説明

検体を検出するための可撓性装置及び方法

材料サンプル中の検体を検出するための装置が開示される。装置には、フレーム及び複数のチャンバが含まれる。フレームを操作すると、チャンバを通る少なくとも第一の流路及び第二の流路を形成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、米国特許仮出願番号60/705,090(2005年8月2日出願)の優先権を請求するものであり、この仮出願はこの参照をもって本明細書に記載されているものとする。
【0002】
(発明の分野)
医療及び食品サービス業界などの多くの業界では、ある種の生物学的細菌又は他の有機物が存在するかどうかを決定するために、材料サンプルの試験が必要であることが多い。そのような有機物の存在は、問題の兆候である可能性がある。例えば、その有機物の存在は、感染した人が存在する又は食品内若しくは食品調理表面上に汚染物質が存在することを示している可能性がある。
【背景技術】
【0003】
既存の材料サンプル試験方法では、材料サンプルを集めるのに、棒の末端部に多孔質媒体を包含するスワブのようなサンプル収集用具が、使用されることがある。具体的には、スワブの多孔質媒体が、人の鼻、耳、喉、若しくは傷口、又は食品調理表面などのサンプル源に接触させられてもよく、そうすると、サンプルが、多孔質媒体に付着する可能性がある。その後、サンプル収集用具は、試験室などの異なる場所に移送されてもよく、そこで、関心のある特定の有機物が存在するかどうかを分析する検定を行うために、収集されたサンプルが、サンプル収集用具からスライド又は他の外部試験室装置に移される。関心のある特定の有機物は、「検体」と呼ばれることがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
サンプル収集用具のサンプル源から現場から離れた場所までの移送は、時間的な遅れに加えて、収集されたサンプルを汚染させる又は乾燥させてしまうことがあり、これらが、検体検出の信頼性を低下させる可能性がある。更に、非自蔵型の試験装置又は方法は、実験担当者が試験過程中に検体に曝されることがあるので、問題をはらむ可能性がある。本発明は、これら及び/又は他の問題点に対処しており、従来方法及び装置を超える利点を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様において、生物学的サンプルを処理するための装置が開示される。説明される実施形態では、装置には複数のチャンバが含まれる。チャンバは、ハウジング材により形成されて、フレームに取り付けられる。説明される実施形態では、複数のチャンバには、サンプル導入チャンバ、廃棄物チャンバ、流体チャンバ、及び試験チャンバが含まれる。開示されるように、取り込み媒体が、サンプル導入チャンバと廃棄物チャンバとの間の流路、並びに流体チャンバと試験チャンバとの間の流路に挿入されている。フレームは、生物学的サンプルを処理するために、少なくとも流路の1つに沿う流れを制限すべく曲げ可能である。
【0006】
別の態様において、材料サンプル中の検体を検出するための方法が開示される。その方法は、材料サンプルを装置のサンプル導入チャンバ内に導入して、及び材料サンプルを溶出することと、取り込み媒体を使用して溶出された材料サンプルを取り込むことと、装置のフレームを軸線に沿って折り曲げることと、流体を流体リザーバから放出して、取り込み媒体を通って試験チャンバに至る流路に沿って流体を向かわせることと、を含む。
【0007】
別の態様において、材料サンプル中の検体を検出する方法が開示される。その方法は、材料サンプルを装置のサンプル導入チャンバ内に導入して、材料サンプルを溶出することと、取り込み媒体を使用して溶出された材料サンプルを取り込むことと、装置を約90度回転させることと、流体リザーバに入れられた流体を放出して、取り込み媒体を通って試験チャンバに至る流路に沿って流体を向かわせることと、を含む。
【0008】
上記要約は、本発明の開示された各実施形態又はあらゆる実施を記載するようには意図されていない。次に続く図面及び詳細説明が、例証となる実施形態をより具体的に例示している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明品は、材料サンプル中の黄色ブドウ球菌などの検体を検出する検定を行うための実質的に自蔵型の装置であり、装置には、フレーム及びハウジング材が含まれ、ハウジング材が、複数のチャンバを形成する。フレームが操作されて、1つ以上のチャンバを通る少なくとも第一の流路と、少なくとも1つ以上のチャンバを通る第二の流路とが形成されてもよい。装置の少なくとも1つのチャンバは、材料サンプルを受け入れるように構成されている。代表的な実施形態では、チャンバは、材料サンプルを収容するサンプル獲得用具を受け入れるように構成される。チャンバ(複数)の中に配置されるのは、必要な緩衝剤溶液、試験機器、及び検定を行うのに必要な他の構成要素である。これについては、以下で更に詳細に説明される。
【0010】
代表的な実施形態では、装置には5つのチャンバが含まれる。フレームが、フレームを折り曲げる、及びフレームを約90度回転させることの両方により、操作される。フレームを折り曲げることにより、チャンバを通る流路が変更され、結果として、異なるチャンバが、相互に流体接続される。フレームを約90度回転させる前は、流体が、中央チャンバを通る第一の流路に沿って流れるように重力により助長され、フレームを約90度回転させると、流体は、中央チャンバを通る第二の流路に沿って流れるように助長される。装置操作者は、フレームの操作によって、装置を通る様々な流路を変更できるので、検定のタイミングを制御することができる。
【0011】
検体を検出するための概ね全ての化学反応が一般にチャンバ内に収容されているので、本装置は、実質的に自蔵型である。このことにより、装置操作者が、間違ってこぼす又は他の方法などによって、検体及び/又は試験過程で使用される流体に曝される可能性が低減される。本発明の装置アセンブリは、比較的簡単な装置であって、サンプル源にて又はその近くで、材料サンプルを検体に対して試験することが可能になる。本発明によって、材料サンプルを現場から離れた試験室まで移送するよりむしろ、操作者が、サンプル源から材料サンプルを得て、次に、サンプル源にて又はその近くで、検体の存在についてサンプルを試験することが可能になる。このことは、試験結果に対する待ち時間を減少させる助けになり、並びに材料サンプルが試験の前に汚染される又は乾燥される可能性を低減させる助けになる。更に、材料サンプルを収容するサンプル獲得用具が、本発明の装置に直接導入されてもよい。このことは、有害な検体を含有していることがある材料サンプルに、操作者が曝されるのを低減する可能性がある。更に、装置アセンブリは、使い捨てであってもよく、このことは、無菌ではないとしても清潔な装置アセンブリを各使用に対して提供する助けになる。
【0012】
本発明の装置は、試験室で使用されても、又は他の現場から離れた環境で使用されてもよい。チャンバを通る流路を調節するために、操作者がフレームを手動操作するよりむしろ、機械が予め設定した時間の後で、フレームを機械操作してもよい。
【0013】
本発明は、代表的な実施形態を参照して説明されており、代表的実施形態では、材料サンプル中の検体を検出するために間接検定が用いられる。代表的な実施形態で用いられる検定プロセスの一般的な理解は、本発明の装置の説明を支援する助けになるであろう。しかしながら、検定プロセスの次の説明は、本発明をどのようにも制限することは意図されていない。むしろ、材料サンプル中の検体を検出する本発明の装置及び方法は、多数の種々のタイプの直接又は間接検定に適用されてもよい。
【0014】
代表的な実施形態に従うと、材料サンプルは、サンプル収集用具で収集される。例えば、サンプルは、中空棒の末端部に取りつけられた多孔質媒体(例えば、繊維塊又は剛毛)で収集されてもよい。好適なサンプル獲得用具の例が、米国特許第5,266,266号、名称「試料試験ユニット(SPECIMEN TEST UNIT)」、及び米国特許出願60/705,140、名称「材料サンプルを収集するための装置及び方法(APPARATUS AND METHOD FOR COLLECTING A SAMPLE OF MATERIAL)」(2005年8月2日出願、代理人事件番号61097US002)に記載されている。
【0015】
検定を実施する前に、材料サンプルが準備される。サンプル準備段階では、材料サンプルが、サンプル収集用具から第一の緩衝剤溶液で溶出(又は「放出」)されて、溶出サンプルになる。以降において、「溶出サンプル」は、サンプル収集用具から取り出されたサンプルと第一の緩衝剤溶液との混合物を指す。好適な緩衝剤溶液の例には、水、生理食塩水、pH緩衝剤溶液、又は検体をサンプル獲得用具から溶出するいずれか他の溶液若しくは溶液の混合物が挙げられるが、これらに限定されない。緩衝剤溶液は、好ましくは、検定を妨害しない。次に、検体の少なくとも幾分かが溶出サンプルから分離される。これは取り込み媒体で行われる。好適な取り込み媒体の例には、ビーズ、多孔質膜、発泡体、フリット、網、又はこれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。幾つかの実施形態では、取り込み媒体は、検体に対して特定のリガンドを、例えば抗体をコーティングされてもよい。別の実施形態では、検体を隔離するための他の手段が用いられてもよい。
【0016】
材料サンプルは、典型的には、材料の不均質混合物である。幾種類かの検体は大量でのみ検出されるので分離が必要なことがあり、ある意味で、検体の濃縮が必要なことがある。分離/濃縮は、正確に検出される可能性を増すことがある。本発明においては、試験機器が検体を検出する可能性を増す助けをするために、検体が、材料サンプルの残渣(remaining debris)から分離される。試験機器は、比色分析センサーなどのいずれかの好適な機器であってもよい。
【0017】
検出の関心がある代表的な検体には、黄色ブドウ球菌がある。これは、広範囲の感染を引き起こす病原体であり、それらには、小さな皮膚膿瘍及び傷感染のような表在性損傷;心内膜炎、肺炎、及び敗血症のような全身系で命を脅かす状態;並びに食中毒及び中毒性ショック症候群のような中毒症(toxinoses)が挙げられる。いくつかの菌株(例えば、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌すなわちMRSA)は、わずかに選ばれた抗生物質の他は全てに耐性がある。
【0018】
次に、取り込み媒体により取り込まれた検体の少なくともいくらかは、第二の緩衝剤溶液でそれから放出(又は溶解)される。第二の緩衝剤溶液は、米国特許出願公開2005/0153370A1、名称「細胞の細胞壁構成成分の信号検知を強める方法(Method of Enhancing Signal Detection of Cell-Wall Components of Cells)」に記載されるもののような、溶解剤を含有してもよい。
【0019】
次に、放出された検体及び第二の緩衝剤溶液は、放出された検体と反応するように構成された試薬と接触させられる。直接検定が用いられる場合、試薬は必要でないことがある。検体と試薬が反応した後で、及び十分な「反応時間」の後で、検体及び試薬は第二の緩衝剤溶液と共に、試験機器に接触する。間接検定においては、試験機器は、検体そのものよりもむしろ、検体と反応するように構成された試薬の存在を検出する。具体的には、検体と試薬が反応し、次に残っているいずれかの試薬(すなわち、検体と反応して別個の生成物を形成しなかった試薬)が、試験機器と反応する。その後で、試験機器が、試薬の存在及び/又は量についての可視表示をする。検体と試薬は、試験機器と接触する前に、反応するのに十分な時間を与えられることが好ましい。
【0020】
一実施形態では、試薬が、試験機器の(例えば青色の)表面と反応して、試験機器は、試薬が試験機器と反応した時に、色を変化させる。大量の試薬が試験機器と反応した場合、試験機器は、例えば青色から赤色に色を変化させてもよい。小量の試薬が試験機器と反応した場合、試験機器は、色を変化させずに青色のままであってもよい。試験機器は又、存在する試薬の量(これは通常、材料サンプル中に存在する検体の量を表す)についての表示を提供するように構成されてもよい。例えば、試験機器が色を変化させて、色の強度又は色相が、存在する試薬の量に依存して変化してもよい。代替実施形態では、試験機器は、他の好適な方法で試薬の量を測定する。
【0021】
検体との反応の後で存在する大量の試薬は、典型的には、材料サンプル中に大量の検体が存在しなかったことを示すので、存在する試薬の量が、存在する検体の量を示す。同様に、検体との反応の後で存在する小量の試薬は、材料サンプル中に大量の検体が存在したことを示す。
【0022】
説明の明瞭化のために、本発明の5つのチャンバは、機能名により呼ばれている。しかしながら、その名称は、本発明をどのようにも制限することを意図されていない。本発明に従う装置には、いかなる好適な数のチャンバが含まれてもよい。チャンバの数は、例えば、使用される検定化学反応のタイプによって決まってもよい。当業者は、本発明を異なるタイプの検定に構成させるために、代表的実施形態を修正してもよい。
【0023】
図1Aは、本発明の代表的な実施形態の装置10の斜視図である。装置10には、基台12、フレーム14、サンプル導入チャンバ16、取り込みチャンバ18、廃棄物チャンバ20、流体リザーバ又はチャンバ22、及び試験チャンバ24が含まれる。基台12は、基台12が上に置かれた水平面に対して概ね直立方向にフレーム14を支持するように構成されている。基台12には、スタンド26が含まれ、これも、フレーム14を概ね直立方向に支持するように構成されている(例えば、図4参照)。
【0024】
フレーム14は、厚紙、プラスチック、金属箔、又はこれらの組合せなどの半剛性の材料である。幾つかの実施形態では、フレーム14が流体に耐えるのを助けるために、及び流体への露出のための損傷(例えば、水のダメージ)からフレーム14を保護するのを助けるために、フレーム14に保護コーティングが含まれてもよい。代表的な実施形態では、チャンバ16、18、20、22、及び24は、プラスチックフィルムのような可撓性フィルムの一体成形で形成され、これが、感圧性接着剤などのいずれかの好適な方法の使用で、フレーム14の片側に付着されている。この構造の結果として、装置10は、比較的低い輪郭(例えば、2.5cm未満の厚さ)を有する。フィルムとフレーム14は、好ましくは、漏れ防止(leak proof)アセンブリを形成するように付着される。チャンバ16、18、20、22、及び24は、いかなる好適な方法により形成されてもよく、好適な方法には、可撓性フィルムのシートを真空成形して複数の気泡のようなチャンバを形成すること、又は可撓性フィルムをフレーム14に付着させてそれぞれのチャンバを注入吹込み成形することが挙げられる。
【0025】
サンプル導入チャンバ16は、サンプル獲得アセンブリ(例えば、図1B及び図2に示されるサンプル獲得アセンブリ28)を受け入れるように構成され、後者には、サンプル獲得用具と、サンプル獲得用具からサンプルを溶出するための緩衝剤溶液などの第一の流体とが含まれる。第一の流体は、操作者がサンプルをサンプル獲得用具から溶出することを望むまで、流体リザーバ中に保持されてもよい。サンプルがサンプル獲得用具で収集された後、その用具が、サンプル導入チャンバ16に導入される。
【0026】
取り込みチャンバ18の中に配置されているのは、材料サンプルから検体を取り込むように構成された(図1Bに示される)取り込み媒体19であり、取り込みチャンバは、サンプル導入チャンバ16と流体的に連通している。廃棄物チャンバ20が、取り込みチャンバ18と流体的に連通している。流体リザーバ22が、(図1Bに示される)第二の流体23を保持するように構成されている。流体リザーバ22は又、取り込みチャンバ18と選択的に流体的に連通する。操作者が意図的に第二の流体を放出するまで流体リザーバ又はチャンバ22が第二の流体を保持するのを助けるために、(図1Bに示される)破壊容易なシール(frangible seal)25が、流体リザーバ22と取り込みチャンバ18の間に配置される。
【0027】
試験チャンバ24が、取り込みチャンバ18と流体的に連通するように構成されている。経路36が、取り込みチャンバ18を試験チャンバ24に流体接続する。試験チャンバ24には、検体を検出可能な(図1Bに示される)試験機器38が含まれる。代表的な実施形態では、試験機器38は、サンプル獲得用具で収集された材料サンプル中に検体が存在するかどうかの可視表示をし、幾つかの実施形態では、試験結果が、検体の量を示す。代表的な実施形態では、試験機器は、比色分析センサーであり、例えば、米国特許出願公開2004/0132217A1及び米国特許出願60/636,993(2004年12月17日出願)、共に名称「ジアセチレン材料で構成された比色分析センサー(COLORIMETRIC SENSORS CONSTRUCTED OF DIACETYLENE MATERIALS)」に記載されるように、ポリジアセチレン材料が含まれてもよい。
【0028】
代表的な実施形態では、検定が実施された後の試験機器38の色は、色コードスキームに対応する。試験機器38は、材料サンプル中に検体が存在するかどうかに依存する色変化を提供しても、しなくてもよい。ユーザーが、窓27を通してこの色変化を見てもよい。色変化は又、存在する検体の量を表すように、等級付けされていてもよい。検体の量が、例えば、「低レベル」、「中レベル」、又は「高レベル」表示に相当する、色勾配を示してもよい。幾つかの実施形態では、色コードスキームを例示するラベルが装置10に含まれ、操作者が、(図1Aに示される)窓27内の得られた色をラベルと比較してもよい。別の実施形態では、色変化は、人間の目では検知不能であって、スペクトロメーターのような機械又は電子読取機が、色変化の検知のために使用される。代替実施形態では、他の試験機器が使用されてもよい。例えば、装置10には、分析されている媒質の特性の中のpH変化又は何か他の変化により試験結果表示が特徴付けられる、試験機器が組み込まれてもよい。
【0029】
図1Bは、図1Aの装置10の概略図であり、フレーム14が図から省略されている。サンプル獲得アセンブリ28が、サンプル導入チャンバ16に導入されている。サンプル獲得アセンブリ28は、好適なサンプル獲得用具の一般的な表示であり、本発明をどのようにも限定することは意図されていない。同様に、取り込みチャンバ18中の取り込み媒体19は、取り込み媒体の一般的な表示であり、本発明をどのようにも限定することは意図されていない。流体リザーバ22には、流体23が含まれる。経路29が、流体リザーバ22と取り込みチャンバ18を流体接続する。経路29中に配置されているのは、破壊容易なシール(frangible seal)25と、脱水された試薬を含有する破壊容易な小袋34とである。
【0030】
図2は、サンプル導入段階の間のフレーム14の形状を示す。フレーム14は、図1Aに示される第一の軸線Aに沿って折り曲げられている。サンプル獲得アセンブリ28が、サンプル導入チャンバ16に導入され、サンプルが、サンプル獲得用具から溶出される。フレーム14を軸線Aに沿って折り曲げることにより、第一の流路が、装置10を通って形成される。第一の流路は、サンプル導入チャンバ16、取り込みチャンバ18、及び廃棄物チャンバ20により画定される。フレーム14が軸線Aに沿って折り曲げられる時、流体リザーバ22から取り込みチャンバ18までの経路29は、例えば(図1Bに示される)流れ制限の場所30において、本質的に閉止される。経路29が完全には閉止されないことがあるとしても、サンプル導入チャンバ16から取り込みチャンバ18を通って廃棄物チャンバ20に至る流体流れを助長するために、経路29を通る流体流れが妨害される。
【0031】
サンプルがサンプル獲得アセンブリ28から溶出された後、溶出サンプルは、軸線Aに沿って折り曲げられたフレーム14により創り出された第一の流路に沿って流れる。溶出サンプルは、サンプル導入チャンバ16から取り込みチャンバ18を通って廃棄物チャンバ20まで移動する。溶出サンプルが取り込みチャンバ18を通って流れる時、溶出サンプルは、取り込み媒体19を通って移動する。取り込み媒体19は、好ましくは、流体が取り込み媒体19の上を及びこれを通って通過でき、一方同時に、取り込み媒体19が溶出サンプルから検体を取り込んで分離可能なような方法で、位置決め及び保持されている。
【0032】
溶出サンプルが取り込み媒体19を通って移動した後、もはや検定に必要でない(取り込まれた検体を差し引かれた)残りの溶出サンプルは、第一の流路に沿って廃棄物チャンバ20まで流れる。幾つかの実施形態では、生じると検定を汚染することがある、廃棄流体が他のチャンバ16、18、22、又は24に流入する可能性を低減して、十分な量の廃棄流体を保持するために、吸収性材料が、廃棄物チャンバ20内に配置される。代替実施形態では、廃棄流体を保持するための他の手段が使用される。
【0033】
廃棄流体が廃棄物チャンバ20へ流れた後、サンプル獲得アセンブリ28は、サンプル導入チャンバ16から取り外されてもよい。次に、フレーム14が、チャンバ16、18、20、22、及び24を通る流路を変更するように操作される。代表的な実施形態では、フレーム14は、軸線Aに沿って(図1Aに示される姿勢に)折り目を開かれて、次に、(図1Aに示される)軸線Bに沿って折り曲げられる。フレーム14の得られた形状が、図3に示される。フレーム14を軸線Bに沿って折り曲げることにより、第二の流路が、装置10を通って形成される。第二の流路は、流体リザーバ22、取り込みチャンバ18、及び試験チャンバ24により画定される。フレーム14が軸線Bに沿って折り曲げられる時、(経路31として示される)サンプル導入チャンバ16の一部が、例えば(図1Bに示される)流れ制限の場所32において、本質的に閉止される。経路31が完全には閉止されないことがあるとしても、流体リザーバ22から取り込みチャンバ18を通って試験チャンバ24に至る流体流れを助長するために、経路32を通る流体流れが妨害される。
【0034】
フレーム14が軸線Bに沿って折り曲げられた後、装置10は、フレーム14がスタンド26の上に静止するように、90度回転される。装置10のこの構成が図4に示される。フレーム14が軸線Bに沿って折り曲げられた後、流体リザーバ22に入れられた第二の流体23が、放出されてもよい。代表的な第二の流体23は、第二の緩衝剤溶液である。もう一度、検定に組み入れられるべき緩衝剤溶液のタイプは、装置10が検出のために構成されたその検体を含めて、多数の要因によって決まる。代表的な実施形態では、破壊容易なシール(frangible seal)25が、流体リザーバ22と取り込みチャンバ18の間の経路29の中に配置されている。操作者は、破壊容易なシール(frangible seal)25を破壊するために、操作者の親指又は他の指で流体リザーバ22を押し下げるなどによって、流体リザーバ22に圧力をかけてもよい。破壊容易なシール(frangible seal)25は、第二の流体23を流体リザーバ22から選択的に放出可能にし、及び装置10の貯蔵中に、第二の流体23が流体リザーバ22内に留まることを助ける。第二の流体23は、放出された後、取り込みチャンバ18内に配置された取り込み媒体19を通って移動して、検体の少なくともいくらかを取り込み媒体19から放出する。
【0035】
間接検定が適切に実施されるように、存在するいかなる検体も、試験機器30に接触の前に、検体と反応するように構成された試薬と接触させられる。装置10の貯蔵中に試薬を安定に保持するために、多くの場合、試薬が脱水されているので、流体リザーバ22内に保持された第二の流体23が、試薬を再構成して再活性化するように使用されてもよい。代表的な実施形態では、脱水された試薬は、経路29の中に配置されて、(図1Bに示される)易破壊性小袋34内に保持される。破壊容易な小袋34は、操作者が流体リザーバ22に圧力をかける時に破壊容易な小袋34も破壊されるような方法で、経路29に沿って形成される。これは、米国特許出願公開2003/0214997(2003年11月20日公開)に記載されている、流体リザーバへの付加圧力がどのようにして隣接バリアを破裂させるかについての説明に類似である。
【0036】
試薬と検体がどこで反応するかは、試薬がどこに配置されているかによって決まる。しかしながら、先に説明したように、間接検定において、試験機器と反応するのは試薬であるので、検体は、試験チャンバ24内に配置された試験機器と接触する若干前に、試薬と反応することが好ましい。装置10は、試薬と検体の反応を助けるために、撹拌されてもよい。代替実施形態では、脱水された試薬は、装置10内のいかなる好適な場所に配置されてもよい。例えば、脱水された試薬は、取り込みチャンバ18と試験チャンバ24の間の経路36の中に配置されてもよい。
【0037】
第二の流体23が検体の少なくとも幾分かを取り込み媒体19から放出した後、第二の流体23と放出された検体は、第二の流路に沿って試験チャンバ24の(図1Bに示される)保持空洞37へ流入する。放出された検体は、好ましくは、試験チャンバ24へ入る前に、試薬と混合される。図1Bに示されるように、試験チャンバ24内に配置されているのは、保持空洞37、試験機器38、保持空洞37を試験機器38に接続する(チャネルなどの)流路40、及び吸収性材料42である。代表的な実施形態では、流路40に、保持空洞37から試験機器38への流体流れを制御するためのマイクロフルイディクス素子が含まれる。試験機器38は、流体中の試薬が試験機器38と反応するために、流体がある速度以下で流れ過ぎるのを必要とすることがある。1つ以上のマイクロフルイディクス素子が、試験機器38を過ぎるこの流体流れを調節する助けをしてもよい。試験機器38を通過する流体流れを助長するために、吸収性材料42が、試験チャンバ24内に配置され、試験機器38は、流路40と吸収性材料42の間に置かれる。吸収性材料34は、吸上げ作用を創り出すことによって、流体が試験機器30を流れ過ぎるのを助けてもよい。
【0038】
試験機器38は、(図1B及び図2に示される)サンプル獲得アセンブリ28で収集された材料サンプル中に検体が存在するかどうかについての可視表示を提供し、幾つかの実施形態では、試験結果が、検体の量を示す。
【0039】
残っているいずれかの試薬(すなわち、検体と反応しなかった試薬)が試験機器38と反応可能な十分な時間の後で、ユーザーが、試験結果を(図1Aに示される)窓27中で読み取ってもよい。反応時間は、検体及び/又は試薬のタイプを含めて、多数の要因によって決まる。
【0040】
フレーム14が約90度回転されるまで、試薬/検体/第二の流体により形成される流体が試験機器38に接触する可能性が少ないので、代表的実施形態により、操作者は、検定のタイミングを制御可能になる。
【0041】
好ましい実施形態を参照しながら本発明を説明してきたが、本発明の精神及び範囲から逸脱せずに、形式においても詳細においても変更が行われてもよいことを、当業者は理解するであろう。
【0042】
本明細書中に引用される特許、特許文献、及び刊行物の完全な開示は、それぞれが個々に組み込まれたかのように、その全体が参考として組み込まれる。本発明の範囲及び趣旨を逸脱しない本発明の様々な変更や改変は、当該技術分野において技術者には明らかとなるであろう。本発明の範囲は、以下のように記述される特許請求の範囲によってのみ限定されると考えており、本発明が、本明細書で説明された例示的実施形態及び実施例により過度に限定されるものではないこと、及びこのような実施例及び実施形態は、例示のためにのみ提示されていることを理解されるべきである。
【0043】
本発明は、以下に列挙される添付図を参照して更に説明されており、幾つかの図面中で、類似構造は、類似番号で参照される。
【0044】
上で特定された図面は、本発明の代表的な実施形態を提示するものであって、他の実施形態も本発明内である。すべての場合において、この開示は代表によって本発明を表しており、限定ではない。本発明の原理の範囲及び精神に入る多数の他の変更及び実施形態が、当業者によって考案され得ることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1A】フレームを支持する基台が含まれる、本発明の装置の代表的な実施形態の斜視図であり、装置には、複数のチャンバ16、18、20、22、及び24が含まれる。
【図1B】図1の装置の作動を示す模式図。
【図2】フレームが(図1Aに示される)軸線Aに沿って折り曲げられた、図1の装置の斜視図。
【図3】フレームが(図1Aに示される)軸線Bに沿って折り曲げられた、図1の装置の斜視図。
【図4】装置が約90度回転された、図3の装置の斜視図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料サンプルを処理するための装置であって、
フレーム、及び
前記フレームに取り付けられた複数のチャンバを形成するハウジング材を有し、
前記複数のチャンバが、
前記材料サンプルを受け入れるように構成されたサンプル導入チャンバと、
前記サンプル導入チャンバに流体的に連通する廃棄物チャンバと、
流体を保持するように構成された流体チャンバと、
前記材料サンプルを試験可能な試験機器を含む試験チャンバと、
前記サンプル導入チャンバと前記廃棄物チャンバとの間の流路及び前記流体チャンバと前記試験チャンバとの間の流路に挿入された取り込み媒体とを含み、
前記フレームが、少なくとも、前記流体チャンバへの流れを制限すべく第一の軸線に沿って曲げ可能であるか、前記サンプル導入チャンバへの流れを制限すべく第二の軸線に沿って曲げ可能である、装置。
【請求項2】
前記ハウジング材が、前記フレームと協働して前記複数のチャンバを形成する、請求項1の装置。
【請求項3】
前記ハウジング材が可撓性フィルムを含む、請求項1又は2の装置。
【請求項4】
前記フレームが、前記第一及び第二の軸線の両方に沿って曲がる、請求項1〜3のいずれかの装置。
【請求項5】
前記フレームが半剛性の材料で形成される、請求項1〜4のいずれかの装置。
【請求項6】
前記試験機器が、試験結果を可視表示するための比色分析センサーを含む、請求項1〜5のいずれかの装置。
【請求項7】
前記比色分析センサーがポリジアセチレン材料を含む、請求項6の装置。
【請求項8】
前記廃棄物チャンバが吸収性材料を含む、請求項1〜7のいずれかの装置。
【請求項9】
検体と反応するように構成された試薬を更に含み、前記試薬が前記流体チャンバ内に配置され、前記試薬が、前記流体チャンバ内に保持された流体から、破壊容易なシールによって分離されている、請求項1〜8のいずれかの装置。
【請求項10】
検体と反応するように構成された試薬を更に含み、前記試薬が、前記取り込み媒体を内部に有する取り込みチャンバに配置されている、請求項1〜9のいずれかの装置。
【請求項11】
材料サンプル中の検体を検出する方法であって、
前記材料サンプルを装置のサンプル導入チャンバ内に導入して、前記材料サンプルを溶出することと、
取り込み媒体を使用して前記溶出された材料サンプルを取り込むことと、
前記装置のフレームを軸線に沿って折り曲げることと、
流体を流体リザーバから放出して、前記取り込み媒体を通って試験チャンバに至る流路に沿って前記流体を向かわせることと、を含む方法。
【請求項12】
材料サンプル中の検体を検出する方法であって、
材料サンプルを装置のサンプル導入チャンバ内に導入して、前記材料サンプルを溶出することと、
取り込み媒体を使用して前記溶出された材料サンプルを取り込むことと、
前記装置を約90度回転させることと、
流体リザーバに入れられた流体を放出して、前記取り込み媒体を通って試験チャンバに至る流路に沿って前記流体を向かわせることと、を含む方法。
【請求項13】
前記流体リザーバから前記流体を放出することの前に、前記フレームを約90度回転させることを含む、請求項11の方法。
【請求項14】
前記溶出された材料サンプルを取り込むことの前に、前記フレームを別の軸線に沿って折り曲げることを更に含む、請求項11の方法。
【請求項15】
前記フレームが、予め定められた折り曲げ線に沿って折り曲げられる、請求項11、13、又は14の方法。
【請求項16】
前記材料サンプルを前記検体に反応するように構成された試薬と組み合わせることを更に含む、請求項11、12、13、14、又は15の方法。
【請求項17】
破壊容易なシールを破壊して、前記流体又は試薬を前記流体リザーバから放出することを更に含む、請求項11、12、13、14、15、又は16の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−503554(P2009−503554A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−525200(P2008−525200)
【出願日】平成18年8月2日(2006.8.2)
【国際出願番号】PCT/US2006/030340
【国際公開番号】WO2007/016693
【国際公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】