説明

椅子型マッサージ機

【課題】脚用ユニット及び足用ユニットを安定してスライド可能とすることのできる椅子型マッサージ機を提供する。
【解決手段】座部12の前端側に揺動可能に配備された揺動フレーム60に、足用マッサージユニット20を配備した椅子型マッサージ機であって、足用マッサージユニットは、ふくらはぎをマッサージする脚用ユニット30と、足先をマッサージする足用ユニット40と、揺動フレームに脚用ユニットをスライド可能に配備した第1スライドレール52と、足用ユニットをスライド可能に配備した第2スライドレール54と、揺動フレームと脚用ユニット間に、脚用ユニットを座部側へ引き寄せる方向に付勢する脚用付勢手段39と、脚用ユニットと足用ユニット間に、足用ユニットを脚用ユニット方向に引き寄せる方向に付勢する足用付勢手段49と、を有し、足用付勢手段49は、脚用付勢手段39よりも付勢力を弱くした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被施療者のふくらはぎ及び足先をマッサージすることのできる脚用ユニットと足用ユニットを具えた椅子型マッサージ機に関するものであり、より具体的には、脚用ユニットと足用ユニットをスライド可能に連繋し、被施療者の所望する患部位置でのマッサージを行なうことのできる椅子型マッサージ機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
被施療者の腰掛ける座部の前端に被施療者のふくらはぎをマッサージする脚用ユニットと、足先をマッサージする足用ユニットからなる足用マッサージユニットを配備した椅子型マッサージ機が知られている。
被施療者の体型、特に足の長さは異なるから、脚用ユニットと足用ユニットの位置を変えて、被施療者の足の長さに応じて位置決め可能とした椅子型マッサージ機が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1の椅子型マッサージ機では、座部前端側に揺動可能なレールを取り付け、該レールに脚用ユニットをスライド可能に配備している。さらに、このレールには、スライドレールをスライド可能に配備し、該スライドレールに足用ユニットを配備している。
然して、脚用ユニットをレールに対してスライドさせると共に、スライドレールをレールに対してスライドさせることで足用ユニットをスライドさせることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−8257号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1の椅子型マッサージ機は、レールに脚用ユニット、スライドレールに足用ユニットが配備されており、スライドレールは、レールにスライド可能に嵌まっている。つまり、レールには、脚用ユニットの重量及び脚用ユニットに加わる力、足用ユニットの重量及び足用ユニットに加わる力の両方が作用する。特に、レールに対してスライドレールを最も伸長した状態では、足用ユニットからスライドレールを介してレールに作用する力は、作用点が遠くなることから、非常に大きなものとなり、レールとスライドレールとのがたつきが大きくなったり、足用ユニットのスライド動作が不安定となる虞れがあった。
【0006】
本発明の目的は、脚用ユニット及び足用ユニットを安定してスライド可能とすることのできる椅子型マッサージ機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明の椅子型マッサージ機は、
被施療者の腰掛ける座部の前端側に揺動可能に配備された揺動フレームに、足用マッサージユニットを配備した椅子型マッサージ機であって、
足用マッサージユニットは、被施療者のふくらはぎをマッサージする脚用ユニットと、被施療者の足先をマッサージする足用ユニットを有しており、
揺動フレームには、脚用ユニットをスライド可能に配備した第1スライドレールと、足用ユニットをスライド可能に配備した第2スライドレールと、
揺動フレームと脚用ユニット間に、脚用ユニットを座部側へ常時引き寄せる方向に付勢する脚用付勢手段と、
脚用ユニットと足用ユニット間に、足用ユニットを常時脚用ユニット方向に引き寄せる方向に付勢する足用付勢手段と、を有しており、
足用付勢手段は、脚用付勢手段よりも付勢力が弱くなるようにしたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の椅子型マッサージ機によれば、揺動フレームに夫々第1スライドレールと第2スライドレールを夫々直接連繋し、第1スライドレールに脚用ユニットをスライド可能、第2スライドレールに足用ユニットをスライド可能に配備している。
つまり、第1スライドレールと第2スライドレールには、夫々脚用ユニットと足用ユニットが別個にスライド可能に支持されているから、脚用ユニットから作用する力は、第1スライドレールのみ、足用ユニットから作用する力は、第2スライドレールのみに伝わる。
従って、脚用ユニットと足用ユニットを伸長方向にスライドさせても、足用ユニットへ作用する力は、第1スライドレールには加わらないので、足用ユニットを安定してスライド可能とすることができる。
【0009】
また、脚用ユニットは、脚用付勢手段によって、常時座部側へ引き寄せられる方向に付勢されており、さらに、足用ユニットは、足用付勢手段によって、常時脚用ユニット側へ引き寄せられる方向に夫々付勢されているから、被施療者が、所望に応じて、足裏によって足用ユニットを踏み込むことにより、足用ユニットは、足用付勢手段の付勢力に抗して脚用ユニットから遠ざかる方向に移動すると共に、脚用ユニットは、足用ユニットに引っ張られて、脚用付勢手段の付勢力に抗して、座部から遠ざかる方向に移動する。
これにより、被施療者は、脚の長さに応じた所望の位置で、脚用ユニット及び足用ユニットによるマッサージを受けることができる。
本発明では、足用付勢手段は、脚用付勢手段よりも付勢力が弱くなるようにしているから、被施療者が足裏にて足用ユニットを踏み込んだときに、まず、付勢力の弱い足用付勢手段が伸びて、足用ユニットが脚用ユニットよりも先に移動を始める。その後、脚用付勢手段が伸びて、脚用ユニットが移動する。
従って、あまり足用ユニット及び脚用ユニットを大きく移動させることなく使用する場合には、比較的軽めに足用ユニットのみを動かすことができるから、膝下の短い人や小柄な人が使用する際に、負担が掛かることはない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】椅子型マッサージ機の側面図である。
【図2】足用マッサージユニットの側面図である。
【図3】足用マッサージユニットの正面図である。
【図4】足用マッサージユニットを伸長させた状態の正面図である。
【図5】足用マッサージユニットを下側後方から見た斜視図である。
【図6】足用マッサージユニットの背面図である。
【図7】足用マッサージユニットを伸長させた状態の背面図である。
【図8】図7の線B−Bに沿う矢視断面図である。
【図9】ロック機構の拡大図であって、ロック状態を示している。
【図10】ロック機構の拡大図であって、ロック解除状態を示している。
【図11】揺動フレームの背面図である。
【図12】揺動フレームに脚用ユニットが取り付けられた状態の背面図である。
【図13】揺動フレームに足用ユニットが取り付けられた状態の背面図である。
【図14】他の実施例を示す椅子型マッサージ機の側面図である。
【図15】他の実施例を示す椅子型マッサージ機の側面図であって、足用マッサージユニットを伸長させた状態を示している。
【図16】椅子型マッサージ機を移動させる状態を示す側面図である。
【図17】図16のDに囲まれる固定手段の拡大図であって、固定解除状態を示している。
【図18】図16のDに囲まれる固定手段の拡大図であって、固定状態を示している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の椅子型マッサージ機(10)について図面を用いて詳述する。
図1は、本発明の椅子型マッサージ機(10)の側面図である。図に示すように椅子型マッサージ機(10)は、床面に載置されるベース(11)に、被施療者の腰掛ける座部(12)、被施療者の凭れる背凭れ部(14)、肘を置く肘掛け(16)(16)を有している。座部(12)の前端側には、揺動フレーム(60)が揺動可能に配備される。図1及び図2に示すように、揺動フレーム(60)上端の左右一対のブラケット(18)(18)が、座部(12)の前端に枢支され、揺動可能となっている。揺動フレーム(60)には、被施療者のふくらはぎ及び足先をマッサージする足用マッサージユニット(20)が、スライド可能に嵌まっている。
足用マッサージユニット(20)は、図1の矢印A方向に揺動可能となっている。
【0012】
足用マッサージユニット(20)は、図1乃至図4に示すように、被施療者のふくらはぎをマッサージする脚用ユニット(30)と、被施療者の足先をマッサージする足用ユニット(40)とを有している。
【0013】
脚用ユニット(30)は、図3及び図4に示すように、左右の側壁(31)(31)、中央壁(32)及び後面(33)(33)によって、被施療者のふくらはぎ(膝下からくるぶしの上)が挿入される上下及び前面の開口した凹み(34)(34)が形成されている。また、側壁(31)(31)の内側面、中央壁(32)及び/又は後面(33)には、エアバッグ、指圧子等のマッサージ手段(図示せず)が配備されている。
【0014】
足用ユニット(40)は、図3及び図4に示すように、左右の側壁(41)(41)、中央壁(42)及び後面(43)(43)によって、被施療者の足先(くるぶしの下)が挿入される上側及び前面の開口した凹み(44)(44)が形成されており、凹み(44)(44)の下側は、被施療者の足裏が当接する底面(45)により閉じられている。側壁(41)(41)の内側面、中央壁(42)、後面(43)及び/又は底面(45)には、エアバッグ、指圧子等のマッサージ手段(図示せず)が配備されている。
【0015】
脚用ユニット(30)及び足用ユニット(40)は、前述の揺動フレーム(60)にスライド機構(50)を介して接続される。スライド機構(50)は、実際には、クッション材や布製又は樹脂製のカバー(22)により外周を包囲されているため、図4の如く、外部から視認することはできない。
【0016】
図5乃至図8は、スライド機構(50)を説明するため、足用マッサージユニット(20)の後面側のカバーを取り外した状態を示す図である。図5及び図7は、脚用ユニット(30)と足用ユニット(40)を離間させた状態を示しており、図6は、脚用ユニット(30)と足用ユニット(40)を座部(12)側に最も接近させた状態(図1の状態)を示している。また、図8は、図7の線B−Bに沿う矢視断面図、図11は、揺動フレームの背面図、図12は、揺動フレームに脚用ユニットが取り付けられた状態の背面図、図13は、揺動フレームに足用ユニットが取り付けられた状態の背面図である。
【0017】
図に示すように、揺動フレーム(60)は、座部(12)側のブラケット(18)(18)に回動可能に嵌まる揺動軸(61)と、該揺動軸(61)の長さ方向中央寄りの位置にて、揺動軸(61)に直交する方向に固定された縦フレーム(62)(62)、揺動軸(61)の両端近傍位置にて、揺動軸(61)に直交する方向に固定された第1スライドレール(52)(52)、縦フレーム(62)(62)と第1スライドレール(52)(52)の間にて、揺動軸(61)に直交する方向に固定された第2スライドレール(54)(54)、及び、フレーム(62)、第1スライドレール(52)、第2スライドレール(54)の先端を連結する端フレーム(63)を具える。
縦フレーム(62)には、後述するロック機構(70)が取り付けられている。
【0018】
第1スライドレール(52)は、図5乃至図8に示すように、後面側に向けて開口した断面コ字状のレールであって、図8に示すように、後述する脚用スライドフレーム(37)との接触抵抗を小さくするために、長さ方向に突条(52a)が形成されている。
【0019】
第2スライドレール(54)は、図5乃至図8に示すように、内向き(図8では右側)に開口した断面コ字状のレールであって、図8に示すように、後述する足用スライドフレーム(47)との接触抵抗を小さくするために、長さ方向に突条(54a)が形成されている。
【0020】
脚用ユニット(30)は、脚用ベースフレーム(36)に取り付けられており、脚用ベースフレーム(36)には、前記第1スライドレール(52)(52)にスライド可能に嵌まる脚用スライドフレーム(37)(37)が配備されている。脚用スライドフレーム(37)(37)は、内向きに開口した断面コ字状のフレームであって、第1スライドレール(52)(52)との接触抵抗を小さくするための突条(37a)が夫々形成されている。(53)は、第1スライドレール(52)に形成されたストッパーであり、脚用ユニット(30)が最も先へ移動したときに、脚用スライドフレーム(37)と当接し、これ以上、先に移動しないようにしている。
脚用ベースフレーム(36)の中央には、後述するロック機構(70)と噛合して脚用ユニット(30)を位置決めする位置決め溝(38a)(38a)が複数凹設された脚用ロック板(38)が配備されている。
【0021】
また、脚用ベースフレーム(36)と揺動フレーム(60)の揺動軸(61)との間には、コイルバネ(39)等の脚用付勢手段が配備されており、無負荷の状態では、脚用ユニット(30)が揺動軸(61)(座部(12)側)方向に引っ張られる方向に付勢されている。
【0022】
足用ユニット(40)は、足用ベースフレーム(46)に取り付けられており、足用ベースフレーム(46)には、前記第2スライドレール(54)(54)にスライド可能に嵌まる中空の矩形状に形成された足用スライドフレーム(47)(47)が配備されている。足用スライドフレーム(47)(47)には、第2スライドレール(54)(54)との接触抵抗を小さくするための突条(47a)が夫々形成されている。
足用ベースフレーム(46)の中央には、後述するロック機構(70)と噛合して足用ユニット(40)を位置決めする位置決め溝(48a)(48a)が複数凹設された足用ロック板(48)が配備されている。足用ロック板(48)は、前述の脚用ロック板(38)と前後方向(図6及び図7において紙面に垂直な方向)に重なるように配備されている。実施例では、図5のように、脚用ロック板(38)の方が前方に位置している。
【0023】
また、脚用ベースフレーム(36)と足用ベースフレーム(46)との間には、コイルバネ(49)等の足用付勢手段が配備されており、無負荷の状態では、足用ユニット(40)が脚用ユニット(30)方向に引っ張られる方向に付勢されている。
足用付勢手段(コイルバネ(49))の付勢力は、脚用付勢手段(コイルバネ(39))の付勢力よりも弱いものを用いる。コイルバネの場合、足用のコイルバネ(49)のバネ強さが、脚用のコイルバネ(39)のバネ強さよりも小さいものを用いたり、コイルバネの本数を脚用コイルバネ(39)に比して、足用コイルバネ(49)の本数を少なくしてもよい。足用付勢手段の付勢力は、脚用付勢手段の付勢力の50〜80%程度とすることが望ましい。
脚用付勢手段及び足用付勢手段による作用及び効果は後述する。
【0024】
ロック機構(70)は、図6乃至図10に示すように、前記揺動フレーム(60)の一方の縦フレーム(62)に配備される。ロック機構(70)は、縦フレーム(62)に取り付けられたロックベース板(71)と、該ロックベース板(71)に揺動可能に軸支(74)されたロック部材(72)を有している。
【0025】
ロック部材(72)は、前記脚用ロック板(38)及び足用ロック板(48)の位置決め溝(38a)(48a)に噛合するよう先端が屈曲したロック片(73)を有している。
また、ロック部材(72)は、ロックベース板(71)との間で、位置決め溝(38a)(48a)方向に付勢されるように引っ張りバネ(75)が張設されている。
ロック部材(72)の操作は、インナーワイヤ(76a)とアウターワイヤ(76b)から構成されるワイヤ(76)によって行なうことができる。アウターワイヤ(76b)は、一端がロックベース板(71)に取り付けられており、他端が肘掛け(16)等に配備されたロック操作部(79)に接続されている。インナーワイヤ(76a)は、一端がロック部材(72)に連繋されており、他端がロック操作部(79)に接続されている。
ロック操作部(79)の操作により、インナーワイヤ(76a)を引っ張ると、引っ張りバネ(75)の付勢力に抗してロック部材(72)が軸支部(74)を中心として回動し、ロック片(73)が位置決め溝(38a)(48a)から離脱する。インナーワイヤ(76a)への引っ張り力を解除すると、引っ張りバネ(75)の付勢力により、ロック部材(72)が位置決め溝(38a)(48a)に噛合する。
【0026】
ロック部材(72)が位置決め溝(38a)(48a)に噛合している状態では、脚用ユニット(30)及び足用ユニット(40)、即ち、脚用ベースフレーム(36)及び足用ベースフレーム(46)は、揺動フレーム(60)に対して固定されており、スライド移動はできない。一方、ロック部材(72)が位置決め溝(38a)(48a)から外れると、脚用ユニット(30)及び足用ユニット(40)、即ち、脚用ベースフレーム(36)及び足用ベースフレーム(46)は、揺動フレーム(60)に対してスライド可能となる。
【0027】
なお、ロック片(73)の位置決め溝(38a)(48a)側に、図9及び図10に示すように、小径のローラ(73a)を軸支しておくことが望ましい。これにより、ロック片(73)が位置決め溝(38a)(48a)から離脱し、再度噛合させる際に、各溝に嵌まらずに溝間の突堤(38b)(48b)に乗り上げた場合でも、ローラ(73a)が突堤(38b)(48b)上を転動し、ロック片(73)を位置決め溝(38b)(48b)に誘導して、位置決め溝(38b)(48b)と噛合させることができる。また、ローラ(73a)を樹脂成型品とすることで、ロック片(73)と位置決め溝(38b)(48b)との衝突音を抑えることができる利点もある。
【0028】
上記構成の足用マッサージユニット(20)は、被施療者が座部(12)に腰掛けた状態で、図示省略する揺動手段によって、足用マッサージユニット(20)を先端が上方向に移動するよう揺動させ(図1の矢印A方向に揺動)、ロック操作部(79)を操作して、ロック部材(72)を図9の状態から位置決め溝(38a)(48a)から外すと(図10参照)、脚用ユニット(30)及び足用ユニット(40)は、スライド可能となる。この状態で、被施療者が足裏で足用ユニット(40)の底面(45)を踏み込むと、コイルバネ(39)(49)の付勢力に抗して、図5及び図7に示すように、脚用ユニット(30)及び足用ユニット(40)がスライド方向の力を受ける。
【0029】
このとき、バネ強さの小さいコイルバネ(49)が先に伸びるから、先ず、足用ユニット(40)が、第2スライドレール(54)に対して足用スライドフレーム(47)がスライドして、揺動軸(61)から離れる方向(伸長方向)に移動する。また、コイルバネ(49)がある程度伸びてから、足用ユニット(40)がさらに伸長方向に移動させられると、バネ強さの大きいコイルバネ(39)が伸び始め、脚用ユニット(30)が伸長方向に追従して移動する。足用ユニット(40)の最長伸長の長さは、揺動フレーム(60)の端フレーム(63)に足用スライドフレーム(47)が当たって規制される。
【0030】
上記のように、足用ユニット(40)は、脚用ユニット(30)よりも付勢力が弱い、即ち、バネ強さの小さい足用コイルバネ(49)により付勢されているから、足用ユニット(40)のみを僅かに移動させて使用する場合等には、バネ強さの小さい足用コイルバネ(49)のみが伸びて、比較的軽めに足用ユニット(40)のみを動かすことができるから、膝下の短い人や小柄な人が使用する際に、負担が掛かることもない。
【0031】
被施療者が、脚用ユニット(30)と足用ユニット(40)を所望の位置までスライドさせた状態で、ロック操作部(79)を操作して、インナーワイヤ(76a)の引っ張りを解くと、図10の状態から、引っ張りバネ(75)の付勢力によりロック部材(72)が回転し、ロック片(73)が位置決め溝(38a)(48a)に嵌まり、脚用ユニット(30)と足用ユニット(40)が位置決めされる(図9参照)。
この状態で、脚用ユニット(30)及び足用ユニット(40)に配備されたマッサージ手段を作動させることで、被施療者の足の長さに合った所望位置でマッサージを受けることができる。
【0032】
マッサージ終了後、足用ユニット(40)の底面(45)への足裏の踏み込み力を解き、ロック操作部(79)を操作して、インナーワイヤ(76a)を引っ張り、ロック片(73)を位置決め溝(38a)(48a)から外すと、コイルバネ(39)(49)の付勢力によって、脚用ユニット(30)及び足用ユニット(40)は、揺動軸(61)側に引っ張られ、図1及び図6に示すように、最も短くなった状態に復帰する。
【0033】
上記の如く、本発明によれば、被施療者は、所望位置まで脚用ユニット(30)と足用ユニット(40)を移動させて、効果の高いマッサージを受けることができる。脚用ユニット(30)及び足用ユニット(40)は、揺動フレーム(60)に連結された第1スライドレール(52)及び第2スライドレール(54)に夫々独立して支持されているから、脚用ユニット(30)も足用ユニット(40)もスライド時の安定性にすぐれ、また、伸長させた状態での安定性にもすぐれる。
【0034】
なお、脚用ユニット(30)と足用ユニット(40)の付勢手段であるコイルバネ(39)(49)のバネ強さを適宜調節することにより、足用ユニット(40)を伸長方向にスライドさせたときに、脚用ユニット(30)の静止位置を調整することができる。即ち、足用ユニット(40)を足裏で押して伸長させ、その位置で足用ユニット(40)がコイルバネ(49)の付勢力により揺動軸(61)側に戻らないよう、足裏で踏ん張った状態にして、脚用ユニット(30)を足用ユニット(40)に関係なく、望みの位置に調整することができる。望ましくは、コイルバネ(39)(49)のバネ強さは、足用ユニット(40)のスライドさせたときに、脚用ユニット(30)は、足用ユニット(40)のスライド距離の略半分の距離だけスライドする程度に設定する。
【0035】
上記実施例では、脚用ユニット(30)と足用ユニット(40)のロック板(38)(48)に共通のロック部材(72)を係合させて、各ユニット(30)(40)の位置決めをしているので、部品点数を削減できる。
【0036】
また、上記では、脚用ユニット(30)と足用ユニット(40)の双方に脚用ロック板(38)と足用ロック板(48)を配備しているが、脚用ユニット(30)の脚用ロック板(38)を省略することもできる。この場合、足用ユニット(40)をスライドさせると、コイルバネ(39)(49)の引っ張り力によって、脚用ユニット(30)が付勢手段であるコイルバネ(39)(49)のバネ強さに応じた位置で静止し、マッサージを施すことができる。
【0037】
本発明の椅子型マッサージ機(10)は、足用マッサージユニット(20)、即ち、脚用ユニット(30)及び足用ユニット(40)を伸長させた状態で固定できると共に、足用マッサージユニット(20)を揺動させることのできる構成としている。この構成を利用して、重量のある椅子型マッサージ機(10)を床面で容易に移動させるようにすることができる。
【0038】
図14乃至図16は、本発明の椅子型マッサージ機(10)に、移動手段を配備した実施例である。
図14乃至図16に示すように、、ベース(11)の後端は、後方に延びており、延長した端部の左右にメインローラ(80)が配備されている。通常、椅子型マッサージ機(10)を移動させる場合には、背凭れ部(14)の上端を掴んで、椅子型マッサージ機(10)を後方に倒し、メインローラ(80)のみが床面に接地した状態で床面を移動させることができる。しかしながら、この場合、椅子型マッサージ機(10)をバランスよく保持する必要があるから、距離のある移動や、段差、傾斜、凹凸のある床面(絨毯、畳を含む)の上を移動させることは容易ではなかった。
そこで、図15及び図16に示すように、足用ユニット(40)の後端下部に移動手段としてサブローラ(82)を配備すると共に、図17及び図18に示すように、ベース(11)と脚用ユニット(30)とを固定する固定手段(90)を配備した。
【0039】
サブローラ(82)は、足用ユニット(40)の下方後端、例えば、足用ユニット(40)と共にスライド移動する足用スライドフレーム(47)の先端に軸支することができる。
【0040】
固定手段(90)は、ベース(11)に、摘み部(92)と、該摘み部(92)と一体に回転する略L字状であって屈曲した先端が後述する受部(96)に嵌まるストッパ(94)を有し、さらに、脚用ユニット(30)の伸長方向に移動しない第1スライドレール(52)等から突設された受部(96)を有している。図17の状態から、摘み部(92)を矢印E方向に回転させると、ストッパ(94)が受部(96)に嵌まり、脚用ユニット(30)の揺動は阻止される(図18)。また、摘み部(92)を図18の状態から逆方向(矢印F方向)に回転させることで、ストッパ(94)が受部(96)から離脱し、脚用ユニット(30)は揺動可能となる(図17)。なお、固定手段(90)は、勿論本構成に限定されるものではない。
【0041】
椅子型マッサージ機(10)を移動させる際には、まず、図14における状態から、足用マッサージユニット(20)を上方へ回動させた状態で、上記に示したように、足用ユニット(40)及び脚用ユニット(30)を足裏等で伸長方向に移動させ(図4、図7及び図15参照)させて、ロック機構(70)により、足用ユニット(40)及び脚用ユニット(30)の伸長移動を固定する。
【0042】
次に、椅子型マッサージ機(10)を背凭れ部(14)を掴んで後方に倒すと、自重により、足用マッサージユニット(20)は下方(図15矢印C方向)へ回動して、図16に示すように、脚用ユニット(30)がベース(11)と当接もしくは接近する。この状態で、摘み部(92)を図17から図18に示すように回転させて、ストッパ(94)を受部(96)と係合させることで、足用マッサージユニット(20)は、ベース(11)に対して揺動不能となる。
そこで、背凭れ部(14)を掴んでいた手を離すと、椅子型マッサージ機(10)は、図16に示すように、床面との接地部分がメインローラ(80)及びサブローラ(82)のみとなり、重量のある椅子型マッサージ機(10)を、これら前後左右の4つのローラ(80)(80)(82)(82)で安定した状態で自由に移動させることができる。
【0043】
椅子型マッサージ機(10)を移動させた後、図14の状態に戻すには、ロック機構(70)を作動させて、脚用ユニット(30)と足用ユニット(40)の伸長方向の固定を解除し、その後、摘み部(92)を回転させて、図17に示すように、ストッパ(94)を受部(96)から離脱させればよい。これにより、足用マッサージユニット(20)は、ベース(11)に対して揺動可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、被施療者の所望位置に脚用ユニットと足用ユニットを移動させることができ、伸長させた状態でも安定性に優れる足用マッサージユニットを搭載した椅子型マッサージ機として有用である。
【符号の説明】
【0045】
(10) 椅子型マッサージ機
(20) 足用マッサージユニット
(30) 脚用ユニット
(37) 脚用スライドフレーム
(39) コイルバネ(脚用付勢手段)
(40) 足用ユニット
(47) 足用スライドフレーム
(49) コイルバネ(足用付勢手段)
(50) スライド機構
(52) 第1スライドレール
(54) 第2スライドレール
(60) 揺動フレーム
(70) ロック機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被施療者の腰掛ける座部の前端側に揺動可能に配備された揺動フレームに、足用マッサージユニットを配備した椅子型マッサージ機であって、
足用マッサージユニットは、被施療者のふくらはぎをマッサージする脚用ユニットと、被施療者の足先をマッサージする足用ユニットを有しており、
揺動フレームには、脚用ユニットをスライド可能に配備した第1スライドレールと、足用ユニットをスライド可能に配備した第2スライドレールと、
揺動フレームと脚用ユニット間に、脚用ユニットを座部側へ常時引き寄せる方向に付勢する脚用付勢手段と、
脚用ユニットと足用ユニット間に、足用ユニットを常時脚用ユニット方向に引き寄せる方向に付勢する足用付勢手段と、を有しており、
足用付勢手段は、脚用付勢手段よりも付勢力が弱いことを特徴とする椅子型マッサージ機。
【請求項2】
脚用付勢手段及び足用付勢手段は、引っ張りバネであり、足用付勢手段のバネ強さは、脚用付勢手段のバネ強さよりも小さい請求項1に記載の椅子型マッサージ機。
【請求項3】
脚用ユニットは、第1スライドレールに対して、複数箇所にて位置決め可能なロック機構を有している請求項1又は請求項2に記載の椅子型マッサージ機。
【請求項4】
足用ユニットは、第2スライドレールに対して、複数箇所にて位置決め可能なロック機構を有している請求項1乃至請求項3の何れかに記載の椅子型マッサージ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2010−227495(P2010−227495A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−81369(P2009−81369)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】