説明

植物の細胞壁に含まれた抗酸化成分の抽出/収集方法

【課題】亜臨界水領域の熱水を用いず、加熱温度での飽和水蒸気のもとで植物原料の加水分解によって植物細胞の高分子構造を切断して、細胞壁に含まれる抗酸化成分を効率よく抽出/収集する方法。
【解決手段】 原料投入処理と、加水分解処理と、冷却処理とを行う。原料投入処理は、細胞壁に抗酸化成分を含む植物原料を処理チャンバー内に投入し、処理チャンバーを密閉する処理であり、加水分解処理は、処理チャンバー内の植物原料を130℃〜150℃の範囲で加熱し、植物原料に含まれる水分の水蒸気雰囲気中に植物原料を一定時間曝して植物原料の細胞壁を破壊し、細胞壁に含まれる抗酸化成分を細胞壁から開放するとともに、細胞壁の破壊によって取り出された植物の細胞内成分を含む水蒸気中に取り込ませる処理であり、冷却処理は、加水分解処理後、処理チャンバー内の水蒸気を冷却して水蒸気中に含まれる抗酸化成分を抽出する処理である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物の細胞壁に含まれた抗酸化成分を抽出若しくは収集する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
SOD(スーパーオキシドディムスターゼ)は、人体に有害な活性酸素(スーパーオキシドラジカルアニオンO2−)を消去する重要な酵素である。SODは体内で作られ、体内に発生した活性酸素をコントロールする機能を司るが、SODを作りだす機能は、年齢とともに低下し、体内のSODの量が減少すると、皮膚の老化、癌、脳卒中、リュウマチなどのさまざまな障害をもたらすようになってくる。
【0003】
このため、食品、体外からSODを摂取する有効な方法としてSOD含有食品あるいは薬品の研究、開発が続けられている。SOD含有食品あるいは薬品の素材として従来から着目されているのが自然植物である。植物は、自身の組織中に活性酸素から組織を守る物質を保有しており、このため、直射日光を浴びることによって、組織内に活性酸素が発生しても、その影響を受けることなく成長することができる。
【0004】
特に稲や麦などは生命力が強く、活性酸素を多量に発生させるパラコートなどの除草剤が散布されても枯れることがない。とりわけ、芝は、稲科の植物であることから、稲や麦などと同様に多量の除草剤散布に耐えることができる。このような植物に含まれて活性酸素の除去に有効な働きをする成分は、通常「抗酸化成分」といわれ、活性酸素の除去に関してSODと同じような働きをすることからSOD様作用成分とも言われている。
【0005】
抗酸化成分としては、たとえば、フラボノイド,カロチン,ビタミンC,B2,タンニン,ポリフェノール類などが知られている。したがって、植物中に含まれたこれら抗酸化成分を有効に抽出できれば、抽出された抗酸化成分を摂取して人体のSODの低下を補い、薬品、食品、化粧品などに活用することができるはずである。
【0006】
従来から植物中に含まれた抗酸化成分を抽出する方法として種々の方法が提案されてきた。たとえば、特許文献1においては、玄米粉、大豆粉、緑茶紛や焙煎した植物種子、胚芽から活性酸素抑制組成物を抽出する従来法を説明した上で、白鶴霊芝の溶媒抽出物が優れた活性酸素消去能を有することを見出したとしてその葉及び枝、茎、根を常温又は加熱した水及び有機溶媒に抽出する方法を開示し、さらに、特許文献2では、白鶴霊芝および緑茶単独の場合に比して白鶴霊芝および緑茶葉それぞれの水及び/または有機溶媒抽出物を有効成分とする活性酸素消去組成物を提案している。
【0007】
そのほか、しいたけを原料とするもの、金時草を原料とするものなど植物の組織中に含まれる抗酸化成分を抽出する方法は種々知られているが、植物原料中の抗酸化成分を抽出する方法としては、抗酸化成分を液中に溶出させる方法が殆どである。実際に稲や麦などあるいは芝その他の植物に含まれている抗酸化成分は、植物の硬い細胞壁に多く含まれ、多糖類が多数強固につながった高分子構造をしているために水には溶けにくい。
【0008】
もっとも、このような高分子成分であっても細胞壁を細胞サイズ以下に粉砕することによって水に溶けやすくすることは可能であるが、液中に溶出する成分は、植物組織に含まれる抗酸化成分の一部に過ぎず、液中に溶出した抗酸化成分の効用を高めるには、濃縮しなければならない。
【特許文献1】特許公開9−143091号公報
【特許文献2】特許公開2002−128688号公報
【特許文献3】特許第2939206号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
解決しようとする問題点は、たとえ細胞壁を細胞サイズ以下に粉砕しても、水中に溶出する抗酸化成分は、細胞壁に含まれる抗酸化成分の一部にすぎず、そのままでは濃度が薄くて活性酸素消去能には自づから限度があるという点である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、亜臨界水領域の高温高圧の熱水を用いず、加熱温度での飽和水蒸気圧のもとで、植物原料の加水分解処理によって、植物の細胞壁の高分子構造を切断し、細胞壁に含まれる抗酸化成分を開放して、細胞壁の破壊によって取り出された細胞組織液中に効率よく抽出/収集する点を最大の特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、植物原料を直接加熱し、植物原料自身が有する水分を蒸発させ、その水蒸気をもって植物原料を加水分解し、加水分解によって植物の細胞壁を破壊し、細胞壁の高分子構造から抗酸化成分を開放させ、開放された抗酸化成分を植物原料から発した細胞内成分を含む水蒸気および処理チャンバー内固形生成物中に取り込み、その水蒸気を冷却することによって水蒸気および処理チャンバー内固形生成物中に含まれた抗酸化成分を抽出するため、植物の保有水分以上に余分の水分を含まず、したがって抗酸化成分の抽出/収集効率が高い。また、亜臨界水領域の高温高圧熱水を使用しないため、抽出/収集された植物組織内成分の変質がなく、高濃度、高抗酸化消去能を有する抗酸化成分を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
亜臨界水領域の熱水を外部から供給することなく植物組織内成分を変質させずに効率よく抗酸化成分を抽出/収集するという目的を、植物原料を攪拌しつつ加熱して、加熱温度の飽和水蒸気圧のもとで植物組織を加水分解し、加水分解によって植物の細胞壁の高分子構造から開放された抗酸化成分を水蒸気および処理チャンバー内固形生成物中に抽出/収集することによって実現した。
【実施例1】
【0013】
図1は、本発明による植物の細胞壁に含まれた抗酸化成分の抽出/収集方法の実施に使用する抗酸化成分の抽出装置の外観図、図2は装置の概要を略示的に示す構成図である。図2において、抗酸化成分組成物の抽出装置は、処理チャンバー1と、抽出管2と、冷却塔3と、循環ポンプ4との組み合わせからなっている。処理チャンバー1は、内部に投入された植物原料を加熱して加水分解処理を行う釜であり、その外壁には加熱ヒータ5が装備され、処理チャンバー1と、冷却塔3間は、前記抽出管2で接続されている。
【0014】
抽出管2は、処理チャンバー1の下部の蒸気戻り口6と、上部の蒸気送出口7間をつなぐ循環管路であり、冷却塔3は、その管路内に接続され、循環ポンプ4は、冷却塔3の上流側の管路内に接続されたものである。また、処理チャンバー1は、植物原料の投入口8と排出口9とを有し、その内部には、垂直軸を中心に回転しながら槽内に投入された植物原料を攪拌する攪拌羽根10を装備している。
【0015】
冷却塔3は、抽出管2内の空気(蒸気)を冷却する熱交換器であり、循環ポンプ4は、植物原料の加水分解処理後、処理チャンバー1内の水蒸気を冷却塔3に強制送風するものである。
【0016】
次に上記抽出装置を用いて植物原料からその細胞壁に含まれる抗酸化成分を抽出する要領を以下に説明する。植物原料には、その細胞壁内に、例えば、フラボノイド,カロチン,ビタミンC,B2,タンニン,ポリフェノールなどの抗酸化成分といわれる物質をできるだけ多く含む植物を選定し、その細胞壁を破壊し、抗酸化成分を細胞壁から開放するとともに、細胞壁の破壊によって取り出された細胞組織液を含む水蒸気および処理チャンバー内固形生成物中に取り込ませることによって抽出/収集する。抗酸化成分の抽出/収集は、原料投入処理に続いて加水分解処理、冷却処理を順次行うことによって行う。
図3に本発明による抗酸化成分の抽出/収集方法フローチャートを示す。
【0017】
(1)原料投入処理
原料投入処理は、植物原料を処理チャンバー1内に投入し、処理チャンバー1を密閉する処理である(ステップS1)。植物原料には、抗酸化成分(SOD様作用成分)の含有量が高いとして知られている植物を選定する。例えば稲科の芝,高麗芝,ベント芝,稲麦など、とりわけ大麦の若葉などは有効である。
【0018】
本発明においては原則的に植物原料が保有する水分をそのまま利用して加熱及び加熱に引き続いて冷却処理を行うが、植物原料が保有する水分量が少ない場合には、必要により20%以下の量の水分を加えることができる。
【0019】
(2)加水分解処理
加水分解処理は、処理チャンバー1内の植物原料を130℃〜150℃の範囲で加熱し、植物原料に含まれる水分を蒸発させ、その水蒸気雰囲気中に植物原料を一定時間曝して植物原料の細胞壁の組織を破壊し、細胞壁に含まれる抗酸化成分を細胞壁の高分子構造から開放し、植物原料が自ら発した水蒸気中に、植物原料から開放された抗酸化成分を取り込ませる処理である。処理チャンバー1内に植物原料を投入したのち、投入口8を閉じ、タイマーをセットしてヒータ5に通電し、処理チャンバー1内を130℃〜150℃に加熱する(ステップS2)。処理チャンバー1内の圧力は、その加熱温度での飽和水蒸気圧に保たれる。また、一定間隔(例えば2秒)ごとに1回程度攪拌羽根10を回転駆動して処理チャンバー1内の原料を攪拌する。
【0020】
この状態で一定時間をかけて加熱した温度での飽和水蒸気圧のもと、130℃〜150℃で植物原料を加熱しながら処理チャンバー1内に発生する蒸気の雰囲気中に植物原料を曝し、加熱温度での飽和水蒸気を植物原料に作用させて加水分解処理を進行させ、植物原料は、水蒸気の加水分解作用を受けて図4に示したように植物細胞壁を構成するセルロースの高分子構造を破壊され、植物細胞壁および細胞内に含まれる成分を開放して水蒸気および処理チャンバー内固形生成物中に取り込ませる。
【0021】
加水分解処理によって、植物原料の細胞壁から開放された抗酸化成分を含む水蒸気を処理チャンバー1内に充満させる。植物原料の加水分解が進行して、予め定められた時間経過後、ヒータ5の電源を遮断して加水分解処理を完了する(ステップS3)。
【0022】
植物原料の加水分解処理に要する時間は、処理チャンバー1の容量にもよるが、通常は5〜8時間である。つまり密閉された処理チャンバー1内で、130℃〜150℃の温度で加熱したときには、加熱温度での飽和水蒸気圧のもとで数時間のうちに植物原料を加水分解処理することができる。なお、本発明においては、植物原料の加水分解処理によって、植物原料の細胞壁を破壊し、細胞壁に含まれる抗酸化成分を抽出/収集するのが目的であるが、細胞壁の破壊によって同時に細胞内成分は水蒸気および処理チャンバー内固形生成物中に取り出される。細胞内成分は選択された植物原料の種類によって異なるが、液体は通常木・竹酢液といわれる植物の有効成分である。抗酸化成分は、細胞内成分を含む水蒸気および処理チャンバー内固形生成物中に取り込まれる。
【0023】
(3)冷却処理
冷却処理は、加水分解処理後、処理チャンバー1内の水蒸気を冷却して水蒸気および処理チャンバー内固形生成物中に含まれる抗酸化成分を抽出/収集する処理である。植物原料の加熱終了後、送出側、戻り側の抽出管のバルブV1、V2を開き、循環ポンプ4を起動して処理チャンバー1内の水蒸気を抽出管2内に吸引し、冷却塔3を経由させて一部を凝結させ、乾燥冷却後の水蒸気は再び処理チャンバー1内に戻し、処理チャンバー1内の水蒸気を冷却塔3と処理チャンバー1間で循環させる。冷却塔3内に送り込まれた水蒸気の一部は、冷却されて水蒸気に含まれる抗酸化成分が細胞内成分とともに凝結して抽出され、その成分液が冷却塔3内に貯められる(ステップS4)。
【0024】
処理チャンバー1内の水蒸気は、冷却処理が繰り返されることによって次第に温度・圧力が下がり、処理チャンバー1内が常温、常圧になったことを確認して冷却塔3のドレインを開き、冷却塔3内で抽出された成分液を容器内に回収すると共に処理チャンバー1内の固形生成物を排出口9から排出し、回収する。
(ステップS5)。
【0025】
本発明においては、植物原料を温度130℃〜150℃での飽和水蒸気圧のもとで数時間をかけて加水分解処理し、水蒸気中に含まれる抗酸化成分を抽出するものである。抽出液には、細胞内成分が含まれるが、通常は細胞内成分も有効成分であると考えられるので、あえてこれを抗酸化成分から分離除去する必要はないが、もし必要があれば、細胞内成分と、抗酸化成分を分離して回収することができる。
【0026】
本発明の方法を380℃、1.0Mpaのような高温、高圧の亜臨界水雰囲気のもとで植物原料の熱分解処理を行う方法と比べれば、当然分解能力は劣るとはいえ、本発明によれば、細胞壁が強い熱分解作用を受けないため、細胞壁の分解とともに抗酸化成分までが分解されることなく有効に抽出することができる。また、本発明においては基本的に植物原料が保有する水分を蒸発させて発生させた水蒸気および処理チャンバー内固形生成物中から抗酸化成分を抽出/収集するため、成分が薄められることもなく、したがって、あえて濃縮するまでもなく、細胞内成分を含む高濃度の抗酸化成分をきわめて効率よく抽出/収集できる。しかも、従来細胞壁から抗酸化成分の取出しが困難とされていた植物からであっても、容易に抽出することができる。
【0027】
本発明においては、原料投入処理において、処理チャンバー1内には、植物原料とともに、20%以下の量の水分を投入する場合も含まれる。植物原料に水分を加えると、発生水蒸気量が多くなって、当然抗酸化成分の濃度が低下するが、植物原料に含まれる水分量が少ないときには、水蒸気を発生させるために水分を補うことは必要である。加水分解処理において、植物原料は炭化してはならないし、また、亜臨界水領域となる高温、高圧のもとでは、植物原料の細胞そのものまでが熱分解してしまって、細胞壁から抗酸化成分を有効に抽出できない。
【0028】
以下に本発明の実験例を示す。
以下にベント芝の葉A,高麗芝の葉と、野芝の葉との混合物B,葉、茎、根を含む高麗芝と野芝との混合物Cを試料として以下の実験を行った。それぞれの試料を細かく粉砕し、その粉砕物を130〜150℃の水蒸気圧を作用させて加水分解処理を行い、冷却後、凝結した抽出液の原液にキサンチン/キサンチンオキシダーゼ(XOD)を0.1ml添加し、XODの添加によって抽出液に生じる電流値の変化を測定した。測定器には、北斗電工株式会社製の活性酸素測定装置(HZ5000)を用いた。
【0029】
測定結果を以下に示す。図5はブランクであり、XOD添加時の活性酸素系の活性酸素生成量について時間的変化を示している。図に明らかなようにXODの添加によって、活性酸素の発生を妨げる物質がなければ、測定開始後、約80秒を経過した後から活性酸素の量は、飛躍的に増大するのである。ベント芝の葉A,高麗芝の葉と、野芝の葉との混合物B,葉、茎、根を含む高麗芝と野芝との混合物Cをそれぞれ試料として加水分解並びに冷却処理を行って得られたそれぞれの抽出液にXODを0.1ml(リットル)添加し、それぞれの抽出液に生じる電流の変化を測定した。
【0030】
その結果を順に図6〜8に示す。図6は、ベント芝の葉からの抽出液(実験A)、図7は、高麗芝の葉と、野芝の葉との混合物からの抽出液(実験B)、図8は、葉、茎、根を含む高麗芝と野芝との混合物からの抽出液(実験C)についての実験結果を示している。図中、Pは、試料中にXODを添加した時点を示している。測定開始後80秒経過した後に試料中にXODを添加した。それぞれの実験についての測定条件が違うために、各実験の測定結果の相互の関係を対比することはできないが、いずれの実験A〜Cにおいても、XODの添加時点で、過渡的に電流値が変化したが、その後XODの添加後、活性酸素の生成量は増加することがなく、むしろ低下してゆく傾向すら認められた。これによって、実験に用いた植物原料からの抽出液は抗酸化能を有していることが証明された。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明の方法によれば、植物の細胞壁に含まれる抗酸化成分を変質させることなく抽出することができ、抽出液に含まれる抗酸化成分は優れた抗酸化能を有し、本発明方法によって得られた抗酸化成分組成物を含む抽出液を薬品、食品として摂取することにより、病気の治療は勿論、シミ,そばかすの発生を抑え、美容,健康の維持,老化防止などに大いに期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明方法を実施する装置の概念図である。
【図2】本発明方法を実施する装置の構成図である。
【図3】本発明方法のフローを示す図である。
【図4】セルロースの分解の様子を示す図である。
【図5】XODの活性酸素系の活性酸素生成量の時間的変化を示す図である。
【図6】ベント芝の葉からの抽出液にXODを添加したときの活性酸素の変化を示す図である。
【図7】高麗芝の葉と、野芝の葉との混合物からの抽出液にXODを添加したときの活性酸素の変化を示す図である。
【図8】葉、茎、根を含む高麗芝と野芝との混合物からの抽出液にXODを添加したときの活性酸素の変化を示す図である。
【符号の説明】
【0033】
1 処理チャンバー
2 抽出管
3 冷却塔
4 循環ポンプ
5 加熱ヒータ
6 蒸気戻り口
7 蒸気送出口
8 投入口
9 排出口
10 攪拌羽根

【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞壁に抗酸化成分を含む植物原料を密閉空間で直接加熱し、飽和水蒸気圧のもとで植物原料自身が有する水分を蒸発させ、その水蒸気の有する加水分解作用を植物原料に作用させて細胞壁を破壊し、細胞壁に含まれる抗酸化成分を開放することを特徴とする植物の細胞壁に含まれた抗酸化成分の抽出/収集方法。
【請求項2】
原料投入処理と、加水分解処理と、冷却処理とを有する植物の細胞壁に含まれた抗酸化成分の抽出方法であって、
原料投入処理は、細胞壁に抗酸化成分を含む植物原料を処理チャンバー内に投入し、処理チャンバーを密閉する処理であり、処理チャンバーは、植物原料を加熱する釜であり、
加水分解処理は、処理チャンバー内の植物原料を130℃〜150℃の範囲で加熱し、植物原料に含まれる水分の水蒸気雰囲気中に植物原料を一定時間曝して植物原料の細胞壁を破壊し、細胞壁に含まれる抗酸化成分を細胞壁から開放して水蒸気および処理チャンバー内固形生成物中に取り込ませる処理であり、
冷却処理は、加水分解処理後、処理チャンバー内の水蒸気を冷却して水蒸気中に含まれる抗酸化成分を抽出すると共に、一部は処理チャンバー内に生成される固形物とともに収集する処理であることを特徴とする植物の細胞壁に含まれた抗酸化成分の抽出/収集方法。
【請求項3】
加水分解処理は、植物原料の細胞壁を破壊し、細胞壁に含まれる抗酸化成分を細胞壁から開放するとともに、細胞壁の破壊によって細胞内成分を取り出し、細胞内成分を含む水蒸気および処理チャンバー内固形生成物中に開放された抗酸化成分を取り込む処理を含むものであること特徴とする請求項2に記載の植物の細胞壁に含まれた抗酸化成分の抽出/収集方法。
【請求項4】
加水分解処理は、加熱温度での飽和水蒸気を植物原料に作用させて植物細胞壁を構成するセルロースの高分子構造を破壊して植物細胞壁に含まれる抗酸化成分を開放する処理であることを特徴とする請求項3に記載の植物の細胞壁に含まれた抗酸化成分の抽出/収集方法。
【請求項5】
原料投入処理は、植物原料の20%以下の量の水分とともに細胞壁に細胞内成分を含む植物原料を処理チャンバー内に投入し、加水分解処理における水蒸気発生量の不足を補う処理を含むものであることを特徴とする請求項2に記載の植物の細胞壁に含まれた抗酸化成分の抽出/収集方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−340623(P2006−340623A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−166976(P2005−166976)
【出願日】平成17年6月7日(2005.6.7)
【出願人】(592068510)
【出願人】(503180812)
【Fターム(参考)】