説明

梱包部材

【課題】 軸方向長さの異なる被梱包物を収納することができ、また緩衝材を用いることなく外箱内でのガタツキを抑えることができるようにする。
【解決手段】 本体部10の隣り合う2つの側面にわたって、軸方向に対して垂直方向に切り目21を形成し、且つこの切り目21を軸方向に所定間隔で複数形成する。そして本体部10の内部空間に収容された被梱包物の両端外方に位置する切り目によって、被梱包物の両端外方に凹部3a,3bを形成し、被梱包物が本体部10内で軸方向に移動しないようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は梱包部材に関し、より詳細には軸方向の長さの異なる部品を梱包する梱包部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
各種製品や部品を輸送する場合、段ボールを用いた梱包部材がこれまでから広く用いられている。例えば複写機やプリンタ、ファクシミリなどの画像形成装置に用いられる、搬送ローラや帯電ローラ、定着ローラなどのローラ類には、軸方向の長さとして種々のものがあり、図8に示すように、従来はこれらの長さの異なるローラ類を、それぞれの長さに合った段ボールの梱包部材10a’,10b’,10c’で梱包していた。また図9に示すように、輸送・保管にあたっては、前記のローラ類を包んだ、長さの異なる梱包部材10a’,10b’,10c’を1つの外箱70に入れるため、外箱70の内壁と梱包部材との間に隙間が不可避的に生じていた。この外箱70内の隙間による梱包部材のガタツキを防止するため、発泡材やエアバブルなどの緩衝材80を前記隙間に押入していた。
【特許文献1】特開平10−53294号公報(特許請求の範囲、(0014)〜(0027))
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、各ローラの長さに合わせて、異なる梱包材を作製し保管・管理することは経費と保管場所が多くかかり経済的でない。また発泡材やエアバブルなどの緩衝材はプラスチック材料で形成されたものであって、その多くは出荷先で廃棄されてしまうので、近年の環境意識の高まりを受けて今後大きな問題となりうる。
【0004】
本発明はこのような従来の問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、軸方向長さの異なる被梱包物を収納することができ、また緩衝材を用いることなく外箱内でのガタツキを抑えることができる梱包部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するため第1の発明に係る梱包部材は、中空四角柱状の本体部の隣り合う2つの側面にわたって、軸方向に対して垂直方向に形成された切り目が、軸方向に所定間隔で複数設けられ、本体部の内部空間に収容された被梱包物の両端外方に位置する切り目によって、被梱包物の両端外方に凹部を形成し、被梱包物が軸方向に移動しないようにすることを特徴とする。
【0006】
また第2の発明に係る梱包部材は、筒状の本体部の周上に外周長の1/2以下の切り目が、軸方向に所定間隔で複数形成され、本体部の内部空間に収容された被梱包物の両端外方に位置する切り目によって、被梱包物の両端外方に凹部を形成し、被梱包物が軸方向に移動しないようにすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
第1の発明に係る梱包部材では、本体部の内部空間に収容された被梱包物の両端外方に位置する切り目によって、被梱包物の両端外方に凹部を形成し、被梱包物が軸方向に移動しないようにするので、1つの梱包部材で、軸方向長さの異なる被梱包物を収納することができる。またこれにより、梱包部材を外箱内に隙間なく充填することができるようになり、緩衝材を用いることなく外箱内でのガタツキを抑えることができるようになる。
【0008】
また第2の発明に係る梱包部材は、筒状の本体部の内部空間に収容された被梱包物の両端外方に位置する切り目によって、被梱包物の両端外方に凹部を形成し、被梱包物が軸方向に移動しないようにするので、前記発明と同様に、1つの梱包部材で、軸方向長さの異なる被梱包物を収納することができる。またこれにより、梱包部材を外箱内に隙間なく充填することができるようになり、緩衝材を用いることなく外箱内でのガタツキを抑えることができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の梱包部材について図に基づいて説明するが、本発明はこれらの実施形態に何ら限定されるものではない。
【0010】
図1は、第1の発明に係る梱包部材の一例を示す展開図である。図1の梱包部材は、長方形状の底面部11の長辺側に、谷折り部71,72を介して側面部12と側面部13がそれぞれ接続されている。側面部12の長辺側には谷折り部73を介して上面部14が接続され、上面部14の長辺側には谷折り部76a,76bを介して、長手方向に離隔対向して2つの係合片17a,17bが形成されている。一方、側面部13の長辺側には谷折り部74を介してフラップ15が接続している。なお、このフラップ15の長手方向の長さは側面部13よりも短くなっている。
【0011】
そして、側面部12と上面部14にわたって、軸方向に所定間隔で複数の切り目21が形成され、切り目21の上・下端を通って軸方向に山折り部22a及び山折り部22bが形成されている。そして、側面部12と上面部14との境には谷折り部22cが形成されている。また、側面部13とフラップ15との境界部分には、長手方向において係合片17a,17bと対応する位置に2つの差し込み孔18a,18bが穿設されている。そしてまた、側面部13とフラップ15にかけて孔19が穿設されている。この孔19は主に、梱包部材内部を視認可能とすると共に、後述する外箱から取り出すときの利便性を図るためのものである。
【0012】
本発明の梱包部材の材料としては、人力によって容易に折り曲げることが可能なものであれば特に限定はないが、中でも段ボールが好適に使用できる。また図1に示される梱包部材は例えば板状の段ボールを打ち抜き加工することによって作製できる。このとき各折り部にはミシン目あるいは細溝を形成しておけば組立てが容易となる。
【0013】
次に、本発明の梱包部材の組み立てについて説明する。図1の展開図においてまず、被梱包部材(不図示)を底面部11に載置して、谷折り部71,72によって側面部12,側面部13を略90°に折り曲げる。そして谷折り部74によってフラップ15を略90°に折り曲げる。次に、谷折り部73によって上面部14を略90°に折り曲げるとともに、2つの係合片17a,17bを差し込み孔18a,18bに差入れて四角柱状の本体部10とする(図2を参照)。なお、この実施形態では、梱包部材が展開されている状態から被梱包部材を梱包部材内に載置したが、梱包部材を組み立てた後に被梱包物を内部に挿入するようにしてももちろん構わない。
【0014】
本体部10が組み立てられた状態を図3(a)に示す。この状態から、本体部10の、被梱包物の両端外方に位置する切り目21aと切り目21bの間、及び切り目21cと切り目21dとの間の谷折り部22c,22c’に外方から内方に向かって力を加える。すると、同図(b)に示すように、谷折り部22c,22c’が谷折りとなると同時に、山折り部22a,22b及び山折り部22a’,22b’がそれぞれ山折りとなり凹部3a,3bが形成される。これによって、図4に示すように、被梱包物の外側近傍に凹部3a,3bの側面が位置することとなり、この凹部3a,3bによって被梱包物が本体部10から外に飛び出すことが防止される。
【0015】
他方、本体部10から被梱包部材を取り出す場合には、凹部3a,3bの谷折り部22c,22c’に対して内方から外方に向かって力を加える。すると、前記とは反対に、谷折り部22c,22c’が山折りとなり、山折り部22a,22b及び山折り部22a’,22b’がそれぞれ面一となり凹部3a,3bが消滅する。これによって、被梱包物を本体部10から取り出せるようになる。なお、もちろん、本体部10を展開して被梱包物を取り出しても構わない。
【0016】
このような構成によれば、被梱包物の両端外方に形成された切り目を利用して凹部を形成することによって、軸方向に長さの異なる被梱包部材であっても、1つの梱包部材で収納することができるようになる。例えば図5(a)に示すような軸方向に長い被梱包物の場合には、本体部10内に収納された被梱包物の両端外方に形成された、切り目21a,21b及び切り目21c,21dで囲まれた領域に、内方へ向かって力を加えて凹部3a,3bを形成することによって、これらの凹部間に被梱包物を収納する。また同図(b)に示すような軸方向に短い被梱包物の場合には、本体部10内に複数の被梱包物を所定間隔で位置させ、被梱包物の両端外方に形成された、切り目21a,21b及び切り目21c,21d及び切り目21e,21fで囲まれた領域に、内方へ向かって力を加えて凹部3a,3b,3cを形成し、これらの凹部間に被梱包物を収納する。もちろん、軸方向に短い1つの被梱包物を本体部10に収納しても構わない。
【0017】
なお、梱包部材の軸方向の長さは、収納する被梱包部材の中で軸方向に最も長いものに合わせて適宜決定すればよい。また切り目の軸方向間隔は、被梱包物の軸方向長さの種類によって決定すればよいが、凹部の形成し易さやその強度などの点で15〜40mmの範囲が好ましい。
【0018】
このように1つの梱包部材によって、軸方向長さの異なる種々の被梱包物を収納できることから、梱包部材の外形に合わせて外箱を成形しておけば、図6に示すように、輸送・保管する際に梱包部材1を外箱70に詰め込んだ場合に、外箱70の内壁と梱包部材1との間に隙間が生じなくなる。これにより、従来は必要であった発泡材やエアバブルなどの緩衝材が不要となる。
【0019】
次に、第2の発明に係る梱包部材について説明する。図7は、本発明に係る梱包部材の一実施形態を示す概説図である。この図の梱包部材は、本体部41の周上に切り目51が軸方向に所定間隔で複数形成されている。そして、切り目51の上・下端を通って軸方向に山折り部52a,52bが形成され、切り目51の中央部を通って軸方向に谷折り部52cが形成されている。
【0020】
本体部41の材料としては特に限定はないが、前記と同様に、段ボールが好適に使用できる。また本体部41は、可撓性を有する長方形状の板状物を巻いて筒状とすればよく、その内径は被梱包物の大きさによって適宜決定すればよい。また切り目は、打ち抜き加工によって長方形状の板状物を成形する際に同時に形成するのがよく、折り部にはミシン目あるいは細溝を形成しておくことが成形加工の点から望ましい。
【0021】
このような構成の梱包部材を用いて被梱包物を梱包する場合、まず本体部41内に被梱包物を入れる(図7(a))。そして、本体部41の両側部に形成された谷折り部52c,52c’に、半径方向内方に向かって力を加える。すると、同図(b)に示すように、谷折り部52c,52c’が谷折りとなると同時に、山折り部52a,52b及び山折り部52a’,52b’がそれぞれ山折りとなり、凹部6a,6bが形成される。このときの側面図を同図(c)に示す。この図から理解されるように、被梱包物が凹部6a,6bの側面によって、被梱包物が本体部41から外に飛び出ることが有効に防止される。
【0022】
他方、被梱包物を本体部41から取り出すときは、前述と同様に、凹部6a,6bに対して半径方向外方に向かって力を加える。すると、前記とは反対に、谷折り部52c,52c’が山折りとなり、山折り部52a,52b及び山折り部52a’,52b’がそれぞれ面一となり凹部6a,6bが消滅する。これによって、被梱包物を本体部41の中から取り出せるようになる。もちろん、梱包部材を展開して被梱包物を取り出しても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】第1の発明に係る梱包部材の一例を示す展開図である。
【図2】図1の梱包部材の組立斜視図である。
【図3】図1の梱包部材の凹部形成の説明図である。
【図4】梱包部材内の被梱包物の状態を示す断面図である。
【図5】軸方向長さの異なる被梱包部材を収納する場合の説明図である。
【図6】梱包部材を外箱に収納する場合の説明図である。
【図7】第2の発明に係る梱包部材の一例を示す斜視図である。
【図8】従来の梱包部材を示す平面図である。
【図9】図8の梱包部材を外箱に収納する場合の説明図である。
【符号の説明】
【0024】
1 梱包部材
3a,3b,3c 凹部
6a,6b 凹部
10 本体部
21,21a〜21f 切り目
22a,22b,22a’,22b’ 山折り部
22c,22c’ 谷折り部
41 本体部
42 切り込み
43 帯状片
51 切り目
52a,52b,52a’,52b’ 山折り部
52c,52c’ 谷折り部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空四角柱状の本体部の隣り合う2つの側面にわたって、軸方向に対して垂直方向に形成された切り目が、軸方向に所定間隔で複数設けられ、
本体部の内部空間に収容された被梱包物の両端外方に位置する切り目によって、被梱包物の両端外方に凹部を形成し、被梱包物が軸方向に移動しないようにすることを特徴とする梱包部材。
【請求項2】
筒状の本体部の周上に外周長の1/2以下の切り目が、軸方向に所定間隔で複数形成され、
本体部の内部空間に収容された被梱包物の両端外方に位置する切り目によって、被梱包物の両端外方に凹部を形成し、被梱包物が軸方向に移動しないようにすることを特徴とする梱包部材。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2006−321530(P2006−321530A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−146132(P2005−146132)
【出願日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】