説明

棒状体保存容器

【課題】容器本体内に取残しを生じることなく棒状体収容物を計量して取り出すことができ、簡易な構造を有し、収容物を効率よく収容できる棒状体保存容器を提供する。
【解決手段】有底筒状に形成された容器本体20と、容器本体の上端部に設けられた上端閉塞部30とを備え、上端閉塞部が、容器本体に収容された棒状体を取出すための取出し口と、取出し口を開閉するための蓋部とを有し、取出し口は、第1および第2の2つの周縁部45,46を有しており、第1の周縁部45は、直線部および曲線部のいずれか一方または双方を有して、容器本体の周壁の内面の延長面上よりも周壁の外面側に位置するか、あるいは容器本体の周壁の内面の延長面上に実質的に位置するように構成されている。第2の周縁部46は、第1の周縁部の両端を実質的に直線で結ぶように形成されて、第1および第2の2つの周縁部で取出し口が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾燥パスタ等の棒状体を保存するとともに、これら棒状体を所望量計量して取り出すことができる棒状体保存容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般にスパゲッティーや蕎麦、うどん等の乾燥パスタは、長さが切り揃えられ且つ一定量(例えば1人前)に束ねられた状態で販売されている。こうした乾燥パスタを容器に保存する場合には、束を解いて容器に保存し、使用時に所望量だけ容器から取り出すのが一般的である。例えば2人前のスパゲッティーを調理するときには、容器から2人前にあたる例えば200gの乾燥スパゲッティーを、はかり等で計量しながら取り出す必要がある。こうしたことから、調理には予め所定量を計量し、これらを小分けにしておくなどの下準備が必要になり、また小分けした乾燥スパゲッティーを置くためのスペースが必要となる。
【0003】
そこで、所望量の乾燥パスタを取り出すことができる保存容器が考案された。例えば、容器本体の上端部に漏斗状蓋部を嵌合自在に備え、この漏斗状蓋部の一部周縁壁には上蓋部の鍔寄りに穿設した大孔と略同一の大きさを有する漏斗口を形成して、大孔と小孔を穿設した上蓋部を漏斗状蓋部の周縁壁に対し回動自在に嵌め込んだ保存容器(食品用保存容器)に係る技術的思想が存在する(特許文献1)。かかる保存容器では、上蓋部を漏斗状蓋部の周縁壁に対し回動させて大孔と漏斗口とを一致させることによって例えば200gのスパゲッティーを、あるいは小孔と漏斗口とを一致させることによって例えば100gのスパゲッティーを取り出すことができる、とされる。
【0004】
また、有底筒状に形成された容器本体と、その容器本体の上部を嵌脱可能に閉鎖する中蓋部及び上蓋部とを有して、中蓋部には上方ほど狭まるテーパー形状に形成された左右一対のロート部を形成するとともに、各ロート部の中央には口径の異なる左右一対の取出し孔を穿設し、中蓋部と上蓋部との間には両取出し孔の中間部を中心として左右方向に回動する板状の回動蓋部を設け、その回動蓋部の各面には取出し孔と嵌合する嵌合部を設け、回動蓋部を左右いずれかの方向に回動させて一方の取出し孔と嵌合させることによって、その取出し孔を閉鎖するようにした保存容器(麺類ストッカー)が考案されている(特許文献2)。かかる保存容器では、口径の異なる左右一対の取出し孔を選択的に開閉できるから、口径に応じた乾燥麺類を取り出すことができるとされる。
【0005】
また、本体と窓材からなり、本体は、計量部と、落とし込み用開口部と、本体取り出し用開口部とを有し、窓材は、擦り切り用平板部と、受け入れ用開口部と、窓材取り出し用切り欠き部とを有し、落とし込み用開口部と受け入れ用開口部とが一致する第1位置にて、乾麺を計量部に落とし込み、窓材を移動させることによって、擦り切り用平板部が乾麺を擦り切り、本体取り出し用開口部と窓材取り出し用切り欠き部とが一致する第2位置にて、計量部に落とし込まれた乾麺を取り出し可能に構成された乾麺計量機能付き容器(保存容器)が考案されている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭61−147768号公報
【特許文献2】特開2001−31162号公報
【特許文献3】特開2009−208814号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に開示された保存容器では、所望量(例えば200g)の乾燥パスタを取り出すためには、その数倍(例えば600g)の乾燥パスタが保存容器内に保存されていなければならない。何故ならば、図10に示すように上蓋部2を平面視したとき、大孔3の周縁3aは、何れも容器本体1の内周面1aと重ならないか、重なったとしても一点で内周面1aと接するに過ぎない。そうすると、上蓋部2では、鎖線L1より下方において、大孔3の周縁3aと容器本体1の内周面1aとの間の領域が乾燥パスタの流出を阻止することになる(小孔4の場合も同様)。
【0008】
従って、乾燥パスタを取り出すために保存容器を傾けた場合(上蓋部2が若干下方に向くように傾けた場合)、容器本体1内では、内周面1aの最も低い位置と、大孔3の周縁3a(小孔4の場合にはその周縁)の最高部分との差h1よりも低い位置までしか、乾燥パスタが収容されていないときには(例えば図10中、h2の高さまでしか収容されていないときには)、所望量よりも多くの乾燥パスタが容器本体に収容されているにも拘らず、所望量の乾燥パスタを計量して取り出すことができないことにならざるを得ない。すなわち、所望量の乾燥パスタを取り出すためには、図11に示すように、容器本体内に取残しが生じざるを得ないほど乾燥パスタが収容されていなければならないのである。加えて、当該保存容器では、上蓋部と漏斗状蓋部との位置合わせ誤差が計量誤差を生むため、計量が容易とはいい難い。
【0009】
特許文献2に開示された保存容器では、上蓋部と漏斗状蓋部との位置合わせ誤差が計量誤差を生む等の問題は生じない。しかし、左右一対の取出し孔と、容器本体の内周面との位置関係は、特許文献1の保存容器の場合と同様であって、乾燥パスタの取残しが生じてしまう。
【0010】
特許文献3に開示された保存容器では、容器本体内に擦り切り用平板部を有して、乾燥パスタの取残しを生じることなく、乾燥パスタ(乾麺)を計量し取り出すことができる。しかしながら、当該保存容器は、その内部構造が複雑な点は否めないことに加えて、2つの保持板の下方には乾燥パスタを収容できないから、保存量に比して内容積が大きくなってしまう。
【0011】
本発明は、これらを含む従来技術上の難点を改善するべくなされたものであり、収容物(例えば乾燥パスタ等)を取り出す際に、容器本体内に収容物の取残しを殆ど生じることなく、好ましくは取残しを生じることなく、収容物を容易に計量することができ、また簡易な構造を有し且つ容器本体内空間に収容物を効率よく収容することができ、好ましくは当該棒状体保存容器の収納スペースを節約することができる棒状体保存容器を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
これら課題を解決するため、本発明に係る棒状体保存容器(請求項1)は、有底筒状に形成された容器本体と、前記容器本体の上端部に設けられた上端閉塞部を備え、前記上端閉塞部が、前記容器本体に収容された棒状体を取出すための取出し口と、前記取出し口を開閉するための蓋部を有し、前記取出し口は、第1および第2の2つの周縁部を有して構成される。ここで前記第1の周縁部は、直線部および曲線部のいずれか一方または双方を有して、前記容器本体の周壁の内面の延長面上よりも周壁の外面側に位置するか、あるいは前記容器本体の周壁の内面の延長面上に実質的に位置している。
【0013】
一方前記第2の周縁部は、前記第1の周縁部の両端を実質的に直線で結ぶように形成されて、第1および第2の2つの周縁部が前記取出し口を形成するようになっている。従って前記蓋部を開いて、前記第1の周縁部が前記第2の周縁部より下方になるように当該棒状体保存容器を傾斜させると、収容物である棒状体を前記蓋部から取り出すことができる。このとき第1および第2の2つの周縁部は棒状体の取出しを阻止せず、上端閉塞部の取出し口の上方領域のみが阻止するのだから、前記第2の周縁部をほぼ水平に保てば、収容物である棒状体がちょうど前記取出し口の面積と棒状体の長さに応じた重量だけ収容されているときであっても、取残しなく、あるいは殆ど生じることなく棒状体を計量して取出すことができることになる。
【0014】
前記上端閉塞部が複数の前記取出し口を有し、それぞれの取出し口の開口面積が相違していれば(請求項2)、前記複数の取出し口のいずれかを選択して開くことで、所望量の棒状体を取り出すことができる。例えば乾燥パスタを1人分、あるいは2人分と計量して取り出すことができる。また、前記容器本体の長さ方向と直交する断面形状が正方形または長方形であれば(請求項3)、複数の当該棒状体保存容器を立てた状態で、狭いスペースに互いに密着するように並べることができるから、デッドスペースなく当該棒状体保存容器を収納等することができる。
【0015】
前記蓋部が、前記第2の周縁部とほぼ平行に位置づけられた回動軸を有するヒンジ部によって、回動自在に前記取出し口を開閉するようになっていれば(請求項4)、前記蓋部を開けるだけで、前記取出し口の面積に応じた重量の棒状体を取り出すことができる。もちろん当該棒状体保存容器が前記複数の取出し口を有していれば、例えば乾燥パスタを1人分、あるいは2人分と計量して取り出すことができる。なお前記蓋部の回動軸と前記第2の周縁部との平行関係は、前記蓋部の開閉動作を単純化できれば足りるのであって、厳密な平行を意味するものではなく、実質的な平行或いは前記蓋部の開閉動作を単純化するに十分な位置関係にあればよい。
【発明の効果】
【0016】
すなわち本発明の棒状体保存容器によれば、収容物(例えば乾燥パスタ等)を取り出す際に、容器本体内に収容物の取残しを生じることなく、あるいは殆ど生じることなく収容物を容易に計量することができる。また本発明の棒状体保存容器は、容器本体と上端閉塞部を備え、上端閉塞部が取出し口とその蓋部を有する簡易な構造であり、容器本体内空間を収容物の収容に効率よく収容でき、さらに容器本体の長さ方向と直交する断面形状が正方形または長方形とすることで、当該棒状体保存容器の収納スペースを節約することができる。デッドスペースなく当該棒状体保存容器を収納等することができるため、狭いスペースなど限られた場所に複数収容する場合などに他にはない利便性を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係る棒状体保存容器の概略斜視図である。
【図2】図1に示す棒状体保存容器が備えた容器本体と上端閉塞部の概略構造を示す図である。
【図3】図2に示す上端閉塞部とその取出し口の概略構造を示す図である。
【図4】図2に示す容器本体の周壁と図3に示す取出し口との位置関係を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る容器本体の周壁と取出し口との、別の位置関係を示す図である。
【図6】図1に示す棒状体保存容器の蓋部の近傍の概略構造と蓋部の開閉を説明するための図である。
【図7】図1に示す棒状体保存容器からの棒状体取出について説明するための図である。
【図7A】図1に示す棒状体保存容器からの棒状体取出について説明するための図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る棒状体保存容器から取残しなく乾燥パスタを取り出すことができることを説明するための図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る棒状体保存容器の取出し口が有する第2の周縁部の一例を示す図である。
【図9A】本発明の別の実施形態に係る棒状体保存容器の取出し口の一例を示す図である。
【図9B】本発明のさらに別の実施形態に係る棒状体保存容器の取出し口の一例を示す図である。
【図9C】本発明のさらに別の実施形態に係る棒状体保存容器の取出し口の一例を示す図である。
【図9D】本発明のさらに別の実施形態に係る棒状体保存容器の取出し口の一例を示す図である。
【図9E】本発明のさらに別の実施形態に係る棒状体保存容器の取出し口の一例を示す図である。
【図9F】本発明のさらに別の実施形態に係る棒状体保存容器の取出し口の一例を示す図である。
【図9G】本発明のさらに別の実施形態に係る棒状体保存容器の一例を示す図である。
【図10】従来の棒状体保存容器の一例における棒状体取出を説明するための図である。
【図11】従来の棒状体保存容器の一例における棒状体取出を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
(棒状体保存容器の構成)
図1は本発明の一実施形態に係る棒状体保存容器10の概略斜視図であり、図2は棒状体保存容器10が備える容器本体20と上端閉塞部30の概略構造を示す図である。先ずこれらの図に基づいて棒状体保存容器10、容器本体20および上端閉塞部30について説明する。
【0019】
容器本体20は、底面21と4つの周壁22〜25を有する有底筒状の形状を有し(周壁22と周壁24が相対し、周壁23と周壁25が相対している)、高さ方向(長手方向)と直交する断面の形状がほぼ正方形であり、底面21と相対する上端26(上端部)が開口した容器本体内空間27を形成している。周壁22および24の外面22aおよび24aの上端26側には、係止爪22xおよび24xがそれぞれ形成されている。
【0020】
上端閉塞部30は、天井板31と4つの周壁32〜35を有する有底筒状の形状を有し、天井板31と相対する下端36側が開口している。相対する周壁32と周壁34の下端からは、係止部32cおよび34cがそれぞれ下方に延出し、係止部32cおよび34cには係止孔32xおよび34xがそれぞれ穿設されている。
【0021】
図2に示すように、上端閉塞部30を鎖線矢印X方向に容器本体20の上端26に被せるようにして、上端26を閉じることができる。より具体的には、容器本体20の上端26に、上端閉塞部30の天井板31の内面31bがほぼ当接するようにすると、上端閉塞部30の係止部32cおよび34cに穿設された係止孔32xおよび34xが、容器本体20の係止爪22xおよび24xにそれぞれ係止して、上端26を上端閉塞部30で塞ぐことができる。なお容器本体20の4つの周壁22〜25の外面22a〜25aと、上端閉塞部30の4つの周壁32〜35の内面32b〜35bとの間には、容器本体20と上端閉塞部30との着脱を実現できる適度の僅かなあそびが形成されるようになっている。
【0022】
また上端閉塞部30の係止部32cおよび34cは、可撓性を有しており、それぞれを容器本体20の周壁22および24から離すように変形させることで、上端閉塞部30を容器本体20から取り外すことができる。なお容器本体20と上端閉塞部30が、それぞれ透明若しくは半透明の樹脂等で形成されていれば、収容物の残量を目視できるので好ましい。
【0023】
(取出し口について)
次に上端閉塞部30が有する取出し口について説明する。図3に示すように上端閉塞部30は、平面視ほぼ正方形の天井板31の4つのコーナーに、第1取出し口41、第2取出し口42、第3取出し口43および第4取出し口44の合計4つの取出し口を有している。これら取出し口の開口面積は、第1取出し口41が一番広く、第2取出し口42、第3取出し口43、第4取出し口44の順に順次狭くなっている。
【0024】
これら取出し口の構成について、第1取出し口41を例に説明する。第1取出し口41は、長さの等しい2つの直線部45aおよび45bからなる第1の周縁部45と、第1の周縁部45の両端45xと45yとを、直線で結ぶ第2の周縁部46とで形成されて、略直角二等辺三角形をなしている。ここで直線部45aは、周壁32の厚さd1の間隔を隔てて外面32aに略平行に位置づけられ、また直線部45bも、周壁35の厚さd1の間隔を隔てて外面35aに略平行に位置づけられている。そして第1取出し口41が形成する三角形の頂点は、周壁32と周壁35とが交差する天井板31のコーナーの近傍に位置している。
【0025】
また2つの直線部45aおよび45bは、それぞれ、容器本体20の周壁22の外面22aおよび周壁25の外面25aの延長面上にほぼ位置付けられている(図4参照、なお図4は、上端閉塞部30の第1取出し口41の一部領域を周壁35と平行な断面で示した図である)。すなわち、容器本体20の周壁22の内面22bを図4中で上方に延長する延長面の位置を、鎖線Yで示すと、直線部45aは、鎖線Yよりも若干外側(ほぼ容器本体20の外面22aの位置)に位置することになる。直線部45bも同様であり、したがって直線部45aおよび45bは、容器本体内空間27と第1取出し口41の外部空間との間を遮らないようになっている。
【0026】
或いは、図5に示すように、直線部45aが容器本体20の周壁22の内面22bより内側に位置づけられるときには(直線部45aと上端閉塞部30の周壁32の外面32aとの間の距離d2が容器本体20の周壁22および上端閉塞部30の周壁32の厚さの合計より長いときには)容器本体20の上端26近傍に傾斜端部22sを設ければよい。この傾斜端部22sは、図5中、その下端で容器本体20の周壁22の内面22bと接し、その上端で直線部45aに接するように形成された傾斜面22tを有している。すると周壁22の内面22b上にそって直線部45aへと収容物を移動させた場合、収容物は傾斜面22t上を移動して、第1取出し口41の直線部45aから外部へと移動することができる。
【0027】
すなわち直線部45aは、容器本体内空間27と、第1取出し口41の外側空間との間を遮らないのである(直線部45aは容器本体20の周壁22の内面22bの延長面上に実質的に位置付けられているといえるのである)。直線部45bについても同様である。
【0028】
(蓋部について)
次に上端閉塞部30が有する蓋部について説明する。上端閉塞部30の第1取出し口41〜第4取出し口44は、それぞれに対応した第1蓋部51〜第4蓋部54を有している。第1蓋部51〜第4蓋部54は、第1取出し口41〜第4取出し口44の面積に対応してそれぞれ異なる大きさを有しているが、それらの構造は、基本的に同一の構造を有しているので、これら蓋部の構造を第1蓋部51にて説明する。
【0029】
図6(a)〜(c)は、第1蓋部51と第3蓋部53の相対する2つのコーナーを通る断面で示したものである。図6(a)は第1蓋部51が閉じた状態を示し、図6(b)は第1蓋部51が開いていくときの状態をし、図6(c)は第1蓋部51が開いた状態を示している。ここで第1蓋部51は、ヒンジ部55によって上端閉塞部30の天井板31と連結されている。ヒンジ部55は、天井板31の外面31aおよび第1蓋部51の外面51aに取り付けられ、その回動軸部55aと第2の周縁部46とが略平行になっており、第1蓋部51は図6中、上方に回動して第1取出し口41を開閉するようになっている(図6(a)〜図6(c))。
【0030】
第1蓋部51の内面51bには、開閉位置決め板56が取付けられており、開閉位置決め板56は、第1蓋部51が閉じた状態において、その一端56a側が、天井板31の内面31bに若干被さるようになっている(図6(a))。天井板31の内面31bには、弾性板57の一端側57aが取り付けられ、弾性板57は、その中央部分ないし他端側の領域で開閉位置決め板56を覆っている。
【0031】
図6(b)に示すように、第1蓋部51を角度θだけ開いた状態では、弾性板57が、その弾性で開閉位置決め板56の一端56aを押すことになる。したがって角度θが約90度よりも狭いときには、第1蓋部51が閉じ(図6(a))、角度θが約90度よりも広いときには、第1蓋部51が開き(図6(c))、かくして第1蓋部51は、閉じるか開くかのいずれかで安定するようになっている。
【0032】
これは、乾燥パスタ等を計量して取り出すために棒状体保存容器10を傾けて天井板31を下方に向けたときに、所望の取出し口以外の取出し口が開かないようにするためである。もちろん第1蓋部51は、単純に開閉するだけで、第1取出し口41が有する第1の周縁部45および第2の周縁部46に対する何らかの位置合わせといった面倒な操作が不要である。なおかかる機能を有する蓋部であれば、その構成は上記のものに限定されない。
【0033】
(乾燥パスタの収容・取出し・取残し等について)
次に棒状体の棒状体保存容器10への収容と取出を、乾燥パスタの例で説明する。乾燥パスタは、棒状体保存容器10の容器本体20から上端閉塞部30を取外した状態で、容器本体20の容器本体内空間27に収容され、その後、容器本体20の上端26を上端閉塞部30で塞ぐ。もちろん容器本体内空間27の高さは、収容される乾燥パスタの長さよりも高くなければならない。
【0034】
乾燥パスタを所望量計量して取り出す場合について、図7及び図7Aを用いて第1取出し口41から取り出す例で説明する。棒状体保存容器10を手などで握って、第1取出し口41が上端閉塞部30の最下端側に位置するように棒状体保存容器10を傾斜させる。傾斜が増して、上端閉塞部30の天井板31が若干下方に向くと、容器本体内空間27に収容された乾燥パスタが重力で第1取出し口41へ向けて移動する。
【0035】
乾燥パスタが天井板31の内面31bの位置まで達すると、内面31bで移動が阻止される乾燥パスタと、第1取出し口41に到達して棒状体保存容器10の外部へと移動する乾燥パスタとに分かれる。ここで外部へ移動する乾燥パスタの重量は、第1取出し口41の開口面積と乾燥パスタの長さで決まることになる。
【0036】
例えば第1取出し口41を、3人分の重量の乾燥パスタを取り出すことができる開口面積としておけば、3人分の乾燥パスタを、はかり等を用いずに容易に計量できるのである。また第2取出し口42は2人分の乾燥パスタ量に応じて、第3取出し口43は1人分よりも若干大盛の乾燥パスタ量に応じて、そして、第4取出し口44は丁度1人分の乾燥パスタ量に応じて、それぞれ開口面積が定められていれば、取出し口の選択で乾燥パスタの取出し量を選択できるのである。従って、棒状体保存容器10を用いれば、所望量の乾燥パスタを必要に応じて、計量し取出すことができるから、予め計量して小分けしておく等の調理の下準備が不要になって、調理時間短縮および小分けした乾燥パスタの保管場所が不要になる。
【0037】
次に図8を用いて取残しなく乾燥パスタを取り出せることについて説明する。図8は、図7における第1取出し口41の位置と乾燥パスタの収納量との関係等を示す図である。ここでは、第1取出し口41が上端閉塞部30の最下端側に位置し、また第1取出し口41の第2の周縁部46が略水平に維持されるとともに、上端閉塞部30の天井板31が若干下方に向くように棒状体保存容器10の姿勢が維持されているものとする。このとき第1取出し口41では、直線部45aおよび45bが乾燥パスタの移動を阻止することはない(図4および5参照)。
【0038】
(乾燥パスタの収容量が多いとき)
例えば乾燥パスタが、図8中、棒状体保存容器10の下方部で鎖線L1、あるいは鎖線L2の位置から層をなしているときには(層の上面が鎖線L1あるいはL2に位置するときには)、第1取出し口41の第2の周縁部46と、鎖線L1、あるいは鎖線L2との間の上端閉塞部30の天井板31の領域で、乾燥パスタの移動が阻止されるが、もちろん取り出される乾燥パスタは、第1取出し口41の開口面積に応じた重量である。なお、ここで移動が阻止された乾燥パスタは、その後取り出されることが予定されるものであって、取残しではない。
【0039】
(乾燥パスタの収容量が計量すべき量に等しいとき)
乾燥パスタの収容量が計量すべき量に等しいときとは、収容された乾燥パスタが、図8中、棒状体保存容器10の下方部で、第1取出し口41の第2の周縁部46と重なる鎖線L3と、2つの直線部45aおよび45bの交点との間の領域すべてに収容されて該領域で層をなしているときである。つまり、乾燥パスタの層の断面と第1取出し口41とが重なって(棒状体保存容器10に計量して取り出すべき量と等しい量の乾燥パスタが収容されていて)、取残しなく乾燥パスタを計量し取り出すことができる。
【0040】
ところで、第2の周縁部46が直線でない場合には、第1取出し口41の第2の周縁部46がその一部において鎖線L3と重ならない。例えば図9に示すように、第2の周縁部が図中、上側に凸で緩やかな曲線46’であるときには、該曲線46’と、鎖線L3との間には、両者のずれに起因して、天井板31に2つの小領域31xおよび31yが形成される。これら2つの小領域31xおよび31yが乾燥パスタの移動を阻止して、厳密には残しが生じ得る。
【0041】
しかし、2つの小領域31xおよび31yが第1取出し口41の開口面積に比して狭く、その結果、取残し量が所望量に比べて無視できる場合には(例えば3人分の計量において、該3人分の重量に通常許容される程度の誤差に過ぎないときには)、取残しを殆ど生じないということができる。このような場合には、第2の周縁部46は、2つの直線部45aおよび45bの両端を実質的に直線で結ぶように形成されているということができる。もちろん第2の周縁部46が他の形状の曲線(例えば正弦波形状の曲線)であっても、該曲線と鎖線L3とのずれで形成される領域が、小領域31xおよび31yと同程度の面積であれば、該曲線も実質的な直線ということができる。
【0042】
また仮に図5において、傾斜部22sがない場合には、直線部45aが容器本体20の周壁22の内面22bの延長面(図4中の鎖線Y)よりも内側にずれることになる(直線部45bも同様)。この場合でも上記ずれが乾燥パスタの直径に対して小さい等で、乾燥パスタの取出しが阻止されないときには、直線部45a(直線部45b)は、容器本体20の周壁22の内面22bに実質的に位置付けられているといえる。
【0043】
仮に、上記ずれで乾燥パスタの取出しが阻止されたとしても、阻止される量が乾燥パスタの計量において通常許容される程度の誤差に過ぎないときには、取残しを殆ど生じないということができる。また容器本体20を少し揺するなどすれば、乾燥パスタの取残しをさらに少なくし、あるいはなくすことも可能である。
【0044】
以上のように、棒状体保存容器10を用いれば、取残しを殆ど生じず、あるいは生じることなく、乾燥パスタ(棒状体)を計量し取り出すことができることになる。
【0045】
(棒状体保存容器の保管)
棒状体保存容器10は、断面略正方形の柱状体をなしている。したがって複数の棒状体保存容器10に乾燥パスタを収容し保管するときには、棒状体保存容器10が互いに密着するように並べることができ、狭い保管スペースにより多くの棒状体保存容器10を保管することができる。もちろん断面長方形の柱状体であっても同様である。
【0046】
(変形例1)
上述した棒状体保存容器の断面形状を変形することもできる。例えば断面形状を三角形状(例えば正三角形状)とし、三角形柱状体の棒状体保存容器としてもよい(図9A)。この場合には、三角形の各頂点(コーナー)に、それぞれ開口面積の異なる取出し口を設ければよい。また断面形状を多角形状(例えば正多角形状)とした場合には、多角形の各頂点に、それぞれ開口面積の異なる取出し口を設ければよい。すなわち断面形状を変形することで、乾燥パスタ(棒状体)の計量の選択を増やすことができる。
【0047】
(変形例2)
あるいは、断面形状を円柱形状としてもよい。この場合には、取出し口は、第1の周縁部が円弧となり、第2の周縁部が前記円弧の両端を結んで形成される。したがって長さの異なる円弧を有する複数の取出し口を設けることで、乾燥パスタ(棒状体)の計量の選択を増やすことができる。なお楕円柱状体としても同様である。
【0048】
上記とは別に、図9B乃至図9Fに示すように、取出し口の構造について種々採用することが可能である。それぞれの構造により取り出し易さ、保存の緊結性等に違いが生じ得る。さらには、図9Gに示すように、溝を側面に刻設しておき、1人用、1人大盛用、2人用等の分量に適合する位置にストッパを設けた構造とすることも可能である。
【0049】
もちろん本発明は、上述した実施例に限定されるものでなく、適宜その趣旨を変更することなく変形することができる。
【符号の説明】
【0050】
10 棒状体保存容器
20 容器本体
22a〜25a 容器本体の周壁の外面
22b〜25b 容器本体の周壁の内面
26 容器本体の上端(上端部)
30 上端閉塞部
41〜44 第1取出し口〜第4取出し口
45 第1の周縁部
45a、45b (第1の周縁部が有する)直線部
45x、45y 第1の周縁部の両端
46 第2の周縁部
51〜54 第1蓋部〜第4蓋部
55 ヒンジ部
55a ヒンジ部の回動軸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有底筒状に形成された容器本体と、前記容器本体の上端部を塞ぐ上端閉塞部とを備え、
前記上端閉塞部が、前記容器本体に収容された棒状体を取出すための取出し口と、前記取出し口を開閉するための蓋部とを有し、
前記取出し口は、第1および第2の周縁部を有し、
前記第1の周縁部は、
前記容器本体の周壁の内面の延長面上よりも外側に位置するか、
または前記周壁の内面の延長面上に実質的に位置しており、
直線部および曲線部のいずれか一方または双方を有し、
前記第2の周縁部は、前記第1の周縁部の両端を実質的に直線で結ぶように形成されたこと
を特徴とする棒状体保存容器。
【請求項2】
前記上端閉塞部が複数の前記取出し口を有し、それぞれの取出し口の開口面積が相違することを特徴とする請求項1に記載の棒状体保存容器。
【請求項3】
前記容器本体の長さ方向と直交する断面形状が正方形または長方形であることを特徴とする請求項1または2に記載の棒状体保存容器。
【請求項4】
前記蓋部が、前記第2の周縁部とほぼ平行に位置づけられた回動軸を有するヒンジ部によって、回動自在に前記取出し口を開閉することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の棒状体保存容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図7A】
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【図8】
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【図9】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図9E】
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【図9F】
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【図9G】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−219151(P2011−219151A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−92694(P2010−92694)
【出願日】平成22年4月14日(2010.4.14)
【出願人】(391066423)
【Fターム(参考)】