説明

植物保護用および工業非農作物分野用のアジュバント/添加剤として農薬と併用するソホロリピドおよびその誘導体の使用

農作物保護用および工業非農作物分野用のタンク混合添加剤および/または製剤添加剤として、農薬と組み合わせた、アジュバントとしてのソホロリピドの使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農薬または農薬混合物用の、製剤添加剤および/またはタンク混合(tank mix)添加剤(アジュバントともいう)としての、ソホロリピドおよび/またはその誘導体、並びに組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
農作物の保護、有害生物防除組成物、また工業的非農作物分野においては、そのような農薬または農薬混合物の生物学的活性を高めようとする目的を、いわゆるアジュバント、あるいは助剤または添加物を使用することによって達成しようとすることが多い。活性は、しばしば効力ともいわれる。Pesticides Safety Directorate(PSD、Health and Safety Executiveの執行機関、英国の非国家的公共機関)は、アジュバントを、それ自体農薬としての活性はないが、農薬の効果を増大または補助する、水以外の物質であると定義している(http://www.pesticides.gov.uk/approvals)。これらの物質は、送達および噴霧する直前に水性噴霧溶液に添加(タンク混合添加剤として)されるか、または農作物保護製剤に直接加えられる。「アジュバント」という単語の使用に関し、特許または文献では、「界面活性剤」または「湿潤剤」という用語の同義語としてしばしば使用されているが、これらはあまりにも広範囲の意味を有しており、より総称的な用語であると解釈され得る。ここで提言する使用に基づくならば、「アジュバント」という用語がソホロリピドの作用をより良く説明するので、これを採用することにする。ソホロリピドは、後で示すように、実質的に濡れ性/展延性を示すことはない。対照的に、農作物保護で知られる、例えばトリシロキサンを含む界面活性剤または湿潤剤の多くは、非常に強い展延性挙動を示す。
【0003】
当技術分野においては、アジュバントの助けがあって初めて認められる効力、すなわち、実際的関連性を有する効果を達成する農作物保護活性成分が数多くある。ここでは、アジュバントは、例えばアベルメクチン(これは紫外線により分解する)のUV感受性、または、スルホニル尿素の水不安定性などの活性成分の弱点を補うのに役立つ。最近の活性成分は一般に非水溶性であり、それらを標的=標的有機体=植物上に効果的に分配するために、水溶液に物理的影響を及ぼすことによって表面の乏しい濡れ性を補うには、アジュバントは噴霧水溶液中に必要不可欠である。さらに、アジュバントは、少ない水適用量、水質の相違、および適用速度の増大傾向などの適用上の技術的問題を打開するのに役立つ。アジュバントにより農薬の活性を増大させ、農作物保護製品の弱点を補うことを、一般に、農作物保護製品の適用の効力を増強するという。
【0004】
当業者でない者は、商業的に入手できる湿潤剤/界面活性剤(例えば、化粧料分野、または家庭用洗浄製品分野における)はすべて、農薬の効力を増強すると考えるかもしれない。しかしながら、多くの刊行物からも明らかなように、そうではない(例えば、Pesticide Formulation and Adjuvant Technology, Chester L. Foy and David W. Pritchard. CRC Press LLC, 1996, pages 323-349を参照)。
【0005】
したがって、ソホロリピドが農薬の効力を増強し、したがってアジュバントとして作用することは驚くべきことであり、自明ではない。
【0006】
ある刊行物は、ラムノリピドなどのある種の糖脂質が、それ自体固有の農薬効果を発揮し得ることを教示している(米国特許出願公開第2005/0266036号、またはYoo DS, Lee BS, Kim EK (2005), Characteristics of microbial biosurfactant as an antifungal agent against plant pathogenic fungus. J Microbiol Biotechnol 15:1164-1169)。したがって、この特許出願がUK PDSで定義された意味のアジュバントを開示したものではないことを記載しておかなければならない。
【0007】
米国特許出願公開第2005/0266036A1号には、例えば線虫などの有害生物に対して使用するための、微生物により製造された生物学的湿潤剤が記載されている。ここでは、湿潤剤、または湿潤剤を産生する微生物が、有害生物の直接的防除のために、いわば生物農薬として有害生物に直接適用される。実施例では、イエバエ、アブラムシおよび線虫、およびカボチャ上に存在する真菌胞子に対しラムノリピドを使用した例のみが示されている。生物学的湿潤剤、この場合はラムノリピド、の使用濃度は、除草剤の場合、噴霧溶液中で5重量%と非常に高かった。農作物保護活性成分でさえ、そのような高い適用濃度では使用しない。通常(他の適用濃度もあるが)、約1l/haの農作物保護製剤(活性成分を500g/l以上含有)が約250l/haの量の水とともに使用される。これは、最大濃度約0.4重量%に相当する。しかしながら、実際的な活性により防除されたおよび/または選択的な有害生物防除に関する情報、及び予防効果、言い換えれば保護効果に関する情報は、上で引用した米国特許出願には記載されていない。
【0008】
「保護」とは、病気または有害生物が未だ現れていないときに、農薬/アジュバントの組み合わせを標的の有機体に適用すること(すなわち、有害生物または病気が出現する前の保護用送達)を意味する。保護のための適用は特に殺真菌剤において重要であるが、殺虫剤および殺ダニ剤においても重要である。
【0009】
米国特許出願公開第2005/0266036A1号は、ラムノリピドを選択的用量で(すなわち、アジュバントとして)使用したときに、ラムノリピドがまた除草剤の効力を増強するか否かについては明らかにしていない。選択的用量とは、その量では糖脂質自体は有害生物(雑草、昆虫、真菌類、またはそのような有害生物など)を防除(損傷)しない量である。
【0010】
米国特許公開第2005/0266036号の出願には、そこで使用している生物界面活性剤、特にラムノリピドが、その細胞壁透過効果を利用して、いかにして農薬活性を示すかが記載されている。植物組織内に既に存在している有害生物を防除するために(これは治療効果といわれる)、農作物保護製品は、実際、この種の透過促進剤をしばしば必要とする。しかしながら、上で引用した特許出願には、糖脂質が農作物保護製品と併用された場合、これらが保護的に働くかあるいは前記製品の効力を実質的に高めるかについて何ら示しておらず、また明らかでもない。農作物保護分野では、保護的防御のために、例えば殺菌性硫黄などの接触剤を通常使用する。しかしながら、これらの活性成分は、接触によってのみ機能するものであり、言い換えれば、有害生物に命中しなければならない。対照的に、治療的保護では、例えばリムスルフロン(スルホニル尿素の群から)またはエポキシコナゾール(トリアゾール系殺真菌剤の群から)などの浸透作用を有する活性成分が通常使用される。この種の活性成分は植物に取り込まれ、植物樹液中に運ばれる。有害生物は植物を食べ、植物から樹液を吸い、それによって製品を消費する。
【0011】
ここで、相乗効果とは、農薬とアジュバントとの併用効果が、2つの個々の成分から予測される効果を上回ることを意味すると理解される(Colbyの式: Colby S.R. 1967. Calculating synergistic and antagonistic responses of herbicide combinations. Weeds 15:20-22を参照)。従来技術の中に、そのような農薬とソホロリピドとの相互作用における相乗効果についての証拠は見出せない。
【0012】
農作物の保護、有害生物の防除、および工業分野においては、化学的または生物学的農作物保護製品(以下、農薬ともいう)または農薬混合物が使用される。これらは、例えば、除草剤、殺真菌剤、殺虫剤、成長調節剤、軟体動物駆除剤、殺菌剤、殺ウイルス剤、微量栄養素、および、天然物質、あるいは生きている、処理された、または人工的に作られた微生物に基づいた生物学的農作物保護剤であり得る。活性農薬成分は、それらの使用領域とともに、例えば、'The Pesticide Manual', 14th edition, 2006, The British Crop Protection Council;に挙げられており、活性生物学的成分は、例えば、'The Manual of Biocontrol Agents', 2001, The British Crop Protection Councilに記載されている。農薬は以下、常に総称として使用されている。
【0013】
例えばノニルフェノールエトキシレートなどの過去に使用された有機界面活性剤と比べて、噴霧溶液または水の静的表面張力をはるかに大きく低下させるアルコキシル化トリシロキサン界面活性剤を、タンク混合添加物として使用することは広く行われている。トリシロキサン界面活性剤は、MeSiO−SiMeR−OSiMe(ここで、基Rは、ポリエーテル基を表す)の一般構造を有する。例えばBREAK-THRU(登録商標)S240(Evonik Goldschmidt GmbH)などの超展延性トリシロキサン界面活性剤の農薬との併用は、植物の農薬の取り込みを改善し、一般に、その活性または効力を増大させる。米国特許第6,734,141号には、この効力増強の原因が、具体的には、表面張力の低下によるものであって、必ずしも展延性によるものではないと記載している。大多数の特許では、「表面張力」という用語は、常に静的な表面張力をいう。例えば、トリシロキサンの場合には、静的表面張力は約20〜25mN/mである。
【0014】
しかしながら、多くの国で、トリシロキサン界面活性剤は健康に有害なものに分類されており、農作物保護製品の成分として登録することに関し、このことが排除する判断基準になっていると考えられる。多くのタンク混合添加剤、特にエトキシル化アルコールまたはアルキルポリグリコシドは、撹拌導入時に噴霧溶液中で激しい発泡を引き起こし、この発泡は、適用現場で大いに問題となり得る。一般に、合成湿潤剤は、国家機関にアジュバントとして登録するには、土壌中に何も残存しないことを示さなければならない。大多数の国で活性農薬成分についてのみ存在するこの残留物の問題は、従来のアジュバントにもますます適用されつつある。生物学的湿潤剤は、生分解性であるため、この問題に影響されることはなく、このことは、これを使用する上での強力な有利性を示すものである。糖脂質は、親水性の炭水化物部分と疎水性の脂質部分からなり、その両親媒性により、界面活性、すなわち界面活性剤特性を有し、それ故、生物界面活性剤とも呼ばれる化合物に分類されるものであると理解される。それらの多くは、グリコシド結合で糖残基に結合したヒドロキシル化脂肪酸である。この種の化合物はまた、微生物代謝の生成物を含む。そのような例には、それぞれ、細菌(例えば、シュードモナス・エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa))、酵母(例えば、カンジダ・ボンビコラ(Candida bombicola))、または酵母および高等菌類(例えば、カンジダ・アンタルクティカ(Candida antarctica)およびシュードジマ・アフィディス(Pseudozyma aphidis))によって産生されるラムノリピド(RL)、ソホロリピド(SL)およびマンノシルエリトリトールリピド(MEL)がある。
【0015】
そのような化合物の生物工学的合成法が知られてから既にかなりの時間が経過しており、適切な菌株および醗酵条件が深く検討されてきた(例えば、Mukherjee, S. et al. - 2006, Towards commercial production of biosurfactants, Trends in Biotechnology, Vol. 24, No. 11)。しかしながら、この種の化合物が再生可能な原料から温和な条件で製造できることから、最近では、持続可能性の議論の一環として、これらに対する関心が急激に増大してきている。
【0016】
この目的のために、原理的には、問題の微生物に、親水性基質として代謝可能な炭水化物(例えば、モノサッカリドまたはジサッカリド)が、また疎水性基質として炭化水素、脂肪族アルコール、脂肪酸、トリグリセリド、またはこれらの混合物が供給され、これらは前記微生物により対応する標的化合物へ変換される。この場合、標的分子に必要な元素が、必要ならば、微生物の代謝によって合成することもでき、それによって非常に広範囲の炭水化物または炭化水素源を自由に利用できるようになるため、二つの基質源は極めて多様になり得る(K. Muthusamy et al. - 2008, Properties, commercial production and applications, Current Science, Vol. 94, No. 6, pp. 736-747)。可能な疎水性基質の例としては、比較的長鎖の炭化水素、植物または動物油、遊離脂肪酸または脂肪酸誘導体(欧州特許出願公開第1953237A1号、esters of different chain lengths、などを参照)、および脂肪族アルコールがある。使用する有機体によっては、例えば乳糖および蔗糖などの他の糖類も許容されるが、通常使用される親水性炭素源はグルコースである(van Bogaert et al. - 2006, Microbial production and application of sophorolipids, Applied Microbiology and Biotechnology, Vol. 76)。
【0017】
構造の多様性とそれに伴う機能特性の拡大をもたらす他の可能性は、微生物により製造された糖脂質に対するその後の化学的または生化学的変性である。これについても、例えば、米国特許出願公開第2007/027106−A1号−Charged Sophorolipids and sophorolipid containing compounds、または米国特許出願公開第2005/164955A1号−Antifungal properties of various forms of sophorolipids、またはBisht, K.S. et al. - 1999, Enzyme-mediated regioselective acylation of SLs, The journal of organic chemistry, 64, pp. 780-789、 Azim, A. et al. - 2006, Amino acid conjugated sophorolipids, Bioconjugate Chemistry, 17, pp. 1523-1529)などのように、各種方法が記載されている。例えば、1つの簡単な方法は、塩基触媒による加水分解、または、分子鎖の長さが種々に異なる脂肪族アルコールとのエステル化である。短い疎水性の基を有するソホロリピドを調製する1つの興味深い方法が、同様に欧州特許出願公開第1953237A1号により、最近、公開された。この場合、餌として供給される疎水性基質は、例えばアミド結合、エステル結合または二重結合を含有し、その後、加水分解またはオゾン分解により化学的に開裂して、比較的短鎖の疎水性基を得ることができる脂肪酸類似体を含む。
【0018】
例えば蒸留によりソホロリピド粗生成物中の水含有量を減少させると、生成物の粘度が非常に高くなるため、処理中に技術的な問題が生じる。この問題は、たとえ低濃度であっても粘度を低下させる揮発性ポリオールを添加することにより解決されている;米国特許第4,197,166号−Dehydrating purification process for a fermentation productを参照。
【0019】
技術文献においては、代表的なラムノリピド、トレハロースリピドおよびソホロリピドの形態の糖脂質が生物学的界面活性剤として開示されている(Desai JD and Banat IM. Microbial Production of Surfactants and their Commercial Potential. Microbiology and Molecular Biology Reviews, March 1997, pp. 47-64)。これらは、例えば、土壌の修復に使用されている(修士論文Ozlem Zenginyurrek, Izmir 2002, Izmir Institute of Technology: Title: Effects of biosurfactants on remediation of soils contaminated with pesticides、またはFood Technology and Biotechnology (2001), 39 (4), 295-304を参照)。これらの刊行物には、エンドスルファンまたはメタラクロルなどの農薬の土壌中での分解について記載されている。これらの場合には、生物学的湿潤剤は直接土壌に適用される。文献でも、また特許でも、ラムノリピドは大抵、生物学的湿潤剤と関連している。しかしながら、これらのラムノリピドは、健康に有害なものとして分類され、安全データシートによれば、眼に重大な損傷を引き起こすおそれがある。
【0020】
農業分野における動向は、毒物学的に問題がより少ない添加剤およびアジュバントにだんだん向かっている。さらに、ラムノリピドの製造は、その醗酵製造過程での激しい発泡により妨げられ、効率的な生物工学的生産でも、これまで、潜在的に病原性を有するシュードモナス(Pseudomonas)属の菌株を使用してのみ実現できるものであった。本発明では、したがって、ラムノリピドについてはこれ以上検討しない。MEL(マンノシルエリトリトールリピド)は、アジュバントとして期待される別の脂質である。しかしながら、分子の観点で見るとそれらは非常に疎水性が高く、したがって、水中に分散させることは、たとえできたとしても、困難を伴うものであり、また、タンク混合添加剤として使用する前提条件は、分子が水溶性であることであるから、その使用は油を基剤とする製剤に限定されよう。したがって、MELは、共界面活性剤との併用でのみ使用することが好ましいであろう。PCT/米国特許出願公開第2005/046426号(国際公開第06/069175号)には、抗真菌剤として使用するソホロリピドが記載されているが、農作物の保護または非農作物への適用に関するものではない。抗真菌剤としての特性は、化粧料分野および医薬品に利用されている(K. Kim et al. - Journal of Microbiology and Biotechnology (2002), 12(2), 235-241)。化粧料分野では、生物学的湿潤剤は、通常、水中油乳化物用の乳化剤として使用されている(I. van Bogaert et al.; Appl. Microbiol Biotechnology (2007) 76: pp. 23-34)。van Bogaertらはまた、生物学的湿潤剤、特にソホロリピドの家庭用洗浄製品における商業的使用について報告している。
【0021】
使用に際し、ノズルを通して噴霧する通常の送達を行う前に、通常水で希釈する農作物保護製品製剤は、活性農薬成分または治療成分(活性物質、または活性成分と呼ばれる)のみならず、例えば乳化剤、増粘剤、分散補助剤、凍結防止剤、消泡剤、殺生物剤および/または界面活性物質などの他の補助剤を含む。製剤の熟練者はそのような物質に精通している。
【0022】
製剤の形態は、農作物、耕作面積および使用者によって左右される。異なる活性農薬成分の間で物理化学的特性が多様であるために、市場には液体および固体の両方の製剤形態が数多く存在する。製剤添加剤、特にアジュバントは、保持力、浸透性、耐雨性および展延挙動などの特有の適用特性を付与する。ある特定の製剤は、最大の性能と活性を確保し続けながら、確実に、可能な最少量の活性成分を広い面積に一様に分配する(使用者および環境を保護するために、適用量を低減させる)ことができるように意図されている。ここで例として挙げるだけであるが、多様な製剤の形態は次のとおりである:懸濁濃縮液、カプセル懸濁液、乳化可能な濃縮液、水溶性濃縮液、オイル分散液、サスポエマルジョン、水中乳濁液、水分散性顆粒または粉末。製剤の可能な形態と種類は、ここに記載したものに限定されない。
【0023】
これらの種類の活性成分は、活性成分の濃縮製剤を噴霧送達の前に希釈し、かつ植物に適合させるために、水を含有するタンクに投入されることが多い。タンク混合添加剤(添加物質またはアジュバントとも呼ばれる)は、活性成分製剤の添加の前または後に、それとは別に、同じタンク内の水に加えられ、撹拌により噴霧溶液と呼ばれる全体の系に分配される。
【0024】
活性成分(活性物質)は、個々の国で植物および農作物への使用が容認および/または登録されており、かつ/あるいは植物の損傷を防ぐため、または、農作物の収穫量の低下を回避、もしくは軽減するために、リストに記載されている物質である。そのような活性成分または物質は、合成物であっても生物学的なものであってもよい。そのような活性成分はまた、抽出物もしくは天然物質、または拮抗作用を有する有機体であってもよい。それらはまた、一般に農薬と呼ばれる。タンク混合添加剤の有用性は一般的な性質であり、活性成分に特有のものではないから、本明細書に記載する本発明においては、活性成分の性質は重要ではない。農作物の保護において、その用途領域によって名付けられた農薬には、例えば、次の分類:殺ダニ剤(AC)、殺藻剤(AL)、誘引剤(AT)、忌避剤(RE)、殺菌剤(BA)、殺真菌剤(FU)、除草剤(HE)、殺虫剤(IN)、軟体動物駆除剤(MO)、殺線虫剤(NE)、殺鼠剤(RO)、滅菌剤(ST)、殺ウイルス剤(VI)、成長調節剤(PG)、植物増強剤(PS)、微量栄養素(MI)および多量栄養素(MA)が含まれる。当業者はこれらの名称および用途領域に精通している。活性成分は単独、または他の活性成分と組み合わせて使用される。好ましい農薬は、HB、FU、IN、PG、MIであり、特に、HB、FU、INである。商業的には、そのような活性成分または物質は、ほとんどが製剤の形態で販売されており、これは、そのような形態でのみ使用者が使用し得るからであるが、通常、水で希釈された後、送達され得る。
【0025】
例示の目的で、いくつかの活性成分または活性有機体が、'The Pesticide Manual', 14th edition, 2006, The British Crop Protection Council、または'The Manual of Biocontrol Agents', 2004, The British Crop Protection Councilに挙げられている。しかしながら、本明細書は、そこに挙げられているそれら活性成分のみに限定せず、前述の研究書に未だ引用されていない、より最新の活性成分を含む。個々の活性成分について、またはこれら活性成分の製剤について、あるいは活性成分の互いの、または互いの間の組み合わせについて、ここでは列挙しない。
【0026】
天然物質の特性を有する製品、または生物学的製品もまた、上で引用した刊行物の1つに列挙されている。多様な形態の中の任意の形態をした液体調製物中に、液体の形態で、単独または他の栄養素と組み合わされ、あるいは農作物保護製品と組み合わされて送達される、植物栄養素および植物微量栄養素には、例えば窒素、リン、カリウム、カルシウム、マグネシウム、マンガン、ホウ素、銅、鉄、セレン、コバルト、および微量栄養素と呼ばれる他のものが含まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
毒物学的に問題がなく、EC Directive 1907/2006に照らして環境上有害でなく、水の表面張力を大幅に低下させ、水に溶解または分散可能であり、かつ、農薬の選択的活性を促進するために、タンク混合添加剤として、また製剤助剤として使用できる生物学的物質が求められている。本発明において、毒物学的に問題がないとは、所望の生物学的物質が、例えば生分解性であり、魚、ミジンコ属および/または藻類に対して好ましくない毒性を有さず(すなわち、>10mg/l)、かつ使用者の目を刺激しないことを意味する。タンク混合分野における好ましい使用濃度は、噴霧溶液の0.001〜3体積%、好ましくは0.01〜0.5体積%、より好ましくは0.1体積%未満(これはまた、約0.1重量%に対応する)である。これは、1ヘクタール当たり、通常の100〜1000lの噴霧溶液を送達したときの、10〜3000ml/haと同義であり、好ましくはアジュバントの量は50〜700ml/haであり、これは、1ヘクタール当たりの水の全適用量とは無関係に、それぞれの噴霧溶液によって加えられる量でもある。製剤助剤として、この濃度から、農作物保護製品濃縮物およびその使用量を逆算しなければならない。アジュバントの前述の量は、耕作地での使用濃度に対応する。
【0028】
したがって、本明細書の1つの目的は、農薬の効力を増強する、毒物学的問題のないアジュバントを見出すことにある。
【課題を解決するための手段】
【0029】
この目的は、ソホロリピドに基づくアジュバント/添加剤の使用により達成される。
【0030】
したがって、本発明は、農作物の保護および/または工業非農作物分野における、ソホロリピド、ソホロリピド調製物、およびその誘導体を含むアジュバントの使用であって、いずれの場合もアジュバントの機能を有する、タンク混合添加剤それ自体としての、あるいは製剤添加剤としての、乳化剤、分散剤、消泡剤としての、あるいは一般に湿潤剤としての使用を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0031】
誘導体としては、好ましくはソホロリピドエステルを使用することができる。
【0032】
アジュバントの用量域が10〜3000ml/ha、好ましくは30〜1000ml/ha、より好ましくは50〜700ml/haであるという条件で、ソホロリピドを含む本発明のアジュバントは、ソホロリピドおよびその調製物または誘導体を使用しない場合と比べて、好ましくは10%超、農薬の作用を増強し、および/または、活性を増大させることが好ましい。
【0033】
農作物保護製品および工業的有害生物防除組成物の意味で、例えば、除草剤、殺虫剤および/もしくは成長調節剤、またはこれらの混合物、あるいは、植物増強剤、微量栄養素および多量栄養素(特に農薬とアジュバントの組み合わせが保護的に使用されるとき)の群から選択される、農薬および/または殺真菌剤を使用することが好ましい。タンク混合添加剤または製剤助剤としてソホロリピドを農薬の用途で使用することが、ここでは特に好ましい。これらの場合、アジュバントは、殆ど発泡を引き起こさず、したがって、CIPAC Method MT 47による30秒後の発泡が80ml未満となり、および/または使用者の目の刺激を誘発せず、および/または0.1重量%濃度のアジュバント水溶液で水の表面張力を40mN/m未満の水準にまで低下させるものでなければならない。
【0034】
アジュバントと農薬は相乗効果を示すことが好ましい。本発明のこれらの好ましい組成物に係る農薬活性の効力は、農薬またはアジュバント単独の効力またはそれらの相加効果より大きく、ある好ましい実施形態では、使用濃度範囲においてアジュバント単独では、それ自体農薬活性を全く示さない。この相乗効果は、ある濃度範囲で生じ、また、活性農薬成分とアジュバントの比が、1:120〜30:1、好ましくは1:100〜20:1、非常に好ましくは1:75〜4:1で生じることが好ましい。この濃度範囲は、タンク混合添加剤としての使用、および製剤添加剤としての使用と関連する。
【0035】
農薬としては、除草剤および/または殺真菌剤、ならびにそれらの混合物を使用することが好ましい。特に好ましいのは、除草剤または殺真菌剤であり、例えば硫黄などの接触性殺真菌剤、および/またはトリアゾール系の浸透性(systemic)殺真菌剤、および/またはスルホニル尿素の群からの浸透性除草剤、およびこれらと他の農薬との混合物がより好ましい。
【0036】
1つの好ましい実施形態では、アジュバント/添加剤は他の共界面活性剤と共に使用することができ、例としてカルボン酸がある。使用するカルボン酸は、炭素原子が6〜10個の直鎖状飽和アルキル鎖を有するアルカノン酸が好ましく、あるいはオクタン酸(カプリル酸)、ノナン酸、デカン酸(カプリン酸)、オレイン酸、またはこれらの混合物が好ましい。
【0037】
アジュバントは、例えば懸濁濃縮液、カプセル懸濁液、乳化性濃縮液、水溶性濃縮液、オイル分散液、サスポエマルジョン、水中乳濁液、水分散性顆粒または粉末などの農薬製剤中に添加剤として、例えば分散剤、乳化剤、増粘剤および消泡剤などの他の添加物質とともに、アジュバント含有量1重量%〜99重量%、好ましくは1.5重量%〜60重量%の範囲で、より好ましくは1.9重量%〜30重量%で使用することができる。
【0038】
さらに本発明においては、ソホロリピドおよび少なくとも1種の活性農薬成分を含む組成物が提供され、1つの好ましい実施形態では、ソホロリピドそれ自体は、固有の農薬効果を示さない。
【0039】
本発明はさらに、ソホロリピドおよび活性農薬成分を含む組成物であって、組成物の農薬の効力および活性が、個々の成分の効力の和より大きい組成物を提供する。効力は、ここでは、全量、および相対的な比の両方に関係する。最適な効力は、活性農薬成分とアジュバントとの比が1:100〜20:1、好ましくは1:75〜4:1で得られる。
【0040】
本発明により提供される組成物は、ソホロリピドを含み、それは醗酵プロセスで調製することができる。反応物(例えば、脂肪酸の混合物)の不均一な組成と、微生物生合成装置の狭い選択性のために、物質は高純度の化合物としてではなく天然混合物として存在する。
【0041】
したがって、本発明が提供するソホロリピドは、醗酵調製後、それ以上の精製を行わずに使用することができるソホロリピド調製物および組成物を含むものと理解され、かつ使用される。
【0042】
したがって、この定義によるソホロリピドおよびソホロリピド調製物は、例えば、微生物の基質として働く、例えば脂肪酸および炭水化物などの、醗酵プロセスからの反応物、および、例えば水および他の天然の不純物、特に有機不純物を含み得る。ある種のソホロリピド形態はpH安定性を有しない。したがって、例えば塩基触媒の存在下、脱アセチル化またはラクトンの開環が起こり、酸形態の類似体を生成し得る。
【0043】
本発明の1つの好ましい実施形態では、農作物保護および/または非農作物分野で、アジュバント/添加剤の成分として、ソホロリピドおよびその誘導体ならびにソホロリピド調製物を使用する。
【0044】
ソホロリピドは、固体基準で>30重量%、好ましくは>65重量%(m/m)、より好ましくは>80重量%(m/m)の純度で含まれる。アジュバントは、1重量%〜100重量%の程度まで、ソホロリピド自体、それらの誘導体、またはソホロリピド調製物を含み得る。アジュバント中のソホロリピド、それらの誘導体、またはソホロリピド調製物の量は、固体基準で、好ましくは30重量%超であり、より好ましくは60重量%超である。
【0045】
親水性基質の他に、醗酵法調製における疎水性基質として、炭化水素、脂肪酸、脂肪酸エステルおよび/または脂肪族アルコールを使用することができるが、好ましくは、例えば、獣脂、ひまわり油、種油、紅花油、大豆油、パーム油、パーム核油、ココナッツ油およびオリーブ油、またはこれらの混合物などのトリグリセリドの使用である。
【0046】
アジュバント中のソホロリピド画分は、精製された形態、または精製されていない形態で、
i)10重量%〜100重量%、好ましくは<60重量%、より好ましくは<20重量%の酸画分を有する、ラクトンおよび酸形態の混合物として存在するか、
ii)pHを6〜8の水準に調節することにより可溶化できる、>90重量%のラクトン形態の画分からなるか、あるいは
iii)メチルエステルまたはエチルエステルとして、それぞれのエステルが1重量%〜100重量%、好ましくは>50重量%、より好ましくは>90重量%(m/m)の画分で存在するか、
のいずれかであり得る。
【0047】
驚いたことに、ソホロリピドのラクトン形態は、醗酵から依然存在する脂肪酸または追加で加えた脂肪酸により、pH6〜8で可溶化できることがわかった。
【0048】
pHが6ではソホロリピドのラクトン形態も脂肪酸もそれ自体では透明に「溶解」しないため、この場合、透明な系が得られることは、特に驚くべきことである。ラクトン形態と脂肪酸の組み合わせのみが、透明に「溶解」する。ここで、透明に「溶解」するとは、少なくとも見かけ上、真の溶液が得られるが、この溶液は微細な乳濁物の形態でも存在し得ることを意味する。いずれにしても、その特徴は、存在し得る乳濁物が再び個々の相に分解しないことである。
【0049】
したがって、本発明はさらに、pHを6〜8に調節することにより、脂肪酸の存在によってラクトン形態を溶液にすることにより、溶解したラクトン形態のソホロリピドを製造する方法を提供し、また、この方法で製造された溶液または乳濁液を提供する。pHは、それを上昇させるべきか、または低下させるべきかに応じて、例えば水酸化ナトリウム溶液などの無機アルカリを加えるか、または脂肪酸をさらに追加することにより調節することができる。
【0050】
好適な脂肪酸には、醗酵中に完全には反応しなかった脂肪酸、および/または追加的に添加し得る脂肪酸が含まれる。脂肪酸は、獣脂、ひまわり油、種油、紅花油、大豆油、パーム油、パーム核油、ココナッツ油、およびオリーブ油からなる群から選択される、基質として使用されるトリグリセリドの酸成分、または炭素原子が6〜22個のアルキル鎖長を有する短鎖乃至中間鎖カルボン酸に相当する。既に存在するまたは添加される脂肪酸の好ましい例は、ノナン酸(ペラルゴン酸)、デカン酸(カプリン酸)、ドデカン酸(ラウリン酸)、テトラデカン酸(ミリスチン酸)、ヘキサデカン酸(パルミチン酸)、オクタデカン酸(ステアリン酸)、オクタデセン酸(オレイン酸)、またはこれらの混合物がある。
【0051】
1つの好ましい実施形態では、0.1重量%のソホロリピド含有アジュバント水溶液の表面張力は、<40mN/mである。
【0052】
アジュバントは、ソホロリピド、ならびに有機溶剤および無機溶剤、好ましくは水の他に、当業者に知られている添加物質をさらに含んでもよい。
【0053】
ソホロリピドはまた、有機酸または油、好ましくは上で記載したものと混合してもよく、得られた混合物は、その後、タンク混合添加剤の混合成分として使用することができる。
【0054】
本発明は、農作物保護製品製剤におけるソホロリピドの、それぞれ、乳化剤、分散剤、消泡剤として、または、一般に湿潤剤として機能する使用を提供する。
【0055】
本発明の特に好ましい1つの実施形態では、化学式1または1aで示されるソホロリピドを含むソホロリピド調製物が使用される。
【化1】


式中、
およびRは、互いに独立してHまたはアセチル基であり、
は、H、またはメチル、エチルもしくはヘキシル基であり、
は、各々の場合に独立して、飽和または不飽和の二価の分枝状または非分枝状有機基、好ましくは、任意選択によりアミン、エステル、アミドまたはチオエステル基が介在していてもよく、好ましくは少なくとも一不飽和である、1〜28個の炭素原子を有する炭化水素基であり、
は、Hまたはメチル基であり、
但し、基RおよびRの全炭素原子数は29個以下、好ましくは12〜20個、より好ましくは14〜16個である。
【0056】
有機基Rは、任意選択によりN、S、およびOなどのヘテロ原子が介在していてもよく、したがって、アミン、エーテル、エステル、アミドまたはチオエステル基が介在していてもよい炭素鎖であってよい。
【0057】
本発明により提供される追加の対象は請求項に記載されているが、そこで開示された内容の全範囲はここで記載されたものの一部である。
【0058】
以下に記載する実施例は、本発明の例として記載するものであり、本発明は、その適用範囲が明細書全体および請求項から明白であるが、実施例で特定される実施形態に限定されると理解されるべきではない。
【0059】
以下に記載する範囲、数値、一般式、または化合物の分類は、明記されている、対応する範囲または化合物の群のみならず、個々の値(範囲)または化合物の抽出により得ることができる全ての下位の範囲および数値、ならびに化合物の下位の群をも包含するものと理解されるべきである。
【実施例】
【0060】
調べた材料:
検討したソホロリピドは、一般式1および/または1aで表すことができる。
【0061】
グルコース、ひまわり油、種油またはオリーブ油(脂肪酸画分として主にオレイン酸を含む)を基質とした、酵母カンジダ・ボンビコラ(Candida bombicola)による醗酵により、粗生成物を調製した。
【0062】
増殖培地は次の成分を含んだ:
− 10g/lのグルコース((D)+グルコース1HO)
− 7.5g/lのYNB(酵母窒素塩基)
− 2g/lの酵母抽出物
【0063】
1.1lの培地を2l容積の醗酵槽中でオートクレーブ処理し、同じ培地の指数増殖期の前培養物を播種した。温度は30℃に設定した。pOは、撹拌機の速度を調節して空気を取り込むことにより30%の相対飽和度に維持したが、撹拌機速度は200ppmを下回ることは決してなかった。バイオマス生成段階で、pHは3.5まで下がり、NaOHの添加によりこの水準を維持した。バイオマス生成段階の終了後(pOの上昇またはpCOの低下により示される存在するグルコースの消費)、対応する油150g、750g/lのグルコース溶液200ml、および150g/lの酵母抽出溶液10mlを添加することにより、生成物形成段階を開始させた。生成物形成段階の終了時には、pOが再度上昇した。醗酵終了後、このバッチをオートクレーブ処理し、粗い生成物相を沈殿物として沈殿させた。粗い生成物相を水で、次いでヘキサンで洗浄した。続いて、エチルアセテートで生成物相を抽出し、その後、減圧下で溶剤を除去した。これにより、水分を殆ど含有しない、本発明の乾燥質量に相当する生成物が得られた。HPLC−MSおよびNMRによる分析から、生成物が主としてグリコシド結合した脂肪酸を有するジアセチル化ソホロリピドラクトン形態からなることがわかった(主成分:ソホロリピドラクトン65〜80重量%、脂肪酸1〜16重量%、グリセロール1〜3重量%)。
【0064】
【表1】

【0065】
表1には、醗酵で調製したソホロリピドSLLの各種誘導体が挙げられているが、これらは後に温室試験で試験した。
【0066】
誘導体化ステップの過程は、NMR分析により確認した。
【0067】
SLL:SLLは醗酵プロセスの乾燥物質に相当するものであって、固体を形成し、そのソホロリピド含有率は>80重量%であり、主にラクトン形態のソホロリピドとして存在する(>90重量%)。
【0068】
SLM:メチルエステルおよびエチルエステルを合成するために、溶媒のメタノールまたはエタノールにSLLを溶解し、NaOCHまたはNaOCHCH(pH=12)を加えることにより、60℃の温度で3時間、エステル交換反応を行った。その後、減圧下で溶媒を除去した。これにより、僅かに粘稠な生成物が得られた。これを、冷凍し、その後、粉砕することによって、水への溶解度が>50重量%(m/m)の粉末にすることができた。
【0069】
SLS:ソホロリピドSLLの60重量%水性懸濁液を、5重量%の固体NaOHペレットと混合した。その後、混合物を50℃で30分間撹拌し、加水分解して、脱アセチル化した酸形態のソホロリピドを得た。その後、このバッチにHClを加えてpHを3に調節し、エチルアセテートで生成物を抽出した。エチルアセテートの除去により、粉末に粉砕することができ、水溶解度が>50重量%である残留物を得た。
【0070】
SLL−SLS:この場合、手順はSLSの場合と同じであるが、NaOHの添加を僅かに1/10として、ラクトン形態を部分的に加水分解した。この混成形態に水を加え、約50重量%の含有率の溶液を生成した。
【0071】
物理特性
a)泡の挙動および表面張力
親構造体について、0.1重量%濃度の水溶液中で(アジュバント形態で存在するソホロリピド調製物について)泡の挙動(CIPAC Method MT 47により)および静的表面張力を測定した。0.1重量%濃度溶液の表面張力を、SITA Messtechnik GmbH製の泡圧力張力計、機器:Sita online t 60; SITA online Version 2.0により測定した。静的表面張力の泡持続時間は30msである。測定の偏差は、報告のmN/mの値の約0.4%〜1%である。測定は、室温22℃で行った。示した数値は3回の測定の平均値である。
【0072】
CIPAC Definitionによれば、「非発泡性」生成物とは、指示された方法で行ったときに、メスフラスコ中で僅かに5mlの泡を発生するに過ぎない生成物である。したがって、ここでは、低発泡性生成物として30秒後に≦80mlの値を示すものと定義する。
【0073】
b)展延性の測定
展延特性を、ピペットと2軸配向ポリプロピレンフィルム(Germany、4P Folie Forchheim製のFORCO OPPB AT-OPAL)を使用して調べた。0.1重量%のアジュバントを含有する水溶液の1滴、体積50マイクロリットルを、フィルムに滴下した。1分後、液滴の直径を測定した。液滴が円形に拡がらなかったときは、長径と短径の平均値を算出した。測定は、気候順応研究室で21.5℃、相対大気湿度60%で実施した。
【0074】
【表2】

【0075】
表2の結果の評価:
驚いたことに、比較物質のBREAK-THRU(登録商標)S240と比べて、本発明の組成物では低レベルの展延性が見られるにすぎない。しかしながら、発泡は本発明の製剤では大きく減少している。
【0076】
性能試験:
製剤添加剤として物質を使用する場合、他の製剤物質との物理的/化学的適合性のみが重要である。しかしながら、アジュバントとしての物質の生物学的活性は、常に、まずそれ自体について、言い換えればタンク混合添加剤として試験される。したがって、本発明の基礎として、温室中でのタンク混合試験により生物学的活性を測定する。アジュバントを添加した農薬の、農作物保護における生物学的作用の改善を調べる温室試験を、以下に記載する。多数の農薬の中から、殺真菌剤であるエポキシコナゾールおよび硫黄と、除草剤であるリムスルフロンを、ここでの例として選択した。アジュバントの相乗効果を見出すために、次の試験を実施した(表5〜7を参照)。
a)農薬無添加のアジュバント
b)農薬の単独使用
c)農薬とアジュバント
【0077】
相乗効果を有すると評価できるためには、cの結果がaおよびbの和より良好でなければならない;Colbyの式も参照されたい。
【0078】
表3および4に示した試験では、農薬の効力に対するアジュバントの違いによる影響のみを調べた。
【0079】
治療試験の手順:
温室内で、植物培養媒体「Frustosol」に、オオムギの亜種「Ingrid」(1鉢当たり3本)を植えつけた。3週間後、植菌塔を使用して、長さ約10〜15cmの植物の葉に、ウドンコ病菌のブルメリア・グラミニス・フォルマ・スペシャリス・ホルデイ(Blumeria graminis f. sp. hordei)(A6品種)の新鮮な分生胞子を植菌した。その2日後、BASF製の殺真菌剤オパス(登録商標)(Opus(登録商標))(125g/lエポキシコナゾール)を含有する噴霧溶液をそれらに噴霧した。当業者は、そのような試験が治療試験であることを知っている。噴霧水量は250l/haに相当した。殺真菌剤の用量は10ml/haであった。アジュバントの用量は50〜125ml(またはg)/haの間で変化させた。水で希釈したアジュバント/添加剤(SLL−SLSなど)の場合、用量は活性成分含有量に基づく。この量は、噴霧溶液中で約0.0025重量%〜0.5重量%のアジュバント/添加剤に相当し、これは、例えばBREAK-THRU(登録商標)S240などの標準アジュバントと同等である。
【0080】
表3は、BREAK-THRU(登録商標)S240とソホロリピドSLLとを同一濃度で比較した結果を示す。ここでは、用量は50〜100ml/haとすべきで、また、50g/haを超えるSLLの濃度では、作用に何らの増強効果が生じないことがわかる。ソホロリピドの最適な用量についての経験は利用できないので、したがって、75ml/haまたは75g a.i.(活性成分)/haをソホロリピド調製物およびその誘導体について行う他の試験における基準とした(表5〜7を参照)。ある場合には、アジュバント/添加剤が単独で生物学的作用を示すかどうかを調べるために、殺真菌剤なしでアジュバント/添加剤を噴霧した。噴霧した膜の乾燥後、処理した植物および全く処理しなかった植物から葉の部分を8cmの長さに切り取り、それぞれ異なるものについて、15枚の葉をペトリ皿中のベンズイミダゾール寒天(滅菌後、40ppmのベンズイミダゾールを加えた0.5%寒天)上に別々に置いた。室温で14日間培養の後、葉のウドンコ病の感染を、感染した葉の面積の割合を算出することにより調べた。当業者は、この試験の手順に精通している。
【0081】
アジュバント単独の活性、農薬単独の活性(すなわち、殺真菌剤または除草剤の活性)および農薬/アジュバントの組み合わせの活性を、やはりウドンコ病菌を植菌した未処理の対照試料と比較して、当業者に知られている方法で算出し、病気の抑制%で表した。
【0082】
保護試験のための実験手順:
治療試験の場合と全く同じ方法で、温室内で植物(オオムギ)を栽培した。しかしながら、保護試験では、約3週齢で、活性殺真菌成分である硫黄(Stahler製のMicrothiol WG 80% sulfur)を含有する噴霧溶液を、単独、またはアジュバント/添加剤と組み合わせて植物に噴霧した。さらに、相乗効果を調べるために、アジュバントを単独で、言い換えれば硫黄を加えずに噴霧溶液に使用した。硫黄の用量は1000ppm/lとし、一方、アジュバントは用量を変えて使用した(用量については、結果を示した表を参照)。噴霧溶液の量は250l/haとし、したがって、噴霧溶液中のアジュバント濃度は0.1%以下であり、硫黄の用量は250g/haであった。噴霧溶液が乾いてから、処理した植物および全く処理しなかった植物から葉の部分を8cmの長さに切り取り、それぞれ異なるものについて、15枚の葉をペトリ皿中のベンズイミダゾール寒天(滅菌後、40ppmのベンズイミダゾールを加えた0.5%寒天)上に別々に置いた。翌日、植菌塔を使用して、ウドンコ病菌のブルメリア・グラミニス・f. sp.・ホルデイ(Blumeria graminis f. sp. hordei)(A6品種)の新鮮な分生胞子を植物に植菌した。真菌の植菌前に植物は殺真菌剤で保護されていることから、この種の実験の手順は、保護試験として当業者に知られている。室温で10日間培養した後、感染した葉の面積の割合を算出して、葉のウドンコ病の感染を調べた。当業者は、この試験の手順に精通している。
【0083】
アジュバント単独の活性、農薬単独の活性(すなわち、殺真菌剤または除草剤の活性)および農薬/アジュバントの組み合わせの活性を、やはりウドンコ病菌を植菌した未処理の対照試料と比較して、当業者に知られている方法で算出し、病気の抑制%で表した。
【0084】
除草剤の生物学的作用の改善度を評価する試験:
温室内でブルーグラス(ポア・プラテンセ(Poa pratense))を鉢で栽培した。植物が約5〜7cmの高さに育ったところで直ちに、それらに除草剤Cato(登録商標)(DuPont、リムスルフロン500g/kg含有)を含有する噴霧溶液を噴霧した。噴霧水量は200l/haに相当した。この試験は、噴霧溶液が各種アジュバントとCato(登録商標)とを含有する他の方法でも実施した。再現性のために、試験の各手順で、3個の鉢を同様に処理した。農薬の用量は10g/haとした。市販の標準のアジュバントとして、Evonik Goldschmidt GmbH製のトリシロキサン、BREAK-THRU(登録商標)S240を、50および100ml/haでタンクに加えた。ソホロリピドの用量は50〜250mlまたはg/haとしたが、これは噴霧溶液中の使用濃度を0.025重量%〜0.1重量%の間で変化させたことを意味する。これは、最適使用濃度を見出すために、意図的に行ったものである。表3は、BREAK-THRU(登録商標)S240とソホロリピドSLLとを同一濃度で比較した結果を示す。ここでは、用量は50〜100ml/haとすべきであり、50g/haを超えるSLLの濃度では、作用に何らの増強効果が生じないことがわかる。ソホロリピドの最適用量についての経験がないため、75ml/haまたは75g a.i.(活性成分)/haをソホロリピド調製物およびその誘導体を使用する他の試験における基準とした(表5〜7を参照)。用量は常に活性成分の量について計算されるため、SLL−SLSでは、75mlまたはg/haのSLLに相当する、150ml/haを主に使用する。これにより、各種ソホロリピド調製物のアジュバントは互いに比較可能になる。SLLFの場合には、この活性成分濃度は250ml/haのアジュバントを使用するときにのみ得られる。噴霧後14、20または30日目に、当業者に知られている方法により処理の効果を採点した。ここでは、除草剤による処理の結果、植物が受けた損傷を未処理の植物と比較し、また噴霧処理の活性を未処理の植物との関連で表す。活性は、試験毎に3つの鉢のそれぞれについて測定した。平均値を計算し、結果を示す表に、有効率(percentage of efficacy)として記載した。
【0085】
【表3】

【0086】
【表4】

【0087】
表5〜7において、SLLFについては、一方で、他のソホロリピド(SLMまたはSLS)とアジュバントの量を比較できるよう用量を選択し―これは濃度125ml/haを意味する―、しかし、他方では、高いアジュバント濃度でも比較できるよう選択する。しかし、この場合、活性ソホロリピド成分の量が75g/ha a.i.での比較が可能になる。これは、250ml/haのSLLFが、75g/haのSLMまたは150g/haのSLL−SLS(この場合、同じく75g/ha a.i.を含有する)と比較できることを意味する。
【0088】
【表5】

【0089】
表5から、SLMの用量の増加が活性の増大を伴わないことがわかる。このことは既に表3で示した。その結果、50ml/haのBREAK-THRU(登録商標)S240の用量(この商品の場合、認可された用量がラベルに指示されている)は、実際、75g/haのソホロリピドの用量と比較可能であると理解できる。
【0090】
【表6】

【0091】
【表7】

【0092】
結論
選択的用量では、試験したアジュバント/添加剤、特にソホロリピドは、単独、または共界面活性剤のノナン酸との併用で、農薬、特に殺真菌剤および除草剤の活性を、特にそれらの単独使用と農薬との併用(相乗効果)との比較において、大きく改善する。アジュバント/添加剤を単独で―言い換えれば、米国特許出願公開第2005/0266036号の請求項に記載されているようないわば生物農薬として―試験した場合(表5〜7)、調べた選択的用量では、真菌による病気の防除、または植物の防除もしくは成長調節に対する効果はない(表5を参照:SLL−SLSまたはSLLF単独では、意味のない5%または6%の効果を示すのみであって、これは実験を進める上での変動により発生し得るものである)。このことから、ソホロリピドは、農薬と組み合わせて使用しないときには、農薬の効果を示さないと結論することができる。列挙した結果に基づけば、相乗効果は、混合物で見られる効果が個々の効果の和を上回るときに常に存在する相乗作用を、ソホロリピドと農薬との間に働かせることであるということができる。本発明の基礎となる物質がこれに当たる。例えば、表6を参照されたい。ソホロリピドSLL−SLS単独では9%の活性を示し、農薬単独では46%の活性を示したのに対し、併用による活性は、相乗効果により85%であった。相乗効果は、通常、Colbyの式により求められる;Colby S.R. 1967. Calculating synergistic and antagonistic responses of herbicide combinations, Weeds 15:20-22を参照されたい。
【0093】
Colbyの式は予想効果を表す:
予想有効率(%)=x+y、または、この式で有効率の和が>100%のとき:
【数1】


式中、Xは農薬単独での有効率(%)、Yはアジュバント単独での有効率(%)である。
【0094】
ソホロリピドは、農薬、特に殺真菌剤の効力を増強し、それは、しばしば同じ用量でも、商業的標準(BREAK-THRU(登録商標)S240など)と同等か、あるいは商業的標準を超えることができる(表3)。ソホロリピドは、BREAK-THRU(登録商標)S240のように、超展延効果を示すことはなく、また、表面張力を大きく低下させることもないので、このことは驚くべきことである。
【0095】
ソホロリピドおよび/またはその誘導体の適用量は、1ヘクタール当たり10〜3000mlまたはグラム、好ましくは50〜700mlまたはg/haである。これは商業的に入手可能な農業分野のアジュバントの適用量に相当する。
【0096】
ソホロリピドの誘導体は、あるものは他のものより活性であるが、全て活性である。例えば、ソホロリピドのメチルエステル(SLM)は、NaOH加水分解ソホロリピド(SLS)と比べて、接触農薬(硫黄)と併用する場合も浸透性活性を有する農薬(エポキシコナゾール)と併用する場合も、より活性である。
【0097】
ソホロリピドの活性は、二成分系で農薬の効力を十分に高めることができないようなある種の場合に、例えばノナン酸などの共界面活性剤により、超比例的に増強することができる。このように、活性成分含有量が75g a.i./haのソホロリピド(SLL−SLS)は、浸透性殺真菌剤オパス(登録商標)(Opus(登録商標))との併用では、活性の増強は僅かである(表5)(殺真菌剤単独で38%であるのに対して、殺真菌剤+アジュバントでは44%)が、ノナン酸との併用(SLLF)では、同じ量の活性ソホロリピド成分の存在で、すなわち250ml/haの用量で、有効率を93%まで増強する。除草剤試験(表7)では、除草剤とソホロリピド/ノナン酸の組み合わせは、ソホロリピド単独の場合と同等の値であった。
【0098】
これらのソホロリピドおよびその誘導体は、使用した用量では殺真菌剤または除草剤としての固有の効力を有していないので、農薬の効果を増強することに対して、生物学的界面活性剤との間に相乗作用があるということができ、ソホロリピドそれ自体は、PSDの定義に従ってアジュバントと呼ぶことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
農作物の保護および/または工業非農作物分野のための、ソホロリピド、ソホロリピド調製物、およびその誘導体を含むアジュバントの使用であって、いずれの場合もアジュバントの機能を有する、タンク混合添加剤の成分としての、タンク混合添加剤それ自体としての、または製剤添加剤としての使用。
【請求項2】
誘導体としてソホロリピドエステルを使用することを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
ソホロリピドを含むアジュバントが農薬の効果を増強しおよび/または活性を増大させ、但し、アジュバントの用量域が10〜3000ml/haであることを特徴とする、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
前記アジュバントおよび前記農薬が相乗的に作用することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の使用。
【請求項5】
前記アジュバントと農薬との組み合わせは、活性農薬成分とアジュバントとの比が1:120〜30:1の場合に相乗的に作用することを特徴とする、請求項4に記載の使用。
【請求項6】
除草剤、殺虫剤、成長調節剤、および/もしくは殺真菌剤、またはこれらの混合物、あるいは、植物増強剤、微量栄養素、および多量栄養素の群からの化合物を農薬として使用することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の使用。
【請求項7】
硫黄などの接触性殺真菌剤、および/またはスルホニル尿素類の群から選択される浸透性除草剤、および/またはトリアゾール類から選択される浸透性殺真菌剤、ならびに、これらと他の農薬との混合物を農薬として使用することを特徴とする、請求項6に記載の使用。
【請求項8】
前記アジュバントを、懸濁濃縮液、カプセル懸濁液、乳化可能な濃縮液、水溶性濃縮液、オイル分散液、サスポエマルジョン、水中乳濁液、水分散性顆粒または粉末などの農薬製剤の添加剤として、他の添加物質に加え、1重量%〜99重量%の量で使用することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の使用。
【請求項9】
前記アジュバントを、1.5重量%〜60重量%の量で使用することを特徴とする、請求項8に記載の使用。
【請求項10】
請求項1に記載のソホロリピドの、農作物保護製品製剤における乳化剤、分散剤、消泡剤、または湿潤剤としての使用。
【請求項11】
a)醗酵製造により得られるソホロリピドおよび/またはソホロリピド調製物およびその誘導体、ならびに少なくとも1種の
b)活性農薬成分
を含む組成物であって、但し、成分(a)は固有の農薬活性を有さない組成物。
【請求項12】
前記組成物の農薬の効果および活性が個々の成分の効果の和より大きいことを特徴とする、ソホロリピドおよび農薬を含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記ソホロリピド、その誘導体、またはソホロリピド調製物が、前記アジュバント中に、固体基準で、>30重量%の画分で存在することを特徴とする、請求項11または12に記載の組成物。
【請求項14】
前記醗酵製造の疎水性基質として、炭化水素、脂肪酸、脂肪酸エステル、および/または脂肪族アルコール、あるいはこれらの混合物を使用することを特徴とする、請求項11に記載の組成物。
【請求項15】
前記アジュバント中の前記ソホロリピド画分が、精製された形態または精製されていない形態で、
i)10重量%〜100重量%の酸画分を有する、ラクトンおよび酸形態の混合物として存在するか、または
ii)pHを6〜8に調節することにより可溶化できる、>90重量%のラクトン形態の画分からなるか、または
iii)メチルエステルもしくはエチルエステルとして、前記各エステルが1重量%〜100重量%の画分で存在する
ことを特徴とする、請求項11〜14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
ソホロリピドとして式1または式1aで表わされるものを使用することを特徴とする、請求項11〜15のいずれか一項に記載の組成物。
【化1】


(式中、
およびRは、互いに独立してHまたはアセチル基であり、
は、H、またはメチル、エチルもしくはヘキシル基であり、
は、各々の場合に独立して、飽和または不飽和の二価の分枝状または非分枝状有機基であり、
は、Hまたはメチル基であり、
但し、基RおよびRの全炭素原子数は29個以下である)
【請求項17】
pHを6〜8に調節することにより、存在する脂肪酸によってラクトン形態を溶液にすることを特徴とする、可溶化ラクトン形態のソホロリピドの製造方法。
【請求項18】
醗酵から存在する脂肪酸および/または追加で加えた脂肪酸を脂肪酸として使用し、前記脂肪酸は、獣脂、ひまわり油、種油、紅花油、大豆油、パーム油、パーム核油、ココナッツ油、およびオリーブ油からなる群から選択される、基質として使用されるトリグリセリドの酸成分、または炭素原子が6〜22個のアルキル鎖長を有する短鎖乃至中間鎖のカルボン酸に相当することを特徴とする、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
請求項17または18に記載の方法で製造された可溶化ラクトン形態のソホロリピドを含む組成物。

【公表番号】特表2013−505906(P2013−505906A)
【公表日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−530202(P2012−530202)
【出願日】平成22年8月30日(2010.8.30)
【国際出願番号】PCT/EP2010/062600
【国際公開番号】WO2011/039014
【国際公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(507375465)エヴォニク ゴールドシュミット ゲーエムベーハー (100)
【Fターム(参考)】