説明

植物鮮度保持機能付き開花促進剤及び開花促進材料

【課題】切花の花弁や葉の萎凋、ベントネックの防止等に優れ、花弁を早く大きく綺麗に開花させる作用を促進させる、切花の鮮度保持機能付き開花促進剤および鮮度保持機能付き開花促進保持材料を提供する。
【解決手段】(A)2−アミノイソ酪酸またはその塩、
(B)ニコチン酸、ニコチン酸アミド、チアミン塩酸塩、チアミン硝酸塩、アルギン酸、リボフラビン、リボフラビンリン酸エステルナトリウム、ピリドキシン塩酸塩およびグリシンから選ばれる少なくとも一種の化合物、
(C)グルコース、フルクトースおよびスクロースから選ばれる少なくとも一種の糖、
(D)植物生理活性剤、
(E)防菌・抗菌剤および(F)防藻剤
を特定の重量比で含有させた植物鮮度保持機能付開花促進剤および該開花促進剤を吸水性ポリマーに含浸させた鮮度保持機能付き開花促進材料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は植物、特にバラ、ユリ、キク等の切り花への鮮度保持機能を有した開花促進剤及び鮮度保持機能付き開花促進材料に関するもので、詳しくは切花の花弁や葉の萎凋、ベントネックの防止等に優れ、花弁を早く大きく且つ綺麗に開花させる作用を促進する鮮度保持機能付き開花促進剤および鮮度保持機能付き開花促進材料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
日本は、切花生産量が年間約60億本を超える世界有数の切花消費国であり、その流通過程も種々ある。特に生活ライフに密着した冠婚葬祭関係等の流通過程においては、切花の開花スピードと開花後の鮮度保持の状態が、切花の流通歩留まりに大きな影響を与える。従って、流通過程における切花の歩留まり改善のうえで、開花促進と開花後の鮮度保持機能が重要な課題となっている。現在、これらを背景として多くの植物活性剤や鮮度保持剤が提案されているが、使用時において、開花促進機能と鮮度保持機能の両方を有した剤は少ない。
【0003】
切花の開花や鮮度が低下する要因として、水の腐敗による水の吸い上げ不良や植物ホルモンで知られているエチレンの作用によるもの、更には、糖類等の植物の栄養素分の不足によるもの等が挙げられる。水の腐敗に関しては、主に生け水の中に生存する種々菌体作用により水腐敗が進行するため、8−ヒドロキシキノリンやイソチアゾリン等の殺菌剤や有機系の界面活性剤が多く用いられている。しかしながら、これらの剤は、殺菌作用の効果としては高いものの安全性試験などにおいては、変異原性等の部分に陽性を示すことが多く人体などへの安全性に懸念がある。
【0004】
エチレンの作用を抑制するものとしてはチオ硫酸銀錯塩が一般に知られているが、チオ硫酸銀錯塩は有効成分として重金属である銀を含んでいるため、製造過程における排水の排出時や、使用後の生け水排水時に、環境汚染が懸念されている。また、エチレンの感受性が高い植物の切花にしか高い効果を示さない点で不十分差がある。エチレン抑制作用を有するもので重金属を含まない鮮度保持剤としてはAIB(2−アミノイソ酪酸)、AOA(アミノオキシ酢酸)、AVC(アミノエトキシビニルグリシン)等が一般に知られているが、いずれも単独及び2種類以上併用するだけでは、効果が不十分でありまた、工業的な合成が難しく量産が図れないため高価となる等により、その使用が制限されている。
【0005】
例えば、AVC(アミノエトキシビニルグリシン)とAIB(α−アミノイソ酪酸)とを有効成分として含有する切花鮮度保持剤組成物(特許文献1参照)、(1)α−アミノイソ酪酸またはその塩、(2)アミノオキシ酢酸またはその塩、(3)チオ硫酸銀から選ばれる少なくとも2種の物質を有効成分とする切花鮮度保持剤(特許文献2参照)等がある。
【0006】
切花の栄養分や活性を補うものとしては、グルコース、フルクトース、スクロースといった糖類や硝酸カリウム、硫酸カリウム、硝酸カルシウム、硝酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、硝酸アンモニウム、第一リン酸カリウム、第一リン酸アンモニウム、リン酸、尿素等の無機栄養成分及び、エチレンジアミン、硫酸第一鉄、硫酸亜鉛、モリブデン酸ナトリウム、塩化コバルト、硫酸銅、ヨウ化カリウム等の植物活性成分が一般に知られている。
【0007】
またこれら以外にも、切花体内の栄養分を補う目的で、ビタミン類を植物に用いることにより植物の成長を調節することが開示されているが、これらのビタミン類だけではエチレンの作用を抑制することや成長作用を促すことは出来ず、切花の開花調節や鮮度を保持することが出来ない。
【0008】
例えば、(1)無機酸またはその塩、(2)炭素数2〜4有機酸またはその塩、(3)没食子酸、(4)ニコチン酸アミド及び(5)1−アルギニンから選ばれる一種以上を含有することを特徴とする切花の活性保持剤(特許文献3参照)等がある。
【0009】
また、石炭灰等の焼成固形物、水耕用ウレタン培地、フェノール樹脂発泡体、ロックウール培地、ハイドロボール等のセラミック粒子を利用した人工無機質体等を植物の支持体として使用し、鮮度を保持する鮮度保持材料があるが、これらの材料は単に植物への水分供給を目的とした水分補給材料であり、植物の開花を促進したり、開花後の鮮度を長期間保持することはできない。
【0010】
本出願人は、上記の課題について、切花に対して優れた鮮度保持効果を有し、また切花の花弁を綺麗に大きく開花させ、しかも重金属成分による環境汚染がない、植物鮮度保持剤として、2−アミノイソ酪酸またはその塩(A)と、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、チアミン塩酸塩、チアミン硝酸塩、リボフラビン、リボフラビンリン酸エステルナトリウムおよびピリドキシン塩酸塩から選ばれる少なくとも一種(B)と、糖類(C)とを特定重量比で含有する植物鮮度保持剤および該保持剤を吸水性ポリマーに含浸させる鮮度保持材料を開示している(特許文献4参照)。
【特許文献1】特開平5−238901号公報
【特許文献2】特開平7−223902号公報
【特許文献3】特開平6−239701号公報
【特許文献4】特開2005−194228号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、従来技術における課題を解決し、切花の花弁を早く綺麗に大きく開花
させるとともに、開花後の切花に対して優れた鮮度保持効果を有し、安全性の高いしかも
重金属成分等による環境汚染の恐れがないことを有する鮮度保持機能付き開花促進剤と材
料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは切花の開花促進を主体とし、且つ鮮度保持の機能を有する開花促進剤組成及び開花促進材料を鋭意研究した結果、
(A)2−アミノイソ酪酸またはその塩、
(B)ビタミンB類、
(C)糖類、
(D)植物生理活性剤、並びに、
(E)防菌・抗菌剤および(F)防藻剤
を特定の重量比で含有させた植物鮮度保持機能付開花促進剤と、該鮮度保持機能付開花促進剤を含浸させた吸水性ポリマーが、植物、特にカーネーション、バラ、スイートピー、ガーベラ、キク、ユリ、宿根カスミソウといった冠婚葬祭に使用する切花の花弁を綺麗に大きく開花させ、また長時間に渡ってその鮮度を保持できることを見出し、本発明に到達した。
【0013】
すなわち、本発明の第1は、
(A)2−アミノイソ酪酸またはその塩、
(B)ビタミンB類、
(C)糖類、
(D)植物生理活性剤、
(E)防菌・抗菌剤および(F)防藻剤を含有し、
且つ(A)〜(F)の重量比が
(B)/(A)=0.02〜0.1、
(C)/(A)=3〜15、
(D)/{(A)+(B)+(C)}=0.6〜10、
(E)/{(A)+(B)+(C)}=0.01〜0.1および
(F)/{(A)+(B)+(C)}=0.01〜0.5である植物鮮度保持機能付き開花促進剤に関するものである。
【0014】
さらに、本発明の第2は、前記の植物鮮度保持機能付き開花促進剤を円、楕円形、四角形または多角形のシート状に加工成型され、且つ保水倍率が1〜50倍の吸水性ポリマーシートに含浸させてなることを特徴とする植物鮮度保持機能付き開花促進材料に関するものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、植物、特に種々の冠婚葬祭用切花に対して優れた開花促進効果と鮮度保持効果を示し、尚且つ花弁や葉の萎凋、ベントネックの防止等に優れ、花弁を大きく綺麗に早く開花させる鮮度保持機能付開花促進剤及び、鮮度保持機能付開花促進材料が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に本発明を具体的に説明する。本発明の鮮度保持機能付き開花促進剤において、2−アミノイソ酪酸およびその塩は、エチレン前駆物質ACC(1−アミノシンクロプロパン−1−カルボン酸)の酸化酵素活動を阻害する働きを持ち、植物の老化を防止する成分と花びらや茎、葉における艶及び張り、鮮やかな花色、花の芳香性等を得られる成分の混合成分(A成分)で、植物の鮮度を保持する効果と鮮度保持の有効性を五感で確認できる効果が得られる。ここで、塩としては、特に制限はないがナトリウム塩またはカリウム塩などのアルカリ金属塩が挙げられる。
【0017】
これ以外にもSTS(チオ硫酸銀) 、AVG(アミノエトキシビニルグリシン)およびその塩、AOA(アミノオキシ酢酸)およびその塩、PACME(イソプロピリデン−アミノオキシ酢酸−2−メトキシ−2−オキソエチルエステル)、アロコロナミン酸、DPSS(1、1−ジメチル−4−フェニルスルホニルセミカルバジド)、AITC(アリルイソチオシアネート) 、PPOH(シスプロペニルホスホン酸)、STB(四ホウ酸ナトリウム)、アミノトリアゾール、DACP(ジアゾシクロペンタジエン)、NBD(2、5−ノルボルナジエン) 、MCP(1−メチルシクロプロペン)からなる群から選ばれる1種以上を使用しても良いが、好ましくは2−アミノイソ酪酸およびその塩が使用される。2−アミノイソ酪酸およびその塩は粉末固体状、液状どちらで使用しても良く、また水等で希釈して使用しても良い。
【0018】
また、植物、特に切花の栄養源またはエネルギー源となる成分であるビタミンB類(B成分)を上記2−アミノイソ酪酸またはその塩(A)と併用させることにより、植物の活性度を助長し、開花促進と鮮度保持効果を更に向上させることが可能となる、ビタミンB類(B)としては、チアミン塩塩酸、チアミン硝酸塩アルギン酸、チアミンセチル硫酸塩、チアミンチオシアン酸塩、チアミンナフタレン−1,5−ジスルホン酸塩、チアミンナフタリン−2、6−ジスルホン酸塩、チアミンラウリル硫酸塩、リボフラビン、リボフラビンリン酸エステルナトリウム、ピリドキシン塩酸塩、ニコチン酸、アルギン酸、ニコチン酸アミド、パントテン酸カルシウム、パントテン酸サトリウム、コバラミン、シアノコバラミンからなる群から選ばれる1種以上が使用し得るが、好ましくは、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、チアミン塩酸塩、チアミン硝酸塩、アルギン酸、リボフラビン、リボフラビンリン酸エステルナトリウム、ピリドキシン塩酸塩、からなる群から選ばれる少なくとも1種以上である。これらのビタミン類はそのまま使用しても良く、また水等で希釈して使用しても良い。ここで、(A)成分と(B)成分の重量比は(B)/(A)=0.02〜0.10の範囲であり、好ましくは0.02〜0.3、より好ましくは0.02〜1の範囲である。
【0019】
植物栄養剤となる糖類(C)としては、グルコース、フルクトース、キシロース、アラビノース、リボース、ガラクトース、マンノース、ラムノース、マンニトール、キシリトール、トリオース、ソルビット、エリスリトール、グルコサミン、ガラクトサミン、スクロース、トレハロース、マントース、セロビオース、ラクトース等の単糖類、二糖類からなる群から選ばれる1種以上が使用し得るが、上記(A)成分と(B)成分における植物への開花促進と鮮度保持の相乗効果をより高めるにはグルコース、フルクトース、スクロースから選ばれる1種以上を使用することが特に好ましい。ここで、(A)〜(C)成分の重量%比は、 (B)/(A)=0.02〜0.1且つ(C)/(A)=3〜15であり、好ましくは(B)/(A)=0.02〜0.3且つ(C)/(A)=3〜20が好ましく、より好ましくは(B)/(A)=0.02〜2且つ(C)/(A)=3〜30である。
【0020】
植物の生理活性剤(D)としては、エチレンジアミン、硫酸第一鉄、硫酸亜鉛、モリブデン酸ナトリウム、塩化コバルト、硫酸銅等が挙げられる。好ましくは、硫酸第一鉄、モリブデン酸ナトリウム、塩化コバルトが挙げられる。{(A)+(B)+(C)}(混合成分)と(D)成分の重量比としては、 (D)/{(A)+(B)+(C)}=0.6〜10の範囲であり、好ましくは0.6〜15であり、より好ましくは、0.6〜20である。
【0021】
防菌・抗菌剤(E)としては、塩化ベンザルコニウムクロライドやベンゼトニウムクロライドといった第4級アンモニウム塩、8−ヒドロキノリン硫酸塩、クエン酸塩、ピリジン−2−チオール−1−オキシドナトリウム塩、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、次亜塩素酸ナトリウム、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム、過酸化水素や過炭酸ナトリウム、といった過酸化物、ヨウ化アルカリ、ヨウ化リチウム、ヨウ化カリウム等ヨウ素系濃縮防殺菌物、メタノール、エタノール、n−プロパノール、ISO−プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコールといったアルコール類または多価アルコール類からなる群から選ばれる1種以上が使用し得るが、好ましくは塩化ベンザルコニウム、ヨウ素系濃縮防殺菌物である。{(A)+(B)+(C)}(混合成分)と(E)成分の重量比としては、(E)/{(A)+(B)+(C)}=0.01〜0.1の範囲であり、好ましくは0.01〜0.2であり、より好ましくは0.01〜0.3である。
【0022】
防藻剤(F)としては、1〜3重量%低濃度過酸化水素水と有機酸、キレート剤の混合物、過酸化水素水等の過酸化物、次亜塩素酸ナトリウム塩、次亜塩素酸カルシウム塩等の塩素イオン化合物、クエン酸、酢酸といった低pH防藻剤からなる群から選ばれる1種以上が使用し得るが、好ましくは、1〜3重量%低濃度過酸化水素水と有機酸、キレート剤の混合物である。有機酸として、ギ酸、酢酸、クエン酸、プロピオン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、マレイン酸等が挙げられ、キレート剤として、有機系のアミノカルボン酸塩で、EDTA、NTA、DTPA、GLDA、HEDTA、GEDTA、TTHA、HIDA、DHEG等が挙げられる。{(A)+(B)+(C)}(混合成分)と(F)成分の重量比としては、(F)/{(A)+(B)+(C)}=0.01〜0.5の範囲で、好ましくは、0.01〜1であり、より好ましくは、0.01〜2である。
【0023】
本発明では、植物の栄養素となる無機栄養成分(G)を必要に応じて併用もしくは混合することができる。無機栄養成分(G)としては、硝酸カリウム、硫酸カリウム、塩化カリウム、リン酸カリウム、硝酸カルシウム、硫酸カルシウム、塩化カルシウム、リン酸カルシウム、硝酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、リン酸マグネシウム、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウム、リン酸、尿素等が挙げられる。また、{(A)+(B)+(C)}(混合成分)と(G)成分の重量%比としては、(G)/{(A)+(B)+(C)}=0.002〜10の範囲であり、好ましくは0.002〜15であり、より好ましくは、0.002〜20である。
【0024】
本発明では、pH調整剤(H)を必要に応じて併用もしくは混合することにより植物の開花促進と鮮度保持への相乗効果を更に向上させることが出来る。pH調整剤(I)としては、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、ギ酸、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、プロピオン酸、乳酸、しゅう酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フマル酸、メチルリンゴ酸、イソクエン酸、酒石酸、グルコン酸、マレイン酸、メチルマレイン酸、メチルフマル酸、イタコン酸、アセチレン酸、ラウリン酸、リノール酸、オレイン酸、アクリル酸、ポリアクリル酸、ヒドロキシ酢酸、ソルビン酸、アルギン酸、アスパラギン酸、安息香酸、没食子酸、アビエチン酸、ケイ皮酸、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸からなる群から選ばれる1種以上が使用し得るが、好ましくはクエン酸、アルギン酸、コハク酸である。{(A)+(B)+(C)}(混合成分)と(H)成分の重量比としては、 (H)/{(A)+(B)+(C)}=0.1〜0.6の範囲であり、好ましくは0.1〜1であり、より好ましくは0.1〜2である。
【0025】
本発明では、さらに水揚げ促進を目的とした界面活性剤(I)を併用もしくは混合することも可能である。界面活性剤(I)としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルアリールスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルリン酸エステル塩等の陰イオン界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル等の非イオン界面活性剤等からなる群から選ばれる1種以上が使用し得るが、好ましくは、蔗糖脂肪酸エステル等の非イオン系界面活性剤である。{(A)+(B)+(C)}(混合成分)と界面活性剤(I)との重量比は、(I)/{(A)+(B)+(C)}=0.01〜0.1の範囲であり、好ましくは0.01〜0.5であり、より好ましくは0.01〜1である。
【0026】
本発明の鮮度保持機能付き開花促進剤の形状は、液体、粒剤、粉末、錠剤、水和剤、ペースト等いずれでも良いし、吸水性ポリマーに含浸させて使用することもできる。使用方法としては、(A)〜(I)の各成分について、植物を水溶液に浸す直前に各々の成分をその水溶液に添加しても良いし、予め混合してから使用しても良い。予め混合する場合は、粉末固体状、粒状、液体のどの形態でも混合することは可能であり、使用する濃度に希釈して使用しても良いが、予めこの混合物を高濃度に調節をしておき、実際の使用時にこれを水で2〜1000倍に希釈して使用するのが好都合である。粉末固形状では、粉末壊砕機により製造し、粒状では、造粒機により製造し、錠剤では打錠機により製造する。
【0027】
本発明の開花促進剤の使用方法としては、切り花の切断部を、該開花促進剤を含む溶液に浸漬させる方法があげられる。この時、開花促進剤に浸漬させたままにしておいても良いし、一度浸漬させた後、水などに活け替えても良い。後者の場合の浸漬時間は10分〜24時間程度が好ましい。
【0028】
本発明の開花促進剤を吸水性ポリマーに含浸させた材料としても切花の開花促進と鮮度を維持することができる。切花の切断部を吸水性ポリマーに直接接触させるか、あるいは吸水性ポリマーを浸漬させた水の中に切花の切断部を浸すことによって、吸水性ポリマーに含浸された開花促進成分及び鮮度保持成分が植物体内に取り込まれ、植物の開花促進と鮮度保持を維持することが可能となる。
【0029】
本発明の鮮度保持機能付き開花促進剤を含浸させる吸水性ポリマーとは、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する親水性のエポキシ樹脂(a)と1分子中に2個以上の1級または2級アミノ基を有するアミン化合物(b)を必須成分として組成物を硬化したものである。硬化物の形状は、円、楕円形又は四角形、多角形のシート状等自由に、成型硬化させることが可能であり、且つ、保水倍率は2〜50倍程度である。
【0030】
本発明に使用されるエポキシ樹脂(a)とは、一分子中に少なくとも2個以上のエポキシ基を有する親水性の化合物であれば、特に限定されるものではない。具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレンポリプロピレングリコール等とエピクロルヒドリンとの反応から得られるポリエーテル型エポキシ樹脂や、グリセリン、ポリグリセロール、トリメチロールプロパン、ソルビトール等とエピクロルヒドリンとの反応から得られる多価アルコール型エポキシ樹脂などが挙げられ、1種もしくは2種以上を適宜混合して使用することも可能である。好適なものとしては、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル及びそれらの混合物が挙げられる。
【0031】
本発明に使用されるアミン化合物(b)とは、一分子中に少なくとも2個以上の1級または2級アミノ基を有する化合物であれば、特に限定されるものではない。具体例としては、エチレンジアミン、ポリエチレンジアミン、ポリエーテルジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、キシリレンジアミンなどの脂肪族第一級アミン類;ビスアミノメチルシクロヘキサン、イソホロンジアミンなどの脂環族第一級アミン類;メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタンなどの芳香族第一級アミン類;エチレンジアミン、ポリエチレンジアミン、ポリエーテルジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、キシリレンジアミンなどのエチレンオキサイド附加物などの脂肪族第二級アミン類;ビスアミノメチルシクロヘキサン、イソホロンジアミンなどのエチレンオキサイド附加物などの脂環族第二類アミン類;ピペラジン、ジシアンジアミドなどが挙げられ、1種もしくは2種以上を適且混合して使用することも可能である。好適なものとしては、ポリエチレンジアミン
ポリエーテルジアミン、キシリレンジアミン、ビスアミノメチルシクロヘキサン、イソホロンジアミンが挙げられる。
【0032】
アミン化合物の量は、エポキシ樹脂(a)1.0エポキシ当量に対してアミン当量0.3〜3.0当量の範囲が好ましく、特にアミン当量0.6〜1.2当量の範囲がより好適である。本発明の吸水性ポリマーは、エポキシ樹脂(a)とアミン化合物(b)を必須成分として含有する組成物を常圧または加圧状態で、0〜150℃で、1〜48時間、好ましくは、40〜120℃で、2〜10時間処理することにより硬化させることにより得られる。硬化形状は円、楕円形又は四角形、多角形のシート状など自由な形状に硬化させることが可能である。
【0033】
本発明では、エポキシ樹脂(a)とアミン化合物(b)を必須成分として含有する組成物に、本発明の鮮度保持機能付き開花促進剤を含む水溶液を配合させ、含水状態で硬化させることにより、本剤を吸水性ポリマーに含浸させることが可能となる。本発明の鮮度保持機能付き開花促進剤を含む水溶液の量はエポキシ樹脂100重量部に対して1〜500重量部、好ましくは20〜300重量部である。
【0034】
また、エポキシ樹脂(a)とアミン化合物(b)を必須成分として含有する組成物を硬化させ吸水性ポリマーを得た後、本発明の鮮度保持機能付き開花促進剤を含む水溶液と攪拌混合することによっても、本発明の鮮度保持機能付き開花促進剤を吸水性ポリマーに含浸させることが可能となる。吸水性ポリマーに、本発明の鮮度保持機能付き開花促進剤を含む水溶液を含ませる手法としては、特に制限はないが、前記樹脂硬化物や含水樹脂硬化物を、必要に応じて、所望のサイズに粉砕並びに洗浄処理後、適量の鮮度保持機能付き開花促進剤を含む水溶液と混合し、20〜150℃で、常圧または加圧状態で、1〜96時間処理する方法などが例示される。
【0035】
本発明の鮮度保持機能付き開花促進剤を含浸させた吸水性ポリマーの使用方法としては、特に限定されないが、吸水性ポリマー及び水をガラスやプラスチックの器、花瓶、袋等の容器に入れ、ここに切花を活けることにより切花の開花と鮮度を保持する使用方法や、吸水性ポリマーをガラスやプラスチックの器、花瓶、袋等の容器に入れ、必要に応じて水も入れ、ここに切花の切断部を直接吸水性ポリマーに接触させることによって、切花の輸送中での開花調節と鮮度を保持する使用方法等が挙げられる。これらの使用方法により、切花は吸水性ポリマーに含浸された鮮度保持機能付き開花促進剤成分を切花切断部から吸収し、開花状態と鮮度を長時間保持することが可能となる。
【0036】
本発明の鮮度保持機能付き開花促進剤およびその保持材料が適用できる植物としては、カーネーション、バラ、ガーベラ、アジサイ、スイートピー、宿根カスミソウ、キク、ユリ、ストック、スターチス、リンドウ、グラジオラス、トルコキキヨウ、チューリップ、洋ラン、シャクヤクなどの、主に冠婚葬祭等に多く使用される切り花が好ましい。
【実施例】
【0037】
以下に本発明の方法を実施例及び比較例を挙げ、更に具体的に説明する。但し、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0038】
実施例1
市販のカーネーション(品種ピンクフランシスコ)を用いて開花促進及び鮮度保持試験を行なった。植物は、できるだけ成長状態および鮮度状態が同じものを選定し、茎を鋭利な刃物で50cmに切断し、茎の下部25cm部分の着生葉を除去して使用した。(A)2−アミノイソ酪酸0.25g、(B)ビタミンB類0.03g、(C)グルコース6.0g、(D)生理活性成分(塩化コバルト、硫酸第一鉄、モリブデン酸ナトリウムの混合物)1.3g、(E)塩化ベンザルコニウム0.7g、ヨウ素系防殺菌剤0.1g、(F)低濃度過酢酸(低濃度過酸化水素水と酢酸の混合物)0.5gを水道水に溶解し全量を1000gとした鮮度保持機能付き開花促進剤を作成し、カーネーション3本を差し、気温15℃、湿度53%、蛍光照射の条件下で、切花の開花促進及び鮮度保持の評価を行なった。開花促進評価は、切花を浸漬後、開花を認められた時間及び、実験15日目での花弁の最大径を測定し、その平均値を平均花弁直径として開花の指標とした。また鮮度保持の評価は目視により行い、花弁の枯れ具合、茎葉の枯れ具合等から観賞に耐えられる日数の平均値を平均日持ち日数とした、その結果を表1に示す。
【0039】
比較例1
鮮度保持機能付き開花促進剤の代わりに、水道水1000gを用いた以外は、実施例1と同様に行った。その結果を表1に示す。
【0040】
比較例2
鮮度保持機能付き開花促進剤の代わりに、(A)2−アミノイソ酪酸0.25gを水道水に溶解し全量を1000gとしたものを用いた以外は、実施例1と同様に行った。その結果を表1に示す。
【0041】
比較例3
鮮度保持機能付き開花促進剤の代わりに、(A)2−アミノイソ酪酸0.25g、(C)グルコース6.0gを水道水に溶解し全量を1000gとしたものを用いた以外は、実施例1と同様に行った。その結果を表1に示す。
【0042】
比較例4
鮮度保持機能付き開花促進剤の代わりに、(B)ビタミンB類0.03g、(D)生理活性成分(塩化コバルト、硫酸第一鉄、モリブデン酸ナトリウムの混合物)1.3g、(E)塩化ベンザルコニウム0.7g、ヨウ素系防殺菌剤0.1g、(F)低濃度過酢酸(低濃度過酸化水素水と酢酸の混合物)0.5gを水道水に溶解し全量を1000gとしたものを用いた以外は、実施例1と同様に行った。その結果を表1に示す。
【0043】
比較例5
鮮度保持機能付き開花促進剤の代わりに、(A)グルコース6.0g、(B)ビタミンB類0.03g、(D)生理活性成分(塩化コバルト、硫酸第一鉄、モリブデン酸ナトリウムの混合物)1.3g、(E)塩化ベンザルコニウム0.7g、ヨウ素系防殺菌剤0.1g、(F)低濃度過酢酸(低濃度過酸化水素水と酢酸の混合物)0.5gを水道水に溶解し全量を1000gとしたものを用いた以外は、実施例1と同様に行った。その結果を表1に示す。
【0044】
比較例6
鮮度保持機能付き開花促進剤の代わりに、2−アミノイソラク酸0.25g、グルコース4.0g、ピリドキシン塩酸塩0.003gを水道水に溶解し全量を1000gとしたものを用いた以外は、実施例1と同様に行った。その結果を表1に示す。
【0045】
【表1】

【0046】
実施例2
市販のバラ(品種ロッテローゼスプレー)を用いて開花促進及び鮮度保持試験を行なった。植物は、できるだけ成長状態および鮮度状態が同じものを選定し、茎を鋭利な刃物で50cmに切断し、茎の下部25cm部分の着生葉を除去して使用した。(A)2−アミノイソ酪酸0.25g、(B)ビタミンB類0.03g、(C)グルコース6.0g、(D)生理活性成分(塩化コバルト、硫酸第一鉄、モリブデン酸ナトリウムの混合物)1.3g、(E)塩化ベンザルコニウム0.7g、ヨウ素系防殺菌剤0.1g、(F)低濃度過酢酸(低濃度過酸化水素水と酢酸の混合物)0.5gを水道水に溶解し全量を1000gとした鮮度保持機能付き開花促進剤を作成し、バラ3本を差し、気温20℃、湿度60%、蛍光照射の条件下で、切花の開花促進及び鮮度保持の評価を行なった。開花促進評価は、10日目までの切花の浸漬後の生体重量及び、花弁径を測定し、その平均値及び推移を開花状態の判定指標とした。また鮮度保持の評価は目視により行い、日持ち日数、花弁の枯れ具合、茎葉の枯れ具合、花色、葉色等を5段階評価にて評価点を付し、それらの合計点(総合評価点)の平均値と推移を判定指標とした。その平均値の結果を表2及び、推移の結果を図1、図2、図3に示す。
【0047】
比較例7
鮮度保持機能付き開花促進剤の代わりに、水道水1000gを用いた以外は、実施例2と同様に行った。その結果を表2及び図1、図2、図3に示す。
【0048】
比較例8
鮮度保持機能付き開花促進剤の代わりに、(A)2−アミノイソ酪酸0.25gを水道水に溶解し全量を1000gとしたものを用いた以外は、実施例2と同様に行った。その結果を表2及び図1、図2、図3に示す。
【0049】
比較例9
鮮度保持機能付き開花促進剤の代わりに、(A)2−アミノイソ酪酸0.25g、(C)グルコース6.0gを水道水に溶解し全量を1000gとしたものを用いた以外は、実施例2と同様に行った。その結果を表2及び、図1、図2、図3に示す。
【0050】
比較例10
鮮度保持機能付き開花促進剤の代わりに、(B)ビタミンB類0.03g、(D)生理活性成分(塩化コバルト、硫酸第一鉄、モリブデン酸ナトリウムの混合物)1.3g、(E)塩化ベンザルコニウム0.7g、ヨウ素系防殺菌剤0.1g、(F)低濃度過酢酸(低濃度過酸化水素水と酢酸の混合物)0.5gを水道水に溶解し全量を1000gとしたものを用いた以外は、実施例2と同様に行った。その結果を表2及び、図1、図2、図3に示す。
【0051】
比較例11
鮮度保持機能付き開花促進剤の代わりに、(B)ビタミンB類0.03g、(C)グルコース6.0g、(D)生理活性成分(塩化コバルト、硫酸第一鉄、モリブデン酸ナトリウムの混合物)1.3g、(E)塩化ベンザルコニウム0.7g、ヨウ素系防殺菌剤0.1g、(F)低濃度過酢酸(低濃度過酸化水素水と酢酸の混合物)0.5gを水道水に溶解し全量を1000gとしたものを用いた以外は、実施例2と同様に行った。その結果を表2及び、図1、図2、図3に示す。
【0052】
比較例12
鮮度保持機能付き開花促進剤の代わりに2−アミノイソラク酸0.25g、フルクトース3.0g、スクロース3.0g、2−メチル−イソチアゾリン−3−オンと5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンの混合物0.01gを水道水に溶解し全量を1000gとしたものを用いた以外は、実施例2と同様に行った。その結果を表2及び図1、図2、図3に示す。
【0053】
【表2】

【0054】
調製例1
ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(デナコールEX−861、エポキシ当量:550g/eq、ナガセ化成(株)製)95重量部とメタキシリレンジアミン(MXDA、活性水素当量:34g/eq、三菱ガス化学(株)製)5重量部を、イオン交換水100重量部に混合溶解させた後、乾燥機中で80℃、2時間加熱して、保水倍率が7倍の含水樹脂硬化物(吸水性ポリマー)を得た。その後、得られた樹脂硬化物をカッターで切断し、シート状の吸水性ポリマーとした。
【0055】
実施例3
(A)2−アミノイソ酪酸3g、(B)ビタミンB類0.15g、(C)グルコース50g、(D)生理活性成分(塩化コバルト、硫酸第一鉄、モリブデン酸ナトリウムの混合物)6.5g、(E)塩化ベンザルコニウム3.5g、ヨウ素系防殺菌剤0.5g、(F)低濃度過酢酸(低濃度過酸化水素水と酢酸の混合物)2.5gを水道水に溶解し全量を1000gとした鮮度保持機能付き開花促進剤を製造し、これに調製例1にて得られた吸水性ポリマー100gを浸漬処理し、24時間常温にて放置させることにより、完全に鮮度保持機能付き開花促進剤を吸水させた鮮度保持機能付き開花促進材料を製造した。この開花促進材料100gを水道水900gの中に入れ、全量を1000gとし、市販のカーネーション(品種ピンクフランシスコ)3本を活けて、実施例1と同様の開花促進と鮮度保持試験を行なった。
【0056】
実施例4
(A)2−アミノイソ酪酸3g、(B)ビタミンB類0.15g、(C)グルコース50g、(D)生理活性成分(塩化コバルト、硫酸第一鉄、モリブデン酸ナトリウムの混合物)6.5g、(E)塩化ベンザルコニウム3.5g、ヨウ素系防殺菌剤0.5g、(F)低濃度過酢酸(低濃度過酸化水素水と酢酸の混合物)2.5gをイオン交換水に溶解し全量を1000gとした鮮度保持機能付き開花促進剤を製造し、これに調製例1にて得られた吸水性ポリマー100gを浸漬処理し、24時間常温にて放置した後、完全に吸水された吸水性ポリマーをろ過分解して、鮮度保持機能付き開花促進材料を得た。この開花促進材料100gを水道水900g中に入れ、全量を1000gとした以外は実施例1と同様の試験を行った。測定結果を表3に示す。
【0057】
比較例13
調製例1にて得られた吸水性ポリマー100gをイオン交換水1000gに浸漬処理し、24時間常温にて放置した後、吸水された吸水性ポリマーをろ過分解して、イオン交換水にて完全に吸水された吸水性ポリマーを得た。この吸水性ポリマー100gを水道水900g中に入れ、全量を1000gとした以外は実施例4と同様の処理を行った。結果を表3に示す。
【0058】
比較例14
吸水性ポリマーは使用せず、切花を浸漬させる鮮度保持機能付き開花促進剤を水道水1000gとした以外は、実施例4と同様の処理を行った。結果を表3に示す。
【0059】
比較例15
市販のフェノール樹脂発泡体をイオン交換水にて完全に吸水させた後、その100gを水道水900g中に入れ、全量を1000gとし、その吸水されたフェノール樹脂発泡体の中央部に切花切断部を浸漬させた以外は実施例4と同様の処理を行った。結果を表3に示す。
【0060】
比較例16
調製例1にて得られた吸水性ポリマー100gをイオン交換水1000gに浸漬処理し、24時間常温にて放置した後、吸水された吸水性ポリマーをろ過分解して、イオン交換水にて完全に吸水された吸水性ポリマーを得た。この吸水性ポリマー100gを2−アミノイソラク酸5.0g、チアミン塩酸塩0.1g、酢酸2.0g、グルコース30g、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンの混合物0.1g、塩化カリウム0.5g、硝酸カリウム0.5g、硝酸マグネシウム0.5g、硝酸マグネシウム0.5gをイオン交換に溶解し全量を1000gとした以外は、実施例4と同様の処理を行った。結果を表3にし示す。
【0061】
【表3】

【0062】
実施例5
(A)2−アミノイソ酪酸0.25g、(B)ビタミンB類0.03g、(C)グルコース6.0g、(D)生理活性成分(塩化コバルト、硫酸第一鉄、モリブデン酸ナトリウムの混合物)1.3g、(E)塩化ベンザルコニウム0.7g、ヨウ素系防殺菌剤0.1g、(F)低濃度過酢酸(低濃度過酸化水素水と酢酸の混合物)0.5gを水道水に溶解し 全量を1000gとした鮮度保持機能付き開花促進剤を作成し、100mlの三角フラスコに入れたものを、35℃の恒温槽に入れ、48時間後の鮮度保持機能付き開花促進剤の溶液腐食の度合いを確認した。腐食度については、目視で白濁が発生したか否かの確認を行うと共に、その時点での溶液中の総菌数を市販の微生物簡易測定器サンアイバイオチェッカーTTC(三愛石油株式会社)にて測定した。結果を表−4に示す。
【0063】
比較例17
鮮度保持機能付き開花促進剤の代わりに、水道水100mlを使用した以外は、実施例5と同様の方法で測定した。結果を表−4に示す。
【0064】
比較例18
鮮度保持機能付き開花促進剤の代わりに、(A)2−アミノイソ酪酸0.25g、(B)ビタミンB類0.03g、(C)グルコース6.0g、(D)生理活性成分(塩化コバルト、硫酸第一鉄、モリブデン酸ナトリウムの混合物)1.3g、(E)塩化ベンザルコニウム0.7g、ヨウ素系防殺菌剤0.1gを水道水に溶解し 全量を1000gとした以外は、実施例5と同様の方法で測定した。結果を表−4に示す。
【0065】
比較例19
鮮度保持機能付き開花促進剤の代わりに、(A)2−アミノイソ酪酸0.25g、(B)ビタミンB類0.03g、(C)グルコース6.0g、(D)生理活性成分(塩化コバルト、硫酸第一鉄、モリブデン酸ナトリウムの混合物)1.3g、(E)塩化ベンザルコニウム0.7g、(F)低濃度過酢酸(低濃度過酸化水素水と酢酸の混合物)0.5gを水道水に溶解し全量を1000gとした以外は、実施例5と同様の方法で測定した。結果を表−4に示す。
【0066】
比較例20
鮮度保持機能付き開花促進剤の代わりに、(A)2−アミノイソ酪酸0.25g、(B)ビタミンB類0.03g、(C)グルコース6.0g、(D)生理活性成分(塩化コバルト、硫酸第一鉄、モリブデン酸ナトリウムの混合物)1.3g、(F)低濃度過酢酸(低濃度過酸化水素水と酢酸の混合物)0.5g、ヨウ素系防殺菌剤0.1gを水道水に溶解し 全量を1000gとした実施例5と同様の方法で測定した。結果を表−4に示す。
【0067】
比較例21
鮮度保持機能付き開花促進剤の代わりに、2−アミノイソラク酸0.25g、フルクトース3.0g、スクロース3.0g、2−メチル−イソチアゾリン−3−オンと5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンの混合物0.01gを水道水に溶解し全量を1000gとした以外は、実施例5と同様の方法で測定した。結果を表−4に示す。
【0068】
【表4】

【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】切花生体重量変化率の推移
【図2】切花花弁径推移
【図3】切花総合評価点推移

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)2−アミノイソ酪酸またはその塩、
(B)ビタミンB類、
(C)糖類、
(D)植物生理活性剤、
(E)防菌・抗菌剤および(F)防藻剤を含有し、
且つ(A)〜(F)の重量比が
(B)/(A)=0.02〜0.1、
(C)/(A)=3〜15、
(D)/{(A)+(B)+(C)}=0.6〜10、
(E)/{(A)+(B)+(C)}=0.01〜0.1および
(F)/{(A)+(B)+(C)}=0.01〜0.5
である植物鮮度保持機能付き開花促進剤。
【請求項2】
植物生理活性剤が硝酸カリウム、エチレンジアミン、硫酸第一鉄、硫酸亜鉛、モリブデン酸ナトリウム、塩化コバルト、硫酸銅等の群から選ばれる1種以上である請求項1項記載の植物鮮度保持機能付き開花促進剤。
【請求項3】
防藻剤が、1〜3重量%低濃度過酸化水素水と有機酸および/またはキレート剤の混合物である請求項1項記載の植物鮮度保持機能付き開花促進剤。
【請求項4】
更に、無機栄養成分(G)を含有し、重量比が(G)/{(A)+(B)+(C)}=0.002〜10である請求項1項記載の植物鮮度保持機能付き開花促進剤。
【請求項5】
更に、pH調整剤(H)を含有し,重量比が(H)/{(A)+(B)+(C)}=0.1〜0.6である請求項1〜2項記載の植物鮮度保持機能付き開花促進剤。
【請求項6】
更に、界面活性剤(I)を含有し、重量比が(I)/{(A)+(B)+(C)}=0.01〜0.10である請求項1〜3項記載の植物鮮度保持機能付き開花促進剤。
【請求項7】
請求項1〜6何れか1項記載の植物鮮度保持機能付き開花促進剤を円、楕円形、四角形または多角形のシート状に加工成型され、且つ保水倍率が1〜50倍の吸水性ポリマーシートに含浸させてなることを特徴とする植物鮮度保持機能付き開花促進材料。
【請求項8】
吸水性ポリマーシートが、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する親水性のエポキシ樹脂(a)と1分子中に2個以上の1級または2級アミノ基を有するアミン化合物(b)を必須成分として含有する組成物を硬化し成型加工されたものである請求項7記載の植物鮮度保持機能付き開花促進材料。
【請求項9】
吸水性ポリマーシートが、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する親水性のエポキシ樹脂(a)と1分子中に2個以上の1級または2級アミノ基を有するアミン化合物(b)を必須成分として含有する組成物に請求項1〜4何れか1項記載の植物鮮度保持機能付き開花促進剤を含む水溶液を配合し、含水状態で硬化し成型加工したものである請求項7記載の植物鮮度保持機能付き開花促進材料。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−239506(P2008−239506A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−78773(P2007−78773)
【出願日】平成19年3月26日(2007.3.26)
【出願人】(000004466)三菱瓦斯化学株式会社 (1,281)
【Fターム(参考)】