説明

棚板昇降装置

【課題】複数の棚板の上下移動可能とする棚板昇降装置に関し、特に、各棚板間を連結する部材の断裂を防止しつつ、長期にわたって棚板の水平状態を維持可能な棚板昇降装置を提供する。
【解決手段】食器保管庫1に内蔵された棚板昇降装置100は、昇降駆動機構120によって、棚板吊下ワイヤ102を巻き取り又は引き出すことにより、連結チェーン部材104により相互に連結された複数枚の棚板4を上昇・下降させる。そして、複数のリング部材104aを連環して構成される連結チェーン部材104は、或るリング部材104aに対して棚板4に形成された取付ピン111を挿通することで、各棚板4を連結する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の棚板に対象物を載置し、保存、収納する食器保管庫、冷温蔵庫等に用いられ、棚板を上下移動可能とする棚板昇降装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、食器保管庫や冷温蔵庫においては、庫内スベースを有効に活用しつつ、使用者の収納時における利便性を目的として、棚板昇降装置を用いたものが存在する。これらの棚板昇降装置を用いることにより、食器保管庫等に対象物を収納する際に、使用者が収納しやすい高さに棚板の位置を変更することが可能となるので、収納時の利便性の点で非常に有用である。そして、棚板昇降装置を用いた場合には、最上段の棚板を所望の位置まで下げることができるため、通常では、使用者の手が届かず、最上段の棚板にも対象物を収納することができない収納室上部の空間を有効に活用することができるという利点も有している。
【0003】
ここで、このような棚板昇降装置として、特許文献1に記載された棚板昇降装置が知られている。特許文献1に記載された棚板昇降装置は、上部に配設された駆動モータと、当該駆動モータと最上段の棚板の四隅を接続する吊下ワイヤと、各棚板の四隅を連結する連結ワイヤとで構成されている。従って、特許文献1記載の棚板昇降装置では、駆動モータを駆動することで、各棚板を昇降させることができる。
【特許文献1】特開平5−178414号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1記載の棚板昇降装置では、棚板を昇降させていくと、連結ワイヤにたわみが生じる。連結ワイヤのたわみが生じる方向は、何等の規制設けていないため、たわんだ連結ワイヤが庫内側(即ち、棚板の載置面側)に突出することがある。
そして、各棚板を昇降移動させた結果、各棚板は順次積層されていくので、庫内側に突出した連結ワイヤは、上下に位置する棚板により挟まれ、折曲することになる。この結果、棚板に挟まれ、折曲した部分の連結ワイヤの強度が低下することになるので、連結ワイヤが断裂する危険性が高い。特に、棚板に対象物を載置している状態で連結ワイヤが断裂すると、当該棚板上の対象物が落下してしまうため、非常に危険であった。
【0005】
又、棚板上には、対象物として重量物が載置される場合がある。この場合、対象物と棚板を4本の連結ワイヤで吊り下げることになるので、対象物の重量により、連結ワイヤに伸びが生じる。各連結ワイヤに生じる伸びは棚板上における対象物の配置によって夫々相違するので、棚板昇降装置の使用を継続していくと、棚板を水平状態に維持することができなくなってしまっていた。
【0006】
本発明は、前記従来の問題点を解消するためになされたものであり、複数の棚板の上下移動可能とする棚板昇降装置に関し、特に、各棚板間を連結する部材の断裂を防止しつつ、長期にわたって棚板の水平状態を維持可能な棚板昇降装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため請求項1に係る棚板昇降装置は、複数枚の棚板と、前記複数枚の棚板の上下移動を行う駆動手段と、前記複数枚の棚板の内、最上段の棚板の4点と、前記駆動手段とを接続する吊り下げ部材と、複数の輪状部材が連環されて構成され、各棚板の間を連結する鎖部材と、棚板側部の両端部に形成され、前記輪状部材が挿通される取付ピンと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に係る棚板昇降装置は、複数枚の棚板の内、最上段の棚板の4点が、吊り下げ部材によって、駆動手段に接続されており、各棚板の間は、鎖部材により連結されている。従って、駆動手段を駆動することにより、各棚板は上下に移動することになる。
そして、鎖部材は、複数の輪状部材が連環されて構成されているので、各輪状部材との連環部分で自在に曲がる。即ち、各棚板を上下移動させた結果、連結する部材が撓んだ場合であっても、鎖部材は自重によりそのまま垂れ下がるので、棚板上に当該鎖部材が突出することはなく、邪魔になることはない。又、鎖部材が上下の棚板に挟まれた結果、鎖部材に折曲部が形成されるが、上述したように、連結チェーン部材104の連環部分で自在に曲がるので、ワイヤのように折曲部が変形して強度低下を起こすことはない。
更に、棚板側部の両端部に形成された取付ピンを、鎖部材を構成する輪状部材に挿通することで、各棚板を鎖部材で連結することができるので、棚板昇降装置を容易に製造することができる。又、鎖部材は同一形状の輪状部材を複数個連環して構成されているので、鎖部材上端から同じ位置の輪状部材に取付ピンを挿通するだけで、容易に棚板を水平状態に取り付けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を具体化した棚板昇降装置を食器保管庫1に適用した一実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
本実施形態に係る食器保管庫1は、後述するように、棚板昇降装置100を構成する各棚板4に、食器9が入れられた食器カゴ10を載置し、加熱消毒しつつ収納保管すると共に、当該棚板昇降装置100により、棚板4を上下に昇降移動可能に保持している。
ここで、外装と内装との間にグラスウール等の断熱材を充填した断熱構造のパネル(例えば、サイドパネル2、リアパネル)により、食器保管庫1には、保管庫本体3及び機械室5が形成されている。そして、保管庫本体3には、食器9が収納される収納部12等が形成されている。一方、保管庫本体3上部に形成された機械室5には、食器保管庫1の運転制御に係る電装部品(例えば、送風機18等)が収納される。
【0010】
図1に示すように、食器保管庫1の左右両側面は、内部に断熱材が充填されたサイドパネル2によって構成されている。
そして、これら2枚のサイドパネル2の間には、隔離板25が配設される。即ち、隔離板25の左右両端は、夫々サイドパネル2と当接し、ネジ止め固定されている。この隔離板25は、機械室5の底面、且つ、保管庫本体3の天井面を構成する。尚、隔離板25には、ヒータ19の配線を通すヒータ穴(図示せず)と、食器保管庫1内部の空気を循環させる送風機18が取り付けられる取付開口が穿設されている。
食器保管庫1の下方には、両サイドパネル2の間に、内部に断熱材が充填された底面パネル24が配設される。
そして、食器保管庫1背面には、内部に断熱材が充填されたリアパネル(図示せず)が配設される。当該リアパネルは、保管庫本体3下面より機械室5の上面までの長さを有し、各サイドパネル2と当接する幅を有して形成されている。
【0011】
そして、食器保管庫1前面には、観音開き可能な断熱性の扉13が配設されている(図1、図2参照)。この扉13を閉めると、保管庫本体3内部には、両サイドパネル2、リアパネル、扉13、底面パネル24、隔離板25により、断熱空間が形成される。そして、当該断熱空間内には、後述するように収納部12が形成されている。
【0012】
上述したように、保管庫本体3上部には、機械室5が形成されている。当該機械室5は、サイドパネル2上部、隔離板25、トップパネル30、フロントパネル32、背面パネル(図示せず)により構成されている。
トップパネル30は、機械室5の上方を覆うように配設されており、サイドパネル2上縁部にネジ止め固定されている。即ち、トップパネル30は、機械室5の上面、且つ、食器保管庫1の上面を構成する。背面パネルは、機械室5背面を閉塞するように、リアパネルの上方に配設されている。この背面パネルは、両側のサイドパネル2に対してネジ止め固定されている。
一方、機械室5の前面には、フロントパネル32が配設されている。このフロントパネル32は、機械室5前面の上部を閉塞しており、両側のサイドパネル2にネジ止め固定されている。尚、機械室5内部には、送風機18や棚板昇降装置100を構成する昇降駆動機構120等の各種装置が配設されている。
【0013】
そして、フロントパネル32下縁には、メンテナンス用扉20が上下方向に回動自在に配設されている(図1、図6参照)。メンテナンス用扉20は、食器保管庫1前面の内、フロントパネル32下端部から扉13上端部を閉塞するように構成されている。この点、フロントパネル32下縁は隔離板25よりも上方に位置しているので、当該メンテナンス用扉20を開放することにより、収納部12上部及び機械室5に対するメンテナンス作業が可能となる。
ここで、扉13の回動軸上部近傍には、保持ステー22が配設されている(図6参照)。この保持ステー22は、扉13の回動軸上部近傍において、上下方向に回動可能に配設されている。従って、保持ステー22を上方に回動し、保持ステー22端部を当該メンテナンス用扉20に形成されている支持部(図示せず)に取り付けることで、メンテナンス用扉20の開放状態を維持することができる(図6参照)。これにより、扉13、メンテナンス用扉20の開放状態を維持することができる。扉13、メンテナンス用扉20の開放状態では収納部12全体を視認することができるので、清掃や修理等のメンテナンス作業を容易に行うことができる。又、扉13、メンテナンス用扉20を開放すると、収納部12前面の全領域が開放されるので、収納部12内に収納されている食器9、食器カゴ10を容易に取り出すことも可能となる。
【0014】
又、メンテナンス用扉20の下端部には、操作パネル26が脱着可能に配設されている。操作パネル26は、一面が開放された略箱型形状に形成されており、当該開放面に対向する一面には、食器保管庫1に対する運転操作が行われる操作部26aが形成されている。本実施形態に係る食器保管庫1では、この操作部26aの操作により、収納部12内の温度制御や、後述する送風機18、ヒータ19等の運転制御が行われる。
そして、食器保管庫1の側面には、操作パネル26側部近傍に、昇降操作部55が配設されている。この昇降操作部55には、上昇ボタン56、下降ボタン57等が配設されており、食器保管庫1に内蔵されている棚板昇降装置100による各棚板4の昇降移動に対する操作が行われる。
【0015】
ここで、操作パネル26の取付構造について、図面を参照しつつ詳細に説明する。図4は、操作パネル26の取付構造を模式的に示す断面説明図である。尚、この図4では、操作パネル26の一端部に対応する部分の断面を模式的に示している。
図4に示すように、メンテナンス用扉20下部には、その両端部に夫々2つの取付ネジ21が配設されている。これらの取付ネジ21のネジ頭下面は、メンテナンス用扉20表面より所定寸法離間している。
一方、操作パネル26の両端部は、メンテナンス用扉20表面と当接する折曲部が形成されており、当該折曲部には、取付ネジ21に対応する位置に取付孔27が穿設されている。この取付孔27は、取付ネジ21のネジ頭外径よりも大きな内径を有する第1孔と、前記第1孔の径より小さく、取付ネジ21のネジ部外径よりやや大きい内径を有する第2孔が連穿されて構成されている。
又、操作パネル26下面には、幅方向両端部に夫々2箇所の一時保持孔28を備える延出部26bが形成されている。この一時保持孔28は、上述した取付孔27と同様に、第1孔、第2孔を連穿して構成されている。
【0016】
メンテナンス用扉20に対して操作パネル26を通常の状態(例えば、図1、図2に示す状態)で配設する際には、取付孔27下部を構成する第1孔に対して、夫々対応する取付ネジ21のネジ頭を挿通する。各取付ネジ21のネジ頭を取付孔27の第1孔に挿通した後、操作パネル26は、重力により下方に移動する(図4(A)参照)。これにより、取付ネジ21は、取付孔27の上部にあたる第2孔に位置することになる。この図4(A)に示す状態においては、取付ネジ21が取付孔27の第2孔に位置するので、取付ネジ21のネジ頭とメンテナンス用扉20表面により、操作パネル26は、水平方向に移動することはない。つまり、操作パネル26は、メンテナンス用扉20から容易に脱落することはなく、所定位置に配設される。
【0017】
ここで、図5に示すように、操作パネル26の開放面を上方に向けてメンテナンス用扉20に取り付ける場合(以下、図5に示す状態をメンテナンス状態という)について説明する。
操作パネル26をメンテナンス状態でメンテナンス用扉20に取り付ける場合、取付ネジ21のネジ頭を、夫々に対応する一時保持孔28の第1孔に対して挿通する。尚、このメンテナンス状態において、一時保持孔28の第1孔は下側に位置し、第2孔が上方に位置している。各取付ネジ21のネジ頭を一時保持孔28の第1孔に挿通すると、操作パネル26は、重力により下方に移動する(図4(B)参照)。これにより、取付ネジ21は、一時保持孔28の第2孔部分に位置する。この図4(B)に示す状態においても、取付ネジ21のネジ頭とメンテナンス用扉20表面により、操作パネル26は、メンテナンス用扉20から容易に脱落することはなく、所定位置に保持される。
そして、操作パネル26をメンテナンス状態でメンテナンス用扉20に一時的に取り付けることにより、作業者は、メンテナンス作業時に両手を用いて作業を行うことができ、操作パネル26に係るメンテナンス作業を容易に行うことができる。又、操作パネル26の開放面が上方となるので、操作パネル26に内蔵されている基板等に対して、直接、メンテナンス作業を行うことができる。
【0018】
尚、操作パネル26の取付態様を、通常状態からメンテナンス状態又はメンテナンス状態から通常状態に変更する場合には、操作パネル26を取付ネジ21のネジ頭に第1孔が位置するように上方に移動させ、操作パネル26を水平方向手前側に移動させることで、操作パネル26をメンテナンス用扉20から取り外すことができる。
【0019】
次に、食器保管庫1の収納部12内の構成について、図面を参照しつつ詳細に説明する。図3は、食器保管庫1における空気の流れを示す説明図である。
図3に示すように、保管庫本体3の内部には、その内壁と一定の空間14(図3参照)を保持して収納部12が配設されている。この収納部12内部には、後述する棚板昇降装置100を構成する複数の棚板4が配設されている。従って、各棚板4に対して食器9を収容した食器カゴ10を載置することで、収納部12内部に、食器9を収納・保管することが可能である(図3参照)。
又、棚板4は、長方形状に形成された棚フレーム4aに対して、複数のパイプ材4bを所定の間隔で列設固定して構成されている(図2〜図7参照)。従って、本実施形態に係る棚板4では、複数のパイプ材4bで構成される載置面を、容易に空気が通過することができる(図3参照)。
【0020】
そして、空間14は、保管庫本体3内部において、収納部12の上面、側面、底部に夫々形成されており、相互に連通している。ここで、収納部12天井面には、その中央部に吸込口16が開口されている。従って、空間14は、収納部12天井面で当該収納部12と連通している。又、収納部12側面部には、複数の貫通孔17が穿設されている。つまり、空間14は、この貫通孔17により収納部12と連通している。そして、収納部12底部は、底部に形成されている空間14と連通している(図3参照)。
【0021】
収納部12上部の空間14には、送風機18と共に、送風機18に近接してヒータ19が配置されている。送風機18は、吸込口16から収納部12内の空気を空間14に吸い込み、吸い込んだ空気をヒータ19に向けて送風する。従って、ヒータ19を駆動させつつ、送風機18を運転すると、収納部12内の空気は、吸込口16を介して、空間14に吸い込まれ、ヒータ19へ向かって吹き出される。そして、送風機18により吹き出された空気は、ヒータ19の熱により加熱され、熱風となって空間14内を流下する。当該熱風は、貫通孔17等を介して、収納部12へと至る。
このように、本実施形態に係る食器保管庫1では、収納部12内を熱風が循環するように構成されているので、当該熱風の熱によって、収納部12内に収納された食器9を加熱消毒及び乾燥することができる。
【0022】
次に、本実施形態に係る食器保管庫1に内蔵される棚板昇降装置100について、図面を参照しつつ詳細に説明する。図5は、本実施形態に係る食器保管庫に配設される棚板昇降装置の外観斜視図である。棚板昇降装置100は、収納部12内に位置する複数枚の棚板4を上下に移動可能とする装置であり、もって、使用者が所望する棚板4の高さでの収納を可能とする装置である。
【0023】
図5に示すように、本実施形態に係る棚板昇降装置100は、収納部12内に位置する7枚の棚板4を備えている。
これらの棚板4の四隅には、夫々取付部110が形成されており、この取付部110には、各棚板4の間を連結する連結チェーン部材104が取り付けられている。尚、取付部110の構成および連結チェーン部材104の取付態様については、後に図面を参照しつつ詳細に説明する。
ここで、最上段の棚板4の取付部110に取り付けられた連結チェーン部材104の上端部には、夫々、棚板吊下ワイヤ102及び補助吊下ワイヤ103が配設されている。
棚板吊下ワイヤ102は、収納部12天井面のワイヤ孔(図示せず)、収納部12上部の空間14、機械室5底面のワイヤ孔(図示せず)を介して、収納部12から機械室5へと伸びている。そして、当該棚板吊下ワイヤ102の一端は、機械室5内の昇降駆動機構120を構成するワイヤ巻取軸126へと接続されている。即ち、最上段の棚板4は、棚板吊下ワイヤ102、補助吊下ワイヤ103により4点で収納部12内に吊り下げられている。従って、昇降駆動機構120を駆動制御することにより、棚板吊下ワイヤ102の長さが変化するので、最上段の棚板4の高さを変更することができる。
【0024】
又、補助吊下ワイヤ103は、最上段の棚板4の側面(図7中、左右方向)にあたる2本の棚板吊下ワイヤ102に対して、襷掛け状に接続されたワイヤである。棚板昇降装置100では、図7に示すように、2本の棚板吊下ワイヤ102に対して、襷掛け状に2本の補助吊下ワイヤ103に接続されている。これにより、仮に1本の棚板吊下ワイヤ102が切断してしまった場合であっても、切れてしまった棚板吊下ワイヤ102に代わって、当該補助吊下ワイヤ103が棚板4の吊り下げを行うので、棚板4を略水平状態に維持することができる。つまり、或る棚板吊下ワイヤ102が切れてしまった場合であっても、棚板4上に載置されている食器9、食器カゴ10が落下することはないので、食器保管庫1の安全性を向上させることができる。
【0025】
そして、本実施形態に係る棚板昇降装置100では、2段目以下の棚板4を、連結チェーン部材104を介して、直上に位置する棚板4と連結することにより、2段目以下の棚板4の昇降移動を可能としている。
この点について、昇降駆動機構120を駆動し、最上段の棚板4を昇降移動する場合を例として説明する。上述したように、最上段の棚板4と2段目の棚板4の四隅は、夫々連結チェーン部材104により連結されている。従って、最上段の棚板4の昇降移動に伴い、各連結チェーン部材104が伸びきった状態になれば、2段目の棚板4は、当該最上段の棚板4の昇降移動に追従して移動する。
【0026】
尚、棚板昇降装置100を構成する最上段の棚板4を除く6枚の棚板4は、夫々各棚板4の四隅に形成された取付部110を介して、連結チェーン部材104で連結されている。従って、3段目以下の棚においても、上述した最上段の棚板4と2段目の棚板4と同様の関係が成り立ち、連結チェーン部材104が伸びきった状態にある限り、直上に位置する棚板4の昇降動作に追従して昇降動作が行われる。
【0027】
そして、本実施形態に係る棚板昇降装置100は、収納部12内に位置する7枚の棚板4の昇降動作の駆動機構である昇降駆動機構120を備えている(図5参照)。この昇降駆動機構120は、機械室5底面に配設された機構フレーム129に対して、昇降駆動モータ121、移動量検知センサ125、ワイヤ巻取軸126等を取り付けることで構成されている。
昇降駆動モータ121は、正回転、逆回転可能なモータであり、棚板昇降装置100における各棚板4の昇降移動に係る駆動源である。棚板昇降装置100では、昇降操作部55の操作に基づいて、昇降駆動モータ121の駆動制御がなされ、各棚板4の昇降移動が行われる。
そして、当該昇降駆動モータ121の駆動軸には、モータスプロケット122と回転板123が配設されている。モータスプロケット122は、昇降駆動モータ121の正回転駆動、逆回転駆動に従って、正回転、逆回転するスプロケットである。モータスプロケット122には、ローラチェーン128が取り付けられており、同様にローラチェーン128が取り付けられている巻取スプロケット127に駆動力を伝達する。
回転板123は、昇降駆動モータ121の駆動軸先端に取り付けられた円盤状部材であり、昇降駆動モータ121の駆動軸が正回転、逆回転することにより、当該回転板123も正回転、逆回転する。又、回転板123の円周部には、所定間隔でスリット124が形成されている(図9参照)。
【0028】
そして、機構フレーム129には、回転板123前方に移動量検知センサ125が配設されている。図9に示すように、移動量検知センサ125は、回転板123円周部の正面に位置しており、回転板123に形成されているスリット124の有無を検知するセンサである。
ここで、昇降駆動モータ121の駆動に伴い回転板123が回転すると、回転板123に形成されている複数のスリット124は、順次、移動量検知センサ125前面を移動する。従って、移動量検知センサ125は、前方を移動したスリット124を検知し、当該検知結果をコントロールユニット50に送信する。
尚、この移動量検知センサ125の検知結果は、後述する棚板昇降装置100における棚板4の昇降制御に用いられる。
【0029】
更に、機構フレーム129には、ワイヤ巻取軸126がワイヤ巻取軸126中心軸を軸に回転可能に配設されている。ワイヤ巻取軸126には、最上段の棚板4から伸びる4本の棚板吊下ワイヤ102の一端が夫々所定位置に接続されている。
又、当該ワイヤ巻取軸126には、当該ワイヤ巻取軸126と共に回転する巻取スプロケット127が配設されている。この巻取スプロケット127には、モータスプロケット122と同様に、ローラチェーン128が取り付けられている。従って、昇降駆動モータ121の回転駆動で生じた駆動力は、ローラチェーン128を介して、ワイヤ巻取軸126に伝達される。即ち、昇降駆動モータ121が回転駆動すると、ワイヤ巻取軸126も回転する。
これにより、昇降駆動モータ121を所定方向で回転させた場合(以下、正回転という)には、ワイヤ巻取軸126の所定位置に接続されている4本の棚板吊下ワイヤ102は、ワイヤ巻取軸126の回転により、ワイヤ巻取軸126周面に巻回される。この結果、収納部12内における棚板吊下ワイヤ102の長さが短くなり、各棚板4は、収納部12内を上昇移動する。
一方、昇降駆動モータ121を前述の正回転と逆方向に回転させると(以下、逆回転という)、4本の棚板吊下ワイヤ102は、巻回されているワイヤ巻取軸126周面から引き出される。これにより、収納部12内における棚板吊下ワイヤ102の長さが長くなるので、棚板4は、収納部12内を下降移動する。
【0030】
次に、各棚板4の取付部110の構成と、連結チェーン部材104の取付態様について、図面を参照しつつ詳細に説明する。図8は、棚板4の取付部110部分の拡大斜視図である。
図8に示すように、棚板4の取付部110は、取付ピン111と、ブラケット112により構成されている。取付ピン111は、棚板4の短辺側の棚フレーム4aの両端部に略円柱状に形成されており、棚板4の水平方向に突出している。
そして、連結チェーン部材104は、複数個のリング部材104aが連環されて構成されている。そして、各棚板4は、当該リング部材104aを取付ピン111に挿通することで相互に連結されている。
【0031】
上述したように、連結チェーン部材104は、複数のリング部材104aが連環されて構成されているので、各リング部材104aの連環部分で自在に曲がる。即ち、棚板4を下降移動させ、連結チェーン部材104に撓みが生じたとしても、連結チェーン部材104は自重によりそのまま下方に垂れ下がるので、棚板4の載置部に突出することはない。
又、連結チェーン部材104が上下の棚板4に挟まれ折曲部が生じたとしても、上述したように、連結チェーン部材104の連関部分で自在に曲がるので、ワイヤのように折曲部が変形して強度低下を起こすことはない。
更に、連結チェーン部材104は同一のリング部材104aを複数個連環して構成されているので、取付ピン111が挿通されるリング部材104aを、各連結チェーン部材104上端からのリング部材104aの数が同じとなるリング部材104aとするだけで、棚板4を水平に取り付けることができる。即ち、棚板4を容易に水平状態に取り付けることができるので、棚板昇降装置100に係る工数を削減することができる。
【0032】
そして、ブラケット112は、棚フレーム4a表面に対して立設する立面が取付ピン111に対して棚板4の水平方向外側に位置するように、棚フレーム4aにネジ止め固定される。
ここで、上述したリング部材104aは、棚フレーム4aとブラケット112の間に位置するように、取付ピン111に挿通されている。従って、当該ブラケット112は、連結チェーン部材104の水平移動を規制するので、取付ピン111から連結チェーン部材104が脱落することを防止する。
尚、この取付部110の構成は、棚板4の四隅に形成された何れの取付部110においても同様の構成であり、更に、各棚板4においても同様の構成である。
【0033】
続いて、食器保管庫1における棚板昇降装置100に関する制御系について、図面を参照しつつ詳細に説明する。図10は、食器保管庫1の棚板4の昇降移動に関する制御系ブロック図である。
図10に示すように、食器保管庫1における棚板4の昇降移動に係る制御は、コントロールユニット50を中心に行われる。当該コントロールユニット50は、CPU51、ROM52、RAM53により構成されている。CPU51は、ROM52に格納されている昇降制御プログラム(図11〜図13参照)を実行する中央演算処理装置である。そして、ROM52は、上記昇降制御プログラム等の制御プログラムや、棚板4の制御上必要な各種データが記憶された記憶手段である。
又、RAM53は、CPU51がROM52に格納されている各種制御プログラムを実行した際の演算結果等を一時的に記憶しておく記憶手段である。このRAM53には、棚位置カウンタ53aが形成されており、上述した移動量検知センサ125によるスリット124の検知結果が記憶される。
【0034】
そして、コントロールユニット50には、昇降操作部55が接続されている。昇降操作部55には、上昇ボタン56、下降ボタン57が配設されている。従って、上昇ボタン56、下降ボタン57が操作されると、操作されたボタンに係る操作信号がコントロールユニット50に送信される。この時、コントロールユニット50は、受信した操作信号と昇降制御プログラムに基づいて、棚板4の昇降移動に係る制御を行う。
ここで、上昇ボタン56は、棚板4を上昇移動させる際に操作するボタンである。この上昇ボタン56が操作されると、コントロールユニット50は、昇降制御プログラムに基づいて、昇降駆動モータ121を正回転で駆動する。一方、下降ボタン57は、棚板4を下降移動させる際に操作するボタンである。下降ボタン57が操作されると、コントロールユニット50は、昇降制御プログラムに基づいて、昇降駆動モータ121を逆回転で駆動する。
【0035】
又、コントロールユニット50には、昇降駆動モータ121、移動量検知センサ125が接続されている。昇降駆動モータ121は、昇降駆動機構120を構成する装置であり、正回転、逆回転で駆動することにより、ワイヤ巻取軸126による棚板吊下ワイヤ102の巻取、引出を行う駆動源である。そして、当該昇降駆動モータ121は、昇降制御プログラムに基づくコントロールユニット50からの駆動信号によって、その駆動態様(即ち、正回転駆動、逆回転駆動)が制御される。
移動量検知センサ125は、上述したように、回転板123に形成された各スリット124を検出するセンサである。従って、昇降駆動モータ121の駆動によって、回転板123が回転し、スリット124が移動量検知センサ125の前方を横断すると、移動量検知センサ125は、前方を横断したスリット124を検知し、検知信号をコントロールユニット50に送信する。
【0036】
次に、食器保管庫1における棚板昇降装置100に関する制御プログラム、即ち、棚板4の昇降制御プログラムについて、図面を参照しつつ詳細に説明する。図11は、本実施形態に係る昇降制御プログラムのフローチャートである。
この昇降制御プログラムは、食器保管庫1に対して電力が供給されると、CPU51により実行開始される。尚、この昇降制御プログラムは、電力供給が切断されるまで(即ち、外部電源から電源コンセントが取り外されるまで)、継続して実行される。
【0037】
図11に示すように、食器保管庫1に対して電力が供給されると、CPU51は、先ず、初期位置移動処理(S1)を実行する。この初期位置移動処理は、収納部12内の棚板4を初期位置に移動させる処理であり、本実施形態では、全ての棚板4を収納部12底面に積層状態に移動させた状態における各棚板4の位置を初期位置とする。
具体的には、CPU51は、昇降駆動モータ121に対して駆動信号を送信する。これにより、昇降駆動モータ121は、逆回転で駆動し、全ての棚板4を下降移動させる。全ての棚板4が初期位置に移動するまで、CPU51は、棚板4の下降移動を継続する。そして、全ての棚板4が初期位置に移動した時点で、CPU51は、S2に処理を移行する。尚、S1移行時に全ての棚板4が初期位置に移動している場合には、CPU51は、そのままS2に処理を移行する。
【0038】
S2に移行すると、CPU51は、RAM53に形成されている棚位置カウンタ53aの値を初期化する。これにより、棚位置カウンタ53aの値は「0」に設定される。棚位置カウンタ53aの値を「0」に初期化した後、CPU51は、S3に処理を移行する。
【0039】
続くS3では、CPU51は、上昇ボタン56が入力されたか否かについての判断を行う。具体的には、CPU51は、上昇ボタン56からの操作信号を受信したか否かに基づいて、S3の判断を行う。
上昇ボタン56の入力による操作信号を受信した場合には(S3:YES)、CPU51は、棚板上昇処理(S5)を実行する。一方、上昇ボタン56の入力に伴う操作信号を受信していない場合(S3:NO)、CPU51は、S4に処理を移行する。
【0040】
S5で実行される棚板上昇処理は、昇降駆動モータ121を正回転で駆動することにより、所定の移動距離、棚板4を上昇させる処理であるが、その内容については、後に図面を参照しつつ詳細に説明する。棚板上昇処理(S5)を終了すると、CPU51は、S3に処理を戻す。
【0041】
上昇ボタン56が操作されなかった場合(S3:NO)に移行するS4においては、CPU51は、下降ボタン57が入力されたか否かについての判断を行う。具体的には、下降ボタン57からの操作信号を受信したか否かに基づいて、S4の判断を行う。
下降ボタン57の入力による操作信号を受信した場合には(S4:YES)、CPU51は、棚板下降処理(S6)を実行する。一方、下降ボタン57の入力に伴う操作信号を受信していない場合(S4:NO)、CPU51は、S3に処理を戻す。
【0042】
S6で実行される棚板上昇処理は、昇降駆動モータ121を逆回転で駆動することにより、所定の移動距離、棚板4を下降させる処理であるが、その内容については、後に図面を参照しつつ詳細に説明する。棚板下降処理(S6)を終了すると、CPU51は、S3に処理を戻す。
【0043】
次に、上述した昇降制御プログラムのS5で実行される棚板上昇処理プログラムについて、図面を参照しつつ詳細に説明する。図12は、棚板上昇処理プログラムのフローチャートである。
棚板上昇処理(S5)に移行し、棚板上昇処理プログラムの実行を開始すると、CPU51は、先ず、棚位置カウンタ53aの値を参照し、棚位置カウンタ53aの値が上昇制限値であるか否かについての判断を行う(S11)。ここで、上昇制限値とは、棚板4が最も上方に移動した時の棚位置カウンタ53aの数値であり、補助吊下ワイヤ103と棚板吊下ワイヤ102の上側接続部が収納部12天井面の下方に位置する時の棚位置カウンタ53aの値である。即ち、棚位置カウンタ53aの値が上昇制限値になっている場合、食器保管庫1に配設されている棚板4をそれ以上、上昇移動させることができない位置まで、上昇移動している状態にある。従って、棚位置カウンタ53aの値が上昇制限値になっている場合は(S11)、CPU51は、そのまま、棚位置上昇処理(S5)を終了する。
一方、棚位置カウンタ53aの値が上昇制限値になっていない場合には(S11:NO)、CPU51は、S12に処理を移行する。
【0044】
S12に移行すると、CPU51は、昇降駆動モータ121に駆動信号を送信し、昇降駆動モータ121を正回転で駆動させる。昇降駆動モータ121を正回転で駆動させた後、CPU51は、S13に処理を移行する。
上述したように、昇降駆動モータ121を正回転で駆動させると、ローラチェーン128、ワイヤ巻取軸126により、棚板吊下ワイヤ102が巻き取られるので、棚板4は、上昇移動を開始する。又、昇降駆動モータ121の駆動に伴って、回転板123も正回転で回転することになるので、回転板123に形成された各スリット124は、移動量検知センサ125の前方を順次横断する。
【0045】
そして、S13では、CPU51は、移動量検知センサ125がONとなったか否か、即ち、移動量検知センサ125が回転板123に形成されたスリット124を検知したか否かについての判断を行う。具体的には、CPU51は、移動量検知センサ125からの検知信号を受信したか否かに基づいて、上記S13の判断を行う。
移動量検知センサ125がスリット124を検知した場合には(S13:YES)、CPU51は、現在の棚位置カウンタ53aの値に「1」を加算する(S14)。棚位置カウンタ53aの値に「1」を加算した後、CPU51は、S15に処理を移行する。
一方、移動量検知センサ125がスリット124を検知していない場合は(S13:NO)、CPU51は、S12に処理を戻す。これにより、昇降駆動モータ121の正回転での駆動が継続され、棚板4の上昇移動は継続される。
【0046】
続くS15では、CPU51は、棚位置カウンタ53aの値を参照し、棚位置カウンタ53aの値が所定値となったか否かについての判断を行う。
ここで、本実施形態における所定値とは、初期位置に積層されている棚板4のうち、最も上に位置する棚板4の四隅から上方に伸びる連結チェーン部材104が伸びきった状態になる時点の棚位置カウンタ53aの値である。換言すれば、直近上下の棚板4において、当該2つの棚板4を連結する連結チェーン部材104の長さ分、上方に位置する棚が上昇移動した際の棚位置カウンタ53aの値である。
棚位置カウンタ53aの値が所定値となっている場合には(S15:YES)、CPU51は、昇降駆動モータ121に駆動停止信号を送信し、昇降駆動モータ121の正回転での駆動を停止する(S16)。これにより、食器保管庫1の収納部12では、棚板4が一段分、上昇移動した状態で保持される。昇降駆動モータ121の駆動を停止した後、CPU51は、棚位置上昇処理(S5)を終了し、昇降制御プログラムに処理を戻す。
一方、棚位置カウンタ53aの値が所定値となっていない場合(S15:NO)、CPU51は、S12に処理を戻す。これにより、昇降駆動モータ121の正回転での駆動が継続され、棚板4の上昇移動は継続される。即ち、棚板4が一段分上昇移動するまで、棚板4の上昇移動は継続される。
【0047】
続いて、上述した昇降制御プログラムのS6で実行される棚板下降処理プログラムについて、図面を参照しつつ詳細に説明する。図13は、棚板下降処理プログラムのフローチャートである。
棚板下降処理(S6)に移行し、棚板下降処理プログラムの実行を開始すると、CPU51は、先ず、棚位置カウンタ53aの値を参照し、棚位置カウンタ53aの値が「0」であるか否かについての判断を行う(S21)。上述したように、初期位置移動処理(S1)の後、棚位置カウンタ53aは「0」に初期化され、当該初期位置は、収納部12底面に全ての棚板4が積層されている位置である。即ち、棚位置カウンタ53aの値が「0」である場合には、棚板4をそれ以上下降移動させることができない状態である。従って、棚位置カウンタ53aの値が「0」である場合には(S21:YES)、CPU51は、そのまま、棚位置下降処理(S6)を終了する。
一方、棚位置カウンタ53aの値が「0」になっていない場合には(S21:NO)、CPU51は、S22に処理を移行する。
【0048】
S22に移行すると、CPU51は、昇降駆動モータ121に駆動信号を送信し、昇降駆動モータ121を逆回転で駆動させる。昇降駆動モータ121を逆回転で駆動させた後、CPU51は、S23に処理を移行する。
上述したように、昇降駆動モータ121を逆回転で駆動させると、ローラチェーン128により、ワイヤ巻取軸126から棚板吊下ワイヤ102が引き出されるので、棚板4は、下降移動を開始する。又、昇降駆動モータ121の駆動に伴って、回転板123も逆回転で回転することになるので、回転板123に形成された各スリット124は、移動量検知センサ125の前方を順次横断する。
【0049】
そして、S23では、CPU51は、移動量検知センサ125がONとなったか否か、即ち、移動量検知センサ125が回転板123に形成されたスリット124を検知したか否かについての判断を行う。具体的には、CPU51は、移動量検知センサ125からの検知信号を受信したか否かに基づいて、上記S23の判断を行う。
移動量検知センサ125がスリット124を検知した場合には(S23:YES)、CPU51は、現在の棚位置カウンタ53aの値から「1」を減算する(S24)。棚位置カウンタ53aの値から「1」を減算した後、CPU51は、S25に処理を移行する。
一方、移動量検知センサ125がスリット124を検知していない場合は(S23:NO)、CPU51は、S22に処理を戻す。これにより、昇降駆動モータ121の逆回転での駆動が継続され、棚板4の下降移動は継続される。
【0050】
続くS25では、CPU51は、棚位置カウンタ53aの値を参照し、棚位置カウンタ53aの値が所定値となったか否かについての判断を行う。
ここで、本実施形態における所定値とは、下降移動する棚板4の内、最下段の棚板4が初期位置に積層されている棚板4の上部に積層された時点における棚位置カウンタ53aの値である。この点、初期位置に積層された棚板4の四隅から上方に伸びる連結チェーン部材104は伸びきった状態になるので、棚板下降処理(S6)における所定値は、棚板上昇処理(S5)における所定値と同一の値となる。
棚位置カウンタ53aの値が所定値となっている場合には(S25:YES)、CPU51は、昇降駆動モータ121に駆動停止信号を送信し、昇降駆動モータ121の逆回転での駆動を停止する(S26)。これにより、食器保管庫1の収納部12では、棚板4が一段分、下降移動した状態で保持される。昇降駆動モータ121の駆動を停止した後、CPU51は、棚位置下降処理(S6)を終了し、昇降制御プログラムに処理を戻す。
一方、棚位置カウンタ53aの値が所定値となっていない場合(S25:NO)、CPU51は、S22に処理を戻す。これにより、昇降駆動モータ121の逆回転での駆動が継続され、棚板4の下降移動は継続される。即ち、棚板4が一段分下降移動するまで、棚板4の下降移動は継続される。
【0051】
以上説明したように、本実施形態に係る棚板昇降装置100においては、複数枚の棚板4を連結チェーン部材104により連結することで、棚板4の昇降移動を可能にしている。ここで、連結チェーン部材104は、複数のリング部材104aが連環されて構成されているので、各リング部材104aの連環部分で自在に曲がる。即ち、棚板4を下降移動させ、連結チェーン部材104に撓みが生じたとしても、連結チェーン部材104は自重によりそのまま下方に垂れ下がるので、棚板4の載置部に突出することはない。
又、連結チェーン部材104が上下の棚板4に挟まれ折曲部が生じたとしても、上述したように、連結チェーン部材104の連関部分で自在に曲がるので、ワイヤのように折曲部が変形して強度低下を起こすことはない。
更に、連結チェーン部材104は同一のリング部材104aを複数個連環して構成されている。従って、各連結チェーン部材104上端からのリング部材104aの数が同じになるリング部材104aに取付ピン111が挿通するだけで、棚板4を水平に取り付けることができる。即ち、棚板4を容易に水平状態に取り付けることができるので、棚板昇降装置100に係る工数を削減することができる。
【0052】
尚、本発明はこのような実施の形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得る。
例えば、本実施形態においては、昇降駆動モータ121の駆動軸に、円周に沿って、複数のスリット124を備える回転板123を配設するとともに、当該スリット124を検知する移動量検知センサ125を配設し、回転板123の回転に伴い移動するスリット124を計数することで棚板4の昇降制御を行っているが、この態様に限定するものではなく、他の態様により棚板4の昇降制御を行うことも可能である。
【0053】
具体的には、図14に示す態様で棚板4の昇降制御を行うことも可能である。この図14の場合、ローラチェーン128の所定箇所(複数箇所であってもよい)には、当該ローラチェーン128の背面側に突出するスイッチ作動ピン131が配設されている。そして、機構フレーム129には、移動量検知スイッチ130が配設されている。この移動量検知スイッチ130は、ローラチェーン128の移動に伴って移動するスイッチ作動ピン131と接触する作動部を備えており、当該作動部にスイッチ作動ピン131が接触すると、コントロールユニット50に対して、検知信号を送信する。
即ち、移動量検知スイッチ130、スイッチ作動ピン131が、上述した実施形態における回転板123のスリット124と移動量検知センサ125と同様の機能を果たすので、上述した昇降制御プログラムに基づいて、棚板4の1段分毎の昇降制御等の昇降制御を行うことができる。
【0054】
更に、上述の実施形態に、移動量検知スイッチ130、スイッチ作動ピン131を取りつけ、回転板123のスリット124、移動量検知センサ125と、移動量検知スイッチ130、スイッチ作動ピン131を併用することも可能である。この場合、棚板上昇処理プログラム中のS11の判断、棚板下降処理プログラム中のS21の判断を、移動量検知スイッチ130によるスイッチ作動ピン131の計数結果に基づいて行い、棚板4の1段毎の昇降制御を移動量検知センサ125によるスリット124の計数結果に基づいて行うように構成することも可能である。
【0055】
又、本実施形態においては、食器保管庫1前面側に扉13、メンテナンス用扉20を配設しているが、食器保管庫1背面側においても、扉13、メンテナンス用扉20を配設するように構成することもできる。そして、この場合において、食器保管庫1背面側に対しても、扉13の回動軸近傍に、上下に回動可能な保持ステー22を配設し、メンテナンス用扉20を開放状態に維持するように構成することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】食器保管庫の外観斜視図である。
【図2】扉を開放した状態の食器保管庫の外観斜視図である。
【図3】食器保管庫の内部構成及び空気の流れを示す説明図である。
【図4】操作パネルの取付構造を模式的に示す説明図である。
【図5】操作パネルをメンテナンス状態で取り付けた食器保管庫の外観斜視図である。
【図6】メンテナンス用扉を開放した状態の食器保管庫の外観斜視図である。
【図7】棚板昇降装置の外観斜視図である。
【図8】棚板昇降装置における棚に形成された取付部近傍の拡大図である。
【図9】昇降駆動機構における昇降駆動モータ、移動量検知センサ近傍の拡大図である。
【図10】食器保管庫の棚板昇降に係る制御系を示すブロック図である。
【図11】食器保管庫における昇降制御プログラムのフローチャートである。
【図12】食器保管庫における棚板上昇処理プログラムのフローチャートである。
【図13】食器保管庫における棚板下降処理プログラムのフローチャートである。
【図14】移動量検知スイッチ、スイッチ作動ピンを用いた実施形態を示す模式説明図である。
【符号の説明】
【0057】
4 棚板
100 棚板昇降装置
102 棚板吊下ワイヤ
104 連結チェーン部材
104a リング部材
110 取付部
111 取付ピン
112 ブラケット
120 昇降駆動機構
121 昇降駆動モータ
122 モータスプロケット
126 ワイヤ巻取軸
127 巻取スプロケット
128 ローラチェーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚の棚板と、
前記複数枚の棚板の上下移動を行う駆動手段と、
前記複数枚の棚板の内、最上段の棚板の4点と、前記駆動手段とを接続する吊り下げ部材と、
複数の輪状部材が連環されて構成され、各棚板の間を連結する鎖部材と、
棚板側部の両端部に形成され、前記輪状部材が挿通される取付ピンと、を備えることを特徴とする棚板昇降装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−127163(P2008−127163A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−314552(P2006−314552)
【出願日】平成18年11月21日(2006.11.21)
【出願人】(000194893)ホシザキ電機株式会社 (989)
【Fターム(参考)】