌクレオチドプローブを設計した。ゲノムDNA(gDNA)を、超音波を用いるか、またはKlenow断片と種々の長さ(9塩基、10塩基、12塩基および15塩基)のランダムプライマーを使用してランダムに増幅するかのいずれかで断片化し、異なる長さの増幅標的配列を得た。該断片をantarcticホスファターゼで処理し、ターミナルトランスフェラーゼ(TdT)を使用して3’末端をCy3-ddCTPで標識し、当業者に公知の方法を使用して非標識断片から沈殿させた。マイクロアレイスライドをHX3ミキサー(NimbleGen Roche)でシールし、変性、標識された標的配列をマイクロアレイに供した(5〜30μg試料/サブアレイ)。マイクロアレイ上に見られたプローブは、その3’末端のヘアピンの直後に相補的塩基を有するものおよび有さないもの、ならびにヘアピンを有さないプローブを含んだ。標的配列を有するマイクロアレイスライドを、42℃で一晩ハイブリダイズさせ、洗浄バッファで3回洗浄して、スキャンした。適切なバッファ中のクリベース酵素を、標的配列が結合したマイクロアレイスライドに添加して、反応物を42℃で1〜2時間インキュベートし、洗浄バッファで3回洗浄し、スキャンした。適切なバッファ中でAmpligase(登録商標)(Epicentre, Madison WI)を使用してライゲーションを行い、45℃で4時間インキュベーションした。スライドを3回洗浄し、アレイを一定に攪拌しながら約2分間、水中で煮沸した。煮沸後、マイクロアレイスライドを洗浄して、Axon GenePix 4000B蛍光スキャナーを使用してスキャンした。データをスキャナーで捕捉し、SignalMapTM(Roche NimbleGen, Inc.)およびNimbleScanTM(Roche NimbleGen, Inc.)ソフトウェアアプリケーションを使用してデータ解析を行った。
【0078】
結果は、ヘアピンを有さないプローブ(対照)について、標的捕捉がなかったことを示した。しかしながら、プローブが相補的な塩基を有するヘアピンを含み、標的配列が標的塩基を含む場合、蛍光検出法により測定すると、FENおよびリガーゼ酵素は、捕捉された標的配列の同定においてアッセイ特異性を示した。
【0079】
実施例4
ssDNAflap長を増加させたクリベースの評価
クリベース反応における効率について、20種類のクリベース酵素を評価した;任意にC1〜C5、P1〜P3およびF1〜F12と命名。該クリベース酵素はThird Wave Technologies (Madison, WI 53719)により製造された。Ampligase(登録商標)(Epicentre, Madison WI)。それぞれ12の同一のサブアレイを含む2つのマイクロアレイスライドをそれぞれの実験に利用して、アッセイされる20種類全てのクリベースをカバーし、プローブは逆化学反応(プローブの5’末端が基材に近い、合成5’-3’)を使用してMASにより合成し、12のサブアレイのそれぞれは約12万のプローブを含んだ。3種類の異なるPCR断片、それぞれ3種類の断片についてセンスおよびアンチセンス鎖を表すようにプローブを設計した。それぞれのプローブは、標的アンプリコン配列および16bpヘアピン(5’-CCGGAGGATACTCCGG-3’の配列(図3に示す配列番号:1)に対応する配列特異性を有し、クエリー配列中の標的ヌクレオチドのセンスおよびアンチセンス鎖の両方について、3’突出がA、C TまたはGを表すように設計した(従って、PCR断片ごとに8本のプローブ)。ヘアピン構造を含まない対照プローブを合成した。
【0080】
大腸菌の3種類の異なる断片を増幅して、1277、2205および2825bpのアンプリコンを得た。制限消化により、それぞれのアンプリコンをさらに断片化した;1277bpおよび2825bpアンプリコンをNlaIIIで消化し、2205bpアンプリコンをMboIで消化して、種々の長さの消化断片を得た(図6)。該断片をantarcticホスファターゼ(NEB)で処理して5’末端を脱リン酸化した。これにより、自己-自己ライゲーションおよびアレイ上で合成されるプローブへの直接的な非特異的ライゲーションを防ぐ。ターミナルトランスフェラーゼ(TdT, Roche)を使用して、断片化および脱リン酸化されたアンプリコンの3’末端をCy3-ddCTPで標識し、例えばMolecular Cloning, A Laboratory Manual, Sambrookら編、Cold Spring Harbor Press(その全体において参照により本明細書に援用される)に見られるような、当業者に公知の方法を使用して、非標識断片から沈殿させた。
【0081】
標識された標的核酸を変性させてマイクロアレイスライド上のサブアレイに供した。標的配列を有するマイクロアレイスライドを、ストリンジェントな条件下でMAUI Hybridization System (BioMicro)中42℃で一晩ハイブリダイズさせて、洗浄バッファで3回洗浄してスキャンした。20の実験のクリベース酵素およびクリベースバッファ(終濃度10mM MOPs:pH7.4、100mM LiCl、4mM MgCl2、1X NAD)中のAmpligase(登録商標)の1つを、標的配列が結合したマイクロアレイスライド上のそれぞれのサブアレイに添加して、反応物を45℃で2時間インキュベートし、洗浄バッファで3回洗浄してスキャンした。別の実験回のAmpligase(登録商標)を、この回も適切なバッファ中で、それぞれのサブアレイに添加して、45℃でさらに4時間インキュベーションを行った。スライドを3回洗浄して、一定に攪拌しながら約2分間、アレイを水中で煮沸した。煮沸後、マイクロアレイスライドを再度洗浄してスキャンした。Axon GenePix 4000B蛍光スキャナーを使用してスキャンを行った。それぞれのスキャンについてデータを捕捉して、SignalMapTM (Roche NimbleGen, Inc.)およびNimbleScanTM (Roche NimbleGen, Inc.)ソフトウェアアプリケーションを使用してデータ解析を行った。
【0082】
図7は、この場合、PCR断片の遺伝子配列の決定におけるクリベース/リガーゼ併用の効力を示し、標的配列はインテロゲーション(interrogation)位置に「C」を有した。終夜ハイブリダイゼーション時には、プローブ配列について結合標的間に識別はなかったが、クリベースとリガーゼの統合により、識別が劇的に増加し、該位置で正しい塩基コールがもたらされた。さらに、図8は、結合標的断片の5’末端の長さが増加する(例えば、flap長が増加する)につれて、正しくない塩基コールの増加が生じることを示す。一ヌクレオチドでの塩基コール、または識別は、計算式:


により決定できる。
【0083】
低い識別スコアは、正しい塩基コールについての高い信頼性を示し、典型的に、flap長が増加すると識別スコアも増加し、正しくない塩基コールの発生率も同様に増加する。図8は、参照点として50bpflap長および正しい塩基コールとして<0.5Dスコアを使用して評価された、12の異なるクリベース分子により例示された現象を示す。
【0084】
実施例5
クリベース活性におけるRecJの効果の評価
実施例4に記載の3種類のPCR断片を使用して、より長い5’標的flap末端を消化するためのクリベースの活性を増加するRecJの能力を評価した。実験パラメータは、以下のこと以外は、実施例4に見られるとおりであった。終夜ハイブリダイゼーションおよびストリンジェントな洗浄後、RecJバッファ中の約120単位のRecJf(New England Biolabs, Ipswitch MA;野生型RecJと同じ酵素特性を残したRecJおよびマルトース結合タンパク質(MBP)の組換え融合タンパク質(MBPを付加してRecJ溶解性を高める))をアレイに添加して、37℃で1時間インキュベーションを行った。クリベースおよび熱安定リガーゼの添加は上記のとおりであった。上記のようにアレイを解析した。
【0085】
クリベース酵素と共にRecJを添加することで、クリベースの活性が大きく増加した。図9Bに見られるように、ハイブリダイズ複合体をクリベースと共にRecJで処理することで、RecJなしクリベース処理(図9A)と比べてクリベースの活性が増加した。RecJなしでflap長を増加すると、約45bpより長いflap長がDスコアの増加をもたらすために、上記のように正しくない塩基コールの発生率が増加した。逆に、RecJの存在下では、標的flap突出でのRecJの活性のために、クリベース活性は維持され、約0.5以下のDスコアが生じ、正しい塩基コールの増加がもたらされた。このように、クリベースと共にRecJを含むことで、標的flap突出の長さに関係なく、標的試料中の正しい塩基コールの発生率が大きく改善される。
【0086】
実施例6
プローブのへ5’側のインテロゲーションヌクレオチドの配置
プローブ上のインテロゲーションヌクレオチドの位置変更の結果、およびゲノム変異検出のための正しい塩基コールにおけるその効果を評価する実験を行った。プローブのヘアピン構造後の3’末端にインテロゲーションヌクレオチドを配置する(図1および2A、および3に例示のように)代わりに、5’側(または5’アーム)のヘアピン構造の直前にインテロゲーションヌクレオチドを配置し(図10)、プローブの3’末端が公知の標的配列に相補的になるように設計した。インテロゲーションヌクレオチドをヘアピン構造に隣接して配置することで、クリベースおよびリガーゼ酵素の両方について、クリベースのみでSNPなどの変異の検出に付与される特異性と比較して、二重特異性が達成されると予期された。インテロゲーションヌクレオチドを上記のように配置することで、クリベースは、三構成構造を検出および切断するクリベースの能力として特異性を付与し、リガーゼは、インテロゲーションヌクレオチドがその相補物にハイブリダイズするように切断生成物を連結する。このように、二重特異性がもたらされて、試料の偽陽性塩基コールの減少がもたらされると予期される。
【0087】
図10は、クリベースおよびリガーゼの反応における単一の酵素特異性対二重酵素特異性についてのヘアピン構造の比較を示す。ヘアピン構造は、ヘアピン幹部長さ(例えば、6bp〜12bp)を有し、3’末端に1bpの突出を有する、5’から3’に合成されたオリゴマープローブを有する(図10A、C)。それぞれのクエリー塩基について、一塩基対突出がそれぞれA、C、TおよびGを表すヘアピンを有する4本のプローブを合成する。プローブ配列の3’末端は、ヘアピンの3’末端の突出にも相補的である。図10B、Dのヘアピン構造は、ヘアピン幹部長さ(例えば、6bp〜12bp)を有する、5’から3’に合成されたオリゴマープローブを有する。それぞれのクエリー塩基について、ヘアピン配列の末端の塩基対が公知の標的配列(のクエリー塩基+1)に相補的になるように設計された、4本のプローブを合成する。それぞれのクエリー塩基について、4本のプローブは全て、同じヘアピン構造を有するが、オリゴマープローブの3’末端塩基が異なり、ヘアピンの合成前にA、C、TおよびGを表すように合成される。これらは、ヘアピンの3’末端と切断される標的の5’末端間のライゲーションのための塩基特異的基質を生じる。図10に示される例示的態様において、インテロゲーションヌクレオチドは、プローブの5’側またはアームのヘアピン構造の直前に配置される。いくつかの態様において、近位のヌクレオチドは、二本鎖ヘアピン構造の5’側の約2、3、4、5、6、7、8、9または10塩基上流にある。
【0088】
本願で引用される全ての公開公報および特許文献は、参照により本明細書に援用される。本発明の記載の方法および組成物の種々の改変および変化は、本発明の範囲および精神から逸脱することなく当業者に明白であろう。本発明は、具体的な好ましい態様に関して記載されているが、特許請求される本発明は、かかる具体的な態様に不当に限定されないことが理解されよう。実際、関連分野において当業者に明らかな、本発明を実施するために記載される形態の種々の改変は、添付の特許請求の範囲の範囲内にあるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的核酸配列を捕捉するための方法であって、
a) i) 標的配列を含み得るかまたは含み得ない核酸試料、
ii) 少なくとも1つのflapエンドヌクレアーゼおよび少なくとも1つのリガーゼ、ならびに
iii) 標的配列およびヘアピン構造を含む複数のオリゴヌクレオチドプローブ
を提供する工程、
b) 標的配列とプローブ間でハイブリダイゼーションが起こり得る条件下で、前記核酸試料を前記オリゴヌクレオチドプローブに供する工程;かつ
c) 酵素反応が起こり得る条件下で、少なくとも1つのflapエンドヌクレアーゼおよび少なくとも1つのリガーゼを、ハイブリダイズした核酸/プローブ複合体に供し、それにより核酸標的配列を捕捉する工程
を含む、方法。
【請求項2】
前記核酸試料が検出部分をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記検出部分が蛍光部分を含む、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記蛍光検出部分がCy3である、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記検出部分が蛍光スキャナーを使用して検出される、請求項2記載の方法。
【請求項6】
検出された標的核酸のデータ解析をさらに含む、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記核酸試料がゲノムDNAまたはその誘導体を含む、請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記核酸試料が哺乳動物由来である、請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記核酸試料がヒト由来である、請求項1記載の方法。
【請求項10】
少なくとも1つの前記標的配列が一塩基多型を含む、請求項1記載の方法。
【請求項11】
少なくとも1つの前記標的配列がゲノムコピー数バリアントを含む、請求項1記載の方法。
【請求項12】
前記ヘアピン構造が配列番号:1を含む、請求項1記載の方法。
【請求項13】
前記リガーゼが熱安定リガーゼである、請求項1記載の方法。
【請求項14】
前記プローブが基材に固定される、請求項1記載の方法。
【請求項15】
前記基材がマイクロアレイスライドである、請求項14記載の方法。
【請求項16】
該複数のオリゴヌクレオチドプローブがインテロゲーションヌクレオチドを含む、請求項1記載の方法。
【請求項17】
該インテロゲーションヌクレオチドがプローブの3’末端に配置される、請求項16記載の方法。
【請求項18】
該インテロゲーションヌクレオチドがプローブの5’側のヘアピン構造の近位に配置される、請求項16記載の方法。
【請求項19】
該インテロゲーションヌクレオチドがプローブの5’側のヘアピン構造の約2、3、4、5、6、7、8、9または10塩基上流に配置される、請求項16記載の方法。
【請求項20】
RecJおよび一本鎖結合タンパク質からなる群より選択される成分を提供する工程をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項21】
該プローブが二重特異性をもたらす、請求項1記載の方法。
【請求項22】
標的核酸を捕捉する方法であって、
a) i) 検出部分を含み、標的配列を含み得るかまたは含み得ない核酸試料および、
ii) 少なくとも1つのflapエンドヌクレアーゼ、少なくとも1つのリガーゼ、ならびに
iii) 標的配列およびヘアピン構造を含む複数のオリゴヌクレオチドプローブ、前記ヘアピン構造は少なくとも1つの切断可能配列を含む
を提供する工程、
b) 標的配列とプローブ間でハイブリダイゼーションが起こり得る条件下で、前記核酸試料を前記オリゴヌクレオチドプローブに供する工程、
c) 酵素反応が起こり得る条件下で、少なくとも1つのflapエンドヌクレアーゼおよび少なくとも1つのリガーゼをハイブリダイズした核酸/プローブ複合体に供し、それにより核酸標的配列を捕捉する工程
を含む、方法。
【請求項23】
前記少なくとも1つの切断可能配列が制限エンドヌクレアーゼ部位を含む、請求項22記載の方法。
【請求項24】
制限エンドヌクレアーゼを用いた消化による該プローブからの該核酸標的配列の放出をさらに含む、請求項22記載の方法。
【請求項25】
前記放出された標的核酸配列を配列決定により検出する工程をさらに含む、請求項24記載の方法。
【請求項26】
flapエンドヌクレアーゼ、リガーゼおよびオリゴヌクレオチドプローブを含む、配列特異的核酸捕捉のための組成物であって、前記プローブがヘアピン構造および標的核酸相補配列を含む、組成物。
【請求項27】
a) 少なくとも1つのflapエンドヌクレアーゼ、
b) 少なくとも1つの熱安定リガーゼ、
c) 基材に固定された複数のオリゴヌクレオチドプローブ、および
d) 少なくとも1つのバッファ
を含む、核酸配列を捕捉および検出するためのキット。
【請求項28】
RecJおよび一本鎖結合タンパク質からなる群より選択される成分をさらに含む、請求項27記載のキット。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8−1】
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【図8−2】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12−1】
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【図12−2】
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【公表番号】特表2011−516050(P2011−516050A)
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−502277(P2011−502277)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【国際出願番号】PCT/EP2009/002318
【国際公開番号】WO2009/121550
【国際公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】