椅子
【課題】背座一体方式の椅子において、製造コストを抑制すると共に、表皮材の皺の発生も防止する。
【解決手段】背シェル板は、下部背シェル板9と上部背シェル板10とに分離構成されている。座シェル板8と下部背シェル板9とは一体成形されており、下部背シェル板9の上端に上部背シェル板9が連結されている。シェル板8,9,10にはクッションがインサート成形されている。背シェル板を上下に分離して製造したことにより、シェル板の大型化を回避して製造コストを抑制できる。下部背シェル板9及び下部クッション11の上面に上向き凹に凹み、上部背シェル板10及び上部クッション12の下面に下向き凸部を有する。下部クッション11の左右両側部が高くなっているため、表皮材13を引き込み用シート材89で後ろに引っ張っても、テンションに伴う変形が下部クッション11に波及することが抑制されて、表皮材13に皺や凹みが発生することを防止できる。
【解決手段】背シェル板は、下部背シェル板9と上部背シェル板10とに分離構成されている。座シェル板8と下部背シェル板9とは一体成形されており、下部背シェル板9の上端に上部背シェル板9が連結されている。シェル板8,9,10にはクッションがインサート成形されている。背シェル板を上下に分離して製造したことにより、シェル板の大型化を回避して製造コストを抑制できる。下部背シェル板9及び下部クッション11の上面に上向き凹に凹み、上部背シェル板10及び上部クッション12の下面に下向き凸部を有する。下部クッション11の左右両側部が高くなっているため、表皮材13を引き込み用シート材89で後ろに引っ張っても、テンションに伴う変形が下部クッション11に波及することが抑制されて、表皮材13に皺や凹みが発生することを防止できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、背もたれと座とが一体に連続した方式の椅子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
背もたれと座とが一体化した椅子には、座シェル板と背シェル板とが一体に繋がっていて全体が露出したタイプと、座シェル板及び背シェル板にクッションを張ったタイプとがある。座シェル板及び背シェル板にクッションを張ったタイプとしては、例えば特許文献1,2がある。座部クッションと背部クッションとを一体に連続した構造において、表皮材のうち座部と背部との連接部の箇所を後ろに引き込むことも行われており、その例が特許文献3に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2592108号公報
【特許文献2】特開2002−248029号公報
【特許文献3】実用新案登録第3031082号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
さて、樹脂製のシェル板は成形機を使用した射出成形法で製造するのが一般的であるが、座シェル板の全体と背シェル板の全体とが一体に繋がっていると射出成形法で製造するにおいて投影面積が非常に大きくなるため、型締め能力が大きな大型の成形機を使用しないと製造できず、すると、高価な設備であるため製造コストも嵩むのみならず、準備に手間がかかったり成形機の使用予約が詰まっていたりしてタイムリーに製造できない場合も多くなる。
【0005】
更に、椅子では、ローバック、ミドルバック、ハイバックというように背もたれの高さが相違するものを品揃えすることがあるが、シェル板の全体を一体成形する方式では、各種類の椅子ごとに金型を用意しておかねばならないため、商品群全体としてコストが嵩むという問題もある。
【0006】
本願発明は、このような現状を改善すべく成されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明に係る椅子は、一体に繋がった外観を呈する座と背もたれとを有しており、前記座は樹脂製の座シェル板にクッションを張った構造で、前記背もたれは樹脂製の背シェル板にクッションを張った構造であり、前記座のクッションと背もたれのクッションとは一体に連続した表皮材で覆われている、という基本構成になっている。
【0008】
そして、請求項1の発明では、前記背もたれのシェル板は、別体に製造されて互いに連結された上部背シェル板と下部背シェル板とで構成されており、前記下部背シェル板の前面と前記座シェル板の上面とは一連に延びる下部クッションで覆われ、前記上部背シェル板の前面は上部クッションで覆われている。
【0009】
なお、背シェル板に関する「上部」「下部」の文言は上下に分離しているシェル板を区別するために使用しており、両者の高さ寸法とは関係ない。すなわち、上部背シェル板の上下高さ寸法が下部背シェル板の高さ寸法より大きくても良いし、逆に、上部背シェル板の上下高さ寸法が下部背シェル板の高さ寸法より小さくても良いし、或いは、上下背シェル板の上下高さ寸法が同じ程度であってもよい。
【0010】
本願発明は多面的に展開できる。その例を請求項2以下で示している。このうち請求項2の発明は、請求項1において、前記座シェル板の後端と前記下部背シェル板の下端との間には、左右横長でかつ左右両端部は手前に延びた形状のスリットが形成されており、前記スリットの左右両端の外側部位が屈曲可能なヒンジ部になっており、かつ、前記下部クッションは、前記スリットを貫通した状態で座シェル板及び下部背シェル板の裏側に広がっている。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1又は2において、前記下部背シェル板及び下部クッションの上面は、正面視で左右中央部は低くて左右側部は高くなった凹形である一方、前記上部背シェル板及び上部クッションの下面は、正面視で左右中央部は低くて左右側部は高くなった下向き凸形になっており、下部背シェル板及び下部クッションと上部背シェル板及び上部クッションとの凹凸が互いに嵌まり合っている。
【0012】
請求項4の発明は、請求項1〜3のうちのいずれかにおいて、前記表皮材は、前記座を構成する平シート部と前記シェル板及び背クッションに上から被さる袋状部とを有していて両者は一体に繋がっており、前記平シート部の前縁及び左右側縁と前記袋状部の下端縁とに細幅テープ状の縁部材が固定されており、前記縁部材を座シェル板の下面に係止している。
【発明の効果】
【0013】
本願発明では、背シェル板及び背部クッションは上下別々に製造されたパーツで構成されているため、シェル板の全体を一体成形する場合に比べて成形するに当たってそれぞれのパーツの投影面積は従来に比べて格段に小さくなる。従って、広く普及している成形機を使用して製造することができる。その結果、コストを抑制し得ると共に、タイムリーに製造して欠品をなくし易くなる。また、背もたれの高さが異なるものを品揃えする場合、上部背シェル板と上部クッションだけを複数種類用意しておけば足りるため、複数種類の椅子を製造するにおいて全体としてコストを抑制できる。
【0014】
更に、座シェル板と背シェル板とに分離構成するのでなく、背シェル板を上部と下部とに別々に製造するものであるため、座と背もたれとの一体性は確保されている。また、ロッキング機能を持たせて背もたれを後傾させる場合、座クッションと背クッションとが別部材であると、使用しているうちに座クッションと背クッションとの境界面に段差が生じるおそれもあるが、本願発明では背クッションのうち下部は座クッションと一体に繋がっているため、使用しているうちに座と背もたれとの境界部に段差が生じて美観を損なうことはない。従って、品質面でも優れている。
【0015】
さて、特許文献1のように背座一体方式の椅子にロッキング機能を持たせる場合、座は側面視姿勢を変えずに背もたれだけで後傾させると、使用者は下半身を安定させた状態で上半身を後傾させ得るため、例えば背もたれに凭れ掛かってパソコンを操作するといったことも無理なく行える利点がある。しかし、特許文献1のように座シェル板と背シェル板とが一連に連続していると、シェル板の弾性変形を利用してロッキングを許容するものであるため、無理なくロッキングさせ難いおそれがある。
【0016】
これに対して本願請求項2の構成を採用すると、ヒンジ部の変形によって下部背もたれが座部の後端に対して大きく下降動し得るため、座部の側面視姿勢は変えずに背もたれをロッキングさせることを無理なく行える。すなわち、シェル板の特定部位に応力が集中する不具合を招来することなく、背もたれの後傾角度をできるだけ大きくすることができる。
【0017】
更に、請求項2のようにクッションをシェル板にインサート成形すると、クッションがスリットを通じてシェル板の表裏に位置しているため、背もたれの下端が座の後端に対して上下動してもクッションのずれは生じずに保形性が確保されるため、使用しているうちにクッションが凹むといった不具合を防止できる利点がある。
【0018】
下部背シェル板の上面と上部背シェル板の下面とは正面視で一直線状に形成することも可能であるが、本願請求項3のように凹凸をもって嵌合させると、上下背シェル板は高さを変えた位置で連結できるため、連結強度を向上できる。また、座と背もたれとの連接部において表皮材を裏側に引き込んだ場合、表皮材の皺を防止又は抑制できる。この点は実施形態の項で詳述する。
【0019】
表皮材のうち背もたれを構成する部位を袋状にすることは特許文献3に記載されているが、表皮材の固定手段として例えば紐やワイヤーを使用すると、取り付け作業が面倒であると共に、表皮材に対するテンションを一定化し難くなるおそれがある。この点、請求項4のようにテープ状の縁部材を使用すると、表皮材の取り付けをごく簡単に行えると共に、表皮材に対するテンションも一定化して品質を安定化できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施形態に係る椅子の外観を示す図で、(A)は正面図、(B)は側面図、(C)は平面図、(D)は背面図、(E)は部分的な斜視図である。
【図2】(A)は全体の分離斜視図、(B)はベースをひっくり返した状態での分離斜視図である。
【図3】ベースを中心にした支持機構部の図で、(A)は一部省略斜視図、(B)はクッションの分離斜視図である。
【図4】座を中心にした部分の側断面図である。
【図5】主としてクッションの配置関係を示す断面図である。
【図6】縦断側面図である(座はレール部材の箇所で切断している。)。
【図7】(A)は図6のVIIA-VIIA 視断面図、(B)は図6のVIIB-VIIB 視断面図である。
【図8】図6の VIII-VIII視断面図である。
【図9】シェル板を後ろ見た分離斜視図である。
【図10】(A)は背シェル板の分離正面図、(B)は連結状態での(A)のB−B視断面図、(C)は連結状態での(A)のC−C視断面図、(D)は連結状態での(A)のD−D視断面図である。
【図11】(A)は上部背シェル板と補強板と背支柱との締結部の断面図、(B)は(A)の箇所での上部背シェル板の断面図である。
【図12】(A)はシェル板とクッションとの関係を示す分離正面図、(B)は下部背シェル板の下端部を中心にした縦断正面図、(C)は縁部材の係止状態を示す縦断面図である。
【図13】(A)は座シェル板をひっくり返した状態での分離斜視図、(B)は表皮材の展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本願発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下の説明では方向を特定するため「前後」「左右」の文言を使用するが、この文言は普通に着座した人の向きを基準にしている。但し、正面視は着座した人と対向した方向をいう。「内」「外」の文言も使用するが、正面視で椅子の中心を向いた方向を内向きとし、正面視で椅子の中心から左右外側を向いた方向を外向きとしている。
【0022】
(1).椅子の概要
まず、図1〜図6に基づいて椅子の概要を説明する。本実施形態は回転椅子に適用しており、椅子は、図1に示すように、座1と背もたれ2とが一体に連続した身体受け部3と、脚支柱4を有する脚装置5と、脚支柱4の上端に取り付けたベース6と、ベース6に後傾動自在に連結した背フレーム7とを有している。脚装置5は放射方向に延びる枝足を有しており、各枝足の先端にはキャスタを設けている。ベース6と背フレーム7とはアルミダイキャスト品又は樹脂成形品である。
【0023】
図2,3から理解できるように、身体受け部3はシェル板とこれに一体成形したクッションとを有している。シェル板は、座1を構成する座シェル板8と、座シェル板8の後部に一体に繋がった下部背シェル板9と、下部背シェル板9とは別体の上部背シェル板10とを有しており、上部背シェル板10の下端部が下部背シェル板9の上端部に連結されている。従って、上下の背シェル板9,10によって背もたれ2のシェル板が構成されている。シェル板8,9,10は樹脂の成形品であり、その裏面には縦横に延びる多数のリブが形成されている。なお、本実施形態では、上部背シェル板10で背もたれ2の大部分(70〜80%程度)が構成されている。
【0024】
図3(B)に示すように、クッションは、座シェル板8及び下部背シェル板9に対応した下部クッション11と、上部背シェル板10に対応した上部クッション12とに分離構成されている。これらのクッション11,12はそれぞれシェル板8,9,10にインサート成形されている。図5から理解できるように、下部クッション11は座シェル板8及び下部背シェル板9の表面の全体を覆うと共に、座シェル板8及び下部背シェル板9の終縁部の裏側まで巻き込むように成形されている。他方、上部クッション12は、上部背シェル板10の前面と後面との全体を包むように成形されている。
【0025】
身体受け部3は一体構造の表皮材13を有しており、表皮材13のうち背もたれ2に位置した部位は当該背もたれ2を上からすっぽり覆う袋状に形成されており、表皮材13のうち座1に対応した部位は、座1の外周から下方に巻き込まれている。
【0026】
座シェル板8と下部背シェル板9とは、左右両端のヒンジ部14を除いてスリット15で分断されている。換言すると、座シェル板8と下部背シェル板9とは左右両端のヒンジ部14のみで一体に繋がっている。このため、下部背シェル板9(背もたれ2)は、ヒンジ部14の変形により、座シェル板8に対して(座1に対して)相対的に後傾動し得る。スリット15はその左右両端部が手前に延びる平面視U形に形成されており、このため、ヒンジ部14は座シェル板8の後端よりも手前に位置している。
【0027】
図2,4に示すように、ベース6は概ね平面視四角形状で上下に開口した枠構造になっており、このため、リアメンバー6aと左右サイドメンバー6bとフロントメンバー6cとを有する。リアメンバー6aの左右中間部に脚支柱取り付け穴17が空いていると共に、リアメンバー6aの後端部に後ろ向き張り出し部18を形成し、この後ろ向き張り出し部18に背フレーム7が左右横長のパイプ製支軸19で回動可能に連結されている。
【0028】
ベース6の後面と背フレーム7の下部の前端との間のうち後ろ向き張り出し部18の左右両側には、図1(B)から理解できるように空間が空いているが、この空間の間隔は、ロッキングによって背フレーム7が傾動した状態であっても一般成人の指よりも大きい寸法が保持されるように設定している。従って、仮に人がベース6と背フレーム7との間の隙間に指先を差し込んでも挟まれることはない。なお、図6に示すように、ベース6のリアメンバー6aは上向きに開口した中空状に形成されており、その内部にリブが形成されている。リアメンバー6aの上面にはベースカバー6dを装着している。
【0029】
図2,4に示すように、ベース6の左右サイドメンバー6bには前後長手のレール部材20が前後スライド自在に装着されており、レール部材20に座シェル板8が装着されている。レール部材20はこれに内蔵したばね21に抗して後退動する。
【0030】
例えば図2(A)に示すように、背フレーム7は、その下端を構成する左右横長の基部22を有しており、この基部22の左右中間部が、軸受けブラケット23を介してベース6の後ろ向き張り出し部18に支軸19で連結されている。また、同じく図2(A)から理解できるように、背フレーム7における基部22の左右両端部には、レール部材20の後端に設けた左右軸受け部24の間に位置する上向きの軸受けリブ25が突設されており、レール部材20の軸受け部24と背フレーム7の軸受けリブ25とが左右横長のピン26で連結されている。
【0031】
背フレーム7における基部22の左右両端部には、やや後ろ向きに後退してから上向きに立ち上がった背支柱27が一体に形成されており、背支柱27の上端部に前向き突設したボス部28に上部背シェル板10がねじ(ビス)29で締結されている。
【0032】
上部背シェル板10の前面の下部には前向きに開口した左右横長の凹所30が形成されており、凹所30に金属製(鋼板製)で横長の補強板31が嵌め込まれており、ねじ29は補強板31に形成したバーリング部32にねじ込まれている。従って、背支柱27と上部背シェル板10と補強板31とがねじ(ビス)29で共締めされている。
【0033】
背支柱27の上端には、左右外向きに曲がってから手前に延びる形状の肘本体33が一体に形成されており、肘本体33には、その上面の全体を覆う肘カバー34が装着されている。肘カバー34に、背支柱27の上部を後ろから覆う下向きの後ろ壁34aが一体に形成されている。
【0034】
(2).支持機構部
次に、レール部材20を中心にした支持機構部を説明する。図7,8に示すように、レール部材20は板金製であって下向きに開口したチャンネル状(コ字状)の形態であり、座シェル板8にはレール部材20を左右両側から囲う下向き規制リブ41を左右一対ずつ設けている。図7(B)に示すように、下向き規制リブ41にはレール部材20に内外から近接する位置決めリブ42を一体に設けており、かつ、レール部材20に切り起こし形成した前後長手のストッパー片43に、下向き規制リブ41に形成した係合爪44を下方から当てている。従って、座シェル板8はレール部材20に対して上向き離脱不能に保持されていると共に、座シェル板8とレール部材20とは若干ながら前後方向に相対動し得る。
【0035】
図7に示すように、レール部材20の前端部には左右横長のガイドピン45が前後動不能に挿通されており、ガイドピン45は、ベース6のサイドメンバー6bに固定されたガイド体46に形成しているガイド穴47に挿通している。ガイド穴47は前後長手の長穴になっており、このためレール部材20は座シェル板8と一緒に前後スライドし得る。ベース6のサイドメンバー6bには、レール部材20を外側からガードする前後長手の土手部51が一体に形成されている。
【0036】
例えば図6に示すように、レール部材20のうち概ね前後中間部には前部ばね受け50が取り付けられており、既に述べたばね(圧縮コイルばね)21が前部ばね受け50で手前側から支持されている。ばね21は、後部ばね受け61で後ろから支持されている。後部ばね受け61は下向きに開口した中空状の形態であり、ベース6のサイドメンバー6bに形成した突起(図示せず)に上から嵌まっている。
【0037】
(3).背もたれの構造
次に、背もたれ2の構造を説明する。例えば図2,3に示すように、下部背シェル板9の左右両側縁には上向きに突出したサイドリブ68が形成されており、サイドリブ68の前端にヒンジ部14が繋がっている。サイドリブ68の補強効果により、下部背シェル板9は剛性が高くなっている。ヒンジ部14は座シェル板8の後端より手前に位置しているので、サイドリブ68も座シェル板8の後端より手前に延びている。
【0038】
例えば図9に示すように、下部背シェル板9と上部背シェル板10との背面には縦横に延びる多数の補強リブ69が形成されており、補強リブ69で囲われた多くの部位に窓穴70が空いている。既述のとおり、上下の背シェル板9,10にはその前面と裏面との両方に、発泡ウレタン等のクッション12,11がインサート成形されているが、インサート成形に際して、樹脂材料は窓穴70を通って背シェル板9,10の裏に回り込む。
【0039】
上部背シェル板10の下面と下部背シェル板9の上面とにはそれぞれ重合部リブ板71,72が形成されており、上部背シェル板10の下面には、左右中間部に位置したセンター係合突起73と、左右両端部に位置したサイド係合突起74と、センター係合突起73とサイド係合突起74との間に位置した中間位置決め突起75とが下向きに突設されている。
【0040】
一方、下部背シェル板9の上部には、センター係合突起73が嵌まるセンターポケット部76と、サイド係合突起74が嵌まるサイドポケット部77と、中間位置決め突起75が嵌まる中間ポケット部78とが上向きに開口した状態に形成されている。図10に示すように、センター係合突起73には斜め上向きに突出した係合爪73aが形成されており、これがセンターポケット部76に設けたセンター係合穴76aに下方から引っ掛かり係合している。
【0041】
同様に、サイド係合突起74には斜め上向きに突出した係合爪74aが形成されており、この係合爪74aが、サイドポケット部77に設けたサイド係合穴77aに下方から引っ掛かり係合している。センター係合突起73は後ろ側に向けて倒れた姿勢であり、サイド係合突起74は手前側に向けて倒れた姿勢である。
【0042】
下部背シェル板9の重合部リブ板72は、正面視でその中間部を含んだ相当範囲が下向きに凹んだ形状になっており、他方、上部背シェル板10の重合部リブ板71はその左右中間部を含んだ相当範囲が下向きに突出した形状になっている。すなわち、上下背シェル板9,10の合わせ面は正面視で凹凸状態になっている。そして、下部背シェル板9における重合部リブ板72の凹部72aの内側面72bは傾斜しており、中間ポケット部78は凹部72aの底面72cと傾斜状内側面71bとに跨がった状態に形成されている。他方、上部背シェル板10における重合部リブ板71の凸部71aの外側面72bも傾斜しており、中間位置決め突起75は凸部71aの下面71cと傾斜状外側面71bとに跨がった状態に形成されている。
【0043】
例えば図11(A)に示すように、下部背シェル板9の下部は平面視で前向き凹状に凹んでおり、そこで、下部背シェル板9の下部に配置された補強板31も平面視で前向き凹状に屈曲している。すなわち、補強板31のうちその中間部を含むかなりの範囲は平面視で左右横長の直線状に延びる基部になっているが、左右両端寄りのある程度の範囲は手前側に曲がった傾斜部31aとなっており、更に、傾斜部31aの先端には平面視で左右横長のエンド部31bが形成されている。そして、エンド部31bにバーリング部32が前向き突設されており、バーリング部32に形成した雌ねじにねじ29が後ろからねじ込まれている。
【0044】
図9〜11に示すように、上部背シェル板10には、背支柱27のボス部28が嵌まる受け座79が形成されている。また、背支柱27のうちボス部28の箇所の背面には、ねじ29の頭が入り込む座ぐり穴80が形成されている。そして、座ぐり穴80及びねじ29の頭は肘カバー34の後ろ壁34aで覆われている。このため、美観の悪化を防止できる。
【0045】
図2(A)に示すように、背支柱27の前面のうち上下略中間高さ位置には、側面視で上向き鉤状の下部係合爪81を突設している。他方、図9に示すように、下部背シェル板9の裏面には、下部係合爪81に上から嵌まり込む上向き開口のポケット状の下部受け部82を形成している。下部受け部82は表皮材13を突き抜けた状態で後ろに露出している。
【0046】
(4).クッション・表皮材
次に、クッション11,12と表皮材13とを補足説明する。既述のとおり、上部背シェル板10と下部背シェル板9とは凹凸を持って噛み合っているが、上下のクッション11,12も上下シェル板9,10の形状に揃っているため凹凸を持って噛み合っている。また、既述のとおり、座シェル板8と下部背シェル板9とが下部クッション11で一体に覆われている。すなわち、スリット15を跨がった状態で下部クッション11が前後に広がっている。
【0047】
表皮材13の大まかな展開図を図13(B)で示している。表皮材13は、座1の部分を構成する平シート部13aと、背もたれ2の部分を構成する袋状部13bとが一体に連続している。平シート部13aの前端縁と左右両端縁と袋状部13bの下端縁とにはそれぞれ樹脂シート製の細長い縁部材86が縫着等によって固定されている。縁部材86には飛び飛びで複数個の穴87が空いている一方、座シェル板8の下面には、縁部材86の穴87が入り込む鉤状の係合爪88を突設している。
【0048】
表皮材13も背座一体方式であり、座1を構成する部分と背凭もたれ2を構成する部分とが側面視で屈曲しているため、弛みを生じやすい。そこで、表皮材13のうち座1と背もたれ2との接続部に位置した箇所と背もたれ2の上部に位置した部位とに、それぞれ引き込み用シート材89を縫着等で固定し、これを下部背シェル板9に取り付けている。従って、引き込み用シート材89を設けている箇所では、クッション11,12には切り込みが形成されている。
【0049】
図12(C)(D)に示すように、上部背シェル板10には、引き込み用シート材89が表面側から挿入される横長溝90(図2(A)も参照)を形成しており、横長溝90に、引き込み用シート材89に設けた穴91に嵌まる係合爪92を設けている。
【0050】
図11(B)に示すように、表皮材13には、受け座79に嵌まるリング状樹脂板83を縫着等で一体に設けている。このため、表皮材13は正確に位置決めされている。なお、図11(A)ではリング状樹脂板83は表示していないが、実際には、受け座79とボス部28との間にリング状樹脂板83及び表皮材13が介在している。
【0051】
(5).まとめ
着座した人が背もたれ2にもたれ掛かると、背もたれ2はばね21に抗して支軸19を中心に後傾すると共に、座1は連結ピン26で後ろに引っ張られて後退動する。この場合、座1の後端と下部背シェル板9の前端との間にスリット15が形成されているため、下部背シェル板9は座シェル板8の後端に対して下降動することが許容されており、これにより、背もたれ2のロッキングが支障なく行われる。特に、ヒンジ部14は座シェル板8の後端よりかなり手前に位置しているため、背もたれ2の後傾動が無理なく行われる。
【0052】
さて、クッションは座シェル板8と下部背シェル板9との間で分離することも可能であるが、この場合は、椅子を使用しているうちに上下シェル板11,12の境界に厚さ方向のずれ(段差)が発生して体裁が悪くなるおそれがある。これに対して本実施形態では、下部クッション11は座シェル板8と下部背シェル板9とに跨がった状態に形成されているため、使用し続けても座1と背もたれ2との境界部に段差が発生することはなくて、品質に優れている。
【0053】
クッション11,12はシェル板8,9,10にインサート成形されるので、補強板31は予め上部背シェル板10に装着している。この場合、補強板31は、上部背シェル板10に設けた突起と補強板31に設けた穴との嵌め合わせにより、正確に位置決めされている。また、図11(B)を参照して説明したように、表皮材13には上部背シェル板10の受け座79に嵌まるリング状樹脂板83を一体に設けているため、表皮材13の後部は上部背シェル板10に正確に位置決めされる。上部背シェル板10と下部背シェル板9とを凹凸を持って重ね合わせると、上下背シェル板10,9は高さを変えた位置で連結されるため、連結強度を向上できる利点がある。
【0054】
さて、図12(A)に矢印Aで示すように、引き込み用シート材89による引っ張りによって下部クッション11にもテンションが掛かる。この場合、図12(A)に一点鎖線94で示すように、上下クッション11,12の境界面を一直線状に形成していると、引き込み用シート材89の引っ張りによって下部クッション11の左右端部が下向きに引かれる現象が発生して表皮材13との間に隙間が空き、このため、表皮材13に皺が発生しり凹みが発生したりすることがある。
【0055】
この点、実施形態のように下部クッションの左右側部を上向き突出させると、引き込み用シート材89の引っ張りによって下部クッション11の左右側部11aに引っ張り力が作用しても、下部クッション11の左右側部は変形しにくくなるため、視認できるほどの変形は発生せず、このため体裁がよい。なお、引き込み用シート材89の周囲の箇所で表皮材13は強く引っ張られるため皺がよりやすいが、この皺の発生は、引き込み用シート材89の周囲の箇所にウレタンテープを貼ることで解消できる(変形しにくくして、表皮材13の追従変形を抑制できる。)。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本願発明の実施品は実際に製造可能である。従って、産業上利用できる。
【符号の説明】
【0057】
1 座
2 背もたれ
3 身体受け部
6 ベース
7 背フレーム 8 座シェル板
9 下部背シェル板
10 上部背シェル板
11 下部クッション
12 上部クッション
13 表皮材
14 ヒンジ部
15 スリット
【技術分野】
【0001】
本願発明は、背もたれと座とが一体に連続した方式の椅子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
背もたれと座とが一体化した椅子には、座シェル板と背シェル板とが一体に繋がっていて全体が露出したタイプと、座シェル板及び背シェル板にクッションを張ったタイプとがある。座シェル板及び背シェル板にクッションを張ったタイプとしては、例えば特許文献1,2がある。座部クッションと背部クッションとを一体に連続した構造において、表皮材のうち座部と背部との連接部の箇所を後ろに引き込むことも行われており、その例が特許文献3に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2592108号公報
【特許文献2】特開2002−248029号公報
【特許文献3】実用新案登録第3031082号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
さて、樹脂製のシェル板は成形機を使用した射出成形法で製造するのが一般的であるが、座シェル板の全体と背シェル板の全体とが一体に繋がっていると射出成形法で製造するにおいて投影面積が非常に大きくなるため、型締め能力が大きな大型の成形機を使用しないと製造できず、すると、高価な設備であるため製造コストも嵩むのみならず、準備に手間がかかったり成形機の使用予約が詰まっていたりしてタイムリーに製造できない場合も多くなる。
【0005】
更に、椅子では、ローバック、ミドルバック、ハイバックというように背もたれの高さが相違するものを品揃えすることがあるが、シェル板の全体を一体成形する方式では、各種類の椅子ごとに金型を用意しておかねばならないため、商品群全体としてコストが嵩むという問題もある。
【0006】
本願発明は、このような現状を改善すべく成されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明に係る椅子は、一体に繋がった外観を呈する座と背もたれとを有しており、前記座は樹脂製の座シェル板にクッションを張った構造で、前記背もたれは樹脂製の背シェル板にクッションを張った構造であり、前記座のクッションと背もたれのクッションとは一体に連続した表皮材で覆われている、という基本構成になっている。
【0008】
そして、請求項1の発明では、前記背もたれのシェル板は、別体に製造されて互いに連結された上部背シェル板と下部背シェル板とで構成されており、前記下部背シェル板の前面と前記座シェル板の上面とは一連に延びる下部クッションで覆われ、前記上部背シェル板の前面は上部クッションで覆われている。
【0009】
なお、背シェル板に関する「上部」「下部」の文言は上下に分離しているシェル板を区別するために使用しており、両者の高さ寸法とは関係ない。すなわち、上部背シェル板の上下高さ寸法が下部背シェル板の高さ寸法より大きくても良いし、逆に、上部背シェル板の上下高さ寸法が下部背シェル板の高さ寸法より小さくても良いし、或いは、上下背シェル板の上下高さ寸法が同じ程度であってもよい。
【0010】
本願発明は多面的に展開できる。その例を請求項2以下で示している。このうち請求項2の発明は、請求項1において、前記座シェル板の後端と前記下部背シェル板の下端との間には、左右横長でかつ左右両端部は手前に延びた形状のスリットが形成されており、前記スリットの左右両端の外側部位が屈曲可能なヒンジ部になっており、かつ、前記下部クッションは、前記スリットを貫通した状態で座シェル板及び下部背シェル板の裏側に広がっている。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1又は2において、前記下部背シェル板及び下部クッションの上面は、正面視で左右中央部は低くて左右側部は高くなった凹形である一方、前記上部背シェル板及び上部クッションの下面は、正面視で左右中央部は低くて左右側部は高くなった下向き凸形になっており、下部背シェル板及び下部クッションと上部背シェル板及び上部クッションとの凹凸が互いに嵌まり合っている。
【0012】
請求項4の発明は、請求項1〜3のうちのいずれかにおいて、前記表皮材は、前記座を構成する平シート部と前記シェル板及び背クッションに上から被さる袋状部とを有していて両者は一体に繋がっており、前記平シート部の前縁及び左右側縁と前記袋状部の下端縁とに細幅テープ状の縁部材が固定されており、前記縁部材を座シェル板の下面に係止している。
【発明の効果】
【0013】
本願発明では、背シェル板及び背部クッションは上下別々に製造されたパーツで構成されているため、シェル板の全体を一体成形する場合に比べて成形するに当たってそれぞれのパーツの投影面積は従来に比べて格段に小さくなる。従って、広く普及している成形機を使用して製造することができる。その結果、コストを抑制し得ると共に、タイムリーに製造して欠品をなくし易くなる。また、背もたれの高さが異なるものを品揃えする場合、上部背シェル板と上部クッションだけを複数種類用意しておけば足りるため、複数種類の椅子を製造するにおいて全体としてコストを抑制できる。
【0014】
更に、座シェル板と背シェル板とに分離構成するのでなく、背シェル板を上部と下部とに別々に製造するものであるため、座と背もたれとの一体性は確保されている。また、ロッキング機能を持たせて背もたれを後傾させる場合、座クッションと背クッションとが別部材であると、使用しているうちに座クッションと背クッションとの境界面に段差が生じるおそれもあるが、本願発明では背クッションのうち下部は座クッションと一体に繋がっているため、使用しているうちに座と背もたれとの境界部に段差が生じて美観を損なうことはない。従って、品質面でも優れている。
【0015】
さて、特許文献1のように背座一体方式の椅子にロッキング機能を持たせる場合、座は側面視姿勢を変えずに背もたれだけで後傾させると、使用者は下半身を安定させた状態で上半身を後傾させ得るため、例えば背もたれに凭れ掛かってパソコンを操作するといったことも無理なく行える利点がある。しかし、特許文献1のように座シェル板と背シェル板とが一連に連続していると、シェル板の弾性変形を利用してロッキングを許容するものであるため、無理なくロッキングさせ難いおそれがある。
【0016】
これに対して本願請求項2の構成を採用すると、ヒンジ部の変形によって下部背もたれが座部の後端に対して大きく下降動し得るため、座部の側面視姿勢は変えずに背もたれをロッキングさせることを無理なく行える。すなわち、シェル板の特定部位に応力が集中する不具合を招来することなく、背もたれの後傾角度をできるだけ大きくすることができる。
【0017】
更に、請求項2のようにクッションをシェル板にインサート成形すると、クッションがスリットを通じてシェル板の表裏に位置しているため、背もたれの下端が座の後端に対して上下動してもクッションのずれは生じずに保形性が確保されるため、使用しているうちにクッションが凹むといった不具合を防止できる利点がある。
【0018】
下部背シェル板の上面と上部背シェル板の下面とは正面視で一直線状に形成することも可能であるが、本願請求項3のように凹凸をもって嵌合させると、上下背シェル板は高さを変えた位置で連結できるため、連結強度を向上できる。また、座と背もたれとの連接部において表皮材を裏側に引き込んだ場合、表皮材の皺を防止又は抑制できる。この点は実施形態の項で詳述する。
【0019】
表皮材のうち背もたれを構成する部位を袋状にすることは特許文献3に記載されているが、表皮材の固定手段として例えば紐やワイヤーを使用すると、取り付け作業が面倒であると共に、表皮材に対するテンションを一定化し難くなるおそれがある。この点、請求項4のようにテープ状の縁部材を使用すると、表皮材の取り付けをごく簡単に行えると共に、表皮材に対するテンションも一定化して品質を安定化できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施形態に係る椅子の外観を示す図で、(A)は正面図、(B)は側面図、(C)は平面図、(D)は背面図、(E)は部分的な斜視図である。
【図2】(A)は全体の分離斜視図、(B)はベースをひっくり返した状態での分離斜視図である。
【図3】ベースを中心にした支持機構部の図で、(A)は一部省略斜視図、(B)はクッションの分離斜視図である。
【図4】座を中心にした部分の側断面図である。
【図5】主としてクッションの配置関係を示す断面図である。
【図6】縦断側面図である(座はレール部材の箇所で切断している。)。
【図7】(A)は図6のVIIA-VIIA 視断面図、(B)は図6のVIIB-VIIB 視断面図である。
【図8】図6の VIII-VIII視断面図である。
【図9】シェル板を後ろ見た分離斜視図である。
【図10】(A)は背シェル板の分離正面図、(B)は連結状態での(A)のB−B視断面図、(C)は連結状態での(A)のC−C視断面図、(D)は連結状態での(A)のD−D視断面図である。
【図11】(A)は上部背シェル板と補強板と背支柱との締結部の断面図、(B)は(A)の箇所での上部背シェル板の断面図である。
【図12】(A)はシェル板とクッションとの関係を示す分離正面図、(B)は下部背シェル板の下端部を中心にした縦断正面図、(C)は縁部材の係止状態を示す縦断面図である。
【図13】(A)は座シェル板をひっくり返した状態での分離斜視図、(B)は表皮材の展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本願発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下の説明では方向を特定するため「前後」「左右」の文言を使用するが、この文言は普通に着座した人の向きを基準にしている。但し、正面視は着座した人と対向した方向をいう。「内」「外」の文言も使用するが、正面視で椅子の中心を向いた方向を内向きとし、正面視で椅子の中心から左右外側を向いた方向を外向きとしている。
【0022】
(1).椅子の概要
まず、図1〜図6に基づいて椅子の概要を説明する。本実施形態は回転椅子に適用しており、椅子は、図1に示すように、座1と背もたれ2とが一体に連続した身体受け部3と、脚支柱4を有する脚装置5と、脚支柱4の上端に取り付けたベース6と、ベース6に後傾動自在に連結した背フレーム7とを有している。脚装置5は放射方向に延びる枝足を有しており、各枝足の先端にはキャスタを設けている。ベース6と背フレーム7とはアルミダイキャスト品又は樹脂成形品である。
【0023】
図2,3から理解できるように、身体受け部3はシェル板とこれに一体成形したクッションとを有している。シェル板は、座1を構成する座シェル板8と、座シェル板8の後部に一体に繋がった下部背シェル板9と、下部背シェル板9とは別体の上部背シェル板10とを有しており、上部背シェル板10の下端部が下部背シェル板9の上端部に連結されている。従って、上下の背シェル板9,10によって背もたれ2のシェル板が構成されている。シェル板8,9,10は樹脂の成形品であり、その裏面には縦横に延びる多数のリブが形成されている。なお、本実施形態では、上部背シェル板10で背もたれ2の大部分(70〜80%程度)が構成されている。
【0024】
図3(B)に示すように、クッションは、座シェル板8及び下部背シェル板9に対応した下部クッション11と、上部背シェル板10に対応した上部クッション12とに分離構成されている。これらのクッション11,12はそれぞれシェル板8,9,10にインサート成形されている。図5から理解できるように、下部クッション11は座シェル板8及び下部背シェル板9の表面の全体を覆うと共に、座シェル板8及び下部背シェル板9の終縁部の裏側まで巻き込むように成形されている。他方、上部クッション12は、上部背シェル板10の前面と後面との全体を包むように成形されている。
【0025】
身体受け部3は一体構造の表皮材13を有しており、表皮材13のうち背もたれ2に位置した部位は当該背もたれ2を上からすっぽり覆う袋状に形成されており、表皮材13のうち座1に対応した部位は、座1の外周から下方に巻き込まれている。
【0026】
座シェル板8と下部背シェル板9とは、左右両端のヒンジ部14を除いてスリット15で分断されている。換言すると、座シェル板8と下部背シェル板9とは左右両端のヒンジ部14のみで一体に繋がっている。このため、下部背シェル板9(背もたれ2)は、ヒンジ部14の変形により、座シェル板8に対して(座1に対して)相対的に後傾動し得る。スリット15はその左右両端部が手前に延びる平面視U形に形成されており、このため、ヒンジ部14は座シェル板8の後端よりも手前に位置している。
【0027】
図2,4に示すように、ベース6は概ね平面視四角形状で上下に開口した枠構造になっており、このため、リアメンバー6aと左右サイドメンバー6bとフロントメンバー6cとを有する。リアメンバー6aの左右中間部に脚支柱取り付け穴17が空いていると共に、リアメンバー6aの後端部に後ろ向き張り出し部18を形成し、この後ろ向き張り出し部18に背フレーム7が左右横長のパイプ製支軸19で回動可能に連結されている。
【0028】
ベース6の後面と背フレーム7の下部の前端との間のうち後ろ向き張り出し部18の左右両側には、図1(B)から理解できるように空間が空いているが、この空間の間隔は、ロッキングによって背フレーム7が傾動した状態であっても一般成人の指よりも大きい寸法が保持されるように設定している。従って、仮に人がベース6と背フレーム7との間の隙間に指先を差し込んでも挟まれることはない。なお、図6に示すように、ベース6のリアメンバー6aは上向きに開口した中空状に形成されており、その内部にリブが形成されている。リアメンバー6aの上面にはベースカバー6dを装着している。
【0029】
図2,4に示すように、ベース6の左右サイドメンバー6bには前後長手のレール部材20が前後スライド自在に装着されており、レール部材20に座シェル板8が装着されている。レール部材20はこれに内蔵したばね21に抗して後退動する。
【0030】
例えば図2(A)に示すように、背フレーム7は、その下端を構成する左右横長の基部22を有しており、この基部22の左右中間部が、軸受けブラケット23を介してベース6の後ろ向き張り出し部18に支軸19で連結されている。また、同じく図2(A)から理解できるように、背フレーム7における基部22の左右両端部には、レール部材20の後端に設けた左右軸受け部24の間に位置する上向きの軸受けリブ25が突設されており、レール部材20の軸受け部24と背フレーム7の軸受けリブ25とが左右横長のピン26で連結されている。
【0031】
背フレーム7における基部22の左右両端部には、やや後ろ向きに後退してから上向きに立ち上がった背支柱27が一体に形成されており、背支柱27の上端部に前向き突設したボス部28に上部背シェル板10がねじ(ビス)29で締結されている。
【0032】
上部背シェル板10の前面の下部には前向きに開口した左右横長の凹所30が形成されており、凹所30に金属製(鋼板製)で横長の補強板31が嵌め込まれており、ねじ29は補強板31に形成したバーリング部32にねじ込まれている。従って、背支柱27と上部背シェル板10と補強板31とがねじ(ビス)29で共締めされている。
【0033】
背支柱27の上端には、左右外向きに曲がってから手前に延びる形状の肘本体33が一体に形成されており、肘本体33には、その上面の全体を覆う肘カバー34が装着されている。肘カバー34に、背支柱27の上部を後ろから覆う下向きの後ろ壁34aが一体に形成されている。
【0034】
(2).支持機構部
次に、レール部材20を中心にした支持機構部を説明する。図7,8に示すように、レール部材20は板金製であって下向きに開口したチャンネル状(コ字状)の形態であり、座シェル板8にはレール部材20を左右両側から囲う下向き規制リブ41を左右一対ずつ設けている。図7(B)に示すように、下向き規制リブ41にはレール部材20に内外から近接する位置決めリブ42を一体に設けており、かつ、レール部材20に切り起こし形成した前後長手のストッパー片43に、下向き規制リブ41に形成した係合爪44を下方から当てている。従って、座シェル板8はレール部材20に対して上向き離脱不能に保持されていると共に、座シェル板8とレール部材20とは若干ながら前後方向に相対動し得る。
【0035】
図7に示すように、レール部材20の前端部には左右横長のガイドピン45が前後動不能に挿通されており、ガイドピン45は、ベース6のサイドメンバー6bに固定されたガイド体46に形成しているガイド穴47に挿通している。ガイド穴47は前後長手の長穴になっており、このためレール部材20は座シェル板8と一緒に前後スライドし得る。ベース6のサイドメンバー6bには、レール部材20を外側からガードする前後長手の土手部51が一体に形成されている。
【0036】
例えば図6に示すように、レール部材20のうち概ね前後中間部には前部ばね受け50が取り付けられており、既に述べたばね(圧縮コイルばね)21が前部ばね受け50で手前側から支持されている。ばね21は、後部ばね受け61で後ろから支持されている。後部ばね受け61は下向きに開口した中空状の形態であり、ベース6のサイドメンバー6bに形成した突起(図示せず)に上から嵌まっている。
【0037】
(3).背もたれの構造
次に、背もたれ2の構造を説明する。例えば図2,3に示すように、下部背シェル板9の左右両側縁には上向きに突出したサイドリブ68が形成されており、サイドリブ68の前端にヒンジ部14が繋がっている。サイドリブ68の補強効果により、下部背シェル板9は剛性が高くなっている。ヒンジ部14は座シェル板8の後端より手前に位置しているので、サイドリブ68も座シェル板8の後端より手前に延びている。
【0038】
例えば図9に示すように、下部背シェル板9と上部背シェル板10との背面には縦横に延びる多数の補強リブ69が形成されており、補強リブ69で囲われた多くの部位に窓穴70が空いている。既述のとおり、上下の背シェル板9,10にはその前面と裏面との両方に、発泡ウレタン等のクッション12,11がインサート成形されているが、インサート成形に際して、樹脂材料は窓穴70を通って背シェル板9,10の裏に回り込む。
【0039】
上部背シェル板10の下面と下部背シェル板9の上面とにはそれぞれ重合部リブ板71,72が形成されており、上部背シェル板10の下面には、左右中間部に位置したセンター係合突起73と、左右両端部に位置したサイド係合突起74と、センター係合突起73とサイド係合突起74との間に位置した中間位置決め突起75とが下向きに突設されている。
【0040】
一方、下部背シェル板9の上部には、センター係合突起73が嵌まるセンターポケット部76と、サイド係合突起74が嵌まるサイドポケット部77と、中間位置決め突起75が嵌まる中間ポケット部78とが上向きに開口した状態に形成されている。図10に示すように、センター係合突起73には斜め上向きに突出した係合爪73aが形成されており、これがセンターポケット部76に設けたセンター係合穴76aに下方から引っ掛かり係合している。
【0041】
同様に、サイド係合突起74には斜め上向きに突出した係合爪74aが形成されており、この係合爪74aが、サイドポケット部77に設けたサイド係合穴77aに下方から引っ掛かり係合している。センター係合突起73は後ろ側に向けて倒れた姿勢であり、サイド係合突起74は手前側に向けて倒れた姿勢である。
【0042】
下部背シェル板9の重合部リブ板72は、正面視でその中間部を含んだ相当範囲が下向きに凹んだ形状になっており、他方、上部背シェル板10の重合部リブ板71はその左右中間部を含んだ相当範囲が下向きに突出した形状になっている。すなわち、上下背シェル板9,10の合わせ面は正面視で凹凸状態になっている。そして、下部背シェル板9における重合部リブ板72の凹部72aの内側面72bは傾斜しており、中間ポケット部78は凹部72aの底面72cと傾斜状内側面71bとに跨がった状態に形成されている。他方、上部背シェル板10における重合部リブ板71の凸部71aの外側面72bも傾斜しており、中間位置決め突起75は凸部71aの下面71cと傾斜状外側面71bとに跨がった状態に形成されている。
【0043】
例えば図11(A)に示すように、下部背シェル板9の下部は平面視で前向き凹状に凹んでおり、そこで、下部背シェル板9の下部に配置された補強板31も平面視で前向き凹状に屈曲している。すなわち、補強板31のうちその中間部を含むかなりの範囲は平面視で左右横長の直線状に延びる基部になっているが、左右両端寄りのある程度の範囲は手前側に曲がった傾斜部31aとなっており、更に、傾斜部31aの先端には平面視で左右横長のエンド部31bが形成されている。そして、エンド部31bにバーリング部32が前向き突設されており、バーリング部32に形成した雌ねじにねじ29が後ろからねじ込まれている。
【0044】
図9〜11に示すように、上部背シェル板10には、背支柱27のボス部28が嵌まる受け座79が形成されている。また、背支柱27のうちボス部28の箇所の背面には、ねじ29の頭が入り込む座ぐり穴80が形成されている。そして、座ぐり穴80及びねじ29の頭は肘カバー34の後ろ壁34aで覆われている。このため、美観の悪化を防止できる。
【0045】
図2(A)に示すように、背支柱27の前面のうち上下略中間高さ位置には、側面視で上向き鉤状の下部係合爪81を突設している。他方、図9に示すように、下部背シェル板9の裏面には、下部係合爪81に上から嵌まり込む上向き開口のポケット状の下部受け部82を形成している。下部受け部82は表皮材13を突き抜けた状態で後ろに露出している。
【0046】
(4).クッション・表皮材
次に、クッション11,12と表皮材13とを補足説明する。既述のとおり、上部背シェル板10と下部背シェル板9とは凹凸を持って噛み合っているが、上下のクッション11,12も上下シェル板9,10の形状に揃っているため凹凸を持って噛み合っている。また、既述のとおり、座シェル板8と下部背シェル板9とが下部クッション11で一体に覆われている。すなわち、スリット15を跨がった状態で下部クッション11が前後に広がっている。
【0047】
表皮材13の大まかな展開図を図13(B)で示している。表皮材13は、座1の部分を構成する平シート部13aと、背もたれ2の部分を構成する袋状部13bとが一体に連続している。平シート部13aの前端縁と左右両端縁と袋状部13bの下端縁とにはそれぞれ樹脂シート製の細長い縁部材86が縫着等によって固定されている。縁部材86には飛び飛びで複数個の穴87が空いている一方、座シェル板8の下面には、縁部材86の穴87が入り込む鉤状の係合爪88を突設している。
【0048】
表皮材13も背座一体方式であり、座1を構成する部分と背凭もたれ2を構成する部分とが側面視で屈曲しているため、弛みを生じやすい。そこで、表皮材13のうち座1と背もたれ2との接続部に位置した箇所と背もたれ2の上部に位置した部位とに、それぞれ引き込み用シート材89を縫着等で固定し、これを下部背シェル板9に取り付けている。従って、引き込み用シート材89を設けている箇所では、クッション11,12には切り込みが形成されている。
【0049】
図12(C)(D)に示すように、上部背シェル板10には、引き込み用シート材89が表面側から挿入される横長溝90(図2(A)も参照)を形成しており、横長溝90に、引き込み用シート材89に設けた穴91に嵌まる係合爪92を設けている。
【0050】
図11(B)に示すように、表皮材13には、受け座79に嵌まるリング状樹脂板83を縫着等で一体に設けている。このため、表皮材13は正確に位置決めされている。なお、図11(A)ではリング状樹脂板83は表示していないが、実際には、受け座79とボス部28との間にリング状樹脂板83及び表皮材13が介在している。
【0051】
(5).まとめ
着座した人が背もたれ2にもたれ掛かると、背もたれ2はばね21に抗して支軸19を中心に後傾すると共に、座1は連結ピン26で後ろに引っ張られて後退動する。この場合、座1の後端と下部背シェル板9の前端との間にスリット15が形成されているため、下部背シェル板9は座シェル板8の後端に対して下降動することが許容されており、これにより、背もたれ2のロッキングが支障なく行われる。特に、ヒンジ部14は座シェル板8の後端よりかなり手前に位置しているため、背もたれ2の後傾動が無理なく行われる。
【0052】
さて、クッションは座シェル板8と下部背シェル板9との間で分離することも可能であるが、この場合は、椅子を使用しているうちに上下シェル板11,12の境界に厚さ方向のずれ(段差)が発生して体裁が悪くなるおそれがある。これに対して本実施形態では、下部クッション11は座シェル板8と下部背シェル板9とに跨がった状態に形成されているため、使用し続けても座1と背もたれ2との境界部に段差が発生することはなくて、品質に優れている。
【0053】
クッション11,12はシェル板8,9,10にインサート成形されるので、補強板31は予め上部背シェル板10に装着している。この場合、補強板31は、上部背シェル板10に設けた突起と補強板31に設けた穴との嵌め合わせにより、正確に位置決めされている。また、図11(B)を参照して説明したように、表皮材13には上部背シェル板10の受け座79に嵌まるリング状樹脂板83を一体に設けているため、表皮材13の後部は上部背シェル板10に正確に位置決めされる。上部背シェル板10と下部背シェル板9とを凹凸を持って重ね合わせると、上下背シェル板10,9は高さを変えた位置で連結されるため、連結強度を向上できる利点がある。
【0054】
さて、図12(A)に矢印Aで示すように、引き込み用シート材89による引っ張りによって下部クッション11にもテンションが掛かる。この場合、図12(A)に一点鎖線94で示すように、上下クッション11,12の境界面を一直線状に形成していると、引き込み用シート材89の引っ張りによって下部クッション11の左右端部が下向きに引かれる現象が発生して表皮材13との間に隙間が空き、このため、表皮材13に皺が発生しり凹みが発生したりすることがある。
【0055】
この点、実施形態のように下部クッションの左右側部を上向き突出させると、引き込み用シート材89の引っ張りによって下部クッション11の左右側部11aに引っ張り力が作用しても、下部クッション11の左右側部は変形しにくくなるため、視認できるほどの変形は発生せず、このため体裁がよい。なお、引き込み用シート材89の周囲の箇所で表皮材13は強く引っ張られるため皺がよりやすいが、この皺の発生は、引き込み用シート材89の周囲の箇所にウレタンテープを貼ることで解消できる(変形しにくくして、表皮材13の追従変形を抑制できる。)。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本願発明の実施品は実際に製造可能である。従って、産業上利用できる。
【符号の説明】
【0057】
1 座
2 背もたれ
3 身体受け部
6 ベース
7 背フレーム 8 座シェル板
9 下部背シェル板
10 上部背シェル板
11 下部クッション
12 上部クッション
13 表皮材
14 ヒンジ部
15 スリット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一体に繋がった外観を呈する座と背もたれとを有しており、前記座は樹脂製の座シェル板にクッションを張った構造で、前記背もたれは樹脂製の背シェル板にクッションを張った構造であり、前記座のクッションと背もたれのクッションとは一体に連続した表皮材で覆われている椅子であって、
前記背もたれのシェル板は、別体に製造されて互いに連結された上部背シェル板と下部背シェル板とで構成されており、前記下部背シェル板の前面と前記座シェル板の上面とは一連に延びる下部クッションで覆われ、前記上部背シェル板の前面は上部クッションで覆われている、
椅子。
【請求項2】
前記座シェル板の後端と前記下部背シェル板の下端との間には、左右横長でかつ左右両端部は手前に延びた形状のスリットが形成されており、前記スリットの左右両端の外側部位が屈曲可能なヒンジ部になっており、かつ、前記下部クッションはインサート成形されており、前記スリットを貫通した状態で座シェル板及び下部背シェル板の裏側に広がっている、
請求項1に記載した椅子。
【請求項3】
前記下部背シェル板及び下部クッションの上面は、正面視で左右中央部は低くて左右側部は高くなった凹形である一方、前記上部背シェル板及び上部クッションの下面は、正面視で左右中央部は低くて左右側部は高くなった下向き凸形になっており、下部背シェル板及び下部クッションと上部背シェル板及び上部クッションとの凹凸が互いに嵌まり合っている、
請求項1又は2に記載した椅子。
【請求項4】
前記表皮材は、前記座を構成する平シート部と前記シェル板及び背クッションに上から被さる袋状部とを有していて両者は一体に繋がっており、前記平シート部の前縁及び左右側縁と前記袋状部の下端縁とに細幅テープ状の縁部材が固定されており、前記縁部材を座シェル板の下面に係止している、
請求項1〜3のうちのいずれかに記載した椅子。
【請求項1】
一体に繋がった外観を呈する座と背もたれとを有しており、前記座は樹脂製の座シェル板にクッションを張った構造で、前記背もたれは樹脂製の背シェル板にクッションを張った構造であり、前記座のクッションと背もたれのクッションとは一体に連続した表皮材で覆われている椅子であって、
前記背もたれのシェル板は、別体に製造されて互いに連結された上部背シェル板と下部背シェル板とで構成されており、前記下部背シェル板の前面と前記座シェル板の上面とは一連に延びる下部クッションで覆われ、前記上部背シェル板の前面は上部クッションで覆われている、
椅子。
【請求項2】
前記座シェル板の後端と前記下部背シェル板の下端との間には、左右横長でかつ左右両端部は手前に延びた形状のスリットが形成されており、前記スリットの左右両端の外側部位が屈曲可能なヒンジ部になっており、かつ、前記下部クッションはインサート成形されており、前記スリットを貫通した状態で座シェル板及び下部背シェル板の裏側に広がっている、
請求項1に記載した椅子。
【請求項3】
前記下部背シェル板及び下部クッションの上面は、正面視で左右中央部は低くて左右側部は高くなった凹形である一方、前記上部背シェル板及び上部クッションの下面は、正面視で左右中央部は低くて左右側部は高くなった下向き凸形になっており、下部背シェル板及び下部クッションと上部背シェル板及び上部クッションとの凹凸が互いに嵌まり合っている、
請求項1又は2に記載した椅子。
【請求項4】
前記表皮材は、前記座を構成する平シート部と前記シェル板及び背クッションに上から被さる袋状部とを有していて両者は一体に繋がっており、前記平シート部の前縁及び左右側縁と前記袋状部の下端縁とに細幅テープ状の縁部材が固定されており、前記縁部材を座シェル板の下面に係止している、
請求項1〜3のうちのいずれかに記載した椅子。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−63178(P2013−63178A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−203609(P2011−203609)
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【出願人】(000139780)株式会社イトーキ (833)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【出願人】(000139780)株式会社イトーキ (833)
【Fターム(参考)】
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