説明

梱包用緩衝材及び梱包体

【課題】 被梱包物を梱包箱内に収容させた梱包体に大きな衝撃が加わった場合に、衝撃を十分に緩和させて被梱包物を適切に保護すると共に、被梱包物内に収容された収容物がこぼれ出すのを適切に防止できる梱包用緩衝材を提供する。
【解決手段】 被梱包物30を梱包箱40内に収容させた梱包体において、被梱包物30を保持する保持部11が設けられた第1緩衝部材10と、この第1緩衝部材の外面側に設けた係止部12に外方突出するようにして係止される第2緩衝部材20とを有し、第2緩衝部材が第1緩衝部材よりも弾性復帰力が弱い材料で構成された梱包用緩衝材を用い、第2緩衝部材を梱包箱の内面に当接させるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被梱包物を梱包箱内に収容させる場合に、被梱包物を衝撃などから保護するのに使用する梱包用緩衝材及びこのような梱包用緩衝材を用いて被梱包物を梱包箱内に収容させた梱包体に係り、特に、大きな衝撃が加わった場合においても、その衝撃を十分に緩和させて、被梱包物を適切に保護できると共に、トナーが収容された画像形成用ユニット等の被梱包物からトナー等の収容物がこぼれ出すのを適切に防止できるようにした点に特徴を有するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機やプリンタ等の画像形成装置に用いるトナーが収容された画像形成用ユニット等の被梱包物を、段ボール等で構成された梱包箱内に収容させて、運搬したり、保管したりすることが行われている。
【0003】
また、上記のように画像形成用ユニット等の被梱包物を梱包箱内に収容させるにあたっては、これらの被梱包物に衝撃が加わって被梱包物が破損したりするのを防止するため、この被梱包物を収容させる梱包箱内に梱包用緩衝材を配置させ、この梱包用緩衝材によって被梱包物に加わる衝撃を緩和させることが行われている。
【0004】
ここで、上記のように梱包箱内に梱包用緩衝材を配置させて、被梱包物に加わる衝撃を緩和させるにあたっては、一般に被梱包物を保持する保持部が設けられた一対の梱包用緩衝材を用い、この一対の梱包用緩衝材における保持部内に被梱包物を挟みこむようにして保持させ、この状態で、上記の一対の梱包用緩衝材が梱包箱の内面に当接するようにして梱包箱内に収容させるようにしている。
【0005】
また、このように一対の梱包用緩衝材によって保持された被梱包物に加わる衝撃を緩和させるため、この梱包用緩衝材としては、弾性変形の大きな発泡スチロールなどの発泡材料で構成されたものを用いるようにしている。
【0006】
しかし、このように梱包用緩衝材に弾性変形の大きな材料を用いた場合において、被梱包物を梱包箱内に収容させた梱包体に大きな衝撃が加わると、上記の梱包用緩衝材が大きく変形し、このように変形した梱包用緩衝材が何度か弾性変形を繰り返して元の状態に戻るようになり、この梱包用緩衝材の弾性変形の繰り返しに伴って保持された被梱包物が振動し、この被梱包物がトナーを収容させた画像形成用ユニットである場合には、この画像形成用ユニット内に収容されたトナーが、上記の振動により現像ローラが露出される開口部等から外部にこぼれ出すという問題があった。
【0007】
また、従来においては、特許文献1に示されるように、紙材や樹脂材を折り曲げ加工して形成した第1及び第2の緩衝材本体を連結部により連結させると共に、第1及び第2の緩衝材本体との間の四角形状の開口部を覆うように緩衝シートを取り付けるようにした緩衝材が提案されている。
【0008】
しかし、この特許文献1に示される緩衝材は、その製造が面倒であると共に、上記の紙材や樹脂材を折り曲げ加工して形成した第1及び第2の緩衝材本体の場合、弾性変形量が少ないため、大きな衝撃が加わった場合に、上記の第1及び第2の緩衝材本体が大きく変形して、被梱包物に加わる衝撃を十分に緩和することができないという問題があった。
【特許文献1】実用新案登録第3106011号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、被梱包物を梱包箱内に収容させる場合に、被梱包物を衝撃等から保護するのに使用する梱包用緩衝材及びこのような梱包用緩衝材を用いて被梱包物を梱包箱内に収容させた梱包体における上記のような問題を解決することを課題とするものである。
【0010】
すなわち、本発明においては、梱包用緩衝材を用いて被梱包物を梱包箱内に収容させた梱包体に大きな衝撃が加わった場合においても、その衝撃を十分に緩和させて、被梱包物を適切に保護できると共に、トナーが収容された画像形成用ユニット等の被梱包物においても、トナー等の収容物が被梱包物からこぼれ出すのを適切に防止できるようにすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明における梱包用緩衝材においては、上記のような課題を解決するため、被梱包物を保持する保持部が設けられると共に外面側に係止部が設けられた第1緩衝部材と、第1緩衝部材に設けられた係止部に外方に突出するようにして係止される第2緩衝部材とを有する梱包用緩衝材において、上記の第2緩衝部材を第1緩衝部材よりも弾性復帰力が弱い材料で構成するようにした。
【0012】
ここで、上記の第2緩衝部材としては、第1緩衝部材よりも弾性復帰力が弱い弾性材料で構成されたものを用いる他に、塑性変形する材料で構成されたものを用いることができ、例えば、上記の第2緩衝部材として紙を筒状に形成したものを用い、上記の第1緩衝部材に突起状の係止部を設け、上記の筒状になった第2緩衝部材を、この係止部よりも外方に突出するようにして係止させるようにすることができる。
【0013】
また、本発明の梱包体においては、上記の梱包用緩衝材を用い、上記の第1緩衝部材における保持部に被梱包物を保持させ、第1緩衝部材における係止部に外方に突出するようにして係止された上記の第2緩衝部材が梱包箱の内面に当接させて、被梱包物を梱包箱内に収容させるようにした。
【0014】
また、上記の梱包体においては、一対の梱包用緩衝材を用い、被梱包物を各第1緩衝部材の保持部にそれぞれ保持させて、被梱包物を一対の梱包用緩衝材で挟み込むように保持すると共に、各梱包用緩衝材における第2緩衝部材を梱包箱の内面に当接させるようにして、梱包物を梱包箱内に収容させるようにすることができる。
【0015】
また、上記の梱包体において、上記の梱包用緩衝材を用いて梱包箱内に収容させる被梱包物の種類は特に限定されないが、例えば、上記の被梱包物がトナーを収容させた画像形成用ユニットのように、収容されたトナー等がこぼれ出すおそれがある被梱包物に対して好適に利用することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明における梱包用緩衝材においては、被梱包物を保持する保持部が設けられた第1緩衝部材の外面側に設けられた係止部に、第1緩衝部材よりも弾性復帰力が弱い材料で構成された第2緩衝部材を外方に突出するようにして係止させるようにした。
【0017】
そして、本発明における梱包体においては、上記の梱包用緩衝材を用いて被梱包物を梱包箱内に収容させるにあたり、第1緩衝部材における保持部に被梱包物を保持させると共に、この第1緩衝部材における係止部から突出するようにして係止された第2緩衝部材を梱包箱の内面に当接させるようにした。
【0018】
このように第1緩衝部材における保持部に被梱包物を保持させた状態で、この第1緩衝部材から外方に突出された弾性復帰力の弱い材料で構成された第2緩衝部材を梱包箱の内面に当接させると、この梱包体に大きな衝撃が加わった場合、第2緩衝部材が変形して衝撃が緩和された後、さらに第1緩衝部材が変形して衝撃がさらに緩和されるようになり、被梱包物に加わる衝撃が十分に緩和され、被梱包物が適切に保護されるようになる。
【0019】
また、上記のように変形した第1緩衝部材より弾性復帰力が弱い第2緩衝部材は速やかに弾性復帰せずに、徐々に弾性復帰するか、或いは塑性変形された状態となり、従来のように、梱包用緩衝材が何度か弾性変形を繰り返して行うということがなく、梱包用緩衝材に保持された被梱包物が梱包用緩衝材の弾性変形に伴って振動するのが防止されるようになる。
【0020】
そして、このように梱包用緩衝材に保持された被梱包物が振動するのが防止される結果、上記の被梱包物がトナーを収容させた画像形成用ユニットの場合においても、この画像形成用ユニットに収容されたトナーが、現像ローラが露出される開口部等から振動によって外部にこぼれ出すのが防止されるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
次に、本発明の実施形態に係る梱包用緩衝材及びこの梱包用緩衝材を用いて被梱包物を梱包箱内に収容させた梱包体を添付図面に基づいて具体的に説明する。なお、本発明に係る梱包用緩衝材や梱包体は、下記の実施形態に示したものに限定されず、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施できるものである。
【0022】
この実施形態における梱包用緩衝材においては、図1(A),(B)に示すように、発泡スチロール等の発泡弾性材料で構成された第1緩衝部材10の内面側に保持部11を凹設させる一方、この保持部11と反対側の外面から外方に突出するようにして複数の係止部12を設けている。
【0023】
また、上記の第1緩衝部材10に設けられた係止部12に係止させる第2緩衝部材20としては、図2に示すように、紙を筒状に形成したものを用い、大きな力が加わった場合には、この紙を筒状に形成した第2緩衝部材20が圧縮されて潰れ、この第2緩衝部材20が塑性変形するようにしている。
【0024】
そして、この実施形態における梱包用緩衝材においては、図3(A),(B)に示すように、上記の紙を筒状に形成した第2緩衝部材20を、第1緩衝部材10の外面から外方に突出した適当な位置における2つの係止部12(図に示す例では対角位置にある2つの係止部12)に架け渡すようにして係止させ、この第2緩衝部材20を上記の係止部12よりも外方に突出させるようにしている。
【0025】
そして、この実施形態における梱包体においては、図4に示すように、上記のように第1緩衝部材10の係止部12に紙を筒状に形成した第2緩衝部材20を係止させて、この第2緩衝部材20を係止部12よりも外方に突出させた梱包用緩衝材を一対使用し、各梱包用緩衝材における第1緩衝部材10の保持部11相互が対向するようにして、各第1緩衝部材10の保持部11内にそれぞれ被梱包物30の端部を挿入させて、被梱包物30を一対の梱包用緩衝材間で保持させるようにする。
【0026】
そして、このように一対の梱包用緩衝材により被梱包物30を保持させた状態で、被梱包物30を梱包箱40内に収容させ、各梱包用緩衝材において、第1緩衝部材10の係止部12よりも外方に突出された各第2緩衝部材20をそれぞれ梱包箱40の内面に当接させるようにする。
【0027】
このようにして被梱包物30を上記の一対の梱包用緩衝材により保持させた状態で梱包箱40内に収容させた梱包体において、この梱包体に大きな衝撃が加わると、梱包箱40の内面に当接された第2緩衝部材20がそれぞれ変形して衝撃が緩和され、その後、上記の第1緩衝部材10における係止部12や第1緩衝部材10自体がそれぞれ弾性変形して衝撃がさらに緩和されるようになり、被梱包物30に加わる衝撃が十分に緩和され、被梱包物30が適切に保護されるようになる。
【0028】
また、上記のように変形した第2緩衝部材20は第1緩衝部材10より弾性復帰力が弱いため、徐々に弾性復帰するか、或いは潰れて塑性変形された状態となり、被梱包物30を保持した上記の梱包用緩衝材が何度か弾性変形を繰り返して行うということがなく、被梱包物30が梱包箱40内において振動するのが防止される。
【0029】
このため、上記の被梱包物30として、例えば、図5に示すような内部にトナーtが収容された画像形成ユニット30を用いた場合においても、上記のようにこの画像形成ユニット30が梱包箱40内において振動するのが防止され、画像形成ユニット30内に収容されたトナーtが、振動によって現像ローラ31が露出される開口部32を通して外部にこぼれ出すのが防止されるようになる。
【0030】
なお、この実施形態においては、第1緩衝部材10の内面側に設けられた保持部11と反対側の外面に複数の係止部12を設けるようにしただけであるが、図6に示すように、上記の第1緩衝部材10の上面や下面にも、上記のような係止部12を突出するように設け、上記の第2緩衝部材20をこの係止部12よりも突出するようにして係止させることも可能である。
【0031】
また、この実施形態においては、第1緩衝部材10より弾性復帰力が弱い第2緩衝部材20として、紙を筒状に形成したものを用いるようにしたが、例えば、第2緩衝部材20に、上記の第1緩衝部材10より弾性復帰力が弱いスポンジ等の材料で構成されたものを用いることも可能である。
【0032】
さらに、この実施形態の梱包体においては、被梱包物30の両側に梱包用緩衝材を設けて保持させた状態で、被梱包物30を梱包箱40内に収容させるようにしたが、梱包用緩衝材に被梱包物30を保持させて梱包箱40内に収容させる形態はこのようなものに限定されない。例えば、被梱包物30の上下に梱包用緩衝材を設けて保持させた状態で、被梱包物30を梱包箱40内に収容させるようにすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一実施形態に係る梱包用緩衝材に使用する第1緩衝部材を示した概略背面図及び概略断面図である。
【図2】上記の実施形態に係る梱包用緩衝材に使用する第2緩衝部材を示した概略斜視図である。
【図3】上記の実施形態に係る梱包用緩衝材において、上記の第1緩衝部材における係止部に第2緩衝部材を係止させた状態を示した概略背面図及び概略側面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る梱包体において、上記の実施形態に係る梱包用緩衝材を一対使用して、被梱包物を梱包箱内に収容させた状態を示した概略断面図である。
【図5】上記の実施形態に係る梱包体において、梱包箱内に収容させる被梱包物の一例として、画像形成ユニットを示した断面説明図である。
【図6】上記の実施形態に係る梱包用緩衝材に使用する第1緩衝部材の変更例を示した概略側面図である。
【符号の説明】
【0034】
10 第1緩衝部材
11 保持部
12 係止部
20 第2緩衝部材
30 被梱包物(画像形成ユニット)
31 現像ローラ
32 開口部
40 梱包箱
t トナー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被梱包物を保持する保持部が設けられると共に外面側に係止部が設けられた第1緩衝部材と、第1緩衝部材に設けられた係止部に外方に突出するようにして係止される第2緩衝部材とを有し、上記の第2緩衝部材が第1緩衝部材よりも弾性復帰力が弱い材料で構成されていることを特徴とする梱包用緩衝材。
【請求項2】
請求項1に記載の梱包用緩衝材において、上記の第2緩衝部材が塑性変形することを特徴とする梱包用緩衝材。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の梱包用緩衝材において、上記の第2緩衝部材として、紙を筒状に形成したものを用いると共に、上記の第1緩衝部材にこの筒状になった第2緩衝部材を係止させる突起状の係止部を設けたことを特徴とする梱包用緩衝材。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載された梱包用緩衝材を用い、上記の第1緩衝部材における保持部に被梱包物を保持させ、第1緩衝部材における係止部に外方に突出するようにして係止された上記の第2緩衝部材を梱包箱の内面に当接させるようにして、被梱包物を梱包箱内に収容させたことを特徴とする梱包体。
【請求項5】
請求項4に記載の梱包体において、一対の梱包用緩衝材を用い、被梱包物を各第1緩衝部材の保持部にそれぞれ保持させて、被梱包物を一対の梱包用緩衝材で挟み込むように保持すると共に、各梱包用緩衝材における第2緩衝部材を梱包箱の内面に当接させるようにして、被梱包物を梱包箱内に収容させたことを特徴とする梱包体。
【請求項6】
請求項4又は請求項5に記載の梱包体において、上記の被梱包物がトナーを収容させた画像形成用ユニットであることを特徴とする梱包体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−298423(P2009−298423A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−153232(P2008−153232)
【出願日】平成20年6月11日(2008.6.11)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】