説明

植物の生長を向上させる及び植物の土壌伝染性菌類病原体に対する抵抗性を増強する方法

本発明は、植物を栽培するのに慣習的な栄養液中にネオニコチノイド製剤を直接混入させることによる、植物の生長を向上させる方法及び土壌伝染性の菌類病に対する植物の抵抗性を増強する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、「フローティング法」法で用いられる栄養液にネオニコチノイド含有製剤を直接混合させることによる、植物の生長を向上させる方法及び有害な土壌伝染性菌類に対する植物の抵抗性を増強する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
健康で均質に育てられた幼植物を栽培することは、農作物、園芸作物及び樹木作物(silvicultural crop)の大規模な生産及び経済的な経営にとって、本質的に必要である。
【0003】
農業、育林及び園芸において、幼植物を栽培するための多くの方法が確立されている。このために用いられる培地は、蒸気で処理された土壌の他に、特定の培地であり、そのうちの幾つかは、ミズゴケ、ココナッツ繊維、ロックウールを主成分とするもの(例えば、Grodan(登録商標))、軽石、発泡粘土を主成分とするもの(例えば、Lecaton(登録商標)、又は、Lecadan(登録商標))、粘度顆粒を主成分とするもの(例えば、Seramis(登録商標))、発泡体を主成分とするもの(例えば、Baystrat(登録商標))、バーミキュライト、パーライト、合成土を主成分とするもの(例えば、Hygromull(登録商標))、又は、これら培地を組み合わせたものである。このような培地に、殺菌剤及び/若しくは殺虫剤で処理した種子又は処理していない種子を播く。
【0004】
特定の作物(例えば、タバコ)の場合、幼植物は、「フロート」又は「フローティング法」(Leal, 2001; Rudolph and Rogers, 2001; Ntzanis, 2003)として知られているものにおいてますます知られるようになっている。この方法では、特定の容器(例えば、ポリスチレン製穴あきトレイ(perforated tray))内で、ピート培地を主成分とする特定の実生用配合土に種子を播き、その後、当該植物が移植に望ましい大きさに達するまで適切な栄養液を含んでいる容器内で成育させる(図1)。ここで、その容器は、当該栄養液に浮くようになっている。これが、上記方法の名前の由来である(Leal, 2001)。
【0005】
出芽する種子及び移植材料を菌類病原体及び害虫(pest)から保護するために、移植する時点まで、殺菌剤及び殺虫剤が使用される。植物保護生成物、施用の場所及び時期並びに該組成物の施用量は、主として、見いだされる菌類病及び害虫の種類、当該組成物の特定の作用機序及び作用持続時間、並びに、それら植物の耐性に関連して選択し、かくして、種々の作物及び地域の特定の要件に直接適合させることができる。
【発明の開示】
【0006】
最近数年間に使用されてきた殺虫剤、特に、「フローティング法」における吸汁性害虫(sucking pest)を防除するために使用されてきた殺虫剤の中には、ネオニコチノイド類の殺虫剤もあるが、それは、ネオニコチノイド類がアブラムシ類(これらは、ウイルスを伝搬する)、アザミウマ類、ヨコバイ類及びコナジラミ類に対して特に有効であるということが知られているからである。「フロート法」においては、当該植物に、通常、移植する少し前にCNI殺虫剤を散布するか(Ntzanis, 2003)、又は、圃場への移植直前若しくは移植中にCNI殺虫剤で「灌注」する(Leal, 2001; Rudolph and Rogers, 2001)。これらの施用方法は、両方とも、技術的に比較的複雑である。
【0007】
これまでに述べたように、式(I)
【0008】
【化2】

[式中、
Hetは、下記ヘテロ環の群:
ピリド−3−イル、ピリド−5−イル、3−ピリジニオ、1−オキシド−5−ピリジニオ、1−オキシド−5−ピリジニオ、テトラヒドロフラン−3−イル、チアゾール−5−イル
から選択されるヘテロ環を表し(ここで、該ヘテロ環は、いずれの場合も、フッ素、塩素、メチル又はエチルで、場合により一置換又は多置換されていてもよい);
Aは、C−C−アルキルを表すか、又は、−N(R)(R)若しくはS(R)を表し(ここで、Rは、水素、C−C−アルキル、フェニル−C−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、C−C−アルケニル又はC−C−アルケニルを表し、Rは、C−C−アルキル、C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、−C(=O)−CH又はベンジルを表す):
Rは、水素、C−C−アルキル、C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、−C(=O)−CH若しくはベンジルを表すか、又は、Rと一緒になって、下記基:
−CH−CH−、−CH−CH−CH−、−CH−O−CH−、−CH−S−CH−、−CH−NH−CH−、−CH−N(CH)CH
のうちの1つ表し;
Xは、N−NO、N−CN又はCH−NOを表す]
で表されるネオニコチノイド類の殺虫剤を用いて害虫(animal pest)を防除することができるということ、特に、昆虫を防除することができるということは、既に知られている。
【0009】
Hetは、特に好ましくは、ヘテロ環の下記群から選択されるヘテロ環を表す:
2−クロロピリド−5−イル、2−メチルピリド−5−イル、1−オキシド−3−ピリジニオ、2−クロロ−1−オキシド−5−ピリジニオ、2,3−ジクロロ−1−オキシド−5−ピリジニオ、テトラヒドロフラン−3−イル、5−メチル−テトラヒドロフラン−3−イル、2−クロロチアゾール−5−イル。
【0010】
Aは、特に好ましくは、−N(R)(R)を表す。
【0011】
は、特に好ましくは、水素、メチル又はエチルを表す。
【0012】
は、特に好ましくは、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、エテニル、1−プロペニル、2−プロペニル、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル,−C(=O)−CH又はベンジルを表す。
【0013】
Rは、特に好ましくは、水素、メチル、エチル若しくは−C(=O)−CHを表すか、又は、特に好ましくは、Rと一緒になって、以下の基を表す:
−CH−CH−、−CH−CH−CH−、−CH−O−CH−、−CH−S−CH−。
【0014】
上記種類の化合物としては、例えば、以下の化合物を挙げることができるが、以下に挙げたものは限定的なものと解釈されるべきではない:
式(I)で表されるイミダクロプリド
【0015】
【化3】

【0016】
式(II)で表されるクロチアニジン
【0017】
【化4】

【0018】
式(III)で表されるジノテフラン
【0019】
【化5】

【0020】
式(IV)で表されるチアメトキサム
【0021】
【化6】

【0022】
式(V)で表されるチアクロプリド
【0023】
【化7】

【0024】
式(VI)で表されるアセタミプリド
【0025】
【化8】

【0026】
式(VII)で表されるニテンピラム
【0027】
【化9】

【0028】
驚くべきことに、「フロート法」におけるCNI類、例えば、既知製剤「Confidor SL 200」中のイミダクロプリドの使用を最適化することについての実験(実施例1〜実施例3を参照されたい)によって、未処理対照と比較して、及び、既知灌注法と比較して、イミダクロプリド含有製剤を栄養液中に直接混合させることにより幼植物の生長が促進され、それに応じて、実生段階中の苗条の丈が著しく伸長し、場合によっては害虫による攻撃が成されないこともあるということが示された。良好な生長は圃場への移植後も維持された(実施例1及び実施例2)。
【0029】
かくして、該栄養液には、ネオニコチノイド類の群から選択される化合物の有効量、好ましくは、イミダクロプリド、クロチアニジン、チアクロプリド、チアメトキサム、アセタミプリド、ニテンピラム及びジノテフランからなる系から選択される化合物の有効量、特に好ましくは、イミダクロプリド、クロチアニジン及びチアクロプリドからなる系から選択される化合物の有効量、極めて特に好ましくは、イミダクロプリドの有効量を含ませるべきである。これに関連して特に言及すべき混合物は、イミダクロプリド、クロチアニジン、チアクロプリド、チアメトキサム、アセタミプリド、ニテンピラム及びジノテフランからなる系から選択される少なくとも1種類のネオニコチノイド、並びに、1種類のさらなる活性成分(例えば、さらなる殺虫剤又は殺菌剤)を含んでいる混合物である。
【0030】
本発明に従って、上記ネオニコチノイド類のうちの1種類以上と混合された状態で、好ましくは、イミダクロプリド又はクロチアニジンのいずれかと混合された状態で好ましく使用することが可能な殺虫剤は、例えば、カルバメート系、例えば、アルジカルブ、カルボフラン、カルボスルファン、チオジカルブ、リン酸エステル系、例えば、ジメトエート、ホレート、テルブホス、フィプロール系、例えば、フィプロニル、エチプロール、マクロライド系(makrolides)、例えば、スピノサド、アミド系、例えば、フロニカミド、土壌浸透移行性(soil-systemic)BDCA系、例えば、AMSI 254、AMSI 334、DPX−E2Y45、ケトエノール系、例えば、BYI 8330、ジハロプロペン系、例えば、ピリダリルなどである。
【0031】
本発明に従って、上記ネオニコチノイド類のうちの1種類以上と混合された状態で、好ましくは、イミダクロプリド又はクロチアニジンのいずれかと混合された状態で好ましく使用することが可能な殺菌剤は、例えば、アシルアラニン系、例えば、メタラキシル、メフェノキサム、ベナラキシル、イミダゾリノン系、例えば、フェンアミドン、トリアゾール系、例えば、トリアジメノール、テブコナゾール、フルキンコナゾール、プロチオコナゾール、ホスホン酸誘導体、例えば、ホセチル−Al、カルバメート系、例えば、プロパモカルブ、アミノ酸カルバミデート系(amino acid carbamidates)、例えば、イプロバリカルブ、メトキシアクリレート系、例えば、アゾキシストロビン、ピコキシストロビン、トリフロキシストロビン、ジヒドロジオキサジン系(dihydrodioxazines)、例えば、フルオキサストロビン、メトキシカルバメート系、例えば、ピラクロストロビン、オキシイミノアセタミド系(oximinoacetamides)、例えば、メトミノストロビン、オキサゾリジンジオン系、例えば、ファモキサドン、カルボキサミド系、例えば、AE C656948、ベンズアミド系、例えば、AE C638206などである。
【0032】
該栄養液中のネオニコチノイドの濃度は、実質的な範囲内でさまざまであることができる。本発明による効果を達成するためには、0.0001%〜0.05%の濃度が好ましく、0.0005%〜0.025%の濃度が特に好ましく、0.0025%〜0.005%の濃度が極めて特に好ましい。本発明による混合物を使用する場合、その活性成分組合せの濃度は、好ましくは、0.001%〜0.05%、特に好ましくは、0.005%〜0.01%である。特に別途示されていない限り、上記及び下記において記載されている数字は、重量パーセントである。
【0033】
同様に、本発明は、植物の生長を向上させる方法に関し、ここで、該方法は、ネオニコチノイド類の群から選択される少なくとも1種類の化合物を含んでいる栄養液中で植物を栽培することを含む。好ましくは、該植物は、選択された植物種に適した培地を用いて適切な容器中で栽培するが、その際、そのような容器のうちの1以上に、培地と、本発明に従う栄養液で満たされた別の容器に移植される種子又は植物を含ませる(図1及び図2)。
【0034】
さらに、土壌伝染性の植物病原性菌類に対する抵抗性が、圃場へ移植された後でさえ、未処理対照と比較して優位に向上したことが観察された(実施例3)。かくして、本発明に従って処理された幼植物は、当該圃場内の意図された植物密度を守るのに大きく貢献し、高収量の基礎を形成するが、このことも、成育期の終わり頃に、処理された植物と処理されなかった植物の間の草丈の差において認められた(実施例1及び実施例2)。
【0035】
従って、本発明は、土壌伝染性の植物病原性菌類に対する植物の抵抗性を増強する方法に関し、ここで、該方法は、ネオニコチノイド類の群から選択される少なくとも1種類の化合物を含んでいる栄養液中で植物を栽培することを含む。好ましくは、該植物は、選択された植物種に適した培地を用いて適切な容器中で栽培するが、その際、そのような容器のうちの1以上に、培地と、本発明に従う栄養液で満たされた別の容器に移植される種子又は植物を含ませる。その種子又は植物を含んでいる該容器は、該栄養液に浮かぶようにする。これが、上記方法を「フロート法」又は「フローティング法」と称する理由である。
【0036】
種子又は植物を含ませる容器又は実生用トレイ(seedling tray)は、植物を栽培するための慣習的な容器又はトレイである。通常、そのような容器は、該栄養液に浮かせるのに適していて且つ水分による悪影響を受けることのない材料、例えば、ポリスチレンからなる(図3を参照されたい)。上記「フローティング」法で使用される容器又は実生用トレイは、当業者には知られている。
【0037】
本発明は、さらにまた、植物を栽培するための栄養液にも関し、ここで、該栄養液は、ネオニコチノイド類の群から選択される化合物の有効量、好ましくは、イミダクロプリド、クロチアニジン、チアクロプリド、チアメトキサム、アセタミプリド、ニテンピラム及びジノテフランからなる系から選択される化合物の有効量、極めて特に、イミダクロプリド、クロチアニジン及びチアクロプリドからなる系から選択される化合物の有効量、極めて特に好ましくは、イミダクロプリドの有効量を含んでいる。
【0038】
本発明による方法では、当該実生用トレイには、特定の植物種を栽培するのに適した培地を含ませる。これに関連して、当業者に知られていて且つ幼植物を栽培するのに通常使用される全ての慣習的な培地を使用することが可能である。そのような培地の例は、上記に記載してある。
【0039】
本発明のさらなる有利点は、殺虫剤を栄養液中に直接施用するということが慣習的な灌注施用又は噴霧施用よりも労力及び要する時間が少なくて済み、従って、コストが少なく、また、最後だからといって重要でないということではないが、作物保護製品のより標的化された施用の結果として環境にもより優しいという事実に基づいている。この方法を実施した後での殺虫活性に対する悪影響は観察されていない。
【0040】
灌注施用を、同じ施用量であるが、比較で、移植中直ぐに又はその直後に実施したところ、未処理対照と比較して明らかに促進された植物の生長を同じように示したが、その効果は、栄養液中へ直接混合させた後の「フロート」法と比較して、有意に低かった(実施例1)。
【0041】
かくして、イミダクロプリド(SL 200)製剤を栄養液中に直接混合させた後、そのイミダクロプリド(SL 200)を例えば25mL/1000種子(0.5L/ha)の施用量で「フロート」法によって施用した後、促進された生長と抵抗性(例えば、土壌伝染性の植物病原性菌類であるフィトフトラ・ニコチアナエ(Phytophthora nicotianae)に対する抵抗性)における差が立証された。好ましい手順は、当該施用量の半分を植物栽培の初めに施用し、半分は移植の10日前に施用するというものであった。
【0042】
さらに、新規イミダクロプリド SL 200製剤は、以前に使用されたSL製剤の成分であったNMP(N−メチルピロリドン)に取って代わる炭酸プロピレンに基づくものであるが、このイミダクロプリド SL 200製剤は、促進された生長に関して特に著しい効果を示す(実施例1及び実施例2)。
【0043】
本発明による栄養液は市販されている製剤から調製されるが、その本発明の栄養液の活性成分含有量は、広い範囲内でさまざまであり得る。使用形態の活性成分含有量は、0.0001〜0.05重量%の範囲の活性成分、好ましくは、0.0005〜0.025重量%の範囲であり得る。
【0044】
それらは、その使用形態に適合させた慣習的な方法で使用される。
【0045】
従って、本発明は、特に、上記で記載した栄養液(ここで、該栄養液は、用いた活性成分のNMP非含有製剤を含んでいる)、並びに、植物を栽培するための本発明による上記及び下記方法におけるそれらの使用に関する。これらの好ましい製剤又は栄養液において、NMPは炭酸プロピレンで置き換えられている(これに関しては、DE 102005008949も参照されたい)。その炭酸プロピレンは、好ましくは、10〜50%(重量基準)の濃度で当該製剤中に存在させる。
【0046】
植物は本発明による栄養液及び/又は本発明による方法に対して充分な耐性を示し、また、本発明による栄養液及び/又は本発明による方法は、温血種に対する毒性は望ましい程度であり、害虫を防除するのに適しており、特に、農業において見られる昆虫類、クモ形類動物及び線虫類を防除するのに適している。それらは、好ましくは、植物保護製品として使用することができる。上記害虫としては、以下のものを挙げることができる:
ワラジムシ目(Isopoda)の、例えば、オニスクス・アセルス(Oniscus asellus)、アルマジリジウム・ブルガレ(Armadillidium vulgare)、ポルセリオ・スカベル(Porcellio scaber);ヤスデ綱(Diplopoda)の目の、例えば、ブラニウルス・グツラツス(Blaniulus guttulatus);ムカデ綱(Chilopoda)の目の、例えば、ゲオフィルス・カルポファグス(Geophilus carpophagus)、スクチゲラ属種(Scutigera spp);コムカデ目(Symphyla)の、例えば、スクチゲレラ・イマクラタ(Scutigerella immaculata);シミ目(Thysanura)の、例えば、レピスマ・サッカリナ(Lepisma saccharina);トビムシ目(Collembola)の、例えば、オニチウルス・アルマツス(Onychiurus armatus);バッタ目(Orthoptera)の、例えば、アケタ・ドメスチクス(Acheta domesticus)、グリロタルパ属種(Gryllotalpa spp.)、ロクスタ・ミグラトリア・ミグラトリオイデス(Locusta migratoria migratorioides)、メラノプルス属種(Melanoplus spp.)、シストセルカ・グレガリア(Schistocerca gregaria);ゴキブリ目(Blattaria)の、例えば、ブラッタ・オリエンタリス(Blatta orientalis)、ペリプラネタ・アメリカナ(Periplaneta americana)、レウコファエア・マデラエ(Leucophaea maderae)、ブラッテラ・ゲルマニカ(Blattella germanica);ハサミムシ目(Dermaptera)の、例えば、フォルフィクラ・アウリクラリア(Forficula auricularia);シロアリ目(Isoptera)の、例えば、レチクリテルメス属種(Reticulitermes spp.);シラミ目(Phthiraptera)の、例えば、ペジクルス・フマヌス・コルポリス(Pediculus humanus corporis)、ハエマトピヌス属種(Haematopinus spp.)、リノグナツス属種(Linognathus spp.)、トリコデクテス属種(Trichodectes spp.)、ダマリニア属種(Damalinia spp.);アザミウマ目(Thysanoptera)の、例えば、ヘルシノトリプス・フェモラリス(Hercinothrips femoralis)、トリプス・タバシ(Thrips tabaci)、トリプス・パルミ(Thrips palmi)、フランクリニエラ・アシデンタリス(Frankliniella accidentalis);カメムシ亜目(Heteroptera)の、例えば、エウリガステル属種(Eurygaster spp.)、ジスデルクス・インテルメジウス(Dysdercus intermedius)、ピエスマ・クアドラタ(Piesma quadrata)、シメキス・レクツラリウス(Cimex lectularius)、ロドニウス・プロリクス(Rhodnius prolixus)、トリアトマ属種(Triatoma spp.);ヨコバイ亜目(Homoptera)の、例えば、アレウロデス・ブラシカエ(Aleurodes brassicae)、ベミシア・タバシ(Bemisia tabaci)、トリアレウロデス・バポラリオルム(Trialeurodes vaporariorum)、アフィス・ゴシピイ(Aphis gossypii)、ブレビコリネ・ブラシカエ(Brevicoryne brassicae)、クリプトミズス・リビス(Cryptomyzus ribis)、アフィス・ファバエ(Aphis fabae)、アフィス・ポミ(Aphis pomi)、エリオソマ・ラニゲルム(Eriosoma lanigerum)、ヒアロプテルス・アルンジニス(Hyalopterus arundinis)、フィロキセラ・バスタトリクス(Phylloxera vastatrix)、ペムフィグス属種(Pemphigus spp.)、マクロシフム・アベナエ(Macrosiphum avenae)、ミズス属種(Myzus spp.)、フォロドン・フムリ(Phorodon humuli)、ロパロシフム・パジ(Rhopalosiphum padi)、エムポアスカ属種(Empoasca spp.)、エウスセリス・ビロバツス(Euscelis bilobatus)、ネフォテッチキス・シンクチセプス(Nephotettix cincticeps)、レカニウム・コルニ(Lecanium corni)、サイセチア・オレアエ(Saissetia oleae)、ラオデルファキス・ストリアテルス(Laodelphax striatellus)、ニラパルバタ・ルゲンス(Nilaparvata lugens)、アオニジエラ・アウランチイ(Aonidiella aurantii)、アスピジオツス・ヘデラエ(Aspidiotus hederae)、プセウドコックス属種(Pseudococcus spp.)、プシラ属種(Psylla spp.);チョウ目(Lepidoptera)の、例えば、ペクチノフォラ・ゴシピエラ(Pectinophora gossypiella)、ブパルス・ピニアリウス(Bupalus piniarius)、ケイマトビア・ブルマタ(Cheimatobia brumata)、リトコレチス・ブランカルデラ(Lithocolletis blancardella)、ヒポノメウタ・パデラ(Hyponomeuta padella)、プルテラ・キシロステラ(Plutella xylostella)、マラコソマ・ネウストリア(Malacosoma neustria)、エウプロクチス・クリソロエア(Euproctis chrysorrhoea)、リマントリア属種(Lymantria spp.)、ブクラトリクス・ツルベリエラ(Bucculatrix thurberiella)、フィロクニスチス・シトレラ(Phyllocnistis citrella)、アグロチス属種(Agrotis spp.)、エウキソア属種(Euxoa spp.)、フェルチア属種(Feltia spp.)、エアリアス・インスラナ(Earias insulana)、ヘリオチス属種(Heliothis spp.)、マメストラ・ブラシカエ(Mamestra brassicae)、パノリス・フラメア(Panolis flammea)、スポドプテラ属種(Spodoptera spp.)、トリコプルシア・ニ(Trichoplusia ni)、カルポカプサ・ポモネラ(Carpocapsa pomonella)、ピエリス属種(Pieris spp.)、キロ属種(Chilo spp.)、ピラウスタ・ヌビラリス(Pyrausta nubilalis)、エフェスチア・クエニエラ(Ephestia kuehniella)、ガレリア・メロネラ(Galleria mellonella)、チネオラ・ビセリエラ(Tineola bisselliella)、チネア・ペリオネラ(Tinea pellionella)、ホフマノフィラ・プセウドスプレテラ(Hofmannophila pseudospretella)、カコエシア・ポダナ(Cacoecia podana)、カプア・レチクラナ(Capua reticulana)、コリストネウラ・フミフェラナ(Choristoneura fumiferana)、クリシア・アムビグエラ(Clysia ambiguella)、ホモナ・マグナニマ(Homona magnanima)、トルトリキス・ビリダナ(Tortrix viridana)、クナファロセルス属種(Cnaphalocerus spp.)、オウレマ・オリザエ(Oulema oryzae);コウチュウ目(Coleoptera)の、例えば、アノビウム・プンクタツム(Anobium punctatum)、リゾペルタ・ドミニカ(Rhizopertha dominica)、ブルチジウス・オブテクツス(Bruchidius obtectus)、アカントセリデス・オブテクツス(Acanthoscelides obtectus)、ヒロトルペス・バジュルス(Hylotrupes bajulus)、アゲラスチカ・アルニ(Agelastica alni)、レプチノタルサ・デセムリネアタ(Leptinotarsa decemlineata)、ファエドン・コクレアリアエ(Phaedon cochleariae)、ジアブロチカ属種(Diabrotica spp.)、プシリオデス・クリソセファラ(Psylliodes chrysocephala)、エピラクナ・バリベスチス(Epilachna varivestis)、アトマリア属種(Atomaria spp.)、オリザエフィルス・スリナメンシス(Oryzaephilus surinamensis)、アントノムス属種(Anthonomus spp.)、シトフィルス属種(Sitophilus spp.)、オチオリンクス・スルカツス(Otiorrhynchus sulcatus)、コスモポリテス・ソルジズス(Cosmopolites sordidus)、セウトリンクス・アシミリス(Ceuthorrhynchus assimilis)、ヒペラ・ポスチカ(Hypera postica)、デルメステス属種(Dermestes spp.)、トロゴデルマ属種(Trogoderma spp.)、アントレヌス属種(Anthrenus spp.)、アタゲヌス属種(Attagenus spp.)、リクツス属種(Lyctus spp.)、メリゲテス・アエネウス(Meligethes aeneus)、プチヌス属種(Ptinus spp.)、ニプツス・ホロレウクス(Niptus hololeucus)、ギビウム・プシロイデス(Gibbium psylloides)、トリボリウム属種(Tribolium spp.)、テネブリオ・モリトル(Tenebrio molitor)、アグリオテス属種(Agriotes spp.)、コノデルス属種(Conoderus spp.)、メロロンタ・メロロンタ(Melolontha melolontha)、アンフィマロン・ソルスチチアリス(Amphimallon solstitialis)、コステリトラ・ゼアランジカ(Costelytra zealandica)、リソロプトルス・オリゾフィルス(Lissorhoptrus oryzophilus);ハチ目(Hymenoptera)の、例えば、ジプリオン属種(Diprion spp.)、ホプロカンパ属種(Hoplocampa spp.)、ラシウス属種(Lasius spp.)、モノモリウム・ファラオニス(Monomorium pharaonis)、ベスパ属種(Vespa spp.);ハエ目(Diptera)の、例えば、アエデス属種(Aedes spp.)、アノフェレス属種(Anopheles spp.)、クレキス属種(Culex spp.)、ドロソフィラ・メラノガステル(Drosophila melanogaster)、ムスカ属種(Musca spp.)、ファニア属種(Fannia spp.)、カリフォラ・エリトロセファラ(Calliphora erythrocephala)、ルシリア属種(Lucilia spp.)、クリソミイア属種(Chrysomyia spp.)、クテレブラ属種(Cuterebra spp.)、ガストロフィルス属種(Gastrophilus spp.)、ヒポボスカ属種(Hyppobosca spp.)、ストモキス属種(Stomoxys spp.)、オエストルス属種(Oestrus spp.)、ヒポデルマ属種(Hypoderma spp.)、タバヌス属種(Tabanus spp.)、タニア属種(Tannia spp.)、ビビオ・ホルツラヌス(Bibio hortulanus)、オシネラ・フリト(Oscinella frit)、フォルビア属種(Phorbia spp.)、ペゴミイア・ヒオスシアミ(Pegomyia hyoscyami)、セラチチス・カピタタ(Ceratitis capitata)、ダクス・オレアエ(Dacus oleae)、チプラ・パルドサ(Tipula paludosa)、ヒレミイア属種(Hylemyia spp.)、リリオミザ属種(Liriomyza spp.);ノミ目(Siphonaptera)の、例えば、キセノプシラ・ケオピス(Xenopsylla cheopis)、セラトフィルス属種(Ceratophyllus spp.);クモ綱(Arachnids)の、例えば、スコルピオ・マウルス(Scorpio maurus)、ラトロデクツス・マクタンス(Latrodectus mactans)、アカルス・シロ(Acarus siro)、アルガス属種(Argas spp.)、オルニトドロス属種(Ornithodoros spp.)、デルマニスス・ガリナエ(Dermanyssus gallinae)、エリオフィエス・リビス(Eriophyes ribis)、フィロコプトルタ・オレイボラ(Phyllocoptruta oleivora)、ボオフィルス属種(Boophilus spp.)、リピセファルス属種(Rhipicephalus spp.)、アンブリオンマ属種(Amblyomma spp.)、ヒアロンマ属種(Hyalomma spp.)、イクソデス属種(Ixodes spp.)、プソロプテス属種(Psoroptes spp.)、コリオプテス属種(Chorioptes spp.)、サルコプテス属種(Sarcoptes spp.)、タルソネムス属種(Tarsonemus spp.)、ブリオビア・プラエチオサ(Bryobia praetiosa)、パノニクス属種(Panonychus spp.)、テトラニクス属種(Tetranychus spp.)、ヘミタルソネムス属種(Hemitarsonemus spp.)、及び、ブレビパルプス属種(Brevipalpus spp.)。植物寄生性線虫としては、例えば、プラチレンクス属種(Pratylenchus spp.)、ラドフォルス・シミリス(Radopholus similis)、ジチレンクス・ジプサシ(Ditylenchus dipsaci)、チレンクルス・セミペネトランス(Tylenchulus semipenetrans)、ヘテロデラ属種(Heterodera spp.)、グロボデラ属種(Globodera spp.)、メロイドギネ属種(Meloidogyne spp.)、アフェレンコイデス属種(Aphelenchoides spp.)、ロンギドルス属種(Longidorus spp.)、キシフィネマ属種(Xiphinema spp.)、トリコドルス属種(Trichodorus spp.)、ブルサフェレンクス属種(Bursaphelenchus spp.)などを挙げることができる。
【0047】
同様に、本発明による方法及び/又は栄養液は、望ましくない菌類を防除するのに適しており、また、望ましくない微生物を防除するのにも適している。該方法は、土壌伝染性の有害な菌類を防除するために特に有利に使用することができる。関連する有害な菌類又は微生物には、例えば、以下のものが包含される:ネコブカビ類(Plasmodiophoromycetes)、卵菌類(Oomycetes)、ツボカビ類(Chytridiomycetes)、接合菌類(Zygomycetes)、子嚢菌類(Ascomycetes)、担子菌類(Basidiomycetes)、及び、不完全菌類(Deuteromycetes)。菌類病及び細菌病を引き起こす、上記総称名に属する何種類かの病原体について挙げることができる例は、限定するものではないが、以下のものである:キサントモナス(Xanthomonas)各種、例えば、キサントモナス・カムペストリス pv.オリザエ(Xanthomonas campestris pv. oryzae);シュードモナス(Pseudomonas)各種、例えば、シュードモナス・シリンガエ pv.ラクリマンス(Pseudomonas syringae pv. lachrymans);エルウィニア(Erwinia)各種、例えば、エルウィニア・アミロボラ(Erwinia amylovora);ピシウム(Pythium)各種、例えば、ピシウム・ウルチムム(Pythium ultimum);フィトフトラ(Phytophthora)各種、例えば、フィトフトラ・インフェスタンス(Phytophthora infestans);シュードペロノスポラ(Pseudoperonospora)各種、例えば、シュードペロノスポラ・フムリ(Pseudoperonospora humuli)又はシュードペロノスポラ・クベンシス(Pseudoperonospora cubensis);プラスモパラ(Plasmopara)各種、例えば、プラスモパラ・ビチコラ(Plasmopara viticola);ブレミア(Bremia)各種、例えば、ブレミア・ラクツカエ(Bremia lactucae);ペロノスポラ(Peronospora)各種、例えば、ペロノスポラ・ピシ(Peronospora pisi)又はP.ブラシカエ(P. brassicae);エリシフェ(Erysiphe)各種、例えば、エリシフェ・グラミニス(Erysiphe graminis);スファエロセカ(Sphaerotheca)各種、例えば、スファエロテカ・フリギネア(Sphaerotheca fuliginea);ポドスフェラ(Podosphaera)各種、例えば、ポドスフェラ・レウコトリカ(Podosphaera leucotricha);ベンツリア(Venturia)各種、例えば、ベンツリア・イナエクアリス(Venturia inaequalis);ピレノホラ(Pyrenophora)各種、例えば、ピレノホラ・テレス(Pyrenophora teres)又はP.グラミネア(P. graminea)[分生胞子体:ドレクスレラ(Drechslera)、同義語:ヘルミントスポリウム(Helminthosporium)];コクリオボルス(Cochliobolus)各種、例えば、コクリオボルス・サチブス(Cochliobolus sativus)[分生胞子体:ドレクスレラ(Drechslera)、同義語:ヘルミントスポリウム(Helminthosporium)];ウロミセス(Uromyces)各種、例えば、ウロミセス・アペンジクラツス(Uromyces appendiculatus);プッシニア(Puccinia)各種、例えば、プッシニア・レコンジタ(Puccinia recondita);スクレロチニア(Sclerotinia)各種、例えば、スクレロチニア・スクレロチオルム(Sclerotinia sclerotiorum);チレチア(Tilletia)各種、例えば、チレチア・カリエス(Tilletia caries);ウスチラゴ(Ustilago)各種、例えば、ウスチラゴ・ヌダ(Ustilago nuda)又はウスチラゴ・アベナエ(Ustilago avenae);ペリキュラリア(Pellicularia)各種、例えば、ペリキュラリア・ササキイ(Pellicularia sasakii);ピリキュラリア(Pyricularia)各種、例えば、ピリキュラリア・オリザエ(Pyricularia oryzae);フザリウム(Fusarium)各種、例えば、フザリウム・クルモルム(Fusarium culmorum);ボトリチス(Botrytis)各種、例えば、ポトリチス・シネレア(Botrytis cinerea);セプトリア(Septoria)各種、例えば、セプトリア・ノドルム(Septoria nodorum);レプトスファエリア(Leptosphaeria)各種、例えば、レプトスファエリア・ノドルム(Leptosphaeria nodorum);セルコスポラ(Cercospora)各種、例えば、セルコスポラ・カネセンス(Cercospora canescens);アルテルナリア(Alternaria)各種、例えば、アルテルナリア・ブラシカエ(Alternaria brassicae);シュードセルコスポレラ(Pseudocercosporella)各種、例えば、シュードセルコスポレラ・ヘルポトリコイデス(Pseudocercosporella herpotrichoides)。
【0048】
上記で述べたように、本発明による活性成分は、特に、植物における強力な強化効果(strengthening effect)も有している。従って、それらは、望ましくない微生物による攻撃に対して植物の本来備わっている防御を動員させるのに適している。
【0049】
本発明に関連して、物質の「強化効果(strengthening effect)」という用語は、処理された植物がその処理の後で望ましくない微生物及び/又は菌類を接種されたときに実質的な抵抗性を示すように、植物の防御系を刺激することができる物質の能力を意味する。
【0050】
この場合、望ましくない微生物は、植物病原性の菌類、細菌類及びウイルス類を意味するものと理解される。従って、本発明の物質を用いて、処理後ある一定の期間、上記病原体による攻撃に対して植物を保護することができる。この保護が提供される期間は、当該幼植物が「フロート」系で栽培されている段階を包含し、一般に、野外に移植された後の期間にまで及ぶ。この段階の間は、幼植物は、その根が移植プロセスのために機械的な損傷を受けるので、土壌伝染性の菌類による感染を特に受けやすい。
【0051】
植物の病害を防除するのに必要な濃度の該活性成分に対して植物は良好な耐性を示すので、本発明により植物材料及び種子を処理することが可能であり、また、種子又は植物が存在している土壌又は培地を処理することが可能である。
【0052】
本発明による方法及び/又は栄養液を、土壌伝染性の植物病原性菌類、特に、フィトフトラ属各種(Phytophthora spec.)、ピシウム属各種(Pythium spec.)、リゾクトニア属各種(Rhizoctonia spec.)、フザリウム属各種(Fusarium spec.)、アファノマイセス属各種(Aphanomyces spec.)、オルピジウム属各種(Olpidium spec.)、プラスモジオホラ属各種(Plasmodiophora spec.)及びベルチシリウム属各種(Verticillium spec.)の土壌伝染性の植物病原性菌類を防除するために用いて、特に良好な結果を得ることができる。
【0053】
幼植物を栽培するための本発明による「フロート」法では、生長を促進し、土壌伝染性の植物病原性菌類に対する抵抗性を増強するためにネオニコチノイド(好ましくは、イミダクロプリド)を栄養液に直接混合させるが、この「フロート」法は、一連の農作物、園芸作物及び樹木作物の幼植物を栽培するのに適している。
【0054】
本発明の方法が以下の作物の幼植物の栽培において適しているということについては特に言及し得る:タバコ、テンサイ、特に、野菜類、例えば、葉菜類、例えば、エンダイブ、コーンサラダ、イタリアウイキョウ(Florence fennel)、ヘッドレタス及びルーズリーフレタス、フダンソウ(Swiss chard)、ホウレンソウ及びチコリ、キャベツ類、例えば、カリフラワー、ブロッコリー、ハクサイ、ケールキャベツ(feathered cabbage)、コールラビ、メキャベツ(Brussels sprouts)、レッドキャベツ、ホワイトキャベツ及びチリメンキャベツ、果菜類、例えば、ナス、キュウリ、ピーマン、ペポカボチャ(marrow)、カボチャ(pumpkin)及びカボチャ(squash)、トマト及びズッキーニ、根菜類、例えば、根用セロリ、並びに、鱗茎菜類、例えば、リーキ及びタマネギ。
【0055】
本発明では、いずれの場合も市販されているか又は使用されている植物品種の植物を処理するのが特に好ましい。植物品種は、以下に示したもの全てによって育種された新しい形質を有する植物を意味するものと理解される:慣習的な育種、突然変異誘発又は組換えDNA技術を用いたもの。従って、作物は、慣習的な育種法と最適化法を用いて得ることができる植物であり得るか、又は、生物工学的方法と遺伝子工学的方法を用いて得ることができる植物であり得るか、又は、前記方法の組合せによって得ることができる植物であることができる。そのような作物には、トランスジェニック植物も包含され、また、植物育種家の権利によって保護され得る植物品種又は保護され得ない植物品種も包含される。
【0056】
種子及び発芽中の植物が害虫又は有害な菌類による攻撃に対して可能な限り保護されるが、それと同時に、使用された活性成分によって種子若しくはその発芽又は出芽中の植物自体が害されることがないという意味において、使用する活性成分又は活性成分の組合せの量を最適化するのが望ましい。最少量の植物保護剤を使用しながら種子及び発芽中の植物の最適な保護を達成するために、本発明の方法には、従って、トランスジェニック植物の固有の殺虫特性も包含されるべきである。
【0057】
以下の実施例により、本発明の方法及び本発明の栄養液の特に有利な点について例証する。そのような実施例は、限定的なものであると解釈されるべきではない。
【実施例】
【0058】
実施例1
タバコ幼植物の栽培時におけるイミダクロプリドの「フローティング」系中への直接的な混合
適切な使用液を調製するために、1重量部の市販製剤品(Confidor SL 200)を水で希釈して、活性成分の所望される濃度0.005%とした。移植の10日前に、Confidor SL 200の当該栄養液中への2回目の施用を実施した(0.005%の活性成分に相当)。
【0059】
穴のあいたポリスチレン製トレイ内のピート−培地に基づいた特定の実生用配合土にタバコ植物の種子を播き、その後、そのタバコ植物が移植に望ましい大きさに達するまで、0.1%のBayfolan(登録商標)を主成分とする栄養液で満たされた容器内で成育させた。これに関連して、当該Confidor SL 200製剤は、「フローティング」系の栄養液に直接添加した。
【0060】
比較において、その他の点では同一の条件下における従来技術による当該幼植物の栽培では、当該幼植物に、それらが移植された後、本発明の製剤を灌注した。
【0061】
この試験によって、例えば、従来技術との比較における以下の優位性が示された(表A):
【0062】
【表1】

【0063】
実施例2
タバコ幼植物を栽培するための「フローティング」系における炭酸プロピレン含有製剤(本発明によるもの)とNMP含有イミダクロプリド製剤の比較
適切な使用液を調製するために、1重量部の市販製剤品(Confidor SL 200)を水で希釈して、活性成分の所望される濃度0.005%とした。移植の10日前に、Confidor SL 200の当該栄養液中への2回目の施用を実施した(0.005%の活性成分に相当)。
【0064】
穴のあいたポリスチレン製トレイ内のピート−培地に基づいた特定の実生用配合土にタバコ植物の種子を播き、その後、そのタバコ植物が移植に望ましい大きさに達するまで、適切な栄養液で満たされた容器内で成育させた。これに関連して、当該製剤は、「フローティング」系の栄養液に直接添加した。
【0065】
この試験によって、例えば、従来技術との比較における以下の優位性が示された(表B):
【0066】
【表2】

【0067】
実施例3
タバコ幼植物の栽培に際して、「フローティング」系の栄養液に直接混合された後の、新規炭酸プロピレン含有イミダクロプリド製剤のフィトフトラ・ニコチアナエ(Phytophthora nicotianae)に対する効果(圃場実験)
適切な使用液を調製するために、1重量部の市販製剤品(Confidor SL 200)を水で希釈して、活性成分の所望される濃度0.005%とした。移植の10日前に、Confidor SL 200の2回目の施用を実施した(0.005%の活性成分に相当)。
【0068】
穴のあいたポリスチレン製トレイ内のピート−培地に基づいた特定の実生用配合土にタバコ植物の種子を播き、その後、そのタバコ植物が移植に望ましい大きさに達するまで、適切な栄養液で満たされた容器内で成育させた。これに関連して、当該製剤は、「フローティング」系の栄養液に直接添加した。
【0069】
当該幼植物が移植の大きさに達した後、それらを圃場に移植した。フィトフトラ・ニコチアナエ(Phytophthora nicotianae)による感染の自然潜在力(natural potential)を有する場所であれば、土壌を介して根及び樹冠に感染する。
【0070】
この試験によって、例えば、本発明による製剤の以下の有効性が示された(表C)。
【0071】
【表3】

【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】栄養液で満たされたフローティング箱を示す図である。
【図2】実生用配合土及びタバコ種子で満たされたポリスチレン製フローティング実生用トレイを有するフローティング箱を示す図である。
【図3】フローティング箱内で成育させた後のタバコ植物を有するポリスチレン製実生用トレイを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物の生長を向上させる及び/又は植物の抵抗性を増強する方法であって、式(I)
【化1】

[式中、
Hetは、下記ヘテロ環の群:
2−クロロピリド−5−イル、2−メチルピリド−5−イル、1−オキシド−3−ピリジニオ、2−クロロ−1−オキシド−5−ピリジニオ、2,3−ジクロロ−1−オキシド−5−ピリジニオ、テトラヒドロフラン−3−イル、5−メチルテトラヒドロフラン−3−イル、2−クロロチアゾール−5−イル
から選択されるヘテロ環を表し;
Aは、−N(R)(R)を表し;
は、水素、メチル又はエチルを表し;
は、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、エテニル、1−プロペニル、2−プロペニル、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル,−C(=O)−CH又はベンジルを表し;及び
Rは、水素、メチル、エチル若しくは−C(=O)−CHを表すか、又は、Rと一緒になって、以下の基:
−CH−CH−、−CH−CH−CH−、−CH−O−CH−、−CH−S−CH
のうちの1つを表す]
で表されるネオニコチノイド類から選択される少なくとも1種類の化合物を、適切な場合には1種類以上の別の植物保護剤と組み合わせて、植物を栽培するのに適した栄養液に添加することを特徴とする、前記方法。
【請求項2】
イミダクロプリド、クロチアニジン、チアクロプリド、ジノテフラン、チアメトキサム、アセタミプリド及びニテンピラムからなる群から選択される化合物を栄養液に添加することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
0.0005%〜0.025%(重量基準)のイミダクロプリドを栄養液に添加することを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
植物を種子から栽培するための栄養液にネオニコチノイド類を添加することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
植物を「フローティング法」で栽培することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
請求項1に記載のネオニコチノイド類からの少なくとも1種類の化合物を植物の生長を向上させる及び/又は植物の抵抗性を増強するのに有効な量で含んでいることを特徴とする、植物を栽培するための栄養液。
【請求項7】
0.0005%〜0.025%(重量基準)のイミダクロプリドを含んでいることを特徴とする、請求項6に記載の栄養液。
【請求項8】
10〜50%(重量基準)の炭酸プロピレンを含んでいるNMP非含有製剤の形態にある栄養液にネオニコチノイドを添加することを特徴とする、請求項6に記載の栄養液。
【請求項9】
植物の生長を向上させる及び/又は土壌伝染性植物病原体に対する植物の抵抗性を増強するための、請求項6に記載の栄養液の使用。
【請求項10】
植物を繁殖材料(これは、種子を包含する)から栽培するための、請求項9に記載の栄養液の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−540590(P2008−540590A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−511588(P2008−511588)
【出願日】平成18年5月6日(2006.5.6)
【国際出願番号】PCT/EP2006/004257
【国際公開番号】WO2006/122662
【国際公開日】平成18年11月23日(2006.11.23)
【出願人】(302063961)バイエル・クロツプサイエンス・アクチエンゲゼルシヤフト (524)
【Fターム(参考)】