検体の検出のための光電子法及びデバイス
検体の存在を検出するための光電子法及びデバイスが本明細書に開示される。かかる方法及びデバイスは、対象の検体の存在に反応し、少なくとも1つの光源及び少なくとも1つの光検出器を使用することで光学的に読み取り呼出しされ得る、少なくとも1つの検出要素を備えてもよい。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
化学検体、特に有機化学検体を検出する能力は、環境モニタリングなどを含む多くの用途において重要である。そのような検体の検出及び/又はモニタリングは、例えば、個人モニター(例えば、人が着用又は持ち運ぶことができるもの)、及び/又は地域モニター(例えば、所望の環境に置くことができるもの)に特に好適に適用され得る。
【0002】
例えば、光学的、重力測定、微小電気機械、及び比色分析など、化学検体の検出のための多くの方法が開発されてきた。比色分析装置は、現在広範な検体のために存在するが、多くは検出のために染料又は着色した化学指示薬を使用している。このような化合物は、典型的には選択的である、即ち、様々な種類の化合物を検出するために、複数のセンサーが必要であり得る。更に、これらのシステムの多くには、光漂白剤又は望ましくない副反応のために寿命が限定されるという問題がある。多くのこのようなシステムはまた、光学的読み取り呼出しを行うために、複雑な又は嵩高なオプトエレクトロニクス部品に依存する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
検体の存在を検出するための光電子法及びデバイスが本明細書に開示される。かかる方法及びデバイスは、対象の検体の存在に反応し、本明細書に記載の通りに光学的に読み取り呼出しされ得る、少なくとも1つの検出要素を備えてもよい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様において、雰囲気中の検体をモニタリングする方法が本明細書に開示され、当該方法は:少なくとも1つの検出要素を、検体を潜在的に含む雰囲気に所定時間暴露することと;第1の波長範囲の光を少なくとも1つの検出要素の上に方向付け、少なくとも1つの検出要素から反射される第1の波長範囲の光の量を表す第1の信号を得ることと;第2の波長範囲の光を少なくとも1つの検出要素の上に方向付け、少なくとも1つの検出要素から反射される第2の波長範囲の光の量を表す第2の信号を得ることと;第1の信号と第2の信号とを比較して比較信号を提供することと;比較信号を所定の反応曲線に関連付け、それによって、モニターする雰囲気内の検体の濃度に関連する濃度値を得ることと、を含む。
【0005】
別の態様において、雰囲気中の検体をモニタリングするための光電子デバイスが本明細書に開示され、当該光電子デバイスは:内部空間を少なくとも部分的に画定し、かつ開口部を含むハウジングと;ハウジングの内部空間の中又は開口部の中に位置決めされる、少なくとも1つの使い捨て検出要素と;内部空間の中にある、光を検出要素に向けるように配置された少なくとも1つの光源と検出要素に反射した光の量を測定するように配置された少なくとも1つの光検出器と、を含み、少なくとも1つの光源及び少なくとも1つの光検出器が、デバイスの内部空間内に含まれる共通プリント基板の上にコプレーナ構造で並んで配置される。
【0006】
別の態様において、雰囲気中の検体をモニタリングするための光電子デバイスが本明細書に開示され、当光電子デバイスは:内部空間を少なくとも部分的に画定し、かつ開口部を含むハウジングと;ハウジングの開口部の中に固定される少なくとも1つの検出要素と;ハウジングの開口部の中に固定される少なくとも1つの検出要素と;内部空間の中にある、光を検出要素に向けるように配置された少なくとも1つの光源と検出要素に反射した光の量を測定するように配置された少なくとも1つの光検出器と、を含み、検出要素がハウジングの開口部の中に固定されると、デバイスの内部空間が封止された内部空間を構成するように、開口部が閉塞される。
【0007】
本発明のこれら及び他の態様は、以下の「発明を実施するための形態」から明らかになるであろう。しかし、決して、上記要約は、請求された主題に関する限定として解釈されるべきでなく、主題は、手続処理の間補正することができる添付の特許請求の範囲によってのみ規定される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】代表的な光電子デバイスの斜視図。
【図2】代表的な検出要素の一部の垂直断面図。
【図3】代表的な検出要素の一部の垂直断面図。
【図4】代表的な光電子デバイスの概略垂直断面図。
【図5】代表的な光電子デバイスの概略垂直断面図。
【図6】代表的な光電子デバイスの概略垂直断面図。
【図7】代表的な光電子デバイスの概略垂直断面図。
【図8】代表的な検出要素を備えている代表的な光電子デバイスの一部の部分分解垂直断面図。
【図9】代表的な検出要素と代表的な保護層とを備えている代表的な光電子デバイスの一部の部分分解垂直断面図。
【図10】代表的な光電子デバイスの機能を説明するブロック図。
【図11】代表的な検出要素の反射スペクトルの一般的表示。
【図12】代表的な光電子デバイスによって得られる、検体に対応した光反射データを示す。
【図13】図12のデータからの比率化された光反射データ。
【0009】
様々な図面において、類似参照記号は類似要素を表す。特に指定されない限り、本文献における全ての図面及び図は、一定の縮尺ではなく、本発明の異なる実施形態を例示する目的で選択される。特に、様々な構成要素の寸法は、指示のない限り、例示的な用語としてのみ記述され、様々な構成要素の寸法間の関係は、図面から推測されるべきではない。本開示において、「最上部」、「最下部」、「上部」、「下部」、「下」、「上」、「前」、「後ろ」、「外」、「内」、「上へ」及び「下へ」、並びに「第1の」及び「第2の」等の用語が使用され得るが、これらの用語は、特に断りのない限り、それらの相対的な意味においてのみ使用されることを理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1の斜視図に示されているのは、少なくとも1つの光学的読み取り呼出し可能な検出要素2を備える代表的な光電子デバイス1である。デバイス1は、ガス環境、典型的には空気雰囲気のモニタリングに使用され得る。
【0011】
いくつかの実施形態では、例えばデバイス1が個人モニターとして機能する場合は、デバイス1は、人の身体及び/又は衣類に着用されてもよく、又は人の身体及び/又は衣類の一部分に隣接していてもよい。そのような場合、デバイス1は、(例えば、図1に示されていないクリップ、ループ、ストラップ、スリーブ、首ひも、ポケットプロテクター等により)人の衣類に取り付けられてもよく、ないしは別の方法で、例えばバッジとして着用又は持ち運びされてもよい。デバイス1はまた、例えば、環境(例えば、部屋、乗り物等)の中に置かれることにより、地域モニタリング用に使用されてもよく、この環境は、検体の存在をモニターすることが望ましい屋内又は屋外であってもよい。デバイス1はハウジング100を備え、このハウジングは、任意の好適な形状、寸法、又は形態を含んでもよい。ハウジング100は、例えば、一般に着用者の身体又は壁とは反対側の少なくとも第1の主表面103と、一般に着用者の身体又は壁に面する第2の主表面104とを含んでもよい。
【0012】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法及び/又はデバイスは、呼吸保護装置(例えば、大気から特定物質を除去するための、濾過要素、ソーベント媒体等を含み得るレスピレータ)と関連して用いられて、濾過要素、ソーベント媒体のベッド等の残存吸着能力をモニターすることができる、いわゆる耐用年数終了インジケータ(ESLI)を提供することができる。
【0013】
検出要素2は、検体の存在に反応し、本明細書において後述されるように光学的に読み取り呼出しされてもよい。検出要素2は反射スペクトルを示し、この反射スペクトルは、異なる波長において1つ以上のピーク及び谷を含み、検体の存在下で又は検体の濃度の変化の結果、変化してもよい。一実施形態では、検出要素2から反射される光は、鏡面的に反射される。別の実施形態では、検出要素2から反射される光は、拡散反射される。検出要素2は、少なくとも1つの検体反応層を含み、この層の光学特性(例えば、光学的厚さ)は、検体の有無の影響を受ける。検出要素2は、(本明細書において詳細に後述されるように)反射的である少なくとも1つの層、及び/又は半反射的である少なくとも1つの層を更に含んでもよい。いくつかの実施形態では、検出要素2は、反射層240と半反射層220との間に検体反応層230を含んでもよく、これらの層は組み合わされて、検体の存在下で又は検体の濃度の変化の結果変化し得る反射スペクトルを示す、いわゆる干渉フィルターを構成する。
【0014】
代表的な検出要素2が図2に示されている。この設計を取り入れる実施形態では、検出要素2は、順番に、半反射層220と、検体反応層230と、反射層240と、基材210とを含む。検出要素2の読み取り呼出しの際、(例えば、本明細書において後述される光源31からの)光線40が、半反射層220に衝突する。光線40のある部分は、半反射層220から光線41として反射してもよい。光線40のある部分は、半反射層220を通過し、検体反応層230を通過し、反射層240から反射して、検出要素2から光線42として出射してもよい。光線41及び42は合成されて、検体の存在下で又は検体の濃度の変化の結果変化し得る反射スペクトルを全体として形成してもよい。
【0015】
図2の代表的な設計では、検体は、半反射層220に浸透して、検体反応層230に入ってもよい。このことは層230の光学特性(例えば、光学的厚さ)を変化させることができ、その結果、検出要素2から反射される光の反射スペクトルは、検体の存在及び/又は濃度を検出又はモニターすることができるだけ十分に変化することができる。
【0016】
図2に示される設計を取り入れる実施形態では、半反射層220は検体浸透性であり(この特性は後述のようにもたらされることができる)、検体が層220を通って層230に入ることができるように、検体反応層230と流体連通する。図2の設計では、反射層240は、検体浸透性であってもよく、なくてもよい。図2の設計では、検出要素2の光学的読み取り呼出しの間、光は、基材210を通過する、又は基材210と相互作用する必要がない場合があるので、基材210は特定の光学特性(例えば、透明性)を必要としない場合がある。
【0017】
別の代表的な検出要素2が、図3に示されている。図3に示される設計を取り入れる実施形態では、検出要素2は、順番に、(任意の)基材210と、半反射層220と、検体反応層230と、反射層240とを含む。光線40は、基材210に衝突して通過する。光線40のある部分は、半反射層220から反射して、検出要素2から光線41として出射してもよい。光線40のある部分は、半反射層220を通過し、検体反応層230を通過し、反射層240から反射して、検出要素2から光線42として出射してもよい。光線41及び42は合成されて、検体の存在下で又は検体の濃度の変化の結果変化し得る反射スペクトルを全体として形成してもよい。
【0018】
図3の代表的な設計では、検体は、反射層240に浸透して、検体反応層230に入ってもよい。このことは層230の光学特性(例えば、光学的厚さ)を変化させることができ、その結果、検出要素2から反射される光の反射スペクトルは、検体の存在及び/又は濃度を検出又はモニターすることができるだけ十分に変化することができる。図3に示される設計を取り入れる実施形態では、反射層240は検体浸透性であり(この特性は本明細書において後述される方法によってたらされることができる)、検体反応層230と流体連通する。図3の設計では、半反射層220は、検体浸透性であってもよく、なくてもよい。図3の設計では、光は基材210を通過することができるので、基材210は、対象となる波長において光学的に透明でなければならない。
【0019】
図2に示される設計を取り入れる実施形態では、半反射層220は検体に対して透過性であり得るので、検体は、検出要素2の、検出要素2が光学的に読み取り呼出しされる側と同じ側に入ることができる。このような場合には、検出要素2は、(例えば、1つ以上の支持ブラケット177で保持されて)デバイス1のハウジング100の内部空間125内に都合よく配置され(図4の代表的な設計で示されるように)、検出要素2は、少なくとも1つの光源31及び少なくとも1つの光検出器32と光学的に接続された状態となる。光学的に接続とは、検出要素2は光源31からの光を受け取ることが可能であり、また、光検出器32は、検出要素2から反射される光を、直接(例えば、図4の代表的な実施形態にあるように、これら構成要素が互いに直接対向している場合)、又は1つ以上のミラーを用いてのいずれかで受け取ることが可能であることを意味する。このような実施形態では、検体がハウジング100の内部空間125に入って、検出要素2の検体浸透性層220に到達することができるように、1つ以上の閉塞されていない開口部101がハウジング100の中に設けられてもよい。図4では、検出要素2は、ハウジング100の前側主表面103にある閉塞されていない開口部101に隣接して配置され、ハウジング100の第2の主表面104に並んで隣接して配置された光源31及び光検出器32に向かい合っているものとして示されているが、多くの他の構成が可能である。例えば、光源31及び光検出器32は離間していてもよく、検出要素2を光源31及び/又は光検出器32と光学的に接続するためにミラーを使用してもよく、検出要素2は開口部101に隣接して配置されなくてもよいこと、などが挙げられる。
【0020】
図3に示される設計を取り入れる実施形態では、反射層240は検体に対して透過性であり得るので、検体は検出要素2に、検出要素2が光学的に読み取り呼出しされる側の反対側から入ることができる。このような実施形態では、検出要素2は、デバイス1のハウジング100内の閉塞されていない開口部102の中に、又は開口部102に隣接して、(図5の代表的な設計に示されるように)都合よく配置されてもよく、この場合検出要素2の検体浸透性反射層240は外側に向いた(即ち、内部空間125から離れる)状態となり、検出要素2の光学的読み取り呼出し可能な側は内部空間125内に向いた状態となり、検出要素2は、少なくとも1つの光源31及び少なくとも1つの光検出器32と光学的に接続される。このような実施形態では、検出要素2及び/又は検出要素2に沿って設けられた他の層は、内部空間125が封止された内部空間126を構成するように、開口部102を閉塞(封止)するように機能する。このような実施形態では、検出要素2は、少なくとも1つの光学的に透明で検体不浸透性の基材210(本明細書において詳細に後述される)を含んでもよく、この検体不浸透性基材210は、検出要素2の検体反応層230と、封止された内部空間126との間に位置決めされる。
【0021】
検体反応層230、及び存在する場合、基材210、半反射層220、及び/又は反射層240の特性、製造方法等が、ここでより詳細に記載される。かかる特性は、特定の実施形態に適用可能であると明記された場合を除いて、広くは反射検出要素の作製、特に、図2及び図3を参照して開示される2つの代表的な実施形態のいずれかに適用可能であると考えられる。先述の複数の層を指定するために同じ参照番号が使用されているが、そのように指定された層が、同一の又は異なる構造及び/又は構成を有してもよいことは、当業者には容易に理解されよう。検出要素2の機能を容認し難いほど妨げるのでない限り、例えば、結合層、接着促進層、保護層、カバー層等などの種々の他の層が、所望により、検出要素2に含まれてもよい。更に、本明細書に記載のデバイス1の設計、構成、及び特徴の全ては、特に明記しない限り、上記実施形態のいずれにも適用可能であると考えられる。
【0022】
検体反応層230は、対象の検体に対して十分に透過性であるあらゆる材料で構成されることができ、当該層の光学的厚さは、検体に暴露されると十分に変化して、本明細書に記載の検出要素2の所望の機能を可能にする。いくつかの実施形態では、検体反応層は多孔質の材料を含む。本文脈において、「多孔質」とは、材料が、少なくとも部分的に相互連結した内部細孔を含むことを意味する。例えば、平均(中間)孔径(例えば、収着等温線法によって特徴付けられる)が約100nm未満である材料が選択され得る。種々の実施形態では、20nm未満、約10nm未満、又は約2nm未満の平均孔径を有する材料が選択され得る。層230は、均質であっても、不均質であってもよく、例えば、1種以上の無機構成成分、1種以上の有機構成成分、又は無機構成成分と有機構成成分との混合物から作製されてもよい。層230に使用され得る代表的な無機材料としては、金属酸化物、金属窒化物、金属酸窒化物、及び好適な光学応答をもたらすのに適切な厚さの透明な(そして望ましくは、多孔質の)層に形成することができる他の無機物質が挙げられる。例えば、層230は、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、窒化チタン、酸窒化チタン、酸化スズ、酸化ジルコニウム、ゼオライト、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0023】
多孔質シリカは、特に望ましい無機検体反応層の材料であり得る。多孔質シリカは、例えば、ゾルゲルプロセス法を用いて調製することができ、有機テンプレートを用いて、又は用いずに調製できる。代表的な有機テンプレートとしては、界面活性剤、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ポリ(エチレンオキシド−コ−プロピレンオキシド)ブロックコポリマー、及び他の界面活性剤又はポリマーなどのアニオン性若しくは非イオン性界面活性剤が挙げられる。ゾルゲル混合物は、ケイ酸塩に変えてもよく、有機テンプレートは取り除かれてシリカ内に細孔の網状組織を残してもよい。様々な有機分子もまた、有機テンプレートとして使用することができる。例えば、グルコース及びマンノースなどの糖類が、多孔質ケイ酸塩を生成するための有機テンプレートとして使用されてもよい。有機置換シロキサン又は有機−ビス−シロキサンがゾルゲル組成物に含まれて、ミクロ孔質をより疎水性にし、水蒸気の収着を制限してもよい。プラズマ化学蒸着もまた、多孔質無機検体反応性材料を生成するのに使用され得る。この方法論は一般的に、ガス状前駆体からプラズマを形成し、プラズマを基材上に堆積して非晶質ランダム共有結合網状層を形成し、次に非晶質共有結合網状層を加熱して、多孔質非晶質ランダム共有結合網状層を形成することを含む。かかる方法及び材料は、国際(PCT)特許出願US 2008/078281、発明の名称「ORGANIC CHEMICAL SENSOR COMPRISING PLASMA−DEPOSITED MICROPOROUS LAYER,AND METHOD OF MAKING AND USING」に更に詳細に記載されており、当該特許出願はこの目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0024】
いくつかの実施形態では、検体反応層230は、少なくとも部分的には有機ケイ酸塩材料で構成され、この有機ケイ酸塩材料は、本明細書では、いくつかの有機官能基Rを持つ共有結合している三次元シリカ網状組織(−Si−O−Si−)を含有するハイブリッドであると定義され、ここで、Rは、少なくとも1つのSi−C結合によりシリカ網状組織に連結された炭化水素又はヘテロ原子置換炭化水素基である。このような材料及びそれらの製造方法は、米国特許仮出願第61/140180号、発明の名称「Organic Chemical Sensor with Microporous Organosilicate Material」に更に詳細に記載されており、当該特許出願はこの目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0025】
層230を形成するのに使用することができる代表的な有機材料には、疎水性アクリレート及びメタクリレート、二官能モノマー、ビニルモノマー、炭化水素モノマー(オレフィン)、シランモノマー、フッ素化モノマー、ヒドロキシル化モノマー、アクリルアミド、無水物、アルデヒド官能化モノマー、アミン官能化若しくはアミン塩官能化モノマー、酸官能化モノマー、エポキシド官能化モノマー、並びにこれらの混合物又は組み合わせを包含する種類のモノマーから調製した又は調製可能な、ポリマー、コポリマー(ブロックコポリマーを包含する)、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0026】
いくつかの実施形態では、検体反応層230は、いわゆる「本質的な微小多孔質のポリマー」(以下PIMsという)を含む一群の材料から選択される構成要素から、少なくとも部分的に作製される。この一群のポリマーは、例えば「Polymers of Intrinsic Microporosity(PIMs):Robust,Solution−Processable,Organic Microporous Materials」、Buddら、Chem.Commun.,2004,pp.230−231;「Polymers of Intrinsic Microporosity(PIMs)」、McKeownら、Chem.Eur.J.,2005,11,No.9,2610〜2620;米国特許出願公開第2006/0246273号(McKeownら);及びPCT国際特許出願WO 2005/012397A2(McKeownら)に記載され、特徴付けられており、当該文献の全てはこの目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0027】
PIMsは、内部にねじれた構造を生じるための十分な構造的特徴が存在する、非常に剛性があるポリマーとなるモノマーの任意の組み合わせの使用によって配合することができる。様々な実施形態において、PIMsは、剛性リンカーによって連結されるほぼ平面的な種からなる有機高分子を含む場合があり、この剛性リンカーは、剛体リンカーによって連結される2つの近接する平面的な種が非同一平面上の配向に維持されるように、ねじれ点を有する。更なる実施形態では、このような材料が、剛性リンカーによって大部分が最高で2つの他の第1の種に連結される第1のほぼ平面的な種からなる有機高分子を含むことができ、この剛性リンカーは、リンカーによって連結される2つの近接する第1の平面的な種が非同一平面上の配向に維持されるように、ねじれ点を有する。様々な実施形態において、このようなねじれ点は、スピロ基、架橋環部、又は立体的に密集した単一の共有結合を含んでもよく、この周囲では回転が制限される。
【0028】
このような剛性があるねじれた構造を有するポリマーでは、ポリマー鎖が互いに有効に密集することができず、したがってポリマーは、固有のミクロ孔質を有する。したがって、PIMsは、材料の熱履歴に顕著に依存することのない、ミクロ孔質を備えることの利益を有する。PIMsはしたがって、大量に再生可能に製造可能であるという点で、及び老朽化、及び貯蔵寿命などによって変化する特性を呈さないという点で、利益を提供することがある。
【0029】
多くの用途では、検体反応層230は疎水性であってもよい。このことは、水蒸気(又は液体の水)が層230の反応に変化を生じさせて、検体の検出(例えば、有機溶媒蒸気の検出)を妨げる可能性を軽減することができる。
【0030】
検体反応層230に有用な好適な材料の更なる詳細及び特性、並びにかかる材料から層230を作製する方法は、例えば、米国特許出願公開第2008/0063874号に記載されており、当該特許出願はこの目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0031】
検出要素2は反射層240を備えてもよい。いくつかの実施形態では、反射層240は、予め形成されている検体反応層230の表面の上に(例えば、本明細書に記載の種々の方法によって)堆積されてもよく、又は、反射層240が基材210の上に堆積されて、次に検体反応層230が反射層240の上に堆積されてもよい。
【0032】
反射層240は、十分な反射率をもたらすことができる任意の好適な材料を含んでもよい。反射層の好適な材料としては、アルミニウム、クロム、金、ニッケル、ケイ素、及び銀などの金属類又は半金属類を挙げることができる。反射層に含まれることができる他の好適な材料としては、金属酸化物を挙げることができる。いくつかの実施形態では、反射層は、約500nmの波長において、少なくとも約90%反射してもよく(即ち、最大約10%透過性)、及びいくつかの実施形態では、約99%反射(即ち、約1%透過性)してもよい。
【0033】
(例えば、図3の設計を取り入れる)いくつかの実施形態では、反射層240は、対象の検体に対して透過性であるのが有利であり得る。これは、例えば、球形砲弾や大理石の積層に近い形態に配置され、そこを通って検体が浸透して検体反応層230に到達しかつ入ることができる、金属ナノ粒子の反射層240を形成することによってもたらされてもよい。
【0034】
様々な金属ナノ粒子を使用することができる。代表的な金属としては、銀、ニッケル、金、プラチナ及びパラジウム、並びに前述の金属のうちのいずれかを含有する合金が挙げられる。ナノ粒子形態のときに酸化されやすい金属(例えば、アルミニウム)は、使用してもよいが、望ましくは避け、空気にあまり敏感ではない金属が好ましい。金属ナノ粒子は、完全にモノリシックであってよく、又は層状の構造(例えば、Ag/Pd構造などのコア−シェル構造)を有していてもよい。ナノ粒子の平均粒径は、例えば、約1〜約100nm、約3〜約50nm、又は約5〜約30nmであってよい。金属ナノ粒子層の全体厚さは、例えば、約200nm未満又は約100nm未満であってよく、最も薄い層の厚さは、例えば、少なくとも約5nm、少なくとも約10nm、又は少なくとも約20nmであってよい。大きな直径の微小粒子を適用して単層を生成させる場合もあるが、ナノ粒子層は、典型的には、ナノ粒子数個分の厚さ、例えば、少なくとも2個以上、3個以上、4個以上、又は5個以上であって、5個まで、10個まで、20個まで、又は50個までのナノ粒子の合計厚さであってよい。金属ナノ粒子反射層は、例えば、500nmにおいて、少なくとも約40%、少なくとも約50%、又は少なくとも約60%の反射率を有してもよい。種々の実施形態では、金属ナノ粒子反射層は、500nmの波長において、少なくとも約80%、少なくとも約90%、又は約99%の反射率を有してもよい。
【0035】
好適な金属ナノ粒子の溶液又は懸濁液は、いくつかの供給元から入手可能であり、例えば、Inkjet Silver ConductorインクAG−IJ−G−100−S1(Cabot Printable Electronics and Displays製);SILVERJET.TM.DGH 50及びDGP 50インク(Advanced Nano Products製);SVW001、SVW102、SVE001、SVE102、NP1001、NP1020、NP1021、NP1050及びNP1051インク(Nippon Paint(America)製);METALON.TM.FS−066及びJS−011インク(Novacentrix Corp.製)、及びNP Series nanoparticle paste(Harima Chemicals,Inc.製)が挙げられる。金属ナノ粒子は、水及び有機溶媒を含む種々の担体に染み込ませてもよい。金属ナノ粒子はまた、重合性モノマー結合剤に染み込ませてもよいが、望ましくは、かかる結合剤は、透過性ナノ粒子層を提供できるように、適用したコーティングから(例えば、溶媒抽出又は焼結を用いて)除去する。
【0036】
層240は、希釈コーティング溶液又は金属ナノ粒子の懸濁液を検体反応層230に塗布し、透過性反射層240を形成するためにこの溶液又は懸濁液を乾燥させることによって形成されてもよい。希釈濃度は、例えば、好適な液体透過性又は蒸気透過性の金属ナノ粒子層を提供するコーティング溶液又は懸濁液を供給する程度、例えば、固体濃度が30重量%未満、20重量%未満、10重量%未満、5重量%未満、又は4重量%未満であってよい。入手したままの市販の金属ナノ粒子製品を追加の溶媒で希釈し、その希釈溶液又は希釈懸濁液を適用して乾燥させることによって、かなり薄い液体透過性層又は蒸気透過性層を得ることも可能である。様々なコーティング法を利用して、金属ナノ粒子溶液又は懸濁液を適用することも可能であり、拭取り、ディップコーティング、ロールコーティング、スピンコーティング、スプレーコーティング、ダイコーティング、インクジェットコーティング、スクリーン印刷(例えば、ロータリースクリーン印刷)、グラビア印刷、フレキソ印刷、及び当業者によく知られた他の方法が挙げられる。スピンコーティングは、他の方法を用いて得られるものよりも薄く、より透過性の高いコーティングを提供する場合がある。それ故に、低い固体濃度で入手可能ないくつかの銀ナノ粒子懸濁液(例えば、日本ペイント(Nippon Paint)製の5重量%SVW001銀、アドバンスド・ナノ・プロダクツ(AdvancedNano Products)製の10重量%シルバージェット(SILVERJET)DGH−50又はDGP−50)は、適切に高い速度及び温度で好適な基材にスピンコーティングする場合は、入手したままの形態で、それ以上希釈せずに利用してもよい。金属ナノ粒子層は、適用された後、その焼結が適度な透過性を低下させない限り、(例えば、約125〜約250℃で約10分間〜約1時間加熱することによって)焼結してもよい。得られる反射層は、容易に確認できるナノ粒子をもはや含有していない場合もあるが、それが作製された方法で識別するために、ナノ粒子反射層と呼ばれてもよい。
【0037】
反射層240に有用な好適な検体浸透性材料、特に金属ナノ粒子材料の更なる詳細及び特性は、米国特許出願公開第2008/0063874号に記載されており、当該特許出願はこの目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0038】
検出要素2は、半反射層220を備えてもよい。種々の実施形態において、半反射層220は、予め形成されている検体反応層230の表面の上に(例えば、本明細書に記載の種々の方法によって)堆積されてもよく、又は、半反射層220が基材210の上に堆積されて、次に検体反応層230が半反射層220の上に堆積されてもよい。
【0039】
半反射層220は、その名が示す通りに、反射層240が含むよりも少ない反射率を含む。半反射層220は、(例えば、適切な厚さであるときに)適切な半反射性を提供することができる任意の好適な材料を含むことができる。好適な材料としては、アルミニウム、クロム、金、ニッケル、ケイ素、及び銀などの金属類又は半金属類を挙げることができる。他の好適な材料には、金属酸化物を挙げることができる。
【0040】
種々の実施形態では、半反射層220は、約500nmの波長において、約30〜約70%反射してもよく、又は約40〜約60%反射してもよい。
【0041】
(例えば、図2の設計を取り入れるタイプの)いくつかの実施形態では、半反射層220は、対象の検体に対して透過性であるのが有利であり得る。したがって、この場合、検体が半反射層220に浸透して、検体反応層230に到達しかつ入るのを可能にした状態で、適切な反射率をもたらすために、適切な厚さの半反射層220を提供するのが好ましくあり得る。一部の例では、(例えば、半反射層220が蒸着によって堆積されて金属層を形成する場合)一般的な範囲である5nmの厚さが望ましくあり得る。具体的な所望の厚さは、層を形成するために使用する材料、検出する検体によって決まることになり、所望により構成され得る。
【0042】
半反射層220及び反射層240は、(例えば、所望の異なる反射率を付与するために、異なる厚さ又はめっき目付量で堆積された)類似又は同一の材料から作製されてもよい。特定用途にとって望ましい反射率及び透過性の特性がもたらされる限り、半反射層220及び反射層240は、連続的又は非連続的であり得る。好適な半反射層及び反射層の更なる詳細、それらの特性及び作製方法は、米国特許出願第2008/0063874号に記載されており、当該特許出願はこの目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0043】
基材210は、存在する場合、検出要素に支持を提供することができる任意の好適な材料(例えば、ガラス、プラスチック等)で構成され得る。検出要素2が読み取り呼出しされるために光が基材210を通過する実施形態では、基材210は光学的に透明でなければならず(即ち、対象となる波長において十分な透明性を備えていなければならず)、かつ、光信号に容認し難いほど影響を与える他の特性(例えば、蛍光性)を有してはならない。いくつかの実施形態では、基材210は、検体及び/又は他の物質(例えば、ガス、水蒸気、又は固体)に対して不透過性であるバリア材料を含む。特定のポリマー基材(例えば、半結晶性ポリマー等)は、特に高度なバリア性を有し得る。他のポリマー基材(例えば、ポリカーボネート、ポリスチレン等のようなガラス状ポリマー)は、例えばポリエステルと同等のバリア性を有してはいないが、それでも、本出願において使用できるだけ十分に不透過性であり得る。
【0044】
図4及び図5を参照すると、デバイス1は、光を少なくとも1つの検出要素2に方向付けるための、少なくとも1つの光源31を含む。光源31は、電球(例えば白熱電球)等を含む様々な光源のいずれかを含んでもよい。いくつかの実施形態では、光源31は発光ダイオード(LED)を含んでもよい。ある種の実施形態では、光源31は、比較的広帯域の光(例えば、白色光)を放射する光源を含んでもよい。他の実施形態では、光源31は、特定の(例えば、比較的狭い)波長範囲の光を放射する狭帯域光源(例えば、LED)を含んでもよい。種々の実施形態では、このような狭帯域光源は、最大約50nm、最大約40nm、又は最大約25nmの電力半値帯域を含み得る(may emit comprise)。使用することが可能な代表的なLEDとしては、Optek(Carrollton,TX)から表記OVLBx4C7で入手可能なものが挙げられる。
【0045】
図4及び図5を参照すると、デバイス1は、少なくとも1つの検出要素2からの反射光を測定するための少なくとも1つの光検出器(光検知器)32を含む。光検知器32は、例えば、光電子増倍管、光電池、電荷結合素子等を含む、入射光子の数を測定することが可能な様々なデバイスのいずれかを含んでもよい。光検知器32は、検出された光子の数(例えば、検出要素2から入射する反射光の強度又は強さ)に関連した信号(例えば、電圧、電流等)、及び本明細書において後述されるように更に処理され得る信号を提供するように機能する。いくつかの実施形態では、光検知器32は光ダイオードを含んでもよい。いくつかの実施形態では、光検知器32は、特定(例えば、比較的狭い)波長範囲の光を検出してもよい。他の実施形態では、光検知器32は、比較的広波長にかけての光を検出することができる広帯域検出器を含んでもよい。種々の実施形態では、このような広帯域光検出器は、少なくとも約150nmの帯域、250nmの帯域、又は500nmの帯域の波長範囲にかけての光を検出することが可能であり得る。使用することができる代表的な光検知器としては、OSRAM(Regensburg,Germany)から表記SFH 2430で入手可能な光ダイオードが挙げられる。
【0046】
このように、デバイス1は、少なくとも1つの光源31と少なくとも1つの光検知器32とを含み、少なくとも1つの検出要素2を光学的に読み取り呼出しすることができるように構成される。光源31は、光源31の光出力の少なくとも一部が検出要素2に当たるように配置されてもよい。いくつかの実施形態では、光源31は、検出要素2の近くに配置され、光源31から放射された光が、検出要素2に直接衝突するように構成されてもよい。種々の実施形態では、光源31は、検出要素2から約30mm未満、20mm未満、又は10mm未満に位置してもよい。同様に、光検知器32は、検出要素2の近くに配置され、検出要素2に反射した光の少なくとも一部を、光検知器32が直接受けるように構成されてもよい。種々の実施形態では、光検知器32は、検出要素2から約30mm未満、20mm未満、又は10mm未満に位置してもよい。
【0047】
いくつかの実施形態では、デバイス1は、光源31と検出要素2との間の光路内の1つ以上のミラー(いずれの図にも図示せず)を使用して、光源31から放射された光を検出要素2が間接的に受けるように構成されてもよい。同様に、いくつかの実施形態では、デバイス1は、検出要素2と光検知器32との間の光路内の1つ以上のミラー(図示せず)を使用して、検出要素2から反射される光を光検知器32が間接的に受けるように構成されてもよい。
【0048】
種々の実施形態では、光源31及び光検知器32は、光検知器32に入射する周辺光(又は検出要素2から直接反射される光以外のあらゆる光)を最小限に抑えた状態で、光源31からの光の一部を検出要素2上へ方向付け、光検知器32から反射した少なくとも一部の光を収集するように構成されてもよい。ある種の実施形態では、図4及び図5の代表的な設計に示されるように、光検知器32を光源31に隣接して(近くに)配置するのが有用であり得る。種々の実施形態では、光検知器32は、光源31から(例えば、中心間距離で測定して)最大約5mm、10mm、又は15mmに位置してもよい。いくつかの実施形態では、図4及び図5の代表的な設計に示されるように、光源31及び光検知器32は、共通プリント基板38のう上に装着されてもよい。そのような場合、光源31及び光検知器32はコプレーナ構造であってもよく、このコプレーナ構造は、本明細書では、(詳細に後述されるように、光源31及び光検知器32の一方又は両方が、互いに対して角度付けされ得るとしても)光源31の少なくとも一部及び光検知器32の少なくとも一部が、プリント基板の平面と平行な面内にある構造と定義される。
【0049】
いくつかの実施形態では、光源31から検出要素2へと向けられる光の量、及び光検知器32が受ける検出要素2からの反射光の量を高めるために、光源31、検出要素2、及び/又は光検知器32は、互いに対して所定の角度で配置されてもよい。
【0050】
例えば、図7に例示されるタイプの設計では、光検知器32は、検出要素2の垂直(「z」)軸とプリント基板38との交点に位置決めされ(これは、光検知器32の感光面積の少なくとも一部が、検出要素2の中心から始まる検出要素2の垂直軸と、プリント基板38との交点に位置決めされることを意味する)、(1つ又は複数の)光源31は、(例えば、検出要素2の垂直軸に対して少し軸から外れて)光検知器32に隣接して(横方向に並んで)配置される。このような配置では、検出要素2が受ける光源31から放射された光の量を高めるために、光源31は角度を付けられることができる。光検知器32は、検出要素2に反射した光をそのとき受けるように配置される。種々のその他の実施形態では、(光源31に加えて、又は光源31の代わりに)光検知器32が、検出要素2の垂直軸に対して少し軸から外れて配置されてもよい。検出要素2の光学的読み取り呼出しを行うための十分な能力が提供される限り、光源31と、検出要素2と、光検知器32との間の任意の好適な関係が許容可能である。例えば、(図4、図5、及び図6に示されるように)ハウジング100の主表面103に隣接し、かつ主表面103に対して相対的に平行に配置されるのではなく、検出要素2と、光源31及び光検知器32の適切な関係がもたらされる限り、検出要素2は、主表面103からある距離を置いて及び/又は主表面103に対してある角度をなして配置されてもよい。
【0051】
特定の実施形態では、光源31は、光源31と検出要素2との間に所望の角度を設けるために、(図6に示され得るように)プリント基板38に対してある角度をなして、プリント基板38の上に装着(例えば、取り付け)られることができる。例えば、光源31が発光ダイオードの場合、光源31は、任意の周知の装着法によってプリント基板38に電気的接続されてもよい。スルーホール法は、所望の角度をより良好に設けることが可能であり得るが、所望により、表面実装法を用いることも可能である。所望により、1つ以上の位置決め装置(例えば、ホルダー、カラー等)を使用して、光源31を所望の角度でプリント基板38上に位置決めしてもよい。種々の更なる実施形態では(図6に図示せず)、光検知器32は、光源31で行われたのと同様の方法で、プリント基板38に対してある角度をなして、プリント基板38に装着(例えば、取り付け)られることができる。
【0052】
デバイス1は、光検知器32が他の光源から受ける光を最小限に抑えながら、光検知器32が受ける検出要素2から直接反射される光の量を高めるように設計され得る。例えば、デバイス1のある種の設計は、内部空間125に入る周辺光の量を最小限に抑えることができ、光源31から光検知器32へと直接伝達され得る光の量を最小限に抑えることができる。
【0053】
したがって、いくつかの実施形態では、ハウジング100の一部、大部分、又は全ては、不透明材料で作製されてもよい。いくつかの実施形態では、ハウジング100の内部表面127(例えば、内部空間125に面する表面)の一部、大部分、又は全ては、非反射性(例えば、光吸収性、不透明、黒色等)であってもよい。これは、例えば、着色された(例えば、不透明な)材料のハウジング100を成形すること、ハウジング100の内部表面に反射防止コーティング、不透明コーティング等を使用することによってなどにより、達成され得る。いくつかの実施形態では、光源31は、比較的狭いビーム角の光を放射する光源(例えば、LED)を含んでもよい。種々の実施形態では、光源31は、光の90%超過が、ビームの中心から±30度の角度以内、又はビームの中心から±20度の角度以内で放射されるようなビーム角を含んでもよい。いくつかの実施形態では、1つ以上の光障壁を配置して、普通であれば光源31から光検知器32へと直接移動するはずの光を遮断してもよい。例えば、図6の代表的な設計では、少なくとも一部の光が光検知器32に達するのを遮断するために配置される光障壁128が示されている。光障壁128は、所望の光の遮断を達成する限り、任意の好適な材料(例えば、不透明材料)で構成されてもよく、任意の好適な寸法又は形状であってもよく、また、任意の好適な位置に設置されてもよい。光障壁128は、光源31の近くに配置されてもよい。いくつかの実施形態では、光障壁128は、光源31をプリント基板38に対して望ましい配置(例えば角度)で保持するのを助けるホルダー(例えば、カラー)を含んでもよい。この構成に加えて、又はその代わりに、光障壁は、同様の目的のために光検知器32の近くに同様に配置されてもよい。
【0054】
更なる実施形態では、複数の光源31及び/又は複数の光検知器32をデバイス1で使用してもよい。この手法の多くの変形が可能である。例えば、2個、3個、4個、又はそれ以上の光源31を使用することができる。特定の実施形態では、それぞれが他の光源から放射される光と異なるピーク波長の光を放射する異なる光源31a、31b等(例えば、異なる放射波長範囲を有するLED光源)を使用してもよい。このような設計では、異なる光源は、共通の光検知器に隣接して装着されてもよい(2個の光源31a及び31bを含む代表的な設計が、図7に示されている)。個々の光源のそれぞれは、光源31に関して上述されたように、検出要素2に対して軸から外れて、及び/又はプリント基板38に対して角度を付けられて配置され得る(例えば、図7に代表的な様式で示されているように)。1つ以上の光障壁128が存在してもよい。
【0055】
更なる実施形態では、複数の光検知器を使用することができる。例えば、特定のピーク波長の光を放射する各光源31を、この特定の波長範囲の光を検出するように設計された光検知器と組み合わせて使用することができる。他の実施形態では、複数の(例えば、狭帯域の)光検知器を、単一広帯域光源31と組み合わせて使用することができる。
【0056】
他の実施形態では、単一光検知器32(例えば、独立した、個々の狭帯域光源31のそれぞれから放射される波長範囲の光を検出することができる広帯域検出器32)を、複数の狭帯域光源31と組み合わせて使用することができる(例えば、図7に示されるように)。このような設計では、共通の光検知器32が、光源31aから放射される光に対応する信号を検出することができ、次に、光源31bから放射される光に対応する信号を別に検出することができ、以下同様であるように、光源31は、各光源31のトリガの間に十分な時間遅延(例えば、少なくとも1ミリ秒)を有して、連続して作動され得る。このような設計は、必要な光検知器が1つだけであるという利点を有し得る。
【0057】
複数の光源31及び/又は複数の光検知器32を使用することにより、デバイス1の強化された動作が可能となり得る。例えば、このような設計により、より広範囲の検出可能な検体の検出が可能になり得、より広い濃度域の検体の検出が可能になり得、検体の濃度のより正確な定量化が可能になり得、新しい又は取り換え用(replacement)検出要素2が設置されるたびにデバイス1を較正する必要性をなくすことができる、などであるしたがって、いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法の実施は、検体を潜在的に含む雰囲気のモニタリングの前に、検出要素を、既知のゼロでない濃度の検体を含有する較正用ガスに暴露する必要がない。
【0058】
本明細書に開示されるデバイス及び方法はまた、光ファイバー・ケーブル、レンズアレイ、フィルタホイール等のような構成要素の使用を最小限に抑えるので、光反射率を介した検出要素2の読み取り呼出しを、最小限の空間利用、及び最小限のコストで向上させることができる。特に、本明細書に開示されるデバイス及び方法により、軽量で、持ち運びができ、また、所望により、外部電源なしで機能することができるデバイス1の製造が可能になる。種々の実施形態において、デバイス1の内部空間125/126は、約100cm3未満、約60cm3未満、又は約30cm3未満であってもよい。
【0059】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の方法は、呼吸保護装置と関連した耐用年数終了インジケータ(ESLI)として検出要素2が機能するのを可能にし得る。様々な代表的な呼吸保護装置が、米国特許出願第2008/0063575号、名称「ORGANIC VAPOR SORBENT PROTECTIVE DEVICE WITH THIN−FILM INDICATOR」に記載されており、当該特許出願はこの目的のために参照により本明細書に組み込まれる。このような実施形態では、デバイス1がバッジモニター又はエリアモニターとして使用される場合に使用されるある種の構成要素(例えば、キャップ140、保護層300)が、存在してもよいし、しなくてもよい。
【0060】
いくつかの実施形態では、検出要素2は、デバイス1の常設構成要素として設けられてもよい。他の実施形態では、検出要素2は、使い捨ての(例えば、取り外し可能な及び/又は交換可能な)構成要素であってもよい。検出要素2の機能を妨げる可能性がある小分子を含有している場合がある接着剤(例えば、感圧接着剤、液状接着剤、熱硬化性接着剤、放射線硬化性接着剤などを含む)の使用を最小限にして又は使用せずに、検出要素2をデバイス1の所定の位置にしっかりと位置付ける(例えば、取り付ける)(及び任意に、その際に開口部102を閉塞する)のが有利であり得る。したがって、1種以上の機械的取り付け手段(例えば、クリップ、クランプ、キャップ等)を介して、検出要素2を所定の位置に保持するのが有利であり得る。検出要素2を歪ませない、たわませない又は変形させない方法で、検出要素を所定の位置に保持するのもまた有利であり得る。図8に代表的な様式で示されている種類の実施形態では、検出要素2は、キャップ140を使用して所定の位置に保持されている(また、開口部102を閉塞させている)。このような実施形態では、ハウジング100は、フランジ105と壁部106とを備え、このフランジ105の上に、検出要素2の周縁部分215(例えば、検出要素2の基材210の一部分)が載置され、壁部106は、検出要素2が開口部102に対して横方向に移動するのを制限する。キャップ140は、デバイス1のハウジング100に取り付け可能であり、取り付けられると、検出要素2を所定の位置にしっかりと保持して、開口部102を閉塞する。キャップ140は、任意の好適な取り付け機構(いずれの図にも図示せず)によって、デバイス1のハウジング100に取り付け可能であり得る。したがって、キャップ140は、ねじ式接続機構、差し込み型接続機構を含んでもよく、1つ以上のクリップ、クランプ等を介して取り付けられてもよく、フック・アンド・ループ締結具、弾性バンド等の機械的締結具を使用して取り付けられてもよい。キャップ140は、検出要素2の周縁部分215を所定の位置に(例えば、ハウジング100のフランジ105に対して)しっかりと保持するように設計された部分141を含んでもよい。1つ以上の封止ガスケット(例えば、Oリング)を(例えば、検出要素2の縁部部分215と、キャップ140の部分141又はハウジング100のフランジ105との間に)使用して、開口部102の閉塞を達成するのを支援してもよい。キャップ140はまた、検体浸透性部分142を含んでもよい。部分142は、(例えば、図8の代表的な実施形態にあるような)開放スペースを含んでもよい。又は、検体を検出要素2に到達させる一方で、検出要素2に機械的保護を提供するために、部分142は、それらの間にスペースを有する1つ以上の部材(例えば、ルーバー、レール)を備えてもよく、及び/又は(例えば、図9の代表的な実施形態にあるような)有孔シート、メッシュ等を備えてもよい。図8及び図9に示される種類の実施形態では、検出要素2は、(デバイス1の内部空間126に向けて)内側に押圧されることによって所定の位置に保持されているが、他の実施形態では、検出要素2は、例えば、ハウジング100のフランジ又は何らかの他の部分に対して外側に押圧されることによって所定の位置に保持されてもよい。
【0061】
どのようなやり方で達成されたとしても、検出要素2が所定の位置にしっかりと保持されたときには、内部空間125が封止された内部空間(126)となるように、開口部102は閉塞されることができる。封止とは、水蒸気又は固体(例えば、粉塵)が、デバイス1の内部空間126に浸透することができないことを意味する。開口部102の閉塞は、検出要素2により(例えば、検体及び/又は任意の他のガス、液体、水蒸気等に対して不透過性であり得る、検出要素2の光学的に透明な基材210によって)もたらされることができ、又は、開口部102の閉塞は、1つ以上の二次バリア層によってもたらされることができる。このような二次バリア層は、検出要素2に関連付けられてもよく(例えば、検出要素2に貼り合わされる、検出要素2と一緒にキットで提供されるなど)、又は、デバイス1のハウジング100の常設構成要素(例えば、透明窓)であってもよい。
【0062】
この種の設計では、検出要素2の検体浸透性反射層240は、外側に(封止された内部空間126から離れて)向いていてもよく、また、検出要素2の光学的に透明な基材210は、光学的に透明な基材210を通過する光線40及び光線41若しくは42を通して検出要素2が光学的に読み取り呼出しされ得るように、内側に向いていてもよい。このような設計では、デバイス1は、検体(又はあらゆる他の固体、液体若しくは水蒸気材料)が封止された内部空間126に入ることなく、検体を検出することが可能であり得る。内部空間125は、検体及び/又は他の物質に有害に影響される可能性のある様々なオプトエレクトロニクス部品を含むので、内部空間125を封止された内部空間(126)として提供することには、利点があり得る。内部空間126の中のオプトエレクトロニクス部品を、デバイス1の外側の物質から保護することに加えて、不透過性の基材210(及び/又は存在する任意の二次バリア層)は、内部空間126内に存在し得る物質(例えば、オプトエレクトロニクス部品の組み立てに使用された可能性がある、内部空間126内の接着剤又は物質)から検出要素2が有害に影響されないように保護することができる。
【0063】
図4に示される種類の実施形態では、キャップ140はまた、例えば、内部空間125の中の様々な構成要素への物理ダメージを防止し、尚且つ検体の内部空間125へのアクセスも提供するやり方で、閉塞されていない開口部101を覆うために使用されてもよい。
【0064】
他の層、構成要素等もまた、様々な目的のために、デバイス1の中に設けられてもよい。例えば、検出要素2と、光源(1つ又は複数)、光検知器32(1つ又は複数)、及び/又はデバイス1の様々なその他のオプトエレクトロニクス部品との間に、1つ以上の追加の層(例えば、光学的に透明なフィルム)が設けられてもよい。いくつかの実施形態では、光源31(1つ又は複数)、光検知器32(1つ又は複数)及び/又は様々なその他のオプトエレクトロニクス部品は、デバイス1の内部空間125の、1つ以上の光学的に透明な層の後に存在してもよく、当該層は、このような構成要素を(例えば、粉塵、埃、汚染物質等から)保護し、尚且つ検出要素2の読み取り呼出しのために、光を光学的に透明な層に通過させることができる。
【0065】
いくつかの実施形態では、蒸気相又は気相中の検体に対して透過性であるが、液状検体、又はデバイス1の動作を妨げる可能性があるあらゆる液状物質又は固形物質の、デバイス1の内部空間125の中への通過に対する防御を提供する、1つ以上の層を設けるのが望ましくあり得る。したがって、デバイス1の開口部101/102と内部空間125/126との間に配置される保護層300を提供することが有用であり得る。保護層300は、気相及び/又は蒸気相中の検体を十分に通過させて、検出要素2の適切な反応を確実にする一方で、望ましくない液相物質が通過するのを実質的に又は完全に防止するのに十分なだけ(ガス及び/又は水蒸気)透過性である、任意の材料を含んでもよい。したがって、保護層300は、ガス及び/又は水蒸気を通過させる一方で、液体の通過を実質的に防止する、任意の好適な多孔質の材料を含んでもよい。(本文脈において、液体の通過を実質的に防止するとは、保護層は、例えばポンピングにより達成され得る十分に高い圧力が印加されると、液体をこの材料に貫通させることができるが、液体は、偶然接触、注入、跳ね返り等などの事象では層を貫通しないことを意味する。)このような材料としては、例えば、多孔質膜及び/又は微多孔膜、不織布ウェブ、織布地等を挙げることができる。このような材料は、それらの湿潤性及び/又は(and/or)それらの液体通過防止能力を改良するために、所望により処理されてもよい。保護層300として使用することができる代表的な材料としては、例えば、Pall Corporation(East Hills,NY)から商品名Versapore Rで入手可能な材料が挙げられる。
【0066】
保護層300は、開口部101/102の中又は近くに設置されてもよく、また、図9に示される代表的な構成に描かれているように、例えば、キャップ140によって所定の位置に保持されてもよい。いくつかの実施形態では、保護層300は圧縮性の多孔質材料を含んでもよく、この圧縮性の多孔質材料は、キャップ140がデバイス1のハウジング100に取り付けられると、検出要素2を所定の位置に保持するのを援助する。
【0067】
保護層300は、所望の保護が必要である限り、検出要素2(例えば、検出要素2の検体浸透性反射層240)と直接接触してもよく、しなくてもよい。保護層300は、キャップ140の凹所の中に、例えばキャップ140の検体浸透性部分142に隣接して配置されてもよく、この検体浸透性部分142は、保護層300の上方に存在して保護層300を所定の位置に保持し、機械的保護を提供し、尚且つ検体を検出要素2に到達させることができる。保護層300及び/又はキャップ140は、所望により交換可能であってもよい。
【0068】
本明細書に開示される方法及びデバイスを用いて検出要素2を読み取り呼出しすると、(例えば、モニターする雰囲気中の)対象の検体の存在及び/又は濃度に関連した信号を得ることができる。いくつかの実施形態では、デバイス1の少なくとも1つの光検知器32によって生成される信号は、例えば、(例えば、光検知器32に入射する光に反応して光検知器32によって生成される)電圧又は電流の形態の電気信号である。即ち、光検知器32は、検出要素2からの光信号(例えば、光の強度)を、その後、操作、処理等することができる電圧などの信号に変換することができる。デバイス1は、マイクロコントローラによる処理を簡略化するためにデジタル形式の信号を提供することが可能な、1つ以上のアナログ−デジタル変換器を更に備えることができる。光検知器32が複数の場合には、光検知器32のそれぞれによって個々の信号が提供され得る。
【0069】
1つ以上の光検知器32から受信した信号は、所望により、デバイス1の電気回路網に存在するアルゴリズム(例えば、ソフトウェア又はファームウェアに搭載されている)に従って数学的に操作(個別に又は組み合わされて)されることができる。したがって、デバイス1は、このような所望の信号処理を実行するのに必要な、更には光源31及び/又は光検知器32等を制御するのに必要な構成要素、電気回路網等を備えてもよい。図10のブロック図を参照すると、デバイス1はマイクロコントローラ37を備え、このマイクロコントローラ37は、光源(1つ又は複数)31を操作し、かつ光検知器(1つ又は複数)32を操作する(及び光検知器32から信号を受信する)ことができ、光検知器(1つ又は複数)32から受信した信号を処理、操作等することができ、様々なデータ及びパラメータをメモリに保持することができ、ディスプレイ36を操作してユーザーインターフェース39と通信することができ、電力供給装置35を介して(内部又は外部)電源34から電力を受け取ることができ、所望により他の機能を実行することができる。特定の実施形態では、デバイス1は、Texas Instrumentsから商品名MSP430F437IPNで入手可能な製品に代表される種類のマイクロコントローラを備えることができ、この製品は、本明細書に記載の用途に特に適している可能性がある。デバイス1は、デバイス1の機能を実行するために、所望により、他の電気構成要素及び/又は光学構成要素を備えてもよい。このような構成要素には、1つ以上の抵抗器、コンデンサ、誘導器、集積回路、駆動装置、送受信装置、アンテナ等が挙げられるが、これらに限定されない。デバイス1の様々な構成要素は、1つ以上のプリント基板に接続、及び/又は物理的に装着されることができる。いくつかの実施形態では、デバイス1の様々な構成要素は、単一共通回路基板38上に装着される。
【0070】
要約すれば、デバイス1は、本明細書に記載の通りに受信した及び/又は処理された信号から、モニターする雰囲気中の対象の検体の濃度値と関連付けられた、例えばモニターする雰囲気中の対象の検体の濃度値を表す、通知信号を生成することができる。通知信号は、(例えば、視覚信号、音声信号、又は触覚信号により)デバイス1のユーザーに伝達され得る。一実施形態では、通知信号は、モニターする雰囲気中の検体濃度の実際の数値であり得る。これに加えて、及び/又はこれに代えて、数値ではないが、このような数値に関連付けられている通知信号が提供されてもよい。例えば、デバイス1は、検体の検出時及び/又は一定量の検体の検出時に、聴覚信号(例えば、ビープ信号、チャープ信号、警報信号)、視覚信号、及び/又は振動信号を提供してもよい。
【0071】
いくつかの実施形態では、デバイス1は、(例えば、特定濃度を超えると、例えば、対象の検体が存在するか否かを表示する)非数量的な表示(nonquantitative indications)を提供してもよい。いくつかの実施形態では、デバイス1は、半定量的及び/又は定量的情報(例えば、モニターする空気中の検体の濃度の予測又は表示)を提供してもよい。いくつかの実施形態では、デバイス1は、累積表示(即ち、最大数時間に及び得る一定時間にわたってモニターされた空気中の検体の濃度から生じる総和表示)を提供してもよい。いくつかの他の実施形態では、デバイス1は、空気中の検体の瞬間(例えば、数分以下にわたる)濃度に起因する「実時間の」読取値を提供してもよい。いくつかの実施形態では、(例えば、記録されたデータの情報の伝送によって)デバイス1は、実時間又は定期的のいずれかで、かかる情報を受信ステーションに伝達してもよい。例えば、デバイス1は、かかる情報を(例えば、無線伝送又は赤外線伝送によって)コンピュータ、ワークステーション、中央処理施設等に送信してもよい。
【0072】
デバイス1を使用して、1つ以上の対象の検体を検出及び/又はモニターすることができる。そのような検体は、モニターするのが望ましい環境(多くの場合、空気雰囲気)中に存在し得る水蒸気又はガスを含んでもよい。いくつかの実施形態では、検体は、有機蒸気(例えば、揮発性有機化合物)である。代表的な有機化検体としては、アルカン類、シクロアルカン類、芳香族化合物類、アルコール類、エーテル類、エステル類、ケトン類、ハロカーボン類、アミン類、有機酸類、シアン酸類、ニトレート類、及び二トリル類、例えば、n−オクタン、シクロヘキサン、メチルエチルケトン、アセトン、エチルアセテート、二硫化炭素、四塩化炭素、ベンゼン、トルエン、スチレン、キシレン、メチルクロロホルム、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、2−エトキシエタノール、酢酸、2−アミノピリジン、エチレングリコールモノメチルエーテル、トルエン−2,4−ジイソシアネート、ニトロメタン、及びアセトニトリル、を含む置換、非置換炭素化合物が挙げられる。
【0073】
デバイス1は、少なくとも1つの光源31から光を放射し、放射光の少なくとも一部を少なくとも1つの検出要素2の上に方向付け、少なくとも1つの光検知器32の使用を介して検出要素2から反射される光の量を測定することにより、検出要素2を光学的に読み取り呼出しすることができる。検出要素2から反射される光の特徴は、様々な層(例えば、反射層及び/又は半反射層)から反射される光の干渉、及び/又は検出要素2の界面に由来する。そのような反射光は、所与の波長範囲にわたって1つ以上のピーク(例えば、181、182、及び/又は183等)と谷とを有する、図11の一般的表示に示される一般的な型の反射スペクトルを有してもよい。ピークのサイズ及び/又は位置は、検体の存在に対応して変化し得る。
【0074】
複雑な計器装備で行うことが可能であるような全反射スペクトルの読み取り呼出しを試みるのではなく、1つ以上の特定波長範囲で検出要素2を選択的に読み取り呼出しするのが好ましくあり得る。したがって、いくつかの実施形態において、デバイス1は、所定の、比較的狭い波長範囲A(図11参照)の光を放射するように設計された、1つの光源31を含む。波長範囲Aの境界は、はっきりとした又は完全な境界であってもよし、なくてもよく、使用する特定の光源及び/又は検出器の特性によって異なる。ピーク182の位置又はサイズがシフトすると(即ち、検体の濃度変化に起因して)、光検知器32が検出する反射光の量又は強度が変化し得る。
【0075】
いくつかの実施形態では、所与の設計の検出要素2に関し、波長範囲Aが、検体が存在しない場合の検出要素2の反射スペクトルにおけるピーク182の最大値184(例えば、主要ピーク又は主ピーク)に又は最大値184の近くにあるように、波長範囲Aを選択することができる。このような構成では、波長範囲Aの光を検出要素2に向けることにより、検体の量の変化に対応してピーク182のサイズ又は位置がシフトする際に、検出要素2に反射して光検知器32によって検出される光に比較的大きな変化が生じ得る。したがって、このような方法は、検体の存在及び/又は濃度に対するデバイス1の反応性を高めることができる。選択される特定波長範囲は、使用する特定の検出要素2、モニターするのが望ましい特定の検体(1つ又は複数)等の特性に応じて決めることができる。種々の実施形態において、波長範囲の中心は、ピーク最大値の約10nm、20nm、又は40nm以内であってもよい。特定の実施形態では、中心が約520nm付近にある、又は中心が概ね約640nm付近にある波長範囲で、検出要素2を読み取り呼出しすることが好ましくあり得る。
【0076】
上述したある種の実施形態では、所定の波長範囲での読み取り呼出しは、狭帯域光源31を使用することにより達成される。そのような場合、光検知器32は、所望により、狭帯域又は広帯域であってもよい。あるいは、狭帯域光検知器32を使用してもよく、その場合、光源31は、所望により、狭帯域又は広帯域であってもよい。
【0077】
いくつかの実施形態において、検出要素2からの反射光は、少なくとも2つの異なる波長範囲A及びBでモニターされる(図11参照)。これは、例えば、追加の光源31及び/又は光検知器32を使用することによって達成されてもよい。特定の実施形態では、これは、図7の代表的な設計に描かれるような、2つ以上の別個の狭帯域光源31a及び31bを使用して行われてもよい。そのような場合、図7に同様に示されるように、単一(例えば、広帯域)光検知器が使用されてもよく、異なる波長範囲の信号は、光源31a及び31bから放射された光に時間的な間隔を入れる(temporally spacing)(即ち、時間をずらす)ことによって得られ、その結果得られる反射光は、光検知器32で別々に検出されることができる。他の手法を用いることも可能である。いくつかの実施形態では、広帯域光源31を、波長範囲Aの光を波長範囲Bの光と区別することができる狭帯域光検知器と組み合わせて使用することができる。
【0078】
どのようなやり方で達成されたとしても、検出要素2から反射される複数の波長範囲の光のモニタリングは、有意な利点を提供することができる。特定の実施形態では、波長範囲Aは、上述のように、検体が存在しない場合の検出要素2の反射スペクトルにおけるピーク182の最大値184に又は最大値184の近くにあるように選択され得る。波長範囲Bは、波長範囲Aから少なくともいくらか離れていてもよく、いくつかの実施形態では、検体が存在しない場合の検出要素2の反射スペクトルにおける谷最小値185に又は谷最小値185の近くにあってもよい。特定の実施形態では、波長Bは、波長Aがモニターされたピーク182に直接隣接した谷最小値185に又は谷最小値185の近くにある(図11に図示)。
【0079】
このような構成では、波長範囲Aで検出された光量を示す光検知器32からの信号を、波長範囲Bで検出された光量を示す光検知器32からの信号と比較する(例えば、デバイス1のマイクロプロセッサ37によって比率化される)ことができる。このような比較/比率化(ratioing)は、有意な利点を提供することができる。例えば、新しい又は取り換え用検出要素2が動作状態にある(例えば、まだ検体に時期尚早に暴露されていない、ダメージを受けていない等)ということの確認が可能となり得る。したがって、いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法は、検出要素が検体を含まない(例えば、1ppm未満の検体を含む)雰囲気に暴露された状態の初期比較信号を得る工程と、初期比較信号が許容範囲内であるかどうかを判定する工程とを含む。このような比較された(例えば、比率化された)信号の使用はまた、デバイス1のダイナミックレンジを向上させることができる。本明細書に開示される方法の内容において、第1の信号と第2の信号(例えば、第1の波長範囲及び第2の波長範囲で検出された光量を示す信号)との比較は、平均信号の比較(例えば、複数の第1の信号を得てそれらを平均化し、複数の第2の信号を得てそれらを平均化し、平均化された第1の信号を平均化された第2の信号と比較する)、並びに個々の第1の信号と個々の第2の信号との比較と含むことができる。
【0080】
選択される特定波長範囲は、使用する特定の検出要素2、モニターするのが望ましい特定の検体等の特性にほ応じて決めることができる。種々の実施形態において、波長範囲A及び波長範囲Bは、それらの中心点が少なくとも20ナノメートル、少なくとも40ナノメートル、又は少なくとも60ナノメートル離間するように選択される。更なる特定の実施形態では、波長範囲A及び波長範囲Bは、それらの中心点が最大140nm、最大120nm、又は最大100nm離間するように選択される。種々の実施形態では、第1の波長範囲の中心は、ピーク最大値の約10nm、20nm、又は40nm以内であってもよく、第2の波長範囲の中心は、谷最小値の約10nm、20nm、又は40nm以内であってもよい。更なる特定の実施形態では、波長範囲Aの中心が約520nm付近にあり、波長範囲Bの中心が約640nm付近にあるときに光学的読み取り呼出しが行われる。上述のように、波長範囲A及びBにおける読み取り呼出しは、例えば、LED等などの狭帯域光源を使用して達成されてもよい。異なる光源から放射された光の波長には、いくぶんの重複があり得るが、このことは、それらから得た信号ごとの十分な違いが得られる限り、検出要素2の好結果の読み取り呼出しを損なう可能性はない。
【0081】
所望により、追加の光学的読み取り呼出しが、他の波長範囲(例えば、図11においてC及びDと印が付けられた波長範囲)で行われてもよい。そのような追加の範囲は、(範囲Cのような)範囲AとBとの間、又は(範囲Dのような)範囲A及びBの外側であってもよい。そのような追加の光学的読み取り呼出し範囲(これは、例えば追加の光源31及び/又は光検知器32を使用することによってもたらされることができる)は、改善された分解能、ダイナミックレンジ、精度等を提供することができる。こららの波長範囲で得た信号は、上記のように、他の波長範囲の信号と比較(例えば、比率化)されてもよい。
【0082】
デバイス1の信号処理機能の新奇な使用(例えば、マイクロプロセッサ37によって行われる)は、更なる利点を提供することができる。例えば、光検知器32から収集された信号は、信号の時間依存性の履歴にアクセスして参照することができるように、(例えば、マイクロプロセッサ37の)メモリに常駐保持されてもよい。これは、例えば、検体が存在しない場合の第1のピーク(例えばピーク182)から最初に受信したのと同じであるピーク181がもたらすA波長範囲の信号が受信されるように、(例えば一定量の検体の存在下で)第2のピーク(例えば、ピーク181)がA波長範囲の十分近くまでシフトする場合に有用である。光検知器32から受信した信号の時間依存性の履歴(例えば、波長範囲Aの信号は下降して、その後再度初期値に向かって上昇する)を追跡することにより、デバイス1は、(例えば、もしかすると非常に大量の検体に起因する)このような状態と、潜在的検体暴露期間にわたって比較的一定である反射光信号(例えば、ピーク182がもたらす)を受信する状態とを区別することが可能であり得る。比較(例えば、比率化)信号を使用する場合にも、同様の信号処理を実施することができる。
【0083】
デバイス1の改善された性能は、検体に対する検出要素2の反射特性の予想反応速度よりも十分速いサンプリングレートで、検出要素2が読み取り呼出しされることを必要とする場合がある。しかしながら、検出要素2を継続的にモニターするのは、例えば、電力消費の目的上有利でない可能性がある。種々の実施形態では、検出要素2は、毎分少なくとも6回の読み取り呼出し、毎分少なくとも60回の読み取り呼出し、毎分少なくとも120回の読み取り呼出し、又は毎分少なくとも240回の読み取り呼出しの頻度で読み取り呼出しされる。
【0084】
デバイス1の改善された機能を提供するために、他の情報がマイクロプロセッサ37のメモリに常駐保持されてもよい。例えば、信号(例えば、波長範囲Aの光の強度)又は比較信号(例えば、波長範囲Aの光の強度の波長範囲Bの光の強度に対する比率)等を、モニターする雰囲気中の検体濃度に関連付ける情報(例えば、既知の検体濃度への検出要素の暴露を介して実験的に得た所定の反応曲線)が提供されてもよい。したがって、デバイス1は、モニターする雰囲気中の検体濃度と関連した又は当該検体濃度を表す濃度値を得るために、比較信号を所定の反応曲線に関連付けることによって機能することができる。単一反応曲線がデバイス1のメモリの中に予めロード(例えば、恒久的に)されてもよく、又は、複数の特定の設計の検出要素2、複数の特定の検体等と共に用いるために、複数の反応曲線がデバイス1のメモリの中に定期的にアップロードされてもよい。複数の反応曲線を用いることが可能である。本明細書に開示される方法の内容において、比較信号を反応曲線にこのように関連付けることは、(例えば、複数の比較信号を得ることと、それらを平均化することによって得られる)平均化された比較信号を関連付けること、並びに個々の比較信号を関連付けることを包含する。
【実施例】
【0085】
3M Company(St.Paul,MN)製の3M Model 110一酸化炭素モニターを分解し、液晶ディスプレイ以外の電子構成要素をそこから取り外した。プリント基板は、110モニターのハウジングに嵌着し、かつ縞模様の結線を介してLCDディスプレイとインターフェースをとるように、適切な大きさに設計され、かつ好適な結線を有した。プリント基板は、以下に記載される様々な構成要素を受容する、支持する、及び電気的に接続するように特注設計された。
【0086】
プリント基板の上には、光ダイオード(SFH 2430、OSRAM(Regensburg,Germany))が装着された。プリント基板、及び光ダイオードの位置は、プリント基板が110ハウジングの中に固定され、検出要素が110ハウジングの開口部の中に設置され、かつ、ハウジングの2等分が組み合わされたときに、(図7に示される設計と同様の様式で)光ダイオードが検出要素と向かい合いかつ検出要素の垂直軸と一直線に配置されるように、選択された。
【0087】
プリント基板の上には、2個のLEDが装着された。1つ目は、放射光のピーク波長の中心が約520nmにある緑色LED(OVLBG4C7,Optek,Carrollton,TX)であり、2つ目は、放射光のピーク波長の中心が約640nmにある赤色LED(OVLBR4C7,Optek)であった。LEDは、光ダイオードに隣接する位置に(図7に示される設計と同様の様式で)装着され、各LEDは光ダイオードから(中心間で測定して)約7mm離間していた。LEDは、貫通孔接続を介してプリント基板に装着され、各LEDが光ダイオードに向かって、図7に示される設計と同様の様式でわずかに角度をなすように、接続線はわずかに曲げられた状態であった。角度は、検出要素が110ハウジングの開口部の中に設置され、かつハウジングの2等分が組み合わされたときに、各LEDが検出要素の中心領域に向けて光を放射するように計算された。LEDのカラー型ホルダー(ねじを介してプリント基板に取り付けられる)を使用して、各LEDを適切な位置及び角度に保持するのを助けた。LEDホルダーは不透明(黒色)プラスチックで作製され、各対応のLEDと光ダイオードとの間にあるカラーの部分は、LEDから光ダイオードへと直接移動する可能性がある光の量を最小限に抑える働きをした。
【0088】
SPI Bus Serial FRAM(FM25H20−DG,Ramtron)、低ノイズCMOS(AD8603AUJZ,アナログ素子)、600mA昇圧型(LTC3429ES6,Linear Technology)、50mA超低電力LDO(TPS79730DCKR,Texas Instruments)、16ビットFlash/RAM A/D/120seg LCD(MSP430F437IPN,Texas Instruments)、単一チップ2.4Hz送受信機(nRF24LO1+,Nordic Semiconductor)、及び2.4HGzチップアンテナ(RFD58005,RFD)などを含む、その他の構成要素をプリント基板上に装着した。当該技術分野において周知である種々の抵抗器、コンデンサ、誘導器等などの、電気回路網及びその様々な構成要素を動作させるために必要な他の部材も同様に、プリント基板上に提供、及び/又は装着された。3.6Vリチウム電池がプリント基板に配線で接続された。
【0089】
次に、プリント基板と上記構成要素とを含むモニターハウジングを再組立てした。デバイスを動作させ、LEDを駆動し、光ダイオード等から受信した信号を処理する等をするために必要な様々な情報及びアルゴリズムが、デバイスのファームウェア及び/又はソフトウェアメモリにアップロードされた。具体的には、それに従ってデバイスが赤色LED及び緑色LEDを順次作動させ、各LEDの動作に対応した反射光信号をモニターすることができるアルゴリズムがアップロードされた。このアルゴリズムは、各LEDが次のようなタイミングパターンで1秒に約1回の頻度でトリガされるように構成された:赤色LEDオン−2mS(ミリ秒);生じた反射光信号の測定及び処理−2mS;一時停止−990mS;緑色LEDオン−2mS;生じた反射光信号の測定及び処理−2mS;一時停止2mS。デバイスが、緑色LEDから放射される光に対応して検出要素から反射される光の、赤色LEDから放射される光に対応して検出要素から反射される光に対する比率を、赤色LED及び緑色LEDのそれぞれのトリガ、並びにその結果生じる光ダイオードによる反射光の受信に関して計算できるようにする、更なるアルゴリズムがアップロードされた。同じく、モニターする雰囲中の検体量を、様々な波長で反射する光の比と関連付ける反応曲線がアップロードされた(この場合は、検出要素を既知の検体濃度に暴露することから得るものではなく、デモンストレーションを目的とした任意の曲線であった)。
【0090】
その結果得られたのは、光を放射するためにLEDを駆動することができ、光信号を受信するために光ダイオードを動作させることができ、上述のように情報をアップロードするためにユーザーとインターフェースをとることができ、異なる波長における光信号の比率と、もたらされる反応曲線の組み合わせに基づいて、モニターする雰囲気内の検体濃度を計算することができ、モニターする雰囲気内の検体濃度(例えば、読取値は100万分の1単位)を表す通知信号をデバイスのディスプレイスクリーンに表示することができる動作回路を含む、機能的光電子デバイスであった。
【0091】
(110デバイスの内部に通じる開口部を覆っていた)ルーバー付きフロントカバーを取り外した。(ハウジングの開口部に嵌着するように設計され、環状フランジを備える)環状ハウジングは、光造形(SLA)によって作製され、ハウジングの開口部に取り付けられた。
【0092】
検出要素がガラス基材ではなく透明なポリマー基材(ポリエステル)を含むことを除いては、米国特許出願公開第2008/0063874号に記載の種類と同様の検出要素を、当該特許出願の実施例1〜6に記載されている方法と同様の方法によって調製した。検出要素の直径は約16mmであった。上記光電子工学システムを含むモニターのハウジングの開口部に検出要素を設置し、検出要素の周縁部はSLAハウジングの環状フランジに載置された。検出要素の検体浸透性反射面は外側に向き、検出要素の光学的に透明な基材はモニターの内部空間に向かって内側に向いていた。ポリマーキャップ(バイオネット接続によってSLAハウジングに取り付けられるように設計され、ルーバー付き中央部分を含む)が110モニターのSLAハウジングに取り付けられて、検出要素を所定の位置にしっかりと保持した。
【0093】
液状検体が投入され得る二次チャンバに2本の導管によって接続される一次チャンバを備える検体暴露システムが作られた。二次チャンバは、液状検体を揮発させるための加熱要素を含んだ。比較的一定濃度の検体をもたらして一次チャンバの中に維持することができるように、一次/二次チャンバ閉ループシステムを通って空気を循環させるために、ファンが設けられた。システムの中に存在する空中浮遊検体のおよその量を常にモニターするために、光イオン化検出器が提供された。液状検体を二次チャンバ暴露(secondary chamber exposure)に加えることによって検体濃度を高め、システムに抽気することによって検体濃度を下げることができた。
【0094】
光電子デバイスの電源を入れ、検体暴露システムの一次チャンバに光電子デバイスを挿入し、アセトンが含まれていない循環空気環境下でこれを安定させた。次に、再循環雰囲気内のアセトン濃度を約100ppm(光イオン化検出器で測定した場合)とするのに十分な液体アセトンを二次チャンバに加えた。一定時間が経過した後に、追加のアセトンを加えてアセトン濃度を約275ppmとした。一定時間が経過した後に、追加のアセトンを加えてアセトン濃度を約500ppmとした。一定時間が経過した後に、抽気を導入してアセトン濃度を無視できるレベルまで下げた。
【0095】
これらの実験から得たデータを図12及び図13に示す。図12において、赤色と標示されたデータは、赤色LEDによる照明に対応して検出要素から反射される光を(即ち、A/D変換され、マイクロコントローラでポーリングされる、光ダイオードからの電圧信号として)表す。緑色と標示されたデータも同様に緑色LEDによる照明に対応して検出要素から反射される光を表す。(図12の小さなスパイク波形は、テストチャンバへの迷光の瞬間導入により生じるアーチファクトである。)図13において、比率と標示されたデータは、赤色信号と青色信号とを比率化することによって得たデータを表す信号である(この操作はマイクロコントローラで行われた)。
【0096】
上記の試験及び試験結果は予測ではなく例示のみを意図したものであり、試験方法が変われば異なる結果が生じ得ると考えられる。上記の詳細な説明及び実施例はあくまで理解を助けるために示したものである。これらによって不要な限定をするものと理解されるべきではない。
【0097】
本明細書に開示される特定の代表的な構造、特徴、詳細、構成等は、多くの実施形態において変更され得る及び/又は組み合され得ることは、当業者には明らかであろう。そのような変例及び組み合わせは全て、本発明者により、本考案の発明の範囲内にあるものとして考えられる。したがって、本発明の範囲は、本明細書に記載された具体的な例示的構造に限定されるべきではなく、むしろ、特許請求の範囲の文言によって説明される構造、及びそれらの構造の等価物によって限定される。本明細書と、参照により本明細書に組み込まれている全ての文書内の開示との間に不一致又は矛盾が存在する場合、本明細書が優先する。
【背景技術】
【0001】
化学検体、特に有機化学検体を検出する能力は、環境モニタリングなどを含む多くの用途において重要である。そのような検体の検出及び/又はモニタリングは、例えば、個人モニター(例えば、人が着用又は持ち運ぶことができるもの)、及び/又は地域モニター(例えば、所望の環境に置くことができるもの)に特に好適に適用され得る。
【0002】
例えば、光学的、重力測定、微小電気機械、及び比色分析など、化学検体の検出のための多くの方法が開発されてきた。比色分析装置は、現在広範な検体のために存在するが、多くは検出のために染料又は着色した化学指示薬を使用している。このような化合物は、典型的には選択的である、即ち、様々な種類の化合物を検出するために、複数のセンサーが必要であり得る。更に、これらのシステムの多くには、光漂白剤又は望ましくない副反応のために寿命が限定されるという問題がある。多くのこのようなシステムはまた、光学的読み取り呼出しを行うために、複雑な又は嵩高なオプトエレクトロニクス部品に依存する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
検体の存在を検出するための光電子法及びデバイスが本明細書に開示される。かかる方法及びデバイスは、対象の検体の存在に反応し、本明細書に記載の通りに光学的に読み取り呼出しされ得る、少なくとも1つの検出要素を備えてもよい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様において、雰囲気中の検体をモニタリングする方法が本明細書に開示され、当該方法は:少なくとも1つの検出要素を、検体を潜在的に含む雰囲気に所定時間暴露することと;第1の波長範囲の光を少なくとも1つの検出要素の上に方向付け、少なくとも1つの検出要素から反射される第1の波長範囲の光の量を表す第1の信号を得ることと;第2の波長範囲の光を少なくとも1つの検出要素の上に方向付け、少なくとも1つの検出要素から反射される第2の波長範囲の光の量を表す第2の信号を得ることと;第1の信号と第2の信号とを比較して比較信号を提供することと;比較信号を所定の反応曲線に関連付け、それによって、モニターする雰囲気内の検体の濃度に関連する濃度値を得ることと、を含む。
【0005】
別の態様において、雰囲気中の検体をモニタリングするための光電子デバイスが本明細書に開示され、当該光電子デバイスは:内部空間を少なくとも部分的に画定し、かつ開口部を含むハウジングと;ハウジングの内部空間の中又は開口部の中に位置決めされる、少なくとも1つの使い捨て検出要素と;内部空間の中にある、光を検出要素に向けるように配置された少なくとも1つの光源と検出要素に反射した光の量を測定するように配置された少なくとも1つの光検出器と、を含み、少なくとも1つの光源及び少なくとも1つの光検出器が、デバイスの内部空間内に含まれる共通プリント基板の上にコプレーナ構造で並んで配置される。
【0006】
別の態様において、雰囲気中の検体をモニタリングするための光電子デバイスが本明細書に開示され、当光電子デバイスは:内部空間を少なくとも部分的に画定し、かつ開口部を含むハウジングと;ハウジングの開口部の中に固定される少なくとも1つの検出要素と;ハウジングの開口部の中に固定される少なくとも1つの検出要素と;内部空間の中にある、光を検出要素に向けるように配置された少なくとも1つの光源と検出要素に反射した光の量を測定するように配置された少なくとも1つの光検出器と、を含み、検出要素がハウジングの開口部の中に固定されると、デバイスの内部空間が封止された内部空間を構成するように、開口部が閉塞される。
【0007】
本発明のこれら及び他の態様は、以下の「発明を実施するための形態」から明らかになるであろう。しかし、決して、上記要約は、請求された主題に関する限定として解釈されるべきでなく、主題は、手続処理の間補正することができる添付の特許請求の範囲によってのみ規定される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】代表的な光電子デバイスの斜視図。
【図2】代表的な検出要素の一部の垂直断面図。
【図3】代表的な検出要素の一部の垂直断面図。
【図4】代表的な光電子デバイスの概略垂直断面図。
【図5】代表的な光電子デバイスの概略垂直断面図。
【図6】代表的な光電子デバイスの概略垂直断面図。
【図7】代表的な光電子デバイスの概略垂直断面図。
【図8】代表的な検出要素を備えている代表的な光電子デバイスの一部の部分分解垂直断面図。
【図9】代表的な検出要素と代表的な保護層とを備えている代表的な光電子デバイスの一部の部分分解垂直断面図。
【図10】代表的な光電子デバイスの機能を説明するブロック図。
【図11】代表的な検出要素の反射スペクトルの一般的表示。
【図12】代表的な光電子デバイスによって得られる、検体に対応した光反射データを示す。
【図13】図12のデータからの比率化された光反射データ。
【0009】
様々な図面において、類似参照記号は類似要素を表す。特に指定されない限り、本文献における全ての図面及び図は、一定の縮尺ではなく、本発明の異なる実施形態を例示する目的で選択される。特に、様々な構成要素の寸法は、指示のない限り、例示的な用語としてのみ記述され、様々な構成要素の寸法間の関係は、図面から推測されるべきではない。本開示において、「最上部」、「最下部」、「上部」、「下部」、「下」、「上」、「前」、「後ろ」、「外」、「内」、「上へ」及び「下へ」、並びに「第1の」及び「第2の」等の用語が使用され得るが、これらの用語は、特に断りのない限り、それらの相対的な意味においてのみ使用されることを理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1の斜視図に示されているのは、少なくとも1つの光学的読み取り呼出し可能な検出要素2を備える代表的な光電子デバイス1である。デバイス1は、ガス環境、典型的には空気雰囲気のモニタリングに使用され得る。
【0011】
いくつかの実施形態では、例えばデバイス1が個人モニターとして機能する場合は、デバイス1は、人の身体及び/又は衣類に着用されてもよく、又は人の身体及び/又は衣類の一部分に隣接していてもよい。そのような場合、デバイス1は、(例えば、図1に示されていないクリップ、ループ、ストラップ、スリーブ、首ひも、ポケットプロテクター等により)人の衣類に取り付けられてもよく、ないしは別の方法で、例えばバッジとして着用又は持ち運びされてもよい。デバイス1はまた、例えば、環境(例えば、部屋、乗り物等)の中に置かれることにより、地域モニタリング用に使用されてもよく、この環境は、検体の存在をモニターすることが望ましい屋内又は屋外であってもよい。デバイス1はハウジング100を備え、このハウジングは、任意の好適な形状、寸法、又は形態を含んでもよい。ハウジング100は、例えば、一般に着用者の身体又は壁とは反対側の少なくとも第1の主表面103と、一般に着用者の身体又は壁に面する第2の主表面104とを含んでもよい。
【0012】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法及び/又はデバイスは、呼吸保護装置(例えば、大気から特定物質を除去するための、濾過要素、ソーベント媒体等を含み得るレスピレータ)と関連して用いられて、濾過要素、ソーベント媒体のベッド等の残存吸着能力をモニターすることができる、いわゆる耐用年数終了インジケータ(ESLI)を提供することができる。
【0013】
検出要素2は、検体の存在に反応し、本明細書において後述されるように光学的に読み取り呼出しされてもよい。検出要素2は反射スペクトルを示し、この反射スペクトルは、異なる波長において1つ以上のピーク及び谷を含み、検体の存在下で又は検体の濃度の変化の結果、変化してもよい。一実施形態では、検出要素2から反射される光は、鏡面的に反射される。別の実施形態では、検出要素2から反射される光は、拡散反射される。検出要素2は、少なくとも1つの検体反応層を含み、この層の光学特性(例えば、光学的厚さ)は、検体の有無の影響を受ける。検出要素2は、(本明細書において詳細に後述されるように)反射的である少なくとも1つの層、及び/又は半反射的である少なくとも1つの層を更に含んでもよい。いくつかの実施形態では、検出要素2は、反射層240と半反射層220との間に検体反応層230を含んでもよく、これらの層は組み合わされて、検体の存在下で又は検体の濃度の変化の結果変化し得る反射スペクトルを示す、いわゆる干渉フィルターを構成する。
【0014】
代表的な検出要素2が図2に示されている。この設計を取り入れる実施形態では、検出要素2は、順番に、半反射層220と、検体反応層230と、反射層240と、基材210とを含む。検出要素2の読み取り呼出しの際、(例えば、本明細書において後述される光源31からの)光線40が、半反射層220に衝突する。光線40のある部分は、半反射層220から光線41として反射してもよい。光線40のある部分は、半反射層220を通過し、検体反応層230を通過し、反射層240から反射して、検出要素2から光線42として出射してもよい。光線41及び42は合成されて、検体の存在下で又は検体の濃度の変化の結果変化し得る反射スペクトルを全体として形成してもよい。
【0015】
図2の代表的な設計では、検体は、半反射層220に浸透して、検体反応層230に入ってもよい。このことは層230の光学特性(例えば、光学的厚さ)を変化させることができ、その結果、検出要素2から反射される光の反射スペクトルは、検体の存在及び/又は濃度を検出又はモニターすることができるだけ十分に変化することができる。
【0016】
図2に示される設計を取り入れる実施形態では、半反射層220は検体浸透性であり(この特性は後述のようにもたらされることができる)、検体が層220を通って層230に入ることができるように、検体反応層230と流体連通する。図2の設計では、反射層240は、検体浸透性であってもよく、なくてもよい。図2の設計では、検出要素2の光学的読み取り呼出しの間、光は、基材210を通過する、又は基材210と相互作用する必要がない場合があるので、基材210は特定の光学特性(例えば、透明性)を必要としない場合がある。
【0017】
別の代表的な検出要素2が、図3に示されている。図3に示される設計を取り入れる実施形態では、検出要素2は、順番に、(任意の)基材210と、半反射層220と、検体反応層230と、反射層240とを含む。光線40は、基材210に衝突して通過する。光線40のある部分は、半反射層220から反射して、検出要素2から光線41として出射してもよい。光線40のある部分は、半反射層220を通過し、検体反応層230を通過し、反射層240から反射して、検出要素2から光線42として出射してもよい。光線41及び42は合成されて、検体の存在下で又は検体の濃度の変化の結果変化し得る反射スペクトルを全体として形成してもよい。
【0018】
図3の代表的な設計では、検体は、反射層240に浸透して、検体反応層230に入ってもよい。このことは層230の光学特性(例えば、光学的厚さ)を変化させることができ、その結果、検出要素2から反射される光の反射スペクトルは、検体の存在及び/又は濃度を検出又はモニターすることができるだけ十分に変化することができる。図3に示される設計を取り入れる実施形態では、反射層240は検体浸透性であり(この特性は本明細書において後述される方法によってたらされることができる)、検体反応層230と流体連通する。図3の設計では、半反射層220は、検体浸透性であってもよく、なくてもよい。図3の設計では、光は基材210を通過することができるので、基材210は、対象となる波長において光学的に透明でなければならない。
【0019】
図2に示される設計を取り入れる実施形態では、半反射層220は検体に対して透過性であり得るので、検体は、検出要素2の、検出要素2が光学的に読み取り呼出しされる側と同じ側に入ることができる。このような場合には、検出要素2は、(例えば、1つ以上の支持ブラケット177で保持されて)デバイス1のハウジング100の内部空間125内に都合よく配置され(図4の代表的な設計で示されるように)、検出要素2は、少なくとも1つの光源31及び少なくとも1つの光検出器32と光学的に接続された状態となる。光学的に接続とは、検出要素2は光源31からの光を受け取ることが可能であり、また、光検出器32は、検出要素2から反射される光を、直接(例えば、図4の代表的な実施形態にあるように、これら構成要素が互いに直接対向している場合)、又は1つ以上のミラーを用いてのいずれかで受け取ることが可能であることを意味する。このような実施形態では、検体がハウジング100の内部空間125に入って、検出要素2の検体浸透性層220に到達することができるように、1つ以上の閉塞されていない開口部101がハウジング100の中に設けられてもよい。図4では、検出要素2は、ハウジング100の前側主表面103にある閉塞されていない開口部101に隣接して配置され、ハウジング100の第2の主表面104に並んで隣接して配置された光源31及び光検出器32に向かい合っているものとして示されているが、多くの他の構成が可能である。例えば、光源31及び光検出器32は離間していてもよく、検出要素2を光源31及び/又は光検出器32と光学的に接続するためにミラーを使用してもよく、検出要素2は開口部101に隣接して配置されなくてもよいこと、などが挙げられる。
【0020】
図3に示される設計を取り入れる実施形態では、反射層240は検体に対して透過性であり得るので、検体は検出要素2に、検出要素2が光学的に読み取り呼出しされる側の反対側から入ることができる。このような実施形態では、検出要素2は、デバイス1のハウジング100内の閉塞されていない開口部102の中に、又は開口部102に隣接して、(図5の代表的な設計に示されるように)都合よく配置されてもよく、この場合検出要素2の検体浸透性反射層240は外側に向いた(即ち、内部空間125から離れる)状態となり、検出要素2の光学的読み取り呼出し可能な側は内部空間125内に向いた状態となり、検出要素2は、少なくとも1つの光源31及び少なくとも1つの光検出器32と光学的に接続される。このような実施形態では、検出要素2及び/又は検出要素2に沿って設けられた他の層は、内部空間125が封止された内部空間126を構成するように、開口部102を閉塞(封止)するように機能する。このような実施形態では、検出要素2は、少なくとも1つの光学的に透明で検体不浸透性の基材210(本明細書において詳細に後述される)を含んでもよく、この検体不浸透性基材210は、検出要素2の検体反応層230と、封止された内部空間126との間に位置決めされる。
【0021】
検体反応層230、及び存在する場合、基材210、半反射層220、及び/又は反射層240の特性、製造方法等が、ここでより詳細に記載される。かかる特性は、特定の実施形態に適用可能であると明記された場合を除いて、広くは反射検出要素の作製、特に、図2及び図3を参照して開示される2つの代表的な実施形態のいずれかに適用可能であると考えられる。先述の複数の層を指定するために同じ参照番号が使用されているが、そのように指定された層が、同一の又は異なる構造及び/又は構成を有してもよいことは、当業者には容易に理解されよう。検出要素2の機能を容認し難いほど妨げるのでない限り、例えば、結合層、接着促進層、保護層、カバー層等などの種々の他の層が、所望により、検出要素2に含まれてもよい。更に、本明細書に記載のデバイス1の設計、構成、及び特徴の全ては、特に明記しない限り、上記実施形態のいずれにも適用可能であると考えられる。
【0022】
検体反応層230は、対象の検体に対して十分に透過性であるあらゆる材料で構成されることができ、当該層の光学的厚さは、検体に暴露されると十分に変化して、本明細書に記載の検出要素2の所望の機能を可能にする。いくつかの実施形態では、検体反応層は多孔質の材料を含む。本文脈において、「多孔質」とは、材料が、少なくとも部分的に相互連結した内部細孔を含むことを意味する。例えば、平均(中間)孔径(例えば、収着等温線法によって特徴付けられる)が約100nm未満である材料が選択され得る。種々の実施形態では、20nm未満、約10nm未満、又は約2nm未満の平均孔径を有する材料が選択され得る。層230は、均質であっても、不均質であってもよく、例えば、1種以上の無機構成成分、1種以上の有機構成成分、又は無機構成成分と有機構成成分との混合物から作製されてもよい。層230に使用され得る代表的な無機材料としては、金属酸化物、金属窒化物、金属酸窒化物、及び好適な光学応答をもたらすのに適切な厚さの透明な(そして望ましくは、多孔質の)層に形成することができる他の無機物質が挙げられる。例えば、層230は、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、窒化チタン、酸窒化チタン、酸化スズ、酸化ジルコニウム、ゼオライト、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0023】
多孔質シリカは、特に望ましい無機検体反応層の材料であり得る。多孔質シリカは、例えば、ゾルゲルプロセス法を用いて調製することができ、有機テンプレートを用いて、又は用いずに調製できる。代表的な有機テンプレートとしては、界面活性剤、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ポリ(エチレンオキシド−コ−プロピレンオキシド)ブロックコポリマー、及び他の界面活性剤又はポリマーなどのアニオン性若しくは非イオン性界面活性剤が挙げられる。ゾルゲル混合物は、ケイ酸塩に変えてもよく、有機テンプレートは取り除かれてシリカ内に細孔の網状組織を残してもよい。様々な有機分子もまた、有機テンプレートとして使用することができる。例えば、グルコース及びマンノースなどの糖類が、多孔質ケイ酸塩を生成するための有機テンプレートとして使用されてもよい。有機置換シロキサン又は有機−ビス−シロキサンがゾルゲル組成物に含まれて、ミクロ孔質をより疎水性にし、水蒸気の収着を制限してもよい。プラズマ化学蒸着もまた、多孔質無機検体反応性材料を生成するのに使用され得る。この方法論は一般的に、ガス状前駆体からプラズマを形成し、プラズマを基材上に堆積して非晶質ランダム共有結合網状層を形成し、次に非晶質共有結合網状層を加熱して、多孔質非晶質ランダム共有結合網状層を形成することを含む。かかる方法及び材料は、国際(PCT)特許出願US 2008/078281、発明の名称「ORGANIC CHEMICAL SENSOR COMPRISING PLASMA−DEPOSITED MICROPOROUS LAYER,AND METHOD OF MAKING AND USING」に更に詳細に記載されており、当該特許出願はこの目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0024】
いくつかの実施形態では、検体反応層230は、少なくとも部分的には有機ケイ酸塩材料で構成され、この有機ケイ酸塩材料は、本明細書では、いくつかの有機官能基Rを持つ共有結合している三次元シリカ網状組織(−Si−O−Si−)を含有するハイブリッドであると定義され、ここで、Rは、少なくとも1つのSi−C結合によりシリカ網状組織に連結された炭化水素又はヘテロ原子置換炭化水素基である。このような材料及びそれらの製造方法は、米国特許仮出願第61/140180号、発明の名称「Organic Chemical Sensor with Microporous Organosilicate Material」に更に詳細に記載されており、当該特許出願はこの目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0025】
層230を形成するのに使用することができる代表的な有機材料には、疎水性アクリレート及びメタクリレート、二官能モノマー、ビニルモノマー、炭化水素モノマー(オレフィン)、シランモノマー、フッ素化モノマー、ヒドロキシル化モノマー、アクリルアミド、無水物、アルデヒド官能化モノマー、アミン官能化若しくはアミン塩官能化モノマー、酸官能化モノマー、エポキシド官能化モノマー、並びにこれらの混合物又は組み合わせを包含する種類のモノマーから調製した又は調製可能な、ポリマー、コポリマー(ブロックコポリマーを包含する)、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0026】
いくつかの実施形態では、検体反応層230は、いわゆる「本質的な微小多孔質のポリマー」(以下PIMsという)を含む一群の材料から選択される構成要素から、少なくとも部分的に作製される。この一群のポリマーは、例えば「Polymers of Intrinsic Microporosity(PIMs):Robust,Solution−Processable,Organic Microporous Materials」、Buddら、Chem.Commun.,2004,pp.230−231;「Polymers of Intrinsic Microporosity(PIMs)」、McKeownら、Chem.Eur.J.,2005,11,No.9,2610〜2620;米国特許出願公開第2006/0246273号(McKeownら);及びPCT国際特許出願WO 2005/012397A2(McKeownら)に記載され、特徴付けられており、当該文献の全てはこの目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0027】
PIMsは、内部にねじれた構造を生じるための十分な構造的特徴が存在する、非常に剛性があるポリマーとなるモノマーの任意の組み合わせの使用によって配合することができる。様々な実施形態において、PIMsは、剛性リンカーによって連結されるほぼ平面的な種からなる有機高分子を含む場合があり、この剛性リンカーは、剛体リンカーによって連結される2つの近接する平面的な種が非同一平面上の配向に維持されるように、ねじれ点を有する。更なる実施形態では、このような材料が、剛性リンカーによって大部分が最高で2つの他の第1の種に連結される第1のほぼ平面的な種からなる有機高分子を含むことができ、この剛性リンカーは、リンカーによって連結される2つの近接する第1の平面的な種が非同一平面上の配向に維持されるように、ねじれ点を有する。様々な実施形態において、このようなねじれ点は、スピロ基、架橋環部、又は立体的に密集した単一の共有結合を含んでもよく、この周囲では回転が制限される。
【0028】
このような剛性があるねじれた構造を有するポリマーでは、ポリマー鎖が互いに有効に密集することができず、したがってポリマーは、固有のミクロ孔質を有する。したがって、PIMsは、材料の熱履歴に顕著に依存することのない、ミクロ孔質を備えることの利益を有する。PIMsはしたがって、大量に再生可能に製造可能であるという点で、及び老朽化、及び貯蔵寿命などによって変化する特性を呈さないという点で、利益を提供することがある。
【0029】
多くの用途では、検体反応層230は疎水性であってもよい。このことは、水蒸気(又は液体の水)が層230の反応に変化を生じさせて、検体の検出(例えば、有機溶媒蒸気の検出)を妨げる可能性を軽減することができる。
【0030】
検体反応層230に有用な好適な材料の更なる詳細及び特性、並びにかかる材料から層230を作製する方法は、例えば、米国特許出願公開第2008/0063874号に記載されており、当該特許出願はこの目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0031】
検出要素2は反射層240を備えてもよい。いくつかの実施形態では、反射層240は、予め形成されている検体反応層230の表面の上に(例えば、本明細書に記載の種々の方法によって)堆積されてもよく、又は、反射層240が基材210の上に堆積されて、次に検体反応層230が反射層240の上に堆積されてもよい。
【0032】
反射層240は、十分な反射率をもたらすことができる任意の好適な材料を含んでもよい。反射層の好適な材料としては、アルミニウム、クロム、金、ニッケル、ケイ素、及び銀などの金属類又は半金属類を挙げることができる。反射層に含まれることができる他の好適な材料としては、金属酸化物を挙げることができる。いくつかの実施形態では、反射層は、約500nmの波長において、少なくとも約90%反射してもよく(即ち、最大約10%透過性)、及びいくつかの実施形態では、約99%反射(即ち、約1%透過性)してもよい。
【0033】
(例えば、図3の設計を取り入れる)いくつかの実施形態では、反射層240は、対象の検体に対して透過性であるのが有利であり得る。これは、例えば、球形砲弾や大理石の積層に近い形態に配置され、そこを通って検体が浸透して検体反応層230に到達しかつ入ることができる、金属ナノ粒子の反射層240を形成することによってもたらされてもよい。
【0034】
様々な金属ナノ粒子を使用することができる。代表的な金属としては、銀、ニッケル、金、プラチナ及びパラジウム、並びに前述の金属のうちのいずれかを含有する合金が挙げられる。ナノ粒子形態のときに酸化されやすい金属(例えば、アルミニウム)は、使用してもよいが、望ましくは避け、空気にあまり敏感ではない金属が好ましい。金属ナノ粒子は、完全にモノリシックであってよく、又は層状の構造(例えば、Ag/Pd構造などのコア−シェル構造)を有していてもよい。ナノ粒子の平均粒径は、例えば、約1〜約100nm、約3〜約50nm、又は約5〜約30nmであってよい。金属ナノ粒子層の全体厚さは、例えば、約200nm未満又は約100nm未満であってよく、最も薄い層の厚さは、例えば、少なくとも約5nm、少なくとも約10nm、又は少なくとも約20nmであってよい。大きな直径の微小粒子を適用して単層を生成させる場合もあるが、ナノ粒子層は、典型的には、ナノ粒子数個分の厚さ、例えば、少なくとも2個以上、3個以上、4個以上、又は5個以上であって、5個まで、10個まで、20個まで、又は50個までのナノ粒子の合計厚さであってよい。金属ナノ粒子反射層は、例えば、500nmにおいて、少なくとも約40%、少なくとも約50%、又は少なくとも約60%の反射率を有してもよい。種々の実施形態では、金属ナノ粒子反射層は、500nmの波長において、少なくとも約80%、少なくとも約90%、又は約99%の反射率を有してもよい。
【0035】
好適な金属ナノ粒子の溶液又は懸濁液は、いくつかの供給元から入手可能であり、例えば、Inkjet Silver ConductorインクAG−IJ−G−100−S1(Cabot Printable Electronics and Displays製);SILVERJET.TM.DGH 50及びDGP 50インク(Advanced Nano Products製);SVW001、SVW102、SVE001、SVE102、NP1001、NP1020、NP1021、NP1050及びNP1051インク(Nippon Paint(America)製);METALON.TM.FS−066及びJS−011インク(Novacentrix Corp.製)、及びNP Series nanoparticle paste(Harima Chemicals,Inc.製)が挙げられる。金属ナノ粒子は、水及び有機溶媒を含む種々の担体に染み込ませてもよい。金属ナノ粒子はまた、重合性モノマー結合剤に染み込ませてもよいが、望ましくは、かかる結合剤は、透過性ナノ粒子層を提供できるように、適用したコーティングから(例えば、溶媒抽出又は焼結を用いて)除去する。
【0036】
層240は、希釈コーティング溶液又は金属ナノ粒子の懸濁液を検体反応層230に塗布し、透過性反射層240を形成するためにこの溶液又は懸濁液を乾燥させることによって形成されてもよい。希釈濃度は、例えば、好適な液体透過性又は蒸気透過性の金属ナノ粒子層を提供するコーティング溶液又は懸濁液を供給する程度、例えば、固体濃度が30重量%未満、20重量%未満、10重量%未満、5重量%未満、又は4重量%未満であってよい。入手したままの市販の金属ナノ粒子製品を追加の溶媒で希釈し、その希釈溶液又は希釈懸濁液を適用して乾燥させることによって、かなり薄い液体透過性層又は蒸気透過性層を得ることも可能である。様々なコーティング法を利用して、金属ナノ粒子溶液又は懸濁液を適用することも可能であり、拭取り、ディップコーティング、ロールコーティング、スピンコーティング、スプレーコーティング、ダイコーティング、インクジェットコーティング、スクリーン印刷(例えば、ロータリースクリーン印刷)、グラビア印刷、フレキソ印刷、及び当業者によく知られた他の方法が挙げられる。スピンコーティングは、他の方法を用いて得られるものよりも薄く、より透過性の高いコーティングを提供する場合がある。それ故に、低い固体濃度で入手可能ないくつかの銀ナノ粒子懸濁液(例えば、日本ペイント(Nippon Paint)製の5重量%SVW001銀、アドバンスド・ナノ・プロダクツ(AdvancedNano Products)製の10重量%シルバージェット(SILVERJET)DGH−50又はDGP−50)は、適切に高い速度及び温度で好適な基材にスピンコーティングする場合は、入手したままの形態で、それ以上希釈せずに利用してもよい。金属ナノ粒子層は、適用された後、その焼結が適度な透過性を低下させない限り、(例えば、約125〜約250℃で約10分間〜約1時間加熱することによって)焼結してもよい。得られる反射層は、容易に確認できるナノ粒子をもはや含有していない場合もあるが、それが作製された方法で識別するために、ナノ粒子反射層と呼ばれてもよい。
【0037】
反射層240に有用な好適な検体浸透性材料、特に金属ナノ粒子材料の更なる詳細及び特性は、米国特許出願公開第2008/0063874号に記載されており、当該特許出願はこの目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0038】
検出要素2は、半反射層220を備えてもよい。種々の実施形態において、半反射層220は、予め形成されている検体反応層230の表面の上に(例えば、本明細書に記載の種々の方法によって)堆積されてもよく、又は、半反射層220が基材210の上に堆積されて、次に検体反応層230が半反射層220の上に堆積されてもよい。
【0039】
半反射層220は、その名が示す通りに、反射層240が含むよりも少ない反射率を含む。半反射層220は、(例えば、適切な厚さであるときに)適切な半反射性を提供することができる任意の好適な材料を含むことができる。好適な材料としては、アルミニウム、クロム、金、ニッケル、ケイ素、及び銀などの金属類又は半金属類を挙げることができる。他の好適な材料には、金属酸化物を挙げることができる。
【0040】
種々の実施形態では、半反射層220は、約500nmの波長において、約30〜約70%反射してもよく、又は約40〜約60%反射してもよい。
【0041】
(例えば、図2の設計を取り入れるタイプの)いくつかの実施形態では、半反射層220は、対象の検体に対して透過性であるのが有利であり得る。したがって、この場合、検体が半反射層220に浸透して、検体反応層230に到達しかつ入るのを可能にした状態で、適切な反射率をもたらすために、適切な厚さの半反射層220を提供するのが好ましくあり得る。一部の例では、(例えば、半反射層220が蒸着によって堆積されて金属層を形成する場合)一般的な範囲である5nmの厚さが望ましくあり得る。具体的な所望の厚さは、層を形成するために使用する材料、検出する検体によって決まることになり、所望により構成され得る。
【0042】
半反射層220及び反射層240は、(例えば、所望の異なる反射率を付与するために、異なる厚さ又はめっき目付量で堆積された)類似又は同一の材料から作製されてもよい。特定用途にとって望ましい反射率及び透過性の特性がもたらされる限り、半反射層220及び反射層240は、連続的又は非連続的であり得る。好適な半反射層及び反射層の更なる詳細、それらの特性及び作製方法は、米国特許出願第2008/0063874号に記載されており、当該特許出願はこの目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0043】
基材210は、存在する場合、検出要素に支持を提供することができる任意の好適な材料(例えば、ガラス、プラスチック等)で構成され得る。検出要素2が読み取り呼出しされるために光が基材210を通過する実施形態では、基材210は光学的に透明でなければならず(即ち、対象となる波長において十分な透明性を備えていなければならず)、かつ、光信号に容認し難いほど影響を与える他の特性(例えば、蛍光性)を有してはならない。いくつかの実施形態では、基材210は、検体及び/又は他の物質(例えば、ガス、水蒸気、又は固体)に対して不透過性であるバリア材料を含む。特定のポリマー基材(例えば、半結晶性ポリマー等)は、特に高度なバリア性を有し得る。他のポリマー基材(例えば、ポリカーボネート、ポリスチレン等のようなガラス状ポリマー)は、例えばポリエステルと同等のバリア性を有してはいないが、それでも、本出願において使用できるだけ十分に不透過性であり得る。
【0044】
図4及び図5を参照すると、デバイス1は、光を少なくとも1つの検出要素2に方向付けるための、少なくとも1つの光源31を含む。光源31は、電球(例えば白熱電球)等を含む様々な光源のいずれかを含んでもよい。いくつかの実施形態では、光源31は発光ダイオード(LED)を含んでもよい。ある種の実施形態では、光源31は、比較的広帯域の光(例えば、白色光)を放射する光源を含んでもよい。他の実施形態では、光源31は、特定の(例えば、比較的狭い)波長範囲の光を放射する狭帯域光源(例えば、LED)を含んでもよい。種々の実施形態では、このような狭帯域光源は、最大約50nm、最大約40nm、又は最大約25nmの電力半値帯域を含み得る(may emit comprise)。使用することが可能な代表的なLEDとしては、Optek(Carrollton,TX)から表記OVLBx4C7で入手可能なものが挙げられる。
【0045】
図4及び図5を参照すると、デバイス1は、少なくとも1つの検出要素2からの反射光を測定するための少なくとも1つの光検出器(光検知器)32を含む。光検知器32は、例えば、光電子増倍管、光電池、電荷結合素子等を含む、入射光子の数を測定することが可能な様々なデバイスのいずれかを含んでもよい。光検知器32は、検出された光子の数(例えば、検出要素2から入射する反射光の強度又は強さ)に関連した信号(例えば、電圧、電流等)、及び本明細書において後述されるように更に処理され得る信号を提供するように機能する。いくつかの実施形態では、光検知器32は光ダイオードを含んでもよい。いくつかの実施形態では、光検知器32は、特定(例えば、比較的狭い)波長範囲の光を検出してもよい。他の実施形態では、光検知器32は、比較的広波長にかけての光を検出することができる広帯域検出器を含んでもよい。種々の実施形態では、このような広帯域光検出器は、少なくとも約150nmの帯域、250nmの帯域、又は500nmの帯域の波長範囲にかけての光を検出することが可能であり得る。使用することができる代表的な光検知器としては、OSRAM(Regensburg,Germany)から表記SFH 2430で入手可能な光ダイオードが挙げられる。
【0046】
このように、デバイス1は、少なくとも1つの光源31と少なくとも1つの光検知器32とを含み、少なくとも1つの検出要素2を光学的に読み取り呼出しすることができるように構成される。光源31は、光源31の光出力の少なくとも一部が検出要素2に当たるように配置されてもよい。いくつかの実施形態では、光源31は、検出要素2の近くに配置され、光源31から放射された光が、検出要素2に直接衝突するように構成されてもよい。種々の実施形態では、光源31は、検出要素2から約30mm未満、20mm未満、又は10mm未満に位置してもよい。同様に、光検知器32は、検出要素2の近くに配置され、検出要素2に反射した光の少なくとも一部を、光検知器32が直接受けるように構成されてもよい。種々の実施形態では、光検知器32は、検出要素2から約30mm未満、20mm未満、又は10mm未満に位置してもよい。
【0047】
いくつかの実施形態では、デバイス1は、光源31と検出要素2との間の光路内の1つ以上のミラー(いずれの図にも図示せず)を使用して、光源31から放射された光を検出要素2が間接的に受けるように構成されてもよい。同様に、いくつかの実施形態では、デバイス1は、検出要素2と光検知器32との間の光路内の1つ以上のミラー(図示せず)を使用して、検出要素2から反射される光を光検知器32が間接的に受けるように構成されてもよい。
【0048】
種々の実施形態では、光源31及び光検知器32は、光検知器32に入射する周辺光(又は検出要素2から直接反射される光以外のあらゆる光)を最小限に抑えた状態で、光源31からの光の一部を検出要素2上へ方向付け、光検知器32から反射した少なくとも一部の光を収集するように構成されてもよい。ある種の実施形態では、図4及び図5の代表的な設計に示されるように、光検知器32を光源31に隣接して(近くに)配置するのが有用であり得る。種々の実施形態では、光検知器32は、光源31から(例えば、中心間距離で測定して)最大約5mm、10mm、又は15mmに位置してもよい。いくつかの実施形態では、図4及び図5の代表的な設計に示されるように、光源31及び光検知器32は、共通プリント基板38のう上に装着されてもよい。そのような場合、光源31及び光検知器32はコプレーナ構造であってもよく、このコプレーナ構造は、本明細書では、(詳細に後述されるように、光源31及び光検知器32の一方又は両方が、互いに対して角度付けされ得るとしても)光源31の少なくとも一部及び光検知器32の少なくとも一部が、プリント基板の平面と平行な面内にある構造と定義される。
【0049】
いくつかの実施形態では、光源31から検出要素2へと向けられる光の量、及び光検知器32が受ける検出要素2からの反射光の量を高めるために、光源31、検出要素2、及び/又は光検知器32は、互いに対して所定の角度で配置されてもよい。
【0050】
例えば、図7に例示されるタイプの設計では、光検知器32は、検出要素2の垂直(「z」)軸とプリント基板38との交点に位置決めされ(これは、光検知器32の感光面積の少なくとも一部が、検出要素2の中心から始まる検出要素2の垂直軸と、プリント基板38との交点に位置決めされることを意味する)、(1つ又は複数の)光源31は、(例えば、検出要素2の垂直軸に対して少し軸から外れて)光検知器32に隣接して(横方向に並んで)配置される。このような配置では、検出要素2が受ける光源31から放射された光の量を高めるために、光源31は角度を付けられることができる。光検知器32は、検出要素2に反射した光をそのとき受けるように配置される。種々のその他の実施形態では、(光源31に加えて、又は光源31の代わりに)光検知器32が、検出要素2の垂直軸に対して少し軸から外れて配置されてもよい。検出要素2の光学的読み取り呼出しを行うための十分な能力が提供される限り、光源31と、検出要素2と、光検知器32との間の任意の好適な関係が許容可能である。例えば、(図4、図5、及び図6に示されるように)ハウジング100の主表面103に隣接し、かつ主表面103に対して相対的に平行に配置されるのではなく、検出要素2と、光源31及び光検知器32の適切な関係がもたらされる限り、検出要素2は、主表面103からある距離を置いて及び/又は主表面103に対してある角度をなして配置されてもよい。
【0051】
特定の実施形態では、光源31は、光源31と検出要素2との間に所望の角度を設けるために、(図6に示され得るように)プリント基板38に対してある角度をなして、プリント基板38の上に装着(例えば、取り付け)られることができる。例えば、光源31が発光ダイオードの場合、光源31は、任意の周知の装着法によってプリント基板38に電気的接続されてもよい。スルーホール法は、所望の角度をより良好に設けることが可能であり得るが、所望により、表面実装法を用いることも可能である。所望により、1つ以上の位置決め装置(例えば、ホルダー、カラー等)を使用して、光源31を所望の角度でプリント基板38上に位置決めしてもよい。種々の更なる実施形態では(図6に図示せず)、光検知器32は、光源31で行われたのと同様の方法で、プリント基板38に対してある角度をなして、プリント基板38に装着(例えば、取り付け)られることができる。
【0052】
デバイス1は、光検知器32が他の光源から受ける光を最小限に抑えながら、光検知器32が受ける検出要素2から直接反射される光の量を高めるように設計され得る。例えば、デバイス1のある種の設計は、内部空間125に入る周辺光の量を最小限に抑えることができ、光源31から光検知器32へと直接伝達され得る光の量を最小限に抑えることができる。
【0053】
したがって、いくつかの実施形態では、ハウジング100の一部、大部分、又は全ては、不透明材料で作製されてもよい。いくつかの実施形態では、ハウジング100の内部表面127(例えば、内部空間125に面する表面)の一部、大部分、又は全ては、非反射性(例えば、光吸収性、不透明、黒色等)であってもよい。これは、例えば、着色された(例えば、不透明な)材料のハウジング100を成形すること、ハウジング100の内部表面に反射防止コーティング、不透明コーティング等を使用することによってなどにより、達成され得る。いくつかの実施形態では、光源31は、比較的狭いビーム角の光を放射する光源(例えば、LED)を含んでもよい。種々の実施形態では、光源31は、光の90%超過が、ビームの中心から±30度の角度以内、又はビームの中心から±20度の角度以内で放射されるようなビーム角を含んでもよい。いくつかの実施形態では、1つ以上の光障壁を配置して、普通であれば光源31から光検知器32へと直接移動するはずの光を遮断してもよい。例えば、図6の代表的な設計では、少なくとも一部の光が光検知器32に達するのを遮断するために配置される光障壁128が示されている。光障壁128は、所望の光の遮断を達成する限り、任意の好適な材料(例えば、不透明材料)で構成されてもよく、任意の好適な寸法又は形状であってもよく、また、任意の好適な位置に設置されてもよい。光障壁128は、光源31の近くに配置されてもよい。いくつかの実施形態では、光障壁128は、光源31をプリント基板38に対して望ましい配置(例えば角度)で保持するのを助けるホルダー(例えば、カラー)を含んでもよい。この構成に加えて、又はその代わりに、光障壁は、同様の目的のために光検知器32の近くに同様に配置されてもよい。
【0054】
更なる実施形態では、複数の光源31及び/又は複数の光検知器32をデバイス1で使用してもよい。この手法の多くの変形が可能である。例えば、2個、3個、4個、又はそれ以上の光源31を使用することができる。特定の実施形態では、それぞれが他の光源から放射される光と異なるピーク波長の光を放射する異なる光源31a、31b等(例えば、異なる放射波長範囲を有するLED光源)を使用してもよい。このような設計では、異なる光源は、共通の光検知器に隣接して装着されてもよい(2個の光源31a及び31bを含む代表的な設計が、図7に示されている)。個々の光源のそれぞれは、光源31に関して上述されたように、検出要素2に対して軸から外れて、及び/又はプリント基板38に対して角度を付けられて配置され得る(例えば、図7に代表的な様式で示されているように)。1つ以上の光障壁128が存在してもよい。
【0055】
更なる実施形態では、複数の光検知器を使用することができる。例えば、特定のピーク波長の光を放射する各光源31を、この特定の波長範囲の光を検出するように設計された光検知器と組み合わせて使用することができる。他の実施形態では、複数の(例えば、狭帯域の)光検知器を、単一広帯域光源31と組み合わせて使用することができる。
【0056】
他の実施形態では、単一光検知器32(例えば、独立した、個々の狭帯域光源31のそれぞれから放射される波長範囲の光を検出することができる広帯域検出器32)を、複数の狭帯域光源31と組み合わせて使用することができる(例えば、図7に示されるように)。このような設計では、共通の光検知器32が、光源31aから放射される光に対応する信号を検出することができ、次に、光源31bから放射される光に対応する信号を別に検出することができ、以下同様であるように、光源31は、各光源31のトリガの間に十分な時間遅延(例えば、少なくとも1ミリ秒)を有して、連続して作動され得る。このような設計は、必要な光検知器が1つだけであるという利点を有し得る。
【0057】
複数の光源31及び/又は複数の光検知器32を使用することにより、デバイス1の強化された動作が可能となり得る。例えば、このような設計により、より広範囲の検出可能な検体の検出が可能になり得、より広い濃度域の検体の検出が可能になり得、検体の濃度のより正確な定量化が可能になり得、新しい又は取り換え用(replacement)検出要素2が設置されるたびにデバイス1を較正する必要性をなくすことができる、などであるしたがって、いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法の実施は、検体を潜在的に含む雰囲気のモニタリングの前に、検出要素を、既知のゼロでない濃度の検体を含有する較正用ガスに暴露する必要がない。
【0058】
本明細書に開示されるデバイス及び方法はまた、光ファイバー・ケーブル、レンズアレイ、フィルタホイール等のような構成要素の使用を最小限に抑えるので、光反射率を介した検出要素2の読み取り呼出しを、最小限の空間利用、及び最小限のコストで向上させることができる。特に、本明細書に開示されるデバイス及び方法により、軽量で、持ち運びができ、また、所望により、外部電源なしで機能することができるデバイス1の製造が可能になる。種々の実施形態において、デバイス1の内部空間125/126は、約100cm3未満、約60cm3未満、又は約30cm3未満であってもよい。
【0059】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の方法は、呼吸保護装置と関連した耐用年数終了インジケータ(ESLI)として検出要素2が機能するのを可能にし得る。様々な代表的な呼吸保護装置が、米国特許出願第2008/0063575号、名称「ORGANIC VAPOR SORBENT PROTECTIVE DEVICE WITH THIN−FILM INDICATOR」に記載されており、当該特許出願はこの目的のために参照により本明細書に組み込まれる。このような実施形態では、デバイス1がバッジモニター又はエリアモニターとして使用される場合に使用されるある種の構成要素(例えば、キャップ140、保護層300)が、存在してもよいし、しなくてもよい。
【0060】
いくつかの実施形態では、検出要素2は、デバイス1の常設構成要素として設けられてもよい。他の実施形態では、検出要素2は、使い捨ての(例えば、取り外し可能な及び/又は交換可能な)構成要素であってもよい。検出要素2の機能を妨げる可能性がある小分子を含有している場合がある接着剤(例えば、感圧接着剤、液状接着剤、熱硬化性接着剤、放射線硬化性接着剤などを含む)の使用を最小限にして又は使用せずに、検出要素2をデバイス1の所定の位置にしっかりと位置付ける(例えば、取り付ける)(及び任意に、その際に開口部102を閉塞する)のが有利であり得る。したがって、1種以上の機械的取り付け手段(例えば、クリップ、クランプ、キャップ等)を介して、検出要素2を所定の位置に保持するのが有利であり得る。検出要素2を歪ませない、たわませない又は変形させない方法で、検出要素を所定の位置に保持するのもまた有利であり得る。図8に代表的な様式で示されている種類の実施形態では、検出要素2は、キャップ140を使用して所定の位置に保持されている(また、開口部102を閉塞させている)。このような実施形態では、ハウジング100は、フランジ105と壁部106とを備え、このフランジ105の上に、検出要素2の周縁部分215(例えば、検出要素2の基材210の一部分)が載置され、壁部106は、検出要素2が開口部102に対して横方向に移動するのを制限する。キャップ140は、デバイス1のハウジング100に取り付け可能であり、取り付けられると、検出要素2を所定の位置にしっかりと保持して、開口部102を閉塞する。キャップ140は、任意の好適な取り付け機構(いずれの図にも図示せず)によって、デバイス1のハウジング100に取り付け可能であり得る。したがって、キャップ140は、ねじ式接続機構、差し込み型接続機構を含んでもよく、1つ以上のクリップ、クランプ等を介して取り付けられてもよく、フック・アンド・ループ締結具、弾性バンド等の機械的締結具を使用して取り付けられてもよい。キャップ140は、検出要素2の周縁部分215を所定の位置に(例えば、ハウジング100のフランジ105に対して)しっかりと保持するように設計された部分141を含んでもよい。1つ以上の封止ガスケット(例えば、Oリング)を(例えば、検出要素2の縁部部分215と、キャップ140の部分141又はハウジング100のフランジ105との間に)使用して、開口部102の閉塞を達成するのを支援してもよい。キャップ140はまた、検体浸透性部分142を含んでもよい。部分142は、(例えば、図8の代表的な実施形態にあるような)開放スペースを含んでもよい。又は、検体を検出要素2に到達させる一方で、検出要素2に機械的保護を提供するために、部分142は、それらの間にスペースを有する1つ以上の部材(例えば、ルーバー、レール)を備えてもよく、及び/又は(例えば、図9の代表的な実施形態にあるような)有孔シート、メッシュ等を備えてもよい。図8及び図9に示される種類の実施形態では、検出要素2は、(デバイス1の内部空間126に向けて)内側に押圧されることによって所定の位置に保持されているが、他の実施形態では、検出要素2は、例えば、ハウジング100のフランジ又は何らかの他の部分に対して外側に押圧されることによって所定の位置に保持されてもよい。
【0061】
どのようなやり方で達成されたとしても、検出要素2が所定の位置にしっかりと保持されたときには、内部空間125が封止された内部空間(126)となるように、開口部102は閉塞されることができる。封止とは、水蒸気又は固体(例えば、粉塵)が、デバイス1の内部空間126に浸透することができないことを意味する。開口部102の閉塞は、検出要素2により(例えば、検体及び/又は任意の他のガス、液体、水蒸気等に対して不透過性であり得る、検出要素2の光学的に透明な基材210によって)もたらされることができ、又は、開口部102の閉塞は、1つ以上の二次バリア層によってもたらされることができる。このような二次バリア層は、検出要素2に関連付けられてもよく(例えば、検出要素2に貼り合わされる、検出要素2と一緒にキットで提供されるなど)、又は、デバイス1のハウジング100の常設構成要素(例えば、透明窓)であってもよい。
【0062】
この種の設計では、検出要素2の検体浸透性反射層240は、外側に(封止された内部空間126から離れて)向いていてもよく、また、検出要素2の光学的に透明な基材210は、光学的に透明な基材210を通過する光線40及び光線41若しくは42を通して検出要素2が光学的に読み取り呼出しされ得るように、内側に向いていてもよい。このような設計では、デバイス1は、検体(又はあらゆる他の固体、液体若しくは水蒸気材料)が封止された内部空間126に入ることなく、検体を検出することが可能であり得る。内部空間125は、検体及び/又は他の物質に有害に影響される可能性のある様々なオプトエレクトロニクス部品を含むので、内部空間125を封止された内部空間(126)として提供することには、利点があり得る。内部空間126の中のオプトエレクトロニクス部品を、デバイス1の外側の物質から保護することに加えて、不透過性の基材210(及び/又は存在する任意の二次バリア層)は、内部空間126内に存在し得る物質(例えば、オプトエレクトロニクス部品の組み立てに使用された可能性がある、内部空間126内の接着剤又は物質)から検出要素2が有害に影響されないように保護することができる。
【0063】
図4に示される種類の実施形態では、キャップ140はまた、例えば、内部空間125の中の様々な構成要素への物理ダメージを防止し、尚且つ検体の内部空間125へのアクセスも提供するやり方で、閉塞されていない開口部101を覆うために使用されてもよい。
【0064】
他の層、構成要素等もまた、様々な目的のために、デバイス1の中に設けられてもよい。例えば、検出要素2と、光源(1つ又は複数)、光検知器32(1つ又は複数)、及び/又はデバイス1の様々なその他のオプトエレクトロニクス部品との間に、1つ以上の追加の層(例えば、光学的に透明なフィルム)が設けられてもよい。いくつかの実施形態では、光源31(1つ又は複数)、光検知器32(1つ又は複数)及び/又は様々なその他のオプトエレクトロニクス部品は、デバイス1の内部空間125の、1つ以上の光学的に透明な層の後に存在してもよく、当該層は、このような構成要素を(例えば、粉塵、埃、汚染物質等から)保護し、尚且つ検出要素2の読み取り呼出しのために、光を光学的に透明な層に通過させることができる。
【0065】
いくつかの実施形態では、蒸気相又は気相中の検体に対して透過性であるが、液状検体、又はデバイス1の動作を妨げる可能性があるあらゆる液状物質又は固形物質の、デバイス1の内部空間125の中への通過に対する防御を提供する、1つ以上の層を設けるのが望ましくあり得る。したがって、デバイス1の開口部101/102と内部空間125/126との間に配置される保護層300を提供することが有用であり得る。保護層300は、気相及び/又は蒸気相中の検体を十分に通過させて、検出要素2の適切な反応を確実にする一方で、望ましくない液相物質が通過するのを実質的に又は完全に防止するのに十分なだけ(ガス及び/又は水蒸気)透過性である、任意の材料を含んでもよい。したがって、保護層300は、ガス及び/又は水蒸気を通過させる一方で、液体の通過を実質的に防止する、任意の好適な多孔質の材料を含んでもよい。(本文脈において、液体の通過を実質的に防止するとは、保護層は、例えばポンピングにより達成され得る十分に高い圧力が印加されると、液体をこの材料に貫通させることができるが、液体は、偶然接触、注入、跳ね返り等などの事象では層を貫通しないことを意味する。)このような材料としては、例えば、多孔質膜及び/又は微多孔膜、不織布ウェブ、織布地等を挙げることができる。このような材料は、それらの湿潤性及び/又は(and/or)それらの液体通過防止能力を改良するために、所望により処理されてもよい。保護層300として使用することができる代表的な材料としては、例えば、Pall Corporation(East Hills,NY)から商品名Versapore Rで入手可能な材料が挙げられる。
【0066】
保護層300は、開口部101/102の中又は近くに設置されてもよく、また、図9に示される代表的な構成に描かれているように、例えば、キャップ140によって所定の位置に保持されてもよい。いくつかの実施形態では、保護層300は圧縮性の多孔質材料を含んでもよく、この圧縮性の多孔質材料は、キャップ140がデバイス1のハウジング100に取り付けられると、検出要素2を所定の位置に保持するのを援助する。
【0067】
保護層300は、所望の保護が必要である限り、検出要素2(例えば、検出要素2の検体浸透性反射層240)と直接接触してもよく、しなくてもよい。保護層300は、キャップ140の凹所の中に、例えばキャップ140の検体浸透性部分142に隣接して配置されてもよく、この検体浸透性部分142は、保護層300の上方に存在して保護層300を所定の位置に保持し、機械的保護を提供し、尚且つ検体を検出要素2に到達させることができる。保護層300及び/又はキャップ140は、所望により交換可能であってもよい。
【0068】
本明細書に開示される方法及びデバイスを用いて検出要素2を読み取り呼出しすると、(例えば、モニターする雰囲気中の)対象の検体の存在及び/又は濃度に関連した信号を得ることができる。いくつかの実施形態では、デバイス1の少なくとも1つの光検知器32によって生成される信号は、例えば、(例えば、光検知器32に入射する光に反応して光検知器32によって生成される)電圧又は電流の形態の電気信号である。即ち、光検知器32は、検出要素2からの光信号(例えば、光の強度)を、その後、操作、処理等することができる電圧などの信号に変換することができる。デバイス1は、マイクロコントローラによる処理を簡略化するためにデジタル形式の信号を提供することが可能な、1つ以上のアナログ−デジタル変換器を更に備えることができる。光検知器32が複数の場合には、光検知器32のそれぞれによって個々の信号が提供され得る。
【0069】
1つ以上の光検知器32から受信した信号は、所望により、デバイス1の電気回路網に存在するアルゴリズム(例えば、ソフトウェア又はファームウェアに搭載されている)に従って数学的に操作(個別に又は組み合わされて)されることができる。したがって、デバイス1は、このような所望の信号処理を実行するのに必要な、更には光源31及び/又は光検知器32等を制御するのに必要な構成要素、電気回路網等を備えてもよい。図10のブロック図を参照すると、デバイス1はマイクロコントローラ37を備え、このマイクロコントローラ37は、光源(1つ又は複数)31を操作し、かつ光検知器(1つ又は複数)32を操作する(及び光検知器32から信号を受信する)ことができ、光検知器(1つ又は複数)32から受信した信号を処理、操作等することができ、様々なデータ及びパラメータをメモリに保持することができ、ディスプレイ36を操作してユーザーインターフェース39と通信することができ、電力供給装置35を介して(内部又は外部)電源34から電力を受け取ることができ、所望により他の機能を実行することができる。特定の実施形態では、デバイス1は、Texas Instrumentsから商品名MSP430F437IPNで入手可能な製品に代表される種類のマイクロコントローラを備えることができ、この製品は、本明細書に記載の用途に特に適している可能性がある。デバイス1は、デバイス1の機能を実行するために、所望により、他の電気構成要素及び/又は光学構成要素を備えてもよい。このような構成要素には、1つ以上の抵抗器、コンデンサ、誘導器、集積回路、駆動装置、送受信装置、アンテナ等が挙げられるが、これらに限定されない。デバイス1の様々な構成要素は、1つ以上のプリント基板に接続、及び/又は物理的に装着されることができる。いくつかの実施形態では、デバイス1の様々な構成要素は、単一共通回路基板38上に装着される。
【0070】
要約すれば、デバイス1は、本明細書に記載の通りに受信した及び/又は処理された信号から、モニターする雰囲気中の対象の検体の濃度値と関連付けられた、例えばモニターする雰囲気中の対象の検体の濃度値を表す、通知信号を生成することができる。通知信号は、(例えば、視覚信号、音声信号、又は触覚信号により)デバイス1のユーザーに伝達され得る。一実施形態では、通知信号は、モニターする雰囲気中の検体濃度の実際の数値であり得る。これに加えて、及び/又はこれに代えて、数値ではないが、このような数値に関連付けられている通知信号が提供されてもよい。例えば、デバイス1は、検体の検出時及び/又は一定量の検体の検出時に、聴覚信号(例えば、ビープ信号、チャープ信号、警報信号)、視覚信号、及び/又は振動信号を提供してもよい。
【0071】
いくつかの実施形態では、デバイス1は、(例えば、特定濃度を超えると、例えば、対象の検体が存在するか否かを表示する)非数量的な表示(nonquantitative indications)を提供してもよい。いくつかの実施形態では、デバイス1は、半定量的及び/又は定量的情報(例えば、モニターする空気中の検体の濃度の予測又は表示)を提供してもよい。いくつかの実施形態では、デバイス1は、累積表示(即ち、最大数時間に及び得る一定時間にわたってモニターされた空気中の検体の濃度から生じる総和表示)を提供してもよい。いくつかの他の実施形態では、デバイス1は、空気中の検体の瞬間(例えば、数分以下にわたる)濃度に起因する「実時間の」読取値を提供してもよい。いくつかの実施形態では、(例えば、記録されたデータの情報の伝送によって)デバイス1は、実時間又は定期的のいずれかで、かかる情報を受信ステーションに伝達してもよい。例えば、デバイス1は、かかる情報を(例えば、無線伝送又は赤外線伝送によって)コンピュータ、ワークステーション、中央処理施設等に送信してもよい。
【0072】
デバイス1を使用して、1つ以上の対象の検体を検出及び/又はモニターすることができる。そのような検体は、モニターするのが望ましい環境(多くの場合、空気雰囲気)中に存在し得る水蒸気又はガスを含んでもよい。いくつかの実施形態では、検体は、有機蒸気(例えば、揮発性有機化合物)である。代表的な有機化検体としては、アルカン類、シクロアルカン類、芳香族化合物類、アルコール類、エーテル類、エステル類、ケトン類、ハロカーボン類、アミン類、有機酸類、シアン酸類、ニトレート類、及び二トリル類、例えば、n−オクタン、シクロヘキサン、メチルエチルケトン、アセトン、エチルアセテート、二硫化炭素、四塩化炭素、ベンゼン、トルエン、スチレン、キシレン、メチルクロロホルム、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、2−エトキシエタノール、酢酸、2−アミノピリジン、エチレングリコールモノメチルエーテル、トルエン−2,4−ジイソシアネート、ニトロメタン、及びアセトニトリル、を含む置換、非置換炭素化合物が挙げられる。
【0073】
デバイス1は、少なくとも1つの光源31から光を放射し、放射光の少なくとも一部を少なくとも1つの検出要素2の上に方向付け、少なくとも1つの光検知器32の使用を介して検出要素2から反射される光の量を測定することにより、検出要素2を光学的に読み取り呼出しすることができる。検出要素2から反射される光の特徴は、様々な層(例えば、反射層及び/又は半反射層)から反射される光の干渉、及び/又は検出要素2の界面に由来する。そのような反射光は、所与の波長範囲にわたって1つ以上のピーク(例えば、181、182、及び/又は183等)と谷とを有する、図11の一般的表示に示される一般的な型の反射スペクトルを有してもよい。ピークのサイズ及び/又は位置は、検体の存在に対応して変化し得る。
【0074】
複雑な計器装備で行うことが可能であるような全反射スペクトルの読み取り呼出しを試みるのではなく、1つ以上の特定波長範囲で検出要素2を選択的に読み取り呼出しするのが好ましくあり得る。したがって、いくつかの実施形態において、デバイス1は、所定の、比較的狭い波長範囲A(図11参照)の光を放射するように設計された、1つの光源31を含む。波長範囲Aの境界は、はっきりとした又は完全な境界であってもよし、なくてもよく、使用する特定の光源及び/又は検出器の特性によって異なる。ピーク182の位置又はサイズがシフトすると(即ち、検体の濃度変化に起因して)、光検知器32が検出する反射光の量又は強度が変化し得る。
【0075】
いくつかの実施形態では、所与の設計の検出要素2に関し、波長範囲Aが、検体が存在しない場合の検出要素2の反射スペクトルにおけるピーク182の最大値184(例えば、主要ピーク又は主ピーク)に又は最大値184の近くにあるように、波長範囲Aを選択することができる。このような構成では、波長範囲Aの光を検出要素2に向けることにより、検体の量の変化に対応してピーク182のサイズ又は位置がシフトする際に、検出要素2に反射して光検知器32によって検出される光に比較的大きな変化が生じ得る。したがって、このような方法は、検体の存在及び/又は濃度に対するデバイス1の反応性を高めることができる。選択される特定波長範囲は、使用する特定の検出要素2、モニターするのが望ましい特定の検体(1つ又は複数)等の特性に応じて決めることができる。種々の実施形態において、波長範囲の中心は、ピーク最大値の約10nm、20nm、又は40nm以内であってもよい。特定の実施形態では、中心が約520nm付近にある、又は中心が概ね約640nm付近にある波長範囲で、検出要素2を読み取り呼出しすることが好ましくあり得る。
【0076】
上述したある種の実施形態では、所定の波長範囲での読み取り呼出しは、狭帯域光源31を使用することにより達成される。そのような場合、光検知器32は、所望により、狭帯域又は広帯域であってもよい。あるいは、狭帯域光検知器32を使用してもよく、その場合、光源31は、所望により、狭帯域又は広帯域であってもよい。
【0077】
いくつかの実施形態において、検出要素2からの反射光は、少なくとも2つの異なる波長範囲A及びBでモニターされる(図11参照)。これは、例えば、追加の光源31及び/又は光検知器32を使用することによって達成されてもよい。特定の実施形態では、これは、図7の代表的な設計に描かれるような、2つ以上の別個の狭帯域光源31a及び31bを使用して行われてもよい。そのような場合、図7に同様に示されるように、単一(例えば、広帯域)光検知器が使用されてもよく、異なる波長範囲の信号は、光源31a及び31bから放射された光に時間的な間隔を入れる(temporally spacing)(即ち、時間をずらす)ことによって得られ、その結果得られる反射光は、光検知器32で別々に検出されることができる。他の手法を用いることも可能である。いくつかの実施形態では、広帯域光源31を、波長範囲Aの光を波長範囲Bの光と区別することができる狭帯域光検知器と組み合わせて使用することができる。
【0078】
どのようなやり方で達成されたとしても、検出要素2から反射される複数の波長範囲の光のモニタリングは、有意な利点を提供することができる。特定の実施形態では、波長範囲Aは、上述のように、検体が存在しない場合の検出要素2の反射スペクトルにおけるピーク182の最大値184に又は最大値184の近くにあるように選択され得る。波長範囲Bは、波長範囲Aから少なくともいくらか離れていてもよく、いくつかの実施形態では、検体が存在しない場合の検出要素2の反射スペクトルにおける谷最小値185に又は谷最小値185の近くにあってもよい。特定の実施形態では、波長Bは、波長Aがモニターされたピーク182に直接隣接した谷最小値185に又は谷最小値185の近くにある(図11に図示)。
【0079】
このような構成では、波長範囲Aで検出された光量を示す光検知器32からの信号を、波長範囲Bで検出された光量を示す光検知器32からの信号と比較する(例えば、デバイス1のマイクロプロセッサ37によって比率化される)ことができる。このような比較/比率化(ratioing)は、有意な利点を提供することができる。例えば、新しい又は取り換え用検出要素2が動作状態にある(例えば、まだ検体に時期尚早に暴露されていない、ダメージを受けていない等)ということの確認が可能となり得る。したがって、いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法は、検出要素が検体を含まない(例えば、1ppm未満の検体を含む)雰囲気に暴露された状態の初期比較信号を得る工程と、初期比較信号が許容範囲内であるかどうかを判定する工程とを含む。このような比較された(例えば、比率化された)信号の使用はまた、デバイス1のダイナミックレンジを向上させることができる。本明細書に開示される方法の内容において、第1の信号と第2の信号(例えば、第1の波長範囲及び第2の波長範囲で検出された光量を示す信号)との比較は、平均信号の比較(例えば、複数の第1の信号を得てそれらを平均化し、複数の第2の信号を得てそれらを平均化し、平均化された第1の信号を平均化された第2の信号と比較する)、並びに個々の第1の信号と個々の第2の信号との比較と含むことができる。
【0080】
選択される特定波長範囲は、使用する特定の検出要素2、モニターするのが望ましい特定の検体等の特性にほ応じて決めることができる。種々の実施形態において、波長範囲A及び波長範囲Bは、それらの中心点が少なくとも20ナノメートル、少なくとも40ナノメートル、又は少なくとも60ナノメートル離間するように選択される。更なる特定の実施形態では、波長範囲A及び波長範囲Bは、それらの中心点が最大140nm、最大120nm、又は最大100nm離間するように選択される。種々の実施形態では、第1の波長範囲の中心は、ピーク最大値の約10nm、20nm、又は40nm以内であってもよく、第2の波長範囲の中心は、谷最小値の約10nm、20nm、又は40nm以内であってもよい。更なる特定の実施形態では、波長範囲Aの中心が約520nm付近にあり、波長範囲Bの中心が約640nm付近にあるときに光学的読み取り呼出しが行われる。上述のように、波長範囲A及びBにおける読み取り呼出しは、例えば、LED等などの狭帯域光源を使用して達成されてもよい。異なる光源から放射された光の波長には、いくぶんの重複があり得るが、このことは、それらから得た信号ごとの十分な違いが得られる限り、検出要素2の好結果の読み取り呼出しを損なう可能性はない。
【0081】
所望により、追加の光学的読み取り呼出しが、他の波長範囲(例えば、図11においてC及びDと印が付けられた波長範囲)で行われてもよい。そのような追加の範囲は、(範囲Cのような)範囲AとBとの間、又は(範囲Dのような)範囲A及びBの外側であってもよい。そのような追加の光学的読み取り呼出し範囲(これは、例えば追加の光源31及び/又は光検知器32を使用することによってもたらされることができる)は、改善された分解能、ダイナミックレンジ、精度等を提供することができる。こららの波長範囲で得た信号は、上記のように、他の波長範囲の信号と比較(例えば、比率化)されてもよい。
【0082】
デバイス1の信号処理機能の新奇な使用(例えば、マイクロプロセッサ37によって行われる)は、更なる利点を提供することができる。例えば、光検知器32から収集された信号は、信号の時間依存性の履歴にアクセスして参照することができるように、(例えば、マイクロプロセッサ37の)メモリに常駐保持されてもよい。これは、例えば、検体が存在しない場合の第1のピーク(例えばピーク182)から最初に受信したのと同じであるピーク181がもたらすA波長範囲の信号が受信されるように、(例えば一定量の検体の存在下で)第2のピーク(例えば、ピーク181)がA波長範囲の十分近くまでシフトする場合に有用である。光検知器32から受信した信号の時間依存性の履歴(例えば、波長範囲Aの信号は下降して、その後再度初期値に向かって上昇する)を追跡することにより、デバイス1は、(例えば、もしかすると非常に大量の検体に起因する)このような状態と、潜在的検体暴露期間にわたって比較的一定である反射光信号(例えば、ピーク182がもたらす)を受信する状態とを区別することが可能であり得る。比較(例えば、比率化)信号を使用する場合にも、同様の信号処理を実施することができる。
【0083】
デバイス1の改善された性能は、検体に対する検出要素2の反射特性の予想反応速度よりも十分速いサンプリングレートで、検出要素2が読み取り呼出しされることを必要とする場合がある。しかしながら、検出要素2を継続的にモニターするのは、例えば、電力消費の目的上有利でない可能性がある。種々の実施形態では、検出要素2は、毎分少なくとも6回の読み取り呼出し、毎分少なくとも60回の読み取り呼出し、毎分少なくとも120回の読み取り呼出し、又は毎分少なくとも240回の読み取り呼出しの頻度で読み取り呼出しされる。
【0084】
デバイス1の改善された機能を提供するために、他の情報がマイクロプロセッサ37のメモリに常駐保持されてもよい。例えば、信号(例えば、波長範囲Aの光の強度)又は比較信号(例えば、波長範囲Aの光の強度の波長範囲Bの光の強度に対する比率)等を、モニターする雰囲気中の検体濃度に関連付ける情報(例えば、既知の検体濃度への検出要素の暴露を介して実験的に得た所定の反応曲線)が提供されてもよい。したがって、デバイス1は、モニターする雰囲気中の検体濃度と関連した又は当該検体濃度を表す濃度値を得るために、比較信号を所定の反応曲線に関連付けることによって機能することができる。単一反応曲線がデバイス1のメモリの中に予めロード(例えば、恒久的に)されてもよく、又は、複数の特定の設計の検出要素2、複数の特定の検体等と共に用いるために、複数の反応曲線がデバイス1のメモリの中に定期的にアップロードされてもよい。複数の反応曲線を用いることが可能である。本明細書に開示される方法の内容において、比較信号を反応曲線にこのように関連付けることは、(例えば、複数の比較信号を得ることと、それらを平均化することによって得られる)平均化された比較信号を関連付けること、並びに個々の比較信号を関連付けることを包含する。
【実施例】
【0085】
3M Company(St.Paul,MN)製の3M Model 110一酸化炭素モニターを分解し、液晶ディスプレイ以外の電子構成要素をそこから取り外した。プリント基板は、110モニターのハウジングに嵌着し、かつ縞模様の結線を介してLCDディスプレイとインターフェースをとるように、適切な大きさに設計され、かつ好適な結線を有した。プリント基板は、以下に記載される様々な構成要素を受容する、支持する、及び電気的に接続するように特注設計された。
【0086】
プリント基板の上には、光ダイオード(SFH 2430、OSRAM(Regensburg,Germany))が装着された。プリント基板、及び光ダイオードの位置は、プリント基板が110ハウジングの中に固定され、検出要素が110ハウジングの開口部の中に設置され、かつ、ハウジングの2等分が組み合わされたときに、(図7に示される設計と同様の様式で)光ダイオードが検出要素と向かい合いかつ検出要素の垂直軸と一直線に配置されるように、選択された。
【0087】
プリント基板の上には、2個のLEDが装着された。1つ目は、放射光のピーク波長の中心が約520nmにある緑色LED(OVLBG4C7,Optek,Carrollton,TX)であり、2つ目は、放射光のピーク波長の中心が約640nmにある赤色LED(OVLBR4C7,Optek)であった。LEDは、光ダイオードに隣接する位置に(図7に示される設計と同様の様式で)装着され、各LEDは光ダイオードから(中心間で測定して)約7mm離間していた。LEDは、貫通孔接続を介してプリント基板に装着され、各LEDが光ダイオードに向かって、図7に示される設計と同様の様式でわずかに角度をなすように、接続線はわずかに曲げられた状態であった。角度は、検出要素が110ハウジングの開口部の中に設置され、かつハウジングの2等分が組み合わされたときに、各LEDが検出要素の中心領域に向けて光を放射するように計算された。LEDのカラー型ホルダー(ねじを介してプリント基板に取り付けられる)を使用して、各LEDを適切な位置及び角度に保持するのを助けた。LEDホルダーは不透明(黒色)プラスチックで作製され、各対応のLEDと光ダイオードとの間にあるカラーの部分は、LEDから光ダイオードへと直接移動する可能性がある光の量を最小限に抑える働きをした。
【0088】
SPI Bus Serial FRAM(FM25H20−DG,Ramtron)、低ノイズCMOS(AD8603AUJZ,アナログ素子)、600mA昇圧型(LTC3429ES6,Linear Technology)、50mA超低電力LDO(TPS79730DCKR,Texas Instruments)、16ビットFlash/RAM A/D/120seg LCD(MSP430F437IPN,Texas Instruments)、単一チップ2.4Hz送受信機(nRF24LO1+,Nordic Semiconductor)、及び2.4HGzチップアンテナ(RFD58005,RFD)などを含む、その他の構成要素をプリント基板上に装着した。当該技術分野において周知である種々の抵抗器、コンデンサ、誘導器等などの、電気回路網及びその様々な構成要素を動作させるために必要な他の部材も同様に、プリント基板上に提供、及び/又は装着された。3.6Vリチウム電池がプリント基板に配線で接続された。
【0089】
次に、プリント基板と上記構成要素とを含むモニターハウジングを再組立てした。デバイスを動作させ、LEDを駆動し、光ダイオード等から受信した信号を処理する等をするために必要な様々な情報及びアルゴリズムが、デバイスのファームウェア及び/又はソフトウェアメモリにアップロードされた。具体的には、それに従ってデバイスが赤色LED及び緑色LEDを順次作動させ、各LEDの動作に対応した反射光信号をモニターすることができるアルゴリズムがアップロードされた。このアルゴリズムは、各LEDが次のようなタイミングパターンで1秒に約1回の頻度でトリガされるように構成された:赤色LEDオン−2mS(ミリ秒);生じた反射光信号の測定及び処理−2mS;一時停止−990mS;緑色LEDオン−2mS;生じた反射光信号の測定及び処理−2mS;一時停止2mS。デバイスが、緑色LEDから放射される光に対応して検出要素から反射される光の、赤色LEDから放射される光に対応して検出要素から反射される光に対する比率を、赤色LED及び緑色LEDのそれぞれのトリガ、並びにその結果生じる光ダイオードによる反射光の受信に関して計算できるようにする、更なるアルゴリズムがアップロードされた。同じく、モニターする雰囲中の検体量を、様々な波長で反射する光の比と関連付ける反応曲線がアップロードされた(この場合は、検出要素を既知の検体濃度に暴露することから得るものではなく、デモンストレーションを目的とした任意の曲線であった)。
【0090】
その結果得られたのは、光を放射するためにLEDを駆動することができ、光信号を受信するために光ダイオードを動作させることができ、上述のように情報をアップロードするためにユーザーとインターフェースをとることができ、異なる波長における光信号の比率と、もたらされる反応曲線の組み合わせに基づいて、モニターする雰囲気内の検体濃度を計算することができ、モニターする雰囲気内の検体濃度(例えば、読取値は100万分の1単位)を表す通知信号をデバイスのディスプレイスクリーンに表示することができる動作回路を含む、機能的光電子デバイスであった。
【0091】
(110デバイスの内部に通じる開口部を覆っていた)ルーバー付きフロントカバーを取り外した。(ハウジングの開口部に嵌着するように設計され、環状フランジを備える)環状ハウジングは、光造形(SLA)によって作製され、ハウジングの開口部に取り付けられた。
【0092】
検出要素がガラス基材ではなく透明なポリマー基材(ポリエステル)を含むことを除いては、米国特許出願公開第2008/0063874号に記載の種類と同様の検出要素を、当該特許出願の実施例1〜6に記載されている方法と同様の方法によって調製した。検出要素の直径は約16mmであった。上記光電子工学システムを含むモニターのハウジングの開口部に検出要素を設置し、検出要素の周縁部はSLAハウジングの環状フランジに載置された。検出要素の検体浸透性反射面は外側に向き、検出要素の光学的に透明な基材はモニターの内部空間に向かって内側に向いていた。ポリマーキャップ(バイオネット接続によってSLAハウジングに取り付けられるように設計され、ルーバー付き中央部分を含む)が110モニターのSLAハウジングに取り付けられて、検出要素を所定の位置にしっかりと保持した。
【0093】
液状検体が投入され得る二次チャンバに2本の導管によって接続される一次チャンバを備える検体暴露システムが作られた。二次チャンバは、液状検体を揮発させるための加熱要素を含んだ。比較的一定濃度の検体をもたらして一次チャンバの中に維持することができるように、一次/二次チャンバ閉ループシステムを通って空気を循環させるために、ファンが設けられた。システムの中に存在する空中浮遊検体のおよその量を常にモニターするために、光イオン化検出器が提供された。液状検体を二次チャンバ暴露(secondary chamber exposure)に加えることによって検体濃度を高め、システムに抽気することによって検体濃度を下げることができた。
【0094】
光電子デバイスの電源を入れ、検体暴露システムの一次チャンバに光電子デバイスを挿入し、アセトンが含まれていない循環空気環境下でこれを安定させた。次に、再循環雰囲気内のアセトン濃度を約100ppm(光イオン化検出器で測定した場合)とするのに十分な液体アセトンを二次チャンバに加えた。一定時間が経過した後に、追加のアセトンを加えてアセトン濃度を約275ppmとした。一定時間が経過した後に、追加のアセトンを加えてアセトン濃度を約500ppmとした。一定時間が経過した後に、抽気を導入してアセトン濃度を無視できるレベルまで下げた。
【0095】
これらの実験から得たデータを図12及び図13に示す。図12において、赤色と標示されたデータは、赤色LEDによる照明に対応して検出要素から反射される光を(即ち、A/D変換され、マイクロコントローラでポーリングされる、光ダイオードからの電圧信号として)表す。緑色と標示されたデータも同様に緑色LEDによる照明に対応して検出要素から反射される光を表す。(図12の小さなスパイク波形は、テストチャンバへの迷光の瞬間導入により生じるアーチファクトである。)図13において、比率と標示されたデータは、赤色信号と青色信号とを比率化することによって得たデータを表す信号である(この操作はマイクロコントローラで行われた)。
【0096】
上記の試験及び試験結果は予測ではなく例示のみを意図したものであり、試験方法が変われば異なる結果が生じ得ると考えられる。上記の詳細な説明及び実施例はあくまで理解を助けるために示したものである。これらによって不要な限定をするものと理解されるべきではない。
【0097】
本明細書に開示される特定の代表的な構造、特徴、詳細、構成等は、多くの実施形態において変更され得る及び/又は組み合され得ることは、当業者には明らかであろう。そのような変例及び組み合わせは全て、本発明者により、本考案の発明の範囲内にあるものとして考えられる。したがって、本発明の範囲は、本明細書に記載された具体的な例示的構造に限定されるべきではなく、むしろ、特許請求の範囲の文言によって説明される構造、及びそれらの構造の等価物によって限定される。本明細書と、参照により本明細書に組み込まれている全ての文書内の開示との間に不一致又は矛盾が存在する場合、本明細書が優先する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
雰囲気中の検体をモニタリングする方法であって、
a)少なくとも1つの検出要素を、検体を潜在的に含む雰囲気に所定時間暴露することと、
b)第1の波長範囲の光を前記少なくとも1つの検出要素の上に方向付け、前記少なくとも1つの検出要素から反射される前記第1の波長範囲の光の量を表す第1の信号を得ることと、
c)第2の波長範囲の光を前記少なくとも1つの検出要素の上に方向付け、前記少なくとも1つの検出要素から反射される前記第2の波長範囲の光の量を表す第2の信号を得ることと、
d)前記第1の信号と第2の信号とを比較して比較信号を提供することと、
e)前記比較信号を所定の反応曲線に関連付け、それによって、前記モニターする雰囲気内の前記検体の前記濃度に関連する濃度値を得ることと、を含む、方法。
【請求項2】
前記検体を潜在的に含む前記雰囲気への前記検出要素の前記暴露の前記所定時間の少なくとも一部にわたり、工程b)、c)、d)及びe)を繰り返すことを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記比較信号が、前記第1の信号及び第2の信号の一方を、前記第1の信号及び第2の信号の他方で割ることによって得られる比率化された信号である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記検体を潜在的に含む雰囲気のモニタリングの前に、前記検出要素が、既知の濃度の検体を含有する較正用ガスに暴露されない、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記検出要素が、波長に対する光の強度の1つ以上のピーク及び谷を含む反射スペクトルを含み、前記第1の波長範囲が前記スペクトルのピークに又はピーク近くにあり、前記第2の波長範囲が前記スペクトルの谷に又は谷近くにある、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記方法が、前記検出要素が検体を含まない雰囲気に暴露された状態で初期比較信号を得て、該初期比較信号が許容範囲内であるかを判定する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
工程b)及びc)が、その間に少なくとも1ミリ秒の時間遅延を有して行われる逐次工程である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の波長範囲の前記光が、第1の狭帯域光源から向けられ、前記第2の波長範囲の前記光が、第2の狭帯域光源から向けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の波長範囲の前記少なくとも1つの検出要素から反射される光の量を表す前記第1の信号、及び前記第2の波長範囲の前記少なくとも1つの検出要素から反射される光の量を表す前記第2の信号が、共に、前記検出要素から反射される光を測定する単一広帯域光検出器から得られる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記濃度値を表す通知信号を提供することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記通知信号が、メモリに記録される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の信号及び第2の信号、並びに比較信号もまた、メモリに記憶される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記通知信号が、受信ステーションに送信される、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
第3の波長範囲の光を少なくとも1つの検出要素に方向付けて、前記少なくとも1つの検出要素から反射される前記第3の波長範囲の光の量を表す第3の信号を得ることと、該第3の信号を、前記第1の信号及び第2の信号の少なくとも一方と比較することと、を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
雰囲気中の検体をモニタリングするための光電子デバイスであって、
内部空間を少なくとも部分的に画定し、かつ開口部を含むハウジングと、
前記ハウジングの前記内部空間の中又は前記開口部の中に位置決めされる、少なくとも1つの使い捨て検出要素と、
前記内部空間の中にある、光を前記検出要素に向けるように配置された少なくとも1つの光源、及び前記検出要素に反射した光の量を測定するように配置された少なくとも1つの光検出器と、を含み、
前記少なくとも1つの光源及び前記少なくとも1つの光検出器が、前記デバイスの前記内部空間内に含まれる共通プリント基板の上にコプレーナ構造に並んで配置される、デバイス。
【請求項16】
前記検出要素が垂直軸を含み、前記光検出器が、前記検出要素の該垂直軸と前記プリント基板との交点に配置され;前記光源が、前記検出要素の該垂直軸と前記プリント基板との前記交点から離れて位置付けられ;前記光源から放射される光が前記検出要素に向けられるように、前記光源が、前記プリント基板に対してある角度をなして位置付けられる、請求項15に記載のデバイス。
【請求項17】
前記デバイスが、光が前記光源から前記光検出器へと直接通過するのを少なくとも部分的に遮断する少なくとも1つの光障壁を、前記少なくとも1つの光源と前記少なくとも1つの光検出器との間に更に含む、請求項15に記載のデバイス。
【請求項18】
前記光障壁が、前記光源を前記プリント基板の上の適切な位置に保持するのを助けるホルダーを含む、請求項17に記載のデバイス。
【請求項19】
前記少なくとも1つの光源及び前記少なくとも1つの検出器が、中心間で測定したときに互いに15mm以内に配置される、請求項15に記載のデバイス。
【請求項20】
前記デバイスが、重複しない波長範囲の光を放射する第1及び第2の狭帯域LED光源と、単一広帯域光検出器とを含む、請求項15に記載のデバイス。
【請求項21】
前記第1及び第2の光源が、それらの間に少なくとも1ミリ秒の時間遅延を有する別々の時間に、毎分約6回と毎分240回との間の頻度で閃光する間欠光源である、請求項20に記載のデバイス。
【請求項22】
前記光検出器で測定される前記光が、前記検出要素から鏡面的に反射される、請求項15に記載のデバイス。
【請求項23】
前記検出要素が、前記デバイスの前記内部空間の中に配置され、前記開口部が、検体が前記内部空間に入り、かつ前記検出要素に到達するのを可能にする、請求項15に記載のデバイス。
【請求項24】
前記デバイスが、3個以上の狭帯域光源を含む、請求項15に記載のデバイス。
【請求項25】
前記モニターする雰囲気が空気雰囲気であり、前記検出要素の上に向けられる前記光、及びそこから反射する前記光が、前記デバイスの前記内部空間内の空気を通って伝達される、請求項15に記載のデバイス。
【請求項26】
雰囲気中の検体をモニタリングするための光電子デバイスであって、
内部空間を少なくとも部分的に画定し、かつ開口部を含むハウジングと、
前記ハウジングの前記開口部の中に固定される少なくとも1つの検出要素と、
前記内部空間の中にある、光を前記検出要素に向けるように配置された少なくとも1つの光源と、前記検出要素に反射した光の量を測定するように配置された少なくとも1つの光検出器と、を含み、
前記検出要素が前記ハウジングの前記開口部の中に固定されると、前記デバイスの前記内部空間が封止された内部空間を構成するように、前記開口部が閉塞される、デバイス。
【請求項27】
前記検出要素が、検体反応層を備え、かつ、該検体反応層と前記光検出器との間に検体浸透性半反射層を更に備える使い捨て検出要素である、請求項26に記載のデバイス。
【請求項28】
前記検出要素が、順番に、検体浸透性反射層と、検体反応層と、半反射層と、光学的に透明な検体不浸透性層と、を備え、前記光学的に透明な検体不浸透性層が前記デバイスの前記内部空間に面している、請求項27に記載のデバイス。
【請求項29】
前記デバイスが、前記検出要素の前記デバイスの前記内部空間とは反対側に、前記検出要素に隣接して配置される、検体浸透性の保護層を備える、請求項26に記載のデバイス。
【請求項30】
前記検出要素が、機械的取り付け手段によって前記開口部の中に固定される、請求項26に記載のデバイス。
【請求項31】
前記デバイスが、前記光源及び光検出器を動作させ、前記光検出器からの信号を処理し、かかる信号処理から得た結果をユーザーに通知するように構成された、少なくとも1つのマイクロコントローラを備える、請求項26に記載のデバイス。
【請求項32】
前記デバイスが、メモリに記憶された反応曲線を更に含み、前記モニターする雰囲気中の前記検体濃度を表す濃度値を得るために、前記マイクロコントローラによって処理された信号が、前記反応曲線に関連付けられることができる、請求項31に記載のデバイス。
【請求項33】
前記光検出器からの信号の一部又は全て、それらから得られる処理信号、及び濃度値、を記憶することができる記憶装置を更に含む、請求項32に記載のデバイス。
【請求項34】
送信機を更に含み、前記信号の一部又は全てが外部受信ステーションに送信されることができる、請求項31に記載のデバイス。
【請求項1】
雰囲気中の検体をモニタリングする方法であって、
a)少なくとも1つの検出要素を、検体を潜在的に含む雰囲気に所定時間暴露することと、
b)第1の波長範囲の光を前記少なくとも1つの検出要素の上に方向付け、前記少なくとも1つの検出要素から反射される前記第1の波長範囲の光の量を表す第1の信号を得ることと、
c)第2の波長範囲の光を前記少なくとも1つの検出要素の上に方向付け、前記少なくとも1つの検出要素から反射される前記第2の波長範囲の光の量を表す第2の信号を得ることと、
d)前記第1の信号と第2の信号とを比較して比較信号を提供することと、
e)前記比較信号を所定の反応曲線に関連付け、それによって、前記モニターする雰囲気内の前記検体の前記濃度に関連する濃度値を得ることと、を含む、方法。
【請求項2】
前記検体を潜在的に含む前記雰囲気への前記検出要素の前記暴露の前記所定時間の少なくとも一部にわたり、工程b)、c)、d)及びe)を繰り返すことを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記比較信号が、前記第1の信号及び第2の信号の一方を、前記第1の信号及び第2の信号の他方で割ることによって得られる比率化された信号である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記検体を潜在的に含む雰囲気のモニタリングの前に、前記検出要素が、既知の濃度の検体を含有する較正用ガスに暴露されない、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記検出要素が、波長に対する光の強度の1つ以上のピーク及び谷を含む反射スペクトルを含み、前記第1の波長範囲が前記スペクトルのピークに又はピーク近くにあり、前記第2の波長範囲が前記スペクトルの谷に又は谷近くにある、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記方法が、前記検出要素が検体を含まない雰囲気に暴露された状態で初期比較信号を得て、該初期比較信号が許容範囲内であるかを判定する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
工程b)及びc)が、その間に少なくとも1ミリ秒の時間遅延を有して行われる逐次工程である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の波長範囲の前記光が、第1の狭帯域光源から向けられ、前記第2の波長範囲の前記光が、第2の狭帯域光源から向けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の波長範囲の前記少なくとも1つの検出要素から反射される光の量を表す前記第1の信号、及び前記第2の波長範囲の前記少なくとも1つの検出要素から反射される光の量を表す前記第2の信号が、共に、前記検出要素から反射される光を測定する単一広帯域光検出器から得られる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記濃度値を表す通知信号を提供することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記通知信号が、メモリに記録される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の信号及び第2の信号、並びに比較信号もまた、メモリに記憶される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記通知信号が、受信ステーションに送信される、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
第3の波長範囲の光を少なくとも1つの検出要素に方向付けて、前記少なくとも1つの検出要素から反射される前記第3の波長範囲の光の量を表す第3の信号を得ることと、該第3の信号を、前記第1の信号及び第2の信号の少なくとも一方と比較することと、を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
雰囲気中の検体をモニタリングするための光電子デバイスであって、
内部空間を少なくとも部分的に画定し、かつ開口部を含むハウジングと、
前記ハウジングの前記内部空間の中又は前記開口部の中に位置決めされる、少なくとも1つの使い捨て検出要素と、
前記内部空間の中にある、光を前記検出要素に向けるように配置された少なくとも1つの光源、及び前記検出要素に反射した光の量を測定するように配置された少なくとも1つの光検出器と、を含み、
前記少なくとも1つの光源及び前記少なくとも1つの光検出器が、前記デバイスの前記内部空間内に含まれる共通プリント基板の上にコプレーナ構造に並んで配置される、デバイス。
【請求項16】
前記検出要素が垂直軸を含み、前記光検出器が、前記検出要素の該垂直軸と前記プリント基板との交点に配置され;前記光源が、前記検出要素の該垂直軸と前記プリント基板との前記交点から離れて位置付けられ;前記光源から放射される光が前記検出要素に向けられるように、前記光源が、前記プリント基板に対してある角度をなして位置付けられる、請求項15に記載のデバイス。
【請求項17】
前記デバイスが、光が前記光源から前記光検出器へと直接通過するのを少なくとも部分的に遮断する少なくとも1つの光障壁を、前記少なくとも1つの光源と前記少なくとも1つの光検出器との間に更に含む、請求項15に記載のデバイス。
【請求項18】
前記光障壁が、前記光源を前記プリント基板の上の適切な位置に保持するのを助けるホルダーを含む、請求項17に記載のデバイス。
【請求項19】
前記少なくとも1つの光源及び前記少なくとも1つの検出器が、中心間で測定したときに互いに15mm以内に配置される、請求項15に記載のデバイス。
【請求項20】
前記デバイスが、重複しない波長範囲の光を放射する第1及び第2の狭帯域LED光源と、単一広帯域光検出器とを含む、請求項15に記載のデバイス。
【請求項21】
前記第1及び第2の光源が、それらの間に少なくとも1ミリ秒の時間遅延を有する別々の時間に、毎分約6回と毎分240回との間の頻度で閃光する間欠光源である、請求項20に記載のデバイス。
【請求項22】
前記光検出器で測定される前記光が、前記検出要素から鏡面的に反射される、請求項15に記載のデバイス。
【請求項23】
前記検出要素が、前記デバイスの前記内部空間の中に配置され、前記開口部が、検体が前記内部空間に入り、かつ前記検出要素に到達するのを可能にする、請求項15に記載のデバイス。
【請求項24】
前記デバイスが、3個以上の狭帯域光源を含む、請求項15に記載のデバイス。
【請求項25】
前記モニターする雰囲気が空気雰囲気であり、前記検出要素の上に向けられる前記光、及びそこから反射する前記光が、前記デバイスの前記内部空間内の空気を通って伝達される、請求項15に記載のデバイス。
【請求項26】
雰囲気中の検体をモニタリングするための光電子デバイスであって、
内部空間を少なくとも部分的に画定し、かつ開口部を含むハウジングと、
前記ハウジングの前記開口部の中に固定される少なくとも1つの検出要素と、
前記内部空間の中にある、光を前記検出要素に向けるように配置された少なくとも1つの光源と、前記検出要素に反射した光の量を測定するように配置された少なくとも1つの光検出器と、を含み、
前記検出要素が前記ハウジングの前記開口部の中に固定されると、前記デバイスの前記内部空間が封止された内部空間を構成するように、前記開口部が閉塞される、デバイス。
【請求項27】
前記検出要素が、検体反応層を備え、かつ、該検体反応層と前記光検出器との間に検体浸透性半反射層を更に備える使い捨て検出要素である、請求項26に記載のデバイス。
【請求項28】
前記検出要素が、順番に、検体浸透性反射層と、検体反応層と、半反射層と、光学的に透明な検体不浸透性層と、を備え、前記光学的に透明な検体不浸透性層が前記デバイスの前記内部空間に面している、請求項27に記載のデバイス。
【請求項29】
前記デバイスが、前記検出要素の前記デバイスの前記内部空間とは反対側に、前記検出要素に隣接して配置される、検体浸透性の保護層を備える、請求項26に記載のデバイス。
【請求項30】
前記検出要素が、機械的取り付け手段によって前記開口部の中に固定される、請求項26に記載のデバイス。
【請求項31】
前記デバイスが、前記光源及び光検出器を動作させ、前記光検出器からの信号を処理し、かかる信号処理から得た結果をユーザーに通知するように構成された、少なくとも1つのマイクロコントローラを備える、請求項26に記載のデバイス。
【請求項32】
前記デバイスが、メモリに記憶された反応曲線を更に含み、前記モニターする雰囲気中の前記検体濃度を表す濃度値を得るために、前記マイクロコントローラによって処理された信号が、前記反応曲線に関連付けられることができる、請求項31に記載のデバイス。
【請求項33】
前記光検出器からの信号の一部又は全て、それらから得られる処理信号、及び濃度値、を記憶することができる記憶装置を更に含む、請求項32に記載のデバイス。
【請求項34】
送信機を更に含み、前記信号の一部又は全てが外部受信ステーションに送信されることができる、請求項31に記載のデバイス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
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【図6】
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【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2012−522249(P2012−522249A)
【公表日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−503483(P2012−503483)
【出願日】平成22年3月20日(2010.3.20)
【国際出願番号】PCT/US2010/028074
【国際公開番号】WO2010/117599
【国際公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月20日(2010.3.20)
【国際出願番号】PCT/US2010/028074
【国際公開番号】WO2010/117599
【国際公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】
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