椅子型マッサージ機
【課題】座部に対して背凭れ部を直接揺動可能に支持した椅子型マッサージ機において、座部の揺動角度に拘わらず、背凭れ部の揺動限界角度を検知し、背凭れ部が床面と衝突することを防止できる椅子型マッサージ機を提供する。
【解決手段】ベースフレーム14に揺動可能に支持され、被施療者の腰掛ける座部20と、座部20の後端であって、ベースフレーム14又は座部20に揺動可能に支持され、被施療者の背中が当たる背凭れ部30と、座部20に配備され、背凭れ部30を揺動駆動する背凭れ部揺動手段34とを具え、座部20に対して直接背凭れ部30を揺動可能とした椅子型マッサージ機において、ベースフレーム14に、背凭れ部30の揺動限界角度を検知する角度検知手段70を配備した。
【解決手段】ベースフレーム14に揺動可能に支持され、被施療者の腰掛ける座部20と、座部20の後端であって、ベースフレーム14又は座部20に揺動可能に支持され、被施療者の背中が当たる背凭れ部30と、座部20に配備され、背凭れ部30を揺動駆動する背凭れ部揺動手段34とを具え、座部20に対して直接背凭れ部30を揺動可能とした椅子型マッサージ機において、ベースフレーム14に、背凭れ部30の揺動限界角度を検知する角度検知手段70を配備した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、座部に背凭れ部の揺動手段を配備した椅子型マッサージ機において、背凭れ部が床面と衝突することを防止できる椅子型マッサージ機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
椅子型マッサージ機として、ベースフレームに支持された座部に対し、背凭れ部及び脚部を夫々揺動可能に具え、座部、背凭れ部及び脚部に被施療者の患部をマッサージするマッサージ手段を内蔵したものが提案されている(例えば、特許文献1)。
特許文献1の椅子型マッサージ機は、座部をベースフレームに対して揺動可能に支持し、さらに、背凭れ部及び脚部は、座部に配備された揺動手段と連結されて、座部に対して直接揺動可能となっている。
【0003】
【特許文献1】特開2004−344316号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の如く、揺動可能な座部に対して、直接背凭れ部を揺動可能に支持した椅子型マッサージ機では、背凭れ部の揺動角度は、背凭れ部揺動手段に配備されたリミットスイッチ等によって、座部を基準として計測される。従って、背凭れ部を後傾させたときに、座部の前方が持ち上がる方向に傾いていると、背凭れ部の後面が床面に衝突してしまうことがある。同様に、背凭れ部を後傾させた状態で、座部を前方が持ち上がる方向に揺動させると、背凭れ部の後面が床面に衝突してしまうことがある。
【0005】
本発明の目的は、座部に対して背凭れ部を直接揺動可能に支持した椅子型マッサージ機において、座部の揺動角度に拘わらず、背凭れ部の揺動限界角度を検知し、背凭れ部が床面と衝突することを防止できる椅子型マッサージ機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明の椅子型マッサージ機は、
ベースフレームに揺動可能に支持され、被施療者の腰掛ける座部と、
座部の後端であって、ベースフレーム又は座部に揺動可能に支持され、被施療者の背中が当たる背凭れ部と、
座部に配備され、背凭れ部を揺動駆動する背凭れ部揺動手段とを具え、
座部に対して直接背凭れ部を揺動可能とした椅子型マッサージ機において、
ベースフレームに、背凭れ部の揺動限界角度を検知する角度検知手段を配備した。
【発明の効果】
【0007】
本発明の椅子型マッサージ機によれば、背凭れ部の揺動限界角度は、背凭れ部及び座部の揺動角度に無関係なベースフレームに配備した角度検知手段によって検知される。このため、座部、背凭れ部の揺動角度に拘わらず、床面に対する背凭れ部の揺動限界角度を正確に検知でき、背凭れ部が床面に衝突することを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1は、本発明の椅子型マッサージ機(10)の斜視図、図2は、椅子型マッサージ機(10)を側面から見た図である。なお、説明をわかり易くするために、図2では、肘掛け部(80)を取り外した状態を示している。
図に示すように、椅子型マッサージ機(10)は、床面(90)に載置されるベース(12)に被施療者の腰掛ける座部(20)が設けられ、該座部(20)の後端には、被施療者の背中が当たる背凭れ部(30)、座部(20)の前端には、被施療者のふくらはぎ、足先を挿入する脚部(40)が設けられている。
【0009】
座部(20)は、クッション等が取り付けられた座部フレーム(22)の後端側が、ベース(12)を構成するベースフレーム(14)に対して軸(16)により揺動可能に支持されている。座部(20)の前端下面には、ベースフレーム(14)との間に、モータを駆動源として動作するアクチュエータが座部揺動手段(24)として配備されており、座部揺動手段(24)を作動させることで、座部(20)は、ベース(12)に対して揺動可能となっている。具体的には、アクチュエータを伸ばすと、座部(20)は、軸(16)を中心として、前方が持ち上がる方向に揺動し、アクチュエータを縮めると、座部(20)は、前方が下がる方向に揺動する。
座部(20)には、エアバッグ等のマッサージ手段(28)が配備されている。
なお、図1では、脚部(40)として、ふくらはぎと足先を挿入する部分が一体になったものを示し、図2、図5及び図6では、別体になったものを示している。
【0010】
背凭れ部(30)は、座部フレーム(22)又はベースフレーム(14)に揺動可能に支持される。図示の実施例では、背凭れ部(30)のフレーム(32)は、座部フレーム(22)と共通の軸(16)によって、ベースフレーム(14)に枢支されている。
背凭れ部(30)は、座部(20)に対して直接揺動可能となるように揺動手段(34)を介して連結される。背凭れ部(30)の揺動手段(34)として、モータを駆動源として動作するアクチュエータを例示できる。アクチュエータは、一端が背凭れ部フレーム(32)の下端に、他端が座部フレーム(22)の前端に連繋されており、アクチュエータを縮めることで、背凭れ部(30)は、軸(16)を中心として、後傾する方向に揺動し、アクチュエータを伸ばすことで、背凭れ部(30)は前傾する方向に揺動する。
【0011】
背凭れ部(30)は、座部(20)に直接揺動可能となるように連結されているから、背凭れ部揺動手段(34)を作動させることなく、座部揺動手段(24)を作動させると、背凭れ部(30)は、軸(16)を中心として、座部(20)と一体に揺動する。
このため、背凭れ部(30)を揺動させることなく、座部(20)のみを揺動させるには、座部(20)の揺動方向に対して逆向きに背凭れ部(30)を揺動させる必要がある。
背凭れ部(30)には、施療指等の公知のマッサージ手段(38)が昇降可能に配備されている。
【0012】
背凭れ部揺動手段(34)には、必要に応じて、背凭れ部(30)の揺動角度を検知するリミットスイッチ(36)(図7参照)を配備することができる。例えば、アクチュエータを揺動手段(34)として用いる場合、アクチュエータの縮み側(背凭れ部後傾側)にリミットスイッチ(36)を配備しておき、背凭れ部(34)の座部(20)に対する後傾角度が所定角度以上とならないように規制することが望ましい。
【0013】
ベースフレーム(14)には、背凭れ部(30)の揺動限界角度、即ち、床面(90)に対して後傾できる背凭れ部(30)の最大角度を検知するための角度検知手段(70)が配備される。角度検知手段(70)を、床面(90)に対して揺動しないベースフレーム(14)に配備したことで、背凭れ部(30)の絶対的な揺動限界角度を検知することができる。
角度検知手段(70)として、リミットスイッチを例示できる。ベースフレーム(14)に直接リミットスイッチを取り付けて、リミットスイッチを背凭れ部(30)の傾動移行路上に臨出させると、背凭れ部(30)が後傾し、リミットスイッチが背凭れ部(30)と当接したときに、背凭れ部(30)の行き過ぎによって、リミットスイッチが破損してしまうことがある。そこで、以下に示すように、角度検知手段(70)は、取付ホルダー(72)を介して、ベースフレーム(14)に取り付けることが望ましい。
【0014】
角度検知手段(70)は、図2乃至図4等に示すように、取付ホルダー(72)を介して、ベースフレーム(14)に揺動可能に装着することができる。角度検知手段(70)は、後述する制御手段(50)に電気的に接続される。
取付ホルダー(72)は、樹脂から作製することができ、ベースフレーム(14)に軸支(74)され、前方先端が付勢手段(76)によって、上向きに引っ張られるように付勢されている。軸支(74)部分の後方には、後述するとおり、角度検知手段(70)が配備される。軸支(74)部分の後端は、上向きに突出し、先端がベースフレーム(14)の内側で背凭れ部(30)の傾動移行路に突出するよう延びている。取付ホルダー(72)の後方先端の下面は、背凭れ部(30)との接触部(78)を有する。
取付ホルダー(72)は、背凭れ部(30)が揺動限界角度に達した位置で、接触部(78)が、背凭れ部(30)と当接するように、背凭れ部方向への傾動を回止め手段により規制しておく。図示では、回止め手段は、ベースフレーム(14)であり、取付ホルダー(72)の軸支(74)部分よりも後方下端(72')が、ベースフレーム(14)に当たって回止めされる。
【0015】
角度検知手段(70)として、リミットスイッチを例示することができ、リミットスイッチは、取付ホルダー(72)が、回止め手段となるベースフレーム(14)に当たっているときには、付勢手段(76)の付勢力によって、ベースフレーム(14)との間で押されてスイッチがオフとなるように配備することができる。
図5に示すように、背凭れ部(30)が後傾し、取付ホルダー(72)の接触部(78)に背凭れ部(30)が当接すると、取付ホルダー(72)が、図5の矢印方向に回転し、角度検知手段(70)であるリミットスイッチは、ベースフレーム(14)からスイッチ部分が離れてオンとなり、背凭れ部(30)が揺動限界角度に到達したことを制御手段(50)に送信する。
【0016】
上記のように角度検知手段(70)を傾動可能な取付ホルダー(72)に取り付けて、背凭れ部(30)を検知することができるようにしたことで、角度検知手段(70)が背凭れ部(30)を検知した後、座部揺動手段(24)や背凭れ部揺動手段(34)が停止するまでのタイムラグや慣性等により、背凭れ部(30)が行き過ぎても、図6のように取付ホルダー(72)が背凭れ部(30)に従動して揺動することで、角度検知手段(70)に強い力が加わることはなく、角度検知手段(70)の破損を防止できる。
【0017】
脚部(40)は、座部(20)の先端に直接支持される。脚部(40)には、エアバッグ等のマッサージ手段(48)が配備されている(図1参照)。
脚部(40)は、座部(20)又はベースフレーム(14)に配備された脚部揺動手段(44)によって、座部(20)に対して揺動可能となっている。図示の実施例では、脚部揺動手段(44)は、モータを駆動源とするアクチュエータである。
【0018】
上記椅子型マッサージ機(10)は、適所に配備された制御手段(50)によって制御される。制御手段(50)は、角度検知手段(70)、背凭れ部揺動手段(34)に配備されたリミットスイッチ(36)が電気的に接続されており、その他、揺動手段(24)(34)(44)、マッサージ手段(28)(38)(48)が駆動回路(52)(52)(52)を介して電気的に接続され、夫々制御手段(50)からの命令を受けて作動する。さらに、制御手段(50)には、椅子型マッサージ機(10)を操作するための操作部(60)が接続される。
【0019】
操作部(60)は、前述のとおり、制御手段(50)に電気的に接続されており、操作部(60)に配備された複数のボタン(図示せず)によって、マッサージ手段(28)(38)(48)の各種制御や、座部(20)、背凭れ部(30)及び脚部(40)の揺動角度(リクライニング角度)を適宜調整することができる。
【0020】
椅子型マッサージ機(10)は、操作部(60)の操作により、揉みマッサージ、叩きマッサージ、ローリングマッサージ、又は、これらを組み合わせたマッサージを施すことができる。さらに、予め記憶されたマッサージプログラムに沿ってマッサージ手段(28)(38)(48)を動作させることもできる。
【0021】
座部(20)、背凭れ部(30)及び脚部(40)は、操作部(60)の操作によって、又は、種々のマッサージ動作やマッサージプログラムに沿って、揺動手段(24)(34)(44)を作動することで揺動させることができる。
【0022】
制御手段(50)は、背凭れ部揺動手段(34)を背凭れ部(30)が後傾する方向に作動させている場合、被施療者の操作、予め設定されたプログラム等により停止させることができる。また、後述するように、背凭れ部揺動手段(34)のリミットスイッチ(36)や角度検知手段(70)が限度を検知したときに背凭れ部(30)の後傾を停止させることができる。
【0023】
背凭れ部揺動手段(34)を作動させることで背凭れ部(30)を後傾させたとき、又は、背凭れ部(30)が後傾した状態で、座部揺動手段(24)を作動させて座部(20)を前端が持ち上がる方向に揺動させると、背凭れ部(30)が床面(90)に衝突することがある。背凭れ部揺動手段(34)には、上述のとおり、リミットスイッチ(36)が内蔵されているが、座部(20)の角度によっては、リミットスイッチ(36)が検知するよりも先に、背凭れ部(30)が床面(90)と衝突してしまうことがある。また、背凭れ部揺動手段(34)を停止した状態で座部揺動手段(24)のみを作動させた場合には、リミットスイッチ(36)は、背凭れ部(30)の揺動限界角度を検知することはできない。
【0024】
このため、本願では、揺動しないベースフレーム(14)に角度検知手段(70)を配備し、直接、背凭れ部(30)の揺動限界角度を検知し、背凭れ部揺動手段(34)及び/又は座部揺動手段(24)を停止するようにしており、座部(20)の揺動角度に拘わらず、背凭れ部(30)が床面(90)に衝突することを防止できる。
【0025】
背凭れ部(30)が後傾する方向に作動させた場合の制御は、図8に示すフローチャートに基づいて行なうことができる。なお、説明を簡略化するために、操作部(60)を操作することによる座部揺動手段(24)及び背凭れ部揺動手段(34)の停止や、予め設定されたプログラム等により座部揺動手段(24)や背凭れ部揺動手段(34)を停止させる制御は含めていない。
【0026】
フローチャート図8に示すように、操作部(60)の操作等により、背凭れ部揺動手段(34)を背凭れ部(30)が後傾する方向に作動、及び/又は、座部揺動手段(24)を座部(20)の前方が持ち上がる方向に作動させることで、背凭れ部(30)が後傾方向に揺動する(ステップ1)。
背凭れ部(30)の後傾が続くと、図2、図4及び図5に示すように、角度検知手段(70)によって背凭れ部(30)が検知されるか(ステップ2)、背凭れ部揺動手段(34)のリミットスイッチ(36)により背凭れ部(30)の後傾が検知される(ステップ2)。
角度検知手段(70)の検知信号又はリミットスイッチ(36)の検知信号は、制御手段(50)に送信され、制御手段(50)は、作動中の座部揺動手段(24)と背凭れ部揺動手段(34)を停止する(ステップ4)。
上記フローチャートにより、背凭れ部(30)を、座部(20)の揺動角度に拘わらず、床面(90)に衝突することなく停止させることができる。
【0027】
なお、ステップ2とステップ3の位置を入れ替えて制御することも勿論可能である。さらに、背凭れ部揺動手段(34)のリミットスイッチ(36)を用いることなく、角度検知手段(70)のみで背凭れ部(30)の後傾方向の限度を検知することもできる。
但し、背凭れ部揺動手段(34)のリミットスイッチ(36)のみでは、座部揺動手段(24)による背凭れ部(30)の後傾を検知することはできない。
【0028】
上記説明では、背凭れ部(30)が揺動限界角度に達した場合に、作動中の座部揺動手段(24)と背凭れ部揺動手段(34)を停止するようにしているが、停止に代えて、所定角度又は所定時間、背凭れ部(30)が前傾する方向に座部揺動手段(24)及び/又は背凭れ部揺動手段(34)を作動させるようにしてもよい。
【0029】
なお、座部(20)、背凭れ部(30)、脚部(40)の傾動角度の認識は、各々の揺動手段(24)(34)(44)の動作時間を計測して、予め計測された動作時間と傾斜角度との関係により行なうことができる。この際、制御手段(50)にフラッシュメモリ等の記憶手段を配備し、上記等により、揺動手段(24)(34)(44)を作動させて、座部(20)、背凭れ部(30)、脚部(40)を揺動させたときに、揺動手段(24)(34)(44)の動作時間を計測して記憶手段に記憶しておき、この状態から再度揺動手段(24)(34)(44)を作動させる際、又は、電源をオフにしたり、電源コンセントを抜き、マッサージ機(10)への通電が遮断された状態から揺動手段(24)(34)(44)を作動させる際に、座部(20)、背凭れ部(30)、脚部(40)の現在の揺動角度を、記憶手段を参照することで認識することができる。
揺動手段(24)(34)(44)の動作時間のみを基準とすると、負荷状態によっては誤差が生ずることがあるから、座部(20)、背凭れ部(30)、脚部(40)が限界角度に達したときに、リミットスイッチ(36)等により、誤差を校正するようにすることが望ましい。
記憶手段として、フラッシュメモリを使用することで、マッサージ機(10)への通電状態に拘わらず、記憶状態を保持することができる利点がある。
【0030】
上記のように、座部(20)、背凭れ部(30)、脚部(40)の傾動状態を記憶手段に記憶させておくことで、運転再開時に、基準となる角度(初期角度)まで座部(20)等を戻すことも可能であり、また、所望の角度まで揺動させる際に、座部(20)、背凭れ部(30)、脚部(40)の倒れすぎ等を防止できる。
また、揺動手段(24)(34)(44)の動作時間に基づいて、座部(20)等の傾動状態を認識できるから、傾動状態を認識するために、揺動手段(24)(34)(44)にパルスカウンタ機能を取り付けたり、その他傾斜センサ等を取り付ける必要はなく、コストアップや部品点数の増加、製品寸法の拡大を防止できる。
【0031】
肘掛け部(80)は、通常、樹脂製のケーシングの外周を、クッションや布カバーで覆って構成され、座部フレームから立設された一対の肘掛け部取付用の縦フレームと、該縦フレームの先端を連繋する横フレームからなる取付用フレームに、ケーシングを差し込み、樹脂製ケーシングと肘掛け部取付用フレームとを縫製で結束して抜け止めしている。
【0032】
しかしながら、上記構成では、フレームに差し込むためにケーシングに大きな開口が必要となり、肘掛け部をぐらつくことなくしっかりと位置精度良く固定することは困難であった。
【0033】
そこで、図9乃至図13に示すように、肘掛け部(80)を樹脂製の内側ケース(82)と外側ケース(84)から構成し、内側ケース(82)と外側ケース(84)との間に金属製の内部フレーム(86)を挟み、クッション(89a)を内側に貼り付けた布カバー(89)で包囲する構成とした。
【0034】
内側ケース(82)は、後述する座部フレーム(22)から延びる縦フレーム(17)(17)が挿入される孔(83)(83)が開設されており、布カバー(89)及びクッション(89a)には、孔(83)(83)に該当する位置に合わせて孔が設けられている。また、内側ケース(82)の下端には、図11及び図13に示すように、縦フレーム(17)(17)から突設された位置決めピン(18)(18)に嵌合し、ぐらつきを抑える位置決め溝(85)(85)が凹設されている。
外側ケース(84)は、前記内側ケース(82)の孔(83)(83)の上端と対応する位置に横向きにリブ(84b)が突設されており、縦フレーム(17)を孔(83)に挿入する際に、縦フレーム(17)が内部フレーム(86)に対してスムーズに所定位置にくるようにガイドしている。
内部フレーム(86)は、図10に示すように、横方向に延びる内部横フレーム(87)と、該内部横フレーム(87)の後端側から下向きに延びる内部縦フレーム(88)から構成される。
【0035】
内部フレーム(86)は、図10に示すように、内側ケース(82)にネジ止め(82a)(82a)され、外側ケース(84)は、内側ケース(82)に適宜ネジ止め(図示せず)される。この状態で、内側ケース(82)及び外側ケース(84)の外周から布カバー(89)で包囲することにより、肘掛け部(80)が作製される。
【0036】
図11に示すように、座部フレーム(22)に溶接等により立設された前後一対の縦フレーム(17)(17)は、上端に、ネジ孔(19)(19)が開設されており、下端には、肘掛け部(80)の位置決め用ピン(18)(18)が夫々突設されている。
【0037】
肘掛け部(80)は、図12に示すように、前記縦フレーム(17)(17)を孔(83)(83)に挿入し、図13に示すように、位置決め用ピン(18)(18)と位置決め溝(85)(85)を嵌合させることで縦フレーム(17)(17)に取り付けられ、内部横フレーム(86)と縦フレーム(17)(17)とを外側フレーム(84)側からネジ止め(19a)(19a)することで固定される。布カバー(89)及びクッション(89a)には、ネジ止め(19a)するための開口(89b)が設けられ、開口(89b)は化粧板(89c)で塞がれる。
【0038】
これにより、肘掛け部(80)は、縦フレーム(17)(17)にぐらつくことなくしっかりと位置精度良く固定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、背凭れ部が床面と衝突することを防止できる椅子型マッサージ機として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の椅子型マッサージ機の斜視図である。
【図2】本発明の椅子型マッサージ機の側面図である。
【図3】角度検知手段及び取付用ホルダー部分の拡大斜視図である。
【図4】取付用ホルダー部分の拡大平面図である。
【図5】背凭れ部が揺動限界角度に到達した状態を示す椅子型マッサージ機の側面図である。
【図6】取付用ホルダーが背凭れ部に従動している状態を示す椅子型マッサージ機の側面図である。
【図7】制御手段のブロック図である。
【図8】背凭れ部の揺動限界角度検知のフローを示す図である。
【図9】椅子型マッサージ機から肘掛け部を取り外した状態を示す斜視図である。
【図10】肘掛け部の分解図である。
【図11】肘掛け部(布カバーを除く)を縦フレームに取り付ける工程を示す斜視図である。
【図12】肘掛け部(布カバーを除く)を縦フレームに取り付けた状態を示す斜視図である。
【図13】図12の一点鎖線に沿って断面し、矢印A−A方向に見た断面図である。
【符号の説明】
【0041】
(10) 椅子型マッサージ機
(20) 座部
(24) 座部揺動手段
(30) 背凭れ部
(34) 背凭れ部揺動手段
(70) 角度検知手段
(72) 取付ホルダー
【技術分野】
【0001】
本発明は、座部に背凭れ部の揺動手段を配備した椅子型マッサージ機において、背凭れ部が床面と衝突することを防止できる椅子型マッサージ機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
椅子型マッサージ機として、ベースフレームに支持された座部に対し、背凭れ部及び脚部を夫々揺動可能に具え、座部、背凭れ部及び脚部に被施療者の患部をマッサージするマッサージ手段を内蔵したものが提案されている(例えば、特許文献1)。
特許文献1の椅子型マッサージ機は、座部をベースフレームに対して揺動可能に支持し、さらに、背凭れ部及び脚部は、座部に配備された揺動手段と連結されて、座部に対して直接揺動可能となっている。
【0003】
【特許文献1】特開2004−344316号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の如く、揺動可能な座部に対して、直接背凭れ部を揺動可能に支持した椅子型マッサージ機では、背凭れ部の揺動角度は、背凭れ部揺動手段に配備されたリミットスイッチ等によって、座部を基準として計測される。従って、背凭れ部を後傾させたときに、座部の前方が持ち上がる方向に傾いていると、背凭れ部の後面が床面に衝突してしまうことがある。同様に、背凭れ部を後傾させた状態で、座部を前方が持ち上がる方向に揺動させると、背凭れ部の後面が床面に衝突してしまうことがある。
【0005】
本発明の目的は、座部に対して背凭れ部を直接揺動可能に支持した椅子型マッサージ機において、座部の揺動角度に拘わらず、背凭れ部の揺動限界角度を検知し、背凭れ部が床面と衝突することを防止できる椅子型マッサージ機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明の椅子型マッサージ機は、
ベースフレームに揺動可能に支持され、被施療者の腰掛ける座部と、
座部の後端であって、ベースフレーム又は座部に揺動可能に支持され、被施療者の背中が当たる背凭れ部と、
座部に配備され、背凭れ部を揺動駆動する背凭れ部揺動手段とを具え、
座部に対して直接背凭れ部を揺動可能とした椅子型マッサージ機において、
ベースフレームに、背凭れ部の揺動限界角度を検知する角度検知手段を配備した。
【発明の効果】
【0007】
本発明の椅子型マッサージ機によれば、背凭れ部の揺動限界角度は、背凭れ部及び座部の揺動角度に無関係なベースフレームに配備した角度検知手段によって検知される。このため、座部、背凭れ部の揺動角度に拘わらず、床面に対する背凭れ部の揺動限界角度を正確に検知でき、背凭れ部が床面に衝突することを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1は、本発明の椅子型マッサージ機(10)の斜視図、図2は、椅子型マッサージ機(10)を側面から見た図である。なお、説明をわかり易くするために、図2では、肘掛け部(80)を取り外した状態を示している。
図に示すように、椅子型マッサージ機(10)は、床面(90)に載置されるベース(12)に被施療者の腰掛ける座部(20)が設けられ、該座部(20)の後端には、被施療者の背中が当たる背凭れ部(30)、座部(20)の前端には、被施療者のふくらはぎ、足先を挿入する脚部(40)が設けられている。
【0009】
座部(20)は、クッション等が取り付けられた座部フレーム(22)の後端側が、ベース(12)を構成するベースフレーム(14)に対して軸(16)により揺動可能に支持されている。座部(20)の前端下面には、ベースフレーム(14)との間に、モータを駆動源として動作するアクチュエータが座部揺動手段(24)として配備されており、座部揺動手段(24)を作動させることで、座部(20)は、ベース(12)に対して揺動可能となっている。具体的には、アクチュエータを伸ばすと、座部(20)は、軸(16)を中心として、前方が持ち上がる方向に揺動し、アクチュエータを縮めると、座部(20)は、前方が下がる方向に揺動する。
座部(20)には、エアバッグ等のマッサージ手段(28)が配備されている。
なお、図1では、脚部(40)として、ふくらはぎと足先を挿入する部分が一体になったものを示し、図2、図5及び図6では、別体になったものを示している。
【0010】
背凭れ部(30)は、座部フレーム(22)又はベースフレーム(14)に揺動可能に支持される。図示の実施例では、背凭れ部(30)のフレーム(32)は、座部フレーム(22)と共通の軸(16)によって、ベースフレーム(14)に枢支されている。
背凭れ部(30)は、座部(20)に対して直接揺動可能となるように揺動手段(34)を介して連結される。背凭れ部(30)の揺動手段(34)として、モータを駆動源として動作するアクチュエータを例示できる。アクチュエータは、一端が背凭れ部フレーム(32)の下端に、他端が座部フレーム(22)の前端に連繋されており、アクチュエータを縮めることで、背凭れ部(30)は、軸(16)を中心として、後傾する方向に揺動し、アクチュエータを伸ばすことで、背凭れ部(30)は前傾する方向に揺動する。
【0011】
背凭れ部(30)は、座部(20)に直接揺動可能となるように連結されているから、背凭れ部揺動手段(34)を作動させることなく、座部揺動手段(24)を作動させると、背凭れ部(30)は、軸(16)を中心として、座部(20)と一体に揺動する。
このため、背凭れ部(30)を揺動させることなく、座部(20)のみを揺動させるには、座部(20)の揺動方向に対して逆向きに背凭れ部(30)を揺動させる必要がある。
背凭れ部(30)には、施療指等の公知のマッサージ手段(38)が昇降可能に配備されている。
【0012】
背凭れ部揺動手段(34)には、必要に応じて、背凭れ部(30)の揺動角度を検知するリミットスイッチ(36)(図7参照)を配備することができる。例えば、アクチュエータを揺動手段(34)として用いる場合、アクチュエータの縮み側(背凭れ部後傾側)にリミットスイッチ(36)を配備しておき、背凭れ部(34)の座部(20)に対する後傾角度が所定角度以上とならないように規制することが望ましい。
【0013】
ベースフレーム(14)には、背凭れ部(30)の揺動限界角度、即ち、床面(90)に対して後傾できる背凭れ部(30)の最大角度を検知するための角度検知手段(70)が配備される。角度検知手段(70)を、床面(90)に対して揺動しないベースフレーム(14)に配備したことで、背凭れ部(30)の絶対的な揺動限界角度を検知することができる。
角度検知手段(70)として、リミットスイッチを例示できる。ベースフレーム(14)に直接リミットスイッチを取り付けて、リミットスイッチを背凭れ部(30)の傾動移行路上に臨出させると、背凭れ部(30)が後傾し、リミットスイッチが背凭れ部(30)と当接したときに、背凭れ部(30)の行き過ぎによって、リミットスイッチが破損してしまうことがある。そこで、以下に示すように、角度検知手段(70)は、取付ホルダー(72)を介して、ベースフレーム(14)に取り付けることが望ましい。
【0014】
角度検知手段(70)は、図2乃至図4等に示すように、取付ホルダー(72)を介して、ベースフレーム(14)に揺動可能に装着することができる。角度検知手段(70)は、後述する制御手段(50)に電気的に接続される。
取付ホルダー(72)は、樹脂から作製することができ、ベースフレーム(14)に軸支(74)され、前方先端が付勢手段(76)によって、上向きに引っ張られるように付勢されている。軸支(74)部分の後方には、後述するとおり、角度検知手段(70)が配備される。軸支(74)部分の後端は、上向きに突出し、先端がベースフレーム(14)の内側で背凭れ部(30)の傾動移行路に突出するよう延びている。取付ホルダー(72)の後方先端の下面は、背凭れ部(30)との接触部(78)を有する。
取付ホルダー(72)は、背凭れ部(30)が揺動限界角度に達した位置で、接触部(78)が、背凭れ部(30)と当接するように、背凭れ部方向への傾動を回止め手段により規制しておく。図示では、回止め手段は、ベースフレーム(14)であり、取付ホルダー(72)の軸支(74)部分よりも後方下端(72')が、ベースフレーム(14)に当たって回止めされる。
【0015】
角度検知手段(70)として、リミットスイッチを例示することができ、リミットスイッチは、取付ホルダー(72)が、回止め手段となるベースフレーム(14)に当たっているときには、付勢手段(76)の付勢力によって、ベースフレーム(14)との間で押されてスイッチがオフとなるように配備することができる。
図5に示すように、背凭れ部(30)が後傾し、取付ホルダー(72)の接触部(78)に背凭れ部(30)が当接すると、取付ホルダー(72)が、図5の矢印方向に回転し、角度検知手段(70)であるリミットスイッチは、ベースフレーム(14)からスイッチ部分が離れてオンとなり、背凭れ部(30)が揺動限界角度に到達したことを制御手段(50)に送信する。
【0016】
上記のように角度検知手段(70)を傾動可能な取付ホルダー(72)に取り付けて、背凭れ部(30)を検知することができるようにしたことで、角度検知手段(70)が背凭れ部(30)を検知した後、座部揺動手段(24)や背凭れ部揺動手段(34)が停止するまでのタイムラグや慣性等により、背凭れ部(30)が行き過ぎても、図6のように取付ホルダー(72)が背凭れ部(30)に従動して揺動することで、角度検知手段(70)に強い力が加わることはなく、角度検知手段(70)の破損を防止できる。
【0017】
脚部(40)は、座部(20)の先端に直接支持される。脚部(40)には、エアバッグ等のマッサージ手段(48)が配備されている(図1参照)。
脚部(40)は、座部(20)又はベースフレーム(14)に配備された脚部揺動手段(44)によって、座部(20)に対して揺動可能となっている。図示の実施例では、脚部揺動手段(44)は、モータを駆動源とするアクチュエータである。
【0018】
上記椅子型マッサージ機(10)は、適所に配備された制御手段(50)によって制御される。制御手段(50)は、角度検知手段(70)、背凭れ部揺動手段(34)に配備されたリミットスイッチ(36)が電気的に接続されており、その他、揺動手段(24)(34)(44)、マッサージ手段(28)(38)(48)が駆動回路(52)(52)(52)を介して電気的に接続され、夫々制御手段(50)からの命令を受けて作動する。さらに、制御手段(50)には、椅子型マッサージ機(10)を操作するための操作部(60)が接続される。
【0019】
操作部(60)は、前述のとおり、制御手段(50)に電気的に接続されており、操作部(60)に配備された複数のボタン(図示せず)によって、マッサージ手段(28)(38)(48)の各種制御や、座部(20)、背凭れ部(30)及び脚部(40)の揺動角度(リクライニング角度)を適宜調整することができる。
【0020】
椅子型マッサージ機(10)は、操作部(60)の操作により、揉みマッサージ、叩きマッサージ、ローリングマッサージ、又は、これらを組み合わせたマッサージを施すことができる。さらに、予め記憶されたマッサージプログラムに沿ってマッサージ手段(28)(38)(48)を動作させることもできる。
【0021】
座部(20)、背凭れ部(30)及び脚部(40)は、操作部(60)の操作によって、又は、種々のマッサージ動作やマッサージプログラムに沿って、揺動手段(24)(34)(44)を作動することで揺動させることができる。
【0022】
制御手段(50)は、背凭れ部揺動手段(34)を背凭れ部(30)が後傾する方向に作動させている場合、被施療者の操作、予め設定されたプログラム等により停止させることができる。また、後述するように、背凭れ部揺動手段(34)のリミットスイッチ(36)や角度検知手段(70)が限度を検知したときに背凭れ部(30)の後傾を停止させることができる。
【0023】
背凭れ部揺動手段(34)を作動させることで背凭れ部(30)を後傾させたとき、又は、背凭れ部(30)が後傾した状態で、座部揺動手段(24)を作動させて座部(20)を前端が持ち上がる方向に揺動させると、背凭れ部(30)が床面(90)に衝突することがある。背凭れ部揺動手段(34)には、上述のとおり、リミットスイッチ(36)が内蔵されているが、座部(20)の角度によっては、リミットスイッチ(36)が検知するよりも先に、背凭れ部(30)が床面(90)と衝突してしまうことがある。また、背凭れ部揺動手段(34)を停止した状態で座部揺動手段(24)のみを作動させた場合には、リミットスイッチ(36)は、背凭れ部(30)の揺動限界角度を検知することはできない。
【0024】
このため、本願では、揺動しないベースフレーム(14)に角度検知手段(70)を配備し、直接、背凭れ部(30)の揺動限界角度を検知し、背凭れ部揺動手段(34)及び/又は座部揺動手段(24)を停止するようにしており、座部(20)の揺動角度に拘わらず、背凭れ部(30)が床面(90)に衝突することを防止できる。
【0025】
背凭れ部(30)が後傾する方向に作動させた場合の制御は、図8に示すフローチャートに基づいて行なうことができる。なお、説明を簡略化するために、操作部(60)を操作することによる座部揺動手段(24)及び背凭れ部揺動手段(34)の停止や、予め設定されたプログラム等により座部揺動手段(24)や背凭れ部揺動手段(34)を停止させる制御は含めていない。
【0026】
フローチャート図8に示すように、操作部(60)の操作等により、背凭れ部揺動手段(34)を背凭れ部(30)が後傾する方向に作動、及び/又は、座部揺動手段(24)を座部(20)の前方が持ち上がる方向に作動させることで、背凭れ部(30)が後傾方向に揺動する(ステップ1)。
背凭れ部(30)の後傾が続くと、図2、図4及び図5に示すように、角度検知手段(70)によって背凭れ部(30)が検知されるか(ステップ2)、背凭れ部揺動手段(34)のリミットスイッチ(36)により背凭れ部(30)の後傾が検知される(ステップ2)。
角度検知手段(70)の検知信号又はリミットスイッチ(36)の検知信号は、制御手段(50)に送信され、制御手段(50)は、作動中の座部揺動手段(24)と背凭れ部揺動手段(34)を停止する(ステップ4)。
上記フローチャートにより、背凭れ部(30)を、座部(20)の揺動角度に拘わらず、床面(90)に衝突することなく停止させることができる。
【0027】
なお、ステップ2とステップ3の位置を入れ替えて制御することも勿論可能である。さらに、背凭れ部揺動手段(34)のリミットスイッチ(36)を用いることなく、角度検知手段(70)のみで背凭れ部(30)の後傾方向の限度を検知することもできる。
但し、背凭れ部揺動手段(34)のリミットスイッチ(36)のみでは、座部揺動手段(24)による背凭れ部(30)の後傾を検知することはできない。
【0028】
上記説明では、背凭れ部(30)が揺動限界角度に達した場合に、作動中の座部揺動手段(24)と背凭れ部揺動手段(34)を停止するようにしているが、停止に代えて、所定角度又は所定時間、背凭れ部(30)が前傾する方向に座部揺動手段(24)及び/又は背凭れ部揺動手段(34)を作動させるようにしてもよい。
【0029】
なお、座部(20)、背凭れ部(30)、脚部(40)の傾動角度の認識は、各々の揺動手段(24)(34)(44)の動作時間を計測して、予め計測された動作時間と傾斜角度との関係により行なうことができる。この際、制御手段(50)にフラッシュメモリ等の記憶手段を配備し、上記等により、揺動手段(24)(34)(44)を作動させて、座部(20)、背凭れ部(30)、脚部(40)を揺動させたときに、揺動手段(24)(34)(44)の動作時間を計測して記憶手段に記憶しておき、この状態から再度揺動手段(24)(34)(44)を作動させる際、又は、電源をオフにしたり、電源コンセントを抜き、マッサージ機(10)への通電が遮断された状態から揺動手段(24)(34)(44)を作動させる際に、座部(20)、背凭れ部(30)、脚部(40)の現在の揺動角度を、記憶手段を参照することで認識することができる。
揺動手段(24)(34)(44)の動作時間のみを基準とすると、負荷状態によっては誤差が生ずることがあるから、座部(20)、背凭れ部(30)、脚部(40)が限界角度に達したときに、リミットスイッチ(36)等により、誤差を校正するようにすることが望ましい。
記憶手段として、フラッシュメモリを使用することで、マッサージ機(10)への通電状態に拘わらず、記憶状態を保持することができる利点がある。
【0030】
上記のように、座部(20)、背凭れ部(30)、脚部(40)の傾動状態を記憶手段に記憶させておくことで、運転再開時に、基準となる角度(初期角度)まで座部(20)等を戻すことも可能であり、また、所望の角度まで揺動させる際に、座部(20)、背凭れ部(30)、脚部(40)の倒れすぎ等を防止できる。
また、揺動手段(24)(34)(44)の動作時間に基づいて、座部(20)等の傾動状態を認識できるから、傾動状態を認識するために、揺動手段(24)(34)(44)にパルスカウンタ機能を取り付けたり、その他傾斜センサ等を取り付ける必要はなく、コストアップや部品点数の増加、製品寸法の拡大を防止できる。
【0031】
肘掛け部(80)は、通常、樹脂製のケーシングの外周を、クッションや布カバーで覆って構成され、座部フレームから立設された一対の肘掛け部取付用の縦フレームと、該縦フレームの先端を連繋する横フレームからなる取付用フレームに、ケーシングを差し込み、樹脂製ケーシングと肘掛け部取付用フレームとを縫製で結束して抜け止めしている。
【0032】
しかしながら、上記構成では、フレームに差し込むためにケーシングに大きな開口が必要となり、肘掛け部をぐらつくことなくしっかりと位置精度良く固定することは困難であった。
【0033】
そこで、図9乃至図13に示すように、肘掛け部(80)を樹脂製の内側ケース(82)と外側ケース(84)から構成し、内側ケース(82)と外側ケース(84)との間に金属製の内部フレーム(86)を挟み、クッション(89a)を内側に貼り付けた布カバー(89)で包囲する構成とした。
【0034】
内側ケース(82)は、後述する座部フレーム(22)から延びる縦フレーム(17)(17)が挿入される孔(83)(83)が開設されており、布カバー(89)及びクッション(89a)には、孔(83)(83)に該当する位置に合わせて孔が設けられている。また、内側ケース(82)の下端には、図11及び図13に示すように、縦フレーム(17)(17)から突設された位置決めピン(18)(18)に嵌合し、ぐらつきを抑える位置決め溝(85)(85)が凹設されている。
外側ケース(84)は、前記内側ケース(82)の孔(83)(83)の上端と対応する位置に横向きにリブ(84b)が突設されており、縦フレーム(17)を孔(83)に挿入する際に、縦フレーム(17)が内部フレーム(86)に対してスムーズに所定位置にくるようにガイドしている。
内部フレーム(86)は、図10に示すように、横方向に延びる内部横フレーム(87)と、該内部横フレーム(87)の後端側から下向きに延びる内部縦フレーム(88)から構成される。
【0035】
内部フレーム(86)は、図10に示すように、内側ケース(82)にネジ止め(82a)(82a)され、外側ケース(84)は、内側ケース(82)に適宜ネジ止め(図示せず)される。この状態で、内側ケース(82)及び外側ケース(84)の外周から布カバー(89)で包囲することにより、肘掛け部(80)が作製される。
【0036】
図11に示すように、座部フレーム(22)に溶接等により立設された前後一対の縦フレーム(17)(17)は、上端に、ネジ孔(19)(19)が開設されており、下端には、肘掛け部(80)の位置決め用ピン(18)(18)が夫々突設されている。
【0037】
肘掛け部(80)は、図12に示すように、前記縦フレーム(17)(17)を孔(83)(83)に挿入し、図13に示すように、位置決め用ピン(18)(18)と位置決め溝(85)(85)を嵌合させることで縦フレーム(17)(17)に取り付けられ、内部横フレーム(86)と縦フレーム(17)(17)とを外側フレーム(84)側からネジ止め(19a)(19a)することで固定される。布カバー(89)及びクッション(89a)には、ネジ止め(19a)するための開口(89b)が設けられ、開口(89b)は化粧板(89c)で塞がれる。
【0038】
これにより、肘掛け部(80)は、縦フレーム(17)(17)にぐらつくことなくしっかりと位置精度良く固定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、背凭れ部が床面と衝突することを防止できる椅子型マッサージ機として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の椅子型マッサージ機の斜視図である。
【図2】本発明の椅子型マッサージ機の側面図である。
【図3】角度検知手段及び取付用ホルダー部分の拡大斜視図である。
【図4】取付用ホルダー部分の拡大平面図である。
【図5】背凭れ部が揺動限界角度に到達した状態を示す椅子型マッサージ機の側面図である。
【図6】取付用ホルダーが背凭れ部に従動している状態を示す椅子型マッサージ機の側面図である。
【図7】制御手段のブロック図である。
【図8】背凭れ部の揺動限界角度検知のフローを示す図である。
【図9】椅子型マッサージ機から肘掛け部を取り外した状態を示す斜視図である。
【図10】肘掛け部の分解図である。
【図11】肘掛け部(布カバーを除く)を縦フレームに取り付ける工程を示す斜視図である。
【図12】肘掛け部(布カバーを除く)を縦フレームに取り付けた状態を示す斜視図である。
【図13】図12の一点鎖線に沿って断面し、矢印A−A方向に見た断面図である。
【符号の説明】
【0041】
(10) 椅子型マッサージ機
(20) 座部
(24) 座部揺動手段
(30) 背凭れ部
(34) 背凭れ部揺動手段
(70) 角度検知手段
(72) 取付ホルダー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースフレームに揺動可能に支持され、被施療者の腰掛ける座部と、
座部の後端であって、ベースフレーム又は座部に揺動可能に支持され、被施療者の背中が当たる背凭れ部と、
座部に配備され、背凭れ部を揺動駆動する背凭れ部揺動手段とを具え、
座部に対して直接背凭れ部を揺動可能とした椅子型マッサージ機において、
ベースフレームに、背凭れ部の揺動限界角度を検知する角度検知手段を配備したことを特徴とする椅子型マッサージ機。
【請求項2】
角度検知手段は、取付用ホルダーを介してベースフレームに取り付けられており、
取付用ホルダーは、ベースフレームに対して、背凭れ部の揺動方向に沿う方向に傾動可能に配備される請求項1に記載の椅子型マッサージ機。
【請求項3】
取付用ホルダーは、背凭れ部の回動方向と平行に傾動可能となるようにベースフレームに軸支され、背凭れ部が後傾して予め設定された背凭れ部の揺動限界角度に到達したときに取付用ホルダーの一部が当たるように、背凭れ部の揺動移行路上に突出し、角度検知手段は、取付用ホルダーが背凭れ部と当接したことを検知する請求項1又は請求項2に記載の椅子型マッサージ機。
【請求項4】
取付用ホルダーは、付勢手段により背凭れ部側に向けて付勢され、背凭れ部の揺動限界角度にて背凭れ部に当接するように、回止め手段によって背凭れ部方向への傾動が規制されている請求項3に記載の椅子型マッサージ機。
【請求項1】
ベースフレームに揺動可能に支持され、被施療者の腰掛ける座部と、
座部の後端であって、ベースフレーム又は座部に揺動可能に支持され、被施療者の背中が当たる背凭れ部と、
座部に配備され、背凭れ部を揺動駆動する背凭れ部揺動手段とを具え、
座部に対して直接背凭れ部を揺動可能とした椅子型マッサージ機において、
ベースフレームに、背凭れ部の揺動限界角度を検知する角度検知手段を配備したことを特徴とする椅子型マッサージ機。
【請求項2】
角度検知手段は、取付用ホルダーを介してベースフレームに取り付けられており、
取付用ホルダーは、ベースフレームに対して、背凭れ部の揺動方向に沿う方向に傾動可能に配備される請求項1に記載の椅子型マッサージ機。
【請求項3】
取付用ホルダーは、背凭れ部の回動方向と平行に傾動可能となるようにベースフレームに軸支され、背凭れ部が後傾して予め設定された背凭れ部の揺動限界角度に到達したときに取付用ホルダーの一部が当たるように、背凭れ部の揺動移行路上に突出し、角度検知手段は、取付用ホルダーが背凭れ部と当接したことを検知する請求項1又は請求項2に記載の椅子型マッサージ機。
【請求項4】
取付用ホルダーは、付勢手段により背凭れ部側に向けて付勢され、背凭れ部の揺動限界角度にて背凭れ部に当接するように、回止め手段によって背凭れ部方向への傾動が規制されている請求項3に記載の椅子型マッサージ機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2008−110097(P2008−110097A)
【公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−295373(P2006−295373)
【出願日】平成18年10月31日(2006.10.31)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年10月31日(2006.10.31)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
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