説明

棒状外形要素のためのクランプ装置

本発明は、実質的に円形の断面を有し、棒状外形要素3の長手方向Lに沿って延びる中心軸線Rを有する棒状外形要素3のためのクランプ装置であって、少なくとも2つの、基準軸線Sに沿って互いに離間されて設けられるセンタクランプ1,2を有し、該センタクランプ1,2はそれぞれ、クランプ位置と開放位置との間の中心で基準軸線Sに対して左右に配設された通過面において移動可能な、少なくとも2つの互いに対向した固定ジョー6,7,11,12を有し、該固定ジョー6,7,11,12はそれぞれ、クランプ位置において共に棒状外形要素3を有する支持部であって、外形要素中心軸線Rを基準軸線Sに沿った方向に方向づける支持部を含むクランプ装置に関する。支持部の形状は、調整可能な調整装置によって変更可能であり、該調整装置はクランプ位置における外形要素中心軸線Rと基準軸線Sとのずれを減少させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に従った、実質的に円形の断面を有する棒状外形要素のためのクランプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
棒状外径要素の特殊な成形としての、パイプのためのクランプ装置は、技術水準において知られている。この場合、クランプ装置は、2つの互いに離間されたセンタクランプを備える。これら2つのセンタクランプは、パイプ端部領域におけるクランプ位置にパイプを含む。クランプ位置にクランプされたパイプの端部は、さらなる加工に導かれる。そのために、パイプ端部は、たとえば、面取りされたり、デバリングされたり、ブラッシングされたりする。知られたクランプ装置において問題であるのは、クランプされたパイプの位置に十分な精度がない点である。すなわち、温度、材料の変化などの多様な外的状況によって、クランプ装置の公称中心軸線が、通常、クランプされたパイプのパイプ中心軸線から幾分外れている。このずれはわずかなものであり、μm範囲のものとすることが可能ではあるが、製造業者には、加工業界における一層厳しくなる品質の課題があるがゆえに、クランプされたパイプのパイプ中心軸線のわずかのずれさえも許容されるものではない。同じくわずかであるが、既存のばらつきに関連する、たとえば面取りを行うなどの、パイプの後続の加工は、欠陥を累積させていくことにつながり、製造者は、厳しい受け入れ基準をもはや満たしていないという危険を冒すことになる。
【0003】
ドイツ特許第102006035号明細書から、パイプ外面にマーキングを行う機械が知られる。該文献においては、マーキング加工機に対するパイプの相対位置は、互いに移動可能な支持プレートによって変更可能である。
【0004】
米国特許第4667548号明細書から、パイプ切断片の加工のための作業台が知られる。該文献では、台間でパイプがクランプされる。パイプ端部の調整は、ねじを使って可能であり、作業台の半分ずつを該ねじによって移動させることが可能であるが、パイプの長手軸線に垂直な横断面におけるパイプ片の位置の調整ができない。
【0005】
ドイツ特許公開第4217860号明細書においてはクランプ装置が開示され、該クランプ装置によって、パイプまたはフライス盤を、パイプ端部に取り付けることが可能である。クランプ装置は、パイプ切断片に対向して設けられたフライス工具の後調整を可能にしない。
【発明の概要】
【0006】
したがって、本発明の課題は、棒状外形要素の正確なクランプを可能にする、棒状外形要素のためのクランプ装置の利用を可能にすることである。
この課題は、請求項1の特徴を有する冒頭で述べたクランプ装置によって解決される。
【0007】
本発明は、クランプ装置において棒状外形要素をクランプする場合に、基準軸線と外形要素中心軸線との間の、時間の経過において生じる、または既存のずれを調整によって小さくするという着想を用いたものである。棒状外形要素とは、本明細書では、特に、パイプおよび中実な外形要素と解される。クランプ装置は好ましくは、2つのセンタクランプを備える。しかしながらセンタクランプの数がもっと多い実施形態も可能である。外形要素は、長手方向を横切る断面においては実質的に円形であり、好ましくは、正確に円形に構成されてなる。好ましくは、外形要素は、全長に亘って、実質的には、好ましくは、正確に、円形断面である。断面は、長手軸に対して垂直であるのが好ましい。
【0008】
外形要素はセンタクランプの支持部上に載置される。調整は支持部の形状を変えることによって行われる。
【0009】
好ましくは、センタクランプは正確には2つの中心が移動しうる固定ジョーを含む。センタクランプのそれぞれは、3つ、4つ、またはそれ以上の任意の数の固定ジョーを含んでもよい。
【0010】
センタクランプは、1つの移動平面における互いに対向する固定ジョーの内の固定ジョーの互いに近接する、および離反する正確な移動を可能にする。好ましくは、支持部の内の少なくとも1つは、2つまたはそれ以上の任意の数の部分支持部に分割される。支持部は、好ましくはプリズム状に形成される。
【0011】
本発明の好ましい実施形態において、固定ジョーのそれぞれは、プリズム状に形成されてなる支持部を備え、プリズム状支持部のそれぞれは、クランプされるパイプの長手方向に延びる2つの平坦な支持面を含み、該支持面は互いに垂直である。
【0012】
好ましくは、移動平面における全方向における、クランプされる外形要素の中心軸線の基準軸線とのずれは、調整装置によって調整可能である。したがって、それぞれ任意の方向におけるずれを修正することが可能である。
【0013】
特に、固定ジョーのそれぞれが少なくとも2つの間隙を含む実施形態においては、支持部を簡単な形状とすることが可能である。固定ジョーの間隙は、好ましくは、長手方向に、固定ジョーの全長にわたって延び、それらの間に変形可能な舌状部を形成する。該変形可能な舌状部は、好ましくは、それが互いに対向する固定ジョーに向けられる外壁に部分支持部を形成するように、固定ジョーに形成される。
【0014】
舌状部の変形によって、舌状部に設けられた部分支持部が、その位置において固定ジョーに対向して変動し、少なくとも2つの部分支持部から形成される、固定ジョーの支持部は、幾分異なった全体形状を有する。支持部上のクランプ位置にある外形要素も同様に、固定ジョーに対するその相対的位置が幾分変わる、この変動が、ずれを小さくするために利用される。
【0015】
好ましくは、固定ジョーのそれぞれは、正確には3つの、1つは上部の、1つは下部の、そしてもう1つは中央の間隙を有し、それらの間に正確には2つの相並んで配置された変形可能な舌状部を形成し、これらの舌状部は中央の間隙によって互いに分離される。舌状部のそれぞれには固定ジョーの支持部の部分支持部が設けられている。固定ジョーのそれぞれは一体的に形成してもよく、特に舌状部と対応の固定ジョー枠とを分割してもよい。固定ジョーは放電加工において精密に作製することが可能である。
【0016】
固定ジョーの好ましくは2つの舌状部の変形によって、好ましくはプリズム状の支持部の形状が変化する。好ましくは、これは、基準軸線と外形要素中心軸線とが調整によって一致するように、センタクランプの、互いに対向し共に作用する固定ジョーが変動するように変化させる。
【0017】
本発明の特に好ましいさらなる実施形態において、調整装置は、少なくとも1つの、幅が調整可能に変化するスペーサを有する。該スペーサは、対応の間隙内にはめ込まれ、間隙内壁に当接させる、または挿入させる。間隙内のスペーサの幅の変動によって、間隙の幅を変動させることが可能である。間隙の幅は、スペーサの幅によっても調整可能であり、すなわち、間隙の幅は、少なくとも続く加工ステップのためのスペーサによって調整された幅のままである。次いで、後に続く新たなる調整を行うことが可能である。
【0018】
好ましくは、固定ジョーはそれぞれ正確には3つの間隙を有し、スペーサは、1つおきの間隙にはめ込まれる。しかしながら、固定ジョーが任意の数の間隙、特に、4つまたはそれ以上の数の間隙を有する実施形態も開示している。スペーサは、好ましくは、各間隙に、または選択された間隙のみに導入してもよい。
【0019】
外形要素がクランプ装置でクランプされた後、好ましくは、クランプされた外形要素の外形処理が行われる。この場合、外形要素、たとえばパイプにはテーパを付与する。パイプの中心軸線が、クランプ装置の基準軸線と一致していない場合には、補充の外形処理は、ずれにつながり、このずれは別の測定装置によって測定することができる。測定されたずれの大きさと位置は、調整装置による対応の事後調整を行うために利用される。ずれが測定された後、速やかに調整装置による調整を決定することを可能とする補正テーブルが、前もって作成されていることが好ましく、両中心軸線のずれを少なくとも明らかに小さくすることにつながる。
【0020】
本発明の好ましい実施形態において、調整装置のスペーサは、テーパ角が1°よりも小さいテーパねじを有し、該テーパねじは、対応の間隙に設けられたねじ穴にはめ込まれ、ねじ穴内への内方回転、およびねじ穴外への外方回転によって、間隙幅を拡げるまたは狭める。テーパ角は、0.5°、0.2°よりも小さくてもよく、または、それより小さくてもよい。
【0021】
調整装置の他の実施形態において、スペーサは、圧電素子などとして、好ましくはくさび状に形成されてなる構成要素として実施される。スペーサの形状が種々混合していてもよく、同じクランプ装置において種々のスペーサの利用が可能である。
【0022】
発明に従ったクランプ装置は、外形要素切断機の構成要素とすることが可能である。該装置は、加工行程において、好ましくは、ソー工具の後ろに設けられる。ソー工具から、短くされた外形要素が、把持アームによって、クランプ装置の開放位置に装荷されてクランプすることが可能である。クランプ位置では、上述のような精密な後加工が行われる。次いでクランプ装置は、再び開放位置に転換され、加工された外形要素が、好ましくは別の把持アームによって取り出される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】ゼロ位置にある発明に従ったクランプ装置の斜視図である。
【図2】図1のクランプ装置の正面図である。
【図3】外方に回転される上部のテーパねじと内方に回転される下部のテーパねじとを備える図1のクランプ装置の斜視図である。
【図4】図3のクランプ装置の正面図である。
【図5】外方に回転される右側のテーパねじと内方に回転される左側のテーパねじとを備える図1のクランプ装置を示す。
【図6】図5のクランプ装置を示す。
【図7】外方に回転される下部のテーパねじと内方に回転される上部のテーパねじとを備える図1のクランプ装置を示す。
【図8】図7のクランプ装置の正面図である。
【図9】外方に回転される上部のテーパねじと内方に回転される下部のテーパねじとを備える図1のクランプ装置を示す。
【図10】図9のクランプ装置の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明を添付の図を参照し、実施形態について詳細に説明する。
各図は縮尺どおりに描かれたものではなく、変形されて強く誇張されたものである。各図において、同じ参照符号は同じ構成要素を示す。
【0025】
図1は、パイプ3がその間で締め付けられる、長手方向に互いに離間されて設けられる前方および後方のセンタクランプ1,2を備える発明に従ったクランプ装置を示す。「前方」、「後方」、「上部」、「下部」、「左方」および「右方」は、各図に示されているように、クランプ装置に対する各構成要素の位置を示す。しかしながら、クランプ装置の他の構成は公知のとおりである。2つのセンタクランプ1,2のそれぞれは、中心で互いに移動可能な固定ジョー6,7を含む。各センタクランプ1,2の両固定ジョー6,7によって通過される平面が移動平面を形成する。これら2つのセンタクランプ1,2は、好ましくは、制御媒体としての圧縮空気を介して駆動される移動装置(図示せず)上に載置される。前方の固定ジョー6,7はそれぞれ、プリズム状支持部を含んでなる。前方センタクランプ1と後方センタクランプ2とは構造的には同じである。
【0026】
図1に示されるパイプ3はパイプ中心軸線Rを有し、センタクランプ1,2はどちらも、それぞれの中心を通過する基準軸線Sを有する。パイプ3は、2つのセンタクランプ内で固定される。したがって、クランプ装置は、固定位置内にある。
【0027】
センタクランプ1,2内に固定されるパイプ3の各パイプ端部は、センタクランプ1,2の固定ジョー6,7,11,12を介して隔てられている。したがって、パイプのこれらの遊端部は、固定位置において、工具頭部(図示せず)による、ブラッシング、デバリングおよび/または面取りなどの加工に服される。工具頭部は、加工のために外側から遊端部まで案内されて、加工位置に運ばれ、加工中、基準軸線S回りに回転駆動される。
【0028】
図2は、固定位置におけるパイプ3の平面図である。図2に示された前方センタクランプ1は、左および右の前方固定ジョー6,7を有し、これらの前方固定ジョー6,7は、パイプを固定するために協働する。これら固定ジョー6,7は、パイプの固定位置において固定して、次いで加工に服させるために、中心において、互いに近接移動可能であり、把持アーム(図示せず)によってクランプ装置から離隔可能なパイプ3を自由位置において自由にするために、中心にて互いに離間可能である。
【0029】
パイプ中心軸線Rとクランプ装置の基準軸線Sとは、図1および図2において一致している。基準軸線Sにおいて、工具頭部を介して、パイプ端部に次に行われる加工は位置調整が行われる。したがって、パイプ中心軸線Rと基準軸線Sとの間のずれは、パイプ端部の加工における偏心につながる。図2においては、ずれがないゼロ位置が示されている。
【0030】
温度変化、材料の経年変化など、多様な影響因子の影響があるので、クランプ装置は、理想上の円形パイプ3であっても、常に、図2にあるようなずれのないゼロ位置において固定するわけではない。パイプ中心軸線Rと基準軸線Sとの間にはずれが生じ得る。このずれは、加工の偏りから生じる、たとえば、後続の加工ステップにおけるパイプ端部の種々の回転固定から生じる。
【0031】
センタクランプ1,2は、それぞれ、具体的には2つの固定ジョー6,7,11,12を有している。固定ジョー6,7,11,12は、それぞれのセンタクランプ1,2が配設された移動平面において移動可能である。該移動平面は、基準軸線Sに垂直に設けられている。センタクランプ1,2の各移動平面は、互いに平行である。
【0032】
各センタクランプ1,2の2つの固定ジョー6,7,11,12には、それぞれ、互いに平行に設けられた間隙13a,13b,13c,14a,14b,14cが設けられる。図2においては、上方の2つの間隙13c,14cおよび下方の2つの間隙13a,14aは、それぞれ、同じ長さであり、中央の間隙13b,14bより少し長く描かれている。各固定ジョー6,7の3つの間隙13a,13b,13c、14a,14b,14cは 、移動平面においてそれぞれ対向する固定ジョー6,7に臨む、固定ジョー6,7の壁部から、移動方向Vにおいてまっすぐに各固定ジョー6,7,11,12内に延びる。対向する2つの固定ジョー6,7の対向する間隙13a,13b,13c,14a,14b,14cは、垂直方向に同じ高さにあり、まっすぐに延びて設けられている。固定ジョー6,7それぞれの3つの間隙13a,13b,13c,14a,14b,14cは2つの変形可能な舌状部16a,16b,17a,17bを形成する。
【0033】
各固定ジョー6,7は、2つのプリズム状支持部8a,8b,9a,9bを備える。プリズム状支持部は、2つの直角に互いに配設された平坦な支持面であって、互いに内部に向かって曲がって延びる支持面を有することを特徴とする。2つの互いに対向し、共に作用するプリズム状支持部は、互いに異なる直径のパイプ3をクランプ位置にクランプして保持することを可能とし、パイプ3は各センタクランプ1,2において、4つの支持線に沿って2つのプリズム状支持部上へ載置される。プリズム状支持部のそれぞれは、各2本の支持線を形成する。本発明に従えば、プリズム状支持部のそれぞれは、中央の間隙13b,14bによって、それぞれ、各1つの上部および下部の部分支持部8a,8b,9a,9bに分割される。左方上部の部分支持部8bは、左方上部舌状部16bに、左方下部部分支持部8aは、左方下部舌状部16aに配設される。舌状部16a,16bは移動可能であり、部分支持部8a,8b,9a,9bの、舌状部16a,16bの移動と関連した相関的に摺動するので,プリズム状支持部はいずれも全体として幾分変形しうるものであり、それゆえ、クランプ位置にあるクランプされたパイプ3の位置が変わる。この位置の変化が、たとえば、上述の影響に起因して調整されるべき、パイプ中心軸線Rの基準軸線Sからのずれをあとで調整することを可能にする。したがって、軸線に生じたずれを少なくして修正することが可能である。支持部は他の舌状部にもしかるべく設けられている。
【0034】
調整装置は、本実施形態においては、センタクランプ1,2ごとに4つのテーパねじ19a,19b,21a,21bを有する。これらのテーパねじ19a,19b,21a,21bは、上部および下部の間隙13a,13c,14a,14cの、パイプ3に向けられた端部において、それぞれ対応する間隙13a,13c,14a,14cにおいて長手方向Lに延びるねじ穴にねじ込まれる。図1に示されたゼロ位置において、上部間隙13c,14cおよび下部間隙13a,14aはすべて同じである。テーパねじ19a,19b,21a,21bが内方に回転されることによって、間隙の幅を広げることが可能であり、各テーパねじ19a,19b,21a,21bが外方に回転されることによって、間隙幅を狭めることが可能である。4つの舌状部16a,16b,17a,17bはそれぞれ、相並んだ上部および下部の固定ジョー枠22a,22b,23a,23bに対するプリテンションを有するように構成されてなる。上部および下部の固定ジョー枠22a,22b,23a,23bは、4つの舌状部16a,16b,17a,17bよりも明らかに程度が大きく変形しうる。なぜなら、上部および下部の固定ジョー枠22a,22b,23a,23bは、パイプ3の反対の側の範囲では厚く構成され、垂直な方向においては、4つの舌状部16a,16b,17a,17bよりも高く構成されてなるからである。センタクランプ1の4つの舌状部16a,16b,17a,17bは、どれもみな、長手方向Lにおける長さ、垂直方向における高さH、移動方向Vにおける深さが同じである。
【0035】
図3は、後調整位置にある図1のクランプ装置を示す。その場合、上部左テーパねじ19bと上部右テーパねじ21bとが外方に回転され、したがって、前方センタクランプ1の上部左舌状部16bと上部右舌状部17bとがプリテンションによって上方に変形されるが、前方センタクランプ1の左右固定ジョー6,7の下部テーパねじ19a,21aはどちらも内方に回転されて、対応の下部舌状部16a,17aはしたがって上方に変形する。したがって、左プリズム状支持部8a,8bと右プリズム状支持部9a,9bは、クランプされたパイプ3が、クランプ位置においてわずかに上方にずれるように変位する。
【0036】
図4は、上方に垂直に変位した場合の基準軸線Sに対するパイプ中心軸線Rのずれを示す。
【0037】
図5は、右上部テーパねじ21bおよび右下部テーパねじ21aが外方に回転され、ならびに左上部テーパねじ19aおよび左下部テーパねじ19aが内方に回転された、図1のセンタクランプ1の斜視図である。
【0038】
図6は、適切な方法における、4つの舌状部16a,16b,17a,17bの変形を示す。プリテンションと右上部ねじ21bを外方に回転することとによって、右上部舌状部17bは上方に変形する。また、右下部テーパねじ21aを外方に回転することによって、右下部舌状部17aは下方に変形し、したがって、右のプリズム状支持部はいくらか拡がり、クランプされたパイプ3はいくらか右方に変位する。右上部間隙14cおよび右下部間隙14aは狭められ、右中央間隙14bは拡がる。
【0039】
図6における同様の調整において、左上部テーパねじ19bと左下部テーパねじ19aとは内方に回転されており、したがって、 両左舌状部16a,16bは中心で互いに変形され、左中心間隙13bは狭くなり、左上部および左下部間隙13c,13aは拡がり、左プリズム状支持部はいくらか狭められる。
【0040】
基本的に、調整装置は、4つのテーパねじ19a,19b,21a,21bによって、調整が該ねじの外方または内方回転を介して行われるだけでなく、同時に対応のテーパねじの内方および外方回転を介しても行われる方法で調整される。図6は、その位置における、基準軸線Sに対するパイプ中心軸線Rの右方へのずれを示す。
【0041】
図7は、左テーパねじ19a,19bが外方に回転され、右テーパねじ21a,21bが内方に回転されたクランプ装置を示し、したがって、図8に示されているように、左上部間隙13cおよび下部間隙13aは狭められ,左上部舌状部16bは上方に、左下部舌状部16aは下方に変形する。左支持部8a,8bは、さらに互いに離間する。右固定ジョー7では、テーパねじ21a,21bはどちらも外方に回転され、舌状部17a,17bは互いに近接するように変形する。パイプ3は左方に変位する。
【0042】
図9および図10は、対角線上にあるテーパねじ19a,21bを動作させたクランプ装置を示し、右上部テーパねじ21bは外方に回転され、左下部テーパねじ19aは内方に回転されている。したがって、左下部舌状部16aは上方に変形し、右上部舌状部17bも上方に変形する。両プリズム状支持部の変位によって、クランプ位置にあるクランプされたパイプは、いくぶん右方上方に寄る。
【0043】
図3〜図10に示した調整装置の調整は、図1に従ったゼロ位置に対するずれを明らかにしている。調整装置の実際の適用においては、調整が行われない図1に従った位置において、パイプの試験作業が行われ、次いでパイプ3の両端部が精密に測定される間に、調整は逆の方法で行われる。測定されたずれは後調整の基礎とされ、したがってパイプ中心軸線Rと基準軸線Sとの間のずれは、テーパねじ19a,19b,21a,21bの調整に応じて低下し、できる限り少なくされる。さらに、測定されたパイプ端部の加工のずれに基づいて、そのずれを完全になくすために、各テーパねじ19a,19b,21a,21bの回転深さを表示することを可能にする補正テーブルが前もって作成される。
【符号の説明】
【0044】
1 センタクランプ
2 センタクランプ
3 パイプ
6 固定ジョー
7 固定ジョー
8a プリズム状支持部
8b プリズム状支持部
9a プリズム状支持部
9b プリズム状支持部
11 固定ジョー
12 固定ジョー
13a 間隙
13b 間隙
13c 間隙
14a 間隙
14b 間隙
14c 間隙
16a 舌状部
16b 舌状部
17a 舌状部
17b 舌状部
19a テーパねじ
19b テーパねじ
21a テーパねじ
21b テーパねじ
22a 固定ジョー枠
22b 固定ジョー枠
23a 固定ジョー枠
23b 固定ジョー枠
H 垂直方向における高さ
L 長手方向
R パイプ中心軸線
S 基準軸線
V 移動方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的に円形の断面を有し、棒状外形要素(3)の長手方向(L)に沿って延びる中心軸線(R)を有する棒状外形要素(3)のためのクランプ装置であって、
少なくとも2つの、基準軸線(S)に沿って互いに離間されて設けられるセンタクランプ(1,2)を有し、該センタクランプ(1,2)はそれぞれ、クランプ位置と開放位置との間の中心で基準軸線(S)に対して左右に配設された通過面において移動可能な、少なくとも2つの互いに対向した固定ジョー(6,7,11,12)を有し、該固定ジョー(6,7,11,12)はそれぞれ、クランプ位置において共に棒状外形要素(3)を有する支持部であって、外形要素中心軸線(R)を基準軸線(S)に沿った方向に方向づける支持部を含むクランプ装置において、
支持部の形状は、調整可能な調整装置によって変更可能であり、該調整装置はクランプ位置における外形要素中心軸線(R)と基準軸線(S)とのずれを減少させることを特徴とするクランプ装置。
【請求項2】
クランプされた外形要素(3)の外形要素中心軸線(R)は、移動可能な平面におけるすべての方向において調整装置を介して調整可能であることを特徴とする、請求項1に記載のクランプ装置。
【請求項3】
固定ジョー(6,7,11,12)のそれぞれは、少なくとも2つの相並んで設けられた間隙(13a,13b,13c,14a,14b,14c)を有し、該間隙(13a,13b,13c,14a,14b,14c)は、クランプされる棒状外形要素(3)の長手方向(L)において、固定ジョー(6,7,11,12)の全長を越えて延び、それらの間で少なくとも1つの変形可能な舌状部(16a,16b,17a,17b)を形成し、該舌状部(16a,16b,17a,17b)には部分支持部(8a,8b,9a,9b)が形成されることを特徴とする、請求項1または2に記載のクランプ装置。
【請求項4】
固定ジョー(6,7,11,12)のそれぞれは、3つの間隙(13a,13b,13c,14a,14b,14c)と、少なくとも2つの相並んで設けられた舌状部(16a,16b,17a,17b)を備え、該舌状部(16a,16b,17a,17b)は、間隙(13a,13b,13c,14a,14b,14c)を介して互いに分離され、それぞれが部分支持部(8a,8b,9a,9b)を有することを特徴とする、請求項3に記載のクランプ装置。
【請求項5】
センタクランプ(1,2)の舌状部(16a,16b,17a,17b)は、調整装置によって互いに調和させて調整可能であることを特徴とする、請求項3または4に記載のクランプ装置。
【請求項6】
調整装置は、少なくとも1つの、幅が調整可能であるスペーサを有し、該スペーサは属する間隙(13a,13b,13c,14a,14b,14c)に適合し、間隙内壁に接していることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のクランプ装置。
【請求項7】
固定ジョー(6,7,11,12)のそれぞれは、少なくとも3つの間隙(13a,13b,13c,14a,14b,14c)を有し、スペーサは1つおいて隣の間隙(13a,13b,13c,14a,14b,14c)にはめ込まれていることを特徴とする、請求項6に記載の装置
【請求項8】
支持部の少なくとも1つが、プリズム状支持部として形成されてなることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載のクランプ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2013−513489(P2013−513489A)
【公表日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−543468(P2012−543468)
【出願日】平成22年12月8日(2010.12.8)
【国際出願番号】PCT/DE2010/001433
【国際公開番号】WO2011/072644
【国際公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(512155467)ラッツンデ ウント コー ゲーエムベーハー (1)
【氏名又は名称原語表記】RATTUNDE & CO GMBH
【住所又は居所原語表記】Bauernallee 23,Ludwigslust,Germany
【Fターム(参考)】