棒金収納装置
【課題】判定精度の低下を防止することができる棒金収納装置の提供。
【解決手段】カセットに並列状態で棒金を収納し、棒金の並列方向に沿って一体に移動する下側磁気データ検出手段90および上側磁気データ検出手段91により、カセットに収納された棒金の磁気データをそれぞれ検出し、これらの磁気データに基づいて各棒金が正金種であるか否かを判定する棒金収納装置であって、下側磁気データ検出手段90で検出した磁気データの極大値をX軸およびY軸のいずれか一方に、該極大値と移動方向同位置と判定できる、上側磁気データ検出手段91で検出した磁気データの極大値をX軸およびY軸のいずれか他方にとった点が、所定の許容エリア内にある場合に、これらの極大値を生じた棒金が正金種であると判定する。
【解決手段】カセットに並列状態で棒金を収納し、棒金の並列方向に沿って一体に移動する下側磁気データ検出手段90および上側磁気データ検出手段91により、カセットに収納された棒金の磁気データをそれぞれ検出し、これらの磁気データに基づいて各棒金が正金種であるか否かを判定する棒金収納装置であって、下側磁気データ検出手段90で検出した磁気データの極大値をX軸およびY軸のいずれか一方に、該極大値と移動方向同位置と判定できる、上側磁気データ検出手段91で検出した磁気データの極大値をX軸およびY軸のいずれか他方にとった点が、所定の許容エリア内にある場合に、これらの極大値を生じた棒金が正金種であると判定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、棒金を収納する棒金収納装置に関する。
【背景技術】
【0002】
棒金を並列状態でカセットに収納し、収納している棒金を出金指令に基づいて繰り出す棒金収納装置があり、このような棒金収納装置において、カセット内の棒金の在り高(本数および金種)を確認可能なものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−249139号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような棒金収納装置において、磁気データ検出手段を用いてカセット内の各棒金が正金種であるか否かを判定することを考えたが、カセットにメンテナンス時の着脱による位置変化や経時的な位置変化が生じた場合に、磁気データ検出手段との距離が変化し、判定精度が低下してしまう可能性があった。
【0005】
したがって、本発明は、判定精度の低下を防止することができる棒金収納装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、カセットに並列状態で棒金を収納し、該棒金の並列方向に沿って一体に移動する下側磁気データ検出手段および上側磁気データ検出手段により、前記カセットに収納された棒金の磁気データをそれぞれ検出し、これらの磁気データに基づいて各棒金が正金種であるか否かを判定する棒金収納装置であって、前記下側磁気データ検出手段で検出した磁気データの極大値をX軸およびY軸のいずれか一方に、該極大値と移動方向同位置と判定できる、前記上側磁気データ検出手段で検出した磁気データの極大値をX軸およびY軸のいずれか他方にとった点が、所定の許容エリア内にある場合に、これらの極大値を生じた棒金が正金種であると判定することを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記カセットに並列状態で正金種の棒金を収納して、これら棒金の磁気データを前記下側磁気データ検出手段および前記上側磁気データ検出手段でそれぞれ検出し、前記下側磁気データ検出手段で検出した磁気データの極大値をX軸およびY軸のいずれか一方に、該極大値と移動方向同位置と判定できる、前記上側磁気データ検出手段で検出した磁気データ極大値をX軸およびY軸のいずれか他方にとった点の分布から、基準線を求め、該基準線に基づき設定される所定範囲を前記許容エリアとする許容エリア設定処理を行うことを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明は、請求項2に係る発明において、前記分布から最小二乗法により前記基準線を求めることを特徴とする。
【0009】
請求項4に係る発明は、請求項2または3に係る発明において、前記許容エリア設定処理後に、前記下側磁気データ検出手段および前記上側磁気データ検出手段でそれぞれ検出した磁気データから正金種であると判定した棒金の磁気データを加えて前記基準線を求め直すことを特徴とする。
【0010】
請求項5に係る発明は、請求項2または3に係る発明において、前記許容エリア設定処理後に、前記下側磁気データ検出手段および前記上側磁気データ検出手段でそれぞれ検出した磁気データから正金種であると判定した棒金の磁気データを、当該磁気データと移動方向同位置と判定できる、以前の磁気データと置き換えて前記基準線を求め直すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明によれば、カセットに着脱による位置変化や経時的な位置変化があっても、下側磁気データ検出手段から離間した分だけ上側磁気データ検出手段に近接し、下側磁気データ検出手段に近接した分だけ上側磁気データ検出手段から離間することを利用して、下側磁気データ検出手段で検出した磁気データの極大値をX軸およびY軸のいずれか一方に、この極大値と移動方向同位置と判定できる、上側磁気データ検出手段で検出した磁気データの極大値をX軸およびY軸のいずれか他方にとった点が、所定の許容エリア内にある場合に、これらの極大値を生じた棒金が正金種であると判定することになる。したがって、カセットに着脱による位置変化や経時的な位置変化があっても、判定精度の低下を防止することができる。
【0012】
請求項2に係る発明によれば、カセットに並列状態で正金種の棒金を収納して、これら棒金の磁気データを下側磁気データ検出手段および上側磁気データ検出手段でそれぞれ検出し、下側磁気データ検出手段で検出した磁気データの極大値をX軸およびY軸のいずれか一方に、この極大値と移動方向同位置と判定できる、上側磁気データ検出手段で検出した磁気データ極大値をX軸およびY軸のいずれか他方にとった点の分布から、基準線を求め、この基準線に基づき設定される所定範囲を許容エリアとするため、容易かつ適正に許容エリアを設定することができる。
【0013】
請求項3に係る発明によれば、点の分布から最小二乗法により基準線を求めるため、基準線を設定するアルゴリズムを容易かつ適正に作成することができる。
【0014】
請求項4に係る発明によれば、許容エリア設定処理後に、下側磁気データ検出手段および上側磁気データ検出手段でそれぞれ検出した磁気データから正金種であると判定した棒金の磁気データを加えて基準線を求め直すため、許容エリア設定処理後の磁気データを用いた学習により基準線を設定し直すことができる。
【0015】
請求項5に係る発明によれば、許容エリア設定処理後に、下側磁気データ検出手段および上側磁気データ検出手段でそれぞれ検出した磁気データから正金種であると判定した棒金の磁気データを、当該磁気データと移動方向同位置と判定できる、以前の磁気データと置き換えて基準線を求め直すため、許容エリア設定処理後の磁気データを用いた学習により基準線を設定し直すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態の棒金収納装置を示す側面図である。
【図2】本発明の一実施形態の棒金収納装置におけるカセット等を示す斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態の棒金収納装置における棒金保持機構等を示す斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態の棒金収納装置における棒金保持機構を示す上側から見た斜視図である。
【図5】本発明の一実施形態の棒金収納装置における棒金保持機構を示す下側から見た斜視図である。
【図6】本発明の一実施形態の棒金収納装置におけるカセットおよび受取位置にある棒金保持機構を示す部分側断面図である。
【図7】本発明の一実施形態の棒金収納装置におけるカセットおよび受取位置にある棒金保持機構を示す部分側断面図である。
【図8】本発明の一実施形態の棒金収納装置におけるカセットおよび受取位置より前方にある棒金保持機構を示す部分側断面図である。
【図9】本発明の一実施形態の棒金収納装置におけるカセットおよび受取位置より前方にある棒金保持機構を示す部分側断面図である。
【図10】本発明の一実施形態の棒金収納装置におけるカセットおよび前端位置にある棒金保持機構を示す部分側断面図である。
【図11】本発明の一実施形態の棒金収納装置におけるカセット、調整位置にある棒金保持機構および基準磁性部材を示す部分側断面図である。
【図12】本発明の一実施形態の棒金収納装置における受入台部および退避状態にある基準磁性部材等を示す斜視図である。
【図13】本発明の一実施形態の棒金収納装置における受入台部および検出状態にある基準磁性部材等を示す斜視図である。
【図14】本発明の一実施形態の棒金収納装置における受入台部および退避状態にある基準磁性部材等を示す側面図である。
【図15】本発明の一実施形態の棒金収納装置における受入台部および検出状態にある基準磁性部材等を示す側面図である。
【図16】本発明の一実施形態の棒金収納装置における磁気データ検出部による検出状況を示す斜視図である。
【図17】本発明の一実施形態の棒金収納装置における基準許容エリアを示す線図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の一実施形態の棒金収納装置を図面を参照して以下に説明する。
【0018】
図1に示すように、本実施形態の棒金収納装置10は、上下方向に多段状に配置されたカセット11と、カセット11の機体前後方向後側に昇降可能に設けられて各カセット11に選択的に棒金Bを装填する棒金装填機構12と、カセット11の機体前後方向前側に昇降可能に設けられて各カセット11から一本ずつ選択的に棒金Bを取り出して機外放出口13に放出する棒金取出機構14とを有している。棒金収納装置10には、バラ硬貨を所定枚数ずつ集積して包装紙を巻き回し包装紙の両端部を加締めて棒金Bとする図示略の包装機構が設けられており、包装機構から送り出された棒金Bを棒金装填機構12が搬送し対応するカセット11に装填する。なお、棒金装填機構12は、包装機構から送り出された棒金B以外にも、機体後面に設けられた投入口15に機外から直接投入された棒金Bをカセット11に装填可能となっている。
【0019】
カセット11は、長さ方向を機体前後方向に向けて配置されており、長さ方向一側の前端側(機体前面側)が後端側(機体後面側)より低く、且つ幅方向を横方向(機体左右方向)に沿わせて配置されている。カセット11は、同一形状のものが水平方向の位置を合わせ上下方向に等間隔をあけて複数具体的には金種と同じ六個、多段状に配置されている。なお、図2に示すように、このように上下方向に並べられた六段のカセット11からなる多段カセット16が、機体左右方向に二列設けられており、図示は略すが各多段カセット16それぞれに図1に示す棒金装填機構12および棒金取出機構14が設けられている。
【0020】
各カセット11は金種別となっており、同一のカセット11には所定の同一金種の棒金Bのみが収納される。例えば、両側の多段カセット16はともに、最も上側のカセットに1円硬貨の棒金が、上から二番目のカセットに5円硬貨の棒金が、上から三番目のカセットに10円硬貨の棒金が、上から四番目のカセットに50円硬貨の棒金が、上から五番目のカセットに100円硬貨の棒金が、最下段のカセットに500円硬貨の棒金が、それぞれ収納される。
【0021】
各カセット11は、図1に示すように、長さ方向一側の前端側が後端側より低く、且つ幅方向を水平方向に沿わせて配置された長方形状の底板部20と、底板部20の幅方向の両側縁部から垂直に立ち上がる一対の側板部21と、底板部20の前端縁部から垂直に立ち上がる前端板部22と、両側板部21の上縁部から相互近接側に延出する上板部23とを有している。なお、図示は略すが、底板部20の前端側および前端板部22には、棒金Bの取り出し時に棒金取出機構14を通過させるための切欠部が形成されている。
【0022】
カセット11は、棒金装填機構12から送り出された棒金Bを、その長さ方向(軸線方向)をカセット11の幅方向に沿わせた姿勢で、後端部の受入位置から両側板部21の間、且つ底板部20の底面24上に受け入れることになり、棒金Bは、カセット11の傾斜によって、前端板部22から順に隙間無く当接して、カセット11の長さ方向に並列する状態で収納されることになる。
【0023】
各カセット11の上側には、それぞれ上下動可能な棒金保持機構30が設けられており、これら棒金保持機構30は、これらをカセット11の長さ方向に沿って移動させる駆動機構31に連結されている。
【0024】
駆動機構31は、最も下側のカセット11の下側でカセット11と平行に延在するスライド軸35と、このスライド軸35に摺動自在に支持されるスライドブロック36と、スライドブロック36から上方に延出する保持板37と、スライド軸35の両端側の下方に配置された一対のプーリ38と、これらプーリ38に掛けられることでスライド軸35と平行に配設される駆動ベルト39と、一方のプーリ38に連結されたモータ40とを有しており、駆動ベルト39の一部がスライドブロック36に固定されている。これにより、駆動機構31は、モータ40の正逆回転で、スライドブロック36および保持板37をカセット11の長さ方向に往復動させる。
【0025】
保持板37は、図2に示すように、各多段カセット16の左右方向側方で上下に延在しており、駆動機構31は、両保持板37を一体に移動させる。これらの保持板37に各カセット11側に延出するように棒金保持機構30が取り付けられている。
【0026】
棒金保持機構30は、図3に示すように、保持板37に側方に延出するように固定されて保持板37とでキャリア41を構成するキャリア本体45と、このキャリア本体45にキャリア本体45から後方に延出するように連結された受けブロック46と、この受けブロック46に受けブロック46よりも後方に延出するように連結された押さえブロック47とを有している。すべての棒金保持機構30のキャリア本体45が保持板37に固定されていることから、保持板37および複数のキャリア本体45で構成されるキャリア41が、カセット11の長さ方向に沿って移動可能に設けられている。
【0027】
キャリア本体45には、カセット11の幅方向に沿って回動軸50が設けられており、受けブロック46は、この回動軸50に基端側が回動可能に支持されている。受けブロック46は、回動軸50から後方に延出する図4および図5に示す左右一対の延出部51と、これら延出部51の後端部同士を連結させるように左右方向に延在する先端連結部52とを有している。先端連結部52は、延出部51よりも下側に突出するように形成されている。
【0028】
ここで、受けブロック46は、キャリア本体45に対して、図示略のストッパによって、後方に延出する姿勢のまま上下に所定の角度範囲で揺動するように揺動範囲が規制されている。受けブロック46は、最も下側に下降した一側下降状態にあるとき、図8に示すように、先端連結部52を、カセット11の底面24上にある棒金Bの前後一側である前側に、棒金Bの通過を規制する高さに配置する。また、受けブロック46は、最も上側に上昇した一側上昇状態にあるとき、図9に示すように、先端連結部52を、カセット11の底面24上にある棒金Bの通過を許容する高さに配置する。
【0029】
また、受けブロック46とキャリア本体45との間には、図示は略すが、受けブロック46がキャリア本体45に対し下側に、中間の所定の付勢方向切替位置(中間所定位置)よりも揺動すると、これを下側に付勢して一側下降状態に維持する一方、受けブロック46が上側に付勢方向切替位置よりも揺動すると、これを上側に付勢して一側上昇状態に維持する図示略の受けブロック付勢スプリングが設けられている。つまり、この受けブロック付勢スプリングにより、受けブロック46はキャリア本体45に対して上下に、いわゆるスナップアクションを行う。
【0030】
図4および図5に示すように、受けブロック46の延出部51の前端側には、カセット11の幅方向に沿って回動軸55が設けられており、押さえブロック47は、この回動軸55に基端側が回動可能に支持されている。押さえブロック47は、回動軸55から受けブロック46よりもさらに後方に延出する左右一対の延出部56と、これら延出部56の後端部同士を連結させるように左右方向に延在する先端連結部57とを有している。延出部56の先端連結部57側および先端連結部57は、延出部56の先端連結部57とは反対側よりも下側に突出する湾曲状に形成されている。
【0031】
ここで、押さえブロック47は、受けブロック46に対して、図示略のストッパによって、後方に延出する姿勢のまま上下に所定の角度範囲で揺動するように揺動範囲が規制されている。押さえブロック47は、一側下降状態にある受けブロック46に対して下降した他側下降状態にあるとき、図8に示すように、先端連結部57を、カセット11の底面24上にある棒金Bの前後他側である後側に、棒金Bの通過を規制する高さに配置する。また、押さえブロック47は、一側下降状態にある受けブロック46に対して上昇した他側上昇状態にあるとき、図6に示すように、先端連結部57を、カセット11の底面24上にある棒金Bの通過を許容する高さに配置する。
【0032】
また、押さえブロック47は、図9および図10に示すように、受けブロック46が一側上昇状態にあるときには、受けブロック46に対して下側に最も下降した状態にあっても、カセット11の底面24上にある棒金Bの通過を許容する高さに配置される。
【0033】
キャリア本体45には、図5に示すように、前後に二本の回転軸60,61が設けられている。前側の回転軸60の受けブロック46側には、後方に延出するようにアーム62が固定されており、このアーム62の先端側には受けブロック46側に突出して受けブロック46の側部の係合溝63に係合する係合ピン64が固定されている。また、前側の回転軸60の受けブロック46とは反対側にも後方に延出するようにアーム65が固定されており、このアーム65の先端側には受けブロック46とは反対側に突出する作動ピン66が固定されている。この作動ピン66が昇降することで、これと一体に設けられたアーム65、回転軸60およびアーム62が回動し、アーム62に固定された係合ピン64が昇降して、受けブロック46を昇降させる。
【0034】
また、後側の回転軸61の押さえブロック47側には、後方に延出するようにアーム70が固定されており、このアーム70の先端側には押さえブロック47側に突出して押さえブロック47の係合溝71に係合する係合ピン72が固定されている。また、後側の回転軸61の押さえブロック47とは反対側にも後方に延出するようにアーム73が固定されており、このアーム73の先端側には押さえブロック47とは反対側に突出する作動ピン74が固定されている。この作動ピン74が昇降することで、これと一体に設けられたアーム73、回転軸61およびアーム70が回動し、アーム70に固定された係合ピン72が昇降して、押さえブロック47を昇降させる。
【0035】
棒金保持機構30は、図6に示すように、カセット11の後端側の所定の受取位置で停止して、棒金装填機構12からの棒金Bを受け取ることになり、カセット11には、棒金保持機構30の後端側への移動時に、受取位置より手前の所定位置で、この移動の力を利用して作動ピン66を下降させて、後述するように一側上昇状態にあった受けブロック46を付勢方向切替位置よりも下側に揺動させる、後下がり形状の下降変換部材80が固定されている。この下降変換部材80によって受けブロック46が所定の受取位置では一側下降状態となる。
【0036】
また、カセット11には、棒金保持機構30の後端側への移動時に、下降変換部材80および図示略の受けブロック付勢スプリングにより一側下降状態となる受けブロック46に対し、受取位置より手前の所定位置で、この移動の力を利用して作動ピン74を上昇させて、後述するように他側下降状態にあった押さえブロック47を上側に揺動させて、図6に示すように他側上昇状態とする後上がり形状の退避変換部材81が固定されている。なお、退避変換部材81は前部が後上がり形状をなし、中間部がカセット11の底面24と平行をなし、後部が後下がりの形状をなしており、棒金保持機構30が受取位置にあるとき作動ピン74は中間部上に位置する。
【0037】
以上により、棒金保持機構30は、図6および図7に示す受取位置にあるとき、受けブロック46をキャリア本体45に対し下側に揺動させた一側下降状態とし、押さえブロック47を受けブロック46に対し上側に揺動させた他側上昇状態とする。この状態で、棒金保持機構30から棒金Bがカセット11の幅方向に沿う姿勢でカセット11の後端部の底面24上に放出されると、この棒金Bが底面24の傾斜によって前側に移動し、押さえブロック47の下側を通って受けブロック46に当接しカセット11の幅方向に沿う姿勢で停止する(図7に示す状態)。なお、棒金保持機構30は、待機状態にあるときこの受取位置で停止することになる。また、棒金保持機構30が受取位置に位置したことを保持板37の位置から検出する図示略の受取位置センサが設けられている。
【0038】
そして、このように棒金Bを受け取った状態から棒金保持機構30がカセット11の前端側へ移動すると、その初期に、図8に示すように、退避変換部材81に沿って作動ピン74が下降し、その結果、押さえブロック47が下降して棒金Bに当接する。これにより、棒金保持機構30は、受けブロック46が一側下降状態となり、押さえブロック47が他側下降状態となって、共に下降した状態となり、カセット11の底面24上の棒金Bを上側から抱えるように保持する状態となる。言い換えれば、棒金保持機構30は棒金Bを上側から囲むように保持する状態、さらに言い換えれば、棒金保持機構30は棒金Bを上側から前後に相対移動不可に一体的に保持する状態となる。このとき、棒金Bは、前側が受けブロック46に当接し、後側が押さえブロック47に当接し、下側が底面24に当接した、軸方向視で三点支持の状態となり、棒金保持機構30のカセット11の前端側への移動で、この三点支持状態のまま前端側へ移動する。つまり、棒金保持機構30により棒金Bが、カセット11の幅方向に沿う姿勢のまま、ふらついたり、斜行したり、棒金保持機構30に対し遅れたりすることなく移動する。
【0039】
ここで、棒金保持機構30の受けブロック46には、棒金保持機構30のカセット11の前端側への移動時に、カセット11に既に収納されている棒金Bに接触して一側下降状態にあった受けブロック46を付勢方向切替位置よりも上側に揺動させる接触部83が先端連結部52における回動軸50側の下部に形成されている。
【0040】
つまり、棒金保持機構30が、上記のようにその受けブロック46を一側下降状態とし押さえブロック47を他側下降状態として棒金Bを抱えつつカセット11の前端側に移動すると、保持している棒金Bが既にカセット11に収納されている棒金Bの最後尾のものに当接した後に、受けブロック46の接触部83が既にカセット11に収納されている棒金Bの最後尾のものに当接し、その移動の力を利用してこの棒金Bに乗り上げる。これにより、受けブロック46が付勢方向切替位置よりも上側に揺動させられることになり、図9に示すように、図示略の受けブロック付勢スプリングの付勢力で一側上昇状態となる。その結果、受けブロック46および押さえブロック47が共に棒金Bから離れ、棒金Bの受けおよび押さえを解除する。このとき、接触部83が最後尾の棒金Bに接触する前に、最後尾の棒金Bに、受けブロック46および押さえブロック47で保持されていた棒金Bが当接して停止することになるが、後側の押さえブロック47は、保持していた棒金Bによって上方に揺動させられてこの棒金Bよりも前方に移動する。なお、棒金保持機構30が、受取位置に位置したときに、受けブロック46および押さえブロック47が既にカセット11に収納されている棒金Bの最後尾のものに当接することがないように、棒金Bの収納スペース(満杯量)が設定されている。つまり、カセット11の棒金Bを収納する収納スペースの後端部は、受取位置よりも前側に設定されている。
【0041】
また、カセット11には、棒金保持機構30の前端側への移動時に、棒金保持機構30で保持している棒金Bがカセット11の前端板部22に当接する直前に、この移動の力を利用して作動ピン66を上昇させて、一側下降状態にあった受けブロック46を付勢方向切替位置よりも上側に揺動させる前上がり形状の図10に示す上昇変換部材85が固定されている。
【0042】
つまり、棒金保持機構30が、その受けブロック46を一側下降状態とし押さえブロック47を他側下降状態として棒金Bを抱えつつカセット11の前端側に移動すると、カセット11にすでに収納されている棒金Bがない状態では、保持している棒金Bが前端板部22に当接する直前に、上昇変換部材85が棒金保持機構30の移動の力を利用して作動ピン66を上昇させることになり、受けブロック46が付勢方向切替位置よりも上側に揺動し図示略の受けブロック付勢スプリングの付勢力で一側上昇状態となる。これにより、受けブロック46および押さえブロック47が共に棒金Bから離れ、棒金Bの受けおよび押さえを解除する。すると、棒金保持機構30で保持されていた棒金Bが、カセット11の前端板部22に当接して停止する。なお、棒金保持機構30は、上昇変換部材85によって作動ピン66が上昇させられた後に、前端位置で一旦停止して、後端側の待機位置に戻ることになり、棒金保持機構30が前端位置に位置したことを保持板37の位置から検出する図示略の前端位置センサが設けられている。
【0043】
図1に示すように、各カセット11の上側に設けられたキャリア本体45には、最上段のカセット11の上側のキャリア本体45を除いて、図3に示すように、上側に上向きに磁気センサ(下側磁気データ検出手段)90が、下側に下向きに磁気センサ(上側磁気データ検出手段)91が、互いに一体にとなるように取り付けられている。キャリア本体45に支持された上向きの磁気センサ90は、棒金Bの並列方向に沿って移動することで、直ぐ上側のカセット11に収納されている棒金Bを下側でスキャニングしてその磁気データを底板部20に形成された図6等に示す検出溝92を介して検出する。同じキャリア本体45に支持された下向きの磁気センサ91は、棒金Bの並列方向に沿って移動することで、直ぐ下側のカセット11に収納されている棒金Bを上側でスキャニングしてその磁気データを検出する。つまり、キャリア41のうち、最上段のカセット11の上側のキャリア本体45を除くキャリア本体45は、上下に隣り合うカセット11の間位置にあってこれらカセット11に共通の支持部となり、上下に隣り合うカセット11のうちの一方上側のものに収納された棒金B用の一対の磁気センサ90,91のうちの下側の一方である磁気センサ90と、上下に隣り合うカセット11のうちの他方下側のものに収納された棒金B用の一対の磁気センサ90,91の上側の一方である磁気センサ91とを支持する。
【0044】
なお、最上段のカセット11の上側のキャリア本体45には、下向きの磁気センサ91のみが取り付けられており、最上段のカセット11の直ぐ下側のキャリア本体45の上向きの磁気センサ90と対向している。
【0045】
また、最下段のカセット11の下側には、キャリア41を構成する最下キャリア本体45Aが保持板37から延出しており、この最下キャリア本体45Aには上向きの磁気センサ90のみが取り付けられている。この磁気センサ90は、最下段のカセット11の直ぐ上側のキャリア本体45の下向きの磁気センサ91と対向している。
【0046】
ここで、すべてのカセット11のそれぞれにおいて、カセット11の直ぐ下側に設けられたキャリア本体45の上向きの磁気センサ90と、同じカセット11の直ぐ上側に設けられたキャリア本体45の下向きの磁気センサ91とが、互いにキャリア本体45の移動方向(棒金Bの並列方向)における前後左右の位置を合わせて対向し、互いの間にあるカセット11の底面24と直交する方向に配置されていて、一体に移動しつつ、このカセット11に収納された棒金Bの磁気データをそれぞれ検出する。つまり、すべてのカセット11のそれぞれにおいて、カセット11に並列状態で収納された棒金Bを直径方向において挟むように配置された一対の磁気センサ90,91が、棒金Bの並列方向に沿って一体に移動して、カセット11に収納された棒金Bの磁気データを下側および上側からそれぞれ検出する磁気データ検出部93を構成している。
【0047】
すべてのカセット11には、棒金装填機構12から放出された棒金Bを受け入れる後端部の受入位置から、棒金装填機構12からの棒金Bを棒金保持機構30によって受け取る受取位置の若干後方まで、図11に示すように、カセット11の底面24と略平行で底面24よりも上側に一段高い受入台部94が形成されている。この受入台部94には、受入位置よりも前側に上下に貫通する図12および図13に示す穴部96が形成されており、この穴部96から受入台部94上に突出可能に基準磁性部材100が設けられている。
【0048】
受入台部94の下側には、カセット11の幅方向に沿って回転軸101が位置固定で回転可能に設けられており、基準磁性部材100は、この回転軸101に固定されている。
基準磁性部材100は、図11に示すように、同心状をなして180度異なる位置に配置される一対の円弧状部102と、これら円弧状部102の円周方向の中間部同士を連結させる連結板部103とを有している。そして、基準磁性部材100は、一方の円弧状部102において、回転軸101に固定されており、両側の円弧状部102の中心軸線を回転軸101に平行させている。
【0049】
基準磁性部材100は、これが設けられるカセット11に収納されるべき棒金Bの金種と同一材質で形成されており、しかも、円弧状部102の外径が同カセット11に収納される棒金Bの硬貨と同外径に形成されている。つまり、1円硬貨の棒金Bを収納するカセット11に設けられる基準磁性部材100は、1円硬貨と同一材質且つ同径に形成されている。同様に、5円棒金用のカセット11の基準磁性部材100は、5円硬貨と同一材質且つ同径に、10円棒金用のカセット11の基準磁性部材100は、10円硬貨と同一材質且つ同径に、50円棒金用のカセット11の基準磁性部材100は、50円硬貨と同一材質且つ同径に、100円棒金用のカセット11の基準磁性部材100は、100円硬貨と同一材質且つ同径に、500円棒金用のカセット11の基準磁性部材100は、500円硬貨と同一材質且つ同径に、形成されている。
【0050】
ここで、基準磁性部材100は、上記した受入位置と受取位置との間に設けられている。また、基準磁性部材100は、カセット11の底面24上にある棒金Bと底面24から中心までの高さを合わせている。
【0051】
基準磁性部材100は、回転することで、図12および図14に示すように、カセット11の受入台部94から下に退避したり、図11、図13および図15に示すように、カセット11の受入台部94からカセット11内に突出したりする。つまり、図11、図13および図15に示すように、一対の円弧状部102を結ぶ方向が受入台部94と交差して受入台部94から突出する検出状態と、図12および図14に示すように、一対の円弧状部102を結ぶ方向が受入台部94と平行して受入台部94から退避する退避状態とに切り替え可能となっている。なお、基準磁性部材100は、退避状態に維持されるように図示略の基準磁性部材付勢スプリングで付勢されている。回転軸101には、アーム部材106が半径方向に沿って固定されている。このアーム部材106は、回転軸101とは反対側に、回転軸101と平行をなして回転可能なローラ107を有している。
【0052】
ここで、図11に示すように、検出状態にある基準磁性部材100を直径方向において挟む位置が、一対の磁気センサ90,91でこの基準磁性部材100の磁気データを検出する所定の調整位置となり、キャリア41は、磁気センサ90,91を基準磁性部材100が設けられたこの調整位置に配置可能となっている。この調整位置は、受入位置と受取位置との間、つまり受入位置と棒金Bを収納する収納スペースとの間に設けられている。棒金保持機構30の磁気センサ90,91が調整位置に位置したことを保持板37の位置から検出する図示略の調整位置センサが設けられている。そして、この基準磁性部材100が配置される調整位置がスキャニング前のキャリア41の初期位置となっている。
【0053】
図14に示すように、基準磁性部材100が退避状態にあるときアーム部材106は後下がりに突出しており、キャリア本体95が磁気センサ90,91を調整位置に位置させるように受取位置を越えて後方まで移動すると、保持板37の一部に形成された作動傾斜面110がアーム部材106のローラ107に当接してその移動力によりアーム部材106を揺動させてアーム部材106と一体に設けられた基準磁性部材100を退避状態から回転させる。そして、キャリア41が磁気センサ90,91を調整位置に配置して停止すると、図11、図13および図15に示すように、基準磁性部材100が検出状態となる。逆に、この状態からキャリア41が例えば受取位置まで移動すると、保持板37の一部の作動傾斜面110がアーム部材106のローラ107への当接を解除しつつ基準磁性部材付勢スプリングの付勢力でアーム部材106を揺動させて基準磁性部材100を図13および図14に示す退避状態に戻す。なお、棒金保持機構30の受けブロック46および押さえブロック47は、受取位置よりも後方に移動し、磁気センサ90,91が調整位置に位置する直前に、基準磁性部材100よりもカセット11の後端側に位置することになり、これら受けブロック46および押さえブロック47が、突出する基準磁性部材100に対し干渉することがないように設定されている。
【0054】
受入台部94の穴部96には、受入台部94よりも若干上側に突出する緩衝部材111が設けられている。この緩衝部材111はバネで上向きに付勢されており、棒金装填機構12から受入位置に放出された棒金Bの受入台部94への衝突を緩和する。
【0055】
図1に示すように、棒金収納装置10には、操作者により操作入力が行われる操作部120と、操作者に対して表示を行う表示部121と、全体を制御する制御部122と、データを記憶する記憶部123とが設けられている。
【0056】
「基準許容エリア設定処理」
以上の構成の棒金収納装置10において、新品時と、カセット11の取り外しを伴うメンテナンスを行った後と、前回処理から所定の使用時間が経過した後とについては、以下の基準許容エリア設定処理が実行されることになる。
【0057】
操作部120に基準許容エリア設定処理を選択する操作入力が入力されると、制御部122は、まず、後述の在り高確認処理を行って、すべてのカセット11が空の状態となっているか否かを確認する。棒金Bが残存しているカセット11があれば、棒金取出機構14により、すべての棒金Bを機外放出口13に放出させる。
【0058】
次に、制御部122は、表示部121に、すべてのカセット11にそれぞれの収納対象金種の正金種の棒金Bを予め設定された必要数(例えば10本以上、最大収容数以下)装填する処理を促す旨の表示を行う。これを見て操作者が、マニュアル操作により、すべてのカセット11にそれぞれの収納対象金種の正金種の棒金Bを予め設定された必要数、投入口15から棒金装填機構12を介して装填する。
【0059】
マニュアル操作では、操作部120への入力でカセット11が指定された状態で棒金Bを収納することになり、例えば、操作者が、最も上側のカセット11を指定して、1円硬貨の棒金Bを必要数投入口15に投入すると、後述する収納処理を行って、これらの棒金Bを最も上側のカセット11に収納することになる。同様にして、5円硬貨の棒金Bを上から二番目のカセット11に、10円硬貨の棒金Bを上から三番目のカセット11に、50円硬貨の棒金Bを上から四番目のカセット11に、100円硬貨の棒金Bを上から五番目のカセット11に、500円硬貨の棒金Bを上から最下段のカセット11に、それぞれ必要数収納することになる。
【0060】
以上のようにして、左右の多段カセット16のすべてのカセット11にそれぞれ必要数の正金種の棒金Bを収納した状態で、操作部120に、スキャニングを開始する旨の操作入力が行われると、制御部122は、モータ40を駆動して保持板37を後方に移動させる。すると、両側の保持板37が、すべての基準磁性部材100に連結されたアーム部材106のローラ107に、作動傾斜面110を図14に示すように当接させることになり、その移動力によりアーム部材106を揺動させてアーム部材106と一体に設けられた基準磁性部材100を退避状態から回転させる。そして、制御部122は、調整位置センサによって保持板37が検出されると、モータ40を停止させることになり、これにより、保持板37に設けられた作動傾斜面110が、図15に示すようにすべての基準磁性部材100を検出状態とする。また、このとき、図11に示すように、キャリア41が初期位置となり、すべての磁気データ検出部93が対向する一対の磁気センサ90,91間に基準磁性部材100を配置する状態となる。
【0061】
この状態で、制御部122は、すべての磁気データ検出部93により基準磁性部材100の磁気データを検出する。そして、記憶部123に、この調整位置で基準磁性部材100を検出して得られたキャリブレーション基準データを各磁気データ検出部93別に記憶する。
【0062】
次に、制御部122は、モータ40を駆動して初期位置から保持板37をカセット11の長さ方向の一側である前方に移動させる。すると、保持板37に設けられた作動傾斜面110が、アーム部材106の押圧を解除し、図12および図14に示すように、すべての基準磁性部材100を図示略の基準磁性部材付勢スプリングの付勢力で退避状態とした後、棒金保持機構30が受取位置を越えることになり、図8に示すように退避変換部材81に沿って作動ピン74が下降し、押さえブロック47が自重で下降して他側下降状態となり、一側下降状態にある受けブロック46と共に前方に移動する。
【0063】
そして、前方に移動する棒金保持機構30は、受けブロック46の接触部83がカセット11に収納されている棒金Bの最後尾のものに接触して上側に揺動させられることになり、その結果、図9に示すように受けブロック46が受けブロック付勢スプリングの付勢力で一側上昇状態となって、受けブロック46および押さえブロック47が共に棒金Bから上方に逃げる。
【0064】
制御部122は、その後、前端位置センサによって保持板37が検出されると、棒金保持機構30が前端位置に到達したと判断して、モータ40を停止し逆転させる。すると、両側の保持板37が後方に移動し、すべての棒金保持機構30が、受けブロック46を一側上昇状態としたまま、つまりカセット11の棒金Bよりも受けブロック46および押さえブロック47を上側に逃がした状態のまま、カセット11の長さ方向の一側である前方から他側の後方へ移動する。その結果、すべての棒金保持機構30は棒金Bと接触することなく後方に移動する。この後方への移動時に、図16に示すように、すべての磁気データ検出部93が、それぞれの磁気センサ90,91の間に棒金Bを通過させることになり、その際に制御部122が、すべての磁気データ検出部93にカセット11に収納されている棒金Bの磁気データを検出させる。そして、制御部122は、図示略の受取位置センサで保持板37が検出されると、すべてのカセット11の収納スペースに存在するすべての棒金Bを走査するようにカセット11の長さ方向の全体に亘ってすべての磁気データ検出部93が一度移動し、棒金保持機構30が受取位置に至ったと判定して、モータ40を停止させる。なお、検出にミスが生じた場合等には、もう一度、つまりカセット11の長さ方向の全体に亘って磁気データ検出部93を複数回移動させるようにする。
【0065】
ここで、制御部122は、磁気データ検出部93の磁気センサ90,91によるスキャニング時と非スキャニング時とで駆動機構31によるキャリア41の移動速度を変速し、非スキャニング時の移動速度をスキャニング時の移動速度よりも高速に切り換える。具体的には、キャリア41の初期位置であるカセット11の後方側からキャリア41を駆動機構31により前方側へ移動する場合に、スキャニング時つまりカセット11の前方側から後方側へとキャリア41を移動するときよりも、移動速度が高速となるようにモータ40を駆動制御する。そして、前端位置センサによって保持板37が検出されると、モータ40を停止し逆転させる。この逆転後には、磁気センサ90,91によるスキャニングが開始されるため、モータ40の逆転前よりも低速で且つ磁気センサ90,91の検出精度が十分に得られる移動速度のうち最も速い移動速度となるようにモータ40を駆動制御する。
【0066】
制御部122は、すべての磁気データ検出部93のそれぞれについて、下側の磁気センサ90で検出した磁気データの極大値をX軸にとり、この極大値と磁気センサ90,91の移動方向の同位置と判定できる、上側の磁気センサ91で検出した磁気データの極大値をY軸にとった点の座標を、すべての極大値について得る。なお、逆に、上側の磁気センサ91で検出した磁気データの極大値をX軸にとり、下側の磁気センサ90で検出した磁気データの極大値をY軸にとっても良い。
【0067】
具体的には、一のカセット11に対して設けられた一の磁気データ検出部93について、下側の磁気センサ90で検出した磁気データの最初の極大値をX軸にとり、上側の磁気センサ91で検出した磁気データの、この極大値と磁気センサ90,91の移動方向の同位置と判定できる極大値をY軸にとった点の座標を取得し、次に、下側の磁気センサ90で検出した磁気データの二番目の極大値をX軸にとり、上側の磁気センサ91で検出した磁気データの、この極大値と磁気センサ90,91の移動方向の同位置と判定できる極大値をY軸にとった点の座標を取得する、という処理を、下側の磁気センサ90で検出した磁気データのすべての極大値について行う。ここで、下側の磁気センサ90で検出した磁気データの最初の極大値は、最も機体前側の棒金Bが下側の磁気センサ90に最も近づいたときの磁気データであり、上側の磁気センサ91で検出した磁気データの、この極大値と磁気センサ90,91の移動方向の同位置と判定できる極大値は、最も機体前側の棒金Bが上側の磁気センサ91に最も近づいたときの磁気データであり、下側の磁気センサ90で検出した磁気データの二番目の極大値は、前から二番目の棒金Bが下側の磁気センサ90に最も近づいたときの磁気データであり、上側の磁気センサ91で検出した磁気データの、この極大値と磁気センサ90,91の移動方向の同位置と判定できる極大値は、前から二番目の棒金Bが上側の磁気センサ91に最も近づいたときの磁気データであり、その後の極大値ついても、それぞれが対応する棒金Bに近接したデータとなる。
【0068】
そして、制御部122は、上記のようにして得た点の分布から、これらの点との距離が最小となる基準直線(基準線)を最小二乗法により求める。
【0069】
つまり、(x1,y1),(x2,y2),…,(xn,yn)の点の分布に対して、基準直線の一次方程式の式を、y=ax+bとすると、aとbは、次式で求められる。
【0070】
【数1】
【0071】
そして、制御部122は、図17に示すように、上記のようにして求めた基準直線y=ax+bに基づき設定される所定範囲を基準許容エリアAとする。つまり、基準直線y=ax+bに対し、金種毎に予め設定されているマージン値cをY軸プラス方向にシフトしたy=ax+b+cと、基準直線y=ax+bに対し、金種毎に予め設定されているマージン値dをY軸マイナス方向にシフトしたy=ax+b−dと、金種毎に予め設定されているY軸方向下限値y=Lminと、金種毎に予め設定されているY軸方向上限値y=Lmaxとで囲まれた範囲を基準許容エリアAとする。
【0072】
そして、この基準許容エリアAを、この一のカセット11に対して設けられた一の磁気データ検出部93の識別と関連付けて、この一の磁気データ検出部93のキャリブレーション基準データとともに記憶部123に記憶する。ここで、マージン値c、マージン値d、Y軸方向上限値LmaxおよびY軸方向下限値Lminの各々の値については、カセット11に棒金Bを載置した状態で精査を行った際の許容される適正値を、予め実験によって棒金Bの金種毎に求めて、予め固定の設計値として記憶部123に記憶している。つまり、この固定の設計値は全ての装置に対して共通である棒金Bの金種別の固定値となっている。なお、Y軸方向下限値y=LminとY軸方向上限値y=Lmaxとで基準許容エリアを規定するのではなく、これらにかえて、X軸方向下限値x=LminとX軸方向上限値x=Lmaxとで基準許容エリアを規定することも可能である。
【0073】
以上の基準許容エリアAを、すべての磁気データ検出部93つまりすべてのカセット11について個別に規定して、それぞれに対応するキャリブレーション基準データとともに、磁気データ検出部93の識別と関連付けて記憶部123に記憶する。なお、上記した点の分布から、これらの点との距離が最小となる基準線として基準直線を求めるのではなく一次近似曲線を求めて、この一次近似曲線に基づき設定される所定範囲を基準許容エリアAとしても良い。
【0074】
「繰出処理」
操作部120に金種別の棒金数とともに繰出処理を行う旨の操作入力が行われると、制御部122は、棒金取出機構14により、対応するカセット11から一本ずつ選択的に棒金Bを取り出して、入力された金種の棒金Bをそれぞれ入力された数ずつ棒金数機外放出口13に放出する。このとき、カセット11では、棒金Bが一本取り出される度に、残りの棒金Bが自重により、並列状態を維持したまま、先頭の棒金Bを前端板部22に当接させるまで移動する。
【0075】
「収納処理」
包装部で作成した棒金Bを対応金種のカセット11に収納する場合、および投入口15に投入された棒金Bを操作部120へのマニュアル操作で指定されたカセット11に収納する場合、制御部122は、棒金装填機構12で、棒金Bを対応するカセット11の後端部に放出させる。すると、棒金Bは、カセット11の底面24をその傾斜により前方に移動する。このとき、受取位置で待機している棒金保持機構30は、図6に示すように、受けブロック46をキャリア本体45に対し下側に揺動させた一側下降状態とし、押さえブロック47を受けブロック46に対し上側に揺動させた他側上昇状態としているため、棒金Bは、図7に示すように、押さえブロック47の下側を通って受けブロック46の先端連結部52に当接しカセット11の幅方向に沿う姿勢で停止する。
【0076】
上記のように棒金装填機構12で対応するカセット11の後端部の受入位置に棒金Bを放出させた後、棒金Bが受取位置にある棒金保持機構30の受けブロック46に当接すると想定される時間経過後のタイミングで、制御部122は、モータ40を駆動して保持板37を前方に移動させる。すると、棒金保持機構30がカセット11の前端側へ向け移動し、その初期に、退避変換部材81に沿って作動ピン74が下降し、図8に示すように、押さえブロック47が自重で下降して棒金Bに当接する。これにより、棒金保持機構30の受けブロック46および押さえブロック47が受け取った棒金Bを上側から抱えるように保持する状態となって前方に移動し、棒金Bを前方に搬送する。
【0077】
そして、このカセット11に既に収納されている棒金Bがある場合、前方に移動する棒金保持機構30は、保持している棒金Bが既にカセット11に収納されている棒金Bの最後尾のものに当接した後に、受けブロック46の接触部83が既にカセット11に収納されていた棒金Bの最後尾のものに接触して、図9に示すように上側に揺動させられることになり、その結果、受けブロック46が図示略の受けブロック付勢スプリングの付勢力で一側上昇状態となり、受けブロック46および押さえブロック47が共に棒金Bから上側に逃げ、棒金Bの受けおよび押さえを解除する。
【0078】
また、既にカセット11に収納されている棒金Bがない場合、前方に移動する棒金保持機構30は、保持している棒金Bがカセット11の前端板部22に当接する直前に、図10に示すように、上昇変換部材85により作動ピン66が上昇させられることになり、受けブロック46が上方に揺動させられて図示略の受けブロック付勢スプリングの付勢力で一側上昇状態となり、受けブロック46および押さえブロック47が共に棒金Bから上側に逃げ、棒金Bの受けおよび押さえを解除する。すると、棒金保持機構30で保持されていた棒金Bが、カセット11の前端板部22に当接して停止する。
【0079】
そして、制御部122は、前端位置センサによって保持板37が検出されると、棒金保持機構30が前端位置に到達したと判断して、モータ40を停止し逆転させる。すると、保持板37が後方に移動し、棒金保持機構30も、受けブロック46を一側上昇状態としたまま、つまりカセット11の棒金Bよりも受けブロック46および押さえブロック47を上側に逃がした状態のまま、後方に移動する。
【0080】
そして、後方に移動する棒金保持機構30は、受取位置より手前の所定位置で、図6に示すように、下降変換部材80によって、作動ピン66が下降させられることになり、一側上昇状態にあった受けブロック46が下方に揺動させられて図示略の受けブロック付勢スプリングの付勢力で一側下降状態となる。また、このとき、棒金保持機構30は、退避変換部材81によって、作動ピン74が上昇させられることになり、押さえブロック47が上側に揺動させられて他側上昇状態となる。
【0081】
そして、図示略の受取位置センサで保持板37が検出されると、制御部122は、棒金保持機構30が受取位置に至ったと判定して、モータ40を停止させる。
【0082】
以上のようにして、一つのカセット11に対して、棒金装填機構12で一本ずつ棒金Bを収納する。なお、一本のみの棒金Bの収納に対しても、同じ保持板37に保持されていることから、すべての棒金保持機構30が、同様に動作することになり、その内の一つの棒金保持機構30が棒金Bを保持して搬送する。
【0083】
「在り高確認処理」
また、操作部120を介して、すべてのカセット11についての正金種の棒金の在り高を確認する在り高確認操作が入力されると、制御部122によって在り高確認処理が開始される。このとき制御部122は、磁気センサ90,91によるスキャニングの開始に伴い、すべての棒金保持機構30が受取位置にある待機状態、すなわち初期位置にあるキャリア41が移動を開始する直前に温度補正値算出処理(キャリブレーション)を行う。
【0084】
つまり、まず、モータ40を駆動して保持板37を後方に移動させる。すると、保持板37が、すべての基準磁性部材100に連結されたアーム部材106のローラ107に、作動傾斜面110を図14に示すように当接させることになり、その移動力によりアーム部材106を揺動させてアーム部材106と一体に設けられた基準磁性部材100を退避状態から回転させる。そして、制御部122は、調整位置センサによって保持板37が検出されると、モータ40を停止させることになり、これにより、保持板37に設けられた作動傾斜面110が、図15に示すようにすべての基準磁性部材100を検出状態とする。また、このとき、図11に示すように、キャリア41が初期位置となり、すべての磁気データ検出部93が対向する一対の磁気センサ90,91間に基準磁性部材100を配置する状態となる。
【0085】
この状態で、制御部122は、すべての磁気データ検出部93により基準磁性部材100の磁気データを検出する。ここで、記憶部123には、上記した基準許容エリア設定処理時に、すべての磁気データ検出部93が調整位置で基準磁性部材100を検出して得られたキャリブレーション基準データが各磁気データ検出部93別に記憶されており、このキャリブレーション基準データと、今回基準磁性部材100を検出して得られた検出データとを比較して、温度変化によるデータのずれ量(感度変化)を、予め実験的に求められた算出式にしたがって各磁気データ検出部93別に算出し、これを温度補正値として各磁気データ検出部93別に記憶部123に記憶する。これにより温度補正値算出処理が終了する。
【0086】
上記温度補正値算出処理の直後に、制御部122は、在り高確認処理を行う。つまり、まず、モータ40を駆動して初期位置からキャリア41の保持板37をカセット11の長さ方向の一側である前方に移動させる。すると、保持板37に設けられた作動傾斜面110が、アーム部材106の押圧を解除し、図12および図14に示すように、すべての基準磁性部材100を基準磁性部材付勢スプリングの付勢力で退避状態とした後、棒金保持機構30が受取位置を越えることになり、図8に示すように退避変換部材81に沿って作動ピン74が下降し、押さえブロック47が自重で下降して他側下降状態となり、一側下降状態にある受けブロック46と共に前方に移動する。
【0087】
そして、カセット11に収納されている棒金Bがある場合、前方に移動する棒金保持機構30は、受けブロック46の接触部83が既にカセット11に収納されている棒金Bの最後尾のものに接触して上側に揺動させられることになり、その結果、図9に示すように受けブロック46が受けブロック付勢スプリングの付勢力で一側上昇状態となって、受けブロック46および押さえブロック47が共に棒金Bから上方に逃げる。
【0088】
また、既にカセット11に収納されている棒金Bがない場合、前方に移動する棒金保持機構30は、図10に示すように、上昇変換部材85により作動ピン66が上昇させられることになり、受けブロック46が上方に揺動させられて受けブロック付勢スプリングの付勢力で一側上昇状態となり、受けブロック46および押さえブロック47が共に上方に移動する。
【0089】
そして、制御部122は、前端位置センサによって保持板37が検出されると、棒金保持機構30が前端位置に到達したと判断して、モータ40を停止し逆転させる。すると、キャリア41の保持板37が後方に移動し、すべての棒金保持機構30が、受けブロック46を一側上昇状態としたまま、つまりカセット11の棒金Bよりも受けブロック46および押さえブロック47を上側に逃がした状態のまま、カセット11の長さ方向の一側である前方から他側の後方へ移動する。その結果、すべての棒金保持機構30は棒金Bと接触することなく後方に移動する。この後方への移動時に、図16に示すように、磁気データ検出部93は一対の磁気センサ90,91の間に棒金Bを通過させることになり、その際に制御部122が、すべての磁気データ検出部93の磁気センサ90,91にカセット11に収納されている棒金Bの磁気データを検出させる。そして、制御部122は、図示略の受取位置センサで保持板37が検出されると、すべてのカセット11の収納スペースに存在するすべての棒金Bを走査するようにカセット11の長さ方向の全体に亘ってすべての磁気データ検出部93が一度移動し、棒金保持機構30が受取位置に至ったと判定して、モータ40を停止させる。なお、検出にミスが生じた場合等には、もう一度、つまりカセット11の長さ方向の全体に亘って磁気データ検出部93を複数回移動させるようにする。
【0090】
ここで、制御部122は、磁気データ検出部93の磁気センサ90,91によるスキャニング時と非スキャニング時とで駆動機構31によるキャリア41の移動速度を変速し、非スキャニング時の移動速度をスキャニング時の移動速度よりも高速に切り換える。具体的には、キャリア41の初期位置であるカセット11の後方側からキャリア41を駆動機構31により前方側へ移動する場合に、スキャニング時つまりカセット11の前方側から後方側へとキャリア41を移動するときよりも、移動速度が高速となるようにモータ40を駆動制御する。そして、前端位置センサによって保持板37が検出されると、モータ40を停止し逆転させる。そして、この逆転後には、磁気センサ90,91によるスキャニングが開始されるため、モータ40の逆転前よりも低速で且つ磁気センサ90,91の検出精度が十分に得られる移動速度のうち最も速い移動速度となるようにモータ40を駆動制御する。
【0091】
制御部122は、すべての磁気データ検出部93のそれぞれについて、下側の磁気センサ90で検出した磁気データおよび上側の磁気センサ91で検出した磁気データに基づいて各棒金Bが正金種であるか否かを判定することになり、具体的に、下側の磁気センサ90で検出した磁気データの極大値をX軸に、この極大値と磁気センサ90,91の移動方向の同位置と判定できる、上側の磁気センサ91で検出した磁気データの極大値をY軸にとった点が、それぞれ、予め上記のようにして記憶部123に磁気データ検出部93毎に記憶された基準許容エリアAのうちの対応する基準許容エリアAを補正した補正許容エリア内にあるか否かで正金種の棒金であるか否かを判定して、すべてのカセット11について、正金種および異金種の棒金のそれぞれの在り高を確認する。
【0092】
つまり、制御部122は、まず、上記のように、直前に上記温度補正値算出処理で求められ各磁気データ検出部93別に記憶部123に記憶された温度補正値に基づいて、各磁気データ検出部93それぞれの基準許容エリアAを、予め実験的に求められた算出式にしたがって補正する。これにより、温度補償を行った各磁気データ検出部93それぞれの補正許容エリアを求める。
【0093】
制御部122は、一のカセット11に設けられた一の磁気データ検出部93について、下側の磁気センサ90で検出した磁気データの最初の極大値をX軸にとり、この極大値と磁気センサ90,91の移動方向の同位置と判定できる、上側の磁気センサ91で検出した磁気データの極大値をY軸にとった点の座標が、この一の磁気データ検出部93用の補正許容エリア内に入るか否かを判定し、この補正許容エリア内に入れば、最初の極大値を生じる検出1本目の棒金Bが正金種の棒金Bであると判定して正金種としての計数を行い、この補正許容エリア内に入らなければ、最初の極大値を生じる検出1本目の棒金Bが異金種の棒金Bであると判定して異金種としての計数を行う。
【0094】
次に、下側の磁気センサ90で検出した磁気データの2番目の極大値をX軸にとり、この極大値と磁気センサ90,91の移動方向の同位置と判定できる、上側の磁気センサ91で検出した磁気データの極大値をY軸にとった点の座標が、この一の磁気データ検出部93用の補正許容エリア内に入るか否かを判定し、この補正許容エリア内に入れば、2番目の極大値を生じる検出2本目の棒金Bが正金種の棒金Bであると判定して正金種としての計数を行い、この補正許容エリア内に入らなければ、2番目の極大値を生じる検出2本目の棒金Bが異金種の棒金Bであると判定して異金種としての計数を行う。
【0095】
このようにして、一のカセット11に設けられたすべての棒金Bのそれぞれについて、正金種であるか否かを判定し、正金種の棒金および異金種の棒金を別々に計数する。
【0096】
以上の正金種および異金種の判定処理並びに計数処理をすべてのカセット11つまりすべての磁気データ検出部93についてそれぞれ行う。
【0097】
そして、制御部122は、同時並行で実行されたすべてのカセット11についての確認結果である、カセット11別の正常棒金の計数値と異金種棒金の計数値とを、記憶部123に記憶させるとともに表示部121に表示させることになる。これにより、在り高確認処理が終了する。なお、制御部122は、異金種棒金がある場合には、アラーム表示を表示部121に表示させる。これを見て、操作者が、異金種棒金の排除処理を行う操作入力を操作部121に入力すると、制御部は、上記と同様の繰出処理を行うことにより、異金種棒金を、それよりも前側に収納されていた棒金とともに放出口13に放出させることになる。その後、操作者は、マニュアル操作により上記した収納処理を行って、棒金Bを適正金種のカセット11に収納させることになる。
【0098】
なお、制御部122は、上記のように、各磁気データ検出部93別に記憶部123に記憶された温度補正値に基づいて、各磁気データ検出部93の基準許容エリアAを補正するのではなく、磁気データを補正し、磁気データを補正して得られた座標値と、基準許容エリアAとを比較しても良い。
【0099】
また、基準許容エリア設定処理後に実行される上記した在り高確認処理において、下側の磁気センサ90および上側の磁気センサ91でそれぞれ検出した磁気データから正金種であると判定した棒金Bの磁気データの極大値の座標を加えて、基準直線および基準許容エリアを求め直すようにしても良い。
【0100】
この場合、制御部122は、一のカセット11に設けられた一の磁気データ検出部93について、下側の磁気センサ90で検出した磁気データの最初の極大値をX軸にとり、この極大値と磁気センサ90,91の移動方向の同位置と判定できる、上側の磁気センサ91で検出した磁気データの極大値をY軸にとった点の座標が、この一の磁気データ検出部93用の補正許容エリア内に入るか否かを判定し、この補正許容エリア内に入れば、検出1本目の棒金Bが正金種の棒金Bであると判定して正金種としての計数を行う。それとともに、この点の座標を、直前の温度補正値算出処理の温度補正値に基づき逆算して温度補正前の座標に戻し、この座標を、それまでの基準直線を求めるのに用いた座標に加えて、最小二乗法により、基準直線を求め直し、この基準直線から基準許容エリアAを求め直す。
【0101】
次に、下側の磁気センサ90で検出した磁気データの2番目の極大値をX軸にとり、この極大値と磁気センサ90,91の移動方向の同位置と判定できる、上側の磁気センサ91で検出した磁気データの極大値をY軸にとった点の座標が、求め直した基準許容エリアAを、直前の温度補正値算出処理の温度補正値で補正した補正許容エリア内に入るか否かを判定し、この補正許容エリア内に入れば、検出2本目の棒金Bが正金種の棒金Bであると判定して正金種としての計数を行う。それとともに、この点の座標を、直前の温度補正値算出処理の温度補正値に基づき逆算して温度補正前の座標に戻し、この座標を、それまでの基準直線を求めるのに用いた座標に加えて、最小二乗法により、さらに基準直線を求め直し、この基準直線から基準許容エリアAをさらに求め直す。
【0102】
このようにして、一のカセット11に設けられたすべての棒金Bのそれぞれについて、正金種であるか否かを判定し、正金種の棒金である場合には、その都度、連鎖的に、基準直線および基準許容エリアAを求め直す。勿論、異金種の棒金Bである場合には、基準直線および基準許容エリアAを求め直すことは行わない。
【0103】
なお、この場合、常に、上記した基準許容エリア設定処理で設定した基準直線および基準許容エリアAを基に、基準直線および基準許容エリアAの求め直しを行っても良く、前回の在り高確認処理で求め直しを行った基準直線および基準許容エリアを基に、基準直線および基準許容エリアの求め直しを行っても良い。
【0104】
また、基準許容エリア設定処理後に実行される上記した在り高確認処理において、下側の磁気センサ90および上側の磁気センサ91でそれぞれ検出した磁気データから正金種であると判定した棒金Bの磁気データの極大値の座標を、当該磁気データと、磁気センサ90,91の移動方向の同位置と判定できる、以前の磁気データの極大値と置き換えて、基準直線および基準許容エリアAを求め直すようにしても良い。
【0105】
この場合、制御部122は、一のカセット11に設けられた一の磁気データ検出部93について、下側の磁気センサ90で検出した磁気データの最初の極大値をX軸にとり、この極大値と磁気センサ90,91の移動方向の同位置と判定できる、上側の磁気センサ91で検出した磁気データの極大値をY軸にとった点の座標が、この一の磁気データ検出部93用の補正許容エリア内に入るか否かを判定し、この補正許容エリア内に入れば、検出1本目の棒金Bが正金種の棒金Bであると判定して正金種としての計数を行う。それとともに、この点の座標を、直前の温度補正値算出処理の温度補正値に基づき逆算した温度補正前の座標に戻し、この座標を、それまでの基準直線を求めるのに用いた座標の、検出1本目の棒金Bのデータと判定できる座標と置き換えて、最小二乗法により、基準直線を求め直し、この基準直線から基準許容エリアAを求め直す。
【0106】
次に、下側の磁気センサ90で検出した磁気データの2番目の極大値をX軸にとり、この極大値と磁気センサ90,91の移動方向の同位置と判定できる、上側の磁気センサ91で検出した磁気データの極大値をY軸にとった点の座標が、求め直した基準許容エリアを、直前の温度補正値算出処理の温度補正値で補正した補正許容エリア内に入るか否かを判定し、この補正許容エリア内に入れば、検出2本目の棒金Bが正金種の棒金Bであると判定して正金種としての計数を行う。それとともに、この点の座標を、直前の温度補正値算出処理の温度補正値に基づき逆算して温度補正前の座標に戻し、この座標を、それまでの基準直線を求めるのに用いた座標の、検出2本目の棒金Bのデータと判定できる座標と置き換えて、最小二乗法により、さらに基準直線を求め直し、この基準直線から基準許容エリアをさらに求め直す。
【0107】
このようにして、一のカセット11に設けられたすべての棒金Bのそれぞれについて、正金種であるか否かを判定し、正金種の棒金である場合には、その都度、基準直線および基準許容エリアを求め直す。勿論、この場合も異金種の棒金Bである場合には、基準直線および基準許容エリアAを求め直すことは行わない。
【0108】
以上に述べた本実施形態の棒金収納装置10によれば、カセット11に着脱による位置変化や経時的な位置変化があっても、下側の磁気センサ90から離間した分だけ上側の磁気センサ91に近接し、下側の磁気センサ90に近接した分だけ上側の磁気センサ91から離間することを利用して、下側の磁気センサ90で検出した磁気データの極大値をX軸およびY軸のいずれか一方に、この極大値と磁気センサ90,91の移動方向の同位置と判定できる、上側の磁気センサ91で検出した磁気データの極大値をX軸およびY軸のいずれか他方にとった点が、所定の補正許容エリア内にある場合に、これら極大値を生じた棒金Bが正金種であると判定し、所定の補正許容エリア内にない場合に、これら極大値を生じた棒金Bが異金種であると判定することになる。したがって、カセット11に着脱による位置変化や経時的な位置変化があっても、判定精度の低下を防止することができる。
【0109】
また、カセット11に並列状態で正金種の棒金Bを収納して、これら棒金Bの磁気データを下側の磁気センサ90および上側の磁気センサ91でそれぞれ検出し、下側の磁気センサ90で検出した磁気データの極大値をX軸およびY軸のいずれか一方に、この極大値と磁気センサ90,91の移動方向の同位置と判定できる、上側の磁気センサ91で検出した磁気データ極大値をX軸およびY軸のいずれか他方にとった点の分布から、基準直線を求め、この基準直線に基づき設定される所定範囲を補正許容エリアとするため、容易かつ適正に許容エリアを設定することができる。
【0110】
また、点の分布から最小二乗法により基準直線を求めるため、基準直線を設定するアルゴリズムを容易かつ適正に基準直線を設定することができる。
【0111】
また、基準許容エリア設定処理後に、下側の磁気センサ90および上側の磁気センサ91でそれぞれ検出した磁気データから正金種であると判定した棒金Bの磁気データを加えて基準直線および基準許容エリアを求め直すことにより、基準許容エリア設定処理後の磁気データを用いた学習により基準直線および基準許容エリアを設定し直すことができる。
【0112】
また、許容エリア設定処理後に、下側の磁気センサ90および上側の磁気センサ91でそれぞれ検出した磁気データから正金種であると判定した棒金Bの磁気データを、当該磁気データと磁気センサ90,91の移動方向の同位置と判定できる、以前の磁気データと置き換えて基準直線を求め直すことにより、基準許容エリア設定処理後の磁気データを用いた学習により基準直線および基準許容エリアを設定し直すことができる。この場合、磁気センサ90,91の移動方向の同位置の以前の磁気データと置き換えるため、カセット11の特定の場所に傷やバリ、歪み等があった場合に、より良好に、基準直線および基準許容エリアを設定し直すことができる。
【0113】
なお、以上の実施形態においては、バラ硬貨から棒金Bを作成し収納する棒金収納装置10を例にとり説明したが、棒金Bが手作業で装填されて出金のみを行う棒金支払型の棒金収納装置にも、むろん適用可能である。
【符号の説明】
【0114】
10 棒金収納装置
11 カセット
90 磁気センサ(下側磁気データ検出手段)
91 磁気センサ(上側磁気データ検出手段)
A 基準許容エリア
B 棒金
【技術分野】
【0001】
本発明は、棒金を収納する棒金収納装置に関する。
【背景技術】
【0002】
棒金を並列状態でカセットに収納し、収納している棒金を出金指令に基づいて繰り出す棒金収納装置があり、このような棒金収納装置において、カセット内の棒金の在り高(本数および金種)を確認可能なものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−249139号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような棒金収納装置において、磁気データ検出手段を用いてカセット内の各棒金が正金種であるか否かを判定することを考えたが、カセットにメンテナンス時の着脱による位置変化や経時的な位置変化が生じた場合に、磁気データ検出手段との距離が変化し、判定精度が低下してしまう可能性があった。
【0005】
したがって、本発明は、判定精度の低下を防止することができる棒金収納装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、カセットに並列状態で棒金を収納し、該棒金の並列方向に沿って一体に移動する下側磁気データ検出手段および上側磁気データ検出手段により、前記カセットに収納された棒金の磁気データをそれぞれ検出し、これらの磁気データに基づいて各棒金が正金種であるか否かを判定する棒金収納装置であって、前記下側磁気データ検出手段で検出した磁気データの極大値をX軸およびY軸のいずれか一方に、該極大値と移動方向同位置と判定できる、前記上側磁気データ検出手段で検出した磁気データの極大値をX軸およびY軸のいずれか他方にとった点が、所定の許容エリア内にある場合に、これらの極大値を生じた棒金が正金種であると判定することを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記カセットに並列状態で正金種の棒金を収納して、これら棒金の磁気データを前記下側磁気データ検出手段および前記上側磁気データ検出手段でそれぞれ検出し、前記下側磁気データ検出手段で検出した磁気データの極大値をX軸およびY軸のいずれか一方に、該極大値と移動方向同位置と判定できる、前記上側磁気データ検出手段で検出した磁気データ極大値をX軸およびY軸のいずれか他方にとった点の分布から、基準線を求め、該基準線に基づき設定される所定範囲を前記許容エリアとする許容エリア設定処理を行うことを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明は、請求項2に係る発明において、前記分布から最小二乗法により前記基準線を求めることを特徴とする。
【0009】
請求項4に係る発明は、請求項2または3に係る発明において、前記許容エリア設定処理後に、前記下側磁気データ検出手段および前記上側磁気データ検出手段でそれぞれ検出した磁気データから正金種であると判定した棒金の磁気データを加えて前記基準線を求め直すことを特徴とする。
【0010】
請求項5に係る発明は、請求項2または3に係る発明において、前記許容エリア設定処理後に、前記下側磁気データ検出手段および前記上側磁気データ検出手段でそれぞれ検出した磁気データから正金種であると判定した棒金の磁気データを、当該磁気データと移動方向同位置と判定できる、以前の磁気データと置き換えて前記基準線を求め直すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明によれば、カセットに着脱による位置変化や経時的な位置変化があっても、下側磁気データ検出手段から離間した分だけ上側磁気データ検出手段に近接し、下側磁気データ検出手段に近接した分だけ上側磁気データ検出手段から離間することを利用して、下側磁気データ検出手段で検出した磁気データの極大値をX軸およびY軸のいずれか一方に、この極大値と移動方向同位置と判定できる、上側磁気データ検出手段で検出した磁気データの極大値をX軸およびY軸のいずれか他方にとった点が、所定の許容エリア内にある場合に、これらの極大値を生じた棒金が正金種であると判定することになる。したがって、カセットに着脱による位置変化や経時的な位置変化があっても、判定精度の低下を防止することができる。
【0012】
請求項2に係る発明によれば、カセットに並列状態で正金種の棒金を収納して、これら棒金の磁気データを下側磁気データ検出手段および上側磁気データ検出手段でそれぞれ検出し、下側磁気データ検出手段で検出した磁気データの極大値をX軸およびY軸のいずれか一方に、この極大値と移動方向同位置と判定できる、上側磁気データ検出手段で検出した磁気データ極大値をX軸およびY軸のいずれか他方にとった点の分布から、基準線を求め、この基準線に基づき設定される所定範囲を許容エリアとするため、容易かつ適正に許容エリアを設定することができる。
【0013】
請求項3に係る発明によれば、点の分布から最小二乗法により基準線を求めるため、基準線を設定するアルゴリズムを容易かつ適正に作成することができる。
【0014】
請求項4に係る発明によれば、許容エリア設定処理後に、下側磁気データ検出手段および上側磁気データ検出手段でそれぞれ検出した磁気データから正金種であると判定した棒金の磁気データを加えて基準線を求め直すため、許容エリア設定処理後の磁気データを用いた学習により基準線を設定し直すことができる。
【0015】
請求項5に係る発明によれば、許容エリア設定処理後に、下側磁気データ検出手段および上側磁気データ検出手段でそれぞれ検出した磁気データから正金種であると判定した棒金の磁気データを、当該磁気データと移動方向同位置と判定できる、以前の磁気データと置き換えて基準線を求め直すため、許容エリア設定処理後の磁気データを用いた学習により基準線を設定し直すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態の棒金収納装置を示す側面図である。
【図2】本発明の一実施形態の棒金収納装置におけるカセット等を示す斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態の棒金収納装置における棒金保持機構等を示す斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態の棒金収納装置における棒金保持機構を示す上側から見た斜視図である。
【図5】本発明の一実施形態の棒金収納装置における棒金保持機構を示す下側から見た斜視図である。
【図6】本発明の一実施形態の棒金収納装置におけるカセットおよび受取位置にある棒金保持機構を示す部分側断面図である。
【図7】本発明の一実施形態の棒金収納装置におけるカセットおよび受取位置にある棒金保持機構を示す部分側断面図である。
【図8】本発明の一実施形態の棒金収納装置におけるカセットおよび受取位置より前方にある棒金保持機構を示す部分側断面図である。
【図9】本発明の一実施形態の棒金収納装置におけるカセットおよび受取位置より前方にある棒金保持機構を示す部分側断面図である。
【図10】本発明の一実施形態の棒金収納装置におけるカセットおよび前端位置にある棒金保持機構を示す部分側断面図である。
【図11】本発明の一実施形態の棒金収納装置におけるカセット、調整位置にある棒金保持機構および基準磁性部材を示す部分側断面図である。
【図12】本発明の一実施形態の棒金収納装置における受入台部および退避状態にある基準磁性部材等を示す斜視図である。
【図13】本発明の一実施形態の棒金収納装置における受入台部および検出状態にある基準磁性部材等を示す斜視図である。
【図14】本発明の一実施形態の棒金収納装置における受入台部および退避状態にある基準磁性部材等を示す側面図である。
【図15】本発明の一実施形態の棒金収納装置における受入台部および検出状態にある基準磁性部材等を示す側面図である。
【図16】本発明の一実施形態の棒金収納装置における磁気データ検出部による検出状況を示す斜視図である。
【図17】本発明の一実施形態の棒金収納装置における基準許容エリアを示す線図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の一実施形態の棒金収納装置を図面を参照して以下に説明する。
【0018】
図1に示すように、本実施形態の棒金収納装置10は、上下方向に多段状に配置されたカセット11と、カセット11の機体前後方向後側に昇降可能に設けられて各カセット11に選択的に棒金Bを装填する棒金装填機構12と、カセット11の機体前後方向前側に昇降可能に設けられて各カセット11から一本ずつ選択的に棒金Bを取り出して機外放出口13に放出する棒金取出機構14とを有している。棒金収納装置10には、バラ硬貨を所定枚数ずつ集積して包装紙を巻き回し包装紙の両端部を加締めて棒金Bとする図示略の包装機構が設けられており、包装機構から送り出された棒金Bを棒金装填機構12が搬送し対応するカセット11に装填する。なお、棒金装填機構12は、包装機構から送り出された棒金B以外にも、機体後面に設けられた投入口15に機外から直接投入された棒金Bをカセット11に装填可能となっている。
【0019】
カセット11は、長さ方向を機体前後方向に向けて配置されており、長さ方向一側の前端側(機体前面側)が後端側(機体後面側)より低く、且つ幅方向を横方向(機体左右方向)に沿わせて配置されている。カセット11は、同一形状のものが水平方向の位置を合わせ上下方向に等間隔をあけて複数具体的には金種と同じ六個、多段状に配置されている。なお、図2に示すように、このように上下方向に並べられた六段のカセット11からなる多段カセット16が、機体左右方向に二列設けられており、図示は略すが各多段カセット16それぞれに図1に示す棒金装填機構12および棒金取出機構14が設けられている。
【0020】
各カセット11は金種別となっており、同一のカセット11には所定の同一金種の棒金Bのみが収納される。例えば、両側の多段カセット16はともに、最も上側のカセットに1円硬貨の棒金が、上から二番目のカセットに5円硬貨の棒金が、上から三番目のカセットに10円硬貨の棒金が、上から四番目のカセットに50円硬貨の棒金が、上から五番目のカセットに100円硬貨の棒金が、最下段のカセットに500円硬貨の棒金が、それぞれ収納される。
【0021】
各カセット11は、図1に示すように、長さ方向一側の前端側が後端側より低く、且つ幅方向を水平方向に沿わせて配置された長方形状の底板部20と、底板部20の幅方向の両側縁部から垂直に立ち上がる一対の側板部21と、底板部20の前端縁部から垂直に立ち上がる前端板部22と、両側板部21の上縁部から相互近接側に延出する上板部23とを有している。なお、図示は略すが、底板部20の前端側および前端板部22には、棒金Bの取り出し時に棒金取出機構14を通過させるための切欠部が形成されている。
【0022】
カセット11は、棒金装填機構12から送り出された棒金Bを、その長さ方向(軸線方向)をカセット11の幅方向に沿わせた姿勢で、後端部の受入位置から両側板部21の間、且つ底板部20の底面24上に受け入れることになり、棒金Bは、カセット11の傾斜によって、前端板部22から順に隙間無く当接して、カセット11の長さ方向に並列する状態で収納されることになる。
【0023】
各カセット11の上側には、それぞれ上下動可能な棒金保持機構30が設けられており、これら棒金保持機構30は、これらをカセット11の長さ方向に沿って移動させる駆動機構31に連結されている。
【0024】
駆動機構31は、最も下側のカセット11の下側でカセット11と平行に延在するスライド軸35と、このスライド軸35に摺動自在に支持されるスライドブロック36と、スライドブロック36から上方に延出する保持板37と、スライド軸35の両端側の下方に配置された一対のプーリ38と、これらプーリ38に掛けられることでスライド軸35と平行に配設される駆動ベルト39と、一方のプーリ38に連結されたモータ40とを有しており、駆動ベルト39の一部がスライドブロック36に固定されている。これにより、駆動機構31は、モータ40の正逆回転で、スライドブロック36および保持板37をカセット11の長さ方向に往復動させる。
【0025】
保持板37は、図2に示すように、各多段カセット16の左右方向側方で上下に延在しており、駆動機構31は、両保持板37を一体に移動させる。これらの保持板37に各カセット11側に延出するように棒金保持機構30が取り付けられている。
【0026】
棒金保持機構30は、図3に示すように、保持板37に側方に延出するように固定されて保持板37とでキャリア41を構成するキャリア本体45と、このキャリア本体45にキャリア本体45から後方に延出するように連結された受けブロック46と、この受けブロック46に受けブロック46よりも後方に延出するように連結された押さえブロック47とを有している。すべての棒金保持機構30のキャリア本体45が保持板37に固定されていることから、保持板37および複数のキャリア本体45で構成されるキャリア41が、カセット11の長さ方向に沿って移動可能に設けられている。
【0027】
キャリア本体45には、カセット11の幅方向に沿って回動軸50が設けられており、受けブロック46は、この回動軸50に基端側が回動可能に支持されている。受けブロック46は、回動軸50から後方に延出する図4および図5に示す左右一対の延出部51と、これら延出部51の後端部同士を連結させるように左右方向に延在する先端連結部52とを有している。先端連結部52は、延出部51よりも下側に突出するように形成されている。
【0028】
ここで、受けブロック46は、キャリア本体45に対して、図示略のストッパによって、後方に延出する姿勢のまま上下に所定の角度範囲で揺動するように揺動範囲が規制されている。受けブロック46は、最も下側に下降した一側下降状態にあるとき、図8に示すように、先端連結部52を、カセット11の底面24上にある棒金Bの前後一側である前側に、棒金Bの通過を規制する高さに配置する。また、受けブロック46は、最も上側に上昇した一側上昇状態にあるとき、図9に示すように、先端連結部52を、カセット11の底面24上にある棒金Bの通過を許容する高さに配置する。
【0029】
また、受けブロック46とキャリア本体45との間には、図示は略すが、受けブロック46がキャリア本体45に対し下側に、中間の所定の付勢方向切替位置(中間所定位置)よりも揺動すると、これを下側に付勢して一側下降状態に維持する一方、受けブロック46が上側に付勢方向切替位置よりも揺動すると、これを上側に付勢して一側上昇状態に維持する図示略の受けブロック付勢スプリングが設けられている。つまり、この受けブロック付勢スプリングにより、受けブロック46はキャリア本体45に対して上下に、いわゆるスナップアクションを行う。
【0030】
図4および図5に示すように、受けブロック46の延出部51の前端側には、カセット11の幅方向に沿って回動軸55が設けられており、押さえブロック47は、この回動軸55に基端側が回動可能に支持されている。押さえブロック47は、回動軸55から受けブロック46よりもさらに後方に延出する左右一対の延出部56と、これら延出部56の後端部同士を連結させるように左右方向に延在する先端連結部57とを有している。延出部56の先端連結部57側および先端連結部57は、延出部56の先端連結部57とは反対側よりも下側に突出する湾曲状に形成されている。
【0031】
ここで、押さえブロック47は、受けブロック46に対して、図示略のストッパによって、後方に延出する姿勢のまま上下に所定の角度範囲で揺動するように揺動範囲が規制されている。押さえブロック47は、一側下降状態にある受けブロック46に対して下降した他側下降状態にあるとき、図8に示すように、先端連結部57を、カセット11の底面24上にある棒金Bの前後他側である後側に、棒金Bの通過を規制する高さに配置する。また、押さえブロック47は、一側下降状態にある受けブロック46に対して上昇した他側上昇状態にあるとき、図6に示すように、先端連結部57を、カセット11の底面24上にある棒金Bの通過を許容する高さに配置する。
【0032】
また、押さえブロック47は、図9および図10に示すように、受けブロック46が一側上昇状態にあるときには、受けブロック46に対して下側に最も下降した状態にあっても、カセット11の底面24上にある棒金Bの通過を許容する高さに配置される。
【0033】
キャリア本体45には、図5に示すように、前後に二本の回転軸60,61が設けられている。前側の回転軸60の受けブロック46側には、後方に延出するようにアーム62が固定されており、このアーム62の先端側には受けブロック46側に突出して受けブロック46の側部の係合溝63に係合する係合ピン64が固定されている。また、前側の回転軸60の受けブロック46とは反対側にも後方に延出するようにアーム65が固定されており、このアーム65の先端側には受けブロック46とは反対側に突出する作動ピン66が固定されている。この作動ピン66が昇降することで、これと一体に設けられたアーム65、回転軸60およびアーム62が回動し、アーム62に固定された係合ピン64が昇降して、受けブロック46を昇降させる。
【0034】
また、後側の回転軸61の押さえブロック47側には、後方に延出するようにアーム70が固定されており、このアーム70の先端側には押さえブロック47側に突出して押さえブロック47の係合溝71に係合する係合ピン72が固定されている。また、後側の回転軸61の押さえブロック47とは反対側にも後方に延出するようにアーム73が固定されており、このアーム73の先端側には押さえブロック47とは反対側に突出する作動ピン74が固定されている。この作動ピン74が昇降することで、これと一体に設けられたアーム73、回転軸61およびアーム70が回動し、アーム70に固定された係合ピン72が昇降して、押さえブロック47を昇降させる。
【0035】
棒金保持機構30は、図6に示すように、カセット11の後端側の所定の受取位置で停止して、棒金装填機構12からの棒金Bを受け取ることになり、カセット11には、棒金保持機構30の後端側への移動時に、受取位置より手前の所定位置で、この移動の力を利用して作動ピン66を下降させて、後述するように一側上昇状態にあった受けブロック46を付勢方向切替位置よりも下側に揺動させる、後下がり形状の下降変換部材80が固定されている。この下降変換部材80によって受けブロック46が所定の受取位置では一側下降状態となる。
【0036】
また、カセット11には、棒金保持機構30の後端側への移動時に、下降変換部材80および図示略の受けブロック付勢スプリングにより一側下降状態となる受けブロック46に対し、受取位置より手前の所定位置で、この移動の力を利用して作動ピン74を上昇させて、後述するように他側下降状態にあった押さえブロック47を上側に揺動させて、図6に示すように他側上昇状態とする後上がり形状の退避変換部材81が固定されている。なお、退避変換部材81は前部が後上がり形状をなし、中間部がカセット11の底面24と平行をなし、後部が後下がりの形状をなしており、棒金保持機構30が受取位置にあるとき作動ピン74は中間部上に位置する。
【0037】
以上により、棒金保持機構30は、図6および図7に示す受取位置にあるとき、受けブロック46をキャリア本体45に対し下側に揺動させた一側下降状態とし、押さえブロック47を受けブロック46に対し上側に揺動させた他側上昇状態とする。この状態で、棒金保持機構30から棒金Bがカセット11の幅方向に沿う姿勢でカセット11の後端部の底面24上に放出されると、この棒金Bが底面24の傾斜によって前側に移動し、押さえブロック47の下側を通って受けブロック46に当接しカセット11の幅方向に沿う姿勢で停止する(図7に示す状態)。なお、棒金保持機構30は、待機状態にあるときこの受取位置で停止することになる。また、棒金保持機構30が受取位置に位置したことを保持板37の位置から検出する図示略の受取位置センサが設けられている。
【0038】
そして、このように棒金Bを受け取った状態から棒金保持機構30がカセット11の前端側へ移動すると、その初期に、図8に示すように、退避変換部材81に沿って作動ピン74が下降し、その結果、押さえブロック47が下降して棒金Bに当接する。これにより、棒金保持機構30は、受けブロック46が一側下降状態となり、押さえブロック47が他側下降状態となって、共に下降した状態となり、カセット11の底面24上の棒金Bを上側から抱えるように保持する状態となる。言い換えれば、棒金保持機構30は棒金Bを上側から囲むように保持する状態、さらに言い換えれば、棒金保持機構30は棒金Bを上側から前後に相対移動不可に一体的に保持する状態となる。このとき、棒金Bは、前側が受けブロック46に当接し、後側が押さえブロック47に当接し、下側が底面24に当接した、軸方向視で三点支持の状態となり、棒金保持機構30のカセット11の前端側への移動で、この三点支持状態のまま前端側へ移動する。つまり、棒金保持機構30により棒金Bが、カセット11の幅方向に沿う姿勢のまま、ふらついたり、斜行したり、棒金保持機構30に対し遅れたりすることなく移動する。
【0039】
ここで、棒金保持機構30の受けブロック46には、棒金保持機構30のカセット11の前端側への移動時に、カセット11に既に収納されている棒金Bに接触して一側下降状態にあった受けブロック46を付勢方向切替位置よりも上側に揺動させる接触部83が先端連結部52における回動軸50側の下部に形成されている。
【0040】
つまり、棒金保持機構30が、上記のようにその受けブロック46を一側下降状態とし押さえブロック47を他側下降状態として棒金Bを抱えつつカセット11の前端側に移動すると、保持している棒金Bが既にカセット11に収納されている棒金Bの最後尾のものに当接した後に、受けブロック46の接触部83が既にカセット11に収納されている棒金Bの最後尾のものに当接し、その移動の力を利用してこの棒金Bに乗り上げる。これにより、受けブロック46が付勢方向切替位置よりも上側に揺動させられることになり、図9に示すように、図示略の受けブロック付勢スプリングの付勢力で一側上昇状態となる。その結果、受けブロック46および押さえブロック47が共に棒金Bから離れ、棒金Bの受けおよび押さえを解除する。このとき、接触部83が最後尾の棒金Bに接触する前に、最後尾の棒金Bに、受けブロック46および押さえブロック47で保持されていた棒金Bが当接して停止することになるが、後側の押さえブロック47は、保持していた棒金Bによって上方に揺動させられてこの棒金Bよりも前方に移動する。なお、棒金保持機構30が、受取位置に位置したときに、受けブロック46および押さえブロック47が既にカセット11に収納されている棒金Bの最後尾のものに当接することがないように、棒金Bの収納スペース(満杯量)が設定されている。つまり、カセット11の棒金Bを収納する収納スペースの後端部は、受取位置よりも前側に設定されている。
【0041】
また、カセット11には、棒金保持機構30の前端側への移動時に、棒金保持機構30で保持している棒金Bがカセット11の前端板部22に当接する直前に、この移動の力を利用して作動ピン66を上昇させて、一側下降状態にあった受けブロック46を付勢方向切替位置よりも上側に揺動させる前上がり形状の図10に示す上昇変換部材85が固定されている。
【0042】
つまり、棒金保持機構30が、その受けブロック46を一側下降状態とし押さえブロック47を他側下降状態として棒金Bを抱えつつカセット11の前端側に移動すると、カセット11にすでに収納されている棒金Bがない状態では、保持している棒金Bが前端板部22に当接する直前に、上昇変換部材85が棒金保持機構30の移動の力を利用して作動ピン66を上昇させることになり、受けブロック46が付勢方向切替位置よりも上側に揺動し図示略の受けブロック付勢スプリングの付勢力で一側上昇状態となる。これにより、受けブロック46および押さえブロック47が共に棒金Bから離れ、棒金Bの受けおよび押さえを解除する。すると、棒金保持機構30で保持されていた棒金Bが、カセット11の前端板部22に当接して停止する。なお、棒金保持機構30は、上昇変換部材85によって作動ピン66が上昇させられた後に、前端位置で一旦停止して、後端側の待機位置に戻ることになり、棒金保持機構30が前端位置に位置したことを保持板37の位置から検出する図示略の前端位置センサが設けられている。
【0043】
図1に示すように、各カセット11の上側に設けられたキャリア本体45には、最上段のカセット11の上側のキャリア本体45を除いて、図3に示すように、上側に上向きに磁気センサ(下側磁気データ検出手段)90が、下側に下向きに磁気センサ(上側磁気データ検出手段)91が、互いに一体にとなるように取り付けられている。キャリア本体45に支持された上向きの磁気センサ90は、棒金Bの並列方向に沿って移動することで、直ぐ上側のカセット11に収納されている棒金Bを下側でスキャニングしてその磁気データを底板部20に形成された図6等に示す検出溝92を介して検出する。同じキャリア本体45に支持された下向きの磁気センサ91は、棒金Bの並列方向に沿って移動することで、直ぐ下側のカセット11に収納されている棒金Bを上側でスキャニングしてその磁気データを検出する。つまり、キャリア41のうち、最上段のカセット11の上側のキャリア本体45を除くキャリア本体45は、上下に隣り合うカセット11の間位置にあってこれらカセット11に共通の支持部となり、上下に隣り合うカセット11のうちの一方上側のものに収納された棒金B用の一対の磁気センサ90,91のうちの下側の一方である磁気センサ90と、上下に隣り合うカセット11のうちの他方下側のものに収納された棒金B用の一対の磁気センサ90,91の上側の一方である磁気センサ91とを支持する。
【0044】
なお、最上段のカセット11の上側のキャリア本体45には、下向きの磁気センサ91のみが取り付けられており、最上段のカセット11の直ぐ下側のキャリア本体45の上向きの磁気センサ90と対向している。
【0045】
また、最下段のカセット11の下側には、キャリア41を構成する最下キャリア本体45Aが保持板37から延出しており、この最下キャリア本体45Aには上向きの磁気センサ90のみが取り付けられている。この磁気センサ90は、最下段のカセット11の直ぐ上側のキャリア本体45の下向きの磁気センサ91と対向している。
【0046】
ここで、すべてのカセット11のそれぞれにおいて、カセット11の直ぐ下側に設けられたキャリア本体45の上向きの磁気センサ90と、同じカセット11の直ぐ上側に設けられたキャリア本体45の下向きの磁気センサ91とが、互いにキャリア本体45の移動方向(棒金Bの並列方向)における前後左右の位置を合わせて対向し、互いの間にあるカセット11の底面24と直交する方向に配置されていて、一体に移動しつつ、このカセット11に収納された棒金Bの磁気データをそれぞれ検出する。つまり、すべてのカセット11のそれぞれにおいて、カセット11に並列状態で収納された棒金Bを直径方向において挟むように配置された一対の磁気センサ90,91が、棒金Bの並列方向に沿って一体に移動して、カセット11に収納された棒金Bの磁気データを下側および上側からそれぞれ検出する磁気データ検出部93を構成している。
【0047】
すべてのカセット11には、棒金装填機構12から放出された棒金Bを受け入れる後端部の受入位置から、棒金装填機構12からの棒金Bを棒金保持機構30によって受け取る受取位置の若干後方まで、図11に示すように、カセット11の底面24と略平行で底面24よりも上側に一段高い受入台部94が形成されている。この受入台部94には、受入位置よりも前側に上下に貫通する図12および図13に示す穴部96が形成されており、この穴部96から受入台部94上に突出可能に基準磁性部材100が設けられている。
【0048】
受入台部94の下側には、カセット11の幅方向に沿って回転軸101が位置固定で回転可能に設けられており、基準磁性部材100は、この回転軸101に固定されている。
基準磁性部材100は、図11に示すように、同心状をなして180度異なる位置に配置される一対の円弧状部102と、これら円弧状部102の円周方向の中間部同士を連結させる連結板部103とを有している。そして、基準磁性部材100は、一方の円弧状部102において、回転軸101に固定されており、両側の円弧状部102の中心軸線を回転軸101に平行させている。
【0049】
基準磁性部材100は、これが設けられるカセット11に収納されるべき棒金Bの金種と同一材質で形成されており、しかも、円弧状部102の外径が同カセット11に収納される棒金Bの硬貨と同外径に形成されている。つまり、1円硬貨の棒金Bを収納するカセット11に設けられる基準磁性部材100は、1円硬貨と同一材質且つ同径に形成されている。同様に、5円棒金用のカセット11の基準磁性部材100は、5円硬貨と同一材質且つ同径に、10円棒金用のカセット11の基準磁性部材100は、10円硬貨と同一材質且つ同径に、50円棒金用のカセット11の基準磁性部材100は、50円硬貨と同一材質且つ同径に、100円棒金用のカセット11の基準磁性部材100は、100円硬貨と同一材質且つ同径に、500円棒金用のカセット11の基準磁性部材100は、500円硬貨と同一材質且つ同径に、形成されている。
【0050】
ここで、基準磁性部材100は、上記した受入位置と受取位置との間に設けられている。また、基準磁性部材100は、カセット11の底面24上にある棒金Bと底面24から中心までの高さを合わせている。
【0051】
基準磁性部材100は、回転することで、図12および図14に示すように、カセット11の受入台部94から下に退避したり、図11、図13および図15に示すように、カセット11の受入台部94からカセット11内に突出したりする。つまり、図11、図13および図15に示すように、一対の円弧状部102を結ぶ方向が受入台部94と交差して受入台部94から突出する検出状態と、図12および図14に示すように、一対の円弧状部102を結ぶ方向が受入台部94と平行して受入台部94から退避する退避状態とに切り替え可能となっている。なお、基準磁性部材100は、退避状態に維持されるように図示略の基準磁性部材付勢スプリングで付勢されている。回転軸101には、アーム部材106が半径方向に沿って固定されている。このアーム部材106は、回転軸101とは反対側に、回転軸101と平行をなして回転可能なローラ107を有している。
【0052】
ここで、図11に示すように、検出状態にある基準磁性部材100を直径方向において挟む位置が、一対の磁気センサ90,91でこの基準磁性部材100の磁気データを検出する所定の調整位置となり、キャリア41は、磁気センサ90,91を基準磁性部材100が設けられたこの調整位置に配置可能となっている。この調整位置は、受入位置と受取位置との間、つまり受入位置と棒金Bを収納する収納スペースとの間に設けられている。棒金保持機構30の磁気センサ90,91が調整位置に位置したことを保持板37の位置から検出する図示略の調整位置センサが設けられている。そして、この基準磁性部材100が配置される調整位置がスキャニング前のキャリア41の初期位置となっている。
【0053】
図14に示すように、基準磁性部材100が退避状態にあるときアーム部材106は後下がりに突出しており、キャリア本体95が磁気センサ90,91を調整位置に位置させるように受取位置を越えて後方まで移動すると、保持板37の一部に形成された作動傾斜面110がアーム部材106のローラ107に当接してその移動力によりアーム部材106を揺動させてアーム部材106と一体に設けられた基準磁性部材100を退避状態から回転させる。そして、キャリア41が磁気センサ90,91を調整位置に配置して停止すると、図11、図13および図15に示すように、基準磁性部材100が検出状態となる。逆に、この状態からキャリア41が例えば受取位置まで移動すると、保持板37の一部の作動傾斜面110がアーム部材106のローラ107への当接を解除しつつ基準磁性部材付勢スプリングの付勢力でアーム部材106を揺動させて基準磁性部材100を図13および図14に示す退避状態に戻す。なお、棒金保持機構30の受けブロック46および押さえブロック47は、受取位置よりも後方に移動し、磁気センサ90,91が調整位置に位置する直前に、基準磁性部材100よりもカセット11の後端側に位置することになり、これら受けブロック46および押さえブロック47が、突出する基準磁性部材100に対し干渉することがないように設定されている。
【0054】
受入台部94の穴部96には、受入台部94よりも若干上側に突出する緩衝部材111が設けられている。この緩衝部材111はバネで上向きに付勢されており、棒金装填機構12から受入位置に放出された棒金Bの受入台部94への衝突を緩和する。
【0055】
図1に示すように、棒金収納装置10には、操作者により操作入力が行われる操作部120と、操作者に対して表示を行う表示部121と、全体を制御する制御部122と、データを記憶する記憶部123とが設けられている。
【0056】
「基準許容エリア設定処理」
以上の構成の棒金収納装置10において、新品時と、カセット11の取り外しを伴うメンテナンスを行った後と、前回処理から所定の使用時間が経過した後とについては、以下の基準許容エリア設定処理が実行されることになる。
【0057】
操作部120に基準許容エリア設定処理を選択する操作入力が入力されると、制御部122は、まず、後述の在り高確認処理を行って、すべてのカセット11が空の状態となっているか否かを確認する。棒金Bが残存しているカセット11があれば、棒金取出機構14により、すべての棒金Bを機外放出口13に放出させる。
【0058】
次に、制御部122は、表示部121に、すべてのカセット11にそれぞれの収納対象金種の正金種の棒金Bを予め設定された必要数(例えば10本以上、最大収容数以下)装填する処理を促す旨の表示を行う。これを見て操作者が、マニュアル操作により、すべてのカセット11にそれぞれの収納対象金種の正金種の棒金Bを予め設定された必要数、投入口15から棒金装填機構12を介して装填する。
【0059】
マニュアル操作では、操作部120への入力でカセット11が指定された状態で棒金Bを収納することになり、例えば、操作者が、最も上側のカセット11を指定して、1円硬貨の棒金Bを必要数投入口15に投入すると、後述する収納処理を行って、これらの棒金Bを最も上側のカセット11に収納することになる。同様にして、5円硬貨の棒金Bを上から二番目のカセット11に、10円硬貨の棒金Bを上から三番目のカセット11に、50円硬貨の棒金Bを上から四番目のカセット11に、100円硬貨の棒金Bを上から五番目のカセット11に、500円硬貨の棒金Bを上から最下段のカセット11に、それぞれ必要数収納することになる。
【0060】
以上のようにして、左右の多段カセット16のすべてのカセット11にそれぞれ必要数の正金種の棒金Bを収納した状態で、操作部120に、スキャニングを開始する旨の操作入力が行われると、制御部122は、モータ40を駆動して保持板37を後方に移動させる。すると、両側の保持板37が、すべての基準磁性部材100に連結されたアーム部材106のローラ107に、作動傾斜面110を図14に示すように当接させることになり、その移動力によりアーム部材106を揺動させてアーム部材106と一体に設けられた基準磁性部材100を退避状態から回転させる。そして、制御部122は、調整位置センサによって保持板37が検出されると、モータ40を停止させることになり、これにより、保持板37に設けられた作動傾斜面110が、図15に示すようにすべての基準磁性部材100を検出状態とする。また、このとき、図11に示すように、キャリア41が初期位置となり、すべての磁気データ検出部93が対向する一対の磁気センサ90,91間に基準磁性部材100を配置する状態となる。
【0061】
この状態で、制御部122は、すべての磁気データ検出部93により基準磁性部材100の磁気データを検出する。そして、記憶部123に、この調整位置で基準磁性部材100を検出して得られたキャリブレーション基準データを各磁気データ検出部93別に記憶する。
【0062】
次に、制御部122は、モータ40を駆動して初期位置から保持板37をカセット11の長さ方向の一側である前方に移動させる。すると、保持板37に設けられた作動傾斜面110が、アーム部材106の押圧を解除し、図12および図14に示すように、すべての基準磁性部材100を図示略の基準磁性部材付勢スプリングの付勢力で退避状態とした後、棒金保持機構30が受取位置を越えることになり、図8に示すように退避変換部材81に沿って作動ピン74が下降し、押さえブロック47が自重で下降して他側下降状態となり、一側下降状態にある受けブロック46と共に前方に移動する。
【0063】
そして、前方に移動する棒金保持機構30は、受けブロック46の接触部83がカセット11に収納されている棒金Bの最後尾のものに接触して上側に揺動させられることになり、その結果、図9に示すように受けブロック46が受けブロック付勢スプリングの付勢力で一側上昇状態となって、受けブロック46および押さえブロック47が共に棒金Bから上方に逃げる。
【0064】
制御部122は、その後、前端位置センサによって保持板37が検出されると、棒金保持機構30が前端位置に到達したと判断して、モータ40を停止し逆転させる。すると、両側の保持板37が後方に移動し、すべての棒金保持機構30が、受けブロック46を一側上昇状態としたまま、つまりカセット11の棒金Bよりも受けブロック46および押さえブロック47を上側に逃がした状態のまま、カセット11の長さ方向の一側である前方から他側の後方へ移動する。その結果、すべての棒金保持機構30は棒金Bと接触することなく後方に移動する。この後方への移動時に、図16に示すように、すべての磁気データ検出部93が、それぞれの磁気センサ90,91の間に棒金Bを通過させることになり、その際に制御部122が、すべての磁気データ検出部93にカセット11に収納されている棒金Bの磁気データを検出させる。そして、制御部122は、図示略の受取位置センサで保持板37が検出されると、すべてのカセット11の収納スペースに存在するすべての棒金Bを走査するようにカセット11の長さ方向の全体に亘ってすべての磁気データ検出部93が一度移動し、棒金保持機構30が受取位置に至ったと判定して、モータ40を停止させる。なお、検出にミスが生じた場合等には、もう一度、つまりカセット11の長さ方向の全体に亘って磁気データ検出部93を複数回移動させるようにする。
【0065】
ここで、制御部122は、磁気データ検出部93の磁気センサ90,91によるスキャニング時と非スキャニング時とで駆動機構31によるキャリア41の移動速度を変速し、非スキャニング時の移動速度をスキャニング時の移動速度よりも高速に切り換える。具体的には、キャリア41の初期位置であるカセット11の後方側からキャリア41を駆動機構31により前方側へ移動する場合に、スキャニング時つまりカセット11の前方側から後方側へとキャリア41を移動するときよりも、移動速度が高速となるようにモータ40を駆動制御する。そして、前端位置センサによって保持板37が検出されると、モータ40を停止し逆転させる。この逆転後には、磁気センサ90,91によるスキャニングが開始されるため、モータ40の逆転前よりも低速で且つ磁気センサ90,91の検出精度が十分に得られる移動速度のうち最も速い移動速度となるようにモータ40を駆動制御する。
【0066】
制御部122は、すべての磁気データ検出部93のそれぞれについて、下側の磁気センサ90で検出した磁気データの極大値をX軸にとり、この極大値と磁気センサ90,91の移動方向の同位置と判定できる、上側の磁気センサ91で検出した磁気データの極大値をY軸にとった点の座標を、すべての極大値について得る。なお、逆に、上側の磁気センサ91で検出した磁気データの極大値をX軸にとり、下側の磁気センサ90で検出した磁気データの極大値をY軸にとっても良い。
【0067】
具体的には、一のカセット11に対して設けられた一の磁気データ検出部93について、下側の磁気センサ90で検出した磁気データの最初の極大値をX軸にとり、上側の磁気センサ91で検出した磁気データの、この極大値と磁気センサ90,91の移動方向の同位置と判定できる極大値をY軸にとった点の座標を取得し、次に、下側の磁気センサ90で検出した磁気データの二番目の極大値をX軸にとり、上側の磁気センサ91で検出した磁気データの、この極大値と磁気センサ90,91の移動方向の同位置と判定できる極大値をY軸にとった点の座標を取得する、という処理を、下側の磁気センサ90で検出した磁気データのすべての極大値について行う。ここで、下側の磁気センサ90で検出した磁気データの最初の極大値は、最も機体前側の棒金Bが下側の磁気センサ90に最も近づいたときの磁気データであり、上側の磁気センサ91で検出した磁気データの、この極大値と磁気センサ90,91の移動方向の同位置と判定できる極大値は、最も機体前側の棒金Bが上側の磁気センサ91に最も近づいたときの磁気データであり、下側の磁気センサ90で検出した磁気データの二番目の極大値は、前から二番目の棒金Bが下側の磁気センサ90に最も近づいたときの磁気データであり、上側の磁気センサ91で検出した磁気データの、この極大値と磁気センサ90,91の移動方向の同位置と判定できる極大値は、前から二番目の棒金Bが上側の磁気センサ91に最も近づいたときの磁気データであり、その後の極大値ついても、それぞれが対応する棒金Bに近接したデータとなる。
【0068】
そして、制御部122は、上記のようにして得た点の分布から、これらの点との距離が最小となる基準直線(基準線)を最小二乗法により求める。
【0069】
つまり、(x1,y1),(x2,y2),…,(xn,yn)の点の分布に対して、基準直線の一次方程式の式を、y=ax+bとすると、aとbは、次式で求められる。
【0070】
【数1】
【0071】
そして、制御部122は、図17に示すように、上記のようにして求めた基準直線y=ax+bに基づき設定される所定範囲を基準許容エリアAとする。つまり、基準直線y=ax+bに対し、金種毎に予め設定されているマージン値cをY軸プラス方向にシフトしたy=ax+b+cと、基準直線y=ax+bに対し、金種毎に予め設定されているマージン値dをY軸マイナス方向にシフトしたy=ax+b−dと、金種毎に予め設定されているY軸方向下限値y=Lminと、金種毎に予め設定されているY軸方向上限値y=Lmaxとで囲まれた範囲を基準許容エリアAとする。
【0072】
そして、この基準許容エリアAを、この一のカセット11に対して設けられた一の磁気データ検出部93の識別と関連付けて、この一の磁気データ検出部93のキャリブレーション基準データとともに記憶部123に記憶する。ここで、マージン値c、マージン値d、Y軸方向上限値LmaxおよびY軸方向下限値Lminの各々の値については、カセット11に棒金Bを載置した状態で精査を行った際の許容される適正値を、予め実験によって棒金Bの金種毎に求めて、予め固定の設計値として記憶部123に記憶している。つまり、この固定の設計値は全ての装置に対して共通である棒金Bの金種別の固定値となっている。なお、Y軸方向下限値y=LminとY軸方向上限値y=Lmaxとで基準許容エリアを規定するのではなく、これらにかえて、X軸方向下限値x=LminとX軸方向上限値x=Lmaxとで基準許容エリアを規定することも可能である。
【0073】
以上の基準許容エリアAを、すべての磁気データ検出部93つまりすべてのカセット11について個別に規定して、それぞれに対応するキャリブレーション基準データとともに、磁気データ検出部93の識別と関連付けて記憶部123に記憶する。なお、上記した点の分布から、これらの点との距離が最小となる基準線として基準直線を求めるのではなく一次近似曲線を求めて、この一次近似曲線に基づき設定される所定範囲を基準許容エリアAとしても良い。
【0074】
「繰出処理」
操作部120に金種別の棒金数とともに繰出処理を行う旨の操作入力が行われると、制御部122は、棒金取出機構14により、対応するカセット11から一本ずつ選択的に棒金Bを取り出して、入力された金種の棒金Bをそれぞれ入力された数ずつ棒金数機外放出口13に放出する。このとき、カセット11では、棒金Bが一本取り出される度に、残りの棒金Bが自重により、並列状態を維持したまま、先頭の棒金Bを前端板部22に当接させるまで移動する。
【0075】
「収納処理」
包装部で作成した棒金Bを対応金種のカセット11に収納する場合、および投入口15に投入された棒金Bを操作部120へのマニュアル操作で指定されたカセット11に収納する場合、制御部122は、棒金装填機構12で、棒金Bを対応するカセット11の後端部に放出させる。すると、棒金Bは、カセット11の底面24をその傾斜により前方に移動する。このとき、受取位置で待機している棒金保持機構30は、図6に示すように、受けブロック46をキャリア本体45に対し下側に揺動させた一側下降状態とし、押さえブロック47を受けブロック46に対し上側に揺動させた他側上昇状態としているため、棒金Bは、図7に示すように、押さえブロック47の下側を通って受けブロック46の先端連結部52に当接しカセット11の幅方向に沿う姿勢で停止する。
【0076】
上記のように棒金装填機構12で対応するカセット11の後端部の受入位置に棒金Bを放出させた後、棒金Bが受取位置にある棒金保持機構30の受けブロック46に当接すると想定される時間経過後のタイミングで、制御部122は、モータ40を駆動して保持板37を前方に移動させる。すると、棒金保持機構30がカセット11の前端側へ向け移動し、その初期に、退避変換部材81に沿って作動ピン74が下降し、図8に示すように、押さえブロック47が自重で下降して棒金Bに当接する。これにより、棒金保持機構30の受けブロック46および押さえブロック47が受け取った棒金Bを上側から抱えるように保持する状態となって前方に移動し、棒金Bを前方に搬送する。
【0077】
そして、このカセット11に既に収納されている棒金Bがある場合、前方に移動する棒金保持機構30は、保持している棒金Bが既にカセット11に収納されている棒金Bの最後尾のものに当接した後に、受けブロック46の接触部83が既にカセット11に収納されていた棒金Bの最後尾のものに接触して、図9に示すように上側に揺動させられることになり、その結果、受けブロック46が図示略の受けブロック付勢スプリングの付勢力で一側上昇状態となり、受けブロック46および押さえブロック47が共に棒金Bから上側に逃げ、棒金Bの受けおよび押さえを解除する。
【0078】
また、既にカセット11に収納されている棒金Bがない場合、前方に移動する棒金保持機構30は、保持している棒金Bがカセット11の前端板部22に当接する直前に、図10に示すように、上昇変換部材85により作動ピン66が上昇させられることになり、受けブロック46が上方に揺動させられて図示略の受けブロック付勢スプリングの付勢力で一側上昇状態となり、受けブロック46および押さえブロック47が共に棒金Bから上側に逃げ、棒金Bの受けおよび押さえを解除する。すると、棒金保持機構30で保持されていた棒金Bが、カセット11の前端板部22に当接して停止する。
【0079】
そして、制御部122は、前端位置センサによって保持板37が検出されると、棒金保持機構30が前端位置に到達したと判断して、モータ40を停止し逆転させる。すると、保持板37が後方に移動し、棒金保持機構30も、受けブロック46を一側上昇状態としたまま、つまりカセット11の棒金Bよりも受けブロック46および押さえブロック47を上側に逃がした状態のまま、後方に移動する。
【0080】
そして、後方に移動する棒金保持機構30は、受取位置より手前の所定位置で、図6に示すように、下降変換部材80によって、作動ピン66が下降させられることになり、一側上昇状態にあった受けブロック46が下方に揺動させられて図示略の受けブロック付勢スプリングの付勢力で一側下降状態となる。また、このとき、棒金保持機構30は、退避変換部材81によって、作動ピン74が上昇させられることになり、押さえブロック47が上側に揺動させられて他側上昇状態となる。
【0081】
そして、図示略の受取位置センサで保持板37が検出されると、制御部122は、棒金保持機構30が受取位置に至ったと判定して、モータ40を停止させる。
【0082】
以上のようにして、一つのカセット11に対して、棒金装填機構12で一本ずつ棒金Bを収納する。なお、一本のみの棒金Bの収納に対しても、同じ保持板37に保持されていることから、すべての棒金保持機構30が、同様に動作することになり、その内の一つの棒金保持機構30が棒金Bを保持して搬送する。
【0083】
「在り高確認処理」
また、操作部120を介して、すべてのカセット11についての正金種の棒金の在り高を確認する在り高確認操作が入力されると、制御部122によって在り高確認処理が開始される。このとき制御部122は、磁気センサ90,91によるスキャニングの開始に伴い、すべての棒金保持機構30が受取位置にある待機状態、すなわち初期位置にあるキャリア41が移動を開始する直前に温度補正値算出処理(キャリブレーション)を行う。
【0084】
つまり、まず、モータ40を駆動して保持板37を後方に移動させる。すると、保持板37が、すべての基準磁性部材100に連結されたアーム部材106のローラ107に、作動傾斜面110を図14に示すように当接させることになり、その移動力によりアーム部材106を揺動させてアーム部材106と一体に設けられた基準磁性部材100を退避状態から回転させる。そして、制御部122は、調整位置センサによって保持板37が検出されると、モータ40を停止させることになり、これにより、保持板37に設けられた作動傾斜面110が、図15に示すようにすべての基準磁性部材100を検出状態とする。また、このとき、図11に示すように、キャリア41が初期位置となり、すべての磁気データ検出部93が対向する一対の磁気センサ90,91間に基準磁性部材100を配置する状態となる。
【0085】
この状態で、制御部122は、すべての磁気データ検出部93により基準磁性部材100の磁気データを検出する。ここで、記憶部123には、上記した基準許容エリア設定処理時に、すべての磁気データ検出部93が調整位置で基準磁性部材100を検出して得られたキャリブレーション基準データが各磁気データ検出部93別に記憶されており、このキャリブレーション基準データと、今回基準磁性部材100を検出して得られた検出データとを比較して、温度変化によるデータのずれ量(感度変化)を、予め実験的に求められた算出式にしたがって各磁気データ検出部93別に算出し、これを温度補正値として各磁気データ検出部93別に記憶部123に記憶する。これにより温度補正値算出処理が終了する。
【0086】
上記温度補正値算出処理の直後に、制御部122は、在り高確認処理を行う。つまり、まず、モータ40を駆動して初期位置からキャリア41の保持板37をカセット11の長さ方向の一側である前方に移動させる。すると、保持板37に設けられた作動傾斜面110が、アーム部材106の押圧を解除し、図12および図14に示すように、すべての基準磁性部材100を基準磁性部材付勢スプリングの付勢力で退避状態とした後、棒金保持機構30が受取位置を越えることになり、図8に示すように退避変換部材81に沿って作動ピン74が下降し、押さえブロック47が自重で下降して他側下降状態となり、一側下降状態にある受けブロック46と共に前方に移動する。
【0087】
そして、カセット11に収納されている棒金Bがある場合、前方に移動する棒金保持機構30は、受けブロック46の接触部83が既にカセット11に収納されている棒金Bの最後尾のものに接触して上側に揺動させられることになり、その結果、図9に示すように受けブロック46が受けブロック付勢スプリングの付勢力で一側上昇状態となって、受けブロック46および押さえブロック47が共に棒金Bから上方に逃げる。
【0088】
また、既にカセット11に収納されている棒金Bがない場合、前方に移動する棒金保持機構30は、図10に示すように、上昇変換部材85により作動ピン66が上昇させられることになり、受けブロック46が上方に揺動させられて受けブロック付勢スプリングの付勢力で一側上昇状態となり、受けブロック46および押さえブロック47が共に上方に移動する。
【0089】
そして、制御部122は、前端位置センサによって保持板37が検出されると、棒金保持機構30が前端位置に到達したと判断して、モータ40を停止し逆転させる。すると、キャリア41の保持板37が後方に移動し、すべての棒金保持機構30が、受けブロック46を一側上昇状態としたまま、つまりカセット11の棒金Bよりも受けブロック46および押さえブロック47を上側に逃がした状態のまま、カセット11の長さ方向の一側である前方から他側の後方へ移動する。その結果、すべての棒金保持機構30は棒金Bと接触することなく後方に移動する。この後方への移動時に、図16に示すように、磁気データ検出部93は一対の磁気センサ90,91の間に棒金Bを通過させることになり、その際に制御部122が、すべての磁気データ検出部93の磁気センサ90,91にカセット11に収納されている棒金Bの磁気データを検出させる。そして、制御部122は、図示略の受取位置センサで保持板37が検出されると、すべてのカセット11の収納スペースに存在するすべての棒金Bを走査するようにカセット11の長さ方向の全体に亘ってすべての磁気データ検出部93が一度移動し、棒金保持機構30が受取位置に至ったと判定して、モータ40を停止させる。なお、検出にミスが生じた場合等には、もう一度、つまりカセット11の長さ方向の全体に亘って磁気データ検出部93を複数回移動させるようにする。
【0090】
ここで、制御部122は、磁気データ検出部93の磁気センサ90,91によるスキャニング時と非スキャニング時とで駆動機構31によるキャリア41の移動速度を変速し、非スキャニング時の移動速度をスキャニング時の移動速度よりも高速に切り換える。具体的には、キャリア41の初期位置であるカセット11の後方側からキャリア41を駆動機構31により前方側へ移動する場合に、スキャニング時つまりカセット11の前方側から後方側へとキャリア41を移動するときよりも、移動速度が高速となるようにモータ40を駆動制御する。そして、前端位置センサによって保持板37が検出されると、モータ40を停止し逆転させる。そして、この逆転後には、磁気センサ90,91によるスキャニングが開始されるため、モータ40の逆転前よりも低速で且つ磁気センサ90,91の検出精度が十分に得られる移動速度のうち最も速い移動速度となるようにモータ40を駆動制御する。
【0091】
制御部122は、すべての磁気データ検出部93のそれぞれについて、下側の磁気センサ90で検出した磁気データおよび上側の磁気センサ91で検出した磁気データに基づいて各棒金Bが正金種であるか否かを判定することになり、具体的に、下側の磁気センサ90で検出した磁気データの極大値をX軸に、この極大値と磁気センサ90,91の移動方向の同位置と判定できる、上側の磁気センサ91で検出した磁気データの極大値をY軸にとった点が、それぞれ、予め上記のようにして記憶部123に磁気データ検出部93毎に記憶された基準許容エリアAのうちの対応する基準許容エリアAを補正した補正許容エリア内にあるか否かで正金種の棒金であるか否かを判定して、すべてのカセット11について、正金種および異金種の棒金のそれぞれの在り高を確認する。
【0092】
つまり、制御部122は、まず、上記のように、直前に上記温度補正値算出処理で求められ各磁気データ検出部93別に記憶部123に記憶された温度補正値に基づいて、各磁気データ検出部93それぞれの基準許容エリアAを、予め実験的に求められた算出式にしたがって補正する。これにより、温度補償を行った各磁気データ検出部93それぞれの補正許容エリアを求める。
【0093】
制御部122は、一のカセット11に設けられた一の磁気データ検出部93について、下側の磁気センサ90で検出した磁気データの最初の極大値をX軸にとり、この極大値と磁気センサ90,91の移動方向の同位置と判定できる、上側の磁気センサ91で検出した磁気データの極大値をY軸にとった点の座標が、この一の磁気データ検出部93用の補正許容エリア内に入るか否かを判定し、この補正許容エリア内に入れば、最初の極大値を生じる検出1本目の棒金Bが正金種の棒金Bであると判定して正金種としての計数を行い、この補正許容エリア内に入らなければ、最初の極大値を生じる検出1本目の棒金Bが異金種の棒金Bであると判定して異金種としての計数を行う。
【0094】
次に、下側の磁気センサ90で検出した磁気データの2番目の極大値をX軸にとり、この極大値と磁気センサ90,91の移動方向の同位置と判定できる、上側の磁気センサ91で検出した磁気データの極大値をY軸にとった点の座標が、この一の磁気データ検出部93用の補正許容エリア内に入るか否かを判定し、この補正許容エリア内に入れば、2番目の極大値を生じる検出2本目の棒金Bが正金種の棒金Bであると判定して正金種としての計数を行い、この補正許容エリア内に入らなければ、2番目の極大値を生じる検出2本目の棒金Bが異金種の棒金Bであると判定して異金種としての計数を行う。
【0095】
このようにして、一のカセット11に設けられたすべての棒金Bのそれぞれについて、正金種であるか否かを判定し、正金種の棒金および異金種の棒金を別々に計数する。
【0096】
以上の正金種および異金種の判定処理並びに計数処理をすべてのカセット11つまりすべての磁気データ検出部93についてそれぞれ行う。
【0097】
そして、制御部122は、同時並行で実行されたすべてのカセット11についての確認結果である、カセット11別の正常棒金の計数値と異金種棒金の計数値とを、記憶部123に記憶させるとともに表示部121に表示させることになる。これにより、在り高確認処理が終了する。なお、制御部122は、異金種棒金がある場合には、アラーム表示を表示部121に表示させる。これを見て、操作者が、異金種棒金の排除処理を行う操作入力を操作部121に入力すると、制御部は、上記と同様の繰出処理を行うことにより、異金種棒金を、それよりも前側に収納されていた棒金とともに放出口13に放出させることになる。その後、操作者は、マニュアル操作により上記した収納処理を行って、棒金Bを適正金種のカセット11に収納させることになる。
【0098】
なお、制御部122は、上記のように、各磁気データ検出部93別に記憶部123に記憶された温度補正値に基づいて、各磁気データ検出部93の基準許容エリアAを補正するのではなく、磁気データを補正し、磁気データを補正して得られた座標値と、基準許容エリアAとを比較しても良い。
【0099】
また、基準許容エリア設定処理後に実行される上記した在り高確認処理において、下側の磁気センサ90および上側の磁気センサ91でそれぞれ検出した磁気データから正金種であると判定した棒金Bの磁気データの極大値の座標を加えて、基準直線および基準許容エリアを求め直すようにしても良い。
【0100】
この場合、制御部122は、一のカセット11に設けられた一の磁気データ検出部93について、下側の磁気センサ90で検出した磁気データの最初の極大値をX軸にとり、この極大値と磁気センサ90,91の移動方向の同位置と判定できる、上側の磁気センサ91で検出した磁気データの極大値をY軸にとった点の座標が、この一の磁気データ検出部93用の補正許容エリア内に入るか否かを判定し、この補正許容エリア内に入れば、検出1本目の棒金Bが正金種の棒金Bであると判定して正金種としての計数を行う。それとともに、この点の座標を、直前の温度補正値算出処理の温度補正値に基づき逆算して温度補正前の座標に戻し、この座標を、それまでの基準直線を求めるのに用いた座標に加えて、最小二乗法により、基準直線を求め直し、この基準直線から基準許容エリアAを求め直す。
【0101】
次に、下側の磁気センサ90で検出した磁気データの2番目の極大値をX軸にとり、この極大値と磁気センサ90,91の移動方向の同位置と判定できる、上側の磁気センサ91で検出した磁気データの極大値をY軸にとった点の座標が、求め直した基準許容エリアAを、直前の温度補正値算出処理の温度補正値で補正した補正許容エリア内に入るか否かを判定し、この補正許容エリア内に入れば、検出2本目の棒金Bが正金種の棒金Bであると判定して正金種としての計数を行う。それとともに、この点の座標を、直前の温度補正値算出処理の温度補正値に基づき逆算して温度補正前の座標に戻し、この座標を、それまでの基準直線を求めるのに用いた座標に加えて、最小二乗法により、さらに基準直線を求め直し、この基準直線から基準許容エリアAをさらに求め直す。
【0102】
このようにして、一のカセット11に設けられたすべての棒金Bのそれぞれについて、正金種であるか否かを判定し、正金種の棒金である場合には、その都度、連鎖的に、基準直線および基準許容エリアAを求め直す。勿論、異金種の棒金Bである場合には、基準直線および基準許容エリアAを求め直すことは行わない。
【0103】
なお、この場合、常に、上記した基準許容エリア設定処理で設定した基準直線および基準許容エリアAを基に、基準直線および基準許容エリアAの求め直しを行っても良く、前回の在り高確認処理で求め直しを行った基準直線および基準許容エリアを基に、基準直線および基準許容エリアの求め直しを行っても良い。
【0104】
また、基準許容エリア設定処理後に実行される上記した在り高確認処理において、下側の磁気センサ90および上側の磁気センサ91でそれぞれ検出した磁気データから正金種であると判定した棒金Bの磁気データの極大値の座標を、当該磁気データと、磁気センサ90,91の移動方向の同位置と判定できる、以前の磁気データの極大値と置き換えて、基準直線および基準許容エリアAを求め直すようにしても良い。
【0105】
この場合、制御部122は、一のカセット11に設けられた一の磁気データ検出部93について、下側の磁気センサ90で検出した磁気データの最初の極大値をX軸にとり、この極大値と磁気センサ90,91の移動方向の同位置と判定できる、上側の磁気センサ91で検出した磁気データの極大値をY軸にとった点の座標が、この一の磁気データ検出部93用の補正許容エリア内に入るか否かを判定し、この補正許容エリア内に入れば、検出1本目の棒金Bが正金種の棒金Bであると判定して正金種としての計数を行う。それとともに、この点の座標を、直前の温度補正値算出処理の温度補正値に基づき逆算した温度補正前の座標に戻し、この座標を、それまでの基準直線を求めるのに用いた座標の、検出1本目の棒金Bのデータと判定できる座標と置き換えて、最小二乗法により、基準直線を求め直し、この基準直線から基準許容エリアAを求め直す。
【0106】
次に、下側の磁気センサ90で検出した磁気データの2番目の極大値をX軸にとり、この極大値と磁気センサ90,91の移動方向の同位置と判定できる、上側の磁気センサ91で検出した磁気データの極大値をY軸にとった点の座標が、求め直した基準許容エリアを、直前の温度補正値算出処理の温度補正値で補正した補正許容エリア内に入るか否かを判定し、この補正許容エリア内に入れば、検出2本目の棒金Bが正金種の棒金Bであると判定して正金種としての計数を行う。それとともに、この点の座標を、直前の温度補正値算出処理の温度補正値に基づき逆算して温度補正前の座標に戻し、この座標を、それまでの基準直線を求めるのに用いた座標の、検出2本目の棒金Bのデータと判定できる座標と置き換えて、最小二乗法により、さらに基準直線を求め直し、この基準直線から基準許容エリアをさらに求め直す。
【0107】
このようにして、一のカセット11に設けられたすべての棒金Bのそれぞれについて、正金種であるか否かを判定し、正金種の棒金である場合には、その都度、基準直線および基準許容エリアを求め直す。勿論、この場合も異金種の棒金Bである場合には、基準直線および基準許容エリアAを求め直すことは行わない。
【0108】
以上に述べた本実施形態の棒金収納装置10によれば、カセット11に着脱による位置変化や経時的な位置変化があっても、下側の磁気センサ90から離間した分だけ上側の磁気センサ91に近接し、下側の磁気センサ90に近接した分だけ上側の磁気センサ91から離間することを利用して、下側の磁気センサ90で検出した磁気データの極大値をX軸およびY軸のいずれか一方に、この極大値と磁気センサ90,91の移動方向の同位置と判定できる、上側の磁気センサ91で検出した磁気データの極大値をX軸およびY軸のいずれか他方にとった点が、所定の補正許容エリア内にある場合に、これら極大値を生じた棒金Bが正金種であると判定し、所定の補正許容エリア内にない場合に、これら極大値を生じた棒金Bが異金種であると判定することになる。したがって、カセット11に着脱による位置変化や経時的な位置変化があっても、判定精度の低下を防止することができる。
【0109】
また、カセット11に並列状態で正金種の棒金Bを収納して、これら棒金Bの磁気データを下側の磁気センサ90および上側の磁気センサ91でそれぞれ検出し、下側の磁気センサ90で検出した磁気データの極大値をX軸およびY軸のいずれか一方に、この極大値と磁気センサ90,91の移動方向の同位置と判定できる、上側の磁気センサ91で検出した磁気データ極大値をX軸およびY軸のいずれか他方にとった点の分布から、基準直線を求め、この基準直線に基づき設定される所定範囲を補正許容エリアとするため、容易かつ適正に許容エリアを設定することができる。
【0110】
また、点の分布から最小二乗法により基準直線を求めるため、基準直線を設定するアルゴリズムを容易かつ適正に基準直線を設定することができる。
【0111】
また、基準許容エリア設定処理後に、下側の磁気センサ90および上側の磁気センサ91でそれぞれ検出した磁気データから正金種であると判定した棒金Bの磁気データを加えて基準直線および基準許容エリアを求め直すことにより、基準許容エリア設定処理後の磁気データを用いた学習により基準直線および基準許容エリアを設定し直すことができる。
【0112】
また、許容エリア設定処理後に、下側の磁気センサ90および上側の磁気センサ91でそれぞれ検出した磁気データから正金種であると判定した棒金Bの磁気データを、当該磁気データと磁気センサ90,91の移動方向の同位置と判定できる、以前の磁気データと置き換えて基準直線を求め直すことにより、基準許容エリア設定処理後の磁気データを用いた学習により基準直線および基準許容エリアを設定し直すことができる。この場合、磁気センサ90,91の移動方向の同位置の以前の磁気データと置き換えるため、カセット11の特定の場所に傷やバリ、歪み等があった場合に、より良好に、基準直線および基準許容エリアを設定し直すことができる。
【0113】
なお、以上の実施形態においては、バラ硬貨から棒金Bを作成し収納する棒金収納装置10を例にとり説明したが、棒金Bが手作業で装填されて出金のみを行う棒金支払型の棒金収納装置にも、むろん適用可能である。
【符号の説明】
【0114】
10 棒金収納装置
11 カセット
90 磁気センサ(下側磁気データ検出手段)
91 磁気センサ(上側磁気データ検出手段)
A 基準許容エリア
B 棒金
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カセットに並列状態で棒金を収納し、該棒金の並列方向に沿って一体に移動する下側磁気データ検出手段および上側磁気データ検出手段により、前記カセットに収納された棒金の磁気データをそれぞれ検出し、これらの磁気データに基づいて各棒金が正金種であるか否かを判定する棒金収納装置であって、
前記下側磁気データ検出手段で検出した磁気データの極大値をX軸およびY軸のいずれか一方に、該極大値と移動方向同位置と判定できる、前記上側磁気データ検出手段で検出した磁気データの極大値をX軸およびY軸のいずれか他方にとった点が、所定の許容エリア内にある場合に、これらの極大値を生じた棒金が正金種であると判定することを特徴とする棒金収納装置。
【請求項2】
前記カセットに並列状態で正金種の棒金を収納して、これら棒金の磁気データを前記下側磁気データ検出手段および前記上側磁気データ検出手段でそれぞれ検出し、前記下側磁気データ検出手段で検出した磁気データの極大値をX軸およびY軸のいずれか一方に、該極大値と移動方向同位置と判定できる、前記上側磁気データ検出手段で検出した磁気データ極大値をX軸およびY軸のいずれか他方にとった点の分布から、基準線を求め、該基準線に基づき設定される所定範囲を前記許容エリアとする許容エリア設定処理を行うことを特徴とする請求項1記載の棒金収納装置。
【請求項3】
前記分布から最小二乗法により前記基準線を求めることを特徴とする請求項2記載の棒金収納装置。
【請求項4】
前記許容エリア設定処理後に、前記下側磁気データ検出手段および前記上側磁気データ検出手段でそれぞれ検出した磁気データから正金種であると判定した棒金の磁気データを加えて前記基準線を求め直すことを特徴とする請求項2または3記載の棒金収納装置。
【請求項5】
前記許容エリア設定処理後に、前記下側磁気データ検出手段および前記上側磁気データ検出手段でそれぞれ検出した磁気データから正金種であると判定した棒金の磁気データを、当該磁気データと移動方向同位置と判定できる、以前の磁気データと置き換えて前記基準線を求め直すことを特徴とする請求項2または3記載の棒金収納装置。
【請求項1】
カセットに並列状態で棒金を収納し、該棒金の並列方向に沿って一体に移動する下側磁気データ検出手段および上側磁気データ検出手段により、前記カセットに収納された棒金の磁気データをそれぞれ検出し、これらの磁気データに基づいて各棒金が正金種であるか否かを判定する棒金収納装置であって、
前記下側磁気データ検出手段で検出した磁気データの極大値をX軸およびY軸のいずれか一方に、該極大値と移動方向同位置と判定できる、前記上側磁気データ検出手段で検出した磁気データの極大値をX軸およびY軸のいずれか他方にとった点が、所定の許容エリア内にある場合に、これらの極大値を生じた棒金が正金種であると判定することを特徴とする棒金収納装置。
【請求項2】
前記カセットに並列状態で正金種の棒金を収納して、これら棒金の磁気データを前記下側磁気データ検出手段および前記上側磁気データ検出手段でそれぞれ検出し、前記下側磁気データ検出手段で検出した磁気データの極大値をX軸およびY軸のいずれか一方に、該極大値と移動方向同位置と判定できる、前記上側磁気データ検出手段で検出した磁気データ極大値をX軸およびY軸のいずれか他方にとった点の分布から、基準線を求め、該基準線に基づき設定される所定範囲を前記許容エリアとする許容エリア設定処理を行うことを特徴とする請求項1記載の棒金収納装置。
【請求項3】
前記分布から最小二乗法により前記基準線を求めることを特徴とする請求項2記載の棒金収納装置。
【請求項4】
前記許容エリア設定処理後に、前記下側磁気データ検出手段および前記上側磁気データ検出手段でそれぞれ検出した磁気データから正金種であると判定した棒金の磁気データを加えて前記基準線を求め直すことを特徴とする請求項2または3記載の棒金収納装置。
【請求項5】
前記許容エリア設定処理後に、前記下側磁気データ検出手段および前記上側磁気データ検出手段でそれぞれ検出した磁気データから正金種であると判定した棒金の磁気データを、当該磁気データと移動方向同位置と判定できる、以前の磁気データと置き換えて前記基準線を求め直すことを特徴とする請求項2または3記載の棒金収納装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
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【図10】
【図11】
【図12】
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【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−58915(P2012−58915A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−200061(P2010−200061)
【出願日】平成22年9月7日(2010.9.7)
【出願人】(500265501)ローレル精機株式会社 (191)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月7日(2010.9.7)
【出願人】(500265501)ローレル精機株式会社 (191)
【Fターム(参考)】
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