説明

核酸分析デバイス、及び核酸分析装置

【課題】本発明の目的は、核酸分析デバイスにおいて、波長500nm付近の励起光照射により蛍光色素から発生する蛍光を高精度に検出することに関する。
【解決手段】本発明は、光照射により局在型表面プラズモンが発生する金属体を有する核酸分析デバイスにおいて、当該金属体の材料が、ルテニウム,イリジウム,パラジウム、又はロジウムのいずれかから選ばれる金属、若しくはこれらの合金であることに関する。これらの金属は、波長500nm付近の光に対して効率よく局在型表面プラズモンを発生させる。また、これらの金属は、極めて小さなイオン化傾向を有し、化学的に非常に安定であるため、反応液中での長時間使用が可能となる。本発明により、波長500nm付近の光を用いて、高効率、且つ安定に核酸を蛍光測定することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、核酸分析デバイス及び核酸分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
核酸分析デバイスとして、DNAやRNAの塩基配列を決定する新しい技術が開発されてきている。
【0003】
現在、通常用いられている電気泳動を利用した方法においては、配列決定用のDNA断片又はRNA試料から逆転写反応を行い合成したcDNA断片試料を予め調製し、周知のサンガー法(ジデオキシ法)による塩基伸長反応を実行した後、電気泳動を行い、分子量分離展開パターンを計測して解析する。
【0004】
これに対し、近年、「P.N.A.S. 2003,Vol. 100, pp. 3960-3964.(非特許文献1)」にあるように、基板にDNAなどを固定してその塩基配列を決定する方法が提案されている。分析すべき試料DNA断片を1分子ずつ、基板表面のランダムな位置に捕捉し、ほぼ1塩基ずつ伸長させて、その結果を蛍光計測より検出することにより塩基配列を決定するものである。具体的には、まず、DNAポリメラーゼの基質として鋳型DNAに取り込まれてDNA鎖伸長反応を保護基の存在により停止することができ、且つ、検出され得る標識を持つ4種のdNTPの誘導体(MdNTP)を用いてDNAポリメラーゼ反応を行わせる工程を実施する。次いで取り込まれたMdNTPを蛍光等で検出する工程、及びMdNTPを伸長可能な状態に戻す工程を実施する。これら3工程を1サイクルとし、該サイクルを繰り返すことにより、試料DNAの塩基配列を決定する。本技術では、基板上の複数の位置で並行して反応と蛍光発光を進行させることにより、同時に数多くのDNA断片を解析することができ、解析スループットを大きくすることができる。また、本方式では、単一DNA分子のまま塩基配列が決定できるため、従来技術の問題であったクローニングやPCR等での試料DNAの増幅,精製が不要であり、ゲノム解析や遺伝子診断の迅速化が期待できる。
【0005】
基板上における伸長反応を用いて塩基配列を解析する場合、非特許文献1で開示された方式に代表されるような、一塩基伸長反応・未反応基質の洗浄・計測を一サイクルとした、いわば、逐次反応方式のものが一般的である。単一DNA分子毎に塩基配列を解析する場合、プローブDNA上の、一塩基伸長反応によってDNA二本鎖中に取り込まれたヌクレオチドに付随した蛍光色素一分子の蛍光を計測することになる。しかし、通常の蛍光測定では、プローブDNA上に捕捉された蛍光分子とその近傍に浮遊している未反応のヌクレオチドに付随している蛍光色素を識別することはできない。そのため、一塩基ずつ伸長したところで、未反応基質を洗浄することが不可欠であった。この洗浄工程が入ることにより、基板上に複雑な流路や送液装置及び廃液処理装置を形成する必要があること、反応試薬も大量に消費してしまうこと、さらに、トータルの解析に必要な反応時間も長くなるという問題があった。
【0006】
未反応基質を洗浄することなく、プローブDNA上に捕捉された蛍光色素一分子と未反応基質の蛍光分子とを識別するためには、プローブDNA上に捕捉された蛍光色素からの蛍光強度が大きく、浮遊する色素からの強度が小さい条件を作り出さねばならない。
【0007】
このような課題に対して「Physical Review Letters 2006,vol. 96,pp. 113002-113005.(非特許文献2)」に開示されているような、蛍光増強の利用が考えられる。金属体に光を照射すると、局在型表面プラズモンにより金属体表面近傍に増強された光近接場が発生する。この時、この光近接場の中に存在する蛍光分子の発光強度が増強する蛍光増強という現象が知られている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】P.N.A.S. 2003, Vol. 100, pp. 3960-3964.
【非特許文献2】Physical Review Letters 2006,vol. 96,pp. 113002-113005
【非特許文献3】Anal. Chem. 2006, vol. 78, pp. 6238-6245
【非特許文献4】Anal. Chem. 2007, vol. 79, pp. 6480-6487
【非特許文献5】Nano Letters. 2004, vol.4, 957-961
【非特許文献6】P.N.A.S. 2006, vol. 103, pp 19635-19640
【非特許文献7】P.N.A.S. 2008, vol. 105, pp 1176-1181
【非特許文献8】P.N.A.S. 2008, vol. 105, pp 91459150
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本願発明者が、単一DNA分子の蛍光標識等からの微弱な蛍光の検出について鋭意検討した結果、次の知見を得るに至った。
【0010】
蛍光標識を用いた生体分子の分析、特に、上述のような核酸分析においては、以下のような理由により、励起光として波長300〜700nmの範囲内、特に波長500nm付近の光を用いることが望ましい。
(1)一般的な蛍光色素の励起波長は300〜700nm程度である。この範囲以外の励起波長を持つ色素は存在するものの、量子収率,標識の容易さ,製造入手の容易さ,安定性等の理由により、励起波長300〜700nm程度の蛍光色素を使用することが望ましい。
(2)蛍光分子の発光を検出する素子として主に用いられるCCDの分光感度特性は、一般に500〜600nmにピークを持つ。この範囲に蛍光波長のピークを持つ一般的な蛍光色素の励起波長は400〜560nm程度である。
(3)複数の蛍光色素を区別して利用する為には、発光波長の選択性の問題から、蛍光色素選択の幅はより狭まり、波長500nm付近の励起光利用が必須である。核酸分析においては4種の塩基(A,T,G,C)を識別する必要があり、特に重要である。
【0011】
しかし、非特許文献2には、局在型表面プラズモンによる蛍光増強を生じる金属として金が開示されているが、金の局在型表面プラズモンの最適な励起波長は700nm前後であり、波長500nm付近ではその蛍光増強効果は非常に小さい。
【0012】
本発明の目的は、核酸分析デバイスにおいて、波長500nm付近の励起光照射により蛍光色素から発生する蛍光を高精度に検出することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、光照射により局在型表面プラズモンが発生する金属体を有する核酸分析デバ
イスにおいて、当該金属体の材料が、ルテニウム,イリジウム,パラジウム、又はロジウムのいずれかから選ばれる金属、若しくはこれらの合金であることに関する。これらの金属は、波長500nm付近の光に対して効率よく局在型表面プラズモンを発生させる。また、これらの金属は、極めて小さなイオン化傾向を有し、化学的に非常に安定であるため、反応液中での長時間使用が可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、波長500nm付近の光を用いて、高効率、且つ安定に核酸を蛍光測定
することができる。例えば、プローブDNA等に捕捉された蛍光色素からの蛍光強度を増強し、浮遊する蛍光色素からの背景光強度とのコントラストを大きくすることにより、プローブDNA上に捕捉された蛍光色素一分子と未反応基質の蛍光分子とを識別し、塩基伸長反応を計測する核酸分析デバイスを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施例における核酸分析デバイスの概略図。
【図2】本実施例における核酸分析デバイスの概略図。
【図3】核酸分析デバイスの製造方法の一例を説明するためのフロー図。
【図4】核酸分析デバイスの製造方法の一例を説明するためのフロー図。
【図5】核酸分析デバイスを使用形態の一例を説明するため概略図。
【図6】核酸分析デバイスの効果の計算結果。
【図7】核酸分析デバイスを用いた核酸分析装置の一例を説明するための概略図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本実施例では、発光測定により試料中の核酸を分析する核酸分析デバイスであって、支持基体を備え、支持基体に接してナノ構造体が存在するものを開示する。光照射により金属体の近傍に局在型表面プラズモンを発生する1つまたは複数の金属体、および試料中の核酸を分析するためのプローブを含むナノ構造体も開示する。プローブが、表面プラズモンの発生部位に配置され、金属体の材料が、ルテニウム,イリジウム,パラジウム,ロジウムのいずれかから選ばれる金属、またはこれらの合金であることも開示する。
【0017】
また、本実施例では、蛍光測定により試料中の核酸を分析する核酸分析デバイス開示する。検出機器の光学フィルタを組み合わせることにより、2色以上の蛍光を同時に検出することができる。
【0018】
また、本実施例では、プローブが、核酸またはタンパク質から選ばれる一つ以上の高分子である核酸分析デバイスを開示する。核酸または核酸合成酵素などのタンパク質は、測定対象である核酸を取り込む際の特異性が高く、測定対象のみを特異的に測定することができる。
【0019】
また、本実施例では、ナノ構造体とプローブを含む反応サイトを、支持基体上にアレイ状に配置した核酸分析デバイスを開示する。支持基体上の任意の反応サイトのみを分析すれば良いため、分析装置の構成を簡略化することができる。
【0020】
また、本実施例では、反応サイト1つに含まれるプローブが単分子である核酸分析デバイスを開示する。測定対象の核酸に対する増幅工程が不要であるため、解析時間を短縮することができる。
【0021】
また、本実施例では、核酸分析デバイスに対して、ヌクレオチド,蛍光色素を有するヌクレオチド,核酸合成酵素,プライマ及び核酸試料からなる1種類以上の生体分子を供給する手段と、核酸分析デバイスに光を照射する手段と、核酸分析デバイス上においてヌクレオチド,蛍光色素を有するヌクレオチド,核酸合成酵素,プライマ及び核酸試料からなる1種類以上の生体分子が共存することにより起きる核酸伸長反応により核酸鎖中に取り込まれた蛍光色素の蛍光を測定する蛍光検出手段とを備え、核酸試料の塩基配列情報を取得する核酸分析装置を開示する。局在型表面プラズモンによる増強効果より、高感度検出に必要な高価な光学部材が不要となる。
【0022】
また、本実施例では、ナノ構造体が、支持基体上で向き合って存在する複数の金属体を含み、光照射により金属体が向き合った空間に局在型表面プラズモンが発生し、この空間と支持基体との間に金属体とは異なる第二の金属が存在し、第二の金属上に、試料中の核酸を分析するためのプローブを有する核酸分析デバイスを開示する。金属体を構成する金属と第二の金属との反応性の差を用いて、測定のためのプローブを第二の金属上に特異的に配置することができる。
【0023】
また、本実施例では、ナノ構造体が、支持基体上で向き合って存在する複数の金属体を含み、光照射により金属体が向き合った空間に局在型表面プラズモンが発生し、この空間と支持基体との間に絶縁体が存在し、絶縁体上に、試料中の核酸を分析するためのプローブを有する核酸分析デバイスを開示する。金属体を構成する金属と絶縁体との反応性の差を用いて、測定のためのプローブを絶縁体上に特異的に配置することができる。
【0024】
また、本実施例では、向き合って存在する金属体間の距離が15nm以下であることを開示する。金属体間の距離を小さくすることにより、局在型プラズモンによる増強効果を高めることができる。また、測定のためのプローブ固定領域を小さくすることができ、単分子のみが固定化された金属体の割合を高めることができる。
【0025】
また、本実施例では、光照射により局在型表面プラズモンが発生する金属体を有する支持基体を備え、局在型表面プラズモンの発生する空間に試料中の核酸を配置し、該核酸を蛍光測定により分析する核酸分析デバイスにおいて、金属体が、ルテニウムにより構成されていることを開示する。
【0026】
また、本実施例では、光照射により局在型表面プラズモンが発生する金属体を有する支持基体を備え、局在型表面プラズモンの発生する空間に試料中の核酸を配置し、該核酸を蛍光測定により分析する核酸分析デバイスにおいて、金属体が、イリジウムにより構成されていることを開示する。
【0027】
また、本実施例では、光照射により局在型表面プラズモンが発生する金属体を有する支持基体を備え、局在型表面プラズモンの発生する空間に試料中の核酸を配置し、該核酸を蛍光測定により分析する核酸分析デバイスにおいて、金属体が、パラジウムにより構成されていることを開示する。
【0028】
また、本実施例では、光照射により局在型表面プラズモンが発生する金属体を有する支持基体を備え、局在型表面プラズモンの発生する空間に試料中の核酸を配置し、該核酸を蛍光測定により分析する核酸分析デバイスにおいて、金属体が、ロジウムにより構成されていることを開示する。
【0029】
また、本実施例では、光照射により局在型表面プラズモンが発生する金属体を有する支持基体を備え、局在型表面プラズモンの発生する空間に試料中の核酸を配置し、該核酸を蛍光測定により分析する核酸分析デバイスにおいて、金属体が、ルテニウム,イリジウム,パラジウム,ロジウム、及び白金の2つ以上からなる合金により構成されていることを開示する。
【0030】
また、本実施例では、局在型表面プラズモンを発生させる光照射の波長が300から700nmであること核酸分析デバイスを開示する。
【0031】
また、本実施例では、支持基体上に複数の金属体が向き合って存在し、金属体が向き合った空間に光照射により局在型表面プラズモンが発生し、該空間と支持基体との間に前記金属体とは異なる第二の金属が存在し、該第二の金属に、試料中の核酸を分析するためのプローブが配置される核酸分析デバイスを開示する。
【0032】
また、本実施例では、支持基体上に複数の金属体が向き合って存在し、金属体が向き合った空間に光照射により局在型表面プラズモンが発生し、該空間と支持基体との間に絶縁体が存在し、該絶縁体に、試料中の核酸を分析するためのプローブが配置される核酸分析デバイスを開示する。
【0033】
また、本実施例では、プローブが、核酸またはタンパク質から選ばれる一つ以上の高分子である核酸分析デバイスを開示する。
【0034】
また、本実施例では、プローブが、単分子である核酸分析デバイスを開示する。
【0035】
また、本実施例では、複数の向き合った金属体が、支持基体上にアレイ状に配置されている核酸分析デバイスを開示する。
【0036】
また、本実施例では、複数の金属体の間隔が15nm以下である核酸分析デバイスを開示する。
【0037】
また、本実施例では、核酸分析デバイスに対して、ヌクレオチド,蛍光色素を有するヌクレオチド,核酸合成酵素,プライマ、及び核酸試料からなる1種類以上の生体分子を供給する手段と、核酸分析デバイスに光を照射する手段と、核酸分析デバイス上においてヌクレオチド,蛍光色素を有するヌクレオチド,核酸合成酵素,プライマ、及び核酸試料からなる1種類以上の生体分子が共存することにより起きる核酸伸長反応により核酸鎖中に取り込まれた蛍光色素の蛍光を測定する蛍光検出手段と、を備え、核酸試料の塩基配列情報を取得する核酸分析装置を開示する。
【0038】
以下、上記及びその他の本発明の新規な特徴と効果について、図を参照して説明する。ここでは、本発明を完全に理解してもらうため、特定の実施形態について詳細な説明を行うが、本発明はここに記した内容に限定されるものではない。また、各実施例は適宜組み合わせることが可能であり、当該組み合わせ形態についても本願明細書は開示している。
【実施例1】
【0039】
図1を用い、本実施例における核酸分析デバイスを説明する。
【0040】
プローブに補足された蛍光色素と未反応基質の蛍光分子とを識別するためには、大きく分けて、プローブに補足された蛍光色素と、浮遊する未反応基質の蛍光色素に照射される光の強度を変えるか、あるいは、プローブに補足された蛍光色素だけ輻射過程を効率よく起こるようにする必要がある。本実施例は、後者の考え方に基づくものであり、「Physical Review Letters 2006,96,pp 113002-113005(非特許文献2)」に報告されているように、局在型表面プラズモンが、分子の光吸収による電子遷移と励起一重項から基底状態への輻射遷移の両方の確率を高めるという物理現象に基づくものである。局在型表面プラズモンの蛍光増強効果は、数倍から数十倍程度と見込むことができる。
【0041】
また、「Nano Letters. 2004,vol.4,957-961(非特許文献5)」では、三角柱状の金属体が近接すると、その間の空間に、強力な局在型表面プラズモンが発生することが示されている。三角柱間の距離が近いほど強力な局在型表面プラズモンを発生する。しかし、非特許文献5に開示されている金属体の構造では、局在型表面プラズモンが発生する空間に、測定のためのプローブを特異的に配置することは難しい。特に、プローブを所定の箇所に1分子のみ固定することは不可能に近い。
【0042】
本実施例の核酸分析デバイスでは、支持基体104上において三角柱に類した金属体105が向き合っており、その間の空間106が、局在型表面プラズモンによる蛍光増強場となっている。局在型表面プラズモンが発生する空間106と支持基体104の間には、三角柱を構成する金属とは異なる第二の金属107が配置され、この第二の金属107にプローブ101が固定されている。これにより、強力な局在型表面プラズモンが生成し、かつ、局在型表面プラズモン発生部位近傍の空間106にプローブ101を固定化しうる。そして、プローブ101に取り込まれた蛍光色素102だけが蛍光増強の恩恵を受け、浮遊する未反応基質の蛍光色素103とは数倍から数十倍以上の蛍光強度の差がもたらされる。また、半導体や配線基板の製造に用いられている薄膜プロセスを活用して製造できる構造であり、安価に製造できる。
【0043】
光がもたらす電場によって金属中により大きな反分極場(光による印加電場とは反対の位相を持つ電場)ができることが強力な局在型表面プラズモン形成につながるため、金属体105の材料は、より絶対値の大きな負の複素誘電率実部を持つ金属が好ましく、具体的にはルテニウム,ロジウム,イリジウム,パラジウムが好ましい。これらの金属は、波長500nm付近の光に対して効率よく局在型表面プラズモンを発生する。また、これらの金属は極めて小さなイオン化傾向を有し化学的に非常に安定であるため、反応液中での長時間使用が可能となる。または、金属体105として、ルテニウム,ロジウム,イリジウム,パラジウムを含む合金を用いることにより、特性を改良できる。例えば、ロジウム50%を含むイリジウム・ロジウム合金を用いることにより、金属体の酸化耐性を高められる。白金ロジウムも酸化に対する安定性を高めることができる。または、金属体105として、ルテニウム,ロジウム,イリジウム,パラジウムを含む複数種の金属薄膜を積層することもできる。
【0044】
第二の金属107としては、金属体105表面との化学的な性質の差を用いて、プローブ101を特異的に固定化できるものであれば特に制限はない。また、適した官能基を選択し、それを第二の金属に付与するか、あるいはプローブ101内の官能基と前記官能基またはこれを反応基点として、さらに修飾が施された官能基を反応させることにより所望のプローブ101を固定化しても良い。この様な金属体105と第二の金属107の組み合わせとしては、金属体105が、ルテニウム,ロジウム,イリジウム,パラジウム、また、これらの合金であれば、第二の金属107は、チタン,ニッケル,クロム,鉄,コバルト,カドミウム,アルミニウム,ガリウム,インジウム,ジルコニア,ニオブ,ハフニウム,タンタルから選ばれる少なくとも1種類以上の金属、また、これらの合金が挙げられる。または、ITOなどの導電性の酸化膜を用いても良い。第二の金属107表面上に形成した酸化膜上に、カルボン酸,ホスホン酸,リン酸エステル,有機シラン化合物を反応させることにより、プローブ101を固定するための所望な官能基を導入することができる。
【0045】
尚、空間106と支持基体104との間に絶縁体を設けてもよい。用いる絶縁体に特に制限はないが、微小領域の加工性の点より、蒸着,スパッタリング,CVD(Chemical Vapor Deposition),PVD(Physical Vapor Deposition)などで薄膜が形成可能な材料が望ましい。この様な材料としては、シリコン,チタン,ベリリウム,ジルコニウム,タングステン,ホウ素,ハフニウム,バナジウム,タンタル,アルミニウム,トリウム,モリブデン,鉄などの炭化物,窒化物,ホウ化物,ケイ化物、または酸化物などが挙げられる。
【0046】
第二の金属107や絶縁体上に導入される官能基についても特に制限はないが、プローブ101を固定するための反応基点として、アミノ基,チオール基,カルボキシル基,ヒドロキシル基,アルデヒド基,ケトン基などが挙げられる。さらに、プローブ101を固定するための反応効率を高める手法として、二価性の化合物を用いて、NHS−エステル基,イミドエステル基,スルフィジル基,エポキシ基,ヒドラジド基などの官能基を導入しても良い。また、増強場内への単分子固定化率を高めるために、アビジン,デンドロン,クラウンエーテルなどの嵩高い化合物を介して、プローブ101を固定しても良い。
【0047】
プローブ101も、測定対象の核酸108を補足できるものであれば特に制限はない。核酸108を直接補足できる様なプローブとしては、DNA,RNA,PNAなどの核酸、または、酵素などのタンパク質が挙げられる。また、染色体,核様体,細胞膜,細胞壁,ウイルス,抗原,抗体,レクチン,ハプテン,レセプター,ペプチド,スフィンゴ糖,スフィンゴ糖脂質,アプタマーなどを介して、核酸108を補足しても良い。
【0048】
表面プラズモンの発生に適する共鳴周波数は、金属体表面の自由電子群と光との相互作用によるものである為、金属体105の適切な大きさは、照射する光の波長によって異なる。励起光の波長を300〜850nmとすると、金属体の大きさは、幅・高さともに、10から1000nm程度が適しているが、この条件に縛られるものではない。図2(A)の様な円柱が角柱で結ばれ、角柱の間に局在型表面プラズモンが発生する空間206があるもの、(B)の様に、円柱が並んで、最も小さい円柱内に空間206があるものなどが挙げられる。また、(C)の様に、金属体205,空間206、及び第二の金属207以外の領域を、支持基体204を構成する材料よりも屈折率が低い材料209で覆っても良い。屈折率が低い材料209で覆われた領域に、未反応の蛍光色素が入れないため、この蛍光色素由来のバックグランドを低減することができる。
【0049】
第二の金属上にプローブを固定した核酸分析デバイスの製造方法を、図3を用いて説明する。
【0050】
(1)第二の金属膜の形成
平滑な支持基体304上に第二の金属307の薄膜を形成する。平滑な支持基体304には、ガラス基板,石英基板,サファイア基板,樹脂基板等が用いられる。金属体305を形成した面と反対側の裏面より励起光を照射する必要がある場合には、光透過性に優れた石英基板やサファイア基板を用いればよい。第二の金属307は、上記裏面より励起光を照射する場合には、その厚さは薄いほど好ましく、より好ましくは5〜100nmである。薄膜は、蒸着,スパッタリング,CVD,PVDなどを用いて作られる。
【0051】
(2)シリコン膜の形成、(3)シリコンのパターニング
第二の金属307上に、厚さが5nm以上のシリコン膜を形成する。薄膜形成方法は、蒸着,スパッタリング,CVD,PVDなどが好ましい。得られたシリコン膜に対して、フォトリソグラフィ,エッチングを施し、金属体305間の局在型表面プラズモンが生じる空間306を作成するためのパターニングを行う。パターンは、向き合った金属体305をアレイ状に配置するための所望のパターンに準じる。例えば、1μmピッチで向き合った金属体305を構成した場合、形成領域を1mm×1mmとすると、100万反応サイトを形成できる。フォトリソグラフィは、既存のi線(波長365nm),KrFエキシマレーザー(波長248nm),ArFエキシマレーザー(波長193nm),X線、又は電子線を光源とした方法を用いることができる。エッチングのパターニングの精度を高めるには、RIE(Reactive Ion Etching)を用いることが好ましい。
【0052】
(4)絶縁膜の形成、(5)絶縁膜のエッチング、(6)シリコンのエッチング
シリコン上にCVDを用いて、絶縁体311を形成する。絶縁膜の厚さは、金属体305間の距離を制御するものである。金属体305間の距離が短い程、局在型表面プラズモンによる蛍光増強効果を高めることができる。絶縁体311の好ましい厚さは50nm以下、より好ましくは15nm以下である。本実施例のように絶縁膜の膜厚により金属体305間の距離を制御する方法は、金属体305間の距離を15nm以下としても製造上のバラツキが小さく好ましい。この様な絶縁膜としては、半導体のゲート電極のサイドウォール(側壁酸化膜)製造プロセスで用いられる二酸化ケイ素や窒化ケイ素が好ましい。本実施例では、絶縁膜を用いるプロセスを示したが、(4)の薄膜形成から(6)のエッチングプロセスでの膜厚を制御できればよく、金属膜で実施しても良い。これらのプロセスで用いられるエッチングについては、微細加工が可能なRIEが望ましい。
【0053】
(7)金属膜の形成、(8)仕切り板の除去
金属膜の厚さは、金属体305の高さを制御するものである。局在型表面プラズモンを効果的に生じる厚さは、計測時に用いる励起波長により異なる。望ましい厚さは1000nm以下である。薄膜形成方法としては、蒸着,スパッタリング,CVD,PVDなどを用いることができる。一般的な合金薄膜の形成方法を用いることにより、金属膜の材料として合金を用いることもできる。例えば、合金をターゲットとしたスパッタリング等を用いることができる。また、複数の金属材料による薄膜形成方法を連続して行うことにより、複数種の金属薄膜を積層することもできる。仕切り板の除去は、一般的なウェット(またはドライ)エッチングを行う。具体的には、二酸化ケイ素,窒化ケイ素とともに、フッ酸または、フッ酸を含む溶液を用いる。
【0054】
(9)レジスト塗布、(10)パターニング
パターニングの大きさや形状は、局在型表面プラズモンの効果に大きく関わる。図3に示した様な、三角形に類似した形状であれば、三角形の一辺が1000nm以下であることが好ましい。レジスト313としては、電子線用のネガ型ポジストを用いることができる。具体的には、TEBN−1(株式会社トクヤマ社製)が挙げられる。レジストをスピンナーで塗布した後、ホットプレートにより2〜5分程度プリベイクする。加速電圧50〜100KVの電子線で描画した後、乳酸エチル,イソプロパノール、又はエタノールで現像する。
【0055】
(11)エッチング、(12)レジスト除去
パターニングされたレジストをマスクとして、金属体305を形成する。パターン精度を高めるには、微細加工が可能なRIEが望ましい。レジスト除去には、広く一般的に用いられるオゾンアッシングのプロセスを用いることができる。
【0056】
(13)プローブ固定
プローブ101が核酸である場合、固定方法には種々の方法が考えられるが、例として、アミノシラン処理を用いる方法を記述する。第二の金属307の酸化膜にアミノシラン処理を行い、アミノ基を導入する。その後、ビオチン−スクシンイミド(Pierce社製NHS−Biotin)を反応させた後、ストレプトアビジンを結合させる。次に、予めビオチンを末端に修飾しておいたプローブを結合させることにより、近接した二つの金属体305の間にプローブを固定した反応サイトを完成することができる。プローブ101が核酸合成酵素の様なタンパク質であっても同様の方法で固定化することができる。具体的には、アミノ化された酸化膜上に二価性試薬であるN−(4−Maleimidobutyryloxy)succinimide(同仁化学研究所社製、GMBS)を反応させた後、核酸合成酵素を反応させることにより核酸合成酵素を固定することができる。そのほか、プローブ101が核酸かタンパク質かに関わらず、酸化膜上に導入したニトロセルロース,ポリアクリルアミドなどとの物理吸着を利用する方法,ヒスチジンとニッケルイオンやコバルトイオンとの特異的な親和を利用する方法、またはビオチンとアビジンの結合を利用する方法、その他のタンパク質やペプチド間の特異的な親和を利用する方法、などを用いることができる。
【0057】
次に、絶縁体上にプローブを固定した核酸分析デバイスの製造方法について、図4を用いて、図3との違いを中心に説明する。
【0058】
(1)絶縁膜の形成
支持基体404上に、蒸着,スパッタリング,CVD,PVDなどにより、絶縁膜414を形成した後、金属膜407を形成する。金属膜407は、絶縁膜414と金属体405との密着性を向上させるものである。絶縁膜414として、スピンコータで製膜可能な層間絶縁膜(日立化成工業社製、HSG)などを用いても良い。(2)シリコン膜の形成〜(8)仕切り板の除去のプロセスは図3と同様である。
【0059】
(A)金属膜のエッチング
空間406界面に絶縁体414を露出させるために、金属膜407をエッチングする。エッチングはドライ(または、ウェット)エッチングのどちらでも良いが、加工精度を高めるためには、微細加工が可能なRIEが望ましい。(9)レジスト塗布〜(13)プローブ固定のプロセスは図3と同様に行う。
【0060】
核酸分析デバイスの好ましい構成の一例について、図5を参照しながら説明する。支持基体501の上に、ナノ構造体を含む反応サイトが格子状に配置されている反応領域502が複数搭載されている。反応サイトには、先に述べた、近接した二つの金属体の間にプローブを固定した構造体を用いる。配置の間隔は、解析しようとする核酸試料や、蛍光検出装置の仕様に基づいて定める。例えば、25mm×75mmのスライドガラスを支持基体501とし、1マイクロ・メートル間隔で格子状に反応サイトを配置した反応領域502を5mm×8mmとすると、1領域当たり4000万種類の核酸分子を解析でき、その領域を8個程度、支持基体501上に搭載することができる。したがって、例えば、RNAの発現解析に用いる場合には、一細胞当たり約40万分子のRNAが発現していることから、RNAの発現頻度解析をデジタルカウンティングのように十分正確に行うことができ、一枚の基板上で8解析程度行うことができる。
【0061】
前記のように、複数の反応領域502を支持基体501の上に設けたデバイス上での反応は、予め流路504を設けた反応チャンバー503を光透過性支持基体501の上にかぶせることにより達成できる。反応チャンバー503は、流路504の溝を予め掘ったPDMS(Polydimethylsiloxane)等の樹脂基体からなり、デバイス上に張り合わせて使用することになる。具体的に述べると、核酸試料,反応酵素,バッファー,ヌクレオチド基質等を保存・温度管理する温調ユニット505,反応液を送り出す分注ユニット506,液の流れを制御するバルブ507,廃液タンク508から構成される。必要に応じ、温調機を配置し、温度制御を行う。反応終了時には、洗浄液が反応チャンバー503の流路504を通じて供給され、廃液タンク508に収納される。流路,バルブ,分注ユニットの構成により、各反応領域502での反応を順次行うことも、同時に行うことも可能である。
【0062】
上に開示した核酸分析デバイスについて局在表面プラズモンの大きさをシミュレーションにより計算した。金属体105の物質をルテニウム(Ru),ロジウム(Rh),イリジウム(Ir),パラジウム(Pd)、および金の上にルテニウムを積層したもの(Ru/Au)とした。照射した光の強度と光近接場強度の比を図6に示す。ここで、光近接場強度は支持基体104の空間106の中央部で測定した。計算は有限要素法(FEM)を用い、励起光111の波長は500nm、支持基体104の物質は石英(屈折率:n=1.45)、周辺の媒質109は水(屈折率:n=1.33)とした。検出に十分なSN比を得る為に必要な光近接場強度は45以上であり、前記の各物質とも大きな局在表面プラズモンを得られることが分かった。
【実施例2】
【0063】
核酸分析装置の実施例について図7を用いて説明する。本実施例では、核酸分析デバイ
スに対して、ヌクレオチド,蛍光色素を有するヌクレオチド,核酸合成酵素,プライマ及び核酸試料からなる1種類以上の生体分子を供給する手段と、核酸分析デバイスに光を照射する手段と、核酸分析デバイス上において前記ヌクレオチド,核酸合成酵素、及び核酸試料が共存することにより起きる核酸伸長反応により核酸鎖中に取り込まれた蛍光色素の蛍光を測定する蛍光検出手段とを備える。より具体的には、カバープレート701と検出窓702と溶液交換用口である注入口703と排出口704から構成される反応チャンバーに前記のデバイス705を設置する。なお、カバープレート701と検出窓702の材質として、PDMS(Polydimethylsiloxane)を使用する。また、検出窓702の厚さは0.17mmとする。YAGレーザ光源(波長532nm,出力20mW)706及びYAGレーザ光源(波長355nm,出力20mW)707から発振するレーザ光708及び709を、ダイクロイックミラー710(410nm以下を反射)によって、前記2つのレーザ光を同軸になるよう調整した後、レンズ711によって集光し、その後、プリズム712を介してデバイス705へ臨界角以上で照射する。本実施例によれば、レーザ照射により、デバイス705表面上に存在する金属体において局在型表面プラズモンが発生し、プローブにより捕捉された標的物質の蛍光体は蛍光増強場内に存在することになる。蛍光体はレーザ光で励起され、その増強された蛍光の一部は検出窓702を介して出射される。また、検出窓702より出射される蛍光は、対物レンズ713(×60,NA1.35,作動距離0.15mm)により平行光束とされ、光学フィルタ714により背景光及び励起光が遮断され、結像レンズ715により2次元CCDカメラ716上に結像される。
【0064】
逐次反応方式の場合には、蛍光色素付きヌクレオチドとして、「P.N.A.S. 2006,vol. 103, pp 19635-19640(非特許文献6)」に開示されているような、リボースの3′OHの位置に3′−O−アリル基を保護基として入れ、また、ピリミジンの5位の位置にあるいはプリンの7位の位置にアリル基を介して蛍光色素と結びつけたものが使用できる。アリル基は、光照射あるいはパラジウムと接触することにより切断されるため、色素の消光と伸長反応の制御を同時に達成することができる。
【0065】
さらに、本実施例では、「P.N.A.S. 2008,vol. 105,pp 1176-1181(非特許文献7)」に開示されているように、リアルタイムで伸長反応を計測することも可能である。上記のように、本実施例の核酸分析デバイスを用いて核酸分析装置を組み上げることにより、洗浄工程を入れることなく、解析時間の短縮化,デバイス及び分析装置の簡便化が図れ、逐次反応方式のみならず、リアルタイムで塩基の伸長反応を計測することも可能となり、従来技術に対して大幅なスループットの改善が図れる。
【符号の説明】
【0066】
101,201,301,401 プローブ
102 蛍光色素
103 未反応基質の蛍光色素
104,204,304,404,501 支持基体
105,205,305,405 金属体
106,206,306 局在型表面プラズモンが生じる空間
107,207,307 第二の金属
108 核酸
209 低屈折率材料
310 シリコン
311 絶縁体
312 仕切り板
313 レジスト
407 金属膜
414 絶縁膜
502 反応領域
503 反応チャンバー
504 流路
505 温調ユニット
506 分注ユニット
507 バルブ
508 廃液タンク
701 カバープレート
702 検出窓
703 注入口
704 排出口
705 デバイス
706 YAGレーザ光源(波長532nm,出力20mW)
707 YAGレーザ光源(波長355nm,出力20mW)
708,709 レーザ光
710 ダイクロイックミラー
711 レンズ
712 プリズム
713 対物レンズ
714 光学フィルタ
715 結像レンズ
716 2次元CCDカメラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光照射により局在型表面プラズモンが発生する金属体を有する支持基体を備え、
前記局在型表面プラズモンの発生する空間に試料中の核酸を配置し、該核酸を蛍光測定により分析する核酸分析デバイスであって、
前記金属体が、ルテニウムにより構成されている核酸分析デバイス。
【請求項2】
光照射により局在型表面プラズモンが発生する金属体を有する支持基体を備え、
前記局在型表面プラズモンの発生する空間に試料中の核酸を配置し、該核酸を蛍光測定により分析する核酸分析デバイスであって、
前記金属体が、イリジウムにより構成されている核酸分析デバイス。
【請求項3】
光照射により局在型表面プラズモンが発生する金属体を有する支持基体を備え、
前記局在型表面プラズモンの発生する空間に試料中の核酸を配置し、該核酸を蛍光測定により分析する核酸分析デバイスであって、
前記金属体が、パラジウムにより構成されている核酸分析デバイス。
【請求項4】
光照射により局在型表面プラズモンが発生する金属体を有する支持基体を備え、
前記局在型表面プラズモンの発生する空間に試料中の核酸を配置し、該核酸を蛍光測定により分析する核酸分析デバイスであって、
前記金属体が、ロジウムにより構成されている核酸分析デバイス。
【請求項5】
光照射により局在型表面プラズモンが発生する金属体を有する支持基体を備え、
前記局在型表面プラズモンの発生する空間に試料中の核酸を配置し、該核酸を蛍光測定により分析する核酸分析デバイスであって、
前記金属体が、ルテニウム,イリジウム,パラジウム,ロジウム、及び白金の2つ以上からなる合金により構成されている核酸分析デバイス。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の核酸分析デバイスにおいて、
前記局在型表面プラズモンを発生させる前記光照射の波長が300から700nmであることを特徴とする核酸分析デバイス。
【請求項7】
請求項1から5のいずれかに記載の核酸分析デバイスにおいて、
前記支持基体上に複数の前記金属体が向き合って存在し、
前記金属体が向き合った空間に光照射により局在型表面プラズモンが発生し、
前記空間と前記支持基体との間に前記金属体とは異なる第二の金属が存在し、
前記第二の金属に、試料中の前記核酸を分析するためのプローブが配置されることを特徴とする核酸分析デバイス。
【請求項8】
請求項1から5のいずれかに記載の核酸分析デバイスにおいて、
前記支持基体上に複数の金属体が向き合って存在し、
前記金属体が向き合った空間に光照射により局在型表面プラズモンが発生し、
前記空間と前記支持基体との間に絶縁体が存在し、
前記絶縁体に、試料中の核酸を分析するためのプローブが配置されることを特徴とする核酸分析デバイス。
【請求項9】
請求項7又は8のいずれかに記載の核酸分析デバイスにおいて、
前記プローブが、核酸またはタンパク質から選ばれる一つ以上の高分子であることを特徴とする核酸分析デバイス。
【請求項10】
請求項7から9のいずれかに記載の核酸分析デバイスにおいて、
前記プローブが、単分子であることを特徴とする核酸分析デバイス。
【請求項11】
請求項7から10のいずれかに記載の核酸分析デバイスにおいて、
前記複数の向き合った金属体が、前記支持基体上にアレイ状に配置されていることを特徴とする核酸分析デバイス。
【請求項12】
請求項7から11のいずれかに記載の核酸分析デバイスにおいて、
前記複数の金属体の間隔が15nm以下であることを特徴とする核酸分析デバイス。
【請求項13】
請求項1から12のいずれかに記載の核酸分析デバイスを用いる核酸分析装置であって、
核酸分析デバイスに対して、ヌクレオチド,蛍光色素を有するヌクレオチド,核酸合成酵素,プライマ、及び核酸試料からなる1種類以上の生体分子を供給する手段と、
前記核酸分析デバイスに光を照射する手段と、
前記核酸分析デバイス上において前記ヌクレオチド,前記蛍光色素を有するヌクレオチド,前記核酸合成酵素,前記プライマ、及び前記核酸試料からなる1種類以上の生体分子が共存することにより起きる核酸伸長反応により核酸鎖中に取り込まれた蛍光色素の蛍光を測定する蛍光検出手段と、を備え、
前記核酸試料の塩基配列情報を取得することを特徴とする核酸分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−243223(P2010−243223A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−89671(P2009−89671)
【出願日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】