説明

植物栽培システム

【課題】植物栽培システムの提供。
【解決手段】左右チェーンギア22を次第に経るようにそれぞれ引っ掛ける左右のチェーン23と、出力軸を複数の軸24のうちのいずれかに連結する減速モーター21とを有する循環器20と、上面が開放される筒体31と、筒体31の上面左右に固定されて左右チェーン23の相対向する内面にそれぞれ所定の間隔をあけて水平に付設する左右の掛止軸にそれぞれ引っ掛けて軸結合する掛止片とを有し、掛止軸および掛止片によってチェーン23の間に回転自在に吊設されて循環器20によって栽培室10の内部空間を移動循環する多数の栽培筒部材30と、栽培筒部材30に養液を供給する養液供給器40と、栽培室10に設けられ、浄化済みの外部空気を内部に供給し、または、内部空気を循環させる送風器50とを備えてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自然環境や場所などに寄らずに、全天候で様々な植物を環境にやさしく栽培することができ、しかも、単位空間面積当たりの生産量を大幅に増大させることができる植物栽培システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ガラス温室やビニールハウスは、寒い冬季にもキュウリ、トマト、ミニトマト、唐辛子などの果菜類や、レタス、セリ、白菜、キャベツ、ホウレンソウ、葱などの葉菜類およびバラ、ガーベラ、菊、カーネーションなどの花卉類などの植物を栽培することができ、その結果、農家にとっては収益増大が図れ、消費者にとっては冬季にも鮮やかな植物を摂取することが可能になった。
【0003】
ところが、かようなガラス温室やビニールハウスは、農地や河川敷地などの地上に設置して当該植物の種子を地面に撒いたり苗上で育った苗を地面に移植して栽培するものであるため、栽培空間や単位面積当たりの生産量が限定されることはもとより、連作による被害を蒙られるなどの不都合があった。
【0004】
このため、従来には、限られた栽培空間でも生産量を増大させるとともに、栽培にかかる手間などを節減し、しかも、連作による被害を減らすために、植物を空間に多段に配列して栽培していた。
【0005】
しかしながら、このような栽培方法は、最上端にある植物とその根が植え付けられた床や植木鉢(栽培容器)などによって、下部に位置する植物に供給される太陽光が遮断されるため、下部の植物の生長に悪影響を及ぼしてしまうという不都合があった。
【0006】
また、このような不都合を解消するために、上下部に位置する床や植木鉢間の間隔をさらに隔てる場合には、複数段に設けることが困難になる結果、相対的に生産量が減少してしまうため、経済性が低下するという不都合があった。
【0007】
さらに、空間に複数段に設けると、作業者の手が届かない高所の植物や実を収穫するときには梯子などを用いることを余儀なくされるため、栽培管理および収穫が極めて煩雑で且つ不便であり、しかも、相対的に多くの時間と手間が取られてしまうなどの問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は従来のかような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、様々な植物を環境にやさしく、速やかに且つ円滑に栽培および収穫することができる植物栽培システムを提供することである。
【0009】
本発明の他の目的は、空間活用能力を極大化させることができる全天候の植物栽培システムを提供することである。
【0010】
本発明のさらに他の目的は、植物の栽培管理と収穫などが極めて簡単であり、しかも、作業時間と手間の無駄使いを解消することができる植物栽培システムを提供することである。
【0011】
本発明のさらに他の目的は、養液を供給する時間が別途にかからず、しかも、循環器の故障が来たされるという現象を解消することができる植物栽培システムを提供することである。
【0012】
本発明のさらに他の目的は、構造が単純であり、設置費用が節減される他、発芽された植物を簡単に栽培筒部材に移載して栽培することができる植物栽培システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するために、本発明は、ビニールや透明プラスチック板またはアクリル樹脂板やガラス板などの透明板材を用いて製作される栽培室の内部に設けられる循環器と、前記循環器によって栽培室の内部空間を移動循環するように設けられる多数の栽培筒部材と、前記栽培筒部材に養液を供給する養液供給器と、前記栽培室の内部に浄化済みの外部空気を供給し、あるいは、内部空気を循環しまたは外部に排出する送風器と、を備えてなり、地面ではなく、前記栽培筒部材に播種または移植された全ての植物が栽培室の内部空間を複数段に移動循環されるようにして、万遍なく太陽光が当てられつつ生長するようにするとともに、養液の供給と外部空気または内部空気の循環などが適時に自動的に行われることにより、環境にやさしく栽培することができる植物栽培システムを提供する。
【0014】
また、本発明は、植物が、太陽光がよく当てられる最上端ではなく、下部を移動循環する過程でも光エネルギーを十分に受けるようにして、様々な植物を複合的にまたは種類別に全天候で栽培可能にする多数のランプ付き植物栽培システムを提供する。
【0015】
さらに、本発明は、ある位置で栽培管理および収穫可能にすることにより、作業時間と手間の無駄使いが防がれる植物栽培システムを提供する。
【0016】
さらに、本発明は、養液供給器を前後に移動可能に設けて、栽培筒部材が循環器によって栽培室の内部空間を移動循環する過程で養液を供給可能に構成することにより、栽培筒部材の移動循環を停止することなく、養液を供給可能にする植物栽培システムを提供する。
【0017】
さらに、本発明は、複数の長軸を用いることなく、チェーンギアを枠体の各当該位置にそれぞれ設けて枠体の構造を単純化させる植物栽培システムを提供する。
【0018】
さらに、本発明は、栽培筒部材を、苗板に多数の植木鉢を縦横の複数列に載置し、種子を発芽させた植物の種類、すなわち、茎や葉が横に広がらないレタスなどの植物である場合には植木鉢を外すことなく苗板ごとに移載可能に構成することにより、植物を移植する作業が極めて簡単であり、しかも、あまり手間を取らない植物栽培システムを提供する。
【発明の効果】
【0019】
このような本発明の実施形態による植物栽培システムは、植物の種子を撒いたり苗種を移植した多数の栽培筒部材を移動循環させつつ栽培するものであるので、栽培室の内部空間に上下複数段に配設しても、すべての植物に万遍なく太陽光が当てられて植物が均一に生長するという特徴があり、これにより、植物を短期間に大量で栽培および収穫して供給することが可能になるというメリットがある。
【0020】
また、太陽光があまり当てられない下部には多数のランプを設けて光エネルギーを供給することにより、場所や天気などによらずに全天候で植物の栽培が行えるとともに、植物がなお一層速やかに且つ円滑に生長して単位空間面積当たりの収穫量が大幅に増大するという特徴もある。
【0021】
特に、滅菌処理の施された養液や磨沙土および培養土などを用いて栽培するとともに、ある位置で栽培管理および収穫が行われることにより、病虫害の発生が防止され、作業性と生産性が極大化されることはもとより、作業時間と手間の無駄使いが解消され、しかも、環境にやさしく栽培された植物を提供するというメリットもある。
【0022】
さらに、栽培筒部材の設置間隔を簡単に調節することができるので、植物の特性、例えば、イチゴなどの茎が広がる植物も栽培可能になるなど、単一の装置で様々な植物を栽培することが可能になるという効果も得られる。
【0023】
そして、栽培室の内部を移動循環する栽培筒部材を停止することなく、移動循環する状態で養液を供給することが可能になるという特徴があり、これにより、養液を供給するのに別途の時間がかからないことはもとより、循環器の稼動と停止を繰り返し行う必要がないため、減速モーターに過負荷がかかる現象によって引き起こされていた故障が発生しなくなるというメリットもある。
【0024】
加えて、長軸を用いることなく、チェーンギアを枠体の各当該位置にそれぞれ設けているため、枠体の構造が簡単になることはもとより、設置コストが節減されるという効果もある。
【0025】
さらに、苗板に多数の植木鉢を縦横の多数列に載置し、種子を発芽させた植物の種類に応じて、植木鉢を外すことなく苗板ごとに栽培筒部材に移載することが可能になる結果、植物を移植する作業が極めて簡単であり、しかも、長時間がかからないなどのメリットもある。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1の実施形態による植物栽培システムを一部切り取って概略的に示す側面図。
【図2】図1の植物栽培システムにおいて、一部を省略して示す拡大平面図。
【図3】図1において、反射板を省略して抜粋した拡大側面図。
【図4】図3において、一部を切り取って示す拡大側面図。
【図5】図4において、一部を省略して示す正面図。
【図6】図4において、チェーンと栽培筒部材の移動状態を抜粋して示す拡大側面図。
【図7】図4において、案内レール部を抜粋して示す拡大背面図。
【図8】図1において、栽培筒部材を抜粋して拡大分離した斜視図。
【図9】図8の栽培筒部材において、一部を拡大して示す分解斜視図。
【図10】図8の栽培筒部材の一使用例を示す拡大側断面図。
【図11】図8の栽培筒部材の他の使用例を示す拡大側断面図。
【図12】本発明の第2の実施形態による植物栽培システムを一部切り取って概略的に示す側面図。
【図13】図12の植物栽培システムにおいて、一部を省略して示す正面図。
【図14】本発明の第3の実施形態による植物栽培システムの概略側面図。
【図15】図14の植物栽培システムの拡大背面図。
【図16】図14において、一部を抜粋拡大して示す平面図。
【図17】図14において、一部を抜粋拡大し、切り取って示す背面図。
【図18A】図14において、栽培筒部材を抜粋拡大した斜視図。
【図18B】図18Aの栽培筒部材を拡大し、切り取って示す側面図。
【図18C】図18Aの栽培筒部材を一部抜粋して分離した斜視図。
【図19A】図14に適用される栽培筒部材の他の例を示す斜視図。
【図19B】図19Aの栽培筒部材を一部省略して拡大分離した斜視図。
【図20A】図14において、養液供給器の設置部分を抜粋拡大して示す側面図。
【図20B】図20Aにおいて、シリンダーが正駆動された状態を示す側面図。
【図21A】図20Aの一部を切り取って拡大して内側からみた側面図。
【図21B】図21Aにおいて、養液供給器の作動状態を示す側面図。
【図22】図14に適用される栽培筒部材の他の例を示す斜視図。
【図23】本発明の第4の実施形態による植物栽培システムの概略側面図。
【図24】図23の植物栽培システムの平面図。
【図25】図23の植物栽培システムを一部切り取って示す側面図。
【図26】図24において、一部を抜粋拡大して示す平面図。
【図27】図24において、一部を抜粋拡大し、切り取って示す背面図。
【図28A】図24において、栽培筒部材を抜粋拡大した斜視図。
【図28B】図28Aの栽培筒部材を拡大し、切り取って示す側面図。
【図28C】図28Aの栽培筒部材を一部省略して拡大分離した斜視図。
【図29A】図24において、養液供給器を抜粋拡大して一部を切り取って省略した正面図。
【図29B】図29Aにおいて、垂直シリンダーが正駆動された状態を示す正面図。
【図30A】図29Aにおいて、養液供給器の設置部分を一部切り取って拡大した側面図。
【図30B】図30Aにおいて、養液供給器が作動する状態を示す側面図。
【図31】図30Aにおいて、養液が栽培筒部材に供給される状態を抜粋拡大して示す側断面図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の第1の実施形態による植物栽培システムは、栽培室10と、前記栽培室の内部に設けられる循環器20と、前記循環器によって栽培室の内部空間を移動循環するように循環器に隔設する多数の栽培筒部材30と、前記栽培筒部材に養液を供給する養液供給器40と、前記栽培室の内部に浄化済みの外部空気を供給し、または、内部空気を循環または外部に排出する送風器50と、を備えてなることを特徴とする。
【0028】
栽培室10は、通常のガラス温室やビニールハウスなどのように4壁11と天井12がビニールや透明プラスチック板およびアクリル樹脂板やガラス板などの透明部材から形成されるものであり、前記4壁のうちのいずれか1つまたは1以上の壁には栽培管理および収穫などのための作業者の出入扉が設けられる。
【0029】
そして、栽培室10の内部には反射板10aを設けて循環器20の周りに当てられる太陽光を栽培筒部材30に送ることが好ましい。
【0030】
このために、栽培室10が設けられる方向に応じて、枠体13の周りのうち、太陽光を最大限に受光可能な位置に、曲面状の反射面が前記枠体と対応するように、反射板10aを支持枠体13aによって支持されるように設けて、周りに入射する太陽光を集めて栽培筒部材30に向かって反射して、光エネルギーの供給の増大を図る。
【0031】
このような反射板10aの左右には、補助反射板10bをヒンジでそれぞれ設け、各下端には車輪10cを付設して、必要に応じて選択的にまたは一緒に完全に拡開したり適切な角度で拡開することにより、栽培筒部材30に太陽光を一層効率よく多量反射することが可能になる。
【0032】
循環器20は、減速モーター21と、複数のチェーンギア22および左右のチェーン23を備えてなり、前記チェーンギアおよびチェーンは栽培室10の広さや高さはもちろん、栽培すべき植物の種類などを考慮して内部空間を最大限に活用できるように設ける。
【0033】
例えば、図1に示すような内部空間を有する栽培室10に設ける場合には、左右の前方垂直梁131と、前記前方垂直梁に各後端を固定して前方に延出する左右水平梁132と、左右の後方垂直梁133と、前記前方垂直梁の直ぐ後方に位置する左右の垂直梁134と、前記前後方と左右垂直梁の上下および途中部を水平に連結・固定する複数の左右水平支持梁135と、前記水平支持梁を傾斜させて連結・固定する複数の左右傾斜支持梁136と、からなる枠体13を前記栽培室に設ける。
【0034】
そして、左右の前後方垂直梁131、133と左右の垂直梁134との間の間隔が広い場合には、その間隔を考慮して、これらの間に1または1以上の左右垂直支持梁137を左右水平支持梁135の各内側面に上下に横切るように固設して枠体13を補強することが好ましい。
【0035】
一方、複数の左右チェーンギア22は、左右の前方垂直梁131の各上端と下側、左右の水平梁132の各前端と、左右の後方垂直梁133の各上端と途中および下側と、左右垂直梁134の各上端と途中などの当該部分をそれぞれ左右に横切るように設けるそれぞれの軸24の両端に軸固定する。
【0036】
また、左右のチェーン23は、それぞれ左右の前方垂直梁131の各下側位置のチェーンギア22と、左右水平梁132の前端位置のチェーンギア22を経て、前記前方垂直梁の上端位置のチェーンギア22と、左右の後方垂直梁133の上端位置のチェーンギア22と、左右垂直梁134の上端位置のチェーンギア22と、前記左右の後方垂直梁の途中位置のチェーンギアと、前記左右垂直梁の途中位置のチェーンギア22および前記左右の後方垂直梁の下側位置のチェーンギア22を次第に経由しつつ移動するように掛設する。
【0037】
このようにして設けると、各チェーン23は前方垂直梁131の上端から、後方垂直梁133の上端と左右の垂直梁132の上端を経て、前記後方垂直梁の下端の間を「己」字状に水平移動して通過するため、栽培室10の内部空間面積に比べて、後述するように、栽培筒部材30を多数設けることができて、空間活用を極大化させる。
【0038】
また、各チェーン23が左右水平梁132の前端位置のチェーンギア22を経らせることは、後述するように、作業者が、前記左右水平梁の手前に立って、前記チェーンギアを通過する栽培筒部材30において生長する植物の栽培管理や収穫を行うことを可能にすることにより、作業性を大幅に向上させるためである。
【0039】
加えて、各左右の垂直梁131、133、134の内側面におけるチェーン23が通過する各当該位置にはそれぞれ案内レール14を水平に固設して前記チェーンを支えることにより、チェーンが栽培筒部材30の荷重によって垂れ下がったり移動路を外れたりするなどの現象が発生することが防がれる。
【0040】
一方、チェーン23の各チェーンローラー231は、その直径を内外プレート232の上下幅よりも大径にして、図7に示すように、前記内外プレートは案内レール14と接触せず、チェーンローラーの外周面が案内レールの底面に接地されて回転しつつ移動するようにする。
【0041】
これにより、チェーン23が案内レール14によって支えられる状態で通過する過程で、チェーンローラー231の外周面が前記案内レールの底面に接地されて回転しつつ移動するので、摩擦による抵抗が発生せず、その結果、チェーンの移動循環が円滑になされることはもちろん、摩耗または騒音の発生と寿命短縮などが防がれる。
【0042】
そして、案内レール14の上下面にはチェーンローラー231の外周面が収まるレール溝141を所定の深さに形成し、前記チェーンローラーがレール溝によって支持される状態で前記チェーンローラーを回転移動させることにより、栽培筒部材30の荷重が掛止軸26に加わってもチェーン23は前記案内レールを外れることなく安定した状態で移動することとなる。
【0043】
また、案内レール14の下面の内端にはローラーレール14’を一体的に下向きに延設し、栽培筒部材30の左右面には前記ローラーレールに支えられて回転移動するローラー233を軸設する。
【0044】
これにより、栽培筒部材30の荷重がローラー233と掛止軸26に分散されるため、前記ローラーとチェーンローラー231が円滑に回転移動し、これに伴い、前記栽培筒部材とチェーン23は一層安定した状態で移動循環することとなる。
【0045】
加えて、移動循環する栽培筒部材30の下面が通過する位置に相当する左右の垂直支持梁137の内側面の各当該部位には左右に横切るように前後の水平受け梁137’を固設し、前記水平受け梁の上面の左右側には受けレール15を前後に横切るように水平に設けて前記栽培筒部材の下面を支えることにより、水平を維持し、かつ、その荷重を左右のチェーン23とローラー233に集中せず、前記受けレールにも分散させることがさらに好ましい。
【0046】
そして、受けレール15は、上端に、比較的に薄肉に合成樹脂製の受け片151を垂直に結合して栽培筒部材30の下面と接触させることにより、摩擦力が最大限に減少して一層円滑に移動するようにし、長期使用により摩耗が進んだ場合には、前記受け片のみ簡単に交替すればよい。
【0047】
一方、減速モーター21は、その出力軸をそれぞれの軸24のうち後方垂直梁133の下側を左右に横切るように設けた軸に連結すると説明されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、前記それぞれの軸のうちどの位置の軸に連結してもよいことはいうまでもない。
【0048】
なお、チェーン23が循環する移動路の適正位置、好ましくは、減速モーター21の出力軸と連結される軸24に設けられたチェーンギア22を通過した位置にはテンション部材27を設けて、前記チェーンが緩まらないように支える。
【0049】
栽培筒部材30は、上面が開放された筒体31と、前記筒体の上面両端部にそれぞれ固定し、上端が「∩」字状を呈する掛止片32と、前記開放された上面を覆うように結合され、植木鉢30aの係合孔331が形成されたカバー板33と、を備えてなる。
【0050】
筒体31は横長に形成され、掛止片32は開放された上面の両端部をそれぞれ覆うように取り付ける各固定板321の上面に一体的に形成して、後述するように、栽培筒部材30を左右チェーン23に所定の間隔をあけて引っ掛けて吊設する。
【0051】
カバー板33は、筒体31の上面の両端部に取り付けた固定板321の間の距離に比例する長さを有し、係合孔331は、植木鉢30aの直径を考慮して適正数を隔設する。
【0052】
これらの係合孔331にそれぞれ植木鉢30aを係合すれば、前記係合孔に引っ掛かる上端部を除く残りの部分は、筒体31に収容される養液に浸漬され、ここに養分が供給される。
【0053】
また、筒体31の上端の前後には係合部311を長手方向に凹設し、カバー板33の前後端には前記係合部と係合する係合片332を下向きに延出して、前記カバー板が筒体の上面に簡単に着脱できるようにする。
【0054】
一方、筒体31には、イチゴなどの茎が広がる植物を栽培するとき、茎を支える受け板34を着脱してもよい。
【0055】
このために、筒体31の前後面の上端には結束部312をそれぞれ長手方向に凹設し、これに対応する受け板34の一方の端には前記結束部に着脱する結束片341を長手方向に下向きに延出する。
【0056】
このような受け板34は、広がる茎を自然に支えるために、結束片341が形成された一方の端は水平にし、上向きに湾曲する他方の端に進むにつれて緩やかな角度で下向きに傾斜するように延設する。
【0057】
そして、両側の固定板321のうちのいずれか一方の固定板に形成する取付孔には水位計35を垂直に貫設して、筒体31に収容されている養液の水位を常時確認可能にすることにより、養液が不足したときには養液供給器40を作動させて直ちに供給し、適正水位になれば供給を中断する。
【0058】
さらに、カバー板33の途中には注入孔333を形成して、後述するように、前記カバー板が筒体31の上面に結合されている状態で、養液供給器40によって供給される養液が前記注入孔を介して筒体に注入されるようにする。
【0059】
また、筒体31が長尺である場合には、開放された上面の途中に注入孔333付き隔板36を固定し、前記隔板によって左右に画設される開放された上面には画設された長さに形成したカバー板33をそれぞれ結合する。
【0060】
これは、筒体31が長尺である場合に、カバー板33も同じ長さに形成すれば係合孔331の数も増大するため、植木鉢30aを全て結合したときにその重さによって前記カバー板が変形されるなどの現象が発生することを防ぐためである。
【0061】
このような栽培筒部材30を循環器20に設けるために、左右のチェーン23の相対向する内面には所定の間隔をあけて「L」字状のブラケット25の各垂直部を固定し、各水平部には掛止軸26をそれぞれ水平に固設する。
【0062】
このため、栽培筒部材30を循環器20に設けるときには、左右チェーン23の相対向する内面に水平に取り付けられている各掛止軸26に掛止片32の上端をそれぞれ引っ掛けて軸結合すれば、前記栽培筒部材がチェーンの間に所定の間隔をあけて簡単に吊設され、この状態で減速モーター21が駆動されて前記チェーンを回動させると、栽培筒部材は栽培室10の内部空間を「己」字状に移動循環することとなる。
【0063】
このように移動循環する過程で、掛止片32の曲面を呈する上端が掛止軸26に引っ掛かる状態で軸結合されているため、栽培筒部材30は自重によって常時平衡を取るように吊り下げられて移動し、これにより、図6に示すように、前記栽培筒部材が各チェーンギア22を通過するときにも平衡を取りつつ通過することとなる。
【0064】
このように栽培筒部材30を循環させる理由は、各植木鉢30aで生長する植物に満遍なく光エネルギーを当てるためであり、その循環速度は、必要に応じて、減速モーター21の回転速度を制御して調節すればよい。
【0065】
一方、以上では、栽培筒部材30を上端が「∩」字状を呈する掛止片32により掛止軸26に引っ掛けて吊設すると説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、上端が管状を呈する掛止片にしてもよい。
【0066】
また、以上では、筒体31の開放された上面にはカバー板33を、固定板321の上面には水量計35をそれぞれ結合すると説明したが、このような栽培筒部材30は養液だけで栽培する植物に使用するためのものであり、イチゴなどの土を必要とする植物を栽培するときには、前記カバー板と水量計を設けることなく、図11に示すように、筒体の内部の下側には比較的に粒子が太い磨沙土37などを入れ、その上側には培養土38を適正の厚さで覆った後、イチゴ苗を所要の間隔にて移植して生長させればよい。
【0067】
磨沙土37と培養土38などはいずれも滅菌処理したものを使用することにより、病虫害の発生が防がれ、前記磨沙土は、養液を筒体31の全体に速やかに供給する働きもする。
【0068】
さらに、筒体31の下面の一方の端部には排水孔314を形成し、前記排水孔に対応する一方の側垂直支持梁137の内側面の各当該位置には水受け16をそれぞれ前後に横切るように設ける。
【0069】
このように磨沙土37と培養土38を用いる栽培筒部材30に養液を供給するときには、養液供給器40を作動させて排水孔314が形成されていない他方の端部の直ぐ上方から養液を供給して、内部に入れられている前記培養土と磨沙土を他方の端部から濡らしつつ流して一方の端部まで次第に濡らすことが好ましい。
【0070】
このようにして供給された養液を一方の端部まで完全に濡らしたら、養液の一部が排水孔314を介して下部に排水されて水受け16に流下するため、水量計35がなくても養液が十分に供給されていることを確認することができ、次いで、養液供給器30の作動を停止して供給を中断すればよく、排水された養液は前記水受けと連結される別途の集水槽(図示せず)に送られ、集められて再使用される。
【0071】
養液供給器40は、通常の養液槽(図示せず)に貯溜されている養液を吐き出すポンプ41と、一方の端は前記ポンプに連結され、他方の端421は枠体13の一方の途中から下部の内側に向かって配管される供給管42と、前記他方の端に途中部が連結され、枠体の最下側を通過する多数の栽培筒部材30の途中の直ぐ上方で前後に横切るように水平に設けられる分配管43と、前記分配管の下面に注入孔333に対応する間隔をあけて付設される供給口44と、を備えてなる。
【0072】
このように分配管43を枠体13の最下側を通過する栽培筒部材30の途中の直ぐ上方で前後に横切るように設ける理由は、上部に設けると、たとえ部分的であるとしても、太陽光が遮断されてしまう現象が来たされるため、これを極力抑えるためである。
【0073】
このような養液供給器40のポンプ41が作動して養液槽に貯溜されている養液を吐き出すと、養液は供給管42を経て他方の端部421に連結された分配管43の各供給口44を介してその直ぐ下方に位置する注入孔333を介して筒体31の内部に供給される。
【0074】
また、養液供給器40から各栽培筒部材30へと養液を供給するときには、まず、循環器20の作動を中断して前記栽培筒部材の移動を止めた後、分配管43の直ぐ下方に位置する前記栽培筒部材に各供給口44を介して同時に養液を供給し、供給が完了すれば、前記循環器を再作動させて、養液の供給された栽培筒部材は移動して分配管の下方から逸脱させ、次の供給対象となる栽培筒部材を各供給口に位置させた後に停止して養液を供給する過程を所要のサイクル数だけ繰り返し行えばよい。
【0075】
このように養液を供給する過程における養液の水位は水量計35によって直ちに確認され、これにより、適量が供給されたときに養液供給器50の作動を止めればよい。
【0076】
送風器50は、送風ファン51と、後端が前記送風ファンに連結されて枠体13の一方の側の下部を前後に横切るように配管する送風管52と、前記送風管に後端が所定の間隔をあけて連結されてそれぞれ枠体の下面を左右に横切るように配管される多数の送風支管53と、前記送風支管の各上面に所定の間隔をあけて付設される排気口54と、を備えてなる。
【0077】
この種の送風器50は、送風ファン51を働きかけて外部空気(COまたはOを含む)や内部空気を選択的に吸入する。
【0078】
すなわち、送風ファン51を働きかけて吸入される空気は、送風管52を介して各送風支管53に供給されて各排気口54を介して枠体13の下部から上方へと排出されるため、各栽培筒部材30に浄化済みの外部空気を供給し、または、内部空気を循環供給させ、これにより、内部温度が調節されることはもちろん、新鮮な空気の供給と通風が円滑になされて快適な環境が造成されて生長が促されるとともに、植物と実が腐ることが防がれるなど、植物が快適な環境で生長することが可能になる。
【0079】
一方、左右のチェーン23を、左右の垂直梁131、133、134の間を「己」字状に通過するように設けると、上側を通過する栽培筒部材30を除くその下方は太陽光があまり当たらない脆弱部位となるため、これを解消するとともに、全天候で光エネルギーを十分に供給するためにランプ60を設けることが好ましい。
【0080】
このために、枠体13における太陽光があまり当たらない当該部位には、多数のランプ60をそれぞれ栽培筒部材30の移動方向を左右に横切るように枠体13に隔設し、必要に応じてまたは常時点灯しておく。
【0081】
これにより、植木鉢30aの植物には、通過する位置によらずに、光エネルギーが満遍なく当てられるので、自然環境に大きく影響されることなく、全天候で短期間に生長および収穫が可能になることはもちろん、場所に寄らずに栽培することも可能になる。
【0082】
このように構成される本発明の実施形態による植物栽培システムにおける、栽培筒部材30が移動循環する上下の間隔や栽培筒部材間の間隔は、植物の特性を考慮して生長に影響を及ぼさない範囲内で設定する。
【0083】
すなわち、イチゴなどの植物は上方よりは横に茎が伸びて生長するものであるため、栽培筒部材30は、上下間隔よりは左右間隔を広げる必要があるのに対し、白菜やレタスなどの植物は上方に伸びて生長するものであるため、左右間隔よりは上下間隔を広げる必要がある。
【0084】
このための栽培筒部材30の左右間隔の調節は、左右チェーン23に所定の間隔をあけて固定されている掛止軸26に前記栽培筒部材の数を選択して引っ掛けるだけで行えばよく、上下間隔は、前記左右チェーンを引っ掛けるチェーンギア22の直径を調節することにより行えばよい。
【0085】
また、枠体13の下部には車輪を設け、地面にはガイドレールを設けて、前記枠体を載置して移動できるようにしてもよい。
【0086】
図12は、本発明の第2の実施形態による植物栽培システムを一部切り取って概略的に示す側面図であり、図13は、図12の植物栽培システムにおいて、一部を省略して示す正面図である。
【0087】
この第2の実施形態による植物栽培システムは、栽培筒部材30を昇降させ、且つ、水平に移動循環させることを特徴とするものであり、このために、枠体13は、長尺の複数の左右長垂直梁138の間に短尺の複数の短垂直梁139が1本ずつ交互に配置されるように各上端と下端をそれぞれの左右水平梁132に所定の間隔をあけて固定して形成する。
【0088】
また、複数の左右チェーンギア22は、各左右長垂直梁138の上端と、各左右短垂直梁139の上端および下側の左右水平梁132の前後端を左右に横切るように設ける複数の軸24の左右端にそれぞれ軸固定し、左右チェーン23は、それぞれ前記左右チェーンギアを次第に経るように引っ掛ける。
【0089】
このようにして引っ掛けると、左右チェーン23は、下側の左右水平梁132の前後端の位置に軸設されたチェーンギア22の間を通過するときには水平に移動するのに対し、左右長垂直梁138の上端と各左右短垂直梁139の上端を次第に通過するときには上昇と下降を繰り返しつつ通過することとなる。
【0090】
このため、左右チェーン23に所定の間隔をあけて固定された掛止軸26に掛止片32を引っ掛けて栽培筒部材30を設けると、前記栽培筒部材は栽培室10の内部空間をほとんど垂直に近い斜め方向に複数回に亘って上昇と下降を繰り返した後、水平に移動循環する過程を繰り返し行う。
【0091】
このように栽培筒部材30を循環させると、斜め方向に複数回に亘って上昇と下降を繰り返す間の間隔が広いため、前記第1の実施形態における「己」字状に移動循環させることに比べて、比較的に全部分に太陽光が当てられるという特徴があり、これにより、ランプ60を設けなくても済むか、あるいは、設けてもその数を前記第1の実施形態に比べて大幅に減らすことが可能になるなどのメリットがある。
【0092】
そして、養液を供給する供給管42の他方の端部421に連結される分配管43は、前記第1の実施形態でのように、枠体13の最下側を通過する多数の栽培筒31の途中の直ぐ上方で前後に横切るように水平に設ければよい。
【0093】
図14は、本発明の第3の実施形態による植物栽培システムの概略側面図であり、図15は、図14の植物栽培システムの拡大背面図であり、図16は、図14において一部を抜粋拡大して示す平面図であり、図17は、図14において一部を抜粋拡大し、切り取って示す背面図であり、図18Aは、図14において栽培筒部材を抜粋拡大した斜視図であり、図18Bは、図18Aの栽培筒部材を拡大し、切り取って示す側面図であり、図18Cは、図18Aの栽培筒部材を一部抜粋して分離した斜視図であり、図20Aは、図14において養液供給器の設置部分を抜粋拡大して示す側面図であり、図20Bは、図20Aにおいてシリンダーが正駆動された状態を示す側面図であり、図21Aは、図20Aの一部を切り取って拡大して内側からみた側面図であり、図21Bは、図21Aにおいて養液供給器の作動状態を示す側面図である。
【0094】
本発明の第3の実施形態による植物栽培システムは、栽培室10と、前記栽培室の内部に設けられる循環器20と、前記循環器によって栽培室の内部空間を移動循環するように循環器に隔設する多数の栽培筒部材30と、前記栽培筒部材に養液を供給する養液供給器40と、を備えてなる。
【0095】
栽培室10は、通常のガラス温室やビニールハウスなどのように4壁11と天井12がビニールや透明プラスチック板およびアクリル樹脂板やガラス板などの透明部材から形成され、前記4壁のうちのいずれか1壁または1以上の壁には、栽培管理および収穫などのための作業者の出入扉が設けられる。
【0096】
循環器20は、減速モーター21と、複数の左右チェーンギア22および左右のチェーン23を備えてなり、前記チェーンギアとチェーンは栽培室10の広さや高さはもちろん、栽培すべき植物の種類などを考慮して、栽培室10の内部空間を最大限に活用できるように枠体13に設けられる。
【0097】
複数の左右チェーンギア22は、枠体13の前側部の内面左右の下側と上端、および後側部の内面左右の上端と途中と下端位置に、それぞれの軸24に設けられる。
【0098】
そして、前側部の内面の下側に左右チェーンギア22を設け、減速モーター21の駆動力を直接的に伝達される軸24は、枠体13の内面左右を横切る長尺の長軸からなり、前側部の内面左右の上端と、後側部の内面左右の上端と途中および下端位置に左右チェーンギア22を設ける軸24は、前記枠体の左右内面を横切らない短尺の短軸からなるため、枠体の構造が極めて簡単になるだけではなく、設置コストも節減される。
【0099】
左右チェーン23は、それぞれ前側部の下側位置のチェーンギア22と後側部の途中位置のチェーンギアを経て、前側部の上端位置のチェーンギアと、後側部の上端位置のチェーンギアおよび下端位置のチェーンギアを次第に経た後、さらに前記前側部の下側位置のチェーンギアを通過して移動するように引っ掛けて設ける。
【0100】
これにより、左右チェーン23が水平部を略「己」字状に移動循環するように枠体13に設けられるため、栽培室10の内部空間面積に比べて栽培筒部材30を多数設けることが可能になり、これにより、空間活用度が極大化される。
【0101】
一方、減速モーター21は、枠体13の前側部の下端内側に位置するように設けられ、その駆動軸と前側部の内面の下側に左右チェーンギア22を設ける軸24の左端にそれぞれ軸着する電動チェーンギアと電動チェーン23aによって前記減速モーターの駆動力が前側部の内面の下側の左右チェーンギアを設ける軸に伝わって左右チェーン23を移動させることとなる。
【0102】
また、左右チェーン23が通過する枠体13の左右内側面の各水平部分には案内レール14を水平に設けて、前記チェーンの大径の各チェーンローラー231を支える。
【0103】
これにより、チェーン23は、移動時に案内レール14と接触しなくなるため、摩擦による抵抗や摩耗などが発生せず、移動循環が円滑になされることはもとより、騒音発生や寿命短縮などが防がれる。
【0104】
さらに、案内レール14の内側面の下端にはローラーレール14’を一体的に下向きに延設して、栽培筒部材30の左右面に付設されるローラー233を支えることにより、前記栽培筒部材の荷重がチェーン23に加わらず、その結果、前記栽培筒部材とチェーンが一層安定した状態で円滑に移動循環される。
【0105】
そして、減速モーター21の駆動力を直接的に伝達される前側部の内面下側の左右チェーンギア22は、他の位置のチェーンギア22よりも大径のものを用いる。
【0106】
これにより、大径のチェーンギア22は小径のチェーンギアに比べて回転数が減るのに対し、回転力は強くなるため、停止状態の左右チェーン23を回動させる初期は言うまでもなく、回動させ続ける過程でも減速モーター21に加わる負荷を極力抑えるため、故障などの発生が防がれる。
【0107】
なお、左右チェーン23の相対向する内面には、栽培筒部材30を設けるために、所定の間隔をあけて「L」字状のブラケット25の各垂直部を固定し、その水平部には掛止軸26をそれぞれ水平に固定する。
【0108】
栽培筒部材30は、上面と左右端が開放される筒体31と、前記筒体の左右端を封じるようにそれぞれ結束する封合板31’と、前記封合板の上面の途中に付設され、上部が「∩」字状を呈する掛止片32と、前記封合板の上面の前後側に形成される養液の注入孔333と、を備えてなる。
【0109】
筒体31は、苗板30bに縦横の複数列に載置し、種子を発芽させた植木鉢30aをそれぞれ外すことなく、前記苗板ごとに移載可能な広さの幅に長く形成される。
【0110】
一方、栽培筒部材30の左右または左右のいずれか一方の底面にはオーバーフロー管31aを付設して、過剰に供給される養液は排水することにより、常時適正の水位が維持される。
【0111】
このような栽培筒部材30を循環器20に設けるときには、左右チェーン23の相対向する内面に水平に固定されている各掛止軸26に左右掛止片32の上端をそれぞれ引っ掛ければよい。
【0112】
これにより、栽培筒部材30は、掛止軸26を軸として回動可能に左右チェーン23の間に所定の間隔をあけて吊り下がる状態で軸設され、これにより、減速モーター21が駆動されて前記チェーンを回動させると、栽培筒部材は栽培室10の内部空間を「己」字状に移動循環することとなる。
【0113】
このように移動循環する栽培筒部材30は、移動循環する過程で減速モーター21の停止によってチェーン23が止まっても、慣性によって掛止軸26を軸として前後に揺れるといった現象などが発生しない程度の低速にて移動循環することとなる。
【0114】
図19Aは、図14に適用される栽培筒部材の他の例を示す斜視図であり、図19Bは、図19Aの栽培筒部材を一部省略して拡大分離した斜視図である。
【0115】
この他の例の栽培筒部材30は、植木鉢30aを1つずつ所定間隔を隔てるように移して結合するためのものであり、上面と左右端が開放される前後筒体31と、前記筒体の左右端を各内面の前後に押し付けて封じるように結束する左右封合板31’と、前記封合板の上面の途中に付設され、上部が「∩」字状を呈する掛止片32と、前記前後筒体の上面をそれぞれ長手方向に覆うように結合するカバー板33と、前記封合板の上面の前後側に形成される養液の注入孔333と、を備えてなることを特徴とする。
【0116】
カバー板33の前後端には係合片332を下向きに延出し、筒体31の前後面の上端には前記係合片を係合する係合部311をそれぞれ凹設して、前記カバー板の筒体への安定した結合を図る。
【0117】
このようなカバー板33の各係合孔331に植木鉢30aをそれぞれ係合すれば、前記植木鉢は各係合孔に引っ掛かる上端部を除く下部が筒体31の内部に収容されて供給される養液によって養分の供給を受ける。
【0118】
また、筒体31の左右または左右のうちのいずれか一方の底面にはオーバーフロー管31aを付設して、過剰に供給される養液は排水することにより、常時適正水位が維持される。
【0119】
養液供給器40は、枠体13の右側面の上部に水平に設けられるシリンダー45と、前記シリンダーのロッド451に取り付けられて前後に移動するように設けられる供給弁46と、前記供給弁の前後部にそれぞれ下向きに延設される前後供給口44と、を備えてなる。
【0120】
そして、前後供給口44には、通常の養液槽(図示せず)に貯溜されている養液を吐き出すポンプ(図示せず)に各一方の端を連結する分配管43の他方の端がそれぞれ連結される。
【0121】
また、前後供給口44は、栽培筒部材30の開放された左右端を封じる封合板31’の各上面の前後部に形成されている注入孔333に比例する間隔をあけてその直ぐ上方に位置するようにロッド451に取り付けられ、これにより、前記栽培筒部材が移動循環するときに注入孔は供給口の直ぐ下方を通過することとなる。
【0122】
このように構成される養液供給器40により養液を供給するときには、栽培筒部材30が移動循環している状態で、シリンダー45を正駆動させて、ロッド451によって前後供給口44を前記栽培筒部材の移動循環方向とは逆方向である後方に移動させて停止する。
【0123】
この状態で、移動循環している栽培筒部材30のうち、養液が供給される栽培筒部材に形成された注入孔333が前後供給口44の直ぐ下方、すなわち、養液の供給を受ける定位置に達してセンサー(図示せず)によって感知されれば、シリンダー45を逆駆動させてロッド451を移動循環している前記栽培筒部材と等速にて前方に移動させつつ同時に供給弁46を開弁する。
【0124】
これにより、注入孔333と前後供給口44が等速にて移動する過程で、養液は供給弁46を通過して前記供給口を経てその直ぐ下方に位置する注入孔を介して筒体31の内部に供給される。
【0125】
このような養液の供給作動は、シリンダー45を逆駆動させてロッド451が前方に移動する距離の範囲内で行われる。
【0126】
この後、ロッド451の前方への移動が完了すれば、シリンダー45をさらに正駆動させて前記ロッドを後方に移動させて次の位置の栽培筒部材30に養液を供給する上記の作動を繰り返し行う。
【0127】
これにより、栽培筒部材30は、移動循環を停止することなく、次第に養液を供給することが可能になり、このようにして前記全ての栽培筒部材に適量の養液が供給されたときに養液供給器40の作動を止めればよい。
【0128】
一方、養液供給器40の作動により供給されて栽培筒部材30に収容される養液の量が増大すれば、その余剰分はオーバーフロー管31aを介して排出されるため、前記栽培筒部材には適用の養液が収容される。
【0129】
また、各案内レール14’の下端には、上部が開放された水受け16の各外側面の上端を長手方向に固設して、オーバーフロー管31aの下端を前記水受けの開放された上部に位置させる。
【0130】
そして、各水受け16の下面の後端部に配備される排水口16aは、集水管17を介して集水槽に連結して、オーバーフロー管31aを介して排水される養液があれば集水槽に送られて再使用される。
【0131】
図22は、図14に適用される栽培筒部材のさらに他の例を示す斜視図である。
【0132】
このさらに他の例の栽培筒部材30は、封合板31’の上面の途中部に、上部32aは「∩」字状を呈し、前記上部の一方の端から下向きに延出する下部32bは「人」字状を呈する掛止片32を付設してなることを特徴とする。
【0133】
このように構成される栽培筒部材30は、筒体31に植木鉢30aを移載したときはいうまでもなく、植物が生長する過程などでその重さが掛止軸26に引っ掛けた掛止片32の上部32aを中心として前後のいずれか一方がさらに重くなるといった現象が発生しても、前記掛止片の「人」字状を呈する下部32bが、前記栽培筒部材の左右において、栽培筒部材が前後のいずれか一方に傾かないように中心を取っているため、常時平衡状態を維持しつつ移動循環することとなる。
【0134】
図23は、本発明の第4の実施形態による植物栽培システムの概略側面図であり、図24は、図23の植物栽培システムの平面図であり、図25は、図23の植物栽培システムを一部切り取って示す側面図であり、図26は、図24において一部を抜粋拡大して示す平面図であり、図27は、図24において一部を抜粋拡大し、切り取って示す背面図であり、図28Aは、図24において栽培筒部材を抜粋拡大した斜視図であり、図28Bは、図28Aの栽培筒部材を拡大し、切り取って示す側面図であり、図28Cは、図28Aの栽培筒部材を一部省略して拡大分離した斜視図であり、図29Aは、図24において養液供給器を抜粋拡大して一部を切り取って省略した正面図であり、図29Bは、図29Aにおいて垂直シリンダーが正駆動された状態を示す正面図であり、図30Aは、図29Aにおいて養液供給器の設置部分を一部切り取って拡大した側面図であり、図30Bは、図30Aにおいて養液供給器が作動する状態を示す側面図であり、図31は、図30Aにおいて養液が栽培筒部材に供給される状態を抜粋拡大して示す側断面図である。
【0135】
この第4の実施形態による植物栽培システムは、通常のガラス温室やビニールハウスなどのように4壁と天井がビニールや透明プラスチック板およびアクリル樹脂板やガラス板などの透明部材から形成され、前記4壁のうちのいずれか1壁または1以上の壁には、栽培管理および収穫などのための作業者の出入扉が設けられる栽培室と、減速モーター21と、複数の左右チェーンギア22と、左右のチェーン23と、を備えてなり、前記チェーンギアとチェーンが、栽培室の広さや高さはもちろん、栽培すべき植物の種類などを考慮して内部空間を最大限に活用できるように枠体13に設けられる循環器20は、前記第3の実施形態によるそれと同様に構成されるのに対し、栽培筒部材30と前記栽培筒部材に養液を供給する養液供給器40は、前記第3の実施形態によるそれらとは異なるように構成されることを特徴とする。
【0136】
この第4の実施形態による栽培筒部材30は、前後一対の筒体31と、封合板31’および前後カバー板33を備えてなる。
【0137】
筒体31は、上面と左右端は開放され、狭幅且つ長尺に形成され、前後面の上端には長手方向に係合部311が凹設され、前記前後面のうちのいずれか一方面の途中の位置には養液の注入孔333が隔設される。
【0138】
これらの筒体31は、開放された左右端を封合板31’の各内面の前後側に封着するように固設することにより、供給された養液が漏れ出ることを防ぎ、これにより、前後に画設される前記筒体の間には上下に貫通する通路31bが長手方向に形成される。
【0139】
このとき、筒体31の各前後面のうちのいずれか一方面に形成された注入孔333は、前後で向かい合うように左右端を封合板31’に固設する。
【0140】
これは、後述するように、養液供給器40が作動して分配管42の水平部43aが下部から通路31bを通って上昇したときに、前記水平部の前後面に所定の間隔をあけて付設された噴出管43cを前後筒体31の注入孔333と合致させることにより、吐き出される養液を前記噴出管と注入孔を経由させて前後筒体の内部に同時に供給させるためである。
【0141】
そして、封合板31’の上面の途中部には、上部32aは「∩」字状を呈し、前記上部の一方の端から下向きに延出する下部32bは「人」字状を呈する掛止片32が付設される。
【0142】
このように付設される掛止片32を左右チェーン23の相対向する内面に所定の間隔をあけて固定されている掛止軸26に引っ掛けると、栽培筒部材30は前記左右チェーンの間を水平に横切って吊設される。
【0143】
また、封合板31’の外面には、案内レール14の内側面の下端に一体的に下向きに延設されたローラーレール14’に支えられるローラー233を付設して、栽培筒部材30の荷重がチェーン23に加わることを防ぐことにより、前記栽培筒部材とチェーンが一層安定した状態で円滑に移動循環する。
【0144】
カバー板33は、前後筒体31の開放された上面をそれぞれ長手方向に覆うように結合され、前後端には、前記筒体に形成された係合部311と係合される係合片332が下向きに延出し、上面には、植木鉢30aの係合孔331が隔設される。
【0145】
このように構成される栽培筒部材30は、各カバー板33の係合孔331に植木鉢30aをそれぞれ係合したときはいうまでもなく、植物が生長する過程などでその重さが掛止軸26に引っ掛けた掛止片32の上部32aを中心として前後のいずれか一方がさらに重くなるといった現象が発生しても、前記掛止片の「人」字状を呈する下部32bが、前記栽培筒部材の左右において、栽培筒部材が前後のいずれか一方に傾かないように中心を取っているため、常時平衡状態を維持しつつ移動循環することとなる。
【0146】
一方、第2の実施形態による養液供給器40は、枠体13の前側部の途中に設けられるものであり、分配管43と、シリンダー45と、垂直シリンダー47および集水桶48を備えてなる。
【0147】
分配管42は、水平部43aと、前記水平部の両端から垂下し、且つ、水平に2段に折り曲げられて延出する左右端部43bと、から形成され、前記水平部の前後面には、所定の間隔をあけて噴出管43cが水平に付設される。
【0148】
このような分配管43の左右端43bのうち、左端は、枠体13の左側内面に配備される案内板18の内側面に垂直に形成された案内溝181に係止して垂直に昇降自在に設けられ、右端は、垂直シリンダー47のロッド471の上端に固設される。
【0149】
このため、垂直シリンダー47が正駆動されれば、ロッド471が垂直に上昇するため分配管43は水平状態で上昇し、逆駆動されれば下降する。
【0150】
そして、分配管43の右端は、通常の養液槽(図示せず)に貯溜されている養液を吐き出すポンプ(図示せず)に供給管42を介して連結されて養液の供給を受け、左端は養液が漏れ出ないように密封される。
【0151】
集水桶48は、上面が開放され左右面48bが前後面48aよりも低くなる直方体からなり、前記左右面間の長さは、栽培筒部材30の左右間の長さよりも僅かに短く、前記前後面間の間隔は、栽培筒部材の前後面間の間隔よりは僅かに大きくなる。
【0152】
これにより、集水桶48が、1つの栽培筒部材30の下部から、前後面48aよりも低い左右面48bの上端が前記栽培筒部材の下面の左右に支えられる程度に上昇した後に停止すれば、栽培筒部材の下部の左右端部は集水桶の左右面の外側に露出されるのに対し、栽培筒部材の下部前後は集水桶の前後面の間に収まる。
【0153】
これにより、栽培筒部材30の前後筒体31に形成されている注入孔333と、これに対応するように分配管43に付設された噴出管43cとが集水桶48の内部に位置するため、養液の供給過程で一部流下する養液があれば外部に漏れることなく前記集水桶の内部に集められる。
【0154】
また、集水桶48は、分配管43の水平部43aが、高さの低い左右面48bの上端を経て内部上側を左右に横切るように、前記左右面の外面を分配管の左右端部43bにおいて垂下部分に固定して、前記集水桶を分配管とともに前後移動および垂直昇降させる。
【0155】
加えて、集水桶48の下面の一方の側には養液の集水槽に集水管を介して連結する排水口481を付設して、集められる養液があれば集水槽に送られる。
【0156】
このように構成される養液供給器40により養液を供給するときには、まず、前後筒体31付き栽培筒部材30が移動循環している状態で、枠体13の右側面の上部に水平に設けられるシリンダー45を正駆動させて、そのロッド451に垂直に固設される垂直シリンダー47を前記栽培筒部材の移動循環方向とは逆方向である後方に移動させてから停止するため、分配管43と集水桶48が一緒に後方に移動することとなる。
【0157】
この状態で、移動循環している栽培筒部材30のうち、養液が供給される栽培筒部材の前後筒体31の間の通路31bが分配管43の直ぐ上部、すなわち、養液が供給される定位置に達してセンサー(図示せず)によって感知されれば、シリンダー45を逆駆動させてロッド451を前記栽培筒部材と等速にて前方に移動させるとともに、垂直シリンダー47を正駆動させてロッド471によって前記分配管の水平部43aが前記通路を通って上昇して前後面に付設された噴出管43cが注入孔333と向かい合うと、前記垂直シリンダーの正駆動を停止させ、養液供給器40を作動させる。
【0158】
これにより、栽培筒部材30と分配管43が一緒に等速にて移動する過程で、養液供給器40によって前記分配管に供給される養液は、各噴出管43cから噴出されて注入孔333を介して前記栽培筒部材の前後筒体31の内部に注入・供給される。
【0159】
このような養液の供給は、垂直シリンダー47の正駆動が停止した後、シリンダー45を逆駆動させてロッド451が前方に移動する距離の範囲内で行われる。
【0160】
次いで、ロッド451の前方への移動が完了すれば、直ちにシリンダー45の逆駆動を停止するとともに、垂直シリンダー47を逆駆動させて、ロッド471によって分配管43が完全に下降すれば、前記垂直シリンダーの逆駆動は停止させ、シリンダーを正駆動させてロッドをさらに後方に移動させて、次の位置の栽培筒部材30に養液を供給する上記の作動を繰り返し行う。
【0161】
これにより、栽培筒部材30は、移動循環を停止することなく、次第に養液を供給することが可能になり、このようにして前記栽培筒部材の全てに適量の養液が供給されたときに養液供給器40の作動を停止すればよい。
【0162】
一方、養液供給器40の作動により供給されて栽培筒部材30に収容される養液の量が増大すれば、その余剰分はオーバーフロー管31aを介して排出されるので、前記栽培筒部材には常時適量の養液が収容される。
【0163】
また、各案内レール14の下端には、上部が開放された水受け16の各外側面の上端を長手方向に固設して、オーバーフロー管31aの下端を前記水受けの開放された上部に位置させる。
【0164】
そして、各水受け16の下面に配備される排水口16aは、集水管17を介して集水槽に連結して、オーバーフロー管31aを介して排水される養液があれば集水槽に送液するとともに、集水桶48の下面に配備される排出口481も別途の集水管17’を介して集水槽に連結して、噴出管43cを介して噴出されて注入口333に供給される養液のうち、前記集水桶の内部に流下する養液があれば集水槽に送液して再使用する。
【0165】
このように構成される本発明の第3および第4の実施形態による植物栽培システムは、第1の実施形態でのように、送風器を設けて浄化済みの外部空気を供給し、または、内部空気を循環供給若しくは排出することにより、内部温度が調節されることはもとより、新鮮な空気の供給と通風が円滑になされる快適な環境が造成されて生長が促されるとともに、植物と実が腐ることが防がれるなど、植物が快適な環境で生長することが可能になる。
【0166】
また、枠体13における、太陽光があまり当たらない脆弱部位などにはランプを設けて、必要に応じてまたは常時点灯しておいて、植木鉢30aの植物が通過する位置によらずに、光エネルギーを満遍なく十分に当てることにより、自然環境に影響されることなく、全天候で短期間に生長および収穫することが可能になるだけではなく、場所によらずに栽培することも可能になる。
【0167】
一方、本発明の第3および第4の実施形態において、1つの栽培筒部材30が養液の供給される定位置に達したときにこれを感知して養液供給器40を作動させるセンサーとしては、一般に汎用されている光センサーやリミットスイッチなどを採用しているため、その図示は省略されている。
【0168】
このように構成される本発明の第1から第4の実施形態による植物栽培システムにおいて、循環器20と、養液供給器40または送風器50などの作動は通常の自動制御システムによって自動的に制御され、必要に応じては、マニュアル操作により作動を制御してもよい。
【0169】
また、前記第1、第3および第4の実施形態においては、栽培筒部材30が栽培室10の内部空間を「己」字状に水平に移動循環し、第2の実施形態においては、ほとんど垂直に近い斜め方向に上昇および下降を繰り返し行うように移動循環すると説明したが、これは、それぞれその一例を説明するためのものに過ぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、前記栽培室の内部空間面積または設置場所など諸条件に応じて様々に変形可能であり、この場合にも本発明の権利範囲に属するということはいうまでもない。
【符号の説明】
【0170】
10:栽培室、
10a:反射板、
13:枠体、
14:案内レール、
14’:ローラーレール、
15:受けレール、
16:水受け、
18:案内板、
20:循環器、
21:減速モーター、
22:チェーンギア、
23:左右チェーン、
24:軸、
26:掛止軸、
30:栽培筒部材、
31:筒体、
31a:オーバーフロー管、
31b:通路、
31’:封合板、
32:掛止片、
32a、b:上・下部、
33:カバー板、
34:受け板、
35:水量計、
36:隔板、
40:養液供給器、
41:ポンプ、
43:分配管、
43c:噴出管、
44:供給口、
45:シリンダー、
46:弁、
47:垂直シリンダー、
48:集水桶、
50:送風器、
53:送風支管、
60:ランプ、
231:チェーンローラー、
233:ローラー、
314:排水孔、
331:係合孔、
333:注入孔、
481:排水口、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
栽培室(10)の内部に設けられる枠体(13)の当該部分にそれぞれ設けられる複数の軸(24)と、前記軸(24)にそれぞれ軸設される複数の左右チェーンギア(22)と、前記左右チェーンギア(22)を次第に経るようにそれぞれ引っ掛ける左右のチェーン(23)と、出力軸を前記複数の軸(24)のうちのいずれかに連結する減速モーター(21)と、を有する循環器(20)と、
上面が開放される筒体(31)と、前記筒体(31)の上面左右に固定されて左右チェーン(23)の相対向する内面にそれぞれ所定の間隔をあけて水平に付設する左右の掛止軸(26)にそれぞれ引っ掛けて軸結合する掛止片(32)と、を有し、前記掛止軸(26)および掛止片(32)によってチェーン(23)の間に回転自在に吊設されて循環器(20)によって栽培室(10)の内部空間を移動循環する多数の栽培筒部材(30)と、
前記栽培筒部材(30)に養液を供給する養液供給器(40)と、
前記栽培室(10)に設けられ、浄化済みの外部空気を内部に供給し、または、内部空気を循環させる送風器(50)と、
を備えてなることを特徴とする植物栽培システム。
【請求項2】
前記栽培筒部材(30)の移動方向を左右に横切るように枠体(13)に隔設される多数のランプ(60)をさらに備えてなることを特徴とする請求項1に記載の植物栽培システム。
【請求項3】
前記栽培室(10)の内部に設けられ、前記循環器(20)の周りに当てられる太陽光を栽培筒部材(30)に向かって反射する反射板(10a)をさらに備えてなることを特徴とする請求項1に記載の植物栽培システム。
【請求項4】
前記栽培室(10)は、ビニールや透明プラスチック板またはアクリル樹脂板やガラス板などの透明部材から形成され、
前記養液供給器(40)は、養液を吐き出すポンプ(41)と、一方の端は前記ポンプに連結され、他方の端(421)は枠体(13)の一方の側の途中から下部の内側に向かって配管される供給管(42)と、前記他方の端(421)に途中部が連結され、枠体(13)の最下側を通過する多数の栽培筒(31)の途中の直ぐ上方で前後に横切るように水平に設けられる分配管(43)と、前記分配管(43)の下面に所定の間隔をあけて付設される供給口(44)と、を備えてなることを特徴とする請求項1に記載の植物栽培システム。
【請求項5】
前記送風器(50)は、送風ファン(51)と、後端が前記送風ファン(51)に連結されて枠体(13)の一方の側に前後に横切るように配管される送風管(52)と、前記送風管(52)に後端が所定の間隔をあけて連結されてそれぞれ枠体(13)の下面を左右に横切るように配管される多数の送風支管(53)と、前記送風支管(53)の各上面に所定の間隔をあけて付設される排気口(54)と、を備えてなることを特徴とする請求項1に記載の植物栽培システム。
【請求項6】
前記枠体(13)は、左右の前方垂直梁(131)と、前記前方垂直梁(131)に各後端を固定して前方に延設する左右水平梁(132)と、左右の後方垂直梁(133)と、前記前方垂直梁(131)の直ぐ後方に位置する左右の垂直梁(134)および前記左右の垂直梁(131、133、134)の上下および途中部を水平に連結して固定する複数の左右水平支持梁(135)と、前記水平梁(132)を傾斜させて連結・固定する複数の左右傾斜支持梁(136)と、から構成され、
前記複数の左右チェーンギア(22)は、左右の前方垂直梁(131)の各上端と下側、左右の水平梁(132)の各前端と、左右の後方垂直梁(133)の各上端と途中および下側と、左右垂直梁(134)の各上端と途中にそれぞれ左右に横切るように設ける各軸(24)の両端に軸固定し、
前記左右のチェーン(23)は、それぞれ左右の前方垂直梁(131)の各下側位置のチェーンギア(22)と左右水平梁(132)の前端位置のチェーンギア(22)を経て、前記前方垂直梁(131)の上端位置のチェーンギア(22)と、左右の後方垂直梁(133)の上端位置のチェーンギア(22)と、左右垂直梁(134)の上端位置のチェーンギア(22)と、前記左右の後方垂直梁(133)の途中位置のチェーンギア(22)と、前記左右垂直梁(134)の途中位置のチェーンギア(22)および前記左右の後方垂直梁(133)の下側位置のチェーンギア(22)を次第に経るように掛設して、前記栽培筒部材(30)が、前方垂直梁(131)の上端位置のチェーンギア(22)と後方垂直梁(133)の下側位置のチェーンギア(22)との間を水平に移動するように設けてなることを特徴とする請求項1に記載の植物栽培システム。
【請求項7】
前記枠体(13)は、長尺の複数の左右長垂直梁(138)と、前記長垂直梁(138)の間に所定の間隔をあけて1つずつ交互に配置する短尺の複数の左右短垂直梁(139)と、前記長・短垂直梁(138、139)の各上端と下端をそれぞれ固定する複数の左右水平梁(132)と、から構成され、
前記複数の左右チェーンギア(22)は、各左右長垂直梁(138)の上端と、各左右短垂直梁(139)の上端および下側の左右水平梁(132)の前・後端を左右に横切るように設ける複数の軸(24)の左右端にそれぞれ軸固定し、
前記左右チェーン(23)は、前記軸(24)の左右端に軸固定する左右チェーンギア(22)をそれぞれ次第に経るように引っ掛けて、前記栽培筒部材(30)が、各左右長垂直梁(138)の上端位置の左右チェーンギア(22)と、各左右短垂直梁(139)の上端位置の左右チェーンギア(22)との間を垂直に近い斜め方向に昇降するように設けてなることを特徴とする請求項1に記載の植物栽培システム。
【請求項8】
前記枠体(13)の垂直梁(131、133、134)の内側面における左右チェーン(23)がそれぞれ通過する各当該位置には、前記左右チェーン(23)を支える案内レール(14)をそれぞれ水平に固設してなることを特徴とする請求項6に記載の植物栽培システム。
【請求項9】
前記左右チェーン(23)は、各チェーンローラー(231)の直径を内外プレート(232)の上下幅よりも大きくして、前記チェーンローラー(231)は案内レール(14)の底面に接地し、且つ、内外プレート(232)は接触しないように形成し、
前記案内レール(14)の上下面には、前記チェーンローラー(231)の外周面が収まるレール溝(141)を形成してなることを特徴とする請求項8に記載の植物栽培システム。
【請求項10】
前記枠体(13)の垂直梁(131、133、134)の内側面には左右チェーン(23)を支える案内レール(14)を設け、前記案内レール(14)の下面の内端にはローラーレール(14’)を一体的に下向きに延設し、
前記栽培筒部材(30)の左右面には、前記ローラーレール(14’)に支えられて回転移動するローラー(233)を設けてなることを特徴とする請求項6に記載の植物栽培システム。
【請求項11】
前記垂直梁(131、133、134)の間の左右には垂直支持梁(137)を設け、前記栽培筒部材(30)の下面が通過する位置に相当する垂直支持梁(137)の内側面の間には前後の水平受け梁(137’)を左右に横切るように固設し、前記水平受け梁(137’)の上面の左右側には栽培筒部材(30)の下面を支える受けレール(15)を前後に横切るようにそれぞれ水平に設けてなることを特徴とする請求項6に記載の植物栽培システム。
【請求項12】
前記栽培筒部材(30)は、上面が開放されて下面の一方の端部には排水孔(314)が形成された筒体(31)と、前記筒体(31)の上端の前後面にそれぞれ長手方向に凹設された結束部(312)と、一方の端には前記結束部(312)に着脱する結束片(341)が形成され、前記一方の端から緩やかな角度で下向きに傾斜するように延出し、た他方の端は上向きに湾曲するように形成された受け板(34)と、から構成されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の植物栽培システム。
【請求項13】
前記栽培筒部材(30)は、前記掛止軸(26)に引っ掛けて軸結合する上端が「∩」字状を呈し、下端には前記筒体(31)の上面の両端部にそれぞれ固定する固定板(321)が付設された掛止片(32)と、前記開放された上面を覆うように結合し、途中には注入孔(333)が形成され、その左右には植木鉢の係合孔(331)が隔設されたカバー板(33)と、を備えてなることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の植物栽培システム。
【請求項14】
前記栽培筒部材(30)は、固定板(321)の一方の側に形成された取付孔に取り付ける水量計(35)をさらに備えてなることを特徴とする請求項13に記載の植物栽培システム。
【請求項15】
前記栽培筒部材(30)は、上端が開放され横長に形成される筒体(31)と、上端が「∩」字状を呈し、下端には前記筒体(31)の上面の両端部にそれぞれ固定する固定板(321)が付設された掛止片(32)と、前記開放された上面の途中に前後に横切るように固定し、注入孔(333)が形成された隔板(36)と、前記隔板(36)によって左右に画設された上面を覆うようにそれぞれ結合する左右のカバー板(33)と、前記固定板(321)の一方の側に形成された取付孔に取り付けられる水量計(35)と、を備えてなることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の植物栽培システム。
【請求項16】
前記栽培筒部材(30)は、上面と左右端が開放され、広幅且つ長尺に形成される筒体(31)と、前記筒体(31)の開放された左右端を封じるようにそれぞれ結束する左右封合板(31’)と、前記封合板(31’)の上面の途中に付設され、上部が「∩」字状を呈する掛止片(32)と、前記封合板(31’)の上面の前後側に形成される養液の注入孔(333)と、を備えてなり、
前記養液供給器(40)は、枠体(13)の右側面に水平に設けられるシリンダー(45)と、前記シリンダー(45)のロッド(451)に固定されて前後動自在に設けられる供給弁(46)と、前記封合板(31’)の上面の前後側に形成される注入孔(333)の間隔に比例するように供給弁(46)の前後部にそれぞれ付設されて前記栽培筒部材(30)と等速にて移動する過程で注入孔(333)にその直ぐ上方から養液を注入する前後供給口(44)と、を備えてなることを特徴とする請求項1に記載の植物栽培システム。
【請求項17】
前記栽培筒部材(30)は、上面と左右端が開放され、狭幅且つ長尺に形成される前後筒体(31)と、前記筒体(31)の開放された左右端を結束して封じる左右封合板(31’)と、前記封合板(31’)の各上面の途中に付設され、上部が「∩」字状を呈する掛止片(32)と、前記筒体(31)の上面を覆うように結合され、上面には植木鉢の係合孔(331)が隔設されたカバー板(33)と、前記封合板(31’)の各上面の前後側に形成される養液の注入孔(333)と、を備えてなることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の植物栽培システム。
【請求項18】
前記栽培筒部材(30)は、上面と左右端が開放される筒体(31)と、前記筒体(31)の左右端を封じるようにそれぞれ結束する左右封合板(31’)と、上部(32a)は「∩」字状を呈し、前記上部(32a)の一方の端から下向きに延出する下部(32b)は「人」字状を呈するように前記封合板(31’)の上面の途中部に付設される掛止片(32)と、前記封合板(31’)の上面の前後側に形成される養液の注入孔(333)と、を備えてなることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の植物栽培システム。
【請求項19】
前記栽培筒部材(30)は、上面と左右端は開放され、狭幅且つ長尺に形成される前後筒体(31)と、前記筒体(31)の間に上下に貫通する通路(31b)が形成されるように開放された左右端を各内面の前後側に結束して封じる左右封合板(31’)と、前記筒体(31)の相対向する面に隔設される養液の注入孔(333)と、上部(32a)は「∩」字状を呈し、前記上部(32a)の一方の端から下向きに延出する下部(32b)は「人」字状を呈するように前記封合板(31’)の上面の途中部に付設される掛止片(32)と、前記前後筒体(31)の上面をそれぞれ覆い、上面には植木鉢の係合孔(331)が隔設されたカバー板(33)と、を備えてなり、
前記養液供給器(40)は、前記枠体(13)の右側面の上部に水平に設けられるシリンダー(45)と、前記シリンダー(45)のロッド(451)に垂直に設けられる垂直シリンダー(47)と、密封された左端は前記枠体(13)の左側の内面に配備された案内板(18)に形成された垂直案内溝(181)に昇降自在に係合し、右端は前記垂直シリンダー(47)のロッド(471)の上端に固設する養液の分配管(43)と、前記分配管(43)が開放された上部の内側を左右に横切るように分配管(43)に固設する集水桶(48)と、前記集水桶(48)の内部の上側を横切る分配管(43)の前後面に、筒体(31)の相対向する面に形成された注入孔(333)に対応するように付設され、通路(31b)に上昇して栽培筒部材(30)と等速にて移動する過程で注入孔(333)に養液を注入する噴出管(43c)と、を備えてなることを特徴とする請求項1に記載の植物栽培システム。
【請求項20】
前記集水桶(48)は、左右面は前後面よりも低く、前記左右面間の長さは栽培筒部材(30)の左右面間の長さよりも短く、前記前後面間の間隔は栽培筒部材(30)の前後面間の間隔よりも大きく形成され、下面に付設される養液の排出口(481)をさらに備えてなり、
前記分配管(43)は、前記集水桶(48)の低い左右面の上端の間を横切る水平部(43a)と、前記水平部(43a)の両端から垂下し、且つ、水平に2段に折り曲げられて延出し、垂下部分に集水桶(48)の左右の外面を固定する左右端部(43b)と、から構成されることを特徴とする請求項19に記載の植物栽培システム。
【請求項21】
前記枠体(13)の内側面には、左右チェーン(23)を支える案内レール(14)を設け、
前記案内レール(14)の下面の内端には、ローラーレール(14’)を一体に下向きに延設し、
前記ローラーレール(14’)の下端には、上部が開放された水受け(16)を長手方向に固設し、
前記栽培筒部材(30)は、前記ローラーレール(14’)に支えられるように左右面に付設されるローラー(233)と、前記栽培筒部材(30)の左右または左右のうちの一方側の底面に付設され、各下端が水受け(16)の上部に位置するオーバーフロー管(31a)と、をさらに備えてなることを特徴とする請求項6に記載の植物栽培システム。
【請求項22】
前記複数の左右チェーンギア(22)をそれぞれ枠体(13)に軸設する軸(24)のうち、減速モーター(21)の駆動力を直接的に伝達される軸(24)は、枠体(13)の内面の左右を横切る長尺の長軸からなり、他の位置の軸(24)は、前記枠体(13)の内面の左右を横切らない短尺の短軸からなることを特徴とする請求項1に記載の植物栽培システム。
【請求項23】
前記複数の左右チェーンギア(22)のうち、減速モーター(21)の駆動力を直接的に伝達される軸(24)に軸設される左右チェーンギア(22)は、他の位置の左右チェーンギア(22)よりも大径であることを特徴とする請求項22に記載の植物栽培システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18A】
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【図18B】
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【図18C】
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【図19A】
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【図19B】
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【図20A】
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【図20B】
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【図21A】
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【図21B】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28A】
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【図28B】
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【図28C】
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【図29A】
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【図29B】
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【図30A】
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【図30B】
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【図31】
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【公開番号】特開2012−170462(P2012−170462A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−8472(P2012−8472)
【出願日】平成24年1月18日(2012.1.18)
【出願人】(509269942)グリーン プラス カンパニー リミテッド (6)
【出願人】(511122330)
【Fターム(参考)】