説明

核酸遺伝子伝達用低密度リポタンパク質類似(LDL−like)陽イオン性ナノ粒子、その製造方法、及びこれを用いた核酸遺伝子の伝達方法

本発明は、天然低密度リポタンパク質の構成成分を模倣して表面改質及び再構成されることにより、トランスフェクション効率及び安定性が向上した核酸遺伝子伝達用低密度リポタンパク質類似(LDL−like)陽イオン性ナノ粒子、その製造方法、及びこれを用いて核酸遺伝子を伝達する方法に関し、本発明に係る陽イオン性ナノ粒子は、低密度低蛋白受容体(LDLR)を用いた腫瘍治療法に効果的に適用されることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、核酸遺伝子伝達用低密度リポタンパク質類似(LDL−like)陽イオン性ナノ粒子、その製造方法、及びこれを用いた核酸遺伝子の伝達方法に関し、より詳細には、天然低密度リポタンパク質の構成成分を模倣して表面改質及び/または再構成することにより、トランスフェクション効率及び安定性が向上した核酸遺伝子伝達用低密度リポタンパク質類似陽イオン性ナノ粒子、その製造方法、及びこれを用いて核酸遺伝子を伝達する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
RNA干渉現象の調節因子である、長さ21−25bpの二本鎖合成小干渉RNA(siRNA)二重鎖が哺乳動物の細胞に含まれているターゲットメッセンジャーRNAの分割を触発して特異遺伝子の発現を抑制することができるという事実が立証されて以来(A.Hamilton,D.Baulcombe,A species of small antisense RNA in post−transcriptional gene silencing in plants,Science 286(1999)950−2.;S.Elbashir,J.Harborth,W.Lendeckel,A.Yalcin,K.Weber,T.Tuschl.Duplexes of 21−nucleotide RNAs mediate RNA interference in cultured mammalian cells Nature 411(2001)494−8.)、mRNAレベルで対象遺伝子を選択的に機能抑制(knock−down)するsiRNAの機能により、遺伝子治療法による先天的あるいは後天的疾患の治療に関連して前記siRNAに対する関心が高まっている。
【0003】
siRNAは遺伝子治療法において有望な薬品候補ではあるが、細胞内及び細胞外の障壁が実際の治療に制約となる。陰電荷を持つsiRNAは低トランスフェクション効能により細胞面または細胞膜の断面に結合することができないため、細胞吸収率の低下を招く。また、主な細胞外的障害は血清核酸分解酵素による化学分解性であるため、siRNAの血液内不安定性は特に静脈内投与において問題となる。
【0004】
このような障害を克服するために、陽イオン性脂質系トランスフェクション剤(De Paula D,Bentley MV,Mahato RI.Hydrophobization and bioconjugation for enhanced siRNA delivery and targeting,RNA.13(2007)431−56.)及び/またはポリ陽イオン系担体(DJ.Gary,N.Puri,YY.Won,Polymer−based siRNA delivery:Perspectives on the fundamental and phenomenological distinctions from polymer−based DNA delivery,J Control Release.2007 May 26,[Epub ahead of print])が電荷相補性による錯体形成によるsiRNA伝達に用いられた。
【0005】
特に、ポリ陽イオン性ポリエチレンイミン(PEI)は、血清核酸分解酵素を防ぐためのポリプレックス(polyplex)形成に広く用いられるものであって、血漿膜に結合して細胞異物吸収(endocytose)の対象となることができる。
【0006】
しかしながら、PEIは、細胞壊死(necrosis)または細胞自殺死(apoptosis)によって多数の細胞株で細胞死滅を触発し、この細胞毒性は分子量が大きくなるほど及び/または分岐度(branching degree)が大きくなるほど増加することが明らかになった。
【0007】
低分子量のPEIまたはポリエチレングリコール(PEG)−グラフトPEI共重合体は細胞毒性が低いと示されたが、陽イオン高分子のアミン密度が低く錯体凝縮が少ないことにより、これらの細胞内のトランスフェクションは活発でなく、したがって培地内の酵素(加水分解)反応及びsiRNAの不安定性が増加した。
【0008】
PEG共役化されたsiRNA及びPEI(分子量25K)ポリ電解質錯体(PEC)ミセルは、siRNA/PEI錯体よりも酵素攻撃に対する安定性が大きいだけでなく、遺伝子サイレンシング効果もはるかに優れていることが立証されたという事実に注目すべきである。
【0009】
天然資源に由来する非合成担体は、その細胞毒性を弱めることができると同時に、生体適合性及び生分解性を改善することができるため、siRNAの伝達に好ましい。天然系担体の実現例のうちの1つは、免疫反応を触発せずかつ細網内皮体系(reticuloendothelial system:RES)により認識されない低密度リポタンパク質(LDL)の脂質部分を用いることである。前記LDLは通常、脂質及びタンパク質の移動、具体的にはその系統的循環を通じての肝外部組織へのコレステロール伝達に関与する。
【0010】
実際に、シクロスポリンA及びアンフォテリシンB脂質錯体(ABLC)のような非親水性薬品は、前臨床(pre−clinical)または臨床(clinical)治療時にLDL粒子と結合することによって効果的に伝達された。また、LDLは、ステアリル−ポリ(L−リシン)(ステアリル−PLL)、いわゆるTerplexDNA体系と結合することによって遺伝子伝達に用いられた(DG.Affleck,L.Yu,DA.Bull,SH.Bailey,SW.Kim,Augmentation of myocardial transfection using Terplex DNA:a novel gene delivery system,Gene Ther.8(5)(2001)349−53.)。前記形成において、陰電荷DNAと相互反応したPLL成分及びステアリル基は、LDLと疎水性相互反応を起こす。
【0011】
一方、血液から天然LDLを分離する方法は極めて複雑かつ多くの時間を必要とするため、LDL模倣モデルである再構成LDL−類似マイクロエマルション(LDE)が、アポリポタンパク質が含まれていないコレステロールエステル及びリン脂質から開発された。動物研究及び臨床治療において、LDEは血流中に注入されたとき天然LDLのように作用することが確認された(RC.Maranhao,B.Garicochea,EL.Silva,P.Dorlhiac−Llacer,SM.Cadena,IJ.Coelho,JC.Meneghetti,FJ.Pileggi,DA.Chamone.Plasma kinetics and biodistribution of a lipid emulsion resembling low−density lipoprotein in patients with acute leukemia,Cancer Res.54(17)(1994)4660−6.)。
【0012】
しかしながら、siRNAsなどのような核酸遺伝子に基づいた方法を実用化するためには、トランスフェクション効率及び/または安定性が低いという従来の問題点を解決するための新しい技術及び/または戦略が切に求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、このような従来技術の問題点を解決するためのものであって、天然低密度リポタンパク質の構成成分を模倣して表面改質及び/または再構成することにより、トランスフェクション効率及び安定性が向上した核酸遺伝子伝達用低密度リポタンパク質類似陽イオン性ナノ粒子を提供することを目的とする。
【0014】
また、本発明は、前記トランスフェクション効率及び安定性が向上した核酸遺伝子伝達用低密度リポタンパク質類似陽イオン性ナノ粒子の製造方法を提供することを他の目的とする。
【0015】
さらに、本発明は、前記トランスフェクション効率及び安定性が向上した核酸遺伝子伝達用低密度リポタンパク質類似陽イオン性ナノ粒子を用いて核酸遺伝子を伝達する方法を提供することをさらに他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、このような目的を達成するための手段であって、本発明の第1の態様は、コレステリルエステル及びトリグリセリドを含有するコア脂質部と、前記コア脂質部の上層面に疎水性相互反応によって結合されており、コレステロール、リン脂質、及び陽イオン性脂質を含有する陽イオン性の表面脂質部とを含む核酸遺伝子伝達用低密度リポタンパク質類似(LDL−like)陽イオン性ナノ粒子を提供する。
【0017】
また、本発明は、核酸遺伝子伝達用低密度リポタンパク質類似(LDL−like)陽イオン性ナノ粒子を製造する方法を提供する。
【0018】
さらに、本発明は、前記低密度リポタンパク質類似陽イオン性ナノ粒子を用いて標的細胞(target cell)に核酸遺伝子を伝達する方法を提供する。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る核酸遺伝子伝達用低密度リポタンパク質類似(LDL−like)陽イオン性ナノ粒子は、天然低密度リポタンパク質の構成成分を模倣して表面改質及び再構成した陽イオン性ナノ粒子であって、トランスフェクション効率及び安定性が高く、核酸遺伝子、特にsiRNAを標的細胞(target cell)に効率的に伝達することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】陽イオン性脂質マイクロエマルション(CLM)の製造のための低密度リポタンパク質(LDL)、DOPE、及びDC−Cholの脂質部分の配列に関する概略図であって、陽電荷CLM表面及び陰電荷siRNAの間の静電気相互作用によるsiRNA−PEG/CLM錯体の形成化過程も示した。
【図2】透過電子顕微鏡(TEM)で観測したCLMの映像を示すものであって、スケールバーは500nmである。
【図3】透過電子顕微鏡(TEM)で観測したCLMの映像を示すものであって、スケールバーは200nmである。
【図4】10%血清の存在下でMDAMB435細胞における遺伝子担体の細胞毒性分析の結果を示すものであって、黒い四角形及び白い三角形はそれぞれPEI25K及びCLMを示す。
【図5】siRNA/CLM錯体の特性を示すものであって、siRNA−PEG/CLM錯体の大きさ及びゼータ電位値の測定結果はDC−Chol(CLMに含まれる)/siRNA−PEGの重量比と関数的関係にある。
【図6】siRNA/CLM錯体の特性を示すものであって、ゲル遅延分析の結果はDC−Chol(CLMに含まれる)/siRNA−PEGの重量比と関数的関係にある。Bパネルにおいて、重量比M及び0はマーカー及び対照群siRNA−PEGそれぞれに対応し、siRNA−PEGの錯体化完了時の重量比は矢印で示す。
【図7】10%血清含有のRPM−1培地1640内のsiRNA−PEG/CLM錯体の大きさの測定値を示す。
【図8】2時間培養後のPC−3細胞内のcy3ラベル化されたsiRNA−PEG/CLM錯体の流速細胞分析の結果を示す。
【図9】遺伝子発現抑制とsiRNA−PEG/CLM錯体のトランスフェクションによるDC−Chol(CLMに含まれる)/siRNA−PEGの重量比が関数関係にあることを示す。
【図10】遺伝子発現抑制とsiRNA−PEG/CLM錯体のトランスフェクションによるDC−Chol(CLMに含まれる)/siRNA−PEGの重量比が関数関係にあることを示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の第1の態様は、コレステリルエステル及びトリグリセリドを含有するコア脂質部と、前記コア脂質部の上層面に疎水性相互反応によって結合されており、コレステロール、リン脂質、及び陽イオン性脂質を含有する陽イオン性の表面脂質部とを含む核酸遺伝子伝達用低密度リポタンパク質類似(LDL−like)陽イオン性ナノ粒子に関する。
【0022】
本発明のコレステリルエステルは、コレステロールに炭素数10〜24の飽和または不飽和脂肪酸がエステル結合されたものを意味する。好ましくは、オレイン酸のような炭素数16〜18の不飽和脂肪酸のエステルである。本発明のナノ粒子は、単一または複数の種類のコレステリルエステルを含むことができる。
【0023】
本発明のトリグリセリドは、多様な脂肪酸の組成を有する精製トリグリセリド、または複数の脂肪酸で構成されたトリグリセリドを主成分とする植物油であってもよい。好ましくは、上記トリグリセリドは動物性または植物性油(oil)であってもよく、植物性油は大豆油、オリーブ油、綿実油、ゴマ油、肝油などを含む。前記油は単独または2種類以上を混合して用いることができる。
【0024】
本発明のコレステリルエステル及びトリグリセリドは、疎水性結合によって本発明の低密度リポタンパク質類似陽イオン性ナノ粒子のコア脂質部を形成する。
【0025】
本発明のリン脂質は、本発明がナノ粒子を形成することができるいかなる種類の中性、陽イオン性、陰イオン性であることができ、単一または複数の種類のリン脂質の混合物であることができる。前記リン脂質は、ホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルグリセロール、これらのlyso形態、炭素数6〜24の脂肪族鎖を有する完全に飽和されたまたは部分硬化された形態であることができる。本発明のリン脂質は特に限定されるわけではないが、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン(POPC)、エッグホスファチジルコリン(EPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、及びジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)からなる群から1つ以上選択される。
【0026】
本発明のリン脂質及びコレステロールは遺伝子トランスフェクション効率を向上させ、組み合わせられた陽イオン性脂質の細胞毒性を減少させるヘルパー脂質の役割を果たす。リン脂質は、前記ナノ粒子の陽イオン性脂質とエンドソーム膜の融合を促進し、エンドソーム小胞膜を不安定化する。また、コレステロールは、脂質充填に形態的側面において堅固性を付与することにより、ヘルパーの活性と共に本発明のナノ粒子の安定性も向上させる。
【0027】
本発明の陽イオン性脂質は、生理学的pHのように特定のpHで実質的に陽電荷を帯びる陽イオン性脂質を含む。本発明の一実施形態において、前記陽イオン性脂質は、3β−[N−(N′,N′,N′−トリメチルアミノエタン)カルバモイル]コレステロール(TC−コレステロール)、3β[N−(N′,N′−ジメチルアミノエタン)カルバモイル]コレステロール(DC−コレステロール)、3β[N−(N′−モノメチルアミノエタン)カルバモイル]コレステロール(MC−コレステロール)、3β[N−(アミノエタン)カルバモイル]コレステロール(AC−コレステロール)、N−(N′−アミノエタン)カルバモイルプロパン酸トコフェロール(AC−トコフェロール)、N−(N′−メチルアミノエタン)カルバモイルプロパン酸トコフェロール(MC−トコフェロール)、N,N−ジオレイル−N,N−ジメチルアンモニウムクロライド(DODAC)、N,N−ジステアリル−N,N−ジメチルアンモニウムブロマイド(DDAB)、N−(1−(2,3−ジオレオイルオキシ)プロピル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド(DOTAP)、N,N−ジメチル−(2,3−ジオレオイルオキシ)プロピルアミン(DODMA)、N−(1−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル)−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド(DOTMA)、1,2−ジオレオイル−3−ジメチルアンモニウム−プロパン(DODAP)、1,2−ジオレオイルカルバミル−3−ジメチルアンモニウム−プロパン(DOCDAP)、1,2−ジリネオイル−3−ジメチルアンモニウム−プロパン(DLINDAP)、ジオレオイルオキシ−N−[2−スペルミンカルボキシアミド)エチル}−N,N−ジメチル−1−プロパンアミニウム−リフルオロアセテート(DOSPA)、ジオクタデシルアミドグリシルスペルミン(DOGS)、1,2−ジミリスチルオキシプロピル−3−ジメチル−ヒドロキシエチルアンモニウムブロマイド(DMRIE)、3−ジメチルアミノ−2−(コレスタ−5−エン−3−ベータ−オキシブタン−4−オキシ)−1−(シス,シス−9,12−オク−タデカジエンオキシ)プロパン(CLinDMA)、2−[5′−(コレスタ−5−エン−3.ベータ.−オキシ)−3′−オキサペントキシ)−3−ジメチル−1−(シス,シス−9′、12′−オクタデカジエンオキシ)プロパン(CpLinDMA)、N,N−ジメチル−3,4−ジオレイルオキシベンジルアミン(DMOBA)、1,2−N,N′−ジオレイルカルバミル−3−ジメチルアミノプロパン(DOcarbDAP)、1,2−ジアシル−3−トリメチルアンモニウム−プロパン(TAP)、及び1,2−ジアシル−3−ジメチルアンモニウム−プロパン(DAP)からなる群から1つ以上選択される。
【0028】
特に、DC−Cholは、その他の陽イオン性脂質よりもその毒性が弱く、DC−Chol系列の遺伝子担体が黒色腫、嚢胞性繊維腫、子宮頸部癌、乳癌、及び卵巣癌などの多様な疾患の臨床治療に使用承認を受けた。したがって、本発明にDC−Cholが用いられることが好ましい。
【0029】
本発明の一好ましい実施形態は、コレステリルエステル、及びトリグリセリドを含有するコア脂質部と、前記コア脂質部の上層面に疎水性相互反応によって結合されており、コレステロール、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、及び3β−[N−(N′,N′−ジメチルアミノエタン)カルバモイル]−コレステロール(DC−Chol)を含有する陽イオン性の表面脂質部とを含む核酸遺伝子伝達用低密度リポタンパク質類似(LDL−like)陽イオン性ナノ粒子に関する。
【0030】
前記陽イオン性脂質は、本発明の核酸と静電気相互作用によって結合することにより、核酸/脂質錯体を形成することができる。
【0031】
本発明のナノ粒子は、低密度リポタンパク質類似(LDL−like)陽イオン性ナノ粒子である。天然LDLは2つの脂質相、すなわち極性構成分(リン脂質及びアポリポタンパク質)及びコレステロールエステルとトリグリセリドで予め構成された非極性中性脂質からなり、組成及び物理化学的特性は表1のとおりである。リン脂質及びアポリポタンパク質は非極性脂質を乳化させて表面の安定性を提供することにより、安定した生物学的マイクロエマルションを形成することができる。
【0032】
【表1】

【0033】
本発明に係る前記核酸遺伝子伝達用低密度リポタンパク質類似(LDL−like)陽イオン性ナノ粒子は、コレステリルエステル30〜60重量%、トリグリセリド0.1〜10重量%、コレステロール5〜20重量%、リン脂質5〜30重量%、及び陽イオン性脂質10〜50重量%を含むことを特徴とする。好ましくは、コレステリルエステル40〜50重量%、トリグリセリド1〜5重量%、コレステロール8〜12重量%、リン脂質12〜16重量%、及び陽イオン性脂質25〜30重量%を含有することを特徴とする。
【0034】
また、本発明のコア脂質部と表面脂質部の重量比は、ナノ粒子キャリアの重量を基準として30:70〜70:30、好ましくは40:60〜60:40、より好ましくは45:55〜55:45である。
【0035】
本発明の一実施形態において、CLMでリン脂質:コレステロール:陽イオン性脂質の間のモル比は9.4:13:26であり、陽イオン性脂質/ヘルパー脂質のモル比は実質的に等モル比を提供する値である1.16であることができる。
【0036】
本発明の低密度リポタンパク質類似(LDL−like)陽イオン性ナノ粒子は、核酸運搬用として用いることができる。
【0037】
本発明の核酸は、小干渉リボ核酸(siRNA)、リボソームリボ核酸(rRNA)、リボ核酸(RNA)、ジオキシリボ核酸(DNA)、相補性ジオキシリボ核酸(cDNA)、アプタマー、伝令リボ核酸(mRNA)、運搬リボ核酸(tRNA)、及びアンチセンスオリゴジオキシヌクレオチド(AS−ODN)からなる群から選択されるが、これに限定されるわけではない。
【0038】
例えば、本明細中でsiRNAは、二重鎖RNA(duplex RNA)、あるいは単一鎖RNA内部で二重鎖の形態を帯びる単一鎖RNAを意味する。二重鎖の間の結合はヌクレオチド間の水素結合によってなされ、二重鎖内部のすべてのヌクレオチドが相補的に完全に結合しなければならないものではない。siRNAの長さは15〜60、15〜50、または15〜40(二重鎖RNAの一側のヌクレオチドの個数、すなわち塩基対の個数を意味し、単一鎖RNAである場合には単一鎖RNA内部の二重鎖の長さを意味する)ヌクレオチドであり、通常15〜30、15〜25または16〜25のヌクレオチド、好ましくは19〜25、21〜25、または21〜23のヌクレオチドのsiRNAを含む。また、siRNAは、血中安定性を向上させたり免疫反応を弱化させるなどの目的のために、様々な官能基を導入したヌクレオチドを含むことができる。
【0039】
したがって、本発明のsiRNAは、典型的なsiRNAを修飾した形態または非修飾の形態であることができる。例えば、siRNAの一側末端がポリエチレングリコールによって修飾されることができる。
【0040】
ポリエチレングリコール(PEG)は親水性、柔軟性、及び非イオン性高分子であるために単核食細胞系(MPS)が認識しないように粒子の表面を改質させ、担体に対して長期循環性を付与する最も一般的な材料の1つである。(Xing X,Yujiao Chang J,Hung M.Preclinical and clinical study of HER−2/neu−targeting cancer gene therapy.Adv Drug Deliv Rev.30(1−3)(1998)219−227.;S.Mao,M.Neu,O.Germershaus,O.Merkel,J.Sitterberg,U.Bakowsky,T.Kissel.,Influence of polyethyleneglycol chain length on the physicochemical and biological properties of poly(ethyleneimine)−graft−poly(ethyleneglycol)block copolymer/siRNA polyplexes,Bioconjug Chem.17(5)(2006)1209−18.)。
【0041】
本発明の一実施形態において、PEGの分子量が5000ダルトンである場合、RNase消化に対してsiRNAを十分に保護すると同時に、siRNAの効果的なトランスフェクション性能を維持し続けることができる。
【0042】
本発明において、陽イオン性脂質と核酸のN/P比率は約0.1〜128、好ましくは0.5〜32、より好ましくは1〜16である。本発明の一実施形態において、陽イオン性脂質と核酸の重量比は1.4〜32、好ましくは2.8〜16.8である。
【0043】
本発明の低密度リポタンパク質類似(LDL−like)陽イオン性ナノ粒子は、単一または複数の種類のアポタンパク質を含むことができる。前記アポタンパク質は、天然リポタンパク質から抽出したり、タンパク質の組み替えにより生産することができる。前記アポタンパク質の好ましい例としては、B−100、apoEなどが挙げられる。前記アポタンパク質は、本発明のナノ粒子の効率的かつ特異な方式での細胞内への導入を可能にする。
【0044】
本発明の第2の態様は、本発明の核酸遺伝子伝達用低密度リポタンパク質類似(LDL−like)陽イオン性ナノ粒子を製造する方法を提供する。この製造方法における各成分の種類及び含有量は、上述したものと同じである。
【0045】
本発明の一実施形態において、
(a)コレステリルエステル、トリグリセリド、リン脂質、コレステロール、及び陽イオン性脂質を有機溶媒に溶解する段階;
(b)前記溶解液から有機溶媒を除去して脂質膜を形成する段階;
(c)前記脂質膜に水溶液を加えて水和させる段階;
とを含む核酸遺伝子伝達用低密度リポタンパク質類似陽イオン性ナノ粒子を製造する方法を提供する。
【0046】
前記(a)段階の有機溶媒は、クロロホルム、メタノール、及びシクロヘキサンから構成された群から選択された1種以上であること特徴とし、例えば、クロロホルム、メタノール単独、または前記クロロホルムとメタノールを一定の比率で混合した有機溶媒を用いることができるが、これに限定されるわけではない。
【0047】
前記(b)段階の有機溶媒の除去は、コレステリルエステルの融点以上の温度で実行することを特徴とし、コレステリルオレートを用いる場合、52〜60℃の温度が好ましい。
【0048】
本発明の他の一実施形態において、
(a′)コレステリルエステル、トリグリセリド、リン脂質、コレステロール、及び陽イオン性脂質を溶解する段階;
(b′)前記溶解液に水を添加して混合する段階;
(c′)前記混合液を撹拌し、均一溶液を作成する段階;
とを含む核酸遺伝子伝達用低密度リポタンパク質類似(LDL−like)陽イオン性ナノ粒子の製造方法を提供する。
【0049】
前記(a′)段階において、脂質成分は、加熱したり前記(a)段階で説明した有機溶媒を用いて溶解することができる。有機溶媒を用いて溶解する場合には、(d′)前記均質液内の有機溶媒を除去する段階をさらに含む。有機溶媒の除去は、コレステリルエステルの融点以上の温度で実行することを特徴とし、コレステリルオレートを用いる場合、52〜60℃の温度が好ましい。
【0050】
前記(b′)段階において、水は3〜7倍(v/v)を添加することができる。
【0051】
前記(c′)段階の均質化は、超音波処理(sonication)、高圧均質化(high pressure homogenization)、または膜流動化剤(membrane fluidizer)などの公知の方法を用いて粒子を均一化することができる。超音波処理する場合には1〜5分間実行することを特徴とし、125Wの条件で実行することが好ましいが、これに限定されるわけではない。
【0052】
本発明の別の実施形態において、前記核酸遺伝子伝達用低密度リポタンパク質類似(LDL−like)陽イオン性ナノ粒子は、変形溶媒乳化法(modified solvent−emulsification)によって製造されることができる。
【0053】
本発明の第3の態様は、前記低密度リポタンパク質類似(LDL−like)陽イオン性ナノ粒子を用いて標的細胞に核酸遺伝子を伝達する方法に関する。
【0054】
本発明の一実施形態において、(1)核酸遺伝子と前記低密度リポタンパク質類似(LDL−like)陽イオン性ナノ粒子の錯体を形成する段階と、(2)前記錯体を標的細胞(target cell)にトランスフェクションさせる段階とを含むことを特徴とする。
【0055】
前記(1)段階の錯体は、例えば、リン酸緩衝溶液(phosphate buffered saline;以下、「PBS」とする)または脱塩水内で核酸遺伝子の存在下に前記低密度リポタンパク質類似(LDL−like)陽イオン性ナノ粒子を培養して形成されることを特徴とし、前記PBSはpH7.0〜8.0であり、0.8%のNaClを含有することが好ましいが、これに限定されるわけではない。
【0056】
本発明に係る前記方法は、前記(1)段階の後に、前記核酸遺伝子−PEG共役物と前記低密度リポタンパク質類似(LDL−like)陽イオン性ナノ粒子の錯体のゲル遅延処理をさらに含むことを特徴とするが、前記ゲル遅延処理を行う理由は、陰電荷を帯びる小干渉リボ核酸と陽電荷を帯びるナノ粒子表面の間の静電気反応により、これらが安定した錯体を形成するかを確認するためである。
【0057】
本発明の一実施形態において、核酸をPEGで修飾する場合には、段階(1)に先立って(1′)核酸遺伝子−PEG共役物を形成する段階をさらに含むことができる。
【0058】
具体的には、前記(1′)段階の共役物は、核酸遺伝子とPEGの間の二硫化結合を用いて得ることができ、より好ましくは、核酸遺伝子は、3′−ヘキシルアミン作用基を有するものが用いられる。PBS(pH7.5)上で過量のSPDP(N−サクシニミジル−3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート)は、3′−ヘキシルアミン小干渉リボ核酸と反応して核酸を活性化させる。反応せずに残った過剰のSPDPは、脱塩コラム(desalting column)を用いて除去される。SPDPで活性化された小干渉リボ核酸は、ポリエチレングリコール(PEG、分子量:5000)−SHと過剰に反応して二硫化結合を形成してPEGに接合される。反応せずに残った過剰のPEG−SHは透析(MWCO=10000)によって除去し、二硫化結合によってPEGが接合された小干渉リボ核酸を精製することができる。
【0059】
例えば、siRNAは、好ましい遺伝子発現機能抑制力によって遺伝子治療に用いることができる強力な手段ではあるが、安定性及びトランスフェクション効果に関連した問題により、実際の応用には制約がある。
【0060】
本発明に係る陽イオン性ナノ粒子(CLM)は、血清含有培地内での静電気相互作用によって核酸と安定した錯体を形成し、核酸と結合した前記CLMは非常に低い細胞毒性及び効果的な細胞吸収性を有するため、核酸を伝達するのに効果的である。
【0061】
または、血漿アポリポタンパク質は、血液に対する高親和力のためにCLMの表面に吸着して天然アポリポタンパク質含有脂質タンパク質を模倣することができる。したがって、天然脂質タンパク質の作用によってCLMが生体内で生成されるものと推測される。
【0062】
以下、本発明の内容を実施例及び実験例によって具体的に説明する。しかしながら、これらは本発明をより詳細に説明するためのものに過ぎず、本発明の権利範囲がこれらによって限定されるわけではない。
【0063】
以下の実施例及び実験例で用いられたコレステリルオレート、グリセリルトリオレート(トリグリセリド)、エステル化されていないコレステロールはそれぞれSigma Chemical社で購入した。
【0064】
L−α−ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)及び3β−[N−(N′,N′−ジメチルアミノエタン)カルバモイル]−コレステロールヒドロクロライドはAvanti Polar Lipids社の製品である。
【0065】
また、VEGF siRNA及びGFP siRNAはBioneer Co.(大田、大韓民国)社で購入した。GFP siRNAのセンス鎖として5′−GCAAGCUGACCCUGAAGUUdTdT−3′、アンチセンス鎖として5′−AACUUCAGGGUCAGCUUGCdTdT−3′とし、VEGF siRNAのセンス鎖として5′−GGAGUACCCUGAUGAGAUCdTdT−3、VEGF siRNAのアンチセンス鎖として5′−GAUCUCAUCAGGGUACUCCdTdT−3′とした。
【0066】
N−サクシニミジル−3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)及びスルフヒドリル基によって誘導体化されたメトキシ−ポリ(エチレングリコール)(mPEG−SH、分子量5000)はPierce社(Lockford、IL)及びNectar(Huntsville,AL)でそれぞれ購入した。
【0067】
一方、ウシ胎児血清(FBS)、Roswell Park Memorial Institute−1(RPM−1)培地1640、及びダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)はGibco BRL社(Grand Island,NY)で購入した。その他のすべての化学薬品及び試薬は分析用途として用いた。
【実施例】
【0068】
実施例1(陽イオン性脂質マイクロエマルションの調製)
陽イオン性脂質マイクロエマルション(CLM)を変形溶媒乳化法で調製した。すなわち、22.5mg(45重量%)のコレステリルオレート、1.5mg(3重量%)のグリセリルトリオレート、7mg(14重量%)のDOPE、5mg(10重量%)のエステル化されていないコレステロール、及び14mg(28重量%)のDC−コレステロールをガラス瓶内の2mLのクロロホルム:メタノール(2:1)溶液に溶解した。CLMでDOPE:コレステロール:DC−Cholの間のモル比は9.4:13:26であり、陽イオン性脂質/ヘルパー脂質のモル比は有効組成物に対してほぼ等モル比を提供する値である1.16であった。
【0069】
10mLの蒸溜水を前記瓶に添加して十分にかき混ぜた。前記懸濁液をBranson超音波処理機450(20kHz、デューティ周期=40、出力制御=3.5)で3分間超音波処理した。
【0070】
前記マイクロエマルションを回転式蒸発器に移し、溶媒はコレステリルオレートの融点である52−60℃の温度で除去し、前記調製されたマイクロエマルションを4℃で保管した。
【0071】
実施例2(siRNA−PEGの合成)
前記siRNA−PEGは二硫化物結合を用いて共役処理した。すなわち、感知ストランド(20nmolのVEGFまたはGFP siRNA)の3′にあるヘキシルアミン基によって改質された300μgのsiRNAをPBS(pH7.5)に溶解した。
【0072】
続いて、DMSOに溶解した20μL(400nmol)のSPDP原液(20mM)を前記siRNA溶液に添加した。室温で3時間反応させた後、ゲル透過クロマトグラフィ(D−SaltTMデキストラン脱塩コラム,Pierce,Lockford,IL)によって過量のSPDPを除去し、siRNA−SPDPを精製した。
【0073】
PBS(pH7.5)に溶解した4μmolのmPEG−SHを精製した前記siRNA−SPDP溶液に添加し、室温で3日間反応させた。未反応のPEGを脱塩水に対する透析処理(MWCO10、000)によって分離し、siRNA−PEG共役物は高速真空濃縮器で濃縮した。
【0074】
純度と濃度は260及び280nmにおけるUV吸光度を用いて測定した。精製されたsiRNA−PEG共役化物を−80℃で保管した。
【0075】
実施例3(錯体の形成)
DC−Chol(CLMに含まれる)/siRNAの重量比がそれぞれ0、1.4、2.8、4.2、5.6、及び8.4となるようにsiRNA−PEGを取り、室温で15分間PBS(pH7.4及び150mMのNaCl)または脱塩水内でCLMを培養した。生成された錯体に対してゲル遅延化、大きさ、及びゼータ電位を測定した。
【0076】
実施例4(siRNA−PEG/陽イオン性マイクロエマルション錯体に対するゲル遅延処理)
siRNA−PEG/CLM錯体(20μL)を上述したように相違した重量比で形成した後、2μLの積荷染料(loading dye)と混合した(10×)。22μLの懸濁液全体をトリス−アセテート(TAE)展開緩衝液(running buffer)と共に2%のアガロースゲル上の電気泳動分解用ウェルに積荷した後、100Vで15分間陰極から陽極に移動させた。
【0077】
得られたsiRNA−PEGはエチジウムブロマイド染色で可視化し、UVでゲル映像を得た。
【0078】
実施例5(siRNA−PEG/CLM錯体のトランスフェクション)
細胞培養はPC3(ヒト前立腺癌細胞株)を韓国細胞株銀行(ソウル、大韓民国)で求め、加熱非活性化した10%(v/v)のウシ胎児血清、ペニシリン(100UI/mL)、及びストレプトマイシン(100μg/mL)を含むRPM−1培地1640で成長させた。
【0079】
GFP−過発現及び安定的にトランスフェクションされたMDAMB435(ヒト乳癌細胞)は三養社(大田、大韓民国)で求め、10%の血清及び上述した抗生剤が補充されたDMEMで成長させた。
【0080】
培養物は5%COの湿潤雰囲気下で37℃で維持し、融合がなされた後にトリプシン/EDPAを用いて正常分裂させた。
【0081】
cy3−ラベル化されたsiRNA−PEGをCLMと錯化反応させ、10%血清含有培地内のPC3細胞で2時間培養してトランスフェクションさせた。
【0082】
実験例1(陽イオン性ナノ粒子の特性化)
実施例3で製造されたCLMの平均直径はレーザ光散乱法で測定した結果103.6±4.5nmであり、TEM観測の結果、図2に示すように前記CLMは球状であることが確認された。CLMのゼータ電位値は+41.76±2.63mVであった。天然LDLと比較すると、DC−Chol及びDOPEの結合によってこの数値が増加し、また表面電荷が陰の値から陽の値に変化した。CLMは調製後、室温で数週間凝集せずに安定性を維持した。
【0083】
主なコア組成物であるコレステリルオレートの融点は52℃であるため、CLMコアは普通の生理的温度で固体状態を維持した。これはCLMの安定性が長期間維持される理由でもある。高安定性のおかげで、従来のDC−Chol/DOPEリポゾーム形成よりも優れた長所を有する。
【0084】
したがって、CLMの物理化学的特性は、CLMがsiRNAの伝達のために陽性に改質された脂質マイクロエマルションであると同時に、治療分野において安定したLDL模倣体系であることが分かる。
【0085】
前記において、CLMの形態は、透過電子顕微鏡(TEM)を用いて肉眼で観察した。20μLのマイクロエマルション(5mg/mL)を300メッシュのフォルムバー(Formvar)/炭素支持体網に連続して3回浸漬した後に網を2分間乾燥し、80kVでツァイスオメガ912TEM(Carl Zeiss,Oberkochen,ドイツ)を操作して前記網を観察した。
【0086】
また、大きさ及びゼータ電位の測定は、CLMまたはこれとsiRNA−PEGの錯体に関して直径及び表面ゼータ電位値を、波長632nm及び検出角度90°のHe−Neレーザが搭載された動的光散乱器(DSL)(Zeta−Plus,Brookhaven Instrument社、NY)で測定した。
【0087】
大きさの測定において、各試料を脱塩水で適切に希釈して秒あたり104〜105の(細胞)個数を維持するようにし、血清内の錯体に関する安定性研究のために、10%のFBS含有RPM−1培地1640を錯体に添加して反応速度論的側面で測定した。
【0088】
実験例2(陽イオン性ナノ粒子の細胞毒性の分析)
陽イオン性ナノ粒子の細胞毒性を測定するために、MDAMB435細胞を分析の24時間前に96ウェルプレート(ウェルあたり104個の細胞)に播種した。
【0089】
様々な濃度(3、6、12、18、24、36、48、及び72μg/mL)のCLM及びPEIを10%FBS含有RPM−1培地1640内で製造した。培養培地を除去して、製造された懸濁液100μLをプレートウェルに添加した。各ウェル中の細胞をCLM及びPEI懸濁液で37℃で24時間培養した後、10μLのCell Counting Kit−8(CCK−8)溶液(Dojindo molecular technologies Inc.MD、米国)を各ウェルに加えた。細胞を37℃でさらに4時間培養した後、マイクロプレート(BioRad Model 550)を用いて450nmでの吸光度を測定した。
【0090】
体外細胞毒性分析は、MDAMB435細胞の細胞質脱水素酵素を培養培地に放出することによって定量化した。10%血清培地の存在下にCLM及び最も一般的な無ウイルス型遺伝子担体の1つであるポリエチレンイミン(PEI)25Kを、追って行うトランスフェクション実験を考慮して3〜72μg/mLの範囲の量で用いて前記分析を行った。PEI25KのIC50値は約9μg/mLであり、24時間の細胞培養後、18μg/mLであるときに6.9±0.4%の細胞生存率を示した反面、CLMは最高48μg/mLまで何の有害な影響も誘発しなかった。薬量を多く投与した場合、72μg/mLのCLMは78±1%の細胞生存率を示し、同じ条件で5.2±0.1%の生存率を示したPEI25Kと比較し著しく高い値を示した(図3)。
【0091】
siRNA−無含有PEI25K及びCLMの細胞毒性比較の結果、CLMは細胞に対してPEI25Kよりも毒性が弱いことが確認され、これはCLMが細胞毒性の面において優れているという長所があり、トランスフェクション効率を維持し続けると共にPEIを代替するのに有利であるということを提示する。
【0092】
実験例3(siRNA−PEG/CLM錯体の特性化)
siRNA−PEGとCLMの錯化過程を特性化するために、siRNA−PEGを室温の水溶液でDC−Chol(CLMに含まれる)/siRNA重量比との関数的関係で培養した。静電気相互作用による錯体形成度は、動的光散乱法(DLS)によってマイクロエマルションの大きさ及びゼータ電位値を観測して算出した。
【0093】
図5に示すように、DC−Chol(CLMに含まれる)/siRNAの重量比が1から4.67に増加するのに伴い、CLMのゼータ電位値は−13.8±3.9から+35.67±1.2mVに増加しており、その後、重量比4.7を超えた値で一定に維持された。これらのデータは、すべての陰電荷siRNAホスフェート残留物が重量比4.7でCLMと完全な錯体を形成するようになるという事実を提示する。
【0094】
さらに、siRNA−PEGで被覆されたCLMの大きさは、DC−Chol(CLMに含まれる)/siRNA−PEGのいかなる重量比でもほぼ100nmに近い一定した水準を維持していることから、CLMはsiRNA−PEGに培養した後に大きく凝集していないことが分かる(図5)。これらの大きさ及びゼータ電位データは、siRNA−PEG/CLM錯体の陽電荷表面が錯体間で電荷反発力を起こす可能性があることを提示した。
【0095】
また、錯体表面上のPEG鎖は保護雲の役割を果たし、立体反発力によって凝集を防ぐものと判断される。
【0096】
これと並行して、ゲル遅延化分析も重量比1.4〜8.4の範囲のDC−Chol(CLMに含まれる)/siRNAに対して行った。アガロースゲル電気泳動の結果、CLMは重量比5.6及び8.4でsiRNA−PEGによって十分に遅延されることが確認された(図6)。
【0097】
前記の結果は、重量比が5.6を超えたときに電荷の相互作用によってsiRNA−PEG/CLM錯体が十分に形成されたことを示す。ゼータ電位データとゲル遅延分析はすべて、錯化形成が重量比約5で完全に達成されることを示し、錯体形成とsiRNA−PEG/CLM錯体の重量比の相互連係性を裏付けるものである。
【0098】
実験例4(10%血清培地内におけるsiRNA−PEG/CLMの安定性)
PEG5Kが二硫化物結合による共役化によってsiRNA伝達系に導入された。siRNA−PEG/CLM錯体形成後、10%血清含有培地でDLSを用いてその大きさを測定した。
【0099】
図7に示すように、血漿タンパク質の高速及び低速吸着という二種類のパターンが反応速度論的に表現された。急速吸着は、大きさを47.6nmに増大させる2分間の培養時間よりも遅く達成された。血清内で行う2〜20分の培養時間にsiRNA−PEG/CLM錯体の大きさがゆっくりしかしながら漸進的に19.3nmに増加(2分では151.2±13.2nm、20分では170.3±29.9nm)し、変動プロファイルを示す。
【0100】
血漿タンパク質の吸着及びポリエチレングリコール化(PEGylated)ナノ粒子表面上の再配列は初期に増加しており、20分の培養時に最大値に到達したことが立証された。このような事実は、培養の最初の20分間でのsiRNA−PEG/CLM錯体上のタンパク質吸着を説明する。一方、20〜60分培養時の錯体の大きさはほぼ一定しており、凝集による大きさの増加はなく錯体の安定性を示す。
【0101】
これらの結果は、LDL模倣ナノ粒子におけるPEG鎖による立体反発力は血漿タンパク質の不連続吸着を減少させ、凝集現象を現わさず血清培地での高安定性に寄与するという事実を提示する。
【0102】
実験例5(siRNA/CLM錯体の細胞吸収)
siRNA/CLM錯体の細胞吸収能力を評価するために、cy3−ラベル化されたsiRNA−PEGをCLMと錯化反応させ10%血清含有培地内のPC3細胞で2時間培養した。Cy3−siRNA−PEG/CLM錯体の細胞吸収相対量を流速細胞分析法で分析した。
【0103】
すなわち、PC3細胞は、10%FBS及び抗生剤が補充されたRPM−1培地1640に含まれた6個の細胞プレートに、ウェルあたり細胞数5×105個の密度で播種し、37℃で24時間成長させて収穫した。培地を除去した後、得られた細胞をPBS(pH7.4)で洗浄した。1μgのsiRNA−PEGまたはsiRNA−PEG/CLM錯体(重量比8.4のDC−Chol(CLMに含まれる)/siRNA)を37℃で2時間培養した。培地を除去して細胞吸収を中断させた。細胞を冷たいPBSでゆっくり洗浄した後、1%(w/v)のパラフォルムアルデヒド溶液で固定させた。流速細胞分析法で細胞吸収を観測し(FACScan,Becton,Dickinson)、CELLQUESTソフトウェアで分析した(PharMingen)。
【0104】
図8は、cy3−siRNA−PEG/CLM錯体の蛍光強度プロファイルが右側に移動したことを示す。前記の結果は、細胞吸収が対照群に比べて著しく高いという事実を提示する。
【0105】
cy3−siRNA−PEGの場合にのみ、対照群に比べて細胞吸収の改善が極めて遅かった。したがって、cy3−siRNA−PEGが自己形成され、ミセルが細胞吸収の小幅増加を誘発したであろうと推測できる。
【0106】
実験例6(siRNA−PEG/CLM錯体のトランスフェクション効果)
siRNA−PEG/CLM錯体のsiRNA遺伝子抑制効果を血清含有培地に含まれたGFP過発現及びトランスフェクションされた安定したMDAMB435細胞株を用いて測定した。
【0107】
すなわち、GFP−過発現MDAMB435細胞を10%FBS及び抗生剤が補充されたDMEM培地に含まれた12個の細胞プレートにウェルあたり細胞数2×105個の密度で播種した。トランスフェクション実験の24時間前に細胞を培養した。培地を除去した後、得られた細胞をPBS(pH7.4)で3回洗浄した。
【0108】
様々な濃度(0、1.4、2.8、5.6、8.4、及び16.8)のsiRNA−PEGまたはsiRNA−PEG/CLM錯体(相違した重量比のDC−Chol(CLMに含まれる)/siRNA)1μgを37℃で2時間10%FBS含有培地で培養した。細胞上清液を血清を補充した新たな培地に交換した。
【0109】
その後、トランスフェクションされた細胞を42時間成長させて収穫し、細胞はPBSに溶解された0.1%トリトン×100で処理した。細胞溶解物の蛍光度を525nmの波長で測定した(488nmで励起する)。
【0110】
PC3細胞を用いたVEGF放出抑制実験で、上述したように試料をトランスフェクションした後、4時間後に細胞培地を血清を補充した新たな培地に交換した。トランスフェクション後の培養6時間後、前記培地は10%FBS及び20μg/mLのヘパリンを補充した新たなRPM−1培地に交替した。さらに16時間培養した後、VEGF含有細胞上清液を回収した。
【0111】
細胞から放出されたVEGFの濃度は、製造者の指針に従ってQuantikineヒトVEGF免疫分析キット(R&D system,Minneapolis,MN)を用いて測定した。
【0112】
GFPまたはVEGFsiRNA−PEG/CLM錯体は、10%血清RPM−1培地においてGFP過発現MDAMB−435細胞またはVEGF放出PC−3細胞でそれぞれ処理された。
【0113】
前記錯体のGFP遺伝子サイレンシング効果を図9に示した。DC−Chol(CLMに含まれる)/siRNAの重量比の増加と共に、前記siRNA−PEG/CLM錯体のGFP遺伝子発現は重量比1.4〜8.4の範囲で抑制された。
【0114】
GFPsiRNA−PEGを含むCLM錯体は、重量比が5.6及び8.4のとき、GFP発現においてそれぞれ41.2±3.7%及び58.9±4.9%の下方調整率を示した。この結果は、重量比5.6超過時にGFPsiRNA−PEG/CLM錯体が完全に形成されたという事実と一致する(図9)。
【0115】
伝達系としての完全錯体がsiRNAに対する化学量論的効果を有し、それによってサイレンシング遺伝子の能力を高めることができるという点を説明することができる。トランスフェクション効率もまた、VEGFsiRNA−PEGがCLMとの錯化反応に用いられたことを除いては、上述したものと同じ方式でVEGF放出PC3細胞で測定された。PC3細胞におけるVEGF抑制プロファイルは、MDAMB435細胞におけるGFP抑制プロファイルと極めて類似していた(図10)。
【0116】
重量比5.6及び8.4のVEGFsiRNA−PEG/CLMにおいて、VEGF発現抑制値はそれぞれ37.6±1.2%及び53.8±0.9%であり、PC3細胞で順に現れた。一方、GFP及びVEGFsiRNA−PEGのみが細胞吸収量が小さいため、これらの遺伝子サイレンシング効果はそれぞれ6.9±6.5%及び9.55±7.2%であった(図9及び10)。
【0117】
重量比16.8でターゲットタンパク質発現の抑制率は、GFPsiRNA−PEG/CLM及びVEGFsiRNA−PEG/CLM錯体でそれぞれ38±0.3%及び22.8±13%であったが、この結果は、錯化していないCLMが残留し、これらが細胞吸収に関してsiRNA−PEG/CLM錯体と競争する可能性が大きいということを提示する。重量比16.8で遺伝子サイレンシング効果の小幅減少が観測される理由はこのためであろう。
【0118】
本発明を添付の図面及び実施形態を参照して説明したが、当業者であれば、下記の特許請求の範囲に記載された本発明の思想及び領域を逸脱しない範囲内で本発明の多様な修正及び変更が可能であることを理解するはずである。
【産業上の利用可能性】
【0119】
本明細書中の記載からも明らかなように、低密度リポタンパク質受容体(LDLR)は骨髄性白血病細胞、腸、腎臓、及び脳腫瘍などの各種腫瘍で過発現するため、本発明に係る陽イオン性ナノ粒子はLDLRを用いた腫瘍治療法に効果的に適用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コレステリルエステル及びトリグリセリドを含有するコア脂質部(lipid core part);及び
前記コア脂質部の上層面に疎水性相互反応によって結合されており、コレステロール、リン脂質、及び陽イオン性脂質を含有する陽イオン性の表面脂質部;
を含む核酸遺伝子伝達用低密度リポタンパク質類似(LDL−like)陽イオン性ナノ粒子。
【請求項2】
コレステリルエステル30〜60重量%、トリグリセリド0.1〜10重量%、コレステロール5〜20重量%、リン脂質5〜30重量%、及び陽イオン性脂質10〜50重量%を含有することを特徴とする、請求項1に記載の核酸遺伝子伝達用低密度リポタンパク質類似(LDL−like)陽イオン性ナノ粒子。
【請求項3】
コア脂質部と表面脂質部の重量比が30:70〜70:30であることを特徴とする、請求項1に記載の核酸遺伝子伝達用低密度リポタンパク質類似(LDL−like)陽イオン性ナノ粒子。
【請求項4】
前記リン脂質が、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン(POPC)、エッグホスファチジルコリン(EPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、及びジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)からなる群から1つ以上選択されることを特徴とする、請求項1に記載の核酸遺伝子伝達用低密度リポタンパク質類似(LDL−like)陽イオン性ナノ粒子。
【請求項5】
前記陽イオン性脂質が、3β−[N−(N′,N′,N′−トリメチルアミノエタン)カルバモイル]コレステロール(TC−コレステロール)、3β[N−(N′,N′−ジメチルアミノエタン)カルバモイル]コレステロール(DC−コレステロール)、3β[N−(N′−モノメチルアミノエタン)カルバモイル]コレステロール(MC−コレステロール)、3β[N−(アミノエタン)カルバモイル]コレステロール(AC−コレステロール)、N−(N′−アミノエタン)カルバモイルプロパン酸トコフェロール(AC−トコフェロール)、N−(N′−メチルアミノエタン)カルバモイルプロパン酸トコフェロール(MC−トコフェロール)、N,N−ジオレイル−N,N−ジメチルアンモニウムクロライド(DODAC)、N,N−ジステアリル−N,N−ジメチルアンモニウムブロマイド(DDAB)、N−(1−(2,3−ジオレオイルオキシ)プロピル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド(DOTAP)、N,N−ジメチル−(2,3−ジオレオイルオキシ)プロピルアミン(DODMA)、N−(1−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル)−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド(DOTMA)、1,2−ジオレオイル−3−ジメチルアンモニウム−プロパン(DODAP)、1,2−ジオレオイルカルバミル−3−ジメチルアンモニウム−プロパン(DOCDAP)、1,2−ジリネオイル−3−ジメチルアンモニウム−プロパン(DLINDAP)、ジオレオイルオキシ−N−[2−スペルミンカルボキシアミド)エチル}−N,N−ジメチル−1−プロパンアミニウム−リフルオロアセテート(DOSPA)、ジオクタデシルアミドグリシルスペルミン(DOGS)、1,2−ジミリスチルオキシプロピル−3−ジメチル−ヒドロキシエチルアンモニウムブロマイド(DMRIE)、3−ジメチルアミノ−2−(コレスタ−5−エン−3−ベータ−オキシブタン−4−オキシ)−1−(シス,シス−9,12−オク−タデカジエンオキシ)プロパン(CLinDMA)、2−[5′−(コレスタ−5−エン−3.ベータ.−オキシ)−3′−オキサペントキシ)−3−ジメチル−1−(シス,シス−9′,12′−オクタデカジエンオキシ)プロパン(CpLinDMA)、N,N−ジメチル−3,4−ジオレイルオキシベンジルアミン(DMOBA)、1,2−N,N′−ジオレイルカルバミル−3−ジメチルアミノプロパン(DOcarbDAP)、1,2−ジアシル−3−トリメチルアンモニウム−プロパン(TAP)、及び1,2−ジアシル−3−ジメチルアンモニウム−プロパン(DAP)からなる群から1つ以上選択されることを特徴とする、請求項1に記載の核酸遺伝子伝達用低密度リポタンパク質類似(LDL−like)陽イオン性ナノ粒子。
【請求項6】
前記核酸が小干渉リボ核酸(siRNA)、リボソームリボ核酸(rRNA)、リボ核酸(RNA)、ジオキシリボ核酸(DNA)、相補性ジオキシリボ核酸(cDNA)、アプタマー、伝令リボ核酸(mRNA)、運搬リボ核酸(tRNA)、及びアンチセンスオリゴジオキシヌクレオチド(AS−ODN)からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の核酸遺伝子伝達用低密度リポタンパク質類似(LDL−like)陽イオン性ナノ粒子。
【請求項7】
(a)コレステリルエステル、トリグリセリド、リン脂質、コレステロール、及び陽イオン性脂質を有機溶媒に溶解する段階;
(b)前記溶解液から有機溶媒を除去して脂質膜を形成する段階;
(c)前記脂質膜に水溶液を加えて水和させる段階;
を含む、核酸遺伝子伝達用低密度リポタンパク質類似陽イオン性ナノ粒子を製造する方法。
【請求項8】
(a′)コレステリルエステル、トリグリセリド、リン脂質、コレステロール、及び陽イオン性脂質を溶解する段階;
(b′)前記溶解液に水を添加して混合する段階;
(c′)前記混合液を撹拌し、均一溶液を作成する段階;
を含む、核酸遺伝子伝達用低密度リポタンパク質類似(LDL−like)陽イオン性ナノ粒子を製造する方法。
【請求項9】
前記コレステリルエステル、トリグリセリド、リン脂質、コレステロール、及び陽イオン性脂質を加熱して溶解することを特徴とする、請求項8に記載の低密度リポタンパク質類似(LDL−like)陽イオン性ナノ粒子を製造する方法。
【請求項10】
前記コレステリルエステル、トリグリセリド、リン脂質、コレステロール、及び陽イオン性脂質に有機溶媒を加えて溶解することを特徴とする、請求項8に記載の低密度リポタンパク質類似(LDL−like)陽イオン性ナノ粒子を製造する方法。
【請求項11】
前記有機溶媒が、クロロホルム、メタノール、及びシクロヘキサンから構成された群から選択される1種以上であることを特徴とする、請求項7または10に記載の核酸遺伝子伝達用低密度リポタンパク質類似(LDL−like)陽イオン性ナノ粒子の製造方法。
【請求項12】
段階(c′)の後に(d′)有機溶媒を除去する段階をさらに含むことを特徴とする、請求項10に記載の低密度リポタンパク質類似(LDL−like)陽イオン性ナノ粒子を製造する方法。
【請求項13】
前記段階(c′)の撹拌が、超音波処理(sonication)、高圧均質化(high pressure homogenization)、および膜流動化剤(membrane fluidizer)の使用のいずれかによりなされることを特徴とする、請求項8に記載の低密度リポタンパク質類似(LDL−like)陽イオン性ナノ粒子を製造する方法。
【請求項14】
請求項1〜6のうちのいずれか一項に記載の低密度リポタンパク質類似(LDL−like)陽イオン性ナノ粒子を用いて標的細胞に核酸遺伝子を伝達する方法。
【請求項15】
前記方法が、
(1)核酸遺伝子及び前記低密度リポタンパク質類似(LDL−like)陽イオン性ナノ粒子の錯体を形成する段階;及び
(2)前記錯体を標的細胞にトランスフェクションさせる段階;を含むことを特徴とする、請求項14に記載の核酸遺伝子を伝達する方法。
【請求項16】
前記段階(1)の前に(1′)核酸遺伝子−PEG共役物を形成する段階をさらに含むことを特徴とする、請求項15に記載の核酸遺伝子を伝達する方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公表番号】特表2011−500671(P2011−500671A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−529879(P2010−529879)
【出願日】平成20年10月17日(2008.10.17)
【国際出願番号】PCT/KR2008/006167
【国際公開番号】WO2009/051451
【国際公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【出願人】(592127149)韓国科学技術院 (129)
【氏名又は名称原語表記】KOREA ADVANCED INSTITUTE OF SCIENCE AND TECHNOLOGY
【住所又は居所原語表記】373−1,Gusung−dong,Yuseong−ku,Daejeon 305−701 KR
【出願人】(500578515)サムヤン コーポレイション (20)
【Fターム(参考)】