説明

椅子型マッサージ機

【課題】背もたれ部が後方へ倒れた状態となっても重心位置が後方へ移動してしまうのを抑えることができ、かつ、コンパクト化が図れる椅子型のマッサージ機を提供する。
【解決手段】床面に載置状態とされるベース部1と、このベース部1に対して前後移動可能とされている座部2と、下部側を中心として回動可能とされて起立状態と後方倒れ状態との間を回動する背もたれ部3を備えている。座部2と背もたれ部3にマッサージ具が設けられている。背もたれ部3を後方倒れ状態とさせると共に座部2を前方へ移動させることができる。そして、マッサージ具を動作させるための装置を座部2の下方で収容している収容部7は、座部2と共に前後移動可能とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、椅子型のマッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、椅子型のマッサージ機として、座部を有し床面に載置状態とされるベース部と、背もたれ部と、フットレスト部とを備えているものがある。このような椅子型のマッサージ機において、背もたれ部を後方倒れ状態にリクライニングさせると、施療者の上半身の重心位置と、マッサージ機の背もたれ部の重心位置とが後方へ移動することとなる。これにより、ベース部のうち床面と接している脚部の後端部を支点として、マッサージ機が後方へ転倒しようとする方向のモーメントが作用し、後方へ不安定な状態となる。
そこで、特許文献1に示しているように、背もたれ部が後方へ倒れる動作をすると共に、座部が前方へ移動して、重心位置を後方へ移動させにくくしている椅子型のマッサージ機がある。
【0003】
特許文献1に記載されているマッサージ機は、施療者に対してマッサージを施すためのマッサージ具としてモミ玉(施療子)を備えており、モータとこのモータにより動作するリンク機構などによってこのモミ玉を出退動、左右動、上下動、振動させて、施療者に対してマッサージを施すことができる。このマッサージ機においてモミ玉、モータ、リンク機構は背もたれ部内に設けられているが、座部においても同様のものを設けることができる。そして、モミ玉用のモータを動かすために外部から電力を受ける電源部やトランス、モミ玉に所定の動作をさせるための制御装置などといった駆動制御部は、座部の下部において、前記ベース部側に固定されている。
そして、この駆動制御部とマッサージ具(モミ玉を駆動させるモータなど)との間には、電力を供給したり動作のための制御信号を送信したりするためのケーブル類が接続されている。
特許文献1に記載されているマッサージ機は、座部が前後方向へ移動し、背もたれ部も下部において回動して前後変位するため、この座部及び背もたれ部と、ベース部に固定されている前記駆動制御部との間の距離が変化することとなる。従って、座部や背もたれ部に設けられたマッサージ具と駆動制御部との間に設けられているケーブル類に、全体として伸縮性を持たせるために、ケーブル類の途中部において大きく湾曲させて(撓ませて)配線する必要がある。
【0004】
【特許文献1】特開平10−262780号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されているマッサージ機は、前記電源部などを備えている駆動制御部が床面に対して固定状態にあるベース部側に固定されているため、背もたれ部や座部が前後移動することにより、前記ケーブル類をあらかじめ湾曲させて配線する必要がある。つまり、ケーブル類の途中を湾曲させることによりケーブル類に全体として伸縮性を持たせている。これにより、湾曲させたケーブル類を収容するためのスペースが必要となる。背もたれ部、座部、さらにフットレスト部においてもマッサージ具を設けた場合は、ケーブル類がさらに増加し、収容スペースがさらに増加してしまう。
なお、特許文献1のマッサージ機のマッサージ具はモミ玉によるものであるが、マッサージ具を、エアの給排により膨張・収縮するエアセルにより構成させ、背もたれ部と座部とのそれぞれに複数のエアセルを配設させ、これらエアセルにエアを供給するポンプやバルブをベース部側に固定状態として設けた場合、エア配管が多数本存在することとなる。従って、これらエア配管を(前記ケーブル類と同様に)湾曲させて設ける必要があり、そのための収容スペースが非常に大きくなってしまうおそれがある。その結果、椅子型マッサージ機が大きくなってしまうという問題点がある。
【0006】
そこでこの発明は、前記問題点に鑑みてなされたものであり、背もたれ部が後方へ倒れた状態となっても重心位置が後方へ移動してしまうのを抑えることができ、かつ、コンパクト化が図れる椅子型のマッサージ機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するためのこの発明の椅子型マッサージ機は、床面に載置状態とされるベース部と、このベース部に対して前後移動可能とされている座部と、下部側を中心として回動可能とされて起立状態と後方倒れ状態との間を回動する背もたれ部と、前記座部と前記背もたれ部の少なくとも一方に設けられたマッサージ具と、前記背もたれ部を前記後方倒れ状態とさせると共に前記座部を前方へ移動させる作動機構と、前記マッサージ具を動作させるための装置を前記座部の下方で収容していると共に前記座部と共に前後移動可能とされた収容部とを備えたことを特徴としている。
【0008】
このような構成によれば、作動機構により背もたれ部を後方へ倒した際に座部が前方へ移動するため、施療者の上半身の重心位置及び背もたれ部の重心位置が、背もたれ部のリクライニングによって後方へ移動するのを抑えることができる。
さらに、背もたれ部がリクライニングし座部が前方へ移動する際に、マッサージ具を動作させるための装置を収容している収容部が、座部と共に前方へ移動するため、その装置と背もたれ部及び座部との相対的な距離の変化が小さくて済む。従って、マッサージ具を動作させるための装置とマッサージ具との間に必要とされる配管やケーブルなどの線部材を、大きく湾曲させて配設する必要がなくなる。
【0009】
また、前記座部は、座面を有する座部本体と、この座部本体を取り付けている座部フレームを有し、前記収容部は前記座部フレームに連結固定されているのが好ましい。
この構成によれば、簡単な構成により、収容部を座部と共に移動させることができる。
【0010】
前記作動機構は、前記背もたれ部を前記座部に回動可能に取り付けている取付部材と、前記座部と前記背もたれ部との間に取り付けられて伸縮動作により当該背もたれ部を当該座部に対して回動させる伸縮アクチュエータと、前記背もたれ部と前記ベース部との間に設けられて当該背もたれ部を当該ベース部に対して前方側へ移動させながら後方倒れ状態へ回動させるための連結アーム部材とにより構成できる。
【0011】
また、前記座部の前部に、上部側を中心として回動可能とされて垂れ下がり状態と前方突出状態との間を回動するフットレスト部を備え、前記背もたれ部が前記後方倒れ状態となる際に前記フットレスト部を垂れ下がり状態から前方突出状態とさせる連動機構を備えているのが好ましい。この構成によれば、背もたれ部が倒れていく際にフットレスト部が前方突出状に起き上がるため、施療者は無理なく仰向けに寝転んだ姿勢となる。
【0012】
また、前記背もたれ部は、当該背もたれ部が後方倒れ状態となる際に前方側へ移動する部分を有するフレーム部材を備えており、前記連動機構は、このフレーム部材と前記フットレスト部との間に設けられて当該フレーム部材の前方への移動により当該フットレスト部を垂れ下がり状態から前方突出状態へと持ち上げる連動アーム部材により構成できる。
【0013】
また、前記マッサージ具は、エアの給排により膨張・収縮するエアセルから構成され、このエアセルと、前記収容部に収容されて当該エアセルを動作させるための装置とが、可撓性を有するエア配管により連結されている。これにより、背もたれ部が後方倒れ状態となると座部が前方へ移動すると共に、エアセルを動作させるための装置を収容している収容部が前方へ移動するため、エア配管に全体として大きな伸縮性を持たせる必要がなく、エア配管を大きく湾曲させて設ける必要がなくなる。つまり、エア配管を多く設けても、その配管用のスペースは小さくてすむ。すなわち多くのエアセルを設けることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の椅子型マッサージ機によれば、背もたれ部が後方へ倒れた状態になっても重心位置が後方へ移動するのを抑えることができ、安定感のある椅子型のマッサージ機が得られる。さらに、マッサージ機のコンパクト化が図れる
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1はこの発明の実施の一形態に係る椅子型のマッサージ機を示す斜視図であり、図2と図3はその内部のフレームを示す斜視図であり、図4と図5はその側面図である。
この椅子型のマッサージ機は、床面に載置状態とされるベース部1と、このベース部1に支持されている座部2と、座部2の後部に設けられている背もたれ部3と、座部2の前部に設けられているフットレスト部4を備えている。
【0016】
背もたれ部3は、その下部側を中心として回動可能とされており、図2と図4の起立状態と図3と図5の後方倒れ状態との間を回動することができる。また、フットレスト部4は、その上部側を中心として回動可能とされており、図2と図4の垂れ下がり状態と図3と図5の前方突出状態との間を回動することができる。つまり、背もたれ部3が後方へ倒れると同時に、フットレスト部4が回動して水平姿勢となる。さらに、この椅子型マッサージ機は、後に詳しく説明するが、背もたれ部3が後方へ倒れると同時に、座部3がベース部1に対して前方へ移動することとなる。
【0017】
この椅子型マッサージ機の座部2、背もたれ部3及びフットレスト部4に、施療者に対してマッサージを施すためのマッサージ具5が設けられている。なお、マッサージ具5は、座部2、背もたれ部3及びフットレスト部4のうちの少なくとも一つに設けられたものであってもよい。
このマッサージ具5は、エアの給排により膨張・収縮するエアセル9から構成されており、座部2、背もたれ部3及びフットレスト部4のそれぞれに、複数個のエアセル9(図1参照)が設けられている。
【0018】
これらマッサージ具5としてのエアセル9を動作させるためのポンプやバルブなどの装置(以下、動力ユニットUという)は、座部2の下方に設けた収容部7に収容されている。動力ユニットUと各エアセル9とは、図4〜図6に示しているように、エア配管Pにより連結されている。
【0019】
動力ユニットUについて図1と図6により説明すると、動力ユニットUは、2台のポンプ14a,14bと、座部2のエアセル9a用のソレノイドバルブ15aと、背もたれ部3のエアセル9b用のソレノイドバルブ15bと、フットレスト部4のエアセル9c用のソレノイドバルブ15cとを備えている。
座部2用のソレノイドバルブ15aは2つの吐出口を有し、それぞれにエア配管Paが接続されており、このエア配管Paは座部2に設けたエアセル9aと接続されている。背もたれ部3用のソレノイドバルブ15bは4つの吐出口を有し、それぞれにエア配管Pbが接続されており、このエア配管Pbは背もたれ部3に設けたエアセル9bと接続されている。この4本のエア配管Pbのうちの1本については、背もたれ部3のうちのヘッドレスト部16(施療者の首から肩に対応させる部分)に設けたエアセル9bと接続されている。フットレスト部4用のソレノイドバルブ15cは2台とされて合計4つの吐出口を有し、それぞれにエア配管Pcが接続されており、このエア配管Pcはフットレスト部4に設けたエアセル9cと接続されている。従って、この動力ユニットUは、座部2のエアセル9a用、背もたれ部3のエアセル9b用、フットレスト部4のエアセル9c用として、合計10本のエア配管Pを備えている。なお、ポンプ14の数、ソレノイドバルブ15の数、エア配管Pの数(エアセル9の数)はこれに限定されるものではなく、変更自在である。
【0020】
さらに、座部2の下方に設けた収容部7には、この動力ユニットUと共に制御装置Fが収容されている。制御装置Fはトランスや制御基盤などを含み、背もたれ部3とフットレスト部4を回動させたり動力ユニットUに動作信号を送信したりするためのものである。
【0021】
椅子型マッサージ機のフレーム構造について説明すると、ベース部1は、図2〜図5に示しているように、床面に載置されて床面に対して固定状態とされる左右一対の脚フレーム17と、これら左右の脚フレーム17を連結している連結棒18a,18bと、水平前後方向を長手方向として各脚フレーム17の上部に固定されている直線状のガイドレール部材19を有している。それぞれのガイドレール部材19は下壁、側壁、上壁から構成されており、一対のガイドレール部材19が平行に配設されている。そして、ガイドレール部材19は、後述する座部2の座部フレーム11を前後方向に移動可能とさせて支持する部材である。
【0022】
座部2は、座面10aを有するクッション性のある座部本体10(図1参照)と、この座部本体10を取り付けている座部フレーム11を有している。座部フレーム11は矩形の枠部材とされており、座部本体10の下部に水平状となって取り付けられている。座部フレーム11は、左右両側の側部フレーム20と、前部フレーム29と、後部フレーム35を有している。左右一対の側部フレーム20のそれぞれには複数個のローラが取り付けられており、これらローラが前記ガイドレール部材19に沿って転動可能とされ、座部フレーム11は前後方向に移動可能となる。つまり、座部2がベース部1に対して前後移動可能となる。
【0023】
背もたれ部3は、クッション性のある背もたれ部本体22(図1参照)と、この背もたれ部本体22を取り付けている背もたれ部フレーム23を有している。背もたれ部フレーム23は、左右両側の側部フレーム21と、この一対の側部フレーム21を上部(先部)で連結している左右水平状の連結フレーム24と、一対の側部フレーム21を下部(基部)で連結している湾曲連結フレーム25を有している。背もたれ部フレーム23は、側部フレーム21の下端部(基端部)を中心として、座部フレーム11の側部フレーム20の後部に回動可能に取り付けられている。これにより、背もたれ部3は、下部側を中心として回動可能とされ、背もたれ部3は、起立状態と後方倒れ状態との間を回動することができる。
【0024】
背もたれ部フレーム23のうちの湾曲連結フレーム25は、背もたれ部3が起立状態から後方倒れ状態となる際に、回動により前方側へ移動する部分を有している。つまり、湾曲連結フレーム25は、背もたれ部3が起立状態(図2の状態)で、側部フレーム21との固定部から後方側へ延伸しながら(左右)横方向へ連続して湾曲している湾曲部25aと、左右の湾曲部25a同士を繋ぐ直線部25bとから構成されており、湾曲連結フレーム25は、平行な左右一対の側部フレーム21(側部フレーム21の長手方向)に対して所定の角度(図4では直角)で交差するよう、当該側部フレーム21に固定されている。これにより、背もたれ部3が起立状態から後方傾斜状態に回動すると、湾曲連結フレーム25の直線部25bが、側面視において軌跡が円弧であるが前方へ移動することとなる
【0025】
フットレスト部4は、クッション性のあるフットレスト部本体26(図1参照)と、このフットレスト部本体26を取り付けているフットレスト部フレーム27を有している。フットレスト部フレーム27は矩形の枠部材とされており、フットレスト部フレーム27は、その上部(基端部)を中心として、座部フレーム11の前部に回動可能に取り付けられている。これにより、フットレスト部4は、上部側を中心として回動可能とされており、図2の垂れ下がり状態と前方突出状態との間を回動することができる。
【0026】
収容部7は、前記エアセル9を動作させるためのポンプやバルブを収容している部分であり、上方と後方が開口している箱部材である。この収容部7は、座部フレーム11にその下方において連結固定されており、具体的には、収容部7の側壁7a上部が座部フレーム11の側部フレーム20と固定されている。これにより、座部フレーム11がガイドレール部材19に沿って前後方向に移動することにより、収容部7は一緒に前後方向へ移動する。
【0027】
本発明の椅子型マッサージ機は、背もたれ部3を起立状態から後方倒れ状態とさせると座部2を前方へ移動させることができるものであり、この動作は、作動機構6により行われる。作動機構6は、背もたれ部フレーム23を座部フレーム11に回動可能に取り付けている取付部材28と、座部フレーム11と背もたれ部フレーム23との間に取り付けられている伸縮アクチュエータ12と、背もたれ部フレーム23とベース部1の脚フレーム17との間に設けられている連結アーム部材13とを備えている。
【0028】
背もたれ部フレーム23は座部フレーム11に固定した鉛直板状の取り付け板に、軸を介在させて取り付けられており、この取り付け板と軸とが取付部材28となる。なお、取り付け板を省略して座部フレーム11の側部フレーム20に直接的に背もたれ部フレーム23の側部フレーム21を取り付けてもよい。
【0029】
伸縮アクチュエータ12は、例えばエアシリンダとされており、その一端部が座部フレーム11の前部フレーム29に、図示しないブラケットを介して取り付けられ、他端部が背もたれ部フレーム23が有する湾曲連結フレーム25の直線部25に、ブラケット30を介して取り付けられている。従って、この伸縮アクチュエータ12が伸びれば背もたれ部フレーム23は座部フレーム11に対して起立し、縮まれば後方へ倒れる。
【0030】
連結アーム部材13は直線状の部材とされており、左右両側のそれぞれに設けられており、連結アーム部材13は、その一端部において、背もたれ部フレーム23が有する側部フレーム21の途中部に回動可能に取り付けられ、他端部において、ベース部1の脚フレーム17に固定した取付板31に回動可能に取り付けられている。つまり、連結アーム部材13は、ベース部1に対して回動可能とされている。これにより、連結アーム部材13の一端部に取り付けられた背もたれ部フレーム23において、座部フレーム11との取り付け部側がベース部1に対して前後方向へ移動可能となり、かつ、全体が起立状態と後方倒れ状態との間を回動可能となる。
【0031】
以上のように、ベース部1が水平前後方向のガイドレール部材19を備えており、座部フレーム11がこのガイドレール部材19に沿って前後移動可能とされ、背もたれ部フレーム23はその下部において座部フレーム11に回動可能に取り付けられ、背もたれ部フレーム23は高さ方向の途中部においてベース部1に連結アーム部材13を介して回動可能に取り付けられている。そして、この座部フレーム11と背もたれ部フレーム23との間の連結部がベース部1に対して前後方向へ移動することができ、これにより、連結アーム部材13によって動作が制限されている背もたれ部3が回動することができる。
これにより、作動機構6は、背もたれ部3を後方倒れ状態とさせると共に座部2を前方へ移動させることができ、かつ、背もたれ部3を起立状態とさせると共に座部2を後方へ移動させることができる。
【0032】
さらに、本発明の椅子型マッサージ機は、背もたれ部3が起立状態から後方倒れ状態になると座部2を前方へ移動させると共に、フットレスト部4を垂れ下がり状態から前方突出状態とさせることができるものであり、この動作は、連動機構8により行われる。連動機構8は、背もたれ部フレーム23とフットレスト部フレーム27との間に設けられている連動アーム部材33により構成することができる。
【0033】
連動アーム部材33は直線状の部材とされており、その一端部において、背もたれ部フレーム23が有する湾曲連結フレーム25に固定されたブラケット32に回動可能に取り付けられ、他端部において、フットレスト部フレーム27が有する前後方向の連結フレーム34の途中部に回動可能に取り付けられている。
これにより、前記伸縮アクチュエータ12が縮まって背もたれ部3が倒れる方向に回動し、湾曲連結フレーム25の直線部25aが前方へ移動すると、連動アーム部材33は、フットレスト部4を垂れ下がり状態から前方突出状態へと持ち上げることができる。
【0034】
以上本発明の椅子型マッサージ機によれば、背もたれ部3を後方へ倒した際に座部2が前方へ移動するため、施療者の上半身の重心位置及び背もたれ部3の重心位置が、背もたれ部3のリクライニングによって、後方へ移動するのを抑制できる。これにより、後方へ転倒しようとする方向のモーメントが大きくなるのを抑えることができ、椅子型マッサージ機の安定感が高まる。さらに、背もたれ部3の下部は、座部2の後部と接続されており、これらの間に隙間を生じさせない。
【0035】
また、収容部7に収容されている装置としては、エアセル9を動作させるための動力ユニットU(ポンプ14やバルブ15)と制御装置F(トランスなど)があり、さらに、伸縮アクチュエータ12が収容部7内に配置されているため、収容部7内における重量は大きくなる。
しかし、この椅子型マッサージ機によれば、背もたれ部3が後方へ倒れた際に、座部2と共に前記収容部7が前方へ移動するため、さらに、伸縮アクチュエータ12が座部2と共に前方へ移動することとなるため、収容部7に収容される装置の重量が大きくなっても、収容部7の重心位置も前方へ移動する。これにより、椅子型マッサージ機の重心位置がさらに前方寄りとなり、より一層安定感のあるものとできる。
【0036】
さらに、座部2、背もたれ部3及びフットレスト部4が前後移動する際に、収容部7がこれらと共に、同じ前後方向移動量だけ移動するため、収容部7内の装置と、これらとの間の相対的な距離の変化が無くなる。
従って、図4と図5に示しているように、座部2とフットレスト部4に設けたエアセル9a,9cと収容部7内の動力ユニットUとの間に配設されているエア配管Pa,Pcは、背もたれ部3が回動して座部2が水平移動しても、そのままの姿勢を維持できる。さらに、背もたれ部3が座部2と共に前方へ移動しかつ座部2に対して回動しても、背もたれ部3に設けたエアセル9cと動力ユニットUとの間に配設されているエア配管Pbは、収容部7内においてのみ曲がる(撓む)ことで、その動きに追従できる。
すなわちこれらエア配管Pに、全体としての伸縮性を持たせる必要がなくなり、エア配管Pを大きく湾曲させて配設する必要がない。従って、そのためのスペースは不要である。さらにエア配管Pが多く存在しても、配管用のスペースは小さくてすむ。その結果、椅子型マッサージ機をコンパクトにできる。
【0037】
また、本発明の椅子型マッサージ機は、図示する形態に限らずこの発明の範囲内において他の形態のものであっても良く、伸縮アクチュエータ12を、図示しないが、電動モータと、これにより回転して進退する雄ネジ棒などにより構成してもよい。また、マッサージ具5としてエアセル9のみからなるもの以外に、モミ玉も同時に備えさせたものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施の一形態に係る椅子型マッサージ機を示す斜視図である。
【図2】椅子型マッサージ機の内部のフレームを示す斜視図であり、背もたれ部が起立状態にある。
【図3】椅子型マッサージ機の内部のフレームを示す斜視図であり、背もたれ部が後方倒れ状態にある。
【図4】図2の側面図である。
【図5】図3の側面図である。
【図6】収容部内の装置を説明するためのフレームの平面図である。
【符号の説明】
【0039】
1 ベース部
2 座部
3 背もたれ部
4 フットレスト部
5 マッサージ具
6 作動機構
7 収容部
8 連動機構
9 エアセル
10 座部本体
10a 座面
11 座部フレーム
12 伸縮アクチュエータ
13 連結アーム部材
28 取付部材
33 連動アーム部材
P エア配管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面に載置状態とされるベース部と、このベース部に対して前後移動可能とされている座部と、下部側を中心として回動可能とされて起立状態と後方倒れ状態との間を回動する背もたれ部と、前記座部と前記背もたれ部の少なくとも一方に設けられたマッサージ具と、前記背もたれ部を前記後方倒れ状態とさせると共に前記座部を前方へ移動させる作動機構と、前記マッサージ具を動作させるための装置を前記座部の下方で収容していると共に前記座部と共に前後移動可能とされた収容部と、を備えたことを特徴とする椅子型マッサージ機。
【請求項2】
前記座部は、座面を有する座部本体と、この座部本体を取り付けている座部フレームを有し、前記収容部は前記座部フレームに連結固定されている請求項1に記載の椅子型マッサージ機。
【請求項3】
前記作動機構は、前記背もたれ部を前記座部に回動可能に取り付けている取付部材と、前記座部と前記背もたれ部との間に取り付けられて伸縮動作により当該背もたれ部を当該座部に対して回動させる伸縮アクチュエータと、前記背もたれ部と前記ベース部との間に設けられて当該背もたれ部を当該ベース部に対して前方側へ移動させながら後方倒れ状態へ回動させるための連結アーム部材と、を備えている請求項1又は2に記載の椅子型マッサージ機。
【請求項4】
前記座部の前部に、上部側を中心として回動可能とされて垂れ下がり状態と前方突出状態との間を回動するフットレスト部を備え、前記背もたれ部が前記後方倒れ状態となる際に前記フットレスト部を垂れ下がり状態から前方突出状態とさせる連動機構を備えている請求項1〜3のいずれか一項に記載の椅子型マッサージ機。
【請求項5】
前記背もたれ部は、当該背もたれ部が後方倒れ状態となる際に前方側へ移動する部分を有するフレーム部材を備え、前記連動機構は、このフレーム部材と前記フットレスト部との間に設けられて当該フレーム部材の前方への移動により当該フットレスト部を垂れ下がり状態から前方突出状態へと持ち上げる連動アーム部材を有している請求項4に記載の椅子型マッサージ機。
【請求項6】
前記マッサージ具は、エアの給排により膨張・収縮するエアセルから構成され、このエアセルと、前記収容部に収容されて当該エアセルを動作させるための装置とが、可撓性を有するエア配管により連結されている請求項1〜5のいずれか一項に記載の椅子型マッサージ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−288488(P2006−288488A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−109978(P2005−109978)
【出願日】平成17年4月6日(2005.4.6)
【出願人】(000112406)ファミリー株式会社 (175)
【Fターム(参考)】