説明

植物性食用廃油の再生処理方法

【課題】てんぷら油、とんかつ油等の植物性食用廃油を処理して再度の使用に供する方法を開発する。
【解決手段】本発明廃油の処理方法は、廃棄処分されたてんぷら油、とんかつ油等の植物性の食用油に対し、花崗岩を900〜1100℃の温度範囲で約2時間焼成したものを粉砕して粉末を調製し、該粉末を400℃に加熱した後170℃〜190℃の温度範囲に保った廃油に投入して撹拌し、当該微粉末を分離除去して再生油を得ることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃油の再生処理方法に関し、更に詳細にはてんぷら油、とんかつ油等の植物性食用廃油を処理して再度の使用に供する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上記てんぷら油等は、一旦高温で使用すると酸化が激しくその多くはそのまま廃棄処分されている。
これに対し従来、特許文献1が提案され、その概要は「天然ゼオライトと貝殻類とを各々熱処理加工した粉体を混合焼成して水、食用油、土壌、飼料等の酸化物を還元する還元材の製造法に関する。天然ゼオライトを材温度800℃で約40分間加熱焼成して5ミクロンの粉体を形成し、その粉体を電気炉で加熱焼成してマイナス150ミリボルトの還元物質の粉体を形成し、かき殻、貝類等の貝殻類を材温度950℃乃至980℃で約60分間加熱焼成して5ミクロンに加工し、その粉体をマイナス220ミリボルトの還元物質の粉体に形成し、前記天然ゼオライトの粉体と前記貝殻類の粉体とを配合混合したものを電気炉で780℃で72時間焼成処理して水及び食用油などの酸化物を還元する還元材の製造方法」を特徴としている。
【特許文献1】特開2003−231895号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記特許文献1の技術では劣化した廃油の還元が充分でなく、新油と比較した場合未だ油としての性能の劣ったものでしかなかった。
そこで本発明は、廃油に対して充分な還元処理を施してほぼ新生油に等しい性能をもたらすことを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、本発明廃油の処理方法は、廃棄処分されたてんぷら油、とんかつ油等の植物性の食用油に対し、粉砕して粉末とした花崗岩を900〜1100℃の温度範囲で約2時間焼成したものを調製し、170℃〜190℃の温度範囲に保った廃油に前記花崗岩の粉末を400℃に加熱した後に投入して撹拌し、当該微粉末を分離除去して再生油を得ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明廃油の処理方法によって、900〜1100℃で高温焼成され且つ400℃に加熱された花崗岩の粉末は、その成分特性によって高い還元能を示し、廃油の酸化度を新生油に近い値にまで戻すことが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の対象とするのは、てんぷら油、とんかつ油等の植物性の油で、且つ、てんぷら、とんかつその他の揚げ物で使用された結果、酸化度が上昇し、変性、劣化の激しい油である。これらの高温による変性、劣化が激しい為、1〜2回の使用で使用不可能となり、多量に廃油処分されていたものである。
これに対し、本発明は、花崗岩を下記の条件で高温焼成する。
先ず、花崗岩は、長石と石英を多くふくみ、肉眼でみえる結晶構造と組織をもつ火成岩(深成岩)で、少量の雲母(黒雲母または白雲母)のほか、ジルコン、燐灰石、磁鉄鉱、チタン鉄鉱、クサビ石など微量の副成分鉱物を含むものである。
該花崗岩は、使用するに当たり、焼成前の段階で破砕機等で細かく粉砕し、900〜1100℃で、約3時間程度焼成する。当該焼成した花崗岩は塩基性に優れ、pH=12の塩基性となる。
そして、廃油を170℃〜190℃望ましくは180℃の温度に保ち、一方、上記花崗岩を400℃に加熱昇温させる。そして、該400℃に加熱した花崗岩の粉末を廃油に投入し、これを撹拌機で激しく撹拌させる。
例えば、モーターでの回転度を12000回転/分の高速回転とする。
この結果、劣化した廃油と花崗岩微粉末との間に180℃という反応に適した温度と、接触の条件が与えられ、還元反応が促される。
上記処理によって得られた再生油の酸化度を測定したところ下表1の通りの結果を得た。
【0007】
【表1】


この結果、油脂の品質基準として、油揚げの品質基準としての酸価3以下、弁当、総菜等の衛生規範としての酸価2.5以下をいずれもクリアできるものであった。
又、におい試験、及び透明度等などは表2の通りであった。
【0008】
【表2】

【実施例】
【0009】
この発明の実施例を、上記実施の形態に基づいててんぷら油の処理方法を説明する。
約てんぷら揚げで5回程度使用したてんぷら油の廃油10kgを対象とした。
一方、花崗岩を破砕機にかけて粉末とし、これを電気炉に投入して、1000℃の温度で3時間維持し、焼成した。
次いで、上記廃油を180℃の温度に保った。一方、上記焼成後の花崗岩を更に加熱して400℃に昇温させ、これを前記廃油中に投入した。その廃油の酸化度は1.5で、廃油10kgに対し微粉末1kgの割合とした。
そして、この混合液を180℃の温度に保ちつつ、モーターでの回転度を12000回転/分の高速回転として激しく撹拌させた。
その結果、酸化度1.5であったものが、処理後には酸化度0にまで改善する結果が得られた。
【産業上の利用可能性】
【0010】
本発明は、てんぷら油、とんかつ油等の植物性食用廃油を対象として、これを処理して再度の使用することのできる方法として広く利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄処分されたてんぷら油、とんかつ油等の植物性の食用油に対し、花崗岩を900〜1100℃の温度範囲で約2時間焼成したものを粉砕して粉末を調製し、該粉末を400℃に加熱した後170℃〜190℃の温度範囲に保った廃油に投入して撹拌し、当該微粉末を分離除去して再生油を得ることを特徴とする廃油の処理方法
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【公開番号】特開2007−177181(P2007−177181A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−380261(P2005−380261)
【出願日】平成17年12月28日(2005.12.28)
【出願人】(506003945)
【出願人】(506004953)
【Fターム(参考)】