説明

根茎植物の増殖方法

【課題】アルストロメリアなどの根茎にて増殖する植物について、高効率、低コストおよび短期間で液体培養苗を大量生産することを可能とする増殖方法を提供すること。
【解決手段】根茎植物の根茎を含む苗を液体培地にて培養して根茎部分を肥大させた液体培養苗を得、当該液体培養苗から地上茎部分を切除し、根茎部分のみを馴化することを特徴とする、根茎植物の増殖方法。更に、液体培地にアンシミドールを添加し、地上茎の伸長を抑制し根茎の肥大を促進する根茎植物の増殖方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、根茎植物の効率的な増殖方法に関する。
【背景技術】
【0002】
組織培養法は様々な植物において有効な増殖法として長年用いられている。しかし、組織培養法は通常は寒天やゲルライト等で固化された固体培地(寒天培養やゲルライト培養)を用いるため、増殖率が低く、手工業的手法以外では大量の増殖が困難である。また、増殖を繰り返す際には、増殖させた組織を芽を含む組織に1つずつ切り分け、更にそれらを1つずつ固体培地に移植する作業となるため、作業効率が低い。このような理由により組織培養を用いた植物苗(培養苗)は一般に高価格となる。特に、アルストロメリアなどの根茎が生長することによって増殖する植物(根茎植物)は、培養中の根茎の生長が著しく遅く、また発根にも長期間を要するため、培養効率が極めて低く、生産される苗が高価格となっている。
【0003】
上記のような問題を解消し、アルストロメリアの組織培養による種苗増殖の効率化を意図して種々の検討がなされている。例えば、その花梗部を用いた植物体の再生が試みられているが、成功には至っていない(非特許文献1)。また、増殖培地中の植物生長調節物質の条件を改変することが提案されているが、増殖率は1.3〜1.5倍/4週間と極めて低く(非特許文献2)、また、発根率も70〜90%程度にとどまり実用化には問題がある。また、ポット用の矮性アルストロメリアについては、液体培地を含む培養槽を用いた培養法が試みられている(非特許文献3)。この方法は培養期間が寒天培養に比べて1/2〜1/5となる長所を有する一方、培養容器あたりの外植片数が寒天培養の30〜100倍必要であり、作業が頻雑となる結果、コンタミネーションが発生しやすいこと、また、回収される苗が軟弱化し、馴化効率が低下する等の短所を有する。上記それぞれの方法に対する改善法も検討されているが、その実施には設備や培養条件の細部の調整が必要であり、新たなコストアップの要因となりかねない。更に、馴化する苗形態は従来の寒天培養と同じく発根苗であるため、発根のための工程と期間を要する点において従来の方法とは変わっていない。
【0004】
また、他の根茎植物としてワサビにおいても根茎の効率的な増殖法が検討されており、特許文献1にはサイトカイニンを含む培地でシュート(茎葉)を連続的に培養することによって、また、特許文献2にはサイトカイニンと含硫化合物(硫酸カリウム)を含む培地でシュート(茎葉)を連続的に培養することによって、根茎を肥大させ回収する方法がそれぞれ開示されている。しかしながら、上記培養に用いる培地はいずれも固体培地であるため、増殖率が低く、また培養により得られた根茎をそのままワサビの原料に使用する態様であるため、その後の馴化において温室等での生育に耐え得る状態か否かは定かではない。
【0005】
【非特許文献1】坂本ら、平成18年度 福井県園芸試験場花き試験成績書、p61)
【非特許文献2】矢沢ら、園芸学会雑誌、別冊2、p44−45、1995
【非特許文献3】有馬、農業技術体系花卉編5、p683−687、農山漁村文化協会
【特許文献1】特許第2957102号公報
【特許文献2】特許第2957128号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、アルストロメリアなどの根茎にて増殖する植物について、従来の組織培養による増殖法の問題点を解消し、高効率、低コスト、および短期間で液体培養苗を大量生産することを可能とする根茎植物の増殖方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、(1)根茎を含む組織(苗)を置床材料とした液体培養において、根茎が極めて旺盛に生長、肥大すること、また、(2)肥大した根茎を非無菌環境下にて分割し、根(細根、貯蔵根等)のない状態でも直接温室に移植して馴化し得ること見出した。加えて、(3)根茎の馴化に際し、展開した葉を有する明瞭な地上部(地上茎)を取り除いた場合に馴化後の活着率が高まること、また、(4)液体培養の培地に矮化剤を添加することによって根茎の生長や肥大に悪影響を与えることなく不必要な地上茎の増殖量を著しく抑制し得ることを見出した。本発明はかかる知見により完成されたものである。
【0008】
すなわち、本発明は以下の発明を包含する。
(1) 根茎植物の根茎を含む苗を液体培地にて培養して根茎部分を肥大させた液体培養苗を得、当該液体培養苗から地上茎部分を切除し、根茎部分のみを馴化することを特徴とする、根茎植物の増殖方法。
(2) 根茎植物がアルストロメリアである、(1)に記載の増殖方法。
(3) 液体培地に矮化剤を添加することを特徴とする、(1)または(2)に記載の増殖方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、組織培養による大量生産が困難であったアルストロメリア等の根茎植物の培養苗を、効率的にかつ低コストで増殖させる方法が提供される。本発明の方法は、液体培養にて根茎を短期間に急速に肥大・増殖させることができるので高い増殖率が得られること、また、非無菌環境下で根茎を分割し、その分割した根茎を、発根工程を経ることなくそのまま直接温室に移植して馴化するため、作業の簡便化と効率化が図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の根茎植物の増殖方法は、根茎植物の根茎を含む苗を液体培地にて培養して根茎部分を肥大させた液体培養苗を得、当該液体培養苗から地上茎部分を切除し、根茎部分のみを馴化することを特徴とする。
【0011】
本発明における「根茎植物」とは、根茎(地下茎)にて生長・増殖する植物をいい、例えば、アルストロメリア、カンナ、根茎性ベゴニア、ジンジャーリリー、ジャーマンアイリス、カラー・チルドシアナ、耐寒性スイレン、ハス、タケ、ワラビ、ミョウガ、ショウガ、アマドコロ、ウラジロ、ヤマシャクヤクなどが挙げられるが、これらに限定はされない。
【0012】
本発明の方法では、まず、根茎植物の置床材料となる根茎を含む苗(母株)を用意する。置床材料となる当該苗は、例えば、実施例に示したような生長点培養により通常の組織培養により継代・維持されたものを用いることができる。
【0013】
次に、上記根茎を含む苗を液体培養に供する。液体培養に用いる培地は、植物の組織培養のために通常使用される基本培地であれば特に限定はされず、例えば、MS(Murashige & Skoog)培地、LS(Linsmaier & Skoog)培地、B5培地、Nitsch&Nitsch培地、Gamborg培地、White培地、Tuleeke培地などを用いることができる。また、根茎植物の種類に応じて基本培地における成分の種類や濃度(例えば、通常の使用濃度の1/3〜2倍の範囲)を適宜調整した改変培地を用いてもよい。
【0014】
また、上記基本培地には、サイトカイニン類及びオーキシン類が含まれていてもよい。サイトカイニン類としては、チジアズロン(TDZ)、フルフリルアミノプリン(カイネチン)、6−ベンジルアミノプリン(BA)、2−クロロ−4−ピリジル−フェニルウレア(CPPU)、6-(ベンジルアミノ)−9−(2−テトラヒドロピラニル)−9H−プリン(PBA)、2−イソペンテニルアデニン(2iP)、ゼアチン(ZEA)などが挙げられ、これらを単独でまたは2種類以上を組み合わせて使用することができる。また、オーキシン類としては、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸(2,4−D)、1−ナフタレン酢酸(NAA)、4−クロロフェノキシ酢酸(4−CPA)、4−クロロ−2−メチルフェノキシ酢酸(MCPA)、インドール酢酸(IAA)、インドール酪酸(IBA)、2,4,5−トリクロロフェノキシ酢酸(2,4,5−T)、ピクロラムなどが挙げられ、これらを単独でまたは2種類以上を組み合わせて使用することができる。更に他の植物生長調節物質としてジベレリン酸(GA)、アブシジン酸(ABA)、ブラシノステロイド(BS)などを単独でまたは適宜組み合わせて添加してもよい。これらのサイトカイニン類、オーキシン類、ジベレリン酸(GA)、アブシジン酸(ABA)、ブラシノステロイド(BS)、エチレンなどの他の植物生長調節物質は、それぞれを単独でまたは適宜組み合わせて添加してもよい。また、サイトカイニン類の濃度としては、0.001〜5ppm、好ましくは0.01〜1ppmの範囲が挙げられる。また、オーキシン類の濃度としては、0.001〜5ppm、好ましくは0.01〜1ppmの範囲が挙げられる。上記の他の植物生長調節物質の濃度としては、0.001〜5ppm、好ましくは0.01〜1ppmの範囲が挙げられる。
【0015】
さらに、培地には、オーキシン類及びサイトカイニン類の他に、炭素源として、ショ糖、ブドウ糖、果糖などの組織培養に一般に用いられる糖類を使用することができる。糖類の濃度としては、1〜6%(w/v)、好ましくは2〜4%(w/v)が挙げられる。必要に応じてソルビトールまたはマンニトール等の糖アルコール類を0.01〜3%(w/v)添加してもよい。また、培地は、必要に応じてその構成成分の含量を変えたり、ビタミン(チアミン、ピリドキシン、ニコチン酸、パントテン酸カルシウム、ビタミンB12、ビオチン、パラアミノ安息香酸、葉酸等)やアミノ酸(グリシン、グルタミン酸、アスパラギン等)などを加えたり、削除することも有効である。なお、これらの物質についても上記のオーキシン等と同様に単独でまたは適宜組み合わせて使用してもよい。
【0016】
本発明においては、温室への移植時に不要である地上茎について、その生長の抑制が必要な場合には、矮化剤を液体培地に添加することが好ましい。矮化剤としては、主に茎の伸長を抑制する薬剤であればよく、例えば、アンシミドール(Anc)、パクロプトラゾール、ウニコナゾール、ダノミジット、クロルメコート(CCC)などが挙げられる。
【0017】
矮化剤の使用濃度は0.01〜3ppm、好ましくは0.03〜1ppmとする。矮化剤の適当な濃度での添加によって、根茎部分の生育や肥大に悪影響を与えることなく、地上茎の伸長が著しく抑制され、後工程の回収、根茎の分割、温室への移植作業が効率化される。
【0018】
上記の各種成分を含む液体培地は、混合調製後、オートクレーブ等の殺菌前に塩酸等の酸や水酸化ナトリウム等のアルカリを用いてpHを通常5.0〜6.5に調整する。液体培養のための培養容器については市販されている多くの植物組織培養用の培養槽(例えば柴田科学社等からの販売品)を用いることができる。
【0019】
上記液体培養においては、通気を行わなくても根茎の生長、肥大は認められるが、より効率的に行うためには通気した方がよい。通気は気相より液相に行う方が望ましい。通気量は、例えば、0.005〜0.3vvm、好ましくは0.02〜0.15vvmとする。通気用のエアストーンには、ガラスボールフィルター(木下理化工業株式会社製)などを用いることができる。
【0020】
また、上記液体培養においては、完全な暗黒条件においても根茎の肥大、増殖は可能であるが、より効率的に行うためには光照射した方がよい。光条件は、例えば、光量子束密度5.7〜57μmole/m2/sec、好ましくは11.4〜34.2μmole/m2/secとする。
また、明期の時間としては、通常12〜24時間/日、好ましくは14〜18時間/日である。
【0021】
培養期間は14〜70日、好ましくは21〜56日とする。培養温度としては、通常15〜35℃、好ましくは20〜30℃である。
【0022】
上記液体培養において、根茎は短期間に急速に肥大するとともに、根茎の分枝が高頻度に生じて増殖し、自然条件下及び通常の寒天培養条件下の生育を大きく凌駕する増殖率が得られる。また、根茎から発根が生じる場合もあるが、特に培地に6−ベンジルアミノプリン(BA)を添加した場合、その頻度は低くまた発根量も僅かである。
【0023】
続いて液体培養後の培養槽から根茎を含む植物体(培養苗)を回収する。回収した培養苗は、水洗の後に馴化に不必要な葉や地上茎を取り除く。数cm程度の地上茎は残しておいても良いが、展開した葉を有する明瞭な地上茎を除去すると、馴化後の生存率が高くなる上で好ましい。その後、培養苗から肥大・増殖した根茎を分割する。分枝している場合は、分枝組織毎に分け、その後、各分枝に分割する。分割する大きさは特に限定されないが、1〜3cm程度が好ましく、分割後の組織に地上茎が発生する節が残るようにする。分割は通常手作業で行うが、メスなどの器具を使っても良い。以上の回収・分割作業は、非無菌環境下で行うことができる。
【0024】
このようにして得られた根茎部分を、発根工程を経ることなく、温室などの開放系に直接移植し、馴化させる。また、上記根茎部分は一定の期間貯蔵することも可能である。1〜2週間程度の短期間の場合は室温にて、より長期には4℃などの低温にて保存することが好ましいが、保存条件や植物種別によっては馴化後に発生する地上茎での花芽分化状態が変化するので注意を要する。
【0025】
馴化に用いる用土は特に限定はなく、通常市販されている混合用土を用いることが簡便である。たとえば、バーミキュライト、ピートモス、パーライト、赤土、桐生砂、鹿沼土などが挙げられる。また、遮光などの特別な条件の制御は不要である。
【0026】
また、培養槽から回収される根茎を含む植物体は、再び培養槽への置床材料として用いることが可能である。この場合、置床材料の増殖も寒天培養に依存しないため、増殖効率は更に高まることになる。
【実施例】
【0027】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
アルストロメリア(系統E62:東邦ガス社)の生長点を含む切片を、培養容器(プラントボックス、旭テクノグラス社、内容積約300ml)内の固体培地[MS培地にショ糖3%、ゲルライト(和光純薬社)0.2%を添加し、pHを5.8に調整した培地]上に植え付け、明所(光合成光量子束密度22.8μmole/m2/sec、16時間日長)、25±2℃の条件下にて培養し、誘導した苗を1ヶ月に1回の頻度で同条件にて継代・維持した。
【0028】
培養8週目の根茎部分を有する培養苗6.7本(3区の平均、草丈約6cm、供試材料)を、MS培地にショ糖3%、BA0.02ppmを添加した5Lの液体培地(pH5.8)を含む、3つの円筒型の培養槽(底面積約190cm2、高さ約45cm、内容積約6L)にそれぞれ植え付け、0.06vvmの通気を底面部から行いながら、光合成光量子束密度22.8μmole/m2/sec、16時間日長の光条件下、25±2℃にて液体培養を行った。6週間培養後には植物が増殖して培養槽上部まで達し、培養槽は液体培養苗で満たされた。それら液体培養苗を取り出し、1cm以上の展開した葉を有する明瞭な地上茎を除去したのち根茎を分割したところ、63個の根茎に分けられた(3区の平均、増殖率9.4倍/6週)。それらの根茎、合計190個を、温室にて、培養土(メトロミックス キリンアグリバイオ社)を充填した72穴のトレイに移植し、それらを昼温約20〜30℃、夜温15〜20℃で栽培したところ、根茎から地上茎が生長し、移植から8週目には合計171個の根茎が植物体を形成した。従って、苗化率(移植した根茎数に対する移植後に地上茎と根茎の伸長による活着が認められた根茎数の割合)は90%であった。
【0029】
(比較例1)
実施例1と同様にして継代・維持された8週目の培養苗(供試材料)の根茎を分割し、18個の根茎を、固体培地[MS培地にショ糖3%、ゲルライト(和光純薬社)0.2%を添加し、pHを5.8に調整した培地]にて6週間培養(寒天培養)した。肥大した根茎を分割したところ、34個の根茎が得られた(増殖率1.9倍/6週、3区の平均)。また、増殖した根茎を、温室で72穴のトレイに移植可能なサイズの苗にするためには、発根培地にて更に8週間の培養が必要であった。
【0030】
(比較例2)
実施例1と同様にして継代・維持された培養8週目の培養苗(供試材料)を用い、実施例1と同じ条件にて液体培養を行って植物体を増殖し、温室への移植に際して地上茎を取り除かず、展開した葉を有する5cm程度の明瞭な地上茎を有した根茎を温室へ移植した。その結果、8週目の苗化率(移植した根茎数に対する移植後に地上茎と根茎の伸張による活着が認められた根茎数の割合)は約30%であった。
【0031】
(実施例2)
実施例1で用いたアルストロメリアとは異なる成長が遅い別の品種(系統00-298;キリンアグリバイオ社)を用いて実施例1と同様にして継代・維持された培養8週目の培養苗を供試材料とした。この培養苗6.3本(3区の平均)を用いて、実施例1と同条件にて液体培養を行ったところ、培養槽においては、6.3本の培養苗(3区の平均)から6週間後に40個の根茎が得られた。これに対し、比較例1と同条件にて固体培地にて培養(寒天培養)を行ったところ、6本の培養苗から26週後に7個の根茎が得られたにすぎなかった(3区の平均)。
【0032】
(実施例3)
実施例1と同様にして継代・維持された培養8週目の培養苗(供試材料)を、MS培地にショ糖3%、BA0.02ppmを添加した液体培地(pH5.8)にアンシミドールを0.05ppm、0.3ppm、1ppmの濃度で添加した培地を含む、2つの円筒型の培養槽にそれぞれ植え付け、実施例1と同条件にて液体培養を行った。その結果、アンシミドールの濃度に従って地上茎の伸長が抑制される一方で、根茎の肥大が促進された。6週間後の回収時には、アンシミドール未添加培地では地上茎の長さが25cm以上になったのに対し、アンシミドール0.3ppm添加区では5cm程度、同1ppm添加区では3cm程度であり、同0.05ppm添加区を含めて温室への移植作業に妨げとはならず作業効率が高かった(地上茎長は3区の平均)。
【0033】
(実施例4)
実施例2で得られた根茎を実施例1と同様の条件にて馴化し、8週間育苗した。それら馴化苗を9cmポリポットに移植し、更に8週間育苗してポット苗を得た。それらポット苗20本を土壌に移植し、慣行に従い栽培管理した。圃場に地植え後、約5ヶ月目で開花株の評価を行った。その結果、開花に至る生育及び開花状態は正常であり、変異などは確認されなかった。
【0034】
以上の結果より、本発明による根茎植物の増殖方法は、温室での馴化後、屋外(圃場)での生育も良好な培養苗が大量に得られ、実用上非常に有用であることが認められた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
根茎植物の根茎を含む苗を液体培地にて培養して根茎部分を肥大させた液体培養苗を得、当該液体培養苗から地上茎部分を切除し、根茎部分のみを馴化することを特徴とする、根茎植物の増殖方法。
【請求項2】
根茎植物がアルストロメリアである、請求項1に記載の増殖方法。
【請求項3】
液体培地に矮化剤を添加することを特徴とする、請求項1または2に記載の増殖方法。