植物性たん白含有菓子
【課題】 スポーツ選手や運動愛好家など、筋肉の増強を目的とする人に、健康面での効果も期待される大豆たん白を含有した、筋肉の修復、肥大に効果が期待される程度の、十分量のタンパク質を含む菓子の提供。
【解決手段】 植物性たん白を主成分とする菓子であって、脱脂大豆を原材料として得られる粒状大豆たん白、特にタンパク質含有率が、乾燥物換算で、50質量%以上であるもの、を含む菓子を提供する。この、植物性タンパク質を含有する、粒状大豆たん白の菓子よって、筋肉の修復や、修復後の肥大を期待するに足る量のタンパク質を、手軽に摂取することができる。
【解決手段】 植物性たん白を主成分とする菓子であって、脱脂大豆を原材料として得られる粒状大豆たん白、特にタンパク質含有率が、乾燥物換算で、50質量%以上であるもの、を含む菓子を提供する。この、植物性タンパク質を含有する、粒状大豆たん白の菓子よって、筋肉の修復や、修復後の肥大を期待するに足る量のタンパク質を、手軽に摂取することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、植物性たん白含有菓子に関する。より詳しくは、粒状大豆たん白を含む菓子に関する。
【背景技術】
【0002】
タンパク質は人間にとって、必須な栄養素であり、通常、食事を通して補給される。しかし、激しい運動を行うスポーツ選手や運動愛好家において、運動後に損傷した筋肉の修復や、修復後の筋肉の肥大の効果を期待する場合、食事で補うタンパク質量では不十分である。また、タンパク質の摂取量を増加するために、食事量を増加させた場合、過剰量の炭水化物や脂質の摂取につながり、体脂肪を増加させてしまう懸念がある。そこで、タンパク質の補充に重点をおいた「プロテイン」と呼ばれるサプリメント製品群が販売されている (以下、プロテインは、「プロテイン」と呼ばれるサプリメント製品群を指して用いる)。
【0003】
プロテインは、動物性または非動物性の、精製されたタンパク質およびペプチドを原材料としている。プロテインの主流は、粉末状に加工された製品を水などに溶かして飲む、飲用であるが、固形食品としても提供されている。
【0004】
大豆は、非動物性タンパク質の供給源として、広く知られている食物である。近年、大豆に含まれるタンパク質による、血中のコレステロールの低下など、健康面から大豆タンパク質が着目されている。前記飲用プロテインでは、大豆由来のタンパク質を原材料とする製品が存在する。また、大豆タンパク質を含有した菓子等の固形食品も知られている。しかし、前者の飲用においては、大豆タンパク質は水に可溶化しにくいという問題点がある。また、後者の固形食品においては、製品に含まれるタンパク質量が、前記スポーツ選手や運動愛好家の、筋肉の修復、肥大を期待して摂取する量に比べ、少ないという問題点がある。
【0005】
大豆タンパク質の、食品への添加には、未加工の大豆以外に、脱脂大豆を粉末状に加工した大豆粉末、脱脂大豆から複数の抽出工程を経て作られる粉末大豆たん白、脱脂大豆を組織化した粒状大豆たん白、などの加工品が用いられている。
【0006】
大豆粉末、粉末大豆たん白は、共に、粉末状に加工されているため、生地等に練り込むことが容易であり、大豆粉末は、パン、麺類から水産加工品まで、多様な加工食品に、粉末大豆たん白も、水産加工品、畜産加工品等に添加されている。一方、粒状大豆たん白は、主に疑似肉の原料として使用される。粒状大豆たん白は、乾燥状態のものを、一度、吸水させた後、肉など他の食材と混合し、加熱等の工程に至る。
【0007】
大豆加工品の、食品への添加は、一般的であるが、反面、大豆特有の臭味が、菓子等の風味を損なう問題がある。そのため、大豆加工品の脱臭技術が研究され、開示されている。例えば、大豆粉末の粒子径を揃え、加熱処理を行い、大豆の臭味を軽減させた大豆粉末の菓子類への使用(特許文献1参照)。や、大豆粉末、粉末大豆たん白、粒状大豆たん白に、酵素を添加し、大豆臭を軽減させた後に得られる粉末を使用した、加工食品(特許文献2参照)である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−236501号公報
【特許文献2】特開平6−70692号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本開示の目的は、スポーツ選手や運動愛好家など、筋肉の増強を目的とする人に、持ち運びに手軽な固形食品として、健康面での効果も期待される大豆タンパク質を含有した、筋肉の修復、肥大に効果が期待される程度の、十分量のタンパク質を含む菓子の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、粒状大豆たん白のタンパク質含有率が、乾燥物換算で50質量%以上と、大豆粉末に比べ高いことから、タンパク質含有量の増加を期待し、菓子への添加を試みてきた。しかし、粒状大豆たん白を菓子への添加する場合、大豆の臭味が、菓子の風味を損ねてしまう問題があった。本発明者らは、菓子の製造工程を鋭意検討し、粒状大豆たん白について、前述の、吸水と加熱の工程をなくし、乾燥状態のまま、菓子に添加する方法を開発した。その結果、サクサクとした食感の菓子や、ヌガーの歯ごたえを持った菓子が作製された。これら各々粒状大豆たん白を含む菓子は大豆臭も、許容範囲であった。これまで、粒状大豆たん白を、前述の吸水、加熱の工程を経ずにそのまま菓子に使用した例は、なかった。
【0011】
すなわち、本開示は、植物性たん白を主成分とする菓子であって、脱脂大豆を原材料として得られる、粒状大豆たん白を含む菓子を提供する。
前記粒状大豆たん白が、乾燥物換算で、50質量%以上のタンパク質含有率である菓子であっても良い。
前記粒状大豆たん白からなる粒群が、結着成分により、固着された構造を備える菓子であっても良い。
前記粒状大豆たん白からなる粒群の、前記結着成分に、乳由来のタンパク質を20質量%以上含有する油脂組成物が、含まれていることを特徴とする菓子であっても良い。
前記粒状大豆たん白からなる粒群が、結着成分によって固着された構造を備える内部構造と、該内構造部の表面の全体又は一部にコーティング剤によるコーティング層を備える菓子であっても良い。
前記粒状大豆たん白からなる粒群の、前記コーティング層に、乳由来のタンパク質を20質量%以上含有する油脂組成物が、含まれていることを特徴とする菓子であっても良い。
前記粒状大豆たん白と、該粒状大豆たん白とは異なる成分の、単数あるいは複数の乾燥粒状物とが、混合された菓子であっても良い。
前記粒状大豆たん白に、油脂あるいは糖類を含む成分を含浸させたことを特徴とする菓子であっても良い。
前記粒状大豆たん白の粒径は、限定されないが、平均粒径4mmが、好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、筋肉の修復や、修復後の肥大を期待するに足る量のタンパク質を、手軽に菓子から摂取できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本開示の実施例1から4の菓子の断面を模式的に示す図である。
【図2】本開示の実施例5と6の菓子の断面を模式的に示す図である。
【図3】本開示の実施例7と8の菓子を模式的に示す図である。
【図4】本開示の実施例1の製造工程を示すフローチャートである。
【図5】本開示の実施例1の変形例に係る油脂組成物の製造工程を示すフローチャートである。
【図6】本開示の実施例2の製造工程を示すフローチャートである。
【図7】本開示の実施例3の製造工程を示すフローチャートである。
【図8】本開示の実施例4の製造工程を示すフローチャートである。
【図9】本開示の実施例5の製造工程を示すフローチャートである。
【図10】本開示の実施例6の製造工程を示すフローチャートである。
【図11】本開示の実施例7の製造工程を示すフローチャートである。
【図12】本開示の実施例8の製造工程を示すフローチャートである。
【図13】本開示の実施例9の製造工程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示を実施するための形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本開示の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本開示の範囲が狭く解釈されることはない。また、説明は、以下の順序で行う。
1.実施例1
1−1(固着剤として、チョコレートを使用した例)
1−2(固着剤として油脂組成物を使用した例)
2.実施例2(固着剤として、砂糖と水飴を使用した例)
3.実施例3(固着剤として、マシュマロを使用した例)
4.実施例4(固着剤として、増粘剤を使用した例)
5.実施例5(コーティング剤としてチョコレートを使用した例1)
6.実施例6(コーティング剤としてチョコレートを使用した例2)
7.実施例7(粒状大豆たん白以外の、乾燥粒状物と混合した例1)
8.実施例8(粒状大豆たん白以外の、乾燥粒状物と混合した例2)
9.実施例9(粒状大豆たん白にチョコレートを含浸させた例)
【0015】
実施例1から9では、一食当たり、動物性および植物性のタンパク質を、合計20g以上含む菓子が作製された。成人が一日に必要とするタンパク質は60g程度とされる。本開示によって提供される菓子を一日に3回食することで、一日に必要とされるタンパク質を摂取することが可能である。
【0016】
<実施例1>
(1−1)
実施例1の製造工程によって作製される菓子の断面の模式図を、図1に示す。材料および配合は、表1に示す。また、図4は、本実施例の製造工程を示すフローチャートであり、このフローチャートに即して説明する。
【0017】
【表1】
【0018】
使用する原材料を計量し、チョコレートを加熱・融解させた(品温36〜38℃程度)。次に、融解したチョコレートにWPI(ホエイプロテインアイソレート、乳清タンパク質分離物)を加え、余熱でWPIを全体に分散させた。この混合液を固着剤2として、これに粒状大豆たん白1を加え、さらに混合し、型に流し、20分間、10℃で冷却した。適当な大きさに切断して、再び60分間、10℃で冷却し、粒状大豆たん白を含む菓子を作製した。
【0019】
本実施例では、粒状大豆たん白1を固着剤2に加える前に、当該粒状大豆たん白の重量に対して20質量%程度の食用油脂と混合し、コーティングすることによって、サクサクとした食感を保持することができた。
【0020】
また、本実施例では、粒状大豆たん白1は、平均粒径4mmであるものを使用したが、この範囲以外の粒径の粒状大豆たん白も利用可能である。以下、実施例2から6についても、粒状大豆たん白の平均粒径は、同様である。
【0021】
(1−2)
本実施例の変形例1−2として、固着剤2に使用した前記チョコレートの代わりにWPIを20質量%以上含有した油脂組成物を使用した例を示す。当該油脂組成物の材料および配合は表2に示す。また、図5は、油脂組成物の製造工程のフローチャートであり、このフローチャートに則して説明する。
【0022】
【表2】
【0023】
砂糖、WPIと、植物油脂の全体量の10%程度を混合した。これを平均粒径20〜30ミクロン程度になるまで摩砕した。摩砕後に残りの植物油脂を加えて12〜24時間かけて精練した。精練段階で乳化剤を加え、さらに香料も加えた。マグネットトラップで金属異物の除去、ろ過をおこない10℃以下で30〜40分程度冷却した。
【0024】
前記製造工程により作成された油脂組成物は、表1の配合における、チョコレートの代わりに使用し、製造工程は図4と同様に行い、粒状大豆たん白を含む菓子を作製した。当該油脂組成物を固着剤2として使用した場合、実施例1−1に比べ、菓子に含まれるタンパク質量が増し、より効率的にタンパク質の摂取が可能となった。
【0025】
<実施例2>
実施例2の製造工程によって作製される菓子の断面の模式図を、図1に示す。材料および配合は、表3に示す。また、図6は、本実施例の製造工程を示すフローチャートであり、このフローチャートに即して説明する。
【0026】
【表3】
【0027】
使用する原材料を計量し、水飴と砂糖、果糖ぶどう糖液糖を混合し、煮立つまで加熱した。さらに、WPIを加え、余熱でWPIを全体に分散させた。この混合液を固着剤2として、これに粒状大豆たん白1を加え、さらに混合し、型に流し、10分間、10℃で冷却した。適当な大きさに切断して、再び60分間、10℃で冷却し、粒状大豆たん白を含む菓子を作製した。
【0028】
本実施例では、実施例1とは異なり、粒状大豆たん白1に予め油脂コーティングを行わずに粒状大豆たん白を使用した。その結果、ヌガー状の食感を持つ菓子が作製された。本実施例及び実施例3から6については、油脂コーティングを施していない粒状大豆たん白を使用したが、油脂コーティングを施した、サクサクとした食感の菓子であっても良い。
【0029】
<実施例3>
実施例3の製造工程によって作製される菓子の断面の模式図を、図1に示す。材料および配合は、表4に示す。また、図7は、本実施例の製造工程を示すフローチャートであり、このフローチャートに即して説明する。
【0030】
【表4】
【0031】
使用する原材料を計量し、水飴、砂糖、果糖ぶどう糖液糖とゼラチンを混合し、煮立つまで加熱して、マシュマロ状の混合液を得た。さらにこのマシュマロにWPIを加え、余熱でWPIを全体に分散させた。この混合液を固着剤2として、これに粒状大豆たん白1を加え、さらに混合し、型に流し、10分間、10℃で冷却した。適当な大きさに切断して、再び60分間、10℃で冷却し、粒状大豆たん白を含む菓子を作製した。
【0032】
<実施例4>
実施例4の製造工程によって作製される菓子の断面の模式図を、図1に示す。材料および配合は、表5に示す。また、図8は、本実施例の製造工程を示すフローチャートであり、このフローチャートに即して説明する。
【0033】
【表5】
【0034】
使用する原材料を計量し、水飴、砂糖、果糖ぶどう糖液糖と増粘剤を混合し、煮立つまで加熱して、粘性の混合液を得た。さらにこの混合液にWPIを加え、余熱でWPIを全体に分散させた。この混合液を固着剤2として、これに粒状大豆たん白1を加え、さらに混合し、型に流し、10分間、10℃で冷却した。適当な大きさに切断して、再び60分間、10℃で冷却し、粒状大豆たん白を含む菓子を作製した。
【0035】
前記実施例1から4では、粒状大豆たん白の結着のため、チョコレート、水飴、砂糖、果糖ぶどう糖液糖、WPI、ゼラチン、増粘剤を、固着剤2の成分として例に挙げたが、同様の結着作用を持ち、菓子に添加可能な成分であれば、いずれの成分に置き換えることも可能である。また、粒状大豆たん白を含む菓子の輸送おいて、当該菓子をより割れにくくするために、前記固着剤2に、ゼラチン、増粘剤、WPIの1種類以上を含んでいることが好ましい。
【0036】
<実施例5>
実施例5の製造工程によって作製される菓子の断面の模式図を、図2に示す。材料および配合は、表6に示す。また、図9は、本実施例の製造工程を示すフローチャートであり、このフローチャートに即して説明する。
【0037】
【表6】
【0038】
まず、粒状大豆たん白1を固着剤2で結着させた内部構造(生地)を作製した。使用する原材料を計量し、水飴、砂糖、果糖ぶどう糖液糖を混合し、煮立つまで加熱した。さらに、WPIを加え、余熱でWPIを全体に分散させた。この混合液を固着剤2として、これに粒状大豆たん白1を加え、さらに混合し、型に流し、10分間、10℃で冷却した。適当な大きさに切断して、再び60分間、10℃で冷却し、生地を作製した。
次に、チョコレートを加熱・融解させ(品温36〜38℃程度)、チョコレートによって前記生地の表面全体、または一部にコーティングを施し、コーティング層3を有した、粒状大豆たん白を含む菓子を作製した。
【0039】
<実施例6>
実施例6の製造工程によって作製される菓子の断面の模式図を、図2に示す。材料および配合は、表7に示す。また、図10は、本実施例の製造工程を示すフローチャートであり、このフローチャートに即して説明する。
【0040】
【表7】
【0041】
まず、粒状大豆たん白1を固着剤2で結着させた内部構造(生地)を作製した。使用する原材料を計量し、水飴、砂糖、果糖ぶどう糖液糖を混合し、煮立つまで加熱し、ヌガー状の混合液を得た。このヌガーにWPIを加え、余熱でWPIを全体に分散させた。この混合液を固着剤2とし、粒状大豆たん白1を加え、さらに混合し、型に流し、10分間、10℃で冷却した。適当な大きさに切断して、再び60分間、10℃で冷却し、生地を作製した。
次に、チョコレートを加熱・融解させ(品温36〜38℃程度)、チョコレートによって前記生地の表面全体、または一部にコーティングを施し、コーティング層3を有した、粒状大豆たん白を含む菓子を作製した。
【0042】
実施例5と6では、固着剤2で結着した粒状大豆たん白1の粒群の、表面のコーティング剤として、チョコレートを例に挙げたが、実施例1−2に記載の油脂組成物等、同様にコーティング層3を形成し、菓子に添加可能な成分であれば、いずれの成分に置き換えることも可能である。
【0043】
<実施例7>
実施例7の製造工程によって作製される菓子の模式図を、図3に示す。材料および配合は、表8に示す。本実施例においては、図3に表記の、乾燥粒状物A4及びB5は、各々、ドライフルーツ、シリアルが相当する。また、図11は、本実施例の製造工程を示すフローチャートであり、このフローチャートに即して説明する。
【0044】
【表8】
【0045】
粒状大豆たん白1に、ドライフルーツ(乾燥粒状物A4に相当)と、甘味を施してあるシリアル(乾燥粒状物B5に相当)と、を混合し、粒状大豆たん白を含む菓子を作製した。
【0046】
本実施例では、粒状大豆たん白1は、平均粒径4mmであるものを使用したが、この範囲以外の粒径の粒状大豆たん白も利用可能である。実施例8についても、粒状大豆たん白の平均粒径は、同様である。
【0047】
<実施例8>
実施例8の製造工程によって作製される菓子の模式図を、図3に示す。材料および配合は、表9に示す。本実施例においては、図3に表記の、乾燥粒状物A4が、米又は雑穀類に相当する。本実施例では、乾燥粒状物B5に相当するものは含まれていない。また、図12は、本実施例の製造工程を示すフローチャートであり、このフローチャートに即して説明する。
【0048】
【表9】
【0049】
粒状大豆たん白1に、α化したフリーズドライの米又は雑穀類(乾燥粒状物A4に相当)と、複合香辛調味料と、を混合し、粒状大豆たん白を含む菓子を作製した。
【0050】
実施例7と8では、粒状大豆たん白1と混合する乾燥粒状物AまたはBとして、ドライフルーツ、シリアル、米又は雑穀類を例に挙げたが、菓子に添加可能な成分であれば、いずれの乾燥粒状物に置き換えることも可能である。
【0051】
<実施例9>
実施例9として、油脂あるいは糖質を含む成分を、粒状大豆たん白に含浸させた例を示す。図13は、本実施例の製造工程を示すフローチャートであり、このフローチャートに則して説明する。
【0052】
本実施例では、油脂あるいは糖質を含む成分として、チョコレートを使用した。チョコレートを40〜45℃で溶解し、40〜45℃に保持した。当該チョコレートの量に対し50質量%の粒状大豆たん白をバスケットに入れ、含浸タンクにセットした。真空引きにより、チョコレートを導入し、加圧して粒状大豆たん白にチョコレートを含浸させた。粒状大豆たん白をバスケットから取り出し、メッシュの上に広げ、表面の余剰なチョコレートをエアブローで取り除いた。5℃で10分以上冷却し、チョコレートを含浸させた粒状大豆たん白を含む菓子を作製した。
前記含浸工程によって作製された菓子は、サクサクとした食感で、大豆臭も許容範囲であった。
【0053】
本実施例では、粒状大豆たん白に含浸させる成分としてチョコレートを使用したが、油脂あるいは糖質を含む、粒状大豆たん白に含浸が可能な成分であれば、いずれの成分に置き換えることも可能である。
【符号の説明】
【0054】
1 粒状大豆たん白
2 固着剤
3 コーティング層
4 乾燥粒状物A
5 乾燥粒状物B
【技術分野】
【0001】
本開示は、植物性たん白含有菓子に関する。より詳しくは、粒状大豆たん白を含む菓子に関する。
【背景技術】
【0002】
タンパク質は人間にとって、必須な栄養素であり、通常、食事を通して補給される。しかし、激しい運動を行うスポーツ選手や運動愛好家において、運動後に損傷した筋肉の修復や、修復後の筋肉の肥大の効果を期待する場合、食事で補うタンパク質量では不十分である。また、タンパク質の摂取量を増加するために、食事量を増加させた場合、過剰量の炭水化物や脂質の摂取につながり、体脂肪を増加させてしまう懸念がある。そこで、タンパク質の補充に重点をおいた「プロテイン」と呼ばれるサプリメント製品群が販売されている (以下、プロテインは、「プロテイン」と呼ばれるサプリメント製品群を指して用いる)。
【0003】
プロテインは、動物性または非動物性の、精製されたタンパク質およびペプチドを原材料としている。プロテインの主流は、粉末状に加工された製品を水などに溶かして飲む、飲用であるが、固形食品としても提供されている。
【0004】
大豆は、非動物性タンパク質の供給源として、広く知られている食物である。近年、大豆に含まれるタンパク質による、血中のコレステロールの低下など、健康面から大豆タンパク質が着目されている。前記飲用プロテインでは、大豆由来のタンパク質を原材料とする製品が存在する。また、大豆タンパク質を含有した菓子等の固形食品も知られている。しかし、前者の飲用においては、大豆タンパク質は水に可溶化しにくいという問題点がある。また、後者の固形食品においては、製品に含まれるタンパク質量が、前記スポーツ選手や運動愛好家の、筋肉の修復、肥大を期待して摂取する量に比べ、少ないという問題点がある。
【0005】
大豆タンパク質の、食品への添加には、未加工の大豆以外に、脱脂大豆を粉末状に加工した大豆粉末、脱脂大豆から複数の抽出工程を経て作られる粉末大豆たん白、脱脂大豆を組織化した粒状大豆たん白、などの加工品が用いられている。
【0006】
大豆粉末、粉末大豆たん白は、共に、粉末状に加工されているため、生地等に練り込むことが容易であり、大豆粉末は、パン、麺類から水産加工品まで、多様な加工食品に、粉末大豆たん白も、水産加工品、畜産加工品等に添加されている。一方、粒状大豆たん白は、主に疑似肉の原料として使用される。粒状大豆たん白は、乾燥状態のものを、一度、吸水させた後、肉など他の食材と混合し、加熱等の工程に至る。
【0007】
大豆加工品の、食品への添加は、一般的であるが、反面、大豆特有の臭味が、菓子等の風味を損なう問題がある。そのため、大豆加工品の脱臭技術が研究され、開示されている。例えば、大豆粉末の粒子径を揃え、加熱処理を行い、大豆の臭味を軽減させた大豆粉末の菓子類への使用(特許文献1参照)。や、大豆粉末、粉末大豆たん白、粒状大豆たん白に、酵素を添加し、大豆臭を軽減させた後に得られる粉末を使用した、加工食品(特許文献2参照)である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−236501号公報
【特許文献2】特開平6−70692号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本開示の目的は、スポーツ選手や運動愛好家など、筋肉の増強を目的とする人に、持ち運びに手軽な固形食品として、健康面での効果も期待される大豆タンパク質を含有した、筋肉の修復、肥大に効果が期待される程度の、十分量のタンパク質を含む菓子の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、粒状大豆たん白のタンパク質含有率が、乾燥物換算で50質量%以上と、大豆粉末に比べ高いことから、タンパク質含有量の増加を期待し、菓子への添加を試みてきた。しかし、粒状大豆たん白を菓子への添加する場合、大豆の臭味が、菓子の風味を損ねてしまう問題があった。本発明者らは、菓子の製造工程を鋭意検討し、粒状大豆たん白について、前述の、吸水と加熱の工程をなくし、乾燥状態のまま、菓子に添加する方法を開発した。その結果、サクサクとした食感の菓子や、ヌガーの歯ごたえを持った菓子が作製された。これら各々粒状大豆たん白を含む菓子は大豆臭も、許容範囲であった。これまで、粒状大豆たん白を、前述の吸水、加熱の工程を経ずにそのまま菓子に使用した例は、なかった。
【0011】
すなわち、本開示は、植物性たん白を主成分とする菓子であって、脱脂大豆を原材料として得られる、粒状大豆たん白を含む菓子を提供する。
前記粒状大豆たん白が、乾燥物換算で、50質量%以上のタンパク質含有率である菓子であっても良い。
前記粒状大豆たん白からなる粒群が、結着成分により、固着された構造を備える菓子であっても良い。
前記粒状大豆たん白からなる粒群の、前記結着成分に、乳由来のタンパク質を20質量%以上含有する油脂組成物が、含まれていることを特徴とする菓子であっても良い。
前記粒状大豆たん白からなる粒群が、結着成分によって固着された構造を備える内部構造と、該内構造部の表面の全体又は一部にコーティング剤によるコーティング層を備える菓子であっても良い。
前記粒状大豆たん白からなる粒群の、前記コーティング層に、乳由来のタンパク質を20質量%以上含有する油脂組成物が、含まれていることを特徴とする菓子であっても良い。
前記粒状大豆たん白と、該粒状大豆たん白とは異なる成分の、単数あるいは複数の乾燥粒状物とが、混合された菓子であっても良い。
前記粒状大豆たん白に、油脂あるいは糖類を含む成分を含浸させたことを特徴とする菓子であっても良い。
前記粒状大豆たん白の粒径は、限定されないが、平均粒径4mmが、好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、筋肉の修復や、修復後の肥大を期待するに足る量のタンパク質を、手軽に菓子から摂取できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本開示の実施例1から4の菓子の断面を模式的に示す図である。
【図2】本開示の実施例5と6の菓子の断面を模式的に示す図である。
【図3】本開示の実施例7と8の菓子を模式的に示す図である。
【図4】本開示の実施例1の製造工程を示すフローチャートである。
【図5】本開示の実施例1の変形例に係る油脂組成物の製造工程を示すフローチャートである。
【図6】本開示の実施例2の製造工程を示すフローチャートである。
【図7】本開示の実施例3の製造工程を示すフローチャートである。
【図8】本開示の実施例4の製造工程を示すフローチャートである。
【図9】本開示の実施例5の製造工程を示すフローチャートである。
【図10】本開示の実施例6の製造工程を示すフローチャートである。
【図11】本開示の実施例7の製造工程を示すフローチャートである。
【図12】本開示の実施例8の製造工程を示すフローチャートである。
【図13】本開示の実施例9の製造工程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示を実施するための形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本開示の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本開示の範囲が狭く解釈されることはない。また、説明は、以下の順序で行う。
1.実施例1
1−1(固着剤として、チョコレートを使用した例)
1−2(固着剤として油脂組成物を使用した例)
2.実施例2(固着剤として、砂糖と水飴を使用した例)
3.実施例3(固着剤として、マシュマロを使用した例)
4.実施例4(固着剤として、増粘剤を使用した例)
5.実施例5(コーティング剤としてチョコレートを使用した例1)
6.実施例6(コーティング剤としてチョコレートを使用した例2)
7.実施例7(粒状大豆たん白以外の、乾燥粒状物と混合した例1)
8.実施例8(粒状大豆たん白以外の、乾燥粒状物と混合した例2)
9.実施例9(粒状大豆たん白にチョコレートを含浸させた例)
【0015】
実施例1から9では、一食当たり、動物性および植物性のタンパク質を、合計20g以上含む菓子が作製された。成人が一日に必要とするタンパク質は60g程度とされる。本開示によって提供される菓子を一日に3回食することで、一日に必要とされるタンパク質を摂取することが可能である。
【0016】
<実施例1>
(1−1)
実施例1の製造工程によって作製される菓子の断面の模式図を、図1に示す。材料および配合は、表1に示す。また、図4は、本実施例の製造工程を示すフローチャートであり、このフローチャートに即して説明する。
【0017】
【表1】
【0018】
使用する原材料を計量し、チョコレートを加熱・融解させた(品温36〜38℃程度)。次に、融解したチョコレートにWPI(ホエイプロテインアイソレート、乳清タンパク質分離物)を加え、余熱でWPIを全体に分散させた。この混合液を固着剤2として、これに粒状大豆たん白1を加え、さらに混合し、型に流し、20分間、10℃で冷却した。適当な大きさに切断して、再び60分間、10℃で冷却し、粒状大豆たん白を含む菓子を作製した。
【0019】
本実施例では、粒状大豆たん白1を固着剤2に加える前に、当該粒状大豆たん白の重量に対して20質量%程度の食用油脂と混合し、コーティングすることによって、サクサクとした食感を保持することができた。
【0020】
また、本実施例では、粒状大豆たん白1は、平均粒径4mmであるものを使用したが、この範囲以外の粒径の粒状大豆たん白も利用可能である。以下、実施例2から6についても、粒状大豆たん白の平均粒径は、同様である。
【0021】
(1−2)
本実施例の変形例1−2として、固着剤2に使用した前記チョコレートの代わりにWPIを20質量%以上含有した油脂組成物を使用した例を示す。当該油脂組成物の材料および配合は表2に示す。また、図5は、油脂組成物の製造工程のフローチャートであり、このフローチャートに則して説明する。
【0022】
【表2】
【0023】
砂糖、WPIと、植物油脂の全体量の10%程度を混合した。これを平均粒径20〜30ミクロン程度になるまで摩砕した。摩砕後に残りの植物油脂を加えて12〜24時間かけて精練した。精練段階で乳化剤を加え、さらに香料も加えた。マグネットトラップで金属異物の除去、ろ過をおこない10℃以下で30〜40分程度冷却した。
【0024】
前記製造工程により作成された油脂組成物は、表1の配合における、チョコレートの代わりに使用し、製造工程は図4と同様に行い、粒状大豆たん白を含む菓子を作製した。当該油脂組成物を固着剤2として使用した場合、実施例1−1に比べ、菓子に含まれるタンパク質量が増し、より効率的にタンパク質の摂取が可能となった。
【0025】
<実施例2>
実施例2の製造工程によって作製される菓子の断面の模式図を、図1に示す。材料および配合は、表3に示す。また、図6は、本実施例の製造工程を示すフローチャートであり、このフローチャートに即して説明する。
【0026】
【表3】
【0027】
使用する原材料を計量し、水飴と砂糖、果糖ぶどう糖液糖を混合し、煮立つまで加熱した。さらに、WPIを加え、余熱でWPIを全体に分散させた。この混合液を固着剤2として、これに粒状大豆たん白1を加え、さらに混合し、型に流し、10分間、10℃で冷却した。適当な大きさに切断して、再び60分間、10℃で冷却し、粒状大豆たん白を含む菓子を作製した。
【0028】
本実施例では、実施例1とは異なり、粒状大豆たん白1に予め油脂コーティングを行わずに粒状大豆たん白を使用した。その結果、ヌガー状の食感を持つ菓子が作製された。本実施例及び実施例3から6については、油脂コーティングを施していない粒状大豆たん白を使用したが、油脂コーティングを施した、サクサクとした食感の菓子であっても良い。
【0029】
<実施例3>
実施例3の製造工程によって作製される菓子の断面の模式図を、図1に示す。材料および配合は、表4に示す。また、図7は、本実施例の製造工程を示すフローチャートであり、このフローチャートに即して説明する。
【0030】
【表4】
【0031】
使用する原材料を計量し、水飴、砂糖、果糖ぶどう糖液糖とゼラチンを混合し、煮立つまで加熱して、マシュマロ状の混合液を得た。さらにこのマシュマロにWPIを加え、余熱でWPIを全体に分散させた。この混合液を固着剤2として、これに粒状大豆たん白1を加え、さらに混合し、型に流し、10分間、10℃で冷却した。適当な大きさに切断して、再び60分間、10℃で冷却し、粒状大豆たん白を含む菓子を作製した。
【0032】
<実施例4>
実施例4の製造工程によって作製される菓子の断面の模式図を、図1に示す。材料および配合は、表5に示す。また、図8は、本実施例の製造工程を示すフローチャートであり、このフローチャートに即して説明する。
【0033】
【表5】
【0034】
使用する原材料を計量し、水飴、砂糖、果糖ぶどう糖液糖と増粘剤を混合し、煮立つまで加熱して、粘性の混合液を得た。さらにこの混合液にWPIを加え、余熱でWPIを全体に分散させた。この混合液を固着剤2として、これに粒状大豆たん白1を加え、さらに混合し、型に流し、10分間、10℃で冷却した。適当な大きさに切断して、再び60分間、10℃で冷却し、粒状大豆たん白を含む菓子を作製した。
【0035】
前記実施例1から4では、粒状大豆たん白の結着のため、チョコレート、水飴、砂糖、果糖ぶどう糖液糖、WPI、ゼラチン、増粘剤を、固着剤2の成分として例に挙げたが、同様の結着作用を持ち、菓子に添加可能な成分であれば、いずれの成分に置き換えることも可能である。また、粒状大豆たん白を含む菓子の輸送おいて、当該菓子をより割れにくくするために、前記固着剤2に、ゼラチン、増粘剤、WPIの1種類以上を含んでいることが好ましい。
【0036】
<実施例5>
実施例5の製造工程によって作製される菓子の断面の模式図を、図2に示す。材料および配合は、表6に示す。また、図9は、本実施例の製造工程を示すフローチャートであり、このフローチャートに即して説明する。
【0037】
【表6】
【0038】
まず、粒状大豆たん白1を固着剤2で結着させた内部構造(生地)を作製した。使用する原材料を計量し、水飴、砂糖、果糖ぶどう糖液糖を混合し、煮立つまで加熱した。さらに、WPIを加え、余熱でWPIを全体に分散させた。この混合液を固着剤2として、これに粒状大豆たん白1を加え、さらに混合し、型に流し、10分間、10℃で冷却した。適当な大きさに切断して、再び60分間、10℃で冷却し、生地を作製した。
次に、チョコレートを加熱・融解させ(品温36〜38℃程度)、チョコレートによって前記生地の表面全体、または一部にコーティングを施し、コーティング層3を有した、粒状大豆たん白を含む菓子を作製した。
【0039】
<実施例6>
実施例6の製造工程によって作製される菓子の断面の模式図を、図2に示す。材料および配合は、表7に示す。また、図10は、本実施例の製造工程を示すフローチャートであり、このフローチャートに即して説明する。
【0040】
【表7】
【0041】
まず、粒状大豆たん白1を固着剤2で結着させた内部構造(生地)を作製した。使用する原材料を計量し、水飴、砂糖、果糖ぶどう糖液糖を混合し、煮立つまで加熱し、ヌガー状の混合液を得た。このヌガーにWPIを加え、余熱でWPIを全体に分散させた。この混合液を固着剤2とし、粒状大豆たん白1を加え、さらに混合し、型に流し、10分間、10℃で冷却した。適当な大きさに切断して、再び60分間、10℃で冷却し、生地を作製した。
次に、チョコレートを加熱・融解させ(品温36〜38℃程度)、チョコレートによって前記生地の表面全体、または一部にコーティングを施し、コーティング層3を有した、粒状大豆たん白を含む菓子を作製した。
【0042】
実施例5と6では、固着剤2で結着した粒状大豆たん白1の粒群の、表面のコーティング剤として、チョコレートを例に挙げたが、実施例1−2に記載の油脂組成物等、同様にコーティング層3を形成し、菓子に添加可能な成分であれば、いずれの成分に置き換えることも可能である。
【0043】
<実施例7>
実施例7の製造工程によって作製される菓子の模式図を、図3に示す。材料および配合は、表8に示す。本実施例においては、図3に表記の、乾燥粒状物A4及びB5は、各々、ドライフルーツ、シリアルが相当する。また、図11は、本実施例の製造工程を示すフローチャートであり、このフローチャートに即して説明する。
【0044】
【表8】
【0045】
粒状大豆たん白1に、ドライフルーツ(乾燥粒状物A4に相当)と、甘味を施してあるシリアル(乾燥粒状物B5に相当)と、を混合し、粒状大豆たん白を含む菓子を作製した。
【0046】
本実施例では、粒状大豆たん白1は、平均粒径4mmであるものを使用したが、この範囲以外の粒径の粒状大豆たん白も利用可能である。実施例8についても、粒状大豆たん白の平均粒径は、同様である。
【0047】
<実施例8>
実施例8の製造工程によって作製される菓子の模式図を、図3に示す。材料および配合は、表9に示す。本実施例においては、図3に表記の、乾燥粒状物A4が、米又は雑穀類に相当する。本実施例では、乾燥粒状物B5に相当するものは含まれていない。また、図12は、本実施例の製造工程を示すフローチャートであり、このフローチャートに即して説明する。
【0048】
【表9】
【0049】
粒状大豆たん白1に、α化したフリーズドライの米又は雑穀類(乾燥粒状物A4に相当)と、複合香辛調味料と、を混合し、粒状大豆たん白を含む菓子を作製した。
【0050】
実施例7と8では、粒状大豆たん白1と混合する乾燥粒状物AまたはBとして、ドライフルーツ、シリアル、米又は雑穀類を例に挙げたが、菓子に添加可能な成分であれば、いずれの乾燥粒状物に置き換えることも可能である。
【0051】
<実施例9>
実施例9として、油脂あるいは糖質を含む成分を、粒状大豆たん白に含浸させた例を示す。図13は、本実施例の製造工程を示すフローチャートであり、このフローチャートに則して説明する。
【0052】
本実施例では、油脂あるいは糖質を含む成分として、チョコレートを使用した。チョコレートを40〜45℃で溶解し、40〜45℃に保持した。当該チョコレートの量に対し50質量%の粒状大豆たん白をバスケットに入れ、含浸タンクにセットした。真空引きにより、チョコレートを導入し、加圧して粒状大豆たん白にチョコレートを含浸させた。粒状大豆たん白をバスケットから取り出し、メッシュの上に広げ、表面の余剰なチョコレートをエアブローで取り除いた。5℃で10分以上冷却し、チョコレートを含浸させた粒状大豆たん白を含む菓子を作製した。
前記含浸工程によって作製された菓子は、サクサクとした食感で、大豆臭も許容範囲であった。
【0053】
本実施例では、粒状大豆たん白に含浸させる成分としてチョコレートを使用したが、油脂あるいは糖質を含む、粒状大豆たん白に含浸が可能な成分であれば、いずれの成分に置き換えることも可能である。
【符号の説明】
【0054】
1 粒状大豆たん白
2 固着剤
3 コーティング層
4 乾燥粒状物A
5 乾燥粒状物B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物性たん白を主成分とする菓子であって、脱脂大豆を原材料として得られる、粒状大豆たん白を含む菓子。
【請求項2】
前記粒状大豆たん白が、乾燥物換算で、50質量%以上のタンパク質含有率である、請求項1に記載の菓子。
【請求項3】
前記粒状大豆たん白からなる粒群が、結着成分により、固着された構造を備える請求項1又は2に記載の菓子。
【請求項4】
前記粒状大豆たん白からなる粒群の、前記結着成分に、乳由来のタンパク質を20質量%以上含有する油脂組成物が、含まれていることを特徴とする請求項3に記載の菓子。
【請求項5】
前記粒状大豆たん白からなる粒群が、結着成分によって固着された構造を備える内部構造と、該内構造部の表面の全体又は一部にコーティング剤によるコーティング層を備える、請求項1又は2に記載の菓子。
【請求項6】
前記粒状大豆たん白からなる粒群の、前記コーティング層に、乳由来のタンパク質を20質量%以上含有する油脂組成物が、含まれていることを特徴とする請求項5に記載の菓子。
【請求項7】
前記粒状大豆たん白と、該粒状大豆たん白とは異なる成分の、単数あるいは複数の乾燥粒状物とが、混合された、請求項1又は2に記載の菓子。
【請求項8】
前記粒状大豆たん白に、油脂あるいは糖類を含む成分を含浸させたことを特徴とする、請求項1又は2に記載の菓子。
【請求項1】
植物性たん白を主成分とする菓子であって、脱脂大豆を原材料として得られる、粒状大豆たん白を含む菓子。
【請求項2】
前記粒状大豆たん白が、乾燥物換算で、50質量%以上のタンパク質含有率である、請求項1に記載の菓子。
【請求項3】
前記粒状大豆たん白からなる粒群が、結着成分により、固着された構造を備える請求項1又は2に記載の菓子。
【請求項4】
前記粒状大豆たん白からなる粒群の、前記結着成分に、乳由来のタンパク質を20質量%以上含有する油脂組成物が、含まれていることを特徴とする請求項3に記載の菓子。
【請求項5】
前記粒状大豆たん白からなる粒群が、結着成分によって固着された構造を備える内部構造と、該内構造部の表面の全体又は一部にコーティング剤によるコーティング層を備える、請求項1又は2に記載の菓子。
【請求項6】
前記粒状大豆たん白からなる粒群の、前記コーティング層に、乳由来のタンパク質を20質量%以上含有する油脂組成物が、含まれていることを特徴とする請求項5に記載の菓子。
【請求項7】
前記粒状大豆たん白と、該粒状大豆たん白とは異なる成分の、単数あるいは複数の乾燥粒状物とが、混合された、請求項1又は2に記載の菓子。
【請求項8】
前記粒状大豆たん白に、油脂あるいは糖類を含む成分を含浸させたことを特徴とする、請求項1又は2に記載の菓子。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−249603(P2012−249603A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−126210(P2011−126210)
【出願日】平成23年6月6日(2011.6.6)
【出願人】(502084562)関東食研株式会社 (3)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月6日(2011.6.6)
【出願人】(502084562)関東食研株式会社 (3)
【Fターム(参考)】
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