梱包装置
【課題】フラップが内側へ傾倒するのを規制して、梱包箱に被梱包物を容易に収納する。
【解決手段】本発明に係る梱包装置1は、本体15及び本体15の上縁部に設けられるフラップ12a、12b、12cを有する梱包箱2と、本体15の内面と被梱包物の間に介装される側部緩衝材3と、側部緩衝材3及び被梱包物を支持する支持部材5と、を備え、支持部材5に被梱包物が支持される前は、側部緩衝材3の上端部が本体15の上縁部よりも上方に突出し、支持部材5に被梱包物が支持されると、被梱包物の重みで支持部材5が下方に移動し、側部緩衝材3の上端部が本体15の上縁部と同一の高さ又は本体15の上縁部よりも下方に移動することを特徴とする。
【解決手段】本発明に係る梱包装置1は、本体15及び本体15の上縁部に設けられるフラップ12a、12b、12cを有する梱包箱2と、本体15の内面と被梱包物の間に介装される側部緩衝材3と、側部緩衝材3及び被梱包物を支持する支持部材5と、を備え、支持部材5に被梱包物が支持される前は、側部緩衝材3の上端部が本体15の上縁部よりも上方に突出し、支持部材5に被梱包物が支持されると、被梱包物の重みで支持部材5が下方に移動し、側部緩衝材3の上端部が本体15の上縁部と同一の高さ又は本体15の上縁部よりも下方に移動することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運搬時や保管時等において被梱包物を保護するための梱包装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンター、複写機、ファクシミリ、複合機等の画像形成装置やこの画像形成装置を構成する部品等を運搬、保管するために、段ボール等の梱包材料によって形成される梱包装置が用いられている。この梱包装置は、比較的安価で軽量な材料を用いて、様々な運搬環境及び保管環境において被梱包物を保護できるように、形状や構成を工夫して形成されている。一般的な梱包装置は、直方体形状の梱包箱と、梱包箱の内壁と被梱包物の外面の間に介装して衝撃から被梱包物を保護するための緩衝材を備えているのが通常である(特許文献1参照)。
【0003】
このような緩衝材を備えた梱包装置の従来例を、図13に示す。この梱包装置51は、上面が開口された直方体形状の本体52及び本体52の上縁部に設けられる複数のフラップ53を備えた梱包箱54と、本体52の内面に沿って配置される側部緩衝材56と、本体52の底面に沿って配置される底部緩衝材57と、を備えており、複数のフラップ53を内側に折り曲げることで、本体52の開口を閉止できるようになっている。また、被梱包物55を梱包箱54に収納する際には、各フラップ53を一度内側に折り曲げてから外側に折り曲げることで、被梱包物55を梱包箱54に収納するための間口を確保している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−205960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した従来技術においては、梱包装置51に被梱包物55を収納する際に、外側に折り曲げたフラップ53が梱包材料の弾性によって自然と内側に傾倒してしまうことがあった。この場合には、被梱包物55を梱包箱54に収納するための間口が狭くなって、被梱包物55を梱包箱54に収納する妨げとなっていた(図13参照)。
【0006】
そこで、本発明は上記事情を考慮し、フラップが内側へ傾倒するのを規制して、梱包箱に被梱包物を容易に収納することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る梱包装置は、上面が開口された本体と、該本体の上縁部に設けられ、内側に折り曲げられることで前記本体の開口を閉止するフラップと、を有する梱包箱と、前記本体の内面と被梱包物の間に介装される側部緩衝材と、前記本体に収容され、前記側部緩衝材及び被梱包物を支持する支持部材と、を備え、該支持部材に被梱包物が支持される前は、前記側部緩衝材の上端部が前記本体の上縁部よりも上方に突出して前記フラップの内側への傾倒が規制され、前記支持部材に被梱包物が支持されると、被梱包物の重みで前記支持部材が下方に移動し、前記側部緩衝材の上端部が前記本体の上縁部と同一の高さ又は前記本体の上縁部よりも下方に移動して、前記フラップの内側への傾倒が許容されることを特徴とする。
【0008】
このような構成を採用することで、フラップが内側へ傾倒するのを規制して、梱包箱に被梱包物を容易に収納することが可能となる。
【0009】
本発明に係る梱包装置は、前記フラップは、内側に折り曲げられた状態で互いの一部が上下に重なるように複数個設けられ、前記側部緩衝材の上端部には、前記下側のフラップと対応する位置に設けられて該下側のフラップの内側への傾倒を規制する第1規制部と、前記上側のフラップと対応する位置で前記第1規制部よりも上方に設けられて該上側のフラップの傾倒を規制する第2規制部と、が設けられ、前記支持部材に被梱包物が支持されると、前記下側のフラップに対する前記第1規制部の規制が解除されて前記下側のフラップの内側への傾倒が許容された後に、前記上側のフラップに対する前記第2規制部の規制が解除されて前記上側のフラップの内側への傾倒が許容されても良い。
【0010】
このような構成を採用することで、下側のフラップを内側に傾倒させてから上側のフラップを内側に傾倒させることが可能になり、折り曲げられる順番通りに各フラップを傾倒させることが可能となる。
【0011】
本発明に係る梱包装置は、前記支持部材は、板材の両側を下方に鋭角に折り曲げて形成される折曲部を備えていても良い。
【0012】
このような構成を採用することで、板材を用いて廉価且つ容易に支持部材を形成することが可能となる。
【0013】
本発明に係る梱包装置は、前記本体は、平面視で多角形状を成し、前記側部緩衝材は、前記本体の多角形の隅部にそれぞれ配置される複数の支柱であっても良い。
【0014】
このような構成を採用することで、筒状の内枠を側部緩衝材として用いる場合と比較して、側部緩衝材を形成するために必要とされる材料を少なくすることが可能となり、製造コストの低廉化を図ることが可能となる。
【0015】
本発明に係る梱包装置は、前記側部緩衝材は、前記本体の内面に沿って配置される筒状の内枠であっても良い。
【0016】
このような構成を採用することにより、支柱を側部緩衝材として用いる場合と比較して、側部緩衝材の形状安定性を高めることが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の梱包装置は、フラップが内側へ傾倒するのを規制して、梱包箱に被梱包物を容易に収納することを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る梱包装置の平面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る梱包装置において、(a)は、梱包箱の展開図であり、(b)は、支柱の展開図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る梱包装置において、(a)は、底部緩衝材の展開図であり、(b)は、支持部材の展開図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る梱包装置において、(a)は、梱包箱に被梱包物を収納する前の状態を示す断面図であり、(b)は、梱包箱に被梱包物を収納し、被梱包物から手を離す前の状態を示す断面図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る梱包装置において、(a)は、梱包箱に被梱包物を収納し、被梱包物から手を離した状態を示す断面図であり、(b)は、被梱包物の梱包が完了した状態を示す断面図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る梱包装置を示す断面図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る梱包装置において、(a)は、第1規制部が本体の上縁部よりも下方に位置し、第2規制部が本体の上縁部よりも上方に位置する状態を示す断面図であり、(b)は、第1規制部及び第2規制部が本体の上縁部よりも下方に位置する状態を示す断面図である。
【図9】本発明の第3の実施形態に係る梱包装置において、内枠の展開図である。
【図10】本発明の第3の実施形態に係る梱包装置を示す平面図である。
【図11】本発明の第4の実施形態に係る梱包装置を示す断面図である。
【図12】他の異なる実施形態に係る梱包装置を示す断面図である。
【図13】従来例に係る梱包装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態に係る梱包装置1の構成について、図1〜図4を参照しつつ説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る梱包装置の平面図である。図2は、図1のA−A断面図である。図3は、本発明の第1の実施形態に係る梱包装置において、(a)は、梱包箱の展開図であり、(b)は、支柱の展開図である。図4は、本発明の第1の実施形態に係る梱包装置において、(a)は、底部緩衝材の展開図であり、(b)は、支持部材の展開図である。以下、上下左右等の方向を示す語は、図1及び図2を基準として用いる。
【0020】
図1、図2に示されるように、梱包装置1は、梱包箱2と、この梱包箱2内の四隅にそれぞれ配置される側部緩衝材としての支柱3と、この支柱3の下部内側に配置される底部緩衝材4と、底部緩衝材4の下方に配置される支持部材5と、を備えている。
【0021】
まず、梱包箱2について説明する。梱包箱2は、いわゆるA式の梱包箱であり、段ボール等の板材によって形成されている。
【0022】
図3(a)に示されるように、梱包箱2は、折り線6によって区画される4個の側面部7a〜7dと、折り線8を介して各側面部7a〜7dの一側(図面上は下側)に設けられる底フラップ10a〜10dと、折り線11を介して各側面部7a〜7dの他側(図面上は上側)に設けられる蓋フラップ12a〜12dと、折り線13によって側面部7dと区画される接着片14と、を備えている。底フラップ10a〜10dは、一対の内フラップ10a、10cと一対の外フラップ10b、10dによって構成されている。同様に、蓋フラップ12a〜12dは、一対の内フラップ12a、12c(下側のフラップ)と一対の外フラップ12b、12d(上側のフラップ)によって構成されている。なお、接着片14は、図3(a)を除いて記載が省略されている。
【0023】
この梱包箱2を組み立てるには、各折り線6に沿って側面部7a〜7cを折り曲げるとともに、折り線13に沿って接着片14を折り曲げる。そして、接着テープ等の適宜の手段により、側面部7aの側面部7bから離間する側の端部に接着片14を接着する。これにより、梱包箱2が四角筒状となる。
【0024】
次に、折り線8を境に内フラップ10a、10cを内側に折り曲げた後、折り線8を境に外フラップ10b、10dを内側に折り曲げて、外フラップ10bと外フラップ10dを接着テープ等の適宜の手段により接着する。これにより、図1、図2に示されるように、上面が開口された平面視四角形状の本体15が梱包箱2に形成されるとともに、4個の蓋フラップ12a〜12dが本体15の上縁部に配置される。以上により、梱包箱2の組み立てが完了する。
【0025】
次に、支柱3について説明する。支柱3は、段ボール等の板材によって形成されている。図3(b)に示されるように、支柱3は、折り線16によって区画される一対の側片部17を備えており、折り線16に沿って側片部17を折り曲げることで、平面視L字状を成すように構成されている(図1参照)。
【0026】
次に、底部緩衝材4について説明する。底部緩衝材4は、段ボール等の板材によって形成されている。図4(a)に示されるように、底部緩衝材4は、底面部18と、折り線20によって底面部18と区画されて底面部18から四方に延びるガイド部21a〜21dと、を備えている。
【0027】
底面部18は、ガイド部21b、21dと接する側を長辺とする長方形状を成している。底面部18には、ガイド部21a〜21dとの境界付近にそれぞれ係合片22が設けられている。
【0028】
ガイド部21a〜21dは、折り線23によって区画される4個のガイド面部24を備えている。最も底面部18に近いガイド面部24には、底面部18との境界部分に差込み穴25が設けられている。底面部18側から3番目のガイド面部24には、底面部18から最も離れたガイド面部24との境界部分に係合穴26が設けられている。底面部18から最も離れたガイド面部24には、底面部18から離間した側の端部に差込み片27が設けられている。
【0029】
この底部緩衝材4を組み立てるには、各折り線23を境にガイド面部24を折り曲げるとともに、差込み穴25に差込み片27を差し込み、係合穴26に係合片22を係合させる(図2参照)。これにより、四角筒状のガイド部21a〜21dが底面部18の四方に配置され、上面が開口された凹部28が底部緩衝材4に形成される。以上により、底部緩衝材4の組み立てが完了する。
【0030】
次に、支持部材5について説明する。支持部材5は、段ボール等の板材によって形成されている。図4(b)に示されるように、支持部材5は、長方形状の支持面部30と、支持面部30の両側に設けられ、折り線32及び折り線32の両端に設けられる切り込み33によって支持面部30と区画される折曲部31と、を備えている。支持面部30の四隅には面取り部35が設けられ、折曲部31の支持面部30から離間した側の二隅には面取り部36が設けられている。
【0031】
この支持部材5を組み立てるには、折り線32に沿って各折曲部31を支持面部30の両側から下方に鋭角に折り曲げた後、折曲部31同士を接着テープ39(図2参照)によって連結する。
【0032】
支持部材5の支持面部30の上面は、両面テープ等の接着手段(図示せず)によって底部緩衝材4の底面部18の下面に接着されている。これにより、底部緩衝材4と支持部材5が一体化されている。
【0033】
次に、梱包装置1の組み立ての一例について説明する。
【0034】
まず、一体化された底部緩衝材4及び支持部材5を、支持部材5側を下向きにして梱包箱2内に収容する。次に、底部緩衝材4と本体15の内面の間に各支柱3を差し込んでいき、各支柱3の下端部を支持部材5の支持面部30に当接させる。これにより、各支柱3が、支持部材5に支持された状態で本体15の四隅にそれぞれ配置される(図1、図2参照)。以上のような作業により、梱包装置1の組み立てが完了する。
【0035】
本実施形態では、上記のように、凹部28を備えた底部緩衝材4と支持部材5を一体化しており、梱包装置1の組み立て時には、底部緩衝材4を把持することで、一体化された底部緩衝材4及び支持部材5を本体15に容易に収容することが可能となる。
【0036】
次に、上記の如く組み立てられた梱包装置1によって被梱包物37(例えば、プリンター、複写機、ファクシミリ、複合機等の画像形成装置やこの画像形成装置を構成する部品等)を梱包する手順の一例について、図5、図6を用いて説明する。図5は、本発明の第1の実施形態に係る梱包装置において、(a)は、梱包箱に被梱包物を収納する前の状態を示す断面図であり、(b)は、梱包箱に被梱包物を収納し、被梱包物から手を離す前の状態を示す断面図である。図6は、本発明の第1の実施形態に係る梱包装置において、(a)は、梱包箱に被梱包物を収納し、被梱包物から手を離した状態を示す断面図であり、(b)は、被梱包物の梱包が完了した状態を示す断面図である。
【0037】
被梱包物37を梱包箱2に収納する前の状態においては、図5(a)に示されるように、支柱3の上端部が本体15の上縁部よりも上方に突出しており、蓋フラップ12a〜12dの内側への傾倒が規制されている。この状態で、被梱包物37を梱包箱2内へと収納し、図5(b)に示されるように底部緩衝材4の凹部28に被梱包物37の下部を挿入する。
【0038】
そして、被梱包物37から手を離すと、図6(a)に示されるように、被梱包物37の重みによって、支持部材5の折曲部31が傾斜姿勢から水平姿勢に移行する。これに伴って、支持部材5が下方に移動し、支柱3の上端部が本体15の上縁部よりも下方に移動して、蓋フラップ12a〜12dの内側への傾倒が許容される。この状態で、図6(b)に示されるように、内フラップ12a、12cを内側に折り曲げた後、外フラップ12b、12dを内側に折り曲げて内フラップ12a、12cと外フラップ12b、12dの一部を上下に重ね合わせて、本体15の開口を閉止する。そして、外フラップ12bと12dを接着テープ等の適宜の手段により接着する。以上のような手順により、被梱包物37の梱包が完了する。
【0039】
本実施形態では上記のように、被梱包物37を梱包箱2に収納する際に、蓋フラップ12a〜12dが内側へ傾倒するのを支柱3によって規制している。そのため、梱包箱2に被梱包物37を容易に収納することが可能となる。
【0040】
また、本実施形態では、板材によって支持部材5が形成されているため、廉価且つ容易に支持部材5を形成することが可能となる。
【0041】
また、本実施形態では、平面視L字状の支柱3を梱包箱2の四隅にのみ配置する構成を採用しているため、例えば、四角筒状の内枠を側部緩衝材として用いるような場合(第3、第4の実施形態参照)と比較して、側部緩衝材を形成するために必要とされる板材を少なくすることが可能となり、製造コストの低廉化を図ることが可能となる。
【0042】
<第2の実施形態>
本発明の第2の実施形態に係る梱包装置1について、図7及び図8を参照しつつ説明する。図7は、本発明の第2の実施形態に係る梱包装置を示す断面図である。図8は、本発明の第2の実施形態に係る梱包装置において、(a)は、第1規制部が本体の上縁部よりも下方に位置し、第2規制部が本体の上縁部よりも上方に位置する状態を示す断面図であり、(b)は、第1規制部及び第2規制部が本体の上縁部よりも下方に位置する状態を示す断面図である。なお、支柱3以外の部分の構成については、第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0043】
図7に示されるように、支柱3の上端部には、内フラップ12a、12cと対応する位置に第1規制部38が設けられ、外フラップ12b、12dと対応する位置に第2規制部40が設けられている。支柱3の上端部には、第1規制部38と第2規制部40の間に段差部41が設けられており、第1規制部38よりも第2規制部40の方が上方に位置している。段差部41は、第2規制部40側から第1規制部38側に向かって下傾している。
【0044】
このように構成されたものにおいて、被梱包物37を梱包箱2に収納する前の状態では、図7に示されるように、支柱3の第1規制部38及び第2規制部40が本体15の上縁部よりも上方に突出しており、蓋フラップ12a〜12dの内側への傾倒が規制されている。
【0045】
この状態で、底部緩衝材4の凹部28に被梱包物37の下部を挿入した後、被梱包物37から手を離すと、被梱包物37の重みによって支持部材5が下方に移動する。これに伴って、図8(a)に示されるように、支柱3の第1規制部38が本体15の上縁部よりも下方に位置するとともに、支柱3の第2規制部40が本体15の上縁部よりも上方に突出した状態となり、第1規制部38による内フラップ12a、12cの傾倒の規制が解除される。そのため、内フラップ12a、12cの内側への傾倒が許容され、内フラップ12a、12cが内側への傾倒を開始する。
【0046】
その後、被梱包物37の重みによって支持部材5が更に下方に移動すると、図8(b)に示されるように、支柱3の第1規制部38及び第2規制部40が本体15の上縁部よりも下方に位置する状態となり、第2規制部40による外フラップ12b、12dの傾倒の規制も解除される。そのため、外フラップ12b、12dの内側への傾倒が許容され、外フラップ12b、12dが内側への傾倒を開始する。
【0047】
本実施形態ではこのように、内フラップ12a、12cを内側に傾倒させてから外フラップ12b、12dを内側に傾倒させることが可能となるため、蓋フラップ12a〜12dを閉じる順番通りに傾倒させることができる。
【0048】
<第3の実施形態>
本発明の第3の実施形態に係る梱包装置1の構成について、図9及び図10を参照しつつ説明する。図9は、本発明の第3の実施形態に係る梱包装置において、内枠の展開図である。図10は、本発明の第3の実施形態に係る梱包装置を示す平面図である。
【0049】
第1、第2の実施形態では、側部緩衝材として4個の支柱3を用いていたが、本実施形態では、側部緩衝材として内枠49を用いている。なお、内枠49以外の構成については、第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0050】
内枠49は、図9に示されるように、折り線42によって区画される4個の側片部43と、折り線44によって一端(図面上は左端)の側片部43と区画される接着片45と、を備えている。なお、接着片45は、図10において記載が省略されている。
【0051】
内枠49を組み立てるには、折り線42に沿って側片部43を折り曲げるとともに、折り線44に沿って接着片45を折り曲げた後、接着テープ等の適宜の手段により、接着片45を他端(図面上は右端)の側片部43に接着する。これにより、内枠49は、四角筒状となる。この内枠49を本体15の内面下部と底部緩衝材4の間に差し込んで、内枠49を本体15の内面に沿って配置する(図10参照)。
【0052】
本実施形態では、四角筒状の内枠49を用いているため、支柱3を梱包箱2の四隅にのみ配置する場合(第1、第2の実施形態参照)と比較して、側部緩衝材の形状安定性を高めることが可能となる。
【0053】
<第4の実施形態>
本発明の第4の実施形態に係る梱包装置1について、図11を参照しつつ説明する。図11は、本発明の第4の実施形態に係る梱包装置を示す断面図である。なお、内枠49以外の部分の構成については、第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0054】
内枠49は、第3の実施形態と同様に四角筒状を成している。内枠49の上端部には、内フラップ12a、12cと対応する位置に第1規制部46が設けられ、外フラップ12b、12dと対応する位置に第2規制部47が設けられている。内枠49の上端部には、第1規制部46と第2規制部47の間に段差部48が設けられており、第1規制部46よりも第2規制部47の方が上方に位置している。
【0055】
このような構成を採用することにより、第2の実施形態と同様に、内フラップ12a、12cを内側に傾倒させてから外フラップ12b、12dを内側に傾倒させることが可能となるため、蓋フラップ12a〜12dを閉じる順番通りに傾倒させることができる。
【0056】
上記した第1〜第4の実施形態では、段ボール等の板材を折曲して形成した支持部材5を用いたが、他の異なる実施形態では、図12に示されるように、スポンジを用いて支持部材5を形成しても良い。この場合には、支持部材5を折曲する必要が無いため、梱包装置1の組み立て作業の簡略化を図ることが可能となる。
【符号の説明】
【0057】
1 梱包装置
2 梱包箱
3 支柱(側部緩衝材)
4 底部緩衝材
5 支持部材
12 蓋フラップ(フラップ)
15 本体
31 折曲部
37 被梱包物
46 第1規制部
47 第2規制部
49 内枠(側部緩衝材)
【技術分野】
【0001】
本発明は、運搬時や保管時等において被梱包物を保護するための梱包装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンター、複写機、ファクシミリ、複合機等の画像形成装置やこの画像形成装置を構成する部品等を運搬、保管するために、段ボール等の梱包材料によって形成される梱包装置が用いられている。この梱包装置は、比較的安価で軽量な材料を用いて、様々な運搬環境及び保管環境において被梱包物を保護できるように、形状や構成を工夫して形成されている。一般的な梱包装置は、直方体形状の梱包箱と、梱包箱の内壁と被梱包物の外面の間に介装して衝撃から被梱包物を保護するための緩衝材を備えているのが通常である(特許文献1参照)。
【0003】
このような緩衝材を備えた梱包装置の従来例を、図13に示す。この梱包装置51は、上面が開口された直方体形状の本体52及び本体52の上縁部に設けられる複数のフラップ53を備えた梱包箱54と、本体52の内面に沿って配置される側部緩衝材56と、本体52の底面に沿って配置される底部緩衝材57と、を備えており、複数のフラップ53を内側に折り曲げることで、本体52の開口を閉止できるようになっている。また、被梱包物55を梱包箱54に収納する際には、各フラップ53を一度内側に折り曲げてから外側に折り曲げることで、被梱包物55を梱包箱54に収納するための間口を確保している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−205960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した従来技術においては、梱包装置51に被梱包物55を収納する際に、外側に折り曲げたフラップ53が梱包材料の弾性によって自然と内側に傾倒してしまうことがあった。この場合には、被梱包物55を梱包箱54に収納するための間口が狭くなって、被梱包物55を梱包箱54に収納する妨げとなっていた(図13参照)。
【0006】
そこで、本発明は上記事情を考慮し、フラップが内側へ傾倒するのを規制して、梱包箱に被梱包物を容易に収納することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る梱包装置は、上面が開口された本体と、該本体の上縁部に設けられ、内側に折り曲げられることで前記本体の開口を閉止するフラップと、を有する梱包箱と、前記本体の内面と被梱包物の間に介装される側部緩衝材と、前記本体に収容され、前記側部緩衝材及び被梱包物を支持する支持部材と、を備え、該支持部材に被梱包物が支持される前は、前記側部緩衝材の上端部が前記本体の上縁部よりも上方に突出して前記フラップの内側への傾倒が規制され、前記支持部材に被梱包物が支持されると、被梱包物の重みで前記支持部材が下方に移動し、前記側部緩衝材の上端部が前記本体の上縁部と同一の高さ又は前記本体の上縁部よりも下方に移動して、前記フラップの内側への傾倒が許容されることを特徴とする。
【0008】
このような構成を採用することで、フラップが内側へ傾倒するのを規制して、梱包箱に被梱包物を容易に収納することが可能となる。
【0009】
本発明に係る梱包装置は、前記フラップは、内側に折り曲げられた状態で互いの一部が上下に重なるように複数個設けられ、前記側部緩衝材の上端部には、前記下側のフラップと対応する位置に設けられて該下側のフラップの内側への傾倒を規制する第1規制部と、前記上側のフラップと対応する位置で前記第1規制部よりも上方に設けられて該上側のフラップの傾倒を規制する第2規制部と、が設けられ、前記支持部材に被梱包物が支持されると、前記下側のフラップに対する前記第1規制部の規制が解除されて前記下側のフラップの内側への傾倒が許容された後に、前記上側のフラップに対する前記第2規制部の規制が解除されて前記上側のフラップの内側への傾倒が許容されても良い。
【0010】
このような構成を採用することで、下側のフラップを内側に傾倒させてから上側のフラップを内側に傾倒させることが可能になり、折り曲げられる順番通りに各フラップを傾倒させることが可能となる。
【0011】
本発明に係る梱包装置は、前記支持部材は、板材の両側を下方に鋭角に折り曲げて形成される折曲部を備えていても良い。
【0012】
このような構成を採用することで、板材を用いて廉価且つ容易に支持部材を形成することが可能となる。
【0013】
本発明に係る梱包装置は、前記本体は、平面視で多角形状を成し、前記側部緩衝材は、前記本体の多角形の隅部にそれぞれ配置される複数の支柱であっても良い。
【0014】
このような構成を採用することで、筒状の内枠を側部緩衝材として用いる場合と比較して、側部緩衝材を形成するために必要とされる材料を少なくすることが可能となり、製造コストの低廉化を図ることが可能となる。
【0015】
本発明に係る梱包装置は、前記側部緩衝材は、前記本体の内面に沿って配置される筒状の内枠であっても良い。
【0016】
このような構成を採用することにより、支柱を側部緩衝材として用いる場合と比較して、側部緩衝材の形状安定性を高めることが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の梱包装置は、フラップが内側へ傾倒するのを規制して、梱包箱に被梱包物を容易に収納することを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る梱包装置の平面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る梱包装置において、(a)は、梱包箱の展開図であり、(b)は、支柱の展開図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る梱包装置において、(a)は、底部緩衝材の展開図であり、(b)は、支持部材の展開図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る梱包装置において、(a)は、梱包箱に被梱包物を収納する前の状態を示す断面図であり、(b)は、梱包箱に被梱包物を収納し、被梱包物から手を離す前の状態を示す断面図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る梱包装置において、(a)は、梱包箱に被梱包物を収納し、被梱包物から手を離した状態を示す断面図であり、(b)は、被梱包物の梱包が完了した状態を示す断面図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る梱包装置を示す断面図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る梱包装置において、(a)は、第1規制部が本体の上縁部よりも下方に位置し、第2規制部が本体の上縁部よりも上方に位置する状態を示す断面図であり、(b)は、第1規制部及び第2規制部が本体の上縁部よりも下方に位置する状態を示す断面図である。
【図9】本発明の第3の実施形態に係る梱包装置において、内枠の展開図である。
【図10】本発明の第3の実施形態に係る梱包装置を示す平面図である。
【図11】本発明の第4の実施形態に係る梱包装置を示す断面図である。
【図12】他の異なる実施形態に係る梱包装置を示す断面図である。
【図13】従来例に係る梱包装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態に係る梱包装置1の構成について、図1〜図4を参照しつつ説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る梱包装置の平面図である。図2は、図1のA−A断面図である。図3は、本発明の第1の実施形態に係る梱包装置において、(a)は、梱包箱の展開図であり、(b)は、支柱の展開図である。図4は、本発明の第1の実施形態に係る梱包装置において、(a)は、底部緩衝材の展開図であり、(b)は、支持部材の展開図である。以下、上下左右等の方向を示す語は、図1及び図2を基準として用いる。
【0020】
図1、図2に示されるように、梱包装置1は、梱包箱2と、この梱包箱2内の四隅にそれぞれ配置される側部緩衝材としての支柱3と、この支柱3の下部内側に配置される底部緩衝材4と、底部緩衝材4の下方に配置される支持部材5と、を備えている。
【0021】
まず、梱包箱2について説明する。梱包箱2は、いわゆるA式の梱包箱であり、段ボール等の板材によって形成されている。
【0022】
図3(a)に示されるように、梱包箱2は、折り線6によって区画される4個の側面部7a〜7dと、折り線8を介して各側面部7a〜7dの一側(図面上は下側)に設けられる底フラップ10a〜10dと、折り線11を介して各側面部7a〜7dの他側(図面上は上側)に設けられる蓋フラップ12a〜12dと、折り線13によって側面部7dと区画される接着片14と、を備えている。底フラップ10a〜10dは、一対の内フラップ10a、10cと一対の外フラップ10b、10dによって構成されている。同様に、蓋フラップ12a〜12dは、一対の内フラップ12a、12c(下側のフラップ)と一対の外フラップ12b、12d(上側のフラップ)によって構成されている。なお、接着片14は、図3(a)を除いて記載が省略されている。
【0023】
この梱包箱2を組み立てるには、各折り線6に沿って側面部7a〜7cを折り曲げるとともに、折り線13に沿って接着片14を折り曲げる。そして、接着テープ等の適宜の手段により、側面部7aの側面部7bから離間する側の端部に接着片14を接着する。これにより、梱包箱2が四角筒状となる。
【0024】
次に、折り線8を境に内フラップ10a、10cを内側に折り曲げた後、折り線8を境に外フラップ10b、10dを内側に折り曲げて、外フラップ10bと外フラップ10dを接着テープ等の適宜の手段により接着する。これにより、図1、図2に示されるように、上面が開口された平面視四角形状の本体15が梱包箱2に形成されるとともに、4個の蓋フラップ12a〜12dが本体15の上縁部に配置される。以上により、梱包箱2の組み立てが完了する。
【0025】
次に、支柱3について説明する。支柱3は、段ボール等の板材によって形成されている。図3(b)に示されるように、支柱3は、折り線16によって区画される一対の側片部17を備えており、折り線16に沿って側片部17を折り曲げることで、平面視L字状を成すように構成されている(図1参照)。
【0026】
次に、底部緩衝材4について説明する。底部緩衝材4は、段ボール等の板材によって形成されている。図4(a)に示されるように、底部緩衝材4は、底面部18と、折り線20によって底面部18と区画されて底面部18から四方に延びるガイド部21a〜21dと、を備えている。
【0027】
底面部18は、ガイド部21b、21dと接する側を長辺とする長方形状を成している。底面部18には、ガイド部21a〜21dとの境界付近にそれぞれ係合片22が設けられている。
【0028】
ガイド部21a〜21dは、折り線23によって区画される4個のガイド面部24を備えている。最も底面部18に近いガイド面部24には、底面部18との境界部分に差込み穴25が設けられている。底面部18側から3番目のガイド面部24には、底面部18から最も離れたガイド面部24との境界部分に係合穴26が設けられている。底面部18から最も離れたガイド面部24には、底面部18から離間した側の端部に差込み片27が設けられている。
【0029】
この底部緩衝材4を組み立てるには、各折り線23を境にガイド面部24を折り曲げるとともに、差込み穴25に差込み片27を差し込み、係合穴26に係合片22を係合させる(図2参照)。これにより、四角筒状のガイド部21a〜21dが底面部18の四方に配置され、上面が開口された凹部28が底部緩衝材4に形成される。以上により、底部緩衝材4の組み立てが完了する。
【0030】
次に、支持部材5について説明する。支持部材5は、段ボール等の板材によって形成されている。図4(b)に示されるように、支持部材5は、長方形状の支持面部30と、支持面部30の両側に設けられ、折り線32及び折り線32の両端に設けられる切り込み33によって支持面部30と区画される折曲部31と、を備えている。支持面部30の四隅には面取り部35が設けられ、折曲部31の支持面部30から離間した側の二隅には面取り部36が設けられている。
【0031】
この支持部材5を組み立てるには、折り線32に沿って各折曲部31を支持面部30の両側から下方に鋭角に折り曲げた後、折曲部31同士を接着テープ39(図2参照)によって連結する。
【0032】
支持部材5の支持面部30の上面は、両面テープ等の接着手段(図示せず)によって底部緩衝材4の底面部18の下面に接着されている。これにより、底部緩衝材4と支持部材5が一体化されている。
【0033】
次に、梱包装置1の組み立ての一例について説明する。
【0034】
まず、一体化された底部緩衝材4及び支持部材5を、支持部材5側を下向きにして梱包箱2内に収容する。次に、底部緩衝材4と本体15の内面の間に各支柱3を差し込んでいき、各支柱3の下端部を支持部材5の支持面部30に当接させる。これにより、各支柱3が、支持部材5に支持された状態で本体15の四隅にそれぞれ配置される(図1、図2参照)。以上のような作業により、梱包装置1の組み立てが完了する。
【0035】
本実施形態では、上記のように、凹部28を備えた底部緩衝材4と支持部材5を一体化しており、梱包装置1の組み立て時には、底部緩衝材4を把持することで、一体化された底部緩衝材4及び支持部材5を本体15に容易に収容することが可能となる。
【0036】
次に、上記の如く組み立てられた梱包装置1によって被梱包物37(例えば、プリンター、複写機、ファクシミリ、複合機等の画像形成装置やこの画像形成装置を構成する部品等)を梱包する手順の一例について、図5、図6を用いて説明する。図5は、本発明の第1の実施形態に係る梱包装置において、(a)は、梱包箱に被梱包物を収納する前の状態を示す断面図であり、(b)は、梱包箱に被梱包物を収納し、被梱包物から手を離す前の状態を示す断面図である。図6は、本発明の第1の実施形態に係る梱包装置において、(a)は、梱包箱に被梱包物を収納し、被梱包物から手を離した状態を示す断面図であり、(b)は、被梱包物の梱包が完了した状態を示す断面図である。
【0037】
被梱包物37を梱包箱2に収納する前の状態においては、図5(a)に示されるように、支柱3の上端部が本体15の上縁部よりも上方に突出しており、蓋フラップ12a〜12dの内側への傾倒が規制されている。この状態で、被梱包物37を梱包箱2内へと収納し、図5(b)に示されるように底部緩衝材4の凹部28に被梱包物37の下部を挿入する。
【0038】
そして、被梱包物37から手を離すと、図6(a)に示されるように、被梱包物37の重みによって、支持部材5の折曲部31が傾斜姿勢から水平姿勢に移行する。これに伴って、支持部材5が下方に移動し、支柱3の上端部が本体15の上縁部よりも下方に移動して、蓋フラップ12a〜12dの内側への傾倒が許容される。この状態で、図6(b)に示されるように、内フラップ12a、12cを内側に折り曲げた後、外フラップ12b、12dを内側に折り曲げて内フラップ12a、12cと外フラップ12b、12dの一部を上下に重ね合わせて、本体15の開口を閉止する。そして、外フラップ12bと12dを接着テープ等の適宜の手段により接着する。以上のような手順により、被梱包物37の梱包が完了する。
【0039】
本実施形態では上記のように、被梱包物37を梱包箱2に収納する際に、蓋フラップ12a〜12dが内側へ傾倒するのを支柱3によって規制している。そのため、梱包箱2に被梱包物37を容易に収納することが可能となる。
【0040】
また、本実施形態では、板材によって支持部材5が形成されているため、廉価且つ容易に支持部材5を形成することが可能となる。
【0041】
また、本実施形態では、平面視L字状の支柱3を梱包箱2の四隅にのみ配置する構成を採用しているため、例えば、四角筒状の内枠を側部緩衝材として用いるような場合(第3、第4の実施形態参照)と比較して、側部緩衝材を形成するために必要とされる板材を少なくすることが可能となり、製造コストの低廉化を図ることが可能となる。
【0042】
<第2の実施形態>
本発明の第2の実施形態に係る梱包装置1について、図7及び図8を参照しつつ説明する。図7は、本発明の第2の実施形態に係る梱包装置を示す断面図である。図8は、本発明の第2の実施形態に係る梱包装置において、(a)は、第1規制部が本体の上縁部よりも下方に位置し、第2規制部が本体の上縁部よりも上方に位置する状態を示す断面図であり、(b)は、第1規制部及び第2規制部が本体の上縁部よりも下方に位置する状態を示す断面図である。なお、支柱3以外の部分の構成については、第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0043】
図7に示されるように、支柱3の上端部には、内フラップ12a、12cと対応する位置に第1規制部38が設けられ、外フラップ12b、12dと対応する位置に第2規制部40が設けられている。支柱3の上端部には、第1規制部38と第2規制部40の間に段差部41が設けられており、第1規制部38よりも第2規制部40の方が上方に位置している。段差部41は、第2規制部40側から第1規制部38側に向かって下傾している。
【0044】
このように構成されたものにおいて、被梱包物37を梱包箱2に収納する前の状態では、図7に示されるように、支柱3の第1規制部38及び第2規制部40が本体15の上縁部よりも上方に突出しており、蓋フラップ12a〜12dの内側への傾倒が規制されている。
【0045】
この状態で、底部緩衝材4の凹部28に被梱包物37の下部を挿入した後、被梱包物37から手を離すと、被梱包物37の重みによって支持部材5が下方に移動する。これに伴って、図8(a)に示されるように、支柱3の第1規制部38が本体15の上縁部よりも下方に位置するとともに、支柱3の第2規制部40が本体15の上縁部よりも上方に突出した状態となり、第1規制部38による内フラップ12a、12cの傾倒の規制が解除される。そのため、内フラップ12a、12cの内側への傾倒が許容され、内フラップ12a、12cが内側への傾倒を開始する。
【0046】
その後、被梱包物37の重みによって支持部材5が更に下方に移動すると、図8(b)に示されるように、支柱3の第1規制部38及び第2規制部40が本体15の上縁部よりも下方に位置する状態となり、第2規制部40による外フラップ12b、12dの傾倒の規制も解除される。そのため、外フラップ12b、12dの内側への傾倒が許容され、外フラップ12b、12dが内側への傾倒を開始する。
【0047】
本実施形態ではこのように、内フラップ12a、12cを内側に傾倒させてから外フラップ12b、12dを内側に傾倒させることが可能となるため、蓋フラップ12a〜12dを閉じる順番通りに傾倒させることができる。
【0048】
<第3の実施形態>
本発明の第3の実施形態に係る梱包装置1の構成について、図9及び図10を参照しつつ説明する。図9は、本発明の第3の実施形態に係る梱包装置において、内枠の展開図である。図10は、本発明の第3の実施形態に係る梱包装置を示す平面図である。
【0049】
第1、第2の実施形態では、側部緩衝材として4個の支柱3を用いていたが、本実施形態では、側部緩衝材として内枠49を用いている。なお、内枠49以外の構成については、第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0050】
内枠49は、図9に示されるように、折り線42によって区画される4個の側片部43と、折り線44によって一端(図面上は左端)の側片部43と区画される接着片45と、を備えている。なお、接着片45は、図10において記載が省略されている。
【0051】
内枠49を組み立てるには、折り線42に沿って側片部43を折り曲げるとともに、折り線44に沿って接着片45を折り曲げた後、接着テープ等の適宜の手段により、接着片45を他端(図面上は右端)の側片部43に接着する。これにより、内枠49は、四角筒状となる。この内枠49を本体15の内面下部と底部緩衝材4の間に差し込んで、内枠49を本体15の内面に沿って配置する(図10参照)。
【0052】
本実施形態では、四角筒状の内枠49を用いているため、支柱3を梱包箱2の四隅にのみ配置する場合(第1、第2の実施形態参照)と比較して、側部緩衝材の形状安定性を高めることが可能となる。
【0053】
<第4の実施形態>
本発明の第4の実施形態に係る梱包装置1について、図11を参照しつつ説明する。図11は、本発明の第4の実施形態に係る梱包装置を示す断面図である。なお、内枠49以外の部分の構成については、第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0054】
内枠49は、第3の実施形態と同様に四角筒状を成している。内枠49の上端部には、内フラップ12a、12cと対応する位置に第1規制部46が設けられ、外フラップ12b、12dと対応する位置に第2規制部47が設けられている。内枠49の上端部には、第1規制部46と第2規制部47の間に段差部48が設けられており、第1規制部46よりも第2規制部47の方が上方に位置している。
【0055】
このような構成を採用することにより、第2の実施形態と同様に、内フラップ12a、12cを内側に傾倒させてから外フラップ12b、12dを内側に傾倒させることが可能となるため、蓋フラップ12a〜12dを閉じる順番通りに傾倒させることができる。
【0056】
上記した第1〜第4の実施形態では、段ボール等の板材を折曲して形成した支持部材5を用いたが、他の異なる実施形態では、図12に示されるように、スポンジを用いて支持部材5を形成しても良い。この場合には、支持部材5を折曲する必要が無いため、梱包装置1の組み立て作業の簡略化を図ることが可能となる。
【符号の説明】
【0057】
1 梱包装置
2 梱包箱
3 支柱(側部緩衝材)
4 底部緩衝材
5 支持部材
12 蓋フラップ(フラップ)
15 本体
31 折曲部
37 被梱包物
46 第1規制部
47 第2規制部
49 内枠(側部緩衝材)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面が開口された本体と、該本体の上縁部に設けられ、内側に折り曲げられることで前記本体の開口を閉止するフラップと、を有する梱包箱と、
前記本体の内面と被梱包物の間に介装される側部緩衝材と、
前記本体に収容され、前記側部緩衝材及び被梱包物を支持する支持部材と、を備え、
該支持部材に被梱包物が支持される前は、前記側部緩衝材の上端部が前記本体の上縁部よりも上方に突出して前記フラップの内側への傾倒が規制され、
前記支持部材に被梱包物が支持されると、被梱包物の重みで前記支持部材が下方に移動し、前記側部緩衝材の上端部が前記本体の上縁部と同一の高さ又は前記本体の上縁部よりも下方に移動して、前記フラップの内側への傾倒が許容されることを特徴とする梱包装置。
【請求項2】
前記フラップは、内側に折り曲げられた状態で互いの一部が上下に重なるように複数個設けられ、
前記側部緩衝材の上端部には、前記下側のフラップと対応する位置に設けられて該下側のフラップの内側への傾倒を規制する第1規制部と、前記上側のフラップと対応する位置で前記第1規制部よりも上方に設けられて該上側のフラップの傾倒を規制する第2規制部と、が設けられ、
前記支持部材に被梱包物が支持されると、前記下側のフラップに対する前記第1規制部の規制が解除されて前記下側のフラップの内側への傾倒が許容された後に、前記上側のフラップに対する前記第2規制部の規制が解除されて前記上側のフラップの内側への傾倒が許容されることを特徴とする請求項1に記載の梱包装置。
【請求項3】
前記支持部材は、板材の両側を下方に鋭角に折り曲げて形成される折曲部を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の梱包装置。
【請求項4】
前記本体は、平面視で多角形状を成し、
前記側部緩衝材は、前記本体の多角形の隅部にそれぞれ配置される複数の支柱であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の梱包装置。
【請求項5】
前記側部緩衝材は、前記本体の内面に沿って配置される筒状の内枠であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の梱包装置。
【請求項1】
上面が開口された本体と、該本体の上縁部に設けられ、内側に折り曲げられることで前記本体の開口を閉止するフラップと、を有する梱包箱と、
前記本体の内面と被梱包物の間に介装される側部緩衝材と、
前記本体に収容され、前記側部緩衝材及び被梱包物を支持する支持部材と、を備え、
該支持部材に被梱包物が支持される前は、前記側部緩衝材の上端部が前記本体の上縁部よりも上方に突出して前記フラップの内側への傾倒が規制され、
前記支持部材に被梱包物が支持されると、被梱包物の重みで前記支持部材が下方に移動し、前記側部緩衝材の上端部が前記本体の上縁部と同一の高さ又は前記本体の上縁部よりも下方に移動して、前記フラップの内側への傾倒が許容されることを特徴とする梱包装置。
【請求項2】
前記フラップは、内側に折り曲げられた状態で互いの一部が上下に重なるように複数個設けられ、
前記側部緩衝材の上端部には、前記下側のフラップと対応する位置に設けられて該下側のフラップの内側への傾倒を規制する第1規制部と、前記上側のフラップと対応する位置で前記第1規制部よりも上方に設けられて該上側のフラップの傾倒を規制する第2規制部と、が設けられ、
前記支持部材に被梱包物が支持されると、前記下側のフラップに対する前記第1規制部の規制が解除されて前記下側のフラップの内側への傾倒が許容された後に、前記上側のフラップに対する前記第2規制部の規制が解除されて前記上側のフラップの内側への傾倒が許容されることを特徴とする請求項1に記載の梱包装置。
【請求項3】
前記支持部材は、板材の両側を下方に鋭角に折り曲げて形成される折曲部を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の梱包装置。
【請求項4】
前記本体は、平面視で多角形状を成し、
前記側部緩衝材は、前記本体の多角形の隅部にそれぞれ配置される複数の支柱であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の梱包装置。
【請求項5】
前記側部緩衝材は、前記本体の内面に沿って配置される筒状の内枠であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の梱包装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−71775(P2013−71775A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−214290(P2011−214290)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】
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