椅子
【課題】着座者が背凭れ起立・後傾による姿勢変更を行っても違和感無くデスクワークを継続し得る椅子を提供する。
【解決手段】椅子は、座7を支持する座受5を前方向に傾斜する前リンク39と後リンク41とによって支持基部3に支持させ、その支持基部3に支持された背支持アーム151の後傾動作に伴わせて、前リンク39及び後リンク41を起立方向に回動させて座受5を上方に持ち上げるように構成した体重感知式のものであり、前記背凭れの後傾時に、座面7aの前部7a1を座面7aの後部7a2に比べてより多く持ち上げるように構成されたもの。
【解決手段】椅子は、座7を支持する座受5を前方向に傾斜する前リンク39と後リンク41とによって支持基部3に支持させ、その支持基部3に支持された背支持アーム151の後傾動作に伴わせて、前リンク39及び後リンク41を起立方向に回動させて座受5を上方に持ち上げるように構成した体重感知式のものであり、前記背凭れの後傾時に、座面7aの前部7a1を座面7aの後部7a2に比べてより多く持ち上げるように構成されたもの。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オフィスにおいて使用される背凭れと座が連動して動作するシンクロロッキング機構を有する椅子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、オフィス等で好適に使用されている椅子においては、背凭れの後傾とともに座を動作させ得る、所謂シンクロロッキング機構を備えたものが種々提案されている。
【0003】
近年では、背凭れの後傾とともに座の後端部が下降することにより、背を後傾させた着座者が椅子に深く座り込むことができるタイプのものが、多く用いられている。
【0004】
また他方、上述したタイプとは別に、背凭れを後傾させる際の背凭れに掛かる荷重を利用して座の後端部を持ち上げ、着座者が体を伸ばしたリラックスし易い姿勢をとり得るというタイプの椅子も、従来から多く用いられてきた。このタイプの椅子は、例えば「体重感知式」と称されるものであり、座の後端部に掛かっている着座者からの荷重が大きいほど背凭れを後傾させるために大きな力が必要となるので、着座者の体重に応じた背凭れの傾動反力を与えることができるものとなっている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
ここで近年、オフィスにおいては、着座者が行うデスクワークのうち、机上の書類等を扱う作業は背凭れを起立させた状態として行い、例えば前方に位置付けられたディスプレイ等を見ながらパーソナルコンピュータ等を操作する作業が背凭れを後傾させた状態として行うという椅子の使用方法が受け入れられてきている。そしてこれらのデスクワークは、着座者にとっては違和感無くスムーズに移行できるようにすることが望ましい。
【0006】
しかしながら上述した「体重感知式」のものは、背凭れの後傾時には同時に、座が座面の角度を維持したままで上昇するか、或いは座の後端部のみが上昇する。これにより、背凭れの後傾時には着座者は、上体と大腿部とがなす角度が大きくなることで不意に体全体を伸ばした姿勢をとることとなる。そのため、着座者は大きな姿勢変更を余儀なくされて違和感が生ずるなどして、そのままスムーズにデスクワークを継続し難くなる場合が考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開WO00/074531号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、着座者が背凭れ起立・後傾による姿勢変更を行っても違和感無くデスクワークを継続し得る椅子を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【0010】
すなわち本発明に係る椅子は、座を支持する座受を同一方向に傾斜する前リンクと後リンクとによって支持基部に直接又は間接的に支持させ、その支持基部に支持された背支持アームの後傾動作に伴わせて前記前リンク及び後リンクを起立方向に回動させて前記座受を上方に持ち上げるように構成した体重感知式のロッキング機構を有する椅子であって、前記背凭れの後傾時に前記座の前部を座の後部に比べてより多く持ち上げるように構成されたものであることを特徴とする。
【0011】
ここで、「座受を上方へ持ち上げる」とは、座受の下側の全ての領域が持ち上がる態様のみを含むものではなく、例えば座受の後端が僅かに下降するようなものであっても、座において着座者の荷重が掛かった箇所を部分的にでも上昇することにより、体重感知式に寄与し得るような態様を指すという概念である。
【0012】
このようなものであれば、背凭れを後傾させたときに座の前部が多く持ち上がるので、座を相対的に後傾させて背凭れの下端部と座の後端部との相対的な位置関係の変化を従来の体重感知式のものに比べて抑えられたものとすることができる。またこうすることで、背凭れ起立時と後傾時で座面の後方延長線上に位置する背凭れ部分の上下方向の位置ズレを小さく抑えることになる。これにより、着座者は背凭れの後傾によって起こる無理な姿勢変更が抑えられたものとなる。そのため、背凭れ起立時及び後傾時での作業を頻繁に切り換えたとしても、違和感を生ずることなくスムーズにデスクワークを継続させることができる。
【0013】
また座の前部を大きく持ち上げるための構成としてはまず、背凭れを後傾させていない背起立時において、前リンクの前傾度合いが後リンクの前傾度合いよりも大きくなるように設定する態様が挙げられる。これにより、前リンクの回転動作により描かれる円周上の軌跡接線の向きを鉛直方向により近付けることによって、前後のリンクが同じ角度回転したとしても、前リンクをより大きく上動させることができる。
【0014】
また他方、前記前リンクの有効長さ寸法を前記後リンクの有効長さ寸法よりも大きく設定することでも、座の前部を座の後部よりも多く持ち上げる椅子を実現することができる。
【0015】
そして、座の前部を大きく持ち上げるために前リンクの前傾度合いが後リンクの前傾度合いよりも大きくなるように設定し、且つ、前リンクの支持基部に対する回転中心を前記後リンクの支持基部に対する回転中心よりも高い位置に設定する態様に、さらに適用し得る構成としては、前リンクの有効長さ寸法を前記後リンクの有効長さ寸法よりも大きく設定する構成を挙げることができる。
【0016】
他方、前記前リンクの有効長さ寸法を前記後リンクの有効長さ寸法よりも大きく設定する構成と、前リンクの支持基部に対する回転中心を前記後リンクの支持基部に対する回転中心よりも高い位置に設定する構成とを組み合わせても、座の前部を座の後部よりも多く持ち上げることができる。
【0017】
ここで、背支持アームが、前記支持基部における脚支柱よりも前側の部位に枢支された椅子の場合は、背凭れの後傾時に背凭れ全体が下降する傾向にあり、背凭れに体重を掛けるだけで背凭れは後傾していくため、後傾させ易く座り心地の良いものになるが、このような椅子に上述した特許文献1に記載されたような体重感知式の構造を適用したとしても、背凭れの後傾時、背凭れの下端部と座の後端部の位置が上下に離れていくため、また見方を変えると、背凭れ下端部に対する座の方向もずれていくため、前記したような違和感が大きな椅子になってしまう。そこで、本発明のように、前記背凭れの後傾時に前記座の前部を座の後部に比べてより多く持ち上げるように構成された体重感知式を適用すれば、背凭れの後傾に伴う背凭れの下端部と座の後端部との離間または、方向のズレを有効に抑えることができる。すなわち、座を相対的に後傾させて背凭れの下端部との相対的な位置関係の変化を従来の体重感知式のものに比べて抑えられたものとなっているので、着座者にとって違和感が生じ難い姿勢変更が可能となる。
【0018】
そして、背凭れ及び座に関する可動部品の点数を有効に削減するためには、背凭れを支持する背支持アームに前記後リンクを一体成形しておくことが望ましい。
【0019】
そして、背凭れの傾動反力を有効に利用しながら、背凭れ及び座を支持するための部品点数を有効に削減し、さらには傾動反力発生機構をコンパクトにするための構成としては、背支持アームの前向き前端部の後傾軸部から前方下方向に突出するように、当該突出した先端部において背の後傾時に弾性部材を圧縮するトルク伝達部材を設け、これら背支持アーム、後リンク及びトルク伝達部材が一体的に動作する構成を挙げることができる。
【0020】
また、相対的に座を後傾させる本発明を適用するに際し、後リンクが座の前後方向における略中央を支持するものとすれば、座の後端部付近に後リンクを配置することを回避することで座の後端部付近にスペースを有効に確保し、背支持アームや支持基部の設計自由度を有効に向上させることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、着座者は背凭れの後傾によって起こる無理な姿勢変更が抑えられたものとなるため、背凭れ起立時及び後傾時での作業を頻繁に切り換えたとしても、違和感を生ずることなくスムーズにデスクワークを継続させ得る椅子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態を示す前方からの斜視図。
【図2】同実施形態の張地を分解して示す前方からの斜視図。
【図3】同実施形態の張地を一部省略して示す正面。
【図4】同実施形態の張地を分解して示す左側面図。
【図5】同実施形態の張地を一部省略して示す背面図。
【図6】同実施形態の脚を省略して示す後方からの斜視図。
【図7】同実施形態の全体を一部省略して示す分解斜視図。
【図8】同実施形態の支持基部及び背支持アームの要部を拡大して示す前方からの斜視図。
【図9】同実施形態の支持基部及び背支持アームの要部を拡大して示す分解斜視図。
【図10】同実施形態の支持基部を一部省略して分解して示す後方からの斜視図。
【図11】同実施形態の支持基部を分解して示す正面図。
【図12】同実施形態の支持基部及び座を示す左側面図。
【図13】同実施形態のロッキング機構を示す図12に相当する作用説明図。
【図14】同実施形態の座と座受を示す分解斜視図。
【図15】図5における要部を示したA−A線断面図。
【図16】図4における要部を示したB−B線断面図。
【図17】図16における要部を示したC−C線断面図。
【図18】同実施形態の背凭れ支持体と背支持部材との取付構造を示した斜視図。
【図19】同実施形態の背シェル及び背支持部材を分解して示す斜視図。
【図20】同実施形態の背シェルの正面図。
【図21】同実施形態の背支持部材の正面図。
【図22】図3における要部を示したD−D線断面図。
【図23】図3における要部を示したE−E線断面図。
【図24】図5におけるF−F線拡大断面図。
【図25】図21におけるG−G線断面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態を、図1ないし図25を参照して説明する。
【0024】
この実施形態は本発明を事務用回転椅子に適用した場合のものである。
【0025】
この椅子は、図1ないし図7に示すように、脚1と、この脚1に支持された支持基部3と、この支持基部3上に配された座受5と、この座受5に支持された座7と、前記支持基部3に回動可能に支持された背凭れ支持体9と、この背凭れ支持体9に取付けた背凭れ11と、この背凭れ11の後傾動作に伴わせて前記座受5及び座7を上動及び傾動させるロッキング機構13と、前記背凭れ支持体9に設けられた肘掛け15とを具備してなる。
【0026】
《脚の構成》
脚1は、図1ないし図7に示すように、脚ベース17と、この脚ベース17の中心部に設けられた脚支柱19を備えてなる。
【0027】
脚ベース17は、図1ないし図5及び図7に示すように、中心部に設けたハブ21から複数本の脚羽根23を放射状に突出させて設けたもので、前記脚羽根23先端にキャスタ25をそれぞれ設けている。
【0028】
前記脚支柱19は、図1ないし図5、図7及び図14に示すように、ガススプリングタイプのもので上下方向に弾性的に伸縮し、所望の位置においてロックすることができるようにした通常のものである。すなわち、この脚支柱19は前記脚ベース17のハブ21に嵌着されたガススプリング本体27と、このガススプリング本体27の上端から突出させたロッド29とを備えたもので、前記ロッド29の上端にロック解除用の操作ボタン31が突出させてある。そして、このロッド29の上端部に支持基部3を装着している。前記ロック解除用操作ボタン31は、後述する肘掛け15に設けられた昇降用の操作レバー295により操作される。
【0029】
《支持基部の構成》
支持基部3は、図7ないし図13に示すように、前記脚支柱19のロッド29に取付けられるメインフレーム33と、このメインフレーム33に取付けられた前リンク軸35及び支軸37を具備してなるものである。前リンク軸35は、前リンク39を介して前記座受5の前端部を支持するためのものである。支軸37は、前記背支持アーム19を含む背凭れ支持体9を脚支柱19よりも前側の位置で回動可能に支持するとともに後リンク41を介して座7の中間部でもある座受5の略中間部を支持するためのものである。
【0030】
メインフレーム33は、図7ないし図13に示すように、前記脚支柱19におけるロッド29の上端部に嵌着されるボス部43と、このボス部43の上端側を囲う平面視半円弧状をなす後フレームメンバ45と、この後フレームメンバ45の左右の前端からそれぞれ前方に延出する一対の側フレームメンバ47と、これら側フレームメンバ47の前端部間を結合し前端に平坦な面を有する前フレームメンバ49とを備えたものである。これらボス部43、後フレームメンバ45、側フレームメンバ47、及び前フレームメンバ49は、アルミダイキャスト等により一体に成型されている。前フレームメンバ49の上面部には、前記前リンク軸35を支持する前の軸受部51が一体に設けられているとともに前記後フレームメンバ45と側フレームメンバ47との境界付近には前記支軸37を支持する後ろの軸受部53が一体に設けられている。なお、2つの軸受部51、53の軸心の床面からの高さが異なっており、前の軸受部51の方が後ろの軸受部53より高い位置に設定されている。
【0031】
そして、このメインフレーム33には、図12に示すように、背凭れ11を前方に付勢する傾動反力発生機構55が組み込まれている。
【0032】
傾動反力発生機構55は、図8ないし図13に示すように、基端部が前記支軸37に支持された左右対をなす、本発明に係るトルク伝達部材たるトルク伝達用のブラケット57と、これら左右のトルク伝達用のブラケット57の先端部間に架設した可動軸59と、この可動軸59をメインフレーム33に設けたバネ受け61を足場として後方に弾性付勢するスプリング63とを具備してなる。また、符号64は、前記脚支柱19のロッド29に設けられたロック解除用の操作ボタン31を押圧するための昇降用ロック解除アームであり、図8ないし図10に示すように、符号297は、肘掛け15に設けた昇降用の操作レバー295の操作力を前記昇降用ロック解除アーム64に伝達するための昇降用のワイヤである。前記操作レバー295を操作することでワイヤ297を引くと、支軸37に外嵌された基端ボス部66が回動し、基端ボス部66を挟んでワイヤ297と反対側に一体に設けられたロック解除アーム64が下方に回動する。
【0033】
また、支持基部3は、図3ないし図6、図10及び図11に示すように、上カバー65と下カバー67とによって覆われている。
【0034】
上カバー65は、図10及び図11に示すように、支持基部3を上面側から覆うもので、支持基部3に係合するための下向きに突出した上係止爪69が設けられている。下カバー67は、支持基部3を下面側から覆うもので、支持基部3に係合するための上向きに突出した下係止爪71が設けられている。また、これら上カバー65と下カバー67とは、それら開口端縁73、75同士が突き合うように配されている。
【0035】
支持基部3のメインフレーム33の前側の外周面、換言すれば前フレームメンバ49の前端の平坦面には、図8、図10及び図11に示すように、前記上カバー65と下カバー67とを取付けるための上下共用取付部77とが設けられている。
【0036】
詳述すれば、前記支持基部3のメインフレーム33は、図8、図10及び図11に示すように、上カバー65の上係止爪69と下カバー67の下係止爪71とをそれぞれ係わり合わせるための上下共用取付部77を備えたものであり、前記上下共用取付部77が、前記上係止爪69が係わり合う係合端面79と、前記下係止爪71が係わり合う係合端面81と、前記上係止爪69の横ずれを係止する横ずれ防止用の係止端面83と、前記下係止爪71の横ずれを係止する横ずれ防止用の係止端面85とを備えている。
【0037】
前記上下共用取付部77は、図8、図10及び図11に示すように、メインフレーム33における前フレームメンバ49の前端の外周面87に設けられたもので、その前端の外周面87を長方形状に凹陥させたものである。この上下共用取付部77において、上辺が上カバー65の上係止爪69が係わり合う係合端面79であり、下辺が下カバー67の下係止爪71が係わり合う係合端面81である。また、上下共用取付部77において、左右両側辺が上カバー65及び下カバー67の上係止爪69及び下係止爪71に対する横ずれ防止用の係止端面83、85である。
【0038】
なお、メインフレーム33の外周における前後方向中間付近には、図8ないし図10、図12及び図13に示すように、上カバー65を取付けるための上専用取付部89と下カバー67を取付けるための下専用取付部91とが設けられている。上カバー65には上専用取付部89に係わり合う爪93が設けられ、下カバー67には下専用取付部91に係わり合う爪95が設けられている。
【0039】
また、メインフレーム33の外周における後端には、図10に示すように、上カバー65を取付けるための上専用取付部97と下カバー67を取付けるための下専用取付部99とが設けられている。上カバー65には上専用取付部97に係わり合う爪101が設けられ、下カバー67には下専用取付部99に係わり合う爪103が設けられている。換言すれば、メインフレーム33の後フレームメンバ45には、下専用取付部99である略水平な中央突条と、この下専用取付部99の両側に配置した一対の上専用取付部97である側突条とが設けられている。上専用取付部97は、前記下専用取付部99に対して高さを異ならせて配置されている。
【0040】
以上に加えて、上カバー65及び下カバー67の外周同士も突き合わせて嵌合するように、上下カバー65、67の開口端縁73、75には、回転軸の近傍部分を除いて溝、具体的には、上カバー65及び下カバー67の一方には嵌合凹部が外方に露出し、他方には嵌合凹部が内方に露出した互いに嵌合可能なL型溝が形成されている。これによって支持基部3の上下専用取付部89、91に係合するようにした上下カバー65、67の爪93、95を配するべく、支持基部3から一定間隔離れた位置を保ってカバーする構成をなしていても上下カバー65、67同士を確実に嵌合することができる。
【0041】
以上説明した支持基部3の前の軸受部51に前リンク軸35を介して左右の前リンク39を回動可能に取付けている。前リンク39の支持基部3への取付構造は次のようになっている。すなわち、前記支持基部3は、図8ないし図13に示すように、左右にそれぞれ前記前リンク軸35を支持する軸受部51と、軸方向に垂直な対向する一対の平面105とを備えたものであり、前記前リンク39は、椅子本来の機能を発揮し得る使用時回動範囲(U)では前記平面105間に位置し、前記前リンク39を支持基部3に対して挿脱し得る図示しない挿脱時回動範囲では前記平面105外に位置する平面対応部分107を備えたもので、支持基部3に前リンク軸35を介して前リンク39を回動可能に支持させている。
【0042】
換言すれば、前記支持基部3は、図8ないし図13に示すように、前リンク軸35を支持する前の軸受部51と、この軸受部51の軸方向に隣接する位置に前方及び上方に開口したリンクアーム収容部109とを備えている。リンクアーム収容部109は、前リンク軸35と直交する一対の平面105間に形成されたものである。前記前リンク39は、上端部に前連結軸111を保持する軸孔113を有するとともに基端部に前リンク軸35に外装されるボス部115を有しており、このボス部115の外周にリンクアーム117を備えている。このリンクアーム117は、前記リンクアーム収容部109に対応する平面対応部分107を有している。
【0043】
そして、前記使用時回動範囲(U)では、前記リンクアーム117の平面対応部分107が前記リンクアーム収容部109の対向する平面105間に位置する。そのため、左右の前リンク39が、前記前リンク軸35と前連結軸111とから外れることが禁止されている。一方、前記挿脱時回動範囲では、前記リンクアーム117の平面対応部分107が前記リンクアーム収容部109の対向する平面105外に位置する。そのため、左右の前リンク39が、前記前リンク軸35と前連結軸111とから外れ得るようになっている。組立状態においては、前リンク39が前記挿脱時回動範囲にまで回動できないように設定されている。組付け時には、前リンク39を後ろに寝かせて左右から、座受5の前リンク取付部121に通した前連結軸111と、メインフレーム33の前の軸受部51に通した前リンク軸35に嵌め込む。その状態で、前記前リンク39を前に倒してリンクアーム収容部109の対向する平面105間に前リンク39のリンクアーム117を嵌め込む。その後、座受5の略中間部に位置する後リンク取付部127に後連結軸123をそれぞれ嵌め込んで、左右から背支持アーム151を付けることにより、前述した組立状態となる。すなわち、ねじ等の抜け止め部品を用いることなしに、左右の前リンク39をメインフレーム33に取付けることができる。
【0044】
以上のようにしてなる支持基部3に、前リンク39及び後リンク41を介して座受5を支持させている。
【0045】
《座受の構成》
座受5は、図4ないし図6、図12、図13及び図15に示すように、アウターシェルと称し得る形態をなすもので、この実施形態においては合成樹脂により一体に成型されている。座受5の下面には、その前端部よりの位置に前連結軸111を介して前リンク39の回動端119を取付けるための前リンク取付部121と、前後方向における略中央位置に設けられ後連結軸123を介して後リンク41の回動端125を取付けるための後リンク取付部127が設けられている。前記前リンク取付部121及び後リンク取付部127は、座受5に一体に設けられている。
【0046】
座受5の上面には、縦横にマス目状にリブ126が形成され、そのリブ126の一部平行な2つのものがそのまま座受5の下方に突出するように伸びて前リンク取付部121及び後リンク取付部127を構成している。前リンク取付部121及び後リンク取付部127の左右は、貫通孔を有した側壁128、130により塞がれている。これらの側壁128、130も前記リブ126の一部を下方に延長して形成してもよい。その他のリブ126はこれらのリブ126と複数箇所でつながるように形成され、座受5自体の強度だけでなく、前リンク取付部121、後リンク取付部127の強度にも寄与するように設計されている。すなわち、前記前リンク取付部121及び後リンク取付部127は、それぞれ前壁118、122と後壁120、124と左右の側壁128、130とを備えた中空体状のもので、前記前壁118、122、後壁120、124及び左右の側壁128、130の少なくとも1枚は、前記リブ126の一部を下方に延長することにより形成されている。
【0047】
《座の構成》
座7は、図7、図14及び図15に示すように、前記座受5の上面に取付けられたインナーシェル129と、このインナーシェル129の上に配設したクッション131と、このクッション131の外面に張設した張地133とを備えたものである。
【0048】
インナーシェル129は、図15に示すように、合成樹脂により一体に成型されたもので、図示しない爪等により、座受5に固定されている。このインナーシェル129は、前側に斜め下方になだらかに垂れ下がる前端垂れ下がり部分135を設けるとともに、前記中間部137と前記周縁部139との境界に中間部137が周縁部139よりも下方に膨出するような環状の段部141が形成されている。
【0049】
クッション131は、図14及び図15に示すように、発泡ウレタン等により作られたもので、前側に前記インナーシェル129の前端垂れ下がり部分135に沿うクッション垂れ下がり部分143を備えている。また座7の芯材であるクッション131の上面には一方向に並ぶ凹凸部、換言すれば、この実施形態では前後方向に並ぶ溝145を複数本設けている。
【0050】
張地133は、図1ないし図7、図14及び図15に示すように、クッション131及びインナーシェル129の周縁部139を覆う袋状のもので、インナーシェル129の下面側に巻き込んだ張地133の縁147は、インナーシェル129の段部141の端面に沿って配してある。この段部141及び張地133の縁147は、前記座受5により隠されるように覆われている。この張地133には、前記クッション131に形成された溝145に関連させて視覚的特徴部分が形成されている。この実施形態において視覚的特徴部分は、前記張地133にエンボス加工を施してなる線条149である。線条149は、この実施形態では前後方向に並ぶように複数本存在しており、張地133をクッション131に被せたときに平面視クッション131の溝145に上方から重なり合う位置に存在している。ただし、線条149が使用者の視覚に認識されることが重要なのであり、クッション131の溝145と張地133の線条149とは、必ずしも平面視重なり合うとは限られない。
【0051】
《背凭れ支持体の構成》
背凭れ支持体9は、図7ないし図9、図16及び図17に示すように、前記支持基部3から後上方に延出させた左右の背支持アーム151と、これら左右の背支持アーム151の上端部169同士を連結する上連結材153と、前記トルク伝達用のブラケット57の基端から一体に後上方に向けて延設され前記背支持アーム151の基端部内側面に添接する左右の背支持ブラケット155と、これら左右の背支持ブラケット155の後端を連結する下連結材157とを具備してなる。
【0052】
左右の背支持アーム151は、図1ないし図9、図13、図16ないし図18に示すように、それぞれ前記支持基部3に回動可能に支持された樹脂製のものであり、前後方向に延びる前後方向延出部159と、この前後方向延出部159の後端から連続して上方に伸びる起立部161とを備えたものである。図示例では、前後方向延出部159と起立部161とは、側面視略くの字状をなしている。各背支持アーム151は、その基端部、すなわち前記前後方向延出部159の前端部163に、前記支持基部3に設けられた支軸37の端部165に外側から嵌め合わせるための軸装部167を備えている。また、各背支持アーム151は、その先端部、すなわち前記起立部161の上端部169に、上連結材153を取付けるためのアーム突出部171を備えている。
【0053】
各背支持アーム151の軸装部167は、図3ないし図9及び図16に示すように、前記支軸37の端部165を嵌合させるべく内方にのみ開口させた軸穴173を備えている。具体的には、この軸穴173にブッシュ175を介して前記支軸37の端部165が相対回転可能に嵌合されるようになっている。ブッシュ175は、支軸37を装着する前に背支持ブラケット155の内側面側から貫装させたものであり、このブッシュ175の内周に前記支軸37が相対回転可能に嵌入される。ブッシュ175の鍔部177は、前記背支持ブラケット155とメインフレーム33との間に位置している。このブッシュ175の外周に前記軸装部167が外嵌されており、この軸装部167によって前記支軸37の端部165がカバーされるようになっている。前記軸穴173は開口端部側が大径となるテーパー状をなしており、前記支軸37は円柱状をなしている。ブッシュ175は、前記軸穴173の内周面と前記軸37の外周面との間を埋める形状をなしている。すなわち、ブッシュ175の外周面はテーパー状をなし、内周面は各部同一断面形状をなす円柱形状をなしている。
【0054】
なお、前記軸装部167の外周には、図3ないし図9、図16及び図17に示すように、前記後リンク41が一体に設けられている。また、この軸装部167の近傍における前記各背支持アーム151の内側面には、前記下連結材157の片半部179をカバーするカバー部材181がそれぞれ一体に突設されている。カバー部材181には、ねじ挿通孔183が設けられており、このねじ挿通孔183に挿通されたねじ187を前記下連結材157に設けられたねじ孔185に螺着することにより、左右の背支持アーム151が下連結材157に取付けられる。
【0055】
この状態では、左右の背支持アーム151が下連結材157を介して相互に結合されるので、軸装部167が支軸37から抜け出ることがなくなる。すなわち、後端を下連結材157により連結された左右の背支持ブラケット155を支軸37を介して支持基部3に支持させ、前記支軸37の前記背支持ブラケット155よりも外側に突出する両端部165に前記背支持ブラケット155と共に回動する左右の背支持アーム151を支持させているので、前記左右の背支持アーム151を前記背支持ブラケット155の左右外方から取付けることで、前記支軸37、背支持ブラケット155及び下連結材157をカバーすることができる。この実施形態においては、左右の背支持アーム151のカバー部材181の端部189同士が組立状態において密に突き合うようになっている。
【0056】
背支持アーム151のアーム突出部171は、図7及び図18に示すように、上連結材153の端部を取付けるためのもので、ねじ挿通孔191とこのねじ挿通孔191に連続するねじ孔を有した図示しないナットとを備えている。
【0057】
上連結材153は、図7及び図18に示すように、チャネル状をなす金属製のもので、左右の背支持アーム151のアーム突出部171間に架設した上で、前記ナットに螺着されるねじ195により前記各背支持アーム151に取付けられる。すなわち、上連結材153は、後方に開口する形状をなし、前記アーム突出部171に前側から嵌め合わせて背支持アーム151の上端部169間に架設される。
【0058】
背支持ブラケット155は、図9、図12、図13、図16及び図17に示すように、金属製のもので、前記トルク伝達用ブラケット57と一体に作られており、前記支軸37を介してメインフレーム33に回動可能に支持されている。
【0059】
下連結材157は、図9、図16及び図17に示すように、金属製のもので、その両端部が、前記背支持ブラケット155の後端に溶接により剛結されている。この下連結材157は、背支持ブラケット155と協働して合成樹脂製の背支持アーム151の骨格的な機能を有している。また、左右から嵌め付けられる背支持アーム151が左右に離脱するのを防止するための土台としての機能も有している。さらに、下連結材157は、背凭れ11に作用する後傾方向の荷重を背支持アーム151を介して受け止め、その荷重を背支持ブラケット155を介して傾動反力発生機構55のトルク伝達用のブラケット57に伝える機能をも有している。
【0060】
以上のようにしてなる背凭れ支持体9に背凭れ11を支持させてなる。
【0061】
《背凭れの構成》
背凭れ11は、図1ないし図7に示すように、頂部201において略水平になるまで湾曲させてなりほぼ中間部に弾性変形助長用の開口部203を有した樹脂製の背シェル205と、この背シェル205の頂部201よりも後方に位置する先端縁207を支持する背支持部材209と、前記背シェル205の表面側に添設された張地206とを具備してなる。
【0062】
背シェル205は、図2ないし図7、図19、図20、図22ないし図24に示すように、背凭れ支持体9に支持された樹脂製のものであり、頂部201において略水平になるまで湾曲させてなりほぼ中間部に弾性変形助長用の開口部203を有したものである。すなわち、この背シェル205は、上部領域211に上下方向に伸びる複数の帯状部材213が左右に並び、それら帯状部材213間に前記開口部203が形成されている。また、背シェル205は、正面視において、着座者の腰部に対応する部分、すなわち腰部対応部分215が左右幅が広く、上に行くほど漸次幅狭となる形状をなしている。
【0063】
上部領域211は、図2ないし図7、図19、図20、図22、図24に示すように、着座者の背中を受ける前面部分217と、この前面部分217の上縁に連続して設けられ頂部201において略水平になるまで湾曲した上湾曲部分219と、この上湾曲部分219の後縁に連続して設けられ下方に湾曲して垂れ下がる背面部分221とを備えている。そして、背面部分221の先端縁207には、下方に開口する溝223が形成されている。
【0064】
この溝223は、前記背支持部材209を嵌合させるための主嵌入部225と、この主嵌入部225に背支持部材209を嵌合させた状態で背支持部材209の背面側に開口する副嵌入部227とを備えたものである。すなわち、背シェル205の先端縁207に設けられた溝223は、主嵌入部225と副嵌入部227を連続的に形成した段付き溝状のものであり、この主嵌入部225に背支持部材209の後述する上取付部251を挿入すると、前記副嵌入部227のみが外方に開口して残ることとなる。この副嵌入部227は、後述する側縁溝235と連続しており、これら副嵌入部227及び側縁溝235を用いて張地206を取り付けることにより、背シェル205の前面から上部背面側に向かって張地206でカバーできるようになっている。なお、背面部分221の帯状部材213には、弾性変形調整用のリブ228が形成されている。
【0065】
また、背シェル205の下部領域229は、図2ないし図7、図19、図20及び図23に示すように、左右両側が左右方向中間よりも前方に突出した凹型をなしている。この下部領域229には、前記帯状部材213に連続した突条231が形成されており、隣接する突条231間に前記開口部203に連続した薄肉部233が形成されている。背シェル205の下部領域229は、着座者の腰部に対応する部分215を側面視前方に隆起させており、平面視中央が凹むように湾曲させている。
【0066】
なお、背シェル205は、図1、図2、図4、図6、図19、図22及び図23に示すように、左右両側縁にそれぞれ外方に開口した側縁溝235を有しており、これら側縁溝235と前記溝223における副嵌入部227とが連続している。また、前記背シェル205の下端には、前記側縁溝235に連続する下縁溝237が設けられている。
【0067】
この背シェル205は、図1ないし図6に示すように、その下部239が前記背支持アーム151の前面に取り付けられるとともに、その上部243が前記背支持部材209に支持される。背シェル205の下部239の取付けについて述べると、左右の背支持アーム151の起立部161の前面側には、上下に離間させて複数のナット孔204が形成されている。他方、背シェル205の下部239の左右両側部には、これらナット孔204に各々対応したビス挿通孔が設けられている。したがって、取付け用のビス241を前記ビス挿通孔に前方から挿し通した上、前記ナット孔204に螺合緊締することにより、背シェル205の下部239の左右両側部を左右の背支持アーム151の起立部161の前面に固定することができる。ビス241は、張地206を張り設けた際に、覆い隠される。
【0068】
背支持部材209は、図1、図2、図4ないし図7、図19、図21、図22、図24及び図25に示すように、前記背シェル205の裏面に左右に開放された空間245を形成するように対面配置された板状のものであり、前記背凭れ支持体9に支持され前記背シェル205の前後方向へのたわみを制御するものである。背支持部材209は、左右両側が左右方向中間よりも前方に突出した前方から見て凹型をなし前記背シェル205の上部領域211の前面部分217及び下部領域229の幅寸法よりも小さな幅寸法を有した支持部材本体247と、この支持部材本体247の下端に設けられ前記上連結材153に取付けられる下取付部249と、前記支持部材本体247の上端に設けられ前記溝223の主嵌入部225に嵌合する上取付部251と、この上取付部251、前記支持部材本体247及び下取付部249に亘って形成されたリブ253とを有している。なお、背支持部材の左右両端縁は、中間部より厚くなっており、ここが周辺補強材として機能分担している。
【0069】
支持部材本体247は、図4ないし図7、図18、図19、図21、図22、図24及び図25に示すように、板状のもので、左右両側が左右方向中間よりも前方に突出した湾曲形状をなしており、上取付部251の下側に屈曲部255が形成されている。この屈曲部255は、該屈曲部255の上側が下側に対して前方に傾斜するような形状をなしている。換言すれば、この屈曲部255は、側面視くの字状に屈曲している。
【0070】
上取付部251は、図4ないし図7、図19、図21及び図24に示すように、前記主嵌入部225に密に嵌合し得る厚み寸法を有しているもので、嵌合状態においてねじ263を用いて背シェル205に取付けられる。すなわち、この上取付部251は、支持部材本体247の上端から上方に延出された板状のもので、その前面に前記リブ253の上端部が位置している。この上取付部251の前面において、隣接するリブ253間に板ナット257を配した上で、その上端部を溝223の主嵌入部225に嵌合させることによって、前記板ナット257を位置決め保持することができるようになっている。そして、この板ナット257のねじ孔259に背シェル205のねじ孔261を通して背面側から挿通させたねじ263を螺着することによって、この背支持部材209を前記背シェル205に取付けることができるようになっている。この状態では、前記板ナット257が、前記背シェル205及び前記背支持部材209によって隠されている。
【0071】
下取付部249は、図4ないし図7、図19、図21及び図25に示すように、前記支持部材本体247の下端から下方に連続して延出する後壁265と、この後壁265の上端から前方に延出し前記中間に位置するリブ253を相互に連結する天壁267と、この天壁267の前縁から下方に垂下させた前壁269とを備えたもので、前記上連結材153に上側から嵌合し得るように下方に開放された形状をなしている。前記下取付部249の前壁269には、背支持部材209を前記上連結材153に取付けるためのねじ271を挿通させるためのねじ挿通孔273が形成されている。
【0072】
リブ253は、図7、図19、図21、図22、図24及び図25に示すように、上下方向に亘って伸びるもので、背支持部材209の前面に複数枚設けられている。これらのリブ253は、上側に向かって漸次突出寸法が小さくなるような形状をなしている。また、これらのリブ253は、左右に略一定の間隔をあけて配されている。なお、左右両側に位置するリブ275は、支持部材本体247の下端においてとぎれており、下取付部249まで延出しておらず、この左右両側に位置するリブ275の下方には、前記天壁267及び前壁269は設けられていない。一方、中間に位置するリブ277は、下取付部249の前壁269の前面にまで延出している。なお、左右両側に位置するリブ275の突出寸法は、中間に位置するリブ277の突出寸法に比べて小さくなるように設定されている。また、背支持部材209の下方において、左右両側に位置するリブ275の厚み寸法は、中間に位置するリブ277の厚み寸法に比べて大きくしてある。具体的には、中間に位置するリブ277よりも上下方向の長さの短い左右両側に位置するリブ275は、下方において厚み寸法を約6ミリメートルとしており、一方中間に位置するリブ277は下方において厚み寸法を約4ミリメートルとしている。そのため、背支持部材209を背面側から見た際に、左右両側には縦方向に延びるフレームが存在するように見える。
【0073】
張地206は、図1ないし図7、図22ないし図24に示すように、通気性及び透光性を有した布材を主体に構成されたもので、背シェル205のほぼ全域を覆い隠し得る寸法を有したほぼ長方形状をなしており、端部279を背シェル205の外周縁に止着している。詳述すれば、前記張地206の下端部281を前記背シェル205の下縁溝237に押し込んで止着するとともに、左右両側の端部283を前記背シェル205の側縁溝235に押し込んで止着している。また、張地206の上部285を背シェル205の上湾曲部分219及び背面部分221の外面に被せ、その端部279を前記溝223の副嵌入部227に押し込んで止着している。張地206を背シェル205に取付けた状態で、前記背シェル205と背支持部材209とを結合するねじ263の頭をカバーするようになっている。
【0074】
以上説明したような背凭れ11は、背面視において前記背シェル205の両側縁が、前記背支持部材209の両側縁よりも外側にはみ出した状態で視認可能となっている。また、斜め後方からの視線において、前記張地206の裏側が、背シェル205の開口部203を介して視認可能であり、斜め前方からの視線において、前記背支持部材209のリブ253が視認可能である。
【0075】
以上のようにしてなる背凭れ11と前記座7とをロッキング機構13により連動させるようにしている。
【0076】
《ロッキング機構の構成》
このロッキング機構13は、図4ないし図13に示すように、背凭れ11の後傾動作に伴わせて座7を傾動させつつ上動させるようにした体重感知式のものである。
【0077】
詳述すれば、このロッキング機構13は、図4ないし図13に示すように、前側に前リンク軸35を保持するとともに後側に支軸37を保持する支持基部3と、下端部を前記前リンク軸35を介して前記支持基部3に回動可能に支持させた前リンク39と、下端部を前記支軸37に支持された背支持アーム151の軸装部167に一体化させることによって回動中心を背支持アーム151の回動中心に側面視等しくしてなる後リンク41と、前リンク取付部121を前連結軸111を介して前記前リンク39の回動端119に連結するとともに後リンク取付部127を後連結軸123を介して後リンク41の回動端125に連結してなる座受5とを主体に構成されたものである。
【0078】
すなわち、このロッキング機構13は、図4ないし図13に示すように、座7を支持する座受5を同一方向である前方向に傾斜する前リンク39と後リンク41とによって支持基部3に支持させ、その支持基部3に支持された背支持アーム151の後傾動作に伴わせて、前リンク39及び後リンク41を起立方向に回動させて前記座受5を上方に持ち上げるように構成した体重感知式のものであり、前記背凭れ11の後傾時に、座7の前部すなわち座面7aの前部7a1を座面7aの後部7a2に比べてより多く持ち上げるように構成されたものである。すなわち、通常の背凭れ及び座のシンクロロッキング機構では、背凭れの後傾動作に伴わせて座を下方側にのみ傾動させるものであるが、本実施形態に示すような体重感知式のロッキング機構13は、通常のロッキング機構とは異なり、図13に二点鎖線で示すように、背凭れ11の後傾動作に伴わせて座7を傾動させつつ着座者の荷重に抗して座7を持ち上げるように構成している。
【0079】
ここで、図13を参照しつつ詳述すると、背凭れ11の後傾動作によって、張地133が設けられた座7の上面である座面7aの前部7a1が持ち上がる寸法γ1は、座面7aの後部7a2が持ち上がる寸法γ2よりも多くなるように構成されている。
【0080】
具体的に説明すれば、図13に示すように、前記背凭れ11を後傾させていない背起立時において、前リンク39の前傾度合いが後リンク41の前傾度合いよりも大きくなるように設定されている。換言すれば、前記背凭れ11を後傾させていない背起立時において、前リンク39における水平線に対する傾斜角度αが、後リンク41における水平線に対する傾斜角度βよりも小さく設定されている。また、前記前リンク39の支持基部3に対する回転中心を、前記後リンク41の支持基部3に対する回転中心よりも高い位置に設定している。換言すれば、前記前リンク軸35の軸心を前記支軸37の軸心よりも距離h分高い位置に設定している。前記前リンク39の有効長さ寸法、すなわち前記前リンク軸35と前記前連結軸111との軸心間距離L1と、前記後リンク41の有効長さ寸法、すなわち後リンク軸である前記支軸37と前記後連結軸123との軸心間距離L2とは略同じ距離に設定されている。また、前記背支持アーム151が、前記支持基部3における脚支柱19よりも前側の部位に枢支されている。換言すれば、前記背支持アーム151の軸装部167が、側面視において前記脚支柱19よりも前側に位置する支軸37に支持されている。
【0081】
前リンク39の前傾度合いを後リンク41の前傾度合いよりも大きくしている点は、後傾時に座7の前側を後側よりも相対的に大きく持ち上げることを目的としたもので、前リンク39と後リンク41との前傾度合いを相互に大きく異ならせることにより、後傾時の座7の前側の持ち上がりを大きく設定することが可能になる。つまり、前リンク39は座7の前部つまり座面7aの前部7a1を上方に持ち上げる動作が多く、後リンク41は座7を後方に移動させる動作が中心となる。これによって、座面7aは前部7a1を多く持ち上げながら座面7aの後部7a2は後方移動し、後傾する背凭れ11に追従するように後方に移動していくこととなる。その結果、座面7aを相対的に後傾させることで座7の後端部と背凭れ11の下端部との相対的な位置関係の変化が有効に抑えられたものとなっている。
【0082】
前リンク39と後リンク41の回転中心位置を上下方向に異ならせる点は、主に背起立時の座7の水平度合いを調整することを目的としたものであり、前述した前後リンク39、41の前傾度合い差と組み合わせることにより、背凭れ11起立時の座7の姿勢と背凭れ11後傾時の座7の姿勢を共に最適な状態に設定している。前リンク39の有効長さ寸法L1と後リンク41の有効長さ寸法L2とを略同寸法とすることにより、前記設定をより適切なものにすることができる。しかし勿論、前記前リンク39の有効長さ寸法L1は、後リンク41の有効長さ寸法L2と異ならせて設定してもよく、支持基部3における前リンク39の配置や座受5への接続位置等の設定から、例えば前記L1をL2よりも若干長い寸法に設定してもよい。
【0083】
なお、一般に前記背支持アームが、前記支持基部における脚支柱よりも前側の部位に枢支されている椅子においては、背凭れ後傾時に背凭れが下方に沈みこむ傾向にあるため、背凭れ後傾時に座全体が平均的に上方に持ち上がるようにした通常の体重感知式ロッキング機構を採用した場合には大きな違和感、より具体的には、着座者の予想に反して、座の後側部分を含む座全体が上方に持ち上がる結果、着座者の腰部近傍に、背凭れの沈み込み動作とこの沈み込み動作と相反する座の持ち上がり動作とが同時に発生することによって与えられる違和感が発生するが、本実施形態の構成によればその違和感が緩和されるものとなる。すなわち、本実施形態のものは体重感知式ではあるが背凭れ11後傾時にも座7の後側が大きく持ち上がることがないので大きな違和感を与えにくいものとなる。
【0084】
また本実施形態では、この後リンク41は背支持アーム151の回動中心である支軸37を中心に、背支持アーム151及びトルク伝達用のブラケット57とともに一体的に回動するものとしている。これにより、背凭れ11の後傾動作に伴う座7の連動動作のみならず、後リンク41を介した支持基部3による座7の正確な位置決めを併せて実現している。さらに本実施形態では、背凭れ11の回動範囲を20度に設定しているとともに、背凭れ11を最大限後傾させた状態における座面7aのなす角度は、背凭れ11起立時に比べて4度後傾するように設定している。すなわち本実施形態では、主に後リンク41による背凭れ11後傾時の座受5の略中央部の持ち上げによって起こる座面7aの後部7a2が持ち上がる寸法γ2よりも、前リンク39による背凭れ11後傾時の座面7aの前部7a1が持ち上がる寸法γ1をより大きく設定する結果、背凭れ11の最大後傾時の座面7aの角度を背凭れ11起立時よりも4度後傾するようにしている。加えて本実施形態では、後リンク41を座受5の前後方向における略中央部に接続しているため、背凭れ11の後傾時前後リンク39、41共に座受5を持ち上げるような構成にしても、前リンク39が後リンク41よりも多く座受5を持ち上げるので、相対的に座受5の後端部は前端部よりも下がるように設定でき、座受5の前端部が上昇した際に座受5の後端部の高さ位置を、背凭れ11の起立時と後傾時で殆ど変わらないようにしている。
【0085】
《肘掛けの構成》
肘掛け15は、図1ないし図7及び図18に示すように、前記背凭れ支持体9の背支持アーム151における上端部前面から一体に前方に突出させた肘支持部287と、この肘支持部287の上に設けた肘当て289とを具備してなる。
【0086】
肘支持部287は、図3ないし図6及び図18に示すように、上方に開放した有底舟形をなしている。一方の肘支持部287、本実施形態では着座者から見て右側の肘支持部287の前端部位の底壁291には、貫通した窓293を形成しており、その窓293を介して下方に操作レバー295を突出させている。操作レバー295は、脚支柱のロック解除用の操作ボタン31を操作するためのものである。この操作レバー295と前記操作ボタン31との間はワイヤ297で接続しており、操作レバー295に加えられた操作力をワイヤ297によって操作ボタン31に伝達することで、操作ボタン31の操作、ひいては脚支柱のロック/ロック解除の切換えを行い得る。操作レバー295の基端部及び操作レバー295に接続するワイヤ297の一端部は、前記肘支持部287の内部に収まっている。
【0087】
肘支持部287の内部空間は、前記背支持アーム151の起立部161に形成されたワイヤ案内空間298に連通している。ワイヤ案内空間298は、上下方向に延伸し、かつ、その一部または全部が前方に開口する。ワイヤ案内空間298の下端部は、前後方向延出部159の直上まで到達しており、背シェル205の下部239を起立部161に取付けた状態で背シェル205の下端よりも若干下方に位置して前方に開通している。そのため、操作レバー295に接続されたワイヤ297は、肘支持部287の内部空間からワイヤ案内空間298の下端部へと導き出され、そこから前後方向延出部159に沿って支持基部3へと到る。
【0088】
肘当て289は、図1ないし図5、図7及び図18に示すように、前記肘支持部287に対して着脱可能である。これにより、共通の肘支持部287に取付可能な複数種類の肘当て289の中から任意のものを選んで使用することができる。本実施形態で示している肘当て289は、肘支持部287に対して直接取付けられる取付ベース299と、この取付ベース299に支持され着座者の腕が載せ置かれる肘当て本体301とが一体的に設けられているものである。
【0089】
取付ベース299は、肘支持部287及び背支持アーム151の上端部169に蓋着される基体303と、この基体303の内方端から略水平に延出するスペーサ305とを具備してなる。基体303は、前側が図示しない係止機構により肘支持部287に掛け止めされるとともに、後側がビス305を用いて背支持アーム151の前面側に取付けられる。肘当て289のスペーサ305は、リブ275の直下の天壁267が存在していない空隙を埋めるためのもので、背支持部材209の下取付部249の天壁267にほぼ連続する板状をなしている。このスペーサ305は、前記上連結材153の上面と、背支持部材209の左右両側に位置するリブ275の下端面との間に密に介設される。
【0090】
このように、本実施形態に係る椅子は、背凭れ11を後傾させたときに座面7aの前部7a1が多く持ち上がるので座7を相対的に後傾させることで、従来の体重感知式のものに比べて背凭れ11の下端部との相対的な位置関係の変化を抑えている。これにより、着座者は背凭れ11の後傾によって起こる姿勢の変化を有効に抑えることができる。また斯かる構成によって、座面7aにおける背凭れ11へ向かう面方向が常に背凭れ11の下端部の一定部位方向に側面視で交差するように座7を設けることができる。これにより背凭れ11起立時と後傾時で座面7aの後方延長線上に位置する背凭れ11における仮想の部分が上下方向に位置ズレを起こすことが小さく抑えられることになる。しかも、本実施形態の場合は体重感知式ではあっても、従来のように、特に背凭れの下端部の降下と座の後端部の上昇という二つの近接した箇所が人体の骨格にとって反対方向と感じるような、なじまないような動きをする態様ではなく、座7の後端部は後傾させて背凭れ11の下端部との相対的な位置関係をなるべく変化させないように、座7の中間部より前部すなわち座面7aの前部7a1を相対的に上昇させる構成を適用している。これによって、背凭れ11が後傾する際に着座者の体重で上昇する部分を作り出し、背凭れ11が後傾することによる上半身の重心の下降を、座7が上昇することによる下半身の重心位置の上昇と連動させたものとしている。その結果、着座者の体重の違いによる、背凭れ11に必要な後傾反力の違いを着座者自身の体重を利用して違和感無く補うことを実現している。すなわち、本実施形態に係る椅子は、背凭れ11起立時及び後傾時での作業を頻繁に切り換えたとしても、違和感を生ずることなくスムーズにデスクワークを快適に継続し得るものとなっている。
【0091】
また本実施形態では座7における座面7aの前部7a1を大きく持ち上げるための構成としてはまず、背凭れ11を後傾させていない背起立時において、前リンク39の前傾度合いが後リンク41の前傾度合いよりも大きくなるように設定することにより、前リンク39の回転動作により描かれる軌跡の接線の向きを、鉛直方向により近付けることによって、前後のリンク39、41が同じ角度回転したとしても、前リンク39をより大きく上動させ得たものとなっている。
【0092】
加えて本実施形態では、前リンク39の支持基部3に対する回転中心を前記後リンク41の支持基部3に対する回転中心よりも高い位置に設定しておく態様として前後リンク39、41の前傾度合いを異ならせても、座受5の下面側において略同じ高さ位置にある前後のリンク取付部121、127に接続させている。すなわち座受5は前後のリンクを取付けるために上下寸法を確保することを有効に回避して、座受5の厚み寸法を小さくすることに寄与している。
【0093】
特に本実施形態では、背支持アーム151が、支持基部3における脚支柱19よりも前側の部位に枢支されたものとしているので背凭れ11の後傾動作による回動半径が大きくなり、着座者の姿勢変更が大きくなる傾向にあるものの上述の通り座面7aの前部7a1を後部7a2よりも多く上昇させるようにしている結果、座7の後端部と背凭れ11の下端部との相対的な位置関係または座7の方向の変化が最小限に抑えられ、違和感が生じ難いものとなっている。
【0094】
また本実施形態のように背支持アーム151が、支持基部3における脚支柱19よりも前側の部位に枢支された場合には、背凭れ11の後傾によって背凭れ11が下降動作を伴うので、背凭れ11に掛かる着座者の荷重が大きくなることと、着座者の体重の差による荷重の差が大きくなる。そのため従来のような背凭れ1の後傾と座7の下降とを併せて行うシンクロロッキング機構を有する椅子の場合、支持基部には、幅広い荷重に対応し得る大掛かりな傾動反力発生機構が必要となるばかりか、傾動反力調整機構も別途必要となる。しかしながら本実施形態に係る椅子は上述の通り体重感知式を採用している。すなわち着座者の背凭れ11に掛かる荷重が体重に比例して大きくなればなるほど、着座者の体重に抗して座7を上昇させるために必要な力も大きくなるために互いが好適に相殺し得るものとなっている。その結果、傾動反力調整機構を伴わない上述のような傾動反力発生機構55であっても、着座者の体重に関係なく快適な傾動反力を提供し得るものとなっている。
【0095】
一方、本実施形態は、背凭れ11を支持する背支持アーム151に前記後リンク41を一体成形しているので、背凭れ11や座7の動作を行わせるための構成部品を有効に削減させたものとなっている。
【0096】
そして、背凭れ11の傾動反力を利用して座7を好適に支持しつつ、背凭れ11及び座7を支持するための部品点数を有効に削減し、さらには傾動反力発生機構55をも簡素且つコンパクトにすることを実現するための構成として本実施形態では、背支持アーム151の前向き前端部の後傾軸部から前方下方向に突出するように、当該突出した先端部において背の後傾時にスプリング63を圧縮するトルク伝達部材たるトルク伝達用のブラケット57を設け、これら背支持アーム151、後リンク41及びトルク伝達用のブラケット57が一体的に動作するものとしている。
【0097】
特に本実施形態では、着座者の着座7によって正確に着座者の体重を感知させ、且つ背凭れ11の動作によって座7を確実に上昇るために本実施形態では、後リンク41が座7の前後方向における略中央を支持するものとして、座7の後端部付近に後リンク41を配置することを回避することで座7の後端部付近に座7自体が動作するためのスペースを有効に確保している。
【0098】
なお、本発明は、以上に詳述した実施形態に限られるものではない。上記実施形態では前リンクが後リンクよりも多く座受を持ち上げるので、相対的に座受の後端部は前端部よりも下がるようした結果、座受の前端部が上昇した際に座受5の後端部の高さ位置を、背凭れの起立時と後傾時で殆ど変わらないものとしたが、勿論、座受の後端部を下降させるように設定することもできる。
【0099】
例えば、上記実施形態では前リンクの有効長さ寸法と後リンクの有効長さ寸法とを略等しい寸法に設定していたが、前記前リンクの有効長さ寸法を前記後リンクの有効長さ寸法よりも大きく設定したものであってもよい。斯かる構成を適用しても、座の前部を座の後部よりも多く持ち上げる椅子を実現することができる。
【0100】
また、上記実施形態のように前リンクの支持基部に対する回転中心を前記後リンクの支持基部に対する回転中心よりも高い位置に設定しておく態様を適用しなくとも、前記前リンクの有効長さ寸法を前記後リンクの有効長さ寸法よりも大きく設定する構成と、背凭れを後傾させていない背起立時において、前リンクの前傾度合いが後リンクの前傾度合いよりも大きくなるように設定する構成とを組み合わせて、座の前部を座の後部よりも多く持ち上げる構成を実現することが可能である。
【0101】
さらには、前記前リンクの有効長さ寸法を前記後リンクの有効長さ寸法よりも大きく設定する構成と、前リンクの支持基部に対する回転中心を前記後リンクの支持基部に対する回転中心よりも高い位置に設定する構成とを組み合わせて、座の前部を座の後部よりも多く持ち上げる構成を実現しても良い。
【0102】
また上記実施形態では、背支持アームと後ろリンクとを一体に構成する態様を開示したが、勿論、背支持アームと前リンクとを一体に構成する態様であっても、座の前部を座の後部よりも多く持ち上げる構成を実現することが可能である。
【0103】
さらに上記実施形態では背凭れを20度後傾させた際の座面の後傾角度が4度となるように構成したが、勿論、座の前部がより大きく持ち上がることによって起こる座面の後傾角度は上記の4度に限定されることはなく、適宜の設定を適用することができる。
【0104】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明はオフィスにおいて使用される背凭れと座が連動して動作するシンクロロッキング機構を有する椅子として利用することができる。
【符号の説明】
【0106】
3…支持基部
5…座受
7…座
19…脚支柱
39…前リンク
41…後リンク
57…トルク伝達部材(トルク伝達用のブラケット)
63…弾性部材(スプリング)
151…背支持アーム
【技術分野】
【0001】
本発明は、オフィスにおいて使用される背凭れと座が連動して動作するシンクロロッキング機構を有する椅子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、オフィス等で好適に使用されている椅子においては、背凭れの後傾とともに座を動作させ得る、所謂シンクロロッキング機構を備えたものが種々提案されている。
【0003】
近年では、背凭れの後傾とともに座の後端部が下降することにより、背を後傾させた着座者が椅子に深く座り込むことができるタイプのものが、多く用いられている。
【0004】
また他方、上述したタイプとは別に、背凭れを後傾させる際の背凭れに掛かる荷重を利用して座の後端部を持ち上げ、着座者が体を伸ばしたリラックスし易い姿勢をとり得るというタイプの椅子も、従来から多く用いられてきた。このタイプの椅子は、例えば「体重感知式」と称されるものであり、座の後端部に掛かっている着座者からの荷重が大きいほど背凭れを後傾させるために大きな力が必要となるので、着座者の体重に応じた背凭れの傾動反力を与えることができるものとなっている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
ここで近年、オフィスにおいては、着座者が行うデスクワークのうち、机上の書類等を扱う作業は背凭れを起立させた状態として行い、例えば前方に位置付けられたディスプレイ等を見ながらパーソナルコンピュータ等を操作する作業が背凭れを後傾させた状態として行うという椅子の使用方法が受け入れられてきている。そしてこれらのデスクワークは、着座者にとっては違和感無くスムーズに移行できるようにすることが望ましい。
【0006】
しかしながら上述した「体重感知式」のものは、背凭れの後傾時には同時に、座が座面の角度を維持したままで上昇するか、或いは座の後端部のみが上昇する。これにより、背凭れの後傾時には着座者は、上体と大腿部とがなす角度が大きくなることで不意に体全体を伸ばした姿勢をとることとなる。そのため、着座者は大きな姿勢変更を余儀なくされて違和感が生ずるなどして、そのままスムーズにデスクワークを継続し難くなる場合が考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開WO00/074531号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、着座者が背凭れ起立・後傾による姿勢変更を行っても違和感無くデスクワークを継続し得る椅子を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【0010】
すなわち本発明に係る椅子は、座を支持する座受を同一方向に傾斜する前リンクと後リンクとによって支持基部に直接又は間接的に支持させ、その支持基部に支持された背支持アームの後傾動作に伴わせて前記前リンク及び後リンクを起立方向に回動させて前記座受を上方に持ち上げるように構成した体重感知式のロッキング機構を有する椅子であって、前記背凭れの後傾時に前記座の前部を座の後部に比べてより多く持ち上げるように構成されたものであることを特徴とする。
【0011】
ここで、「座受を上方へ持ち上げる」とは、座受の下側の全ての領域が持ち上がる態様のみを含むものではなく、例えば座受の後端が僅かに下降するようなものであっても、座において着座者の荷重が掛かった箇所を部分的にでも上昇することにより、体重感知式に寄与し得るような態様を指すという概念である。
【0012】
このようなものであれば、背凭れを後傾させたときに座の前部が多く持ち上がるので、座を相対的に後傾させて背凭れの下端部と座の後端部との相対的な位置関係の変化を従来の体重感知式のものに比べて抑えられたものとすることができる。またこうすることで、背凭れ起立時と後傾時で座面の後方延長線上に位置する背凭れ部分の上下方向の位置ズレを小さく抑えることになる。これにより、着座者は背凭れの後傾によって起こる無理な姿勢変更が抑えられたものとなる。そのため、背凭れ起立時及び後傾時での作業を頻繁に切り換えたとしても、違和感を生ずることなくスムーズにデスクワークを継続させることができる。
【0013】
また座の前部を大きく持ち上げるための構成としてはまず、背凭れを後傾させていない背起立時において、前リンクの前傾度合いが後リンクの前傾度合いよりも大きくなるように設定する態様が挙げられる。これにより、前リンクの回転動作により描かれる円周上の軌跡接線の向きを鉛直方向により近付けることによって、前後のリンクが同じ角度回転したとしても、前リンクをより大きく上動させることができる。
【0014】
また他方、前記前リンクの有効長さ寸法を前記後リンクの有効長さ寸法よりも大きく設定することでも、座の前部を座の後部よりも多く持ち上げる椅子を実現することができる。
【0015】
そして、座の前部を大きく持ち上げるために前リンクの前傾度合いが後リンクの前傾度合いよりも大きくなるように設定し、且つ、前リンクの支持基部に対する回転中心を前記後リンクの支持基部に対する回転中心よりも高い位置に設定する態様に、さらに適用し得る構成としては、前リンクの有効長さ寸法を前記後リンクの有効長さ寸法よりも大きく設定する構成を挙げることができる。
【0016】
他方、前記前リンクの有効長さ寸法を前記後リンクの有効長さ寸法よりも大きく設定する構成と、前リンクの支持基部に対する回転中心を前記後リンクの支持基部に対する回転中心よりも高い位置に設定する構成とを組み合わせても、座の前部を座の後部よりも多く持ち上げることができる。
【0017】
ここで、背支持アームが、前記支持基部における脚支柱よりも前側の部位に枢支された椅子の場合は、背凭れの後傾時に背凭れ全体が下降する傾向にあり、背凭れに体重を掛けるだけで背凭れは後傾していくため、後傾させ易く座り心地の良いものになるが、このような椅子に上述した特許文献1に記載されたような体重感知式の構造を適用したとしても、背凭れの後傾時、背凭れの下端部と座の後端部の位置が上下に離れていくため、また見方を変えると、背凭れ下端部に対する座の方向もずれていくため、前記したような違和感が大きな椅子になってしまう。そこで、本発明のように、前記背凭れの後傾時に前記座の前部を座の後部に比べてより多く持ち上げるように構成された体重感知式を適用すれば、背凭れの後傾に伴う背凭れの下端部と座の後端部との離間または、方向のズレを有効に抑えることができる。すなわち、座を相対的に後傾させて背凭れの下端部との相対的な位置関係の変化を従来の体重感知式のものに比べて抑えられたものとなっているので、着座者にとって違和感が生じ難い姿勢変更が可能となる。
【0018】
そして、背凭れ及び座に関する可動部品の点数を有効に削減するためには、背凭れを支持する背支持アームに前記後リンクを一体成形しておくことが望ましい。
【0019】
そして、背凭れの傾動反力を有効に利用しながら、背凭れ及び座を支持するための部品点数を有効に削減し、さらには傾動反力発生機構をコンパクトにするための構成としては、背支持アームの前向き前端部の後傾軸部から前方下方向に突出するように、当該突出した先端部において背の後傾時に弾性部材を圧縮するトルク伝達部材を設け、これら背支持アーム、後リンク及びトルク伝達部材が一体的に動作する構成を挙げることができる。
【0020】
また、相対的に座を後傾させる本発明を適用するに際し、後リンクが座の前後方向における略中央を支持するものとすれば、座の後端部付近に後リンクを配置することを回避することで座の後端部付近にスペースを有効に確保し、背支持アームや支持基部の設計自由度を有効に向上させることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、着座者は背凭れの後傾によって起こる無理な姿勢変更が抑えられたものとなるため、背凭れ起立時及び後傾時での作業を頻繁に切り換えたとしても、違和感を生ずることなくスムーズにデスクワークを継続させ得る椅子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態を示す前方からの斜視図。
【図2】同実施形態の張地を分解して示す前方からの斜視図。
【図3】同実施形態の張地を一部省略して示す正面。
【図4】同実施形態の張地を分解して示す左側面図。
【図5】同実施形態の張地を一部省略して示す背面図。
【図6】同実施形態の脚を省略して示す後方からの斜視図。
【図7】同実施形態の全体を一部省略して示す分解斜視図。
【図8】同実施形態の支持基部及び背支持アームの要部を拡大して示す前方からの斜視図。
【図9】同実施形態の支持基部及び背支持アームの要部を拡大して示す分解斜視図。
【図10】同実施形態の支持基部を一部省略して分解して示す後方からの斜視図。
【図11】同実施形態の支持基部を分解して示す正面図。
【図12】同実施形態の支持基部及び座を示す左側面図。
【図13】同実施形態のロッキング機構を示す図12に相当する作用説明図。
【図14】同実施形態の座と座受を示す分解斜視図。
【図15】図5における要部を示したA−A線断面図。
【図16】図4における要部を示したB−B線断面図。
【図17】図16における要部を示したC−C線断面図。
【図18】同実施形態の背凭れ支持体と背支持部材との取付構造を示した斜視図。
【図19】同実施形態の背シェル及び背支持部材を分解して示す斜視図。
【図20】同実施形態の背シェルの正面図。
【図21】同実施形態の背支持部材の正面図。
【図22】図3における要部を示したD−D線断面図。
【図23】図3における要部を示したE−E線断面図。
【図24】図5におけるF−F線拡大断面図。
【図25】図21におけるG−G線断面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態を、図1ないし図25を参照して説明する。
【0024】
この実施形態は本発明を事務用回転椅子に適用した場合のものである。
【0025】
この椅子は、図1ないし図7に示すように、脚1と、この脚1に支持された支持基部3と、この支持基部3上に配された座受5と、この座受5に支持された座7と、前記支持基部3に回動可能に支持された背凭れ支持体9と、この背凭れ支持体9に取付けた背凭れ11と、この背凭れ11の後傾動作に伴わせて前記座受5及び座7を上動及び傾動させるロッキング機構13と、前記背凭れ支持体9に設けられた肘掛け15とを具備してなる。
【0026】
《脚の構成》
脚1は、図1ないし図7に示すように、脚ベース17と、この脚ベース17の中心部に設けられた脚支柱19を備えてなる。
【0027】
脚ベース17は、図1ないし図5及び図7に示すように、中心部に設けたハブ21から複数本の脚羽根23を放射状に突出させて設けたもので、前記脚羽根23先端にキャスタ25をそれぞれ設けている。
【0028】
前記脚支柱19は、図1ないし図5、図7及び図14に示すように、ガススプリングタイプのもので上下方向に弾性的に伸縮し、所望の位置においてロックすることができるようにした通常のものである。すなわち、この脚支柱19は前記脚ベース17のハブ21に嵌着されたガススプリング本体27と、このガススプリング本体27の上端から突出させたロッド29とを備えたもので、前記ロッド29の上端にロック解除用の操作ボタン31が突出させてある。そして、このロッド29の上端部に支持基部3を装着している。前記ロック解除用操作ボタン31は、後述する肘掛け15に設けられた昇降用の操作レバー295により操作される。
【0029】
《支持基部の構成》
支持基部3は、図7ないし図13に示すように、前記脚支柱19のロッド29に取付けられるメインフレーム33と、このメインフレーム33に取付けられた前リンク軸35及び支軸37を具備してなるものである。前リンク軸35は、前リンク39を介して前記座受5の前端部を支持するためのものである。支軸37は、前記背支持アーム19を含む背凭れ支持体9を脚支柱19よりも前側の位置で回動可能に支持するとともに後リンク41を介して座7の中間部でもある座受5の略中間部を支持するためのものである。
【0030】
メインフレーム33は、図7ないし図13に示すように、前記脚支柱19におけるロッド29の上端部に嵌着されるボス部43と、このボス部43の上端側を囲う平面視半円弧状をなす後フレームメンバ45と、この後フレームメンバ45の左右の前端からそれぞれ前方に延出する一対の側フレームメンバ47と、これら側フレームメンバ47の前端部間を結合し前端に平坦な面を有する前フレームメンバ49とを備えたものである。これらボス部43、後フレームメンバ45、側フレームメンバ47、及び前フレームメンバ49は、アルミダイキャスト等により一体に成型されている。前フレームメンバ49の上面部には、前記前リンク軸35を支持する前の軸受部51が一体に設けられているとともに前記後フレームメンバ45と側フレームメンバ47との境界付近には前記支軸37を支持する後ろの軸受部53が一体に設けられている。なお、2つの軸受部51、53の軸心の床面からの高さが異なっており、前の軸受部51の方が後ろの軸受部53より高い位置に設定されている。
【0031】
そして、このメインフレーム33には、図12に示すように、背凭れ11を前方に付勢する傾動反力発生機構55が組み込まれている。
【0032】
傾動反力発生機構55は、図8ないし図13に示すように、基端部が前記支軸37に支持された左右対をなす、本発明に係るトルク伝達部材たるトルク伝達用のブラケット57と、これら左右のトルク伝達用のブラケット57の先端部間に架設した可動軸59と、この可動軸59をメインフレーム33に設けたバネ受け61を足場として後方に弾性付勢するスプリング63とを具備してなる。また、符号64は、前記脚支柱19のロッド29に設けられたロック解除用の操作ボタン31を押圧するための昇降用ロック解除アームであり、図8ないし図10に示すように、符号297は、肘掛け15に設けた昇降用の操作レバー295の操作力を前記昇降用ロック解除アーム64に伝達するための昇降用のワイヤである。前記操作レバー295を操作することでワイヤ297を引くと、支軸37に外嵌された基端ボス部66が回動し、基端ボス部66を挟んでワイヤ297と反対側に一体に設けられたロック解除アーム64が下方に回動する。
【0033】
また、支持基部3は、図3ないし図6、図10及び図11に示すように、上カバー65と下カバー67とによって覆われている。
【0034】
上カバー65は、図10及び図11に示すように、支持基部3を上面側から覆うもので、支持基部3に係合するための下向きに突出した上係止爪69が設けられている。下カバー67は、支持基部3を下面側から覆うもので、支持基部3に係合するための上向きに突出した下係止爪71が設けられている。また、これら上カバー65と下カバー67とは、それら開口端縁73、75同士が突き合うように配されている。
【0035】
支持基部3のメインフレーム33の前側の外周面、換言すれば前フレームメンバ49の前端の平坦面には、図8、図10及び図11に示すように、前記上カバー65と下カバー67とを取付けるための上下共用取付部77とが設けられている。
【0036】
詳述すれば、前記支持基部3のメインフレーム33は、図8、図10及び図11に示すように、上カバー65の上係止爪69と下カバー67の下係止爪71とをそれぞれ係わり合わせるための上下共用取付部77を備えたものであり、前記上下共用取付部77が、前記上係止爪69が係わり合う係合端面79と、前記下係止爪71が係わり合う係合端面81と、前記上係止爪69の横ずれを係止する横ずれ防止用の係止端面83と、前記下係止爪71の横ずれを係止する横ずれ防止用の係止端面85とを備えている。
【0037】
前記上下共用取付部77は、図8、図10及び図11に示すように、メインフレーム33における前フレームメンバ49の前端の外周面87に設けられたもので、その前端の外周面87を長方形状に凹陥させたものである。この上下共用取付部77において、上辺が上カバー65の上係止爪69が係わり合う係合端面79であり、下辺が下カバー67の下係止爪71が係わり合う係合端面81である。また、上下共用取付部77において、左右両側辺が上カバー65及び下カバー67の上係止爪69及び下係止爪71に対する横ずれ防止用の係止端面83、85である。
【0038】
なお、メインフレーム33の外周における前後方向中間付近には、図8ないし図10、図12及び図13に示すように、上カバー65を取付けるための上専用取付部89と下カバー67を取付けるための下専用取付部91とが設けられている。上カバー65には上専用取付部89に係わり合う爪93が設けられ、下カバー67には下専用取付部91に係わり合う爪95が設けられている。
【0039】
また、メインフレーム33の外周における後端には、図10に示すように、上カバー65を取付けるための上専用取付部97と下カバー67を取付けるための下専用取付部99とが設けられている。上カバー65には上専用取付部97に係わり合う爪101が設けられ、下カバー67には下専用取付部99に係わり合う爪103が設けられている。換言すれば、メインフレーム33の後フレームメンバ45には、下専用取付部99である略水平な中央突条と、この下専用取付部99の両側に配置した一対の上専用取付部97である側突条とが設けられている。上専用取付部97は、前記下専用取付部99に対して高さを異ならせて配置されている。
【0040】
以上に加えて、上カバー65及び下カバー67の外周同士も突き合わせて嵌合するように、上下カバー65、67の開口端縁73、75には、回転軸の近傍部分を除いて溝、具体的には、上カバー65及び下カバー67の一方には嵌合凹部が外方に露出し、他方には嵌合凹部が内方に露出した互いに嵌合可能なL型溝が形成されている。これによって支持基部3の上下専用取付部89、91に係合するようにした上下カバー65、67の爪93、95を配するべく、支持基部3から一定間隔離れた位置を保ってカバーする構成をなしていても上下カバー65、67同士を確実に嵌合することができる。
【0041】
以上説明した支持基部3の前の軸受部51に前リンク軸35を介して左右の前リンク39を回動可能に取付けている。前リンク39の支持基部3への取付構造は次のようになっている。すなわち、前記支持基部3は、図8ないし図13に示すように、左右にそれぞれ前記前リンク軸35を支持する軸受部51と、軸方向に垂直な対向する一対の平面105とを備えたものであり、前記前リンク39は、椅子本来の機能を発揮し得る使用時回動範囲(U)では前記平面105間に位置し、前記前リンク39を支持基部3に対して挿脱し得る図示しない挿脱時回動範囲では前記平面105外に位置する平面対応部分107を備えたもので、支持基部3に前リンク軸35を介して前リンク39を回動可能に支持させている。
【0042】
換言すれば、前記支持基部3は、図8ないし図13に示すように、前リンク軸35を支持する前の軸受部51と、この軸受部51の軸方向に隣接する位置に前方及び上方に開口したリンクアーム収容部109とを備えている。リンクアーム収容部109は、前リンク軸35と直交する一対の平面105間に形成されたものである。前記前リンク39は、上端部に前連結軸111を保持する軸孔113を有するとともに基端部に前リンク軸35に外装されるボス部115を有しており、このボス部115の外周にリンクアーム117を備えている。このリンクアーム117は、前記リンクアーム収容部109に対応する平面対応部分107を有している。
【0043】
そして、前記使用時回動範囲(U)では、前記リンクアーム117の平面対応部分107が前記リンクアーム収容部109の対向する平面105間に位置する。そのため、左右の前リンク39が、前記前リンク軸35と前連結軸111とから外れることが禁止されている。一方、前記挿脱時回動範囲では、前記リンクアーム117の平面対応部分107が前記リンクアーム収容部109の対向する平面105外に位置する。そのため、左右の前リンク39が、前記前リンク軸35と前連結軸111とから外れ得るようになっている。組立状態においては、前リンク39が前記挿脱時回動範囲にまで回動できないように設定されている。組付け時には、前リンク39を後ろに寝かせて左右から、座受5の前リンク取付部121に通した前連結軸111と、メインフレーム33の前の軸受部51に通した前リンク軸35に嵌め込む。その状態で、前記前リンク39を前に倒してリンクアーム収容部109の対向する平面105間に前リンク39のリンクアーム117を嵌め込む。その後、座受5の略中間部に位置する後リンク取付部127に後連結軸123をそれぞれ嵌め込んで、左右から背支持アーム151を付けることにより、前述した組立状態となる。すなわち、ねじ等の抜け止め部品を用いることなしに、左右の前リンク39をメインフレーム33に取付けることができる。
【0044】
以上のようにしてなる支持基部3に、前リンク39及び後リンク41を介して座受5を支持させている。
【0045】
《座受の構成》
座受5は、図4ないし図6、図12、図13及び図15に示すように、アウターシェルと称し得る形態をなすもので、この実施形態においては合成樹脂により一体に成型されている。座受5の下面には、その前端部よりの位置に前連結軸111を介して前リンク39の回動端119を取付けるための前リンク取付部121と、前後方向における略中央位置に設けられ後連結軸123を介して後リンク41の回動端125を取付けるための後リンク取付部127が設けられている。前記前リンク取付部121及び後リンク取付部127は、座受5に一体に設けられている。
【0046】
座受5の上面には、縦横にマス目状にリブ126が形成され、そのリブ126の一部平行な2つのものがそのまま座受5の下方に突出するように伸びて前リンク取付部121及び後リンク取付部127を構成している。前リンク取付部121及び後リンク取付部127の左右は、貫通孔を有した側壁128、130により塞がれている。これらの側壁128、130も前記リブ126の一部を下方に延長して形成してもよい。その他のリブ126はこれらのリブ126と複数箇所でつながるように形成され、座受5自体の強度だけでなく、前リンク取付部121、後リンク取付部127の強度にも寄与するように設計されている。すなわち、前記前リンク取付部121及び後リンク取付部127は、それぞれ前壁118、122と後壁120、124と左右の側壁128、130とを備えた中空体状のもので、前記前壁118、122、後壁120、124及び左右の側壁128、130の少なくとも1枚は、前記リブ126の一部を下方に延長することにより形成されている。
【0047】
《座の構成》
座7は、図7、図14及び図15に示すように、前記座受5の上面に取付けられたインナーシェル129と、このインナーシェル129の上に配設したクッション131と、このクッション131の外面に張設した張地133とを備えたものである。
【0048】
インナーシェル129は、図15に示すように、合成樹脂により一体に成型されたもので、図示しない爪等により、座受5に固定されている。このインナーシェル129は、前側に斜め下方になだらかに垂れ下がる前端垂れ下がり部分135を設けるとともに、前記中間部137と前記周縁部139との境界に中間部137が周縁部139よりも下方に膨出するような環状の段部141が形成されている。
【0049】
クッション131は、図14及び図15に示すように、発泡ウレタン等により作られたもので、前側に前記インナーシェル129の前端垂れ下がり部分135に沿うクッション垂れ下がり部分143を備えている。また座7の芯材であるクッション131の上面には一方向に並ぶ凹凸部、換言すれば、この実施形態では前後方向に並ぶ溝145を複数本設けている。
【0050】
張地133は、図1ないし図7、図14及び図15に示すように、クッション131及びインナーシェル129の周縁部139を覆う袋状のもので、インナーシェル129の下面側に巻き込んだ張地133の縁147は、インナーシェル129の段部141の端面に沿って配してある。この段部141及び張地133の縁147は、前記座受5により隠されるように覆われている。この張地133には、前記クッション131に形成された溝145に関連させて視覚的特徴部分が形成されている。この実施形態において視覚的特徴部分は、前記張地133にエンボス加工を施してなる線条149である。線条149は、この実施形態では前後方向に並ぶように複数本存在しており、張地133をクッション131に被せたときに平面視クッション131の溝145に上方から重なり合う位置に存在している。ただし、線条149が使用者の視覚に認識されることが重要なのであり、クッション131の溝145と張地133の線条149とは、必ずしも平面視重なり合うとは限られない。
【0051】
《背凭れ支持体の構成》
背凭れ支持体9は、図7ないし図9、図16及び図17に示すように、前記支持基部3から後上方に延出させた左右の背支持アーム151と、これら左右の背支持アーム151の上端部169同士を連結する上連結材153と、前記トルク伝達用のブラケット57の基端から一体に後上方に向けて延設され前記背支持アーム151の基端部内側面に添接する左右の背支持ブラケット155と、これら左右の背支持ブラケット155の後端を連結する下連結材157とを具備してなる。
【0052】
左右の背支持アーム151は、図1ないし図9、図13、図16ないし図18に示すように、それぞれ前記支持基部3に回動可能に支持された樹脂製のものであり、前後方向に延びる前後方向延出部159と、この前後方向延出部159の後端から連続して上方に伸びる起立部161とを備えたものである。図示例では、前後方向延出部159と起立部161とは、側面視略くの字状をなしている。各背支持アーム151は、その基端部、すなわち前記前後方向延出部159の前端部163に、前記支持基部3に設けられた支軸37の端部165に外側から嵌め合わせるための軸装部167を備えている。また、各背支持アーム151は、その先端部、すなわち前記起立部161の上端部169に、上連結材153を取付けるためのアーム突出部171を備えている。
【0053】
各背支持アーム151の軸装部167は、図3ないし図9及び図16に示すように、前記支軸37の端部165を嵌合させるべく内方にのみ開口させた軸穴173を備えている。具体的には、この軸穴173にブッシュ175を介して前記支軸37の端部165が相対回転可能に嵌合されるようになっている。ブッシュ175は、支軸37を装着する前に背支持ブラケット155の内側面側から貫装させたものであり、このブッシュ175の内周に前記支軸37が相対回転可能に嵌入される。ブッシュ175の鍔部177は、前記背支持ブラケット155とメインフレーム33との間に位置している。このブッシュ175の外周に前記軸装部167が外嵌されており、この軸装部167によって前記支軸37の端部165がカバーされるようになっている。前記軸穴173は開口端部側が大径となるテーパー状をなしており、前記支軸37は円柱状をなしている。ブッシュ175は、前記軸穴173の内周面と前記軸37の外周面との間を埋める形状をなしている。すなわち、ブッシュ175の外周面はテーパー状をなし、内周面は各部同一断面形状をなす円柱形状をなしている。
【0054】
なお、前記軸装部167の外周には、図3ないし図9、図16及び図17に示すように、前記後リンク41が一体に設けられている。また、この軸装部167の近傍における前記各背支持アーム151の内側面には、前記下連結材157の片半部179をカバーするカバー部材181がそれぞれ一体に突設されている。カバー部材181には、ねじ挿通孔183が設けられており、このねじ挿通孔183に挿通されたねじ187を前記下連結材157に設けられたねじ孔185に螺着することにより、左右の背支持アーム151が下連結材157に取付けられる。
【0055】
この状態では、左右の背支持アーム151が下連結材157を介して相互に結合されるので、軸装部167が支軸37から抜け出ることがなくなる。すなわち、後端を下連結材157により連結された左右の背支持ブラケット155を支軸37を介して支持基部3に支持させ、前記支軸37の前記背支持ブラケット155よりも外側に突出する両端部165に前記背支持ブラケット155と共に回動する左右の背支持アーム151を支持させているので、前記左右の背支持アーム151を前記背支持ブラケット155の左右外方から取付けることで、前記支軸37、背支持ブラケット155及び下連結材157をカバーすることができる。この実施形態においては、左右の背支持アーム151のカバー部材181の端部189同士が組立状態において密に突き合うようになっている。
【0056】
背支持アーム151のアーム突出部171は、図7及び図18に示すように、上連結材153の端部を取付けるためのもので、ねじ挿通孔191とこのねじ挿通孔191に連続するねじ孔を有した図示しないナットとを備えている。
【0057】
上連結材153は、図7及び図18に示すように、チャネル状をなす金属製のもので、左右の背支持アーム151のアーム突出部171間に架設した上で、前記ナットに螺着されるねじ195により前記各背支持アーム151に取付けられる。すなわち、上連結材153は、後方に開口する形状をなし、前記アーム突出部171に前側から嵌め合わせて背支持アーム151の上端部169間に架設される。
【0058】
背支持ブラケット155は、図9、図12、図13、図16及び図17に示すように、金属製のもので、前記トルク伝達用ブラケット57と一体に作られており、前記支軸37を介してメインフレーム33に回動可能に支持されている。
【0059】
下連結材157は、図9、図16及び図17に示すように、金属製のもので、その両端部が、前記背支持ブラケット155の後端に溶接により剛結されている。この下連結材157は、背支持ブラケット155と協働して合成樹脂製の背支持アーム151の骨格的な機能を有している。また、左右から嵌め付けられる背支持アーム151が左右に離脱するのを防止するための土台としての機能も有している。さらに、下連結材157は、背凭れ11に作用する後傾方向の荷重を背支持アーム151を介して受け止め、その荷重を背支持ブラケット155を介して傾動反力発生機構55のトルク伝達用のブラケット57に伝える機能をも有している。
【0060】
以上のようにしてなる背凭れ支持体9に背凭れ11を支持させてなる。
【0061】
《背凭れの構成》
背凭れ11は、図1ないし図7に示すように、頂部201において略水平になるまで湾曲させてなりほぼ中間部に弾性変形助長用の開口部203を有した樹脂製の背シェル205と、この背シェル205の頂部201よりも後方に位置する先端縁207を支持する背支持部材209と、前記背シェル205の表面側に添設された張地206とを具備してなる。
【0062】
背シェル205は、図2ないし図7、図19、図20、図22ないし図24に示すように、背凭れ支持体9に支持された樹脂製のものであり、頂部201において略水平になるまで湾曲させてなりほぼ中間部に弾性変形助長用の開口部203を有したものである。すなわち、この背シェル205は、上部領域211に上下方向に伸びる複数の帯状部材213が左右に並び、それら帯状部材213間に前記開口部203が形成されている。また、背シェル205は、正面視において、着座者の腰部に対応する部分、すなわち腰部対応部分215が左右幅が広く、上に行くほど漸次幅狭となる形状をなしている。
【0063】
上部領域211は、図2ないし図7、図19、図20、図22、図24に示すように、着座者の背中を受ける前面部分217と、この前面部分217の上縁に連続して設けられ頂部201において略水平になるまで湾曲した上湾曲部分219と、この上湾曲部分219の後縁に連続して設けられ下方に湾曲して垂れ下がる背面部分221とを備えている。そして、背面部分221の先端縁207には、下方に開口する溝223が形成されている。
【0064】
この溝223は、前記背支持部材209を嵌合させるための主嵌入部225と、この主嵌入部225に背支持部材209を嵌合させた状態で背支持部材209の背面側に開口する副嵌入部227とを備えたものである。すなわち、背シェル205の先端縁207に設けられた溝223は、主嵌入部225と副嵌入部227を連続的に形成した段付き溝状のものであり、この主嵌入部225に背支持部材209の後述する上取付部251を挿入すると、前記副嵌入部227のみが外方に開口して残ることとなる。この副嵌入部227は、後述する側縁溝235と連続しており、これら副嵌入部227及び側縁溝235を用いて張地206を取り付けることにより、背シェル205の前面から上部背面側に向かって張地206でカバーできるようになっている。なお、背面部分221の帯状部材213には、弾性変形調整用のリブ228が形成されている。
【0065】
また、背シェル205の下部領域229は、図2ないし図7、図19、図20及び図23に示すように、左右両側が左右方向中間よりも前方に突出した凹型をなしている。この下部領域229には、前記帯状部材213に連続した突条231が形成されており、隣接する突条231間に前記開口部203に連続した薄肉部233が形成されている。背シェル205の下部領域229は、着座者の腰部に対応する部分215を側面視前方に隆起させており、平面視中央が凹むように湾曲させている。
【0066】
なお、背シェル205は、図1、図2、図4、図6、図19、図22及び図23に示すように、左右両側縁にそれぞれ外方に開口した側縁溝235を有しており、これら側縁溝235と前記溝223における副嵌入部227とが連続している。また、前記背シェル205の下端には、前記側縁溝235に連続する下縁溝237が設けられている。
【0067】
この背シェル205は、図1ないし図6に示すように、その下部239が前記背支持アーム151の前面に取り付けられるとともに、その上部243が前記背支持部材209に支持される。背シェル205の下部239の取付けについて述べると、左右の背支持アーム151の起立部161の前面側には、上下に離間させて複数のナット孔204が形成されている。他方、背シェル205の下部239の左右両側部には、これらナット孔204に各々対応したビス挿通孔が設けられている。したがって、取付け用のビス241を前記ビス挿通孔に前方から挿し通した上、前記ナット孔204に螺合緊締することにより、背シェル205の下部239の左右両側部を左右の背支持アーム151の起立部161の前面に固定することができる。ビス241は、張地206を張り設けた際に、覆い隠される。
【0068】
背支持部材209は、図1、図2、図4ないし図7、図19、図21、図22、図24及び図25に示すように、前記背シェル205の裏面に左右に開放された空間245を形成するように対面配置された板状のものであり、前記背凭れ支持体9に支持され前記背シェル205の前後方向へのたわみを制御するものである。背支持部材209は、左右両側が左右方向中間よりも前方に突出した前方から見て凹型をなし前記背シェル205の上部領域211の前面部分217及び下部領域229の幅寸法よりも小さな幅寸法を有した支持部材本体247と、この支持部材本体247の下端に設けられ前記上連結材153に取付けられる下取付部249と、前記支持部材本体247の上端に設けられ前記溝223の主嵌入部225に嵌合する上取付部251と、この上取付部251、前記支持部材本体247及び下取付部249に亘って形成されたリブ253とを有している。なお、背支持部材の左右両端縁は、中間部より厚くなっており、ここが周辺補強材として機能分担している。
【0069】
支持部材本体247は、図4ないし図7、図18、図19、図21、図22、図24及び図25に示すように、板状のもので、左右両側が左右方向中間よりも前方に突出した湾曲形状をなしており、上取付部251の下側に屈曲部255が形成されている。この屈曲部255は、該屈曲部255の上側が下側に対して前方に傾斜するような形状をなしている。換言すれば、この屈曲部255は、側面視くの字状に屈曲している。
【0070】
上取付部251は、図4ないし図7、図19、図21及び図24に示すように、前記主嵌入部225に密に嵌合し得る厚み寸法を有しているもので、嵌合状態においてねじ263を用いて背シェル205に取付けられる。すなわち、この上取付部251は、支持部材本体247の上端から上方に延出された板状のもので、その前面に前記リブ253の上端部が位置している。この上取付部251の前面において、隣接するリブ253間に板ナット257を配した上で、その上端部を溝223の主嵌入部225に嵌合させることによって、前記板ナット257を位置決め保持することができるようになっている。そして、この板ナット257のねじ孔259に背シェル205のねじ孔261を通して背面側から挿通させたねじ263を螺着することによって、この背支持部材209を前記背シェル205に取付けることができるようになっている。この状態では、前記板ナット257が、前記背シェル205及び前記背支持部材209によって隠されている。
【0071】
下取付部249は、図4ないし図7、図19、図21及び図25に示すように、前記支持部材本体247の下端から下方に連続して延出する後壁265と、この後壁265の上端から前方に延出し前記中間に位置するリブ253を相互に連結する天壁267と、この天壁267の前縁から下方に垂下させた前壁269とを備えたもので、前記上連結材153に上側から嵌合し得るように下方に開放された形状をなしている。前記下取付部249の前壁269には、背支持部材209を前記上連結材153に取付けるためのねじ271を挿通させるためのねじ挿通孔273が形成されている。
【0072】
リブ253は、図7、図19、図21、図22、図24及び図25に示すように、上下方向に亘って伸びるもので、背支持部材209の前面に複数枚設けられている。これらのリブ253は、上側に向かって漸次突出寸法が小さくなるような形状をなしている。また、これらのリブ253は、左右に略一定の間隔をあけて配されている。なお、左右両側に位置するリブ275は、支持部材本体247の下端においてとぎれており、下取付部249まで延出しておらず、この左右両側に位置するリブ275の下方には、前記天壁267及び前壁269は設けられていない。一方、中間に位置するリブ277は、下取付部249の前壁269の前面にまで延出している。なお、左右両側に位置するリブ275の突出寸法は、中間に位置するリブ277の突出寸法に比べて小さくなるように設定されている。また、背支持部材209の下方において、左右両側に位置するリブ275の厚み寸法は、中間に位置するリブ277の厚み寸法に比べて大きくしてある。具体的には、中間に位置するリブ277よりも上下方向の長さの短い左右両側に位置するリブ275は、下方において厚み寸法を約6ミリメートルとしており、一方中間に位置するリブ277は下方において厚み寸法を約4ミリメートルとしている。そのため、背支持部材209を背面側から見た際に、左右両側には縦方向に延びるフレームが存在するように見える。
【0073】
張地206は、図1ないし図7、図22ないし図24に示すように、通気性及び透光性を有した布材を主体に構成されたもので、背シェル205のほぼ全域を覆い隠し得る寸法を有したほぼ長方形状をなしており、端部279を背シェル205の外周縁に止着している。詳述すれば、前記張地206の下端部281を前記背シェル205の下縁溝237に押し込んで止着するとともに、左右両側の端部283を前記背シェル205の側縁溝235に押し込んで止着している。また、張地206の上部285を背シェル205の上湾曲部分219及び背面部分221の外面に被せ、その端部279を前記溝223の副嵌入部227に押し込んで止着している。張地206を背シェル205に取付けた状態で、前記背シェル205と背支持部材209とを結合するねじ263の頭をカバーするようになっている。
【0074】
以上説明したような背凭れ11は、背面視において前記背シェル205の両側縁が、前記背支持部材209の両側縁よりも外側にはみ出した状態で視認可能となっている。また、斜め後方からの視線において、前記張地206の裏側が、背シェル205の開口部203を介して視認可能であり、斜め前方からの視線において、前記背支持部材209のリブ253が視認可能である。
【0075】
以上のようにしてなる背凭れ11と前記座7とをロッキング機構13により連動させるようにしている。
【0076】
《ロッキング機構の構成》
このロッキング機構13は、図4ないし図13に示すように、背凭れ11の後傾動作に伴わせて座7を傾動させつつ上動させるようにした体重感知式のものである。
【0077】
詳述すれば、このロッキング機構13は、図4ないし図13に示すように、前側に前リンク軸35を保持するとともに後側に支軸37を保持する支持基部3と、下端部を前記前リンク軸35を介して前記支持基部3に回動可能に支持させた前リンク39と、下端部を前記支軸37に支持された背支持アーム151の軸装部167に一体化させることによって回動中心を背支持アーム151の回動中心に側面視等しくしてなる後リンク41と、前リンク取付部121を前連結軸111を介して前記前リンク39の回動端119に連結するとともに後リンク取付部127を後連結軸123を介して後リンク41の回動端125に連結してなる座受5とを主体に構成されたものである。
【0078】
すなわち、このロッキング機構13は、図4ないし図13に示すように、座7を支持する座受5を同一方向である前方向に傾斜する前リンク39と後リンク41とによって支持基部3に支持させ、その支持基部3に支持された背支持アーム151の後傾動作に伴わせて、前リンク39及び後リンク41を起立方向に回動させて前記座受5を上方に持ち上げるように構成した体重感知式のものであり、前記背凭れ11の後傾時に、座7の前部すなわち座面7aの前部7a1を座面7aの後部7a2に比べてより多く持ち上げるように構成されたものである。すなわち、通常の背凭れ及び座のシンクロロッキング機構では、背凭れの後傾動作に伴わせて座を下方側にのみ傾動させるものであるが、本実施形態に示すような体重感知式のロッキング機構13は、通常のロッキング機構とは異なり、図13に二点鎖線で示すように、背凭れ11の後傾動作に伴わせて座7を傾動させつつ着座者の荷重に抗して座7を持ち上げるように構成している。
【0079】
ここで、図13を参照しつつ詳述すると、背凭れ11の後傾動作によって、張地133が設けられた座7の上面である座面7aの前部7a1が持ち上がる寸法γ1は、座面7aの後部7a2が持ち上がる寸法γ2よりも多くなるように構成されている。
【0080】
具体的に説明すれば、図13に示すように、前記背凭れ11を後傾させていない背起立時において、前リンク39の前傾度合いが後リンク41の前傾度合いよりも大きくなるように設定されている。換言すれば、前記背凭れ11を後傾させていない背起立時において、前リンク39における水平線に対する傾斜角度αが、後リンク41における水平線に対する傾斜角度βよりも小さく設定されている。また、前記前リンク39の支持基部3に対する回転中心を、前記後リンク41の支持基部3に対する回転中心よりも高い位置に設定している。換言すれば、前記前リンク軸35の軸心を前記支軸37の軸心よりも距離h分高い位置に設定している。前記前リンク39の有効長さ寸法、すなわち前記前リンク軸35と前記前連結軸111との軸心間距離L1と、前記後リンク41の有効長さ寸法、すなわち後リンク軸である前記支軸37と前記後連結軸123との軸心間距離L2とは略同じ距離に設定されている。また、前記背支持アーム151が、前記支持基部3における脚支柱19よりも前側の部位に枢支されている。換言すれば、前記背支持アーム151の軸装部167が、側面視において前記脚支柱19よりも前側に位置する支軸37に支持されている。
【0081】
前リンク39の前傾度合いを後リンク41の前傾度合いよりも大きくしている点は、後傾時に座7の前側を後側よりも相対的に大きく持ち上げることを目的としたもので、前リンク39と後リンク41との前傾度合いを相互に大きく異ならせることにより、後傾時の座7の前側の持ち上がりを大きく設定することが可能になる。つまり、前リンク39は座7の前部つまり座面7aの前部7a1を上方に持ち上げる動作が多く、後リンク41は座7を後方に移動させる動作が中心となる。これによって、座面7aは前部7a1を多く持ち上げながら座面7aの後部7a2は後方移動し、後傾する背凭れ11に追従するように後方に移動していくこととなる。その結果、座面7aを相対的に後傾させることで座7の後端部と背凭れ11の下端部との相対的な位置関係の変化が有効に抑えられたものとなっている。
【0082】
前リンク39と後リンク41の回転中心位置を上下方向に異ならせる点は、主に背起立時の座7の水平度合いを調整することを目的としたものであり、前述した前後リンク39、41の前傾度合い差と組み合わせることにより、背凭れ11起立時の座7の姿勢と背凭れ11後傾時の座7の姿勢を共に最適な状態に設定している。前リンク39の有効長さ寸法L1と後リンク41の有効長さ寸法L2とを略同寸法とすることにより、前記設定をより適切なものにすることができる。しかし勿論、前記前リンク39の有効長さ寸法L1は、後リンク41の有効長さ寸法L2と異ならせて設定してもよく、支持基部3における前リンク39の配置や座受5への接続位置等の設定から、例えば前記L1をL2よりも若干長い寸法に設定してもよい。
【0083】
なお、一般に前記背支持アームが、前記支持基部における脚支柱よりも前側の部位に枢支されている椅子においては、背凭れ後傾時に背凭れが下方に沈みこむ傾向にあるため、背凭れ後傾時に座全体が平均的に上方に持ち上がるようにした通常の体重感知式ロッキング機構を採用した場合には大きな違和感、より具体的には、着座者の予想に反して、座の後側部分を含む座全体が上方に持ち上がる結果、着座者の腰部近傍に、背凭れの沈み込み動作とこの沈み込み動作と相反する座の持ち上がり動作とが同時に発生することによって与えられる違和感が発生するが、本実施形態の構成によればその違和感が緩和されるものとなる。すなわち、本実施形態のものは体重感知式ではあるが背凭れ11後傾時にも座7の後側が大きく持ち上がることがないので大きな違和感を与えにくいものとなる。
【0084】
また本実施形態では、この後リンク41は背支持アーム151の回動中心である支軸37を中心に、背支持アーム151及びトルク伝達用のブラケット57とともに一体的に回動するものとしている。これにより、背凭れ11の後傾動作に伴う座7の連動動作のみならず、後リンク41を介した支持基部3による座7の正確な位置決めを併せて実現している。さらに本実施形態では、背凭れ11の回動範囲を20度に設定しているとともに、背凭れ11を最大限後傾させた状態における座面7aのなす角度は、背凭れ11起立時に比べて4度後傾するように設定している。すなわち本実施形態では、主に後リンク41による背凭れ11後傾時の座受5の略中央部の持ち上げによって起こる座面7aの後部7a2が持ち上がる寸法γ2よりも、前リンク39による背凭れ11後傾時の座面7aの前部7a1が持ち上がる寸法γ1をより大きく設定する結果、背凭れ11の最大後傾時の座面7aの角度を背凭れ11起立時よりも4度後傾するようにしている。加えて本実施形態では、後リンク41を座受5の前後方向における略中央部に接続しているため、背凭れ11の後傾時前後リンク39、41共に座受5を持ち上げるような構成にしても、前リンク39が後リンク41よりも多く座受5を持ち上げるので、相対的に座受5の後端部は前端部よりも下がるように設定でき、座受5の前端部が上昇した際に座受5の後端部の高さ位置を、背凭れ11の起立時と後傾時で殆ど変わらないようにしている。
【0085】
《肘掛けの構成》
肘掛け15は、図1ないし図7及び図18に示すように、前記背凭れ支持体9の背支持アーム151における上端部前面から一体に前方に突出させた肘支持部287と、この肘支持部287の上に設けた肘当て289とを具備してなる。
【0086】
肘支持部287は、図3ないし図6及び図18に示すように、上方に開放した有底舟形をなしている。一方の肘支持部287、本実施形態では着座者から見て右側の肘支持部287の前端部位の底壁291には、貫通した窓293を形成しており、その窓293を介して下方に操作レバー295を突出させている。操作レバー295は、脚支柱のロック解除用の操作ボタン31を操作するためのものである。この操作レバー295と前記操作ボタン31との間はワイヤ297で接続しており、操作レバー295に加えられた操作力をワイヤ297によって操作ボタン31に伝達することで、操作ボタン31の操作、ひいては脚支柱のロック/ロック解除の切換えを行い得る。操作レバー295の基端部及び操作レバー295に接続するワイヤ297の一端部は、前記肘支持部287の内部に収まっている。
【0087】
肘支持部287の内部空間は、前記背支持アーム151の起立部161に形成されたワイヤ案内空間298に連通している。ワイヤ案内空間298は、上下方向に延伸し、かつ、その一部または全部が前方に開口する。ワイヤ案内空間298の下端部は、前後方向延出部159の直上まで到達しており、背シェル205の下部239を起立部161に取付けた状態で背シェル205の下端よりも若干下方に位置して前方に開通している。そのため、操作レバー295に接続されたワイヤ297は、肘支持部287の内部空間からワイヤ案内空間298の下端部へと導き出され、そこから前後方向延出部159に沿って支持基部3へと到る。
【0088】
肘当て289は、図1ないし図5、図7及び図18に示すように、前記肘支持部287に対して着脱可能である。これにより、共通の肘支持部287に取付可能な複数種類の肘当て289の中から任意のものを選んで使用することができる。本実施形態で示している肘当て289は、肘支持部287に対して直接取付けられる取付ベース299と、この取付ベース299に支持され着座者の腕が載せ置かれる肘当て本体301とが一体的に設けられているものである。
【0089】
取付ベース299は、肘支持部287及び背支持アーム151の上端部169に蓋着される基体303と、この基体303の内方端から略水平に延出するスペーサ305とを具備してなる。基体303は、前側が図示しない係止機構により肘支持部287に掛け止めされるとともに、後側がビス305を用いて背支持アーム151の前面側に取付けられる。肘当て289のスペーサ305は、リブ275の直下の天壁267が存在していない空隙を埋めるためのもので、背支持部材209の下取付部249の天壁267にほぼ連続する板状をなしている。このスペーサ305は、前記上連結材153の上面と、背支持部材209の左右両側に位置するリブ275の下端面との間に密に介設される。
【0090】
このように、本実施形態に係る椅子は、背凭れ11を後傾させたときに座面7aの前部7a1が多く持ち上がるので座7を相対的に後傾させることで、従来の体重感知式のものに比べて背凭れ11の下端部との相対的な位置関係の変化を抑えている。これにより、着座者は背凭れ11の後傾によって起こる姿勢の変化を有効に抑えることができる。また斯かる構成によって、座面7aにおける背凭れ11へ向かう面方向が常に背凭れ11の下端部の一定部位方向に側面視で交差するように座7を設けることができる。これにより背凭れ11起立時と後傾時で座面7aの後方延長線上に位置する背凭れ11における仮想の部分が上下方向に位置ズレを起こすことが小さく抑えられることになる。しかも、本実施形態の場合は体重感知式ではあっても、従来のように、特に背凭れの下端部の降下と座の後端部の上昇という二つの近接した箇所が人体の骨格にとって反対方向と感じるような、なじまないような動きをする態様ではなく、座7の後端部は後傾させて背凭れ11の下端部との相対的な位置関係をなるべく変化させないように、座7の中間部より前部すなわち座面7aの前部7a1を相対的に上昇させる構成を適用している。これによって、背凭れ11が後傾する際に着座者の体重で上昇する部分を作り出し、背凭れ11が後傾することによる上半身の重心の下降を、座7が上昇することによる下半身の重心位置の上昇と連動させたものとしている。その結果、着座者の体重の違いによる、背凭れ11に必要な後傾反力の違いを着座者自身の体重を利用して違和感無く補うことを実現している。すなわち、本実施形態に係る椅子は、背凭れ11起立時及び後傾時での作業を頻繁に切り換えたとしても、違和感を生ずることなくスムーズにデスクワークを快適に継続し得るものとなっている。
【0091】
また本実施形態では座7における座面7aの前部7a1を大きく持ち上げるための構成としてはまず、背凭れ11を後傾させていない背起立時において、前リンク39の前傾度合いが後リンク41の前傾度合いよりも大きくなるように設定することにより、前リンク39の回転動作により描かれる軌跡の接線の向きを、鉛直方向により近付けることによって、前後のリンク39、41が同じ角度回転したとしても、前リンク39をより大きく上動させ得たものとなっている。
【0092】
加えて本実施形態では、前リンク39の支持基部3に対する回転中心を前記後リンク41の支持基部3に対する回転中心よりも高い位置に設定しておく態様として前後リンク39、41の前傾度合いを異ならせても、座受5の下面側において略同じ高さ位置にある前後のリンク取付部121、127に接続させている。すなわち座受5は前後のリンクを取付けるために上下寸法を確保することを有効に回避して、座受5の厚み寸法を小さくすることに寄与している。
【0093】
特に本実施形態では、背支持アーム151が、支持基部3における脚支柱19よりも前側の部位に枢支されたものとしているので背凭れ11の後傾動作による回動半径が大きくなり、着座者の姿勢変更が大きくなる傾向にあるものの上述の通り座面7aの前部7a1を後部7a2よりも多く上昇させるようにしている結果、座7の後端部と背凭れ11の下端部との相対的な位置関係または座7の方向の変化が最小限に抑えられ、違和感が生じ難いものとなっている。
【0094】
また本実施形態のように背支持アーム151が、支持基部3における脚支柱19よりも前側の部位に枢支された場合には、背凭れ11の後傾によって背凭れ11が下降動作を伴うので、背凭れ11に掛かる着座者の荷重が大きくなることと、着座者の体重の差による荷重の差が大きくなる。そのため従来のような背凭れ1の後傾と座7の下降とを併せて行うシンクロロッキング機構を有する椅子の場合、支持基部には、幅広い荷重に対応し得る大掛かりな傾動反力発生機構が必要となるばかりか、傾動反力調整機構も別途必要となる。しかしながら本実施形態に係る椅子は上述の通り体重感知式を採用している。すなわち着座者の背凭れ11に掛かる荷重が体重に比例して大きくなればなるほど、着座者の体重に抗して座7を上昇させるために必要な力も大きくなるために互いが好適に相殺し得るものとなっている。その結果、傾動反力調整機構を伴わない上述のような傾動反力発生機構55であっても、着座者の体重に関係なく快適な傾動反力を提供し得るものとなっている。
【0095】
一方、本実施形態は、背凭れ11を支持する背支持アーム151に前記後リンク41を一体成形しているので、背凭れ11や座7の動作を行わせるための構成部品を有効に削減させたものとなっている。
【0096】
そして、背凭れ11の傾動反力を利用して座7を好適に支持しつつ、背凭れ11及び座7を支持するための部品点数を有効に削減し、さらには傾動反力発生機構55をも簡素且つコンパクトにすることを実現するための構成として本実施形態では、背支持アーム151の前向き前端部の後傾軸部から前方下方向に突出するように、当該突出した先端部において背の後傾時にスプリング63を圧縮するトルク伝達部材たるトルク伝達用のブラケット57を設け、これら背支持アーム151、後リンク41及びトルク伝達用のブラケット57が一体的に動作するものとしている。
【0097】
特に本実施形態では、着座者の着座7によって正確に着座者の体重を感知させ、且つ背凭れ11の動作によって座7を確実に上昇るために本実施形態では、後リンク41が座7の前後方向における略中央を支持するものとして、座7の後端部付近に後リンク41を配置することを回避することで座7の後端部付近に座7自体が動作するためのスペースを有効に確保している。
【0098】
なお、本発明は、以上に詳述した実施形態に限られるものではない。上記実施形態では前リンクが後リンクよりも多く座受を持ち上げるので、相対的に座受の後端部は前端部よりも下がるようした結果、座受の前端部が上昇した際に座受5の後端部の高さ位置を、背凭れの起立時と後傾時で殆ど変わらないものとしたが、勿論、座受の後端部を下降させるように設定することもできる。
【0099】
例えば、上記実施形態では前リンクの有効長さ寸法と後リンクの有効長さ寸法とを略等しい寸法に設定していたが、前記前リンクの有効長さ寸法を前記後リンクの有効長さ寸法よりも大きく設定したものであってもよい。斯かる構成を適用しても、座の前部を座の後部よりも多く持ち上げる椅子を実現することができる。
【0100】
また、上記実施形態のように前リンクの支持基部に対する回転中心を前記後リンクの支持基部に対する回転中心よりも高い位置に設定しておく態様を適用しなくとも、前記前リンクの有効長さ寸法を前記後リンクの有効長さ寸法よりも大きく設定する構成と、背凭れを後傾させていない背起立時において、前リンクの前傾度合いが後リンクの前傾度合いよりも大きくなるように設定する構成とを組み合わせて、座の前部を座の後部よりも多く持ち上げる構成を実現することが可能である。
【0101】
さらには、前記前リンクの有効長さ寸法を前記後リンクの有効長さ寸法よりも大きく設定する構成と、前リンクの支持基部に対する回転中心を前記後リンクの支持基部に対する回転中心よりも高い位置に設定する構成とを組み合わせて、座の前部を座の後部よりも多く持ち上げる構成を実現しても良い。
【0102】
また上記実施形態では、背支持アームと後ろリンクとを一体に構成する態様を開示したが、勿論、背支持アームと前リンクとを一体に構成する態様であっても、座の前部を座の後部よりも多く持ち上げる構成を実現することが可能である。
【0103】
さらに上記実施形態では背凭れを20度後傾させた際の座面の後傾角度が4度となるように構成したが、勿論、座の前部がより大きく持ち上がることによって起こる座面の後傾角度は上記の4度に限定されることはなく、適宜の設定を適用することができる。
【0104】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明はオフィスにおいて使用される背凭れと座が連動して動作するシンクロロッキング機構を有する椅子として利用することができる。
【符号の説明】
【0106】
3…支持基部
5…座受
7…座
19…脚支柱
39…前リンク
41…後リンク
57…トルク伝達部材(トルク伝達用のブラケット)
63…弾性部材(スプリング)
151…背支持アーム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
座を支持する座受を同一方向に傾斜する前リンクと後リンクとによって支持基部に直接又は間接的に支持させ、その支持基部に支持された背支持アームの後傾動作に伴わせて前記前リンク及び後リンクを起立方向に回動させて前記座受を上方に持ち上げるように構成した体重感知式のロッキング機構を有する椅子であって、前記背凭れの後傾時に前記座の前部を座の後部に比べてより多く持ち上げるように構成されたものであることを特徴とする椅子。
【請求項2】
前記背凭れを後傾させていない背起立時において、前記前リンクの前傾度合いが前記後リンクの前傾度合いよりも大きくなるように設定されている請求項1記載の椅子。
【請求項3】
前記前リンクの有効長さ寸法を前記後リンクの有効長さ寸法よりも大きく設定している請求項1または2記載の椅子。
【請求項4】
前記前リンクの前記支持基部に対する回転中心を前記後リンクの前記支持基部に対する回転中心よりも高い位置に設定している請求項2または3記載の椅子。
【請求項5】
前記背支持アームが、前記支持基部における脚支柱よりも前側の部位に枢支されたものである請求項1、2、3または4記載の椅子。
【請求項6】
前記背支持アームに前記後リンクを一体成形している請求項1、2、3、4または5記載の椅子。
【請求項7】
背支持アームの前向き前端部の後傾軸部から前方下方向に突出するように設けられ、当該突出した先端部において背の後傾時に弾性部材を圧縮するトルク伝達部材を有し、
前記背支持アーム、前記後リンク及びトルク伝達部材が一体的に動作する請求項6記載の椅子。
【請求項8】
前記後リンクが、前記座の前後方向における略中央を支持するものである請求項1、2、3、4、5、6または7記載の椅子。
【請求項1】
座を支持する座受を同一方向に傾斜する前リンクと後リンクとによって支持基部に直接又は間接的に支持させ、その支持基部に支持された背支持アームの後傾動作に伴わせて前記前リンク及び後リンクを起立方向に回動させて前記座受を上方に持ち上げるように構成した体重感知式のロッキング機構を有する椅子であって、前記背凭れの後傾時に前記座の前部を座の後部に比べてより多く持ち上げるように構成されたものであることを特徴とする椅子。
【請求項2】
前記背凭れを後傾させていない背起立時において、前記前リンクの前傾度合いが前記後リンクの前傾度合いよりも大きくなるように設定されている請求項1記載の椅子。
【請求項3】
前記前リンクの有効長さ寸法を前記後リンクの有効長さ寸法よりも大きく設定している請求項1または2記載の椅子。
【請求項4】
前記前リンクの前記支持基部に対する回転中心を前記後リンクの前記支持基部に対する回転中心よりも高い位置に設定している請求項2または3記載の椅子。
【請求項5】
前記背支持アームが、前記支持基部における脚支柱よりも前側の部位に枢支されたものである請求項1、2、3または4記載の椅子。
【請求項6】
前記背支持アームに前記後リンクを一体成形している請求項1、2、3、4または5記載の椅子。
【請求項7】
背支持アームの前向き前端部の後傾軸部から前方下方向に突出するように設けられ、当該突出した先端部において背の後傾時に弾性部材を圧縮するトルク伝達部材を有し、
前記背支持アーム、前記後リンク及びトルク伝達部材が一体的に動作する請求項6記載の椅子。
【請求項8】
前記後リンクが、前記座の前後方向における略中央を支持するものである請求項1、2、3、4、5、6または7記載の椅子。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【公開番号】特開2012−10938(P2012−10938A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−149993(P2010−149993)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(000001351)コクヨ株式会社 (961)
【出願人】(000108627)タカノ株式会社 (250)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(000001351)コクヨ株式会社 (961)
【出願人】(000108627)タカノ株式会社 (250)
【Fターム(参考)】
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