説明

検体分析装置及びコンピュータプログラム

【課題】どのような保守作業を実施する必要があるか、またどの試薬を交換又は補充する必要があるかを従来に比して容易に確認することが可能な検体分析装置及びコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】
検体分析装置は測定ユニット及び情報処理ユニットを備え、情報処理ユニットに表示部を有している。検体分析装置の起動直後に表示される保守状況確認画面において、当日交換が必要な試薬の情報と、当日実施が必要な保守作業の情報とを表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試薬を使用して検体を分析する検体分析装置、及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、試薬を用いて検体の分析を行う検体分析装置が知られている。かかる検体分析装置においては、試薬等の消耗品の交換、分注ユニットの圧力調整、試薬を設置する試薬設置部の結露の除去等の保守作業が必要である。
【0003】
特許文献1には、保守作業に関する情報を表示可能な検体前処理システムが開示されている。特許文献1に開示されている検体前処理システムでは、検体投入部及び搬送ライン等の各ユニット、検体前処理システム全体、並びに分注チップ、ろ紙等の消耗品の項目毎に稼働状況及びアラーム発生状況を表示するための保守点検・管理画面を表示することが可能である(図2参照)。この保守点検・管理画面では、項目毎に、稼働中であるか否かが示され、また「NO(アラームなし)」、「注意」、「警告」の三段階でアラームの状態が示される。かかる保守点検・管理画面には、項目に対応したボタンが設けられており、ユーザが1つのボタンを選択することで、そのボタンに対応する保守作業に関する詳細な情報が表示されるようになっている。例えば、「開栓処理部」と表示されたボタンが選択されると、開栓処理部の詳細な状況を示す画面が表示される(図3参照)。この画面では、開栓処理部の保守項目毎に、アラームの状態が「OK(保守作業が不要)」か「警告(保守作業が必要)」かで表示される。また、保守点検・管理画面において「消耗品」と表示されたボタンが選択されると、消耗品の在庫状況を管理するための画面が表示される(図4参照)。この画面では、消耗品の種類毎に、アラームの状態が「OK(交換又は補充が不要)」か「警告(交換又は補充が必要)」かで表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−156649号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的に、臨床検査技師又は医師等のユーザは、例えば1日のうちの検体分析業務の開始前に、検体分析装置を正常に動作させるための保守作業及び試薬の交換又は補充を実施する。しかしながら、上述した特許文献1に開示されている検体前処理システムにあっては、保守点検・管理画面では各ユニット、検体前処理システム全体、並びに消耗品等の項目毎に、稼働中であるか否か、及びアラームの状態がどうかを確認することしかできず、実際の保守作業を行うためには、アラームの状態が「注意」又は「警告」として表示されている項目の詳細な情報を示す画面を呼び出し、どのような保守作業が必要かを確認する必要がある。保守に関する詳細な情報を示す画面は、ユニット、システム全体、消耗品等の項目毎に設けられているため、検体分析業務の開始前のような複数種類の保守作業及び消耗品の交換又は補充作業をまとめて実施する場合には、ユーザは各項目の詳細な情報を示す画面をそれぞれ表示させて、どのような保守作業が必要であるか、どの消耗品の交換又は補充が必要であるかを1つ1つ確認する必要があった。
【0006】
また、上述した特許文献1に開示されている検体前処理システムにおいては、検体分析装置に設置されている試薬の設置状況が表示されていないので、例えば検体分析業務の開始前に、ユーザは試薬の交換又は補充の要否を判断することが困難であった。
【0007】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、どのような保守作業を実施する必要があるか、またどの試薬を交換又は補充する必要があるかを従来に比して容易に確認することが可能な検体分析装置及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明の一の態様の検体分析装置は、試薬を用いて検体を分析する検体分析装置であって、複数の試薬が設置される試薬設置部を具備し、前記試薬設置部に設置された試薬を用いて検体を測定する測定部と、表示部と、前記試薬設置部における試薬の設置状況を示す試薬情報を表示するための第1領域、及び、特定の期間に前記測定部において実施が必要な保守作業を示す保守作業情報を表示するための第2領域を含む保守状況確認画面を前記表示部に表示させる制御部と、を備える。
【0009】
上記態様において、前記検体分析装置は、入力部をさらに備え、前記制御部は、前記検体分析装置の電源が投入された後、当該検体分析装置による測定動作が可能な状態になったときに、ユーザが前記入力部を介して最初に操作可能な初期画面として、前記保守状況確認画面を前記表示部に表示させるように構成されていてもよい。
【0010】
上記態様において、前記制御部は、ユーザがログオンを行うためのログオン画面を前記表示部に表示させ、前記入力部を介して受け付けたユーザ情報に基づいて、ユーザのログオンの可否を判断するログオン処理を実行し、前記ログオン処理によりユーザのログオンが許可された後に、前記保守状況確認画面を前記表示部に表示させるように構成されていてもよい。
【0011】
上記態様において、前記制御部は、前記保守状況確認画面を前記初期画面として設定可能に構成されていてもよい。
【0012】
上記態様において、前記制御部は、前記検体分析装置に互いに異なる複数の機能をそれぞれ実行させるための選択可能な複数の選択部を有するメニュー画面を前記初期画面として設定可能に構成されていてもよい。
【0013】
上記態様において、前記第1領域に表示される前記試薬情報は、前記特定の期間に補充又は交換が必要となる試薬を示していてもよい。
【0014】
上記態様において、前記第1領域に表示される前記試薬情報は、前記試薬設置部に設置された試薬の残量と、前記特定の期間における試薬の予測使用量とを示していてもよい。
【0015】
上記態様において、前記第1領域に表示される前記試薬情報は、前記特定の期間に試薬が使用された場合に予測される試薬の不足量を示していてもよい。
【0016】
上記態様において、前記第2領域に表示される保守作業情報は、予めユーザにより設定された保守作業を示していてもよい。
【0017】
上記態様において、前記測定部は、試薬以外の消耗品が設置される消耗品設置部をさらに備え、前記保守状況確認画面は、前記消耗品設置部における消耗品の設置状況を示す消耗品情報を表示するための第3領域を含んでいてもよい。
【0018】
上記態様において、前記測定部は、液体を吸引するための吸引管を含み、前記消耗品設置部は、前記吸引管が液体を吸引する際に前記吸引管に装着されるピペットチップを貯留するためのチップ貯留部を含み、前記第3領域に表示される消耗品情報は、前記チップ貯留部におけるピペットチップの補充が必要か否かを示していてもよい。
【0019】
上記態様において、前記消耗品設置部は、検体を収容するためのキュベットを貯留するためのキュベット貯留部を含み、前記測定部は、前記キュベットに収容された検体から光学的情報を検出するための光学検出部を含み、前記第3領域に表示される消耗品情報は、前記キュベット貯留部におけるキュベットの補充が必要か否かを示していてもよい。
【0020】
上記態様において、前記保守状況確認画面は、一のユーザにより予め登録されたメッセージを他のユーザに閲覧させるための掲示板領域を含んでいてもよい。
【0021】
上記態様において、前記特定の期間は、特定の日であってもよい。
【0022】
上記態様において、前記特定の日は、前記保守状況確認画面を前記表示部に表示させた当日であってもよい。
【0023】
上記態様において、前記検体分析装置は、入力部を備え、前記保守状況確認画面は、前記入力部によりユーザが期間を指定するための期間指定部をさらに含み、前記制御部は、前記期間指定部において期間が指定された場合に、前記指定された期間に実施が必要な保守作業を示す前記保守作業情報を前記第2領域に表示させるように構成されていてもよい。
【0024】
上記態様において、前記検体分析装置は、入力部を備え、前記保守状況確認画面は、ユーザによる試薬の補充又は交換を支援するための試薬補充交換画面を表示させるための第1指定部と、ユーザによる保守作業の実施を支援するための保守作業画面を表示させるための第2指定部とをさらに含み、前記制御部は、前記入力部により前記第1指定部が指定された場合に前記試薬補充交換画面を前記表示部に表示させ、前記入力部により前記第2指定部が指定された場合に前記保守作業画面を前記表示部に表示させるように構成されていてもよい。
【0025】
本発明の一の態様のコンピュータプログラムは、複数の試薬が設置される試薬設置部を具備し、前記試薬設置部に設置された試薬を用いて検体を測定する測定部と通信可能に接続されたコンピュータを、前記試薬設置部における試薬の設置状況を示す試薬情報を表示するための第1領域、及び、特定の期間に前記測定部において実施が必要な保守作業を示す保守作業情報を表示するための第2領域を含む保守状況確認画面を前記コンピュータに設けられた表示部に表示させる手段として機能させる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、どのような保守作業を実施する必要があるか、またどの試薬を交換又は補充する必要があるかを従来に比して容易に確認することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】実施の形態に係る検体分析装置の構成を示す斜視図。
【図2】実施の形態に係る検体分析装置が備える測定ユニットの概略構成を示す平面図。
【図3】キュベットの構成を示す斜視図。
【図4】ピペットチップの構成を示す斜視図。
【図5】検体分注アームへピペットチップを装着するときの様子を示す正面図。
【図6】実施の形態に係る検体分析装置が備える測定ユニットの回路構成を示すブロック図。
【図7】実施の形態に係る検体分析装置が備える情報処理ユニットの回路構成を示すブロック図。
【図8】情報処理ユニットのハードディスクに設けられたデータベースを説明するための模式図。
【図9】試薬使用履歴データベースの構成を示す模式図。
【図10】保守予定実績データベースの構成を示す模式図。
【図11A】実施の形態に係る検体分析装置の分析準備動作の手順を示すフローチャート(前半)。
【図11B】実施の形態に係る検体分析装置の分析準備動作の手順を示すフローチャート(後半)。
【図12】メニュー画面の構成を示す図。
【図13】試薬情報取得処理の手順を示すフローチャート。
【図14】保守情報取得処理の手順を示すフローチャート。
【図15】保守状況確認画面の構成を示す図。
【図16】実施の形態に係る検体分析装置の表示画面切替処理の手順を示すフローチャート。
【図17】ユーザメンテナンス画面の構成を示す図。
【図18】セットアップ画面の構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0029】
[検体分析装置の構成]
本実施の形態に係る検体分析装置は、血液などの患者から採取した検体を用いてB型肝炎、C型肝炎、腫瘍マーカ及び甲状腺ホルモンなど種々の項目の検査を行う免疫分析装置である。本実施の形態に係る検体分析装置では、測定対象である血液などの検体に含まれる抗原に結合した捕捉抗体(R1試薬)に磁性粒子(R2試薬)を結合させた後に、結合(Bound)した抗原、捕捉抗体及び磁性粒子を1次BF(Bound Free)分離部11(図1及び図2参照)の磁石に引き寄せることにより、未反応(Free)の捕捉抗体を含むR1試薬を除去する。そして、磁性粒子が結合した抗原と標識抗体(R3試薬)とを結合させた後に、結合(Bound)した磁性粒子、抗原及び標識抗体を2次BF分離部12の磁石に引き寄せることにより、未反応(Free)の標識抗体を含むR3試薬を除去する。さらに、分散液(R4試薬)、及び、標識抗体との反応過程で発光する発光基質(R5試薬)を添加した後、標識抗体と発光基質との反応によって生じる発光量を測定する。このような過程を経て、標識抗体に結合する検体に含まれる抗原を定量的に測定している。
【0030】
以下、本実施の形態に係る検体分析装置について、図面を参照して説明する。
【0031】
図1は、検体分析装置1の全体構成を示す斜視図である。
【0032】
本実施の形態に係る検体分析装置1は、測定ユニット2と、測定ユニット2に隣接するように配置された検体搬送ユニット(サンプラ)3と、測定ユニット2に電気的に接続された情報処理ユニット4とを備えている。
【0033】
検体搬送ユニット3は、検体を収容した複数の試験管が載置されたラックを搬送可能に構成されている。情報処理ユニット4は、本体400(図5参照)と、入力部410と、表示部420とを有している。
【0034】
図2は、測定ユニット2の構成を示す平面図である。
【0035】
測定ユニット2は、検体分注アーム5と、R1試薬分注アーム6と、R2試薬分注アーム7と、R3試薬分注アーム8と、反応部9と、キュベット供給部10と、1次BF分離部11と、2次BF分離部12と、ピペットチップ供給部13と、検出部14と、R4/R5試薬供給部15と、試薬設置部16とを有している。
【0036】
図1に示すように、キュベット供給部10は、上部が開口した容器状をなしており、複数のキュベットを貯留可能である。図3は、キュベットの構成を示す斜視図である。キュベット90は、上部が開口し、下部が閉塞された円筒状の容器である。かかるキュベット90は、透光性を有する合成樹脂材料により構成されている。キュベット供給部10には、光学式の透過型センサである残量センサ10aが設けられており、この残量センサ10aにより、貯留しているキュベット90が所定量以上であるか否かを判別可能とされている。また、キュベット供給部10は、検体分注アーム5による検体吐出位置1bにキュベット90を1つずつ供給可能とされている。
【0037】
R1試薬分注アーム6には、R1試薬の吸引及び吐出を行うためのピペット6aが取り付けられている。R1試薬分注アーム6は、ピペット6aを用いて、試薬設置部16に設置されたR1試薬を吸引し、吸引したR1試薬を検体吐出位置1bに載置されたキュベットに分注(吐出)する。
【0038】
ピペットチップ供給部13は、容器状をなしており、複数のピペットチップを貯留可能である。図4は、ピペットチップの構成を示す斜視図である。ピペットチップ80は、合成樹脂製であり、先端に向かうに従って細くなる円筒状をなしている。かかるピペットチップ80は、検体分注アーム5の分注ノズルの先端に装着可能である。図5は、検体分注アーム5へピペットチップを装着するときの様子を示す正面図である。検体分注アーム5は、ノズル5aと、アーム部5bと軸とを有している。モータを有する駆動機構により、軸の回動及び上下移動が可能である。これにより、軸を中心としてアーム部5bを回動させることが可能であり、また、ノズル5aを上下方向に移動させることが可能である。ピペットチップ供給部13は、投入された複数のピペットチップを1つずつ検体分注アーム5によるチップ装着位置まで搬送する。この後、検体分注アーム5のノズル5aがチップ装着位置のピペットチップ80へ下降し、ノズル5aの先端にピペットチップ80がノズル5aに装着される。また、ピペットチップ供給部13には、光学式の透過型センサである残量センサ13aが設けられており、この残量センサ13aにより、貯留しているピペットチップ80が所定量以上であるか否かを判別可能とされている。
【0039】
検体分注アーム5は、チップ装着位置においてピペットチップを装着した後、検体搬送ユニット3により検体吸引位置1aに搬送された試験管内の検体を吸引し、R1試薬分注アーム6によりR1試薬が分注された検体吐出位置1bのキュベット90に検体を分注(吐出)する。かかるキュベット90は、R1試薬分注アーム6のキャッチャにより、反応部9に移送される。
【0040】
また、測定ユニット2には、検体分注を終了した後のピペットチップ80を検体分注アーム5のノズル5aから取り外し、当該ピペットチップ80を廃棄するための脱離部90bが設けられている。また、測定ユニット2の脱離部90bの近傍には、ノズル5aの先端に付着した検体を拭き取るためのろ紙90cが取り付けられている。ピペットチップ80がノズル5aから取り外された後に、前記ノズル5aの先端がろ紙90cに押し当てられ、これによってノズル5aの先端に付着した検体が拭き取られる。また、ろ紙90cには使用回数の上限が設定されており、情報処理ユニット4がろ紙90cの使用回数をカウントし、使用回数が所定回数に達すると、画面表示によりろ紙90cの交換が必要であることをユーザに通知するようになっている。
【0041】
また、検体分注を行った後、検体分注アーム5のノズル5aは洗浄される。このノズル5aの洗浄には、専用の洗浄液であるプローブウォッシャーが使用される。プローブウォッシャーは、測定ユニット2に設けられたプローブウォッシャー容器950から供給される。
【0042】
測定ユニット2は、使用済みのピペットチップ80及びキュベット90を廃棄するための廃棄容器910を有している。脱離部90bにおいてノズル5aから取り外されたピペットチップ80は、廃棄容器910に収容される。廃棄容器910には、光学式の透過型センサである収容量センサ910a(図6参照)が設けられており、この収容量センサ910aにより、廃棄容器910に収容されている廃棄物(ピペットチップ80及びキュベット90)が所定量以上であるか否かを判別可能とされている。情報処理ユニット4は、廃棄容器910の収容量を監視し、収容量が所定量以上となると、画面表示により廃棄容器910に収容された廃棄物の処理が必要であることをユーザに通知する。
【0043】
R2試薬分注アーム7には、R2試薬の吸引及び吐出を行うためのピペット7aが取り付けられている。R2試薬分注アーム7は、ピペット7aを用いて、試薬設置部16に設置されたR2試薬を吸引し、吸引したR2試薬を、R1試薬及び検体を収容するキュベット90に分注(吐出)する。
【0044】
反応部9は、複数のキュベット設置部9aを有し、キュベット設置部9aにセットされたキュベット90を加温する機能を有している。これにより、キュベット内の検体と各種試薬との反応が促進される。
【0045】
検体、R1試薬及びR2試薬を収容するキュベット90が、キャッチャにより反応部9から1次BF分離部11に移送されると、1次BF分離部11は、キュベット内の試料から未反応のR1試薬(不要成分)と磁性粒子とを分離(B/F分離)する。B/F分離においては、B/F分離専用の洗浄液(以下、「B/F分離洗浄液」という。)が使用される。B/F分離洗浄液は、測定ユニット2に取り付けられたB/F分離洗浄液容器940から供給される。
【0046】
R3試薬分注アーム8には、R3試薬の吸引及び吐出を行うためのピペット8aが取り付けられている。R3試薬分注アーム8は、ピペット8aを用いて、試薬設置部16に設置されたR3試薬を吸引する。また、R3試薬分注アーム8は、ピペット8aを用いて、吸引したR3試薬を1次BF分離部11から反応部9に移送されたキュベット90に分注(吐出)する。
【0047】
1次BF分離部11によるB/F分離後の試料及びR3試薬を収容するキュベット90が、キャッチャにより反応部9から2次BF分離部12に移送されると、2次BF分離部12は、キュベット内の試料から未反応のR3試薬(不要成分)と磁性粒子とを分離(B/F分離)する。この2次BF分離においても、1次BF分離と同様に、B/F分離洗浄液が使用される。
【0048】
R4/R5試薬供給部15は、チューブにより、2次BF分離部12によるB/F分離後の試料を収容するキュベット90に、R4試薬及びR5試薬を順に分注する。
【0049】
検出部14は、所定の処理が行なわれた検体の抗原に結合する標識抗体と発光基質との反応過程で生じる光を、光電子増倍管(Photo Multiplier Tube)で検出する。このようにして検出された光学的情報により、その検体に含まれる抗原の量が測定される。
【0050】
測定ユニット2の検出部14の近傍には、使用済みのキュベット90を廃棄するための廃棄孔90dが設けられている。検出部14によって試料から光学的情報が検出された後、当該試料を収容するキュベット90は、キャッチャにより検出部14から取り出され、廃棄孔90dに廃棄される。廃棄されたキュベット90は、前述した廃棄容器910に収容される。
【0051】
試薬設置部16は、R1試薬が収容されるR1試薬容器を保持可能な複数の保持部と、R3試薬が収容されるR3試薬容器を保持可能な複数の保持部とが形成された内側テーブル、及び、R2試薬が収容されるR2試薬容器を保持可能な複数の保持部が形成された外側テーブルとを備えている。
【0052】
試薬設置部16に設置される試薬容器には、RFIDタグが取り付けられている。RFIDタグには、試薬を管理するための試薬管理情報が格納される。この試薬管理情報には、測定項目、ロット番号、シリアル番号、充填量、残量等の情報が含まれる。
【0053】
充填量は、この試薬により行うことのできるテスト数(測定回数)を示す。残量は、この試薬により行うことのできる残りテスト数(残り測定可能)回数を示す。使用期限は、この試薬が使用可能な期限を示す。
【0054】
また、上述した試薬設置部16には、RFIDタグに記憶されている試薬管理情報を読み書きするためのアンテナ162b、163b(図6参照)が設置されている。
【0055】
さらに、測定ユニット2には、廃液を収容するための廃液容器920、測定ユニット2内の液体流路(検体分注アーム5と、R1試薬分注アーム6、R2試薬分注アーム7、及びR3試薬分注アーム8へ続く配管)を洗浄するための洗浄液であるラインウォッシャーを収容するラインウォッシャー容器930、B/F分離に使用されるB/F分離洗浄液を収容するB/F分離洗浄液容器940、及び、検体分注アーム5のノズル5aを洗浄するための洗浄液であるプローブウォッシャーを収容するプローブウォッシャー容器950が設けられている。
【0056】
廃液容器920は2つの容器を含んでおり、これらの2つの容器が交互に使用されるようになっている。2つの容器の何れにも液面センサ920a(図6参照)が設けられている。液面センサ920aによって検出された液面の位置の情報は情報処理ユニット4に与えられ、情報処理ユニット4が廃液容器920の液面位置を監視する。情報処理ユニット4は、液面位置が所定位置よりも高くなると、画面表示により容器に収容された廃液の処理(廃液処理施設等へ移送し、容器を空にすること)が必要であることをユーザに通知する。これとともに、測定ユニット2は、一方の容器が満杯になった場合に、十分に容量が確保された他方の容器に廃液の移送先を自動的に切り替えるようになっている。他方の容器を使用している間に、ユーザは満杯となった一方の容器から廃液を取り除くことが可能となる。
【0057】
ラインウォッシャー容器930は2つの容器を含んでおり、これらの2つの容器が交互に使用されるようになっている。2つの容器の何れにも液面センサ930a(図6参照)が設けられている。液面センサ930aによって検出された液面の位置の情報は情報処理ユニット4に与えられ、情報処理ユニット4がラインウォッシャー容器930の液面位置を監視する。情報処理ユニット4は、液面位置が所定位置よりも低くなる(つまり、容器が空になる)と、画面表示によりラインウォッシャー容器の交換が必要であることをユーザに通知する。これとともに、測定ユニット2は、一方の容器が空になった場合、十分にラインウォッシャーが収容された他方の容器からラインウォッシャーを供給するように自動的にラインウォッシャーの供給元の容器を切り替えるようになっている。他方の容器を使用している間に、ユーザは空となった一方の容器を新たな容器に交換することが可能となる。
【0058】
B/F分離洗浄液容器940は2つの容器を含んでおり、これらの2つの容器が交互に使用されるようになっている。2つの容器の何れにも液面センサ940a(図6参照)が設けられている。ラインウォッシャー容器930と同様に、B/F分離洗浄液容器940の液面位置を情報処理ユニット4が監視し、液面位置が所定位置よりも低くなると、画面表示によりB/F分離洗浄液容器の交換が必要であることをユーザに通知する。これとともに、測定ユニット2は、一方の容器が空になった場合、B/F分離洗浄液の供給元の容器を切り替えるようになっている。
【0059】
プローブウォッシャー容器950は2つの容器を含んでおり、これらの2つの容器が交互に使用されるようになっている。2つの容器の何れにも液面センサ950a(図6参照)が設けられている。ラインウォッシャー容器930と同様に、プローブウォッシャー容器950の液面位置を情報処理ユニット4が監視し、液面位置が所定位置よりも低くなると、画面表示によりプローブウォッシャー容器の交換が必要であることをユーザに通知する。これとともに、測定ユニット2は、一方の容器が空になった場合、プローブウォッシャーの供給元の容器を切り替えるようになっている。
【0060】
図6は、測定ユニット2の回路構成を示すブロック図である。測定ユニット2は、制御部200と、残量センサ10a、13a、アンテナ162b、163b、収容量センサ910a、液面センサ920a、930a、940a、950a、及び機構部213を含んでいる。制御部200は、CPU201と、ROM202と、RAM203と、通信インターフェース204と、I/Oインターフェース205とを含んでいる。
【0061】
CPU201は、ROM202に記憶されているコンピュータプログラム及びRAM203にロードされたコンピュータプログラムを実行する。RAM203は、ROM202に記録されているコンピュータプログラムの読み出しに用いられると共に、これらのコンピュータプログラムを実行するときに、CPU201の作業領域としても利用される。
【0062】
通信インターフェース204は、検体搬送ユニット3と情報処理ユニット4に接続されている。CPU201は、通信インターフェース204を介して、検体の光学的情報(標識抗体と発光基質との反応によって生じる発光量のデータ)を情報処理ユニット4に送信し、情報処理ユニット4からの信号を受信する。また、CPU201は、通信インターフェース204を介して、検体搬送ユニット3に対して駆動指示のための信号を送信する。
【0063】
また、CPU201は、I/Oインターフェース205を介して、残量センサ10a、13a、収容量センサ910a、液面センサ920a、930a、940a、950a、アンテナ162b、163b、及び機構部213に接続されている。
【0064】
残量センサ10a、13a、収容量センサ910a、及び液面センサ920a、930a、940a、950aは、それぞれの検出信号を出力し、このような検出信号がI/Oインターフェース205を介してCPU201に与えられる。アンテナ162b、163bは、CPU201の制御により、それぞれ、RFIDタグの試薬管理情報を読み取る。また、アンテナ162b、163bにより読み取られた試薬管理情報は、I/Oインターフェース205を介してCPU201に出力され、RAM203に記憶される。機構部213は、測定ユニット2のその他の機構を含んでおり、CPU201の制御により駆動される。
【0065】
図7は、情報処理ユニット4の回路構成を示すブロック図である。情報処理ユニット4は、パーソナルコンピュータからなり、本体400と、入力部410と、表示部420とを有している。本体400は、CPU401と、ROM402と、RAM403と、ハードディスク404と、読出装置405と、入出力インターフェース406と、画像出力インターフェース407と、通信インターフェース408とを有する。
【0066】
CPU401は、ROM402に記憶されているコンピュータプログラム及びRAM403にロードされたコンピュータプログラムを実行する。RAM403は、ROM402及びハードディスク404に記録されているコンピュータプログラムの読み出しに用いられる。また、RAM403は、これらのコンピュータプログラムを実行するときに、CPU401の作業領域としても利用される。
【0067】
ハードディスク404には、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラムなど、CPU401に実行させるための種々のコンピュータプログラム及びコンピュータプログラムの実行に用いるデータがインストールされている。すなわち、コンピュータを本実施の形態に係る情報処理ユニット4として機能させるためのコンピュータプログラム404a(図8参照)等がインストールされている。
【0068】
図8は、ハードディスク404に設けられたデータベースを説明するための模式図である。ハードディスク404には、試薬設置部16に設置されている試薬容器の固有情報と試薬管理情報を格納する試薬管理データベースDB100が設けられている。かかる試薬管理データベースDB100には、その時点において検体分析装置1に搭載されている試薬の測定項目、ロット番号、シリアル番号、充填量、残量等の情報が格納される。
【0069】
また、ハードディスク404には、試薬使用履歴データベースDB200が設けられている。この試薬使用履歴データベースDB200には、測定項目毎に試薬の使用履歴が記録される。図9は、試薬使用履歴データベースDB200の構造を示す模式図である。試薬使用履歴データベースDB200は、月曜日から日曜日までの各曜日に項目分けされている。試薬使用履歴データベースDB200の各セルは1日に対応しており、それぞれのセルには対応する日付における試薬の使用量が格納される。なお「試薬の使用量」として、その試薬を用いて行われたテスト数(測定回数)が格納される。図において、最も下方のセルが最近の日付に対応しており、上に向かうにしたがって過去に遡るようになっている。このような試薬使用履歴が、測定項目別に設けられている。
【0070】
また、ハードディスク404には、保守作業の予定を格納するための保守作業予定データベースDB300が設けられている。保守作業予定データベースDB300には、定期的に実行する予定の保守作業の項目(以下、「保守項目」という。)と、実施するサイクル(例えば、「毎日」、「月曜日」、「月初」等)とが対応付けて記憶される。
【0071】
また、ハードディスク404には、カレンダーデータベースDB400が設けられている。このカレンダーデータベースDB400には、日付と、曜日とが対応付けて記憶されている。また、検体分析装置1が導入されている施設の定休日のデータもカレンダーデータベースDB400に記憶される。
【0072】
また、ハードディスク404には、日付毎に保守作業の予定及び実績を記憶するための保守予定実績データベースDB500が設けられている。図10は、保守予定実績データベースDB500の構成を示す模式図である。保守予定実績データベースDB500は、これからの保守作業の予定及びこれまでの保守作業の実績を日付毎に記憶する。つまり、保守予定実績データベースDB500には、予定日の日付を格納するためのフィールドF501と、保守項目を格納するためのフィールドF502と、保守作業を実施したユーザ(以下、「実施者」という。)のユーザ名を格納するためのフィールドF503と、実施日時を格納するためのフィールドF504とを有している。将来の保守作業については、未実施であることから、実施者のユーザ名及び実施日時は記憶されない。一方、過去の保守作業については、保守作業が実施された場合には、実施者のユーザ名及び実施日時が記憶される。また、実施されていない過去の保守作業の実績では、実施者のユーザ名及び実施日時が記憶されない。
【0073】
また、図8に示すように、ハードディスク404には、検体分析装置1を使用するユーザの情報を格納するためのユーザデータベースDB600が設けられている。ユーザデータベースDB600には、ユーザ名、パスワード、ユーザグループ(ユーザの権限を規定するグループ。「管理者」、「一般ユーザ」等。)、及びユーザ毎の設定値等が対応付けて記憶される。この設定値には、ログオン直後にユーザが操作可能な画面として最初に表示される初期画面の設定値(メニュー画面又は保守状況確認画面)が含まれる。
【0074】
また、ハードディスク404には、ユーザ間の情報交換に使用される掲示板データベースDB700が設けられている。この掲示板データベースDB700には、掲示板にメッセージを投稿したユーザ(以下、「投稿者」という。)のユーザ名、及び投稿されたメッセージの内容が対応付けて記憶される。
【0075】
読出装置405は、CDドライブまたはDVDドライブ等によって構成されており、記録媒体に記録されたコンピュータプログラム及びデータを読み出すことができる。入出力インターフェース406には、マウスやキーボードからなる入力部410が接続されており、操作者が入力部410を使用することにより、情報処理ユニット4にデータが入力される。画像出力インターフェース407は、ディスプレイ等で構成された表示部420に接続されており、画像データに応じた映像信号を、表示部420に出力する。表示部420は、入力された映像信号をもとに、画像を表示する。また、通信インターフェース408により、測定ユニット2に対してデータの送受信が可能となる。
【0076】
[検体分析装置の動作]
次に、本実施の形態に係る検体分析装置1の動作について説明する。本実施の形態に係る検体分析装置1では、日付処理の実行が可能である。日付処理とは、検体分析装置1において、1日が始まる時刻を決定する処理である。情報処理ユニット4は、内部時計を有しており、現在時刻を取得可能である。日付処理では、この内部時計による現実の時刻(情報処理ユニット4のローカル時刻。一般的に日本においては日本標準時刻に設定されている。)における何時何分(例えば、午前2時30分等)を、1日の始期とするかをユーザが設定することができる。以下において説明する「当日」は、日付処理によってユーザが決定した始期から始まる日付に従って定まる当日である。例えば、午前2時30分を1日の始期として設定されている場合において、現実の時刻が2011年7月29日の午前3時00分のときには、2011年7月29日が当日とされ、現実の時刻が2011年7月29日の午前1時00分のときには、2011年7月28日が当日とされる。
【0077】
図11A及び図11Bは、検体分析装置1の分析準備動作の手順を示すフローチャートである。まず、測定ユニット2の動作について説明する。検体分析装置1の電源が投入されるとき、測定ユニット2の試薬設置部16には、当日使用されるR1/R3試薬及びR2試薬がセットされている。測定ユニット2の電源がユーザにより投入されると、測定ユニット2のCPU201は、測定ユニット2の各機構部の初期化処理を行う(ステップS101)。この処理により、検体分注アーム、試薬分注アーム等の各機構部が測定動作のための初期位置に移動される。次に、CPU201は、試薬設置部16に設置されているR1/R3試薬容器のRFIDタグと、R2試薬容器のRFIDタグとのそれぞれから、アンテナ162b,163bに試薬管理情報を読み出させる(ステップS102)。また、CPU201は、取得した試薬管理情報を情報処理ユニット4へ送信し(ステップS103)、処理を終了する。
【0078】
次に、情報処理ユニットの動作について説明する。情報処理ユニット4の電源が投入されると、情報処理ユニット4のCPU401は、ハードウェア、ソフトウェアの初期化を行い(ステップS201)、測定ユニット2から送信された試薬管理情報を受信したか否かを判別する(ステップS202)。試薬管理情報を受信していない場合には(ステップS202においてNO)、CPU401はステップS202の処理を繰り返し実行し、試薬管理情報が受信されるまで待機する。情報処理ユニット4が試薬管理情報を受信すると(ステップS202においてYES)、CPU401は、試薬管理データベースDB100に試薬管理情報を登録する(ステップS203)。
【0079】
次に、CPU401は、ログオン画面を表示部420に表示させる(ステップS204)。ログオン画面には、ユーザ名(ユーザID)及びパスワードのそれぞれを入力するための入力ボックスが設けられている。ユーザは、これらの入力ボックスにユーザ名及びパスワードを入力し、ログオン処理の実行を指示する。CPU401は、ログオン処理の実行指示を受け付けたか否かを判別し(ステップS205)、ログオン処理の実行指示を受け付けていない場合には(ステップS205においてNO)、ステップS205の処理を繰り返し、ログオン処理の実行指示を待機する。CPU401は、ログオン処理の実行指示を受け付けると(ステップS205においてYES)、ログオン処理を実行する(ステップS206)。ログオン処理では、ログオン画面において入力されたユーザ名及びパスワードと、ユーザデータベースDB600に登録されているユーザ名及びパスワードとを照合するログオン認証が行われる。ログオン認証に失敗した場合には(ステップS207においてNO)、CPU401は、ログオン認証に失敗した旨をユーザに通知するメッセージを含むログオン画面を表示部420に表示する(ステップS204)。
【0080】
ログオン認証に成功した場合(ステップS207においてYES)、CPU401は、ログオンしたユーザの設定値をユーザデータベースDB600から取得し、ログオン直後にユーザが最初に操作可能な画面として表示される初期画面が、メニュー画面に設定されているか、保守状況確認画面に設定されているかを判別する(ステップS208)。この初期画面の設定値は、保守状況確認画面がデフォルト値とされている。
【0081】
初期画面がメニュー画面に設定されている場合には(ステップS208において「メニュー画面」)、CPU401は、表示部420にメニュー画面を表示させ(ステップS209)、起動処理を終了する。
【0082】
図12は、メニュー画面の構成を示す図である。メニュー画面D100には、ツールバーが表示されるツールバー領域A110、及び他の画面へ移行するための複数のアイコンが表示されるメイン領域A130が設けられている。ツールバー領域A110及びメイン領域A130は、メニュー画面D100だけでなく、情報処理ユニット4の他の画面にも共通に設けられている。また、ツールバー領域A110はいくつかの領域に分割されており、最も左側の領域には、メニュー画面を表示させるための「メニュー」ボタンB111、及び保守状況確認画面を表示させるための「保守確認」ボタンB112が設けられている。また、ツールバー領域A110には、セットアップ画面を表示させるための「セットアップ」ボタンB113、検量線を表示させるための「検量線」ボタンB114、検体分析装置1による検体測定が正常に行えるか否かを調べるための精度管理画面を表示させるための「精度管理」ボタンB115、検体の測定オーダの登録に使用される測定オーダ登録画面を表示させるための「オーダ登録」ボタンB116、検体測定の進捗画面を表示させるための「測定進捗」ボタンB117、登録されている測定オーダの閲覧に使用されるジョブリスト画面を表示させるための「ジョブリスト」ボタンB118、検体の測定結果の閲覧に使用されるブラウザ画面を表示させるための「ブラウザ」ボタンB119、保守作業の実行に使用されるユーザメンテナンス画面を表示させるための「メンテナンス」ボタンB120、検体分析装置1のシャットダウンを実行するための「シャットダウン」ボタンB121、検体測定を開始するための「スタート」ボタンB122、及び検体測定を中断するための「中断」ボタンB123が設けられている。
【0083】
なお、ここでいう「アイコン」とは、特定の機能が割り当てられ、当該機能を象徴的に表すようにデザインされた画像をいい、ウィンドウ内において表示されるものを含む。
【0084】
ツールバー領域A110は、画面の最上部に設けられている。このツールバー領域A110の下方にメイン領域A130が設けられている。メイン領域A130は、ツールバー領域A110よりも大きい面積の領域であり、その画面の主要なコンテンツが表示される。メニュー画面D100のメイン領域A130には、3行に亘ってアイコンが並べられている。一行目(最も上側の行)には、検体分析装置1にログオンしているユーザがログオフするための「ログオフ」アイコンC131、コンピュータプログラム404aのバージョンを確認するための「バージョン情報」アイコンC132、検体分析装置1の設定に使用される設定画面を表するための「設定」アイコンC133、及びハードディスク404に設けられた患者情報データベースに患者の情報を登録するための「患者情報」アイコンC134が設けられている。二行目には、検体分析装置1のエラー履歴を表示するための「エラー履歴」アイコンC135、検体分析装置1において使用された試薬の履歴を表示するための「試薬履歴」アイコンC136、検体分析装置1において使用された消耗品の履歴を表示するための「消耗品履歴」アイコンC137、検体分析装置1のユーザによる操作履歴を表示するための「操作履歴」アイコンC138、及び検体分析装置1の部品交換の履歴を表示するための「部品交換履歴」アイコンC139が設けられている。また、三行目には、検体分析装置1の保守サービス業者に連絡するための「サービスコール」アイコンC140、及び取扱説明書を表示するための「取扱説明書」アイコンC141が設けられている。これらのアイコンC131〜C141はマウスのクリック操作によって選択可能であり、これらのアイコンC131〜C141の何れかがマウスのクリック操作により選択されると、対応するコマンドが実行されるようになっている。
【0085】
検体分析装置1の起動処理についての説明に戻る。初期画面が保守状況確認画面に設定されている場合には(ステップS208において「保守状況確認画面」)、CPU401は、試薬情報取得処理を実行する(ステップS210)。図13は、試薬情報取得処理の手順を示すフローチャートである。試薬情報取得処理において、まずCPU401は、試薬使用履歴データベースDB200に記憶されている試薬の使用履歴に基づいて、測定ユニット2の試薬設置部16に設置されている各試薬について、対象日(起動処理では「当日」)の使用予測処理を実行する(ステップS301)。この使用予測処理では、CPU401は、例えば、過去の一定期間内(例えば、対象日の直前3ヶ月)における試薬の使用量の一日当たりの平均値を測定項目毎に算出し、これらの平均値のそれぞれを対象日の各測定項目の試薬の予測使用量とする。次に、CPU401は、測定項目のうちの1つを、対象測定項目として選択する(ステップS302)。次にCPU401は、試薬設置部16に設置されている対象測定項目の試薬の残量と対象測定項目の試薬の対象日の予測使用量とを比較する(ステップS303)。試薬残量が予測使用量以上の場合には(ステップS303においてYES)、CPU401は、対象測定項目の試薬の過不足量の表示色を第1色(黒色)に設定し(ステップS304)、処理をステップS306へ移す。一方、試薬残量が予測使用量未満の場合には(ステップS303においてNO)、対象測定項目の試薬の過不足量の表示色を第2色(橙色)に設定し(ステップS305)、処理をステップS306へ移す。
【0086】
次にCPU401は、対象測定項目の試薬の残量と予測使用量との差を算出し、対象測定項目の試薬の過不足量を取得する(ステップS306)。この過不足量は、試薬残量が予測使用量以上のとき、即ち、検体測定を行っても対象日中に試薬を交換する必要がないと推定されるときには、0又は正の値となり、試薬残量が予測使用量未満のとき、即ち、検体測定を行うと対象日中に試薬を交換する必要があると推定されるときには、負の値となる。
【0087】
次にCPU401は、全ての測定項目を対象測定項目として選択したか否かを判別し(ステップS307)、対象測定項目として選択されていない測定項目が存在する場合には(ステップS307においてNO)、ステップS302へ処理を移し、未選択の測定項目の1つを対象測定項目として選択する。一方、全ての測定項目を対象測定項目として選択している場合には(ステップS307においてYES)、CPU401は、起動処理における試薬情報取得処理の呼び出しアドレスへ処理をリターンする。
【0088】
次に、CPU401は、保守情報取得処理を実行する(ステップS211)。図14は、保守情報取得処理の手順を示すフローチャートである。保守情報取得処理において、まずCPU401は、実施予定又は実績の日付が対象日のレコード、即ち、当日実施予定の保守作業の情報(以下、「保守作業予定情報」という。)を、保守予定実績データベースDB500から抽出する(ステップS401)。次にCPU401は、選択可能な保守作業予定情報が存在するか否かを判別する(ステップS402)。ステップS402の処理では、後述するステップS403において既に選択された保守作業予定情報は、選択可能な保守作業予定情報に含まれない。つまり、未選択の保守作業予定情報のみが選択可能とされる。したがって、ステップS401において抽出された保守作業予定情報が全て選択された後には、選択可能な保守作業予定情報が存在しないことになる。また、ステップS401において、1つも保守作業予定情報が抽出されなかった場合、即ち、当日実施予定の保守作業がない場合にも、選択可能な保守作業予定情報が存在しないことになる。
【0089】
ステップS402において、選択可能な保守作業予定情報が存在する場合には(ステップS402においてYES)、CPU401は、未選択の保守作業予定情報のうちの1つを選択する(ステップS403)。次にCPU401は、選択された保守作業予定情報において、実施者のユーザ名が含まれているか否かを判別する(ステップS404)。ステップS404において実施者のユーザ名が含まれている場合には(ステップS404においてYES)、その保守作業は実施されていることを意味する。よってこの場合には、CPU401は、当該選択されている保守作業予定情報に対応付けて、実施済みであることを示す実施情報をRAM403に格納し(ステップS405)、ステップS402へ処理を移す。一方、ステップS404において実施者のユーザ名が含まれていない場合には(ステップS404においてNO)、CPU401は、そのままステップS402へ処理を移す。
【0090】
ステップS402において、選択可能な保守作業予定情報が存在しない場合には(ステップS402においてNO)、CPU401は、起動処理における保守情報取得処理の呼び出しアドレスへ処理をリターンする。
【0091】
次に、CPU401は、掲示板データベースDB700から掲示板情報(投稿者のユーザ名及びメッセージ)を取得する(ステップS212)。また、CPU401は、残量センサ10a、13a、収容量センサ910a、液面センサ920a、930a、940a、950aのそれぞれから出力信号を取得し、キュベットの残量が所定量以上あるか、ピペットチップの残量が所定量以上あるか、ろ紙の使用回数が所定値未満か、廃棄容器910における廃棄物の量が所定量未満か、排液容器920における廃液の量が所定量未満か、ラインウォッシャーの残量が所定量以上か、B/F分離洗浄液の残量が所定量以上か、プローブウォッシャーの残量が所定量以上か、R4/R5試薬の残量が所定量以上か、をそれぞれ判別する(ステップS215)。さらにCPU401は、ステップS210〜S212において取得した情報に基づいて、保守状況確認画面を表示部420に表示させ(ステップS213)、起動処理を終了する。これらの起動処理により、測定準備動作が終了し、検体分析装置1は検体の測定を実行することが可能な測定スタンバイ状態となる。
【0092】
図15は、保守状況確認画面の構成を示す図である。保守状況確認画面D200のツールバー領域A110は、メニュー画面D100のツールバー領域A110と同じアイコン群が表示されている。また、保守状況確認画面D200のメイン領域A130は、コンテンツ領域A231と、当該コンテンツ領域A231の右方に設けられたメニュー領域A232とを有している。
【0093】
コンテンツ領域A231は、4つの領域A233〜A236に分割される。さらに具体的には、コンテンツ領域A231は、コンテンツ領域A231の左上部分に設けられた保守作業表示領域A233と、保守作業表示領域A233の下方に設けられた掲示板領域A234と、保守作業表示領域A233及び掲示板領域A234の右方に設けられた試薬情報表示領域A235と、コンテンツ領域A231の下部に設けられた消耗品情報表示領域A236とを有している。
【0094】
また、コンテンツ領域A231の右上部分には、対象日を指定するための対象日指定部C237が設けられている。対象日指定部C237は、入力ボックスと2つのボタンによって構成されている。この入力ボックスは、対象日の日付を入力するために使用される。また、指定された対象日は、この入力ボックスに表示される。2つのボタンは、左右に並べられており、左側のボタンには、一頂点が左方に向けられた三角形が表示されている。右側のボタンには、一頂点が右方に向けられた三角形が表示されている。左側のボタンは、入力ボックスに表示されている日付を1日戻すためのボタンであり、右側のボタンは、入力ボックスに表示されている日付を1日進めるためのボタンである。ユーザは、このような入力ボックス及び2つのボタンを使用することにより、対象日を指定することができる。なお、対象日のデフォルト値は、当日とされ、上述した起動処理では、当日を対象日として保守状況確認画面D200が表示される。
【0095】
保守作業表示領域A233には、対象日に実施すべき保守作業が表示される。即ち、保守作業表示領域A233には、上述したステップS213の保守情報取得処理において取得された保守作業予定情報が表示される。さらに詳しく保守作業表示領域A233について説明する。保守作業表示領域A233には、ユーザが対象日に実施すべき保守作業(ToDo)の項目名がリスト表示される。この保守作業情報は、他の設定画面においてユーザにより設定可能である。また、既に実行された作業の横には、チェックマークアイコンC238が表示される。つまり、チェックマークアイコンC238は、ステップS405において実施情報が対応付けてRAM403に記憶された保守作業予定情報の横に表示される。さらに、保守項目名の右方には、その保守作業を実行したユーザ名(検体分析装置1によって自動的に実行された場合には「自動」)が表示され、さらにその右方には、保守作業の実行時刻が表示される。まだ実行されていない保守作業については、ユーザ名及び実行時刻は表示されない。これにより、ユーザが、対象日に行うべき保守作業、それらの保守作業のうちどの作業が既に終わっているか、誰が作業を行ったのか、作業がいつ行われたのかを容易に確認することができる。
【0096】
保守作業表示領域A233の上方には、「保守」の文字列が表示されたボタンB239が設けられている。このボタンB239は、マウスのクリック操作によって選択可能であり、選択されることで後述するユーザメンテナンス画面を表示するためのコマンドが発行されるようになっている。
【0097】
掲示板領域A234には、他のユーザからの連絡事項がリスト形式で表示される。即ち、掲示板領域A234には、上述したステップS214において取得された掲示板情報が表示される。この連絡事項は、他の画面(掲示板登録画面)においてユーザにより入力可能であり、入力された連絡事項を含む掲示板情報が掲示板データベースDB700に登録される。また、連絡事項の右方には、当該連絡事項を入力したユーザのユーザ名、及び入力時刻が表示される。これにより、直接ユーザ同士が会話をしなくても、ユーザ間のコミュニケーションを容易に取ることができる。また、ユーザが掲示板領域A234のコンテンツを確認するだけで、誰からいつどのような連絡事項が入力されたのかを容易に知ることができる。
【0098】
保守作業表示領域A233と掲示板領域A234との間には、鉛筆のマークが表示されたボタンB240が設けられている。このボタンB240は、マウスのクリック操作によって選択可能であり、選択されることで掲示板登録画面(連絡事項を入力し、掲示板データベースDB700に登録するための画面)を表示するためのコマンドが発行されるようになっている。
【0099】
試薬情報表示領域A235には、測定項目毎に試薬の残量、予測使用量、及び過不足量の情報が表示される。試薬情報表示領域A235は、複数の行で構成されたテーブル状の領域であり、各行が1つずつ測定項目に対応している。試薬情報表示領域A235は、2つのカラムに分けられており、左側カラムには、測定項目の名称が各行に表示される。また、右側カラムには、試薬の残量の数値情報C241と、試薬の過不足量の数値情報C242と、試薬の残量、予測使用量、過不足量を模式的に図示したグラフィック情報G243とが表示される。グラフィック情報G243には、試薬残量を示す横長のバーG244が含まれる。当該バーG244は、緑色で表示され、残量の多さが長さに対応している。つまり、残量が多いほどバーG244の長さが長く、残量が少ないほどバーG244の長さが短くなる。また、バーG244は左端(以下、「基準位置」という。)を起点として右方に延びるように表示される。つまり、バーG244が表示可能な領域の基準位置は試薬の残量が“0”の状態に対応しており、当該領域の右端の位置(以下、「上限位置」という。)は試薬が満杯の状態に対応している。試薬残量が“0”の場合には、バーG244は表示されず、試薬が満杯の場合には前記領域の基準位置から上限位置に至る範囲でバーG244が表示される。また、例えば試薬の残量が70%の場合は、前記基準位置から上限位置に至るまでの全体の長さに対して70%の長さのバーG244が、前記基準位置から右方へ延びるように表示される。このようにすることにより、ユーザがバーG244の長さを確認するだけで、おおよその試薬残量を視覚的に把握することが可能となる。
【0100】
また、バーG244の上下両側には、試薬の予測使用量を示すバーG245がバーG244と平行に表示される。バーG245は灰色であり、バーG244より幅が狭くなっている。かかるバーG245は、基準位置から上限位置までの範囲において表示可能であり、予測使用量の多さが長さに対応している。つまり、予測使用量が多いほどバーG245の長さが長く、予測使用量が少ないほどバーG245の長さが短くなる。また、バーG245は基準位置を起点として右方に延びるように表示される。つまり、予測使用量が“0”の場合には、バーG245は表示されず、予測使用量が試薬容器の満杯分であるときには前記領域の基準位置から上限位置に至る範囲でバーG245が表示される。また、例えば試薬の予測使用量が試薬容器満杯分に対して70%の場合は、前記基準位置から上限位置に至るまでの全体の長さに対して70%の長さのバーG245が、前記基準位置から右方へ延びるように表示される。このようにすることにより、ユーザがバーG245の長さを確認するだけで、おおよその試薬の予測使用量を視覚的に把握することが可能となる。
【0101】
また、バーG244とG245とを隣接するように平行に表示し、しかも同一の基準位置から容量に応じて右方へ延びるように表示しているので、ユーザは現在の試薬残量と予測使用量とを容易に対比することができる。
【0102】
試薬残量と予測使用量との差分は過不足量C242として表示される。具体的には、試薬残量が予測使用量を上回るとき、試薬の過剰量、即ち、予測使用量を全て消費したときにおける試薬残量が過不足量C242として表示される。この場合、試薬残量のバーG244が予測使用量のバーG245よりも長く、バーG245の右端よりも右方にバーG244が突出する。この突出量が、試薬の過剰量に相当する。一方、予測使用量が試薬残量を上回るとき、試薬の不足量、即ち、試薬残量を全て消費したとき、さらにその日に必要となる試薬量が過不足量C242として表示される。この場合、予測使用量のバーG245が試薬残量のバーG244よりも長く、バーG244の右端よりも右方にバーG245が突出する。この突出量が、試薬の不足量に相当する。かかる不足量は、赤色のバーG246によって表示される。つまり、不足量のバーG246は、試薬残量のバーG244の右端から、予測使用量のバーG245の右端の範囲において、試薬残量のバーG244の右方に隣接するように表示される。例えば、試薬残量が試薬容器の全容量に対して60%であって、予測使用量が試薬容器の全容量の場合、基準位置から上限位置までの全体の長さに対して60%の長さのバーG244が基準位置から右方へ延びるように表示され、また、基準位置から上限位置に至る範囲でバーG245が表示される。このとき、バーG246は、バーG244の右端からバーG245の右端までの範囲で表示される(図15における測定項目“HBsAb”参照)。また、試薬残量が“0”であって、予測使用量が試薬容器の全容量の場合、基準位置から上限位置の全範囲において不足量のバーG246が表示される(図15における測定項目“FT3”参照)。さらに、試薬残量が“0”であって、予測使用量が試薬容器の全容量に対して5%の場合、基準位置から上限位置に至るまで長さに対して5%の長さのバーG246が、前記基準位置から右方へ延びるように表示される(図15における測定項目“TestA”参照)。このようにすることで、ユーザが容易に大まかな試薬の過不足量を把握することができる。
【0103】
また、過不足量C242が0又は正の値の場合には、当該過不足量C242は第1色(黒色)で表示される。一方、過不足量C242が負の値の場合には、当該過不足量C242は第2色(赤色)で表示される。したがって、ユーザは過不足量C242の色により、どの試薬が交換の必要があるか、どの試薬が交換の必要がないかを容易に判断することができる。
【0104】
試薬情報表示領域A235の上方には、「セットアップ」の文字列が表示されたボタンB247が設けられている。このボタンB247は、マウスのクリック操作によって選択可能であり、選択されることで後述するセットアップ画面を表示するためのコマンドが発行されるようになっている。
【0105】
消耗品情報表示領域A236には、試薬以外の消耗品の補充・交換が必要か否かが消耗品毎に表示される。さらに具体的には、消耗品情報表示領域A236には、キュベット供給部10においてキュベット90の補充が必要か否かを示すキュベット残量アイコンC248と、ピペットチップ供給部13においてピペットチップ80の補充が必要か否かを示すピペットチップ残量アイコンC249と、ろ紙90cの交換が必要か否かを示すろ紙交換アイコンC250と、廃棄容器910の収容量が所定量以上であるか否かを示すゴミ箱アイコンC251と、廃液容器920の収容量が所定量以上であるか否かを示す排液アイコンC252と、ラインウォッシャー容器930の交換が必要か否かを示すラインウォッシャー交換アイコンC253と、B/F分離洗浄液容器940の交換が必要か否かを示すB/F分離洗浄液交換アイコンC254と、プローブウォッシャー容器950の交換が必要か否かを示すプローブウォッシャー交換アイコンC255と、R4/R5試薬の交換が必要か否かを示すR4/R5交換アイコンC256とが設けられている。
【0106】
キュベット残量アイコンC248には、キュベット供給部10におけるキュベットの残量情報が示される。キュベット供給部10に所定量以上のキュベットが収容されている場合には、キュベット残量アイコンC248には、灰色の図形が表示される。一方、残量センサ10aの出力信号により、キュベット供給部10におけるキュベットの残量が所定量未満であるとCPU401により判断されると、キュベット残量アイコンC248の図形が赤色に表示される。このようにキュベット残量アイコンC248の図形の表示色により、キュベットの補充が必要か否かが示される。
【0107】
同様に、ピペットチップ残量アイコンC249には、ピペットチップ供給部13におけるピペットチップの残量情報が示される。ピペットチップ供給部13において、ピペットチップの収容量が所定量以上から所定量未満に変化した場合には、残量センサ13aの出力信号に基づいて、ピペットチップ残量アイコンC249の図形が灰色から赤色に切り替わる。このようにピペットチップ残量アイコンC249の図形の表示色により、ピペットチップの補充が必要か否かが示される。
【0108】
測定ユニット2に設置されているろ紙90cの使用回数が所定値未満の場合には、ろ紙交換アイコンC250に灰色の図形が表示される。灰色は、ろ紙の交換が必要ないことを示す表示色である。一方、情報処理ユニット4のCPU401がろ紙の使用回数をカウントし、所定値以上に達した場合には、CPU401はろ紙交換アイコンC250に赤色の図形を表示させる。赤色は、ろ紙の交換が必要であることを示す表示色である。このようにろ紙交換アイコンC250の図形の表示色により、ろ紙の交換が必要か否かが示される。
【0109】
ゴミ箱アイコンC251には、廃棄容器910における廃棄物の収容量情報が示される。廃棄容器910における廃棄物の収容量が所定量未満の場合には、ゴミ箱アイコンC251には、灰色の図形が表示される。一方、収容量センサ910aの出力信号により、廃棄容器910における廃棄物の収容量が所定量以上であるとCPU401により判断されると、ゴミ箱アイコンC251の図形が赤色に表示される。このようにゴミ箱アイコンC251の図形の表示色により、廃棄容器910に収容された廃棄物の処理が必要であるか否かが示される。
【0110】
排液アイコンC252には、廃液容器920における廃液の収容量情報が示される。排液アイコンC252には、2つの図形が含まれている。2つの図形は、廃液容器920における2つの容器のそれぞれに対応しており、1つの容器における廃液の収容量が所定量未満の場合には、当該容器に対応する図形が灰色で表示される。一方、液面センサ920aの出力信号により、前記容器における廃液の収容量が所定量以上であるとCPU401により判断されると、当該容器に対応する図形が赤色に表示される。他方の容器についても同様に、対応する図形の表示色により、当該容器における廃液の収容量が示される。このように排液アイコンC252の図形の表示色により、廃液容器920に収容された廃液の処理が必要であるか否かが示される。また、2つの図形のうちの何れか一方の下方には、横長の棒状の図形C252aが表示される。図形C252aは、どちらの容器が使用されているかを示している。つまり、図形C252aが下方に表示されている図形に対応する容器が、その時点において使用されており、図形C252aが下方に表示されていない図形に対応する容器は、その時点において使用されていない。
【0111】
ラインウォッシャー交換アイコンC253には、ラインウォッシャー容器930におけるラインウォッシャーの残量情報が示される。排液アイコンC252と同様に、ラインウォッシャー交換アイコンC253には、2つの図形が含まれている。2つの図形は、ラインウォッシャー容器930における2つの容器のそれぞれに対応しており、図形が灰色である場合には、対応する容器のラインウォッシャーの残量が所定量以上であり、図形が赤色である場合には、対応する容器のラインウォッシャーの残量が所定量未満であることを示す。このようにラインウォッシャー交換アイコンC253の図形の表示色により、ラインウォッシャー容器930の交換が必要であるか否かが示される。また、排液アイコンC252と同様に、ラインウォッシャー交換アイコンC253にも、使用中の容器を示す横長棒状の図形が示される。
【0112】
B/F分離洗浄液交換アイコンC254、プローブウォッシャー交換アイコンC255、及びR4/R5交換アイコンC256には、ラインウォッシャー交換アイコンC253と同様に、B/F分離洗浄液、プローブウォッシャー、及びR4/R5試薬の残量情報が示される。B/F分離洗浄液交換アイコンC254、プローブウォッシャー交換アイコンC255、及びR4/R5交換アイコンC256のそれぞれもまた、2つの図形が含まれており、2つの容器のそれぞれに対応している。B/F分離洗浄液交換アイコンC254、プローブウォッシャー交換アイコンC255、及びR4/R5交換アイコンC256の図形の表示色により、B/F分離洗浄液容器940、プローブウォッシャー容器950、及びR4/R5試薬供給部15におけるR4/R5試薬容器の交換が必要であるか否かが示される。また、B/F分離洗浄液交換アイコンC254、プローブウォッシャー交換アイコンC255、及びR4/R5交換アイコンC256のそれぞれにも、使用中の容器を示す横長棒状の図形が示される。
【0113】
かかる保守状況確認画面D200の消耗品情報表示領域A236において、キュベット残量アイコンC248、ピペットチップ残量アイコンC249、ろ紙交換アイコンC250、ゴミ箱アイコンC251、排液アイコンC252、ラインウォッシャー交換アイコンC253、B/F分離洗浄液交換アイコンC254、プローブウォッシャー交換アイコンC255、及びR4/R5交換アイコンC256のそれぞれは、消耗品の残量及び廃棄物の収容量を示す機能を与えられている。一方、これらのアイコンはマウスのクリック操作等によって選択することはできない。
【0114】
消耗品情報表示領域A236の上方には、「セットアップ」の文字列が表示されたボタンB257が設けられている。このボタンB257は、マウスのクリック操作によって選択可能であり、選択されることで後述するセットアップ画面を表示するためのコマンドが発行されるようになっている。
【0115】
次にメニュー領域A232について説明する。メニュー領域A232には、複数のボタンが縦に並べられている。これらのボタンは、メニュー画面D100におけるメイン領域A130に表示されているアイコンC131〜C141と同じ機能を有している。メニュー領域A232の下部には、3つのタブC257〜C259が設けられている。これらのタブC257〜C259のそれぞれはマウスのクリック操作により選択可能であり、何れか1つのタブが選択されると、そのタブに対応するボタンがメニュー領域A232に表示される。タブC257は、メニュー画面D100のメイン領域A130の1行目に対応しており、タブC257が選択された状態では、「ログオフ」アイコンC131に対応するログオフボタンC260と、「バージョン情報」アイコンC132に対応するバージョン情報ボタンC261と、「設定」アイコンC133に対応する設定ボタンC262と、「患者情報」アイコンC134に対応する患者情報ボタンC263とがメニュー領域A232に表示される。これらのボタンC260〜C263のそれぞれには、対応するアイコンC131〜C134と同じ機能が割り当てられている。また、タブC258が選択された状態では、メニュー画面D100のメイン領域A130の2行目のアイコンC135〜C139に対応するボタンがメニュー領域A232に表示され、タブC259が選択された状態では、メニュー画面D100のメイン領域A130の3行目のアイコンC140〜C141に対応するボタンがメニュー領域A232に表示される。これにより、保守状況確認画面D200が表示されている状態においても、ユーザはメニュー画面D100が表示されている場合と同様の指示を情報処理ユニット4に与えることが可能となる。
【0116】
通常、ユーザは、一日の作業を開始する前に、種々の消耗品(試薬、キュベット、ピペットチップ等)が1日の検体分析に不足しないかどうかを調べ、不足しそうな消耗品を補充又は交換する。これとともに、ユーザは、1日の作業を開始する前に必要な保守作業を実施する。上記のように、本実施の形態に係る検体分析装置1においては、保守状況確認画面D200を初期画面として設定可能である。保守状況確認画面D200を初期画面として設定しておけば、ユーザは保守状況確認画面D200を確認するだけで、円滑に作業開始の準備(消耗品の補充又は交換、及び保守作業)を行うことができる。
【0117】
また、検体分析装置1が起動した状態で、ユーザがログオフを行い、新たなユーザがログオンを実施する場合がある。このような起動後のログオン処理を実行した場合においても、ログオンユーザの初期画面が保守状況確認画面に設定されている場合には、ログオン処理の直後においてユーザが操作可能な画面として最初に保守状況確認画面が表示されることになる。したがって、当日必要な保守作業が全て完了しているかどうか、完了していない保守作業が残っている場合には、どの保守作業を行わなければいけないかを、新たにログオンしたユーザはログオン直後に確認することができる。したがって、保守作業の実施し忘れを防止することができ、検体測定の途中において、必要な保守作業を行うために検体測定を中断することを防止し、効率的に検体測定を実施することが可能となる。
【0118】
かかる保守状況確認画面D200において、対象日を当日から他の日付に変更することができる。ユーザは、対象日指定部C237に、日付を入力することにより対象日を指定することが可能である。情報処理ユニット4のCPU401は、ユーザから対象日の指定を受け付けた場合に、指定された対象日に実施すべき保守作業を保守作業表示領域A233に表示させ、対象日における試薬の過不足量の情報を試薬情報表示領域A235に表示させる。つまり、ユーザが対象日指定部C237において対象日を指定した場合には、CPU401が、指定された日付を対象日として上述したステップS210およびS211を実行し、これらの処理において取得された情報に基づいて、保守状況確認画面420を更新する。
【0119】
また、保守状況確認画面D200からは、セットアップ画面及びユーザメンテナンス画面に表示を遷移させることが可能である。以下、検体分析装置1の表示画面切替処理について説明する。図16は、検体分析装置1の表示画面切替処理の手順を示すフローチャートである。
【0120】
保守状況確認画面D200が表示されている状態において、CPU401は、ボタンB239の選択を受け付けたか否か、即ち、ユーザからユーザメンテナンス画面の表示指示を受け付けたか否かを判別する(ステップS501)。ユーザがマウスのクリック操作によりボタンB239を選択すると、CPU401がユーザメンテナンス画面の表示指示を受け付ける(ステップS501においてYES)。この場合、CPU401は、保守予定実績データベースDB500から登録されている保守作業の情報を読み出し(ステップS502)、読み出した情報に基づいてユーザメンテナンス画面を表示部420に表示させ(ステップS503)、表示画面切替処理を終了する。これにより、表示画面が保守状況確認画面D200からユーザメンテナンス画面に切り替わる。
【0121】
一方、ステップS501において、ユーザからユーザメンテナンス画面の表示指示を受け付けていない場合には(ステップS501においてNO)、CPU401は、ボタンB247又はB257の選択を受け付けたか否か、即ち、ユーザからセットアップ画面の表示指示を受け付けたか否かを判別する(ステップS504)。ユーザがマウスのクリック操作によりボタンB247又はB257を選択すると、CPU401がセットアップ画面の表示指示を受け付ける(ステップS504においてYES)。この場合、CPU401は、試薬管理データベースDB100から登録されている試薬の情報を読み出し(ステップS505)、読み出した情報に基づいてセットアップ画面を表示部420に表示させ(ステップS506)、表示画面切替処理を終了する。これにより、表示画面が保守状況確認画面D200からセットアップ画面に切り替わる。
【0122】
また、ステップS504において、ユーザからセットアップ画面の表示指示を受け付けていない場合には(ステップS504においてNO)、CPU401は、ステップS501へ処理を戻す。
【0123】
図17は、ユーザメンテナンス画面の構成を示す図である。ユーザメンテナンス画面D300は、連続した複数の日付がカレンダー形式で表示されるカレンダー領域A310と、保守作業に使用される保守作業領域A320とを有している。
【0124】
カレンダー領域A310には、15日間の日付が横に並べて表示される日付表示領域A311が設けられている。日付表示領域A311においては、左方に向かうにしたがって日付が過去に遡り、右方に向かうにしたがって日付が将来に進行する順番で、15日間の日付が表示される。日付表示領域A311において、各日付は1つずつ対応するマスの中に表示されている。各マスはマウスのクリック操作により選択可能であり、ユーザは任意のマスを選択することで、当該マスに対応する日付を選択することが可能である。また、カレンダー領域A310の右下部分には、「今日に移動」の文字列が表示されたボタンB312と、左向きの矢印マークが表示されたボタンB315と、右向きの矢印マークが表示されたボタンB316とが設けられている。これらのボタンB312,315,316はマウスのクリック操作により選択可能である。ボタンB312が選択されると、当日のマスが選択される。また、ボタンB312が1回選択されると、選択中のマスの選択が解除され、そのマスより1日過去のマスが新たに選択される。ボタンB313が1回選択されると、選択中のマスの選択が解除され、そのマスより1日将来のマスが新たに選択される。
【0125】
選択されたマスは、選択色にて表示される。図17においては、2010年11月25日が選択された例が示されている。土曜日及び日曜日を含む休日のマスは、他の日(平日)のマスとは異なる色で表示される。これにより、ユーザが休日と平日とを容易に区別することが可能となる。また、各マスには、自動ウエイクアップの設定時刻と、自動シャットダウンの設定時刻とが表示される。さらに、当日の日付のマスには、「今日」の文字列が表示される。これにより、ユーザは15日の日付の中で当日を容易に識別することができる。
【0126】
日付表示領域A311の上方には、第何週かを示す週表示領域A313が設けられており、週表示領域A313のさらに上方には、何年何月かを示す月表示領域A314が設けられている。
【0127】
カレンダー領域A310において、1つの日付が選択された場合には、保守作業領域A320に、選択された日付において予定されている保守作業の詳細情報が表示される。保守作業領域A320についてさらに詳しく説明する。保守作業領域A320の左上部分には、自動ウエイクアップの設定時刻を表示するための表示ボックスC321と、自動シャットダウンの設定時刻を表示するための表示ボックスC323とが左右に並べて設けられている。表示ボックスC321の左方には、自動ウエイクアップの設定画面を表示するためのボタンB322が設けられており、表示ボックスC323の左方には、自動シャットダウンの設定画面を表示するためのボタンB324が設けられている。ボタンB322及びB324のそれぞれはマウスのクリック操作により選択可能である。ボタンB322が選択されると、自動ウエイクアップの設定画面が表示され、ユーザは当該設定画面において自動ウエイクアップの時刻を設定可能である。ボタンB324が選択されると、自動シャットダウンの設定画面が表示され、ユーザは当該設定画面において自動シャットダウンの時刻を設定可能である。自動ウエイクアップの時刻が設定されると、当該時刻に自動的に検体分析装置1が起動され、自動シャットダウンの時刻が設定されると、当該時刻に自動的に検体分析装置1がシャットダウンされる。
【0128】
保守作業領域A320における表示ボックスC321及びC323の下方には、特記事項を表示するための3つの表示ボックスC325〜C327が上下に並べて設けられている。最も上に配置された表示ボックスC325には、月の特記事項が表示される。中央に配置された表示ボックスC326には、週の特記事項が表示される。また、最も下に配置された表示ボックスC327には、日の特記事項が表示される。各表示ボックスC325〜C327の右方には、特記事項を入力するためのボタンB328〜B330が設けられている。ボタンB328〜B330のそれぞれはマウスのクリック操作により選択可能である。ボタンB328が選択されると、月の特記事項の設定画面が表示され、ユーザは当該設定画面において月の特記事項を設定可能である。ボタンB329(B330)についても、ボタンB328と同様に、選択されると週の特記事項(日の特記事項)の設定画面が表示され、ユーザは当該設定画面において週の特記事項(日の特記事項)を設定可能である。
【0129】
保守作業領域A320における表示ボックスC321、C323、C325〜C327の右方には、選択された日付において予定されている保守作業を表示するための表示ボックスC331が設けられている。この表示ボックスC331には、予定されている保守作業の情報が一覧表示される。表示ボックスC331において、予定された保守作業の情報が各行に1つずつ表示される。一行の最も左側は、その行の保守作業が実施済みか否かを示す領域であり、実施済みの場合にはチェックマークアイコンが表示される。また、保守作業が未実施である場合には、チェックマークアイコンは表示されない。これにより、ユーザは保守作業が実施されたか否かを容易に判別可能である。保守作業が実施済みか否かを示す領域の右方には、予定されている保守作業の保守項目が表示される領域が設けられている。さらにその右方には、実施予定時刻が表示される領域が設けられ、さらにその右方には、実施者が表示される領域が設けられている。
【0130】
表示ボックスC331の右方には、保守作業の予定を設定するためのボタンB332が設けられている。ボタンB332はマウスのクリック操作により選択可能である。ボタンB332が選択されると、保守作業の予定の設定画面が表示され、ユーザは当該設定画面において保守作業の予定を設定可能である。
【0131】
また、表示ボックスC331における各行は、マウスのクリック操作により選択可能である。任意の行が選択されると、その行に対応する保守作業の実施者を設定するための設定画面が表示される。ユーザは、当該設定画面において、実施者のユーザ名を入力可能である。実施者のユーザ名が入力され、登録実行の指示が与えられると、保守予定実績データベースDB500の当該保守作業に対応するレコードのフィールドF503に、入力された実施者のユーザ名が登録され、当該レコードのフィールドF504に、登録指示が与えられた日時が実施日時として登録される。このようにして保守作業の実施者及び実施日時が保守予定実績データベースDB500に登録されると、表示ボックスC331において実施者及び実施日時が登録された保守作業の行の左端にチェックマークが表示され、またその行に実施者のユーザ名が表示される。
【0132】
図18は、セットアップ画面の構成を示す図である。セットアップ画面D400は、試薬の交換を実行したり、消耗品の補充又は交換を実行したり、廃棄物の処理をしたりするための画面である。セットアップ画面D400には、試薬の交換に使用される試薬情報表示領域A410と、消耗品の交換に使用される消耗品情報表示領域A420とが設けられている。
【0133】
試薬情報表示領域A410には、測定ユニット2の試薬設置部16に設置されている試薬の情報が表示される。具体的には、試薬情報表示領域A410には、複数の試薬アイコンC411が含まれている。それぞれの試薬アイコンC411は、試薬容器に対応しており、対応する試薬に関する情報(測定項目及び残量)が試薬アイコンC411の内部に示される。また、各試薬アイコンC411の上側部分には、試薬容器の保持位置を示す数字が記されている。
【0134】
試薬アイコンC411は、2重の四角環状に並べられている。内側の四角環状に並べられた各試薬アイコンC411は、試薬設置部16の内側テーブルに保持された試薬容器、つまり、R1/R3試薬容器に対応している。一方、外側の四角環状に並べられた各試薬アイコンC411は、試薬設置部16の外側テーブルに保持された試薬容器、つまり、R2試薬容器に対応している。
【0135】
試薬の残量情報は、試薬アイコンC411の内部の数字だけでなく、試薬アイコンの色によっても示される。十分に試薬残量がある試薬容器に対応する試薬アイコンC411は、白色で表示される。試薬が容器内に残ってはいるが少量であり、もうすぐ試薬切れになる試薬容器に対応する試薬アイコンC412は、橙色で表示される。また、試薬の残量が0の試薬容器に対応する試薬アイコンC413は、赤色に表示される。また、残量は十分にあっても、検量線が作成されていない試薬容器に対応する試薬アイコンは、橙色で表示され、使用期限切れの試薬容器に対応する試薬アイコンは、赤色で表示される。
【0136】
各試薬アイコンC411,C412,C413はマウスのクリック操作により選択可能である。これにより、ユーザは試薬を選択することが可能である。試薬アイコンが選択されると、その試薬アイコンが太線C414で縁取られる。試薬アイコンが選択されると、内側の四角環状に並べられた試薬アイコン群のさらに内側の領域A415に、選択された試薬の詳細情報が表示される。具体的には、選択された試薬の測定項目名、ロット番号、残量、使用期限が、領域A415に表示される。また、選択された試薬において、「期限切れ」、「検量線なし」、「残量少」等のエラーが発生している場合には、対応するエラーメッセージが表示される。また、領域A415には、選択された試薬を交換するための交換ボタンB416が表示される。この交換ボタンB416は、マウスのクリック操作により選択可能である。交換ボタンB416が選択されると、測定ユニット2に当該選択された試薬の交換を指示するコマンドが発行され、測定ユニット2において試薬交換動作が実行される。試薬交換動作においては、試薬設置部16の内側テーブル又は外側テーブルが回転し、交換対象の試薬容器が交換位置に配置される。この交換位置に配置されている試薬容器を、ユーザは試薬設置部16から取り出すことが可能であり、また、新たな試薬を交換位置に設置することが可能である。このように新たな試薬を交換位置に設置することで、試薬の交換が行われる。
【0137】
消耗品情報表示領域A420には、保守状況確認画面D200の消耗品情報表示領域A236と同様のアイコン群が表示される。具体的には、消耗品交換領域A420には、キュベット供給部10においてキュベット90の補充が必要か否かを示すキュベット残量アイコンC421と、ピペットチップ供給部13においてピペットチップ80の補充が必要か否かを示すピペットチップ残量アイコンC422と、ろ紙90cの交換が必要か否かを示すろ紙交換アイコンC423と、廃棄容器910の収容量が所定量以上であるか否かを示すゴミ箱アイコンC424と、廃液容器920の収容量が所定量以上であるか否かを示す排液アイコンC425と、ラインウォッシャー容器930の交換が必要か否かを示すラインウォッシャー交換アイコンC426と、B/F分離洗浄液容器940の交換が必要か否かを示すB/F分離洗浄液交換アイコンC427と、プローブウォッシャー容器950の交換が必要か否かを示すプローブウォッシャー交換アイコンC428と、R4/R5試薬の交換が必要か否かを示すR4/R5交換アイコンC429とが設けられている。これらのアイコンC421〜C429の外観形態は、保守状況確認画面D200の消耗品情報表示領域A236に設けられたアイコンC248〜C256の外観形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0138】
消耗品情報表示領域A420に設けられた各アイコンC421〜C429は、マウスのクリック操作により選択可能である。アイコンC421〜C429のうちの1つが選択されると、対応する消耗品の処理動作が測定ユニット2において実行される。例えば、キュベット残量アイコンC421が選択されると、キュベット補充動作が測定ユニット2において実行され、ラインウォッシャー交換アイコンC426が選択されると、ラインウォッシャー容器の交換動作が測定ユニット2において実行される。
【0139】
(その他の実施の形態)
上記の実施の形態においては、当日に交換が必要な試薬の情報、当日に補充又は交換が必要な消耗品(キュベット、ピペットチップ等)の情報、及び、当日に実施すべき保守作業の情報を、保守状況確認画面に示す構成について述べたが、これに限定されるものではない。当日を含む複数日、例えば、当日と明日との2日間において、交換が必要な試薬の情報、補充又は交換が必要な消耗品の情報、及び、実施すべき保守作業の情報を保守状況確認画面に示す構成であってもよいし、当日の所定時間、例えば、9時〜12時において、交換が必要な試薬の情報、補充又は交換が必要な消耗品の情報、及び、実施すべき保守作業の情報を、保守状況確認画面に示す構成としてもよい。
【0140】
また、本実施の形態においては、起動処理の直後に表示する初期画面として、メニュー画面と保守状況確認画面とを設定可能な構成について述べたが、これに限定されるものではない。初期画面として必ず保守状況確認画面を表示し、他の画面を初期画面とすることはできないように構成してもよい。
【0141】
また、本実施の形態においては、検体分析装置1をマルチユーザシステムとして構成し、起動処理においてログオン処理を実行し、ログオンするユーザが保守状況確認画面を初期画面に設定している場合に、起動処理の直後に保守状況確認画面を表示する構成について述べたが、これに限定されるものではない。マルチユーザシステムではなく、起動処理においてログオン処理を実行しない構成とし、起動直後に初期画面として保守状況確認画面を表示する構成としてもよい。
【0142】
また、本実施の形態においては、保守状況確認画面D200が掲示板領域A234を含む構成について述べたが、これに限定されるものではない。保守状況確認画面に掲示板領域を設けない構成とすることもできる。
【0143】
また、本実施の形態においては、保守状況確認画面D200に対象日指定部C237を設け、ユーザが当日以外の対象日を指定可能とし、指定された対象日に交換が必要な試薬の情報、対象日に補充又は交換が必要な試薬以外の消耗品の情報、及び、対象日に実施が必要な保守作業の情報を保守状況確認画面に表示する構成について述べたが、これに限定されるものではない。当日以外の対象日をユーザが指定することができないようにし、保守状況確認画面においては、常に当日交換が必要な試薬の情報、当日補充又は交換が必要な試薬以外の消耗品の情報、及び、当日実施が必要な保守作業の情報を保守状況確認画面に表示する構成としてもよい。
【0144】
また、本実施の形態においては、保守状況確認画面D200の試薬情報表示領域A235において、試薬の残量と、当日の予測使用量と、当日の過不足量とを表示する構成について述べたが、これに限定されるものではない。試薬情報表示領域A235に、試薬の当日の過不足量のみを表示する構成としてもよいし、過不足量と試薬の残量とを表示し、予測使用量を表示しない構成としてもよい。また、試薬の残量と予測使用量とを表示し、過不足量を表示しない構成とすることもできる。
【0145】
また、本実施の形態においては、免疫分析装置である検体分析装置1について述べたが、これに限定されるものではない。検体分析装置を、血球計数装置、血液凝固測定装置、尿中有形成分分析装置、又は尿定性分析装置等、人間から採取した検体を分析する免疫分析装置以外の検体分析装置とし、その検体分析装置において特定の期間(例えば、当日)に補充又は交換が必要な消耗品の情報及び前記特定の期間に実施が必要な保守作業の情報を保守状況確認画面に表示する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0146】
1 検体分析装置
2 測定ユニット
3 検体搬送ユニット
4 情報処理ユニット
401 CPU
402 ROM
403 RAM
404 ハードディスク
410 入力部
420 表示部
10 キュベット供給部
13 ピペットチップ供給部
16 試薬設置部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試薬を用いて検体を分析する検体分析装置であって、
複数の試薬が設置される試薬設置部を具備し、前記試薬設置部に設置された試薬を用いて検体を測定する測定部と、
表示部と、
前記試薬設置部における試薬の設置状況を示す試薬情報を表示するための第1領域、及び、特定の期間に前記測定部において実施が必要な保守作業を示す保守作業情報を表示するための第2領域を含む保守状況確認画面を前記表示部に表示させる制御部と、
を備える、
検体分析装置。
【請求項2】
入力部をさらに備え、
前記制御部は、前記検体分析装置の電源が投入された後、当該検体分析装置による測定動作が可能な状態になったときに、ユーザが前記入力部を介して最初に操作可能な初期画面として、前記保守状況確認画面を前記表示部に表示させるように構成されている、
請求項1に記載の検体分析装置。
【請求項3】
前記制御部は、ユーザがログオンを行うためのログオン画面を前記表示部に表示させ、
前記入力部を介して受け付けたユーザ情報に基づいて、ユーザのログオンの可否を判断するログオン処理を実行し、
前記ログオン処理によりユーザのログオンが許可された後に、前記保守状況確認画面を前記表示部に表示させるように構成されている、
請求項2に記載の検体分析装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記保守状況確認画面を前記初期画面として設定可能に構成されている、
請求項2又は3に記載の検体分析装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記検体分析装置に互いに異なる複数の機能をそれぞれ実行させるための選択可能な複数の選択部を有するメニュー画面を前記初期画面として設定可能に構成されている、
請求項4に記載の検体分析装置。
【請求項6】
前記第1領域に表示される前記試薬情報は、前記特定の期間に補充又は交換が必要となる試薬を示す、
請求項1乃至5の何れか1項に記載の検体分析装置。
【請求項7】
前記第1領域に表示される前記試薬情報は、前記試薬設置部に設置された試薬の残量と、前記特定の期間における試薬の予測使用量とを示す、
請求項1乃至6の何れか1項に記載の検体分析装置。
【請求項8】
前記第1領域に表示される前記試薬情報は、前記特定の期間に試薬が使用された場合に予測される試薬の不足量を示す、
請求項1乃至7の何れか1項に記載の検体分析装置。
【請求項9】
前記第2領域に表示される保守作業情報は、予めユーザにより設定された保守作業を示す、
請求項1乃至8の何れか1項に記載の検体分析装置。
【請求項10】
前記測定部は、試薬以外の消耗品が設置される消耗品設置部をさらに具備し、
前記保守状況確認画面は、前記消耗品設置部における消耗品の設置状況を示す消耗品情報を表示するための第3領域を含む、
請求項1乃至9の何れか1項に記載の検体分析装置。
【請求項11】
前記測定部は、液体を吸引するための吸引管を含み、
前記消耗品設置部は、前記吸引管が液体を吸引する際に前記吸引管に装着されるピペットチップを貯留するためのチップ貯留部を含み、
前記第3領域に表示される消耗品情報は、前記チップ貯留部におけるピペットチップの補充が必要か否かを示す、
請求項10に記載の検体分析装置。
【請求項12】
前記消耗品設置部は、検体を収容するためのキュベットを貯留するためのキュベット貯留部を含み、
前記測定部は、前記キュベットに収容された検体から光学的情報を検出するための光学検出部を含み、
前記第3領域に表示される消耗品情報は、前記キュベット貯留部におけるキュベットの補充が必要か否かを示す、
請求項10又は11に記載の検体分析装置。
【請求項13】
前記保守状況確認画面は、一のユーザにより予め登録されたメッセージを他のユーザに閲覧させるための掲示板領域を含む、
請求項1乃至12の何れか1項に記載の検体分析装置。
【請求項14】
前記特定の期間は、特定の日である、
請求項1乃至13の何れか1項に記載の検体分析装置。
【請求項15】
前記特定の日は、前記保守状況確認画面を前記表示部に表示させた当日である、
請求項14に記載の検体分析装置。
【請求項16】
入力部を備え、
前記保守状況確認画面は、前記入力部によりユーザが期間を指定するための期間指定部をさらに含み、
前記制御部は、前記期間指定部において期間が指定された場合に、前記指定された期間に実施が必要な保守作業を示す前記保守作業情報を前記第2領域に表示させるように構成されている、
請求項1乃至15の何れか1項に記載の検体分析装置。
【請求項17】
入力部を備え、
前記保守状況確認画面は、ユーザによる試薬の補充又は交換を支援するための試薬補充交換画面を表示させるための第1指定部と、ユーザによる保守作業の実施を支援するための保守作業画面を表示させるための第2指定部とをさらに含み、
前記制御部は、前記入力部により前記第1指定部が指定された場合に前記試薬補充交換画面を前記表示部に表示させ、前記入力部により前記第2指定部が指定された場合に前記保守作業画面を前記表示部に表示させるように構成されている、
請求項1乃至16の何れか1項に記載の検体分析装置。
【請求項18】
複数の試薬が設置される試薬設置部を具備し、前記試薬設置部に設置された試薬を用いて検体を測定する測定部と通信可能に接続されたコンピュータを、
前記試薬設置部における試薬の設置状況を示す試薬情報を表示するための第1領域、及び、特定の期間に前記測定部において実施が必要な保守作業を示す保守作業情報を表示するための第2領域を含む保守状況確認画面を前記コンピュータに設けられた表示部に表示させる手段、
として機能させるためのコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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