説明

植付け方法並びに植付け機

【課題】サトウキビなどの苗や種キビ等を植え付ける際に、硬い土壌でも確実に孔開けして、苗や種類を落下供給可能な植付け方法並びに植付け機を実現する。
【解決手段】鉛直のガイド筒中のオーガーの軸がガイド筒天板を貫通し、オーガーのスクリュー部上端によって、ガイド筒が下降不能に支持された状態で、オーガーと共に上昇・下降できるため、オーガーが掘削後に上昇し復帰する際に、スクリュー部上端でガイド筒天板を押し上げて、地面からガイド筒が上昇するので、その下側から掘削孔中に苗や種類を供給し、植付けできる。また、ガイド筒天板より上側でオーガー軸に押し下げ部材を有しているため、スクリュー部で土壌に掘削すると同時に、ガイド筒を押し下げて掘削孔中に押し込んで、ガイド筒側壁の窓孔から苗や種類を挿入して植付けでき、掘削孔が崩れるのを、掘削孔中のガイド筒で防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばサトウキビなどの苗や種キビ等を植え付ける際に、土壌に容易に孔開けしてその中に落下供給可能な植付け方法並びに植付け機に関する。
【背景技術】
【0002】
サトウキビの栽培は、苗を春に植える春植えと、夏に植える夏植えと、1〜3月に収穫した後の株から萌芽を促す株出しという三つの栽培法が一般的である。ところが、いずれの場合でも、いろいろな原因で、順調に発芽せず、収穫に至らない部分が発生する。このような欠株の発生は比較的多く、減収に響くため、サトウキビ農家にとって頭痛の種である。したがって、欠株の部分を補植する必要があるが、広い圃場で人手で補植するのは重労働である。サトウキビ農家の高齢化による人手不足が深刻な課題となっている現状では、補植作業の機械化ないし軽便化は緊急課題である。
【0003】
小規模なサトウキビ農家でも比較的容易に採用可能な補植手段として、穿孔器で圃場に孔開けして苗や種キビを一つずつ落とし込む手法が考えられる。このような機器として、特許文献1で開示されているように、下端が下方に向かうくちばし状の孔開け体を下降させて土壌に挿入した状態で、くちばし状部を地中で開いて、苗を落下供給する構造が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−271253
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、沖縄の場合は、圃場の土壌が硬いために、地中でくちばし状部を開いて孔開けすることは困難である。そのため、硬い土壌でも確実に孔開けして、苗や種キビを落下供給することが可能な手法が必要となる。
本発明の技術的課題は、このような問題に着目し、硬い土壌でも確実に孔開けして、苗や種類を落下供給可能な手法を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の技術的課題は次のような手段によって解決される。請求項1は、トラクターなどの自走機に搭載又は牽引させて、油圧シリンダーや空圧シリンダー、油圧モータ等の機械力で、穿孔手段を地中に下降進入させて穿孔した後、地上に上昇復帰させてから、当該穿孔中に苗や種類を落下供給することを特徴とする植付け方法である。
このように、トラクターなどの自走機に搭載又は牽引させて、油圧シリンダーや空圧シリンダー、油圧モータ等の機械力で、薬莢状やオーガー等の穿孔手段を地中に下降進入させて穿孔した後、地上に上昇復帰させるので、硬い土壌でも容易にかつ確実に孔開けして、その中に苗や種類を落下供給することによって、苗や種類の植付けが容易になる。
【0007】
請求項2は、機械力による上下駆動部に連結された鉛直筒の下部に配設した穿孔体が押し下げられて穿孔し、次いで地面上に上昇復帰した後に、人力で又は自動的に前記鉛直筒の下から穿孔体を退避させて鉛直筒の下部開口を開放し、苗や種類を鉛直筒中に挿入して穿孔中に落下供給することを特徴とする請求項1に記載の植付け方法である。
このように、機械力による上下駆動部に連結された鉛直筒の下側の穿孔体が下降して穿孔し、次いで地上に上昇復帰すると、土壌への孔開けが完了する。次いで、人力で又は自動的に前記鉛直筒の下から穿孔体を退避させると、鉛直筒の下部が開放されるので、苗や種類を鉛直筒中に落とし込めば、土壌に穿孔された穿孔中に落下供給されて、植付け完了となる。なお、腰掛けている作業者が両足で、周りの土をその上にかけるのがよい。
【0008】
請求項3は、鉛直状態のガイド筒中のオーガーが回転している状態で、オーガー軸でガイド筒の下部が掘削孔中に押し込まれ、掘削後にオーガーが上昇退避した状態で、ガイド筒側面の窓孔からガイド筒中に苗や種類を落下供給してから、ガイド筒を掘削孔から引き上げることを特徴とする請求項1に記載の植付け方法である。
このように、鉛直状態のガイド筒中のオーガーが回転している状態で、オーガー軸でガイド筒の下部が掘削孔中に押し込まれ、掘削後にオーガーが上昇退避するので、退避状態で、ガイド筒側面の窓孔からガイド筒中に苗や種類を落下供給し植付けできる。植付け後に、オーガー軸で掘削孔からガイド筒を引き上げ、元に戻る。
【0009】
請求項4は、鉛直状態のガイド筒中のオーガーの軸がガイド筒天板を貫通し、オーガーのスクリュー部上端又は押し上げ部材によって、ガイド筒が下降不能に支持された状態で、オーガーと共に下降でき、
オーガーが掘削後に上昇し復帰する際に、スクリュー部上端又は押し上げ部材でガイド筒天板を押し上げて、地面からガイド筒を上昇させ、その下側から掘削孔中に苗や種類を供給することを特徴とする請求項1に記載の植付け方法。
このように、鉛直状態のガイド筒中のオーガーの軸がガイド筒天板を貫通し、オーガーのスクリュー部上端又は押し上げリングによって、ガイド筒が下降不能に支持された状態で、オーガーと共に下降できるので、オーガーが掘削後に上昇し復帰する際に、スクリュー部上端又は押し上げリングでガイド筒天板を押し上げて、地面からガイド筒を上昇させ、その下側から掘削孔中に苗や種類を供給することができる。従って、ガイド筒下部を掘削孔中に押し込む必要がない。
【0010】
請求項5は、請求項1、2の植付け方法を実施する装置であって、油圧シリンダー等の機械力で上下動される鉛直筒の下部に穿孔体を配設すると共に、水平軸の回りに回動可能に軸支してあり、
穿孔体を地中に圧入して穿孔し、かつ地上に上昇復帰した時点で、穿孔体が鉛直筒の下から回動退避可能に支持されていて、
苗や種類を落とし込む鉛直筒が開放される構造となっていることを特徴とする植付け機である。
このように、油圧シリンダーや油圧モータ等の機械力で上下動される鉛直筒の下部に穿孔体を配設してあるので、油圧力で穿孔体を土壌中に圧入して土壌に植付け孔を容易に穿孔できる。穿孔体が穿孔して地上に上昇すると、手足などによる操作力を受けて又は自動的に、軸支状態の穿孔体が水平軸の回りに回動して鉛直筒の下から回動退避し、鉛直筒が開放されるので、上端から苗や種類を落とし込むと、穿孔された植込み孔に落下し、植付け完了となる。
【0011】
請求項6は、前記穿孔体の下部は流線型に尖っており、
軸支状態の穿孔体がコイルバネなどの復帰手段で自動的に鉛直筒の下端に復帰する構造であり、
鉛直筒の真下から穿孔体を退避させるには、前記の軸支部から延びた退避レバーの足踏み駆動若しくは操作レバーの手動操作、又は上昇復帰動作と連動して自動的に退避させる構造であることを特徴とする請求項5に記載の植付け機である。
このように、前記穿孔体の下部は流線型に尖っているので、機械力で土壌中に圧入すれば、硬い土壌でも容易に孔開けできる。孔開け後に鉛直筒の下側の穿孔体を退避させるには、軸支部から延びた退避レバーの足踏み駆動若しくは操作レバーの手動操作によって、又は上昇復帰動作と連動して自動的に退避させる。退避させて鉛直筒を開放し、肥料や農薬、苗や種類を上端から落とし込んだら、前記の操作力を開放すると、軸支状態の穿孔体がコイルバネなどの復帰手段で自動的に鉛直筒の下端に復帰して、初期状態に戻る。
【0012】
請求項7は、トラクター後部の昇降手段で搭載又はトラクターを含む自走機で牽引される従動本体に、前記植付け機の鉛直筒と、前記鉛直筒を操作する上下駆動用シリンダーと、植付けフレームとをそれぞれ取付け搭載すると共に、植付けフレームに、苗や種類の積載部と作業者の腰掛け手段とを取付けてあることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の植付け機である。シリンダーの駆動圧は、油圧でも圧縮空気圧でもよい。空気圧シリンダーの場合は、コンプレッサーを搭載することは言うまでもない。
このように、トラクター後部の昇降手段に搭載したり、自走機で牽引される従動本体に、前記植付け機の鉛直筒を取付けると共に、前記鉛直筒を操作する上下駆動用シリンダーを装備するので、トラクターや自走機から供給される油圧力や空気圧力で穿孔体を駆動して、容易にかつ確実に植付け孔を開けることができる。また、従動本体に取付けた植付けフレームに、苗や種類の搭載部と作業者の腰掛け手段とを取付けてあるので、作業者は腰掛けた状態で連続的かつ能率的に植付け作業が可能となる。
【0013】
請求項8は、鉛直筒を上下動させる油圧シリンダーとこの油圧シリンダーを操作する操作レバーを有し、
前記鉛直筒の上昇復帰時に、穿孔体を退避させる退避レバーがフレーム下面に当たる構造となっており、
肥料ホッパーおよび/又は農薬ホッパーより下部に、スイッチ操作やレバー操作で開閉されて落下供給する電動又は油圧式の開閉部を有していることを特徴とする請求項5、請求項6又は請求項7に記載の植付け機である。
このように、鉛直筒を上下動させる油圧シリンダーとこの油圧シリンダーを操作する操作レバーを有しているので、鉛直筒および穿孔体は、油圧で上下動される、省力化される。前記鉛直筒の上昇復帰時に、穿孔体を退避させる退避レバーがフレームなどの従動本体側の下面に当たるため、鉛直筒を開口するための退避レバー操作も自動化される。また、肥料ホッパーおよび/又は農薬ホッパーより下部に、スイッチやレバーの操作で開閉されて、肥料および/又は農薬を落下供給する電動又は油圧式の開閉部を有しているため、土壌に穿孔後にスイッチやレバーを操作するだけで、肥料や農薬が自動的に落下し、植付け孔中に供給される。
【0014】
請求項9は、穿孔体の流線型又はテーパ状の部分の外面に半径方向の羽根を複数固設すると共に、その外端を前記の流線型又はテーパ状部と同じ方向に傾斜させてあることを特徴とする請求項5から請求項8までのいずれかに記載の植付け機である。
このように、穿孔体の流線型又はテーパ状の部分の外面に半径方向の羽根を複数固設すると共に、その外端を流線型又はテーパ状部と同じ方向に傾斜させてあるため、穿孔体の流線型又はテーパ状の部分が土壌中に進入する前に、複数の半径方向の羽根が先に土壌中に進入して、硬い土壌を割るので、流線型やテーパ状の部分が土壌中に進入し易くなる。複数の半径方向の羽根は、流線型やテーパ状の部分よりも土壌中に進入し易い。
【0015】
請求項10は、鉛直状態のガイド筒中のオーガーの軸がガイド筒天板を貫通し、オーガーのスクリュー部上端又はリング状などの押し上げ部材によって、ガイド筒が下降不能に支持された状態で、オーガーと共に上昇・下降できる構造であることを特徴とする植付け機である。
このように、鉛直状態のガイド筒中のオーガーの軸がガイド筒天板を貫通し、オーガーのスクリュー部上端又は押し上げ部材によって、ガイド筒が下降不能に支持された状態で、オーガーと共に上昇・下降できるため、オーガーが掘削後に上昇し復帰する際に、スクリュー部上端又は押し上げリングでガイド筒天板を押し上げて、地面からガイド筒が上昇するので、その下側から掘削孔中に苗や種類を供給し、植付けできる。
【0016】
請求項11は、ガイド筒天板より上側でオーガー軸に、リング状などの押し下げ部材を有していて、ガイド筒を押し下げ可能であり、ガイド筒の側壁に窓孔を開けてあることを特徴とする請求項10に記載の植付け機である。
このように、ガイド筒天板より上側でオーガー軸に押し下げ部材を有していて、ガイド筒を押し下げ可能なため、スクリュー部で土壌に掘削すると同時に、ガイド筒を押し下げて掘削孔中に押し込んで、ガイド筒の側壁に開けた窓孔から苗や種類を挿入して植付けでき、掘削孔が崩れるのを、掘削孔中のガイド筒で防止できる。また、スクリュー上の掘削土は、遠心力で、ガイド筒の窓孔から外部に放出される。
【発明の効果】
【0017】
請求項1のように、トラクターなどの自走機に搭載又は牽引させて、油圧シリンダーや空圧シリンダー、油圧モータ等の機械力で、薬莢状やオーガー等の穿孔手段を地中に下降進入させて穿孔した後、地上に上昇復帰させるので、硬い土壌でも容易にかつ確実に孔開けして、その中に苗や種類を落下供給することによって、苗や種類の植付けが容易になる。
【0018】
請求項2のように、機械力による上下駆動部に連結された鉛直筒の下側の穿孔体が下降して穿孔し、次いで地上に上昇復帰すると、土壌への孔開けが完了する。次いで、人力で又は自動的に前記鉛直筒の下から穿孔体を退避させると、鉛直筒の下部が開放されるので、苗や種類を鉛直筒中に落とし込めば、土壌に穿孔された穿孔中に落下供給されて、植付け完了となる。
【0019】
請求項3のように、鉛直状態のガイド筒中のオーガーが回転している状態で、オーガー軸でガイド筒の下部が掘削孔中に押し込まれ、掘削後にオーガーが上昇退避するので、退避状態で、ガイド筒側面の窓孔からガイド筒中に苗や種類を落下供給し植付けできる。植付け後に、オーガー軸で掘削孔からガイド筒を引き上げ、元に戻る。
【0020】
請求項4のように、鉛直状態のガイド筒中のオーガーの軸がガイド筒天板を貫通し、オーガーのスクリュー部上端又は押し上げリングによって、ガイド筒が下降不能に支持された状態で、オーガーと共に下降できるので、オーガーが掘削後に上昇し復帰する際に、スクリュー部上端又は押し上げリングでガイド筒天板を押し上げて、地面からガイド筒を上昇させ、その下側から掘削孔中に苗や種類を供給することができる。従って、ガイド筒下部を掘削孔中に押し込む必要がない。
【0021】
請求項5のように、油圧シリンダーや油圧モータ等の機械力で上下動される鉛直筒の下部に穿孔体を配設してあるので、油圧力で穿孔体を土壌中に圧入して土壌に植付け孔を容易に穿孔できる。穿孔体が穿孔して地上に上昇すると、手足などによる操作力を受けて又は自動的に、軸支状態の穿孔体が水平軸の回りに回動して鉛直筒の下から回動退避し、鉛直筒が開放されるので、上端から苗や種類を落とし込むと、穿孔された植込み孔に落下し、植付け完了となる。
【0022】
請求項6のように、前記穿孔体の下部は流線型に尖っているので、機械力で土壌中に圧入すれば、硬い土壌でも容易に孔開けできる。孔開け後に鉛直筒の下側の穿孔体を退避させるには、軸支部から延びた退避レバーの足踏み駆動若しくは操作レバーの手動操作によって、又は上昇復帰動作と連動して自動的に退避させる。退避させて鉛直筒を開放し、肥料や農薬、苗や種類を上端から落とし込んだら、前記の操作力を開放すると、軸支状態の穿孔体がコイルバネなどの復帰手段で自動的に鉛直筒の下端に復帰して、初期状態に戻る。
【0023】
請求項7のように、トラクター後部の昇降手段に搭載したり、自走機で牽引される従動本体に、前記植付け機の鉛直筒を取付けると共に、前記鉛直筒を操作する上下駆動用シリンダーを装備するので、トラクターや自走機から供給される油圧力や空気圧力で穿孔体を駆動して、容易にかつ確実に植付け孔を開けることができる。また、従動本体に取付けた植付けフレームに、苗や種類の搭載部と作業者の腰掛け手段とを取付けてあるので、作業者は腰掛けた状態で連続的かつ能率的に植付け作業が可能となる。
【0024】
請求項8のように、鉛直筒を上下動させる油圧シリンダーとこの油圧シリンダーを操作する操作レバーを有しているので、鉛直筒および穿孔体は、油圧で上下動される、省力化される。前記鉛直筒の上昇復帰時に、穿孔体を退避させる退避レバーがフレームなどの従動本体側の下面に当たるため、鉛直筒を開口するための退避レバー操作も自動化される。また、肥料ホッパーおよび/又は農薬ホッパーより下部に、スイッチ操作やレバー操作で開閉されて、肥料および/又は農薬を落下供給する電動又は油圧式の開閉部を有しているため、土壌に穿孔後にスイッチやレバーを操作するだけで、肥料や農薬が自動的に落下し、植付け孔中に供給される。
【0025】
請求項9のように、穿孔体の流線型又はテーパ状の部分の外面に半径方向の羽根を複数固設すると共に、その外端を流線型又はテーパ状部と同じ方向に傾斜させてあるため、穿孔体の流線型又はテーパ状の部分が土壌中に進入する前に、複数の半径方向の羽根が先に土壌中に進入して、硬い土壌を割るので、流線型やテーパ状の部分が土壌中に進入し易くなる。複数の半径方向の羽根は、流線型やテーパ状の部分よりも土壌中に進入し易い。
【0026】
請求項10のように、鉛直状態のガイド筒中のオーガーの軸がガイド筒天板を貫通し、オーガーのスクリュー部上端又は押し上げ部材によって、ガイド筒が下降不能に支持された状態で、オーガーと共に上昇・下降できるため、オーガーが掘削後に上昇し復帰する際に、スクリュー部上端又は押し上げリングでガイド筒天板を押し上げて、地面からガイド筒が上昇するので、その下側から掘削孔中に苗や種類を供給し、植付けできる。
【0027】
請求項11のように、ガイド筒天板より上側でオーガー軸に押し下げ部材を有していて、ガイド筒を押し下げ可能なため、スクリュー部で土壌に掘削すると同時に、ガイド筒を押し下げて掘削孔中に押し込んで、ガイド筒の側壁に開けた窓孔から苗や種類を挿入して植付けでき、掘削孔が崩れるのを、掘削孔中のガイド筒で防止できる。また、スクリュー上の掘削土は、遠心力で、ガイド筒の窓孔から外部に放出される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】圧入式の植付け機の概要を説明する側面図である。
【図2】図1の植付け機の斜視図である。
【図3】穿孔体の退避動作を示す斜視図である。
【図4】植付け機を小型トラクターに搭載した状態の斜視図である。
【図5】穿孔体の退避動作を自動化した斜視図である。
【図6】オーガー穿孔機の分解正面図である。
【図7】オーガーをガイド筒中に収納した状態の正面図である。
【図8】ガイド筒が下降して下端が土壌に接した状態の正面図である。
【図9】スクリュー下端が土壌に突き刺さって回転している状態の正面図である。
【図10】スクリュー部で土壌を掘削し始めた状態の正面図である。
【図11】ガイド筒下部が掘削孔中に押し込まれた状態の正面図である。
【図12】スクリュー上の掘削土が窓孔から放出されている状態の正面図である。
【図13】スクリュー部がガイド筒上部に退避し、窓孔から苗や種類を挿入可能となった状態の正面図である。
【図14】苗や種類の挿入専用の鉛直筒をオーガー穿孔機と併設した状態の正面図である。
【図15】半径方向の羽根付きの穿孔体の側面図
【発明を実施するための形態】
【0029】
次に本発明による植付け方法並びに植付け機が実際上どのように具体化されるか実施形態を説明する。図1は植付け機の概要を説明する側面図で、土壌Sに孔開けする穿孔体1の上に、別体の鉛直筒2が載っている。この鉛直筒2の側面に取付け固定された横向きの四角筒状枠3中に挿入された上下作動体4がピン止めされている。図2(斜視図)のように、鉛直筒2の側面に固定された2本の支持アーム5・5の横孔に挿通された回動軸6に、鉛直方向の縦連結部材7を介して穿孔体天盤8を連結固定してある。また、回動軸6から水平方向に延ばした退避レバー9先端に取付けた引っ張りコイルバネ10の他端を、前記回動軸6の上側において鉛直筒2に固定した取付け板11に引っ掛けてある。
【0030】
前記上下作動体4は、油圧シリンダーのピストンロッドで矢印a1のように上下駆動されるが、穿孔体1と一体の天盤8が連結部材7と退避レバー9とでコ字状に形成され、通常は、引っ張りコイルバネ10で退避レバー9先端が上方に引っ張られているので、穿孔体天盤8が鉛直筒2の下端に圧接すると共に、穿孔体1も鉛直状態である。
いま、油圧シリンダーのピストンロッドで上下作動体4を下向きに押すと、鉛直筒2によって天盤8と穿孔体1も押し下げられるため、穿孔体1の下部が土壌S中に圧入されて、植付け孔が開けられる。少ない抵抗で孔開けできるように、穿孔体1の先端(下端)は流線型に尖って、薬莢状を呈している。
所定の深さまで孔開けされたら、油圧シリンダーのピストンロッドで鉛直筒2が持ち上げられるため、鉛直筒2に取付けられている穿孔体1は、引っ張りコイルバネ10のバネ力で鉛直筒2下端に圧接したまま上昇し、元の高さに復帰する。
【0031】
次いで、図3のように、引っ張りコイルバネ10の張力に抗して、退避レバー9の先端を足で押し下げると、コ字状の退避レバー9と連結部材7と天盤8が一体となって、回動軸6を中心にして左回転する。その結果、天盤8と一体の穿孔体1も左回転して、鉛直筒2の下側から退避し、鉛直筒2の下部開口が開放される。
この状態で、鉛直筒2の上端開口に肥料12を投入すると、先に開けた植付け孔h中に落下する。次いで、同じ要領でサトウキビの苗13を投入すると、植付け孔h中の肥料の上に落下し、植付け完了となる。作業者は退避レバー9の足踏みを止めて、穿孔体1を復帰バネ10のバネ力で元の鉛直状態に戻すと共に、両足で周りの土壌を植付け孔h中の苗13の周囲にかけると、より完璧である。
【0032】
図示例では、退避レバー9の先端を足で踏んで、鉛直筒2の下側から穿孔体1を退ける構造であるが、足踏み式に代わって、退避レバー9の先端を上向きに立てた操作レバーを手動操作することによって、鉛直筒2下端の開口を開放することもできる。あるいは、図5のように、鉛直筒2の上昇復帰動作と退避レバー9を連動させることで、自動的に穿孔体1を退避させることもできる。なお、図1のように、引っ張りコイルバネ10の他端を引っ掛ける取付け板11の取付け位置を、鎖線11aや11bで示すように高くすることで、退避レバー9先端をより上方から引っ張ってもよい。
【0033】
図3では、穿孔体1が斜めに退避しているため、鉛直筒2を地面近くまで下降できないが、退避レバー9と引っ張りコイルバネ10を図1の鎖線9a、10aのように、上向きの角度にすると、足踏みした際の穿孔体1を水平位置まで退避上昇させることで、鉛直筒2下端を地面近くまで下降できる。その結果、鉛直筒2上端から肥料や苗などを投入した際に確実に植付け孔h中にガイドでき、鉛直筒2下端と植付け孔hとの位置ずれを防止できる。なお、鉛直筒2の内径が例えば7cm、穿孔体1の外径が7〜8cm、高さが23cm程度であるが、用途に応じて任意寸法に設定できる。穿孔体1は中空形状でも中実の円柱でもよい。
【0034】
土壌が硬過ぎて、図示のような薬莢状の穿孔体1では圧入が困難な場合は、図15のように、薬莢状の流線型部の先端に小径の円柱状の芯1cを固設すると共に、両者の外面に半径方向の羽根(フィン)1fを例えばY字状や十字状に複数枚固定し、しか円柱状芯1cは先端を尖らせておく。半径方向の羽根1fの下側は、前記の流線型部と同じ方向に傾斜させて、土壌中に進入し易くしてあり、しかも、傾斜部の外端縁を山状に尖らせて、更に進入し易くしてある。穿孔体1の薬莢状の流線型部は、テーパ状でも可能である。このとき、テーパ角度を段階的に変化させて、流線型に近づけてもよい。なお、複数枚の羽根1fは鉄板を溶接するだけで足りる。
隣接する羽根1f・1f間に、上半分だけの短めの傾斜羽根を増設し、薬莢状の流線型部だけに固定しておくと、圧入時に途中から土壌の割れ目が倍増するので、穿孔体1の圧入がさらに容易になる。
【0035】
図4は、以上の植付け機を小型トラクターに連結した状態で、トラクター後部の昇降アーム14に連結した従動本体15の下部に、矩形状の植付けフレームの前フレームf1が固定されている。矩形状フレームの後部フレームf2に腰掛け17を搭載して、作業者が座れる構造になっている。矩形状フレームの左右の縦フレームf3・f4に、左右の荷台18、19を取付けてあり、その上に、植付けする苗や種類を積載する。
従動本体15の後部に立てたガイド円筒16の下端に前記の上下作動体4が固定され、後向きに延びて、前記の横向き筒状枠3中に挿入固定されている。したがって、肥料や苗類を投入する鉛直筒2は、従動本体15と後部フレームf2上の腰掛け17と左右の荷台18、19間の空間に立っている。また、腰掛け17に座っている作業者は、左右の荷台18、19と鉛直筒2間の空間から両足を垂らして、前記のように退避レバー9を足踏み操作したり、周りの土壌を苗の周りにかけたりできる。
従動本体15の左側に取付け固定されている油圧シリンダーCの下端から、図5のようにピストンロッドRが突出し、前記の上下作動体4並びにガイド円筒16下端と連結されている。このガイド円筒16は、上下2か所で前後一対のガイド輪g・g間で鉛直移動可能にガイドされているが、ガイド円筒16と前記の鉛直筒2を一体に連結してもよい。
【0036】
図5は、退避レバー9の退避操作を自動化した例の斜視図で、図4の従動本体15の背面に油圧シリンダーCとガイド筒Gを取付け固定してあり、ガイド筒G中に挿通した鉛直筒2に、油圧シリンダーCのピストンロッドRが連結されている。穿孔体1を退避させる退避レバー9は、従動本体15側に連結した水平フレームf5、すなわち従動本体15側と一体の部分の下側まで延びている。
したがって、油圧シリンダー操作レバー22を操作して、油圧シリンダーCを作動させ、ピストンロッドRで鉛直筒2を押し下げて穿孔体1で圃場に植付け孔を開けた後、油圧シリンダーCで鉛直筒2を上昇復帰させると、穿孔体1の全体が地面より上に露出した頃に、退避レバー9が水平フレームf5などの従動本体15側の下部に当たって、足踏みと同様に機能し、穿孔体1が回動軸6を支点にして図3と同様に回動退避し、鉛直筒2の下端が開口する。次いで、肥料ホッパー20中から肥料が鉛直筒2中に落下し、次いで植付け孔h中に落下供給される。また、農薬ホッパー21中から農薬が鉛直筒2中に落下し、続いて植付け孔h中に落下供給される。その後、鉛直筒2中に苗や種を供給し、植付け孔に落下させる。
【0037】
肥料ホッパー20の下部に、電動モータや電磁石などで又は油圧式に落下供給口を開閉する開閉部20mを有しており、また農薬ホッパー21の下部に、電動モータや電磁石などで又は油圧式に落下供給口を開閉する開閉部21mを有している。電動や油圧式の開閉部20m、21mを、鉛直筒2の前記のような上昇動作と連動させると、1回分の肥料や農薬を自動的に植付け孔h中に落下供給できるが、油圧シリンダー操作レバー22に又はその近傍に設けた肥料・農薬供給スイッチ23や油圧弁を手動操作して、電動又は油圧式開閉部20m、21mを開閉操作することもできる。
なお、油圧シリンダーCに代えて、空気圧シリンダー、油圧モータ等も利用可能である。自走車両としては、トラクターに代えて耕運機なども利用できる。
【0038】
以上のように、油圧シリンダー等の機械力で、尖った穿孔体を地中に下降圧入して孔開けした後、上昇復帰させながら、穿孔体を退避させて、鉛直筒中に肥料や農薬、次いで苗や種類を投入し、先に開けた植付け孔中に落下・供給するため、硬い土壌でも確実に孔開けして苗や種類を植付けでき、植付け場所を選択しながら孔開けする補植作業に好適である。
【0039】
しかしながら、夏の干ばつ時には、穿孔体を油圧で圧入不可能なほど土壌が硬化している場合も有りうる。そのような場合には、図6以下のようなスクリュー式のオーガーが好適である。
図6に示す掘削用のオーガー24は、オーガー軸25の下部にスクリュー羽根26を設けてオーガーを形成し、スクリュー軸25下端27は尖っている。スクリュー26の上端部は、ガイド筒天板を押し上げる作用を兼ねているが、破線で示すように押し上げリング28を特別に設けることもできる。
オーガー軸25には、スクリュー26から離れた位置において、押し下げリング29を有し、ガイド筒の天板を押し下げ可能となっている。
オーガー軸25は、油圧モータMの出力軸でチェーン駆動される。
【0040】
オーガー24を収納するガイド筒30は、スクリュー部26が内部で回転できる内径を有しており、上端を閉じるように固設した天板31の中央に、オーガー軸25の挿通孔32を開けてある。
ガイド筒30の側壁は、掘削土を排出したり、苗や種類を挿入するための窓孔34を開けてある。図示例では、ほぼ半分を蒲鉾状に切除して、窓孔34を形成してある。
【0041】
図7は、ガイド筒30中にオーガー24を収納した状態であり、ガイド筒天板31の前記挿通孔32中をオーガー軸25が貫通している。また、オーガースクリュー26の上端に、ガイド筒天板31が載置支持された状態である。
従って、この状態でオーガー軸25が上昇したり下降すると、ガイド筒30も一緒に上昇、下降する。
【0042】
次に、オーガーによる掘削と植付けの順序を工程順に説明する。
図7の状態において、図5のシリンダーC等でオーガー軸25を下降させると、最初に図8のように、ガイド筒30の下端が土壌Sに接する。
この状態で、オーガー軸25が更に下降すると共に掘削方向に回転駆動されるため、先ず図9のようにスクリュー軸下端27が土壌Sに突き刺さって回転するため、図10のように、スクリュー部26によって土壌Sが掘削され始める。
さらに掘削が進むと、オーガー軸25の押し下げリング29によって、ガイド筒天板31が押し下げられるため、図11のように、ガイド筒30も掘削された穿孔h中に強制的に押し込まれて、掘削完了となる。
【0043】
次にシリンダーC等でオーガー軸25が引き上げられると、図12のように、ガイド筒30は掘削孔h中に保持されたまま、オーガー軸25だけが上昇して、図12のようにスクリュー部26が窓孔34の位置に来ると、スクリュー羽根26上に載っている土が遠心力で窓孔34から外に放出される。
オーガー軸25が更に上昇すると、図13のように、スクリュー部26が窓孔34より上昇してガイド筒上部30b中に退避するので、回転の役目を完了し、モータMによる回転駆動が停止操作によって停止される。
この時点で、窓孔34から苗や種類を挿入し落下させると、ガイド筒30の下部30a中に落下する。
次いで、オーガー軸25をさらに上昇させると、スクリュー部26上端でガイド筒天板31を押し上げるため、ガイド筒30の下部30aが掘削孔h中から引き上げられて脱出し、さらに上昇して、図7のように元の状態に戻り、一連の工程を完了する。
【0044】
以上のように、掘削工程でガイド筒下部30aを掘削孔h中に押し込んだ状態で、図13の窓孔34から苗や種類を挿入し落下させると、掘削後の土崩れをガイド筒下部30aで阻止できるので、確実かつ容易に植付けできる。
降雨後のように土壌の粘性が高い場合は、掘削後の土崩れの恐れが少ないので、ガイド筒30を地面上に上昇退避させた状態で、掘削直後の穿孔h中に直接に苗や種類を挿入して植付けすることもできる。
このように穿孔h中に苗や種類を直接挿入する場合は、図7のようにガイド筒30が上昇した状態で行なうが、ガイド筒30が邪魔になるのであれば、ガイド筒30を手で持ち上げて、ガイド筒30の下側の空間を広くしてから、挿入作業をすることもできる。
【0045】
このように穿孔h中に直接に苗や種類を挿入するのであれば、ガイド筒30を図11のように掘削孔h中に押し込む必要はないので、必ずしも押し下げリング29をオーガー軸25に取付ける必要も無い。あるいは、掘削時にガイド筒30天板31に押し下げリング29が接しないように、高めの位置に取付けることで足りるし、この場合はガイド筒30を手で持ち上げて、下側の空間を拡大すれば、苗や種類を挿入し易くなる。
また、掘削時にガイド筒30を掘削孔h中に押し込む必要が無い場合は、ガイド筒30を省くことも考えられる。ガイド筒30が全く無い状態だと、掘削土の放出用の窓孔34も存在しないことになるが、掘削完了してオーガーが地上に上昇退避すると、次いでオーガーの回転を止めて植付けを行ない、次の植付け位置に移動して、前回の掘削土が付着したままのオーガーで掘削を行なうことも可能である。つまり、スクリュー部への付着土の放出処理を省くことができるが、窓孔31が無くても、放出はできる。
【0046】
土崩れの恐れが有って、図13のようにガイド筒下部30aを掘削孔h中に残したままで、その中に苗や種類を挿入する必要がある場合は、窓孔34は苗や種類の挿入用として必要であり、また掘削された土を遠心力で放出するためにも必要である。
ガイド筒30の内部でオーガーが回転するため、図10のように、ガイド筒30の内径よりわずかに小さいセンタリング用のリング33中にオーガー軸25を挿通して、常にガイド筒30の中心でオーガーが回転可能とすることで、回転時にスクリュー26がガイド筒30内面と接するのを防止するのが良い。
リング33としてベアリングを使用して、そきインナーレース中にオーガー軸25を挿通し固定すると、安定性が良い。
【0047】
このように、センタリング用のリング33を設ける場合は、図6の押し上げリング28は、センタリング用リング33より上側に設ける。押し上げリング28は、ガイド筒30の荷重を受けるので、スラストベアリングを用いるのが適しているが、センタリング用リング33に押し上げ部材28の機能を兼ねさせることも可能である。
なお、押し下げリング29は、ガイド筒の天板31を押し下げるので、スラストベアリングが好適である。
【0048】
オーガー24やガイド筒30が有ると、図4のように腰掛け17に座って、鉛直筒2の上から苗や種類を落下させたり、肥料や農薬の落下供給は不可能になる。窓孔34や掘削孔hに苗や種類を挿入するにも、かがまなければならないので、作業性が悪い。
この問題を解決するには、図14のように、図4、図5の従動本体15に回転基体35の回転中心をボルト36やピン等で回転可能に取付け支持し、回転基体35に苗や種類の挿入専用の鉛直筒2を取付けることが効果的である。
回転基体35には、油圧シリンダーCと油圧モータMが搭載されていて、油圧シリンダーCのピストンに連結された水平板37の大径孔にオーガー軸25が挿通され、水平板37の上側に引き上げリング38が、下側に押し下げリング29が有り、それぞれオーガー軸25に固定されている。引き上げリング38もスラストベアリングが適している。水平板37の大径孔は、オーガー軸25の外径より大きいので、オーガー軸25は自由に回転できる。
【0049】
回転基体35に搭載されている油圧モータMの出力軸のスプロケットとオーガー軸25を挿通したスプロケットをチェーン40で連結し、オーガーに回転力を伝達している。
オーガー軸23を挿通したスプロケットは、オーガー軸25が自由に上下動でき、しかもモータMから回転力を伝達できるように、スプロケットにキー溝を設けたり、オーガー軸25をスプライン軸にしてある。軸受け39は、スプロケットの下降防止用の受けである。
従って、図のように、オーガー軸25が鉛直状態になるように回転基体35をロックした状態で、植付け孔hの穿孔を行なう。
穿孔を終えて、穿孔hに苗や種類を挿入する際は、左側のハンドルH1を押し下げて回転基体35を角度αだけ、ボルト36を中心に左回転させて鉛直筒2を、穿孔hの真上に移動させ、ロックする。そして、鉛直筒2の上端開口から苗や種類を挿入し、穿孔h中に落下させる。鉛直筒2の側面の斜めホッパー41中に図5の肥料パイプ20pと農薬パイプ21pの下端を挿入してあるので、図5の電動開閉部20mや21mを制御して、肥料や農薬を鉛直筒2中から穿孔h中に落下させることもできる。
【0050】
肥料や農薬の落下供給と植付けが終わると、右側のハンドルH2を押し下げて回転基体35を角度αだけ右回転させて図示の元の状態に戻し、次の植付け位置に移動して次の穿孔を行なう。
このように専用の鉛直筒2を用いる場合は、ガイド筒30を穿孔h中に挿入して、その中に苗や種類を投入することが不可能となるので、折角の穿孔hが崩れ易い場合には適用困難である。
その場合は、ガイド筒30の下部30aにテーパ状の加圧部42を設けておくと、穿孔hの上部すなわち開口が外側に加圧されて押し固められるので、崩れにくくなる。加圧部42の上部を朝顔状に開いた湾曲形状にすると、掘削孔hの崩れやすい開口部が外側にかつ下向きに加圧され、しかもガイド筒30の上昇離脱後の穿孔h開口端の勾配が緩やかになるので、一層崩れにくくなる。
このような加圧によって、穿孔hの開口が朝顔状に開いた状態に押し固められるので、挿入時のガイド機能も生じ、苗や種類の挿入も容易になる。
【0051】
サトウキビの欠株の部分を補植する場合は、予め苗ポットの中で発芽させた状態のサトウキビ苗を苗ポットごと又はポットは取り外して穿孔h中に挿入し植付けする場合が多いので、ガイド筒30や鉛直筒2の内径は、苗ポットの挿入が可能な寸法に設定する必要がある。
なお、本発明は、サトウキビ苗以外の苗や種などの植付けにも適用できることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0052】
生産者の高齢化やサトウキビに関する政策支援の見直しに伴い、1人あたりの作業面積は従来よりも増大することが考えられる。人力による補植作業のスタイルは、鍬などを用いて穴を掘り、腰を屈めて植付けるため、長時間労働は困難である。従って、労働性の観点から補植機に対するニーズが生じるものと考えている。
また、平成19年度から、サトウキビ生産農家に適用されてきた最低生産者価格制度が廃止され、経営安定対策と呼ばれる新たな支援策が実施される。しかし、経営安定対策では本則要件に該当しないさとうきび生産農家は平成22年産より交付金対象から除外されるため、さとうきび作からの撤退を余儀なくされる。経営安定対策に対応するためには、現在のところ、沖縄のサトウキビ生産農家の多くが、サトウキビ生産の基幹作業である耕起・整地、株出し管理、植付、収穫作業のいずれかを受託組織などに委託しなければならないことが想定され、補植作業も例外ではないことから、受託者集団が大面積において補植作業を請け負うことと考えられる。
である。
【符号の説明】
【0053】
S 土壌
h 植付け孔
1 穿孔体
2 鉛直筒(円筒)
3 筒状枠
4 上下作動体
5 支持アーム
6 回動軸
7 縦連結部材
8 穿孔体天盤
9・9a 退避レバー
10・10a 引っ張りコイルバネ
11・11a・11b 取付け板
12 肥料
13 苗
14 昇降アーム
15 従動本体
16 ガイド円筒
g・g ガイド輪
C 油圧シリンダー
f1〜f4 矩形状の植付けフレーム
17 腰掛け
18・19 荷台
R ピストンロッド
20 肥料ホッパー
21 農薬ホッパー
20m・21m 電動又は油圧式開閉部
24 オーガー
25 オーガー軸
26 スクリュー羽根
28 押し上げ部材(リング状がよい)
29 押し下げ部材(リング状がよい)
30 ガイド筒
31 天板
32 オーガー軸の挿通孔
33 センタリング用のリング
34 窓孔
35 回転基体
36 ボルトやピン等の支軸
38 引き上げ部材(リング状がよい)
39 スプロケット受け
40 チェーン
41 斜めホッパー
H1・H2 ハンドル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラクターなどの自走機に搭載又は牽引させて、油圧シリンダーや空圧シリンダー、油圧モータ等の機械力で、穿孔手段を地中に下降進入させて穿孔した後、地上に上昇復帰させてから、当該穿孔中に苗や種類を落下供給することを特徴とする植付け方法。
【請求項2】
機械力による上下駆動部に連結された鉛直筒の下部に配設した穿孔体が押し下げられて穿孔し、次いで地面上に上昇復帰した後に、人力で又は自動的に前記鉛直筒の下から穿孔体を退避させて鉛直筒の下部開口を開放し、苗や種類を鉛直筒中に挿入して穿孔中に落下供給することを特徴とする請求項1に記載の植付け方法。
【請求項3】
鉛直状態のガイド筒中のオーガーが回転している状態で、オーガー軸でガイド筒の下部が掘削孔中に押し込まれ、掘削後にオーガーが上昇退避した状態で、ガイド筒側面の窓孔からガイド筒中に苗や種類を落下供給してから、ガイド筒を掘削孔から引き上げることを特徴とする請求項1に記載の植付け方法。
【請求項4】
鉛直状態のガイド筒中のオーガーの軸がガイド筒天板を貫通し、オーガーのスクリュー部上端又は押し上げリングによって、ガイド筒が下降不能に支持された状態で、オーガーと共に下降でき、
オーガーが掘削後に上昇し復帰する際に、スクリュー部上端又は押し上げリングでガイド筒天板を押し上げて、地面からガイド筒を上昇させ、その下側から掘削孔中に苗や種類を供給することを特徴とする請求項1に記載の植付け方法。
【請求項5】
油圧シリンダー等の機械力で上下動される鉛直筒の下部に穿孔体を配設すると共に、水平軸の回りに回動可能に軸支してあり、
前記鉛直筒によって穿孔体を地中に圧入して穿孔し、かつ地上に上昇復帰した時点で、穿孔体が鉛直筒の下から回動退避可能に支持されていて、
苗や種類を落とし込む鉛直筒が開放される構造となっていることを特徴とする植付け機。
【請求項6】
前記穿孔体の下部は流線型に尖っており、
軸支状態の穿孔体がコイルバネなどの復帰手段で自動的に鉛直筒の下端に復帰する構造であり、
鉛直筒の真下から穿孔体を退避させるには、前記の軸支部から延びた退避レバーの足踏み駆動若しくは操作レバーの手動操作、又は上昇復帰動作と連動して自動的に退避させる構造であることを特徴とする請求項5に記載の植付け機。
【請求項7】
トラクター後部の昇降手段で搭載又はトラクターを含む自走機で牽引される従動本体に、前記植付け機の鉛直筒と、前記鉛直筒を操作する上下駆動用シリンダーと、植付けフレームとをそれぞれ取付け搭載すると共に、植付けフレームに、苗や種類の搭載部と作業者の腰掛け手段とを取付けてあることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の植付け機。
【請求項8】
鉛直筒を上下動させる油圧シリンダーとこの油圧シリンダーを操作する操作レバーを有し、
前記鉛直筒の上昇復帰時に、穿孔体を退避させる退避レバーがフレームなどの従動本体側の下面に当たる構造となっており、
肥料ホッパーおよび/又は農薬ホッパーより下部に、スイッチ操作やレバー操作で開閉されて落下供給する電動又は油圧式の開閉部を有していることを特徴とする請求項5、請求項6又は請求項7に記載の植付け機。
【請求項9】
前記穿孔体の流線型又はテーパ状の部分の外面に半径方向の羽根を複数固設すると共に、その外端を前記の流線型又はテーパ状部と同じ方向に傾斜させてあることを特徴とする請求項5から請求項8までのいずれかに記載の植付け機。
【請求項10】
鉛直状態のガイド筒中のオーガーの軸がガイド筒天板を貫通し、オーガーのスクリュー部上端又は押し上げ部材によって、ガイド筒が下降不能に支持された状態で、オーガーと共に上昇・下降できる構造であることを特徴とする植付け機。
【請求項11】
ガイド筒天板より上側でオーガー軸に押し下げ部材を有していて、ガイド筒を押し下げ可能であり、ガイド筒の側壁に窓孔を開けてあることを特徴とする請求項10に記載の植付け機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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