椅子型マッサージ機
【課題】 椅子型マッサージ機において、座部に設けられた空気袋を膨張させた際に座部の隆起量を均等にして、使用者に対する快適でムラのないマッサージを可能とする。
【解決手段】本発明の椅子型マッサージ機１は、上面にマッサージ用の空気袋６が備えられた座部２とこの座部２の両側に設けられた肘掛部３と座部２の後側に設けられた背もたれ部４とを備えている椅子型マッサージ機１であって、空気袋６は座部２上面の後側の左右に配置される一対の第１空気袋１１と座部２上面の前側の中央であって第１空気袋１１より前方に配置される第２空気袋１２とを有しており、一対の第１空気袋１１と第２空気袋１２とは互いの一部が上下に重なり合うように配備されている。
【解決手段】本発明の椅子型マッサージ機１は、上面にマッサージ用の空気袋６が備えられた座部２とこの座部２の両側に設けられた肘掛部３と座部２の後側に設けられた背もたれ部４とを備えている椅子型マッサージ機１であって、空気袋６は座部２上面の後側の左右に配置される一対の第１空気袋１１と座部２上面の前側の中央であって第１空気袋１１より前方に配置される第２空気袋１２とを有しており、一対の第１空気袋１１と第２空気袋１２とは互いの一部が上下に重なり合うように配備されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、椅子型マッサージ機に関する。
【背景技術】
【０００２】
椅子型マッサージ機には、座部に使用者をマッサージする空気袋を備えたものがある。このような空気袋は、空気を内部に貯められるように袋状に形成されており、エアポンプなどで空気を供給したり排出したりすることで膨張・収縮して使用者の身体の一部、例えば肩、背中、腰、大腿またはふくらはぎなどをマッサージできるようになっている。
ところで、マッサージする部位が例えば臀部や大腿部のように互いに離れた部分である場合は、空気袋もそれぞれのマッサージ部分に対応して複数設けなければならない。例えば、特許文献１や特許文献２には使用者が着座する座部の前側に大腿部をマッサージするための空気袋を備えると共に座部の後側に臀部をマッサージするための空気袋を互いに間隔をあけて備える椅子型マッサージ機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００３】
【特許文献１】特開２００８−２９５８７８号公報
【特許文献２】特開２００５−１３４６３号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
ところで、上述のように複数の空気袋を互いに間隔をあけて座部に配置すると、空気袋に空気を供給して膨張させた際に、空気袋が存在する領域では座部の上面が大きく隆起することになるが、各空気袋間における空気袋が存在しない領域では座部の上面が殆ど隆起しないことになる。特に、２枚のシートを縁に沿って縫い合わしたり貼り合わせたりして構成しただけの空気袋において、空気袋の端部分の方が空気袋の中央部分に比べて膨らみ代が相対的に小さくなる。当然、このような複数の空気袋を互いに間隔をあけて座部に配置すると、上面の隆起状態も部分毎に差が大きくなる。
【０００５】
また、座部は椅子型マッサージ機の中でも使用者の体重が最もかかりやすい部分であり、特に背もたれ部が起立している場合は座部が使用者の体重の大部分を支えることになる。
つまり、上述のような空気袋に空気を供給して膨張させると、座部の隆起状態に関し部分毎の差が生じることになる。このような座部に使用者が座って体重を加えると、空気袋における隆起が小さい部分では座面が沈み込んだような感覚を使用者に与え、空気袋における隆起が大きい部分では座面が盛り上がったような感覚を与えることになる。その結果、座部における複数の空気袋の配置によっては、使用者に凹凸を意識させることになって違和感を生じさせる可能性がある。
【０００６】
また、空気袋を膨張させた際に隆起が大きい部分では座面がマッサージ部分を強く押圧するので十分なマッサージ効果が期待できるが、隆起が小さい部分ではマッサージ部分を押圧する力も弱まることからマッサージが十分に行われない可能性がある。それゆえ、このように複数の空気袋を設けたマッサージ機ではマッサージ効果が座部の部分毎でむらを生じやすいという問題もあった。
本発明は上述の問題に鑑みて為されたものあり、その目的は座部に設けられた複数の空気袋を膨張させた際に座面の隆起量を均等にすることにより、使用者に凹凸を意識させることなく快適なマッサージを与えることができ、また複数の空気袋を用いて臀部に対する平面的な押圧を使用者に付与することによりマッサージ効果にムラが生じにくい椅子型マッサージ機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
前記目的を達成するため、本発明の椅子型マッサージ機は次の技術的手段を講じている。
即ち、本発明の椅子型マッサージ機は、上面にマッサージ用の空気袋が備えられた座部と、この座部の両側に設けられた肘掛部と、前記座部の後側に設けられた背もたれ部とを備えている椅子型マッサージ機であって、前記空気袋は、前記座部上面の後側の左右に配置される一対の第１空気袋と、前記座部上面の前側の中央であって前記第１空気袋より前方に配置される第２空気袋と、を有しており、前記一対の第１空気袋と第２空気袋とは互いの一部が上下に重なり合うように配備されていることを特徴とするものである。
【０００８】
このように一対の第１空気袋と第２空気袋とを互いの一部が上下に重なり合うように配置すれば、中央に比べて膨らみ代の小さい空気袋の縁同士が互いに重なり合って膨らみ代を補間し合うため、座部に設けられた空気袋を膨張させた際に座部の隆起量を均等にすることができ、使用者に凹凸を意識させることなく快適なマッサージを与えることができる。また、複数の空気袋を用いてマッサージ部分を平面的に押圧することができるので、第１空気袋から第２空気袋にかけての部分では全面に亘ってムラのないマッサージ効果を発揮することができる。
【０００９】
なお、前記第２空気袋は、前後方向の長さが左右方向の長さよりも長くなるように形成されているのが好ましい。このように第２空気袋を前後方向に長く形成すれば、臀部から大腿部にかけて広い範囲を第２空気袋でマッサージすることが可能となる。
また、前記第２空気袋は前記第１空気袋の上側に重なり合うように配備されているのが好ましく、前記第２空気袋の前側の端部は前記座部の上面に固定されているのが好ましい。
前後方向に広い範囲をカバーする第２空気袋は第１空気袋より大きいものになりやすく、膨張や収縮を繰り返すと座部の上面における位置が第１空気袋に比べてずれやすい。そこで、このように第２空気袋の下側に一対の第１空気袋を配置して第２空気袋で一対の第１空気袋を押さえ込むように固定したり、第２空気袋の前端部を座部の上面に固定したりすれば、第２空気袋の位置をずれ難くすることができ、第２空気袋を座部上で常に安定した位置に保持することができる。
【発明の効果】
【００１０】
本発明の椅子型マッサージ機は、座部に設けられた複数の空気袋を膨張させた際に座面の隆起量を均等にすることにより、使用者に凹凸を意識させることなく快適なマッサージを与えることができ、また複数の空気袋を用いて臀部に対する平面的な押圧を使用者に付与することによりマッサージ効果のムラが生じにくいという効果を備えている。
【図面の簡単な説明】
【００１１】
【図１】本発明の椅子型マッサージ機の斜視図である。
【図２】座部に配置された空気袋の断面図である。
【図３】座部における空気袋の配置を示す平面図である。
【図４】椅子型マッサージ機のマッサージ方法を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【００１２】
以下、本発明の椅子型マッサージ機１を以下に説明する。
図１に示されるように、本発明の椅子型マッサージ機１は、使用者の首部、肩部、背部、腰部、大腿部、ふくらはぎなどをマッサージするものである。椅子型マッサージ機１は、使用者が着座する座部２と、この座部２の両側に設けられた肘掛部３と、座部２の後側に設けられた背もたれ部４とを備えている。また、座部２の前側にはふくらはぎをマッサージするフットレスト部５が備えられている。
以下、椅子型マッサージ機１に座った使用者から見た方向を基準として、椅子型マッサージ機１を説明する。すなわち、図２においては、紙面に記載される方向が椅子型マッサージ機１を説明する際の前後左右となる。
【００１３】
座部２は、上面に使用者が腰を下ろして着座できるように略水平に配備されている。座部２は、枠体と、この枠体の上に配備されたクッションと、枠体とクッションとを外側から覆うカバーとを備えている。なお、クッション、枠体及びカバーの図示は省略する。そして、このカバーとクッションとの間に挟み込まれるように後述する空気袋６が内蔵されている。座部２の左右両側には、肘掛部３がそれぞれ設けられている。
肘掛部３は、底辺を床面に着けて起立するように設けられた略三角形状の部材である。肘掛部３の上側は丸く湾曲した形状となっており、使用者が肘を載せやすいようになっている。肘掛部３の側面には、座部２側に面する側に第３及び第４空気袋（サイドエアーバッグ）が前後に１つずつ配備されている。
【００１４】
第３及び第４空気袋は、空気を貯留可能に形成された袋体であり、空気を供給することで座部２側に向かって膨らむ構造になっている。第３空気袋８は、使用者の腰部をマッサージするために用いられ、第４空気袋９は大腿部をマッサージするために用いられる。第３空気袋８は肘掛部３の側面の後側に配備されており、第４空気袋９は肘掛部３の側面の前側に配備されている。これらの第３及び第４空気袋８、９は、上側の方が下側に比べて膨らみ代が大きくなるように蛇腹状に形成されており、座部２に着座した使用者の腰部や大腿部を側方から押圧するだけでなく上方からも押さえ込んでマッサージできるようになっている。
【００１５】
背もたれ部４は、使用者が背中からもたれられるように座部２の後側に配備された部材である。背もたれ部４は、座部２の後側に設けられた左右方向を向く軸回りに揺動自在に枢支されており、垂直に起立した状態から水平に倒れた状態にまでリクライニング可能となっている。
フットレスト部５は、座部２の下側に収納可能とされた筺体であり、座部２の下側の収納位置から座部２の前方に引き出すことで使用者のふくらはぎ（脚部）をマッサージ可能となっている。
【００１６】
図２に示されるように、本発明の椅子型マッサージ機１は、座部２の上面側にマッサージ用の空気袋６を備えることを特徴としている。この空気袋６は座部２上面の後側に配置される第１空気袋（臀部マッサージ用空気袋）と前側に配置される第２空気袋１２（大腿部マッサージ用空気袋）とで構成されている。第１空気袋は、座部２後側の左側と右側とに配置されており、左右で一対設けられている。第２空気袋１２は、座部２上面の前側中央に配置されており、第１空気袋１１Ｌ、１１Ｒより前方に位置している。これら一対の第１空気袋１１Ｌ、１１Ｒと第２空気袋１２とは互いの一部が上下に重なり合うように配置されている。
【００１７】
次に、第１空気袋１１Ｌ、１１Ｒ及び第２空気袋１２の構成と座部２上面での配置について説明する。
図３に示すように、第１空気袋１１Ｌ、１１Ｒは、正方形に裁断された非通気性のシートを上下に２枚重ね、その縁を互いに気密状に貼り合わせたものである。第１空気袋１１Ｌ、１１Ｒの中央下側には空気配管１３が連結されており、この空気配管１３から第１空気袋１１Ｌ、１１Ｒの内部に図示しないエアポンプや弁を通じて空気を供給できるようになっている。
【００１８】
第１空気袋には、座部２の上面の左後側に配備される左第１空気袋１１Ｌと、上面の右後側に配備される右第１空気袋１１Ｒとがある。左第１空気袋１１Ｌと右第１空気袋１１Ｒとは、互いに左右方向に間隔をあけるように配備されている。
本実施形態の第１空気袋１１Ｌ、１１Ｒは、いずれも一辺が１００〜２００ｍｍの正方形のシートを貼り合わしたものである。
第２空気袋１２は、第１空気袋１１Ｌ、１１Ｒより面積が大きな長方形に裁断された非通気性のシートを、前後方向の長さが左右方向の長さよりも長くなるように配置して上下に２枚重ね、その縁を互いに気密状に貼り合わせたものである。第２空気袋１２の中央下側には、第１空気袋１１Ｌ、１１Ｒと同様に空気配管１４が連結されており、この空気配管１４から第２空気袋１２の内部に図示しないエアポンプや弁を通じて空気を供給できるようになっている。
【００１９】
本実施形態の第２空気袋１２は、左右方向の一辺が１００〜２００ｍｍ、前後方向の一辺が１５０〜３００ｍｍの長方形のシートを貼り合わしたものである。
第２空気袋１２の後端左側は左第１空気袋１１Ｌの前端の上に重ね合わされており、後端右側は右第１空気袋１１Ｒの前端の上に重ね合わされている。第２空気袋１２と第１空気袋１１Ｌ、１１Ｒとをどのような配置で重なり合わせるかは、マッサージすべき対象や空気袋の大きさに合わせてさまざまであり一概に定めることはできない。しかしながら、第２空気袋１２と第１空気袋１１Ｌ、１１Ｒとは、重なり合う部分が最も大きい場合でも第２空気袋１２のコーナが第１空気袋の中心の上に位置するように重ね合わされるのが良い。また、第１空気袋の中心からコーナを通って第２空気袋１２側に向かう線上に第２空気袋１２のコーナが位置するように、第２空気袋１２と第１空気袋１１Ｌ、１１Ｒと重ね合わせることもできる。このようにすれば、空気を供給した際に、第２空気袋１２と第１空気袋１１Ｌ、１１Ｒとが重なり合った部分と重なり合っていない部分とで座部の隆起量を均等にすることができる。
【００２０】
第２空気袋１２の前端部は、座部２の上面に対して接着、熱融着または縫着などの手段を用いて固定されている。第１空気袋１１Ｌ、１１Ｒより大きい第２空気袋１２は膨張や収縮を繰り返すと座部２の上面における位置が第１空気袋１１Ｌ、１１Ｒに比べてずれやすい。そこで、このように第２空気袋１２の前端部を座部２の上面に固定すれば、第２空気袋１２の位置が前端側と空気配管１４が設けられた中央との２箇所で固定され、第２空気袋１２のずれを防止して第２空気袋１２を座部２上で常に安定した位置に保持することができる
上述のように配置された一対の第１空気袋１１Ｌ、１１Ｒ及び第２空気袋１２に空気を供給すると、上端が図３のＡで示される線に揃うように第１空気袋１１Ｌ、１１Ｒ及び第２空気袋１２が膨張する。その結果、第１空気袋１１Ｌ、１１Ｒから第２空気袋１２かけての全ての位置で座部２の膨張量が均等になり、使用者に対して第１空気袋１１Ｌ、１１Ｒ及び第２空気袋１２が均等な押圧力で接触するため、使用者が凹凸を意識することが無くなり、快適なマッサージが可能となる。また、第１空気袋１１Ｌ、１１Ｒから第２空気袋１２にかけての部分では全面に亘って均等な押圧力（平面的な押圧力）が発揮できるので、ムラのないマッサージ効果を得ることができる。
【００２１】
ところで、上述したように使用者をマッサージする第１空気袋〜第４空気袋を備えた椅子型マッサージ機１としては、例えば特開平７−１２４２１３号公報に記載のマッサージ機などが知られている。このマッサージ機は、使用者に面する肘掛部３の内側面にポケットを形成しておき、このポケット内に収容されたサイドエアーバッグに空気を給排してサイドエアーバッグを膨張収縮させ、使用者の腰部や大腿部を外方から締め付けるように圧迫することでマッサージを行う機構となっている。
しかし、上述のマッサージ機では使用者の腰部や大腿部は座部２に固定されていないため比較的自由に動くことができる。それゆえ、第３及び第４空気袋（サイドエアーバッグ）を用いて腰部や大腿部を押圧しようとしても、腰部や大腿部が逃げてしまう可能性があり、これらの部分に対する十分なマッサージ効果が期待できないという問題があった。
【００２２】
特に、腰部や大腿部はマッサージの対象となる身体部分の中でも筋肉が多く、強いマッサージが必要になる場合が多い。ところが、強いマッサージが可能なモミ玉などを用いたくても、使用者が着座する際に邪魔になる虞があるため、マッサージ機の配置上座部２と肘掛部３との間にはモミ玉のようなマッサージ機構は配置できない。それゆえ、モミ玉などに比べてマッサージ効果が弱いエアーバッグを用いていても腰部や大腿部を強めにマッサージしたいという要望があった。
そこで、本発明の椅子型マッサージ機１では、上述した第１空気袋１１Ｌ、１１Ｒと第２空気袋１２とを膨張させて臀部を持ち上げ、臀部の持ち上げによりテコの原理で大腿部や腰部をサイドエアーバッグ８、９に強く押し付けながらマッサージを行うようにエアポンプや弁を作動させる制御部を設けることで、大腿部や腰部に対する良好なマッサージを可能としている。
【００２３】
次に、制御部で行われる処理の内容（処理プログラム）、言い換えれば本発明のマッサージ態様を、図４を用いて以下に詳しく説明する。本発明のマッサージ態様としては、次の３つの実施形態が考えられる。
なお、本発明のマッサージ態様の実施形態を説明する前に図４の説明を行う。
図４は座部２を上方から見た場合の左右第１空気袋１１Ｌ、１１Ｒ、第２空気袋１２、第３空気袋８、第４空気袋９の配置を示している。図中で実線で示される空気袋はエアポンプや弁を介して空気が供給されて膨張や収縮を行っているもの、言い換えればマッサージに寄与しているものを示している。また、図中で点線で示される空気袋は、エアポンプを止めたり弁を閉じたりして空気が供給されていないもの、言い換えればマッサージに寄与していないものを示している。
【００２４】
図４（ａ）に示すように、マッサージ態様の第１実施形態は、使用者の大腿部を強くマッサージするためのものである。第１実施形態では、第４空気袋９にエアポンプや弁を介して空気が供給されており、この第４空気袋９が膨張することで使用者は大腿部が外方から締め付けられるように押圧されている。
このように大腿部が押圧された状態で、左右第１空気袋１１Ｌ、１１Ｒ及び第２空気袋１２にエアポンプや弁を介して空気を供給すると、膝上から太腿までの脚部にテコの原理でこじるような力が働き、大腿部が第４空気袋９に強く押し付けられる。その結果、第４空気袋９を膨張させても大腿部が逃げることが無くなり、使用者の大腿部に対して強いマッサージを施すことが可能となる。
【００２５】
なお、第４空気袋９に空気を供給する手順と、左右第１空気袋１１Ｌ、１１Ｒ及び第２空気袋１２に空気を供給する手順とは、逆にしても良い。すなわち、左右第１空気袋１１Ｌ、１１Ｒ及び第２空気袋１２に空気を供給して使用者の臀部を持ち上げた状態にしておき、その後第４空気袋９に空気を供給しても、上述の場合と同様に使用者の大腿部に対して強いマッサージを施すことが可能となる。
なお、使用者の大腿部を強くマッサージする場合には、第１実施形態のマッサージ態様に代えて第２実施形態のようなマッサージ態様を採用することもできる。
【００２６】
図４（ｂ）に示すように、マッサージ態様の第２実施形態は、まず第４空気袋９にエアポンプや弁を介して空気を供給し、使用者の大腿部を外方から締め付けるように押圧する点で第１実施形態と同じである。第２実施形態のマッサージ方法が第１実施形態と異なっている点は、大腿部が押圧された状態で、第２空気袋１２には空気を供給せずに左右第１空気袋１１Ｌ、１１Ｒだけにエアポンプや弁を介して空気を供給している点である。
このようにしても、膝上から太腿までの脚部にテコの原理でこじるような力が働き、大腿部が第４空気袋９に強く押し付けて、使用者の大腿部に対して強いマッサージを施すことが可能となる。
【００２７】
なお、第１実施形態と同様に第２実施形態においても、第４空気袋９に空気を供給する手順と、左右第１空気袋１１Ｌ、１１Ｒに空気を供給する手順とは、逆にしても良い。
また、使用者の腰部を強くマッサージする場合には、第１実施形態や第２実施形態のマッサージ方法に代えて第３実施形態のようなマッサージ態様を採用することもできる。
図４（ｃ）に示すように、マッサージ態様の第３実施形態は、まず第３空気袋８にエアポンプや弁を介して空気を供給して、使用者の腰部を外方から締め付けるように押圧する。
【００２８】
このように腰部を押圧した状態で、左右第１空気袋１１Ｌ、１１Ｒ及び第２空気袋１２に空気を供給すると、使用者の臀部が持ち上げられる。そして、臀部と一緒に持ち上げられた腰部に第３空気袋８が強く押し付けられ、第３空気袋８を膨張させても腰部が逃げることが無いため、使用者の腰部を強くマッサージすることができる。
本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、発明の本質を変更しない範囲で各部材の形状、構造、材質、組み合わせなどを適宜変更可能である。
上記実施形態では、空気袋６として配備される３つの部材のうち、左右第１空気袋１１Ｌ、１１Ｒがそれぞれ第２空気袋１２の左後端または右後端に重なり合ったものを例示した。しかし、空気袋６の数は３つに限定されるものではない。例えば、左右第１空気袋１１Ｌ、１１Ｒの間にもう一つ空気袋を配置して空気袋６の数を増やすこともできる。
【００２９】
また、空気袋６同士を重ね合う部分は第１空気袋１１Ｌ、１１Ｒと第２空気袋１２との間に限られない。例えば、左第１空気袋１１Ｌと右第１空気袋１１Ｒとの間に重なり合う部分を設けることもできる。
【符号の説明】
【００３０】
１ 椅子型マッサージ機
２ 座部
３ 肘掛部
４ 背もたれ部
５ フットレスト部
６ 空気袋
８ 第３空気袋
９ 第４空気袋
１１Ｌ 左第１空気袋
１１Ｒ 右第１空気袋
１２ 第２空気袋
１３ 第１空気袋の空気配管
１４ 第２空気袋の空気配管
【技術分野】
【０００１】
本発明は、椅子型マッサージ機に関する。
【背景技術】
【０００２】
椅子型マッサージ機には、座部に使用者をマッサージする空気袋を備えたものがある。このような空気袋は、空気を内部に貯められるように袋状に形成されており、エアポンプなどで空気を供給したり排出したりすることで膨張・収縮して使用者の身体の一部、例えば肩、背中、腰、大腿またはふくらはぎなどをマッサージできるようになっている。
ところで、マッサージする部位が例えば臀部や大腿部のように互いに離れた部分である場合は、空気袋もそれぞれのマッサージ部分に対応して複数設けなければならない。例えば、特許文献１や特許文献２には使用者が着座する座部の前側に大腿部をマッサージするための空気袋を備えると共に座部の後側に臀部をマッサージするための空気袋を互いに間隔をあけて備える椅子型マッサージ機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００３】
【特許文献１】特開２００８−２９５８７８号公報
【特許文献２】特開２００５−１３４６３号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
ところで、上述のように複数の空気袋を互いに間隔をあけて座部に配置すると、空気袋に空気を供給して膨張させた際に、空気袋が存在する領域では座部の上面が大きく隆起することになるが、各空気袋間における空気袋が存在しない領域では座部の上面が殆ど隆起しないことになる。特に、２枚のシートを縁に沿って縫い合わしたり貼り合わせたりして構成しただけの空気袋において、空気袋の端部分の方が空気袋の中央部分に比べて膨らみ代が相対的に小さくなる。当然、このような複数の空気袋を互いに間隔をあけて座部に配置すると、上面の隆起状態も部分毎に差が大きくなる。
【０００５】
また、座部は椅子型マッサージ機の中でも使用者の体重が最もかかりやすい部分であり、特に背もたれ部が起立している場合は座部が使用者の体重の大部分を支えることになる。
つまり、上述のような空気袋に空気を供給して膨張させると、座部の隆起状態に関し部分毎の差が生じることになる。このような座部に使用者が座って体重を加えると、空気袋における隆起が小さい部分では座面が沈み込んだような感覚を使用者に与え、空気袋における隆起が大きい部分では座面が盛り上がったような感覚を与えることになる。その結果、座部における複数の空気袋の配置によっては、使用者に凹凸を意識させることになって違和感を生じさせる可能性がある。
【０００６】
また、空気袋を膨張させた際に隆起が大きい部分では座面がマッサージ部分を強く押圧するので十分なマッサージ効果が期待できるが、隆起が小さい部分ではマッサージ部分を押圧する力も弱まることからマッサージが十分に行われない可能性がある。それゆえ、このように複数の空気袋を設けたマッサージ機ではマッサージ効果が座部の部分毎でむらを生じやすいという問題もあった。
本発明は上述の問題に鑑みて為されたものあり、その目的は座部に設けられた複数の空気袋を膨張させた際に座面の隆起量を均等にすることにより、使用者に凹凸を意識させることなく快適なマッサージを与えることができ、また複数の空気袋を用いて臀部に対する平面的な押圧を使用者に付与することによりマッサージ効果にムラが生じにくい椅子型マッサージ機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
前記目的を達成するため、本発明の椅子型マッサージ機は次の技術的手段を講じている。
即ち、本発明の椅子型マッサージ機は、上面にマッサージ用の空気袋が備えられた座部と、この座部の両側に設けられた肘掛部と、前記座部の後側に設けられた背もたれ部とを備えている椅子型マッサージ機であって、前記空気袋は、前記座部上面の後側の左右に配置される一対の第１空気袋と、前記座部上面の前側の中央であって前記第１空気袋より前方に配置される第２空気袋と、を有しており、前記一対の第１空気袋と第２空気袋とは互いの一部が上下に重なり合うように配備されていることを特徴とするものである。
【０００８】
このように一対の第１空気袋と第２空気袋とを互いの一部が上下に重なり合うように配置すれば、中央に比べて膨らみ代の小さい空気袋の縁同士が互いに重なり合って膨らみ代を補間し合うため、座部に設けられた空気袋を膨張させた際に座部の隆起量を均等にすることができ、使用者に凹凸を意識させることなく快適なマッサージを与えることができる。また、複数の空気袋を用いてマッサージ部分を平面的に押圧することができるので、第１空気袋から第２空気袋にかけての部分では全面に亘ってムラのないマッサージ効果を発揮することができる。
【０００９】
なお、前記第２空気袋は、前後方向の長さが左右方向の長さよりも長くなるように形成されているのが好ましい。このように第２空気袋を前後方向に長く形成すれば、臀部から大腿部にかけて広い範囲を第２空気袋でマッサージすることが可能となる。
また、前記第２空気袋は前記第１空気袋の上側に重なり合うように配備されているのが好ましく、前記第２空気袋の前側の端部は前記座部の上面に固定されているのが好ましい。
前後方向に広い範囲をカバーする第２空気袋は第１空気袋より大きいものになりやすく、膨張や収縮を繰り返すと座部の上面における位置が第１空気袋に比べてずれやすい。そこで、このように第２空気袋の下側に一対の第１空気袋を配置して第２空気袋で一対の第１空気袋を押さえ込むように固定したり、第２空気袋の前端部を座部の上面に固定したりすれば、第２空気袋の位置をずれ難くすることができ、第２空気袋を座部上で常に安定した位置に保持することができる。
【発明の効果】
【００１０】
本発明の椅子型マッサージ機は、座部に設けられた複数の空気袋を膨張させた際に座面の隆起量を均等にすることにより、使用者に凹凸を意識させることなく快適なマッサージを与えることができ、また複数の空気袋を用いて臀部に対する平面的な押圧を使用者に付与することによりマッサージ効果のムラが生じにくいという効果を備えている。
【図面の簡単な説明】
【００１１】
【図１】本発明の椅子型マッサージ機の斜視図である。
【図２】座部に配置された空気袋の断面図である。
【図３】座部における空気袋の配置を示す平面図である。
【図４】椅子型マッサージ機のマッサージ方法を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【００１２】
以下、本発明の椅子型マッサージ機１を以下に説明する。
図１に示されるように、本発明の椅子型マッサージ機１は、使用者の首部、肩部、背部、腰部、大腿部、ふくらはぎなどをマッサージするものである。椅子型マッサージ機１は、使用者が着座する座部２と、この座部２の両側に設けられた肘掛部３と、座部２の後側に設けられた背もたれ部４とを備えている。また、座部２の前側にはふくらはぎをマッサージするフットレスト部５が備えられている。
以下、椅子型マッサージ機１に座った使用者から見た方向を基準として、椅子型マッサージ機１を説明する。すなわち、図２においては、紙面に記載される方向が椅子型マッサージ機１を説明する際の前後左右となる。
【００１３】
座部２は、上面に使用者が腰を下ろして着座できるように略水平に配備されている。座部２は、枠体と、この枠体の上に配備されたクッションと、枠体とクッションとを外側から覆うカバーとを備えている。なお、クッション、枠体及びカバーの図示は省略する。そして、このカバーとクッションとの間に挟み込まれるように後述する空気袋６が内蔵されている。座部２の左右両側には、肘掛部３がそれぞれ設けられている。
肘掛部３は、底辺を床面に着けて起立するように設けられた略三角形状の部材である。肘掛部３の上側は丸く湾曲した形状となっており、使用者が肘を載せやすいようになっている。肘掛部３の側面には、座部２側に面する側に第３及び第４空気袋（サイドエアーバッグ）が前後に１つずつ配備されている。
【００１４】
第３及び第４空気袋は、空気を貯留可能に形成された袋体であり、空気を供給することで座部２側に向かって膨らむ構造になっている。第３空気袋８は、使用者の腰部をマッサージするために用いられ、第４空気袋９は大腿部をマッサージするために用いられる。第３空気袋８は肘掛部３の側面の後側に配備されており、第４空気袋９は肘掛部３の側面の前側に配備されている。これらの第３及び第４空気袋８、９は、上側の方が下側に比べて膨らみ代が大きくなるように蛇腹状に形成されており、座部２に着座した使用者の腰部や大腿部を側方から押圧するだけでなく上方からも押さえ込んでマッサージできるようになっている。
【００１５】
背もたれ部４は、使用者が背中からもたれられるように座部２の後側に配備された部材である。背もたれ部４は、座部２の後側に設けられた左右方向を向く軸回りに揺動自在に枢支されており、垂直に起立した状態から水平に倒れた状態にまでリクライニング可能となっている。
フットレスト部５は、座部２の下側に収納可能とされた筺体であり、座部２の下側の収納位置から座部２の前方に引き出すことで使用者のふくらはぎ（脚部）をマッサージ可能となっている。
【００１６】
図２に示されるように、本発明の椅子型マッサージ機１は、座部２の上面側にマッサージ用の空気袋６を備えることを特徴としている。この空気袋６は座部２上面の後側に配置される第１空気袋（臀部マッサージ用空気袋）と前側に配置される第２空気袋１２（大腿部マッサージ用空気袋）とで構成されている。第１空気袋は、座部２後側の左側と右側とに配置されており、左右で一対設けられている。第２空気袋１２は、座部２上面の前側中央に配置されており、第１空気袋１１Ｌ、１１Ｒより前方に位置している。これら一対の第１空気袋１１Ｌ、１１Ｒと第２空気袋１２とは互いの一部が上下に重なり合うように配置されている。
【００１７】
次に、第１空気袋１１Ｌ、１１Ｒ及び第２空気袋１２の構成と座部２上面での配置について説明する。
図３に示すように、第１空気袋１１Ｌ、１１Ｒは、正方形に裁断された非通気性のシートを上下に２枚重ね、その縁を互いに気密状に貼り合わせたものである。第１空気袋１１Ｌ、１１Ｒの中央下側には空気配管１３が連結されており、この空気配管１３から第１空気袋１１Ｌ、１１Ｒの内部に図示しないエアポンプや弁を通じて空気を供給できるようになっている。
【００１８】
第１空気袋には、座部２の上面の左後側に配備される左第１空気袋１１Ｌと、上面の右後側に配備される右第１空気袋１１Ｒとがある。左第１空気袋１１Ｌと右第１空気袋１１Ｒとは、互いに左右方向に間隔をあけるように配備されている。
本実施形態の第１空気袋１１Ｌ、１１Ｒは、いずれも一辺が１００〜２００ｍｍの正方形のシートを貼り合わしたものである。
第２空気袋１２は、第１空気袋１１Ｌ、１１Ｒより面積が大きな長方形に裁断された非通気性のシートを、前後方向の長さが左右方向の長さよりも長くなるように配置して上下に２枚重ね、その縁を互いに気密状に貼り合わせたものである。第２空気袋１２の中央下側には、第１空気袋１１Ｌ、１１Ｒと同様に空気配管１４が連結されており、この空気配管１４から第２空気袋１２の内部に図示しないエアポンプや弁を通じて空気を供給できるようになっている。
【００１９】
本実施形態の第２空気袋１２は、左右方向の一辺が１００〜２００ｍｍ、前後方向の一辺が１５０〜３００ｍｍの長方形のシートを貼り合わしたものである。
第２空気袋１２の後端左側は左第１空気袋１１Ｌの前端の上に重ね合わされており、後端右側は右第１空気袋１１Ｒの前端の上に重ね合わされている。第２空気袋１２と第１空気袋１１Ｌ、１１Ｒとをどのような配置で重なり合わせるかは、マッサージすべき対象や空気袋の大きさに合わせてさまざまであり一概に定めることはできない。しかしながら、第２空気袋１２と第１空気袋１１Ｌ、１１Ｒとは、重なり合う部分が最も大きい場合でも第２空気袋１２のコーナが第１空気袋の中心の上に位置するように重ね合わされるのが良い。また、第１空気袋の中心からコーナを通って第２空気袋１２側に向かう線上に第２空気袋１２のコーナが位置するように、第２空気袋１２と第１空気袋１１Ｌ、１１Ｒと重ね合わせることもできる。このようにすれば、空気を供給した際に、第２空気袋１２と第１空気袋１１Ｌ、１１Ｒとが重なり合った部分と重なり合っていない部分とで座部の隆起量を均等にすることができる。
【００２０】
第２空気袋１２の前端部は、座部２の上面に対して接着、熱融着または縫着などの手段を用いて固定されている。第１空気袋１１Ｌ、１１Ｒより大きい第２空気袋１２は膨張や収縮を繰り返すと座部２の上面における位置が第１空気袋１１Ｌ、１１Ｒに比べてずれやすい。そこで、このように第２空気袋１２の前端部を座部２の上面に固定すれば、第２空気袋１２の位置が前端側と空気配管１４が設けられた中央との２箇所で固定され、第２空気袋１２のずれを防止して第２空気袋１２を座部２上で常に安定した位置に保持することができる
上述のように配置された一対の第１空気袋１１Ｌ、１１Ｒ及び第２空気袋１２に空気を供給すると、上端が図３のＡで示される線に揃うように第１空気袋１１Ｌ、１１Ｒ及び第２空気袋１２が膨張する。その結果、第１空気袋１１Ｌ、１１Ｒから第２空気袋１２かけての全ての位置で座部２の膨張量が均等になり、使用者に対して第１空気袋１１Ｌ、１１Ｒ及び第２空気袋１２が均等な押圧力で接触するため、使用者が凹凸を意識することが無くなり、快適なマッサージが可能となる。また、第１空気袋１１Ｌ、１１Ｒから第２空気袋１２にかけての部分では全面に亘って均等な押圧力（平面的な押圧力）が発揮できるので、ムラのないマッサージ効果を得ることができる。
【００２１】
ところで、上述したように使用者をマッサージする第１空気袋〜第４空気袋を備えた椅子型マッサージ機１としては、例えば特開平７−１２４２１３号公報に記載のマッサージ機などが知られている。このマッサージ機は、使用者に面する肘掛部３の内側面にポケットを形成しておき、このポケット内に収容されたサイドエアーバッグに空気を給排してサイドエアーバッグを膨張収縮させ、使用者の腰部や大腿部を外方から締め付けるように圧迫することでマッサージを行う機構となっている。
しかし、上述のマッサージ機では使用者の腰部や大腿部は座部２に固定されていないため比較的自由に動くことができる。それゆえ、第３及び第４空気袋（サイドエアーバッグ）を用いて腰部や大腿部を押圧しようとしても、腰部や大腿部が逃げてしまう可能性があり、これらの部分に対する十分なマッサージ効果が期待できないという問題があった。
【００２２】
特に、腰部や大腿部はマッサージの対象となる身体部分の中でも筋肉が多く、強いマッサージが必要になる場合が多い。ところが、強いマッサージが可能なモミ玉などを用いたくても、使用者が着座する際に邪魔になる虞があるため、マッサージ機の配置上座部２と肘掛部３との間にはモミ玉のようなマッサージ機構は配置できない。それゆえ、モミ玉などに比べてマッサージ効果が弱いエアーバッグを用いていても腰部や大腿部を強めにマッサージしたいという要望があった。
そこで、本発明の椅子型マッサージ機１では、上述した第１空気袋１１Ｌ、１１Ｒと第２空気袋１２とを膨張させて臀部を持ち上げ、臀部の持ち上げによりテコの原理で大腿部や腰部をサイドエアーバッグ８、９に強く押し付けながらマッサージを行うようにエアポンプや弁を作動させる制御部を設けることで、大腿部や腰部に対する良好なマッサージを可能としている。
【００２３】
次に、制御部で行われる処理の内容（処理プログラム）、言い換えれば本発明のマッサージ態様を、図４を用いて以下に詳しく説明する。本発明のマッサージ態様としては、次の３つの実施形態が考えられる。
なお、本発明のマッサージ態様の実施形態を説明する前に図４の説明を行う。
図４は座部２を上方から見た場合の左右第１空気袋１１Ｌ、１１Ｒ、第２空気袋１２、第３空気袋８、第４空気袋９の配置を示している。図中で実線で示される空気袋はエアポンプや弁を介して空気が供給されて膨張や収縮を行っているもの、言い換えればマッサージに寄与しているものを示している。また、図中で点線で示される空気袋は、エアポンプを止めたり弁を閉じたりして空気が供給されていないもの、言い換えればマッサージに寄与していないものを示している。
【００２４】
図４（ａ）に示すように、マッサージ態様の第１実施形態は、使用者の大腿部を強くマッサージするためのものである。第１実施形態では、第４空気袋９にエアポンプや弁を介して空気が供給されており、この第４空気袋９が膨張することで使用者は大腿部が外方から締め付けられるように押圧されている。
このように大腿部が押圧された状態で、左右第１空気袋１１Ｌ、１１Ｒ及び第２空気袋１２にエアポンプや弁を介して空気を供給すると、膝上から太腿までの脚部にテコの原理でこじるような力が働き、大腿部が第４空気袋９に強く押し付けられる。その結果、第４空気袋９を膨張させても大腿部が逃げることが無くなり、使用者の大腿部に対して強いマッサージを施すことが可能となる。
【００２５】
なお、第４空気袋９に空気を供給する手順と、左右第１空気袋１１Ｌ、１１Ｒ及び第２空気袋１２に空気を供給する手順とは、逆にしても良い。すなわち、左右第１空気袋１１Ｌ、１１Ｒ及び第２空気袋１２に空気を供給して使用者の臀部を持ち上げた状態にしておき、その後第４空気袋９に空気を供給しても、上述の場合と同様に使用者の大腿部に対して強いマッサージを施すことが可能となる。
なお、使用者の大腿部を強くマッサージする場合には、第１実施形態のマッサージ態様に代えて第２実施形態のようなマッサージ態様を採用することもできる。
【００２６】
図４（ｂ）に示すように、マッサージ態様の第２実施形態は、まず第４空気袋９にエアポンプや弁を介して空気を供給し、使用者の大腿部を外方から締め付けるように押圧する点で第１実施形態と同じである。第２実施形態のマッサージ方法が第１実施形態と異なっている点は、大腿部が押圧された状態で、第２空気袋１２には空気を供給せずに左右第１空気袋１１Ｌ、１１Ｒだけにエアポンプや弁を介して空気を供給している点である。
このようにしても、膝上から太腿までの脚部にテコの原理でこじるような力が働き、大腿部が第４空気袋９に強く押し付けて、使用者の大腿部に対して強いマッサージを施すことが可能となる。
【００２７】
なお、第１実施形態と同様に第２実施形態においても、第４空気袋９に空気を供給する手順と、左右第１空気袋１１Ｌ、１１Ｒに空気を供給する手順とは、逆にしても良い。
また、使用者の腰部を強くマッサージする場合には、第１実施形態や第２実施形態のマッサージ方法に代えて第３実施形態のようなマッサージ態様を採用することもできる。
図４（ｃ）に示すように、マッサージ態様の第３実施形態は、まず第３空気袋８にエアポンプや弁を介して空気を供給して、使用者の腰部を外方から締め付けるように押圧する。
【００２８】
このように腰部を押圧した状態で、左右第１空気袋１１Ｌ、１１Ｒ及び第２空気袋１２に空気を供給すると、使用者の臀部が持ち上げられる。そして、臀部と一緒に持ち上げられた腰部に第３空気袋８が強く押し付けられ、第３空気袋８を膨張させても腰部が逃げることが無いため、使用者の腰部を強くマッサージすることができる。
本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、発明の本質を変更しない範囲で各部材の形状、構造、材質、組み合わせなどを適宜変更可能である。
上記実施形態では、空気袋６として配備される３つの部材のうち、左右第１空気袋１１Ｌ、１１Ｒがそれぞれ第２空気袋１２の左後端または右後端に重なり合ったものを例示した。しかし、空気袋６の数は３つに限定されるものではない。例えば、左右第１空気袋１１Ｌ、１１Ｒの間にもう一つ空気袋を配置して空気袋６の数を増やすこともできる。
【００２９】
また、空気袋６同士を重ね合う部分は第１空気袋１１Ｌ、１１Ｒと第２空気袋１２との間に限られない。例えば、左第１空気袋１１Ｌと右第１空気袋１１Ｒとの間に重なり合う部分を設けることもできる。
【符号の説明】
【００３０】
１ 椅子型マッサージ機
２ 座部
３ 肘掛部
４ 背もたれ部
５ フットレスト部
６ 空気袋
８ 第３空気袋
９ 第４空気袋
１１Ｌ 左第１空気袋
１１Ｒ 右第１空気袋
１２ 第２空気袋
１３ 第１空気袋の空気配管
１４ 第２空気袋の空気配管
【特許請求の範囲】
【請求項１】
上面にマッサージ用の空気袋が備えられた座部と、この座部の両側に設けられた肘掛部と、前記座部の後側に設けられた背もたれ部とを備えている椅子型マッサージ機であって、
前記空気袋は、前記座部上面の後側の左右に配置される一対の第１空気袋と、前記座部上面の前側の中央であって前記第１空気袋より前方に配置される第２空気袋と、を有しており、
前記一対の第１空気袋と第２空気袋とは互いの一部が上下に重なり合うように配備されていることを特徴とする椅子型マッサージ機。
【請求項２】
前記第２空気袋は、前後方向の長さが左右方向の長さよりも長くなるように形成されていることを特徴とする請求項１に記載の椅子型マッサージ機。
【請求項３】
前記第２空気袋は、前記第１空気袋の上側に重なり合うように配備されていることを特徴とする請求項１又は２に記載の椅子型マッサージ機。
【請求項４】
前記第２空気袋の前端部が前記座部の上面に固定されていることを特徴とする請求項１〜３のいずれかに記載の椅子型マッサージ機。
【請求項１】
上面にマッサージ用の空気袋が備えられた座部と、この座部の両側に設けられた肘掛部と、前記座部の後側に設けられた背もたれ部とを備えている椅子型マッサージ機であって、
前記空気袋は、前記座部上面の後側の左右に配置される一対の第１空気袋と、前記座部上面の前側の中央であって前記第１空気袋より前方に配置される第２空気袋と、を有しており、
前記一対の第１空気袋と第２空気袋とは互いの一部が上下に重なり合うように配備されていることを特徴とする椅子型マッサージ機。
【請求項２】
前記第２空気袋は、前後方向の長さが左右方向の長さよりも長くなるように形成されていることを特徴とする請求項１に記載の椅子型マッサージ機。
【請求項３】
前記第２空気袋は、前記第１空気袋の上側に重なり合うように配備されていることを特徴とする請求項１又は２に記載の椅子型マッサージ機。
【請求項４】
前記第２空気袋の前端部が前記座部の上面に固定されていることを特徴とする請求項１〜３のいずれかに記載の椅子型マッサージ機。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図２】
【図３】
【図４】
【公開番号】特開２０１０−２８４４１４（Ｐ２０１０−２８４４１４Ａ）
【公開日】平成２２年１２月２４日（２０１０．１２．２４）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００９−１４２３７７（Ｐ２００９−１４２３７７）
【出願日】平成２１年６月１５日（２００９．６．１５）
【出願人】（０００１３６４９１）株式会社フジ医療器 (137)
【出願人】（５９２００９２１４）大東電機工業株式会社 (106)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２２年１２月２４日（２０１０．１２．２４）
【国際特許分類】
【出願日】平成２１年６月１５日（２００９．６．１５）
【出願人】（０００１３６４９１）株式会社フジ医療器 (137)
【出願人】（５９２００９２１４）大東電機工業株式会社 (106)
【Ｆターム（参考）】
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