検体処理システム
【課題】 複数の分析装置を有する検体処理装置において、初検測定対象の検体及び再検測定対象の検体を適切に分配し、複数の分析装置を効率よく使用する。
【解決手段】
検体処理システム1は、複数の測定ユニット51,51,51を備えている。そのうち1つは初検測定用及び再検測定用であり、残りの2つは初検測定専用である。検体処理システム1に設けられたシステム制御装置8は、各測定ユニット51,51,51に割り当てられた用途に基づき検体を搬送するように、検体の搬送先を決定する。検体搬送装置3,3,3は、決定された搬送先へ検体を搬送する。
【解決手段】
検体処理システム1は、複数の測定ユニット51,51,51を備えている。そのうち1つは初検測定用及び再検測定用であり、残りの2つは初検測定専用である。検体処理システム1に設けられたシステム制御装置8は、各測定ユニット51,51,51に割り当てられた用途に基づき検体を搬送するように、検体の搬送先を決定する。検体搬送装置3,3,3は、決定された搬送先へ検体を搬送する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体を測定する複数の測定部(分析装置)及びそれらの測定部に検体を搬送する搬送装置を含む、検体処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
検体を収容した検体容器を自動的に分析装置に供給し、分析装置で連続的に検体を測定することが行なわれている。また、分析装置に供給するための検体容器を一時収容し、送り出す検体送出装置、複数の分析装置、及び測定後の検体が収容された検体を受け取り収容する検体受取装置を配置し、検体容器を搬送する搬送装置で各装置を接続するよう構成することにより、検体容器を前記搬送装置によって検体送出装置からいずれかの分析装置に供給して測定を行ない、測定後の検体容器を検体受取装置に収容するシステムが知られている。このようなシステムは、血液や尿といった検体の測定に用いられており、ある検体に対する最初の測定(初検)の結果が正常な範囲を逸脱していると判断された場合には、同じ検体に対して再検査(再検)を行なう。再検を行なう場合、初検が終了した検体を収容した検体容器が、システム内の分析装置に自動的に再供給される(例えば特許文献1や特許文献2を参照)。
【特許文献1】特開昭63−217273号公報
【特許文献2】特開2008−39554号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のようなシステムにおいては、初検測定に用いる分析装置とは別に、再検専用の分析装置を備えるよう構成する場合がある。このようにすれば、再検測定のオーダが生じた場合に、再検専用の分析装置を用いて速やかに再検測定を実施できる。しかしながら、再検が生じる率が低い傾向にある検査施設では、複数の分析装置のうち再検専用の分析装置が測定を実施する回数は、他の分析装置が初検測定を行なう回数に比べて著しく少なく、実際に稼動している時間が短くなる。すなわち、測定の多くを占める初検測定が初検専用の分析装置に集中する一方、再検専用の分析装置の検体測定能力が十分に活用されない。
【0004】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、複数の分析装置が検体搬送装置で接続されたシステムにおいて、初検測定用の分析装置、及び、初検測定用及び再検測定用の分析装置を備え、これら複数の分析装置に検体を効率よく分配し検体測定を処理するシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明の一の態様の検体処理システムは、検体容器を搬送する搬送装置と、前記搬送装置に沿って配置され、前記搬送装置から受け取った検体容器中の検体を測定するための、第一の分析装置と、前記搬送装置に沿って配置され、前記搬送装置から受け取った検体容器中の検体を測定するための、第二の分析装置と、前記搬送装置による検体容器の搬送先となる分析装置を決定し、当該決定した搬送先である分析装置に検体容器を搬送するよう前記搬送装置を制御する搬送制御装置と、を備える。この検体処理システムにおいて、前記第一の分析装置は初検測定を実施可能に構成されており、前記第二の分析装置は初検測定及び再検測定を実施可能に構成されており、前記搬送制御装置は、搬送する検体容器中の検体が初検測定の対象である場合、当該検体容器を前記第一及び第二の分析装置のいずれかに搬送するよう前記搬送装置を制御し、搬送する検体容器中の検体が再検測定の対象である場合、当該容器を前記第二の分析装置に搬送するよう前記搬送装置を制御する。
【0006】
上記態様において前記搬送制御装置は、前記第一の分析装置が初検測定用であり、前記第二の分析装置が初検測定用及び再検測定用であることを登録する登録部を備えることが好ましい。
【0007】
また本発明の別の態様の検体処理システムは、検体容器を搬送する搬送装置と、前記搬送装置に沿って配置され、前記搬送装置から受け取った検体容器中の検体を測定するための、第一の分析装置と、前記搬送装置に沿って配置され、前記搬送装置から受け取った検体容器中の検体を測定するための、第二の分析装置と、前記搬送装置による検体容器の搬送先となる分析装置を決定し、当該決定した搬送先である分析装置に検体容器を搬送するよう前記搬送装置を制御する搬送制御装置と、を備える。この検体処理システムにおいて、前記第一の分析装置は初検測定を実施可能に構成されており、前記第二の分析装置は初検測定及び再検測定を実施可能に構成されており、前記搬送制御装置は、前記第一の分析装置が初検測定用であり、前記第二の分析装置が初検測定用及び再検測定用であることを登録する登録部を備え、前記搬送制御装置は、前記登録部に登録された登録内容に基づき、前記搬送装置による検体容器の搬送先となる分析装置を決定する。
【0008】
上記態様において前記搬送制御部は、搬送する検体が再検測定の対象である場合、当該検体の搬送先となる分析装置を前記第二の分析装置に決定するよう構成されていることが好ましい。また前記搬送制御部は、搬送する検体が初検測定の対象である場合、当該検体の搬送先となる分析装置を前記第一又は第二の分析装置のいずれかに決定するよう構成されていることが好ましい。
【0009】
また上記各態様において、前記検体が初検測定の対象であり、前記検体を収容する検体容器が前記第一及び第二の分析装置のうち前記第一の分析装置に搬送された場合に、前記第一の分析装置が前記検体に対する初検測定を実施するよう構成されていることが好ましい。また前記初検測定の後に、前記検体に対する再検測定を行なう場合、前記搬送制御装置は、前記検体容器を前記第一の分析装置から前記第二の分析装置へ搬送するよう前記搬送装置を制御するよう構成されていることが好ましい。
【0010】
また上記各態様において、前記検体が初検測定の対象であり、前記検体を収容する検体容器が前記第一及び第二の分析装置のうち前記第二の分析装置に搬送された場合に、前記第二の分析装置が前記検体に対する初検測定を実施するよう構成されていることが好ましい。また前記初検測定の後に、前記検体に対する再検測定を行なう場合、前記搬送制御装置は、前記検体容器を前記第二の分析装置が検体を取得するための位置へ搬送するよう前記搬送装置を制御するよう構成されていることが好ましい。また前記搬送制御装置は、前記初検測定の後に、初検測定後の検体を収容する検体容器を前記第二の分析装置の近傍に待機させるよう前記検体搬送装置を制御するよう構成されていることが好ましい。
【0011】
また上記各態様において前記第二の分析装置は、前記第一の分析装置に対し、前記搬送装置による検体容器の搬送方向において下流側に位置するよう構成することが好ましい。また上記各態様において前記搬送装置は、当該搬送装置上の所定の位置に検体容器が存在するか否かを検出する検出器を備え、前記搬送制御装置は、前記検出器の検出結果に基づき、検体の搬送先となる分析装置を決定するよう構成することが好ましい。また前記所定の位置は、前記第一の分析装置近傍の第一位置、及び/又は、前記第一位置に検体容器を供給する前に検体容器を一時的に保持するための第二位置であることが好ましい。また前記所定の位置は、前記第二の分析装置近傍の第一位置、及び/又は、前記第一位置に検体容器を供給する前に検体容器を一時的に保持するための第二位置であることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る検体処理システムによれば、初検測定対象の検体、及び再検測定対象の検体を、複数の分析装置に適切に搬送し、検体を効率的に処理することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、本実施の形態において「初検」とは、患者から採取した検体を用いて特定の測定項目について測定を行なうことである。「再検」とは、前記初検で用いた検体の残りを用いて初検と共通する測定項目又は初検の測定項目と関連のある測定項目について測定を行なうことである。初検の測定結果が正常な範囲に入っていない場合や、同じ患者における過去の測定結果の傾向から大きく異なる結果が出た場合に、再検を行う場合がある。
【0014】
[検体処理システムの構成]
図1は、本実施の形態に係る検体処理システムの全体構成を示す概略平面図である。図1に示すように、検体処理システム1は、検体投入装置2と、検体搬送装置3,301と、検体収容装置4と、血球分析装置5と、塗抹標本作製装置6と、システム制御装置8とを備えている。また、本実施の形態に係る検体処理システム1は、通信ネットワークを介してホストコンピュータ9と通信可能に接続されている。
【0015】
<検体投入装置2の構成>
検体投入装置2は、2つの検体送出ユニット21a,21bと、当該2つの検体送出ユニット21a,21bの間に配置されたバーコード読取ユニット22とを備えている。当該検体投入装置2の検体送出ユニット21a,21bは、複数の検体容器を収納したサンプルラックを載置することができるように構成されている。検体送出ユニット21aに載置されたサンプルラックは、順番にバーコード読取ユニット22へ送出され、このバーコード読取ユニット22によりサンプルラックに貼布されたバーコードラベルのバーコードからラックIDが読み取られ、検体容器に貼付されたバーコードラベルのバーコードから検体IDが読み取られる。また、検体投入装置2の制御部は、LANを介してシステム制御装置8に通信可能に接続されており、上述のように読み取られたラックID及び検体IDがシステム制御装置8に送信される。また、バーコードの読み取りが終了したサンプルラックは、検体送出ユニット21bに搬送され、検体送出ユニット21bから検体搬送装置3へ送出されるように構成されている。
【0016】
図2は、検体容器の外観を示す斜視図であり、図3は、サンプルラックの外観を示す斜視図である。図2に示すように、検体容器Tは、管状をなしており、上端が開口している。内部には患者から採取された血液検体が収容され、上端の開口は蓋部Cにより密封されている。検体容器Tは、透光性を有するガラス又は合成樹脂により構成されており、内部の血液検体が視認可能となっている。また、検体容器Tの側面には、バーコードラベルBL1が貼付されている。このバーコードラベルBL1には、検体IDを示すバーコードが印刷されている。サンプルラックLは、10本の検体容器Tを並べて保持することが可能である。サンプルラックLでは、各検体容器Tが垂直状態(立位状態)で保持される。また、サンプルラックLの側面には、バーコードラベルBL2が貼付されている。このバーコードラベルBL2には、ラックIDを示すバーコードが印刷されている。
【0017】
<検体搬送装置3の構成>
次に、検体搬送装置3の構成について説明する。図1に示すように、検体処理システム1は、3つの検体搬送装置3を備えている。血球分析装置5の3つの測定ユニット51,51,51の前方には、各別に検体搬送装置3,3,3が配置されている。隣り合う検体搬送装置3,3は接続されており、サンプルラックLを受渡しすることが可能である。また、最も右側の検体搬送装置3は、上述した検体投入装置2に接続されており、検体投入装置2から搬出されたサンプルラックLを導入することが可能となっている。最も左側の検体搬送装置3は、検体搬送装置301に接続されており、検体搬送装置301へサンプルラックLを搬出することが可能となっている。
【0018】
図4は、検体搬送装置3の構成を示す平面図である。図4に示すように、検体搬送装置3は、検体を搬送する搬送機構31と、搬送機構31を制御する制御部32とを備えている。搬送機構31は、分析が行われる前の検体を収容する検体容器Tを保持する複数のサンプルラックLを一時的に保持することが可能な分析前ラック保持部33と、測定ユニット51によって検体が吸引された検体容器Tを保持する複数のサンプルラックLを一時的に保持することが可能な分析後ラック保持部34と、検体を測定ユニット51に供給するために、サンプルラックLを図中矢印X方向へ水平に直線移動させ、分析前ラック保持部33から受け付けたサンプルラックLを分析後ラック保持部34へ搬送するラック搬送部35と、搬送上流側の装置(検体投入装置2又は検体搬送装置3)からサンプルラックLを搬入し、このサンプルラックLに収容された検体を測定ユニット51に供給せずに、搬送下流側の装置(検体搬送装置3又は検体搬送装置301)へとサンプルラックLを搬出するラック搬送部321とを備えている。
【0019】
分析前ラック保持部33は、平面視において四角形をなしており、その幅はサンプルラックLの幅より若干大きくなっている。この分析前ラック保持部33は、周囲の面よりも一段低く形成されており、その上面に分析前のサンプルラックLが載置される。分析前ラック保持部33は、ラック搬送部321に連なっており、後述するラック送出部322によって、ラック搬送部321からサンプルラックLが送り込まれるようになっている。この分析前ラック保持部33の近傍には、ラックセンサ37が取り付けられており、ラックセンサ37によってサンプルラックLが検出されるラック検出位置33aが、分析前ラック保持部33上に設けられている。ラックセンサ37は、光学式センサであり、発光部37aと受光部37bとを備えている。発光部37aは、ラック検出位置33aの側方に設けられており、受光部37bは、ラック検出位置33aの前方に設けられている。発光部37aは、斜め前方へ向けて光を発するように配置されており、受光部37bはこの光を受けるように配置されている。したがって、ラック搬送部321から送り込まれたサンプルラックLは、ラック検出位置33aに位置し、これによって発光部37aから発せられた光がサンプルラックLによって遮られ、受光部37bの受光レベルが下がることにより、当該サンプルラックLがラックセンサ37により検出される。すなわち、ラック検出位置33aは、測定ユニットが検体容器から検体を採取するための位置に搬送される前に、検体容器を一時的に待機させるための位置である。またラックセンサ37は、この位置に検体容器(検体ラック)が存在するか否かを検出する。また、分析前ラック保持部33の両側面からは、内側へ向けてラック送込部33bが突出可能に設けられている。ラックセンサ37によりサンプルラックLが検出されたときに、このラック送込部33bが突出することによりサンプルラックLと係合し、この状態で後方(ラック搬送部35に近接する方向)へ移動することにより、サンプルラックLが後方へと移送される。かかるラック送込部33bは、分析前ラック保持部33の下方に設けられたステッピングモータ33cによって駆動可能に構成されている。
【0020】
ラック搬送部35は、図4に示すように、分析前ラック保持部33によって移送されたサンプルラックLを、前記X方向へと移送可能となっている。このラック搬送部35によるサンプルラックLの搬送経路上には、検体容器センサ38によって検体容器が検出される検体容器検出位置35a、及び血球分析装置5の測定ユニット51へ検体を供給するための検体供給位置35cが存在する。ラック搬送部35は、検体容器検出位置35aを経由して、検体供給位置35cに検体が搬送されるようにサンプルラックLを搬送可能に構成されている。検体供給位置35cは、検体容器検出位置35aから検体1つ分だけ搬送方向下流側の位置であり、ラック搬送部35により検体供給位置35cに検体が搬送された場合には、後述する血球分析装置5の測定ユニット51のハンド部が当該検体の検体容器Tを把持し、サンプルラックLから検体容器Tを取り出し、検体容器Tから検体の吸引を行うことによって、検体が測定ユニット51に供給される。ラック搬送部35は、かかる検体供給位置35cに検体容器を搬送した後、検体の供給が完了し、当該検体容器TがサンプルラックLへ戻されるまでの間、サンプルラックLの搬送を待機する。
【0021】
また、ラック搬送部35は、それぞれ独立して動作可能な第1ベルト351及び第2ベルト352の2つのベルトを有している。また、第1ベルト351及び第2ベルト352の矢印Y方向の幅b1及びb2は、それぞれサンプルラックLの矢印Y方向の幅Bの半分以下の大きさである。かかる第1ベルト351及び第2ベルト352は、ラック搬送部35がサンプルラックLを搬送するときにサンプルラックLの幅Bからはみ出ないように並列に配置されている。図5は、第1ベルト351の構成を示す正面図であり、図6は、第2ベルト352の構成を示す正面図である。図5及び図6に示すように、第1ベルト351及び第2ベルト352は、それぞれ環状に形成されており、第1ベルト351はローラ351a〜351cを取り囲むように配置され、第2ベルト352はローラ352a〜352cを取り囲むように配置されている。また、第1ベルト351の外周部には、サンプルラックLのX方向の幅Wよりも若干(例えば、1mm)大きい内幅w1を有するように2つの突起片351dが設けられており、同様に、第2ベルト352の外周部には、前記内幅w1と同程度の内幅w2を有するように2つの突起片352dが設けられている。第1ベルト351は、2つの突起片351dの内側にサンプルラックLを保持した状態において、ステッピングモータ351e(図4参照)によりローラ351a〜351cの外周を移動されることによって、サンプルラックLを矢印X方向に移動するように構成されている。第2ベルト352は、2つの突起片352dの内側にサンプルラックLを保持した状態において、ステッピングモータ352e(図4参照)によりローラ352a〜352cの外周を移動されることによって、サンプルラックLを矢印X方向に移動するように構成されている。また、第1ベルト351及び第2ベルト352は、互いに独立してサンプルラックLを移送可能に構成されている。すなわち、サンプルラックLを左右両方向に移送することが可能である。また、突起片351d及び突起片352dはそれぞれ、図示しない光学式センサを備えており、各突起片がそれらの内側にサンプルラックLを保持している状態であるか否かを検出するよう構成されている。すなわち、前記光学式センサは、測定ユニット51が検体容器から検体を採取するための位置に、検体容器が存在しているか否かを検出する。
【0022】
検体容器センサ38は、接触型のセンサであり、のれん形状の接触片、光を出射する発光素子、及び受光素子(図示せず)をそれぞれ有している。検体容器センサは、接触片が検出対象の被検出物に当接することにより屈曲され、その結果、発光素子から出射された光が接触片により反射されて受光素子に入射するように構成されている。これにより検体容器センサ38の下方をサンプルラックLに収容された検出対象の検体容器Tが通過する際に、接触片が検体容器Tにより屈曲されて、検体容器Tを検出することが可能である。
【0023】
ラック搬送部35を挟んで後述する分析後ラック保持部34に対向するようにラック送出部39が配置されている。かかるラック送出部39は、ステッピングモータ39aの駆動力により矢印Y方向に水平に直線移動するように構成されている。これにより、分析後ラック保持部34とラック送出部39との間の位置391(以下、「分析後ラック送出位置」という。)にサンプルラックLが搬送された場合に、ラック送出部39を分析後ラック保持部34側に移動することによって、サンプルラックLを押動させて分析後ラック保持部34内に移動することが可能である。このようにして、分析が完了したサンプルラックLが、ラック搬送部35から分析後ラック保持部34へ送出される。
【0024】
ラック搬送部321は、図中矢印X方向へ延びており、サンプルラックLを矢印X方向へ水平に直線移動させることが可能である。かかるラック搬送部321は、環状のベルト321a及びステッピングモータ321bを有しており、ステッピングモータ321bの駆動力によってベルト321aを矢印X方向へ回転させるように構成されている。これにより、ベルト321aの上に載置されたサンプルラックLをX方向へ移動可能である。また、分析前ラック保持部33の前側には、ラック搬送部321を挟んで分析前ラック保持部321に対向するようにラック送出部322が配置されている。かかるラック送出部322は、ステッピングモータ322aの駆動力により矢印Y方向に水平に直線移動するように構成されている。これにより、分析前ラック保持部33とラック送出部322との間の位置323(以下、「分析前ラック送出位置」という。)にサンプルラックLが搬送された場合に、ラック送出部322を分析前ラック保持部33側に移動することによって、サンプルラックLを押動させて分析前ラック保持部33内のラック検出位置33aに移動することが可能である。
【0025】
分析後ラック保持部34は、平面視において四角形をなしており、その幅はサンプルラックLの幅より若干大きくなっている。この分析後ラック保持部34は、周囲の面よりも一段低く形成されており、その上面に分析が完了したサンプルラックLが載置される。分析後ラック保持部34は、上記のラック搬送部35に連なっており、上述したように、ラック送出部39によって、ラック搬送部35からサンプルラックLが送り込まれるようになっている。分析後ラック保持部34の両側面からは、内側へ向けてラック送込部34bが突出可能に設けられている。ラック送出部39によりサンプルラックLが搬入されたときに、このラック送込部34bが突出することによりサンプルラックLと係合し、この状態で前方(ラック搬送部321に近接する方向)へ移動することにより、サンプルラックLが前方へと移送される。かかるラック送込部34bは、分析後ラック保持部34の下方に設けられたステッピングモータ34cによって駆動可能に構成されている。
【0026】
かかる構成とすることにより、搬送機構31には、検体供給位置35cを経由するサンプルラックLの搬送ラインである測定ラインL1と、検体供給位置35cを経由せずに、搬入したサンプルラックLをそのまま下流側の装置へ搬出する搬送ラインであるスキップラインL2とが形成されている。
【0027】
上記のような構成の搬送機構31は、制御部32によって制御される。制御部32は、CPU、ROM、及びRAM等(図示せず)から構成されており、ROMに格納された搬送機構31の制御プログラムをCPUで実行することが可能である。また、かかる制御部32は、Ethernet(登録商標)インタフェースを備えており、LANを介して情報処理ユニット52及びシステム制御装置8にそれぞれ通信可能に接続されている。
【0028】
上記のような構成とすることにより、検体搬送装置3は、検体投入装置2から搬送されたサンプルラックLを、ラック搬送部321により分析前ラック送出位置323へ搬送し、ラック送出部322により分析前ラック保持部33へ移送し、このサンプルラックLを分析前ラック保持部33からラック搬送部35へと送出し、さらにラック搬送部35によって搬送することにより、検体を血球分析装置5の測定ユニット51へと供給することができる。また、吸引が完了した検体を収容するサンプルラックLは、ラック搬送部35により、分析後ラック送出位置391へと移送され、ラック送出部39により分析後ラック保持部34へ送出される。分析後ラック保持部34に保持されたサンプルラックLは、ラック搬送部321へと移送され、ラック搬送部321により、後段の装置(検体搬送装置3又は301)へ搬出される。また、搬送下流側の測定ユニット51又は塗抹標本作成装置6にて処理する検体若しくは分析が完了した検体を収容するサンプルラックLを前段の装置から検体搬送装置3が受け入れた場合は、ラック搬送部321によってこのサンプルラックLが矢印X方向へと搬送され、後段の検体搬送装置3へそのまま搬出される。
【0029】
<検体搬送装置301の構成>
図1に示すように、塗抹標本作製装置6の前側には、検体搬送装置301が配置されている。この検体搬送装置301は、その右側端が、3つの検体搬送装置3,3,3の内、最も搬送下流側(図中左側)に位置する検体搬送装置3と接続されており、その左側端が、検体収容装置4に接続されている。
【0030】
試料搬送装置301は、コンベア302とラックスライダ303とを備えている。コンベア302には、それぞれ左右方向へ延びた2つのラック搬送路302a,302bが設けられている。塗抹標本作製装置6に近接するラック搬送路302aは、塗抹標本作製装置6に供給すべき検体を収容するサンプルラックLを搬送するための測定ラインである。一方、塗抹標本作製装置6から離れたラック搬送路302bは、塗抹標本作製装置6に供給すべき検体を収容していないサンプルラックLを搬送するためのスキップラインである。また、コンベア302は、CPU及びメモリを備えており、各動作機構を制御する制御部(図示せず)を備えている。
【0031】
ラックスライダ303は、コンベア302の右側に配置されており、コンベア302の測定ライン302a及びスキップライン302bへサンプルラックLの振り分け投入を行う。
【0032】
<検体収容装置4の構成>
検体収容装置4は、複数のサンプルラックLを載置することができるように構成されている。かかる検体収容装置4は、分析又は塗抹標本作製を終了したサンプルラックLを検体搬送装置301から受け取り、収容する。
【0033】
<血球分析装置5の構成>
血球分析装置5は、光学式フローサイトメトリー方式の多項目血球分析装置であり、血液検体に含まれる血球に関して側方散乱光強度、蛍光強度等を取得し、これらに基づいて検体中に含まれる血球を分類し、且つ、種類毎に血球数を計数し、このように分類された血球が種類毎に色分けされたスキャッタグラムを作成し、これを表示する。かかる血球分析装置5は、血液検体を測定する測定ユニット51と、測定ユニット51から出力された測定データを処理し、血液検体の分析結果を表示する情報処理ユニット52とを備えている。
【0034】
血球分析装置5は、図1に示すように、3つの測定ユニット51,51,51と、1つの情報処理ユニット52とを備えている。情報処理ユニット52は、3つの測定ユニット51,51,51と通信可能に接続されており、これらの3つの測定ユニット51,51,51の動作をそれぞれ制御可能である。また、情報処理ユニット52は、3つの測定ユニット51,51,51の前側にそれぞれ配置された3つの検体搬送装置3,3,3とも通信可能に接続されている。
【0035】
3つの測定ユニット51,51,51は、同一の構成であり、それぞれが分析装置として血液検体の測定を行なう。すなわち、血球分析装置5は、3つの分析装置及び情報処理ユニットを含むシステムである。図7は、測定ユニット51の構成を示すブロック図である。図7に示すように、測定ユニット51は、検体である血液を検体容器(採血管)Tから吸引する検体吸引部511と、検体吸引部511により吸引した血液から測定に用いられる測定試料を調製する試料調製部512と、試料調製部512により調製された測定試料から血球を検出する検出部513とを有している。また、測定ユニット51は、検体搬送装置3のラック搬送部35によって搬送されたサンプルラックLに収容された検体容器Tを測定ユニット51の内部に取り込むための取込口(図示せず)と、サンプルラックLから検体容器Tを測定ユニット51の内部に取り込み、検体吸引部511による吸引位置まで検体容器Tを搬送する検体容器搬送部515とをさらに有している。
【0036】
検体吸引部511の先端部には、吸引管(図示せず)が設けられている。また、検体吸引部511は、鉛直方向に移動可能であり、下方に移動されることにより、吸引位置まで搬送された検体容器Tの蓋部CPを前記吸引管が貫通し、内部の血液を吸引するように構成されている。
【0037】
試料調製部512は、染色試薬を収容する試薬容器512a、溶血剤を収容する試薬容器512b、及び希釈液を収容する試薬容器512cにチューブを介して接続されている。また、試料調製部512には、図示しないコンプレッサに接続されており、当該コンプレッサに発生される圧力により試薬容器512a,512b,512cからそれぞれの試薬を分取することが可能となっている。これらの試薬容器512a,512b,512cには、それぞれバーコードラベルが貼布されており、これらのバーコードラベルに試薬種類(試薬名)、ロット番号、製造日、有効期限の情報がバーコードとして記録されている。
【0038】
測定ユニット51には、試薬バーコード読取部517が設けられている。かかる試薬バーコードリーダ517はハンディバーコードリーダであり、試薬バーコードの読み取りの際には、オペレータがバーコード読取部517を持って試薬容器512a,512b,512cのバーコードを読み取らせる。このようにして読み取った試薬種類、ロット番号、製造日、有効期限の情報は、情報処理ユニット52へ送信される。
【0039】
検出部513は、RBC(赤血球)検出及びPLT(血小板)検出をシースフローDC検出法により行うことが可能である。このシースフローDC検出法によるRBC及びPLTの検出においては、検体と試薬容器512cに収容された希釈液とが混合された測定試料の測定が行われ、これにより得られた測定データを情報処理ユニット52が解析処理することによりRBC及びPLTの測定が行われる。また、検出部513は、HGB(ヘモグロビン)検出をSLS−ヘモグロビン法により行うことが可能であり、WBC(白血球)、NEUT(好中球)、LYMPH(リンパ球)、EO(好酸球)、BASO(好塩基球)、MONO(単球)、及びRET(網状赤血球)の検出を、半導体レーザを使用したフローサイトメトリー法により行うことが可能であるように構成されている。この検出部513では、白血球の5分類を伴わないWBCの検出、すなわち、NEUT、LYMPH、EO、BASO、MONOの検出を伴わないWBCの検出と、白血球の5分類を伴うWBCの検出とでは、検出方法が異なっている。白血球5分類を伴わないWBCの検出では、検体と、試薬容器512bに収容された溶血剤と、試薬容器512cに収容された希釈液とが混合された測定試料の測定が行われ、これにより得られた測定データを情報処理ユニット52が解析処理することによりWBCの測定が行われる。一方、白血球5分類を伴うWBCの検出では、試薬容器512aに収容された染色試薬と、試薬容器512bに収容された溶血剤と、試薬容器512cに収容された希釈液とが混合された測定試料の測定が行われ、これにより得られた測定データを情報処理ユニット52が解析処理することによりNEUT、LYMPH、EO、BASO、MONO、及びWBCの測定が行われる。RETの測定は、試薬容器512aにRET測定用染色試薬収容しておくことにより、白血球5分類を伴うWBCの検出を行なう際に、合わせて実施することができる。
【0040】
検体容器搬送部515は、検体容器Tを把持可能なハンド部515aを備えている。ハンド部515aは、互いに対向して配置された一対の把持部材を備えており、この把持部材を互いに近接及び離反させることが可能である。かかる把持部材を、検体容器Tを挟んだ状態で近接させることにより、検体容器Tを把持することができる。また、検体容器搬送部515は、ハンド部515aを上下方向及び前後方向(Y方向)に移動させることができ、さらに、ハンド部515aを揺動させることができる。これにより、サンプルラックLに収容され、供給位置35cに位置した検体容器Tをハンド部515aにより把持し、その状態でハンド部515aを上方に移動させることによりサンプルラックLから検体容器Tを抜き出し、ハンド部515aを揺動させることにより、検体容器T内の検体を撹拌することができる。
【0041】
また、検体容器搬送部515は、検体容器Tを挿入可能な穴部を有する検体容器セット部515bを備えている。上述したハンド部515aによって把持された検体容器Tは、撹拌完了後移動され、把持した検体容器Tを検体容器セット部515bの穴部に挿入する。その後、把持部材を離反させることにより、ハンド部515aから検体容器Tが開放され、検体容器セット部515bに検体容器Tがセットされる。かかる検体容器セット部515bは、図示しないステッピングモータの動力によって、Y方向へ水平移動可能である。測定ユニット51の内部には、バーコード読取部516が設けられている。検体容器セット部515bは、バーコード読取部516の近傍のバーコード読取位置516a及び検体吸引部511による吸引位置511aへ移動可能である。検体容器セット部515bがバーコード読取位置516aへ移動したときには、セットされた検体容器Tが図示しない回転機構により水平回転され、バーコード読取部516により検体バーコードが読み取られる。これにより、検体容器TのバーコードラベルBL1がバーコード読取部516に対して反対側に位置する場合でも、検体容器Tを回転させることにより、バーコードラベルBL1をバーコード読取部516へ向けることができ、バーコード読取部516に検体バーコードを読み取らせることが可能である。また、検体容器セット部515bが吸引位置へ移動したときには、検体吸引部511により、セットされた検体容器Tから検体が吸引される。
【0042】
次に、情報処理ユニット52の構成について説明する。情報処理ユニット52は、コンピュータにより構成されている。図8は、情報処理ユニット52の構成を示すブロック図である。情報処理ユニット52は、コンピュータ52aによって実現される。図8に示すように、コンピュータ52aは、本体521と、画像表示部522と、入力部523とを備えている。本体521は、CPU521a、ROM521b、RAM521c、ハードディスク521d、読出装置521e、入出力インタフェース521f、通信インタフェース521g、及び画像出力インタフェース521hを備えており、CPU521a、ROM521b、RAM521c、ハードディスク521d、読出装置521e、入出力インタフェース521f、通信インタフェース521g、及び画像出力インタフェース521hは、バス521jによって接続されている。
【0043】
CPU521aは、RAM521cにロードされたコンピュータプログラムを実行することが可能である。そして、後述するような検体分析用並びに測定ユニット51の制御用のコンピュータプログラム524aを当該CPU521aが実行することにより、コンピュータ52aが情報処理ユニット52として機能する。
【0044】
ROM521bは、マスクROM、PROM、EPROM、又はEEPROM等によって構成されており、CPU521aに実行されるコンピュータプログラム及びこれに用いるデータ等が記録されている。
【0045】
RAM521cは、SRAMまたはDRAM等によって構成されている。RAM521cは、ハードディスク521dに記録されているコンピュータプログラム524aの読み出しに用いられる。また、CPU521aがコンピュータプログラムを実行するときに、CPU521aの作業領域として利用される。
【0046】
ハードディスク521dは、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラム等、CPU521aに実行させるための種々のコンピュータプログラム及び当該コンピュータプログラムの実行に用いられるデータがインストールされている。後述するコンピュータプログラム524aも、このハードディスク521dにインストールされている。
【0047】
読出装置521eは、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、またはDVD−ROMドライブ等によって構成されており、可搬型記録媒体524に記録されたコンピュータプログラムまたはデータを読み出すことができる。また、可搬型記録媒体524には、コンピュータを情報処理ユニット52として機能させるためのコンピュータプログラム524aが格納されており、コンピュータ52aが当該可搬型記録媒体524からコンピュータプログラム524aを読み出し、当該コンピュータプログラム524aをハードディスク521dにインストールすることが可能である。
【0048】
なお、前記コンピュータプログラム524aは、可搬型記録媒体524によって提供されるのみならず、電気通信回線(有線、無線を問わない)によってコンピュータ52aと通信可能に接続された外部の機器から前記電気通信回線を通じて提供することも可能である。例えば、前記コンピュータプログラム524aがインターネット上のサーバコンピュータのハードディスク内に格納されており、このサーバコンピュータにコンピュータ52aがアクセスして、当該コンピュータプログラムをダウンロードし、これをハードディスク521dにインストールすることも可能である。
【0049】
また、ハードディスク521dには、例えば米マイクロソフト社が製造販売するWindows(登録商標)等のマルチタスクオペレーティングシステムがインストールされている。以下の説明においては、本実施の形態に係るコンピュータプログラム524aは当該オペレーティングシステム上で動作するものとしている。
【0050】
入出力インタフェース521fは、例えばUSB,IEEE1394,又はRS-232C等のシリアルインタフェース、SCSI,IDE,又は IEEE1284等のパラレルインタフェース、及びD/A変換器、A/D変換器等からなるアナログインタフェース等から構成されている。入出力インタフェース521fには、キーボード及びマウスからなる入力部523が接続されており、ユーザが当該入力部523を使用することにより、コンピュータ52aにデータを入力することが可能である。また、入出力インタフェース521fは、3つの測定ユニット51,51,51に接続されている。これにより、3つの測定ユニット51,51,51のそれぞれとの間でデータの送受信が可能となっている。
【0051】
通信インタフェース521gは、Ethernet(登録商標)インタフェースである。通信インタフェース521gはLANを介してシステム制御装置8に接続されている。コンピュータ52aは、通信インタフェース521gにより、所定の通信プロトコルを使用して当該LANに接続されたシステム制御装置8との間でデータの送受信が可能である。また、かかる通信インタフェース521gは、上記のLANを介してホストコンピュータ9及び各検体搬送装置3,3,3に通信可能に接続されている。
【0052】
画像出力インタフェース521hは、LCDまたはCRT等で構成された画像表示部522に接続されており、CPU521aから与えられた画像データに応じた映像信号を画像表示部522に出力するようになっている。画像表示部522は、入力された映像信号にしたがって、画像(画面)を表示する。
【0053】
<塗抹標本作製装置6の構成>
塗抹標本作製装置6は、血液検体を吸引し、スライドガラス上に滴下して、その血液検体をスライドガラス上で薄く引き延ばし、乾燥させた上で、当該スライドガラスに染色液を供給してスライドガラス上の血液を染色することにより、塗抹標本を作製する。
【0054】
図10は、塗抹標本作製装置6の概略構成を示すブロック図である。図10に示すように、塗抹標本作製装置6は、検体分注部61と、塗抹部62と、スライドガラス搬送部63と、染色部64と、制御部65とを備えている。
【0055】
検体分注部61は、吸引管(図示せず)を備えており、この吸引管を検体搬送装置3の測定ライン31a上を搬送されたサンプルラックLの検体容器Tの蓋部Cに突き刺して、この検体容器Tから血液検体を吸引する。また、検体分注部61は、吸引した血液検体をスライドガラス上に滴下するように構成されている。塗抹部62は、スライドガラス上に滴下された血液検体を塗抹して乾燥させ、さらに、スライドガラスに印字するように構成されている。
【0056】
スライドガラス搬送部63は、塗抹部62によって血液検体が塗抹されたスライドガラスを図示しないカセットに収容させ、さらにそのカセットを搬送するために設けられている。染色部64は、スライドガラス搬送部63によって染色位置まで搬送されたカセット内のスライドガラスに対して、染色液を供給する。制御部65は、検体搬送装置3から与えられた標本作製指示にしたがって、検体分注部61、塗抹部62、スライドガラス搬送部63、及び染色部64を制御し、上記の塗抹標本作製動作を実行させる。
【0057】
<システム制御装置8の構成>
システム制御装置8は、コンピュータにより構成されており、検体処理システム1の全体を制御する。このシステム制御装置8は、検体投入装置2からサンプルラックLの番号を受け付け、そのサンプルラックLの搬送先を決定する。
【0058】
システム制御装置8は、コンピュータ8aによって実現される。図8に示すように、コンピュータ8aは、本体81と、画像表示部82と、入力部83とを備えている。本体81は、CPU81a、ROM81b、RAM81c、ハードディスク81d、読出装置81e、入出力インタフェース81f、通信インタフェース81g、及び画像出力インタフェース81hを備えており、CPU81a、ROM81b、RAM81c、ハードディスク81d、読出装置81e、入出力インタフェース81f、通信インタフェース81g、及び画像出力インタフェース81hは、バス81jによって接続されている。
【0059】
ハードディスク81dは、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラム等、CPU81aに実行させるための種々のコンピュータプログラム及び当該コンピュータプログラムの実行に用いられるデータがインストールされている。後述するシステム制御プログラム84aも、このハードディスク81dにインストールされている。
【0060】
また、ハードディスク81dには、測定ユニット管理テーブルTBLが設けられている。図9は、測定ユニット管理テーブルTBLの構造を示す模式図である。測定ユニット管理テーブルTBLは、各測定ユニットに割り当てられた用途の管理を行うためのデータである。各測定ユニットは、初検測定用として、或いは、初検測定及び再検測定用として用いられる。これら測定ユニットごとに割り当てられた用途が、測定ユニット管理テーブルTBLに登録されている。テーブル中で、測定ユニットIDとは、3つの測定ユニット51,51,51のそれぞれを区別するために用いられる情報である。各測定ユニット51には、それぞれ固有の測定ユニットIDが割り当てられている。本実施の形態における測定ユニット51,51,51に対しては、搬送上流側から下流側へ向かう順番で「M1」、「M2」、「M3」の測定ユニットIDがそれぞれ割り当てられている。
【0061】
測定ユニット管理テーブルTBLには、測定ユニットIDを示すフィールドF1、測定ユニットが初検測定用であるか否かを示すフィールドF2、測定ユニットが再検測定用であるか否かを示すフィールドF3、が設けられている。フィールドF2、フィールドF3では「0」または「1」のフラグが設定されるようになっている。フィールドF2においてフラグが「1」である場合は、その測定ユニットが初検測定に用いられることを意味し、フラグが「0」である場合は、その測定ユニットが初検測定に用いられないことを意味する。また、フィールドF3においてフラグが「1」である場合は、その測定ユニットが再検測定に用いられることを意味し、フラグが「0」である場合は、その測定ユニットが再検測定に用いられないことを意味する。図9に示した例では、測定ユニットM1及びM2はいずれも初検測定専用であり、測定ユニットM3は初検測定に加えて再検測定を行なうよう、設定登録されている。なお、本実施の形態においては、測定ユニットM1、M2、M3のいずれにおいても、RBC、PLT、WBC、NEUT、LYMP、EO、BASO、MONOの各測定項目を初検において測定する。従って、測定ユニットM1、M2、M3は、初検測定として共通の測定項目の測定を行なう。一方、測定ユニットM3における再検測定では、上記各測定項目に加え、RETを測定する。従って、再検測定に特有のRET測定用染色試薬を備えているのは測定ユニットM3のみである。
【0062】
読出装置81eは、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、またはDVD−ROMドライブ等によって構成されており、可搬型記録媒体84に記録されたコンピュータプログラムまたはデータを読み出すことができる。また、可搬型記録媒体84には、コンピュータをシステム制御装置8として機能させるためのシステム制御プログラム84aが格納されており、コンピュータ8aが当該可搬型記録媒体84からシステム制御プログラム84aを読み出し、当該システム制御プログラム84aをハードディスク81dにインストールすることが可能である。
【0063】
入出力インタフェース81fは、例えばUSB,IEEE1394,又はRS-232C等のシリアルインタフェース、SCSI,IDE,又は IEEE1284等のパラレルインタフェース、及びD/A変換器、A/D変換器等からなるアナログインタフェース等から構成されている。入出力インタフェース81fには、キーボード及びマウスからなる入力部83が接続されており、ユーザが当該入力部83を使用することにより、コンピュータ52aにデータを入力することが可能である。
【0064】
通信インタフェース81gは、Ethernet(登録商標)インタフェースである。通信インタフェース81gはLANを介して検体投入装置2、検体搬送装置3、検体収容装置4、情報処理ユニット52、及びホストコンピュータ9に接続されている。コンピュータ8aは、通信インタフェース81gにより、所定の通信プロトコルを使用して当該LANに接続された上記の各装置との間でデータの送受信が可能である。
【0065】
なお、システム制御装置8のその他の構成は、上述した情報処理ユニット52の構成と同様であるので、その説明を省略する。
【0066】
<ホストコンピュータ9の構成>
ホストコンピュータ9は、コンピュータにより構成されており、CPU、ROM、RAM、ハードディスク、通信インタフェース等を備えている。通信インタフェースは、上述したLANに接続されており、システム制御装置8、血球分析装置5の情報処理ユニット52、検体投入装置2、検体搬送装置3、及び検体収容装置4と通信することが可能である。また、ハードディスクには、測定オーダが格納されている。測定オーダには、検体ID及び実施対象の測定項目の情報が含まれている。ホストコンピュータ9は、他の装置から検体IDを含む測定オーダの要求データを受信したときには、この検体IDに対応する測定データをハードディスクから読み出し、要求元の装置へ送信するように構成されている。その他、ホストコンピュータ9の構成は、上述した他のコンピュータの構成と同様であるので、その説明を省略する。
【0067】
以下、本実施の形態に係る検体処理システム1の動作について説明する。
【0068】
[測定ユニット用途登録動作]
次に、検体処理システム1の測定ユニット用途登録動作について説明する。検体処理システム1において、各測定ユニット51,51,51は、初検測定用として、或いは、初検測定及び再検測定用として用いられる。これら測定ユニットごとに割り当てられた用途が、測定ユニット管理テーブルTBLに登録される。測定ユニット用途登録は、システム制御装置8において行なわれる。
【0069】
図11は、システム制御装置8の測定ユニット用途登録画面表示処理の手順を示すフローチャートである。オペレータ又はサービスマンは、測定ユニット用途の登録を行うときに、システム制御装置8の入力部83を操作して、測定ユニット用途登録画面の表示指示を入力する。これにより測定ユニット用途登録画面の表示指示がCPU81aに与えられる(ステップS201)。システム制御装置8のCPU81aにより実行されるコンピュータプログラム84aはイベントドリブン型のプログラムであり、CPU81aにおいては、搬送モード設定画面の表示指示を受け付けるイベントが発生すると、ステップS202の処理が呼び出される。
【0070】
ステップS202において、CPU81aは、測定ユニット用途登録画面を画像表示部82に表示させ(ステップS202)、処理を終了する。図14は、測定ユニット用途登録画面を示す図である。図に示すように、測定ユニット用途登録画面Dには、測定ユニットM1,M2,M3ごとに、用途(初検測定用、初検測定用及び再検測定用、または再検測定用)を選択するラジオボタンRB1〜RB3が設けられている。ラジオボタンRB1〜RB3は、それぞれオペレータ又はサービスマンが入力部83に所定の操作(例えば、マウスの左ボタンのクリック)を行うことにより選択可能である。各測定ユニットラジオボタンRB1を選択した場合、対応する測定ユニットの用途が初検測定用として登録される。RB2を選択した場合、対応する測定ユニットの用途が初検測定用及び再検測定用として登録される。RB3を選択した場合、対応する測定ユニットの用途が再検測定用として登録される。また、図に示すように、測定ユニット用途登録画面Dには測定ユニット用途登録画面Dの表示終了指示を受け付けるための選択可能なクローズボタンCB1が設けられている。
【0071】
図12は、測定ユニット用途登録画面における測定ユニット用途登録処理の手順を示すフローチャートである。オペレータ又はサービスマンは、測定ユニット用途登録Dが表示されている状態において、ラジオボタンRB1〜RB3から、各測定ユニットにおいて所望する用途のラジオボタンを選択し、このラジオボタンの選択による測定ユニットごとの用途(初検測定用、初検測定及び再検測定用、又は再検測定用)の設定登録指示がCPU81bに与えられる(ステップS211)。CPU81aは、ラジオボタンRB1〜RB3の何れかの選択を受け付けるイベントが発生した場合には、各測定ユニットについて選択された用途を設定する(ステップS212)。この処理は、ハードディスク81dに設けられている測定ユニット管理テーブルTBLの測定ユニット用途フラグを設定することにより行われる。つまり、ラジオボタンRB1が選択された場合には、対応する測定ユニットのフィールドF2の初検フラグが「1」にセットされ、フィールドF3の再検フラグが「0」にセットされる。ラジオボタンRB2が選択された場合には、対応する測定ユニットのフィールドF2の初検フラグが「1」にセットされ、フィールドF3の再検フラグも「1」にセットされる。ラジオボタンRB3が選択された場合には、対応する測定ユニットのフィールドF2の初検フラグが「0」にセットされ、フィールドF3の再検フラグが「1」にセットされる。この後、CPU81bは、処理を終了する。
【0072】
図13は、測定ユニット用途登録画面の表示終了処理の流れを示すフローチャートである。オペレータ又はサービスマンは、測定ユニット用途の登録が終了した後、クローズボタンB1を選択する。CPU81aは、このクローズボタンB1の選択を受け付けるイベントが発生した場合には(ステップS221)、測定ユニット用途登録画面Dの表示を終了し(ステップS222)、処理を終了する。
【0073】
[検体搬送動作]
<検体投入装置2の動作>
オペレータは、検体容器Tを収容したサンプルラックLを検体送出ユニット21aに載置し、検体送出ユニット21aの操作パネル(図示せず)を操作して、検体分析システム1に分析開始の指示を与える。検体送出ユニット21aの制御部は、かかる分析開始の指示を受け付け、これによりサンプルラックLの移送を開始する。検体送出ユニット21aに載置されたサンプルラックLは、検体送出ユニット21a上を後方へ移送され、その後、サンプルラックLは左方向へと移送され、バーコード読取ユニット22へと受け渡される。
【0074】
バーコード読取ユニット22に導入されたサンプルラックLは、バーコード読取ユニット22の制御部により、搬送路上を左方向へ1ピッチ毎に移送される。そして、サンプルラックLのラックバーコード及び検体容器Tの検体バーコードがバーコードリーダにより読み取られる。次いで、サンプルラックがさらに左方向へ移送され、検体送出ユニット21bへこのサンプルラックLが移送される。検体送出ユニット21bの制御部は、受け入れたサンプルラックLを移送する。その後、検体投入装置2が、読み取ったラックID及び検体IDを含む搬出要求データをシステム制御装置8へ送信し、システム制御装置8から送信される搬出指示データを待機する。検体投入装置2は、システム制御装置8から搬出指示データを受信したときには、サンプルラックLを隣接する検体搬送装置3へ搬出し、搬出完了データをシステム制御装置8へ送信する。
【0075】
<システム制御装置8の動作>
次に、システム制御装置8の動作について説明する。検体投入装置2に保持された検体について初検測定を行なう場合、システム制御装置8は、検体投入装置2から搬出要求データを受信し、この搬出要求データに含まれる検体IDを用いて、サンプルラックLの搬送先を決定する。以下、この動作を詳しく説明する。
【0076】
図15は、システム制御装置8の第1搬送指示処理の手順を示すフローチャートである。第1搬送指示処理では、サンプルラックLの搬送先が決定され、M1の測定ユニット51の前方に配置された検体搬送装置3に搬送指示が与えられる。検体投入装置2から送信された搬出要求データは、システム制御装置8の通信インタフェース81gにより受信される(ステップS301)。CPU81aにおいて、搬出要求データを受信するイベントが発生すると、ステップS302の処理が呼び出される。
【0077】
ステップS302において、CPU81aは、受信した搬出要求データに含まれる全ての検体IDを送信し、ホストコンピュータ9へ検体IDに対応する測定オーダを要求する(ステップS302)。CPU81aは、測定オーダの受信を待機し(ステップS303においてNO)、ホストコンピュータ9から送信された測定オーダがシステム制御装置8に受信されると(ステップS303においてYES)、受信した測定オーダをラックIDに対応付けてハードディスク81dに記憶する(ステップS304)。次に、CPU81aは、このサンプルラックLの搬送先を決定する(ステップS305)。
【0078】
ここで、ステップS305の搬送先決定処理について説明する。図16は、搬送先決定処理の手順を示すフローチャートである。CPU81aはまず、測定ユニット管理テーブルTBLの測定ユニット用途フラグを読み出し、現在の登録状況を確認する。ここでは、測定ユニットM1及びM2がいずれも初検専用として登録されており、搬送方向最下流にある測定ユニットM3が初検用及び再検用として登録されている(ステップS311)。
【0079】
次に、CPU81aは、搬送方向最下流にある測定ユニットM3に対応する検体搬送装置3のラック搬送部35及びラック検出位置33aにおけるサンプルラックの有無を判定する(ステップS312)。ラック搬送部35、ラック検出位置33aのいずれにもサンプルラックが存在しない場合(ステップS312においてYES)、これから搬送しようとしているサンプルラックLの搬送先を測定ユニットM3に決定する(ステップS313)。ラック搬送部35、ラック検出位置33aのいずれか又は両方にサンプルラックが存在すると判断した場合(ステップS312においてNO)、CPU81aは、測定ユニットM3に次いで搬送方向下流にある測定ユニットM2に対応する検体搬送装置3のラック検出位置33aにおけるサンプルラックの有無を判定する(ステップS314)。ラック検出位置33aにサンプルラックが存在しない場合(ステップS314においてYES)、これから搬送しようとしているサンプルラックLの搬送先を測定ユニットM2に決定する(ステップS315)。ラック検出位置33aにサンプルラックが存在すると判断した場合(ステップS314においてNO)、CPU81aは、搬送方向最上流にある測定ユニットM1に対応する検体搬送装置3のラック検出位置33aにおけるサンプルラックの有無を判定する(ステップS316)。ラック検出位置33aにサンプルラックが存在しない場合(ステップS316においてYES)、これから搬送しようとしているサンプルラックLの搬送先を測定ユニットM1に決定する(ステップS317)。ラック検出位置33aにサンプルラックが存在すると判断した場合(ステップS316においてNO)、現在搬送先として適切な測定ユニットが存在しないため、所定時間待機し(ステップS318)、その後ステップS312に戻り、それ以降のステップを繰り返す。
【0080】
なお、上記ステップS312、S314、及びS316において、分析ユニットM1、M2、またはM3の、ラック搬送部35又はラック検出位置33aにおけるサンプルラックの有無の判定を行なう際、CPU81aが検体搬送装置3の制御部32に問い合わせ、各位置におけるサンプルラックの有無を判定する。検体搬送装置3の制御部32は、第1ベルト351の突起片351d及び第2ベルト352の突起片352dが有する光学式センサにより、ラック搬送部35におけるサンプルラックの存在を検知する。また検体搬送装置3の制御部32は、分析前ラック保持部の近傍に備えられたラックセンサ37により、ラック検出位置33aにおけるサンプルラックの存在を検知する。
【0081】
以上のように構成することにより、初検測定と再検測定を両方行なう測定ユニットM3に対しては、現在測定中の検体がなく、且つ測定を待機している検体もない場合のみ、初検測定の検体を搬送するようにしている(ステップS312においてYES)。また、測定ユニットM3に測定中の検体又は待機中の検体がある場合には、初検測定対象である検体を搬送しないようにしている。従って、測定ユニットM1、M2及びM3のうち唯一再検測定用に用いられている測定ユニットM3に初検測定対象検体が集中し、再検測定対象である検体の測定ができないという状態を回避できる。また、原則として搬送方向下流側の測定ユニットに対して優先的に検体を搬送することにより、測定後の検体をいち早く検体収容装置4に搬送し、一連の測定処理を速やかに完了させることができる。
【0082】
次に、CPU81aは、検体投入装置2に隣接する検体搬送装置3(つまり、図1中で最も右側の検体搬送装置3)へ、決定した搬送先に基づいて、サンプルラックLの搬入準備指示データを送信する(ステップS306)。この搬入準備指示データは、この検体搬送装置3においてサンプルラックLを搬送する搬送ライン(測定ラインL1又はスキップラインL2)を示すデータ(以下、「使用搬送ライン指示データ」という)、及びサンプルラックLの各検体の測定オーダを含んでいる。つまり、このサンプルラックLの搬送先が、M1の測定ユニット51である場合には、搬入準備指示データにおいて、使用搬送ライン指示データとして測定ラインL1を示すデータがセットされる。一方、M2又はM3の測定ユニット51が搬送先として決定されている場合には、搬入準備指示データにおいて、使用搬送ライン指示データとしてスキップラインL2を示すデータがセットされる。この搬入準備指示データを受信した検体搬送装置3は、搬入準備指示データに含まれる使用搬送ライン指示データによって示される搬送機構の準備動作(サンプルラックLの受け入れを可能とする動作)を実行し、その後、搬入準備完了データを送信する。
【0083】
CPU81aは、前記検体搬送装置3から搬入準備完了データを待機する(ステップS307においてNO)。搬入準備完了データが検体搬送装置3から送信され、この搬入準備完了データをシステム制御装置8が受信した場合には(ステップS307においてYES)、CPU81aは、検体投入装置2へ、サンプルラックLの搬出指示データを送信する(ステップS308)。検体投入装置2は、上述したように、搬出指示データを受信したときには、サンプルラックLを検体搬送装置3へ搬出し、搬出完了データを送信する。CPU81aは、前記検体投入装置2から搬出完了データを待機する(ステップS309においてNO)。搬出完了データが検体投入装置2から送信され、この搬出完了データをシステム制御装置8が受信した場合には(ステップS309においてYES)、CPU81aは、検体搬送装置3から搬入完了データを待機する(ステップS310においてNO)。搬入完了データが検体搬送装置3から送信され、この搬入完了データをシステム制御装置8が受信した場合には(ステップS310においてYES)、CPU81aは、処理を終了する。
【0084】
次に、システム制御装置8の第2搬送指示処理について説明する。第2搬送指示処理では、M2又はM3の測定ユニット51の前方に配置された検体搬送装置3に搬送指示が与えられる。図17は、第2搬送指示処理の手順を示すフローチャートである。検体搬送装置3によりサンプルラックLが搬送され、サンプルラックLを後段の検体搬送装置3(又は検体搬送装置301)へ搬出するための搬出位置にサンプルラックLが到達したときには、このサンプルラックLのラックIDを含む搬出要求データが検体搬送装置3から送信される。検体搬送装置3から送信された搬出要求データは、システム制御装置8の通信インタフェース81gにより受信される(ステップS321)。CPU81aにおいては、検体搬送装置3から搬出要求データを受信するイベントが発生すると、ステップS322の処理が呼び出される。
【0085】
ステップS322において、CPU81aは、当該検体搬送装置3の後段の検体搬送装置3へ、搬送先決定処理で決定された搬送先に基づいて、サンプルラックLの搬入準備指示データを送信する(ステップS322)。この搬入準備指示データは、上述した搬入準備指示データと同様であるので、その説明を省略する。
【0086】
次に、CPU81aは、前記検体搬送装置3から搬入準備完了データを待機する(ステップS323においてNO)。搬入準備完了データが検体搬送装置3から送信され、この搬入準備完了データをシステム制御装置8が受信した場合には(ステップS323においてYES)、CPU81aは、前段(搬出側)の検体搬送装置3へ、サンプルラックLの搬出指示データを送信する(ステップS324)。前段の検体搬送装置3は、搬出指示データを受信したときには、サンプルラックLを後段の検体搬送装置3へ搬出し、搬出完了データを送信する。CPU81aは、前段の検体搬送装置3から搬出完了データを待機し(ステップS325においてNO)、搬出完了データが前段の検体搬送装置3から送信され、この搬出完了データをシステム制御装置8が受信した場合には(ステップS325においてYES)、CPU81aは、後段の検体搬送装置3から搬入完了データを待機する(ステップS326においてNO)。搬入完了データが後段の検体搬送装置3から送信され、この搬入完了データをシステム制御装置8が受信した場合には(ステップS326においてYES)、CPU81aは、処理を終了する。
【0087】
<システム制御装置8における再検処理動作>
初検測定が完了した検体について再検オーダが発生した場合、当該検体が再検測定用の測定ユニットに搬送されるよう、システム制御装置8は検体搬送装置3を制御する。図18は、システム制御装置8のCPU81aにおける再検処理を説明するフローチャートである。まず、情報処理ユニット52から再検測定オーダを受信する(ステップS601)。再検測定オーダには、検体IDや患者情報など初検の測定オーダに含まれているのと同様のものに加え、再検測定項目、初検測定を行なった測定ユニットの測定ユニットIDに関する情報が含まれている。次にCPU81aは、検体の搬送先を決定する(ステップS602)。ここでは、測定ユニット管理テーブルTBLの登録内容に基づき、再検測定用の測定ユニットがM1、M2、M3のいずれであるか確認し、再検測定用として登録されている測定ユニットを検体の搬送先として決定する。本例では、測定ユニットM3が再検測定用に登録されているので、測定ユニットM3が検体の搬送先となる。次にCPU81aは、検体を再検測定するため検体搬送装置3に搬送指示を送信し(ステップ602)、処理を終了する。なお、初検測定を終了し再検測定対象となった検体の容器を保持するサンプルラックは、検体搬送装置3の検体送出位置391に待機している。従って、初検測定を行なった測定ユニットが測定ユニットM3であれば、同じ測定ユニットで再検測定を行なうため、検出送出位置391にあるサンプルラックを逆方向に搬送し、再検測定対象の検体容器が検体供給位置35cに位置するよう、検体搬送装置3を制御する。初検測定を行なった測定ユニットが測定ユニットM1またはM2であれば、検体を測定ユニットM3へ搬送するよう検体搬送装置3を制御する。
【0088】
<検体搬送装置3の制御部32の動作>
ここでは、測定ユニット51の前方に配置された検体搬送装置3の制御部32の動作について説明する。図19、図20、図21及び図22は、制御部32による搬送機構31の制御処理の流れを示すフローチャートである。システム制御装置8から送信された搬入準備指示データは、制御部32により受信される(ステップS401)。制御部32のCPUにより実行される搬送制御プログラムはイベントドリブン型のプログラムであり、制御部32においては、搬入準備指示データを受信するイベントが発生すると、ステップS402の処理が呼び出される。
【0089】
ステップS402において、制御部32は、搬送機構31のベルト321aを駆動する等して、搬入準備動作を実行する(ステップS402)。搬入準備が完了したときには、制御部32は、搬入準備が完了したことを通知するための搬入準備完了データをシステム制御装置8へ送信する(ステップS403)。
【0090】
搬入準備完了データの送信に応じて、サンプルラックLが前段の装置から搬出され、これによってサンプルラックLが搬送機構31に搬入される(ステップS404)。サンプルラックLの搬入が完了したときには、制御部32は、サンプルラックLの搬入完了を通知するための搬入完了データをシステム制御装置8へ送信する(ステップS405)。
【0091】
次に、制御部32は、搬入準備指示データに含まれる使用搬送ライン指示データが、測定ラインL1及びスキップラインL2のいずれを示しているか、すなわち、測定ラインL1及びスキップラインL2のいずれが使用対象の搬送ラインであるかを判定する(ステップS406)。ステップS406において、搬入準備指示データに含まれる使用搬送ライン指示データが測定ラインL1を示している場合、すなわち、測定ラインL1が使用対象の搬送ラインである場合には(ステップS406において「測定ラインL1」)、サンプルラックLの検体容器Tに収容されている検体が初検測定対象であるか、再検測定対象であるかを、搬入準備指示データに含まれる測定オーダに含まれる測定オーダに基づき判定する(ステップS407)。再検測定対象であれば(ステップS407においてNO)、ステップS425に進む。初検測定対象であれば(ステップS407においてYES)、制御部32は、搬送機構31を制御して、サンプルラックLの検体容器Tの保持部の内、図3において最も左側に位置する保持部が検体容器検出位置に到達するまで移送する(ステップS408)。次に、制御部32は、サンプルラックLにおける検体容器Tの保持位置を示す変数iに1をセットし(ステップS409)、検体容器センサ38によって検体容器検出位置に検体容器Tが検出されたか否かを判定し(ステップS410)、検体容器Tが検出された場合には(ステップS410においてYES)、サンプルラックLを1検体分左方向へ移送し(ステップS411)、情報処理ユニット51へ検体の吸引指示を示す検体吸引指示データを送信する(ステップS412)。これにより、検体容器センサ38によって検出された検体容器Tが検体供給位置35cに位置することとなり、後述するように検体が吸引される。制御部32は、検体吸引完了データを受信するまで待機し(ステップS413においてNO)、検体吸引完了データを受信した場合に(ステップS413においてYES)、処理をステップS415へ進める。
【0092】
一方、ステップS410において検体容器Tが検出されなかった場合には(ステップS410においてNO)、制御部32は、サンプルラックLを1検体分左方向へ移送し(ステップS414)、処理をステップS415へ進める。ステップS415において、制御部32は、iが10以上であるか否かを判定し(ステップS415)、iが10未満である場合には(ステップS415においてNO)、iを1インクリメントし(ステップS416)、ステップS410へ処理を戻す。
【0093】
ステップS415において、iが10以上である場合には(ステップS415においてYES)、制御部32は、処理をステップS417へ進める。
【0094】
以下、処理を行なっている制御部32が、測定ユニットM3に対応する検体搬送装置3のものである場合の、ステップS417、ステップS418について説明する。ステップS417では、搬送制御装置8から再検搬送指示を受信したか判定する(ステップS417)。再検搬送指示を受信したと判定した場合(ステップS417においてYES)、ステップS425に進む(図21参照)。ステップS425以下ステップS428までの処理については後述する。再検搬送指示を受信していないと判定した場合(ステップS417においてNO)、血球分析装置5の情報処理ユニット52が備えるCPU521aから再検不要通知を受信したか判定する(ステップS418)。再検不要通知を受信したと判定した場合(ステップS418においてYES)、ステップS419へ処理を進める。再検不要通知を受信していない判定した場合(ステップS418においてNO)、ステップS417へ処理を戻す。すなわち、再検搬送指示又は再検不要通知のいずれかを受信するまでは、サンプルラックLを搬出せず、測定ユニット近傍に待機させるよう構成している。
【0095】
一方、処理を行なっている制御部32が、測定ユニットM1またはM2に対応する検体搬送装置3のものである場合、前述の処理と比較して、ステップS417における処理にのみ相違がある。図22に示すように、ステップS417において、再検搬送指示を受信したと判定した場合(ステップS417においてYES)、ステップS419に処理を進める。再検搬送指示を受信していないと判定した場合(ステップS417においてNO)、前述の処理と同様、血球分析装置5の情報処理ユニット52が備えるCPU521aから再検不要通知を受信したか判定し(ステップS418)、再検不要通知を受信したと判定した場合(ステップS418においてYES)、ステップS419へ処理を進め、再検不要通知を受信していない判定した場合(ステップS418においてNO)はステップS417へ処理を戻す。
【0096】
ステップS419では、制御部32は、搬送機構31を制御することにより、サンプルラックLを搬出するための搬出位置にサンプルラックLを到達させる(ステップS419)。その後、制御部32は、処理をステップS420へ移す。
【0097】
一方、ステップS406において、搬入準備指示データに含まれる使用搬送ライン指示データがスキップラインL2を示している場合、すなわち、スキップラインL2が使用対象の搬送ラインである場合には(ステップS406において「スキップラインL2」)、制御部32は、搬送機構31を制御して、サンプルラックLをスキップラインL2上で移送し、サンプルラックLを搬出するための搬出位置に到達させる(ステップS421)。その後、制御部32は、処理をステップS420へ移す。
【0098】
ステップS420において、制御部32は、システム制御装置8へサンプルラックLに割り当てられたラックIDを含む搬出要求データを送信する(ステップS420)。その後、制御部32は、システム制御装置8から搬出指示データを待機し(ステップS422においてNO)、搬出指示データを受信したときには(ステップS422においてYES)、ステッピングモータ321bを駆動してサンプルラックLを隣接する検体搬送装置3へ搬出し(ステップS423)、搬出完了データをシステム制御装置8へ送信する(ステップS424)。そして、制御部32は、処理を終了する。
【0099】
ステップS407において検体が再検測定対象であると判定した場合(ステップS407においてNO)、及びステップS417において再検搬送指示を受信したと判定した場合(ステップS417においてYES)に進むステップS425について説明する。ステップS425では、再検測定対象の検体を収容する検体容器Tが、検体供給位置35cに位置するようサンプルラックLを移送する。次に、情報処理ユニット51へ検体の吸引指示を示す検体吸引指示データを送信する(ステップS426)。制御部32は、検体吸引完了データを受信するまで待機し(ステップS427においてNO)、検体吸引完了データを受信した場合に(ステップS427においてYES)、処理をステップS428に進める。ステップS428では、同じサンプルラックLに、他にも再検測定対象となっている検体が存在するか判定し、存在すると判定した場合(ステップS428においてYES)はステップS425に処理を戻し、存在しないと判定した場合(ステップS428においてNO)はステップS418へ処理を進める。
【0100】
<血球分析装置5の動作>
次に、血球分析装置5の動作について説明する。情報処理ユニット52は、測定ユニット51,51,51の動作を制御して検体の測定を行い、また測定によって得られた測定データを解析する。
【0101】
図23及び図24は、本実施の形態に係る血球分析装置5による検体の分析動作の手順を示すフローチャートである。まず、検体搬送装置3の制御部32から送信された吸引指示データを情報処理ユニット52が受信する(ステップS501)。CPU521aにおいて、吸引指示データを受信するというイベントが発生すると、ステップS502の処理が呼び出される。この吸引指示データには、動作対象の測定ユニット51の測定ユニットIDが含まれる。
【0102】
ステップS502において、CPU521aは、検体容器搬送部515を制御し、供給位置35cにある検体容器TをサンプルラックLから抜き出し(ステップS502)、ハンド部515aを制御して検体容器Tを揺動させ、内部の検体を撹拌する(ステップS503)。次に、CPU521aは、ハンド部515aを制御して、検体容器セット部515bに検体容器Tをセットし(ステップS504)、さらに検体容器搬送部515を制御して、検体容器Tをバーコード読取位置516aへ搬送する(ステップS505)。次に、CPU521aは、バーコード読取部516により検体容器Tの検体バーコードを読み取り、検体IDを取得する(ステップS506)。さらにCPU521aは、検体IDを含むオーダ要求データを通信インタフェース521gにホストコンピュータ9へ送信させ(ステップS507)、測定オーダを問い合わせる。その後、CPU521aは、測定オーダの受信を待機し(ステップS508においてNO)、ホストコンピュータ9から送信された測定オーダが情報処理ユニット52の通信インタフェース521gにより受信されると(ステップS508においてYES)、受信した測定オーダをハードディスク521dに記憶する(ステップS509)。
【0103】
次に、CPU521aは、検体容器搬送部515を制御して、検体容器Tを吸引位置へ搬送し(ステップS510)、検体吸引部511を制御し、記憶した測定オーダに含まれる測定項目に必要な量の検体を検体容器Tから吸引する(ステップS511)。検体の吸引が完了した後には、CPU521aは、検体容器搬送部515を制御して、検体容器TをサンプルラックLへ戻し(ステップS512)、検体吸引完了データを、このサンプルラックLを搬送している検体搬送装置3へ送信する(ステップS513)。これにより、上述したようにサンプルラックLがラック搬送部35により搬送される。
【0104】
また、CPU521aは、試料調製部512を制御し、測定項目に応じて測定試料を調製し(ステップS514)、検出部513に測定試料を供給して、検出部513により検体の測定を行う(ステップS515)。これにより、CPU521aは、検出部513から出力される測定データを取得する。CPU521aは、測定データの解析処理を実行し(ステップS516)、検体中に含まれる血球を分類し、且つ、種類毎に血球数を計数し、このように分類された血球が種類毎に色分けされたスキャッタグラムを作成する。測定データの解析処理により生成された分析結果データは、測定オーダに含まれる患者情報等と共にハードディスク521aに格納され(ステップS517)、また、ホストコンピュータ9へ送信される(ステップS518)。ホストコンピュータ9は、上述した測定オーダに分析結果データを統合してハードディスクに記憶する。次にCPU521aは、分析結果データに含まれる各測定項目の値を所定の再検基準値と比較し、その検体に対する再検測定が必要か否か判定する(ステップS519)。分析結果データが再検を要する範囲にある場合は、再検測定オーダを生成する(ステップS520)。ここでは、分析結果データに含まれる各測定項目の値を所定の再検基準値と比較した結果に基づき、再検測定項目を決定する。このような情報を用いて生成した再検測定オーダを、ホストコンピュータ9及びシステム制御装置8へ送信し(ステップS522)、処理を終了する。ステップS519において分析結果データが再検を要する範囲にない場合(ステップS519においてNO)、再検不要通知をシステム制御装置8を介して検体搬送装置3の制御部32へ送信する。そして、CPU521aは、処理を終了する。
【0105】
<検体搬送装置301の動作>
搬送方向において最も下流側に位置する検体搬送装置3から送出されたサンプルラックLは、ラックスライダ303に導入される。ラックスライダ303は、詳細は省略するが、システム制御装置8からの指示を受け付け、サンプルラックLをコンベア302の測定ライン302a及びスキップライン302bの何れかへ送出する。測定ライン302aにサンプルラックLが搬入された場合には、コンベア302の制御部が測定ライン302aを動作させ、塗抹標本作製装置6へ検体を供給する供給位置に塗抹標本作製対象の検体容器Tが位置するように、サンプルラックLを搬送する。塗抹標本作製装置6への検体の供給が完了した後は、さらに測定ライン302aが駆動され、検体収容装置4へとサンプルラックLが搬出される。また、スキップライン302bにサンプルラックLが搬入された場合には、コンベア302の制御部がスキップライン302bを動作させ、サンプルラックLをスキップライン302上で搬送して、検体収容装置4へ搬出する。
【0106】
<検体収容装置4の動作>
検体搬送装置301から送出されたサンプルラックLは、検体収容装置4に導入される。検体収容装置4は、かかるサンプルラックLをラック載置部上で搬送し、収容する。
【0107】
以上のような構成とすることにより、システム制御装置8が、各測定ユニットに関する用途の登録内容、すなわち、初検測定用であるか、初検測定及び再検測定用であるか、に基づき検体の搬送先を決定する。従って、初検測定の対象となっている検体、及び再検測定の対象となっている検体を、各測定ユニットに適切に分配し、複数の測定ユニットを効率よく利用できる。
【0108】
また上述した実施の形態においては、測定ユニットを初検測定及び再検測定の両方に用いるように登録できる。従って、複数の測定ユニットのうちいずれかを初検測定用及び再検測定用に用い、他の測定ユニットを初検測定用として用いるよう構成できる。検体処理システムをこのように構成すれば、全ての測定ユニットを、処理数の多い初検測定に使用でき、また再検測定が発生した場合には再検測定用としても用いることのできる測定ユニットを使用して再検測定を行なうことができる。
【0109】
また上述した実施の形態においては、検体搬送装置3上の所定の位置、具体的には、分析装置近傍の位置であるラック搬送部35と、ラック搬送部35にサンプルラックを供給する前に一時的に待機させる位置であるラック検出位置33aにおいて、サンプルラックの有無を検知している。この検出結果を、検体の搬送先を決定する際に利用することにより、検体の搬送先が一箇所に集中して測定処理が滞ることを防ぐことができる。
【0110】
また上述した実施の形態においては、初検測定の対象である検体の搬送先を決定する際に、再検測定用としても用いる測定ユニットM3については、ラック搬送部35とラック検出位置33aのいずれにもサンプルラックが存在しない時のみ搬送先として決定する。このように構成することで、唯一の再検測定用の測定ユニットである測定ユニットM3に初検測定対象の検体が次々と過度に搬送され、再検測定が必要な時に実施できなくなる、という不都合を回避することができる。
【0111】
また上述した実施の形態においては、複数の測定ユニットのうち、検体搬送装置3によるサンプルラックの搬送方向において最下流にある測定ユニットM3を再検測定用としている。このように構成すれば、他の測定ユニットで初検測定を行なった結果再検測定対象となった検体を、再検測定用の測定ユニットに対し、検体処理システム1全体における検体の搬送方向に逆らうことなく搬送することができる。
【0112】
また上述した実施の形態においては、測定ユニット用途登録画面D及び測定ユニット管理テーブルTBLを用いて、各測定ユニットの用途(初検測定用、初検測定用及び再検測定用、又は再検測定用)を登録できるようにした。このようにすれば、測定ユニット管理テーブルTBLの登録内容を編集することにより、測定ユニットに割り当てた用途を容易に変更することができる。例えば、再検が生じる率が著しく高い状態が生じた場合には、測定ユニット用途登録画面Dにおいて測定ユニットM3に対応するラジオボタンRB3を選択し直すことにより、初検測定用及び再検測定としていた測定ユニットM3の用途を、再検測定用に変更することができる。このようにすれば、測定ユニットM3を再検測定専用に用いることができ、再検測定対象の検体が多い場合でも効率よく処理できる。また、測定ユニットM3が故障して使用できない状態になった場合、測定ユニットM2について、測定ユニット用途登録画面DにおいてラジオボタンRB2を選択し直すことにより、初検測定用及び再検測定用として登録し直すことができる。このようにすれば、測定ユニットM1を初検測定専用に、測定ユニットM2を初検測定用及び再検測定用として使用することができる。
【0113】
また、上述した実施の形態においては、搬送装置に沿って配置する複数の測定ユニット(分析装置)として、3つの測定ユニット51,51,51を配置しているが、配置する測定ユニットの数はこれに限定されるものではない。2つの測定ユニットを配置し、一方を初検測定専用、もう一方を初検測定及び再検測定用に用いてもよい。あるいは、4つ以上の測定ユニットを配置し、そのうち1つを初検測定用及び再検測定用として用い、他の測定ユニットを初検測定専用に用いてもよい。
【0114】
また、上述した実施の形態においては、3つの測定ユニット51,51,51の構成を同一としたが、これに限定されるものではない。共通する測定項目を有していて、構成が異なる複数の測定ユニットを検体処理システムが備える構成であってもよい。
【0115】
また、上述した実施の形態においては、3つの測定ユニット51,51,51及び情報処理ユニット52が血球分析装置5を構成する例について説明したが、これに限定されるものではない。各測定ユニットが、それぞれの情報処理ユニットを有するようにしてもよい。また検体処理システムが、別個の分析装置を複数備えるようにしてもよい。
【0116】
また、上述した実施の形態においては、検体処理システム1が、検体に含まれる血球を分類し、また血球種毎に血球を計数する血球分析装置5を備える構成について述べたが、これに限定されるものではない。検体処理システムが、免疫分析装置、血液凝固測定装置、生化学分析装置、尿分析装置等の血球分析装置以外の検体分析装置の測定ユニットを複数備え、かかる検体分析装置の測定ユニットへ血液検体又は尿検体を搬送する構成としてもよい。
【0117】
また、上述した実施の形態においては、システム制御装置8のCPU81aがシステム制御用のプログラムを実行することにより、サンプルラックLの搬送先を決定する構成について述べたが、これに限定されるものではない。サンプルラックLの搬送先決定用プログラムと同様の処理を実行することが可能なFPGA又はASIC等の専用ハードウェアにより、サンプルラックLの搬送先を決定する処理を実行する構成としてもよい。
【0118】
また、上述した実施の形態においては、単一のコンピュータ8aによりコンピュータプログラム84aの全ての処理を実行する構成について述べたが、これに限定されるものではなく、上述したコンピュータプログラム84aと同様の処理を、複数の装置(コンピュータ)により分散して実行する分散システムとすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0119】
本発明の検体処理システム及び検体搬送システムは、検体を測定する複数の測定部へ検体を搬送する検体処理システム及び検体の搬送方法として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】実施の形態に係る検体処理システムの全体構成を示す概略平面図。
【図2】検体容器の外観を示す斜視図。
【図3】サンプルラックの外観を示す斜視図。
【図4】実施の形態に係る検体搬送装置の構成を示す平面図。
【図5】搬送機構が備える第1ベルトの構成を示す正面図。
【図6】搬送機構が備える第2ベルトの構成を示す正面図。
【図7】実施の形態に係る血球分析装置の測定ユニットの構成を示すブロック図。
【図8】実施の形態に係る血球分析装置の情報処理ユニットの構成を示すブロック図。
【図9】測定ユニット管理テーブルの構造を示す模式図。
【図10】実施の形態に係る塗抹標本作製装置の概略構成を示すブロック図。
【図11】システム制御装置の測定ユニット用途登録画面表示処理の手順を示すフローチャート。
【図12】システム制御装置の測定ユニット用途登録処理の手順を示すフローチャート。
【図13】システム制御装置の測定ユニット用途登録画面表示終了処理の手順を示すフローチャート。
【図14】システム制御装置の測定ユニット用途登録画面を示す図。
【図15】システム制御装置の第1搬送指示処理の手順を示すフローチャート。
【図16】搬送先決定処理の手順を示すフローチャート。
【図17】システム制御装置の第2搬送指示処理の手順を示すフローチャート。
【図18】システム制御装置の再検処理の手順を示すフローチャート。
【図19】検体搬送装置の制御部による搬送機構の制御処理の流れを示すフローチャート。
【図20】検体搬送装置の制御部による搬送機構の制御処理の流れを示すフローチャート。
【図21】検体搬送装置の制御部による搬送機構の制御処理の流れを示すフローチャート。
【図22】検体搬送装置の制御部による搬送機構の制御処理の流れを示すフローチャート。
【図23】実施の形態に係る血球分析装置による検体の分析動作の手順を示すフローチャート。
【図24】実施の形態に係る血球分析装置による検体の分析動作の手順を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0121】
1 検体処理システム
2 検体投入装置
3,301 検体搬送装置
31 搬送機構
32 制御部
4 検体収容装置
5 血球分析装置
51 測定ユニット
52 情報処理ユニット
52a コンピュータ
521a CPU
521b ROM
521c RAM
521d ハードディスク
522 画像表示部
523 入力部
524 可搬型記録媒体
524a コンピュータプログラム
6 塗抹標本作製装置
8 システム制御装置
8a コンピュータ
81a CPU
81b ROM
81c RAM
81d ハードディスク
9 ホストコンピュータ
L サンプルラック
M1 測定ユニット
M2 測定ユニット
M3 測定ユニット
T 検体容器
TBL 測定ユニット管理テーブル
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体を測定する複数の測定部(分析装置)及びそれらの測定部に検体を搬送する搬送装置を含む、検体処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
検体を収容した検体容器を自動的に分析装置に供給し、分析装置で連続的に検体を測定することが行なわれている。また、分析装置に供給するための検体容器を一時収容し、送り出す検体送出装置、複数の分析装置、及び測定後の検体が収容された検体を受け取り収容する検体受取装置を配置し、検体容器を搬送する搬送装置で各装置を接続するよう構成することにより、検体容器を前記搬送装置によって検体送出装置からいずれかの分析装置に供給して測定を行ない、測定後の検体容器を検体受取装置に収容するシステムが知られている。このようなシステムは、血液や尿といった検体の測定に用いられており、ある検体に対する最初の測定(初検)の結果が正常な範囲を逸脱していると判断された場合には、同じ検体に対して再検査(再検)を行なう。再検を行なう場合、初検が終了した検体を収容した検体容器が、システム内の分析装置に自動的に再供給される(例えば特許文献1や特許文献2を参照)。
【特許文献1】特開昭63−217273号公報
【特許文献2】特開2008−39554号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のようなシステムにおいては、初検測定に用いる分析装置とは別に、再検専用の分析装置を備えるよう構成する場合がある。このようにすれば、再検測定のオーダが生じた場合に、再検専用の分析装置を用いて速やかに再検測定を実施できる。しかしながら、再検が生じる率が低い傾向にある検査施設では、複数の分析装置のうち再検専用の分析装置が測定を実施する回数は、他の分析装置が初検測定を行なう回数に比べて著しく少なく、実際に稼動している時間が短くなる。すなわち、測定の多くを占める初検測定が初検専用の分析装置に集中する一方、再検専用の分析装置の検体測定能力が十分に活用されない。
【0004】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、複数の分析装置が検体搬送装置で接続されたシステムにおいて、初検測定用の分析装置、及び、初検測定用及び再検測定用の分析装置を備え、これら複数の分析装置に検体を効率よく分配し検体測定を処理するシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明の一の態様の検体処理システムは、検体容器を搬送する搬送装置と、前記搬送装置に沿って配置され、前記搬送装置から受け取った検体容器中の検体を測定するための、第一の分析装置と、前記搬送装置に沿って配置され、前記搬送装置から受け取った検体容器中の検体を測定するための、第二の分析装置と、前記搬送装置による検体容器の搬送先となる分析装置を決定し、当該決定した搬送先である分析装置に検体容器を搬送するよう前記搬送装置を制御する搬送制御装置と、を備える。この検体処理システムにおいて、前記第一の分析装置は初検測定を実施可能に構成されており、前記第二の分析装置は初検測定及び再検測定を実施可能に構成されており、前記搬送制御装置は、搬送する検体容器中の検体が初検測定の対象である場合、当該検体容器を前記第一及び第二の分析装置のいずれかに搬送するよう前記搬送装置を制御し、搬送する検体容器中の検体が再検測定の対象である場合、当該容器を前記第二の分析装置に搬送するよう前記搬送装置を制御する。
【0006】
上記態様において前記搬送制御装置は、前記第一の分析装置が初検測定用であり、前記第二の分析装置が初検測定用及び再検測定用であることを登録する登録部を備えることが好ましい。
【0007】
また本発明の別の態様の検体処理システムは、検体容器を搬送する搬送装置と、前記搬送装置に沿って配置され、前記搬送装置から受け取った検体容器中の検体を測定するための、第一の分析装置と、前記搬送装置に沿って配置され、前記搬送装置から受け取った検体容器中の検体を測定するための、第二の分析装置と、前記搬送装置による検体容器の搬送先となる分析装置を決定し、当該決定した搬送先である分析装置に検体容器を搬送するよう前記搬送装置を制御する搬送制御装置と、を備える。この検体処理システムにおいて、前記第一の分析装置は初検測定を実施可能に構成されており、前記第二の分析装置は初検測定及び再検測定を実施可能に構成されており、前記搬送制御装置は、前記第一の分析装置が初検測定用であり、前記第二の分析装置が初検測定用及び再検測定用であることを登録する登録部を備え、前記搬送制御装置は、前記登録部に登録された登録内容に基づき、前記搬送装置による検体容器の搬送先となる分析装置を決定する。
【0008】
上記態様において前記搬送制御部は、搬送する検体が再検測定の対象である場合、当該検体の搬送先となる分析装置を前記第二の分析装置に決定するよう構成されていることが好ましい。また前記搬送制御部は、搬送する検体が初検測定の対象である場合、当該検体の搬送先となる分析装置を前記第一又は第二の分析装置のいずれかに決定するよう構成されていることが好ましい。
【0009】
また上記各態様において、前記検体が初検測定の対象であり、前記検体を収容する検体容器が前記第一及び第二の分析装置のうち前記第一の分析装置に搬送された場合に、前記第一の分析装置が前記検体に対する初検測定を実施するよう構成されていることが好ましい。また前記初検測定の後に、前記検体に対する再検測定を行なう場合、前記搬送制御装置は、前記検体容器を前記第一の分析装置から前記第二の分析装置へ搬送するよう前記搬送装置を制御するよう構成されていることが好ましい。
【0010】
また上記各態様において、前記検体が初検測定の対象であり、前記検体を収容する検体容器が前記第一及び第二の分析装置のうち前記第二の分析装置に搬送された場合に、前記第二の分析装置が前記検体に対する初検測定を実施するよう構成されていることが好ましい。また前記初検測定の後に、前記検体に対する再検測定を行なう場合、前記搬送制御装置は、前記検体容器を前記第二の分析装置が検体を取得するための位置へ搬送するよう前記搬送装置を制御するよう構成されていることが好ましい。また前記搬送制御装置は、前記初検測定の後に、初検測定後の検体を収容する検体容器を前記第二の分析装置の近傍に待機させるよう前記検体搬送装置を制御するよう構成されていることが好ましい。
【0011】
また上記各態様において前記第二の分析装置は、前記第一の分析装置に対し、前記搬送装置による検体容器の搬送方向において下流側に位置するよう構成することが好ましい。また上記各態様において前記搬送装置は、当該搬送装置上の所定の位置に検体容器が存在するか否かを検出する検出器を備え、前記搬送制御装置は、前記検出器の検出結果に基づき、検体の搬送先となる分析装置を決定するよう構成することが好ましい。また前記所定の位置は、前記第一の分析装置近傍の第一位置、及び/又は、前記第一位置に検体容器を供給する前に検体容器を一時的に保持するための第二位置であることが好ましい。また前記所定の位置は、前記第二の分析装置近傍の第一位置、及び/又は、前記第一位置に検体容器を供給する前に検体容器を一時的に保持するための第二位置であることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る検体処理システムによれば、初検測定対象の検体、及び再検測定対象の検体を、複数の分析装置に適切に搬送し、検体を効率的に処理することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、本実施の形態において「初検」とは、患者から採取した検体を用いて特定の測定項目について測定を行なうことである。「再検」とは、前記初検で用いた検体の残りを用いて初検と共通する測定項目又は初検の測定項目と関連のある測定項目について測定を行なうことである。初検の測定結果が正常な範囲に入っていない場合や、同じ患者における過去の測定結果の傾向から大きく異なる結果が出た場合に、再検を行う場合がある。
【0014】
[検体処理システムの構成]
図1は、本実施の形態に係る検体処理システムの全体構成を示す概略平面図である。図1に示すように、検体処理システム1は、検体投入装置2と、検体搬送装置3,301と、検体収容装置4と、血球分析装置5と、塗抹標本作製装置6と、システム制御装置8とを備えている。また、本実施の形態に係る検体処理システム1は、通信ネットワークを介してホストコンピュータ9と通信可能に接続されている。
【0015】
<検体投入装置2の構成>
検体投入装置2は、2つの検体送出ユニット21a,21bと、当該2つの検体送出ユニット21a,21bの間に配置されたバーコード読取ユニット22とを備えている。当該検体投入装置2の検体送出ユニット21a,21bは、複数の検体容器を収納したサンプルラックを載置することができるように構成されている。検体送出ユニット21aに載置されたサンプルラックは、順番にバーコード読取ユニット22へ送出され、このバーコード読取ユニット22によりサンプルラックに貼布されたバーコードラベルのバーコードからラックIDが読み取られ、検体容器に貼付されたバーコードラベルのバーコードから検体IDが読み取られる。また、検体投入装置2の制御部は、LANを介してシステム制御装置8に通信可能に接続されており、上述のように読み取られたラックID及び検体IDがシステム制御装置8に送信される。また、バーコードの読み取りが終了したサンプルラックは、検体送出ユニット21bに搬送され、検体送出ユニット21bから検体搬送装置3へ送出されるように構成されている。
【0016】
図2は、検体容器の外観を示す斜視図であり、図3は、サンプルラックの外観を示す斜視図である。図2に示すように、検体容器Tは、管状をなしており、上端が開口している。内部には患者から採取された血液検体が収容され、上端の開口は蓋部Cにより密封されている。検体容器Tは、透光性を有するガラス又は合成樹脂により構成されており、内部の血液検体が視認可能となっている。また、検体容器Tの側面には、バーコードラベルBL1が貼付されている。このバーコードラベルBL1には、検体IDを示すバーコードが印刷されている。サンプルラックLは、10本の検体容器Tを並べて保持することが可能である。サンプルラックLでは、各検体容器Tが垂直状態(立位状態)で保持される。また、サンプルラックLの側面には、バーコードラベルBL2が貼付されている。このバーコードラベルBL2には、ラックIDを示すバーコードが印刷されている。
【0017】
<検体搬送装置3の構成>
次に、検体搬送装置3の構成について説明する。図1に示すように、検体処理システム1は、3つの検体搬送装置3を備えている。血球分析装置5の3つの測定ユニット51,51,51の前方には、各別に検体搬送装置3,3,3が配置されている。隣り合う検体搬送装置3,3は接続されており、サンプルラックLを受渡しすることが可能である。また、最も右側の検体搬送装置3は、上述した検体投入装置2に接続されており、検体投入装置2から搬出されたサンプルラックLを導入することが可能となっている。最も左側の検体搬送装置3は、検体搬送装置301に接続されており、検体搬送装置301へサンプルラックLを搬出することが可能となっている。
【0018】
図4は、検体搬送装置3の構成を示す平面図である。図4に示すように、検体搬送装置3は、検体を搬送する搬送機構31と、搬送機構31を制御する制御部32とを備えている。搬送機構31は、分析が行われる前の検体を収容する検体容器Tを保持する複数のサンプルラックLを一時的に保持することが可能な分析前ラック保持部33と、測定ユニット51によって検体が吸引された検体容器Tを保持する複数のサンプルラックLを一時的に保持することが可能な分析後ラック保持部34と、検体を測定ユニット51に供給するために、サンプルラックLを図中矢印X方向へ水平に直線移動させ、分析前ラック保持部33から受け付けたサンプルラックLを分析後ラック保持部34へ搬送するラック搬送部35と、搬送上流側の装置(検体投入装置2又は検体搬送装置3)からサンプルラックLを搬入し、このサンプルラックLに収容された検体を測定ユニット51に供給せずに、搬送下流側の装置(検体搬送装置3又は検体搬送装置301)へとサンプルラックLを搬出するラック搬送部321とを備えている。
【0019】
分析前ラック保持部33は、平面視において四角形をなしており、その幅はサンプルラックLの幅より若干大きくなっている。この分析前ラック保持部33は、周囲の面よりも一段低く形成されており、その上面に分析前のサンプルラックLが載置される。分析前ラック保持部33は、ラック搬送部321に連なっており、後述するラック送出部322によって、ラック搬送部321からサンプルラックLが送り込まれるようになっている。この分析前ラック保持部33の近傍には、ラックセンサ37が取り付けられており、ラックセンサ37によってサンプルラックLが検出されるラック検出位置33aが、分析前ラック保持部33上に設けられている。ラックセンサ37は、光学式センサであり、発光部37aと受光部37bとを備えている。発光部37aは、ラック検出位置33aの側方に設けられており、受光部37bは、ラック検出位置33aの前方に設けられている。発光部37aは、斜め前方へ向けて光を発するように配置されており、受光部37bはこの光を受けるように配置されている。したがって、ラック搬送部321から送り込まれたサンプルラックLは、ラック検出位置33aに位置し、これによって発光部37aから発せられた光がサンプルラックLによって遮られ、受光部37bの受光レベルが下がることにより、当該サンプルラックLがラックセンサ37により検出される。すなわち、ラック検出位置33aは、測定ユニットが検体容器から検体を採取するための位置に搬送される前に、検体容器を一時的に待機させるための位置である。またラックセンサ37は、この位置に検体容器(検体ラック)が存在するか否かを検出する。また、分析前ラック保持部33の両側面からは、内側へ向けてラック送込部33bが突出可能に設けられている。ラックセンサ37によりサンプルラックLが検出されたときに、このラック送込部33bが突出することによりサンプルラックLと係合し、この状態で後方(ラック搬送部35に近接する方向)へ移動することにより、サンプルラックLが後方へと移送される。かかるラック送込部33bは、分析前ラック保持部33の下方に設けられたステッピングモータ33cによって駆動可能に構成されている。
【0020】
ラック搬送部35は、図4に示すように、分析前ラック保持部33によって移送されたサンプルラックLを、前記X方向へと移送可能となっている。このラック搬送部35によるサンプルラックLの搬送経路上には、検体容器センサ38によって検体容器が検出される検体容器検出位置35a、及び血球分析装置5の測定ユニット51へ検体を供給するための検体供給位置35cが存在する。ラック搬送部35は、検体容器検出位置35aを経由して、検体供給位置35cに検体が搬送されるようにサンプルラックLを搬送可能に構成されている。検体供給位置35cは、検体容器検出位置35aから検体1つ分だけ搬送方向下流側の位置であり、ラック搬送部35により検体供給位置35cに検体が搬送された場合には、後述する血球分析装置5の測定ユニット51のハンド部が当該検体の検体容器Tを把持し、サンプルラックLから検体容器Tを取り出し、検体容器Tから検体の吸引を行うことによって、検体が測定ユニット51に供給される。ラック搬送部35は、かかる検体供給位置35cに検体容器を搬送した後、検体の供給が完了し、当該検体容器TがサンプルラックLへ戻されるまでの間、サンプルラックLの搬送を待機する。
【0021】
また、ラック搬送部35は、それぞれ独立して動作可能な第1ベルト351及び第2ベルト352の2つのベルトを有している。また、第1ベルト351及び第2ベルト352の矢印Y方向の幅b1及びb2は、それぞれサンプルラックLの矢印Y方向の幅Bの半分以下の大きさである。かかる第1ベルト351及び第2ベルト352は、ラック搬送部35がサンプルラックLを搬送するときにサンプルラックLの幅Bからはみ出ないように並列に配置されている。図5は、第1ベルト351の構成を示す正面図であり、図6は、第2ベルト352の構成を示す正面図である。図5及び図6に示すように、第1ベルト351及び第2ベルト352は、それぞれ環状に形成されており、第1ベルト351はローラ351a〜351cを取り囲むように配置され、第2ベルト352はローラ352a〜352cを取り囲むように配置されている。また、第1ベルト351の外周部には、サンプルラックLのX方向の幅Wよりも若干(例えば、1mm)大きい内幅w1を有するように2つの突起片351dが設けられており、同様に、第2ベルト352の外周部には、前記内幅w1と同程度の内幅w2を有するように2つの突起片352dが設けられている。第1ベルト351は、2つの突起片351dの内側にサンプルラックLを保持した状態において、ステッピングモータ351e(図4参照)によりローラ351a〜351cの外周を移動されることによって、サンプルラックLを矢印X方向に移動するように構成されている。第2ベルト352は、2つの突起片352dの内側にサンプルラックLを保持した状態において、ステッピングモータ352e(図4参照)によりローラ352a〜352cの外周を移動されることによって、サンプルラックLを矢印X方向に移動するように構成されている。また、第1ベルト351及び第2ベルト352は、互いに独立してサンプルラックLを移送可能に構成されている。すなわち、サンプルラックLを左右両方向に移送することが可能である。また、突起片351d及び突起片352dはそれぞれ、図示しない光学式センサを備えており、各突起片がそれらの内側にサンプルラックLを保持している状態であるか否かを検出するよう構成されている。すなわち、前記光学式センサは、測定ユニット51が検体容器から検体を採取するための位置に、検体容器が存在しているか否かを検出する。
【0022】
検体容器センサ38は、接触型のセンサであり、のれん形状の接触片、光を出射する発光素子、及び受光素子(図示せず)をそれぞれ有している。検体容器センサは、接触片が検出対象の被検出物に当接することにより屈曲され、その結果、発光素子から出射された光が接触片により反射されて受光素子に入射するように構成されている。これにより検体容器センサ38の下方をサンプルラックLに収容された検出対象の検体容器Tが通過する際に、接触片が検体容器Tにより屈曲されて、検体容器Tを検出することが可能である。
【0023】
ラック搬送部35を挟んで後述する分析後ラック保持部34に対向するようにラック送出部39が配置されている。かかるラック送出部39は、ステッピングモータ39aの駆動力により矢印Y方向に水平に直線移動するように構成されている。これにより、分析後ラック保持部34とラック送出部39との間の位置391(以下、「分析後ラック送出位置」という。)にサンプルラックLが搬送された場合に、ラック送出部39を分析後ラック保持部34側に移動することによって、サンプルラックLを押動させて分析後ラック保持部34内に移動することが可能である。このようにして、分析が完了したサンプルラックLが、ラック搬送部35から分析後ラック保持部34へ送出される。
【0024】
ラック搬送部321は、図中矢印X方向へ延びており、サンプルラックLを矢印X方向へ水平に直線移動させることが可能である。かかるラック搬送部321は、環状のベルト321a及びステッピングモータ321bを有しており、ステッピングモータ321bの駆動力によってベルト321aを矢印X方向へ回転させるように構成されている。これにより、ベルト321aの上に載置されたサンプルラックLをX方向へ移動可能である。また、分析前ラック保持部33の前側には、ラック搬送部321を挟んで分析前ラック保持部321に対向するようにラック送出部322が配置されている。かかるラック送出部322は、ステッピングモータ322aの駆動力により矢印Y方向に水平に直線移動するように構成されている。これにより、分析前ラック保持部33とラック送出部322との間の位置323(以下、「分析前ラック送出位置」という。)にサンプルラックLが搬送された場合に、ラック送出部322を分析前ラック保持部33側に移動することによって、サンプルラックLを押動させて分析前ラック保持部33内のラック検出位置33aに移動することが可能である。
【0025】
分析後ラック保持部34は、平面視において四角形をなしており、その幅はサンプルラックLの幅より若干大きくなっている。この分析後ラック保持部34は、周囲の面よりも一段低く形成されており、その上面に分析が完了したサンプルラックLが載置される。分析後ラック保持部34は、上記のラック搬送部35に連なっており、上述したように、ラック送出部39によって、ラック搬送部35からサンプルラックLが送り込まれるようになっている。分析後ラック保持部34の両側面からは、内側へ向けてラック送込部34bが突出可能に設けられている。ラック送出部39によりサンプルラックLが搬入されたときに、このラック送込部34bが突出することによりサンプルラックLと係合し、この状態で前方(ラック搬送部321に近接する方向)へ移動することにより、サンプルラックLが前方へと移送される。かかるラック送込部34bは、分析後ラック保持部34の下方に設けられたステッピングモータ34cによって駆動可能に構成されている。
【0026】
かかる構成とすることにより、搬送機構31には、検体供給位置35cを経由するサンプルラックLの搬送ラインである測定ラインL1と、検体供給位置35cを経由せずに、搬入したサンプルラックLをそのまま下流側の装置へ搬出する搬送ラインであるスキップラインL2とが形成されている。
【0027】
上記のような構成の搬送機構31は、制御部32によって制御される。制御部32は、CPU、ROM、及びRAM等(図示せず)から構成されており、ROMに格納された搬送機構31の制御プログラムをCPUで実行することが可能である。また、かかる制御部32は、Ethernet(登録商標)インタフェースを備えており、LANを介して情報処理ユニット52及びシステム制御装置8にそれぞれ通信可能に接続されている。
【0028】
上記のような構成とすることにより、検体搬送装置3は、検体投入装置2から搬送されたサンプルラックLを、ラック搬送部321により分析前ラック送出位置323へ搬送し、ラック送出部322により分析前ラック保持部33へ移送し、このサンプルラックLを分析前ラック保持部33からラック搬送部35へと送出し、さらにラック搬送部35によって搬送することにより、検体を血球分析装置5の測定ユニット51へと供給することができる。また、吸引が完了した検体を収容するサンプルラックLは、ラック搬送部35により、分析後ラック送出位置391へと移送され、ラック送出部39により分析後ラック保持部34へ送出される。分析後ラック保持部34に保持されたサンプルラックLは、ラック搬送部321へと移送され、ラック搬送部321により、後段の装置(検体搬送装置3又は301)へ搬出される。また、搬送下流側の測定ユニット51又は塗抹標本作成装置6にて処理する検体若しくは分析が完了した検体を収容するサンプルラックLを前段の装置から検体搬送装置3が受け入れた場合は、ラック搬送部321によってこのサンプルラックLが矢印X方向へと搬送され、後段の検体搬送装置3へそのまま搬出される。
【0029】
<検体搬送装置301の構成>
図1に示すように、塗抹標本作製装置6の前側には、検体搬送装置301が配置されている。この検体搬送装置301は、その右側端が、3つの検体搬送装置3,3,3の内、最も搬送下流側(図中左側)に位置する検体搬送装置3と接続されており、その左側端が、検体収容装置4に接続されている。
【0030】
試料搬送装置301は、コンベア302とラックスライダ303とを備えている。コンベア302には、それぞれ左右方向へ延びた2つのラック搬送路302a,302bが設けられている。塗抹標本作製装置6に近接するラック搬送路302aは、塗抹標本作製装置6に供給すべき検体を収容するサンプルラックLを搬送するための測定ラインである。一方、塗抹標本作製装置6から離れたラック搬送路302bは、塗抹標本作製装置6に供給すべき検体を収容していないサンプルラックLを搬送するためのスキップラインである。また、コンベア302は、CPU及びメモリを備えており、各動作機構を制御する制御部(図示せず)を備えている。
【0031】
ラックスライダ303は、コンベア302の右側に配置されており、コンベア302の測定ライン302a及びスキップライン302bへサンプルラックLの振り分け投入を行う。
【0032】
<検体収容装置4の構成>
検体収容装置4は、複数のサンプルラックLを載置することができるように構成されている。かかる検体収容装置4は、分析又は塗抹標本作製を終了したサンプルラックLを検体搬送装置301から受け取り、収容する。
【0033】
<血球分析装置5の構成>
血球分析装置5は、光学式フローサイトメトリー方式の多項目血球分析装置であり、血液検体に含まれる血球に関して側方散乱光強度、蛍光強度等を取得し、これらに基づいて検体中に含まれる血球を分類し、且つ、種類毎に血球数を計数し、このように分類された血球が種類毎に色分けされたスキャッタグラムを作成し、これを表示する。かかる血球分析装置5は、血液検体を測定する測定ユニット51と、測定ユニット51から出力された測定データを処理し、血液検体の分析結果を表示する情報処理ユニット52とを備えている。
【0034】
血球分析装置5は、図1に示すように、3つの測定ユニット51,51,51と、1つの情報処理ユニット52とを備えている。情報処理ユニット52は、3つの測定ユニット51,51,51と通信可能に接続されており、これらの3つの測定ユニット51,51,51の動作をそれぞれ制御可能である。また、情報処理ユニット52は、3つの測定ユニット51,51,51の前側にそれぞれ配置された3つの検体搬送装置3,3,3とも通信可能に接続されている。
【0035】
3つの測定ユニット51,51,51は、同一の構成であり、それぞれが分析装置として血液検体の測定を行なう。すなわち、血球分析装置5は、3つの分析装置及び情報処理ユニットを含むシステムである。図7は、測定ユニット51の構成を示すブロック図である。図7に示すように、測定ユニット51は、検体である血液を検体容器(採血管)Tから吸引する検体吸引部511と、検体吸引部511により吸引した血液から測定に用いられる測定試料を調製する試料調製部512と、試料調製部512により調製された測定試料から血球を検出する検出部513とを有している。また、測定ユニット51は、検体搬送装置3のラック搬送部35によって搬送されたサンプルラックLに収容された検体容器Tを測定ユニット51の内部に取り込むための取込口(図示せず)と、サンプルラックLから検体容器Tを測定ユニット51の内部に取り込み、検体吸引部511による吸引位置まで検体容器Tを搬送する検体容器搬送部515とをさらに有している。
【0036】
検体吸引部511の先端部には、吸引管(図示せず)が設けられている。また、検体吸引部511は、鉛直方向に移動可能であり、下方に移動されることにより、吸引位置まで搬送された検体容器Tの蓋部CPを前記吸引管が貫通し、内部の血液を吸引するように構成されている。
【0037】
試料調製部512は、染色試薬を収容する試薬容器512a、溶血剤を収容する試薬容器512b、及び希釈液を収容する試薬容器512cにチューブを介して接続されている。また、試料調製部512には、図示しないコンプレッサに接続されており、当該コンプレッサに発生される圧力により試薬容器512a,512b,512cからそれぞれの試薬を分取することが可能となっている。これらの試薬容器512a,512b,512cには、それぞれバーコードラベルが貼布されており、これらのバーコードラベルに試薬種類(試薬名)、ロット番号、製造日、有効期限の情報がバーコードとして記録されている。
【0038】
測定ユニット51には、試薬バーコード読取部517が設けられている。かかる試薬バーコードリーダ517はハンディバーコードリーダであり、試薬バーコードの読み取りの際には、オペレータがバーコード読取部517を持って試薬容器512a,512b,512cのバーコードを読み取らせる。このようにして読み取った試薬種類、ロット番号、製造日、有効期限の情報は、情報処理ユニット52へ送信される。
【0039】
検出部513は、RBC(赤血球)検出及びPLT(血小板)検出をシースフローDC検出法により行うことが可能である。このシースフローDC検出法によるRBC及びPLTの検出においては、検体と試薬容器512cに収容された希釈液とが混合された測定試料の測定が行われ、これにより得られた測定データを情報処理ユニット52が解析処理することによりRBC及びPLTの測定が行われる。また、検出部513は、HGB(ヘモグロビン)検出をSLS−ヘモグロビン法により行うことが可能であり、WBC(白血球)、NEUT(好中球)、LYMPH(リンパ球)、EO(好酸球)、BASO(好塩基球)、MONO(単球)、及びRET(網状赤血球)の検出を、半導体レーザを使用したフローサイトメトリー法により行うことが可能であるように構成されている。この検出部513では、白血球の5分類を伴わないWBCの検出、すなわち、NEUT、LYMPH、EO、BASO、MONOの検出を伴わないWBCの検出と、白血球の5分類を伴うWBCの検出とでは、検出方法が異なっている。白血球5分類を伴わないWBCの検出では、検体と、試薬容器512bに収容された溶血剤と、試薬容器512cに収容された希釈液とが混合された測定試料の測定が行われ、これにより得られた測定データを情報処理ユニット52が解析処理することによりWBCの測定が行われる。一方、白血球5分類を伴うWBCの検出では、試薬容器512aに収容された染色試薬と、試薬容器512bに収容された溶血剤と、試薬容器512cに収容された希釈液とが混合された測定試料の測定が行われ、これにより得られた測定データを情報処理ユニット52が解析処理することによりNEUT、LYMPH、EO、BASO、MONO、及びWBCの測定が行われる。RETの測定は、試薬容器512aにRET測定用染色試薬収容しておくことにより、白血球5分類を伴うWBCの検出を行なう際に、合わせて実施することができる。
【0040】
検体容器搬送部515は、検体容器Tを把持可能なハンド部515aを備えている。ハンド部515aは、互いに対向して配置された一対の把持部材を備えており、この把持部材を互いに近接及び離反させることが可能である。かかる把持部材を、検体容器Tを挟んだ状態で近接させることにより、検体容器Tを把持することができる。また、検体容器搬送部515は、ハンド部515aを上下方向及び前後方向(Y方向)に移動させることができ、さらに、ハンド部515aを揺動させることができる。これにより、サンプルラックLに収容され、供給位置35cに位置した検体容器Tをハンド部515aにより把持し、その状態でハンド部515aを上方に移動させることによりサンプルラックLから検体容器Tを抜き出し、ハンド部515aを揺動させることにより、検体容器T内の検体を撹拌することができる。
【0041】
また、検体容器搬送部515は、検体容器Tを挿入可能な穴部を有する検体容器セット部515bを備えている。上述したハンド部515aによって把持された検体容器Tは、撹拌完了後移動され、把持した検体容器Tを検体容器セット部515bの穴部に挿入する。その後、把持部材を離反させることにより、ハンド部515aから検体容器Tが開放され、検体容器セット部515bに検体容器Tがセットされる。かかる検体容器セット部515bは、図示しないステッピングモータの動力によって、Y方向へ水平移動可能である。測定ユニット51の内部には、バーコード読取部516が設けられている。検体容器セット部515bは、バーコード読取部516の近傍のバーコード読取位置516a及び検体吸引部511による吸引位置511aへ移動可能である。検体容器セット部515bがバーコード読取位置516aへ移動したときには、セットされた検体容器Tが図示しない回転機構により水平回転され、バーコード読取部516により検体バーコードが読み取られる。これにより、検体容器TのバーコードラベルBL1がバーコード読取部516に対して反対側に位置する場合でも、検体容器Tを回転させることにより、バーコードラベルBL1をバーコード読取部516へ向けることができ、バーコード読取部516に検体バーコードを読み取らせることが可能である。また、検体容器セット部515bが吸引位置へ移動したときには、検体吸引部511により、セットされた検体容器Tから検体が吸引される。
【0042】
次に、情報処理ユニット52の構成について説明する。情報処理ユニット52は、コンピュータにより構成されている。図8は、情報処理ユニット52の構成を示すブロック図である。情報処理ユニット52は、コンピュータ52aによって実現される。図8に示すように、コンピュータ52aは、本体521と、画像表示部522と、入力部523とを備えている。本体521は、CPU521a、ROM521b、RAM521c、ハードディスク521d、読出装置521e、入出力インタフェース521f、通信インタフェース521g、及び画像出力インタフェース521hを備えており、CPU521a、ROM521b、RAM521c、ハードディスク521d、読出装置521e、入出力インタフェース521f、通信インタフェース521g、及び画像出力インタフェース521hは、バス521jによって接続されている。
【0043】
CPU521aは、RAM521cにロードされたコンピュータプログラムを実行することが可能である。そして、後述するような検体分析用並びに測定ユニット51の制御用のコンピュータプログラム524aを当該CPU521aが実行することにより、コンピュータ52aが情報処理ユニット52として機能する。
【0044】
ROM521bは、マスクROM、PROM、EPROM、又はEEPROM等によって構成されており、CPU521aに実行されるコンピュータプログラム及びこれに用いるデータ等が記録されている。
【0045】
RAM521cは、SRAMまたはDRAM等によって構成されている。RAM521cは、ハードディスク521dに記録されているコンピュータプログラム524aの読み出しに用いられる。また、CPU521aがコンピュータプログラムを実行するときに、CPU521aの作業領域として利用される。
【0046】
ハードディスク521dは、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラム等、CPU521aに実行させるための種々のコンピュータプログラム及び当該コンピュータプログラムの実行に用いられるデータがインストールされている。後述するコンピュータプログラム524aも、このハードディスク521dにインストールされている。
【0047】
読出装置521eは、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、またはDVD−ROMドライブ等によって構成されており、可搬型記録媒体524に記録されたコンピュータプログラムまたはデータを読み出すことができる。また、可搬型記録媒体524には、コンピュータを情報処理ユニット52として機能させるためのコンピュータプログラム524aが格納されており、コンピュータ52aが当該可搬型記録媒体524からコンピュータプログラム524aを読み出し、当該コンピュータプログラム524aをハードディスク521dにインストールすることが可能である。
【0048】
なお、前記コンピュータプログラム524aは、可搬型記録媒体524によって提供されるのみならず、電気通信回線(有線、無線を問わない)によってコンピュータ52aと通信可能に接続された外部の機器から前記電気通信回線を通じて提供することも可能である。例えば、前記コンピュータプログラム524aがインターネット上のサーバコンピュータのハードディスク内に格納されており、このサーバコンピュータにコンピュータ52aがアクセスして、当該コンピュータプログラムをダウンロードし、これをハードディスク521dにインストールすることも可能である。
【0049】
また、ハードディスク521dには、例えば米マイクロソフト社が製造販売するWindows(登録商標)等のマルチタスクオペレーティングシステムがインストールされている。以下の説明においては、本実施の形態に係るコンピュータプログラム524aは当該オペレーティングシステム上で動作するものとしている。
【0050】
入出力インタフェース521fは、例えばUSB,IEEE1394,又はRS-232C等のシリアルインタフェース、SCSI,IDE,又は IEEE1284等のパラレルインタフェース、及びD/A変換器、A/D変換器等からなるアナログインタフェース等から構成されている。入出力インタフェース521fには、キーボード及びマウスからなる入力部523が接続されており、ユーザが当該入力部523を使用することにより、コンピュータ52aにデータを入力することが可能である。また、入出力インタフェース521fは、3つの測定ユニット51,51,51に接続されている。これにより、3つの測定ユニット51,51,51のそれぞれとの間でデータの送受信が可能となっている。
【0051】
通信インタフェース521gは、Ethernet(登録商標)インタフェースである。通信インタフェース521gはLANを介してシステム制御装置8に接続されている。コンピュータ52aは、通信インタフェース521gにより、所定の通信プロトコルを使用して当該LANに接続されたシステム制御装置8との間でデータの送受信が可能である。また、かかる通信インタフェース521gは、上記のLANを介してホストコンピュータ9及び各検体搬送装置3,3,3に通信可能に接続されている。
【0052】
画像出力インタフェース521hは、LCDまたはCRT等で構成された画像表示部522に接続されており、CPU521aから与えられた画像データに応じた映像信号を画像表示部522に出力するようになっている。画像表示部522は、入力された映像信号にしたがって、画像(画面)を表示する。
【0053】
<塗抹標本作製装置6の構成>
塗抹標本作製装置6は、血液検体を吸引し、スライドガラス上に滴下して、その血液検体をスライドガラス上で薄く引き延ばし、乾燥させた上で、当該スライドガラスに染色液を供給してスライドガラス上の血液を染色することにより、塗抹標本を作製する。
【0054】
図10は、塗抹標本作製装置6の概略構成を示すブロック図である。図10に示すように、塗抹標本作製装置6は、検体分注部61と、塗抹部62と、スライドガラス搬送部63と、染色部64と、制御部65とを備えている。
【0055】
検体分注部61は、吸引管(図示せず)を備えており、この吸引管を検体搬送装置3の測定ライン31a上を搬送されたサンプルラックLの検体容器Tの蓋部Cに突き刺して、この検体容器Tから血液検体を吸引する。また、検体分注部61は、吸引した血液検体をスライドガラス上に滴下するように構成されている。塗抹部62は、スライドガラス上に滴下された血液検体を塗抹して乾燥させ、さらに、スライドガラスに印字するように構成されている。
【0056】
スライドガラス搬送部63は、塗抹部62によって血液検体が塗抹されたスライドガラスを図示しないカセットに収容させ、さらにそのカセットを搬送するために設けられている。染色部64は、スライドガラス搬送部63によって染色位置まで搬送されたカセット内のスライドガラスに対して、染色液を供給する。制御部65は、検体搬送装置3から与えられた標本作製指示にしたがって、検体分注部61、塗抹部62、スライドガラス搬送部63、及び染色部64を制御し、上記の塗抹標本作製動作を実行させる。
【0057】
<システム制御装置8の構成>
システム制御装置8は、コンピュータにより構成されており、検体処理システム1の全体を制御する。このシステム制御装置8は、検体投入装置2からサンプルラックLの番号を受け付け、そのサンプルラックLの搬送先を決定する。
【0058】
システム制御装置8は、コンピュータ8aによって実現される。図8に示すように、コンピュータ8aは、本体81と、画像表示部82と、入力部83とを備えている。本体81は、CPU81a、ROM81b、RAM81c、ハードディスク81d、読出装置81e、入出力インタフェース81f、通信インタフェース81g、及び画像出力インタフェース81hを備えており、CPU81a、ROM81b、RAM81c、ハードディスク81d、読出装置81e、入出力インタフェース81f、通信インタフェース81g、及び画像出力インタフェース81hは、バス81jによって接続されている。
【0059】
ハードディスク81dは、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラム等、CPU81aに実行させるための種々のコンピュータプログラム及び当該コンピュータプログラムの実行に用いられるデータがインストールされている。後述するシステム制御プログラム84aも、このハードディスク81dにインストールされている。
【0060】
また、ハードディスク81dには、測定ユニット管理テーブルTBLが設けられている。図9は、測定ユニット管理テーブルTBLの構造を示す模式図である。測定ユニット管理テーブルTBLは、各測定ユニットに割り当てられた用途の管理を行うためのデータである。各測定ユニットは、初検測定用として、或いは、初検測定及び再検測定用として用いられる。これら測定ユニットごとに割り当てられた用途が、測定ユニット管理テーブルTBLに登録されている。テーブル中で、測定ユニットIDとは、3つの測定ユニット51,51,51のそれぞれを区別するために用いられる情報である。各測定ユニット51には、それぞれ固有の測定ユニットIDが割り当てられている。本実施の形態における測定ユニット51,51,51に対しては、搬送上流側から下流側へ向かう順番で「M1」、「M2」、「M3」の測定ユニットIDがそれぞれ割り当てられている。
【0061】
測定ユニット管理テーブルTBLには、測定ユニットIDを示すフィールドF1、測定ユニットが初検測定用であるか否かを示すフィールドF2、測定ユニットが再検測定用であるか否かを示すフィールドF3、が設けられている。フィールドF2、フィールドF3では「0」または「1」のフラグが設定されるようになっている。フィールドF2においてフラグが「1」である場合は、その測定ユニットが初検測定に用いられることを意味し、フラグが「0」である場合は、その測定ユニットが初検測定に用いられないことを意味する。また、フィールドF3においてフラグが「1」である場合は、その測定ユニットが再検測定に用いられることを意味し、フラグが「0」である場合は、その測定ユニットが再検測定に用いられないことを意味する。図9に示した例では、測定ユニットM1及びM2はいずれも初検測定専用であり、測定ユニットM3は初検測定に加えて再検測定を行なうよう、設定登録されている。なお、本実施の形態においては、測定ユニットM1、M2、M3のいずれにおいても、RBC、PLT、WBC、NEUT、LYMP、EO、BASO、MONOの各測定項目を初検において測定する。従って、測定ユニットM1、M2、M3は、初検測定として共通の測定項目の測定を行なう。一方、測定ユニットM3における再検測定では、上記各測定項目に加え、RETを測定する。従って、再検測定に特有のRET測定用染色試薬を備えているのは測定ユニットM3のみである。
【0062】
読出装置81eは、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、またはDVD−ROMドライブ等によって構成されており、可搬型記録媒体84に記録されたコンピュータプログラムまたはデータを読み出すことができる。また、可搬型記録媒体84には、コンピュータをシステム制御装置8として機能させるためのシステム制御プログラム84aが格納されており、コンピュータ8aが当該可搬型記録媒体84からシステム制御プログラム84aを読み出し、当該システム制御プログラム84aをハードディスク81dにインストールすることが可能である。
【0063】
入出力インタフェース81fは、例えばUSB,IEEE1394,又はRS-232C等のシリアルインタフェース、SCSI,IDE,又は IEEE1284等のパラレルインタフェース、及びD/A変換器、A/D変換器等からなるアナログインタフェース等から構成されている。入出力インタフェース81fには、キーボード及びマウスからなる入力部83が接続されており、ユーザが当該入力部83を使用することにより、コンピュータ52aにデータを入力することが可能である。
【0064】
通信インタフェース81gは、Ethernet(登録商標)インタフェースである。通信インタフェース81gはLANを介して検体投入装置2、検体搬送装置3、検体収容装置4、情報処理ユニット52、及びホストコンピュータ9に接続されている。コンピュータ8aは、通信インタフェース81gにより、所定の通信プロトコルを使用して当該LANに接続された上記の各装置との間でデータの送受信が可能である。
【0065】
なお、システム制御装置8のその他の構成は、上述した情報処理ユニット52の構成と同様であるので、その説明を省略する。
【0066】
<ホストコンピュータ9の構成>
ホストコンピュータ9は、コンピュータにより構成されており、CPU、ROM、RAM、ハードディスク、通信インタフェース等を備えている。通信インタフェースは、上述したLANに接続されており、システム制御装置8、血球分析装置5の情報処理ユニット52、検体投入装置2、検体搬送装置3、及び検体収容装置4と通信することが可能である。また、ハードディスクには、測定オーダが格納されている。測定オーダには、検体ID及び実施対象の測定項目の情報が含まれている。ホストコンピュータ9は、他の装置から検体IDを含む測定オーダの要求データを受信したときには、この検体IDに対応する測定データをハードディスクから読み出し、要求元の装置へ送信するように構成されている。その他、ホストコンピュータ9の構成は、上述した他のコンピュータの構成と同様であるので、その説明を省略する。
【0067】
以下、本実施の形態に係る検体処理システム1の動作について説明する。
【0068】
[測定ユニット用途登録動作]
次に、検体処理システム1の測定ユニット用途登録動作について説明する。検体処理システム1において、各測定ユニット51,51,51は、初検測定用として、或いは、初検測定及び再検測定用として用いられる。これら測定ユニットごとに割り当てられた用途が、測定ユニット管理テーブルTBLに登録される。測定ユニット用途登録は、システム制御装置8において行なわれる。
【0069】
図11は、システム制御装置8の測定ユニット用途登録画面表示処理の手順を示すフローチャートである。オペレータ又はサービスマンは、測定ユニット用途の登録を行うときに、システム制御装置8の入力部83を操作して、測定ユニット用途登録画面の表示指示を入力する。これにより測定ユニット用途登録画面の表示指示がCPU81aに与えられる(ステップS201)。システム制御装置8のCPU81aにより実行されるコンピュータプログラム84aはイベントドリブン型のプログラムであり、CPU81aにおいては、搬送モード設定画面の表示指示を受け付けるイベントが発生すると、ステップS202の処理が呼び出される。
【0070】
ステップS202において、CPU81aは、測定ユニット用途登録画面を画像表示部82に表示させ(ステップS202)、処理を終了する。図14は、測定ユニット用途登録画面を示す図である。図に示すように、測定ユニット用途登録画面Dには、測定ユニットM1,M2,M3ごとに、用途(初検測定用、初検測定用及び再検測定用、または再検測定用)を選択するラジオボタンRB1〜RB3が設けられている。ラジオボタンRB1〜RB3は、それぞれオペレータ又はサービスマンが入力部83に所定の操作(例えば、マウスの左ボタンのクリック)を行うことにより選択可能である。各測定ユニットラジオボタンRB1を選択した場合、対応する測定ユニットの用途が初検測定用として登録される。RB2を選択した場合、対応する測定ユニットの用途が初検測定用及び再検測定用として登録される。RB3を選択した場合、対応する測定ユニットの用途が再検測定用として登録される。また、図に示すように、測定ユニット用途登録画面Dには測定ユニット用途登録画面Dの表示終了指示を受け付けるための選択可能なクローズボタンCB1が設けられている。
【0071】
図12は、測定ユニット用途登録画面における測定ユニット用途登録処理の手順を示すフローチャートである。オペレータ又はサービスマンは、測定ユニット用途登録Dが表示されている状態において、ラジオボタンRB1〜RB3から、各測定ユニットにおいて所望する用途のラジオボタンを選択し、このラジオボタンの選択による測定ユニットごとの用途(初検測定用、初検測定及び再検測定用、又は再検測定用)の設定登録指示がCPU81bに与えられる(ステップS211)。CPU81aは、ラジオボタンRB1〜RB3の何れかの選択を受け付けるイベントが発生した場合には、各測定ユニットについて選択された用途を設定する(ステップS212)。この処理は、ハードディスク81dに設けられている測定ユニット管理テーブルTBLの測定ユニット用途フラグを設定することにより行われる。つまり、ラジオボタンRB1が選択された場合には、対応する測定ユニットのフィールドF2の初検フラグが「1」にセットされ、フィールドF3の再検フラグが「0」にセットされる。ラジオボタンRB2が選択された場合には、対応する測定ユニットのフィールドF2の初検フラグが「1」にセットされ、フィールドF3の再検フラグも「1」にセットされる。ラジオボタンRB3が選択された場合には、対応する測定ユニットのフィールドF2の初検フラグが「0」にセットされ、フィールドF3の再検フラグが「1」にセットされる。この後、CPU81bは、処理を終了する。
【0072】
図13は、測定ユニット用途登録画面の表示終了処理の流れを示すフローチャートである。オペレータ又はサービスマンは、測定ユニット用途の登録が終了した後、クローズボタンB1を選択する。CPU81aは、このクローズボタンB1の選択を受け付けるイベントが発生した場合には(ステップS221)、測定ユニット用途登録画面Dの表示を終了し(ステップS222)、処理を終了する。
【0073】
[検体搬送動作]
<検体投入装置2の動作>
オペレータは、検体容器Tを収容したサンプルラックLを検体送出ユニット21aに載置し、検体送出ユニット21aの操作パネル(図示せず)を操作して、検体分析システム1に分析開始の指示を与える。検体送出ユニット21aの制御部は、かかる分析開始の指示を受け付け、これによりサンプルラックLの移送を開始する。検体送出ユニット21aに載置されたサンプルラックLは、検体送出ユニット21a上を後方へ移送され、その後、サンプルラックLは左方向へと移送され、バーコード読取ユニット22へと受け渡される。
【0074】
バーコード読取ユニット22に導入されたサンプルラックLは、バーコード読取ユニット22の制御部により、搬送路上を左方向へ1ピッチ毎に移送される。そして、サンプルラックLのラックバーコード及び検体容器Tの検体バーコードがバーコードリーダにより読み取られる。次いで、サンプルラックがさらに左方向へ移送され、検体送出ユニット21bへこのサンプルラックLが移送される。検体送出ユニット21bの制御部は、受け入れたサンプルラックLを移送する。その後、検体投入装置2が、読み取ったラックID及び検体IDを含む搬出要求データをシステム制御装置8へ送信し、システム制御装置8から送信される搬出指示データを待機する。検体投入装置2は、システム制御装置8から搬出指示データを受信したときには、サンプルラックLを隣接する検体搬送装置3へ搬出し、搬出完了データをシステム制御装置8へ送信する。
【0075】
<システム制御装置8の動作>
次に、システム制御装置8の動作について説明する。検体投入装置2に保持された検体について初検測定を行なう場合、システム制御装置8は、検体投入装置2から搬出要求データを受信し、この搬出要求データに含まれる検体IDを用いて、サンプルラックLの搬送先を決定する。以下、この動作を詳しく説明する。
【0076】
図15は、システム制御装置8の第1搬送指示処理の手順を示すフローチャートである。第1搬送指示処理では、サンプルラックLの搬送先が決定され、M1の測定ユニット51の前方に配置された検体搬送装置3に搬送指示が与えられる。検体投入装置2から送信された搬出要求データは、システム制御装置8の通信インタフェース81gにより受信される(ステップS301)。CPU81aにおいて、搬出要求データを受信するイベントが発生すると、ステップS302の処理が呼び出される。
【0077】
ステップS302において、CPU81aは、受信した搬出要求データに含まれる全ての検体IDを送信し、ホストコンピュータ9へ検体IDに対応する測定オーダを要求する(ステップS302)。CPU81aは、測定オーダの受信を待機し(ステップS303においてNO)、ホストコンピュータ9から送信された測定オーダがシステム制御装置8に受信されると(ステップS303においてYES)、受信した測定オーダをラックIDに対応付けてハードディスク81dに記憶する(ステップS304)。次に、CPU81aは、このサンプルラックLの搬送先を決定する(ステップS305)。
【0078】
ここで、ステップS305の搬送先決定処理について説明する。図16は、搬送先決定処理の手順を示すフローチャートである。CPU81aはまず、測定ユニット管理テーブルTBLの測定ユニット用途フラグを読み出し、現在の登録状況を確認する。ここでは、測定ユニットM1及びM2がいずれも初検専用として登録されており、搬送方向最下流にある測定ユニットM3が初検用及び再検用として登録されている(ステップS311)。
【0079】
次に、CPU81aは、搬送方向最下流にある測定ユニットM3に対応する検体搬送装置3のラック搬送部35及びラック検出位置33aにおけるサンプルラックの有無を判定する(ステップS312)。ラック搬送部35、ラック検出位置33aのいずれにもサンプルラックが存在しない場合(ステップS312においてYES)、これから搬送しようとしているサンプルラックLの搬送先を測定ユニットM3に決定する(ステップS313)。ラック搬送部35、ラック検出位置33aのいずれか又は両方にサンプルラックが存在すると判断した場合(ステップS312においてNO)、CPU81aは、測定ユニットM3に次いで搬送方向下流にある測定ユニットM2に対応する検体搬送装置3のラック検出位置33aにおけるサンプルラックの有無を判定する(ステップS314)。ラック検出位置33aにサンプルラックが存在しない場合(ステップS314においてYES)、これから搬送しようとしているサンプルラックLの搬送先を測定ユニットM2に決定する(ステップS315)。ラック検出位置33aにサンプルラックが存在すると判断した場合(ステップS314においてNO)、CPU81aは、搬送方向最上流にある測定ユニットM1に対応する検体搬送装置3のラック検出位置33aにおけるサンプルラックの有無を判定する(ステップS316)。ラック検出位置33aにサンプルラックが存在しない場合(ステップS316においてYES)、これから搬送しようとしているサンプルラックLの搬送先を測定ユニットM1に決定する(ステップS317)。ラック検出位置33aにサンプルラックが存在すると判断した場合(ステップS316においてNO)、現在搬送先として適切な測定ユニットが存在しないため、所定時間待機し(ステップS318)、その後ステップS312に戻り、それ以降のステップを繰り返す。
【0080】
なお、上記ステップS312、S314、及びS316において、分析ユニットM1、M2、またはM3の、ラック搬送部35又はラック検出位置33aにおけるサンプルラックの有無の判定を行なう際、CPU81aが検体搬送装置3の制御部32に問い合わせ、各位置におけるサンプルラックの有無を判定する。検体搬送装置3の制御部32は、第1ベルト351の突起片351d及び第2ベルト352の突起片352dが有する光学式センサにより、ラック搬送部35におけるサンプルラックの存在を検知する。また検体搬送装置3の制御部32は、分析前ラック保持部の近傍に備えられたラックセンサ37により、ラック検出位置33aにおけるサンプルラックの存在を検知する。
【0081】
以上のように構成することにより、初検測定と再検測定を両方行なう測定ユニットM3に対しては、現在測定中の検体がなく、且つ測定を待機している検体もない場合のみ、初検測定の検体を搬送するようにしている(ステップS312においてYES)。また、測定ユニットM3に測定中の検体又は待機中の検体がある場合には、初検測定対象である検体を搬送しないようにしている。従って、測定ユニットM1、M2及びM3のうち唯一再検測定用に用いられている測定ユニットM3に初検測定対象検体が集中し、再検測定対象である検体の測定ができないという状態を回避できる。また、原則として搬送方向下流側の測定ユニットに対して優先的に検体を搬送することにより、測定後の検体をいち早く検体収容装置4に搬送し、一連の測定処理を速やかに完了させることができる。
【0082】
次に、CPU81aは、検体投入装置2に隣接する検体搬送装置3(つまり、図1中で最も右側の検体搬送装置3)へ、決定した搬送先に基づいて、サンプルラックLの搬入準備指示データを送信する(ステップS306)。この搬入準備指示データは、この検体搬送装置3においてサンプルラックLを搬送する搬送ライン(測定ラインL1又はスキップラインL2)を示すデータ(以下、「使用搬送ライン指示データ」という)、及びサンプルラックLの各検体の測定オーダを含んでいる。つまり、このサンプルラックLの搬送先が、M1の測定ユニット51である場合には、搬入準備指示データにおいて、使用搬送ライン指示データとして測定ラインL1を示すデータがセットされる。一方、M2又はM3の測定ユニット51が搬送先として決定されている場合には、搬入準備指示データにおいて、使用搬送ライン指示データとしてスキップラインL2を示すデータがセットされる。この搬入準備指示データを受信した検体搬送装置3は、搬入準備指示データに含まれる使用搬送ライン指示データによって示される搬送機構の準備動作(サンプルラックLの受け入れを可能とする動作)を実行し、その後、搬入準備完了データを送信する。
【0083】
CPU81aは、前記検体搬送装置3から搬入準備完了データを待機する(ステップS307においてNO)。搬入準備完了データが検体搬送装置3から送信され、この搬入準備完了データをシステム制御装置8が受信した場合には(ステップS307においてYES)、CPU81aは、検体投入装置2へ、サンプルラックLの搬出指示データを送信する(ステップS308)。検体投入装置2は、上述したように、搬出指示データを受信したときには、サンプルラックLを検体搬送装置3へ搬出し、搬出完了データを送信する。CPU81aは、前記検体投入装置2から搬出完了データを待機する(ステップS309においてNO)。搬出完了データが検体投入装置2から送信され、この搬出完了データをシステム制御装置8が受信した場合には(ステップS309においてYES)、CPU81aは、検体搬送装置3から搬入完了データを待機する(ステップS310においてNO)。搬入完了データが検体搬送装置3から送信され、この搬入完了データをシステム制御装置8が受信した場合には(ステップS310においてYES)、CPU81aは、処理を終了する。
【0084】
次に、システム制御装置8の第2搬送指示処理について説明する。第2搬送指示処理では、M2又はM3の測定ユニット51の前方に配置された検体搬送装置3に搬送指示が与えられる。図17は、第2搬送指示処理の手順を示すフローチャートである。検体搬送装置3によりサンプルラックLが搬送され、サンプルラックLを後段の検体搬送装置3(又は検体搬送装置301)へ搬出するための搬出位置にサンプルラックLが到達したときには、このサンプルラックLのラックIDを含む搬出要求データが検体搬送装置3から送信される。検体搬送装置3から送信された搬出要求データは、システム制御装置8の通信インタフェース81gにより受信される(ステップS321)。CPU81aにおいては、検体搬送装置3から搬出要求データを受信するイベントが発生すると、ステップS322の処理が呼び出される。
【0085】
ステップS322において、CPU81aは、当該検体搬送装置3の後段の検体搬送装置3へ、搬送先決定処理で決定された搬送先に基づいて、サンプルラックLの搬入準備指示データを送信する(ステップS322)。この搬入準備指示データは、上述した搬入準備指示データと同様であるので、その説明を省略する。
【0086】
次に、CPU81aは、前記検体搬送装置3から搬入準備完了データを待機する(ステップS323においてNO)。搬入準備完了データが検体搬送装置3から送信され、この搬入準備完了データをシステム制御装置8が受信した場合には(ステップS323においてYES)、CPU81aは、前段(搬出側)の検体搬送装置3へ、サンプルラックLの搬出指示データを送信する(ステップS324)。前段の検体搬送装置3は、搬出指示データを受信したときには、サンプルラックLを後段の検体搬送装置3へ搬出し、搬出完了データを送信する。CPU81aは、前段の検体搬送装置3から搬出完了データを待機し(ステップS325においてNO)、搬出完了データが前段の検体搬送装置3から送信され、この搬出完了データをシステム制御装置8が受信した場合には(ステップS325においてYES)、CPU81aは、後段の検体搬送装置3から搬入完了データを待機する(ステップS326においてNO)。搬入完了データが後段の検体搬送装置3から送信され、この搬入完了データをシステム制御装置8が受信した場合には(ステップS326においてYES)、CPU81aは、処理を終了する。
【0087】
<システム制御装置8における再検処理動作>
初検測定が完了した検体について再検オーダが発生した場合、当該検体が再検測定用の測定ユニットに搬送されるよう、システム制御装置8は検体搬送装置3を制御する。図18は、システム制御装置8のCPU81aにおける再検処理を説明するフローチャートである。まず、情報処理ユニット52から再検測定オーダを受信する(ステップS601)。再検測定オーダには、検体IDや患者情報など初検の測定オーダに含まれているのと同様のものに加え、再検測定項目、初検測定を行なった測定ユニットの測定ユニットIDに関する情報が含まれている。次にCPU81aは、検体の搬送先を決定する(ステップS602)。ここでは、測定ユニット管理テーブルTBLの登録内容に基づき、再検測定用の測定ユニットがM1、M2、M3のいずれであるか確認し、再検測定用として登録されている測定ユニットを検体の搬送先として決定する。本例では、測定ユニットM3が再検測定用に登録されているので、測定ユニットM3が検体の搬送先となる。次にCPU81aは、検体を再検測定するため検体搬送装置3に搬送指示を送信し(ステップ602)、処理を終了する。なお、初検測定を終了し再検測定対象となった検体の容器を保持するサンプルラックは、検体搬送装置3の検体送出位置391に待機している。従って、初検測定を行なった測定ユニットが測定ユニットM3であれば、同じ測定ユニットで再検測定を行なうため、検出送出位置391にあるサンプルラックを逆方向に搬送し、再検測定対象の検体容器が検体供給位置35cに位置するよう、検体搬送装置3を制御する。初検測定を行なった測定ユニットが測定ユニットM1またはM2であれば、検体を測定ユニットM3へ搬送するよう検体搬送装置3を制御する。
【0088】
<検体搬送装置3の制御部32の動作>
ここでは、測定ユニット51の前方に配置された検体搬送装置3の制御部32の動作について説明する。図19、図20、図21及び図22は、制御部32による搬送機構31の制御処理の流れを示すフローチャートである。システム制御装置8から送信された搬入準備指示データは、制御部32により受信される(ステップS401)。制御部32のCPUにより実行される搬送制御プログラムはイベントドリブン型のプログラムであり、制御部32においては、搬入準備指示データを受信するイベントが発生すると、ステップS402の処理が呼び出される。
【0089】
ステップS402において、制御部32は、搬送機構31のベルト321aを駆動する等して、搬入準備動作を実行する(ステップS402)。搬入準備が完了したときには、制御部32は、搬入準備が完了したことを通知するための搬入準備完了データをシステム制御装置8へ送信する(ステップS403)。
【0090】
搬入準備完了データの送信に応じて、サンプルラックLが前段の装置から搬出され、これによってサンプルラックLが搬送機構31に搬入される(ステップS404)。サンプルラックLの搬入が完了したときには、制御部32は、サンプルラックLの搬入完了を通知するための搬入完了データをシステム制御装置8へ送信する(ステップS405)。
【0091】
次に、制御部32は、搬入準備指示データに含まれる使用搬送ライン指示データが、測定ラインL1及びスキップラインL2のいずれを示しているか、すなわち、測定ラインL1及びスキップラインL2のいずれが使用対象の搬送ラインであるかを判定する(ステップS406)。ステップS406において、搬入準備指示データに含まれる使用搬送ライン指示データが測定ラインL1を示している場合、すなわち、測定ラインL1が使用対象の搬送ラインである場合には(ステップS406において「測定ラインL1」)、サンプルラックLの検体容器Tに収容されている検体が初検測定対象であるか、再検測定対象であるかを、搬入準備指示データに含まれる測定オーダに含まれる測定オーダに基づき判定する(ステップS407)。再検測定対象であれば(ステップS407においてNO)、ステップS425に進む。初検測定対象であれば(ステップS407においてYES)、制御部32は、搬送機構31を制御して、サンプルラックLの検体容器Tの保持部の内、図3において最も左側に位置する保持部が検体容器検出位置に到達するまで移送する(ステップS408)。次に、制御部32は、サンプルラックLにおける検体容器Tの保持位置を示す変数iに1をセットし(ステップS409)、検体容器センサ38によって検体容器検出位置に検体容器Tが検出されたか否かを判定し(ステップS410)、検体容器Tが検出された場合には(ステップS410においてYES)、サンプルラックLを1検体分左方向へ移送し(ステップS411)、情報処理ユニット51へ検体の吸引指示を示す検体吸引指示データを送信する(ステップS412)。これにより、検体容器センサ38によって検出された検体容器Tが検体供給位置35cに位置することとなり、後述するように検体が吸引される。制御部32は、検体吸引完了データを受信するまで待機し(ステップS413においてNO)、検体吸引完了データを受信した場合に(ステップS413においてYES)、処理をステップS415へ進める。
【0092】
一方、ステップS410において検体容器Tが検出されなかった場合には(ステップS410においてNO)、制御部32は、サンプルラックLを1検体分左方向へ移送し(ステップS414)、処理をステップS415へ進める。ステップS415において、制御部32は、iが10以上であるか否かを判定し(ステップS415)、iが10未満である場合には(ステップS415においてNO)、iを1インクリメントし(ステップS416)、ステップS410へ処理を戻す。
【0093】
ステップS415において、iが10以上である場合には(ステップS415においてYES)、制御部32は、処理をステップS417へ進める。
【0094】
以下、処理を行なっている制御部32が、測定ユニットM3に対応する検体搬送装置3のものである場合の、ステップS417、ステップS418について説明する。ステップS417では、搬送制御装置8から再検搬送指示を受信したか判定する(ステップS417)。再検搬送指示を受信したと判定した場合(ステップS417においてYES)、ステップS425に進む(図21参照)。ステップS425以下ステップS428までの処理については後述する。再検搬送指示を受信していないと判定した場合(ステップS417においてNO)、血球分析装置5の情報処理ユニット52が備えるCPU521aから再検不要通知を受信したか判定する(ステップS418)。再検不要通知を受信したと判定した場合(ステップS418においてYES)、ステップS419へ処理を進める。再検不要通知を受信していない判定した場合(ステップS418においてNO)、ステップS417へ処理を戻す。すなわち、再検搬送指示又は再検不要通知のいずれかを受信するまでは、サンプルラックLを搬出せず、測定ユニット近傍に待機させるよう構成している。
【0095】
一方、処理を行なっている制御部32が、測定ユニットM1またはM2に対応する検体搬送装置3のものである場合、前述の処理と比較して、ステップS417における処理にのみ相違がある。図22に示すように、ステップS417において、再検搬送指示を受信したと判定した場合(ステップS417においてYES)、ステップS419に処理を進める。再検搬送指示を受信していないと判定した場合(ステップS417においてNO)、前述の処理と同様、血球分析装置5の情報処理ユニット52が備えるCPU521aから再検不要通知を受信したか判定し(ステップS418)、再検不要通知を受信したと判定した場合(ステップS418においてYES)、ステップS419へ処理を進め、再検不要通知を受信していない判定した場合(ステップS418においてNO)はステップS417へ処理を戻す。
【0096】
ステップS419では、制御部32は、搬送機構31を制御することにより、サンプルラックLを搬出するための搬出位置にサンプルラックLを到達させる(ステップS419)。その後、制御部32は、処理をステップS420へ移す。
【0097】
一方、ステップS406において、搬入準備指示データに含まれる使用搬送ライン指示データがスキップラインL2を示している場合、すなわち、スキップラインL2が使用対象の搬送ラインである場合には(ステップS406において「スキップラインL2」)、制御部32は、搬送機構31を制御して、サンプルラックLをスキップラインL2上で移送し、サンプルラックLを搬出するための搬出位置に到達させる(ステップS421)。その後、制御部32は、処理をステップS420へ移す。
【0098】
ステップS420において、制御部32は、システム制御装置8へサンプルラックLに割り当てられたラックIDを含む搬出要求データを送信する(ステップS420)。その後、制御部32は、システム制御装置8から搬出指示データを待機し(ステップS422においてNO)、搬出指示データを受信したときには(ステップS422においてYES)、ステッピングモータ321bを駆動してサンプルラックLを隣接する検体搬送装置3へ搬出し(ステップS423)、搬出完了データをシステム制御装置8へ送信する(ステップS424)。そして、制御部32は、処理を終了する。
【0099】
ステップS407において検体が再検測定対象であると判定した場合(ステップS407においてNO)、及びステップS417において再検搬送指示を受信したと判定した場合(ステップS417においてYES)に進むステップS425について説明する。ステップS425では、再検測定対象の検体を収容する検体容器Tが、検体供給位置35cに位置するようサンプルラックLを移送する。次に、情報処理ユニット51へ検体の吸引指示を示す検体吸引指示データを送信する(ステップS426)。制御部32は、検体吸引完了データを受信するまで待機し(ステップS427においてNO)、検体吸引完了データを受信した場合に(ステップS427においてYES)、処理をステップS428に進める。ステップS428では、同じサンプルラックLに、他にも再検測定対象となっている検体が存在するか判定し、存在すると判定した場合(ステップS428においてYES)はステップS425に処理を戻し、存在しないと判定した場合(ステップS428においてNO)はステップS418へ処理を進める。
【0100】
<血球分析装置5の動作>
次に、血球分析装置5の動作について説明する。情報処理ユニット52は、測定ユニット51,51,51の動作を制御して検体の測定を行い、また測定によって得られた測定データを解析する。
【0101】
図23及び図24は、本実施の形態に係る血球分析装置5による検体の分析動作の手順を示すフローチャートである。まず、検体搬送装置3の制御部32から送信された吸引指示データを情報処理ユニット52が受信する(ステップS501)。CPU521aにおいて、吸引指示データを受信するというイベントが発生すると、ステップS502の処理が呼び出される。この吸引指示データには、動作対象の測定ユニット51の測定ユニットIDが含まれる。
【0102】
ステップS502において、CPU521aは、検体容器搬送部515を制御し、供給位置35cにある検体容器TをサンプルラックLから抜き出し(ステップS502)、ハンド部515aを制御して検体容器Tを揺動させ、内部の検体を撹拌する(ステップS503)。次に、CPU521aは、ハンド部515aを制御して、検体容器セット部515bに検体容器Tをセットし(ステップS504)、さらに検体容器搬送部515を制御して、検体容器Tをバーコード読取位置516aへ搬送する(ステップS505)。次に、CPU521aは、バーコード読取部516により検体容器Tの検体バーコードを読み取り、検体IDを取得する(ステップS506)。さらにCPU521aは、検体IDを含むオーダ要求データを通信インタフェース521gにホストコンピュータ9へ送信させ(ステップS507)、測定オーダを問い合わせる。その後、CPU521aは、測定オーダの受信を待機し(ステップS508においてNO)、ホストコンピュータ9から送信された測定オーダが情報処理ユニット52の通信インタフェース521gにより受信されると(ステップS508においてYES)、受信した測定オーダをハードディスク521dに記憶する(ステップS509)。
【0103】
次に、CPU521aは、検体容器搬送部515を制御して、検体容器Tを吸引位置へ搬送し(ステップS510)、検体吸引部511を制御し、記憶した測定オーダに含まれる測定項目に必要な量の検体を検体容器Tから吸引する(ステップS511)。検体の吸引が完了した後には、CPU521aは、検体容器搬送部515を制御して、検体容器TをサンプルラックLへ戻し(ステップS512)、検体吸引完了データを、このサンプルラックLを搬送している検体搬送装置3へ送信する(ステップS513)。これにより、上述したようにサンプルラックLがラック搬送部35により搬送される。
【0104】
また、CPU521aは、試料調製部512を制御し、測定項目に応じて測定試料を調製し(ステップS514)、検出部513に測定試料を供給して、検出部513により検体の測定を行う(ステップS515)。これにより、CPU521aは、検出部513から出力される測定データを取得する。CPU521aは、測定データの解析処理を実行し(ステップS516)、検体中に含まれる血球を分類し、且つ、種類毎に血球数を計数し、このように分類された血球が種類毎に色分けされたスキャッタグラムを作成する。測定データの解析処理により生成された分析結果データは、測定オーダに含まれる患者情報等と共にハードディスク521aに格納され(ステップS517)、また、ホストコンピュータ9へ送信される(ステップS518)。ホストコンピュータ9は、上述した測定オーダに分析結果データを統合してハードディスクに記憶する。次にCPU521aは、分析結果データに含まれる各測定項目の値を所定の再検基準値と比較し、その検体に対する再検測定が必要か否か判定する(ステップS519)。分析結果データが再検を要する範囲にある場合は、再検測定オーダを生成する(ステップS520)。ここでは、分析結果データに含まれる各測定項目の値を所定の再検基準値と比較した結果に基づき、再検測定項目を決定する。このような情報を用いて生成した再検測定オーダを、ホストコンピュータ9及びシステム制御装置8へ送信し(ステップS522)、処理を終了する。ステップS519において分析結果データが再検を要する範囲にない場合(ステップS519においてNO)、再検不要通知をシステム制御装置8を介して検体搬送装置3の制御部32へ送信する。そして、CPU521aは、処理を終了する。
【0105】
<検体搬送装置301の動作>
搬送方向において最も下流側に位置する検体搬送装置3から送出されたサンプルラックLは、ラックスライダ303に導入される。ラックスライダ303は、詳細は省略するが、システム制御装置8からの指示を受け付け、サンプルラックLをコンベア302の測定ライン302a及びスキップライン302bの何れかへ送出する。測定ライン302aにサンプルラックLが搬入された場合には、コンベア302の制御部が測定ライン302aを動作させ、塗抹標本作製装置6へ検体を供給する供給位置に塗抹標本作製対象の検体容器Tが位置するように、サンプルラックLを搬送する。塗抹標本作製装置6への検体の供給が完了した後は、さらに測定ライン302aが駆動され、検体収容装置4へとサンプルラックLが搬出される。また、スキップライン302bにサンプルラックLが搬入された場合には、コンベア302の制御部がスキップライン302bを動作させ、サンプルラックLをスキップライン302上で搬送して、検体収容装置4へ搬出する。
【0106】
<検体収容装置4の動作>
検体搬送装置301から送出されたサンプルラックLは、検体収容装置4に導入される。検体収容装置4は、かかるサンプルラックLをラック載置部上で搬送し、収容する。
【0107】
以上のような構成とすることにより、システム制御装置8が、各測定ユニットに関する用途の登録内容、すなわち、初検測定用であるか、初検測定及び再検測定用であるか、に基づき検体の搬送先を決定する。従って、初検測定の対象となっている検体、及び再検測定の対象となっている検体を、各測定ユニットに適切に分配し、複数の測定ユニットを効率よく利用できる。
【0108】
また上述した実施の形態においては、測定ユニットを初検測定及び再検測定の両方に用いるように登録できる。従って、複数の測定ユニットのうちいずれかを初検測定用及び再検測定用に用い、他の測定ユニットを初検測定用として用いるよう構成できる。検体処理システムをこのように構成すれば、全ての測定ユニットを、処理数の多い初検測定に使用でき、また再検測定が発生した場合には再検測定用としても用いることのできる測定ユニットを使用して再検測定を行なうことができる。
【0109】
また上述した実施の形態においては、検体搬送装置3上の所定の位置、具体的には、分析装置近傍の位置であるラック搬送部35と、ラック搬送部35にサンプルラックを供給する前に一時的に待機させる位置であるラック検出位置33aにおいて、サンプルラックの有無を検知している。この検出結果を、検体の搬送先を決定する際に利用することにより、検体の搬送先が一箇所に集中して測定処理が滞ることを防ぐことができる。
【0110】
また上述した実施の形態においては、初検測定の対象である検体の搬送先を決定する際に、再検測定用としても用いる測定ユニットM3については、ラック搬送部35とラック検出位置33aのいずれにもサンプルラックが存在しない時のみ搬送先として決定する。このように構成することで、唯一の再検測定用の測定ユニットである測定ユニットM3に初検測定対象の検体が次々と過度に搬送され、再検測定が必要な時に実施できなくなる、という不都合を回避することができる。
【0111】
また上述した実施の形態においては、複数の測定ユニットのうち、検体搬送装置3によるサンプルラックの搬送方向において最下流にある測定ユニットM3を再検測定用としている。このように構成すれば、他の測定ユニットで初検測定を行なった結果再検測定対象となった検体を、再検測定用の測定ユニットに対し、検体処理システム1全体における検体の搬送方向に逆らうことなく搬送することができる。
【0112】
また上述した実施の形態においては、測定ユニット用途登録画面D及び測定ユニット管理テーブルTBLを用いて、各測定ユニットの用途(初検測定用、初検測定用及び再検測定用、又は再検測定用)を登録できるようにした。このようにすれば、測定ユニット管理テーブルTBLの登録内容を編集することにより、測定ユニットに割り当てた用途を容易に変更することができる。例えば、再検が生じる率が著しく高い状態が生じた場合には、測定ユニット用途登録画面Dにおいて測定ユニットM3に対応するラジオボタンRB3を選択し直すことにより、初検測定用及び再検測定としていた測定ユニットM3の用途を、再検測定用に変更することができる。このようにすれば、測定ユニットM3を再検測定専用に用いることができ、再検測定対象の検体が多い場合でも効率よく処理できる。また、測定ユニットM3が故障して使用できない状態になった場合、測定ユニットM2について、測定ユニット用途登録画面DにおいてラジオボタンRB2を選択し直すことにより、初検測定用及び再検測定用として登録し直すことができる。このようにすれば、測定ユニットM1を初検測定専用に、測定ユニットM2を初検測定用及び再検測定用として使用することができる。
【0113】
また、上述した実施の形態においては、搬送装置に沿って配置する複数の測定ユニット(分析装置)として、3つの測定ユニット51,51,51を配置しているが、配置する測定ユニットの数はこれに限定されるものではない。2つの測定ユニットを配置し、一方を初検測定専用、もう一方を初検測定及び再検測定用に用いてもよい。あるいは、4つ以上の測定ユニットを配置し、そのうち1つを初検測定用及び再検測定用として用い、他の測定ユニットを初検測定専用に用いてもよい。
【0114】
また、上述した実施の形態においては、3つの測定ユニット51,51,51の構成を同一としたが、これに限定されるものではない。共通する測定項目を有していて、構成が異なる複数の測定ユニットを検体処理システムが備える構成であってもよい。
【0115】
また、上述した実施の形態においては、3つの測定ユニット51,51,51及び情報処理ユニット52が血球分析装置5を構成する例について説明したが、これに限定されるものではない。各測定ユニットが、それぞれの情報処理ユニットを有するようにしてもよい。また検体処理システムが、別個の分析装置を複数備えるようにしてもよい。
【0116】
また、上述した実施の形態においては、検体処理システム1が、検体に含まれる血球を分類し、また血球種毎に血球を計数する血球分析装置5を備える構成について述べたが、これに限定されるものではない。検体処理システムが、免疫分析装置、血液凝固測定装置、生化学分析装置、尿分析装置等の血球分析装置以外の検体分析装置の測定ユニットを複数備え、かかる検体分析装置の測定ユニットへ血液検体又は尿検体を搬送する構成としてもよい。
【0117】
また、上述した実施の形態においては、システム制御装置8のCPU81aがシステム制御用のプログラムを実行することにより、サンプルラックLの搬送先を決定する構成について述べたが、これに限定されるものではない。サンプルラックLの搬送先決定用プログラムと同様の処理を実行することが可能なFPGA又はASIC等の専用ハードウェアにより、サンプルラックLの搬送先を決定する処理を実行する構成としてもよい。
【0118】
また、上述した実施の形態においては、単一のコンピュータ8aによりコンピュータプログラム84aの全ての処理を実行する構成について述べたが、これに限定されるものではなく、上述したコンピュータプログラム84aと同様の処理を、複数の装置(コンピュータ)により分散して実行する分散システムとすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0119】
本発明の検体処理システム及び検体搬送システムは、検体を測定する複数の測定部へ検体を搬送する検体処理システム及び検体の搬送方法として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】実施の形態に係る検体処理システムの全体構成を示す概略平面図。
【図2】検体容器の外観を示す斜視図。
【図3】サンプルラックの外観を示す斜視図。
【図4】実施の形態に係る検体搬送装置の構成を示す平面図。
【図5】搬送機構が備える第1ベルトの構成を示す正面図。
【図6】搬送機構が備える第2ベルトの構成を示す正面図。
【図7】実施の形態に係る血球分析装置の測定ユニットの構成を示すブロック図。
【図8】実施の形態に係る血球分析装置の情報処理ユニットの構成を示すブロック図。
【図9】測定ユニット管理テーブルの構造を示す模式図。
【図10】実施の形態に係る塗抹標本作製装置の概略構成を示すブロック図。
【図11】システム制御装置の測定ユニット用途登録画面表示処理の手順を示すフローチャート。
【図12】システム制御装置の測定ユニット用途登録処理の手順を示すフローチャート。
【図13】システム制御装置の測定ユニット用途登録画面表示終了処理の手順を示すフローチャート。
【図14】システム制御装置の測定ユニット用途登録画面を示す図。
【図15】システム制御装置の第1搬送指示処理の手順を示すフローチャート。
【図16】搬送先決定処理の手順を示すフローチャート。
【図17】システム制御装置の第2搬送指示処理の手順を示すフローチャート。
【図18】システム制御装置の再検処理の手順を示すフローチャート。
【図19】検体搬送装置の制御部による搬送機構の制御処理の流れを示すフローチャート。
【図20】検体搬送装置の制御部による搬送機構の制御処理の流れを示すフローチャート。
【図21】検体搬送装置の制御部による搬送機構の制御処理の流れを示すフローチャート。
【図22】検体搬送装置の制御部による搬送機構の制御処理の流れを示すフローチャート。
【図23】実施の形態に係る血球分析装置による検体の分析動作の手順を示すフローチャート。
【図24】実施の形態に係る血球分析装置による検体の分析動作の手順を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0121】
1 検体処理システム
2 検体投入装置
3,301 検体搬送装置
31 搬送機構
32 制御部
4 検体収容装置
5 血球分析装置
51 測定ユニット
52 情報処理ユニット
52a コンピュータ
521a CPU
521b ROM
521c RAM
521d ハードディスク
522 画像表示部
523 入力部
524 可搬型記録媒体
524a コンピュータプログラム
6 塗抹標本作製装置
8 システム制御装置
8a コンピュータ
81a CPU
81b ROM
81c RAM
81d ハードディスク
9 ホストコンピュータ
L サンプルラック
M1 測定ユニット
M2 測定ユニット
M3 測定ユニット
T 検体容器
TBL 測定ユニット管理テーブル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体容器を搬送する搬送装置と、
前記搬送装置に沿って配置され、前記搬送装置から受け取った検体容器中の検体を測定するための、第一の分析装置と、
前記搬送装置に沿って配置され、前記搬送装置から受け取った検体容器中の検体を測定するための、第二の分析装置と、
前記搬送装置による検体容器の搬送先となる分析装置を決定し、当該決定した搬送先である分析装置に検体容器を搬送するよう前記搬送装置を制御する搬送制御装置と、
を備える検体処理システムであって、
前記第一の分析装置は初検測定を実施可能に構成されており、
前記第二の分析装置は初検測定及び再検測定を実施可能に構成されており、
前記搬送制御装置は、搬送する検体容器中の検体が初検測定の対象である場合、当該検体容器を前記第一及び第二の分析装置のいずれかに搬送するよう前記搬送装置を制御し、搬送する検体容器中の検体が再検測定の対象である場合、当該容器を前記第二の分析装置に搬送するよう前記搬送装置を制御する、検体処理システム。
【請求項2】
前記搬送制御装置は、前記第一の分析装置が初検測定用であり、前記第二の分析装置が初検測定用及び再検測定用であることを登録する登録部を備える、請求項1に記載の検体処理システム。
【請求項3】
検体容器を搬送する搬送装置と、
前記搬送装置に沿って配置され、前記搬送装置から受け取った検体容器中の検体を測定するための、第一の分析装置と、
前記搬送装置に沿って配置され、前記搬送装置から受け取った検体容器中の検体を測定するための、第二の分析装置と、
前記搬送装置による検体容器の搬送先となる分析装置を決定し、当該決定した搬送先である分析装置に検体容器を搬送するよう前記搬送装置を制御する搬送制御装置と、
を備える検体処理システムであり、
前記第一の分析装置は初検測定を実施可能に構成されており、
前記第二の分析装置は初検測定及び再検測定を実施可能に構成されており、
前記搬送制御装置は、前記第一の分析装置が初検測定用であり、前記第二の分析装置が初検測定用及び再検測定用であることを登録する登録部を備え、
前記搬送制御装置は、前記登録部に登録された登録内容に基づき、前記搬送装置による検体容器の搬送先となる分析装置を決定する、検体処理システム。
【請求項4】
前記搬送制御部は、搬送する検体が再検測定の対象である場合、当該検体の搬送先となる分析装置を前記第二の分析装置に決定する、請求項3に記載の検体処理システム。
【請求項5】
前記搬送制御部は、搬送する検体が初検測定の対象である場合、当該検体の搬送先となる分析装置を前記第一又は第二の分析装置のいずれかに決定する、請求項3又は4に記載の検体処理システム。
【請求項6】
前記検体が初検測定の対象であり、前記検体を収容する検体容器が前記第一及び第二の分析装置のうち前記第一の分析装置に搬送された場合に、前記第一の分析装置が前記検体に対する初検測定を実施する、請求項1又は5記載の検体処理システム。
【請求項7】
前記初検測定の後に、前記検体に対する再検測定を行なう場合、前記搬送制御装置は、前記検体容器を前記第一の分析装置から前記第二の分析装置へ搬送するよう前記搬送装置を制御する、請求項6に記載の検体処理システム。
【請求項8】
前記検体が初検測定の対象であり、前記検体を収容する検体容器が前記第一及び第二の分析装置のうち前記第二の分析装置に搬送された場合に、前記第二の分析装置が前記検体に対する初検測定を実施する、請求項1又は5記載の検体処理システム。
【請求項9】
前記初検測定の後に、前記検体に対する再検測定を行なう場合、前記搬送制御装置は、前記検体容器を前記第二の分析装置が検体を取得するための位置へ搬送するよう前記搬送装置を制御する、請求項8に記載の検体処理システム。
【請求項10】
前記搬送制御装置は、前記初検測定の後に、初検測定後の検体を収容する検体容器を前記第二の分析装置の近傍に待機させるよう前記検体搬送装置を制御する、請求項9に記載の検体処理システム。
【請求項11】
前記第二の分析装置は、前記第一の分析装置に対し、前記搬送装置による検体容器の搬送方向において下流側に位置する、請求項1又は3に記載の検体処理システム。
【請求項12】
前記搬送装置は、当該搬送装置上の所定の位置に検体容器が存在するか否かを検出する検出器を備え、
前記搬送制御装置は、前記検出器の検出結果に基づき、検体の搬送先となる分析装置を決定する、請求項1又は3に記載の検体処理システム。
【請求項13】
前記所定の位置は、前記第一の分析装置近傍の第一位置、及び/又は、前記第一位置に検体容器を供給する前に検体容器を一時的に保持するための第二位置である、請求項12に記載の検体処理システム。
【請求項14】
前記所定の位置は、前記第二の分析装置近傍の第一位置、及び/又は、前記第一位置に検体容器を供給する前に検体容器を一時的に保持するための第二位置である、請求項12に記載の検体処理システム。
【請求項1】
検体容器を搬送する搬送装置と、
前記搬送装置に沿って配置され、前記搬送装置から受け取った検体容器中の検体を測定するための、第一の分析装置と、
前記搬送装置に沿って配置され、前記搬送装置から受け取った検体容器中の検体を測定するための、第二の分析装置と、
前記搬送装置による検体容器の搬送先となる分析装置を決定し、当該決定した搬送先である分析装置に検体容器を搬送するよう前記搬送装置を制御する搬送制御装置と、
を備える検体処理システムであって、
前記第一の分析装置は初検測定を実施可能に構成されており、
前記第二の分析装置は初検測定及び再検測定を実施可能に構成されており、
前記搬送制御装置は、搬送する検体容器中の検体が初検測定の対象である場合、当該検体容器を前記第一及び第二の分析装置のいずれかに搬送するよう前記搬送装置を制御し、搬送する検体容器中の検体が再検測定の対象である場合、当該容器を前記第二の分析装置に搬送するよう前記搬送装置を制御する、検体処理システム。
【請求項2】
前記搬送制御装置は、前記第一の分析装置が初検測定用であり、前記第二の分析装置が初検測定用及び再検測定用であることを登録する登録部を備える、請求項1に記載の検体処理システム。
【請求項3】
検体容器を搬送する搬送装置と、
前記搬送装置に沿って配置され、前記搬送装置から受け取った検体容器中の検体を測定するための、第一の分析装置と、
前記搬送装置に沿って配置され、前記搬送装置から受け取った検体容器中の検体を測定するための、第二の分析装置と、
前記搬送装置による検体容器の搬送先となる分析装置を決定し、当該決定した搬送先である分析装置に検体容器を搬送するよう前記搬送装置を制御する搬送制御装置と、
を備える検体処理システムであり、
前記第一の分析装置は初検測定を実施可能に構成されており、
前記第二の分析装置は初検測定及び再検測定を実施可能に構成されており、
前記搬送制御装置は、前記第一の分析装置が初検測定用であり、前記第二の分析装置が初検測定用及び再検測定用であることを登録する登録部を備え、
前記搬送制御装置は、前記登録部に登録された登録内容に基づき、前記搬送装置による検体容器の搬送先となる分析装置を決定する、検体処理システム。
【請求項4】
前記搬送制御部は、搬送する検体が再検測定の対象である場合、当該検体の搬送先となる分析装置を前記第二の分析装置に決定する、請求項3に記載の検体処理システム。
【請求項5】
前記搬送制御部は、搬送する検体が初検測定の対象である場合、当該検体の搬送先となる分析装置を前記第一又は第二の分析装置のいずれかに決定する、請求項3又は4に記載の検体処理システム。
【請求項6】
前記検体が初検測定の対象であり、前記検体を収容する検体容器が前記第一及び第二の分析装置のうち前記第一の分析装置に搬送された場合に、前記第一の分析装置が前記検体に対する初検測定を実施する、請求項1又は5記載の検体処理システム。
【請求項7】
前記初検測定の後に、前記検体に対する再検測定を行なう場合、前記搬送制御装置は、前記検体容器を前記第一の分析装置から前記第二の分析装置へ搬送するよう前記搬送装置を制御する、請求項6に記載の検体処理システム。
【請求項8】
前記検体が初検測定の対象であり、前記検体を収容する検体容器が前記第一及び第二の分析装置のうち前記第二の分析装置に搬送された場合に、前記第二の分析装置が前記検体に対する初検測定を実施する、請求項1又は5記載の検体処理システム。
【請求項9】
前記初検測定の後に、前記検体に対する再検測定を行なう場合、前記搬送制御装置は、前記検体容器を前記第二の分析装置が検体を取得するための位置へ搬送するよう前記搬送装置を制御する、請求項8に記載の検体処理システム。
【請求項10】
前記搬送制御装置は、前記初検測定の後に、初検測定後の検体を収容する検体容器を前記第二の分析装置の近傍に待機させるよう前記検体搬送装置を制御する、請求項9に記載の検体処理システム。
【請求項11】
前記第二の分析装置は、前記第一の分析装置に対し、前記搬送装置による検体容器の搬送方向において下流側に位置する、請求項1又は3に記載の検体処理システム。
【請求項12】
前記搬送装置は、当該搬送装置上の所定の位置に検体容器が存在するか否かを検出する検出器を備え、
前記搬送制御装置は、前記検出器の検出結果に基づき、検体の搬送先となる分析装置を決定する、請求項1又は3に記載の検体処理システム。
【請求項13】
前記所定の位置は、前記第一の分析装置近傍の第一位置、及び/又は、前記第一位置に検体容器を供給する前に検体容器を一時的に保持するための第二位置である、請求項12に記載の検体処理システム。
【請求項14】
前記所定の位置は、前記第二の分析装置近傍の第一位置、及び/又は、前記第一位置に検体容器を供給する前に検体容器を一時的に保持するための第二位置である、請求項12に記載の検体処理システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2010−107383(P2010−107383A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−280311(P2008−280311)
【出願日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】
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