説明

植物ミネラル含有グルコマンナンペースト

【課題】植物ミネラルとグルコマンナンペーストは同一の食品に使用する時、それぞれ単独に使用していた。このため食品に使用する際、それぞれに適量を計量する必要があり、手間がかかると同時に食品等の品質を一定又は均一に保つことが困難である等の問題があった。
【解決手段】本発明の植物ミネラル含有グルコマンナンペーストの製法は、植物ミネラルを水に溶解して酸味料にてpHを5〜7に調整した後、グルコマンナン80%以上を含有する原料を溶解することを特徴としている。
第2に、グルコマンナンの最終含有量を0.5%以上5.0%/重量に調整したことを特徴としている。
第3に、植物ミネラルの最終含有量を50ppm以上5000ppmに調整したことを特徴としている。
また上記植物ミネラル含有グルコマンナンペーストを食品に応用する場合は、上記方法で得た植物ミネラル含有グルコマンナンペーストを生地中若しくは混合材料中に添加して使用することを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は主として食品添加用の植物ミネラル含有グルコマンナンペーストとそれを添加した食品に関する。
【背景技術】
【0002】
植物ミネラルは、野草、樹木葉、海藻を原材料とし、そこからカルシウム、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、リン等のミネラルを抽出したもので、食品への利用目的は、鮮度保持、植物油脂の酸化抑制、漬込み液の抱え込み作用強化、冷凍焼けの防止、旨味や風味の引き出し、異臭の抑制、発色を良くする、塩カドを取る等である。グルコマンナンペーストは、こんにゃく芋に含まれるグルコマンナンを水に溶解してペースト状にしたもので、食品への利用目的は、離水防止、保湿付与、食感向上、ボリュームアップ、解凍時のドリップ防止、食物繊維の特性付与、カロリーダウン、等である。
【0003】
本発明は、グルコマンナンペーストに植物ミネラルを一定量添加して一体化することにより、グルコマンナンペーストの成型性、形状保持、食感改良効果と植物ミネラルの食品鮮度保持効果などを相乗的に持ち、かつ製品の品質を安定にするとともに、作業効率の向上を図ることのできる食品を提供せんとするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3730426号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、植物ミネラルとグルコマンナンペーストは同一の食品に使用する時、それぞれ単独に使用していた。このため食品に使用する際、それぞれに適量を計量する必要があり、手間がかかると同時に食品等の品質を一定又は均一に保つことが困難である等の問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明の植物ミネラル含有グルコマンナンペーストの製法は、植物ミネラルを水に溶解して酸味料にてpHを5〜7に調整した後、グルコマンナン80%以上を含有する原料を溶解することを特徴としている。
第2に、グルコマンナンの最終含有量を0.5%以上5.0%/重量に調整したことを特徴としている。
第3に、植物ミネラルの最終含有量を50ppm以上5000ppmに調整したことを特徴としている。
【0007】
また上記植物ミネラル含有グルコマンナンペーストを食品に応用する場合は、上記方法で得た植物ミネラル含有グルコマンナンペーストを生地中若しくは混合材料中に添加して使用することを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、グルコマンナンペーストに植物ミネラルを一定量添加して一体化することにより、食品に用いたときの成型性、形状保持、食感改良効果と植物ミネラルの食品鮮度保持効果などを相乗的に持ち、かつ製品の品質を安定にするとともに、作業効率の向上を図ることのできるなどの多くの利点がある。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下本発明の実施形態につき詳述すると、先ず、本発明に用いるグルコマンナンは、80%以上のグルコマンナンを含有する通常のコンニャク粉でも使用可能であるが、好ましくは含水アルコール等でコンニャク粉中のグルコマンナン以外の不純物を除去した精製グルコマンナンを用いる。
第2に、本発明に用いる植物ミネラルは、樹木葉、野草、海藻などの植物から抽出したミネラル成分である。
【0010】
上記グルコマンナンと植物ミネラルによる植物ミネラル含有グルコマンナンペーストの製法は、あらかじめ植物ミネラルを50ppm〜5000ppm溶解した水溶液に、グルコマンナンを0.5%〜5.0%の濃度で溶解して作られる。
【0011】
上記グルコマンナンの溶解時の水溶液は中性に調整しておく必要がある。水溶液が酸性であると、経時的に植物ミネラル含有グルコマンナンペーストの粘度が低下し、水溶液がアルカリの場合はグルコマンナン中の脱アセチル反応によってゲル化する。このため、例えば植物ミネラルを溶解したときの水溶液がアルカリの場合は、クエン酸等の酸味料によってpHを5〜8程度に調整してからグルコマンナンを溶解する。
【0012】
上記方法によって得られた植物ミネラル含有グルコマンナンペーストは、保存性を持たせるためにレトルト殺菌処理を施すことができる。具体的には、120℃程度の温度で15〜60分程度の加熱処理を行う。このレトルト殺菌処理によって、無菌性で且つ長期間物性が安定な植物ミネラル含有グルコマンナンペーストを得ることができる。
以下材料の配合と製品の性状及び検査手段を実施例によって示す。
【実施例1】
【0013】
実施例1
<配合>
植物ミネラル1000ppm水溶液 1000g
グルコマンナン 15g
<性状>
粘度(B形粘度計):165,000mPa.s
pH(ガラス電極pHメータ);6.5
【0014】
実施例2
<配合>
植物ミネラル500ppm水溶液 1000g
グルコマンナン 10g
<性状>
粘度(B形粘度計):82,000mPa.s
pH(ガラス電極pHメータ);6.8
【0015】
実施例3
<配合>
植物ミネラル3000ppm水溶液 1000g
グルコマンナン 20g
<性状>
粘度(B形粘度計):360,000mPa.s
pH(ガラス電極pHメータ);6.3
【0016】
次に上記植物ミネラル含有グルコマンナンペーストを生地に添加した食品への応用例を示す。
応用例1
(1)対象品:食パン
(2)配合比(ベーカーズ%)
強力小麦粉 100
植物ミネラル含有グルコマンナンペースト 10
(植物ミネラル:1000ppm グルコマンナン:1.5%)
砂糖 7
食塩 1
生クリーム 5
無塩バター 5
イースト 3
水 70
(3)製法:常法により材料を順次加えて混合後、成型、発酵後に焼成する。
(4)特徴:a、保水性のあるソフトな仕上がりになる
b、弾力性がある
c、経時保管後も柔らかい(老化防止)

【0017】
応用例1
(1)対象品:スポンジケーキ
(2)配合比
玉子(全卵) 42
小麦粉 22
植物ミネラル含有グルコマンナンペースト 6
(植物ミネラル:2000ppm グルコマンナン:1.8%)
砂糖 20
マルトース 9.8
ゲル化剤(カラギーナン) 0.2
合計 100
(3)製法:常法により材料を順次加えて混合後、容器に入れ、加熱(焼成)後冷却する。
(4)特徴:a、しっとりとした仕上がりになる
b、保水性が向上し、乾燥防止になる
c、生地の粘性が強くなり、固形材料(フルーツ等)の沈みを防止する

【0018】
上記応用例の他にも、和菓子、洋菓子、あん、麺などの食品に添加出来るもので、一般には弾力性や保水性等を向上させるために混練される材料に添加されることが多いが、液状又は流動体状の食品の他、粘着性,保水性,艶,皮膜形成等の向上のため海苔,昆布,果実類等にも添加して使用することもできる。その他上記の各種性質が求められる場合は、食品以外のものにも応用できるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グルコマンナン0.5%〜5.0%の溶液に、植物ミネラル50ppm〜5000ppmを含有する植物ミネラル含有グルコマンナンペースト
【請求項2】
請求項1の植物ミネラル含有グルコマンナンペーストを生地中若しくは混合材料中に添加してなる植物ミネラル含有グルコマンナンペースト添加食品

【公開番号】特開2012−16324(P2012−16324A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−156443(P2010−156443)
【出願日】平成22年7月9日(2010.7.9)
【出願人】(710007456)
【Fターム(参考)】