説明

植込剤の新規製造方法

投与後に患者に、ペプチド又はペプチドアナログのような活性成分を長時間放出するのに適した埋込可能な又は注射可能な薬学的組成物を製造する方法において、(a)活性成分と乳酸・グリコール酸共重合体の混合物を湿式造粒し;(b)このようにして形成された顆粒を乾燥させ;(c)乾燥した顆粒を粉砕し;(d)工程(c)の粉砕産物を押出すことを含む方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
本発明は、とりわけ皮下植込剤(インプラント)としての使用又はその製造に適した薬学的組成物の製造のための新規方法に関する。
【0002】
薬学的に活性な化合物、特に生物活性ペプチド及びペプチドアナログを長期の期間にわたって放出することが望ましいことがよくある。
薬学的に活性な化合物の改変された放出をもたらす組成物は当該分野でよく知られている。確かに、最近の約三十年にわたって、改変された放出投薬形態は、次第に、患者に対するある種の薬剤の好ましい送達方法となった。
【0003】
ペプチドの場合、マイクロ粒子(例えばミクロスフィア、マイクロカプセル及び微粒剤)に基づく長期放出薬剤送達系及び筋肉内又は皮下注射のための埋込形態がよく文献に記載されている。
生体内分解性重合体の円柱体に分散したペプチド/ペプチドアナログの形態の徐放埋込系がそのような活性物質の長期放出をもたらすことが知られている。特に、活性成分が乳酸及び/又はグリコール酸単位を含む重合体マトリックスに分散した植込剤が特に米国特許第5366734号に記載されている。しかしながら、米国特許第5366734号に記載された方法に従って調製された植込剤からの活性成分の放出に対して観察された最大時間は三ヶ月程度である。
【0004】
米国特許第5456917号は、乳酸とグリコール酸の共重合体(PLGA)を粉砕し、予め定まったサイズの粒子を選択し、PLGAが可溶性ではない溶媒にその医薬を溶解させ、その溶液にPLGA粒子を添加し、PLGA粒子の孔にその溶液を充填するために真空をかけて放出し、充填された重合体粒子を濾過又はデカントによって分離した後、凍結乾燥又は真空乾燥させて孔内から残留した溶媒を除去する工程を含む医薬の徐放のための埋込可能な生体内分解性組成物を形成する方法を開示している。混合された混合物はついで押出装置に配されて植込剤が形成される。
【0005】
英国特許出願第2234169号はPLGA共重合体と天然又は合成の水不溶性ペプチドの塩を含有する徐放性薬学的ペプチド組成物を調製する方法を開示している。
国際特許出願WO97/41836は、タンパク質、ポリペプチド又はホルモンの不溶性塩と組み合わせて乳酸の単独重合体を含有せしめる、一ヶ月を越える期間にわたる活性剤の徐放用の埋込可能な薬学的組成物を開示している。
【0006】
国際特許出願WO98/09613は、生物活性ペプチド及びPLGAを含有する皮下植込剤の調製方法を記載しており、該方法は、PLGA共重合体を粉砕し、ペプチドの水性スラリーを用いて共重合体を湿潤させ、この共重合体とスラリーを混合して、均質な混合物を得て、混合物を乾燥させ、ついで皮下使用のための植込剤を得るために押出すことを含む。
最後に、国際特許出願WO00/33809は、PLGAマトリックスに不均一に分散したペプチド粒子を含有する長期放出植込剤を得る方法を開示する。この方法は、PLGAと共に乾燥したとき1〜60μmの直径を持つ粒子の形態のペプチドを均一に混合し、得られた混合物を湿式造粒し、0.5〜2.0重量%の残留液量になるまで顆粒を乾燥させた後、乾燥した顆粒を押出して植込剤を製造する必須の工程を含む。
【0007】
しかしながら、例えば三ヶ月から六ヶ月(あるいはある場合には更に長期)の期間にわたってのペプチド及びペプチドアナログのような薬剤の長期の放出を維持することができる薬学的植込剤、及びそれを製造するための改良された方法に対する一般的な必要性がある。
WO00/33809のどこにも、またこれまでに記載した他の先行技術文献の何れにも、円柱状植込剤に切断することができる形態に粉砕した材料の押出前に活性成分とPLGAの混合物を含有する予め形成された顆粒を粉砕する必須の工程を含む皮下植込剤の製造方法は記載されていない。
【0008】
本発明によれば、投与後に患者にペプチド又はペプチドアナログのような活性成分を長時間放出するのに適した埋込可能(植込可能)な又は注射可能な薬学的組成物を製造する方法において、
(a)活性成分とPLGAの混合物を湿式造粒し;
(b)このようにして形成された顆粒を乾燥させ;
(c)乾燥した顆粒を粉砕し;
(d)工程(c)の粉砕産物を押出す
ことを含む方法が提供され、この方法を以下に「本発明の方法」と呼ぶ。
「ペプチドアナログ(ペプチド類似体)」という用語は生物学的に活性なペプチドと同じ又は類似の生物学的機能又は活性を有する任意の構造的に類似の化合物を含むと当業者によって理解される。
本発明の方法の押出産物は、必要に応じて、適切な長さに切断して筋肉内又は好ましくは皮下投与用の植込剤を形成してもよい。そのような投与に適した植込剤の適切な長さは10〜60mmの範囲、例えば12〜55mm、例えば15〜50mm、好ましくは18〜45mm、より好ましくは20〜40mmである。用いられる活性成分及び植込剤の直径に応じて、好適な植込剤長さは24〜38mmの範囲、例えば約26.6mm、約33mm、約35mm又は約37mmである。
【0009】
本発明の方法の押出産物は標準的な技術と装置を使用してまた滅菌することができる。滅菌は押出産物及び/又はそれから得られた植込剤の包装の前又は後にで実施することができる。適した包装材料にはアルミニウム袋が含まれる。本発明の方法によって調製される植込剤はまたシリンジの針の中に提供することができ、そこから植込剤を患者に皮下的に送達することが意図される。そのようにして用いることができる適切なシリンジには欧州特許第EP749336号又は米国特許第5810769号に記載されたものが含まれる。シリンジと植込剤(その両方を予め滅菌することができる)を既知の方法を使用して互いに組み合わせることができ、(アルミニウム袋のような)標準的な包装材料に包装し、その後、適切ならば、標準的な技術/装置を使用して滅菌される。
【0010】
本発明の方法は、実質的に円柱状で、1.0〜3.0mm、例えば1.2〜2.5mm、好ましくは1.4〜2.2mm、より好ましくは1.5〜2.0mm(例えば約1.6mm、約1.8mm又は約2.0mm)の直径である組成物を提供するために使用することができる。この点、植込剤の場合、用いられる活性成分及び投与が意図される用量に応じて、好適な植込剤寸法は約1.6mmの直径と、約33mm又は約35mmの何れかの長さ、約1.8mmの直径と約37mmの長さ、及び約2.0mmの直径と約26.6mmの長さを含みうる。上述の好適な寸法は概略であり、上に特定した数値から±20%、例えば±10%、例えば±5%だけ変動する長さ/直径の植込剤が「約」という用語の使用によって包含されることが意図されるものと理解される。いずれにせよ、とりわけ用いられる原材料と投与が意図される活性物質の用量に依存する適した植込剤寸法は当業者によって常套的に決定することができる。
【0011】
本発明の方法に使用される好適なPLGA共重合体は、40:60から95:5、好ましくは60:40から90:10、より好ましくは70:30から80:20の範囲、例えば約75:25の乳酸対グリコール酸単量体モル比を有しうる。好適な分子量(例えば限外濾過、光散乱、固有粘度測定、又は好ましくはゲル透過クロマトグラフィーによって測定する例えば数平均、z平均又は重量平均分子量)は50000〜150000、好ましくは75000〜150000の範囲にある。
【0012】
約30μmから約200μm、例えば約40μmから約175μmの範囲、特に約50μmから約150μmの範囲のサイズの粒子の形態のPLGAを本発明の方法の湿式造粒工程で用いることが好ましい。この点、PLGAは一又は複数の粉砕工程によって湿式造粒のために予め準備されうる。また、上述の好適な粒子サイズは概略であり、上に特定した数値から±20%、例えば±10%、例えば±5%だけ変動するサイズが「約」という用語の使用によって包含されることが意図されるものと理解される。粉砕工程は、例えば以下に記載するような標準的な粉砕装置を使用して低温貯蔵条件下(例えば10〜15℃、例えば約12℃)で実施することができる。適切な潤滑剤、例えばエタノールをそのような重合体粉砕に用いることができる。予め粉砕された重合体の適切な画分を、例えば以下に記載するように、篩いのような標準的な方法を使用して収集することができる。PLGAはまた湿式造粒の前に乾燥させることもできる。
【0013】
本発明の方法に使用することができる活性成分には、GnRH(LHRH)、成長ホルモン放出ホルモン、成長ホルモン放出ペプチド、アンジオテンシン、ボンベシン、ブラジキニン、コレシストキニン、エンケファリン、ニューロキニン、タキキニン、又はこれらの任意のもののレセプターのアゴニスト又はアンタゴニストが含まれる。使用することができる活性成分には、また、レニン阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、メタロペプチダーゼ阻害剤、エンケファリナーゼ阻害剤、又は心房性又は脳性ナトリウム利尿因子分解酵素阻害剤が含まれる。用いることができる更に特定の活性成分には、ブセレリン、デスロレリン、ヒストレリン、アヴォレリン、トリプトレリン、ゴセレリン、リュープロレリン、セトロレリックス、テベレリックス、ラモレリックス、アンティド、ニクチド、アザリンB、アザリンC、ガニレリックス又はヘキサレリンが含まれる。より好適な活性成分には、ヘキサレリン、アヴォレリン、トリプトレリン、ゴセレリン、特にリュープロレリン及びその薬学的に許容可能な塩が含まれる。
リュープロレリンの好適な薬学的に許容可能な塩には、パモン酸塩、グルコン酸塩、乳酸塩、好ましくは酢酸塩が含まれる。
【0014】
用いられる活性成分がリュープロレリン、特に酢酸リュープロレリンである場合、本発明の方法の湿式造粒工程に使用される重合体に対するリュープロレリンの重量比(対イオンの存在から生じる重量を除く遊離塩基の重量として計算)が約1:10から約1:2w/w、好ましくは1:5から約1:2.5、例えば約1:4から約1:2.75、特に約1:3.5から約1:2.85、例えば約1:3w/w(つまり、25%リュープロレリンw/w)の範囲にある。再び、上述の好適な重量比は概略であり、上に特定した数値から±20%、例えば±10%、例えば±5%だけ変動する比が「約」という用語の使用によって包含されることが意図されるものと理解される。いずれにせよ、原材料の好適な重量比はとりわけ患者への送達が意図される活性成分の用量、並びに製造が意図される植込剤の寸法に依存する。しかし、これらは当業者が常套的に決定することができる。
【0015】
活性成分は、湿式造粒工程の前に粉砕又は緻密化によって前処理することができる。これは適当な装置、例えばボールミル及び/又は他の標準的な微粉化装置、例えば以下に記載のようなもので行うことができる。
いずれにせよ、重合体と活性成分は、例えば以下に記載されるように、好ましくは標準的な条件下で標準的な混合装置で湿式造粒前に乾式混合(つまり液体溶媒が実質的にない状態で)される。液体溶媒が「実質的にない」には、2%(w/w)以下の液体溶媒(有機又は水性)が湿式造粒の前に実施されうる任意の乾式混合工程において存在することが含まれる。乾式混合は、例えば以下に記載されるように、好ましくはボールミル及び/又は標準的なミキサーで、例えばタービュラ(Turbula)ミキサー等において実施される。
【0016】
湿式造粒は、例えばエタノール又は好ましくは水のような適切な液体を使用して、当業者によく知られた標準的な条件下で標準的な装置を用いてなされうる。水が用いられる場合、それは、活性/重合体混合物の全重量の20%〜25%、例えば22%又はその付近の体積になるまで加えられる。例えば、100gの混合物が用いられる場合、22mLの水が造粒前に加えられる。水は、活性/重合体混合物との均一な混合を確実にするために造粒前に少しずつ加えることができる。例えば以下に記載するように、標準的な混合装置を用いて均一混合をなすことができる。その後、以下に記載されるような標準的な造粒装置を使用して湿式造粒を実施することができる。
【0017】
ついで、湿った顆粒は、例えば乾燥空気流下、又は好ましくは減圧下で高い温度にて(例えば30℃以上)標準的な方法を使用して乾燥させることができる。乾燥は、得られる顆粒中の水分量が0%w/wを越えるが2%w/w未満となる程度までなされなければならない。ついで、乾燥顆粒は、好ましくは、次の処理工程の前と間に水の有意な進入がないように取り扱われる。
乾燥された顆粒はついで押出前に粉砕される。この別個の粉砕工程は好ましくはボールミル中で乾燥顆粒を粉砕することにより実施されるが、小さいサイズの粒子に顆粒が破砕される任意の装置を使用することができる。
【0018】
粉砕された得た剤の押出は、以下に記載されるように、標準的な押出装置、例えば高圧ラム押出機又は好ましくはスクリュープレスを使用して実施されうる。用いられる押出機がスクリュー押出機である場合、押出機中での暴露時間は1〜10分、好ましくは4〜6分である。温度特性は好ましくは押出機に入る際の室温から60℃(例えば50℃)から押出機出口の120℃以下(例えば110℃)までの範囲である。適切なスクリュー速度は8〜12rpmの範囲、例えば10rpmである。
【0019】
本発明の方法によって製造される組成物、特に植込剤は、用いられる治療剤に応じて哺乳動物の患者の疾患/症状を治療/予防するために使用することができる。上述の薬剤に対して、挙げることができる疾患/症状には、当該治療剤が効果があることが知られているものが含まれ、Martindale, "The Extra Pharmacopoeia", 31st Edition, Royal Pharmaceutical Society (1996)に特に列挙されているものが含まれる。特に、組成物がリュープロレリンを含む場合、本発明の方法によって製造される植込剤は避妊に、また子宮内膜症、子宮筋腫、良性前立腺肥大症、性的早熟及び/又は癌、例えば乳癌、また特に前立腺癌の治療に使用することができる。我々は、驚いたことに、リュープロレリンを含む本発明の方法によって製造される植込剤がヒトの患者において予期せぬ遅延した去勢をもたらすことを見出した。よって、本発明の方法により得ることが可能な植込剤は、活性成分としてリュープロレリンを用いた場合、低用量のリュープロレリンで長期の去勢を可能にしうる。
本発明の方法によって製造される植込剤は、標準的な方法を用いて例えば皮下注射によって、又は好ましくは欧州特許第749336号又は米国特許第5810769号に記載されたようなシリンジを使用して、患者に投与することができる。植込剤の特性及び治療が意図されている症状の性質に応じて、任意の時間に一を越える植込剤を患者に投与する(又は存在させる)ことができる。
【0020】
よって、本発明の方法は、哺乳動物の患者に対する活性成分、例えばペプチドの長期にわたる放出(つまり、少なくとも3から6ヶ月の期間にわたって連続する)をもたらしうるとりわけ皮下植込剤の生産に有用である。本発明の方法はまた樹立された製薬加工方法を利用することができ、食品又は医薬又は類似の規制状態において使用することが承認されている材料を使用することができるという利点を有しうる。
本発明の方法はまた製造された植込剤が先行技術に記載されている方法によって調製された植込剤よりも薬学的により有益な放出特性(例えば、より長期の、より制御された、及び/又はより一定の特性)をもたらしうるという驚くべき利点を有している。本発明の方法はまた皮下植込剤の調製のために先行技術で記載された方法よりも、様々な活性成分を用いて植込剤を調製するために使用でき、より標準的な手順を用いることができ、及び/又は当業者がより簡便に実施することができる等の利点を提供しうる。
【実施例】
【0021】
本発明を次の実施例によって非限定的な形で例証する。
実施例1
酢酸リュープロレリンを含有する植込剤の調製
装置の準備
関連製造装置を洗浄し殺菌した。アイソレーター、製造方法のためにアイソレーター内で用いられることになる装置、及び原材料を、標準的な方法(例えば無水エタノール、イソプロピルアルコール又はSoproper(登録商標)(水性過酢酸;3.5%w/w)に浸したクロス)に従って、及び/又は、耐熱性がある装置の場合にはヒートシールプラスチック袋に入れて150℃に2時間加熱することで、殺菌した。
【0022】
PLGAの調製
IKA20製粉機の低温保持装置の温度を12℃に調節して安定させた。100mLビーカーにラベルを付け、風袋重量を計った。30gの粗PLGA(Purac(オランダ);粒子サイズ>150μm;75:25ラクチド(lactide)対グリコリド(glycolide)単位比)をビーカーに入れて計量し、粉末を製粉機に注いだ。3x1mLのエタノールをピペットでPLGAに対して均一に分散させた。製粉機ボウルを小さなカバーで覆い、30秒間粉砕を始め、1分休止させた後、開けて分散した粉末を掻き集めた。更に粉砕をもう1分間実施して次の手順を繰り返した。この後に6分間粉砕し、次の手順を繰り返した。
ついで、粉砕したPLGAを、標準的な篩い機のベース、50μmの篩い及び150μmの篩いを組み立て、150μmの篩いに粉砕PLGAを配し、カバーを取付けて全体を固定し、篩い機のパラメータを調節して10秒の間隔、3の篩い時間及び2の強さにすることにより、篩いにかけた。ついで、50から150μmの画分を、風袋重量を計ったフラスコに収集し、<50μmの画分と>150μmの画分を二つの他のフラスコに集めた。
【0023】
(収集した>150μmの画分は次の条件下で二度目の再粉砕を行ってもよい:>150μmの画分30gを計量してビーカーに入れ、製粉機中に粉末を注ぎ、1.5mLのエタノールをピペットで取り、PLGAに対して均一にそれを分散させ、製粉機ボウルを大きなカバーで覆い、3分間粉砕し、1分間待ってから開けて分散した粉末を掻き集めた。ついで、再粉砕した粉末を前述したようにして篩いにかけ、必要に応じて再び再粉砕してもよい。)
50〜150μmの画分を、−700mmHgの真空下で24時間、30℃のオーブンで加熱することにより乾燥させた(移送ボックスを用いて、アイソレーターと真空オーブンの間でPLGAを移送した)。ついで、乾燥したPLGAをアイソレーターのフラスコ中に配した。(残留エタノールを調べるために分析検査を実施した。)
【0024】
ペプチドの調製
Pulverisetteモノプラネタリ製粉機(Laval Labs Inc.)を使用して酢酸リュープロレリン(Bachem(スイス);15g)を高密度化した。30mm直径の3個のボールを500mLジャーに配した。ついで、ジャーにペプチドを注意深く注いだ。シールとカバーをジャーに取り付け、ジャーをそのスタンド上に置いた。Pulverisetteのカウンターウェイトを4.6kgに調節した。回転速度を3分の粉砕時間で150rpmに設定した。
【0025】
混合
ついで、カバーをジャーから取り除き、予め調製したPLGAをジャーの中のペプチドに、PLGAに対するリュープロレリン(遊離塩基として計算)が1:3の混合物を生じる量(w/w;つまり25%リュープロレリンw/w)で加えた。シールとカバーをジャーに取り付け、ジャーをそのスタンド上に置いた。Pulverisetteのカウンターウェイトを4.6kgに調節した。回転速度を150rpmに設定して2分間粉砕した後、1分の休止と1分の逆粉砕を行い、その後その手順をもう一回繰り返した。
褐色ガラスフラスコにラベルを付け風袋重量を計量した。高密度化混合物をフラスコに移し、混合物の量をチェックした。ついで、そのフラスコを移送チャンバーを介してアイソレーターから取り除いた。
ついで、混合物を含むフラスコをTurbulaTMミキサー(WAB)に取り付けた。Turbula速度を45rpmに調節し15分間操作した。ついで、湿式造粒前の外部殺菌のためにフラスコを移送チャンバーに戻した。
【0026】
混合物の湿式造粒
Kツールをケンウッドミキサーに装備した。前工程の乾燥混合物を注意深くミキサーボウル中に注いだ。造粒されるロイプロリド/PLGA混合物の量に比例する全量の水を(混合物の22%体積:重量)、最初に水の体積の2/3を混合物に加え、ミキサーを位置1に調節し、1分間混合し、ミキサーとツールの底のものを掻き集めた後、残りの1/3の水を混合物に添加し、更に2分間混合し、ミキサーとツールの底のものを掻き集めることによって、添加した。
アルミフォイルのシートでカバーをした移送ボックスからのトレーをErweke造粒機に配した。造粒機速度を60に調節した。ミキサーボウルの内容物を造粒機の1.6mmスクリーン上に配し、造粒を開始した。造粒した粉末をトレーに集めた。
【0027】
顆粒の乾燥
顆粒を含むトレーを移送ボックスに戻し、ついでそれを閉じてアイソレーターの移送チャンバーを経てアイソレーターから取り除いた。移送ボックスを、30℃の温度に前もって加熱した溶媒オーブン内に配した。−700mmHgの真空をかけた。およそ12時間の間、乾燥を進めた。
ついで、移送ボックスを、外部での滅菌のために移送チャンバーに戻した。
【0028】
乾燥顆粒の粉砕
直径30mmを有する3個のボールをPulverisette粉砕ミルの500mLのジャーに配した。ついで、乾燥顆粒を注意深くジャー内に注いだ。ジャーにシールとカバーを取り付け、ジャーをそのスタンド上に配した。Pulverisette上のカウンターウェイトを4.6kgに調節した。回転速度を3分の粉砕時間で150rpmに設定した。
褐色のガラスフラスコにラベルを付け、風袋重量を計った。粉砕混合物をフラスコに収集し、それを計量し、混合物の塊を認めた。
乾燥した粉砕混合物の試料について水分含量(Karl Fischer)、粒子サイズ、密度、均一性及びリュープロレリン含量を分析した。
【0029】
次の処理
粉砕された結果物をScamiaスクリュー押出機を使用して薄い円柱形に押し出した。押出スクリュー数は190で、スクリュー速度は10rpmでダイス数は4であった。押出機における加熱温度は次の通りであった:水浴50℃;領域1−70℃;領域2−90℃;領域3−110℃。
押出体を1.5m程度ごとに切断した。押出体の直径は、直径が次の仕様に一致する断面を選択するためにZumbaschレーザを使用して測定した:
直径1.6mm±5%の植込剤に対して、最小直径1.52mm、最大直径1.68mm。直径1.8mm±5%の植込剤に対して、最小直径1.71mm、最大直径1.89mm。
【0030】
密度、含量の均一性、リュープロレリン含量及び押出体の分子量を標準的な方法を使用して決定した。分析結果に基づいて、(押出体を切断しなければならない)植込剤の長さを次の式を用いて計算した:

用量 x 100
L= −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
3.14xrxTxdx0.985

ここで、
rは植込剤の半径であり、
は平均含量(ペプチド遊離塩基のコア充填パーセント)であり、
は平均密度である。
【0031】
よって、22.5mgのリュープロレリン(遊離塩基として)を含有する植込剤を、1.6mmの概略直径の押出体からおよそ35mmの長さに切り出した。各植込剤はおよそ90mgの重さで、23.6〜26.2mgの酢酸リュープロレリンを含んでいた。同様にして、30mgのリュープロレリン(遊離塩基として)を含有する植込剤を、1.8mmの概略直径の押出体からおよそ37mmの長さに切り出した。各植込剤はおよそ120mgの重さで、31.4〜35mgの酢酸リュープロレリンを含んでいた。
【0032】
前に記載したようにしてシリンジの針の中に充填し、乾燥剤袋の存在下でアルミニウム袋に包装した。ついで、アルミニウム袋を熱融着させ照射殺菌した。
次の寸法で上述の方法で同様にして他の植込剤を調製した:22.5mgのリュープロレリン(遊離塩基として)を含有する1.6mmの概略直径と約33mmの長さの植込剤;27.5mgのリュープロレリンを(遊離塩基として)含有する2.0mmの概略直径と約26.6mmの長さの植込剤。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
投与後に患者に活性成分を長時間放出するのに適した埋込可能な又は注射可能な薬学的組成物を製造する方法において、
(a)活性成分と乳酸・グリコール酸共重合体の混合物を湿式造粒し;
(b)このようにして形成された顆粒を乾燥させ;
(c)乾燥した顆粒を粉砕し;
(d)工程(c)の粉砕産物を押出す
ことを含む方法。
【請求項2】
活性成分がペプチド又はペプチドアナログである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
次に押出産物を所定長さに切断して筋肉内又は皮下投与用の植込剤を形成する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
植込剤の長さが10〜60mmの範囲にある、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
範囲が20〜40mmである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
押出産物が包装の前及び/又は後に滅菌される、請求項1ないし5の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
ついで植込剤をシリンジの針の中に包装する、請求項3ないし6の何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
押出産物が1.0〜3.0mmの直径のものである、請求項1ないし7の何れか一項に記載の方法。
【請求項9】
直径が1.5〜2.0mmである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
共重合体が、70:30から80:20の範囲の乳酸対グリコール酸単量体モル比を有する、請求項1ないし9の何れか一項に記載の方法。
【請求項11】
共重合体が約50μmから約150μmの範囲のサイズの粒子の形態で提供される、請求項1ないし10の何れか一項に記載の方法。
【請求項12】
活性成分が、GnRH(LHRH)、成長ホルモン放出ホルモン、成長ホルモン放出ペプチド、アンジオテンシン、ボンベシン、ブラジキニン、コレシストキニン、エンケファリン、ニューロキニン、タキキニン、又はそのレセプターのアゴニスト又はアンタゴニストである、請求項1ないし11の何れか一項に記載の方法。
【請求項13】
活性成分が、レニン阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、メタロペプチダーゼ阻害剤、エンケファリナーゼ阻害剤、又は心房性又は脳性ナトリウム利尿因子分解酵素阻害剤である、請求項1ないし12の何れか一項に記載の方法。
【請求項14】
活性成分が、ブセレリン、デスロレリン、ヒストレリン、アヴォレリン、トリプトレリン、ゴセレリン、リュープロレリン、セトロレリックス、テベレリックス、ラモレリックス、アンティド、ニクチド、アザリンB、アザリンC、ガニレリックス又はヘキサレリンである、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
活性成分がリュープロレリン又はその薬学的に許容可能な塩である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
活性成分が酢酸リュープロレリンである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
重合体に対するリュープロレリンの重量比(対イオンの存在から生じる重量を除く遊離塩基の重量として計算)が約1:3w/w(つまり、25%リュープロレリンw/w)の範囲にある、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
活性成分が、湿式造粒工程の前にボールミルで前処理される、請求項1ないし17の何れか一項に記載の方法。
【請求項19】
湿式造粒工程で水を用いる、請求項1ないし18の何れか一項に記載の方法。
【請求項20】
用いられる水の体積が、活性成分/重合体混合物の全重量の22%又はその近辺である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
乾燥工程が減圧下室温以上でなされる、請求項1ないし20の何れか一項に記載の方法。
【請求項22】
乾燥された顆粒が0%w/wを越えるが2%w/w未満の水を含む、請求項1ないし21の何れか一項に記載の方法。
【請求項23】
粉砕工程が、乾燥された顆粒をボールミルで粉砕することを含む、請求項1ないし22の何れか一項に記載の方法。
【請求項24】
押出工程がスクリュープレスを使用して実施される、請求項1ないし23の何れか一項に記載の方法。
【請求項25】
請求項1ないし24の何れか一項に記載の方法によって得ることが可能な生成物。
【請求項26】
少なくとも3から6ヶ月の期間にわたる活性成分の長期放出に適した請求項25に記載の生成物。

【公表番号】特表2006−522782(P2006−522782A)
【公表日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−505898(P2006−505898)
【出願日】平成16年3月1日(2004.3.1)
【国際出願番号】PCT/GB2004/000816
【国際公開番号】WO2004/078160
【国際公開日】平成16年9月16日(2004.9.16)
【出願人】(505103976)アーダナ バイオサイエンス リミテッド (11)
【Fターム(参考)】