説明

桂皮酸誘導体の製造方法及び桂皮酸誘導体

【課題】紫外線吸収能や薬理効果などが大きく期待されている8-8'ジフェルラ酸などの桂皮酸誘導体の8-8'二量体を、効率よくかつ大量に合成することができる桂皮酸誘導体の製造方法を提供する。なお、この製造方法では、桂皮酸誘導体のアルキル基を変えることによって、その溶解性や融点などの物性を調節することもできる。
【解決手段】フェルラ酸等の桂皮酸誘導体を酸化カップリングしてジラクトンタイプの二量体を合成し、この二量体を塩基性条件下でアルキル化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、天然由来の桂皮酸誘導体であるフェルラ酸等の単量体から特定の多量体を効率よく製造する製造方法、及びこの製造法によって製造した桂皮酸誘導体等に関する。
【背景技術】
【0002】
4-ヒドロキシ桂皮酸類は、米ぬかやコーンの茎などの天然由来原料から得られ、樹脂や医薬品などの原料として近年注目を集めている。例えば、フェルラ酸は、桂皮酸のフェノール性水酸基のオルト位にメトキシ基を有する化合物であり、その新たな用途等について研究が進められている(特許文献1、非特許文献1を参照。)。
【0003】
さて、天然由来原料にはフェルラ酸の単量体のほか、その二量体も多く存在しており、その生理活性、紫外線吸収スペクトルや新たな用途についても研究が進められている(非特許文献2を参照。)。
【0004】
フェルラ酸の二量体には、単量体の結合の仕方によって、図2に示すように8-5'ジフェルラ酸、8-O-4'ジフェルラ酸、8-8'ジフェルラ酸、5-5'ジフェルラ酸等がある。中でも、8-8'ジフェルラ酸は、多くの植物で8-5'ジフェルラ酸に次いで多く存在しており、その構造的特徴から紫外線吸収能や薬理効果などが大きく期待されている。
【0005】
このように優れた効果が期待される8-8'ジフェルラ酸等の8-8'型の二量体を安定的に供給するため、単量体であり、量的にも豊富で安価なフェルラ酸等の単量体から8-8'ジフェルラ酸等の二量体を合成することが試みられている。具体的には、(a)酵素により二量体の混合物を合成し、この混合物の中から8-8'ジフェルラ酸だけを単離する方法、(b)電気酸化により8-8'ジフェルラ酸だけを収率良く合成する手法が報告されている(非特許文献3を参照。)。
【0006】
しかし、(a)酵素を利用する方法は、混合物の中から8-8'ジフェルラ酸だけを単離するために多大な労力が必要である、という問題点があった。また(b)電気酸化を利用する方法は、非常に希薄な溶液中で反応させる必要があるので実用性に欠ける、という問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−209120号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Science, 318, 1250 (2007)
【非特許文献2】J. Sci. Food Agric., 79, 379 (1999)
【非特許文献3】J. Agric. Food Chem., 52, 2084 (2004)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、この発明は、桂皮酸誘導体の単量体から高効率かつ大量に8-8'二量体を製造することができる製造法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明者らは、鋭意検討した結果、米ぬかより得られるフェルラ酸等の桂皮酸誘導体の単量体からジラクトンタイプの二量体を合成し、この二量体を塩基性条件下でアルキル化させることによって、効率的かつ大量に8-8'タイプの二量体を製造可能であることを見出し、この発明を完成した。
【0011】
すなわち、この発明の請求項1に記載の桂皮酸誘導体の製造方法は、 一般式(1)で示される単量体を、一般式(2)で示されるジラクトンタイプの二量体に酸化カップリングする二量体化工程と、
【化1】

(式中、R1,R2,R3,及びR4は互いに同一又は異なって、水素原子、水酸基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシル基、アリール基、置換アリール基、アリールアルキル基、シリル基、置換シリル基を表す。)
【化2】

(式中、R1,R2,R3,R4,R5,R6,R7,及びR8は互いに同一又は異なって、水素原子、水酸基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシル基、アリール基、置換アリール基、アリールアルキル基、シリル基、置換シリル基の何れかを表す。)
一般式(2)で示される二量体とアルキル化剤とを、塩基性条件下で反応させて、一般式(3)で示される8-8'型の二量体にアルキル化するアルキル化工程と、
【化3】

(式中、R1,R2,R3,R4,R5,R6,R7,及びR8は互いに同一又は異なって、水素原子、水酸基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシル基、アリール基、置換アリール基、アリールアルキル基、シリル基、置換シリル基の何れかを表し、R9,R10,R11,R12は互いに同一又は異なって、水素原子、アルキル基、アリール基、置換アリール基、アリールアルキル基、シリル基、置換シリル基の何れかを表す。)
を含む方法である。
【0012】
また、請求項2に記載の桂皮酸誘導体の製造方法は、請求項1に記載の桂皮酸誘導体の製造方法であって、二量体化工程において一般式(1)で示される単量体を塩化鉄(III)の存在下で酸化カップリングさせる方法である。
【0013】
また、請求項3に記載の桂皮酸誘導体の製造方法は、請求項1又は請求項2に記載の桂皮酸誘導体の製造方法であって、アルキル化工程において、一般式(2)で示される化合物とアルキル化剤とを、塩基の存在下で反応させる方法である。
【0014】
また、請求項4に記載の桂皮酸誘導体の製造方法は、請求項1又は請求項2に記載の桂皮酸誘導体の製造方法であって、アルキル化工程において、一般式(2)で示される化合物とアルコールとを、アゾジカルボン酸ジエステル又はジアミド、及びホスフィンの存在下で反応させる方法である。
【0015】
また、請求項5に記載の桂皮酸誘導体は、請求項1から請求項4に記載の何れかの製造方法によって製造されるものである。
【0016】
さらに、請求項6に記載の桂皮酸誘導体は、一般式(4)で示されるものである。
【化4】

(式中、R1,R2,R3,R4,R5,R6,R7,及びR8は互いに同一又は異なって、水素原子、水酸基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシル基、アリール基、置換アリール基、アリールアルキル基、シリル基、置換シリル基の何れかを表し、R9,R10,R11,R12は互いに同一又は異なって、アルキル基、アリール基、置換アリール基、アリールアルキル基、シリル基、置換シリル基の何れかを表す。但し、R1,R4,R5及びR8が水素原子かつR2,R3,R6及びR7がそれぞれ独立に水素原子又はメトキシ基の場合、R9,R10,R11及びR12がそれぞれ独立に、水素原子、水酸基、メチル基、エチル基、ベンジル基であるものを除く。)
【発明の効果】
【0017】
この発明の桂皮酸誘導体の製造方法によって、紫外線吸収能や薬理効果などが大きく期待されている8-8'ジフェルラ酸などの桂皮酸誘導体を効率よくかつ大量に合成することができる。なお、この製造方法では、桂皮酸誘導体のアルキル基を変えることによって、その溶解性や融点などの物性を調節することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明の桂皮酸類誘導体のエタノール溶液とフェルラ酸エチルエステルのエタノール溶液の紫外可視吸収スペクトルを測定した結果を示す図である。なお、図中の実線は桂皮酸類誘導体のエタノール溶液の紫外可視吸収スペクトルを示し、破線はフェルラ酸エチルエステルのエタノール溶液の紫外可視吸収スペクトルを示している。
【図2】桂皮酸類誘導体の二量体の構造を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
この発明の桂皮酸誘導体の製造方法は、二量体化工程とアルキル化工程とを含んでいる。そこで、各工程について以下に詳説する。
【0020】
1.二量体化工程
二量体化工程は、一般式(1)で示される単量体を、一般式(2)で示されるジラクトンタイプの二量体に酸化カップリングする工程である。具体的には、桂皮酸誘導体類を有機溶媒に溶解して、この溶液を塩化鉄(III)水溶液に滴下して酸化カップリングさせる方法(例えば、J.Chem.Soc.,535(1944)を参照)等が例示できる。
【0021】
なお、一般式(1)で示される単量体として、天然中に存在する桂皮酸誘導体が例示できる。具体的には、フェルラ酸、シナピン酸、コーヒー酸、4-ヒドロキシ桂皮酸等が例示できる。
【0022】
2.アルキル化工程
アルキル化工程は、一般式(2)で示される二量体を、塩基性条件下でアルキル化剤と反応させて、一般式(3)で示される8-8'型の二量体にアルキル化する工程である。なお、塩基性条件下とは、アルカリ金属ハイドライドやアルカリ土類金属ハイドライド等の水素化物、アルカリ金属炭酸塩やアルカリ土類金属炭酸塩などの金属無機塩、アミン類、含窒素複素環類、ホスフィン類などの塩基性物質の存在下であることを意味している。また、アルキル化剤とは、直鎖状又は分枝状、環状のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換アリール基、アリールアルキル基、置換アリールアルキル基にハロゲン、水酸基、トシル基、メシル基、トリフルオロメタンスルホニル基などが結合したものを意味している。
【0023】
アルキル化工程の具体的な方法としては、(1)アルキル化剤と塩基を使用する方法、(2)アルコール、アゾジカルボン酸ジエステル又はジアミド、及びホスフィンを使用する方法等が例示できる。そこで、これら(1)、(2)について、以下に詳説する。
【0024】
(1)アルキル化剤と塩基を使用する方法
ジラクトンタイプの二量体をDMFやアセトンなどの有機溶媒に溶解し、この溶液に塩基性物質を加えて塩基性条件下にしたのち、アルキル化剤を添加してアルキル化する方法である。
【0025】
なお、ここでいう塩基とは、一般的に有機合成において塩基として使用されるものを意味している。具体的には、特に限定はしないが、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化カルシウムなどのアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の水素化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウムなどのアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の炭酸塩、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウムなどのアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の水酸化物、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸セシウム、酢酸カルシウム、酢酸ストロンチウム、酢酸バリウムなどのアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の酢酸塩、ギ酸リチウム、ギ酸ナトリウム、ギ酸カリウム、ギ酸セシウム、ギ酸カルシウム、ギ酸ストロンチウム、ギ酸バリウムなどのアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属のギ酸塩、トリメチルアミン、トリエチルアミン、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノン-5-エン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン等のアミン類、イミダゾールなどの含窒素複素環、又はトリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィンなどのホスフィン等が例示できる。
【0026】
また、ここでいうアルキル化剤とは、炭素数1〜40の直鎖状又は分枝状、環状のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換アリール基、アリールアルキル基、置換アリールアルキル基に塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲンが単数又は複数結合したアルキルハライド、又は炭素数1〜40の直鎖状又は分枝状、環状のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換アリール基、アリールアルキル基、置換アリールアルキル基に結合した水酸基がトシル化、若しくはメシル化、若しくはトリフルオロメタンスルホニル化された構造を有する化合物を意味する。
【0027】
具体的には、特に限定はしないが、クロロメタン、クロロエタン、1-クロロプロパン、2-クロロプロパン、1-クロロブタン、2-クロロブタン、1-クロロ2-メチルプロパン、2-クロロ2-メチルプロパン、1-クロロペンタン、2-クロロペンタン、3-クロロペンタン、1-クロロ2-メチルブタン、1-クロロ3-メチルブタン、2-クロロ2-メチルブタン、1-クロロヘキサン、2-クロロヘキサン、3-クロロヘキサン、1-クロロ2-メチルペンタン、1-クロロ3-メチルペンタン、2-クロロ2-メチルペンタン、1-クロロシクロヘキサン、1-クロロシクロペンタン、1-クロロ2-エチルヘキサン、1-クロロヘプタン、1-クロロオクタン、1-クロロノナン、1-クロロデカン、1-クロロドデシル、1-クロロテトラデカン、1-クロロヘキサデカン、1-クロロオクタデカン、クロロエテン、クロロエチン、アリルクロライド、ベンジルクロライド、ブロモメタン、ブロモエタン、1-ブロモプロパン、2-ブロモプロパン、1-ブロモブタン、2-ブロモブタン、1-ブロモ-2-メチルプロパン、2-ブロモ-2-メチルプロパン、1-ブロモペンタン、2-ブロモペンタン、3-ブロモペンタン、1-ブロモ-2-メチルブタン、1-ブロモ-3-メチルブタン、2-ブロモ-2-メチルブタン、1-ブロモヘキサン、2-ブロモヘキサン、3-ブロモヘキサン、1-ブロモ-2-メチルペンタン、1-ブロモ-3-メチルペンタン、2-ブロモ-2-メチルペンタン、1-ブロモシクロヘキサン、1-ブロモシクロペンタン、1-ブロモ-2-エチルヘキサン、1-ブロモヘプタン、1-ブロモオクタン、1-ブロモノナン、1-ブロモデカン、1-ブロモドデシル、1-ブロモテトラデカン、1-ブロモヘキサデカン、1-ブロモオクタデカン、ブロモエテン、ブロモエチン、アリルブロマイド、ベンジルブロマイド、ヨードメタン、ヨードエタン、1-ヨードプロパン、2-ヨードプロパン、1-ヨードブタン、2-ヨードブタン、1-ヨード2-メチルプロパン、2-ヨード2-メチルプロパン、1-ヨードペンタン、2-ヨードペンタン、3-ヨードペンタン、1-ヨード2-メチルブタン、1-ヨード3-メチルブタン、2-ヨード2-メチルブタン、1-ヨードヘキサン、2-ヨードヘキサン、3-ヨードヘキサン、1-ヨード2-メチルペンタン、1-ヨード3-メチルペンタン、2-ヨード-2-メチルペンタン、1-ヨードシクロヘキサン、1-ヨードシクロペンタン、1-ヨード2-エチルヘキサン、1-ヨードヘプタン、1-ヨードオクタン、1-ヨードノナン、1-ヨードデカン、1-ヨードドデシル、1-ヨードテトラデカン、1-ヨードヘキサデカン、1-ヨードオクタデカン、ヨードエテン、ヨードエチン、1-ヨード-2-プロペン、1-ヨードベンジル、1-エチルトシレート、1-プロピルトシレート、2-プロピルトシレート、1-ブチルトシレート、2-ブチルトシレート、2-メチル-1プロピルトシレート、2-メチル-2-プロピルトシレート、1-ペンチルトシレート、2-ペンチルトシレート、3-ペンチルトシレート、2-メチル-1-ブチルトシレート、1-ヘキシルトシレート、1-ヘプチルトシレート、1-オクチルトシレート、1-ノニルトシレート、1-デシルトシレート、1-ラウリルトシレート、1-ミリスチリルトシレート、1-パルミチルトシレート、1-ステアリルトシレート、1-リノイルトシレート、2-プロペニル-1-トシレート、ベンジルトシレート、1-エチルメシレート、1-プロピルメシレート、2-プロピルメシレート、1-ブチルメシレート、2-ブチルメシレート、2-メチル-1プロピルメシレート、2-メチル-2-プロピルメシレート、1-ペンチルメシレート、2-ペンチルメシレート、3-ペンチルメシレート、2-メチル-1-ブチルメシレート、1-ヘキシルメシレート、1-ヘプチルメシレート、1-オクチルメシレート、1-ノニルメシレート、1-デシルメシレート、1-ラウリルメシレート、1-ミリスチリルメシレート、1-パルミチルメシレート、1-ステアリルメシレート、1-リノイルメシレート、2-プロペニル-1-メシレート、ベンジルメシレート、1-エチルトリフラート、1-プロピルトリフラート、2-プロピルトリフラート、1-ブチルトリフラート、2-ブチルトリフラート、2-メチル-1プロピルトリフラート、2-メチル-2-プロピルトリフラート、1-ペンチルトリフラート、2-ペンチルトリフラート、3-ペンチルトリフラート、2-メチル-1-ブチルトリフラート、1-ヘキシルトリフラート、1-ヘプチルトリフラート、1-オクチルトリフラート、1-ノニルトリフラート、1-デシルトリフラート、1-ラウリルトリフラート、1-ミリスチリルトリフラート、1-パルミチルトリフラート、1-ステアリルトリフラート、1-リノイルトリフラート、2-プロペニル-1-トリフラート、ベンジルトリフラートなどが例示できる。
【0028】
なお、この発明における置換アリール基、置換アリールアルキル基の置換基としては、具体的には、特に限定はしないが、メチル、エチル、プロピル、ブチル、2-メチル-1-ブチル、2-エチル-1-ヘキシル、ラウリル、オクタデシル、エイコシル、ベンジル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどの炭素数1〜40の直鎖又は分枝のあるアルキル基又は環状アルキル基、エチニル、プロパギル、フェニルアセチニルなどのアルキニル基、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、t-ブトキシ、シクロヘキシルオキシ、イソノルボルニルオキシ、アダマンチルオキシ等のアルコシキル基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子、キノリル、ピリジル、オキサゾリルなどのヘテロ環基、フェニル、ナフチル、ビフェニル、アントリル、トルイル、ジメチルアミノフェニルなどのアリール基、トリメチルシリル、トリイソプロピルシリル、トリフェニルシリルなどのシリル基、ジメチルアミノ、ジエチルアミノなどのアミノ基、ニトロ基、ニトロソ基、イソシアノ基、シアノ基、イソシアネート基などが例示できる。
【0029】
(2)アルコール、アゾジカルボン酸ジエステル又はジアミド、及びホスフィンを使用する方法
ジラクトンタイプの二量体、アルコール、ホスフィンをジクロロメタンなどの有機溶媒に溶解し、この溶液にアゾジカルボン酸ジエステル又はジアミドを添加して反応させ、アルキル化する方法である。
【0030】
なお、ここでいうアルコールとは、炭素数1〜40の直鎖状又は分枝状、環状のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換アリール基、アリールアルキル基、置換アリールアルキル基に結合した水酸基を単数又は複数結合したものを意味する。
【0031】
具体的には、特に限定はしないが、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、s-ブタノール、i-ブタノール、t-ブタノール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、3-ペンタノール、2-メチル-1-ブタノール、3-メチル-1-ブタノール、2,2-ジメチル-1-ペンタノール、ネオペンタノール、1-ヘキサノール、2-ヘキサノール、2-エチル-1-ヘキサノール、1-ヘプタノール、1-オクタノール、1-ノナノール、1-デカノール、1-ラウリルアルコール、1-ミリスチリルアルコール、1-パルミチルアルコール、1-ステアリルアルコール、1-リノイルアルコール、2-プロペニル-1-アルコール、ベンジルアルコール等が例示できる。
【0032】
また、ここでいうアゾジカルボン酸ジエステル又はジアミドとは、具体的には、特に限定はしないが、アゾジカルボン酸ジメチルエステル、アゾジカルボン酸ジエチルエステル、アゾジカルボン酸ジn-プロピルエステル、アゾジカルボン酸ジイソプロピルエステル、アゾジカルボン酸ジベンジルエステル、1,1'-アゾビス(N,N-ジメチルホルムアミド)、1,1'-(アゾジカルボニル)ジピペリジンなどが例示できる。中でも安価であるため、アゾジカルボン酸ジイソプロピルエステルが好ましい。
【0033】
さらに、ここでいうホスフィンとは、具体的には、特に限定はしないが、トリ-n-ブチルホスフィン、トリ-t-ブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジシクロヘキシルフェニルホスフィン、ジエチルフェニルホスフィン、4-(ジメチルアミノ)フェニルジフェニルホスフィン、ジフェニル-2-ピリジルホスフィン、イソプロピルジフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリ-n-ヘキシルホスフィン、トリ-n-オクチルホスフィン、4-ジフェニルホスフィノメチルポリスチレン樹脂、4-ジフェニルホスフィノポリスチレン樹脂等が例示できる。中でも扱い易いため、トリブチルホスフィンもしくはトリフェニルホスフィンが好ましい。
【0034】
以下、この発明を実施例に従ってさらに詳しく説明する。ただし、この発明の特許請求の範囲は、如何なる意味においても下記の実施例により限定されるものではない。
【実施例1】
【0035】
(1)下記の化学式5に示す中間体の合成
【化5】

【0036】
フェルラ酸10.0gをエタノール80mLに溶解し、この溶液をFeCl3・6H2O(35g)水溶液(500mL)中に滴下したのち、室温で1晩撹拌した。析出した固体を濾別し、この固体を200mLの水に分散した。分散液に12N HCl水溶液25mLを加えて80℃、15分間撹拌したのち、室温まで冷却した。析出した固体を濾別して水洗したのち、アセトンにより再結晶させた。その結果、化学式5に示す化合物2.50gを得た(収率25%)。なお、この化合物は1H NMR及び13C NMRの測定結果から同定した。その結果を以下に示す。
【0037】
1H NMR(400MHz, DMSO-d6)δ 9.26 (2H, s), 7.00 (2H, d, J=2.0 Hz), 6.87 (2H, dd, J=2.0, 8.4 Hz), 6.80 (2H, d, J=8.4 Hz), 5.74 (2H, br), 4.21 (2H, br), 3.80 (6H, s); 13C NMR (100MHz, DMSO-d6) δ174.90, 147.33, 146.83, 128.48, 118.69, 114.91, 110.10, 81.55, 55.26, 47.55
【0038】
(2)下記化学式6に示す8-8'タイプの二量体の合成
【化6】

【0039】
(1)で得た中間体102mgをDMF10mLに溶解し、アルゴン雰囲気下氷冷した。反応液にNaH25mgを10分かけて加え、氷冷下30分間撹拌した。反応液に臭化n-ブタン(0.5mL)を加え、氷冷下で30分、室温で15時間撹拌した。反応溶液を水200mLに注ぎ込み、クロロホルムで抽出、水洗した。有機相を硫酸マグネシウムで脱水したのち、濃縮し、カラム精製した。その結果、化学式6に示す化合物153mgを得た(収率95%)。なお、この化合物は1H NMR及び13C NMRの測定結果から同定した。その結果を以下に示す。
【0040】
1H NMR(400MHz, CDCl3)δ 7.86 (2H, s), 7.15 (2H, d, J=2.0 Hz), 7.08 (2H, dd, J=2.0, 8.4 Hz), 6.77 (2H, d, J=8.4 Hz), 4.14-4.02 (4H, m), 4.00 (4H, t, J=6.8 Hz), 3.73 (6H, s), 1.84-1.76 (4H, m), 1.51-1.42 (8H, m), 1.23-1.17 (4H, m), 0.95 (6H, t, J=6.8 Hz), 0.81 (6H, t, J=6.8 Hz); 13C NMR (100MHz, CDCl3) δ167.41, 150.01, 148.97, 142.01, 127.60, 124.87, 124.44, 112.24, 112.01, 68.51, 64.85, 55.75, 31.02, 30.62, 19.13, 18.97, 13.81, 13.62
【実施例2】
【0041】
上記化学式6に示す8-8'タイプの二量体の他の製造法による合成1
実施例1の(1)で得た中間体78mgを20mLのアセトンに溶解し、この溶液にK2CO3 50 0mgを加えた。反応液に臭化n-ブタン(1mL)を加えたのち、窒素雰囲気下で4時間還流さ せた。反応液から固体を濾別して、濾液を濃縮したのち、カラムで精製した。その結果、 化学式6に示す化合物113mgを得た(収率92%)。なお、この化合物は1H NMR及び13C NMRの測定結果から同定した。その結果を以下に示す。
【0042】
1H NMR(400MHz, CDCl3)δ 7.86(2H, s), 7.15 (2H, d, J=2.0 Hz), 7.08 (2H, dd, J=2.0, 8.4 Hz), 6.77 (2H, d, J=8.4 Hz), 4.14-4.02 (4H, m), 4.00 (4H, t, J=6.8 Hz), 3.73 (6H, s), 1.84-1.76 (4H, m), 1.51-1.42 (8H, m), 1.23-1.17 (4H, m), 0.95 (6H, t, J=6.8 Hz), 0.81 (6H, t, J=6.8 Hz); 13C NMR (100MHz, CDCl3) δ167.41, 150.01, 148.97, 142.01, 127.60, 124.87, 124.44, 112.24, 112.01, 68.51, 64.85, 55.75, 31.02, 30.62, 19.13, 18.97, 13.81, 13.62
【実施例3】
【0043】
上記化学式6に示す8-8'タイプの二量体の他の製造法による合成2
実施例1の(1)で得た中間体300mg、アゾジカルボン酸ジイソプロピルエステル780mg及びn-ブタノール350mgをジクロロメタン100mLに分散させた。分散液にトリフェニルホスフィン1gを加え、室温で一晩撹拌した。反応液を濃縮したのち、カラムで精製した。その結果、化学式6に示す化合物429mgを得た(収率91%)。なお、この化合物は1H NMR及び13C NMRの測定結果から同定した。その結果を以下に示す。
【0044】
1H NMR(400MHz, CDCl3)δ 7.86 (2H, s), 7.15 (2H, d, J=2.0 Hz), 7.08 (2H, dd, J=2.0, 8.4 Hz), 6.77 (2H, d, J=8.4 Hz), 4.14-4.02 (4H, m), 4.00 (4H, t, J=6.8 Hz), 3.73 (6H, s), 1.84-1.76 (4H, m), 1.51-1.42 (8H, m), 1.23-1.17 (4H, m), 0.95 (6H, t, J=6.8 Hz), 0.81 (6H, t, J=6.8 Hz); 13C NMR (100MHz, CDCl3) δ167.41, 150.01, 148.97, 142.01, 127.60, 124.87, 124.44, 112.24, 112.01, 68.51, 64.85, 55.75, 31.02, 30.62, 19.13, 18.97, 13.81, 13.62
【実施例4】
【0045】
下記化学式7に示す化合物の合成
【化7】

【0046】
実施例1の(1)で得た中間体200mg、アゾジカルボン酸ジイソプロピルエステル430mg及び2-エチル-ヘキサノール340mgをジクロロメタン100mLに分散させた。分散液にトリフェニルホスフィン660mgを加え、室温で一晩撹拌した。反応液を濃縮したのち、カラムで精製した。その結果、化学式7に示す化合物393mgを得た(収率91%)。なお、この化合物は1H NMR及び13C NMRの測定結果から同定した。その結果を以下に示す。
【0047】
1H NMR(400MHz, CDCl3)δ 7.85 (2H, s), 7.15 (2H, d, J=2.0 Hz), 7.09 (2H, dd, J=2.0, 8.4 Hz), 6.77 (2H, d, J=8.4 Hz), 4.05-3.93 (4H, m), 3.82-3.61 (4H, m), 3.72 (6H, s), 1.81-0.81 (60H, m); 13C NMR (100MHz, CDCl3) δ167.54, 150.48, 149.21, 141.85, 127.53, 124.82, 124.78, 124.55, 112.68, 112.33, 112.31, 71.67, 67.15, 67.06, 55.86, 39.00, 38.77, 30.39, 30.35, 30.29, 28.95, 28.80, 23.75, 23.70, 23.64, 23.03, 22.93, 22.90, 14.05, 14.04, 14.02, 10.97, 10.91
【実施例5】
【0048】
(1)下記化学式8に示す中間体の合成
【化8】

【0049】
シナピン酸25.0gをメタノール20mL及びにエタノール250mLに分散して、分散液をFeCl3・6H2O(43g)水溶液(1L)中に滴下したのち、室温で1晩撹拌した。反応液から析出した固体を濾別し、濾別した固体を200mLの水に分散させた。分散液に12N HCl水溶液50mLを加えて80℃、1時間撹拌し、室温まで冷却した。反応液から固体を濾別して、水洗し、アセトンにより再結晶した。その結果、化学式8に示す中間体20.5gを得た(収率82%)。なお、この化合物は1H NMR及び13C NMRの測定結果から同定した。その結果を以下に示す。
【0050】
1H NMR(400MHz, DMSO-d6)δ 8.61 (2H, s), 6.70 (4H, s), 5.74 (2H, br), 4.27 (2H, br), 3.79 (12H, s); 13C NMR (100MHz, DMSO-d6) δ175.52, 148.14, 136.23, 128.14, 104.00, 82.23, 56.18, 47.99
【0051】
(2)下記化学式9に示す化合物の合成
【化9】

【0052】
(1)で得た中間体52mgを20mLのアセトンに溶解し、K2CO3 500mgを加えた。反応液に臭化n-ブタン(1mL)を加えて、窒素雰囲気下で4時間還流した。反応液から固体を濾別して、濾液を濃縮し、カラムで精製した。その結果、化学式9に示す化合物71mgを得た(収率91%)。なお、この化合物は1H NMR及び13C NMRの測定結果から同定した。その結果を以下に示す。
【0053】
1H NMR(400MHz, CDCl3)δ 7.82 (2H, s), 6.78 (4H, s), 4.14-4.00 (4H, m), 3.96 (4H, t, J=6.8 Hz), 3.75 (6H, s), 1.75-1.67 (4H, m), 1.50-1.41 (8H, m), 1.22-1.63 (4H, m), 0.93 (6H, t, J=6.8 Hz), 0.81 (6H, t, J=6.8 Hz); 13C NMR (100MHz, CDCl3) δ167.07, 153.30, 142.18, 138.87, 129.97, 126.47, 107.25, 73.25, 65.00, 56.00, 32.10, 30.56, 18.98, 18.95, 13.81, 13.59
【実施例6】
【0054】
(1)下記化学式10に示す化合物の合成
【化10】

【0055】
フェルラ酸エチル2.22gを60mLのアセトンに溶解し、この溶液にK2CO3 1gを加えた。反応液にアリルブロマイド1.6gを加えたのち、アルゴン雰囲気下で一晩環流させた。反応液から固体を濾別して、濾液を濃縮した。その結果、化学式10に示す化合物2.61gを得た(収率99%)。なお、この化合物は1H NMR及び13C NMRの測定結果から同定した。その結果を以下に示す。
【0056】
1H NMR(400MHz, CDCl3)δ 7.62 (1H, d, J=16.0 Hz), 7.08-7.06 (2H, m), 6.86 (1H, d, J=8.4 Hz), 6.31 (1H, d, J=16.0 Hz), 6.15-6.02 (1H, m), 5.44-5.30 (2H, m), 4.66-4.64 (2H, m), 4.26 (2H, q, J=7.2 Hz), 3.91 (3H, s), 1.34 (3H, t, J=7.2 Hz); 13C NMR (100MHz, CDCl3) δ167.21, 150.01, 149.49, 144.46, 132.74, 127.62, 122.31, 118.37, 116.00, 112.81, 109.96, 69.71, 60.35, 55.89, 14.33
【0057】
(2)下記化学式11に示す化合物の合成
【化11】

【0058】
(1)で得た化合物2.60gをアルゴン雰囲気下230℃、3時間加熱した。その結果、化学式11に示す化合物2.58gを得た(収率99%)。なお、この化合物は1H NMR及び13C NMRの測定結果から同定した。その結果を以下に示す。
【0059】
1H NMR(400MHz, CDCl3)δ 7.60 (1H, d, J=16.0 Hz), 6.97 (1H, d, J=2.0 Hz), 6.92 (1H, d, J=2.0 Hz), 6.28 (1H, d, J=16.0 Hz), 6.30-5.93 (2H, m), 5.12-5.06 (2H, m), 4.25 (2H, q, J=7.2 Hz), 3.81 (3H, s) , 3.41 (2H, d, J=6.8 Hz), 1.33 (3H, t, J=7.2 Hz); 13C NMR (100MHz, CDCl3) δ167.30, 146.53, 145.64, 144.88, 135.96, 126.22, 126.10, 123.74, 116.00, 115.46, 107.40, 60.30, 56.06, 33.61, 14.35
【0060】
(3)下記化学式12に示す化合物の合成
【化12】

【0061】
(2)で得た化合物2.35gをメタノール25mLに溶解し、この溶液にNaOH(1.20g)水溶液20mLを加えた。反応液を100℃、3時間で還流したのち、室温に戻した。反応液に1N-HClを加えて酸性にし、うす褐色粉末を析出させた。うす褐色粉末を濾別し、水洗した。その結果、化学式12に示す化合物2.01gを得た(収率96%)。なお、この化合物は1H NMR及び13C NMRの測定結果から同定した。その結果を以下に示す。
【0062】
1H NMR(400MHz, DMSO-d6)δ 12.17 (1H, br), 9.13 (1H, br), 7.45 (1H, d, J=16.0 Hz), 7.20 (1H, d, J=2.0 Hz), 6.98 (1H, d, J=2.0 Hz), 6.35 (1H, d, J=16.0 Hz), 6.00-5.89 (1H, m), 5.06-4.98 (2H, m), 3.84 (3H, s), 3.29 (2H, d, J=7.2 Hz); 13C NMR (100MHz, DMSO-d 6) δ167.98, 147.56, 146.35, 144.50, 136.67, 126.45, 125.10, 123.43, 115.78, 115.52, 108.87, 55.96, 33.57
【0063】
(4)下記化学式13に示す中間体の合成
【化13】

【0064】
(3)で得た化合物1.4gをエタノール100mLに溶解し、この溶液をFeCl3・6H2O(11g)水溶液(200mL)中に滴下したのち、室温で1晩撹拌した。反応液から析出した固体を濾別し、50mLの水に分散させた。分散液に12N HCl水溶液5mLを加え、80℃、1時間撹拌したのち、室温まで冷却した。析出してきた固体を濾別して、水洗したのち、真空乾燥した。その結果、化学式13に示す中間体1.15gを得た(収率82%)。なお、この化合物は1H NMR及び13C NMRの測定結果から同定した。その結果を以下に示す。
【0065】
1H NMR(400MHz, DMSO-d6)δ 8.82 (2H, s), 6.89 (2H, d, J=2.0 Hz), 6.77 (2H, d, J=2.0 Hz), 6.00-5.90 (2H, m), 5.71 (2H, br), 5.06-4.98 (4H, m), 4.19 (2H, br), 3.83 (6H, s), 3.35-3.31 (4H, m); 13C NMR (100MHz, DMSO-d6) δ175.47, 147.60, 144.55, 136.72, 128.52, 126.52, 119.88, 115.51, 107.88, 82.15, 56.04, 48.20, 33.77
【0066】
(5)下記化学式14に示す化合物の合成
【化14】

【0067】
(4)で得た中間体50mgを20mLのアセトンに溶解し、K2CO3 150mgを加えた。反応液に臭化n-ブタン(80mg)を加えて、アルゴン雰囲気下で一晩還流させた。反応液から固体を濾別して、濾液を濃縮したのち、カラムで精製した。その結果、化学式14に示す化合物65mgを得た(収率88%)。なお、この化合物は1H NMR及び13C NMRの測定結果から同定した。その結果を以下に示す。
【0068】
1H NMR(400MHz, CDCl3)δ 7.82 (2H, s), 7.01 (2H, d, J=2.0 Hz), 6.91 (2H, d, J=2.0 Hz), 5.92-5.82 (2H, m), 5.04-4.98 (4H, m), 4.13-4.01 (4H, m), 3.91 (4H, t, J=6.8 Hz), 3.69 (6H, s), 3.34-3.33 (4H, m), 1.74-1.67 (4H, m), 1.49-1.44 (8H, m), 1.25-1.16 (4H, m), 0.95 (6H, t, J=6.8 Hz), 0.81 (6H, t, J=6.8 Hz); 13C NMR (100MHz, CDCl3) δ167.16, 152.48, 147.65, 142.05, 136.77, 133.81, 130.22, 125.94, 125.30, 115.85, 110.97, 72.90, 64.88, 55.55, 33.90, 32.36, 30.58, 19.14, 18.97, 13.88, 13.6
【実施例7】
【0069】
実施例4で得られた化合物のエタノール溶液(1.0x10-5mol/L)を調製し、紫外可視分光光度計を使用して紫外可視吸収スペクトルを測定した。その結果を図1に示す。
【0070】
図1から、この発明の桂皮酸誘導体は、フェルラ酸エチルエステルと比較して、溶液状態における紫外部の吸光度がかなり高いことが分かった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)で示される単量体を、一般式(2)で示されるジラクトンタイプの二量体に酸化カップリングする二量体化工程と、
【化1】

(式中、R1,R2,R3,及びR4は互いに同一又は異なって、水素原子、水酸基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシル基、アリール基、置換アリール基、アリールアルキル基、シリル基、置換シリル基を表す。)
【化2】

(式中、R1,R2,R3,R4,R5,R6,R7,及びR8は互いに同一又は異なって、水素原子、水酸基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシル基、アリール基、置換アリール基、アリールアルキル基、シリル基、置換シリル基の何れかを表す。)
一般式(2)で示される二量体とアルキル化剤とを、塩基性条件下で反応させて一般式(3)で示される8-8'型の二量体にアルキル化するアルキル化工程と、
【化3】

(式中、R1,R2,R3,R4,R5,R6,R7,及びR8は互いに同一又は異なって、水素原子、水酸基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシル基、アリール基、置換アリール基、アリールアルキル基、シリル基、置換シリル基の何れかを表し、R9,R10,R11,R12は互いに同一又は異なって、水素原子、アルキル基、アリール基、置換アリール基、アリールアルキル基、シリル基、置換シリル基の何れかを表す。)
を含む桂皮酸誘導体の製造方法。
【請求項2】
二量体化工程が、一般式(1)で示される単量体を塩化鉄(III)の存在下で酸化カップリングさせる工程である請求項1に記載の桂皮酸誘導体の製造方法。
【請求項3】
アルキル化工程が、一般式(2)で示される化合物とアルキル化剤とを、塩基の存在下で反応させる工程である請求項1又は請求項2に記載の桂皮酸誘導体の製造方法。
【請求項4】
アルキル化工程が、一般式(2)で示される化合物とアルコールとを、アゾジカルボン酸ジエステル又はジアミド、及びホスフィンの存在下で反応させる工程である請求項1又は請求項2に記載の桂皮酸誘導体の製造方法。
【請求項5】
請求項1から請求項4に記載の何れかの製造方法によって製造される桂皮酸誘導体。
【請求項6】
一般式(4)で示される桂皮酸誘導体。
【化4】

(式中、R1,R2,R3,R4,R5,R6,R7,及びR8は互いに同一又は異なって、水素原子、水酸基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシル基、アリール基、置換アリール基、アリールアルキル基、シリル基、置換シリル基の何れかを表し、R9,R10,R11,R12は互いに同一又は異なって、アルキル基、アリール基、置換アリール基、アリールアルキル基、シリル基、置換シリル基の何れかを表す。但し、R1,R4,R5及びR8が水素原子かつR2,R3,R6及びR7がそれぞれ独立に水素原子又はメトキシ基の場合、R9,R10,R11及びR12がそれぞれ独立に、水素原子、水酸基、メチル基、エチル基、ベンジル基であるものを除く。)

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−195465(P2011−195465A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−60721(P2010−60721)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成21年度、文部科学省、地域科学技術振興事業委託研究「環境調和資源・技術による機能性有機材料の開発」、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(591023594)和歌山県 (62)
【出願人】(591066362)築野食品工業株式会社 (31)
【Fターム(参考)】