説明

椅子

【課題】座った人が接触する接触部材と、接触する側からみて背面にある背面部材とが取り付けやすく、かつ取り外しやすい椅子の提供。
【解決手段】座った人が接触する接触部材と、接触する側からみて背面にある背面部材とを有する椅子であって、前記接触部材及び前記背面部材の一方に突出部が設けられ、前記接触部材及び前記背面部材の他方に該突出部の突出方向と略直交方向にスライドして該突出部と脱離可能な係合部が設けられている椅子である。前記接触部材が背受部材であり、背面部材が背受背面部材である態様、前記接触部材が座部材であり、背面部材が座背面部材である態様などが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、座った人が接触する接触部材(例えば背受部材、座部材等)と、接触する側からみて背面に位置する背面部材(例えば背受背面部材、座背面部材等)とが取り付けやすく、かつ取り外しやすい椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
椅子の背受け部の構成としては、座った人が接触する接触部材としての背受部材(「背張り部材」と称することもある)と、接触する側からみて背面に位置する背面部材としての背受背面部材(「背カバー部材」と称することもある)とを有するものが一般的である。また、椅子の座部の構成としては、座った人が接触する接触部材としての座部材(「座張り部材」と称することもある)と、接触する側からみて背面に位置する背面部材としての座背面部材(「座カバー部材」と称することもある)とを有するものが一般的である(例えば特許文献1及び2参照)。
最近では、環境破壊に対する意識の高まりを背景として、リサイクルに対する要請が強まっており、椅子についても接触部材(例えば背受部材、座部材等)と、背面部材(例えば背受背面部材、座背面部材等)とを、容易に取り外し及び取り付けることができ、接触部材及び背面部材が汚れたり、破損した場合に新しい部品に交換できることが望まれている。
【0003】
例えば、背受部材と背受背面部材とを押し付けて取り付けるタイプでは、図9に示すように、接触部材としての背受部材2に対し、背面部材としての背受背面部材1を図中矢印A方向に押し付けて、背受背面部材1に設けられた突出部3と、背受部材2に設けられた四角ボックス状の係合部4(図10参照)とを係合させることにより、背受背面部材1と背受部材2とを容易かつ強固に取り付けることができる。一方、背受背面部材1と背受部材2とは使用時に外れないように、突出部3と係合部4が強固に係合しているため、背受背面部材1と背受部材2とを取り外すのが困難であり、取り外し時に背面部材1と背受部材2が破損してしまうこともあった。
また、図示を省略しているが、背受部材と背受背面部材をスライドさせて取り付け、かつ取り外すタイプでは、取り外し時には、背受部材に対し背受背面部材をスライドさせて突出部と係合部の係合状態を解除できるので両者を取り外すのは容易である。一方、取り付け時には、背受部材に背受背面部材をスライド可能に係合させて取り付けるのは熟練が要り、背受部材のカバー等の他の部材が邪魔になって容易に取り付けるのは困難であった。
【0004】
このように従来技術では、背受部材と背受背面部材の取り付け及び取り外しを一方向で行っているため、取り付け及び取り外しのいずれかが困難であった。このことは、接触部材としての座部材と背面部材としての座背面部材との取り付け及び取り外しを行う場合にも同様に生じる課題であった。
したがって、座った人が接触する接触部材(例えば背受部材、座部材等)と、接触する側からみて背面に位置する背面部材(例えば背受背面部材、座背面部材等)とが取り付けやすく、かつ取り外しやすい、利便性に優れた椅子は未だ提供されていないのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−128022号公報
【特許文献2】特開2001−95642号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来における前記問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。
即ち、本発明は、座った人が接触する接触部材(例えば背受部材、座部材等)と、接触する側からみて背面に位置する背面部材(例えば背受背面部材、座背面部材等)とが取り付けやすく、かつ取り外しやすい椅子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 座った人が接触する接触部材と、接触する側からみて背面にある背面部材とを有する椅子であって、
前記接触部材及び前記背面部材の一方に突出部が設けられ、前記接触部材及び前記背面部材の他方に該突出部の突出方向と略直交方向にスライドして該突出部と脱離可能な係合部が設けられていることを特徴とする椅子である。
該<1>に記載の椅子においては、座った人が接触する接触部材と、接触する側からみて背面にある背面部材とを有している。前記接触部材及び前記背面部材の一方に突出部が設けられている。前記接触部材及び前記背面部材の他方に該突出部の突出方向と略直交方向にスライドして該突出部と脱離可能な係合部が設けられている。
前記接触部材と前記背面部材とを取り付ける際には、前記接触部材と前記背面部材を押し付けて前記突出部と前記係合部を係合させることにより、前記接触部材と前記背面部材を容易かつ強固に取り付けることができる。
前記接触部材と前記背面部材とを取り外す際には、前記接触部材及び前記背面部材の少なくともいずれかをスライドさせることで、前記突出部と前記係合部の係合状態が解除され、前記接触部材及び前記背面部材を破損させることなく、容易に取り外すことができる。
したがって本発明の椅子においては、前記接触部材と前記背面部材との取り付け方向と脱離方向とが異なる(前記接触部材と前記背面部材の取り付け及び取り外しを異なる2方向で行う)ので、前記接触部材と前記背面部材とが取り付けやすく、かつ取り外しやすいという優れた特徴を有している。
<2> 接触部材及び背面部材の一方にズレ防止用突起部が設けられ、前記接触部材及び前記背面部材の他方に該ズレ防止用突起部と係合可能なズレ防止用係合部が設けられている前記<1>に記載の椅子である。
該<2>に記載の椅子においては、接触部材及び背面部材の一方にズレ防止用突起部が設けられている。前記接触部材及び前記背面部材の他方に該ズレ防止用突起部と係合可能なズレ防止用係合部が設けられている。前記ズレ防止用突起部と前記ズレ防止用係合部とが係合すると、椅子に人が座って荷重が掛かった際にも接触部材及び背面部材の少なくともいずれかがズレることを確実に防止できる。
<3> 接触部材が背受部材であり、背面部材が背受背面部材である前記<1>から<2>のいずれかに記載の椅子である。
該<3>に記載の椅子においては、背受部では、接触部材が背受部材であり、背面部材が背受背面部材である。前記背受部材及び前記背受背面部材の一方に突出部が設けられ、前記背受部材及び前記背受背面部材の他方に該突出部の突出方向と略直交方向にスライドして該突出部と脱離可能な係合部が設けられている。
前記背受部材と前記背受背面部材とを取り付ける際には、前記背受部材と前記背受背面部材を押し付けて前記突出部と前記係合部を係合させることにより、前記背受部材と前記背受背面部材を容易かつ強固に取り付けることができる。
前記背受部材と前記背受背面部材とを取り外す際には、前記背受部材及び前記背受背面部材の少なくともいずれかをスライドさせることで、前記突出部と前記係合部の係合状態が解除され、前記背受部材及び前記背受背面部材を破損させることなく、容易に取り外すことができる。
<4> 接触部材が座部材であり、背面部材が座背面部材である前記<1>から<2>のいずれかに記載の椅子である。
該<4>に記載の椅子においては、座部では、接触部材が座部材であり、背面部材が座背面部材である。前記座部材及び前記座背面部材の一方に突出部が設けられ、前記座部材及び前記座背面部材の他方に該突出部の突出方向と略直交方向にスライドして該突出部と脱離可能な係合部が設けられている。
前記座部材と前記座背面部材とを取り付ける際には、前記座部材と前記座背面部材を押し付けて前記突出部と前記係合部を係合させることにより、前記座部材と前記座背面部材を容易かつ強固に取り付けることができる。
前記座部材と前記座背面部材とを取り外す際には、前記座部材及び前記座背面部材の少なくともいずれかをスライドさせることで、前記突出部と前記係合部の係合状態が解除され、前記座部材と前記座背面部材を破損させることなく、容易に取り外すことができる。
<5> 背受部材及び背受背面部材の間に、背受部と座部を連結する連結部材を有し、
前記背受部材及び前記背受背面部材のいずれかにズレ防止用突起部が設けられ、前記連結部材に該ズレ防止用突起部と係合可能なズレ防止用係合部が設けられている前記<3>に記載の椅子である。
該<5>に記載の椅子においては、背受部が比較的小型である場合には、前記背受部材及び前記背受背面部材のいずれかに設けられたズレ防止用突起部を、背受部と座部を連結する連結部材に設けられたズレ防止用係合部と係合させる。
前記背受部材と前記背受背面部材とを取り付けると、前記ズレ防止用突起と前記ズレ防止用係合部とが強固に係合され、人が椅子に座って荷重がかかっても前記背受部材と前記背受背面部材がズレることなく、確実に固定できる。
<6> 突出部が非対称形状である前記<1>から<5>のいずれかに記載の椅子である。
該<6>に記載の椅子においては、突出部が非対称形状である。すると前記突出部と係合する係合部も非対称形状となる。例えばボックス状係合部の一の壁面及び該係合部と係合する突出片にアール(R)を持たせると、前記接触部材と前記背面部材を取り付ける際にボックス状係合部のRに倣って突出部を係合させることができ、位置決めが容易となる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、従来における問題を解決することができ、座った人が接触する接触部材(例えば背受部材、座部材等)と、接触する側からみて背面にある背面部材(例えば背受背面部材、座背面部材等)とが取り付けやすく、かつ取り外しやすい椅子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1A】図1Aは、背受背面部材の一例を示す平面図である。
【図1B】図1Bは、図1AのA−A線での断面図である。
【図1C】図1Cは、図1Aの突出部の拡大図である。
【図1D】図1Dは、突出部の他の例を示す拡大図である。
【図2A】図2Aは、背受部材の一例を示す平面図である。
【図2B】図2Bは、図2AのB−B線での断面図である。
【図2C】図2Cは、図2Aの係合部の拡大図である。
【図2D】図2Dは、係合部の他の例を示す拡大図である。
【図3】図3は、クッション材及びカバーを有する背受背面部材と、背受部材とを取り付けた背受部の断面図である。
【図4A】図4Aは、背受部材と背受背面部材を取り付ける様子を示す斜視図である。
【図4B】図4Bは、背受部材と背受背面部材を取り外す様子を示す斜視図である。
【図5A】図5Aは、座部材と座背面部材を取り付ける様子を示す斜視図である。
【図5B】図5Bは、座部材と座背面部材を取り外す様子を示す斜視図である。
【図6A】図6Aは、背受背面部材の他の一例を示す平面図である。
【図6B】図6Bは、背受部材の他の一例を示す平面図である。
【図7A】図7Aは、背受背面部材の更に他の一例を示す平面図である。
【図7B】図7Bは、背受部材の更に他の一例を示す平面図である。
【図8】図8は、座部材と座背面部材を取り付ける様子を示す別の斜視図である。
【図9】図9は、従来の椅子の背受部材と背受背面部材を取り付ける様子を示す斜視図である。
【図10】図10は、図9の係合部を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の椅子は、接触部材と、背面部材とを有し、更に必要に応じてその他の部材を有してなる。
【0011】
<接触部材>
前記接触部材は、椅子に座った人が接触する部材であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば背受部材、座部材などが挙げられる。
【0012】
−背受部材(背張り部材)−
前記背受部材は、椅子に座った人の背中部分が接触可能であれば大きさ、形状、構造、材質等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記材質としては、例えばステンレススチール、アルミニウム、鉄等の金属;ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ABS樹脂、FRP、ナイロン等の樹脂などが挙げられる。これらの中でも、成形性、強度などの点からポリプロピレン樹脂が特に好ましい。
前記背受部材の形状、大きさ等についても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、通常用いられる程度の形状及び大きさが好ましい。
前記背受部材の構造としては、単層構造又は2層構造であることが好ましい。
【0013】
前記背受部材の座った人の接触する側の面には、外皮(カバー)に被覆されたクッション材を有することが好ましい。前記クッション材としては、大きさ、形状、構造、材質などについては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記材質としては、例えばポリウレタンなどが挙げられる。
前記クッション材の形状、大きさ等についても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、通常用いられる程度の形状及び大きさが好ましい。
前記クッション材の構造としては、単層構造又は2層構造であることが好ましい。
前記外皮(カバー)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、天然繊維からなる布、合成繊維からなる布、皮、合成皮などが挙げられる。
【0014】
前記背受部材の椅子に座った人が接しない側の面には、後述する突出部又は係合部を有し、後述するズレ防止用突起部又はズレ防止用係合部を有することが好ましく、背受部と座部を連結する連結部材との結合部を有することが好ましい。なお、背受背面部材に連結部を設けて連結部材と結合させてもよい。
前記突出部、前記係合部、前記ズレ防止用突起部、及び前記ズレ防止用係合部は、前記背受部材と一体及び別体のいずれでもよいが、一体(一部材)であることが好ましい。
前記背受部材と前記連結部材との結合部は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ビス止め、ネジ止め、係合具、スライド係合具などが挙げられる。
前記連結部材としては、背受部と座部を連結することができれば大きさ、形状、構造、材質などについては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記材質としては、例えばステンレススチール、アルミニウム、鉄等の金属、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ABS樹脂、FRP、ナイロン等の樹脂などが挙げられる。
【0015】
−座部材(座張り部材)−
前記座部材としては、椅子に座った人の臀部が接触可能であれば大きさ、形状、構造、材質等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記材質としては、例えばステンレススチール、アルミニウム、鉄等の金属;ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ABS樹脂、FRP、ナイロン等の樹脂などが挙げられる。これらの中でも、成形性、強度などの点からポリプロピレン樹脂が特に好ましい。
前記座部材の形状、大きさ等についても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、通常用いられる程度の形状及び大きさが好ましい。
前記座部材の構造としては、単層構造又は2層構造であることが好ましい。
【0016】
前記座部材の椅子に座った人の接触する側の面には、外皮(カバー)に被覆されたクッション材を有することが好ましい。前記クッション材としては、大きさ、形状、構造、材質などについては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記材質としては、例えばポリウレタンなどが挙げられる。
前記クッション材の形状、大きさ等についても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、通常用いられる程度の形状及び大きさが好ましい。
前記クッション材の構造としては、単層構造又は2層構造であることが好ましい。
前記外皮(カバー)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、天然繊維からなる布、合成繊維からなる布、皮、合成皮などが挙げられる。
【0017】
前記座部材の椅子に座った人が接触しない側の面には、後述する突出部又は係合部を有し、後述するズレ防止用突起部又はズレ防止用係合部を有することが好ましく、脚取り付け具を有することが好ましい。
前記突出部、前記係合部、前記ズレ防止用突起部、及び前記ズレ防止用係合部は、前記座部材と一体及び別体のいずれでもよいが、一体(一部材)であることが好ましい。
前記脚取り付け具により、座部は脚部と接続される。前記脚取り付け具としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばステンレススチール製脚取り付け具、アルミニウム製脚取り付け具、鉄製脚取り付け具、樹脂製脚取り付け具、などが挙げられる。
【0018】
<背面部材>
前記背面部材は、前記接触部材を固定する部材であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば背受背面部材、座背面部材などが挙げられる。
【0019】
−背受背面部材(背カバー部材)−
前記背受背面部材は、前記接触部材としての背受部材を固定する部材である。
前記背受背面部材としては、その大きさ、形状、構造、材質等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記材質としては、例えばステンレススチール、アルミニウム、鉄等の金属;ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ABS樹脂、FRP、ナイロン等の樹脂などが挙げられる。これらの中でも、成形性、強度などの点からポリプロピレン樹脂が特に好ましい。
前記背受背面部材の形状、大きさ等についても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、通常用いられる程度の形状及び大きさが好ましい。
前記背受背面部材の構造としては、単層構造又は2層構造であることが好ましい。
【0020】
前記背受背面部材は、背受部材側の面に、後述する突出部又は係合部を有し、後述するズレ防止用突起部又はズレ防止用係合部を有することが好ましい。前記ズレ防止用突起部又はズレ防止用係合部は、前記背受背面部材と一体及び別体のいずれでもよいが、一体(一部材)であることが好ましい。
【0021】
−座背面部材(座カバー部材)−
前記座背面部材は、前記接触部材としての座部材を固定する部材である。
前記座背面部材としては、その大きさ、形状、構造、材質等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記材質としては、例えばステンレススチール、アルミニウム、鉄等の金属;ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ABS樹脂、FRP、ナイロン等の樹脂などが挙げられる。これらの中でも、成形性、強度などの点からポリプロピレン樹脂が特に好ましい。
前記座背面部材の形状、大きさ等についても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、通常用いられる程度の形状及び大きさが好ましい。
前記座背面部材の構造としては、単層構造又は2層構造であることが好ましい。
【0022】
前記座背面部材は、座部材側の面に、後述する突出部又は係合部を有し、後述するズレ防止用突起部又はズレ防止用係合部を有することが好ましい。前記突出部、係合部、ズレ防止用突起部又はズレ防止用係合部は、前記座背面部材と一体及び別体のいずれでもよいが、一体(一部材)であることが好ましい。
前記座背面部材は、座部材の脚取り付け具を有する部分は開口されていることが好ましい。
【0023】
<<突出部、係合部>>
前記接触部材及び前記背面部材の一方に突出部が設けられており、前記接触部材及び前記背面部材の他方に該突出部と係合して、取り外し時には脱離可能な係合部が設けられている。即ち、前記接触部材に突出部が設けられると、係合部は前記背面部材に設けられている。一方、前記接触部材に係合部が設けられると、突出部は前記背面部材に設けられている。
背受部においては、前記接触部材が背受部材であり、前記背面部材が背受背面部材であるので、前記背受部材に突出部が設けられると、係合部は前記背受背面部材に設けられている。一方、前記背受部材に係合部が設けられると、突出部は前記背受背面部材に設けられている。
座部においては、前記接触部材が座部材であり、前記背面部材が座背面部材であるので、前記座部材に突出部が設けられると、係合部は前記座背面部材に設けられている。一方、前記座部材に係合部が設けられると、突出部は前記座背面部材に設けられている。
【0024】
−突出部−
前記突出部は、前記接触部材及び前記背面部材の一方に設けられていれば、数、大きさ、形状、構造、材質等については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記突出部の数としては、1つ以上が好ましく、2つ〜10つであることがより好ましい。前記突出部の形状としては、例えば、直線状、曲線状、点状、及び突起状の少なくともいずれかに形成されていることが好ましい。その結果、前記突出部と前記係合部は、線と線、線と点、曲線と点、面と面、及び面と曲線のいずれかの態様により係合可能となる。
前記突出部の大きさについては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記突出部の材質としては、例えば、鉄、アルミニウム、ステンレススチール等の金属材料;ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ABS樹脂、FRP、ナイロン等の合成樹脂、などが挙げられる。これらの中でも、成形性、強度などの点からポリプロピレン樹脂が特に好ましい。
前記突出部の材質として、合成樹脂を用いると複雑な形状の突出部であっても成形することができ、成形用金型を用いて、前記接触部材及び前記背面部材と一体成形でき、大量生産が可能となる。また、本発明では、前記接触部材と前記背面部材の取り外し時に突出部の破損が防止され、部品の交換が少なくなるので、コスト面から、一体(一部材)であることが好ましい。
前記突出部の形状については、対称形状及び非対称形状のいずれであっても構わないが、位置決めが容易となり、ズレを防止できる点から非対称形状であることがより好ましい。
前記対称形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば円形状、正方形、長方形、三角形などが挙げられる。
前記非対称形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば略D字形状、略L字形状、略J字形状、略台形状、矩形状などが挙げられる。
前記非対称形状の一例としては、突出部の外側突出片にアール(R)を持たせ、該外側突出片と係合する外側係合壁にアール(R)を持たせたもの、突出部の内側突出片にアール(R)を持たせ、該内側突出片と係合する内側係合壁にアール(R)を持たせたもの、などが好適である。
【0025】
−係合部−
前記係合部は、前記接触部材及び前記背面部材の一方に設けられていれば、数、大きさ、形状、構造、材質等については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記係合部の数としては、1つ以上が好ましく、2つ〜10つであることがより好ましい。前記係合部の形状としては、例えば、直線状、曲線状、点状、及びボックス状の少なくともいずれかに形成されていることが好ましい。その結果、前記突出部と前記係合部は、線と線、線と点、曲線と点、面と面、及び面と曲線のいずれかの態様により係合可能となる。これらの中でも、ボックス状係合部が特に好ましい。
前記係合部の形状としては、前記突出部の形状に合わせて、対称形状及び非対称形状のいずれかに形成される。
前記対称形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば円形状、正方形、長方形、三角形などが挙げられる。
前記非対称形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば略D字形状、略L字形状、略J字形状、略台形状、矩形状などが挙げられる。このように非対称形状とすると、突出部と係合部が係合する際に抵抗が生じるので、容易に位置決めができ、ズレを防止できる。
前記非対称形状の一例としては、突出部の外側突出片にアール(R)を持たせ、該外側突出片と係合する外側係合壁にアール(R)を持たせたもの、突出部の内側突出片にアール(R)を持たせ、該内側突出片と係合する内側係合壁にアール(R)を持たせたもの、などが好適である。
前記係合部の大きさについては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記係合部の材質としては、例えば、鉄、アルミニウム、ステンレススチール等の金属材料;ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ABS樹脂、FRP、ナイロン等の合成樹脂、などが挙げられる。これらの中でも、成形性、強度などの点からポリプロピレン樹脂が特に好ましい。
前記係合部の材質として、合成樹脂を用いると複雑な形状の係合部であっても成形することができ、成形用金型を用いて、前記接触部材及び前記背面部材と一体成形でき、大量生産が可能となる。また、本発明では、前記接触部材と前記背面部材の取り外し時に係合部の破損が防止され、部品の交換が少なくなるので、コスト面から、一体(一部材)であることが好ましい。
【0026】
前記係合部は、前記突出部の突出方向と略直交方向にスライドして該突出部と脱離可能である。これにより、前記接触部材及び前記背面部材を破損させることなく、容易に取り外すことができる。
前記係合部は、前記突出部の突出方向と略直交方向であれば、上方向、下方向、右方向、左方向、その他のさまざまな方向にスライド可能に設けることができる。例えば下方向にスライドさせる場合には、ボックス状係合部の下側係合壁に切り欠き又は開口部を設ける。右方向にスライドさせる場合には、ボックス状係合部の右側係合壁に切り欠き又は開口部を設ける。上方向にスライドさせる場合には、ボックス状係合部の上側係合壁に切り欠き又は開口部を設ける。左方向にスライドさせる場合には、ボックス状係合部の左側係合壁に切り欠き又は開口部を設ける。
また、上下両方向にスライド可能とすることもでき、ボックス状係合部の上側及び下側係合壁に切り欠き又は開口部を設ける。この場合には、前記係合部及び突出部を左右非対称形状とすることが好ましい。
また、左右両方向にスライド可能とすることもでき、ボックス状係合部の右側及び左側係合壁に切り欠き又は開口部を設ける。この場合には、前記係合部及び突出部を上下非対称形状とすることが好ましい。
なお、前記突出部の突出方向と略直交方向には、90°±15°の範囲が含まれる。
【0027】
<<ズレ防止用突起部、ズレ防止用係合部>>
接触部材及び背面部材の一方にズレ防止用突起部が設けられ、前記接触部材及び前記背面部材の他方に該ズレ防止用突起部と係合可能なズレ防止用係合部が設けられている。
前記ズレ防止用突起部と前記ズレ防止用係合部を押し付け、両者を係合させることにより、人が椅子に座って荷重がかかっても前記接触部材と前記背面部材がズレることなく、確実に固定できる。
【0028】
−ズレ防止用突起部−
前記ズレ防止用突起部は、前記接触部材及び前記背面部材の一方に設けられていれば、数、大きさ、形状、構造、材質等については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記ズレ防止用突起部の数としては、1つ以上が好ましく、2つ〜10つであることがより好ましい。前記ズレ防止用突起部の形状としては、例えば、直線状、曲線状、点状、面状、及びボックス状の少なくともいずれかに形成されていることが好ましい。その結果、ズレ防止用突起部とズレ防止用係合部は、線と線、線と点、曲線と点、面と面、及び面と曲線のいずれかの態様により係合可能となる。
前記ズレ防止用突起部の大きさについては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記ズレ防止用突起部の材質としては、例えば、鉄、アルミニウム、ステンレススチール等の金属材料;ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ABS樹脂、FRP、ナイロン等の合成樹脂、などが挙げられる。これらの中でも、成形性、強度などの点からポリプロピレン樹脂が特に好ましい。
前記ズレ防止用突起部の材質として、合成樹脂を用いると複雑な形状のズレ防止用突起部であっても成形することができ、成形用金型を用いて、前記接触部材及び前記背面部材と一体成形でき、大量生産が可能となる。
【0029】
−ズレ防止用係合部−
前記ズレ防止用係合部は、前記接触部材及び前記背面部材の一方に設けられていれば、数、大きさ、形状、構造、材質等については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記ズレ防止用係合部の数としては、1つ以上が好ましく、2つ〜10つであることがより好ましい。前記ズレ防止用係合部の形状としては、例えば、直線状、曲線状、点状、面状、及びボックス状の少なくともいずれかに形成されていることが好ましい。その結果、ズレ防止用突起部とズレ防止用係合部は、線と線、線と点、曲線と点、面と面、及び面と曲線のいずれかの態様により係合可能となる。
前記ズレ防止用係合部の大きさについては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記ズレ防止用係合部の材質としては、例えば、鉄、アルミニウム、ステンレススチール等の金属材料;ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ABS樹脂、FRP、ナイロン等の合成樹脂、などが挙げられる。これらの中でも、成形性、強度などの点からポリプロピレン樹脂が特に好ましい。
前記ズレ防止用係合部の材質として、合成樹脂を用いると複雑な形状のズレ防止用係合部であっても成形することができ、成形用金型を用いて、前記接触部材及び前記背面部材と一体成形でき、大量生産が可能となる。
【0030】
前記ズレ防止用突起部及び前記ズレ防止用係合部としては、両者が係合可能なものであればよく、具体的には、ボスとボス穴、丸型スナップ、角型スナップ、ワンプッシュクリップ、などが挙げられる。
【0031】
−その他の部材−
前記その他の部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば脚部、キャスター、肘掛け部などが挙げられる。
【0032】
本発明の椅子は、接触部材と背面部材とを取り付ける際には、接触部材及び背面部材のいずれかに設けられた突出部を、該突出部と係合可能な接触部材及び背面部材のいずれかに設けられた係合部に押し込むことで、前記突出部と前記係合部とが係合して、接触部材と背面部材を容易かつ確実に取り付けることができる。一方、接触部材と背面部材を取り外す際には、突出部の突出方向と略直交方向にスライドさせることにより突出部と係合部との係合状態を解除でき、接触部材及び背面部材を破損させることなく容易に取り外すことができる。
また、前記接触部材及び前記背面部材の一方にズレ防止用突起部を設け、前記接触部材及び前記背面部材の他方に該ズレ防止用突起部と係合可能なズレ防止用係合部を設けると、椅子に人が座って荷重が掛かった際に、接触部材及び背面部材の少なくともいずれかがズレることを確実に防止できる。
この場合、前記接触部材と前記背面部材を取り外す際には、まず、ズレ防止用突起部とズレ防止用係合部との係合状態を解除し、次いで、背面部材を突出部の突出方向と略直交方向にスライドさせることにより、突出部と係合部との係合状態を解除して、接触部材及び背面部材を破損させることなく容易に取り外すことができる。
【0033】
本発明の椅子は、座った人が接触する接触部材(例えば背受部材、座部材等)と、接触する側からみて背面にある背面部材(例えば背受背面部材、座背面部材等)とが取り付けやすく、かつ取り外しやすいので、例えば事務用椅子、オフィス用椅子、家庭用椅子等の回転椅子;バンケット用椅子、レストラン用椅子、店舗用椅子、会議室用椅子等のパイプ椅子(非回転椅子);サイドチェア、ロッキングチェア、リクライニングチェアなどの各種椅子に好適に用いられる。
【実施例】
【0034】
以下、本発明の実施例につき図面を用いて具体的に説明するが、本発明はこの実施例に何ら限定されるものではない。
【0035】
(第1実施例)
本発明の椅子の第1実施例について説明する。
図1Aは、第1実施例の椅子の背面部材としての背受背面部材1を示す平面図、図1Bは、背受背面部材1のA−A線での断面図、図1Cは、背受背面部材1の突出部3の拡大図、図1Dは、背受背面部材1の突出部3の別の拡大図をそれぞれ表す。
図2Aは、第1実施例の椅子の接触部材としての背受部材2を示す平面図、図2Bは、第1実施例の椅子の接触部材としての背受部材2のB−B線での断面図、図2Cは、背受部材2の係合部4の拡大図、図2Dは、背受部材2の係合部4の別の拡大図をそれぞれ表す。
図3は、第1実施例の椅子の背面部材としての背受背面部材1と、接触部材としての背受部材2とを、連結部材8を介して取り付けた状態を示す概略断面図である。
図4Aは、第1実施例の椅子について、背受部材2に、背受背面部材1を取り付ける状態を示す斜視図である。
図4Bは、第1実施例の椅子について、背受部材2から、背受背面部材1を取り外す状態を示す斜視図である。
図5Aは、第1実施例の椅子について、座部材22に、座背面部材21を取り付ける状態を示す斜視図である。
図5Bは、第1実施例の椅子について、座部材22から、座背面部材21を取り外す状態を示す斜視図である。
この第1実施例の椅子は、接触部材として背受部材2及び座部材22と、背面部材として背受背面部材1及び座背面部材21とを有している。
【0036】
−背受部−
背受背面部材1は、図1Aに示すように、ポリプロピレン樹脂製の平面視で略四角形状であり、四隅と中央上部に合計5つの突出部3と、中央下部に1つのズレ防止用突起部5とを有している。
背受部材2は、図2Aに示すように、ポリプロピレン樹脂製の平面視で略四角形状であり、四隅と中央上部に合計5つの係合部4を有している。
背受部材2は、図3に示すように、座った人が接触する側の面に外皮9及びクッション材10を有している。第1実施例では、外皮9として、化学繊維からなる布、クッション材10として、ポリウレタンを用いている。
【0037】
突出部3は、図1Bに示すように、ポリプロピレン樹脂製であり、背受背面部材1と一体成形されており、先端部が2つに分岐しているので内外方向に弾性変形可能である。
突出部3は、図1Cに示すように、係合部4と係合する内側突出片3aと、外側突出片3bとを有している。
突出部3は、図1Cに示すように、リブ14により両側から補強され、強度を確保している。
【0038】
係合部4は、図2Bに示すように、ポリプロピレン樹脂製であり、背受部材2と一体成形されており、図2Cに示すように、下側係合壁に開口部4cを有するボックス状である。
係合部4は、図2Cに示すように、突出部3の突出方向と略直交方向(下方向)にスライドして該突出部3と脱離可能な内側係合壁4aと、外側係合壁4bとを有している。
係合部4の内側係合壁4aは、突出部3の内側突出片3aと係合可能である。係合部の外側係合壁4bは、突出部3の外側突出片3bと係合可能である。
係合部4は、図2Cに示すように、リブ15により両側から補強され、強度を確保している。
【0039】
突出部3と係合部4は、図2Cに示すように、ボックス状係合部4の下側係合壁が開口部4cとなっているので、背受部材2と背受背面部材1を取り外す際には、突出部3の突出方向と略直交方向(下側方向)にスライドさせて係合状態を解除し、背受部材2と背受背面部材1を容易に取り外すことができる。
なお、係合部4の下側係合壁に設けられている開口部4cは、突出部3の突出方向と略直交方向であれば、上方向、下方向、右方向、左方向、その他のさまざまな方向にスライド可能とすることができ、上側係合壁、右側係合壁、左側係合壁、上側及び下側係合壁、右側及び左側係合壁などに設けることができる。
【0040】
また、突出部3は、図1Dに示すように、非対称形状であり、外側突出片3bにアール(R)を持たせることができる。また、突出部3と係合する係合部4は、図2Dに示すように、非対称形状であり、外側突出片3bと係合する外側係合壁4bにもアール(R)を持たせることができる。このようにアール(R)を持たせることにより、背受部材2と背受背面部材1を取り付ける際にRに倣って突出部を係合させることができ、位置決めが容易となる。この第1実施例では、アール(R)の曲率半径は50Rである。
なお、図示を省略しているが、内側突出片3aにアール(R)を持たせ。該内側突出片3aと係合する内側係合壁4aにもRを持たせても構わない。
【0041】
背受背面部材1に設けられたズレ防止用突起部5は、図4Aに示すように、背受部と座部を連結する連結部材8に設けられたズレ防止用係合部11と係合している。これにより、人が椅子に座って荷重がかかった場合でも背受背面部材1と背受部材2とにズレが生じないように確実に固定される。なお、ズレ防止用突起部5及びズレ防止用係合部11として丸型スナップ又は角型スナップを用いてもよい。
連結部材8は、スチール製の略角パイプであり、図3及び図4Aに示すように、背受部材2のビス孔6にビス7で止着されている。
【0042】
この第1実施例の椅子では、図4Aに示すように、背受部材2と背受背面部材1とを取り付ける際には、背受部材2に対し、背受背面部材1を矢印A方向に押し付けて、背受背面部材1に設けられた突出部3と、背受部材2に設けられた係合部4とを係合させることにより、両者を容易かつ確実に取り付けることができる。
また、背受背面部材1にズレ防止用突起部5を設け、背受部と座部を連結する連結部材8に該ズレ防止用突起部5と係合可能なズレ防止用係合部11を設けているので、ズレ防止用突起部5をズレ防止用係合部11に係合させることにより、人が椅子に座って荷重がかかった場合でも背受部材2と背受背面部材1とのズレを確実に防止できる。
図4Bに示すように、背受部材2と背受背面部材1を取り外す際には、まず、ズレ防止用突起部5とズレ防止用係合部11との係合状態を解除し、次いで、背受背面部材1を突出部3の突出方向と略直交方向(下方向、図4B中矢印B方向)にスライドさせることにより、突出部3と係合部4との係合状態を解除し、背受部材2と背受背面部材1を破損させることなく、容易に取り外すことができる。
【0043】
−座部−
第1実施例の座部は、図5Aに示すように、接触部材としての座部材22と、背面部材としての座背面部材21とを有している。
座部材22は、図5Aに示すように、座った人が接触する側の面に外皮25及びクッション材(不図示)を有している。この第1実施例では、外皮25として、化学繊維からなる布、クッション材としてポリウレタンを用いている。
【0044】
座背面部材21には、図5Aに示すように、合計5つの突出部3と、2つのズレ防止用突起部23とが設けられている。
突出部3は、ポリプロピレン樹脂製であり、座背面部材21と一体成形されており、図1Bに示すように、先端部が分岐して内側突出片3aと、外側突出片3bとを有しており、内外方向に弾性変形可能である。
突出部3は、図5Aに示すように、リブ17により両側から補強され、強度を確保している。
なお、座背面部材21の突出部3のその他の点については、背受部材2の突出部3と同様であるため、その説明を省略する。
【0045】
座部材22には、図5Aに示すように、座背面部材21の突出部3と係合可能な合計5つの係合部4と、2つのズレ防止用係合部24とが設けられている。
係合部4は、ポリプロピレン樹脂製であり、座部材22と一体成形されており、図2Cに示すように開口部4cを有するボックス状であり、突出部3の内側突出片3aと係合する内側係合壁4aと、突出部の外側突出片3bと係合する外側係合壁4bを有している。
座部材22の係合部4は、図5Aに示すように、リブ16により両側から補強され、強度を確保している。
なお、座部材22の係合部4のその他の点については、背受部材2の係合部4と同様であるため、説明を省略する。
【0046】
図5Aに示すように、座背面部材21のズレ防止用突起部23は、座部材22のズレ防止用係合部24と係合可能である。
【0047】
この第1実施例の椅子では、図5Aに示すように、座部材22と座背面部材21とを取り付ける際には、座部材22に対し、座背面部材21を図中矢印C方向に押し付けて、座背面部材21に設けられた突出部3と、座部材22に設けられた係合部4とを係合させることにより、両者を容易かつ確実に取り付けることができる。
また、座背面部材21にズレ防止用突起部23を設け、座部材22に該ズレ防止用突起部23と係合可能なズレ防止用係合部24を設けているので、ズレ防止用突起部23をズレ防止用係合部24に係合させることにより、人が椅子に座って荷重がかかった場合でも座部材22と座背面部材21とのズレを防止できる。この第1実施例では、ズレ防止用突起部及びズレ防止用係合部として丸型スナップを用いている。なお、丸型スナップ以外にも角型スナップを用いてもよい。
図5Bに示すように、座部材22と座背面部材21を取り外す際には、まず、ズレ防止用突起部23とズレ防止用係合部24との係合状態を解除し、次いで、座背面部材21を突出部3の突出方向と略直交方向(前方向、図5B中矢印D方向)にスライドさせることにより、突出部3と係合部4との係合状態を解除し、座部材22と座背面部材21を破損させることなく、容易に取り外すことができる。
【0048】
(第2実施例)
図6Aは、第2実施例の椅子の背面部材としての背受背面部材1を示す平面図、図6Bは、第2実施例の椅子の接触部材としての背受部材2を示す平面図である。
この第2実施例では、背受部材及び背受背面部材として、第1実施例の背受部材及び背受背面部材よりもやや横長形状のものを用いた以外は、第1実施例と同様であり、共通する部分については、その説明を省略する。
この第2実施例では、背受背面部材1にズレ防止用突起部5を有し、該ズレ防止用突起部5と係合するズレ防止用係合部を、背受部と座部を連結する連結部材(不図示)に有しており、ズレ防止用突起部5とズレ防止用係合部とを係合させることにより、人が椅子に座って荷重がかかった場合でも背受部材2及び背受背面部材1のズレを確実に防止できる。
この第2実施例の椅子では、背受部材2と背受背面部材1とを取り付ける際には、背受部材2に対し、背受背面部材1を押し付けて、背受背面部材1に設けられた突出部3と、背受部材2に設けられた係合部4とを係合させることにより、両者を容易かつ確実に取り付けることができる。
一方、背受部材2と背受背面部材1を取り外す際には、背受背面部材1に設けられたズレ防止用突起部5と、連結部材(不図示)に設けられたズレ防止用係合部との係合状態を解除し、次いで、背受部材2に対し背受背面部材1を突出部3の突出方向と略直交方向(図6A及び図6Bでは、下方向)にスライドさせることにより突出部3と係合部4との係合状態を解除し、背受部材2と背受背面部材1を破損させることなく、容易に取り外すことができる。
【0049】
(第3実施例)
図7Aは、第3実施例の椅子の背面部材としての背受背面部材1を示す平面図、図7Bは、第3実施例の椅子の接触部材としての背受部材2を示す平面図である。
この第3実施例では、背受部材及び背受背面部材として、第1実施例の背受部材及び背受背面部材よりも大型形状のものを用いた以外は、第1実施例と同様であり、共通する部分については、その説明を省略する。
この第3実施例では、背受背面部材1の下部にズレ防止用突起部12を有し、該ズレ防止用突起部12と係合するズレ防止用係合部13を背受部材2の下部に有しており、ズレ防止用突起部12とズレ防止用係合部13とを係合させることにより、人が椅子に座って荷重がかかった場合でも背受部材2及び背受背面部材1のズレを確実に防止できる。この第3実施例では、ズレ防止用突起部及びズレ防止用係合部として丸型スナップを用いている。なお、丸型スナップ以外にも角型スナップを用いてもよい。
【0050】
この第3実施例の椅子では、背受部材2と背受背面部材1とを取り付ける際には、背受部材2に対し、背受背面部材1を押し付けて、背受背面部材1に設けられた突出部3と、背受部材2に設けられた係合部4とを係合させることにより、両者を容易かつ確実に取り付けることができる。
背受部材2と背受背面部材1を取り外す際には、まず、ズレ防止用突起部5とズレ防止用係合部11との係合状態を解除し、次いで、背受背面部材1を突出部3の突出方向と略直交方向(図7A及び図7B中では下方向)にスライドさせることにより突出部3と係合部4との係合状態を解除し、背受部材2と背受背面部材1を破損させることなく、容易に取り外すことができる。
【0051】
(第4実施例)
図8は、第4実施例の座部材と座背面部材を取り付ける様子を示す斜視図である。
この第4実施例では、第1実施例より座背面部材21に設ける突出部3の数及び座部材22に設ける係合部4の数を5個から3個に減らした以外は、第1実施例の座部材と座背面部材と同様であり、共通する部分については、その説明を省略する。
【0052】
この第4実施例の椅子では、図8に示すように、座部材22と座背面部材21とを取り付ける際には、座部材22に対し、座背面部材21を押し付けて、座背面部材21に設けられた突出部3と、座部材22に設けられた係合部4とを係合させることにより、両者を容易かつ確実に取り付けることができる。
また、座背面部材21にズレ防止用突起部23を設け、座部材22に該ズレ防止用突起部23と係合可能なズレ防止用係合部24を設けているので、ズレ防止用突起部23をズレ防止用係合部24に係合させることにより、人が椅子に座って荷重がかかった場合でも座部材22と座背面部材21とのズレを防止できる。この第4実施例では、ズレ防止用突起部及びズレ防止用係合部として丸型スナップを用いている。なお、丸型スナップ以外にも角型スナップを用いてもよい。
座部材22と座背面部材21を取り外す際には、まず、ズレ防止用突起部23とズレ防止用係合部24との係合状態を解除し、次いで、座部材22に対し座背面部材21を突出部3の突出方向と略直交方向(図8中では、前方向)にスライドさせることにより、突出部3と係合部4との係合状態を解除し、座部材22と座背面部材21を破損させることなく、容易に取り外すことができる。
【0053】
以上、本発明の椅子について詳細に説明したが、本発明は上記実施例に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更しても差支えない。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明の椅子は、座った人が接触する接触部材(例えば背受部材、座部材等)と、接触する側からみて背面にある背面部材(例えば背受背面部材、座背面部材等)とが取り付けやすく、かつ取り外しやすいので、例えば事務用椅子、オフィス用椅子、家庭用椅子等の回転椅子;バンケット用椅子、レストラン用椅子、店舗用椅子、会議室用椅子等のパイプ椅子(非回転椅子);サイドチェア、ロッキングチェア、リクライニングチェアなどの各種椅子に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0055】
1 背受背面部材
2 背受部材
3 突出部
3a 内側突出片
3b 外側突出片
4 係合部
4a 内側係合壁
4b 外側係合壁
4c 開口部
5 ズレ防止用突起部
6 ビス穴
7 ビス
8 連結部材
9 外皮(カバー)
10 クッション材
11 ズレ防止用係合部
12 ズレ防止用突起部
13 ズレ防止用係合部
14 リブ
15 リブ
16 リブ
17 リブ
21 座背面部材
22 座部材
23 ズレ防止用突起部
24 ズレ防止用係合部
25 外皮(カバー)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
座った人が接触する接触部材と、接触する側からみて背面にある背面部材とを有する椅子であって、
前記接触部材及び前記背面部材の一方に突出部が設けられ、前記接触部材及び前記背面部材の他方に該突出部の突出方向と略直交方向にスライドして該突出部と脱離可能な係合部が設けられていることを特徴とする椅子。
【請求項2】
接触部材及び背面部材の一方にズレ防止用突起部が設けられ、前記接触部材及び前記背面部材の他方に該ズレ防止用突起部と係合可能なズレ防止用係合部が設けられている請求項1に記載の椅子。
【請求項3】
接触部材が背受部材であり、背面部材が背受背面部材である請求項1から2のいずれかに記載の椅子。
【請求項4】
接触部材が座部材であり、背面部材が座背面部材である請求項1から2のいずれかに記載の椅子。
【請求項5】
背受部材及び背受背面部材の間に、背受部と座部を連結する連結部材を有し、
前記背受部材及び前記背受背面部材のいずれかにズレ防止用突起部が設けられ、前記連結部材に該ズレ防止用突起部と係合可能なズレ防止用係合部が設けられている請求項3に記載の椅子。
【請求項6】
突出部が非対称形状である請求項1から5のいずれかに記載の椅子。

【図7A】
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【図7B】
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【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−183107(P2011−183107A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−54546(P2010−54546)
【出願日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(591130803)株式会社東洋工芸 (15)
【Fターム(参考)】