椎間板挿入のための人工椎間板
【課題】改良された人工椎間板を提供すること。
【解決手段】隣接した椎骨間に挿入するための人工椎間板10であって、人工椎間板10は、それぞれの椎骨に接して設置可能な外側表面18、内側ベアリング面、および横部分を有する、上部プレート12および下部プレート14;プレート間のコア16であって、コア16は、プレートの内側ベアリング面に相補的な形状の上部表面および下部表面を有し、コア16上をプレートがスライドするのを可能にする、コア16ならびに該プレートのベアリング面のうちの少なくとも1つと、コア16とにある形成物であって、形成物は互いに協同して、プレート間にコア16を保持し、形成物は、プレートのうちの少なくとも1つにあるリブ56、およびコア16のチャネル54を備え、リブ56は、チャネル54内に位置して、コア16上をプレートがスライド移動する際に、プレート間に該コア16を係留する形成物を備える。
【解決手段】隣接した椎骨間に挿入するための人工椎間板10であって、人工椎間板10は、それぞれの椎骨に接して設置可能な外側表面18、内側ベアリング面、および横部分を有する、上部プレート12および下部プレート14;プレート間のコア16であって、コア16は、プレートの内側ベアリング面に相補的な形状の上部表面および下部表面を有し、コア16上をプレートがスライドするのを可能にする、コア16ならびに該プレートのベアリング面のうちの少なくとも1つと、コア16とにある形成物であって、形成物は互いに協同して、プレート間にコア16を保持し、形成物は、プレートのうちの少なくとも1つにあるリブ56、およびコア16のチャネル54を備え、リブ56は、チャネル54内に位置して、コア16上をプレートがスライド移動する際に、プレート間に該コア16を係留する形成物を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、「Prosthetic Disc for Intervertebral
Insertion」と題された米国仮特許出願第60/473,802号および「Intervertebral Prosthetic Disc」と題された同第60/473,803号(共に2003年5月27日に出願)の優先権を主張し、これらの完全な開示は、本明細書中に参考として援用される。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
(1.発明の分野)
本発明は、医療デバイスおよび方法に関する。より具体的には、本発明は、腰椎および頸椎などへの椎間挿入のための人工椎間板に関する。
【0003】
腰部または頚部椎間板への損傷の場合に、可能な外科的処置の1つは、損傷を受けた椎間板を人工椎間板と交換することである。いくつかのタイプの人工椎間板が、現在利用可能である。例えば、1つのタイプの人工椎間板が、Waldemar Link GmbH & Coによって、LINK(登録商標)SB Chariteの商標の下で提供されている。このプロテーゼは、隣接した椎体に接して位置し、かつ隣接した椎体に係合する、上部および下部プロテーゼプレートまたはシェルを備え、かつ、これらのプレート間に低摩擦コアを備える。このコアは、上部凸状曲面および下部凸状曲面を有し、そしてプレートは、該コアの曲面に合った、対応する凹状の湾曲陥凹を有する。これによって、プレートはコアの上をスライド可能になり、必要な脊髄の動きを生じることが可能になる。プレートの湾曲陥凹は、環状の隆起線に囲まれ、これらの隆起線は、コア上のプレートのスライド移動の限界で、上向きおよび下向きに対向した、コアの曲面を囲む周縁チャネルを位置決めする。
【0004】
このタイプの椎間板構造は、Waldemar Link GmbH & Co.に付与された欧州特許第1142544A1号および欧州特許第1250898A1号に記載される。このような構造の欠点は、周縁リブおよびチャネルの提供により、これらのプレートおよびコアの間のベアリングおよび滑り接触に利用可能なエリアが制限され、従って、プロテーゼに伝達され得る負荷が制限されることである。支持面積が比較的小さいために、少なくともこのコアは急速な磨耗を受け、比較的短い寿命を有すると考えられる。また、このコアは、プレート間に事実上単に「固定」されているにすぎないので、この構造によって、コアは確実には保持できない。1つの代替的な議論において、このコアの曲面は、プレートの細長い溝の中に位置する、対立する細長い鍵を担持し、そして別の代替的な議論では、プレートは、コアの向かい合った曲面の細長い溝の中に位置する、対立する細長い鍵を有する。これらの鍵および溝の配置により、プレートは、溝の長さの範囲内で、一方向にのみコアの上をスライドすることが可能になる。溝中の鍵の多少の横動を差し引いても、コアの上のプレートの極めてわずかなスライド移動が直交垂直面で生じ得、これが、この設計の重大な欠点とみなされる。
【0005】
他の現在利用可能な人工椎間板は、類似の欠点および/または他の欠点を有する。代表的には、欠点としては、磨耗および引裂に対する不十分な耐性、限られた範囲の動きおよび/またはプロテーゼの性能が不十分で椎骨に接着できないことが挙げられる。
【0006】
従って、改良された人工椎間板が必要とされている。理想的には、このような改良されたプロテーゼは、磨耗および引裂に耐性があり、所望の程度の動きをもたらし、椎骨に十分に接着する。これらの目的の少なくとも一部は、本発明によって満たされる。
【0007】
(2.背景技術の記載)
公開された米国特許出願第2002/0035400A1号および同第2002/0128715A1号は、対立するプレートとそれらのプレート間のコアを備え、このコアの上をプレートがスライド可能である、椎間板移植物を記載する。このコアは、1つ以上の中心支柱を収容し、これらの支柱はプレートによって担持され、コアの中の中心開口部の向かい合った端部に位置する。このような配置により、プレートとコアの間に利用可能な耐力面積が制限される。
【0008】
人工椎間板に関する他の特許としては、米国特許第4,759,766号;同第4,863,477号;同第4,997,432号;同第5,035,716号;同第5,071,437号;同第5,370,697号;同第5,401,269号;同第5,507,816号;同第5,534,030号;同第5,556,431号;同第5,674,296号;同第5,676,702号;同第5,702,450号;同第5,824,094号;同第5,865,846号;同第5,989,291号;同第6,001,130号;同第6,022,376号;同第6,039,763号;同第6,139,579号;同第6,156,067号;同第6,162,252号;同第6,315,797号;同第6,348,071号;同第6,368,350号;同第6,416,551号;同第6,592,624号;同第6,607,558および同第6,706,068号が挙げられる。人工椎間板に関する他の特許出願としては、米国特許出願公開第2003/0009224号;同第2003/0074076号;同第2003/0191536号;同第2003/0208271号;同第2003/0135277号;同第2003/0199982号;同第2001/0016773号および同第2003/0100951号が挙げられる。他の関連特許としては、国際特許出願番号WO01/01893A1、欧州特許第1344507号、欧州特許第1344506号、欧州特許第1250898号、欧州特許第1306064号、欧州特許第1344508号、欧州特許第1344493号、欧州特許第1417940号、欧州特許第1142544号、および欧州特許第0333990号が挙げられる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、例えば、以下を提供する:
(項目1)
隣接した椎骨間に挿入するための人工椎間板であって、該人工椎間板は、以下:
上部曲面および下部曲面を有するコア;
上部プレートおよび下部プレートであって、各プレートが、椎骨に係合する外側表面および該コアの曲面上をスライドする内側曲面を有する、プレート;ならびに
該上部プレート、該下部プレートのうちの少なくとも1つおよび該コア上の周縁制限構造であって、該コア上を該プレートがスライド移動する間、該プレートのうちの少なくとも1つの曲面に対して該コアを保持する、周縁制限構造
を備える、人工椎間板。
(項目2)
上記曲面のうちの少なくとも1つが球状である、上記項目に記載の人工椎間板。
(項目3)
両方の曲面が球状である、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目4)
上記周縁制限構造内での上記コアの運動が拘束を受けていない、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目5)
上記周縁制限構造が停止構造を規定し、上記コア上を上記プレートがスライド移動する間、該プレートの相対的傾斜を制限する、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目6)
上記周縁制限構造が上記コアの片側に係合して、該コア上を上記プレートがスライド移動する間、該コアの反対側を持ち上げる、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目7)
上記周縁制限構造が、以下:
上記コアの周縁部の少なくとも一部に広がる、環状構造;ならびに
上記上部プレートおよび下部プレートの1つの上のリング構造であって、該リング構造は、該環状構造を係合し、かつ保持する、リング構造
を備える、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目8)
上記リング構造が、突出部を規定するフランジを備え、ここで、上記コア上の上記環状構造の少なくとも一部が該突出部の中に伸長して、該コアと該フランジとの締り嵌めを提供する、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目9)
上記環状構造が、上記コアの外周の周りに連続的に伸長するリムを備え、該リムが、上記フランジの内側エッジの幅よりも大きな幅を少なくともいくつかの部位に有して上記締り嵌めを提供する、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目10)
上記周縁制限構造が、以下:
上記コアの外側エッジの周りの溝;ならびに
上記上部プレートおよび下部プレートのうちの少なくとも1つの上のリング構造であって、該リング構造は、該溝を係合するリップを有する、リング構造
を備える、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目11)
上記リップが上記溝の中に伸長して、上記リング構造と上記コアとの間の締り嵌めを形成する、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目12)
上記上部プレートおよび下部プレートの外側表面が、上記椎骨への該外側表面の取付けを促進するために少なくとも1つの表面特徴を有する、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目13)
上記少なくとも1つの表面特徴が、上記外側表面に沿って配置された複数の鋸歯状の縁を備える、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目14)
上記少なくとも1つの表面特徴が、表面コーティングをさらに備える、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目15)
上記表面コーティングが、プラズマ溶射されたチタンを含む、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目16)
上記少なくとも1つの表面特徴が、酸化アルミニウムブラスト処理によって形成された複数の陥凹部をさらに備える、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目17)
上記少なくとも1つの表面特徴が、上記外側表面の各々の上に配置された少なくとも1つのフィンをさらに含む、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目18)
各フィンが、上記椎骨への取付けをさらに促進するための少なくとも1つの穴を備える、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目19)
各フィンが、前後方向に直線に配向される、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目20)
各フィンが、上記椎間板の前後軸から離れて回転する、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目21)
上記プレートが、コバルトクロムモリブデンおよびチタンからなる群より選択される少なくとも1つの金属を含む、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目22)
各プレートが、上記内側表面を形成する硬化材料に連結されたMRI適合性の材料を備える、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目23)
上記MRI適合性の材料が、チタン、およびコバルトクロムモリブデンを含む上記硬化材料を含む、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目24)
上記MRI適合性の材料が、チタンおよび上記硬化材料の窒化チタンを含む、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目25)
上記MRI適合性の材料および上記硬化材料が、積層、滑り嵌め、締り嵌めおよび接着からなる群より選択されるプロセスを用いて連結される、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目26)
上記コアが、上記上部プレートおよび下部プレートの内側曲面をスライド可能に係合する、2つの対面する凸状低摩擦表面を備える、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目27)
上記コアが、ポリマーおよびセラミックからなる群より選択される少なくとも1つの材料を含む、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目28)
隣接した椎骨間に挿入するための人工椎間板であって、該人工椎間板は、以下:
それぞれの椎骨に接して設置可能な外側表面、および内側曲面を有する、上部プレートおよび下部プレートであって、該上部プレートおよび下部プレートのうちの少なくとも1つが、該内側表面の周縁部付近に広がる周縁制限構造を備える、プレート;ならびに
移動式コアであって、該プレートが該コア上をスライド可能になるように該曲面の間に配置された移動式コア
を備え、
ここで、該コアが該周縁制限構造と係合するための少なくとも1つの周縁突出を備えることにより、該コア上を該プレートがスライド移動する間、該プレート間に該コアを係留する、人工椎間板。
(項目29)
上記周縁制限構造がフランジを備え、ここで、上記コア上の突出の少なくとも一部が該フランジの中に伸長して、該コアと該フランジとの締り嵌めを提供する、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目30)
上記突出が上記コアの外周の周りにリムを備え、該リムが上記フランジの内側エッジの直径よりも大きな直径を有する、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目31)
上記プレートの内側表面が凹状であり、上記コアが、該凹状内側表面とスライド可能に接触するための2つの凸面を備える、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目32)
上記凹状曲面および凸状曲面が球状である、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目33)
上記コアがポリマーおよびセラミックからなる群より選択される材料を含む、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目34)
上記プレートの外側表面の各々から伸長する少なくとも1つのフィンをさらに備える、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目35)
各フィンが、椎骨への該フィンの取付けを促進するための少なくとも1つの穴を備える、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目36)
各フィンが、前後方向に直線に配向される、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目37)
各フィンが、上記椎間板の前後軸から離れて回転する、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目38)
上記プレートの外側表面をテクスチャー加工して、上記椎骨に対する該プレートの取付けを強化する、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目39)
上記テクスチャー加工した表面が、鋸歯状の表面を含む、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目40)
上記鋸歯状の表面が、酸化アルミニウムブラスト処理によって形成された複数の陥凹部をさらに備える、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目41)
上記外側表面が表面コーティングをさらに備える、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目42)
上記表面コーティングが、プラズマ溶射されたチタンを含む、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目43)
上記プレートの外側表面が平坦である、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目44)
各プレートが、上記内側表面を形成する硬化材料に連結されたMRI適合性の材料を含む、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目45)
上記MRI適合性の材料が、チタン、およびコバルトクロムモリブデンを含む上記硬化材料を含む、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目46)
上記MRI適合性の材料が、チタンおよび上記硬化材料の窒化チタンを含む、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目47)
上記MRI適合性の材料および上記硬化材料が、積層、滑り嵌め、締り嵌めおよび接着からなる群より選択されるプロセスを用いて連結される、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目48)
上記上部プレートおよび下部プレートの1つのフランジが、上記コア上を該プレートがスライド移動する間、その内側表面に隣接した他のプレートと接触するように適合される、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目49)
隣接した椎骨間に挿入するための人工椎間板であって、該人工椎間板は、以下:
それぞれの椎骨に接して設置可能な外側表面、および内側曲面を有する、上部プレートおよび下部プレートであって、該上部プレートおよび下部プレートのうちの少なくとも1つが、該内側表面の周縁部付近に広がる周縁制限構造を備える、プレート;ならびに
該プレートが上記コア上をスライド可能になるように、該曲面の間に配置された移動式コア
を備え、
ここで、該コアが該周縁制限構造と係合するための側方溝を備えることにより、該コア上を該プレートがスライド移動する間、該プレート間に該コアを係留する、人工椎間板。
(項目50)
上記周縁制限構造が、上記コア上の上記溝の中に伸長するように適合させたフランジを備えて、該コアと該フランジとの締り嵌めを提供する、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目51)
上記溝に直接に隣接した上記コアの一部が、上記フランジの内側エッジの直径よりも大きな直径を有する、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目52)
上記プレートの内側表面が凹状であり、上記コアが、該内側表面とスライド可能に接触するための2つの凸面を備える、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目53)
上記凹状曲面および凸状曲面が球状である、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目54)
上記コアがポリマーおよびセラミックからなる群より選択される材料を含む、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目55)
上記プレートの外側表面の各々から伸長する少なくとも1つのフィンをさらに備える、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目56)
各フィンが、椎骨への該フィンの取付けを促進するための少なくとも1つの穴を備える、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目57)
上記プレートの外側表面をテクスチャー加工して、上記椎骨に対する該プレートの取付けを強化する、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目58)
上記テクスチャー加工した表面が、鋸歯状の表面を含む、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目59)
上記外側表面が表面コーティングをさらに備える、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目60)
上記表面コーティングが、プラズマ溶射されたチタンを含む、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目61)
上記プレートの外側表面が平坦である、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目62)
上記上部プレートおよび下部プレートの1つのフランジが、上記コア上を該プレートがスライド移動する間、その内側表面に隣接した他のプレートと接触するように適合される、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目63)
隣接した椎骨間の間隔を制限するための方法であって、該方法は、以下の工程:
上部椎体の下部表面に対して上部プレートを移植する工程;
下部椎体の上部表面に対して下部プレートを移植する工程;および
該上部プレートと該下部プレートとの間にコアを配置する工程
を包含し、
ここで、該コアは、該上部プレートおよび該下部プレートのそれぞれの球状空洞の間に浮遊し、該プレートは、少なくとも1つの周縁制限部材を用いて該コアの周縁移動を制限する、方法。
(項目64)
上記プレートの各々を移植する工程が、そのそれぞれの椎体中に形成された対応する溝の中に、各プレート上のフィンをスライドさせる工程を包含する、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
(項目65)
上記フィンをスライドさせる工程が、後方から前方の方向に行われる、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
(項目66)
上記フィンをスライドさせる工程が、横方向に行われる、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
(項目67)
上記フィンをスライドさせる工程が、後方−前方と側方との間に角をなす方向に行われる、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
(項目68)
移植する工程が、上記上部プレートおよび上記下部プレートのテクスチャー加工した外側表面を、上記椎体の上部表面および下部表面と接触させる工程をさらに包含する、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
(項目69)
隣接した椎骨間に挿入するための人工椎間板を組み立てるための方法であって、該方法は、以下の工程:
コアを第1エンドプレートと移動可能に連結させて、該コアと該第1エンドプレートとの間に締り嵌めを形成する工程;および
該コアを第2エンドプレートと接触させる工程
を包含する、方法。
(項目70)
上記コアを上記第1エンドプレートと連結させる工程が、該コアを該エンドプレート中にスナップ嵌めする工程を包含する、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
(項目71)
上記コアを上記第1エンドプレートと連結させる工程が、該コアの周りに該エンドプレートを形成する工程を包含する、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
(項目72)
上記コアを上記第1エンドプレートと連結させる工程が、該コアの周縁突出を該第1エンドプレートの周縁制限構造と係合させる工程を包含する、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
(項目73)
隣接した椎骨間に挿入するための人工椎間板であって、該人工椎間板は、以下:
それぞれの椎骨に対して設置可能な外側表面、および内側曲面を有する、上部プレートおよび下部プレート;
該プレート間のコアであって、該コアは、該プレートの内側曲面に相補的な形状の上部曲面および下部曲面を有し、該コア上を該プレートがスライドするのを可能にする、コア;ならびに
該コアの上部曲面および下部曲面のうちの少なくとも1つから、該プレートの内側表面の1つの少なくとも1つの陥凹の中へ伸長する、少なくとも1つの突出物であって、該陥凹が該突出物に対して過大であることにより、該コア上を該プレートがスライド移動可能になると同時に、このようなスライド移動の間、該プレート間に該コアを保持する、突出物
を備える、人工椎間板。
(項目74)
上記コアの上部表面および下部表面から伸長する複数の突出物をさらに備える、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目75)
上記複数の突出物が、上記コアの上部表面および下部表面の各々の周縁部分から、上記上部プレートおよび下部プレート上のリング形の陥凹の中へ突出する、2つの隆起リングを備える、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目76)
上記複数の突出物が、上記コアの上部表面および下部表面の各々の周縁部分から、上記上部プレートおよび下部プレート上の複数の陥凹の中へ突出する、複数の表面特徴を備える、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目77)
上記複数の突出物が、上記コアを貫通して軸方向に伸長する細長い直立した要素のそれぞれの端部を含み、該端部が該コアの上部表面および下部表面を越えて突出する、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目78)
上記直立要素が、上記コアを貫通する軸方向通路を通って伸長するロッドを含む、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目79)
上記ロッドおよび通路が、係合のために互いに相補的にねじ込まれる、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目80)
上記プレートの外側表面の各々から伸長する少なくとも1つのフィンをさらに備える、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目81)
各フィンが、前後方向に直線に配向される、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目82)
各フィンが、上記人工椎間板の前後軸から離れて回転する、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目83)
各フィンが、上記椎骨への上記プレートの取付けを促進するための少なくとも1つの穴を備える、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目84)
上記プレートの外側表面をテクスチャー加工して、上記椎骨に対する該プレートの取付けを強化する、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目85)
上記テクスチャー加工した表面が、複数の鋸歯状の縁を備える、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目86)
上記外側表面が、上記椎骨に対する上記プレートの取付けを強化するために表面コーティングをさらに備える、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目87)
上記表面コーティングが、プラズマ溶射されたチタンを含む、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目88)
上記プレートの外側表面が平坦である、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目89)
上記上部プレートおよび下部プレートの外側エッジ部分が、上記コア上を該プレートがスライド移動する間、互いに接触するように適合されている、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目90)
隣接した椎骨間に挿入するための人工椎間板であって、該人工椎間板は、以下:
それぞれの椎骨に接して設置可能な外側表面、および内側曲面を有する、上部プレートならびに下部プレートであって、該内側表面の少なくとも1つが少なくとも1つの陥凹を有する、上部プレートならびに下部プレート;
該プレート間のコアであって、該コアは、該コア上を該プレートがスライドするのを可能にするために、該プレートの内側曲面に相補的な形状の上部曲面および下部曲面を有し、かつ軸方向の通路が該コアを貫通して伸長する、コア;ならびに
軸方向の通路を通って該プレートの内側表面の少なくとも1つの陥凹の中へ伸長するロッドであって、該陥凹が該突出物に対して過大であることにより、該コア上を該プレートがスライド移動可能になると同時に、このようなスライド移動の間、該プレート間に該コアを保持する、ロッド
を備える、人工椎間板。
(項目91)
上記ロッドおよび通路が、係合のために互いに相補的にねじ込まれる、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目92)
上記ロッドが、上記上部プレート上の第1過大陥凹および上記下部プレート上の第2過大陥凹と、移動可能に係合される、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目93)
上記プレートの外側表面の各々から伸長する少なくとも1つのフィンをさらに備える、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目94)
各フィンが、前後方向に直線に配向される、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目95)
各フィンが、上記人工椎間板の前後軸から離れて回転する、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目96)
各フィンが、上記椎骨への上記プレートの取付けを促進するための少なくとも1つの穴を備える、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目97)
上記プレートの外側表面をテクスチャー加工して、上記椎骨に対する該プレートの取付けを強化する、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目98)
上記テクスチャー加工した表面が、複数の鋸歯状の縁を備える、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目99)
上記外側表面が、上記椎骨に対する上記プレートの取付けを強化するために表面コーティングをさらに備える、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目100)
上記表面コーティングが、プラズマ溶射されたチタンを含む、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目101)
上記プレートの外側表面が平坦である、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目102)
上記上部プレートおよび下部プレートの外側エッジ部分が、上記コア上を該プレートがスライド移動する間、互いに接触するように適合されている、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目103)
隣接した椎骨間に挿入するための人工椎間板であって、該人工椎間板は、以下:
それぞれの椎骨に対して設置可能な外側表面、および内側曲面を有する、上部プレートおよび下部プレート;
該プレート間のコアであって、該コアは、該プレートの内側曲面に相補的な形状の上部曲面および下部曲面を有し、該コア上を該プレートがスライドするのを可能にする、コア;ならびに
該コアを貫いて側方に伸長し、かつ該コアの外側に端部を有する可撓性の繋ぎ部材であって、該端部が、該コア上を該プレートがスライドするときに該プレート間に該コアを保持するために、該プレートの一方または両方と係合される、可撓性の繋ぎ部材
を備える、人工椎間板。
(項目104)
上記可撓性の繋ぎ部材が、上記コアを貫通する側方通路を通って伸長し、かつ上部プレートおよび下部プレートのうちの少なくとも1つと係合される端部を備える、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目105)
上記可撓性の繋ぎ部材が、可撓性のケーブルまたはコードを含む、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目106)
隣接した椎骨間に挿入するための人工椎間板であって、該人工椎間板は、以下:
それぞれの椎骨に対して設置可能な外側表面、および内側曲面を有する、上部プレートおよび下部プレート;ならびに
該プレート間のコアであって、該コアは、該プレートの内側曲面に相補的な形状の上部曲面および下部曲面を有し、該コア上を該プレートがスライドするのを可能にする、コアを備え、
ここで、上記プレートおよびコアの曲面が、該プレートが該コア上をスライドするときに該プレート間に該コアを保持するために、互いに協同する形成物を備え、このような形成物には、陥凹および該陥凹に収容される突出物が含まれ、該陥凹および突出物は、関連する曲面の中心軸とその外周との間に設置される、人工椎間板。
(項目107)
上記突出物が、上記コアの上部表面および下部表面の各々の周縁部分から、上記上部プレートおよび下部プレート上のリング形の陥凹の中へ突出する、2つの隆起リングを備える、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目108)
上記突出物が、上記コアの上部表面および下部表面の各々の周縁部分から、上記上部プレートおよび下部プレート上の複数の陥凹の中へ突出する、複数の表面特徴を備える、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目109)
上記プレートの外側表面の各々から伸長する少なくとも1つのフィンをさらに備える、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目110)
各フィンが、前後方向に直線に配向される、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目111)
各フィンが、上記人工椎間板の前後軸から離れて回転する、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目112)
各フィンが、上記椎骨への上記プレートの取付けを促進するための少なくとも1つの穴を備える、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目113)
上記プレートの外側表面をテクスチャー加工して、上記椎骨に対する該プレートの取付けを強化する、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目114)
上記テクスチャー加工した表面が、複数の鋸歯状の縁を備える、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目115)
上記プレートの外側表面が平坦である、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目116)
上記上部プレートおよび下部プレートの外側エッジ部分が、上記コア上を該プレートがスライド移動する間、互いに接触するように適合されている、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(発明の簡単な要旨)
本発明の1つの局面において、隣接した椎骨間に挿入するための人工椎間板は、それぞれの椎骨に係合し、かつそれぞれの椎骨に接して設置可能な外側表面、ならびに内側曲面を有する、上部プレートおよび下部プレートを備える。これらの曲面の間にコアが配置されることにより、プレートがコアの上をスライド可能になる。好ましくは、これらのプレートは、先行技術のように単一方向の移動に限定されることなく、あらゆる方向に自由にスライド可能である。本発明は、これらのプレートまたはコアの一方または両方の上に、周縁制限構造をさらに提供して、コア上でのプレートのスライド移動の間、少なくとも1つのプレートの曲面に対してコアを保持する。この周縁制限構造は、上部プレートおよび下部プレートのうちの少なくとも1つに対して、コアの移動の限界または境界を規定する。しかしながら、このような周縁境界内で、プレートに対するコアの移動は、好ましくは拘束を受けない。すなわち、プレートに対するコアの移動は、顕著な阻害または摩擦なしに、任意の方向に起こり得る。このコアは、好ましくは上部または下部プレートのいずれにも取り付けられず、従ってこれらのプレートはコアの上に互いに自由に関節でつながり得、低摩擦を生じる表面を提供する。
【0010】
これまで記載されたこの構造の利点は、コアと上部プレートおよび下部プレートの各々との間の表面接触域が最大化され得ることである。周縁制限のみを提供することにより、コアおよびプレートの表面上の例えば溝および鍵とは対照的に、プレートのサイズに対してコアの幅または直径が最大化され得る。さらに、互いに接触するコアおよびプレートの表面は、滑らかに作製され、性能に悪影響を及ぼすであろう他の構造物がない場合がある。好ましい実施形態において、プレートの曲面および対応するコアの表面の両方とも、球状の断面である。球面の使用により、あらゆる方向に、自由な、拘束を受けない、プレートおよびコアの相対運動が促進される。
【0011】
いくつかの実施形態において、この周縁制限構造は、コア上をプレートがスライド移動する間、通常は停止構造を規定することによって、プレートの相対的な傾斜を制限する。他の実施形態において、この周縁制限構造は、コア上をプレートがスライド移動する間、コアの片側をこのコアの反対側に対して持ち上げる。この周縁制限構造自体は、任意の多数の種々の形態をとり得る。1つの実施形態において、例えば、この制限構造は、上部プレートおよび下部プレートのうちの少なくとも1つ上にリング構造を備え、かつ、コアの周縁部の少なくとも一部に環状構造を備える。コア上に環状構造を係合および制限するように、このリング構造を適合させる。例えば、このリング構造は、プレートの1つの周縁部の少なくとも一部上に突出部を規定する、フランジを備え得る。このフランジの突出部は、コア上に環状構造を収容し、プレートの曲面に対してコアを保持する締り嵌めを提供するが、コアが、フランジによって規定される限界または境界内を、自由に、かつ拘束を受けない様式でスライドするのを可能にする。このコア上の環状構造は、コアの外周の周りに連続的にまたは不連続的に(好ましくは連続的に)伸長するリムであってもよい。ある箇所で、フランジの内側エッジの対応する幅よりもわずかに大きい幅(通常は直径)を有するリムを提供することによって、このコアが保持され、通常の使用ではリング構造によって規定される空洞から取り外されない。
【0012】
通常、このフランジまたは他のリング構造ならびにリムまたは他の環状構造は、それぞれプレートおよびコアの周縁部付近に連続的に形成される。あるいは、しかしながら、環状構造およびリング構造のいずれかまたは両方は、不連続的に形成され得る。すなわち、人工椎間板の予想される全ての形状および使用の間、少なくとも一部のリング構造および環状構造が係合されたままである限り、プレートの曲面に対してコアを保持するという目的は満たされる。
【0013】
これらの上部プレートおよび下部プレートは、任意の適切な材料または材料の組み合わせ(例えば、これらに限定されないが、コバルトクロムモリブデンおよびチタン)で製造され得る。いくつかの実施形態において、チタンプレートが用いられ、これらのプレートは、必要に応じて、窒化チタンの内側表面、および微小陥凹部を設けるために酸化アルミニウムブラスト処理された外側表面を備え得る。別の実施形態において、酸化アルミニウムでブラスト処理され、次いでチタンプラズマ溶射でコーティングされた外側表面を有する、コバルトクロムプレートが用いられる。いくつかの実施形態において、これらのプレートは、チタンのようなMRI適合性の材料を、コバルトクロムモリブデンのような硬化材料に連結させて含む。このような材料は、任意の適切な手段(例えば、積層、滑り嵌め、締り嵌め、接着、溶接、成形など)を用いて連結され得る。いくつかのプレートは、摩擦ならびに/または磨耗および引裂を低減させるために、内側表面上に、窒化チタン表面のようなコーティングまたは材料を含む。
【0014】
必要に応じて、いくつかの実施形態において、上部プレートおよび下部プレートの外側表面は、椎骨へのこれらの外側表面の取付けを促進するために、少なくとも1つの表面特徴を有する。例えば、このような表面特徴としては、外側表面に沿って配置された複数の鋸歯状の縁が挙げられ得る。いくつかの実施形態は、椎骨へのプロテーゼの取付けを強化するために、外側表面上にさらなる特徴または代替の特徴(例えば、チタンプラズマ溶射のような、材料またはコーティング)を含む。取付けをさらに強化するために、例えば酸化アルミニウム溶射によって、複数の微小陥凹部が外側表面上に形成され得る。さらに、またはあるいは、これらの表面特徴には、各々の外側表面上に配置された少なくとも1つのフィンが含まれ得る。いくつかの実施形態において、このフィンは、椎骨への取付けをさらに促進するために、少なくとも1つの穴を備える。フィンは、直角をなしてそれらの対応する外側表面から垂直に伸張し得るか、あるいはこれらのフィンは、90°以外の角度でそれらの対応する外側表面から伸長し得る。フィンはまた、このプロテーゼの前後軸に対して、任意の適切な配向性を有し得る。例えば、フィンは、折り曲げられることなく、前方から後方へ直線に伸長し得る。あるいは、このフィンは、0°と180°の間の任意の適切な角度で、前後軸から離れて回転させ得るかまたは折り曲げられ得る。1つの実施形態において、各フィンは、外側表面上の横方向に配置される。
【0015】
このコアは、一般に、任意の適切な構造を有し、かつ、任意の適切な材料または材料の組み合わせ(例えば、ポリマー、セラミックなど)で製造され得る。いくつかの実施形態において、このコアは、上部プレートおよび下部プレートの内側曲面をスライド可能に係合するために、低摩擦材料を含み、かつ、2つの凸面を有する。
【0016】
本発明の別の局面において、隣接した椎骨間に挿入するための人工椎間板は、上部プレートおよび下部プレートならびにこれらのプレート間に配置される浮動性のコアを備える。また、これらの上部プレートおよび下部プレートは、それぞれの椎骨に接して設置可能な外側表面、および内側曲面を有する。さらに、上部プレートおよび下部プレートのうちの少なくとも1つは、内側表面の1つから伸長するフランジを備える。このコアは、コア上をプレートがスライド移動する間、プレート間にコアを係留するように、フランジと係合するために、少なくとも1つの周縁溝を備える。上記の任意の特徴はまた、多様な実施形態に組み込まれ得る。
【0017】
本発明の別の局面において、隣接した椎骨間に挿入するための人工椎間板は、それぞれの椎骨に接して設置可能な外側表面および内側曲面を有する、上部プレートおよび下部プレートを備え、少なくとも1つのこれらの上部プレートおよび下部プレートは、内側表面の1つから伸長するフランジを備える。浮動性のコアがこれらの曲面の間に配置されて、プレートがコアの上をスライドするのを可能にし、そしてこのコアは、コア上をプレートがスライド移動する間、プレート間にコアを係留するように、フランジと係合するために、少なくとも1つの周縁突出を備える。また、多様な実施形態が、上記の特徴のうちのいずれかを含み得る。
【0018】
本発明のさらに別の局面において、隣接した椎骨間に挿入するための人工椎間板は、それぞれの椎骨に接して設置可能な外側表面および内側曲面を有する上部プレートおよび下部プレート、これらのプレート間のコア、ならびに対立する保持形成物を備える。このコアは、プレートの内側曲面に相補的な形状の上部曲面および下部曲面を備えることにより、コア上をプレートがスライドするのを可能にし、このコアの上部表面および下部表面は、コアを貫いて側方に伸長する赤道面上におよび赤道面下にそれぞれ位置する。対立する保持形成物は、コアの赤道面上の周縁および少なくとも1つのプレートの曲面のエッジに位置し、そしてコア上をプレートがスライド移動する間、プレート間にコアを係留するのに役立つ。
【0019】
本発明のさらに別の局面において、隣接した椎骨間の間隔を制限する方法は、上部椎体の下部表面に接して上部プレートを移植する工程、下部椎体の上部表面に接して下部プレートを移植する工程、およびこれらの上部プレートと下部プレートの間にコアを配置する工程を包含する。このコアは、上部プレートおよび下部プレートのそれぞれの球状空洞の間に浮遊し、これらのプレートは、少なくとも1つの周縁制限部材を用いてコアの周縁移動を制限する。いくつかの実施形態において、各プレートを移植する工程は、それぞれの椎体中に形成された対応する溝の中に、各プレート上のフィンをスライドさせる工程を包含する。このフィンは、任意の適切な方向に(例えば、後方−前方、前方−後方、側方、または前方−後方配向と側方配向の間に任意の角をなす方向に)、溝の中にスライドし得る。必要に応じて、移植する工程は、上部プレートおよび下部プレートのテクスチャー加工した外側表面を、椎体の上部表面および下部表面と接触させる工程をさらに包含し得る。
【0020】
本発明の別の局面において、隣接した椎骨間に挿入するための人工椎間板を組み立てる方法は、コアを第1エンドプレートと移動可能に連結させて、このコアと第1エンドプレートの間に締り嵌めを形成する工程、およびこのコアを第2エンドプレートと接触させる工程を包含する。いくつかの実施形態において、コアを第1エンドプレートと連結させる工程は、コアをエンドプレート中にスナップ嵌めする工程を包含する。あるいは、コアを第1エンドプレートと連結させる工程は、コアの周りにエンドプレートを形成する工程を包含し得る。いくつかの実施形態において、コアを第1エンドプレートと連結させる工程は、コアの周縁突出を第1エンドプレートの周縁制限構造と係合させる工程を包含する。
【0021】
本発明の別の局面において、隣接した椎骨間に挿入するための人工椎間板は、以下を備える:それぞれの椎骨に接して設置可能な外側表面、および内側曲面を有する、上部ならびに下部プレート;該プレート間のコアであって、プレートの内側曲面に相補的な形状の上部曲面および下部曲面を有し、コア上をプレートがスライドするのを可能にする、コア;ならびに、該コアの上部曲面および下部曲面の少なくとも1つから、該プレートの内側表面の1つの少なくとも1つの陥凹の中へ伸長する、少なくとも1つの突出物であって、該陥凹が突出物に対して過大であることにより、コア上をプレートがスライド移動可能になり、一方、このようなスライド移動の間、プレート間にコアを保持する、突出物。
【0022】
いくつかの実施形態は、コアの上部表面および下部表面から伸長する複数の突出物をさらに備える。例えば、これらの複数の突出物は、コアの上部表面および下部表面の各々の周縁部分から、上部プレートおよび下部プレート上のリング形の陥凹の中へ伸長する、2つの隆起リングを備え得る。他の実施形態において、これらの複数の突出物には、コアの上部表面および下部表面の各々の周縁部分から、上部プレートおよび下部プレート上の複数の陥凹の中へ伸長する、複数の表面特徴が含まれ得る。さらに他の実施形態において、これらの複数の突出物には、コアを貫通して軸方向に伸長する細長い直立した要素のそれぞれの端部が含まれ得、これらの端部は上部コア表面および下部コア表面を越えて突出している。例えば、この直立要素には、コアを貫通する軸方向通路を通って伸長するロッドが含まれ得る。いくつかの実施形態において、このようなロッドおよび通路は、係合のために互いに相補的にねじ込まれ得る。
【0023】
本発明の別の局面において、隣接した椎骨間に挿入するための人工椎間板は、以下を備える:それぞれの椎骨に接して設置可能な外側表面、および内側曲面を有し、少なくとも1つの該内側表面が少なくとも1つの陥凹を有する、上部ならびに下部プレート;該プレート間のコアであって、コア上をプレートがスライドするのを可能にするために、プレートの内側曲面に相補的な形状の上部曲面および下部曲面を有し、かつ軸方向の通路がコアを貫通して伸長する、コア;ならびに、軸方向の通路を通ってプレートの内側表面の少なくとも1つの陥凹の中へ伸長するロッド。これらの陥凹は、突出物に対して過大であることにより、コア上をプレートがスライド移動可能になり、一方、このようなスライド移動の間、プレート間にコアを保持する。
【0024】
必要に応じて、ロッドおよび通路は、係合のために互いに相補的にねじ込まれ得る。いくつかの実施形態において、このロッドは、上部プレート上の第1過大陥凹および下部プレート上の第2過大陥凹と、移動可能に係合される。種々の実施形態において、これらのプレートおよびコアは、上記の特徴または特性のうちのいずれかを有し得る。
【0025】
本発明の別の局面において、隣接した椎骨間に挿入するための人工椎間板は、以下を備える:それぞれの椎骨に接して設置可能な外側表面、および内側曲面を有する、上部ならびに下部プレート;該プレート間のコアであって、コア上をプレートがスライドするのを可能にするために、該プレートの内側曲面に相補的な形状の上部曲面および下部曲面を有する、コア;ならびに、該コアを貫いて側方に伸長し、かつコアの外側に端部(プレートがコア上をスライドするときにプレート間にコアを保持するために、該プレートの一方または両方と係合される端部)を有する、可撓性の繋ぎ部材。この可撓性の繋ぎ部材は、例えば、コアを貫通する側方通路を通って伸長し得、かつ上部プレートおよび下部プレートのうちの少なくとも1つと係合される端部を備え得る。いくつかの実施形態において、この可撓性の繋ぎ部材には、可撓性のケーブルまたはコードが含まれる。
【0026】
本発明のさらに別の例において、隣接した椎骨間に挿入するための人工椎間板は、以下を備える:それぞれの椎骨に接して設置可能なテクスチャー加工した外側表面であって、これらの外側表面の各々が、少なくとも1つの垂直フィンおよび他のプレートの対応するエッジと接触するように適合したエッジ部分を有する、外側表面、および内側曲面を有する、上部プレートならびに下部プレート;ならびにこれらのプレート間のコアであって、コア上をプレートがスライドするのを可能にするために、該プレートの内側曲面に相補的な形状の上部曲面および下部曲面を有する、コア。これらのプレートおよびコアの曲面は、プレートがコア上をスライドするときにプレート間にコアを保持するために、互いに協同する形成物を備える。これらの形成物には、陥凹および該陥凹に収容される突出物が含まれ、これらの陥凹および突出物は、関連する曲面の中心軸とその外周との間に設置される。
【0027】
いくつかの実施形態において、例えば、これらの突出物は、コアの上部表面および下部表面の各々の周縁部分から、上部プレートおよび下部プレート上のリング形の陥凹の中へ突出する、2つの隆起リングを備え得る。他の実施形態において、これらの突出物は、コアの上部表面および下部表面の各々の周縁部分から、上部プレートおよび下部プレート上の複数の陥凹の中へ突出する、複数の表面特徴を含み得る。さらに、これらのプレートおよびコアは、上記の特徴のうちのいずれかを含み得る。
【0028】
これらのおよび他の局面および実施形態は、図面を参照して以下により詳細に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図1は、本発明の1実施形態による、垂直に配列したプロテーゼプレートおよびコアを備える人工椎間板の断面前面図を示す。
【図2】図2は、コア上をプレートがスライド移動した後の、図1における人工椎間板の側面図を示す。
【図3】図3は、コアに対してプレートが並進運動した後の、図1における人工椎間板の側面図を示す。
【図4】図4は、垂直に配列したプロテーゼプレートおよびコアを備える、図1における人工椎間板の側面図を示す。
【図5】図5は、本発明の1実施形態による、人工椎間板のコアの平面図を示す。
【図6】図6は、本発明の1実施形態による、人工椎間板の上部プレートの平面図を示す。
【図7】図7は、垂直に配列したプロテーゼプレートおよびコアを備える、本発明の1実施形態による人工椎間板の断面前面図を示す。
【図8】図8は、コア上をプレートがスライド移動した後の、図7の人工椎間板の断面側面図を示す。
【図9】図9は、コアに対してプレートが並進運動した後の、図7の人工椎間板の断面側面図を示す。
【図10】図10は、垂直に配列したプレートおよびコアを備える、図7の人工椎間板の断面側面図を示す。
【図11】図11は、本発明の別の実施形態による人工椎間板の断面前面図を示す。
【図12】図12は、図11の人工椎間板の断面側面図を示す。
【図13】図13は、本発明の別の実施形態による人工椎間板の断面前面図を示す。
【図14】図14は、図13の人工椎間板の断面側面図を示す。
【図15】図15は、本発明の別の実施形態の断面側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
(発明の詳細な説明)
図1〜4は、隣接した2つの脊髄椎骨(図示せず)の間に椎間挿入するための人工椎間板10を図解する。この人工椎間板10は、3つの構成要素、すなわち上部プレートまたはシェル12、下部プレートまたはシェル14およびこれらのプレート間に配置されたコア16を備える。
【0031】
上部プレート12は、外側表面18および内側表面24を備え、任意の適切な材料または材料の組み合わせ、例えばコバルトクロムモリブデン、チタン(例えばグレード5チタン)および/またはその他同種のものから作製され得るが、これらに限定されない。1つの実施形態において、腰椎において代表的に用いられる人工椎間板は、上部プレート12がコバルトクロムモリブデンで作製され、そして外側表面18が酸化アルミニウムブラスト法で処理後にチタンプラズマ溶射される。別の実施形態において、頸椎において代表的に用いられる人工椎間板は、上部プレート12がチタンで作製され、内側表面24が窒化チタンでコーティングされ、そして外側表面18が酸化アルミニウムブラスト法で処理される。代替の頸椎実施形態は、内側表面24上にコーティングを含まない。いくつかの実施形態において、2種類の材料を連結させて内側表面24および外側表面18を形成することは有用であり得る。例えば、上部プレート12は、MRI適合性の材料(例えばチタン)で作製され得るが、内側表面24には、より硬質の材料(例えばコバルトクロムモリブデン)を含み得る。任意の適切な技術、例えばスナップ嵌め、滑り嵌め、積層、締り嵌め、接着剤の使用、溶接および/またはその他同種の技術を用いて、材料を連結させ得る。任意の他の適切な組み合わせの材料およびコーティングが、本発明の種々の実施形態において用いられ得る。
【0032】
いくつかの実施形態において、外側表面18は平面である。この外側表面18は、椎骨へのプロテーゼ10の取付けを強化するために、しばしば1以上の表面特徴および/または材料を備える。例えば、外側表面18を機械加工して、椎骨への上部プレート12の取付けを促進するために鋸歯状の縁20または他の表面特徴を有し得る。示した実施形態(図6)において、鋸歯状の縁20は、交互に直交方向に伸長するが、他の形状もまた有用である。さらに、外側表面18に、酸化アルミニウム微粒子などを用いたブラスト処理によって形成される粗い超仕上げを提供し得る。いくつかの実施形態において、この外側表面はまた、チタンプラズマ溶射して椎骨への外側表面18の取付けをさらに強化し得る。
【0033】
この外側表面18はまた、前後方向に伸長する、直立した垂直フィン22も担持し得る。このフィン22は、横穴23によって貫通される。代替の実施形態において、このフィン22は、前後軸から離れて、例えば外側−外側配向、後外側−前外側配向などで回転し得る。いくつかの実施形態において、このフィン22は、90°以外の角度で表面18から伸長し得る。さらに、種々の実施形態において、複数のフィン22が表面18に装着され得、そして/またはこのフィン22は任意の他の適切な配置を有し得る。他の実施形態において、フィン22 いくつかの実施形態(例えば、頚部挿入のための人工椎間板10)において、フィン22、42は完全に省略され得る。
【0034】
球状に湾曲した凹状の内側表面24は、図示されるように、中心軸位置に円形陥凹26を有して形成される。曲面24の外縁で、上部プレート12は、内向きに向いたリブまたはフランジ28を備える一体化したリング構造26を含む、周縁制限構造を担持する。このフランジ28は、環状ウェブ32によってプレートの主要部分に接合されたU形部材30の一部を形成する。このフランジ28は、内向きにテーパ状の形状を有し、上部プレート12が図1に見られる配向である場合、この水平方向に対してわずかに傾いた上部表面34および下部表面36をそれぞれ規定する。U形部材30の突出部38は、図示されるように内向きにテーパ状の垂直面を有する。
【0035】
下部プレート14は、周縁制限構造26が存在しないこと以外は、上部プレート12と類似している。従って、下部プレート14は、上部プレート12の外側表面18のように鋸歯状の縁のある超仕上げされた平面である、外側表面40を有する。下部プレート14は、必要に応じて、上部プレートのフィン22と類似したフィン42を担持する。下部プレート14の内側表面44は凹状であり、上部プレート12の内側表面24の曲率半径と一致する曲率半径で、球状に湾曲している。前と同じく、この表面には、窒化チタンまたは他の仕上げが提供され得る。
【0036】
内側曲面44の外縁で、下部プレート14に傾斜したレッジ形成物46が提供される。あるいは、下部プレート14は、上部プレート12上の周縁制限構造26に類似した周縁制限構造を備え得る。
【0037】
人工椎間板10のコア16は、例えばポリエチレン(Chirulen(商標))のような、低摩擦材料で作製される。代替の実施形態において、コア16は、任意の他の適切な材料、例えば他のポリマー、セラミックなどを含み得る。コア16は、同一の球状に湾曲した上部凸面48および下部凸面50を有する。これらの表面の曲率半径は、上部プレート12の内側表面24および下部プレート14の内側表面44の曲率半径と一致する。従って、これらの曲面は相補的である。耐磨耗性のために、コアの表面ゾーンは、適切な架橋手順によって硬化させ得る。
【0038】
コア16は、これを側方に二分する中心赤道面52について対称である。(たとえ他の実施形態において、コア16が非対称である場合があっても。)このコアの周縁部付近に広がる環状陥凹または溝54が、この赤道面上に位置している。溝54は、上部リブまたはリップ56と下部リブまたはリップ56との間に規定される。プレート12、14およびコア16が組み立てられ、図1に見られる配向の状態にある場合、フランジ28は赤道面上に位置し、溝54と一直線に並ぶ。リップ56の外径58は、好ましくはフランジ28の内側エッジによって規定される直径60よりもごくわずかに大きい。コアおよび上部プレートの組立ては、フランジ28によって規定される環状開口部を介してコアをプレスする工程を包含し得、コアの固有の弾性によって上部リブ56のわずかな変形が可能になるか、またはコアがある傾斜で導入される。他のあまり好ましくない本発明の実施形態(図示せず)において、直径58は、直径60と同じであるかまたは直径60よりもなおわずかに小さい場合がある。
【0039】
いくつかの実施形態において、溝54の内側表面には、耐磨耗性のために、純チタンまたはコバルトクロムを含浸したチタン、窒化チタン、他のチタン合金などの内張りが提供され得る。
【0040】
人工椎間板10の中心軸(曲面の曲率中心を通る軸)は参照番号62で示される。図1に示すように、人工椎間板10は、軸62を備える中心前後平面について対称であり得る。図4を参照して、いくつかの実施形態において、軸62は後方に配置される。すなわち、人工椎間板の前方限界よりも後方限界により近接して設置される。
【0041】
使用にあたって、人工椎間板10は、損傷した椎間板の代わりに、隣接した脊髄椎骨の間に外科的に移植される。隣接した椎骨は、強制的に互いに分離され、挿入に必要な空間を生じる。人工椎間板を、通常は後方に向かって、椎骨の間の所定の位置に挿入し、プレート12、14のフィン22、42は、これらを受容するために対立する椎骨の表面に切り込まれたスロットに入る。挿入後、椎骨、小関節面、隣接した靭帯および軟組織を一体として動かして、人工椎間板を所定の位置に保持可能にする。鋸歯状の縁のある超仕上げされた、プレート12、14の表面18、40を、対立する椎骨に接して設置する。鋸歯状の縁20およびフィン22、42は、人工椎間板10に初期安定性および固定をもたらす。時間が経つにつれて、チタン表面コーティングによって強化された、プレートと椎骨の間のしっかりした接続が、鋸歯状の縁のある表面上の骨組織の成長に伴い達成される。骨組織はまた、フィン22、40の周りおよびその中の横穴23を通っても成長し、達成される接続をさらに強化する。
【0042】
図5を参照して、コア16は、チタンピン64を収容する、狭い、角度をなして間隔を空けた、出口のない通路61を備えて形成され得る。多数の実施形態において、コア16自体は、X線放射を通し、従って手術後のX線検査において不可視である。ピン64は、X線撮影マーカーとしての役割を果たし、このような検査中にコア16の位置を確認することが可能になる。
【0043】
組立人工椎間板10において、プレートおよびコアの相補的かつ協同する球面により、中心軸62の周りの回転を含む、かなり広い範囲の角度にわたって、あらゆる方向または自由度で、プレートがコアの上をスライドするかまたは関節でつながることが可能になる。図1および図4は、軸62の上に互いに垂直に配列したプレート12および14ならびにコア16を備える人工椎間板10を示す。図2は、人工椎間板10の最大限の前方屈曲が生じた状況を図示する。この位置で、取り囲まれたエリア69に見られるように、上部リブ56はU形部材30の穴38に入り、該リブ56の下部表面は移動してフランジ28の上部表面34と接触し、該フランジは溝54中に移動し、そして該フランジの下部表面36は移動してレッジ形成物46の上部表面と接触している。種々の表面間の隣接により、さらなる前方屈曲が阻止される。この設計によって、フランジ28の内端が溝54の基部に接することも可能になり、その結果、コアとプレートの間のさらなる相対運動を制限する。同様の配置が、コア上のプレート12、14の最大限の後方屈曲の場合に(例えば脊髄伸長の間)、および/または最大限の側方屈曲の場合に達成される。
【0044】
図3は、人工椎間板10が、コアに対するプレートの並進運動をも可能にし得るための方法を図示する。この図示した状況において、コアに対してプレートが側方並進している。番号70で示されるように、フランジ28の内端が溝54の基部に接すると、側方並進の限界に達する。
【0045】
フランジ28およびリブ56の間に規定された溝54は、プレートからコアが分離するのを阻止する。言い換えれば、保持形成物の協同作用により、人工椎間板10の屈曲の間、常にコアがプレート間に係留されることを確実にする。
【0046】
代替の実施形態において、連続的な環状フランジ28は、周囲に間隔をあけて離れた多数のフランジセグメントを備える保持形成物に置き換えられ得る。このような実施形態としては、例示的な実施形態におけるような、単一の連続的な溝54が挙げられ得る。あるいは、コアの周縁部に間隔をあけて離れた、対応する数の溝様の陥凹が用いられ得、各フランジセグメントが陥凹の1つに対立している。別の実施形態において、連続的なフランジまたは複数のフランジセグメントは、上部プレート12に担持される内向きに向いたペグまたはピンに置き換えられ得る。この実施形態としては、単一の連続的な溝54、または、各ピンもしくはペグが陥凹に対立している、周囲に間隔をあけた一連の陥凹が挙げられ得る。
【0047】
さらに別の実施形態において、保持形成物は、上部プレートの代わりに下部プレート14に担持され得る。すなわち、これらのプレートが逆にされる。いくつかの実施形態において、上部(または下部)プレートは、その内側曲面のエッジに、内向きに向いた溝、または周囲に間隔をあけた溝セグメントを備えて形成され、コアの外周は、外向きに向いたフランジ、または周囲に間隔をあけたフランジセグメントを備えて形成される。
【0048】
図7〜10は、代替の実施形態に従って人工椎間板110を図示する。先の実施形態において見られるように、人工椎間板110は、3つの主要な構成要素――上部プレートまたはシェル112、下部プレートまたはシェル114およびこれらのプレート間に配置されたコア116を備える。上部プレート112は、鋸歯状の縁120を備える主要な外側表面118を有する。さらに、この表面118には、酸化アルミニウム微粒子などを用いたブラスト処理によって形成される粗い超仕上げが提供され得る。この表面118はまた、前後方向に伸長する、直立した垂直フィン122も担持する。このフィン122は、横穴123によって貫通される。上部プレート112は、コバルトクロムまたは窒化チタン仕上げをして形成された、球状に湾曲した凹状の内側表面124を有する。この湾曲表面124は、図示されるように、中心軸位置に円形陥凹26を有して形成される。
【0049】
人工椎間板110のコア116は、例えば前述のような任意の適切な低摩擦材料で作製され得、一般に、同一の球状に湾曲した上部凸面148および下部凸面150を備える。これらの表面の曲率半径は、上部プレート112の内側表面124および下部プレート114の内側表面144の曲率半径と一致する。従って、これらの曲面は相補的である。耐磨耗性のために、コアの表面ゾーンは、適切な架橋手順によって硬化させ得る。
【0050】
通路132は、コアを通って軸方向に伸長する。この通路は、チタンまたは他の適切な材料のスリーブ133を内部に差し込んで提供される。円形断面の形態の細長い要素である、ねじ込みロッド134は、この通路を通って軸方向に伸長し、スリーブ133とねじ込み係合した状態にある。このロッドの長さは、コアの軸方向の寸法よりも大きく、そのために、ロッドの反対端136がコアの曲面128および130から突き出るという結果になる。組立人工椎間板110において、これらの端部36は、陥凹126中に位置する。このロッドの直径は、陥凹126の直径よりも小さく、そのために、ロッド端部がこれらの陥凹中を側方移動するための実質的な空間が存在する。
【0051】
使用にあたって、人工椎間板110は、損傷した椎間板の代わりに、隣接した脊髄椎骨の間に外科的に移植される。隣接した椎骨は、互いに分裂され、挿入に必要な空間を生じる。人工椎間板110を、通常は後方に向かって、椎骨の間の所定の位置に挿入し、プレート112、114のフィン122、142は、これらを受容するために対立する椎骨の表面に切り込まれたスロットに入る。挿入後、椎骨を一体として動かして、人工椎間板を所定の位置に保持可能にする。鋸歯状の縁があり、かつ/または超仕上げされた、プレート112、114の表面118、140を、対立する椎骨に接して設置する。時間が経つにつれて、プレートと椎骨の間のしっかりした接続が、鋸歯状仕上げの上の骨組織の成長に伴って達成される。骨組織はまた、フィン122、140の周りおよびその中の横穴123を通っても成長し、装着をさらに強化する。
【0052】
組立人工椎間板110において、プレートおよびコアの相補的かつ協同する球面により、中心軸140の周りの回転を含む、かなり広い範囲の角度にわたって、あらゆる方向または自由度で、プレートがコアの上をスライドするかまたは関節でつながることが可能になる。図7および図10は、軸140の上に互いに垂直に配列したプレート112および114ならびにコア116を備える人工椎間板110を示す。図8は、人工椎間板の最大限の前方屈曲が生じた状況を図示する。このような屈曲は、ロッドの端部136が陥凹126中をあらゆる方向にかなり大きな距離にわたって側方移動する能力によって可能になる。最大屈曲の位置で、ロッドの端部136は、図示されるように陥凹の側面と接触する。同時に、プレート112、114は、それらの曲面の周縁部で互いに接触する。同様の原理が、コア上のプレート112、114の最大限の後方屈曲、すなわち、脊髄伸長の間および/または最大限の側方屈曲の場合に当てはまる。
【0053】
図9は、人工椎間板110がコアに対するプレートの並進運動をも可能にし得るための方法を図示する。この図示した状況において、コアに対してプレートが側方並進している。ロッドの端部136が陥凹126の側面に横から接すると、この場合も側方並進の限界(図示せず)に達する。
【0054】
いずれの場合にも、協同保持形成物、すなわち、ロッドの端部136と陥凹126が、互いに協同してプレートからコアが分離するのを阻止する。言い換えれば、保持形成物の協同作用により、人工椎間板110の屈曲の間、常にコアがプレート間に係留されていることを確実にする。本発明のこのバージョンの他の実施形態において、ロッドは、図示した差し込み接続以外の手段によって、コアに固定して取り付けられ得る。他の実施形態において、ロッドは、コアの上部曲面および下部曲面からそれぞれ突き出た別個の要素によって置き換えられ得る。
【0055】
図11および図12は、プロテーゼ110の別の実施形態を図示する。この実施形態において、コア116は、このコアを貫いて直径上に伸長する側方通路150を備えて形成される。この通路には、チタンまたは他の適切な耐磨耗性材料のスリーブ152が提供される。本実施形態において編み組みチタン構築物のケーブル154の形態をとっている、可撓性の結合手段は、ゆとりを持ってスリーブ152を通り抜ける。ケーブル154の端部は、上向きに曲げられ、上部プレート112中の通路156に入る。このケーブルの先端は、通路156の盲端に固定させた、波形の保持突起またはフェルール158を担持する。
【0056】
ケーブル154は、コア上をプレート112、114がスライド移動する間、屈曲、伸長または並進のいずれであろうと、コア116を係留する。このケーブルは、広い範囲の角度にわたって屈曲し得、これによってコアに対するプレートのスライド移動または関節結合を生じることが可能になる。ケーブルの緩みによっても、コアに対するプレートのある程度の回転運動が可能になる。図11に示すように、通路150およびスリーブ152の端部は、スライド移動の間、ケーブルの動きに適応するように釣鐘形に広げられる。また、スライドが生じた場合、ケーブルがプレートに直接作用しないように、プレート112、114の表面160を傾けてケーブルに適応させる。
【0057】
図13および14は、プロテーゼ110の別の実施形態を図示する。この実施形態において、プレート112、114の曲面124は、中心軸とそれらの周縁部との間の位置に、連続的な内向きに向いた環状形状のリブ162を備えて、形成される。これらのリブは、かなりのゆとりを持って、コア116の上部曲面および下部曲面の対応する位置に提供される環状チャネル164の中に位置する。前と同じく、保持形成物(すなわち、リブおよびチャネル)の間の協同作用により、屈曲、伸長または並進の間にプレートがコアの上をスライドする場合、コアがプレート間に係留される。いずれの場合にもスライド移動の限界で、リブ162はチャネルの側面と接触する。このチャネルには、前述のように耐磨耗性の内張りが提供され得る。
【0058】
図15は、プロテーゼ110の別の実施形態を図示する。この場合において、コアは、コアの上部表面および下部表面上に連続的な環状リブ170を担持し、これらのリブは、プレート112、114のチャネル172の中に、ゆとりを持って位置する。リブ170は、前述のように耐磨耗性の材料で内張りされ得る。
【0059】
図7〜10および13〜15において、両方のプレートとコアとの間で互いに協同する保持形成物が提供される実施形態を図示する。他の実施形態において、コアの保持は、プレートの1つ(上部プレート112または下部プレート114のいずれか)とコアとの間にのみ作用する保持形成物間の協同によって、達成され得る。例えば、1つの実施形態において、コアの上部(または下部)曲面から伸長する単一の突起、およびこの上部(または下部)プレートの内側表面の対応する陥凹が存在し得る。
【0060】
前記のものは、本発明の完全かつ正確な記載であるが、任意の多数の改変、追加などが、本発明の範囲を逸脱することなく種々の実施形態に対してなされ得る。従って、上記のいずれも、特許請求の範囲に記載される本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、「Prosthetic Disc for Intervertebral
Insertion」と題された米国仮特許出願第60/473,802号および「Intervertebral Prosthetic Disc」と題された同第60/473,803号(共に2003年5月27日に出願)の優先権を主張し、これらの完全な開示は、本明細書中に参考として援用される。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
(1.発明の分野)
本発明は、医療デバイスおよび方法に関する。より具体的には、本発明は、腰椎および頸椎などへの椎間挿入のための人工椎間板に関する。
【0003】
腰部または頚部椎間板への損傷の場合に、可能な外科的処置の1つは、損傷を受けた椎間板を人工椎間板と交換することである。いくつかのタイプの人工椎間板が、現在利用可能である。例えば、1つのタイプの人工椎間板が、Waldemar Link GmbH & Coによって、LINK(登録商標)SB Chariteの商標の下で提供されている。このプロテーゼは、隣接した椎体に接して位置し、かつ隣接した椎体に係合する、上部および下部プロテーゼプレートまたはシェルを備え、かつ、これらのプレート間に低摩擦コアを備える。このコアは、上部凸状曲面および下部凸状曲面を有し、そしてプレートは、該コアの曲面に合った、対応する凹状の湾曲陥凹を有する。これによって、プレートはコアの上をスライド可能になり、必要な脊髄の動きを生じることが可能になる。プレートの湾曲陥凹は、環状の隆起線に囲まれ、これらの隆起線は、コア上のプレートのスライド移動の限界で、上向きおよび下向きに対向した、コアの曲面を囲む周縁チャネルを位置決めする。
【0004】
このタイプの椎間板構造は、Waldemar Link GmbH & Co.に付与された欧州特許第1142544A1号および欧州特許第1250898A1号に記載される。このような構造の欠点は、周縁リブおよびチャネルの提供により、これらのプレートおよびコアの間のベアリングおよび滑り接触に利用可能なエリアが制限され、従って、プロテーゼに伝達され得る負荷が制限されることである。支持面積が比較的小さいために、少なくともこのコアは急速な磨耗を受け、比較的短い寿命を有すると考えられる。また、このコアは、プレート間に事実上単に「固定」されているにすぎないので、この構造によって、コアは確実には保持できない。1つの代替的な議論において、このコアの曲面は、プレートの細長い溝の中に位置する、対立する細長い鍵を担持し、そして別の代替的な議論では、プレートは、コアの向かい合った曲面の細長い溝の中に位置する、対立する細長い鍵を有する。これらの鍵および溝の配置により、プレートは、溝の長さの範囲内で、一方向にのみコアの上をスライドすることが可能になる。溝中の鍵の多少の横動を差し引いても、コアの上のプレートの極めてわずかなスライド移動が直交垂直面で生じ得、これが、この設計の重大な欠点とみなされる。
【0005】
他の現在利用可能な人工椎間板は、類似の欠点および/または他の欠点を有する。代表的には、欠点としては、磨耗および引裂に対する不十分な耐性、限られた範囲の動きおよび/またはプロテーゼの性能が不十分で椎骨に接着できないことが挙げられる。
【0006】
従って、改良された人工椎間板が必要とされている。理想的には、このような改良されたプロテーゼは、磨耗および引裂に耐性があり、所望の程度の動きをもたらし、椎骨に十分に接着する。これらの目的の少なくとも一部は、本発明によって満たされる。
【0007】
(2.背景技術の記載)
公開された米国特許出願第2002/0035400A1号および同第2002/0128715A1号は、対立するプレートとそれらのプレート間のコアを備え、このコアの上をプレートがスライド可能である、椎間板移植物を記載する。このコアは、1つ以上の中心支柱を収容し、これらの支柱はプレートによって担持され、コアの中の中心開口部の向かい合った端部に位置する。このような配置により、プレートとコアの間に利用可能な耐力面積が制限される。
【0008】
人工椎間板に関する他の特許としては、米国特許第4,759,766号;同第4,863,477号;同第4,997,432号;同第5,035,716号;同第5,071,437号;同第5,370,697号;同第5,401,269号;同第5,507,816号;同第5,534,030号;同第5,556,431号;同第5,674,296号;同第5,676,702号;同第5,702,450号;同第5,824,094号;同第5,865,846号;同第5,989,291号;同第6,001,130号;同第6,022,376号;同第6,039,763号;同第6,139,579号;同第6,156,067号;同第6,162,252号;同第6,315,797号;同第6,348,071号;同第6,368,350号;同第6,416,551号;同第6,592,624号;同第6,607,558および同第6,706,068号が挙げられる。人工椎間板に関する他の特許出願としては、米国特許出願公開第2003/0009224号;同第2003/0074076号;同第2003/0191536号;同第2003/0208271号;同第2003/0135277号;同第2003/0199982号;同第2001/0016773号および同第2003/0100951号が挙げられる。他の関連特許としては、国際特許出願番号WO01/01893A1、欧州特許第1344507号、欧州特許第1344506号、欧州特許第1250898号、欧州特許第1306064号、欧州特許第1344508号、欧州特許第1344493号、欧州特許第1417940号、欧州特許第1142544号、および欧州特許第0333990号が挙げられる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、例えば、以下を提供する:
(項目1)
隣接した椎骨間に挿入するための人工椎間板であって、該人工椎間板は、以下:
上部曲面および下部曲面を有するコア;
上部プレートおよび下部プレートであって、各プレートが、椎骨に係合する外側表面および該コアの曲面上をスライドする内側曲面を有する、プレート;ならびに
該上部プレート、該下部プレートのうちの少なくとも1つおよび該コア上の周縁制限構造であって、該コア上を該プレートがスライド移動する間、該プレートのうちの少なくとも1つの曲面に対して該コアを保持する、周縁制限構造
を備える、人工椎間板。
(項目2)
上記曲面のうちの少なくとも1つが球状である、上記項目に記載の人工椎間板。
(項目3)
両方の曲面が球状である、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目4)
上記周縁制限構造内での上記コアの運動が拘束を受けていない、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目5)
上記周縁制限構造が停止構造を規定し、上記コア上を上記プレートがスライド移動する間、該プレートの相対的傾斜を制限する、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目6)
上記周縁制限構造が上記コアの片側に係合して、該コア上を上記プレートがスライド移動する間、該コアの反対側を持ち上げる、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目7)
上記周縁制限構造が、以下:
上記コアの周縁部の少なくとも一部に広がる、環状構造;ならびに
上記上部プレートおよび下部プレートの1つの上のリング構造であって、該リング構造は、該環状構造を係合し、かつ保持する、リング構造
を備える、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目8)
上記リング構造が、突出部を規定するフランジを備え、ここで、上記コア上の上記環状構造の少なくとも一部が該突出部の中に伸長して、該コアと該フランジとの締り嵌めを提供する、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目9)
上記環状構造が、上記コアの外周の周りに連続的に伸長するリムを備え、該リムが、上記フランジの内側エッジの幅よりも大きな幅を少なくともいくつかの部位に有して上記締り嵌めを提供する、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目10)
上記周縁制限構造が、以下:
上記コアの外側エッジの周りの溝;ならびに
上記上部プレートおよび下部プレートのうちの少なくとも1つの上のリング構造であって、該リング構造は、該溝を係合するリップを有する、リング構造
を備える、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目11)
上記リップが上記溝の中に伸長して、上記リング構造と上記コアとの間の締り嵌めを形成する、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目12)
上記上部プレートおよび下部プレートの外側表面が、上記椎骨への該外側表面の取付けを促進するために少なくとも1つの表面特徴を有する、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目13)
上記少なくとも1つの表面特徴が、上記外側表面に沿って配置された複数の鋸歯状の縁を備える、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目14)
上記少なくとも1つの表面特徴が、表面コーティングをさらに備える、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目15)
上記表面コーティングが、プラズマ溶射されたチタンを含む、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目16)
上記少なくとも1つの表面特徴が、酸化アルミニウムブラスト処理によって形成された複数の陥凹部をさらに備える、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目17)
上記少なくとも1つの表面特徴が、上記外側表面の各々の上に配置された少なくとも1つのフィンをさらに含む、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目18)
各フィンが、上記椎骨への取付けをさらに促進するための少なくとも1つの穴を備える、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目19)
各フィンが、前後方向に直線に配向される、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目20)
各フィンが、上記椎間板の前後軸から離れて回転する、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目21)
上記プレートが、コバルトクロムモリブデンおよびチタンからなる群より選択される少なくとも1つの金属を含む、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目22)
各プレートが、上記内側表面を形成する硬化材料に連結されたMRI適合性の材料を備える、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目23)
上記MRI適合性の材料が、チタン、およびコバルトクロムモリブデンを含む上記硬化材料を含む、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目24)
上記MRI適合性の材料が、チタンおよび上記硬化材料の窒化チタンを含む、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目25)
上記MRI適合性の材料および上記硬化材料が、積層、滑り嵌め、締り嵌めおよび接着からなる群より選択されるプロセスを用いて連結される、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目26)
上記コアが、上記上部プレートおよび下部プレートの内側曲面をスライド可能に係合する、2つの対面する凸状低摩擦表面を備える、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目27)
上記コアが、ポリマーおよびセラミックからなる群より選択される少なくとも1つの材料を含む、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目28)
隣接した椎骨間に挿入するための人工椎間板であって、該人工椎間板は、以下:
それぞれの椎骨に接して設置可能な外側表面、および内側曲面を有する、上部プレートおよび下部プレートであって、該上部プレートおよび下部プレートのうちの少なくとも1つが、該内側表面の周縁部付近に広がる周縁制限構造を備える、プレート;ならびに
移動式コアであって、該プレートが該コア上をスライド可能になるように該曲面の間に配置された移動式コア
を備え、
ここで、該コアが該周縁制限構造と係合するための少なくとも1つの周縁突出を備えることにより、該コア上を該プレートがスライド移動する間、該プレート間に該コアを係留する、人工椎間板。
(項目29)
上記周縁制限構造がフランジを備え、ここで、上記コア上の突出の少なくとも一部が該フランジの中に伸長して、該コアと該フランジとの締り嵌めを提供する、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目30)
上記突出が上記コアの外周の周りにリムを備え、該リムが上記フランジの内側エッジの直径よりも大きな直径を有する、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目31)
上記プレートの内側表面が凹状であり、上記コアが、該凹状内側表面とスライド可能に接触するための2つの凸面を備える、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目32)
上記凹状曲面および凸状曲面が球状である、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目33)
上記コアがポリマーおよびセラミックからなる群より選択される材料を含む、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目34)
上記プレートの外側表面の各々から伸長する少なくとも1つのフィンをさらに備える、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目35)
各フィンが、椎骨への該フィンの取付けを促進するための少なくとも1つの穴を備える、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目36)
各フィンが、前後方向に直線に配向される、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目37)
各フィンが、上記椎間板の前後軸から離れて回転する、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目38)
上記プレートの外側表面をテクスチャー加工して、上記椎骨に対する該プレートの取付けを強化する、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目39)
上記テクスチャー加工した表面が、鋸歯状の表面を含む、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目40)
上記鋸歯状の表面が、酸化アルミニウムブラスト処理によって形成された複数の陥凹部をさらに備える、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目41)
上記外側表面が表面コーティングをさらに備える、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目42)
上記表面コーティングが、プラズマ溶射されたチタンを含む、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目43)
上記プレートの外側表面が平坦である、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目44)
各プレートが、上記内側表面を形成する硬化材料に連結されたMRI適合性の材料を含む、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目45)
上記MRI適合性の材料が、チタン、およびコバルトクロムモリブデンを含む上記硬化材料を含む、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目46)
上記MRI適合性の材料が、チタンおよび上記硬化材料の窒化チタンを含む、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目47)
上記MRI適合性の材料および上記硬化材料が、積層、滑り嵌め、締り嵌めおよび接着からなる群より選択されるプロセスを用いて連結される、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目48)
上記上部プレートおよび下部プレートの1つのフランジが、上記コア上を該プレートがスライド移動する間、その内側表面に隣接した他のプレートと接触するように適合される、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目49)
隣接した椎骨間に挿入するための人工椎間板であって、該人工椎間板は、以下:
それぞれの椎骨に接して設置可能な外側表面、および内側曲面を有する、上部プレートおよび下部プレートであって、該上部プレートおよび下部プレートのうちの少なくとも1つが、該内側表面の周縁部付近に広がる周縁制限構造を備える、プレート;ならびに
該プレートが上記コア上をスライド可能になるように、該曲面の間に配置された移動式コア
を備え、
ここで、該コアが該周縁制限構造と係合するための側方溝を備えることにより、該コア上を該プレートがスライド移動する間、該プレート間に該コアを係留する、人工椎間板。
(項目50)
上記周縁制限構造が、上記コア上の上記溝の中に伸長するように適合させたフランジを備えて、該コアと該フランジとの締り嵌めを提供する、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目51)
上記溝に直接に隣接した上記コアの一部が、上記フランジの内側エッジの直径よりも大きな直径を有する、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目52)
上記プレートの内側表面が凹状であり、上記コアが、該内側表面とスライド可能に接触するための2つの凸面を備える、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目53)
上記凹状曲面および凸状曲面が球状である、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目54)
上記コアがポリマーおよびセラミックからなる群より選択される材料を含む、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目55)
上記プレートの外側表面の各々から伸長する少なくとも1つのフィンをさらに備える、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目56)
各フィンが、椎骨への該フィンの取付けを促進するための少なくとも1つの穴を備える、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目57)
上記プレートの外側表面をテクスチャー加工して、上記椎骨に対する該プレートの取付けを強化する、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目58)
上記テクスチャー加工した表面が、鋸歯状の表面を含む、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目59)
上記外側表面が表面コーティングをさらに備える、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目60)
上記表面コーティングが、プラズマ溶射されたチタンを含む、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目61)
上記プレートの外側表面が平坦である、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目62)
上記上部プレートおよび下部プレートの1つのフランジが、上記コア上を該プレートがスライド移動する間、その内側表面に隣接した他のプレートと接触するように適合される、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目63)
隣接した椎骨間の間隔を制限するための方法であって、該方法は、以下の工程:
上部椎体の下部表面に対して上部プレートを移植する工程;
下部椎体の上部表面に対して下部プレートを移植する工程;および
該上部プレートと該下部プレートとの間にコアを配置する工程
を包含し、
ここで、該コアは、該上部プレートおよび該下部プレートのそれぞれの球状空洞の間に浮遊し、該プレートは、少なくとも1つの周縁制限部材を用いて該コアの周縁移動を制限する、方法。
(項目64)
上記プレートの各々を移植する工程が、そのそれぞれの椎体中に形成された対応する溝の中に、各プレート上のフィンをスライドさせる工程を包含する、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
(項目65)
上記フィンをスライドさせる工程が、後方から前方の方向に行われる、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
(項目66)
上記フィンをスライドさせる工程が、横方向に行われる、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
(項目67)
上記フィンをスライドさせる工程が、後方−前方と側方との間に角をなす方向に行われる、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
(項目68)
移植する工程が、上記上部プレートおよび上記下部プレートのテクスチャー加工した外側表面を、上記椎体の上部表面および下部表面と接触させる工程をさらに包含する、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
(項目69)
隣接した椎骨間に挿入するための人工椎間板を組み立てるための方法であって、該方法は、以下の工程:
コアを第1エンドプレートと移動可能に連結させて、該コアと該第1エンドプレートとの間に締り嵌めを形成する工程;および
該コアを第2エンドプレートと接触させる工程
を包含する、方法。
(項目70)
上記コアを上記第1エンドプレートと連結させる工程が、該コアを該エンドプレート中にスナップ嵌めする工程を包含する、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
(項目71)
上記コアを上記第1エンドプレートと連結させる工程が、該コアの周りに該エンドプレートを形成する工程を包含する、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
(項目72)
上記コアを上記第1エンドプレートと連結させる工程が、該コアの周縁突出を該第1エンドプレートの周縁制限構造と係合させる工程を包含する、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
(項目73)
隣接した椎骨間に挿入するための人工椎間板であって、該人工椎間板は、以下:
それぞれの椎骨に対して設置可能な外側表面、および内側曲面を有する、上部プレートおよび下部プレート;
該プレート間のコアであって、該コアは、該プレートの内側曲面に相補的な形状の上部曲面および下部曲面を有し、該コア上を該プレートがスライドするのを可能にする、コア;ならびに
該コアの上部曲面および下部曲面のうちの少なくとも1つから、該プレートの内側表面の1つの少なくとも1つの陥凹の中へ伸長する、少なくとも1つの突出物であって、該陥凹が該突出物に対して過大であることにより、該コア上を該プレートがスライド移動可能になると同時に、このようなスライド移動の間、該プレート間に該コアを保持する、突出物
を備える、人工椎間板。
(項目74)
上記コアの上部表面および下部表面から伸長する複数の突出物をさらに備える、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目75)
上記複数の突出物が、上記コアの上部表面および下部表面の各々の周縁部分から、上記上部プレートおよび下部プレート上のリング形の陥凹の中へ突出する、2つの隆起リングを備える、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目76)
上記複数の突出物が、上記コアの上部表面および下部表面の各々の周縁部分から、上記上部プレートおよび下部プレート上の複数の陥凹の中へ突出する、複数の表面特徴を備える、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目77)
上記複数の突出物が、上記コアを貫通して軸方向に伸長する細長い直立した要素のそれぞれの端部を含み、該端部が該コアの上部表面および下部表面を越えて突出する、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目78)
上記直立要素が、上記コアを貫通する軸方向通路を通って伸長するロッドを含む、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目79)
上記ロッドおよび通路が、係合のために互いに相補的にねじ込まれる、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目80)
上記プレートの外側表面の各々から伸長する少なくとも1つのフィンをさらに備える、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目81)
各フィンが、前後方向に直線に配向される、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目82)
各フィンが、上記人工椎間板の前後軸から離れて回転する、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目83)
各フィンが、上記椎骨への上記プレートの取付けを促進するための少なくとも1つの穴を備える、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目84)
上記プレートの外側表面をテクスチャー加工して、上記椎骨に対する該プレートの取付けを強化する、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目85)
上記テクスチャー加工した表面が、複数の鋸歯状の縁を備える、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目86)
上記外側表面が、上記椎骨に対する上記プレートの取付けを強化するために表面コーティングをさらに備える、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目87)
上記表面コーティングが、プラズマ溶射されたチタンを含む、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目88)
上記プレートの外側表面が平坦である、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目89)
上記上部プレートおよび下部プレートの外側エッジ部分が、上記コア上を該プレートがスライド移動する間、互いに接触するように適合されている、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目90)
隣接した椎骨間に挿入するための人工椎間板であって、該人工椎間板は、以下:
それぞれの椎骨に接して設置可能な外側表面、および内側曲面を有する、上部プレートならびに下部プレートであって、該内側表面の少なくとも1つが少なくとも1つの陥凹を有する、上部プレートならびに下部プレート;
該プレート間のコアであって、該コアは、該コア上を該プレートがスライドするのを可能にするために、該プレートの内側曲面に相補的な形状の上部曲面および下部曲面を有し、かつ軸方向の通路が該コアを貫通して伸長する、コア;ならびに
軸方向の通路を通って該プレートの内側表面の少なくとも1つの陥凹の中へ伸長するロッドであって、該陥凹が該突出物に対して過大であることにより、該コア上を該プレートがスライド移動可能になると同時に、このようなスライド移動の間、該プレート間に該コアを保持する、ロッド
を備える、人工椎間板。
(項目91)
上記ロッドおよび通路が、係合のために互いに相補的にねじ込まれる、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目92)
上記ロッドが、上記上部プレート上の第1過大陥凹および上記下部プレート上の第2過大陥凹と、移動可能に係合される、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目93)
上記プレートの外側表面の各々から伸長する少なくとも1つのフィンをさらに備える、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目94)
各フィンが、前後方向に直線に配向される、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目95)
各フィンが、上記人工椎間板の前後軸から離れて回転する、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目96)
各フィンが、上記椎骨への上記プレートの取付けを促進するための少なくとも1つの穴を備える、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目97)
上記プレートの外側表面をテクスチャー加工して、上記椎骨に対する該プレートの取付けを強化する、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目98)
上記テクスチャー加工した表面が、複数の鋸歯状の縁を備える、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目99)
上記外側表面が、上記椎骨に対する上記プレートの取付けを強化するために表面コーティングをさらに備える、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目100)
上記表面コーティングが、プラズマ溶射されたチタンを含む、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目101)
上記プレートの外側表面が平坦である、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目102)
上記上部プレートおよび下部プレートの外側エッジ部分が、上記コア上を該プレートがスライド移動する間、互いに接触するように適合されている、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目103)
隣接した椎骨間に挿入するための人工椎間板であって、該人工椎間板は、以下:
それぞれの椎骨に対して設置可能な外側表面、および内側曲面を有する、上部プレートおよび下部プレート;
該プレート間のコアであって、該コアは、該プレートの内側曲面に相補的な形状の上部曲面および下部曲面を有し、該コア上を該プレートがスライドするのを可能にする、コア;ならびに
該コアを貫いて側方に伸長し、かつ該コアの外側に端部を有する可撓性の繋ぎ部材であって、該端部が、該コア上を該プレートがスライドするときに該プレート間に該コアを保持するために、該プレートの一方または両方と係合される、可撓性の繋ぎ部材
を備える、人工椎間板。
(項目104)
上記可撓性の繋ぎ部材が、上記コアを貫通する側方通路を通って伸長し、かつ上部プレートおよび下部プレートのうちの少なくとも1つと係合される端部を備える、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目105)
上記可撓性の繋ぎ部材が、可撓性のケーブルまたはコードを含む、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目106)
隣接した椎骨間に挿入するための人工椎間板であって、該人工椎間板は、以下:
それぞれの椎骨に対して設置可能な外側表面、および内側曲面を有する、上部プレートおよび下部プレート;ならびに
該プレート間のコアであって、該コアは、該プレートの内側曲面に相補的な形状の上部曲面および下部曲面を有し、該コア上を該プレートがスライドするのを可能にする、コアを備え、
ここで、上記プレートおよびコアの曲面が、該プレートが該コア上をスライドするときに該プレート間に該コアを保持するために、互いに協同する形成物を備え、このような形成物には、陥凹および該陥凹に収容される突出物が含まれ、該陥凹および突出物は、関連する曲面の中心軸とその外周との間に設置される、人工椎間板。
(項目107)
上記突出物が、上記コアの上部表面および下部表面の各々の周縁部分から、上記上部プレートおよび下部プレート上のリング形の陥凹の中へ突出する、2つの隆起リングを備える、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目108)
上記突出物が、上記コアの上部表面および下部表面の各々の周縁部分から、上記上部プレートおよび下部プレート上の複数の陥凹の中へ突出する、複数の表面特徴を備える、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目109)
上記プレートの外側表面の各々から伸長する少なくとも1つのフィンをさらに備える、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目110)
各フィンが、前後方向に直線に配向される、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目111)
各フィンが、上記人工椎間板の前後軸から離れて回転する、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目112)
各フィンが、上記椎骨への上記プレートの取付けを促進するための少なくとも1つの穴を備える、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目113)
上記プレートの外側表面をテクスチャー加工して、上記椎骨に対する該プレートの取付けを強化する、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目114)
上記テクスチャー加工した表面が、複数の鋸歯状の縁を備える、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目115)
上記プレートの外側表面が平坦である、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(項目116)
上記上部プレートおよび下部プレートの外側エッジ部分が、上記コア上を該プレートがスライド移動する間、互いに接触するように適合されている、上記項目のうちのいずれかに記載の人工椎間板。
(発明の簡単な要旨)
本発明の1つの局面において、隣接した椎骨間に挿入するための人工椎間板は、それぞれの椎骨に係合し、かつそれぞれの椎骨に接して設置可能な外側表面、ならびに内側曲面を有する、上部プレートおよび下部プレートを備える。これらの曲面の間にコアが配置されることにより、プレートがコアの上をスライド可能になる。好ましくは、これらのプレートは、先行技術のように単一方向の移動に限定されることなく、あらゆる方向に自由にスライド可能である。本発明は、これらのプレートまたはコアの一方または両方の上に、周縁制限構造をさらに提供して、コア上でのプレートのスライド移動の間、少なくとも1つのプレートの曲面に対してコアを保持する。この周縁制限構造は、上部プレートおよび下部プレートのうちの少なくとも1つに対して、コアの移動の限界または境界を規定する。しかしながら、このような周縁境界内で、プレートに対するコアの移動は、好ましくは拘束を受けない。すなわち、プレートに対するコアの移動は、顕著な阻害または摩擦なしに、任意の方向に起こり得る。このコアは、好ましくは上部または下部プレートのいずれにも取り付けられず、従ってこれらのプレートはコアの上に互いに自由に関節でつながり得、低摩擦を生じる表面を提供する。
【0010】
これまで記載されたこの構造の利点は、コアと上部プレートおよび下部プレートの各々との間の表面接触域が最大化され得ることである。周縁制限のみを提供することにより、コアおよびプレートの表面上の例えば溝および鍵とは対照的に、プレートのサイズに対してコアの幅または直径が最大化され得る。さらに、互いに接触するコアおよびプレートの表面は、滑らかに作製され、性能に悪影響を及ぼすであろう他の構造物がない場合がある。好ましい実施形態において、プレートの曲面および対応するコアの表面の両方とも、球状の断面である。球面の使用により、あらゆる方向に、自由な、拘束を受けない、プレートおよびコアの相対運動が促進される。
【0011】
いくつかの実施形態において、この周縁制限構造は、コア上をプレートがスライド移動する間、通常は停止構造を規定することによって、プレートの相対的な傾斜を制限する。他の実施形態において、この周縁制限構造は、コア上をプレートがスライド移動する間、コアの片側をこのコアの反対側に対して持ち上げる。この周縁制限構造自体は、任意の多数の種々の形態をとり得る。1つの実施形態において、例えば、この制限構造は、上部プレートおよび下部プレートのうちの少なくとも1つ上にリング構造を備え、かつ、コアの周縁部の少なくとも一部に環状構造を備える。コア上に環状構造を係合および制限するように、このリング構造を適合させる。例えば、このリング構造は、プレートの1つの周縁部の少なくとも一部上に突出部を規定する、フランジを備え得る。このフランジの突出部は、コア上に環状構造を収容し、プレートの曲面に対してコアを保持する締り嵌めを提供するが、コアが、フランジによって規定される限界または境界内を、自由に、かつ拘束を受けない様式でスライドするのを可能にする。このコア上の環状構造は、コアの外周の周りに連続的にまたは不連続的に(好ましくは連続的に)伸長するリムであってもよい。ある箇所で、フランジの内側エッジの対応する幅よりもわずかに大きい幅(通常は直径)を有するリムを提供することによって、このコアが保持され、通常の使用ではリング構造によって規定される空洞から取り外されない。
【0012】
通常、このフランジまたは他のリング構造ならびにリムまたは他の環状構造は、それぞれプレートおよびコアの周縁部付近に連続的に形成される。あるいは、しかしながら、環状構造およびリング構造のいずれかまたは両方は、不連続的に形成され得る。すなわち、人工椎間板の予想される全ての形状および使用の間、少なくとも一部のリング構造および環状構造が係合されたままである限り、プレートの曲面に対してコアを保持するという目的は満たされる。
【0013】
これらの上部プレートおよび下部プレートは、任意の適切な材料または材料の組み合わせ(例えば、これらに限定されないが、コバルトクロムモリブデンおよびチタン)で製造され得る。いくつかの実施形態において、チタンプレートが用いられ、これらのプレートは、必要に応じて、窒化チタンの内側表面、および微小陥凹部を設けるために酸化アルミニウムブラスト処理された外側表面を備え得る。別の実施形態において、酸化アルミニウムでブラスト処理され、次いでチタンプラズマ溶射でコーティングされた外側表面を有する、コバルトクロムプレートが用いられる。いくつかの実施形態において、これらのプレートは、チタンのようなMRI適合性の材料を、コバルトクロムモリブデンのような硬化材料に連結させて含む。このような材料は、任意の適切な手段(例えば、積層、滑り嵌め、締り嵌め、接着、溶接、成形など)を用いて連結され得る。いくつかのプレートは、摩擦ならびに/または磨耗および引裂を低減させるために、内側表面上に、窒化チタン表面のようなコーティングまたは材料を含む。
【0014】
必要に応じて、いくつかの実施形態において、上部プレートおよび下部プレートの外側表面は、椎骨へのこれらの外側表面の取付けを促進するために、少なくとも1つの表面特徴を有する。例えば、このような表面特徴としては、外側表面に沿って配置された複数の鋸歯状の縁が挙げられ得る。いくつかの実施形態は、椎骨へのプロテーゼの取付けを強化するために、外側表面上にさらなる特徴または代替の特徴(例えば、チタンプラズマ溶射のような、材料またはコーティング)を含む。取付けをさらに強化するために、例えば酸化アルミニウム溶射によって、複数の微小陥凹部が外側表面上に形成され得る。さらに、またはあるいは、これらの表面特徴には、各々の外側表面上に配置された少なくとも1つのフィンが含まれ得る。いくつかの実施形態において、このフィンは、椎骨への取付けをさらに促進するために、少なくとも1つの穴を備える。フィンは、直角をなしてそれらの対応する外側表面から垂直に伸張し得るか、あるいはこれらのフィンは、90°以外の角度でそれらの対応する外側表面から伸長し得る。フィンはまた、このプロテーゼの前後軸に対して、任意の適切な配向性を有し得る。例えば、フィンは、折り曲げられることなく、前方から後方へ直線に伸長し得る。あるいは、このフィンは、0°と180°の間の任意の適切な角度で、前後軸から離れて回転させ得るかまたは折り曲げられ得る。1つの実施形態において、各フィンは、外側表面上の横方向に配置される。
【0015】
このコアは、一般に、任意の適切な構造を有し、かつ、任意の適切な材料または材料の組み合わせ(例えば、ポリマー、セラミックなど)で製造され得る。いくつかの実施形態において、このコアは、上部プレートおよび下部プレートの内側曲面をスライド可能に係合するために、低摩擦材料を含み、かつ、2つの凸面を有する。
【0016】
本発明の別の局面において、隣接した椎骨間に挿入するための人工椎間板は、上部プレートおよび下部プレートならびにこれらのプレート間に配置される浮動性のコアを備える。また、これらの上部プレートおよび下部プレートは、それぞれの椎骨に接して設置可能な外側表面、および内側曲面を有する。さらに、上部プレートおよび下部プレートのうちの少なくとも1つは、内側表面の1つから伸長するフランジを備える。このコアは、コア上をプレートがスライド移動する間、プレート間にコアを係留するように、フランジと係合するために、少なくとも1つの周縁溝を備える。上記の任意の特徴はまた、多様な実施形態に組み込まれ得る。
【0017】
本発明の別の局面において、隣接した椎骨間に挿入するための人工椎間板は、それぞれの椎骨に接して設置可能な外側表面および内側曲面を有する、上部プレートおよび下部プレートを備え、少なくとも1つのこれらの上部プレートおよび下部プレートは、内側表面の1つから伸長するフランジを備える。浮動性のコアがこれらの曲面の間に配置されて、プレートがコアの上をスライドするのを可能にし、そしてこのコアは、コア上をプレートがスライド移動する間、プレート間にコアを係留するように、フランジと係合するために、少なくとも1つの周縁突出を備える。また、多様な実施形態が、上記の特徴のうちのいずれかを含み得る。
【0018】
本発明のさらに別の局面において、隣接した椎骨間に挿入するための人工椎間板は、それぞれの椎骨に接して設置可能な外側表面および内側曲面を有する上部プレートおよび下部プレート、これらのプレート間のコア、ならびに対立する保持形成物を備える。このコアは、プレートの内側曲面に相補的な形状の上部曲面および下部曲面を備えることにより、コア上をプレートがスライドするのを可能にし、このコアの上部表面および下部表面は、コアを貫いて側方に伸長する赤道面上におよび赤道面下にそれぞれ位置する。対立する保持形成物は、コアの赤道面上の周縁および少なくとも1つのプレートの曲面のエッジに位置し、そしてコア上をプレートがスライド移動する間、プレート間にコアを係留するのに役立つ。
【0019】
本発明のさらに別の局面において、隣接した椎骨間の間隔を制限する方法は、上部椎体の下部表面に接して上部プレートを移植する工程、下部椎体の上部表面に接して下部プレートを移植する工程、およびこれらの上部プレートと下部プレートの間にコアを配置する工程を包含する。このコアは、上部プレートおよび下部プレートのそれぞれの球状空洞の間に浮遊し、これらのプレートは、少なくとも1つの周縁制限部材を用いてコアの周縁移動を制限する。いくつかの実施形態において、各プレートを移植する工程は、それぞれの椎体中に形成された対応する溝の中に、各プレート上のフィンをスライドさせる工程を包含する。このフィンは、任意の適切な方向に(例えば、後方−前方、前方−後方、側方、または前方−後方配向と側方配向の間に任意の角をなす方向に)、溝の中にスライドし得る。必要に応じて、移植する工程は、上部プレートおよび下部プレートのテクスチャー加工した外側表面を、椎体の上部表面および下部表面と接触させる工程をさらに包含し得る。
【0020】
本発明の別の局面において、隣接した椎骨間に挿入するための人工椎間板を組み立てる方法は、コアを第1エンドプレートと移動可能に連結させて、このコアと第1エンドプレートの間に締り嵌めを形成する工程、およびこのコアを第2エンドプレートと接触させる工程を包含する。いくつかの実施形態において、コアを第1エンドプレートと連結させる工程は、コアをエンドプレート中にスナップ嵌めする工程を包含する。あるいは、コアを第1エンドプレートと連結させる工程は、コアの周りにエンドプレートを形成する工程を包含し得る。いくつかの実施形態において、コアを第1エンドプレートと連結させる工程は、コアの周縁突出を第1エンドプレートの周縁制限構造と係合させる工程を包含する。
【0021】
本発明の別の局面において、隣接した椎骨間に挿入するための人工椎間板は、以下を備える:それぞれの椎骨に接して設置可能な外側表面、および内側曲面を有する、上部ならびに下部プレート;該プレート間のコアであって、プレートの内側曲面に相補的な形状の上部曲面および下部曲面を有し、コア上をプレートがスライドするのを可能にする、コア;ならびに、該コアの上部曲面および下部曲面の少なくとも1つから、該プレートの内側表面の1つの少なくとも1つの陥凹の中へ伸長する、少なくとも1つの突出物であって、該陥凹が突出物に対して過大であることにより、コア上をプレートがスライド移動可能になり、一方、このようなスライド移動の間、プレート間にコアを保持する、突出物。
【0022】
いくつかの実施形態は、コアの上部表面および下部表面から伸長する複数の突出物をさらに備える。例えば、これらの複数の突出物は、コアの上部表面および下部表面の各々の周縁部分から、上部プレートおよび下部プレート上のリング形の陥凹の中へ伸長する、2つの隆起リングを備え得る。他の実施形態において、これらの複数の突出物には、コアの上部表面および下部表面の各々の周縁部分から、上部プレートおよび下部プレート上の複数の陥凹の中へ伸長する、複数の表面特徴が含まれ得る。さらに他の実施形態において、これらの複数の突出物には、コアを貫通して軸方向に伸長する細長い直立した要素のそれぞれの端部が含まれ得、これらの端部は上部コア表面および下部コア表面を越えて突出している。例えば、この直立要素には、コアを貫通する軸方向通路を通って伸長するロッドが含まれ得る。いくつかの実施形態において、このようなロッドおよび通路は、係合のために互いに相補的にねじ込まれ得る。
【0023】
本発明の別の局面において、隣接した椎骨間に挿入するための人工椎間板は、以下を備える:それぞれの椎骨に接して設置可能な外側表面、および内側曲面を有し、少なくとも1つの該内側表面が少なくとも1つの陥凹を有する、上部ならびに下部プレート;該プレート間のコアであって、コア上をプレートがスライドするのを可能にするために、プレートの内側曲面に相補的な形状の上部曲面および下部曲面を有し、かつ軸方向の通路がコアを貫通して伸長する、コア;ならびに、軸方向の通路を通ってプレートの内側表面の少なくとも1つの陥凹の中へ伸長するロッド。これらの陥凹は、突出物に対して過大であることにより、コア上をプレートがスライド移動可能になり、一方、このようなスライド移動の間、プレート間にコアを保持する。
【0024】
必要に応じて、ロッドおよび通路は、係合のために互いに相補的にねじ込まれ得る。いくつかの実施形態において、このロッドは、上部プレート上の第1過大陥凹および下部プレート上の第2過大陥凹と、移動可能に係合される。種々の実施形態において、これらのプレートおよびコアは、上記の特徴または特性のうちのいずれかを有し得る。
【0025】
本発明の別の局面において、隣接した椎骨間に挿入するための人工椎間板は、以下を備える:それぞれの椎骨に接して設置可能な外側表面、および内側曲面を有する、上部ならびに下部プレート;該プレート間のコアであって、コア上をプレートがスライドするのを可能にするために、該プレートの内側曲面に相補的な形状の上部曲面および下部曲面を有する、コア;ならびに、該コアを貫いて側方に伸長し、かつコアの外側に端部(プレートがコア上をスライドするときにプレート間にコアを保持するために、該プレートの一方または両方と係合される端部)を有する、可撓性の繋ぎ部材。この可撓性の繋ぎ部材は、例えば、コアを貫通する側方通路を通って伸長し得、かつ上部プレートおよび下部プレートのうちの少なくとも1つと係合される端部を備え得る。いくつかの実施形態において、この可撓性の繋ぎ部材には、可撓性のケーブルまたはコードが含まれる。
【0026】
本発明のさらに別の例において、隣接した椎骨間に挿入するための人工椎間板は、以下を備える:それぞれの椎骨に接して設置可能なテクスチャー加工した外側表面であって、これらの外側表面の各々が、少なくとも1つの垂直フィンおよび他のプレートの対応するエッジと接触するように適合したエッジ部分を有する、外側表面、および内側曲面を有する、上部プレートならびに下部プレート;ならびにこれらのプレート間のコアであって、コア上をプレートがスライドするのを可能にするために、該プレートの内側曲面に相補的な形状の上部曲面および下部曲面を有する、コア。これらのプレートおよびコアの曲面は、プレートがコア上をスライドするときにプレート間にコアを保持するために、互いに協同する形成物を備える。これらの形成物には、陥凹および該陥凹に収容される突出物が含まれ、これらの陥凹および突出物は、関連する曲面の中心軸とその外周との間に設置される。
【0027】
いくつかの実施形態において、例えば、これらの突出物は、コアの上部表面および下部表面の各々の周縁部分から、上部プレートおよび下部プレート上のリング形の陥凹の中へ突出する、2つの隆起リングを備え得る。他の実施形態において、これらの突出物は、コアの上部表面および下部表面の各々の周縁部分から、上部プレートおよび下部プレート上の複数の陥凹の中へ突出する、複数の表面特徴を含み得る。さらに、これらのプレートおよびコアは、上記の特徴のうちのいずれかを含み得る。
【0028】
これらのおよび他の局面および実施形態は、図面を参照して以下により詳細に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図1は、本発明の1実施形態による、垂直に配列したプロテーゼプレートおよびコアを備える人工椎間板の断面前面図を示す。
【図2】図2は、コア上をプレートがスライド移動した後の、図1における人工椎間板の側面図を示す。
【図3】図3は、コアに対してプレートが並進運動した後の、図1における人工椎間板の側面図を示す。
【図4】図4は、垂直に配列したプロテーゼプレートおよびコアを備える、図1における人工椎間板の側面図を示す。
【図5】図5は、本発明の1実施形態による、人工椎間板のコアの平面図を示す。
【図6】図6は、本発明の1実施形態による、人工椎間板の上部プレートの平面図を示す。
【図7】図7は、垂直に配列したプロテーゼプレートおよびコアを備える、本発明の1実施形態による人工椎間板の断面前面図を示す。
【図8】図8は、コア上をプレートがスライド移動した後の、図7の人工椎間板の断面側面図を示す。
【図9】図9は、コアに対してプレートが並進運動した後の、図7の人工椎間板の断面側面図を示す。
【図10】図10は、垂直に配列したプレートおよびコアを備える、図7の人工椎間板の断面側面図を示す。
【図11】図11は、本発明の別の実施形態による人工椎間板の断面前面図を示す。
【図12】図12は、図11の人工椎間板の断面側面図を示す。
【図13】図13は、本発明の別の実施形態による人工椎間板の断面前面図を示す。
【図14】図14は、図13の人工椎間板の断面側面図を示す。
【図15】図15は、本発明の別の実施形態の断面側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
(発明の詳細な説明)
図1〜4は、隣接した2つの脊髄椎骨(図示せず)の間に椎間挿入するための人工椎間板10を図解する。この人工椎間板10は、3つの構成要素、すなわち上部プレートまたはシェル12、下部プレートまたはシェル14およびこれらのプレート間に配置されたコア16を備える。
【0031】
上部プレート12は、外側表面18および内側表面24を備え、任意の適切な材料または材料の組み合わせ、例えばコバルトクロムモリブデン、チタン(例えばグレード5チタン)および/またはその他同種のものから作製され得るが、これらに限定されない。1つの実施形態において、腰椎において代表的に用いられる人工椎間板は、上部プレート12がコバルトクロムモリブデンで作製され、そして外側表面18が酸化アルミニウムブラスト法で処理後にチタンプラズマ溶射される。別の実施形態において、頸椎において代表的に用いられる人工椎間板は、上部プレート12がチタンで作製され、内側表面24が窒化チタンでコーティングされ、そして外側表面18が酸化アルミニウムブラスト法で処理される。代替の頸椎実施形態は、内側表面24上にコーティングを含まない。いくつかの実施形態において、2種類の材料を連結させて内側表面24および外側表面18を形成することは有用であり得る。例えば、上部プレート12は、MRI適合性の材料(例えばチタン)で作製され得るが、内側表面24には、より硬質の材料(例えばコバルトクロムモリブデン)を含み得る。任意の適切な技術、例えばスナップ嵌め、滑り嵌め、積層、締り嵌め、接着剤の使用、溶接および/またはその他同種の技術を用いて、材料を連結させ得る。任意の他の適切な組み合わせの材料およびコーティングが、本発明の種々の実施形態において用いられ得る。
【0032】
いくつかの実施形態において、外側表面18は平面である。この外側表面18は、椎骨へのプロテーゼ10の取付けを強化するために、しばしば1以上の表面特徴および/または材料を備える。例えば、外側表面18を機械加工して、椎骨への上部プレート12の取付けを促進するために鋸歯状の縁20または他の表面特徴を有し得る。示した実施形態(図6)において、鋸歯状の縁20は、交互に直交方向に伸長するが、他の形状もまた有用である。さらに、外側表面18に、酸化アルミニウム微粒子などを用いたブラスト処理によって形成される粗い超仕上げを提供し得る。いくつかの実施形態において、この外側表面はまた、チタンプラズマ溶射して椎骨への外側表面18の取付けをさらに強化し得る。
【0033】
この外側表面18はまた、前後方向に伸長する、直立した垂直フィン22も担持し得る。このフィン22は、横穴23によって貫通される。代替の実施形態において、このフィン22は、前後軸から離れて、例えば外側−外側配向、後外側−前外側配向などで回転し得る。いくつかの実施形態において、このフィン22は、90°以外の角度で表面18から伸長し得る。さらに、種々の実施形態において、複数のフィン22が表面18に装着され得、そして/またはこのフィン22は任意の他の適切な配置を有し得る。他の実施形態において、フィン22 いくつかの実施形態(例えば、頚部挿入のための人工椎間板10)において、フィン22、42は完全に省略され得る。
【0034】
球状に湾曲した凹状の内側表面24は、図示されるように、中心軸位置に円形陥凹26を有して形成される。曲面24の外縁で、上部プレート12は、内向きに向いたリブまたはフランジ28を備える一体化したリング構造26を含む、周縁制限構造を担持する。このフランジ28は、環状ウェブ32によってプレートの主要部分に接合されたU形部材30の一部を形成する。このフランジ28は、内向きにテーパ状の形状を有し、上部プレート12が図1に見られる配向である場合、この水平方向に対してわずかに傾いた上部表面34および下部表面36をそれぞれ規定する。U形部材30の突出部38は、図示されるように内向きにテーパ状の垂直面を有する。
【0035】
下部プレート14は、周縁制限構造26が存在しないこと以外は、上部プレート12と類似している。従って、下部プレート14は、上部プレート12の外側表面18のように鋸歯状の縁のある超仕上げされた平面である、外側表面40を有する。下部プレート14は、必要に応じて、上部プレートのフィン22と類似したフィン42を担持する。下部プレート14の内側表面44は凹状であり、上部プレート12の内側表面24の曲率半径と一致する曲率半径で、球状に湾曲している。前と同じく、この表面には、窒化チタンまたは他の仕上げが提供され得る。
【0036】
内側曲面44の外縁で、下部プレート14に傾斜したレッジ形成物46が提供される。あるいは、下部プレート14は、上部プレート12上の周縁制限構造26に類似した周縁制限構造を備え得る。
【0037】
人工椎間板10のコア16は、例えばポリエチレン(Chirulen(商標))のような、低摩擦材料で作製される。代替の実施形態において、コア16は、任意の他の適切な材料、例えば他のポリマー、セラミックなどを含み得る。コア16は、同一の球状に湾曲した上部凸面48および下部凸面50を有する。これらの表面の曲率半径は、上部プレート12の内側表面24および下部プレート14の内側表面44の曲率半径と一致する。従って、これらの曲面は相補的である。耐磨耗性のために、コアの表面ゾーンは、適切な架橋手順によって硬化させ得る。
【0038】
コア16は、これを側方に二分する中心赤道面52について対称である。(たとえ他の実施形態において、コア16が非対称である場合があっても。)このコアの周縁部付近に広がる環状陥凹または溝54が、この赤道面上に位置している。溝54は、上部リブまたはリップ56と下部リブまたはリップ56との間に規定される。プレート12、14およびコア16が組み立てられ、図1に見られる配向の状態にある場合、フランジ28は赤道面上に位置し、溝54と一直線に並ぶ。リップ56の外径58は、好ましくはフランジ28の内側エッジによって規定される直径60よりもごくわずかに大きい。コアおよび上部プレートの組立ては、フランジ28によって規定される環状開口部を介してコアをプレスする工程を包含し得、コアの固有の弾性によって上部リブ56のわずかな変形が可能になるか、またはコアがある傾斜で導入される。他のあまり好ましくない本発明の実施形態(図示せず)において、直径58は、直径60と同じであるかまたは直径60よりもなおわずかに小さい場合がある。
【0039】
いくつかの実施形態において、溝54の内側表面には、耐磨耗性のために、純チタンまたはコバルトクロムを含浸したチタン、窒化チタン、他のチタン合金などの内張りが提供され得る。
【0040】
人工椎間板10の中心軸(曲面の曲率中心を通る軸)は参照番号62で示される。図1に示すように、人工椎間板10は、軸62を備える中心前後平面について対称であり得る。図4を参照して、いくつかの実施形態において、軸62は後方に配置される。すなわち、人工椎間板の前方限界よりも後方限界により近接して設置される。
【0041】
使用にあたって、人工椎間板10は、損傷した椎間板の代わりに、隣接した脊髄椎骨の間に外科的に移植される。隣接した椎骨は、強制的に互いに分離され、挿入に必要な空間を生じる。人工椎間板を、通常は後方に向かって、椎骨の間の所定の位置に挿入し、プレート12、14のフィン22、42は、これらを受容するために対立する椎骨の表面に切り込まれたスロットに入る。挿入後、椎骨、小関節面、隣接した靭帯および軟組織を一体として動かして、人工椎間板を所定の位置に保持可能にする。鋸歯状の縁のある超仕上げされた、プレート12、14の表面18、40を、対立する椎骨に接して設置する。鋸歯状の縁20およびフィン22、42は、人工椎間板10に初期安定性および固定をもたらす。時間が経つにつれて、チタン表面コーティングによって強化された、プレートと椎骨の間のしっかりした接続が、鋸歯状の縁のある表面上の骨組織の成長に伴い達成される。骨組織はまた、フィン22、40の周りおよびその中の横穴23を通っても成長し、達成される接続をさらに強化する。
【0042】
図5を参照して、コア16は、チタンピン64を収容する、狭い、角度をなして間隔を空けた、出口のない通路61を備えて形成され得る。多数の実施形態において、コア16自体は、X線放射を通し、従って手術後のX線検査において不可視である。ピン64は、X線撮影マーカーとしての役割を果たし、このような検査中にコア16の位置を確認することが可能になる。
【0043】
組立人工椎間板10において、プレートおよびコアの相補的かつ協同する球面により、中心軸62の周りの回転を含む、かなり広い範囲の角度にわたって、あらゆる方向または自由度で、プレートがコアの上をスライドするかまたは関節でつながることが可能になる。図1および図4は、軸62の上に互いに垂直に配列したプレート12および14ならびにコア16を備える人工椎間板10を示す。図2は、人工椎間板10の最大限の前方屈曲が生じた状況を図示する。この位置で、取り囲まれたエリア69に見られるように、上部リブ56はU形部材30の穴38に入り、該リブ56の下部表面は移動してフランジ28の上部表面34と接触し、該フランジは溝54中に移動し、そして該フランジの下部表面36は移動してレッジ形成物46の上部表面と接触している。種々の表面間の隣接により、さらなる前方屈曲が阻止される。この設計によって、フランジ28の内端が溝54の基部に接することも可能になり、その結果、コアとプレートの間のさらなる相対運動を制限する。同様の配置が、コア上のプレート12、14の最大限の後方屈曲の場合に(例えば脊髄伸長の間)、および/または最大限の側方屈曲の場合に達成される。
【0044】
図3は、人工椎間板10が、コアに対するプレートの並進運動をも可能にし得るための方法を図示する。この図示した状況において、コアに対してプレートが側方並進している。番号70で示されるように、フランジ28の内端が溝54の基部に接すると、側方並進の限界に達する。
【0045】
フランジ28およびリブ56の間に規定された溝54は、プレートからコアが分離するのを阻止する。言い換えれば、保持形成物の協同作用により、人工椎間板10の屈曲の間、常にコアがプレート間に係留されることを確実にする。
【0046】
代替の実施形態において、連続的な環状フランジ28は、周囲に間隔をあけて離れた多数のフランジセグメントを備える保持形成物に置き換えられ得る。このような実施形態としては、例示的な実施形態におけるような、単一の連続的な溝54が挙げられ得る。あるいは、コアの周縁部に間隔をあけて離れた、対応する数の溝様の陥凹が用いられ得、各フランジセグメントが陥凹の1つに対立している。別の実施形態において、連続的なフランジまたは複数のフランジセグメントは、上部プレート12に担持される内向きに向いたペグまたはピンに置き換えられ得る。この実施形態としては、単一の連続的な溝54、または、各ピンもしくはペグが陥凹に対立している、周囲に間隔をあけた一連の陥凹が挙げられ得る。
【0047】
さらに別の実施形態において、保持形成物は、上部プレートの代わりに下部プレート14に担持され得る。すなわち、これらのプレートが逆にされる。いくつかの実施形態において、上部(または下部)プレートは、その内側曲面のエッジに、内向きに向いた溝、または周囲に間隔をあけた溝セグメントを備えて形成され、コアの外周は、外向きに向いたフランジ、または周囲に間隔をあけたフランジセグメントを備えて形成される。
【0048】
図7〜10は、代替の実施形態に従って人工椎間板110を図示する。先の実施形態において見られるように、人工椎間板110は、3つの主要な構成要素――上部プレートまたはシェル112、下部プレートまたはシェル114およびこれらのプレート間に配置されたコア116を備える。上部プレート112は、鋸歯状の縁120を備える主要な外側表面118を有する。さらに、この表面118には、酸化アルミニウム微粒子などを用いたブラスト処理によって形成される粗い超仕上げが提供され得る。この表面118はまた、前後方向に伸長する、直立した垂直フィン122も担持する。このフィン122は、横穴123によって貫通される。上部プレート112は、コバルトクロムまたは窒化チタン仕上げをして形成された、球状に湾曲した凹状の内側表面124を有する。この湾曲表面124は、図示されるように、中心軸位置に円形陥凹26を有して形成される。
【0049】
人工椎間板110のコア116は、例えば前述のような任意の適切な低摩擦材料で作製され得、一般に、同一の球状に湾曲した上部凸面148および下部凸面150を備える。これらの表面の曲率半径は、上部プレート112の内側表面124および下部プレート114の内側表面144の曲率半径と一致する。従って、これらの曲面は相補的である。耐磨耗性のために、コアの表面ゾーンは、適切な架橋手順によって硬化させ得る。
【0050】
通路132は、コアを通って軸方向に伸長する。この通路は、チタンまたは他の適切な材料のスリーブ133を内部に差し込んで提供される。円形断面の形態の細長い要素である、ねじ込みロッド134は、この通路を通って軸方向に伸長し、スリーブ133とねじ込み係合した状態にある。このロッドの長さは、コアの軸方向の寸法よりも大きく、そのために、ロッドの反対端136がコアの曲面128および130から突き出るという結果になる。組立人工椎間板110において、これらの端部36は、陥凹126中に位置する。このロッドの直径は、陥凹126の直径よりも小さく、そのために、ロッド端部がこれらの陥凹中を側方移動するための実質的な空間が存在する。
【0051】
使用にあたって、人工椎間板110は、損傷した椎間板の代わりに、隣接した脊髄椎骨の間に外科的に移植される。隣接した椎骨は、互いに分裂され、挿入に必要な空間を生じる。人工椎間板110を、通常は後方に向かって、椎骨の間の所定の位置に挿入し、プレート112、114のフィン122、142は、これらを受容するために対立する椎骨の表面に切り込まれたスロットに入る。挿入後、椎骨を一体として動かして、人工椎間板を所定の位置に保持可能にする。鋸歯状の縁があり、かつ/または超仕上げされた、プレート112、114の表面118、140を、対立する椎骨に接して設置する。時間が経つにつれて、プレートと椎骨の間のしっかりした接続が、鋸歯状仕上げの上の骨組織の成長に伴って達成される。骨組織はまた、フィン122、140の周りおよびその中の横穴123を通っても成長し、装着をさらに強化する。
【0052】
組立人工椎間板110において、プレートおよびコアの相補的かつ協同する球面により、中心軸140の周りの回転を含む、かなり広い範囲の角度にわたって、あらゆる方向または自由度で、プレートがコアの上をスライドするかまたは関節でつながることが可能になる。図7および図10は、軸140の上に互いに垂直に配列したプレート112および114ならびにコア116を備える人工椎間板110を示す。図8は、人工椎間板の最大限の前方屈曲が生じた状況を図示する。このような屈曲は、ロッドの端部136が陥凹126中をあらゆる方向にかなり大きな距離にわたって側方移動する能力によって可能になる。最大屈曲の位置で、ロッドの端部136は、図示されるように陥凹の側面と接触する。同時に、プレート112、114は、それらの曲面の周縁部で互いに接触する。同様の原理が、コア上のプレート112、114の最大限の後方屈曲、すなわち、脊髄伸長の間および/または最大限の側方屈曲の場合に当てはまる。
【0053】
図9は、人工椎間板110がコアに対するプレートの並進運動をも可能にし得るための方法を図示する。この図示した状況において、コアに対してプレートが側方並進している。ロッドの端部136が陥凹126の側面に横から接すると、この場合も側方並進の限界(図示せず)に達する。
【0054】
いずれの場合にも、協同保持形成物、すなわち、ロッドの端部136と陥凹126が、互いに協同してプレートからコアが分離するのを阻止する。言い換えれば、保持形成物の協同作用により、人工椎間板110の屈曲の間、常にコアがプレート間に係留されていることを確実にする。本発明のこのバージョンの他の実施形態において、ロッドは、図示した差し込み接続以外の手段によって、コアに固定して取り付けられ得る。他の実施形態において、ロッドは、コアの上部曲面および下部曲面からそれぞれ突き出た別個の要素によって置き換えられ得る。
【0055】
図11および図12は、プロテーゼ110の別の実施形態を図示する。この実施形態において、コア116は、このコアを貫いて直径上に伸長する側方通路150を備えて形成される。この通路には、チタンまたは他の適切な耐磨耗性材料のスリーブ152が提供される。本実施形態において編み組みチタン構築物のケーブル154の形態をとっている、可撓性の結合手段は、ゆとりを持ってスリーブ152を通り抜ける。ケーブル154の端部は、上向きに曲げられ、上部プレート112中の通路156に入る。このケーブルの先端は、通路156の盲端に固定させた、波形の保持突起またはフェルール158を担持する。
【0056】
ケーブル154は、コア上をプレート112、114がスライド移動する間、屈曲、伸長または並進のいずれであろうと、コア116を係留する。このケーブルは、広い範囲の角度にわたって屈曲し得、これによってコアに対するプレートのスライド移動または関節結合を生じることが可能になる。ケーブルの緩みによっても、コアに対するプレートのある程度の回転運動が可能になる。図11に示すように、通路150およびスリーブ152の端部は、スライド移動の間、ケーブルの動きに適応するように釣鐘形に広げられる。また、スライドが生じた場合、ケーブルがプレートに直接作用しないように、プレート112、114の表面160を傾けてケーブルに適応させる。
【0057】
図13および14は、プロテーゼ110の別の実施形態を図示する。この実施形態において、プレート112、114の曲面124は、中心軸とそれらの周縁部との間の位置に、連続的な内向きに向いた環状形状のリブ162を備えて、形成される。これらのリブは、かなりのゆとりを持って、コア116の上部曲面および下部曲面の対応する位置に提供される環状チャネル164の中に位置する。前と同じく、保持形成物(すなわち、リブおよびチャネル)の間の協同作用により、屈曲、伸長または並進の間にプレートがコアの上をスライドする場合、コアがプレート間に係留される。いずれの場合にもスライド移動の限界で、リブ162はチャネルの側面と接触する。このチャネルには、前述のように耐磨耗性の内張りが提供され得る。
【0058】
図15は、プロテーゼ110の別の実施形態を図示する。この場合において、コアは、コアの上部表面および下部表面上に連続的な環状リブ170を担持し、これらのリブは、プレート112、114のチャネル172の中に、ゆとりを持って位置する。リブ170は、前述のように耐磨耗性の材料で内張りされ得る。
【0059】
図7〜10および13〜15において、両方のプレートとコアとの間で互いに協同する保持形成物が提供される実施形態を図示する。他の実施形態において、コアの保持は、プレートの1つ(上部プレート112または下部プレート114のいずれか)とコアとの間にのみ作用する保持形成物間の協同によって、達成され得る。例えば、1つの実施形態において、コアの上部(または下部)曲面から伸長する単一の突起、およびこの上部(または下部)プレートの内側表面の対応する陥凹が存在し得る。
【0060】
前記のものは、本発明の完全かつ正確な記載であるが、任意の多数の改変、追加などが、本発明の範囲を逸脱することなく種々の実施形態に対してなされ得る。従って、上記のいずれも、特許請求の範囲に記載される本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣接した椎骨間に挿入するための人工椎間板であって、該人工椎間板は、以下:
それぞれの椎骨に接して設置可能な外側表面、内側ベアリング面、および横部分を有する、上部プレートおよび下部プレート;
該プレート間のコアであって、該コアは、該プレートの内側ベアリング面に相補的な形状の上部表面および下部表面を有し、該コア上を該プレートがスライドするのを可能にする、コア;ならびに
該プレートの該ベアリング面のうちの少なくとも1つと、該コアとにある形成物であって、該形成物は互いに協同して、該コア上を該プレートがスライド移動する間、該プレート間に該コアを保持し、該形成物は、該プレートのうちの少なくとも1つにあるリブ、および該コアのチャネルを備え、該リブは、該チャネル内に位置して、該コア上を該プレートがスライド移動する際に、該プレート間に該コアを係留する、形成物
を備える、人工椎間板。
【請求項2】
前記リブが、前記チャネル内にゆとりを持って位置している、請求項1に記載の人工椎間板。
【請求項3】
前記コア上での前記プレートのスライド移動の限界で、前記リブがチャネルと接触する、請求項2に記載の人工椎間板。
【請求項4】
前記リブが、前記ベアリング面に対して実質的に垂直な方向に、該ベアリング面から伸長している、請求項1に記載の人工椎間板。
【請求項5】
前記リブが複数のリブを備える、請求項1に記載の人工椎間板。
【請求項6】
前記上部プレートおよび下部プレートが、コバルトクロムモリブデンの内側ベアリング面を有するチタンを含む、請求項1に記載の人工椎間板。
【請求項7】
前記チャネルが、前記コアの球状に湾曲した表面に位置している、請求項1に記載の人工椎間板。
【請求項8】
前記リブが、該リブが位置する前記内側ベアリング面に対して実質的に直角に位置する側面を有する、請求項1に記載の人工椎間板。
【請求項9】
前記リブおよび前記チャネルが、前記プレートの中心軸と、該プレートの外周との間に位置している、請求項1に記載の人工椎間板。
【請求項10】
隣接した椎骨間に挿入するための人工椎間板であって、該人工椎間板は、以下:
それぞれの椎骨に接して設置可能な外側表面、内側ベアリング面、および横部分を有する、上部プレートおよび下部プレート;
該プレート間のコアであって、該コアは、該プレートの内側ベアリング面に相補的な形状の上部表面および下部表面を有し、該コア上を該プレートがスライドするのを可能にする、コア;
該コアの上部表面または下部表面に形成された突出物;ならびに
該内側ベアリング面のうちの少なくとも1つに形成されたチャネルであって、該チャネルは、該突出物を受容し、そして該突出物と協同して、該コア上を該プレートがスライド移動する際に、該プレート間に該コアを保持するように配置されており、該突出物および該チャネルが、該プレートの中心軸と、該プレートの外周との間に位置している、チャネル
を備える、人工椎間板。
【請求項11】
前記突出物が、前記チャネル内にゆとりを持って位置している、請求項10に記載の人工椎間板。
【請求項12】
前記コア上での前記プレートのスライド移動の限界で、前記突出物がチャネルと接触する、請求項11に記載の人工椎間板。
【請求項13】
前記内側ベアリング面が曲面である、請求項1または10に記載の人工椎間板。
【請求項14】
前記コアの上部表面および下部表面が凸面である、請求項13に記載の人工椎間板。
【請求項15】
前記突出物が、前記コアの表面に対して実質的に垂直な方向で該コアから伸長している、請求項10に記載の人工椎間板。
【請求項16】
前記突出物が環状の突出物を備える、請求項10に記載の人工椎間板。
【請求項17】
前記上部プレートおよび下部プレートが金属を含む、請求項10に記載の人工椎間板。
【請求項18】
前記コアがポリエチレンを含む、請求項1、6、10、または17のいずれか1項に記載の人工椎間板。
【請求項19】
前記上部プレートおよび下部プレートの外側表面から伸長する少なくとも1つのフィンをさらに備える、請求項1または10に記載の人工椎間板。
【請求項20】
湾曲した内側ベアリング表面にスロットが形成されており、該スロットが前記コアと協同する、請求項10に記載の人工椎間板。
【請求項1】
隣接した椎骨間に挿入するための人工椎間板であって、該人工椎間板は、以下:
それぞれの椎骨に接して設置可能な外側表面、内側ベアリング面、および横部分を有する、上部プレートおよび下部プレート;
該プレート間のコアであって、該コアは、該プレートの内側ベアリング面に相補的な形状の上部表面および下部表面を有し、該コア上を該プレートがスライドするのを可能にする、コア;ならびに
該プレートの該ベアリング面のうちの少なくとも1つと、該コアとにある形成物であって、該形成物は互いに協同して、該コア上を該プレートがスライド移動する間、該プレート間に該コアを保持し、該形成物は、該プレートのうちの少なくとも1つにあるリブ、および該コアのチャネルを備え、該リブは、該チャネル内に位置して、該コア上を該プレートがスライド移動する際に、該プレート間に該コアを係留する、形成物
を備える、人工椎間板。
【請求項2】
前記リブが、前記チャネル内にゆとりを持って位置している、請求項1に記載の人工椎間板。
【請求項3】
前記コア上での前記プレートのスライド移動の限界で、前記リブがチャネルと接触する、請求項2に記載の人工椎間板。
【請求項4】
前記リブが、前記ベアリング面に対して実質的に垂直な方向に、該ベアリング面から伸長している、請求項1に記載の人工椎間板。
【請求項5】
前記リブが複数のリブを備える、請求項1に記載の人工椎間板。
【請求項6】
前記上部プレートおよび下部プレートが、コバルトクロムモリブデンの内側ベアリング面を有するチタンを含む、請求項1に記載の人工椎間板。
【請求項7】
前記チャネルが、前記コアの球状に湾曲した表面に位置している、請求項1に記載の人工椎間板。
【請求項8】
前記リブが、該リブが位置する前記内側ベアリング面に対して実質的に直角に位置する側面を有する、請求項1に記載の人工椎間板。
【請求項9】
前記リブおよび前記チャネルが、前記プレートの中心軸と、該プレートの外周との間に位置している、請求項1に記載の人工椎間板。
【請求項10】
隣接した椎骨間に挿入するための人工椎間板であって、該人工椎間板は、以下:
それぞれの椎骨に接して設置可能な外側表面、内側ベアリング面、および横部分を有する、上部プレートおよび下部プレート;
該プレート間のコアであって、該コアは、該プレートの内側ベアリング面に相補的な形状の上部表面および下部表面を有し、該コア上を該プレートがスライドするのを可能にする、コア;
該コアの上部表面または下部表面に形成された突出物;ならびに
該内側ベアリング面のうちの少なくとも1つに形成されたチャネルであって、該チャネルは、該突出物を受容し、そして該突出物と協同して、該コア上を該プレートがスライド移動する際に、該プレート間に該コアを保持するように配置されており、該突出物および該チャネルが、該プレートの中心軸と、該プレートの外周との間に位置している、チャネル
を備える、人工椎間板。
【請求項11】
前記突出物が、前記チャネル内にゆとりを持って位置している、請求項10に記載の人工椎間板。
【請求項12】
前記コア上での前記プレートのスライド移動の限界で、前記突出物がチャネルと接触する、請求項11に記載の人工椎間板。
【請求項13】
前記内側ベアリング面が曲面である、請求項1または10に記載の人工椎間板。
【請求項14】
前記コアの上部表面および下部表面が凸面である、請求項13に記載の人工椎間板。
【請求項15】
前記突出物が、前記コアの表面に対して実質的に垂直な方向で該コアから伸長している、請求項10に記載の人工椎間板。
【請求項16】
前記突出物が環状の突出物を備える、請求項10に記載の人工椎間板。
【請求項17】
前記上部プレートおよび下部プレートが金属を含む、請求項10に記載の人工椎間板。
【請求項18】
前記コアがポリエチレンを含む、請求項1、6、10、または17のいずれか1項に記載の人工椎間板。
【請求項19】
前記上部プレートおよび下部プレートの外側表面から伸長する少なくとも1つのフィンをさらに備える、請求項1または10に記載の人工椎間板。
【請求項20】
湾曲した内側ベアリング表面にスロットが形成されており、該スロットが前記コアと協同する、請求項10に記載の人工椎間板。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2009−219889(P2009−219889A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−119224(P2009−119224)
【出願日】平成21年5月15日(2009.5.15)
【分割の表示】特願2006−533469(P2006−533469)の分割
【原出願日】平成16年5月26日(2004.5.26)
【出願人】(505284817)スパイナルモーション, インコーポレイテッド (8)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月15日(2009.5.15)
【分割の表示】特願2006−533469(P2006−533469)の分割
【原出願日】平成16年5月26日(2004.5.26)
【出願人】(505284817)スパイナルモーション, インコーポレイテッド (8)
【Fターム(参考)】
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