説明

核酸送達系のための分岐カチオン性脂質

本発明は、オリゴヌクレオチドの送達のためのカチオン性脂質、及びナノ粒子組成物を用いて標的遺伝子の発現を調節する方法を対象とする。特に、本発明は、分岐スペーサーを介して複数の正に帯電した部分を有するコレステロール及びその誘導体、並びにカチオン性脂質、融合性脂質及びPEG脂質の混合物中に封入されたオリゴヌクレオチドからなるナノ粒子組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その内容が参照により本明細書に組み込まれている、2008年11月17日出願の米国仮特許出願第61/115,307号の優先権の利益を主張するものである。
【0002】
本発明は、オリゴヌクレオチドの送達のためのカチオン性脂質、及び前記脂質を含有するナノ粒子組成物、並びにナノ粒子組成物を用いて遺伝子発現を調節する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
核酸を使用する療法は、過去数年にわたり様々な疾患を治療する試みとして提案されてきた。アンチセンス療法等の療法は、治療遺伝子が、疾患と関連する遺伝子発現を選択的に調節し、他の治療方式を使用する場合に起こる副作用を最小限に抑えることができるため、疾患の治療において強力な手段である。
【0004】
しかし、核酸を使用する療法は、遺伝子の安定性が低いことや、送達の効果がないことにより限界があった。幾つかの遺伝子送達系が、該障害を克服し、インビトロ及びインビボで癌細胞又は癌組織等の標的領域に治療遺伝子を効果的に導入するために提案された。送達を改善し、治療遺伝子の細胞取込みを増進するためのこのような試みは、リポソームの利用を対象とする。
【0005】
プラスミドの送達においてはある程度の進展があったが、現在利用できるリポソームはオリゴヌクレオチドを体内に効果的に送達するものではない。オリゴヌクレオチドの送達において、望ましい送達系は、オリゴヌクレオチドの負電荷を中和するのに十分に足りる正電荷を含んでいなければならない。最近、Stuart, D.D.等、Biochim. Biophys. Acta、2000、1463:219〜229及びSemple, S.C.等、Biochim. Biophys. Acta、2001、1510:152〜166に各々記載されている被覆カチオン性リポソーム(CCL)及び安定核酸脂質粒子(SNALP)により、小型で、核酸封入率が高く、血清安定性が良好で、循環時間の長いナノ粒子が得られることが報告された。しかし、それらは、裸のオリゴヌクレオチドの使用と比較して、特に肝臓以外の臓器においてインビボでの活性の有意な増加を示さなかった。
【0006】
癌細胞等の細胞においてオリゴヌクレオチドの細胞取込みを促進し、バイオアベイラビリティを増加することができる核酸送達系を提供することが望ましい。核酸送達系が、貯蔵に対して安定であり、臨床用途に安全である場合も望ましい。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Biochim. Biophys. Acta、2000、1463:219〜229
【非特許文献2】Biochim. Biophys. Acta、2001、1510:152〜166
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
該試み及び前進にもかかわらず、核酸送達系を改善することが引き続き必要とされている。本発明はこの必要性に対処するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、核酸送達のためのカチオン性脂質及び前記脂質を含有するナノ粒子組成物を提供する。オリゴヌクレオチド等のポリ核酸は、カチオン性脂質、融合性脂質及びPEG脂質の混合物を含有するナノ粒子複合体中に封入される。
【0010】
本発明のこの態様によれば、核酸(即ち、オリゴヌクレオチド)の送達のためのカチオン性脂質は、式(I):
【化1】

[式中、
R1はコレステロール又はその類似体であり、
Y1、Y2及びY5は独立にO、S又はNR4であり、
Y3及びY4は独立にO、S又はNR5であり、
L1は、一つ又は複数の炭素がNR6、O、S又はC(=Y)(YはO、S又はNR4である)で置き換えられている、置換、飽和又は不飽和、分岐又は直鎖のC3〜50アルキルを有するスペーサーであり、
(a)、(c)及び(e)は独立に0又は1であり、
(b)は0又は正の整数であり、
(d)は0又は正の整数であり、
XはC又はPであり、
Q1はH、C1〜6アルキル、NH2又は-(L11)d1-R11であり、
Q2はH、C1〜6アルキル、NH2又は-(L12)d2-R12であり、
Q3は(=O)、H、C1〜6アルキル、NH2又は-(L13)d3-R13であるが、
但し、
(i)XがCであるとき、Q3は(=O)ではなく、
(ii)XがPであるとき、(e)は0であり、
L11、L12及びL13は独立に選択される二官能性スペーサーであり、
(d1)、(d2)及び(d3)は独立に0又は正の整数であり、
R11、R12及びR13は独立に水素、NH2
【化2】

であり、
Y'4はO、S又はNR'5であり、
Y'5は独立にO、S又はNR'4であり、
(c')及び(e')は独立に0又は1であり、
(d')は0又は正の整数であり、
X'はC又はPであり、
Q'1はH、C1〜6アルキル、NH2又は-(L'11)d'1-R'11であり、
Q'2はH、C1〜6アルキル、NH2又は-(L'12)d'2-R'12であり、
Q'3は孤立電子対、(=O)、H、C1〜6アルキル、NH2又は-(L'13)d'3-R'13であるが、
但し、
(i)X'がCであるとき、Q'3は(=O)ではなく、
(ii)X'がPであるとき、(e')は0であり、
L'11、L'12及びL'13は独立に選択される二官能性スペーサーであり、
(d'1)、(d'2)及び(d'3)は独立に0又は正の整数であり、
R'11、R'12及びR'13は独立に水素、NH2
【化3】

であり、
R2〜7、R'2〜5及びR'7は水素、アミノ、置換アミノ、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C3〜19分岐アルキル、C3〜8シクロアルキル、C1〜6置換アルキル、C2〜6置換アルケニル、C2〜6置換アルキニル、C3〜8置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、C1〜6ヘテロアルキル及び置換C1〜6ヘテロアルキルの中から独立に選択されるが、
但し、Q1〜3及びQ'1〜3の少なくとも一つ又は複数は、
【化4】

を含む]
を有する。
【0011】
本発明は、核酸送達のためのナノ粒子組成物も提供する。オリゴヌクレオチド等の核酸は、カチオン性脂質、融合性脂質及びPEG脂質の混合物を含有するナノ粒子複合体中に封入される。
【0012】
本発明のこの態様によれば、核酸(即ち、オリゴヌクレオチド)送達のためのナノ粒子組成物は、
(i)式(I)のカチオン性脂質、
(ii)融合性脂質及び
(iii)PEG脂質
を含む。
【0013】
本発明は、インビボ及びインビトロで細胞又は組織に核酸(好ましくはオリゴヌクレオチド)を送達する方法も更に提供する。本明細書に記載の方法で導入されるオリゴヌクレオチドは、標的遺伝子の発現を調節できる。
【0014】
本発明の一態様は、標的遺伝子、即ち、癌遺伝子、及び哺乳動物、好ましくはヒトの疾患と関連する遺伝子の発現を抑制する方法を提供する。該方法は、細胞、例えば癌細胞又は組織を、本明細書に記載のナノ粒子組成物から調製したナノ粒子/ナノ粒子複合体と接触させることを含む。ナノ粒子中に封入されたオリゴヌクレオチドは放出され、次いで処理される細胞又は組織においてmRNA又はタンパク質のダウンレギュレーションを介在する。ナノ粒子での治療により、癌細胞の増殖の抑制等、悪性疾患の治療において標的遺伝子の発現の調節が可能となる(且つ、前記に伴う付帯利益が与えられる)。このような療法は、単一の治療として、又は一つ若しくは複数の有用な及び/若しくは認可された治療との併用療法の一部として行われてもよい。
【0015】
更なる態様は、式(I)のカチオン性脂質並びに前記脂質を含有するナノ粒子を製造する方法を含む。
【0016】
本明細書に記載のナノ粒子は、ヒト癌細胞におけるLNA含有オリゴヌクレオチド(LNA-ON)のインビトロでの細胞取込みを増進し、哺乳動物の腫瘍へのLNA-ONの送達を促進した。
【0017】
本明細書に記載のカチオン性脂質は、核酸の負電荷を中和し、核酸を含有するナノ粒子の細胞取込みを促進する。本明細書のカチオン性脂質は、コレステロール部分毎に複数単位のカチオン性部分を更に提供して、(i)核酸の負電荷を中和し、(ii)核酸との密なイオンコンプレックスを形成する際の効率を高める。この技法は、治療用オリゴヌクレオチドの送達、並びにLNAを含む治療用オリゴヌクレオチド、及びsiRNA、microRNA及びMOEアンチセンス系の治療用オリゴヌクレオチドを用いる、哺乳動物、即ちヒトの治療に有益である。
【0018】
本明細書に記載のカチオン性脂質の別の利点は、核酸との複数のイオンコンプレックスを形成することによりナノ粒子の大きさを制御する手段を提供することである。
【0019】
本明細書に記載のカチオン性脂質は、体液中でナノ粒子複合体及びナノ粒子複合体中の核酸を安定させる。任意の理論に拘束されずに、ナノ粒子複合体は、少なくともある程度は分子をヌクレアーゼから保護し、それにより分解から保護することにより、封入された核酸の安定性を高めると考えられる。本明細書に記載の式(I)のカチオン性脂質系ナノ粒子は、封入された核酸を安定させる。
【0020】
本明細書に記載のカチオン性脂質は、約10%又は10%未満の充填率を通常有する当技術分野で公知の中性又は負に帯電したナノ粒子と比較して、高効率(例えば、70%超、好ましくは80%超)の核酸(オリゴヌクレオチド)の充填を可能にする。任意の理論に拘束されずに、高い充填率は、高pKa(13〜14)の本明細書に記載の式(I)のカチオン性脂質を有するグアニジン基が、核酸のリン酸基と実質的に緻密な両性イオン水素結合を形成し、それによりより多くの核酸をナノ粒子の内部コンパートメントに効果的に充填できるという事実によりある程度実現される。
【0021】
ナノ粒子の凝集又は沈殿が発生する可能性が低いことから、本明細書に記載のナノ粒子により、中性又は負に帯電したナノ粒子よりも優れた更なる利点がもたらされる。任意の理論に拘束されずに、所望の特性は、核酸との水素結合又は静電相互作用を形成するカチオン性脂質がナノ粒子中に封入され、非カチオン性/融合性脂質及びPEG脂質がカチオン性脂質及び核酸を取り囲むという事実にある程度起因すると考えられる。
【0022】
本明細書に記載のナノ粒子により、高いトランスフェクション効率等の別の利点がもたらされる。本明細書に記載のナノ粒子は、トランスフェクション剤の補助なしにインビトロ及びインビボで細胞をトランスフェクションできる。該ナノ粒子は、トランスフェクション剤を必要とする当技術分野で公知のナノ粒子と同じ毒性を有していないため安全である。ナノ粒子の高いトランスフェクション効率により、治療用核酸を、核に送達するための手段も提供される。
【0023】
本明細書に記載のナノ粒子により、ナノ粒子の調製において有利な安定性及び柔軟性ももたらされる。ナノ粒子は、約2〜12等の広いpH範囲で調製できる。本明細書に記載のナノ粒子は、約7.2〜7.6等の望ましい生理的pHで臨床的に使用することもできる。
【0024】
本明細書に記載のナノ粒子送達系により、十分な量の治療用オリゴヌクレオチドを、EPR(Enhanced Permeation and Retention)効果により癌細胞等の所望の標的領域で選択的に得ることができる。したがって、本明細書に記載のナノ粒子組成物により、癌細胞又は癌組織における特定のmRNAのダウンレギュレーションが改善される。
【0025】
別の利点は、本明細書に記載のカチオン脂質により、均一な大きさのナノ粒子を調製し、貯蔵中ナノ粒子を安定させることができることである。本明細書に記載のカチオン性脂質を含有するナノ粒子複合体は、緩衝液条件下で安定である。この特徴により、臨床医は信頼できる柔軟な治療計画が得られるため、これは先行技術よりも優れた有意な利点である。
【0026】
別の利点は、本明細書に記載のナノ粒子により、一つ又は複数の同一又は異なるアンチセンス標的オリゴヌクレオチドの送達が可能となり、それにより疾患の治療において相乗効果が得られることである。
【0027】
遺伝子レベルでヒトの疾患を治療することは、益々魅力的になってきた。ロック核酸及びsiRNAを含むオリゴヌクレオチドは不要な遺伝子発現を妨げる可能性を有する。本発明により、細胞又は組織等の標的領域においてLNA-ON等の核酸の細胞取込み及び細胞蓄積を促進できる。更に、本明細書に記載のカチオン性脂質系ナノ粒子は、ウイルス送達系と比較して、インビボでオリゴヌクレオチドを送達し、その薬物動態プロファイル、細胞透過及び特定の腫瘍標的化を改善するのに安全である。
【0028】
本発明の別の利点は、本明細書に記載のナノ粒子により、トランスフェクション剤の補助なしでのヒト腫瘍細胞における標的mRNAの強力なダウン調節が可能となり、担癌哺乳動物における核酸の細胞送達が改善されることである。
【0029】
他の及びさらなる利点は、以下の説明から明らかとなろう。
【0030】
本発明の目的のために、「残基」という用語は、例えば、別の化合物との置換反応を経た後に残るコレステロール等を指す、化合物の部分を意味すると理解されるものとする。
【0031】
本発明の目的のために、「アルキル」という用語は、直鎖、分岐鎖及び環状のアルキル基を含む飽和脂肪族炭化水素を指す。「アルキル」という用語は、アルキルチオアルキル基、アルコキシアルキル基、シクロアルキルアルキル基、ヘテロシクロアルキル基及びC1〜6アルキルカルボニルアルキル基も含む。アルキル基は、1〜12個の炭素を有することが好ましい。アルキル基は、より好ましくは約1〜7個の炭素、さらにより好ましくは約1〜4個の炭素の低級アルキルである。アルキル基は、置換又は非置換であってよい。置換される場合、置換基(複数可)としては、好ましくはハロ基、オキシ基、アジド基、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルチオアルキル基、アルコキシアルキル基、アルキルアミノ基、トリハロメチル基、ヒドロキシル基、メルカプト基、ヒドロキシ基、シアノ基、アルキルシリル基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロアリール基、アルケニル基、アルキニル基、C1〜6ヒドロカルボニル基、アリール基及びアミノ基が挙げられる。
【0032】
本発明の目的のために、「置換」という用語は、官能基又は化合物に含有される一つ又は複数の原子を、ハロ基、オキシ基、アジド基、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルチオアルキル基、アルコキシアルキル基、アルキルアミノ基、トリハロメチル基、ヒドロキシル基、メルカプト基、ヒドロキシ基、シアノ基、アルキルシリル基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロアリール基、アルケニル基、アルキニル基、C1〜6アルキルカルボニルアルキル基、アリール基及びアミノ基の群に由来する部分の一つに付加するか、又はそれと置き換えることを指す。
【0033】
本発明の目的のために、「アルケニル」という用語は、直鎖、分岐鎖及び環状の基を含む、少なくとも一つの炭素−炭素二重結合を含有する基を指す。アルケニル基は、好ましくは約2〜12個の炭素を有する。アルケニル基は、より好ましくは約2〜7個の炭素、さらにより好ましくは約2〜4個の炭素の低級アルケニルである。アルケニル基は、置換又は非置換であってよい。置換される場合、置換基(複数可)としては、好ましくはハロ基、オキシ基、アジド基、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルチオアルキル基、アルコキシアルキル基、アルキルアミノ基、トリハロメチル基、ヒドロキシル基、メルカプト基、ヒドロキシ基、シアノ基、アルキルシリル基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロアリール基、アルケニル基、アルキニル基、C1〜6ヒドロカルボニル基、アリール基及びアミノ基が挙げられる。
【0034】
本発明の目的のために、「アルキニル」という用語は、直鎖、分岐鎖及び環状の基を含む、少なくとも一つの炭素−炭素三重結合を含有する基を指す。アルキニル基は、好ましくは約2〜12個の炭素を有する。アルキニル基は、より好ましくは約2〜7個の炭素、さらにより好ましくは約2〜4個の炭素の低級アルキニルである。アルキニル基は、置換又は非置換であってよい。置換される場合、置換基(複数可)としては、好ましくはハロ基、オキシ基、アジド基、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルチオアルキル基、アルコキシアルキル基、アルキルアミノ基、トリハロメチル基、ヒドロキシル基、メルカプト基、ヒドロキシ基、シアノ基、アルキルシリル基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロアリール基、アルケニル基、アルキニル基、C1〜6ヒドロカルボニル基、アリール基及びアミノ基が挙げられる。「アルキニル」の例としては、プロパルギル、プロピン及び3−ヘキシンが挙げられる。
【0035】
本発明の目的のために、「アリール」という用語は、少なくとも一つの芳香族環を含有する芳香族炭化水素環系を指す。芳香族環は、他の芳香族炭化水素環又は非芳香族炭化水素環と場合により縮合していてもよく、又はさもなければ結合していてもよい。アリール基の例としては、フェニル、ナフチル、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン及びビフェニルが挙げられる。アリール基の好ましい例としては、フェニル及びナフチルが挙げられる。
【0036】
本発明の目的のために、「シクロアルキル」という用語は、C3〜8環状炭化水素を指す。シクロアルキルの例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びシクロオクチルが挙げられる。
【0037】
本発明の目的のために、「シクロアルケニル」という用語は、少なくとも一つの炭素−炭素二重結合を含有するC3〜8環状炭化水素を指す。シクロアルケニルの例としては、シクロペンテニル、シクロペンタジエニル、シクロヘキセニル、1,3−シクロヘキサジエニル、シクロヘプテニル、シクロヘプタトリエニル及びシクロオクテニルが挙げられる。
【0038】
本発明の目的のために、「シクロアルキルアルキル」という用語は、C3〜8シクロアルキル基で置換されたアルキル基を指す。シクロアルキルアルキルの例としては、シクロプロピルメチル及びシクロペンチルエチルが挙げられる。
【0039】
本発明の目的のために、「アルコキシ」という用語は、酸素橋を介して親分子部分に結合した、示された数の炭素原子のアルキル基を指す。アルコキシ基の例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ及びイソプロポキシが挙げられる。
【0040】
本発明の目的のために、「アルキルアリール」基は、アルキル基で置換されたアリール基を指す。
【0041】
本発明の目的のために、「アラルキル」基は、アリール基で置換されアルキル基を指す。
【0042】
本発明の目的のために、「アルコキシアルキル」基は、アルコキシ基で置換されアルキル基を指す。
【0043】
本発明の目的のために、「アルキルチオアルキル」基という用語は、アルキル−S−アルキルチオエーテル、例えばメチルチオメチル又はメチルチオエチルを指す。
【0044】
本発明の目的のために、「アミノ」という用語は、一つ又は複数の水素ラジカルを有機ラジカルで置き換えることによってアンモニアから誘導される当技術分野で公知の窒素含有基を指す。例えば、「アシルアミノ」及び「アルキルアミノ」という用語は、各々、アシル置換基及びアルキル置換基を有する特定のN−置換有機ラジカルを指す。
【0045】
本発明の目的のために、「アルキルカルボニル」という用語は、アルキル基で置換されたカルボニル基を指す。
【0046】
本発明の目的のために、「ハロゲン」又は「ハロ」という用語は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素を指す。
【0047】
本発明の目的のために、「ヘテロシクロアルキル」という用語は、窒素、酸素及び硫黄から選択される少なくとも一つのヘテロ原子を含有する非芳香族環系を指す。ヘテロシクロアルキル環は、他のヘテロシクロアルキル環及び/又は非芳香族炭化水素環と場合により縮合していてもよく、又はさもなければ結合していてもよい。好ましいヘテロシクロアルキル基は、3〜7員を有する。ヘテロシクロアルキル基の例としては、ピペラジン、モルホリン、ピペリジン、テトラヒドロフラン、ピロリジン及びピラゾールが挙げられる。好ましいヘテロシクロアルキル基としては、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル及びピロリジニルが挙げられる。
【0048】
本発明の目的のために、「ヘテロアリール」という用語は、窒素、酸素及び硫黄から選択される少なくとも一つのヘテロ原子を含有する芳香族環系を指す。ヘテロアリール環は、一つ又は複数のヘテロアリール環、芳香族もしくは非芳香族炭化水素環、又はヘテロシクロアルキル環と縮合していてもよく、又はさもなければ結合していてもよい。ヘテロアリール環の例としては、ピリジン、フラン、チオフェン、5,6,7,8−テトラヒドロイソキノリン及びピリミジンが挙げられる。ヘテロアリール基の好ましい例としては、例えばチエニル、ベンゾチエニル、ピリジル、キノリル、ピラジニル、ピリミジル、イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、フラニル、ベンゾフラニル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、イソキサゾリル、オキサジアゾリル、イソチアゾリル、ベンズイソチアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピロリル、インドリル、ピラゾリル及びベンゾピラゾリルが挙げられる。
【0049】
本発明の目的のために、「ヘテロ原子」という用語は、窒素、酸素及び硫黄を指す。
【0050】
いくつかの実施形態において、置換アルキルとしては、カルボキシアルキル、アミノアルキル、ジアルキルアミノ、ヒドロキシアルキル及びメルカプトアルキルが挙げられ、置換アルケニルとしては、カルボキシアルケニル、アミノアルケニル、ジアルケニルアミノ、ヒドロキシアルケニル及びメルカプトアルケニルが挙げられ、置換アルキニルとしては、カルボキシアルキニル、アミノアルキニル、ジアルキニルアミノ、ヒドロキシアルキニル及びメルカプトアルキニルが挙げられ、置換シクロアルキルとしては、4−クロロシクロヘキシル等の部分が挙げられ、アリールとしては、ナフチル等の部分が挙げられ、置換アリールとしては、3−ブロモフェニル等の部分が挙げられ、アラルキルとしては、トリル等の部分が挙げられ、ヘテロアルキルとしては、エチルチオフェン等の部分が挙げられ、置換ヘテロアルキルとしては、3−メトキシチオフェン等の部分が挙げられ、アルコキシとしては、メトキシ等の部分が挙げられ、フェノキシとしては、3−ニトロフェノキシ等の部分が挙げられる。ハロは、フルオロ、クロロ、ヨード及びブロモを含むと理解されるものとする。
【0051】
本発明の目的のために、「正の整数」とは、1以上の整数を含むと理解されるものとし、当業者であれば、当業者の合理性の範囲内であることが理解されよう。
【0052】
本発明の目的のために、「結合した」という用語は、一つの基の別の基への共有(好ましくは)結合又は非共有結合、即ち、化学反応による前記結合を含むと理解されるものとする。
【0053】
本発明の目的のために、「有効量」及び「十分量」という用語は、所望の効果又は治療効果を達成する量を意味するものとし、このような効果は当業者により理解されている。
【0054】
本明細書に記載のナノ粒子組成物を使用して形成される「ナノ粒子」及び/又は「ナノ粒子複合体」という用語は、脂質系ナノ複合体を指す。ナノ粒子は、カチオン性脂質、融合性脂質及びPEG脂質の混合物に封入されたオリゴヌクレオチド等の核酸を含有する。あるいは、ナノ粒子は、核酸なしで形成されていてもよい。
【0055】
本発明の目的のために、「治療用オリゴヌクレオチド」とは、医薬品又は診断薬として使用するオリゴヌクレオチドを指す。
【0056】
本発明の目的のために、「遺伝子発現の調節」という用語は、投与経路に関わらず、本明細書に記載のナノ粒子での処理なしに観察された遺伝子発現と比較して、好ましくは癌及び炎症と関連する任意の種類の遺伝子のダウンレギュレーション又はアップレギュレーションを広範に含むと理解されるものとする。
【0057】
本発明の目的のために、「標的遺伝子の発現の抑制」とは、本明細書に記載のナノ粒子での処理なしに観察されたものと比較したとき、mRNA発現又は翻訳されたタンパク質の量を減少させるか、又は減弱させることを意味すると理解されるものとする。このような抑制の適切なアッセイとしては、例えばドットブロット、ノーザンブロット、in situハイブリダイゼーション、ELISA、免疫沈降、酵素機能、並びに当業者に公知の表現型アッセイ等の当業者に公知の技法を用いたタンパク質又はmRNAレベルの検査が挙げられる。処理した状態は、例えば細胞、好ましくは癌細胞又は癌組織のmRNAレベルの減少により確認できる。
【0058】
大まかに言って、抑制又は処理の成功は、所望の反応が得られた場合に生じるとみなされるものとする。例えば、抑制又は処理の成功は、例えば、腫瘍増殖抑制と関連する遺伝子の10%以上(即ち、20%、30%、40%)のダウンレギュレーションを得ることと定義できる。あるいは、処理の成功は、本明細書に記載のナノ粒子での処理なしに観察されたものと比較したとき、当業者により企図される他の臨床的指標を含め、癌細胞又は癌組織における癌遺伝子mRNAレベルの少なくとも20%、好ましくは30%、より好ましくは40%以上(即ち、50%又は80%)の低下を得ることと定義できる。
【0059】
さらに、説明の簡便性のための単数形の用語の使用は、それだけに限定されることは決して意図されない。したがって、例えば、オリゴヌクレオチド、コレステロール類似体、カチオン性脂質、融合性脂質、PEG脂質等を含む組成物についての言及は、オリゴヌクレオチド、コレステロール類似体、カチオン性脂質、融合性脂質、PEG脂質等の一つ又は複数の分子を指す。オリゴヌクレオチドは、同一又は異なる種類の遺伝子であってよいことも企図される。本明細書に開示された特定の構成、工程段階及び物質は若干変化し得るため、本発明はこのような構成、工程段階及び物質に限定されないことも理解されたい。
【0060】
本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲及びその等価物により限定されるため、本明細書で使用する専門用語は、特定の実施形態を記載する目的のためだけに使用され、限定することは意図されないことも理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】実施例3〜8に記載の化合物6の調製の反応スキームを概略的に例示する図である。
【図2】実施例9〜13に記載の化合物11の調製の反応スキームを概略的に例示する図である。
【図3】実施例14〜16に記載の化合物14の調製の反応スキームを概略的に例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0062】
本発明の一態様において、複数のカチオン性部分を含有するカチオン性脂質が提供される。本発明の別の態様において、核酸の送達のための前記を含有するナノ粒子組成物が提供される。ナノ粒子組成物は、(i)式(I)のカチオン性脂質、(ii)融合性脂質及び(iii)PEG脂質を含有できる。企図される核酸としては、オリゴヌクレオチド又はプラスミド、好ましくはオリゴヌクレオチドが挙げられる。本明細書に記載のナノ粒子組成物を使用して調製されるナノ粒子は、脂質担体中に封入される核酸を含む。
【0063】
A.式(I)のカチオン性脂質
1.概要
本明細書に記載のカチオン性脂質は、式(I):
【化5】

[式中、
R1はコレステロール又はその類似体であり、
Y1、Y2及びY5は独立にO、S又はNR4、好ましくはOであり、
Y3及びY4は独立にO、S又はNR5、好ましくはO又はNR5であり、
L1は、一つ又は複数の炭素がNR6、O、S又はC(=Y)(YはO、S又はNR、好ましくはOである)、好ましくはOで置き換えられている、置換、飽和又は不飽和、分岐又は直鎖のC3〜50アルキル(即ち、C3〜40アルキル、C3〜20アルキル、C3〜15アルキル、C3〜10アルキル等)を有するスペーサーであり、
(a)、(c)及び(e)は独立に0又は1であり、
(b)は0又は正の整数、好ましくは0又は約1〜約5(例えば0、1、2、3、4、5)の正の整数、より好ましくは0又は約1〜約3(例えば0、1、2、3)の整数であるが、
但し、(b)が0であるとき、(a)及び(c)が同時に正の整数であることはなく、
(d)は0又は正の整数、好ましくは0又は約1〜約5(例えば0、1、2、3、4、5)の正の整数であり、
XはC又はPであり、
Q1はH、C1〜6アルキル、NH2又は-(L11)d1-R11であり、
Q2はH、C1〜6アルキル、NH2又は-(L12)d2-R12であり、
Q3は(=O)、H、C1〜6アルキル、NH2又は-(L13)d3-R13であるが、
但し、
(i)XがCであるとき、Q3は(=O)ではなく、
(ii)XがPであるとき、(e)は0であり、
L11、L12及びL13は独立に選択される二官能性スペーサーであり、
(d1)、(d2)及び(d3)は独立に0又は正の整数、好ましくは0又は約1〜約9(例えば1、2、3、4、5、6)の整数、より好ましくは0又は約1〜約3(例えば1、2、3、4)の正の整数であり、
R11、R12及びR13は独立に水素、NH2
【化6】

であり、
Y'4はO、S又はNR'5、好ましくはO又はNR'5であり、
Y'5は独立にO、S又はNR'4、好ましくはOであり、
(c')及び(e')は独立に0又は1であり、
(d')は0又は正の整数、好ましくは0又は約1〜約10(例えば1、2、3、4、5、6)の正の整数、より好ましくは0又は約1〜約4(例えば1、2、3)の正の整数であり、
X'はC又はPであり、
Q'1はH、C1〜6アルキル、NH2又は-(L'11)d'1-R'11であり、
Q'2はH、C1〜6アルキル、NH2又は-(L'12)d'2-R'12であり、
Q'3は(=O)、H、C1〜6アルキル、NH2又は-(L'13)d'3-R'13であるが、
但し、
(i)X'がCであるとき、Q'3は(=O)ではなく、
(ii)X'がPであるとき、(e')は0であり、
L'11、L'12及びL'13は独立に選択される二官能性スペーサーであり、
(d'1)、(d'2)及び(d'3)は独立に0又は正の整数、好ましくは0、1、2、3、4であり、
R'11、R'12及びR'13は独立に水素、NH2
【化7】

であり、
R2〜7、R'2〜5及びR'7は水素、アミノ、置換アミノ、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C3〜19分岐アルキル、C3〜8シクロアルキル、C1〜6置換アルキル、C2〜6置換アルケニル、C2〜6置換アルキニル、C3〜8置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、C1〜6ヘテロアルキル及び置換C1〜6ヘテロアルキル、好ましくはH、メチル、エチル及びプロピル、より好ましくはHの中から独立に選択されるが、
但し、Q1〜3及びQ'1〜3の少なくとも一つ又は複数(例えば一つ、二つ、三つ)は、
【化8】

を含む]
を有する。
【0064】
本発明の目的のために、(b)が2以上であるとき、各L1は同一又は異なる。
【0065】
本発明の目的のために、各(d1)、(d2)及び(d3)が各々2以上であるとき、各L11、L12及びL13は各々同一又は異なる。
【0066】
本発明の目的のために、各(d'1)、(d'2)及び(d'3)が各々2以上であるとき、各L'11、L'12及びL'13は同一又は異なる。
【0067】
一つの好ましい態様において、(d1)及び(d2)はいずれも0ではない。別の好ましい態様において、(d1)、(d2)、(d3)、(d'1)、(d'2)及び(d'3)が同時に0であることはない。
【0068】
本発明のある種の態様において、(a)、(b)、(c)、(d)及び(e)は全て0である。
【0069】
一実施形態において、カチオン性脂質は式(Ia)
【化9】

[式中、
Y6及びY7は独立にO、S又はNR29、好ましくはO又はNHであり
R21〜26及びR29は水素、C1〜6アルキル、C3〜12分岐アルキル、C3〜8シクロアルキル、C1〜6置換アルキル、C3〜8置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、C1〜6ヘテロアルキル、置換C1〜6ヘテロアルキル、C1〜6アルコキシ、フェノキシ及びC1〜6ヘテロアルコキシ、好ましくは水素、メチル、エチル及びプロピルの中から独立に選択され、
(t1)、(t2)、(t3)、(t4)及び(t7)は独立に0又は正の整数、好ましくは約1〜約10(例えば1、2、3、4、5)、より好ましくは1、2、3であり、
(t1)が2以上であるとき、R21及びR22は各発生時に独立に同一又は異なり、
(t2)及び(t7)が独立に2以上であるとき、R23、R24及びY7は各発生時に独立に同一又は異なり、
(t3)が2以上であるとき、R21、R22、R23、R24及びY6は各発生時に独立に同一又は異なり、
(t4)が2以上であるとき、R25及びR26は各発生時に独立に同一又は異なり、
全ての他の変数は上に定義されたとおりである]
を有する。
【0070】
本明細書に記載の式(I)のカチオン性脂質は、選択されたpH、例えばpH<13(例えばpH6〜12、pH6〜8)で正味の正電荷を担持するであろう。
【0071】
2.スペーサーL1
本発明の一態様において、スペーサーL1は、一つ又は複数の炭素がNR6、O、S又はC(=Y)(好ましくはO又はNH)で場合により置き換えられるが、置き換えられる炭素が70%を超えない(即ち、60%、50%、40%、30%、20%、10%未満)、置換、飽和又は不飽和、分岐又は直鎖のC3〜50アルキル(即ち、C3〜40アルキル、C3〜20アルキル、C3〜15アルキル、C3〜10アルキル等)を有する二官能性リンカーである。
【0072】
L1が(Y4)c-(CR2R3)d-C(=Y5)eの一部分に結合している場合、幾つかの例示的例は、
-(CR21R22)t1-[C(=Y6)]e1-(Y4)c-(CR2R3)d-C(=Y5)e-、
-(CR21R22)t1Y7-(CR23R24)t2-(Y8)e2-[C(=Y6)]e1-(Y4)c-(CR2R3)d-C(=Y5)e-、
-(CR21R22CR23R24Y7)t3-[C(=Y6)]e1-(Y4)c-(CR2R3)d-C(=Y5)e-、
-(CR21R22CR23R24Y7)t3(CR25R26)t4-(Y8)e2-[C(=Y6)]e1-(Y4)c-(CR2R3)d-C(=Y5)e-、
-(CR21R22CR23R24Y7)t3(CR25R26)t4-(Y8)e2-[C(=Y6)]e1-(CR27R28)t1-(Y4)c-(CR2R3)d-C(=Y5)e-、
-[(CR21R22CR23R24)t5Y7]t6(CR25R26)t4-(Y8)e2-[C(=Y6)]e1-(Y4)c-(CR2R3)d-C(=Y5)e-、
-(CR21R22)t1-[( CR23R24)t2Y7]t7(CR25R26)t4-(Y4)c-(CR2R3)d-C(=Y5)e-、及び
-(CR21R22)t1-[( CR23R24)t2Y7]t7(CR25R26)t4-(Y8)e2-[C(=Y6)]e1-(Y4)c-(CR2R3)d-C(=Y5)e-
[式中、
Y6はO、NR29又はS、好ましくはOであり、
Y7〜8は独立にO、NR29又はS、好ましくはO又はNR29であり、
R21〜29は水素、C1〜6アルキル、C3〜12分岐アルキル、C3〜8シクロアルキル、C1〜6置換アルキル、C3〜8置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、C1〜6ヘテロアルキル、置換C1〜6ヘテロアルキル、C1〜6アルコキシ、フェノキシ及びC1〜6ヘテロアルコキシ、好ましくはH、メチル、エチル及びプロピル、より好ましくはHからなる群から独立に選択され、
(t1)、(t2)、(t3)、(t4)、(t5)、(t6)及び(t7)は各々独立に0又は正の整数(例えば1、2、3、4)であり、
各(c)、(e)、(e1)及び(e2)は独立に0又は1であり、
全ての他の変数は上に定義されたとおりである]
の中から独立に選択される。
【0073】
本発明の範囲内で企図される二官能性L1リンカーとしては、置換基と変数との組合せが許容されることにより、このような組合せにより安定な化合物(式(I)のカチオン性脂質)がもたらされるものが挙げられる。
【0074】
本発明の目的のために、(t1)、(t2)、(t3)、(t4)、(t5)、(t6)及び(t7)が各々独立に2以上であるとき、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27及びR28は各発生時に独立に同一又は異なる。
【0075】
一つの好ましい実施形態において、R21〜29は水素又はメチルである。
【0076】
別の好ましい実施形態において、Y7〜8はO又はNHであり、R21〜29は水素又はメチルである。
【0077】
更なる実施形態及び/又は代替実施形態において、L1基が(Y4)c-(CR2R3)d-C(=Y5)eの一部分に結合している場合、幾つかの例示的例は、
-(CH2)4-C(=O)-、
-(CH2)5-C(=O)-、
-(CH2)6-C(=O)-、
-CH2CH2O-CH2O-C(=O)-、
-(CH2CH2O)2-CH2O-C(=O)-、
-(CH2CH2O)3-CH2O-C(=O)-、
-(CH2CH2O)2-C(=O)-、
-CH2CH2O-CH2CH2NH-C(=O)-、
-(CH2CH2O)2-CH2CH2NH-C(=O)-、
-(CH2CH2O)2-CH2CH2NH-C(=O)-CH2NHC(=O)-、
-(CH2CH2O)2-CH2CH2O-C(=O)-、
-CH2-O-CH2CH2O-CH2CH2NH-C(=O)-、
-CH2-O-(CH2CH2O)2-CH2CH2NH-C(=O)-、
-CH2-O-CH2CH2O-CH2C(=O)-、
-CH2-O-(CH2CH2O)2-CH2C(=O)-、
-(CH2)4-C(=O)NH-、
-(CH2)5-C(=O)NH-、
-(CH2)6-C(=O)NH-、
-CH2CH2O-CH2O-C(=O)-NH-、
-(CH2CH2O)2-CH2O-C(=O)-NH-、
-(CH2CH2O)3-CH2O-C(=O)-NH-、
-(CH2CH2O)2-C(=O)-NH-、
-(CH2CH2O)2-CH2C(=O)-NH-、
-CH2CH2O-CH2CH2NH-C(=O)-NH-、
-(CH2CH2O)2-CH2CH2NH-C(=O)-NH-、
-CH2-O-CH2CH2O-CH2CH2NH-C(=O)-NH-、
-CH2-O-(CH2CH2O)2-CH2CH2NH-C(=O)-NH-、
-CH2-O-CH2CH2O-CH2C(=O)-NH-、
-CH2-O-(CH2CH2O)2-CH2C(=O)-NH-、
-(CH2CH2O)2-、
-(CH2CH2O)3-、
-CH2CH2O-CH2O-、
-(CH2CH2O)2-CH2CH2NH-、
-(CH2CH2O)3-CH2CH2NH-、
-CH2CH2O-CH2CH2NH-、
-(CH2CH2O)2-CH2CH2NH-、
-CH2-O-CH2CH2O-CH2CH2NH-、
-CH2-O-(CH2CH2O)2-CH2CH2NH-、
-CH2-O-CH2CH2O-、及び
-CH2-O-(CH2CH2O)2-
の中から選択される。
【0078】
3.二官能性スペーサーL11〜13及びL'11〜13
別の実施形態において、二官能性スペーサーL11〜13及びL'11〜13は、グアニジン、DBU、DBN等のカチオン性部分に結合できる末端二官能性リンカーである。二官能性リンカーL11〜13及びL'11〜13は、
-(CR'21R'22)q1(Y'8)v'[C(=Y'9)]v(CR'23R'24)q2-、
-(CR'21R'22)q1(Y'8)v'[C(=Y'9)]vY'10(CR'23R'24)q2-、
-(CR'21R'22)q1(Y'8)v'[C(=Y'9)]v(CR'23R'24)q2-Y'11-(CR'23R'24)q3-、
-(CR'21R'22)q1(Y'8)v'[C(=Y'9)]vY'10(CR'23R'24)q2-Y'11-(CR'23R'24)q3-、
-(CR'21R'22)q1(Y'8)v'[C(=Y'9)]v(CR'23R'24CR'25R'26Y'12)q4(CR'27CR'28)q5-、
-(CR'21R'22)q1(Y'8)v'[C(=Y'9)]vY'10(CR'23R'24CR'25R'26Y'12)q4(CR'27CR'28)q5-、及び
【化10】

[式中、
Y'8及びY'10〜12は独立にO、NR'30又はS、好ましくはO又はNR'30であり、
Y'9は独立にO、NR'31又はS、好ましくはOであり、
R'21〜31は各発生時に水素、C1〜6アルキル、C3〜12分岐アルキル、C3〜8シクロアルキル、C1〜6置換アルキル、C3〜8置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、C1〜6ヘテロアルキル、置換C1〜6ヘテロアルキル、C1〜6アルコキシ、フェノキシ及びC1〜6ヘテロアルコキシ、好ましくは水素、メチル、エチル及びプロピルの中から独立に選択され、
(q1)、(q2)、(q3)、(q4)、(q5)及び(q6)は独立に0又は約1〜約10、好ましくは1、2、3、4、5、6の正の整数であり、
(v)及び(v')は独立に0又は1である]
の中から独立に選択される。
【0079】
本発明の範囲内で企図される二官能性スペーサーとしては、置換基と変数との組合せが許容されることにより、このような組合せにより安定な化合物がもたらされるものが挙げられる。
【0080】
本発明の目的のために、(q1)が2以上であるとき、R'21及びR'22は各発生時に独立に同一又は異なる。
【0081】
本発明の目的のために、(q2)及び/又は(q3)が2以上であるとき、R'23及びR'24は各発生時に独立に同一又は異なる。
【0082】
本発明の目的のために、(q4)が2以上であるとき、R'23、R'24、R'25及びR'26は各発生時に独立に同一又は異なる。
【0083】
本発明の目的のために、(q6)が2以上であるとき、R'25及びR'25は各発生時に独立に同一又は異なる。
【0084】
本発明の目的のために、(q5)が2以上であるとき、R'27及びR'28は各発生時に独立に同一又は異なる。
【0085】
一つの好ましい実施形態において、R'21〜31は水素又はメチルである。
【0086】
別の好ましい実施形態において、L11〜13及びL'11〜13
-CH2-、
-(CH2)2-、
-(CH2)4-、
-(CH2)3-、
-O(CH2)2-
-C(=O)O(CH2)3-
-C(=O)NH(CH2)3-
-C(=O)(CH2)2-、
-C(=O)(CH2)3-、
-CH2-C(=O)-O(CH2)3-、
-CH2-C(=O)-NH(CH2)3-、
-CH2-OC(=O)-O(CH2)3-、
-CH2-OC(=O)-NH(CH2)3-、
-(CH2)2-C(=O)-O(CH2)3-、
-(CH2)2-C(=O)-NH(CH2)3-、
-CH2C(=O)O(CH2)2-O-(CH2)2-、
-CH2C(=O)NH(CH2)2-O-(CH2)2-、
-(CH2)2C(=O)O(CH2)2-O-(CH2)2-、
-(CH2)2C(=O)NH(CH2)2-O-(CH2)2-、
-CH2C(=O)O(CH2CH2O)2CH2CH2-、及び
-(CH2)2C(=O)O(CH2CH2O)2CH2CH2-
の中から独立に選択される。
【0087】
ある種の実施形態において、X(Q1)(Q2)(Q3)部分の幾つかの例としては、
【化11】

が挙げられる。
【0088】
好ましい実施形態において、R11及びR12はいずれも、
【化12】

を含む。
【0089】
別の好ましい実施形態において、R'11及びR'12はいずれも、
【化13】

を含む。
【0090】
B.式(I)のカチオン性脂質の調製
本明細書に記載の式(I)のカチオン性脂質を調製する方法は、アミン官能化コレステロール(官能化コレステロール)と1H-ピラゾール-1-カルボキサミジンとを反応させて、グアニジン部分を得ることを含む。コレステロールに結合しているアミンは第1級及び/又は第2級アミンであってよく、1H-ピラゾール-1-カルボキサミジン中のアミンは非置換又は置換であってよい。
【0091】
コレステリルカチオン性脂質の調製の一つの例示的例を図1に示す。活性化されたコレステロールカーボネート、例えばコレステリルクロロホルメート、コレステリルNHSカーボネート又はコレステリルPNPカーボネートを求核アミンと反応させて、次いでBoc基を脱保護し、化合物3(末端アミンを有する二官能性リンカーを有するコレステロール)を調製する。末端アミンをリジンと更に反応させて、分岐部分を有するコレステロール(化合物4)を調製した。酸性条件下で化合物4のBoc部分を脱保護することにより、化合物5を調製した。化合物5のアミンを1H-ピラゾール-1-カルボキサミジンと反応させて、ビスグアニジン部分を含有する化合物6を得た。
【0092】
アミン含有化合物のコレステロールへの結合は、当業者に公知のカップリング剤、例えば1,3-ジイソプロピルカルボジイミド(DIPC)、ジアルキルカルボジイミド、2-ハロ-1-アルキルピリジニウムハロゲン化物、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド(EDC)、プロパンホスホン酸環状無水物(PPACA)及びフェニルジクロロホスフェートを用いて、塩基の存在下で標準的な有機合成法を用いて行うことができる。
【0093】
更なる実施形態において、コレステロール又はアミン含有化合物がNHS、PNP又はクロロホルメート等の離脱基で活性化される場合、反応は、カップリング剤なしに塩基の存在下で行うことができる。
【0094】
一般に、本明細書に記載の式(I)のカチオン性脂質は、DMAP又はDIEA等の塩基の存在下で活性化コレステロールと化合物1等のアミン含有求核剤とを反応させることにより調製される。反応は、不活性溶媒、例えば塩化メチレン、クロロホルム、トルエン、DMF又はそれらの混合物中で行われることが好ましい。反応は、塩基、例えばDMAP、DIEA、ピリジン、トリエチルアミン等の存在下で、約-4℃〜約70℃(例えば、約-4℃〜約50℃)の温度で行われることも好ましい。一つの好ましい実施形態において、反応は、約0℃〜約25℃又は0℃〜ほぼ室温の温度で行われる。
【0095】
化合物2又は4等のアミン含有化合物からの保護基の除去は、強酸、例えばトリフルオロ酢酸(TFA)、HCl、硫酸等、又は接触水素化、ラジカル反応等により行うことができる。一実施形態において、Boc基の脱保護は、ジオキサン中のHCl溶液で行われる。脱保護反応は、約-4℃〜約50℃の温度で行うことができる。好ましくは、反応は約0℃〜約25℃又は室温の温度で行われる。別の実施形態において、Boc基の脱保護は室温で行われる。
【0096】
アミンのグアニジン部分への変換は、不活性溶媒、例えば塩化メチレン、クロロホルム、DMF又はそれらの混合物中で、コレステロールに結合しているアミン(例えば、化合物5のアミン)と1H-ピラゾール-1-カルボキサミジンとを反応させることにより行われる。他の試薬、例えばN-BOC-1H-ピラゾール-1-カルボキサミジン又はN,N'-ジ(tert-ブトキシカルボニル)チオ尿素及びカップリング試薬もアミンをグアニジン部分に変換するために使用できる。
【0097】
当業者に公知のカップリング剤、例えば1,3-ジイソプロピルカルボジイミド(DIPC)、ジアルキルカルボジイミド、2-ハロ-1-アルキルピリジニウムハロゲン化物、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド(EDC)、プロパンホスホン酸環状無水物(PPACA)及びフェニルジクロロホスフェートは、本明細書に記載のカチオン性脂質の調製で使用できる。反応は、塩基、例えばDMAP、DIEA、ピリジン、トリエチルアミン等の存在下で、約-4℃〜約50℃の温度で好ましくは行われる。一つの好ましい実施形態において、反応は、0℃〜約25℃又は室温の温度で行われる。
【0098】
本明細書に記載の方法により調製される幾つかの代表的実施形態としては、それだけに限らないが
【化14】






が挙げられる。
【0099】
一つの好ましい実施形態としては、
【化15】


が挙げられる。
【0100】
C.ナノ粒子組成物/製剤
1.概要
本発明の一態様において、ナノ粒子組成物は、式(I)のカチオン性脂質を含有する。
【0101】
好ましい態様において、ナノ粒子組成物は式(I)のカチオン性脂質、融合性脂質及びPEG脂質を含有する。
【0102】
より好ましい態様において、ナノ粒子組成物はコレステロールを含む。
【0103】
本発明の更なる態様において、本明細書に記載のナノ粒子組成物は、追加の当技術分野で公知のカチオン性脂質を含有できる。異なる融合性脂質(非カチオン性脂質)の混合物及び/又は異なるPEG脂質の混合物を含有するナノ粒子組成物も企図される。
【0104】
別の態様において、ナノ粒子組成物は、ナノ粒子組成物中に存在する総脂質(薬学的担体)の約10%〜約99.9%の範囲のモル比で本明細書に記載の式(I)のカチオン性脂質を含有する。
【0105】
カチオン性脂質成分は、ナノ粒子組成物中に存在する総脂質の約2%〜約60%、約5%〜約50%、約10%〜約45%、約15%〜約25%又は約30%〜約40%の範囲であってよい。
【0106】
一つの特定の実施形態において、カチオン性脂質は、ナノ粒子組成物中に存在する総脂質の約15%〜約25%(即ち15、16、17、18、19、20、21、22、23、24又は25%)の量で存在する。
【0107】
本発明に記載のナノ粒子組成物の別の好ましい態様において、組成物は、ナノ粒子組成物中に存在する総脂質の約20%〜約85%、約25%〜約85%、約60%〜約80%(例えば65、75、78又は80%)のモル比で、コレステロール系及び/又は非コレステロール系融合性脂質を含む、総融合性/非カチオン性脂質を含有する。一つの好ましい実施形態において、総融合性/非カチオン性脂質は、ナノ粒子組成物中に存在する総脂質の約80%である。
【0108】
更に別の好ましい実施形態において、非コレステロール系融合性/非カチオン性脂質は、ナノ粒子組成物中に存在する総脂質の約25%〜約78%(25、35、47、60又は78%)又は約60〜約78%のモル比で存在する。一つの特定の実施形態において、非コレステロール系融合性/非カチオン性脂質は、ナノ粒子組成物中に存在する総脂質の約60%である。
【0109】
更に別の好ましい態様において、ナノ粒子組成物は、非コレステロール融合性脂質に加えて、ナノ粒子組成物中に存在する総脂質の約0%〜約60%、約10%〜約60%又は約20%〜約50%(例えば20、30、40又は50%)の範囲のモル比でコレステロールを含む。一実施形態において、コレステロールは、ナノ粒子組成物中に存在する総脂質の約20%である。
【0110】
本発明の更に別の態様において、ナノ粒子組成物中に含有されるPEG脂質は、ナノ粒子組成物中に存在する総脂質の約0.5%〜約20%、約1.5%〜約18%のモル比の範囲である。ナノ粒子組成物の一実施形態において、PEG脂質は、総脂質の約2%〜約10%(例えば2、3、4、5、6、7、8、9又は10%)のモル比で含まれる。例えば、総PEG脂質は、ナノ粒子組成物中に存在する総脂質の約2%である。
【0111】
2.カチオン性脂質
本発明の一つの好ましい態様において、式(I)のカチオン性脂質は、ナノ粒子組成物中に含まれる。本発明のこの態様によれば、核酸(即ち、オリゴヌクレオチド)の送達のためのナノ粒子組成物は、融合性脂質及びPEG脂質を更に含むことができる。
【0112】
本発明の更なる態様において、本明細書に記載のナノ粒子組成物は、追加の当技術分野で公知のカチオン性脂質を含むことができる。企図される追加の適切な脂質としては、例えば、
N-[1-(2,3-ジオレオイルオキシ)プロピル]-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA);
1,2-ビス(オレオイルオキシ)-3-3-(トリメチルアンモニウム)プロパン又はN-(2,3-ジオレオイルオキシ)プロピル)-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロリド(DOTAP);
1,2-ビス(ジミルストイルオキシ)-3-3-(トリメチルアンモニア)プロパン(DMTAP);
1,2-ジミリスチルオキシプロピル-3-ジメチルヒドロキシエチルアンモニウムブロミド又はN-(1,2-ジミリスチルオキシプロパ-3-イル)-N,N-ジメチル-N-ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(DMRIE);
ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド又はN,N-ジステアリル-N,N-ジメチルアンモニウムブロミド(DDAB);
3-(N-(N',N'-ジメチルアミノエタン)カルバモイル)コレステロール(DC-コレステロール);
3β-[N',N'-ジグアニジノエチル-アミノエタン)カルバモイルコレステロール(BGTC);
2-(2-(3-(ビス(3-アミノプロピル)アミノ)プロピルアミノ)アセトアミド)-N,N-ジテトラデシルアセトアミド(RPR209120);
1,2-ジアルケノイル-sn-グリセロ-3-エチルホスホコリン(即ち、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-エチルホスホコリン、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-エチルホスホコリン及び1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-エチルホスホコリン);
テトラメチルテトラパルミトイルスペルミン(TMTPS);
テトラメチルテトラオレイルスペルミン(TMTOS);
テトラメトリテトララウリルスペルミン(TMTLS);
テトラメチルテトラミリスチルスペルミン(TMTMS);
テトラメチルジオレイルスペルミン(TMDOS);
2,5-ビス(3-アミノプロピルアミノ)-N-(2-(ジオクタデシルアミノ)-2-オキソエチル)ペンタンアミド(DOGS);
2,5-ビス(3-アミノプロピルアミノ)-N-(2-(ジ(Z)-オクタデカ-9-ジエニルアミノ)-2-オキソエチル)ペンタンアミド(DOGS-9-エン);
2,5-ビス(3-アミノプロピルアミノ)-N-(2-(ジ(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニルアミノ)-2-オキソエチル)ペンタンアミド(DLinGS);
N4-スペルミンコレステリルカルバメート(GL-67);
(9Z,9'Z)-2-(2,5-ビス(3-アミノプロピルアミノ)ペンタンアミド)プロパン-1,3-ジイル-ジオクタデカ-9-エノエート(DOSPER);
2,3-ジオレイルオキシ-N-[2(スペルミンカルボキサミド)エチル]-N,N-ジメチル-1-プロパンアミニウムトリフルオロアセテート(DOSPA);
1,2-ジミリストイル-3-トリメチルアンモニウム-プロパン;1,2-ジステアロイル-3-トリメチルアンモニウム-プロパン;
ジオクタデシルジメチルアンモニウム(DODMA);
ジステアリルジメチルアンモニウム(DSDMA);
N,N-ジオレイル-N,N-ジメチルアンモニウムクロリド(DODAC);それらの薬学的に許容される塩及び混合物が挙げられる。
【0113】
カチオン性脂質の詳細は米国特許出願公開第2007/0293449号及び米国特許第4,897,355号、第5,279,833号、第6,733,777号、第6,376,248号、第5,736,392号、第5,686,958号、第5,334,761号、第5,459,127号、第2005/0064595号、第5,208,036号、第5,264,618号、第5,279,833号、第5,283,185号、第5,753,613号及び第5,785,992号にも記載されている。
【0114】
更に、カチオン性脂質を含む市販の製剤、例えばLIPOFECTIN(登録商標)(DOTMA及びDOPEを含有するカチオン性リポソーム、GIBCO/BRL、Grand Island、New York、USA製)、LIPOFECTAMINE(登録商標)(DOSPA及びDOPEを含有するカチオン性リポソーム、GIBCO/BRL、Grand Island、New York、USA製)及びTRANSFECTAM(登録商標)(DOGSを含有するカチオン性リポソーム、Promega Corp.、Madison、Wisconsin、USA製)を使用できる。
【0115】
3.融合性/非カチオン性脂質
本発明の別の態様において、ナノ粒子組成物は融合性脂質を含有する。融合性脂質としては、中性で帯電していない両性イオン性及びアニオン性の脂質等の非カチオン性脂質が挙げられる。本発明の目的のために、「融合性脂質」及び「非カチオン性脂質」という用語は互換的である。
【0116】
中性脂質としては、選択されたpH、好ましくは生理学的pHで非荷電又は中性いずれかの両性イオン形態で存在する脂質が挙げられる。このような脂質の例としては、ジアシルホスファチジルコリン、ジアシルホスファチジルエタノールアミン、セラミド、スフィンゴミエリン、セファリン、コレステロール、セレブロシド及びジアシルグリセロールが挙げられる。
【0117】
アニオン性脂質としては、生理学的pHで負に帯電した脂質が挙げられる。これらの脂質としては、それだけに限らないが、ホスファチジルグリセロール、カルジオリピン、ジアシルホスファチジルセリン、ジアシルホスファチジン酸、N-ドデカノイルホスファチジルエタノールアミン、N-スクシニルホスファチジルエタノールアミン、N-グルタリルホスファチジルエタノールアミン、リジルホスファチジルグリセロール、パルミトイルオレイオイルホスファチジルグリセロール(POPG)及び他のアニオン性修飾基で修飾された中性脂質が挙げられる。
【0118】
多くの融合性脂質としては、疎水性部分及び極性頭部基を一般に有する両親媒性脂質が挙げられ、水溶液中でベシクルを形成できる。
【0119】
企図される融合性脂質としては、天然及び合成のリン脂質及び関連の脂質が挙げられる。
【0120】
非カチオン性脂質の非限定的リストは、リン脂質及び非リン脂質系物質、例えばレシチン、リゾレシチン、ジアシルホスファチジルコリン、リゾホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、スフィンゴミエリン、セファリン、セラミド、カルジオリピン、ホスファチジン酸、ホスファチジルグリセロール、セレブロシド、ジセチルホスフェート、
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロール(DLG);
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロール(DMG);
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロール(DPG);
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロール(DSG);
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスファチジン酸(DLPA);
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスファチジン酸(DMPA);
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスファチジン酸(DPPA);
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスファチジン酸(DSPA);
1,2-ジアラキドイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DAPC);
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DLPC);
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DMPC);
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-エチルホスホコリン(DPePC);
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン又はジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC);
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン又はジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC);
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DLPE);
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン又はジミリストイルホスホエタノールアミン(DMPE);
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン又はジパルミトイルホスファチジル-エタノールアミン(DPPE);
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン又はジステアロイルホスファチジル-エタノールアミン(DSPE);
1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン又はジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE);
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホグリセロール(DLPG);
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホグリセロール(DMPG)又は1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-sn-1-グリセロール(DMP-sn-1-G);
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホグリセロール又はジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG);
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホグリセロール(DSPG)又は1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-sn-1-グリセロール(DSP-sn-1-G);
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-L-セリン(DPPS);
1-パルミトイル-2-リノレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(PLinoPC);
1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン又はパルミトイルオレオイルホスファチジルコリン(POPC);
1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホグリセロール(POPG);
1-パルミトイル-2-lyso-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(P-lyso-PC);
1-ステアロイル-2-lyso-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(S-lyso-PC);
ジフィタノイルホスファチジルエタノールアミン(DPhPE);
1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン又はジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC);
1,2-ジフィタノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DPhPC)、
ジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG);
パルミトイルオレオイルホスファチジルエタノールアミン(POPE);
ジオレオイル-ホスファチジルエタノールアミン4-(N-マレイミドメチル)-シクロヘキサン-1-カルボキシレート(DOPE-mal);
16-O-モノメチルPE;
16-O-ジメチルPE;
18-1-trans PE;1-ステアロイル-2-オレオイル-ホスファチジエタノールアミン(SOPE);
1,2-ジエライドイル-sn-グリセロ-3-ホホエタノールアミン(transDOPE);及びそれらの薬学的に許容される塩及びそれらの混合物の中から選択される。融合性脂質の詳細は、米国特許出願公開第2007/0293449号及び第2006/0051405号に記載されている。
【0121】
非カチオン性脂質としては、ステロール又はステロイドアルコール、例えばコレステロールが挙げられる。
【0122】
追加の非カチオン性脂質としては、例えば、ステアリルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン、アセチルパルミテート、グリセロールリシノレート、ヘキサデシルステアレート、イソプロピルミリステート、両性アクリルポリマー、トリエタノールアミンラウリルサルフェート、アルキルアリールサルフェートポリエチルオキシル化脂肪酸アミド及びジオクタデシルジメチルアンモニウムブロミドがある。
【0123】
企図されるアニオン性脂質としては、ホスファチジルセリン、ホスファチジン酸、ホスファチジルコリン、血小板活性化因子(PAF)、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジル-DL-グリセロール、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルイノシトール、カルジオリピン、リゾホスファチジド、水素化リン脂質、スフィンゴ脂質、ガングリオシド、フィトスフィンゴシン、スフィンガニン、それらの薬学的に許容される塩及び混合物が挙げられる。
【0124】
本明細書に記載のナノ粒子組成物の調製に有用な適切な非カチオン性脂質としては、ジアシルホスファチジルコリン(例えば、ジステアロイルホスファチジルコリン、ジオレオイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン及びジリノレオイルホスファチジルコリン)、ジアシルホスファチジルエタノールアミン(例えば、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン及びパルミトイルオレオイルホスファチジルエタノールアミン)、セラミド又はスフィンゴミエリンが挙げられる。これらの脂質中のアシル基は、飽和及び不飽和の炭素鎖を有する脂肪酸、例えばリノイル、イソステアリル、オレイル、エライジル、ペトロセリニル、リノレニル、エレオステアリル、アラキジル、ミリストイル、パルミトイル及びラウロイルであることが好ましい。アシル基は、ラウロイル、ミリストイル、パルミトイル、ステアロイル又はオレオイルであることがより好ましい。或いは/好ましくは、脂肪酸は、飽和及び不飽和のC8〜C30(好ましくはC10〜C24)炭素鎖を有する。
【0125】
本明細書に記載のナノ粒子組成物で有用な様々なホスファチジルコリンとしては、
1,2-ジデカノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DDPC、C10:0、C10:0);
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DLPC、C12:0、C12:0);
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DMPC、C14:0、C14:0);
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DPPC、C16:0、C16:0);
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC、C18:0、C18:0);
1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DOPC、C18:1、C18:1);
1,2-ジエルコイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DEPC、C22:1、C22:1);
1,2-ジエイコサペンタエノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(EPA-PC、C20:5、C20:5);
1,2-ジドコサヘキサエノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DHA-PC、C22:6、C22:6);
1-ミリストイル-2-パルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(MPPC、C14:0、C16:0);
1-ミリストイル-2-ステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(MSPC、C14:0、C18:0);
1-パルミトイル-2-ステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(PMPC、C16:0、C14:0);
1-パルミトイル-2-ステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(PSPC、C16:0、C18:0);
1-ステアロイル-2-ミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(SMPC、C18:0、C14:0);
1-ステアロイル-2-パルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(SPPC、C18:0、C16:0);
1,2-ミリストイル-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(MOPC、C14:0、C18:0);
1,2-パルミトイル-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(POPC、C16:0、C18:1);
1,2-ステアロイル-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(POPC、C18:0、C18:1)、及びそれらの薬学的に許容される塩及びそれらの混合物が挙げられる。
【0126】
本明細書に記載のナノ粒子組成物で有用な様々なリゾホスファチジルコリンとしては、
1-ミリストイル-2-lyso-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(M-LysoPC、C14:0);
1-パルミトイル-2-lyso-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(P-LysoPC、C16:0);
1-ステアロイル-2-lyso-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(S-LysoPC、C18:0)、及びそれらの薬学的に許容される塩及びそれらの混合物が挙げられる。
【0127】
本明細書に記載のナノ粒子組成物で有用な様々なホスファチジルグリセローとしては、
水素化大豆ホスファチジルグリセロール(HSPG);
非水素化卵ホスファチジルグリセロール(EPG);
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホグリセロール(DMPG、C14:0、C14:0);
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホグリセロール(DPPG、C16:0、C16:0);
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホグリセロール(DSPG、C18:0、C18:0);
1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホグリセロール(DOPG、C18:1、C18:1);
1,2-ジエルコイル-sn-グリセロ-3-ホスホグリセロール(DEPG、C22:1、C22:1);
1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホグリセロール(POPG、C16:0、C18:1)、及びそれらの薬学的に許容される塩及びそれらの混合物の中から選択される。
【0128】
本明細書に記載のナノ粒子組成物で有用な様々なホスファチジン酸としては、
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスファチジン酸(DMPA、C14:0、C14:0);
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスファチジン酸(DPPA、C16:0、C16:0);
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスファチジン酸(DSPA、C18:0、C18:0)、及びそれらの薬学的に許容される塩及びそれらの混合物が挙げられる。
【0129】
本明細書に記載のナノ粒子組成物で有用な様々なホスファチジルエタノールアミンとしては、
水素化大豆ホスファチジルエタノールアミン(HSPE);
非水素化卵ホスファチジルエタノールアミン(EPE);
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DMPE、C14:0、C14:0);
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DPPE、C16:0、C16:0);
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DSPE、C18:0、C18:0);
1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE、C18:1、C18:1);
1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DEPE、C22:1、C22:1);
1,2-ジエルコイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(POPE、C16:0、C18:1)、及びそれらの薬学的に許容される塩及びそれらの混合物が挙げられる。
【0130】
本明細書に記載のナノ粒子組成物で有用な様々なホスファチジルセリンとしては、
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-L-セリン(DMPS、C14:0、C14:0);
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-L-セリン(DPPS、C16:0、C16:0);
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-L-セリン(DSPS、C18:0、C18:0);
1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-L-セリン(DOPS、C18:1、C18:1);
1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-3-ホスホ-L-セリン(POPS、C16:0、C18:1)、及びそれらの薬学的に許容される塩及びそれらの混合物が挙げられる。
【0131】
一つの好ましい実施形態において、本明細書に記載のナノ粒子組成物の調製に有用な適切な中性脂質としては、例えば、
ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、
ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(DSPE)、
パルミトイルオレオイルホスファチジルエタノールアミン(POPE)、
卵ホスファチジルコリン(EPC)、
ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、
ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、
ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、
パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン(POPC)、
ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)、
ジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、
ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン4-(N-マレイミドメチル)-シクロヘキサン-1-カルボキシレート(DOPE-mal)、コレステロール、それらの薬学的に許容される塩及び混合物が挙げられる。
【0132】
ある種の好ましい実施形態において、本明細書に記載のナノ粒子組成物は、DSPC、EPC、DOPE等及びそれらの混合物を含む。
【0133】
本発明の更なる態様において、ナノ粒子組成物は、ステロール等の非カチオン性脂質を含有する。ナノ粒子組成物は、好ましくはコレステロール又はその類似体、より好ましくはコレステロールを含有する。
【0134】
4.PEG脂質
本発明の別の態様において、本明細書に記載のナノ粒子組成物はPEG脂質を含有する。PEG脂質は、本明細書に記載のナノ粒子の循環を延長し、身体からのナノ粒子の早期排出を防ぐ。PEG脂質は、免疫原性を減少させ、ナノ粒子の安定性を高める。
【0135】
ナノ粒子組成物で有用なPEG脂質としては、PEG化形態の融合性/非カチオン性脂質が挙げられる。PEG脂質としては、例えばジアシルグリセロールに結合したPEG(PEG−DAG)、ジアシルグリカミドに結合したPEG、ジアルキルオキシプロピルに結合したPEG(PEG−DAA)、リン脂質に結合したPEG、例えばホスファチジルエタノールアミンに結合したPEG(PEG−PE)、セラミドに結合したPEG(PEG−Cer)、コレステロール誘導体に結合したPEG(PEG−Chol)又はそれらの混合物が挙げられる。各々の内容が参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第5,885,613号明細書及び第5,820,873号明細書、並びに米国特許出願第2006/051405号明細書参照。
【0136】
PEGは、次の構造式:
−O−(CHCHO)
(式中、(n)は、PEG脂質のポリマー部分が約200〜約100000ダルトン、好ましくは約200〜約20000ダルトンの数平均分子量を有するように、約5〜約2300、好ましくは約5〜約460の正の整数である)で一般に表される。(n)は、ポリマーの重合度を表し、ポリマーの分子量に依存する。
【0137】
一つの好ましい態様において、PEGは約200〜約20000ダルトン、より好ましくは約500〜約10000ダルトン、さらにより好ましくは約1000〜約5000ダルトン(即ち、約1500〜約3000ダルトン)の範囲の数平均分子量を有するポリエチレングリコールである。一実施形態において、PEGは約2000ダルトンの分子量を有する。別の実施形態において、PEGは約750ダルトンの分子量を有する。
【0138】
あるいは、ポリエチレングリコール(PEG)残基部分は、次の構造式:
−Y71−(CHCHO)−CHCH71−、
−Y71−(CHCHO)−CHC(=Y72)−Y71−、
−Y71−C(=Y72)−(CHa2−Y73−(CHCHO)−CHCH−Y73−(CHa2−C(=Y72)−Y71−及び
−Y71−(CR7172a2−Y73−(CHb2−O−(CHCHO)−(CHb2−Y73−(CR7172a2−Y71
[式中、
71及びY73は独立にO、S、SO、SO、NR73又は結合であり、
72はO、S又はNR74であり、
71〜74は水素、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C3〜19分岐アルキル、C3〜8シクロアルキル、C1〜6置換アルキル、C2〜6置換アルケニル、C2〜6置換アルキニル、C3〜8置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、C1〜6ヘテロアルキル、置換C1〜6ヘテロアルキル、C1〜6アルコキシ、アリールオキシ、C1〜6ヘテロアルコキシ、ヘテロアリールオキシ、C2〜6アルカノイル、アリールカルボニル、C2〜6アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、C2〜6アルカノイルオキシ、アリールカルボニルオキシ、C2〜6置換アルカノイル、置換アリールカルボニル、C2〜6置換アルカノイルオキシ、置換アリールオキシカルボニル、C2〜6置換アルカノイルオキシ及び置換アリールカルボニルオキシ、好ましくは水素、メチル、エチル又はプロピルから独立に選択され、
(a2)及び(b2)は独立に0又は正の整数、好ましくは0又は約1〜約6(即ち、1、2、3、4、5、6)の整数、より好ましくは1又は2であり、
(n)は約5〜約2300、好ましくは約5〜約460の整数である]
で表すことができる。
【0139】
PEGの末端部分は、H、NH、OH、COH、C1〜6アルキル(例えばメチル、エチル、プロピル)、C1〜6アルコキシ、アシル又はアリールで終わることができる。一つの好ましい実施形態において、PEGの末端ヒドロキシル基は、メトキシ基又はメチル基で置換されている。一つの好ましい実施形態において、PEG脂質で使用するPEGはメトキシPEGである。
【0140】
PEGは脂質に直接結合していてもよく、又はリンカー部分を介して結合していてもよい。脂質構造への結合のためのポリマーは、米国特許第5,122,614号明細書及び第5,808,096号明細書に記載の活性化法、並びに当業者に公知の他の技法を用いて過度に実験するまでもなく適切に活性化されたポリマーに変換される。
【0141】
PEG脂質の調製に有用な活性化PEGの例としては、例えばメトキシポリエチレングリコールスクシネート、mPEG−NHS、メトキシポリエチレングリコールスクシンイミジルスクシネート、メトキシポリエチレングリコール酢酸(mPEG−CHCOOH)、メトキシポリエチレングリコールアミン(mPEG−NH)及びメトキシポリエチレングリコールトレシレート(mPEG−TRES)が挙げられる。
【0142】
ある種の態様において、末端カルボン酸基を有するポリマーは、本明細書に記載のPEG脂質に用いることができる。高純度で末端カルボン酸を有するポリマーを調製する方法は、その内容が参照により本明細書に組み込まれている、米国特許出願第11/328,662号に記載されている。
【0143】
別の態様において、末端アミン基を有するポリマーは、本明細書に記載のPEG脂質を製造するために使用できる。高純度で末端アミンを含有するポリマーを調製する方法は、それらの各々の内容が参照により組み込まれている、米国特許出願第11/508,507号及び第11/537,172号に記載されている。
【0144】
PEG及び脂質は、結合部分、即ち非エステル含有リンカー部分又はエステル含有リンカー部分を介して結合できる。適切な非エステル含有リンカーとしては、それだけに限らないが、アミドリンカー部分、アミノリンカー部分、カルボニルリンカー部分、カルバメートリンカー部分、カーボネート(OC(=O)O)リンカー部分、尿素リンカー部分、エーテルリンカー部分、スクシニルリンカー部分及びそれらの組合せが挙げられる。適切なエステルリンカー部分としては、例えばスクシノイル、ホスフェートエステル(−O−P(=O)(OH)−O−)、スルホン酸エステル及びそれらの組合せが挙げられる。
【0145】
一実施形態において、本明細書に記載のナノ粒子組成物は、ポリエチレングリコール−ジアシルグリセロール(PEG−DAG)又はポリエチレン−ジアシルグリカミドを含む。適切なポリエチレングリコール−ジアシルグリセロール複合体又はポリエチレングリコール−ジアシルグリカミド複合体としては、約C〜約C30(好ましくは約C〜約C24)の飽和又は不飽和の炭素原子を独立に含有するアルキル鎖長を有する、ジアルキルグリセロール基又はジアルキルグリカミド基が挙げられる。ジアルキルグリセロール基又はジアルキルグリカミド基は、一つ又は複数の置換アルキル基をさらに含むことができる。
【0146】
本明細書で使用する「ジアシルグリセロール」(DAG)という用語は、二つの脂肪アシル鎖R11及びR12を有する化合物を指す。R11及びR12は、約4〜約30個(好ましくは約8〜約24個)の炭素の長さの同一又は異なる炭素鎖を有し、エステル結合によりグリセロールに結合する。アシル基は、飽和であってもよく、又は様々な不飽和度を含む不飽和であってもよい。DAGは次の一般式:
【化16】

を有する。
【0147】
一つの好ましい実施形態において、PEG−ジアシルグリセロール複合体は、PEG−ジラウリルグリセロール(C12)、PEG−ジミリスチルグリセロール(C14、DMG)、PEG−ジパルミトイルグリセロール(C16、DPG)又はPEG−ジステアリルグリセロール(C18、DSG)である。当業者であれば、他のジアシルグリセロールも、PEG−ジアシルグリコール複合体で企図されることを容易に認識されよう。本明細書で使用する適切なPEG−ジアシルグリセロール複合体及びそれを製造し使用する方法は、各々の内容が参照により本明細書に組み込まれている、米国特許出願公開第2003/0077829号及びPCT特許出願第CA02/00669号に記載されている。
【0148】
PEG−ジアシルグリセロール複合体の例としては、PEG−ジラウリルグリセロール(C12)、PEG−ジミリスチルグリセロール(C14)、PEG−ジパルミトイルグリセロール(C16)、PEG−ジステリルグリセロール(C18)の中から選択できる。PEG−ジアシルグリカミド複合体の例としては、PEG−ジラウリルグリカミド(C12)、PEG−ジミリスチルグリカミド(C14)、PEG−ジパルミトイルグリカミド(C16)及びPEG−ジステリルグリカミド(C18)が挙げられる。
【0149】
別の実施形態において、本明細書に記載のナノ粒子組成物は、ポリエチレングリコール−ジアルキルオキシプロピル複合体(PEG−DAA)を含む。
【0150】
「ジアルキルオキシプロピル」という用語は、二つのアルキル鎖R11及びR12を有する化合物を指す。R11及びR12アルキル基は、約4〜約30個(好ましくは約8〜約24個)の間の炭素の同一又は異なる炭素鎖長を含む。アルキル基は飽和であってもよく、又は様々な不飽和度を有していてもよい。ジアルキルオキシプロピルは次の一般式:
【化17】

(式中、R11及びR12アルキル基は、約4〜約30個(好ましくは約8〜約24個)の炭素を有する同一又は異なるアルキル基である)を有する。アルキル基は、飽和であってもよく、又は不飽和であってもよい。適切なアルキル基の例としては、それだけに限らないがラウリル(C12)、ミリスチル(C14)、パルミチル(C16)、ステアリル(C18)、オレオイル(C18)及びイコシル(C20)が挙げられる。
【0151】
一実施形態において、R11及びR12はいずれも同一である。即ち、R11及びR12はいずれもミリスチル(C14)、いずれもステアリル(C18)又はいずれもオレオイル(C18)等である。別の実施形態において、R11及びR12は異なる。即ち、R11はミリスチル(C14)であり、R12はステアリル(C18)である。好ましい実施形態において、PEG−ジアルキルプロピル複合体は同一のR11及びR12を含む。
【0152】
さらに別の実施形態において、本明細書に記載のナノ粒子組成物は、ホスファチジルエタノールアミンに結合したPEG(PEG−PE)を含む。PEG脂質の結合に有用なホスファチジルエタノールアミンは、約4〜約30個(好ましくは約8〜約24個)の炭素の範囲の炭素鎖長を有する飽和又は不飽和の脂肪酸を含有できる。適切なホスファチジルエタノールアミンとしては、それだけに限らないが、ジミリストイルホスファチジルエタノールアミン(DMPE)、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)及びジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(DSPE)が挙げられる。
【0153】
さらに別の実施形態において、本明細書に記載のナノ粒子組成物は、セラミドに結合したPEG(PEG−Cer)を含む。セラミドはアシル基を一つだけ有する。セラミドは、約4〜約30個(好ましくは約8〜約24個)の炭素の範囲の炭素鎖長を有する飽和又は不飽和の脂肪酸を有することができる。
【0154】
代替実施形態において、本明細書に記載のナノ粒子組成物は、コレステロール誘導体に結合したPEGを含む。「コレステロール誘導体」という用語は、その修飾、即ち置換及び/又は欠失を含むコレステロール構造を含有する任意のコレステロール類似体を意味する。本明細書においてコレステロール誘導体という用語は、ステロイドホルモン及び胆汁酸も含む。
【0155】
PEG脂質の例示的例としては、N−(カルボニルメトキシポリエチレングリコール)−1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(2kDamPEG−DMPE又は5kDamPEG−DMPE)、N−(カルボニルメトキシポリエチレングリコール)−1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(2kDamPEG−DPPE又は5kDamPEG−DPPE)、N−(カルボニルメトキシポリエチレングリコール)−1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(750kDamPEG−DSPE、2kDamPEG−DSPE、5kDamPEG−DSPE)並びにそれらの薬学的に許容される塩(即ち、ナトリウム塩)及びそれらの混合物が挙げられる。
【0156】
ある種の好ましい実施形態において、本明細書に記載のナノ粒子組成物は、PEGが約200〜約20000、好ましくは約500〜約10000、より好ましくは約1000〜約5000の分子量を有する、PEG−DAG又はPEG−セラミドを有するPEG脂質を含む。
【0157】
PEG−DAG及びPEG−セラミドのいくつかの例示的実施形態を表1に示す:
【表1】

【0158】
好ましくは、本明細書に記載のナノ粒子組成物は、PEG−DSPE、PEG−ジパルミトイルグリカミド(C16)、PEG−セラミド(C16)等及びそれらの混合物の中から選択されるPEG脂質を含む。mPEG−DSPE、mPEG−ジパルミトイルグリカミド(C16)及びmPEG−セラミド(C16)の構造は以下のとおりである:
【化18】

(式中、(n)は、約5〜約2300、好ましくは約5〜約460の整数である)。
【0159】
一つの好ましい実施形態において、(n)は約45である。
【0160】
さらなる実施形態において、及びPEG等のPAO系ポリマーの代替物として、一つ又は複数の効果的な非抗原性物質、例えばデキストラン、ポリビニルアルコール、炭水化物系ポリマー、ヒドロキシプロピルメタクリルアミド(HPMA)、ポリアルキレンオキシド及び/又はそれらのコポリマーを使用できる。PEGの代わりに使用できる適切なポリマーの例としては、それだけに限らないが、ポリビニルピロリドン、ポリメチルオキサゾリン、ポリエチルオキサゾリン、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミド、ポリメタクリルアミド及びポリジメチルアクリルアミド、ポリ乳酸、ポリグリコール酸及び誘導体化セルロース、例えばヒドロキシメチルセルロース又はヒドロキシエチルセルロースが挙げられる。その内容が参照により本明細書に組み込まれている、同一出願人による米国特許第6,153,655号明細書も参照のこと。当業者であれば、同じ種類の活性化が、PEG等のPAOについても本明細書に記載されているように使用できることを理解されよう。当業者は、前記リストは単に例示であり、本明細書に記載の特性を有する全てのポリマー材料が企図されることをさらに理解されよう。本発明の目的のために、「実質的に又は効果的に非抗原性」という用語は、非毒性であり、哺乳動物において感知できるほどの免疫原性反応を誘発しないことが当技術分野で理解されている全ての物質を意味する。
【0161】
5.核酸/オリゴヌクレオチド
本明細書に記載のナノ粒子組成物は、様々な核酸を細胞又は組織に送達するために使用できる。核酸としては、プラスミド及びオリゴヌクレオチドが挙げられる。好ましくは、本明細書に記載のナノ粒子組成物は、オリゴヌクレオチドの送達のために使用される。
【0162】
本発明の範囲をより十分に理解するために、以下の用語を定義する。当業者は、「核酸」又は「ヌクレオチド」という用語が、別段の指示がない限り一本鎖であるか又は二本鎖であるデオキシリボ核酸(「DNA」)、リボ核酸(「RNA」)、並びにそれらの任意の化学修飾体又は類似体、例えばロック(Locked)核酸(LNA)に適用されることを認識されよう。当業者は、「核酸」という用語には、ポリ核酸、その誘導体、修飾体及び類似体が含まれることを容易に理解されよう。「オリゴヌクレオチド」とは、例えば約2〜約200ヌクレオチド長、好ましくは約8〜約50ヌクレオチド長、より好ましくは約8〜約30ヌクレオチド長、さらにより好ましくは約8〜約20ヌクレオチド長又は約15〜約28ヌクレオチド長の大きさがある、一般に比較的短いポリヌクレオチドである。本発明によるオリゴヌクレオチドは、別段の指示がない限り、一般に合成核酸であり、一本鎖である。「ポリヌクレオチド」及び「ポリ核酸」という用語は、本明細書において同義的にも使用できる。
【0163】
オリゴヌクレオチド(類似体)は、一種類のオリゴヌクレオチドに限定されないが、その代わり、広範なこのような部分と連携するように設計されており、リンカーは、3’−又は5’−末端、通常ヌクレオチドのPO基又はSO基の一つ又は複数に結合できることが理解される。企図される核酸分子は、ホスホロチオエート、インターヌクレオチド結合修飾、糖修飾、核酸塩基修飾及び/又はホスフェート骨格修飾を挙げることができる。オリゴヌクレオチドは、天然のホスホロジエステル骨格又はホスホロチオエート骨格、又は任意の他の修飾骨格類似体、例えばLNA(ロック核酸)、PNA(ペプチド骨格を有する核酸)、CpGオリゴマー等を含有でき、それらは、その内容が参照により本明細書に組み込まれている、Tides 2002, Oligonucleotide and Peptide Technology Conferences, May 6-8, 2002, Las Vegas, NV及びOligonucleotide & Peptide Technologies, 18th & 19th November 2003, Hamburg, Germanyにて開示されている。
【0164】
本発明で企図されるオリゴヌクレオチドの修飾は、例えば、追加の電荷、分極率、水素結合、静電相互作用及び官能性をオリゴヌクレオチドに取り込む官能性部分の付加又は置換を含む。このような修飾としては、それだけに限らないが、2’位糖修飾、5位ピリミジン修飾、8位プリン修飾、環外アミンでの修飾、4−チオウリジンの置換、5−ブロモウラシル又は5−ヨードウラシルの置換、骨格修飾、メチル化、イソ塩基のイソシチジン及びイソグアニジン等の塩基対合組合せ、並びに類似の組合せが挙げられる。本発明の範囲内で企図されるオリゴヌクレオチドとしては、3’及び/又は5’キャップ構造も挙げることができる。
【0165】
本発明の目的のために、「キャップ構造」は、オリゴヌクレオチドのいずれかの末端で取り込まれた化学修飾を意味すると理解されるものとする。キャップは、5’−末端(5’−キャップ)又は3’−末端(3’−キャップ)に存在してもよく、又は両末端に存在してもよい。5’−キャップの非限定的例としては、脱塩基残基(部分)、4’,5’−メチレンヌクレオチド、1−(β−D−エリスロフラノシル)ヌクレオチド、4’−チオヌクレオチド、炭素環式ヌクレオチド、1,5−アンヒドロヘキシトールヌクレオチド、L−ヌクレオチド、αヌクレオチド、修飾塩基ヌクレオチド、ホスホロジチオエート結合、スレオペントフラノシルヌクレオチド、非環式3’,4’−セコヌクレオチド、非環式3,4−ジヒドロキシブチルヌクレオチド、非環式3,5−ジヒドロキシペンチルヌクレオチド、3’−3’−逆位ヌクレオチド部分、3’−3’−逆位脱塩基部分、3’−2’−逆位ヌクレオチド部分、3’−2’−逆位脱塩基部分、1,4−ブタンジオールホスフェート、3’−ホスホルアミデート、ヘキシルホスフェート、アミノヘキシルホスフェート、3’−ホスフェート、3’−ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート又は架橋もしくは非架橋メチルホスホネート部分が挙げられる。詳細は、その内容が参照により本明細書に組み込まれている、WO97/26270に記載されている。3’−キャップとしては、例えば、4’、5’−メチレンヌクレオチド、1−(β−D−エリスロフラノシル)ヌクレオチド、4’−チオヌクレオチド、炭素環式ヌクレオチド、5’−アミノアルキルホスフェート、1,3−ジアミノ−2−プロピルホスフェート、3−アミノプロピルホスフェート、6−アミノヘキシルホスフェート、1,2−アミノドデシルホスフェート、ヒドロキシプロピルホスフェート、1,5−アンヒドロヘキトールヌクレオチド、L−ヌクレオチド、αヌクレオチド、修飾塩基ヌクレオチド、ホスホロジチオエート、スレオペントフラノシルヌクレオチド、非環式3’,4’−セコヌクレオチド、3,4−ジヒドロキシブチルヌクレオチド、3,5−ジヒドロキシペンチルヌクレオチド、5’−5’−逆位ヌクレオチド部分、5’−5’−逆位脱塩基部分、5’−ホスホルアミデート、5’−ホスホロチオエート、1,4−ブタンジオールホスフェート、5’−アミノ、架橋及び/もしくは非架橋5’−ホスホルアミデート、ホスホロチオエート及び/又はホスホロジチオエート、架橋もしくは非架橋メチルホスホネート及び5’−メルカプト部分を挙げることができる。その内容が参照により本明細書に組み込まれている、Beaucage and Iyer, 1993, Tetrahedron 49, 1925も参照のこと。
【0166】
ヌクレオシド類似体の非限定的リストは、次の構造式:
【化19】


を有する。それらの各々の内容が、参照により本明細書に組み込まれている、Freier & Altmann; Nucl. Acid Res., 1997, 25, 4429-4443及びUhlmann; Curr. Opinion in Drug Development, 2000, 3(2), 293-213に記載のヌクレオシド類似体のさらなる例を参照のこと。
【0167】
本明細書で使用する場合、「アンチセンス」という用語は、遺伝子産物をコードするか、又は調節配列をコードする特定のDNA配列又はRNA配列に相補的であるヌクレオチド配列を指す。「アンチセンス鎖」という用語は、「センス」鎖に相補的である核酸鎖に関して使用される。細胞代謝の通常の動作において、DNA分子のセンス鎖は、ポリペプチド及び/又は他の遺伝子産物をコードする鎖である。センス鎖は、メッセンジャーRNA(「mRNA」)転写物(アンチセンス鎖)の合成のためのテンプレートとしての役割を果たし、次いで任意のコードされた遺伝子産物の合成を導く。アンチセンス核酸分子は、相補鎖の合成を行わせるウイルスプロモーターに対して目的の遺伝子を逆方向に結合することによる合成を含む当技術分野で公知の任意の方法により調製できる。細胞へ一旦導入されると、この転写鎖は、細胞により産生される天然配列と組み合わさり、二本鎖を形成する。次いで、これらの二本鎖はmRNAのさらなる転写又はその翻訳のいずれかを阻害する。「負」又は(−)の呼称がアンチセンス鎖を指すことも当技術分野で公知であり、「正」又は(+)がセンス鎖を指すことも当技術分野で公知である。
【0168】
本発明の目的のために、「相補的」とは、核酸配列が、別の核酸配列との水素結合(複数可)を形成することを意味すると理解されるものとする。パーセント相補性は、第2の核酸配列と水素結合、即ちワトソンクリック塩基対合を形成できる核酸分子中の隣接残基の割合を指す。即ち、10の内5、6、7、8、9、10は、50%、60%、70%、80%、90%及び100%相補性である。「完全な相補性」とは、核酸配列の全ての隣接残基が、第2の核酸配列中の同数の隣接残基と水素結合を形成することを意味する。
【0169】
本明細書に記載のナノ粒子で有用な核酸(例えば一つ又は複数の同一又は異なるオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチド誘導体)は、約5〜約1000個の核酸、例えば好ましくは約8〜約50ヌクレオチド長(例えば、約8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30)の大きさがある好ましくは比較的短いポリヌクレオチドを挙げることができる。
【0170】
本明細書に記載のナノ粒子中に封入される有用な核酸の一態様において、天然のホスホロジエステル骨格もしくはホスホロチオエート骨格又は任意の他の修飾骨格類似体を有するオリゴヌクレオチド及びオリゴデオキシヌクレオチド、例えば
LNA(ロック核酸);
PNA(ペプチド骨格を有する核酸);
低分子干渉RNA(siRNA);
マイクロRNA(miRNA);
ペプチド骨格を有する核酸(PNA);
ホスホロジアミデートモルホリノオリゴヌクレオチド(PMO);
トリシクロ−DNA;
デコイODN(二本鎖オリゴヌクレオチド);
触媒RNA(RNAi);
リボザイム;
アプタマー;
シュピーゲルマー(L−立体配座オリゴヌクレオチド);
CpGオリゴマー等、例えば、
その内容が参照により本明細書に組み込まれている、Tides 2002, Oligonucleotide and Peptide Technology Conferences, May 6-8, 2002, Las Vegas, NV及びOligonucleotide & Peptide Technologies, 18th & 19th November, 2003, Hamburg, Germanyにて開示されているものが挙げられる。
【0171】
ナノ粒子中に封入された核酸の別の態様において、オリゴヌクレオチドは、以下の表2に列挙されているものを含む、任意の適切な当技術分野で公知のヌクレオチド類似体及び誘導体を場合により含むことができる。
【表2】

【0172】
一つの好ましい態様において、ナノ粒子に封入された標的オリゴヌクレオチドとしては、例えばそれだけに限らないが、癌遺伝子、プロ血管新生経路遺伝子、プロ細胞増殖経路遺伝子、ウイルス感染因子遺伝子及びプロ炎症経路遺伝子が挙げられる。
【0173】
一つの好ましい実施形態において、本明細書に記載のナノ粒子中に封入されたオリゴヌクレオチドは、腫瘍細胞を標的とするか、又は腫瘍細胞及び/もしくは抗癌療法に対する腫瘍細胞の耐性と関連する遺伝子もしくはタンパク質の発現のダウンレギュレートに関わる。例えば、癌と関連する任意の当技術分野で公知の細胞タンパク質をダウンレギュレートするためのアンチセンスオリゴヌクレオチド、例えばBCL−2は本発明で使用できる。その内容が参照により本明細書に組み込まれている、2004年4月9日に出願された米国特許出願公開第10/822,205号明細書を参照のこと。好ましい治療用オリゴヌクレオチドの非限定的例としては、アンチセンスHIF1−αオリゴヌクレオチド、アンチセンススルビビンオリゴヌクレオチド、アンチセンスErbB3オリゴヌクレオチド、アンチセンスβカテニンオリゴヌクレオチド、及びアンチセンスBcl−2オリゴヌクレオチドが挙げられる。
【0174】
より好ましくは、本明細書に記載の本発明によるオリゴヌクレオチドとしては、ホスホロチオエート骨格及びLNAが挙げられる。
【0175】
一つの好ましい実施形態において、オリゴヌクレオチドは、例えばアンチセンススルビビンLNA、アンチセンスErbB3LNA又はアンチセンスHIF1−αLNAであってよい。
【0176】
別の好ましい実施形態において、オリゴヌクレオチドは、例えば、Genasense(登録商標)(別名オブリメルセンナトリウム、Genta Inc.、Berkeley Heights、NJ製)と同一又は実質的に同様のヌクレオチド配列を有するオリゴヌクレオチドあってよい。Genasense(登録商標)は、18−メルホスホロチオエートアンチセンスオリゴヌクレオチド(配列番号4)であり、ヒトbcl−2mRNAの開始配列の最初の六つのコドンに相補的である(ヒトbcl−2mRNAは当技術分野で公知であり、例えば配列番号19として参照により本明細書に組み込まれている米国特許第6,414,134号明細書に記載されている)。
【0177】
企図される好ましい実施形態は、以下を含む:
(i)アンチセンススルビビンLNAオリゴ-1(配列番号1)
mCs-Ts-mCs-As-as-ts-cs-as-ts-gs-gs-mCs-As-Gs-c;
大文字はLNAを表し、「s」はホスホロチオエート骨格を表す。
【0178】
(ii)アンチセンスBcl2siRNA:
SENSE5'-gcaugcggccucuguuugadTdT-3'(配列番号2)
ANTISENSE3'-dTdTcguacgccggagacaaacu-5'(配列番号3)
dTはDNAを表す。
【0179】
(iii)Genasense(ホスホロチオエートアンチセンスオリゴヌクレオチド):(配列番号4)
ts-cs-ts-cs-cs-cs-as-gs-cs-gs-ts-gs-cs-gs-cs-cs-cs-as-t
小文字はDNAを表し、「s」はホスホロチオエート骨格を表す。
【0180】
(iv)アンチセンスHIF1αLNA(配列番号5)
5'-TsGsGscsasasgscsastscscsTsGsTsa-3'
大文字はLNAを表し、「s」はホスホロチオエート骨格を表す。
【0181】
(v)アンチセンスErbB3 LNAオリゴ-2(配列番号6)
5'-TsAsGscscstsgstscsascststsCsTsCs-3'
大文字はLNAを表し、「s」はホスホロチオエート骨格を表す。
【0182】
LNAは、以下に示すような2'-O、4'-Cメチレンビシクロヌクレオチドを含む:
【化20】

スクランブルアンチセンスErbB3 LNA、オリゴ-3(配列番号7)は、
5'- TAGcttgtcccattmCTmC-3'
の配列を有し、
大文字はLNAを表し、mCはメチル化シトシンを表し、インターヌクレオチド結合はホスホロチオエートである。
【0183】
各々の内容が参照により本明細書に組み込まれている、「LNA Oligonucleotides and the Treatment of Cancer」という表題の米国特許出願公開第2006/0154888号及び「Oligomeric Compounds for the Modulation Survivin Expression」という表題の米国特許出願公開第2005/0014712号に開示されているスルビビンLNAの詳細な説明を参照のこと。その内容も参照により本明細書に組み込まれている、「Oligomeric Compounds for the Modulation HIF-1 Alpha Expression」という表題の米国特許出願公開第2004/0096848号及び「Potent LNA Oligonucleotides for Inhibition of HIF-1A Expression」という表題の米国特許出願公開第2006/0252721号も参照のこと。その全体が参照により本明細書に組み込まれているものも参照のこと。
【0184】
適切な標的遺伝子の例は、その内容が参照により本明細書に組み込まれているPCT/WO03/74654、PCT/US03/05028及び米国特許出願公開第2007/0042983号に記載されている。
【0185】
6.標的基
場合により/好ましくは、本明細書に記載のナノ粒子組成物は、特定の細胞型又は組織型に対する標的リガンドをさらに含む。標的基は、リンカー分子、例えばアミド(amide)、アミド(amido)、カルボニル、エステル、ペプチド、ジスルフィド、シラン、ヌクレオシド、脱塩基ヌクレオシド、ポリエーテル、ポリアミン、ポリアミド、ペプチド、炭水化物、脂質、ポリ炭化水素、リン酸エステル、ホスホルアミデート、チオホスフェート、アルキルホスフェート、マレイミジルリンカー又は光解離性リンカーを用いてナノ粒子組成物(好ましくは融合性脂質及びPEG脂質)の任意の成分に結合できる。当技術分野で公知の任意の技法は、過度に実験するまでもなくナノ粒子組成物の任意の成分に標的基を結合させるのに使用できる。
【0186】
例えば、標的化剤を、PEG脂質のポリマー部分に結合させて、ナノ粒子をインビボで標的領域に導くことができる。本明細書に記載のナノ粒子の標的送達は、治療用核酸を封入するナノ粒子の細胞取込みを促進し、それにより治療効果を増強させる。ある種の態様において、いくつかの細胞透過性ペプチドを、腫瘍部位への標的送達のため様々な標的ペプチドと置き換えてもよい。
【0187】
本発明の一つの好ましい態様において、標的部位、例えば一本鎖抗体(SCA)又は一本鎖抗原結合抗体、モノクローナル抗体、細胞接着性ペプチド、例えばRGDペプチド及びセレクチン、細胞透過性ペプチド(CPP)、例えばTAT、ペネトラチン及び(Arg)、受容体リガンド、標的炭水化物分子又はレクチンにより、ナノ粒子は標的領域を特異的に対象とすることができる。その内容が参照により本明細書に組み込まれている、J Pharm Sci. 2006 Sep; 95(9): 1856-72 Cell adhesion molecules for targeted drug deliveryを参照のこと。
【0188】
好ましい標的部分としては、一本鎖抗体(SCA)又は抗体の一本鎖可変フラグメント(sFv)が挙げられる。SCAは、標的腫瘍細胞の特異的分子を結合するか、又は認識することができる抗体のドメインを含有する。抗原結合部位を維持することに加えて、PEG脂質に結合したSCAは、抗原性を低下させ、血流中のSCAの半減期を増大することができる。
【0189】
「一本鎖抗体」(SCA)、「一本鎖抗原結合分子又は抗体」又は「一本鎖Fv」(sFv)という用語は、互換的に用いられる。一本鎖抗体は、抗原に対する結合親和性を有する。一本鎖抗体(SCA)又は一本鎖Fvsは、いくつかの方法で構築でき、既に構築されている。一本鎖抗原結合タンパク質の理論及び産生の詳細は、それらの各々の内容が参照により本明細書に組み込まれている、同一出願人による米国特許出願第10/915,069号明細書及び米国特許第6,824,782号明細書において見出される。
【0190】
通常、SCA又はFvドメインは、26−10、MOPC 315、741F8、520C9、McPC 603、D1.3、マウスphOx、ヒトphOx、RFL3.8 sTCR、1A6、Se155−4、18−2−3、4−4−20、7A4−1、B6.2、CC49、3C2、2c、MA−15C5/K12GO、Ox等として文献中でそれらの略語により知られているモノクローナル抗体の中から選択できる(Huston, J. S. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85: 5879-5883(1988);Huston, J. S. et al., SIM News 38(4)(Supp): 11(1988);McCartney, J. et al., ICSU Short Reports 10: 114(1990);McCartney, J. E. et al., unpublished results(1990);Nedelman, M. A. et al., J. Nuclear Med. 32(Supp.): 1005(1991);Huston, J. S. et al., In: Molecular Design and Modeling: Concepts and Applications, PartB, edited by J. J. Langone, Methods in Enzymology 203: 46-88(1991);Huston, J. S. et al., In: Advancesin the Applications of Monoclonal Antibodies in Clinical Oncology, Epenetos、A. A. (Ed.), London, Chapman & Hall(1993);Bird, R. E. et al., Science 242: 423-426(1988);Bedzyk, W. D. et al., J. Biol. Chem. 265: 18615-18620(1990);Colcher, D. et al., J. Nat. Cancer Inst. 82: 1191-1197(1990);Gibbs, R. A. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88: 4001-4004(1991);Milenic, D. E. et al., Cancer Research 51: 6363-6371(1991);Pantoliano, M. W. et al., Biochemistry 30: 10117-10125(1991);Chaudhary, V. K. et al., Nature 339: 394-397(1989);Chaudhary, V. K. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87: 1066-1070(1990);Batra, J. K. et al., Biochem. Biophys. Res. Comm. 171: 1-6(1990);Batra, J. K. et al., J.Biol. Chem. 265: 15198-15202(1990);Chaudhary, V. K. et al., Proc. Natl. Acad Sci. USA 87: 9491-9494(1990);Batra, J. K. et al., Mol. Cell. Biol. 11: 2200-2205(1991);Brinkmann, U. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88: 8616-8620(1991);Seetharam, S. et al., J. Biol. Chem. 266: 17376-17381(1991);Brinkmann, U. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89: 3075-3079(1992);Glockshuber, R. et al., Biochemistry 29: 1362-1367(1990);Skerra, A. et al., Bio/Technol. 9: 273-278(1991);Pack, P. et al., Biochemistry 31: 1579-1534(1992);Clackson, T. et al., Nature 352: 624-628(1991);Marks, J. D. et al., J. Mol. Biol. 222: 581-597(1991);Iverson, B. L. et al., Science 249: 659-662(1990);Roberts, V. A. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87: 6654-6658(1990);Condra, J. H. et al., J. Biol. Chem. 265: 2292-2295(1990);Laroche, Y. et al., J. Biol. Chem. 266: 16343-16349(1991);Holvoet, P. et al., J. Biol. Chem. 266: 19717-19724(1991);Anand, N. N. et al., J. Biol. Chem. 266: 21874-21879(1991);Fuchs, P. et al., Biol Technol. 9: 1369-1372(1991);Breitling, F. et al., Gene 104: 104-153(1991);Seehaus, T. et al., Gene 114: 235-237(1992);Takkinen, K. et al., Protein Engng. 4: 837-841(1991);Dreher, M. L. et al., J.Immunol. Methods 139: 197-205(1991);Mottez, E. et al., Eur. J. Immunol. 21: 467-471(1991);Traunecker, A. et al., Acad. Sci. USA 88: 8646-8650(1991);Traunecker, A.等、EMBOJ. 10:3655-3659(1991); Hoo, W. F. S. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89: 4759-4763(1993)も参照のこと)。前記刊行物は各々参照により本明細書に組み込まれている。
【0191】
標的基の非限定的リストは、血管内皮細胞増殖因子、FGF2、ソマトスタチン及びソマトスタチン類似体、トランスフェリン、メラノトロピン、ApoE及びApoEペプチド、フォンウィルブランド因子及びフォンウィルブランド因子ペプチド、アデノウイルスファイバータンパク質及びアデノウイルスファイバータンパク質ペプチド、PD1及びPD1ペプチド、EGF及びEGFペプチド、RGDペプチド、葉酸塩、アニサミド等を含む。当業者により認識される他の任意選択の標的化剤も、本明細書に記載のナノ粒子で使用できる。
【0192】
一つの好ましい実施形態において、本明細書に記載のナノ粒子に有用な標的化剤としては、一本鎖抗体(SCA)、RGDペプチド、セレクチン、TAT、ペネトラチン、(Arg)、葉酸等が挙げられ、これらの薬剤の好ましい構造の一部は以下のとおりである:
C−TAT:(配列番号:8)CYGRKKRRQRRR;
C−(Arg)9:(配列番号:9)CRRRRRRRRR;
RGDは、直鎖又は環状の
【化21】

であってよく、
葉酸は
【化22】

の残基である。
【0193】
Argは、例えばCRRRRRRRRRを結合するためのシステインを含むことができ、TATは、CYGRKKRRQRRRC(配列番号10)等のペプチドの末端でさらなるシステインを付加できる。
【0194】
本発明の目的のために、明細書及び図面で使用する略語は、以下の構造を表す:
(i)C−diTAT(配列番号11)=CYGRKKRRQRRRYGRKKRRQRRR−NH
(ii)直鎖RGD(配列番号12)=RGDC;
(iii)環状RGD(配列番号13)=c−RGDFC;
(iv)RGD−TAT(配列番号14)=CYGRKKRRQRRRGGGRGDS−NH及び
(v)Arg(配列番号15)
【0195】
あるいは、標的基は、糖及び炭水化物、例えばガラクトース、ガラクトサミン及びN−アセチルガラクトサミン;ホルモン、例えばエストロゲン、テストステロン、プロゲステロン、グルココルチゾン、アドレナリン、インスリン、グルカゴン、コルチゾール、ビタミンD、甲状腺ホルモン、レチノイン酸及び成長ホルモン;成長因子、例えばVEGF、EGF、NGF及びPDGF;神経伝達物質、例えばGABA、グルタメート、アセチルコリン;NOGO;イノシトール三リン酸;エピネフリン;ノルエピネフリン;一酸化窒素、ペプチド、ビタミン、例えば葉酸及びピリドキシン、薬物、抗体及びインビボ又はインビトロで受容体と相互作用し得る任意の他の分子が挙げられる。
【0196】
D.ナノ粒子の調製
本明細書に記載のナノ粒子は、過度に実験するまでもなく当技術分野で公知の方法で調製できる。
【0197】
例えば、ナノ粒子は、第1の容器に水溶液(又は比較試験用に核酸なしの水溶液)中のオリゴヌクレオチド等の核酸を用意し、第2の容器に本明細書に記載のナノ粒子組成物を含有する有機脂質溶液を用意して、有機脂質溶液が水溶液と混ざり、核酸を封入するナノ粒子が製造されるように水溶液と有機脂質溶液とを混合することにより調製できる。該方法の詳細は、その内容が参照により本明細書に組み込まれている米国特許出願公開第2004/0142025号明細書に記載されている。
【0198】
あるいは、本明細書に記載のナノ粒子は、有機溶媒を利用して成分の混合中に単相を得る、界面活性剤透析法又は変性逆相法等の当技術分野で公知の任意の方法により調製できる。界面活性剤透析法では、核酸(即ち、siRNA)をカチオン性脂質の洗浄溶液と接触させ、被覆核酸複合体を形成する。
【0199】
本発明の一実施形態において、カチオン性脂質とオリゴヌクレオチド等の核酸とを合わせて、約1:20〜約20:1の電荷比、好ましくは約1:5〜約5:1の比、より好ましくは約1:2〜約2:1の比を得る。
【0200】
本発明の一実施形態において、カチオン性脂質とオリゴヌクレオチド等の核酸とを合わせて、約1:1〜約20:1の電荷比、約1:1〜約12:1の比、より好ましくは約2:1〜約6:1の比を得る。あるいは、ナノ粒子組成物の窒素とホスフェート(N/P)との比は、約2:1〜約5:1(即ち、2.5:1)の範囲である。
【0201】
別の実施形態において、本明細書に記載のナノ粒子は、デュアルポンプシステムを用いて調製できる。一般に、該方法は、第1の容器に核酸を含有する水溶液及び第2の容器に記載のナノ粒子組成物を含有する脂質溶液を用意することを含む。二つの溶液をデュアルポンプシステムを用いて混合し、ナノ粒子を得る。次いで、得られた混合溶液を水性緩衝液で希釈し、形成したナノ粒子を透析により精製するか、且つ/又は単離することができる。ナノ粒子は、0.22μmのフィルターを介して濾過することにより滅菌されるようにさらに処理してもよい。
【0202】
核酸を含有するナノ粒子は、直径約5〜約300nmの範囲である。好ましくは、ナノ粒子は、動的光散乱法(DLS)を用いる測定により、約150nm(例えば約50〜150nm)未満の中位径、より好ましくは約100nm未満の中位径を有する。ナノ粒子の大部分は、約30〜100nm(例えば59.5、66、68、76、80、93、96nm)、好ましくは約60〜約95nmの中位径を有する。当業者は、DLS法と比較したとき、TEM等の他の当技術分野で公知の技法を用いる測定により、中位径数が半分に減少し得ることを認識されよう。本発明のナノ粒子は、多分散性により示されるように、実質的にサイズが均一である。
【0203】
場合により、ナノ粒子は、当技術分野で公知の任意の方法によりサイジングできる。サイズは当業者により所望されるように制御できる。サイジングは、所望のサイズ範囲を得、ナノ粒子サイズの分布を比較的狭めるために行うことができる。ナノ粒子を所望のサイズにサイジングするためにいくつかの技法を利用できる。その内容が参照により本明細書に組み込まれている、例えば、米国特許第4,737,323号明細書参照。
【0204】
本発明は、核酸(例えば、LNA又はsiRNA)が脂質多重膜構造(即ち、脂質二重層)に封入され、分解から保護されるように、血清安定ナノ粒子を調製する方法を提供する。本明細書に記載のナノ粒子は、水溶液中で安定である。ナノ粒子に含まれる核酸は、体液中に存在するヌクレアーゼから保護される。
【0205】
さらに、本発明に従って調製されるナノ粒子は、生理学的pHで中性であるか、又は正に帯電していることが好ましい。
【0206】
本明細書に記載のナノ粒子組成物を用いて調製されるナノ粒子又はナノ粒子複合体は、(i)式(I)のカチオン性脂質、(ii)中性脂質/融合性脂質、(iii)PEG脂質及び(iv)オリゴヌクレオチド等の核酸を含む。
【0207】
一実施形態において、ナノ粒子組成物は、
式(I)のカチオン性脂質、ジアシルホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルエタノールアミンに結合したPEG(PEG−PE)及びコレステロールと、
式(I)のカチオン性脂質、ジアシルホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミンに結合したPEG(PEG−PE)及びコレステロールと、
式(I)のカチオン性脂質、ジアシルホスファチジルエタノールアミン、ジアシルホスファチジルコリン、ジアシルホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミンに結合したPEG(PEG−PE)及びコレステロールと、
式(I)のカチオン性脂質、ジアシルホスファチジルエタノールアミン、セラミドに結合したPEG(PEG−Cer)及びコレステロールと、又は
式(I)のカチオン性脂質、ジアシルホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルエタノールアミンに結合したPEG(PEG−PE)、セラミドに結合したPEG(PEG−Cer)及びコレステロールと
の混合物を含む。
【0208】
さらなるナノ粒子組成物は、当技術分野で公知のカチオン性脂質(複数可)を含有する組成物を修飾することにより調製できる。当技術分野で公知のカチオン性脂質を含有するナノ粒子組成物は、当技術分野で公知のカチオン性脂質を式(I)のカチオン性脂質で置換することにより、及び/又は式(I)のカチオン性脂質を加えることにより修飾できる。その内容が参照により本明細書に組み込まれている米国特許出願公開第2008/0020058号明細書の表IVに記載の当技術分野で公知の組成物を参照のこと。
【0209】
ナノ粒子の調製のためのナノ粒子組成物の非限定的リストを表3に示す。
【表3】

【0210】
一実施形態において、ナノ粒子中のカチオン性脂質(化合物6):DOPE:コレステロール:PEG−DSPE:C16mPEG−セラミドのモル比は、ナノ粒子組成物中に存在する総脂質を基準にして、各々約18%:60%:20%:1%:1%のモル比である(試料番号8)。
【0211】
別の実施形態において、ナノ粒子は、カチオン性脂質(化合物6)、DOPE、コレステロール及びC16mPEG−セラミドをナノ粒子組成物中に存在する総脂質の約17%:60%:20%:3%のモル比で含有する(試料番号7)。
【0212】
これらのナノ粒子組成物は、好ましくは次の構造式:
【化23】

を有するカチオン性脂質を含む。
【0213】
本明細書で使用するモル比は、ナノ粒子組成物中に存在する総脂質に対する量を指す。
【0214】
E.治療方法
本明細書に記載のナノ粒子は、単独で、又は他の療法と組み合わせて、細胞又は組織における標的遺伝子の発現レベルに関連しているか、又はそれに反応する任意の特質、疾患又は状態を予防するか、抑制するか、低減するか又は治療するための治療において使用できる。該方法は、本明細書に記載のナノ粒子を、それを必要とする哺乳動物に投与することを含む。
【0215】
本発明の一態様は、治療核酸、例えばオリゴヌクレオチドを哺乳動物細胞にインビボ及び/又はインビトロで導入するか、又は送達する方法を提供する。
【0216】
本発明による方法は、細胞を本明細書に記載のナノ粒子と接触させることを含む。送達は、インビボで適切な医薬組成物の一部として行われてもよく、又はエクスビボ環境環境で細胞に対して直接行われてもよい。
【0217】
別の態様において、本発明は、オリゴヌクレオチドを哺乳動物に導入するのに有用である。本明細書に記載のナノ粒子は、哺乳動物、好ましくはヒトに投与できる。
【0218】
別の態様によれば、本発明は、哺乳動物の細胞又は組織において遺伝子発現を抑制するか、又はダウンレギュレート(もしくは調節)する方法を好ましくは提供する。遺伝子発現のダウンレギュレーション又は抑制は、インビボ、エクスビボ及び/又はインビトロで実現できる。該方法は、ヒトの細胞又は組織と本明細書に記載の核酸を封入するナノ粒子とを接触させるか、又はナノ粒子をそれを必要とする哺乳動物に投与することを含む。接触が起こると、本明細書に記載のナノ粒子なしで観察されたものと比較して、少なくとも約10%、好ましくは少なくとも約20%以上(例えば、少なくとも約25%、30%、40%、50%、60%)がインビボ、エクスビボ又はインビトロで実現された場合に、例えばmRNAレベル又はタンパク質レベルでの遺伝子発現の抑制又はダウンレギュレーションが成功したとみなされるものとする。
【0219】
本発明の目的のために、「抑制する」又は「ダウンレギュレートする」は、一つ又は複数のタンパク質サブユニットをコードする標的遺伝子の発現、又はRNAもしくは等価RNAのレベル、あるいは一つ又は複数のタンパク質サブユニット、例えば、ErB3、HIF−1α、スルビビン、及びBCL2の活性が、本明細書に記載のナノ粒子の不在化で観察されたものと比較して低減されることを意味すると理解されるものとする。
【0220】
一つの好ましい実施形態において、標的遺伝子としては、例えばそれだけに限らないが、癌遺伝子、プロ血管新生経路遺伝子、プロ細胞増殖経路遺伝子、ウイルス感染因子遺伝子及びプロ炎症経路遺伝子が挙げられる。
【0221】
好ましくは、標的遺伝子の遺伝子発現は、癌細胞又は癌組織、例えば脳腫瘍細胞、乳癌細胞、結腸直腸癌細胞、胃癌細胞、肺癌細胞、口腔癌細胞、膵臓癌細胞、前立腺癌細胞、皮膚癌細胞又は子宮頸癌細胞において抑制される。癌細胞又は癌組織は、以下のもの:固形腫瘍、リンパ腫、小細胞肺癌、急性リンパ性白血病(ALL)、膵臓癌、膠芽腫、卵巣癌、胃癌、乳癌、結腸直腸癌、前立腺癌、子宮頸癌、脳腫瘍、KB癌、肺癌、結腸癌、表皮癌等の一つ又は複数に由来するものであってよい。
【0222】
一つの特定の実施形態において、本明細書に記載の方法によるナノ粒子は、例えばアンチセンスbcl−2オリゴヌクレオチド、アンチセンスHIF−1αオリゴヌクレオチド、アンチセンススルビビンオリゴヌクレオチド、アンチセンスErbB3オリゴヌクレオチドを含む。
【0223】
本明細書で企図される療法は、前記ナノ粒子に封入された核酸を使用する。一実施形態において、8個以上の連続アンチセンスヌクレオチドを含有する治療用ヌクレオチドを治療で使用できる。
【0224】
1つの特定の治療において、オリゴヌクレオチド(配列番号1、配列番号2及び3、配列番号3、配列番号4、配列番号5、並びに配列番号6)を含むナノ粒子を使用することができる。
【0225】
あるいは、哺乳動物を治療する方法も提供される。該方法は、有効量の本明細書に記載のナノ粒子を含有する医薬組成物を、それを必要とする患者に投与することを含む。該方法の有効性は、治療される状態に対する核酸の有効性に依存するであろう。本発明は、哺乳動物における様々な医学的状態を治療する方法を提供する。該方法は、有効量の封入された治療用核酸を含有するナノ粒子を、このような治療を必要とする哺乳動物に投与することを含む。本明細書に記載のナノ粒子は、とりわけ、疾患、例えば(それだけに限らないが)癌、炎症性疾患及び自己免疫疾患を治療するのに有用である。
【0226】
一実施形態において、有効量の本明細書に記載のナノ粒子を含有する医薬組成物を、それを必要とする患者に投与することを含む、悪性腫瘍又は癌を有する患者を治療する方法も提供される。治療される癌は、以下のもの:固形腫瘍、リンパ腫、小細胞肺癌、急性リンパ性白血病(ALL)、膵臓癌、膠芽腫、卵巣癌、胃癌、結腸直腸癌、前立腺癌、子宮頸癌、脳腫瘍、KB癌、肺癌、結腸癌、表皮癌等の一つ又は複数であってよい。ナノ粒子は、標的遺伝子の遺伝子発現をダウンレギュレートすることにより、新生物疾患を治療し、全身腫瘍組織量を減少させ、新生物の転移を予防し、哺乳動物における腫瘍/新生物の増殖の再発を予防するのに有用である。
【0227】
ナノ粒子は、標的遺伝子の遺伝子発現をダウンレギュレートすることにより、哺乳動物における腫瘍疾患の治療、全身腫瘍組織量の低減、新生物転移の防止、および腫瘍再発/新生物増殖の防止に有用である。例えば、ナノ粒子は、転移性疾患(即ち、肺に転移する癌)の治療に有用である。
【0228】
さらに別の態様において、本発明は、インビボ又はインビトロで癌細胞の増殖又は成長を抑制する方法を提供する。該方法は、癌細胞を本明細書に記載のナノ粒子と接触させることを含む。一実施形態において、本発明は、細胞がErbB3遺伝子を発現するインビボ又はインビトロで癌の増殖を抑制する方法を提供する。
【0229】
別の態様において、本発明は、アンチセンスオリゴヌクレオチド、例えばアンチセンスErbB3 LNAオリゴヌクレオチドを癌細胞内に送達させ、その中でアンチセンスオリゴヌクレオチドが核に入り、ErbB3 mRNAに結合し得る手段を提供する。結果として、標的遺伝子発現、例えばErbB3発現が抑制され、それにより癌細胞の増殖が抑制される。あるいは、本発明は、癌細胞のアポトーシスを調節する方法を提供する。本方法は細胞と本明細書に記載のナノ粒子を接触させることを含む。
【0230】
さらに別の態様において、インビボ又はインビトロで化学療法剤に対する癌細胞又は癌組織の感受性を高める方法も提供される。1つの特定の態様において、本方法は、本明細書に記載のナノ粒子中に封入されているオリゴヌクレオチド(例えば、LNAを含むアンチセンスオリゴヌクレオチド)を癌細胞に導入し、癌細胞または組織中の遺伝子(例えば、スルビビン、HIF-1αまたはErbB3)の発現の低減することを含み、この場合、アンチセンスオリゴヌクレオチドはmRNAと結合し、遺伝子発現を低減する。
【0231】
さらに別の態様において、インビボ又はインビトロで腫瘍細胞を殺滅する方法が提供される。該方法は、本明細書に記載のナノ粒子を腫瘍細胞に導入して、ErbB3遺伝子等の遺伝子発現を減少させるステップと、腫瘍細胞と、腫瘍細胞の一部を殺滅するのに十分な量の少なくとも1種の化学療法剤とを接触させるステップとを含む。したがって、殺滅される腫瘍細胞部分は、本明細書に記載のナノ粒子の不在化で同量の化学療法剤により殺滅されるであろう部分よりも大きくてよい。
【0232】
本発明のさらなる態様において、化学療法剤は、本明細書に記載のナノ粒子を用いる方法において、組み合わせて、同時に又は順次に使用できる。本明細書に記載のナノ粒子は、化学療法剤の前に、又はそれと同時に、あるいは化学療法剤の投与後に投与できる。したがって、本明細書に記載のナノ粒子は、化学療法剤の治療前、治療中又は治療後に投与できる。
【0233】
さらにさらなる態様は、相乗的又は付加的な利益のために本明細書に記載の本発明の化合物と他の抗癌療法とを組み合わせることを含む。
【0234】
あるいは、本明細書に記載のナノ粒子組成物は、哺乳動物に対して負電荷又は中性電荷を好ましくは有する、医薬活性剤を送達するために使用できる。医薬活性剤/化合物を封入するナノ粒子は、それを必要とする哺乳動物に投与できる。医薬活性剤/化合物は、低分子量の分子を含む。通常、医薬活性剤は、約1500ダルトン未満(即ち1000ダルトン未満)の分子量を有する。
【0235】
さらなる実施形態において、本明細書に記載の化合物は、核酸、医薬活性剤又はそれらの組合せを送達するために使用できる。
【0236】
さらにさらなる実施形態において、治療と関連するナノ粒子は、相乗効果の利用のために一つ又は複数の治療用核酸(同一又は異なるいずれか、例えば同一又は異なるLNA含有オリゴヌクレオチド)及び医薬活性剤の混合物を含有できる。
【0237】
F.ナノ粒子の医薬組成物/医薬製剤
本明細書に記載のナノ粒子を含む医薬組成物/医薬製剤は、薬学的に使用できる製剤への活性化合物の加工を促進する賦形剤及び補助剤を含む、一つ又は複数の生理学的に許容される担体と共に製剤化できる。適切な製剤は、選択される投与経路、即ち、局所治療であるか、又は全身治療であるかに依存する。
【0238】
適切な形態は、ある程度、経口、経皮又は注射等の使用又は侵入経路に依存する。適切な製剤を調製する当技術分野で公知の考慮因子としては、それだけに限らないが、組成物又は製剤がその効果を発揮することを妨げるであろう毒性及び任意の欠点が挙げられる。
【0239】
本明細書に記載のナノ粒子の医薬組成物の投与は、経口投与、経肺投与、局所投与(例えば、表皮投与、経皮投与、眼内投与、ならびに膣内投与および直腸内投与を含む粘膜投与)、または非経口投与、例えば、静脈内投与、動脈内投与、皮下投与、腹腔内投与または筋肉注射または静注であってもよい。
【0240】
好ましい一実施形態においては、治療用オリゴヌクレオチドを含有するナノ粒子は、静脈内投与(i.v.)または腹腔内投与(i.p.)投与されるか、ボーラス注入される。本発明の多くの態様においては、非経口経路が好ましい。
【0241】
それだけに限らないが静脈注射、筋肉内注射及び皮下注射を含む注射について、本発明のナノ粒子は、水溶液中で、好ましくは生理学的に相容性の緩衝液、例えば生理食塩水緩衝液中で、又はそれだけに限らないがピロリドン又はジメチルスルホキシドを含む極性溶媒中で製剤化できる。
【0242】
ナノ粒子は、ボーラス注入又は連続注入用に製剤化されてもよい。注射用製剤は、単位剤形、例えばアンプル又は多用量容器中に存在できる。有用な組成物として、それだけに限らないが、油性又は水性ビヒクル中の懸濁液、溶液又はエマルジョンが挙げられ、賦形剤、例えば懸濁化剤、安定化剤及び/又は分散化剤を含有できる。非経口投与用の医薬組成物としては、水溶性形態の水溶液が挙げられる。水性注射用懸濁液は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール又はデキストラン等の懸濁液の粘度を調節する物質を含有できる。懸濁液は、溶液中のナノ粒子の濃度を増加させる適切な安定剤及び/又は薬剤も場合により含有できる。あるいは、ナノ粒子は、適当なビヒクル、例えば滅菌パイロジェンフリー水により使用前に構成するために粉末形態であってもよい。
【0243】
経口投与について、本明細書に記載のナノ粒子は、ナノ粒子と、当技術分野で周知の薬学的に許容される担体とを合わせることにより製剤化できる。このような担体により、本発明のナノ粒子を、患者の経口摂取用に錠剤、ピル、トローチ、糖衣錠、カプセル、液体、ゲル、シロップ、ペースト、スラリー、溶液、懸濁液、患者の飲料水での希釈用の濃縮液及び懸濁液、患者の食餌での希釈用の予混合剤等に製剤化できる。経口使用のための医薬製剤は、固体賦形剤を使用し、得られた混合物を場合により粉砕して、所望される場合、他の適切な補助剤を加えた後に顆粒の混合物を加工して、錠剤又は糖衣錠の核を得ることにより製造できる。有用な賦形剤としては、特に充填剤、例えば糖(例えばラクトース、スクロース、マンニトール又はソルビトール)、セルロース製剤、例えばトウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプン及びジャガイモデンプン、並びに他の物質、例えばゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム及び/又はポリビニルピロリドン(PVP)がある。所望される場合、崩壊剤、例えば架橋ポリビニルピロリドン、寒天又はアルギン酸を加えてもよい。塩、例えばアルギン酸ナトリウムも使用できる。
【0244】
吸入投与については、本発明のナノ粒子は、圧縮パック又はネブライザーを用いるエアロゾルスプレー、及び適切な噴射剤の形態で好都合に送達できる。
【0245】
ナノ粒子は、例えば従来の座薬基剤、例えばココアバター又は他のグリセリドを用いて、直腸組成物、例えば座薬又は停留浣腸に製剤化してもよい。
【0246】
先に記載の製剤に加えて、ナノ粒子は、デポー製剤として製剤化されてもよい。このような長時間作用型製剤は、移植(例えば皮下又は筋肉内)により又は筋肉内注射により投与できる。本発明のナノ粒子は、適切なポリマー材料又は疎水性材料(例えば、薬理学的に許容される油のエマルジョン)と共に、イオン交換樹脂と共に、又はそれだけに限らないが難溶性の塩等の難溶性誘導体としてこの投与経路用に製剤化できる。
【0247】
さらに、ナノ粒子は、持続放出系、例えばナノ粒子を含有する固体疎水性ポリマーの半透過性マトリックスを用いて送達できる。様々な持続放出材料が確立されており、当業者に周知である。
【0248】
さらに、抗酸化剤及び懸濁化剤は、本明細書に記載のナノ粒子の医薬組成物中で使用できる。
【0249】
G.用量
一つ又は複数の予め選択された遺伝子の発現を抑制するのに適した用量、例えば臨床状況における治療有効量の決定は、特に本明細書の開示内容に照らして、十分当業者の能力の範囲内である。
【0250】
本発明の方法で使用する任意の治療用核酸について、治療有効量は、最初にインビトロアッセイから推定できる。次いで、投与量は、有効な投与量を含む循環濃度範囲を得るために動物モデルでの使用に対して定式化できる。次いで、このような情報を使用して、患者に有用な投与量をより正確に決定できる。
【0251】
投与される医薬組成物の量は、そこに含まれる核酸の有効性に依存するであろう。一般に、治療で使用する核酸を含有するナノ粒子の量は、哺乳動物において所望の治療結果を効果的に実現する量である。必然的に、様々なナノ粒子の投与量は、そこに封入された核酸(アンチセンスLNA分子等のオリゴヌクレオチド)(又は医薬活性剤)に応じて若干変化するであろう。更に、投与量は、当然ながら、剤形及び投与経路に応じて変化し得る。しかし、一般に、本明細書に記載のナノ粒子に封入された核酸は、約0.1mg/kg/用量〜約1g/kg/用量、好ましくは約1〜約500mg/kg/用量、より好ましくは1〜約100mg/kg/用量(即ち、約2〜約60mg/kg/用量)の範囲の量で投与できる。療法で投与されるアンチセンスオリゴヌクレオチドは、約4〜約25mg/kg/用量の量で変動し得る。例えば、治療用プロトコルは、約0.1mg/kg/週〜約1g/kg/週、好ましくは約1〜約500mg/kg/週、より好ましくは1〜約100mg/kg/週(即ち、約2〜約60mg/kg/週)の範囲でアンチセンスオリゴヌクレオチドを投与することを含む。
【0252】
一実施形態において、プロトコルは、約4〜約18mg/kg/用量/週又は約4〜約9.5mg/kg/用量/週の量でアンチセンスオリゴヌクレオチドを投与することを含む。
【0253】
一つの特定の実施形態において、治療プロトコルは、6週間のサイクルで3週間約4〜約18mg/kg/用量/週の量(即ち、約8mg/kg/用量)のアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む。別の特定の実施形態は、約4〜約9.5mg/kg/用量/週(即ち、約8又は4.1mg/kg/用量)を含む。
【0254】
上に示された範囲は、例示的であり、当業者は、臨床経験及び治療指示に基づき最適な用量を決定するであろう。更に、正確な製剤、投与経路及び投与量は、患者の状態を考慮して個々の医師が選択できる。更に、本明細書に記載の化合物の毒性及び治療有効性は、当業者に周知の方法を用いて細胞培養又は実験動物において標準医薬操作により決定できる。
【0255】
或いは、約0.1〜約140mg/kg/日(0.1〜100mg/kg/日)の量を、核酸の有効性に応じて治療で使用してもよい。単位剤形は、一般に、活性剤、オリゴヌクレオチドの約1mg〜約500mgの範囲である。
【0256】
一実施形態において、本発明の治療は、本明細書に記載のナノ粒子中に封入されたオリゴヌクレオチドを、約0.1〜約50mg/kg/用量、例えば約0.5〜約45mg/kg/用量(例えば、単回投与計画又は多回投与計画のいずれか)の量で哺乳動物に投与することを含む。
【0257】
或いは、本明細書に記載のナノ粒子中に封入されたオリゴヌクレオチドの送達は、約0.1〜約1000μM、好ましくは約10〜約1500μM(即ち、約30〜約1000μM)の濃度のオリゴヌクレオチドと腫瘍細胞又は腫瘍組織とをインビボ、エクスビボ又はインビトロで接触させることを含む。
【0258】
組成物は、1日1回投与してもよく、複数週の治療プロトコルの一環として与えることができる複数回投与に分けてもよい。正確な用量は、当業者に認識されるように、状態の段階及び重症度、核酸に対する腫瘍等の疾患の感受性、及び治療される患者の個々の特性に依存するであろう。
【0259】
ナノ粒子が投与される本発明の全ての態様において、言及された投与量は、投与されるナノ粒子の量ではなくオリゴヌクレオチドの分子量に基づいている。
【0260】
治療は、所望の臨床結果が得られるまで1日又は数日行われることが企図される。治療用の核酸(又は医薬活性剤)を封入するナノ粒子の投与の正確な量、回数及び期間は、当然ながら、患者の性別、年齢及び医学的状態、並びに担当臨床医により決定された疾患の重症度に応じて変化するであろう。
【0261】
更に更なる態様は、相乗的又は付加的な利益のために、本明細書に記載の本発明のナノ粒子と他の抗癌療法とを組み合わせることを含む。
【0262】
実施例
以下の実施例は、本発明の更なる理解を得るために利用されるが、本発明の有効な範囲を制限することを何ら意味するものではない。
【0263】
実施例において、全ての合成反応は、乾燥窒素又は乾燥アルゴンの雰囲気下で行われる。N-(3-アミノプロピル)-1,3-プロパンジアミン、BOC-ON、エチレンオキシド、LiOCl4、コレステロール及び1H-ピラゾール-1-カルボキサミジンHClをAldrichから購入した。全ての他の試薬及び溶媒を、更なる精製なしで使用した。スルビビン遺伝子を標的とするオリゴ-1、ErB3遺伝子を標的とするオリゴ-2及びオリゴ-3(スクランブルオリゴ-2)等のLNA含有オリゴヌクレオチドを社内で調製した。その配列を表4に記載する。オリゴヌクレオチド中のインターヌクレオチド結合はホスホロチオエートを含み、mCはメチル化シトシンを表し、大文字はLNAを示す。
【表4】

【0264】
以下の略語、例えばLNA(ロック核酸オリゴヌクレオチド)、BACC(2-[N,N'-ジ(2-グアニジンプロピル)]アミノエチルコレステリルカーボネート)、2-(Boc-オキシイミノ)-2-フェニルアセタトニトリル(BOC-ON)、Chol(コレステロール)、DIEA(ジイソプロピルエチルアミン)、DMAP(4-N,N-ジメチルアミノピリジン)、DOPE(L-α-ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン、Avanti Polar Lipids、USA又はNOF、Japan)、DLS(動的光散乱)、DSPC(1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン)(NOF、Japan)、DSPE-PEG(1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-(ポリエチレングリコール)2000アンモニウム塩又はナトリウム塩、Avanti Polar Lipids、USA及びNOF、Japan)、KD(ノーンダウン)、EPC(卵ホスファチジルコリン、Avanti Polar Lipids、USA)及びC16 mPEG-セラミド(N-パルミトイル-スフィンゴシン-1-スクシニル(メトキシプロピルエチレングリコール)2000、Avanti Polar Lipids、USA)は、実施例全体で使用される。他の略語、例えばFAM(6-カルボキシフルオレセイン)、FBS(ウシ胎児血清)、GAPDH(グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ)、DMEM(ダルベッコの修飾イーグル培地)、MEM(修飾イーグル培地)、TEAA(テトラエチルアンモニウムアセテート)、TFA(トリフルオロ酢酸)、RT-qPCR(逆転写定量的ポリメラーゼ連鎖反応)も使用された。
【実施例1】
【0265】
一般的NMR法
別段の指示がない限り、Varian Mercury 300NMR分光計及び溶媒として重水素化クロロホルムを用いて300MHzで1H NMRスペクトル及び75.46MHzで13C NMRスペクトルを得た。化学シフト(δ)を、テトラメチルシラン(TMS)からのダウンフィールドで100万分の一(ppm)で報告する。
【実施例2】
【0266】
一般的なmRNAダウンレギュレーション法
細胞を完全培地(F-12K又はDMEM、10%FBSで補足)中で維持する。各ウェル中に2.5×105細胞を含有する12ウェルプレートを37℃で終夜インキュベートする。細胞をOpti-MEM(登録商標)で1回洗浄し、Opti-MEM(登録商標)400μLを各ウェルに加える。次いで、細胞を、核酸を封入するナノ粒子溶液又は対照としてナノ粒子なしでの遊離核酸溶液(裸のオリゴヌクレオチド)で処理する。細胞を4時間インキュベートし、次いで各ウェルに培地600μLを加え、24時間インキュベートする。処理の24時間後、ヒトErbB3等の標的遺伝子及びGAPDH等のハウスキーピング遺伝子の細胞内mRNAレベルを、RT-qPCRで測定する。mRNAの発現レベルをGAPDHのmRNAの発現レベルに対して正規化する。
【実施例3】
【0267】
化合物1の調製
無水ジクロロメタン(DCM)250mL及びTHF200mL中の2,2'-(エタン-1,2-ジイルビス(オキシ))ジエタンアミン(101.2g、683mmol)の溶液に、無水DCM150mL中のジ-tert-ブチルジカーボネート(59.6g、273mmol)の溶液を、0℃にて1.5時間かけて徐々に加えた。混合物を室温で16時間撹拌した。溶媒を除去し、残渣を水300mL中に取り出し、DCM(2×300mL)中に抽出した。有機層を合わせ、0.5N HCl(2×250mL)で抽出した。次いで、水層を4N水酸化ナトリウム溶液でpH8まで塩基性化し、DCM(2×300mL)で抽出した。有機層を合わせ、無水硫酸マグネシウムで乾燥させて、濾過し、濃縮し、40℃にて真空下で乾燥させて、生成物28.5g(収率42%)を生成した:13C NMR δ 155.43, 78.42, 73.05, 69.74, 41.37, 39.92, 28.06。
【実施例4】
【0268】
化合物2の調製
無水DCM70mL中の化合物1(3.52g、14.2mmol)の溶液に、DIEA(2.48mL、14.2mmol)、次いでコレステリルクロロホルメート(5.8g、12.9mmol)を加えた。反応混合物を室温で2.5時間撹拌し、0.5N HCl(60mL)で処理した。生成物をDCM(2×60mL)中に抽出した。合わせた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。得られた固体を35℃にて真空下で乾燥させて、生成物8.05g(収率94%)を生成した: 13C NMR δ 155.99, 155.80, 139.71, 122.36, 79.26, 76.57, 74.35, 70.29, 70.2, 56.71, 56.16, 50.04, 42.35, 40.74, 40.42, 39.78, 39.57, 38.62, 37.05, 36.61, 36.22, 35.85, 31.94, 28.48, 28.29, 28.23, 28.07, 24.35, 23.91, 22.88, 22.63, 21.12, 19.43, 18.80, 11.95。
【実施例5】
【0269】
化合物3の調製
無水DCM55mL中の化合物2(8.05g、12.2mmol)の溶液に、TFA24mLを0℃で加えた。反応混合物を室温で1時間撹拌した。反応が完了した後、溶媒を乾燥させて除去し、TFA塩として9.15g(定量的収率)を生成した。この化合物を更なる精製なしに使用した: 13C NMR δ 161.31, 160.77, 160.24, 159.72, 157.90, 139.17, 122.82, 120.84, 117.04, 113.24, 109.45, 70.05, 69.97, 66.14, 66.08, 56.72, 56.22, 50.06, 42.36, 40.79, 40.09, 39.80, 39.60, 38.33, 36.90, 36.56, 36.27, 35.88, 31.92, 28.31, 28.07, 27.98, 24.35, 23.95, 22.84, 22.59, 21.11, 19.25, 18.78, 14.51, 11.92。
【実施例6】
【0270】
化合物4の調製
無水DCM100mL中の化合物3(9.15g、13.6mmol)の溶液に、Boc-Lys(Boc)-OH(10.7g、20.4mmol)、次いでDMAP(2.5g、20.4mmol)及びEDC(3.92g、20.4mmol)を加えた。混合物を室温で終夜撹拌した。反応物をDCM100mLで希釈し、0.5N NaHCO3(2×70mL)及び0.1N HCl(2×70mL)で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗物質を、DCM/メタノール(9:1、v/v)の混合物を用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、生成物5.1g(収率42%)を生成した: 13C NMR δ 171.90, 156.04, 155.84, 155.43, 139.54, 122.30, 79.76, 78.89, 74.25, 70.23, 70.09, 69.59, 56.59, 56.05, 54.37, 53.36, 49.94, 42.25, 40.63, 40.01, 39.67, 39.46, 39.19, 38.53, 36.94, 36.50, 36.13, 35.74, 32.31, 31.83, 29.64, 28.44, 28.33, 28.19, 28.15, 27.96, 24.26, 23.80, 22.81, 22.65, 22.55, 21.02, 19.31, 18.70, 11.86。
【実施例7】
【0271】
化合物5の調製
無水DCM35mL中の化合物4(5.1g、5.7mmol)の溶液に、TFA15mLを0℃で加えた。反応混合物を室温で1.5時間撹拌した。混合物をDCM50mLで希釈し、水層がpH約5に達するまで飽和NaHCO3溶液を徐々に加えた。有機層を分離し、無水MgSO4で乾燥させ、濾過し、濃縮し、乾燥させて、TFA塩として生成物3.8g(73%)を生成した: 13C NMR δ 169.29, 156.33, 139.70, 122.40, 76.57, 74.35, 70.06, 56.72, 56.24, 50.03, 42.37, 39.79, 39.56, 38.69, 37.03, 36.61, 36.28, 35.90, 31.94, 28.29, 28.08, 24.38, 24.02, 22.90, 22.64, 21.17, 19.47, 18.83, 11.98。
【実施例8】
【0272】
化合物6の調製
無水クロロホルム13mL中の化合物5(1.3g、1.88)の溶液に、1H-ピラゾール-1-カルボキサミジンHCl(1.10g、7.5mmol)、次いでDIEA(1.31mL、7.5mmol、d0.74)を室温で加えた。反応物を16時間還流した。溶液を室温まで冷却し、アセトニトリル15mLを加えることにより沈殿させた。固体を遠心分離で単離した。単離した固体を、水/ACN(1:1、v/v)14mLに再溶解させた。溶解後、ACN14mLを加え、固体を沈殿させた。固体を遠心分離し、乾燥させて、生成物950mg(66%)を生成した:13C NMR δ 171.06, 157.05, 156.43, 139.62, 122.39, 74.42, 70.03, 56.69, 56.24, 49.99, 42.32, 40.64, 39.76, 39.53, 38.63, 37.05, 36.57, 36.25, 35.87, 31.92, 28.26, 28.04, 24.35, 23.99, 22.87, 22.61, 21.13, 19.44, 18.80, 11.97。
【実施例9】
【0273】
化合物7の調製
無水DCM140mL中のコレステロール(14.2g、36.8mmol)の溶液に、2-(2-(2-Boc-アミノエトキシ)エトキシ)酢酸(5.1g、18.4mmol)、次いでDMAP(6.7g、54.8mmol)及びEDC(7.1g、36.8mmol)を0℃で加えた。混合物を室温で18時間撹拌した。反応混合物をDCM50mLで希釈し、0.5N NaHCO3(2×80mL)及び0.1N HCl(2×80mL)で洗浄した。合わせた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗物質を、25%EtOAc/ヘキサンの混合物を用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、生成物8.5g(72%)を生成した: 13C NMR δ 169.57, 155.78, 139.16, 122.75, 79.05, 74.62, 70.76, 70.29, 70.24, 68.73, 56.64, 56.11, 49.99, 42.31, 40.39, 39.72, 39.52, 38.07, 36.92, 36.56, 36.19, 35.78, 31.91, 31.86, 28.43, 28.23, 28.02, 27.76, 24.30, 23.86, 22.85, 22.59, 21.05, 19.33, 18.75, 11.90。
【実施例10】
【0274】
化合物8の調製
無水DCM80mL中の化合物7(8.5g、13.4mmol)の溶液に、TFA20mLを0℃で加えた。反応物を室温で1.5時間撹拌した。反応が完了した後、溶媒を乾燥させて除去し、TFA塩として生成物10g(定量的収率)を生成した。この化合物を更なる精製なしに使用した:13C NMR δ 171.10, 160.78, 160.24, 138.74, 123.22, 116.93, 113.14, 77.42, 76.23, 70.54, 69.80, 68.21, 66.62, 56.66, 56.15, 49.98, 42.35, 40.10, 39.74, 39.56, 37.85, 36.78, 36.54, 36.23, 35.85, 31.88, 28.29, 28.07, 27.57, 24.34, 23.91, 22.87, 22.61, 21.08, 19.28, 18.78, 11.93。
【実施例11】
【0275】
化合物9の調製
無水DCM100mL中の化合物8(10g、15.5mmol)の溶液に、Boc-Lys(Boc)-OH(20.4g、38.8mmol)、次いでDMAP(5.6g、38.8mmol)及びEDC(7.27g、38.8mmol)を0℃で加えた。混合物を室温で終夜撹拌した。反応物をDCM100mLで希釈し、0.5N NaHCO3(2×80mL)及び0.1N HCl(2×80mL)で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗物質を、DCM/メタノール(9:1、v/v)の混合物を用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、生成物6.2g(47%)を生成した: 13C NMR: δ 172.00, 169.82, 155.93, 139.15, 122.88, 78.98, 77.42, 74.92, 74.85, 70.90, 70.20, 70.10, 69.69, 68.78, 68.64, 68.53, 56.67, 56.12, 54.35, 49.99, 42.34, 40.16, 39.85, 39.75, 39.55, 39.27, 38.08, 36.94, 36.60, 36.21, 35.83, 32.64, 31.94, 31.89, 29.68, 28.51, 28.42, 28.26, 28.07, 27.99, 27.91, 27.82, 24.33, 23.99, 23.87, 22.88, 22.68, 22.62, 21.08, 19.36, 18.78, 11.93。
【実施例12】
【0276】
化合物10の調製
無水DCM50mL中の化合物9(6.2g、7.2mmol)の溶液に、TFA20mLを0℃で加えた。反応物を室温で1.5時間撹拌した。反応混合物をDCM60mLで希釈し、水層がpH約5に達するまで飽和NaHCO3溶液を徐々に加えた。有機層を分離し、無水MgSO4で乾燥させ、濾過し、濃縮し、乾燥させて、TFA塩として生成物4.8g(86%)を生成した: 13C NMR δ 176.88, 171.39, 162.97, 140.68, 123.68, 116.13, 75.85, 71.82, 71.21, 71.03, 70.40, 69.67, 69.35, 64.65, 58.10, 57.69, 55.66, 51.54, 43.57, 41.17, 40.79, 40.62, 40.17, 39.16, 38.28, 37.77, 37.54, 37.25, 35.35, 33.21, 33.12, 29.48, 29.22, 28.84, 28.76, 25.47, 25.33, 25.25, 23.52, 23.44, 23.21, 22.28, 19.96, 19.58, 12.66。
【実施例13】
【0277】
化合物11の調製
無水クロロホルム12mL中の化合物10(1g、1.48mmol)の溶液に、1H-ピラゾール-1-カルボキサミジンHCl(0.87g、5.9mmol)、次いでDIEA(1.03mL、5.9mmol、d0.74)を室温で加えた。反応物を16時間還流した。溶液を室温まで冷却した。混合物をACN15mLで沈殿させ、粗固体を遠心分離で単離した。固体を、水/ACN(1:1)の溶液14mLに再溶解させた。溶解後、ACN14mLを加え、固体を沈殿させた。固体を遠心分離し、乾燥させて、生成物400mg(36%)を生成した: 13C NMR δ 171.18, 170.05, 157.01, 139.15, 122.85, 74.91, 70.60, 69.73, 69.10, 68.42, 56.66, 56.24, 55.03, 49.98, 42.36, 41.34, 39.75, 39.55, 38.06, 36.93, 36.61, 36.27, 35.91, 31.91, 28.30, 28.09, 27.80, 24.36, 24.04, 22.90, 22.65, 21.13, 19.40, 18.82, 11.99。
【実施例14】
【0278】
化合物12、コレステロール-Lys(Boc)2の調製
無水DCM100mL中のコレステロール(6.0g、15.5mmol)の溶液に、Boc-Lys(Boc)-OH(20.4g、38.8mmol)、次いでDMAP(5.6g、38.8mmol)及びEDC(7.27g、38.8mmol)を0℃で加える。混合物を室温で終夜撹拌する。反応物をDCM100mLで希釈し、0.5N NaHCO3(2×80mL)及び0.1N HCl(2×80mL)で洗浄する。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮する。粗物質を、DCM/メタノール(9:1、v/v)の混合物を用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、生成物を生成する。
【実施例15】
【0279】
化合物13、コレステロール-Lys(NH2)2の調製
無水DCM80mL中の化合物12(9.6g、13.4mmol)の溶液に、TFA20mLを0℃で加える。反応物を室温で1.5時間撹拌する。反応が完了した後、溶媒を乾燥させて除去し、TFA塩として定量的収率で生成物を生成する。この化合物を更なる精製なしに使用する。
【実施例16】
【0280】
化合物14、コレステロール-Lys[NH-C(=NH)(NH2)2]の調製
無水クロロホルム12mL中の化合物13(762mg、1.48mmol)の溶液に、1H-ピラゾール-1-カルボキサミジンHCl(0.87g、5.9mmol)、次いでDIEA(1.03mL、5.9mmol、d0.74)を室温で加える。反応物を16時間還流する。溶液を室温まで冷却する。混合物をACN15mLで沈殿させ、粗固体を遠心分離で単離する。固体を、水/ACN(1:1)の溶液14mLに再溶解させる。溶解後、ACN14mLを加え、固体を沈殿させる。固体を遠心分離し、乾燥させて、生成物を生成する。
【実施例17】
【0281】
ナノ粒子の調製
本実施例において、様々な核酸、例えばLNA含有オリゴヌクレオチドを封入するナノ粒子組成物を調製する。例えば、化合物6、DOPE、Chol、DSPE-PEG及びC16mPEG-セラミドを、90%エタノール10mL中で18:60:20:1:1のモル比で混合する(総脂質30μmol)。LNAオリゴヌクレオチド(0.4μmol)を20mMトリス緩衝液(pH7.4〜7.6)10mLに溶解させる。37℃まで加熱した後、二つの溶液をデュアルシリンジポンプにより混合し、次いで混合溶液を20mMトリス緩衝液(300mM NaCl、pH7.4〜7.6)20mLで希釈する。混合物を37℃で30分間インキュベートし、10mM PBS緩衝液(138mM NaCl、2.7mM KCl、pH7.4)で透析する。透析により混合物からエタノールを除去した後、安定な粒子が得られる。ナノ粒子溶液を遠心分離により濃縮する。ナノ粒子溶液を15mLの遠心分離濾過装置(Amicon Ultra-15、Millipore、USA)に移す。遠心分離速度は3000rpmであり、遠心分離中の温度は4℃である。濃縮懸濁液を所与の時間後に収集し、0.22μmのシリンジフィルター(Millex-GV、Millipore、USA)による濾過により滅菌する。
【0282】
ナノ粒子の直径及び多分散性を、Plus 90 Particle Size Analyzer Dynamic Light Scattering Instrument(Brookhaven、New York)で培地として水(Sigma)中で25°で測定する。
【0283】
LNAオリゴヌクレオチドの封入効率をUV-VIS(Agilent8453)で決定する。バックグラウンド紫外線-visスペクトルは、PBS緩衝生理食塩水(250μL)、メタノール(625μL)及びクロロホルム(250μL)からなる混合溶液である溶液を走査することにより得られる。封入された核酸の濃度を決定するために、メタノール(625μL)及びクロロホルム(250μL)をPBS緩衝生理食塩水ナノ粒子懸濁液(250μL)に加える。混合後、透明な溶液が得られ、この溶液を260nmでの吸光度を測定する前に2分間超音波処理する。封入された核酸の濃度及び充填効率を、方程式(1)及び(2)に従って計算する:
Cen(μg/ml)=A260×OD260単位(μg/mL)×希釈係数(μL/μL) (1)
希釈係数は、アッセイ体積(μL)を試料貯蔵体積(μL)で割ることにより得られる。
【0284】
封入効率(%)=[Cen/Cinitial]×100 (2)
Cenは、精製後にナノ粒子懸濁液に封入された核酸(即ち、LNAオリゴヌクレオチド)の濃度であり、Cinitialは、ナノ粒子懸濁液の形成前の最初の核酸(LNAオリゴヌクレオチド)の濃度である。様々なナノ粒子組成物の例を、表5及び6に要約する。
【表5】

【表6】

【実施例18】
【0285】
ナノ粒子の安定性
ナノ粒子の安定性は、構造的完全性をPBS緩衝液中で4℃にて経時的に保持するその能力として定義される。ナノ粒子のコロイド安定性は、平均径の変化を経時的にモニターすることにより評価される。表6の試料番号NP1で調製したナノ粒子を、10mM PBS緩衝液(138 mM NaCl、2.7 mM KCl、pH 7.4)中に分散させ、4℃にて貯蔵する。所与の時間で、ナノ粒子懸濁液約20〜50μLを取り出し、最大2mLまで純水で希釈する。ナノ粒子のサイズを25℃にてDLSで測定する。
【実施例19】
【0286】
インビトロでのナノ粒子の細胞取込み
本明細書に記載のナノ粒子に封入された核酸(LNAオリゴヌクレオチドオリゴ-2)の細胞取込み効率は、前立腺癌細胞(15PC3細胞株)等のヒト癌細胞で評価される。試料NP2のナノ粒子を、実施例16に記載の方法を用いて調製する。LNAオリゴヌクレオチド(オリゴ-2)を、蛍光顕微鏡試験のためにFAMで標識する。
【0287】
ナノ粒子を15PC3細胞株で評価する。細胞を完全培地(DMEM、10%FBSで補足)中で維持する。各ウェル中に2.5×105細胞を含有する12ウェルプレートを37℃で終夜インキュベートする。細胞をOpti-MEMで1回洗浄し、Opti-MEM400mLを各ウェルに加える。次いで、細胞を、核酸を封入する試料番号NP3(200nM)のナノ粒子溶液(FAM-修飾オリゴ2)又は対照としてナノ粒子なしでの遊離核酸溶液(裸のFAM-修飾オリゴ2)で処理する。細胞を37℃にて24時間インキュベートする。細胞をPBSで5回洗浄し、次いでウェル毎にHoechst溶液(2mg/mL)300mLで30分間染色し、次いでPBSで5回洗浄する。細胞を予備冷却(-20℃)した70%EtOHで-20℃にて20分間固定させる。細胞を蛍光顕微鏡下で検査し、本明細書に記載のナノ粒子に封入された核酸の細胞取込みの効率を評価する。
【実施例20】
【0288】
ヒト表皮癌細胞におけるmRNAダウンレギュレーションに対するナノ粒子のインビトロでの有効性
本明細書に記載のナノ粒子の有効性は、ヒト表皮癌細胞(A431細胞株)で評価される。A431細胞は、上皮細胞増殖因子受容体(EGFR)を過剰発現する。細胞は、アンチセンスErbB3オリゴヌクレオチドを封入するナノ粒子(試料番号NP5)で処理される。細胞を、対照としてスクランブル配列を有するオリゴヌクレオチドを封入するナノ粒子(試料番号NP6)又はプラセボ空ナノ粒子(試料番号NP7)でも処理する。ナノ粒子を、実施例17(表7)に記載の方法を用いて調製する。ErbB3発現のダウンレギュレーションに対する各ナノ粒子のインビトロでの有効性を、実施例2に記載の方法で測定する。
【表7】

【実施例21】
【0289】
様々なヒト癌細胞:胃癌、肺癌、前立腺癌、乳癌及びKB癌におけるmRNAのダウンレギュレーションに対するナノ粒子のインビトロでの有効性
本明細書に記載のナノ粒子の有効性を、様々な癌細胞、例えばヒト胃癌細胞(N87細胞株)、ヒト肺癌細胞(A549細胞株)、ヒト前立腺癌細胞(15PC3細胞株又はDU145細胞株)、ヒト乳癌細胞(MCF7細胞株)、ヒトKB癌細胞(KB細胞株)で評価する。細胞を、以下のもの:アンチセンスErbB3オリゴヌクレオチドを封入するナノ粒子(試料番号NP5)、スクランブル配列を有するオリゴヌクレオチドを封入するナノ粒子(試料番号NP6)又はプラセボ空ナノ粒子(試料番号NP7)の内の一つで処理する。ErbB3発現のダウンレギュレーションに対する各ナノ粒子のインビトロでの有効性を、実施例2に記載の方法で測定する。
【実施例22】
【0290】
ヒト前立腺癌異種移植マウスモデルの腫瘍及び肝臓におけるmRNAダウンレギュレーションに対するナノ粒子のインビボでの有効性
本明細書に記載のナノ粒子のインビボでの有効性をヒト前立腺癌異種移植マウスにおいて評価する。15PC3ヒト前立腺腫瘍を、5×106細胞/マウスを右脇腹に皮下注射することによりヌードマウスにおいて確立する。腫瘍が平均体積100mm3に達しとき、マウスを1グループ5匹に無作為に分類する。各グループのマウスをアンチセンスErbB3オリゴヌクレオチド(試料番号NP5)又は対応する裸のオリゴヌクレオチド(オリゴ2)を封入するナノ粒子で処理する。ナノ粒子を、15mg/kg/用量、5mg/kg/用量、1mg/kg/用量又は0.5mg/kg/用量でq3d×4にて12日間静脈内(i.v.)に投与する。投与量は、ナノ粒子中のオリゴヌクレオチドの量に基づくものである。裸のオリゴヌクレオチドを、30mg/kg/用量で腹腔内(i.p.)、又は25mg/kg/用量若しくは45mg/kg/用量で静脈内にq3d×4にて12日間投与する。マウスを最終投与の24時間後に屠殺する。血漿試料をマウスから採取し、-20℃で貯蔵する。腫瘍試料及び肝臓試料もマウスから採取する。腫瘍及び肝臓のmRNA KDについて試料を分析する。
【実施例23】
【0291】
ヒト結腸癌異種移植マウスモデルにおけるmRNAのダウンレギュレーションに対するナノ粒子のインビボでの有効性
本明細書に記載のナノ粒子のインビボでの有効性を、ヒト結腸癌異種移植マウスにおいて評価する。本明細書に記載のナノ粒子(試料番号NP5)を、12日間q3d×4でヒトDLD-1腫瘍を有するマウスに腫瘍内注入により投与する。裸のオリゴヌクレオチド(オリゴ2)、スクランブルオリゴヌクレオチド(オリゴ3)及びスクランブルオリゴヌクレオチドを含有するナノ粒子(試料番号NP6)もマウスに投与する。各試験群のマウス由来の腫瘍試料を採取し、mRNAのダウンレギュレーションについてqRT-PCRを用いて分析した。
【実施例24】
【0292】
肝臓における転移を伴うヒト癌異種移植マウスモデルにおけるmRNAのダウンレギュレーションに対するナノ粒子のインビボでの有効性
本明細書に記載のナノ粒子のインビボでの有効性を、肝臓への転移を伴うヒト癌異種移植マウスにおいて評価する。A549癌細胞を脾臓内に注射し、次いで脾臓を摘出し、転移性肝臓疾患を確立する。脾臓摘出の2日後、各群のマウスに、q3d×10で0.5mg/kg/用量にてアンチセンスErbB3オリゴヌクレオチド(試料番号NP5)又はスクランブルオリゴヌクレオチド(試料番号NP6)を封入するナノ粒子を静脈内投与する。裸のアンチセンスErbB3オリゴヌクレオチド(オリゴ2)をq3d×4で35mg/kg/用量にて静脈内投与する。動物の生存を観察する。
【0293】
本明細書で使用する場合、「含む(including)」、「含有する(containing)」及び「含む(comprising)」という用語、並びにそれらの代替用語の形態は、更なる構成要素が存在する可能性を排除するものではない。「含む(including)」、「含有する(containing)」及び「含む(comprising)」という用語、並びにそれらの代替用語の形態が、本発明の様々な実施形態の説明において本開示のどこで使用されても、本開示が、前記用語の一つ又は複数が、「から本質的になる(consisting essentially of)」又は「からなる(consisting of)」等を意味することに限定される、対応する実施形態も教示していることを理解すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)のカチオン性脂質:
【化1】

[式中、
R1はコレステロール又はその類似体であり、
Y1、Y2及びY5は独立にO、S又はNR4であり、
Y3及びY4は独立にO、S又はNR5であり、
L1は、一つ又は複数の炭素がNR6、O、S又はC(=Y)(YはO、S又はNR4である)で置き換えられている、置換、飽和又は不飽和、分岐又は直鎖のC3〜50アルキルを有するスペーサーであり、
(a)、(c)及び(e)は独立に0又は1であり、
(b)は0又は正の整数であるが、但し、(b)が0であるとき、(a)及び(c)は両方が同時に正の整数であることはなく、
(d)は0又は正の整数であり、
XはC又はPであり、
Q1はH、C1〜6アルキル、NH2又は-(L11)d1-R11であり、
Q2はH、C1〜6アルキル、NH2又は-(L12)d2-R12であり、
Q3は(=O)、H、C1〜6アルキル、NH2又は-(L13)d3-R13であるが、
但し、
(i)XがCであるとき、Q3は(=O)ではなく、
(ii)XがPであるとき、(e)は0であり、
L11、L12及びL13は独立に選択される二官能性スペーサーであり、
(d1)、(d2)及び(d3)は独立に0又は正の整数であり、
R11、R12及びR13は独立に水素、NH2
【化2】

であり、
Y'4はO、S又はNR'5であり、
Y'5は独立にO、S又はNR'4であり、
(c')及び(e')は独立に0又は1であり、
(d')は0又は正の整数であり、
X'はC又はPであり、
Q'1はH、C1〜6アルキル、NH2又は-(L'11)d'1-R'11であり、
Q'2はH、C1〜6アルキル、NH2又は-(L'12)d'2-R'12であり、
Q'3は(=O)、H、C1〜6アルキル、NH2又は-(L'13)d'3-R'13であるが、
但し、
(i)X'がCであるとき、Q'3は(=O)ではなく、
(ii)X'がPであるとき、(e')は0であり、
L'11、L'12及びL'13は独立に選択される二官能性スペーサーであり、
(d'1)、(d'2)及び(d'3)は独立に0又は正の整数であり、
R'11、R'12及びR'13は独立に水素、NH2
【化3】

であり、
R2〜7、R'2〜5及びR'7は水素、アミノ、置換アミノ、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C3〜19分岐アルキル、C3〜8シクロアルキル、C1〜6置換アルキル、C2〜6置換アルケニル、C2〜6置換アルキニル、C3〜8置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、C1〜6ヘテロアルキル及び置換C1〜6ヘテロアルキルの中から独立に選択されるが、
但し、Q1〜3及びQ'1〜3の少なくとも一つは、
【化4】

を含む]。
【請求項2】
Q1及びQ2がいずれも
【化5】

を含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Q'1及びQ'2がいずれも
【化6】

を含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
Y1がOである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
Y2がOであり、Y5がOである、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
L1が、(Y4)c-(CR2R3)d-C(=Y5)eの一部分と結合している場合、
-(CR21R22)t1-[C(=Y6)]e1-(Y4)c-(CR2R3)d-C(=Y5)e-、
-(CR21R22)t1Y7-(CR23R24)t2-(Y8)e2-[C(=Y6)]e1-(Y4)c-(CR2R3)d-C(=Y5)e-、
-(CR21R22CR23R24Y7)t3-[C(=Y6)]e1-(Y4)c-(CR2R3)d-C(=Y5)e-、
-(CR21R22CR23R24Y7)t3(CR25R26)t4-(Y8)e2-[C(=Y6)]e1-(Y4)c-(CR2R3)d-C(=Y5)e-、
-(CR21R22CR23R24Y7)t3(CR25R26)t4-(Y8)e2-[C(=Y6)]e1-(CR27R28)t1-(Y4)c-(CR2R3)d-C(=Y5)e-、
-[(CR21R22CR23R24)t5Y7]t6(CR25R26)t4-(Y8)e2-[C(=Y6)]e1-(Y4)c-(CR2R3)d-C(=Y5)e-、
-(CR21R22)t1-[(CR23R24)t2Y7]t7(CR25R26)t4-(Y4)c-(CR2R3)d-C(=Y5)e-、及び
-(CR21R22)t1-[(CR23R24)t2Y7]t7(CR25R26)t4-(Y8)e2-[C(=Y6)]e1-(Y4)c-(CR2R3)d-C(=Y5)e-
[式中、
Y6はO、NR29又はSであり、
Y7〜8は独立にO、NR29又はSであり、
R21〜29は水素、C1〜6アルキル、C3〜12分岐アルキル、C3〜8シクロアルキル、C1〜6置換アルキル、C3〜8置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、C1〜6ヘテロアルキル、置換C1〜6ヘテロアルキル、C1〜6アルコキシ、フェノキシ及びC1〜6ヘテロアルコキシからなる群から独立に選択され、
(t1)、(t2)、(t3)、(t4)、(t5)、(t6)及び(t7)は各々独立に0又は正の整数であり、
各(c)、(e)、(e1)及び(e2)は独立に0又は1であり、
全ての他の変数は上に定義されたとおりである]
からなる群から独立に選択される、請求項1に記載のカチオン性脂質。
【請求項7】
L1が、(Y4)c-(CR2R3)d-C(=Y5)eの一部分と結合している場合、
-(CH2)4-C(=O)-、
-(CH2)5-C(=O)-、
-(CH2)6-C(=O)-、
-CH2CH2O-CH2O-C(=O)-、
-(CH2CH2O)2-CH2O-C(=O)-、
-(CH2CH2O)3-CH2O-C(=O)-、
-(CH2CH2O)2-C(=O)-、
-CH2CH2O-CH2CH2NH-C(=O)-、
-(CH2CH2O)2-CH2CH2NH-C(=O)-、
-(CH2CH2O)2-CH2CH2NH-C(=O)-CH2NHC(=O)-、
-(CH2CH2O)2-CH2CH2O-C(=O)-、
-CH2-O-CH2CH2O-CH2CH2NH-C(=O)-、
-CH2-O-(CH2CH2O)2-CH2CH2NH-C(=O)-、
-CH2-O-CH2CH2O-CH2C(=O)-、
-CH2-O-(CH2CH2O)2-CH2C(=O)-、
-(CH2)4-C(=O)NH-、
-(CH2)5-C(=O)NH-、
-(CH2)6-C(=O)NH-、
-CH2CH2O-CH2O-C(=O)-NH-、
-(CH2CH2O)2-CH2O-C(=O)-NH-、
-(CH2CH2O)3-CH2O-C(=O)-NH-、
-(CH2CH2O)2-C(=O)-NH-、
-(CH2CH2O)2-CH2C(=O)-NH-、
-CH2CH2O-CH2CH2NH-C(=O)-NH-、
-(CH2CH2O)2-CH2CH2NH-C(=O)-NH-、
-CH2-O-CH2CH2O-CH2CH2NH-C(=O)-NH-、
-CH2-O-(CH2CH2O)2-CH2CH2NH-C(=O)-NH-、
-CH2-O-CH2CH2O-CH2C(=O)-NH-、
-CH2-O-(CH2CH2O)2-CH2C(=O)-NH-、
-(CH2CH2O)2-、
-(CH2CH2O)3-、
-CH2CH2O-CH2O-、
-(CH2CH2O)2-CH2CH2NH-、
-(CH2CH2O)3-CH2CH2NH-、
-CH2CH2O-CH2CH2NH-、
-(CH2CH2O)2-CH2CH2NH-、
-CH2-O-CH2CH2O-CH2CH2NH-、
-CH2-O-(CH2CH2O)2-CH2CH2NH-、
-CH2-O-CH2CH2O-、及び
-CH2-O-(CH2CH2O)2-
からなる群から独立に選択される、請求項1に記載のカチオン性脂質。
【請求項8】
L11〜13及びL'11〜13が、
-(CR'21R'22)q1(Y'8)v'[C(=Y'9)]v(CR'23R'24)q2-、
-(CR'21R'22)q1(Y'8)v'[C(=Y'9)]vY'10(CR'23R'24)q2-、
-(CR'21R'22)q1(Y'8)v'[C(=Y'9)]v(CR'23R'24)q2-Y'11-(CR'23R'24)q3-、
-(CR'21R'22)q1(Y'8)v'[C(=Y'9)]vY'10(CR'23R'24)q2-Y'11-(CR'23R'24)q3-、
-(CR'21R'22)q1(Y'8)v'[C(=Y'9)]v(CR'23R'24CR'25R'26Y'12)q4(CR'27CR'28)q5-、
-(CR'21R'22)q1(Y'8)v'[C(=Y'9)]vY'10(CR'23R'24CR'25R'26Y'12)q4(CR'27CR'28)q5-、及び
【化7】

[式中、
Y'8及びY'10〜12は独立にO、NR'30又はSであり、
Y'9は独立にO、NR'31又はSであり、
R'21〜31は水素、C1〜6アルキル、C3〜12分岐アルキル、C3〜8シクロアルキル、C1〜6置換アルキル、C3〜8置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、C1〜6ヘテロアルキル、置換C1〜6ヘテロアルキル、C1〜6アルコキシ、フェノキシ及びC1〜6ヘテロアルコキシからなる群から独立に選択され、
(q1)、(q2)、(q3)、(q4)、(q5)及び(q6)は独立に0又は約1〜約10の正の整数であり、
(v)及び(v')は独立に0又は1である]
からなる群から独立に選択される、請求項1に記載のカチオン性脂質。
【請求項9】
L11〜13及びL'11〜13が、
-(CH2)4-、
-(CH2)3-、
-O(CH2)2-
-C(=O)O(CH2)3-、
-C(=O)NH(CH2)3-、
-C(=O)(CH2)2-、
-C(=O)(CH2)3-、
-CH2-C(=O)-O(CH2)3-、
-CH2-C(=O)-NH(CH2)3-、
-CH2-OC(=O)-O(CH2)3-、
-CH2-OC(=O)-NH(CH2)3-、
-(CH2)2-C(=O)-O(CH2)3-、
-(CH2)2-C(=O)-NH(CH2)3-、
-CH2C(=O)O(CH2)2-O-(CH2)2-、
-CH2C(=O)NH(CH2)2-O-(CH2)2-、
-(CH2)2C(=O)O(CH2)2-O-(CH2)2-、
-(CH2)2C(=O)NH(CH2)2-O-(CH2)2-、
-CH2C(=O)O(CH2CH2O)2CH2CH2-、及び
-(CH2)2C(=O)O(CH2CH2O)2CH2CH2-
からなる群から独立に選択される、請求項1に記載のカチオン性脂質。
【請求項10】
X(Q1)(Q2)(Q3)部分が、
【化8】

である、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
式(Ia)
【化9】

又は
【化10】

[式中、
Y6及びY7は独立にO、S又はNR29、好ましくはO又はNHであり、
R21〜26及びR29は水素、C1〜6アルキル、C3〜12分岐アルキル、C3〜8シクロアルキル、C1〜6置換アルキル、C3〜8置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、C1〜6ヘテロアルキル、置換C1〜6ヘテロアルキル、C1〜6アルコキシ、フェノキシ及びC1〜6ヘテロアルコキシの中から独立に選択され、
(t1)、(t2)、(t3)、(t4)及び(t7)は独立に0又は正の整数であり、
(t1)が2以上であるとき、R21及びR22は各発生時に独立に同一又は異なり、
(t2)及び(t7)が独立に2以上であるとき、R23、R24及びY7は各発生時に独立に同一又は異なり、
(t3)が2以上であるとき、R21、R22、R23、R24及びY6は各発生時に独立に同一又は異なり、
(t4)が2以上であるとき、R25及びR26は各発生時に独立に同一又は異なり、
全ての他の変数は上に定義されたとおりである]
を有する、請求項1に記載のカチオン性脂質。
【請求項12】
【化11】





からなる群から選択される、請求項1に記載のカチオン性脂質。
【請求項13】
請求項1に記載の式(I)のカチオン性脂質を含むナノ粒子組成物。
【請求項14】
融合性脂質及びPEG脂質を更に含む、請求項13に記載のナノ粒子組成物。
【請求項15】
前記カチオン性脂質が、
【化12】

からなる群から選択される、請求項14に記載のナノ粒子組成物。
【請求項16】
前記融合性脂質が、DOPE、DOGP、POPC、DSPC、EPC及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項14に記載のナノ粒子組成物。
【請求項17】
前記PEG脂質が、PEG-DSPE、PEG-ジパルミトイルグリカミド、C16mPEG-セラミド及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項14に記載のナノ粒子組成物。
【請求項18】
コレステロールを更に含む、請求項14に記載のナノ粒子組成物。
【請求項19】
式(I)のカチオン性脂質、ジアシルホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルエタノールアミンに結合したPEG(PEG-PE)及びコレステロール、
式(I)のカチオン性脂質、ジアシルホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミンに結合したPEG(PEG-PE)及びコレステロール、
式(I)のカチオン性脂質、ジアシルホスファチジルエタノールアミン、ジアシルホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミンに結合したPEG(PEG-PE)及びコレステロール、
式(I)のカチオン性脂質、ジアシルホスファチジルエタノールアミン、セラミドに結合したPEG(PEG-Cer)及びコレステロール、並びに
式(I)のカチオン性脂質、ジアシルホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルエタノールアミンに結合したPEG(PEG-PE)、セラミドに結合したPEG(PEG-Cer)及びコレステロール
の混合物の群から選択される、請求項14に記載のナノ粒子組成物。
【請求項20】
前記カチオン性脂質が、ナノ粒子組成物中に存在する総脂質の約10%〜約99.9%の範囲のモル比を有する、請求項18に記載のナノ粒子組成物。
【請求項21】
前記カチオン性脂質が、ナノ粒子組成物中に存在する総脂質の約15%〜約25%の範囲のモル比を有する、請求項18に記載のナノ粒子組成物。
【請求項22】
カチオン性脂質と、非コレステロール系融合性脂質と、PEG脂質と、コレステロールとのモル比が、ナノ粒子組成物中に存在する総脂質の約15〜25%:20〜78%:0〜50%:2〜10%である、請求項18に記載のナノ粒子組成物。
【請求項23】
前記カチオン性脂質、DOPE、コレステロール及びC16mPEG-セラミドが、ナノ粒子組成物中に存在する総脂質の約17%:60%:20%:3%のモル比で含まれ、前記カチオン性脂質が、
【化13】

である、請求項18に記載のナノ粒子組成物。
【請求項24】
請求項18に記載のナノ粒子組成物で封入された核酸を含むナノ粒子。
【請求項25】
前記核酸が一本鎖又は二本鎖のオリゴヌクレオチドである、請求項24に記載のナノ粒子。
【請求項26】
前記核酸がデオキシヌクレオチド、リボヌクレオチド、ロック核酸(LNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、マイクロRNA(miRNA)、アプタマー、ペプチド核酸(PNA)、ホスホロジアミデートモルホリノオリゴヌクレオチド(PMO)、トリシクロ-DNA、二本鎖オリゴヌクレオチド(デコイODN)、触媒RNA(RNAi)、アプタマー、シュピーゲルマー、CpGオリゴマー及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項24に記載のナノ粒子。
【請求項27】
前記オリゴヌクレオチドがアンチセンスオリゴヌクレオチドである、請求項25に記載のナノ粒子。
【請求項28】
前記オリゴヌクレオチドがホスホロチオエート結合を有する、請求項25に記載のナノ粒子。
【請求項29】
前記オリゴヌクレオチドがLNAを含む、請求項25に記載のナノ粒子。
【請求項30】
前記オリゴヌクレオチドが約8個〜約50個のヌクレオチドを有する、請求項25に記載のナノ粒子。
【請求項31】
前記オリゴヌクレオチドが、癌遺伝子、プロ血管新生経路遺伝子、プロ細胞増殖経路遺伝子、ウイルス感染因子遺伝子及びプロ炎症経路遺伝子の発現を抑制する、請求項25に記載のナノ粒子。
【請求項32】
前記オリゴヌクレオチドが、アンチセンスHIF-1αオリゴヌクレオチド、アンチセンススルビビンオリゴヌクレオチド、アンチセンスErbB3オリゴヌクレオチド、βカテニンオリゴヌクレオチド及びアンチセンスβcl-2オリゴヌクレオチドからなる群から選択される、請求項25に記載のナノ粒子。
【請求項33】
前記オリゴヌクレオチドが、配列番号1、配列番号2及び3、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号5及び配列番号6に示される8個以上の連続ヌクレオチドを含む、請求項25に記載の化合物。
【請求項34】
前記カチオン性脂質と前記核酸との電荷比が約1:1〜約20:1の範囲である、請求項24に記載のナノ粒子。
【請求項35】
前記ナノ粒子が、約50nm〜約150nmの範囲のサイズを有する、請求項24に記載のナノ粒子。
【請求項36】
請求項24に記載のナノ粒子組成物をそれを必要とする哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物における疾患を治療する方法。
【請求項37】
細胞と請求項24に記載のナノ粒子とを接触させることを含む、細胞にオリゴヌクレオチドを導入する方法。
【請求項38】
ヒト細胞又はヒト組織と請求項24に記載のナノ粒子とを接触させることを含む、ヒト細胞又はヒト組織における遺伝子発現を抑制する方法。
【請求項39】
前記細胞又は組織が癌細胞又は癌組織である、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
有効量の請求項24に記載のナノ粒子をそれを必要とする哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物における遺伝子発現をダウンレギュレートする方法。
【請求項41】
癌細胞と請求項24に記載のナノ粒子とを接触させることを含む、癌細胞の増殖又は成長を抑制する方法。
【請求項42】
化学療法剤を投与することを更に含む、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
有効量の請求項15に記載のナノ粒子をそれを必要とする哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物における癌を治療する方法。
【請求項44】
前記癌が肝臓への転移性である、請求項42に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−509258(P2012−509258A)
【公表日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−536348(P2011−536348)
【出願日】平成21年7月31日(2009.7.31)
【国際出願番号】PCT/US2009/052462
【国際公開番号】WO2010/056403
【国際公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(596124151)エンゾン ファーマシューティカルズ,インコーポレーテッド (24)
【Fターム(参考)】