説明

植物病原体の防除及び作物肥料としての使用のための組成物

本発明は、金属化合物と、リグノスルホン酸塩と、亜リン酸及び/又はその塩及び/又は水和物及び/又はエステルとを含む組成物に関し、その殺真菌剤、殺細菌剤としての又は肥料としての使用、並びに水性組成物中において金属亜リン酸塩沈殿の生成を防ぐためのその使用に関する。この組成物は、水性組成物の全重量に基づいて計算して、0.1重量%〜40重量%の乾燥物質を含む水性組成物であることが好ましい。本発明は、この水性組成物の調製方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物保護剤の製剤技術の技術分野に関し、特に植物保護剤及び/又は作物施肥剤(plant fertilizing agent)の組成物に関し、水性溶媒中に溶解している亜リン酸及び/又はその塩及び/又は水和物及び/又はエステル並びに金属塩からの銅若しくは金属の亜リン酸塩の沈殿生成を、それらの組合せの処理前及び処理の間、実質的に防ぐ方法に関する。特に本組成物は、植物病原体の防除に、すなわち殺真菌剤(fungicide)として又は殺細菌剤(bactericide)として使用され、作物肥料として使用される。
【0002】
発明の背景
世界中の農業生産は、数多くの植物病原性菌類及び細菌からの永続的な脅威下にある。生産物の収量及び品質を守り、経済的損失を避けるために、植物病害を防除する化学剤の処理は絶対的な必要条件である。農薬の必要性は一般に認められているが、環境への、又ヒトの健康への農薬の負の影響の可能性についての社会的懸念が続いている。その結果、化学的有害生物防除の持続性に関する要求が絶えず増大するのと同様、新たな農薬を市場にもたらす費用が絶えず増大している。
【0003】
原理的には、環境に対する化学的農薬の重圧を軽減することは、有害生物防除のため処理される化学製品量の低減によって達成することができる。環境への化学製品の投入量をできる限り低く保持するためには、意図される処理場所への正確な投薬(targeting)及び化学製品の均一な処理が非常に重要であることは明らかである。これには、最適な製剤及び最適な処理手法を必要とする。散布ドリフトの軽減(すなわち、空中を通っての、意図される場所以外の場所までの農薬の動きを少なくすること)は、如何にして効力を失わずに巨視的レベルの実質的な投入量低減を達成することができるかについての、よく知られている例である。また、微視的な、分子レベルの投薬及び化学製品の配分を最適化することもでき、効力を失わずに、著しく低下した化学製品絶対量の投入を可能にする。
【0004】
例えば、植物の葉領域上に、活性成分を溶解した分子を散布処理すると、懸濁した結晶として存在する分子の同一量を散布処理するよりも、活性成分によるその領域のより均質な被覆をもたらすであろうことは明らかである。この観点から、溶解した分子として、又は溶解した分子状錯体の一部として活性成分を処理することが望ましい。しかし他方では、実際的農業条件下では、高度に水溶性である活性成分は、それらの意図される殺生物剤活性の展開現場から移動し失われ易く、その農薬の実質的な防護力低下を招く。したがって理想的状況では、処理前及び処理の間の活性成分は、溶解した分子として、又は溶解した分子状錯体の一部として少なくとも存在するのに対して、処理後には活性成分は長期間にわたって比較的移動しにくい挙動を示すということになる。
【0005】
無機銅化合物は、開発され使用された最初の殺生物剤であった。注目すべきものは、ボルドー混合液として知られる硫酸銅と水酸化カルシウムの反応生成物である。ボルドー混合液は、19世紀末に開発されたものであり、多くの菌類及び細菌性植物病害防除のために依然として広く使用されている。殺生物剤として使用される無機銅塩の他の例は、銅オキシクロリド(例えばOxycor(登録商標)として販売される)、水酸化銅(例えばKocide(登録商標)、Champ(登録商標)及びNu−Cop(登録商標)として販売される)、酸化銅(例えばNordox(登録商標)として販売される)、及び炭酸アンモニウム銅(例えばCopper Count−N(登録商標)及びKop−R−Spray(登録商標)として販売される)である。銅塩の溶解度はゼロ(酸化銅)から比較的高い(硫酸銅)、の範囲である。無機銅塩のほかに、他の金属の無機塩がそれらの殺生物剤活性のため知られている。
【0006】
殺生物剤としての金属含有化合物の作用機序については殆ど知られていない。銅イオンが菌類胞子に入り、タンパク質を変性させ、酵素を不活性化できると一般に考えられている。公表された研究では、銅殺真菌剤がミトコンドリア呼吸を阻害することによりリンゴ黒星病菌(Venturia inaequalis)の胞子を殺すことが示された(Montag J,Schreiber L,Schoenherr J、「リンゴ黒星病菌の分生子に対する硫酸銅、水酸化銅及び酸化銅の防護活性特性のインビトロ研究(An In vitro study of the nature of protective activities of copper sulphate,copper hydroxide and copper oxide against conidia of Venturia inaequalis)」、J.Phytopathol 154:474〜481頁、2006)。遊離イオンとして又は錯体(又はキレート化)イオンとしてのいずれかで存在する移動性銅イオンは、難溶性若しくは不溶性銅化合物よりも、分子数当りのより高い効力を示すことがよく知られている。不溶性銅化合物と、菌類胞子又は微生物との間の物理的接触は、それらの殺生物剤効果のために不可欠である(Montag J,Schreiber L,Schoenherr J、「リンゴ黒星病菌の分生子に対する硫酸銅、水酸化銅及び酸化銅の防護活性特性のインビトロ研究(An In vitro study of the nature of protective activities of copper sulphate,copper hydroxide and copper oxide against conidia of Venturia inaequalis)」、J.Phytopathol 154:474〜481頁、2006)。それぞれの不溶性金属粒子の微小部分だけが殺生物剤作用に関連しており、このことが、効力を失わずに、金属の定量的投入量を低減させる機会をもたらすことは、よく知られている。
【0007】
金属イオン又は金属イオン含有化合物は、他の活性成分を含む組成物中に活性成分として組み込むことができる。亜リン酸、並びに/又はその塩及び/又はエステルと組合せたものが知られている。亜リン酸(HPO)又は亜リン酸塩(亜リン酸塩又はホスホン酸塩)は、疫病菌(Phytophthora)、ピシウム属菌(Pythium)及びべと病菌(downy mildews)などの卵菌類(Oomycete)病原体に特に有効である。当技術分野でよく知られているように、亜リン酸及びその塩は、リン酸(HPO)及びその塩(リン酸塩)と性質が異なる。亜リン酸殺真菌剤は、病原体に直接作用し、さらにその病原体に対する植物の生来の防御応答を刺激すると考えられる。殺真菌剤組成物としての亜リン酸塩との銅の組合せは、少なくとも20世紀の70年代後半に早くも開示されている。例えば、亜リン酸第一銅(CuHPO・2HO)の調製及び殺真菌剤としての処理が、US4,075,324中に開示されている。US4,075,324の例1が、リグノスルホン酸カルシウムをさらに含有する水和剤などの殺真菌剤組成物を開示す。さらに、金属イオンと亜リン酸塩との組合せを、追加的な殺真菌剤により拡張することができる。例えば、1種又は複数の殺真菌剤化合物と組み合わせた、若しくはこれらを含まない、亜リン酸の銅(II)塩と少なくとも他の亜リン酸金属塩とからなる殺真菌剤組成物が、WO2006/128677中に開示されている。亜リン酸と、いわゆるマンデルアミド型殺真菌剤との銅殺真菌剤の組合せを含む殺真菌剤組成物が、WO2006/136551中に開示されている。
【0008】
銅(II)イオンと亜リン酸塩イオンとを含む水性殺真菌剤組成物において、これらのイオンは、水中の亜リン酸銅(II)の溶解度が極めて低いので、固体亜リン酸銅(II)粒子として主に存在する。水性組成物中において亜リン酸塩と共に沈殿を生成する他の金属イオンの例には、マグネシウム(II)、亜鉛(II)、マンガン(II)、ニッケル(II)、アルミニウム(II)及び銅(I)が含まれる。固体粒子の一部としての銅(II)及び/又は他の殺真菌剤金属イオンのこの物理的存在のため、意図される処理現場にわたる銅(II)及び/又は他の金属イオンの均質な処理が妨げられ、このため病原体に対するそれらの効力が実質的に低下する。したがって、銅(II)イオン及び/又は他の金属イオン並びに亜リン酸塩イオンを含む水性殺真菌剤組成物において、銅(II)及び他の金属イオンを、亜リン酸塩イオンによる沈殿から防ぐことが極めて望ましいことであろう。
【0009】
金属イオンを、他の分子による沈殿から防ぐよく知られている方法は、キレート化剤による金属イオンの錯化である。キレート化剤は、一般に、中心金属イオンと1種又は複数の配位結合を形成して、環の一部としての中心金属イオンによるヘテロ環状環をもたらす化合物として定義される。キレート化剤の例は、ホスフィン、アミン、ジホスフィン、ジアミン、EDTA、EDDHA、HEDTA、DTPA、クエン酸塩、サッカレート、グルコネート、グルコヘプトネート及びグリシンである。US5,514,200を参照すると、亜リン酸塩含有肥料Nutri−Phite(登録商標)は、クエン酸塩などのキレート化有機酸を含有し、それが、銅(II)などの金属イオンが亜リン酸塩と沈殿を生成するのを防ぐので、その銅(II)などの金属イオンとの相容性のため、特に推奨される。その上、特許出願WO2002/060248において、1種又は複数の金属イオンと、亜リン酸塩と、クエン酸塩などの1種又は複数のキレート化剤とを含有する殺生物剤組成物が開示されている。
【0010】
しかし、金属イオンの可溶性キレートは、処理場所から移動し失われ易い。金属イオンの可溶性キレートは、可溶性金属イオンのように、植物によるこれらの移動性若しくは可動化金属イオンの急速な取り込みのため薬害の危険を招来することが一般に認められる。さらに、農業の実際では可溶性金属塩又は金属イオンの可溶性キレートは、湿った若しくは雨の多い時期の間に処理場所から洗い流され易いことが共通の認識である。これらの理由のため、不溶性の殺生物剤銅化合物又は不溶性の殺生物剤金属化合物がしばしば望まれる。したがって、水性殺真菌剤組成物中の銅(II)及び他の金属イオンが、可溶性キレートなどの高度に移動性の錯体の一部となるのを防ぐことは、極めて有利であろう。
【0011】
EP A249.566は、亜リン酸モノエステルの金属塩を含む殺細菌剤組成物であって、細菌病に罹っている植物の治療に使用される上記殺細菌剤組成物を開示す。例C、E及びHが、リグノスルホン酸カルシウム若しくはナトリウムと、場合によって金属塩例えば炭酸カルシウムとをさらに含有する、粉末形態のこのような殺細菌剤組成物を開示す。
【0012】
US4,139,616は、活性材料として亜リン酸モノエステルの金属塩を含有する、菌類病害防除向け組成物を開示す。例1及び2が、リグノスルホン酸カルシウムをさらに含有する水和剤としてのこのような組成物を開示す。
【0013】
したがって、本発明の目的は、植物保護剤及び/又は作物施肥剤の組成物を提供し、それらを組合せ処理する前及び処理する間、水性溶媒中に溶解している亜リン酸及び/又はその塩及び/又は水和物及び/又はエステル並びに金属塩からの銅若しくは金属の亜リン酸塩沈殿の生成を実質的に防ぐ方法を提供することにある。すなわち、本方法により、処理後、活性成分が長期間にわたって比較的移動しにくい挙動を示すことが確実になる。
【0014】
発明の概要
本発明は、金属化合物と、リグノスルホン酸塩と、亜リン酸及び/又はその塩及び/又は水和物及び/又はエステルとを含む組成物に関する。この組成物は、特に殺真菌剤若しくは殺細菌剤組成物、又は作物肥料組成物である。
【0015】
本発明は、金属化合物と、リグノスルホン酸塩と、亜リン酸及び/又はその塩及び/又は水和物及び/又はエステルとを含む水性組成物の調製方法にも関する。
【0016】
最後に、本発明は、水性組成物中において金属亜リン酸塩沈殿の生成を防ぐための、金属化合物と、リグノスルホン酸塩と、亜リン酸及び/又はその塩及び/又は水和物及び/又はエステルとを含む組成物の使用に関し、前記組成物の殺真菌剤、殺細菌剤としての、又は作物肥料としての使用に関する。
【0017】
発明の詳細な説明
本明細書において又特許請求範囲において使用される動詞「含む(to comprise)」及びその活用形は、その非限定的な意味において、この語に続く事項が含まれる一方、具体的に示されてない事項は排除されないことを意味するものとして使用される。さらに、不定冠詞「a」又は[an]による、ある要素の指示は、文脈により明らかにこの要素が1つ、且つ1つだけ存在することが要求されない限り、2つ以上の当該要素が存在する可能性を排除しない。したがって不定冠詞「a」又は[an]は、通常、「少なくとも1つ(at least one)」を意味する。
【0018】
本明細書において、クラフトリグニン(Kraft lignins)は、クラフトパルプ法からのポリフェノール質生成物、及び酸化若しくは他の化学的改変によって得られたそれらの誘導体として理解されたい。
【0019】
本説明において、有機溶解性リグニン(organosolv lignins)は、有機溶媒を使用した脱リグニン方法からのポリフェノール質生成物、及びそれらの化学的誘導体として理解されたい。
【0020】
本説明において、リグノスルホン酸塩(CAS番号8062−15−5)は、亜硫酸パルプ法で副生成物として生成される水溶性アニオン性ポリマーとして理解されたい。リグノスルホン酸塩は一般に、典型的には約500〜約150,000の範囲にある広い分子量分布を有する。リグノスルホン酸塩は、スルホネート基の対カチオンとして種々の金属若しくはアンモニウムイオン、例えばカルシウムを含むことができる(www.lignin.org参照)。
【0021】
本説明において、一般用語「亜リン酸塩(phosphite)」及び「亜リン酸及び/又はその塩及び/又は水和物及び/又はエステル」は、亜リン酸及びその互変異性体形態、亜リン酸塩すなわちHPO、HPO2−、若しくはPO3−の塩、又はホスホン酸水素エチルなどの亜リン酸のエステルなどの誘導体を包含する。このような誘導体は、種々の多形相として生じ得る。亜リン酸は、化学式:
【化1】


を有し、したがって化学式:
【化2】


を有するリン酸と性質が異なる。
【0022】
本発明は、金属化合物と、リグノスルホン酸塩と、亜リン酸及び/又はその塩及び/又は水和物及び/又はエステルとを含む組成物であって、液体の形態にあることが好ましい上記組成物を提供する。本組成物は、溶液であることが最も好ましい。本発明は、金属化合物と、リグノスルホン酸塩と、亜リン酸及び/又はその塩及び/又は水和物及び/又はエステルとを含む組成物を含む水性溶媒中において、金属亜リン酸塩沈殿の生成を実質的に防ぐ方法をも提供する。この組成物は、例えば、殺真菌剤、殺細菌剤又は肥料として、農業用作物又はその部分及び農業生産物を処理するのに使用することができる。金属亜リン酸塩沈殿の生成を防ぐことによって、本組成物は金属イオン(単数又は複数)の均質な処理を著しく促進し、こうして効力を失わずに金属イオン(単数又は複数)の投入量低減を可能とする。
【0023】
本発明者らは、驚くべきことに、金属塩(単数又は複数)と亜リン酸塩(単数又は複数)との水性組成物において、pH3〜7、好ましくは4.5〜6の間の条件で、リグノスルホン酸塩の存在によって、金属亜リン酸塩沈殿の生成が著しく防止されることを見出している。リグノスルホン酸塩による前記作用は予見できず、又全く予期されないことであり、それは、pHを下げるとリグニン及びリグニン誘導体例えばクラフトリグニンなどの金属イオンについての錯化能力が低下すること(Kulik F,Wieber J,Pethica B,Zuman P、「種々のリグニンへの銅(II)及び亜鉛(II)イオンの結合(Binding of Copper(II) and Zinc(II) ions on various lignins)」、J.Electroanal.Chem.214:331〜342頁、1986)、並びにリグノスルホン酸塩の錯化能力が、酸性pH範囲で非常に低いことが知られているからである。このことは下記の表で例示され、表では、種々のpH及びリグノスルホン酸塩100グラム当りの種々のCu量における、リグノスルホン酸塩(LS)との錯体を形成する銅イオン(Cu)の百分率を示す(Borregaard LignoTech Ltdから得られたデータ)。
【表1】

【0024】
リグノスルホン酸塩の特性の中でも、この低い錯化能力により、リグノスルホン酸塩は、金属イオンと亜リン酸塩とを含む殺真菌剤組成物への添加剤として非常に適したものとなっており、それは金属亜リン酸塩の沈殿が抑制され、高度に移動性のキレートは生成されないからである。
【0025】
本発明者らは、リグノスルホン酸塩の前記作用が大きく予防的であることを見出した。その理由は、金属亜リン酸塩沈殿の生成が不可逆的であり、すなわち後になってリグノスルホン酸塩を添加してもそれを逆行させることができないのに対して、後になって少量のキレート化剤例えばEDTA又はクエン酸塩などを添加することによって、前記金属亜リン酸塩沈殿の生成を容易に逆行させることができるからである。したがって、金属塩(単数又は複数)と亜リン酸塩(単数又は複数)とを含む組成物を水性溶媒(単数又は複数)により混合する前に、リグノスルホン酸塩が既に前記組成物の一部であること、或いは、本発明の他の態様において、金属塩(単数又は複数)及び亜リン酸塩(単数又は複数)が、リグノスルホン酸塩を含む水性溶媒と混合されることが、本発明の非常に重要な部分である。
【0026】
本発明の好ましい態様において、本組成物中の金属イオン(単数又は複数)対リグノスルホン酸塩の比率(重量で)は、1:1(重量/重量)と1:100(重量/重量)の間、好ましくは1:5(重量/重量)と1:20(重量/重量)の間であり、又亜リン酸及び/又はその塩及び/又は水和物及び/又はエステルの濃度は、0.1mMと2000mMの間、好ましくは20mMと1500mMの間である。
【0027】
亜リン酸塩の適切な例には、KHPO、KHPO、NaHPO、NaHPO、ホスホン酸水素エチル、亜リン酸及びこれらの化合物の混合物が含まれる。例えばKHPOとKHPOとの混合物は、例えばKHPO組成物に最終pH5.0〜6.0までKOH又はKCOを添加することにより容易に得られる。
【0028】
金属化合物の適切な例には、炭酸銅、水酸化銅、オキシ塩化銅、硫酸銅、酸化銅、硝酸銅、脂肪酸及びロジン酸の銅塩、リグノスルホン酸銅、酸化亜鉛、硫酸亜鉛、リグノスルホン酸亜鉛、硫酸マグネシウム、リグノスルホン酸マグネシウム、硫酸マンガン、リグノスルホン酸マンガン及びこれらの化合物の混合物が含まれる。金属化合物は、銅、亜鉛、マグネシウム、マンガン及びこれらの混合物からなる群から選択される金属イオンを含むことが好ましい。金属イオンは、異なる原子価又は混合原子価を有することができる。金属イオンは、錯体形態とすることができる。
【0029】
リグノスルホン酸塩の適切な例には、リグノスルホン酸ナトリウム(例えば、Borresperse NA(登録商標)として販売される、Borregaard LignoTech Ltd、ドイツ)、リグノスルホン酸カルシウム(例えばBorresperse CA(登録商標)として販売される、Borregaard LignoTech Ltd、ドイツ)及びリグノスルホン酸アンモニウムが含まれる。
【0030】
本組成物は、pH3とpH7の間の、より好ましくはpH4.5とpH6.0の間のpHを有する組成物を生成するような1種又は複数の化合物をさらに含むことができる。このような化合物の適切な例には、KOH及びKCOが含まれる。
【0031】
本発明による組成物は、場合によって追加的化合物を含むことができる。特に前記化合物は、例えば展着剤、湿潤剤、分散剤又は乳化剤として、1種又は複数のイオン性若しくは非イオン性界面活性剤を含むことができる。このような界面活性剤の適切な例には、フェノールスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩;脂肪族アルコールとの、脂肪酸との、脂肪族アミンとの若しくは置換フェノールとのアルキレンオキシドの重縮合物;スルホコハク酸エステルの塩、ポリオールの脂肪酸エステル、ポリオキシエチル化アルコール若しくはフェノールのエステル、並びに、硫酸塩、スルホン酸塩、リン酸塩若しくはカルボキシレート基を含有するこれらの誘導体が含まれる。
【0032】
本発明による組成物は、場合によって、意図する処理場所への生物活性化合物(単数又は複数)の固着を増進する接着剤をも含むことができる。このような固着剤の適切な例は、Prolong(登録商標)(Holland Fyto B.V.、オランダ)、Bond(登録商標)(Loveland Industries Ltd)及びGuard2000(登録商標)(Headland Agrochemicals Ltd)などのラテックス系製品;Nu−film(登録商標)(Hygrotech Saad社)及びSpray−Fast(登録商標)(Mandops社)などのピノレン/テルペン系製品、並びにキサンタンガム及びグアーガムなどの長分子鎖多糖類である。本発明による組成物は、場合によって、1種又は複数の農業に適した保持体、担体又は充てん剤を含有することもできる。このような成分の適切な例には、粘土、ケイ酸塩、樹脂、ワックス、有機溶媒、並びに鉱物及び植物油、又はこれらの誘導体が含まれる。一般に、従来の製剤技術の条件に適合する他の成分が含まれ得る。
【0033】
本発明による組成物は、浸漬、注液、又は好ましくは散布による処理に使用することができる液体、より一層好ましくは水性組成物、最も好ましくは溶液であることが好ましい。前記液体好ましくは前記水性組成物は、水性組成物の全重量に基づいて計算して0.1重量%〜40重量%の乾燥物質を含み、好ましくは0.5重量%〜30重量%の乾燥物質を含む。本発明には、水和剤、ペレット剤、粒剤及び錠剤などの固体組成物、並びに、処理前に溶解及び/又は希釈しなければならない液体濃縮物若しくはペーストも含まれる。
【0034】
本発明による組成物は、植物病原体に対して植物を保護する全体浸透性(systemic)予防及び治療活性を示す。本発明のさらなる側面により、前記組成物は、植物に栄養素を供給するのに使用することができる。本組成物は、植物の種子、果実、花若しくは茎、植物の茎葉、茎挿し木、植物全体若しくは植物の根、又は、その中で植物が生育する、若しくは植物を生育させようとする土壌若しくは基層に処理することができる。
【0035】
本発明の一態様により、本組成物はクラフトリグニン若しくはその誘導体、及び/又は有機溶解性リグニン若しくはその誘導体をさらに含むことができる。本発明の他の態様により、本組成物中のリグノスルホン酸塩は、クラフトリグニン若しくはその誘導体、及び/又は有機溶解性リグニン若しくはその誘導体で置き換えることができる。
【0036】
銅系殺真菌剤、亜鉛系殺真菌剤若しくは、マンガン系殺真菌剤によって防除することができる植物病害は多く、作物保護の分野における当業者によく知られている。例には、リンゴの黒星病(リンゴ黒星病菌)、リンゴの火傷病(火傷病菌(Erwina amylovora))、ココアの疫病菌さや腐れ(pod rot)(Phytophthora megakarya)及びフィトフトラ・パルミボラ(Phytophthora palmivora)、コムギのさび病(rust)(プチニア属(Puccinia species))、イネいもち病(blast)(いもち病菌(Piricularia oryzae))、芝草におけるブラウンパス(brown path)(リゾクトニア及びヘルミントスポリウム属(Rhizoctonia and Helminthosporium species))、多くの植物種、例えばオランダイチゴ、ジャガイモ及びブドウの灰色かび病(grey mould)(ボトリチス(Botrytis))、ブドウのべと病及びうどんこ病(powdery mildew)(ブドウべと病菌(Plasmopara viticola)及びブドウうどんこ病菌(Uncinula necator))、バナナの黒シガトカ病(Black Sigatoka)(マイコスフェレラ・フィジエンシス(Mycosphaerella fijiensis))、並びにジャガイモの葉枯れ病(late blight)(フィトフトラ・インフェスタンス(Phytophthora infestans))が含まれる。
【0037】
下記の例は、本発明の純粋に例証の、及び非限定的な目的のため示される。
【0038】

例1
脱塩水中においてpH5.5を確実にするための1g/lのKCOが存在する状態で、0.6g/lのCu(OH)と、14.4g/lのKHPOとを組み合わせることにより、亜リン酸銅沈殿が生成された。この沈殿は、キレート化剤EDTA二ナトリウム(最終濃度10mM)を添加すると直ちに消失した。キレート化剤クエン酸三ナトリウム(最終濃度10mM)を添加した後、同じことが観察された。しかし、リグノスルホン酸ナトリウム6g/lを添加することにより、48時間撹拌した後も、この沈殿生成が逆行することはなかった。この例は、pH5.5におけるリグノスルホン酸ナトリウムの錯化能力が、非常に低いことを示す。
【0039】
例2
6gのリグノスルホン酸ナトリウムと、0.6gのCu(OH)と、14.4gのKHPOと、1gのKCOとを一緒に入れ、その後脱塩水と混合して合計体積1リットルにすると、直ちにpH5.5の透明溶液をもたらした。この例は、pH5.5でリグノスルホン酸ナトリウムの存在が亜リン酸銅沈殿の生成を妨げることを示す。
【0040】
例3
6gのリグノスルホン酸ナトリウムを、1リットルの脱塩水中に溶解した。その後、0.6gのCu(OH)と、14.4gのKHPOと、1gのKCOとの混合物を添加し、混合すると、直ちにpH5.5の透明溶液をもたらした。この例は、pH5.5でリグノスルホン酸ナトリウムの存在が亜リン酸銅沈殿の生成を妨げることを示す。
【0041】
例4
(a)6mM硫酸銅(CuSO・5HO)、(b)6mM硫酸亜鉛(ZnSO・HO)、(c)6g/lリグノスルホン酸ナトリウム、(d)10mMクエン酸、(e)120mM亜リン酸二水素カリウム(KHPO)、(f)120mMリン酸二水素カリウム(KHPO)の溶液を調製した。表1により溶液を混合し、1g/lのKCOを添加して、pH5.5に到達させた。これらの結果は、リグノスルホン酸ナトリウムが、亜リン酸二水素カリウムにより、硫酸銅及び硫酸亜鉛の沈殿生成を防止することができるが、リン酸二水素カリウムによる場合、防止することができないことを示す。これに反して、クエン酸では、亜リン酸二水素カリウムによる場合も、リン酸二水素カリウムによる場合も硫酸銅及び硫酸亜鉛の沈殿生成を防止した。この例は、沈殿を防止するリグノスルホン酸塩の能力が亜リン酸塩の存在に依存しており、このことは、クエン酸などの真のキレート化剤には当てはまらないことを示す。表1は、pH5における、CuSO、KHPO又はKHPOの混合物による、並びにZnSO、KHPO又はKHPOの混合物による沈殿の生成に及ぼすリグノスルホン酸ナトリウム及びクエン酸の効果を示す。
【表2】

【0042】
例5
菌類マイコスフェレラ・フィジエンシスに起因するバナナの黒シガトカ病に対する組成物1の使用
材料及び方法:
材料
【表3】


【表4】


【表5】

【0043】
方法
実験は、カメルーンのEkonaで行った。実験計画は、3回繰返しの5種の処理に用いたものによる無作為化完全ブロック計画であった。それぞれの試験区は、バナナの偽茎(pseudostem)30本を含んでいた。処理に用いたものは、組成物1(表2参照)、それぞれ活性成分マンコゼブ、クロロタロニル及びビテルタノールを有する3種の市販殺真菌剤Pencozeb 75、Bravo 720及びBaycor 300、並びに無処理の対照であった。市販の殺真菌剤は、通常の実用割合で処理した(表3参照)。
【0044】
散布液は、組成物1、Pencozeb及びBaycorについて、これらの製品をバナナ散布油(Banol)及び乳化剤(Triton X100)中に混合するステップにより、又はBravoについて水と混合するステップにより調製した。それぞれの製品は、ナップザック型手動散布器及びナップザック型エンジン付き散布送風装置を使用し、20l/散布/ヘクタールの投与量で処理した。それぞれの製品についての正確な散布混合物を表4に示す。それぞれの市販の殺真菌剤についての散布体積及び処理の方法は、カメルーンにおける主要なバナナプランテーション業界におけるプラクティスに従うものである。
【0045】
試験区には、天候条件に応じて、8〜12日の間隔で散布した。最初の処理は、2007年7月7日であり、最後の処理は、2007年11月23日であった。強い降雨のため、2007年7月27日と2007年9月24日の間、散布液を処理しなかった。処理期間中、進展状態(Evolution Status)評点を用い、病害の評価を毎週行った。
【0046】
結論
結果は、組成物1が、試験した市販の殺真菌剤よりも高い活性を有することを示す。処理を再開始した直後、組成物1で治病した試験区の病害度は、明らかに低く、数週間継続する優れた耐雨性若しくは浸透移行効果、又は可能性があるこれらの特性の両方の組み合わせの存在を示す。
【0047】
例6
組成物2及び組成物3による、温室内の若いブドウのつるにおけるべと病(ブドウべと病菌)の防除
材料
【表6】


【表7】

【0048】
方法
試験は、温室内のブドウ栽培品種Merlotの若い植物体について行った。処理に用いたものは:組成物2、組成物3、水酸化銅懸濁物(市販の殺真菌剤:Champ Flo)及び無処理の対照であった。それぞれの処理に用いたものにつき、反復として10本の植物が付された。実験の設計は、完全無作為化デザインとした。処理に用いたものの処理は、手持ち散布器で行った。液体が葉で流れ始めるまで、当該製品を処理した。組成物2及び3の組成を、表4及び5に示す。Champ Flo溶液は、濃度4.3g/lで調製した。
【0049】
殺真菌剤による処理を行った植物の生育ステージは、植物1本当り葉6〜7枚のステージであった。
【0050】
病原体ブドウべと病菌の植物への接種を殺真菌剤による処理10日後に行った。病原体菌株は、自然条件化において侵入を受けたブドウから新たに採取した。濃度20,000〜30,000個胞子/mlの、水中胞子懸濁物を調製した。この溶液を、それぞれの葉の裏側に散布した。接種後12時間、これらの植物をプラスチックに包んで、最適な感染条件を作り出した。
【0051】
感染の15日後、これらの植物について調査を行い、全葉面積の百分率として、葉上の菌類胞子形成面積を測定した。
【0052】
データは逆サイン(arcsine)変換し、分散分析及びNewman−Keul試験により解析した。
【0053】
実験結果を表7に示す。表7は、若いブドウの植物体への菌類の接種15日後の、ブドウべと病菌の胞子形成により被覆された葉領域に対する種々の処理の効果を示す。
【表8】


において、異なる文字を付した平均値は、有意差があることを示す(Newman−Keul試験によりp<0.05)。
【0054】
結論
組成物2及び組成物3は共に、温室試験においてブドウの若い植物体におけるべと病菌、Plasmopara viticolaの発現を効果的に抑制する。両組成物の有効性は、組成物2よりも5.7倍高い濃度の水酸化銅を含有する市販水酸化銅製品Champ Floと有意差がない。
【0055】
例7
組成物2及び組成物3による、温室内の若いブドウのうどんこ病(Unicola necator)の防除
方法
試験は、温室内のブドウ栽培品種Merlotの若い作物(生育段階:葉6〜7枚)について行った。処理に用いたものは:組成物2、組成物3、及び無処理の対照であった。それぞれの処理に用いたものにつき、反復として4本の植物が付された。実験の設計は、完全無作為化デザインとした。処理に用いたものの処理は、手持ち散布器で行った。液体が葉で流れ始めるまで、当該製品を処理した。組成物2及び3の組成を、表5及び6に示す(例6参照)。処理に用いたものは実験開始後7、14、24及び34日に処理した。
【0056】
実験開始時に、病原体ブドウうどんこ病菌の、植物への接種を行った。濃度20,000〜30,000個胞子/mlの、水中胞子懸濁物を調製した。この溶液を、それぞれの葉に散布した。接種後12時間、これらの植物をプラスチックに包んで、最適な感染条件を作り出した。
【0057】
感染の44日後、これらの植物について調査を行い、全葉面積の百分率として、葉上のかび胞子形成面積を測定した。
【0058】
データは逆サイン変換し、分散分析及びNewman−Keul試験により解析した。
【0059】
実験結果を表8に示す。表8は、若いブドウ植物体への菌類の接種15日後の、ブドウうどんこ病菌により被覆された葉領域への種々の処理の効果を示す。
【表9】


において、異なる文字を付した平均値は、有意差があることを示す(Newman−Keul試験によりp<0.05)。
【0060】
結論
組成物2及び組成物3は、40日の試験期間にわたってUnicola necatorに起因するうどんこ病を効果的に防除した。植物について、うどんこ病による感染を示すものは全く見出されなかった。
【0061】
例8
組成物2による、ジャガイモの葉枯れ病(フィトフトラ・インフェスタンス)の防除
方法
試験の場所は、オランダのRavensteinであった。
【0062】
試験区の大きさは、5m×3.75mであり、調査のための正味の試験区は4m×2.75mであった。うねの間隔は0.75mであった。ジャガイモの品種はBintjeであった。植付の日付は2007年5月5日であった。
【0063】
実験は、2回繰返しの3種の処理に用いたものでの無作為ブロックデザインとして設定した:組成物2(例6の表5を参照されたい)並びに市販殺真菌剤Shirlan(活性成分:フルアジナム)及びDithane New Tech(活性成分:マンコゼブ)。
【0064】
試験区は、接種源として供した無処理ジャガイモの2つのうねと並んでいた。
【0065】
製品は6回処理し、その前に、試験全体にわたって等しく2.0〜2.25kg/haのDithane NewTechを3回処理した。第1の試験処理は、最初の花序の芽が目に見えるようになったとき行った。次の5回の処理は、5〜7日間隔で行った。処理を行うのに使用した装置は、XR11003VS型のフラットファンノズルを乗せた3.75mのブームを有する、トラクターに取り付けた加圧エアー散布器であった。
【0066】
Shirlan(投与量0.4l/ha/散布)及びDithane NewTech(投与量2.25kg/ha/散布)は、散布前に水で希釈して300l/haに等しい体積とした。組成物2は、300l/ha/散布で散布した。
【0067】
フィトフトラ・インフェスタンスの病害の進行は、週1〜2回評価した。フィトフトラ・インフェスタンスに感染したジャガイモ作物の葉領域の百分率を、目視判定した。
【0068】
データは、分散分析及びNewman−Keul試験により解析した。
【0069】
結果
3種の処理について病害進行曲線を示すデータを表9に示す。表9はジャガイモの葉枯れ病(フィトフトラ・インフェスタンス)の進行に及ぼす殺真菌剤処理の効果を示す。データは、葉枯れ病により被害を受けた葉表面の百分率による割合である。組成物2の成分については、例5の表5を参照されたい。
【表10】

【0070】
統計的解析により、組成物2で処理した試験区の病害進行が、Shirlan及びDithane NewTechで処理した試験区よりも有意に遅い(p<0.05、Newman Keul試験)ことが示される。Shirlan及びDithane NewTechにより処理した試験区の病害進行には有意差がなかった(p=0.35、Newman Keul試験)。
【0071】
結論
組成物2は、ジャガイモの葉枯れ病(フィトフトラ・インフェスタンス)に対する有効な殺真菌剤である。組成物2は、市販の殺真菌剤Shirlan及びDithane NewTechを上回る、葉における感染に対する有意に良好な保護をもたらした。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属化合物、リグノスルホン酸塩、亜リン酸及び/又はその塩及び/又は水和物及び/又はエステルを含む組成物。
【請求項2】
金属化合物、リグノスルホン酸塩、亜リン酸及び/又はその塩及び/又は水和物及び/又はエステルを含む殺真菌剤又は殺細菌剤組成物。
【請求項3】
金属化合物と、リグノスルホン酸塩、亜リン酸及び/又はその塩及び/又は水和物及び/又はエステルを含む肥料組成物。
【請求項4】
液体である、請求項1から3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
水性組成物である、請求項1から4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
溶液である、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
水性組成物の全重量に基づいて計算して、0.1重量%〜40重量%の乾燥物質を含む、請求項5又は請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
3〜7のpHを有する、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
金属イオン(単数)又は金属イオン(複数)対リグノスルホン酸塩の比率が、1:1(重量/重量)と1:100(重量/重量)の間にある、請求項1から8のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
亜リン酸及び/又はその塩及び/又は水和物及び/又はエステルの濃度が、0.1mMと2000mMの間にある、請求項4から9のいずれかに記載の組成物。
【請求項11】
金属化合物が、銅、亜鉛、マグネシウム、マンガン、ニッケル、マグネシウム及びこれらの混合物からなる群から選択される金属イオンを含む、請求項1から10のいずれかに記載の組成物。
【請求項12】
リグノスルホン酸塩が、リグノスルホン酸ナトリウム、リグノスルホン酸カルシウム、リグノスルホン酸アンモニウム、リグノスルホン酸マンガン、リグノスルホン酸銅、リグノスルホン酸亜鉛及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から11のいずれかに記載の組成物。
【請求項13】
金属化合物、リグノスルホン酸塩、亜リン酸及び/又はその塩及び/又は水和物及び/又はエステルを含む水性組成物の調製方法であって、
(a)金属化合物、リグノスルホン酸塩、並びに亜リン酸及び/又はその塩及び/又は水和物及び/又はエステルを混合し、
(b)ステップ(a)において生成される混合物に水を添加する上記方法。
【請求項14】
水性組成物が溶液である、請求項15に記載の方法。
【請求項15】
水性組成物中において金属亜リン酸塩沈殿の生成を防ぐための、金属化合物、リグノスルホン酸塩、亜リン酸及び/又はその塩及び/又は水和物及び/又はエステルを含む組成物の使用。
【請求項16】
殺真菌剤、殺細菌剤及び/又は作物肥料としての、金属化合物、リグノスルホン酸塩、亜リン酸及び/又はその塩及び/又は水和物及び/又はエステルを含む組成物の使用。
【請求項17】
組成物が、請求項1から9のいずれかに記載の組成物である、請求項13又は請求項14に記載の使用。

【公表番号】特表2011−507834(P2011−507834A)
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−539324(P2010−539324)
【出願日】平成20年12月12日(2008.12.12)
【国際出願番号】PCT/NL2008/050796
【国際公開番号】WO2009/082206
【国際公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【出願人】(510173339)セラディス ビー.ブイ. (1)
【Fターム(参考)】