説明

棒材連結具

【課題】パイプや棒材で例えば簡易物置、フェンス、仕切り又は籠型の台車等の構造物を組み立てる際に、平行に配置された棒材を相互に強固に連結する連結具を提供する。
【解決手段】横断面が略S字形状で、二つの湾曲面部20、20で二本の棒材6、6の外周の約半周を抱持する中間抱持部材2と、該中間抱持部材2の各湾曲面部20との間に棒材6を挟んで相対峙し中間抱持部材2と相互に結合される二つの側面抱持部材3とで構成される。中間抱持部材2と各側面抱持部材3の一側縁が蟻継ぎ5により連結され、他側縁は締結具としてのボルト7で締結されて二本の棒材6、6が連結される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、パイプや棒材(以下、単に棒材という。)で例えば簡易物置、フェンス、仕切り又は籠型の台車等の構造物を組み立てる際に、平行に配置された棒材を相互に強固に連結する連結具の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来、棒材で構造物を組み立てる際に、平行に配置された二本の棒材を相互に連結する棒材連結具は、種々開示されており、既に実用に供されている。例えば下記特許文献1に開示された棒材連結具は、対峙する二つの抱持部材で二本の棒材を抱持し連結する構成である。前記抱持部材の中央部には、共通に位置するボルト孔が形成されており、同ボルト孔へ通したボルトの先端をナットで強く締め付けることにより、二本の棒材を連結している。
【0003】
また、下記特許文献2に開示された棒材連結具も、対峙する二つの抱持部材で二本の棒材を抱持し連結する構成である。前記抱持部材の両側縁には、対峙する抱持部材と異なる向きの切込みが設けられており、更に、抱持部材の中央部には、共通に位置するボルト孔が形成されている。つまり、対峙する抱持部材の切込みを嵌め合わせて側縁部を重合させ、ボルト孔へ通したボルトの先端をナットで締め付けて二本の棒材を連結している。
【0004】
下記特許文献3には、建築現場で多く使用されているクランプであって、パイプを締付ねじにより挟持する二つのクランプを相互にはとめにより回転自在に取着した構成とし、主に建設現場の足場等の組立てに使用する連結具が開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開平11−93920号公報
【特許文献2】実開昭49−24872号公報
【特許文献3】実開昭59−56403号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に開示された棒材連結具は、両抱持部材がボルトの強い締付け力で弾性変形し易く、変形すると同抱持部材の両側縁部が撓むので、緩い連結となる。変形を抑える為、抱持部材の板厚を厚くすることも考えられるが、コストアップや加工の難しさが生じる等の問題が発生する。また、一方の棒材が破損等して交換が必要な場合でも、他方の棒材と一緒に棒材連結具をバラバラに分解しなければならないので使い勝手が悪い。
【0007】
上記特許文献2に開示された棒材連結具は、対峙する抱持部材の側縁部の切込みを嵌め合わせて同側縁部を重合させているので、両抱持部材がボルトの強い締付け力で弾性変形しても、同抱持部材の両側縁部は撓むことがない。しかし、棒材連結具の挟持力を考えると、抱持部材が棒材の全周に亘って抱き込むことが理想的であるが、両抱持部材で棒材を挟んでその直交する方向にボルトで締結する方法ではボルトの締め代の関係上間隙をなくせず、棒材の全周に亘って抱き込むことを実現できない。また、前記抱持部材の切り込みを嵌め合わせるには、ずらして合わせるスペースが必要である。そのため、スペースが無くて取り付けられない場合や、作業スペースが狭い場合に非常に嵌め合わせずらく、連結作業が困難である。また、特許文献2の場合も、一方の棒材が破損等のため交換が必要な場合に、他方の棒材と一緒に棒材連結具をバラバラに分解しなければならないので使い勝手が悪い。
【0008】
上記特許文献3に開示された連結具は、建築現場等で使用するクランプで構成されているので強固に連結できる。しかし、ボルトがむき出しであるし、凹凸面が非常に多く、棒材を用いた構造物の組立に使用するには、少々不格好である。また、前記クランプに抱持された棒材は、クランプの凹凸面と接触して傷つき破損する問題も挙げられる。
【0009】
本発明の目的は、平行に配置された二本の棒材を、しっかりと強固に連結することができ、連結作業が容易であって、更に云えば、棒材の全周を抱持部材で抱き込むことができ、よって、従来よりも挟持力が大幅に増大する上に、二本の棒材は一本ずつを独立して連結を解除したり連結したりできる、使い勝手に非常に優れた棒材連結具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記従来技術の課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明に係る棒材連結具は、
平行に配置された二本の棒材を連結する棒材連結具であって、
横断面が略S字形状で、二つの湾曲面部20、20で二本の棒材6、6の外周の約半周を抱持する中間抱持部材2と、該中間抱持部材2の各湾曲面部20との間に棒材6を挟んで相対峙し中間抱持部材2と相互に結合される二つの側面抱持部材3とで構成され、
前記中間抱持部材2と各側面抱持部材3の一側縁が蟻継ぎ5により連結され、他側縁は締結具としてのボルト7で締結されて二本の棒材6、6が連結されることを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した発明に係る棒材連結具において、
前記締結具は、ボルト7をネジ孔21へねじ込む構成であって、
中間抱持部材2の二つの湾曲面部20、20の中間部にネジ孔21が形成されており、
側面抱持部材3の他側縁の前記中間抱持部材2のネジ孔21に対応する位置に、ボルト孔31が形成されており、
前記中間抱持部材2と各側面抱持部材3の一側縁が蟻継ぎ5により連結された上で、前記側面抱持部材3の他側縁がボルト孔31へ通したボルト7を前記中間抱持部材2のネジ孔21へねじ込んで締結されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る棒材連結具1は、中間抱持部材2と各側面抱持部材3の一側縁が蟻継ぎ5により連結されるので、締結具の強い締結力が作用しても、中間抱持部材2及び各側面抱持部材3の両側縁が撓むことはなく、二本の棒材6、6をしっかりと強固に連結することができる。しかも、前記蟻継ぎ5による連結は、狭い作業スペースでも容易に嵌め合わすことができるので、連結作業が容易である。また、中間抱持部材2の湾曲面部20と二つの側面抱持部材3とで棒材6、6の外周の全周を抱き込むので、従来より大きな挟持力が発揮され、棒材6、6は連結具1によって傷つく心配もない。しかも、仮に、一方の棒材6が何らかの衝撃で破損等した場合には、該当する側面抱持部材3のみを分解して該棒材6の連結を解き交換でき、また、新規の棒材を単独で連結できるので、使い勝手に非常に優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の棒材連結具は、横断面が略S字形状で、二つの湾曲面部20、20で二本の棒材6、6の外周の約半周を抱持する中間抱持部材2と、該中間抱持部材2の各湾曲面部20との間に棒材6を挟んで相対峙し中間抱持部材2と相互に結合される二つの側面抱持部材3とで構成される。中間抱持部材2と各側面抱持部材3の一側縁が蟻継ぎ5により連結され、他側縁は締結具としてのボルト7で締結されて二本の棒材6、6が連結される。
【実施例1】
【0014】
以下に、本発明を図示した実施例に基づいて説明する。
本実施例の棒材連結具1は、図1〜図3に示すように、平行に配置された二本の棒材6、6を連結する棒材連結具1であって、横断面が略S字形状で、二つの湾曲面部20、20で二本の棒材6、6の外周の約半周を抱持する中間抱持部材2と、該中間抱持部材2の各湾曲面部20との間に棒材6を挟んで相対峙し中間抱持部材2と相互に結合される二つの側面抱持部材3とで構成されている。前記中間抱持部材2の二つの湾曲面部20、20の中間部にネジ孔21が二つ形成されており、前記側面抱持部材3の他側縁の前記中間抱持部材2のネジ孔21に対応する位置に、ボルト孔31が形成されている。なお、前記中間抱持部材2及び側面抱持部材3は、例えばアルミ合金や亜鉛合金等のダイカスト品、又は板金プレス品として製作されている。
【0015】
平行な二本の棒材6、6を補強する意味で、棒材6、6に棒材連結具1で連結する場合の取付け方法を説明すると、まず、平行に配置された一方の棒材6の外周へ、中間抱持部材2の一方の湾曲面部20を合わせ、もう一方の湾曲面部20の先端の蟻溝と蟻ほぞを、棒材6を包むように対向方向から、側面抱持部材3の蟻溝と蟻ほぞとを相互に嵌め合わせ、側面抱持部材のボルト孔31にボルト7を挿入して中間抱持部材2のネジ孔21にねじ込み棒材連結具1の位置を固定する。次に、他方の湾曲面部20へ同様に側面抱持部材3を取り付ければ連結作業は完了する。また、ボルト7のネジ孔21の締付けを仮止め状態に緩めておけば容易に上下にズラせるので、所望の位置に簡単に設定でき作業性が良好である。
その上、前記ボルト7の頭部は、側面抱持部材3のボルト孔31の孔内へ完全に納められている。その結果、棒材連結具1の横断面形状(図3を参照)は略楕円形状となり、突起物のないスマートな外観意匠を呈する連結が実現される。
【0016】
かくして、本実施例の棒材連結具1よれば、中間抱持部材2と各側面抱持部材3の一側縁が蟻継ぎ5により連結されるので、締結具の強い締結力が作用しても、中間抱持部材2及び各側面抱持部材3の両側縁が撓むことはなく、二本の棒材6、6をしっかりと強固に連結することができる。しかも、前記蟻継ぎ5による連結は、狭い作業スペースでも容易に嵌め合わすことができるので、連結作業が容易である。また、中間抱持部材2の湾曲面部20と二つの側面抱持部材3とで棒材6、6の外周の全周を抱き込むので、従来より大きな挟持力が発揮され、棒材6、6は連結具1によって傷つく心配もない。しかも、仮に、一方の棒材6が何らかの衝撃で破損等した場合には、該当する側面抱持部材3のみを分解して該棒材6の連結を解き交換でき、また、新規の棒材を単独で連結できるので、使い勝手に非常に優れている。また、平行な棒材6、6の一方のボルト7の締付け力を緩めに設計すれば、一方の棒材6は回転フリーな状態にもできるので、例えばドアのように回転するようなものの、回転ヒンジ的な連結も可能となる。
【0017】
なお、前記ネジ孔21及びボルト孔31は、図示した二つに限定されない。図示は省略したが、複数設けた構成で実施することもできるし、図4に示すように、棒材連結具1の全長が短い場合では、軸線方向に沿って一つだけ設けた構成で実施することもできる。
【実施例2】
【0018】
図5及び図6に示した実施例2の棒材連結具1は、平行に配置された直径の異なる大小二本の棒材6、6’を連結した構成である。中間抱持部材2’の湾曲面部20a、20bは、棒材6、6’の直径に合わせて大きさが異なり、更に、同中間抱持部材2と連結される側面抱持部材3a、3bも、前記棒材6、6’の直径に合わせて異なる形状で構成されている。
【0019】
以上に実施形態を図面に基づいて説明したが、本発明は、図示例の実施形態の限りではなく、その技術的思想を逸脱しない範囲において、当業者が通常に行う設計変更、応用のバリエーションの範囲を含むことを念のために言及する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施例1の棒材連結具を分解して示す斜視図である。
【図2】実施例1の棒材連結具による棒材の連結状態を示す斜視図である。
【図3】図2のIII-III線矢視断面図である。
【図4】実施例1の棒材連結具の異なる構成を分解して示す斜視図である。
【図5】実施例2の棒材連結具による棒材の連結状態を示す斜視図である。
【図6】図5のVI-VI線矢視断面図である。
【0021】
1 棒材連結具
2 中間抱持部材
2’ 中間抱持部材
20 湾曲面部
20’ 湾曲面部
21 ネジ孔
3 側面抱持部材
3a 側面抱持部材
3b 側面抱持部材
31 ボルト孔
5 蟻継ぎ
6 棒材
6’ 棒材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平行に配置された二本の棒材を連結する棒材連結具であって、
横断面が略S字形状で、二つの湾曲面部で二本の棒材の外周の約半周を抱持する中間抱持部材と、該中間抱持部材の各湾曲面部との間に棒材を挟んで相対峙し中間抱持部材と相互に結合される二つの側面抱持部材とで構成され、
前記中間抱持部材と各側面抱持部材の一側縁が蟻継ぎにより連結され、他側縁は締結具で締結されて二本の棒材が連結されることを特徴とする、棒材連結具。
【請求項2】
前記締結具は、ボルトをネジ孔へねじ込む構成であって、
中間抱持部材の二つの湾曲面部の中間部にネジ孔が形成されており、
側面抱持部材の他側縁の前記中間抱持部材のネジ孔に対応する位置にボルト孔が形成されており、
前記中間抱持部材と各側面抱持部材の一側縁が蟻継ぎにより連結された上で、前記側面抱持部材の他側縁がボルト孔へ通したボルトを前記中間抱持部材のネジ孔へねじ込んで締結されることを特徴とする、請求項1に記載した棒材連結具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate