説明

検体分析装置

【課題】 従来に比して試薬容器の交換を円滑に行うことが可能な検体分析装置を提供する。
【解決手段】
検体分析装置は、試薬容器を設置可能な容器設置部62と、試薬容器設置部62に設けられた開閉可能なカバー663と、カバー663を開放位置においてロックするソレノイド668と、ソレノイド668によるカバー663の開放位置におけるロック及びロック解除を制御する情報処理ユニットとを備え、試薬交換の際に、カバー663を開放位置でロックして、円滑な試薬交換を可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試薬を使用して検体を分析する検体分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
装置内に試薬容器を設置し、設置された試薬容器から試薬を吸引し、この試薬を使用して検体を分析する検体分析装置が知られている。特許文献1には、試薬庫と、試薬庫の上面に開閉可能に配置される蓋と、蓋が試薬庫を閉じた状態を維持するためのロック機構とを備えた自動分析装置が開示されている。この特許文献1に開示された自動分析装置は、ユーザからの測定開始指示を受け付けると、蓋の閉じた状態を維持するようにロックをかけ、測定動作を開始する。この自動分析装置は、ユーザが試薬容器を交換する場合は、ユーザからの測定動作の一時中断指示を受け付け、測定動作を一時中断し、試薬庫の蓋のロックを解除する。ユーザによる試薬容器の交換後、ユーザからの測定動作の再開指示を受け付けると、自動分析装置は蓋が正しく閉じられているかどうかをチェックし、蓋が正しく閉じられていると判断すると、蓋を再度ロックし、測定動作を再開する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−216173号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に開示された自動分析装置にあっては、誤った種類の試薬を収容する試薬容器に交換されたり、分析に適さない試薬を収容する試薬容器に交換されたりしたときでも、蓋を閉じることが可能であり、蓋が正しく閉じられれば蓋がロックされ、測定動作が再開される。かかる場合にはユーザが再度自動分析装置に測定の一時中断指示を与えて、蓋のロックを解除し、試薬容器の交換をやり直す必要がある。
【0005】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、従来に比して試薬容器の交換を円滑に行うことが可能な検体分析装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明の一の態様の検体分析装置は、検体の分析に使用される試薬が収容された試薬容器を設置可能な容器設置部と、前記容器設置部を開放状態および閉鎖状態にするカバーと、前記カバーの閉鎖を許可及び禁止するロック機構と、前記ロック機構による前記カバーの閉鎖の許可及び禁止を制御する制御部と、を備える。
【0007】
この態様においては、前記検体分析装置が、前記カバーの開放を検知する検知部をさらに備え、前記制御部が、前記検知部による検知結果に基づいて、前記ロック機構による前記カバーの閉鎖の許可及び禁止を制御することが好ましい。
【0008】
また、上記態様においては、前記制御部が、前記検知部により前記カバーの開放が検知された場合に、前記容器設置部に設置された試薬容器の交換が必要か否かを判定し、判定結果に基づいて、前記ロック機構による前記カバーの閉鎖の許可及び禁止を制御することが好ましい。
【0009】
また、上記態様においては、前記制御部が、前記容器設置部に新たに試薬容器が設置された場合に、適切な試薬容器が設置されたか否かを判定し、判定結果に基づいて、前記ロック機構による前記カバーの閉鎖の許可及び禁止を制御することが好ましい。
【0010】
また、上記態様においては、前記検体分析装置が、出力部をさらに備え、前記制御部が、適切な試薬容器が設置されたと判定した場合に、前記カバーの閉鎖を許可すべく前記ロック機構を制御し、前記カバーの閉鎖を促すメッセージを前記出力部に出力させることが好ましい。
【0011】
また、上記態様においては、前記ロック機構が、前記カバーの開放の許可及び禁止が可能であり、前記制御部が、前記ロック機構による前記カバーの開放の許可及び禁止を制御することが好ましい。
【0012】
また、上記態様においては、前記制御部が、ユーザによる前記カバーの閉鎖の禁止の解除指示を受付可能であり、前記カバーの閉鎖が禁止されている場合において、ユーザからの前記解除指示を受け付けたときには、前記ロック機構による前記カバーの閉鎖の禁止を解除することが好ましい。
【0013】
また、上記態様においては、前記検体分析装置には前記容器設置部及び前記カバーのそれぞれが複数設けられており、前記複数のカバーが、前記複数の容器設置部のそれぞれに個別に設けられていることが好ましい。
【0014】
また、上記態様においては、前記検体分析装置が、前記容器設置部に設置された試薬容器から試薬を吸引する吸引管と、前記カバーを開放したときに前記吸引管が試薬容器から退出し、前記カバーを閉鎖したときに前記吸引管が試薬容器へ進入するように、前記カバーの開閉と連動して前記吸引管を移動させる連動部と、をさらに備えることが好ましい。
【0015】
また、上記態様においては、前記試薬容器が、前記吸引管により穿刺可能な蓋部を備え、前記連動部が、前記カバーを閉鎖したときに前記吸引管が蓋部を穿刺して試薬容器へ進入するように、前記カバーの開閉と連動して前記吸引管を移動させることが好ましい。
【0016】
また、上記態様においては、前記制御部が、試薬容器の液量を監視し、監視結果に基づいて、試薬容器の交換が必要か否かを判定することが好ましい。
【0017】
また、上記態様においては、前記検体分析装置が、試薬容器に収容された試薬と検体とから測定試料を調製する試料調製部と、前記試料調製部により調製された測定試料から、所定の血球を検出する検出部と、をさらに備えることが好ましい。
【0018】
また、上記態様においては、前記試薬容器設置部が、検体に含まれる所定の検出対象物を染色するための染色液が収容される試薬容器を設置するためのものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る検体分析装置によれば、従来に比して試薬容器の交換を円滑に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施の形態に係る検体分析装置の全体構成を示す斜視図。
【図2】実施の形態に係る検体分析装置の構成を示す模式図。
【図3】実施の形態に係る測定ユニットの構成を示す模式図。
【図4】実施の形態に係る測定ユニットの試薬容器ホルダの構成を示す斜視図。
【図5】実施の形態に係る測定ユニットの試薬容器ホルダの構成を示す正面図。
【図6】実施の形態に係る試薬容器ホルダの内部構成を示す縦断面図。
【図7】実施の形態に係る試薬容器ホルダの内部構成を示す縦断面図。
【図8】実施の形態に係る試薬容器ホルダの内部構成を示す縦断面図。
【図9】実施の形態に係る試薬容器の構成を示す斜視図。
【図10】実施の形態に係る試薬容器の構成を示す斜視図。
【図11】実施の形態に係る情報処理ユニットの構成を示すブロック図。
【図12】実施の形態に係る試薬コードテーブルの構造を示す模式図。
【図13】実施の形態に係る情報処理ユニットによる検体分析制御処理の手順を示すフローチャート。
【図14A】実施の形態に係る情報処理ユニットによる試薬交換制御処理の手順を示すフローチャート。
【図14B】実施の形態に係る情報処理ユニットによる試薬交換制御処理の手順を示すフローチャート。
【図14C】実施の形態に係る情報処理ユニットによる試薬交換制御処理の手順を示すフローチャート。
【図15】その他の実施形態に係る情報処理ユニットによる試薬交換制御処理の手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
[検体分析装置の構成]
図1は、本実施の形態に係る検体分析装置の全体構成を示す斜視図である。本実施の形態に係る検体分析装置1は、血液検体に含まれる血球を白血球、赤血球、血小板等に分類し、各血球を計数する多項目血球分析装置である。本実施形態による検体分析装置1は、図1に示すように、矢印X2方向側に配置された第1測定ユニット3及び矢印X1方向側に配置された第2測定ユニット2の2つの測定ユニットと、第1測定ユニット3及び第2測定ユニット2の前面側(矢印Y1方向側)に配置された検体搬送ユニット(サンプラ)4と、第1測定ユニット3、第2測定ユニット2及び検体搬送ユニット4に電気的に接続されたPC(パーソナルコンピュータ)からなる情報処理ユニット5とを備えている。また、検体分析装置1は、情報処理ユニット5によりホストコンピュータ6(図2参照)に接続されている。
【0023】
<測定ユニットの構成>
図2は、本実施の形態に係る検体分析装置1の構成を示す模式図である。図1及び図2に示すように、第1測定ユニット3及び第2測定ユニット2は、実質的に同種類の測定ユニットであり、互いに隣り合って配置されている。具体的には、本実施の形態では、第2測定ユニット2は、第1測定ユニット3と同じ測定原理を使用して、同一の測定項目について検体を測定する。さらに、第2測定ユニット2は、第1測定ユニット3が分析しない測定項目についても測定する。また、図2に示すように、第2測定ユニット2及び第1測定ユニット3は、それぞれ、検体である血液をサンプル容器100から吸引する検体吸引部21及び31と、検体吸引部21及び31により吸引した血液から測定試料を調製する試料調製部22及び32と、試料調製部22及び32により調製された測定試料から血液の血球を検出する検出部23及び33とを有している。また図1に示すように、第1測定ユニット3及び第2測定ユニット2のそれぞれには、各機構部のアクチュエータを駆動し、センサの検出信号を受信するドライバ基板3a及び2aが設けられている。
【0024】
また、第2測定ユニット2及び第1測定ユニット3は、図2に示すように、それぞれ、検体吸引部21及び31、試料調製部22及び32等を内部に収容するユニットカバー24及び34と、サンプル容器100をユニットカバー24及び34の内部に取り込み、検体吸引部21及び31による吸引位置600及び700までサンプル容器100を搬送するサンプル容器搬送部25及び35と、吸引位置600及び700でサンプル容器100を固定保持する固定保持部26及び36とをさらに含んでいる。なお、上記のように第1測定ユニット3及び第2測定ユニット2は、実質的に同種類の測定ユニットであるので、以下では第2測定ユニット2について説明し、第1測定ユニット3についてはその説明を省略する。
【0025】
図3は、本実施の形態に係る第2測定ユニットの構成を示す模式図である。検体吸引部21は、図3に示すように、内部を試薬が通過する吸引管であるピアサ21a及び定量部21bを有している。ピアサ21aは、先端がサンプル容器100の後述する密閉蓋100aを貫通(穿刺)可能なように形成されている。また、ピアサ21aは、図示しないピアサ駆動部により鉛直方向(Z方向)に移動可能であり、後述する反応チャンバ22aまで移動可能に構成されている。定量部21bはシリンジポンプなどからなり、ピアサ21aを介して、サンプル容器100から所定量の検体を吸引し、また吐出する機能を有する。これにより、サンプル容器100から検体測定に必要な所定量の検体が吸引され、反応チャンバ22aに供給可能である。
【0026】
検出部23は、RBC検出(赤血球の検出)及びPLT検出(血小板の検出)をシースフローDC検出法により行い、またHGB検出(血液中の血色素の検出)をSLS−ヘモグロビン法により行う。また、検出部23は、図3に示すように、WBC検出(白血球の検出)を半導体レーザを使用したフローサイトメトリー法により行うFCM測定部23aを有している。また、検出部23で得られた検出結果は、検体の測定データ(測定結果)として、情報処理ユニット5に送信される。
【0027】
図3に示すように、第2測定ユニット2の試料調製部22は、反応チャンバ22aと、反応チャンバ22aに接続された試薬供給部22bとを有している。反応チャンバ22aは、検体吸引部21により吸引された検体(血液)と、試薬供給部22bから供給される試薬とを混合及び反応させるように構成されている。反応チャンバ22aは、測定種別に応じて複数設けられており、各反応チャンバ22aには測定項目に応じた複数種類の試薬(染色液など)が供給され、検体と試薬との混合及び反応過程を経て各種測定項目に応じた測定試料が調製される。調製された測定試料は、FCM測定部23aへと供給されるように構成されている。
【0028】
本実施の形態では、試薬供給部22bは、ユニットカバー24の内部に設けられ、所定量の試薬を収容した複数の試薬容器200(図9参照)又は300(図10参照)を保持する試薬容器ホルダ660を有している。かかる試薬容器ホルダ660には、試薬容器200(又は300)内の試薬を吸引するピアサ64が設けられている。また試薬供給部22bは、気泡センサ22pと、シリンジポンプ及びダイアフラムポンプなどからなる定量部22cと、吸引された試薬を定量部22c及び反応チャンバ22aに移送する際の流路の開閉を行う電磁バルブ22d及び22eとを有している。図3に示すように、気泡センサ22pは、ピアサ64と反応チャンバ22aとの間の流路中に設けられており、ピアサ64から吸引された液体中に含まれる気泡を検出する。さらに試薬供給部22bは、試薬容器ホルダ660に保持された試薬容器200(又は300)の他、測定ユニットの外部に配置された大容量試薬容器110から試薬(溶血剤など)を移送するための定量部22fと電磁バルブ22g及び22hとを有している。なお、試薬容器200及び300については、後に詳細に説明する。
【0029】
図1に示すように、ユニットカバー24の前面側には、開閉可能な前面カバー24aが設けられている。試薬容器ホルダ660は、第2測定ユニット2の前面上部に配置されており、前面カバー24aを開放することにより、外部に露出する。これにより、使用者は、試薬容器200及び300を容易に交換することができる。なお、第1測定ユニット3のユニットカバー34の前面側にも、開閉可能な前面カバー34aが設けられている。同様に、試薬容器ホルダ660は、第1測定ユニット3の前面上部に配置されており、前面カバー34aを開放することにより、外部に露出する。
【0030】
また、第1測定ユニット3及び第2測定ユニット2には、アラーム音を発するブザー39,29が設けられている。ブザー39,29はドライバ基板3a,2aに各別に接続されており、情報処理ユニット5の制御信号によりアラーム音を発生するようになっている。
【0031】
次に、試薬容器ホルダ660の構成について詳細に説明する。図4及び図5は、本実施の形態に係る第2測定ユニットの試薬容器ホルダの構成を示す斜視図及び正面図である。図4及び図5に示すように、試薬容器ホルダ660は、5つのホルダ部660a、660b、660c、660d及び660eを有し、合計5つ(5種類)の試薬容器200(又は300)を保持するように構成されている。試薬容器ホルダ660に保持される試薬容器200(又は300)は、FCM測定部23aにより複数の測定項目を測定するための、それぞれ異なる種類の試薬(染色液)を収容している。試薬容器は、試薬の種類に応じて大型(約100mL)の試薬容器200(図9参照)と、小型(約20mL)の試薬容器300(図10参照)とが用いられるが、各ホルダ部660a〜660eは試薬容器200又は300のいずれでも保持可能なように構成されている。つまり、5つのホルダ部660a〜660eはそれぞれ同様の構成を有する。3つのホルダ部660a〜660cには大型の試薬容器200がセットされ、2つのホルダ部660d及び660eには小型の試薬容器300(図4及び図5では図示せず)がセットされる。さらに詳しくは、ホルダ部660a〜660cには白血球のサブクラス分類用の染色液を収容した試薬容器200が設置され、ホルダ部660dには網状赤血球検出用の染色液を収容した試薬容器300が設置され、ホルダ部660eには血小板検出用の染色液を収容した試薬容器300が設置される。これらのホルダ部660a〜660eは、それぞれ、シャーシ661と、試薬容器設置部62と、試薬容器設置部62を開閉するためのカバー663と、上述したピアサ64と、ピアサ昇降機構665とを有している。各カバー663の前面には、押しボタンスイッチ667がそれぞれ取り付けられている。
【0032】
ホルダ部660a〜660eのそれぞれには、RFID(Radio Frequency
Identification)リーダ61a〜61eと、RFIDリーダ61a〜61eのそれぞれに1つずつ対応して接続されたアンテナ62a〜62eとが設けられている。試薬容器200及び300のそれぞれには、試薬に関する各種の情報を記憶するRFIDタグ260(360)が取り付けられている。RFIDタグ260(360)は、電池が不要なパッシブタグであり、アンテナ62a〜62eから発信された電波により駆動される。RFIDタグ260(360)には、試薬の種類を示す試薬コード、試薬の使用期限、試薬の最大使用回数、各試薬に個別に割り当てられたシリアル番号、ロット番号、開封後有効期限の各情報が記憶されている。RFIDリーダ61a〜61eは、RFIDタグ260(360)から試薬情報を読み取るとき、アンテナ62a〜62eから電波を発信する。アンテナ62a〜62eから電波が発信されると、その一部がRFIDタグ260(360)によって反射される。この反射波には、RFIDタグ260(360)に記憶された試薬情報が乗せられる。アンテナ62a〜62eは、RFIDタグ260(360)からの反射波を受信し、RFIDリーダ61a〜61eがこの反射波に含まれる試薬情報を取得する。
【0033】
試薬容器設置部62は、シャーシ661の下部(図5参照)に設けられ、その内部に試薬容器200(300)を設置するための空間が設けられている。
【0034】
図6〜図8は、本実施の形態に係る試薬容器ホルダの内部構成を模式的に示した縦断面図であり、図6は、試薬容器ホルダにおいて試薬容器を着脱する状態を示しており、図7は、試薬容器ホルダにおける試薬容器のセット状態を示しており、図8は、試薬容器ホルダのカバーを下降させた状態を示している。図6に示すように、試薬容器設置部62は、試薬容器200(300)を支持する支持部624と、支持部624を回動可能に支持する回動機構625とを有している。支持部624は、試薬容器200(300)の形状と対応する形状を有するように形成されており、試薬容器200(300)の前面及び下面が当接するようになっている。回動機構625は、支持部624の屈曲部付近に設けられた軸受625aを中心として、支持部624を回動させることが可能なように構成されている。
【0035】
さらに、シャーシ661の内部には、支持部624と当接することによって、回動する支持部624を係止する係止部626が設けられている。係止部626には磁石が設けられており、支持部624の前側部分と磁力により吸着する。これにより、支持部624は、試薬容器200(300)の下面が水平となる載置位置P1(図6参照)と、試薬容器200(300)の前側及び後側端面が垂直となるセット位置Q1(図7参照)との間で移動するように構成されている。図7に示すように、このセット位置Q1に配置された状態で、試薬容器200(300)の後述する開口部212(312)が、水平となり且つピアサ64の直下に位置するように構成されている。
【0036】
アンテナ62a〜62eのそれぞれは、各試薬容器設置部62の側面部分に取り付けられている。試薬容器200(300)がセット位置Q1に配置されたときに、その試薬容器200(300)のRFIDタグ260(360)が、当該試薬容器200(300)が設置された試薬容器設置部62におけるアンテナ62a〜62eと隣り合う位置に配置されるようになっている。これにより、試薬容器設置部62に設置された試薬容器200(300)のRFIDタグ260(360)からの反射波が、アンテナ62a〜62eのうち最も近接した(つまり隣り合う)1つによって受信される。RFIDタグ260(360)から発せられる反射波は非常に微弱であり、最も近接したアンテナ以外のアンテナによっては受信されることがない。
【0037】
カバー663は、図6に示すように、ホルダ部660a〜660e(シャーシ661)の各々の手前側(矢印Y1方向側)に配置され、ピアサ昇降機構665に取り付けられている。このピアサ昇降機構665により、カバー663は、試薬容器設置部62を開放する上昇位置P2(図7参照)と、試薬容器設置部62を覆う(閉鎖する)下降位置Q2(図8参照)とに移動可能に構成されている。また、図5に示すように、カバー663の所定位置には、開口からなる窓部631が設けられている。図8に示すように、カバー663が試薬容器設置部62を覆う(閉鎖する)下降位置Q2に位置した状態で、使用者がこの窓部631を介して、試薬容器200(300)に貼付されたラベル250(350、図10参照)を視認することが可能なように構成されている。ラベル250(350)の窓部631を介して視認可能な位置には、試薬容器200(300)の種類(試薬の種類)を識別する標識が印刷されている。また、カバー663には、試薬容器設置部62にセットされる試薬容器200(300)の種類(試薬の種類)を識別する標識が印刷されたラベル632が貼付される。すなわち、5つのホルダ部660a〜660eには、それぞれ定められた種類の試薬を収容する試薬容器200(300)がセットされるので、これに対応して、各ホルダ部660a〜660eのカバー663には、セットされるべき試薬の種類を識別するラベル632が貼付される。これにより、試薬容器設置部62に試薬容器200(300)をセットした状態(カバー663を下降位置Q2に降ろした状態)で、カバー663に付されたラベル632と、窓部631を介して視認されるラベル250(350)とから、正しい試薬が各ホルダ部660a〜660eにセットされているかを確認することが可能なように構成されている。
【0038】
またホルダ部660a〜660eのそれぞれには、対応するカバー663の開閉を検出するカバー開閉センサ63aが設けられている。カバー開閉センサ63aは、互いに対向配置された発光部と受光部とを有するフォトインタラプタであり、ピアサ昇降機構665に設けられた検出片665aを検出することにより、カバーの開閉を検出する。さらに詳しくは、下降位置Q2に位置するときに、検出片665aがカバー開閉センサ63aの発光部と受光部との間に配置され、発光部からの光を検出片665aが遮るのを受光部で検出することによって、カバー663が閉じられたことを検出し、発光部からの光を検出片665aに遮られることなく受光部で検出することによって、カバー663が開放されたことを検出する。
【0039】
この検出片665aは、ピアサ64を支持する支持板665bの一部が突出して形成されたものであり、支持板665bは検出片665aの上部から後方へ連続して延びている。さらに支持板665bは、検出片665aの後方において下方に屈曲しており、屈曲部分から下側が垂直板状のロック部666となっている。ロック部666は、下端付近に第1ロック穴666aが設けられており、上端付近に第2ロック穴666bが設けられている。
【0040】
シャーシ661のカバー開閉センサ63aの取付位置付近からは、ソレノイド支持部661aが後方に突出している。かかるソレノイド支持部661aは、先端において90度屈曲しており、ソレノイド668を支持する。ソレノイド668は、棒状のプランジャ668aを有しており、駆動されることによりプランジャ668aを移動させることができる。プランジャ668aは、ソレノイド668に内蔵された図示しないバネによって後方に付勢されており、ソレノイド668に電流が与えられないときにはプランジャ668aはソレノイド668の本体に収容されるロック解除位置に位置する。ソレノイド668に電流が与えられると、電磁力によってプランジャ668aが前方へ移動する。プランジャ668aの前側の移動終端位置をロック位置という。つまり、ソレノイド668は、プランジャ668aをロック位置とロック解除位置との間で変位させることができるようになっている。
【0041】
図7に示すように、ピアサ64は、試薬容器設置部62の最奥部(矢印Y2方向側端部)の上方位置に配置され、ピアサ64を保持するピアサ昇降機構665により鉛直方向(Z方向)に移動されるように構成されている。ピアサ64は、先端が試薬容器200(300)の開口部212(312)を封止するためのシール材213(313)(図9及び図10参照)を貫通(穿刺)可能なように先鋭に形成されている。また、図3に示すように、ピアサ64の上端は、定量部22c及び反応チャンバ22aに至る流路(図6〜11では図示を省略)と接続されている。
【0042】
図7及び図8に示すように、ピアサ昇降機構665は、ピアサ64とカバー663とを保持するように構成されている。また、ピアサ昇降機構665は、シャーシ661に設けられた溝部611及び612に鉛直方向(Z方向)移動可能に係合している。これにより、ピアサ昇降機構665は、カバー663の開閉(昇降)に連動してピアサ64を鉛直方向(Z方向)に一体的に移動させるように構成されている。そして、図7に示すように、カバー663が上昇位置P2に配置された状態では、ピアサ64は試薬容器設置部62の上方の上昇位置P3に配置され、図8に示すように、カバー663が下降位置Q2に配置された状態では、ピアサ64は試薬容器200(300)の開口部212(312)直下の内底部に近接する下降位置Q3に配置されるように構成されている。
【0043】
カバー663が開かれ、ピアサ64が上昇位置P3にあるときには、ロック部666の第1ロック穴666aがソレノイド668に対向する。このとき、ソレノイド668が駆動されてプランジャ668aがロック位置まで突出すると、プランジャ668aが第1ロック穴666aを貫通し、ロック部666がソレノイド668によって固定される。これにより、カバー663が開いた位置(以下、「開放位置」という。)でロックされ、このときカバー663を閉じることはできない(図16参照)。
【0044】
一方、ソレノイドに電流が与えられていないときには、プランジャ668aがロック解除位置に位置し、プランジャ668aが第1ロック穴666aから外れている。したがって、ロック部666はソレノイド668によってロックされておらず、下方へ移動可能となり、カバー663を閉じることが可能となる(図17参照)。
【0045】
カバー663が閉じられ、ピアサ64が下降位置Q3にあるときには、ロック部666の第2ロック穴666bがソレノイド668に対向する。このとき、ソレノイド668が駆動されてプランジャ668aがロック位置まで突出すると、プランジャ668aが第2ロック穴666bを貫通し、ロック部666がソレノイド668によって固定される。これにより、カバー663が閉じた位置(以下、「閉鎖位置」という。)でロックされ、このときカバー663を開くことはできない(図18参照)。
【0046】
押しボタンスイッチ667の操作によって上記のソレノイド668を動作させることができる。閉鎖位置にある特定のカバー663がロックされており、ユーザがこのカバー663を開く場合、ユーザがそのカバー663に設けられた押しボタンスイッチ667を押下すると、ソレノイド668への電流供給が停止され、プランジャ668aがロック解除位置へ移動し、当該カバー663のロックが解除される。この状態でユーザは当該カバー663を開くことができる。
【0047】
図3に示すように、定量部22cは、ピアサ64を試薬容器200(300)内部で下降位置Q3に配置した状態(図8参照)で、電磁バルブ22dを開放するとともに電磁バルブ22eを閉鎖することによって、ピアサ64を介して試薬容器200(300)内の所定量の試薬を定量部22c内部に吸引することが可能なように構成されている。これにより、測定試料の調製に必要な所定量の試薬が定量される。また、定量部22cは、電磁バルブ22dを閉鎖するとともに電磁バルブ22eを開放することによって、反応チャンバ22aに定量部22c内部で定量した試薬を移送することが可能なように構成されている。
【0048】
なお、外部に配置された大容量試薬容器110と接続された定量部22f、電磁バルブ22g及び22hも同様であり、これら各部の動作が制御されることによって、反応チャンバ22a内に各種試薬が移送されるように構成されている。また、第2測定ユニット2内部には、測定済み(調製済み)の試料を廃棄するための廃液チャンバ27が設けられており、電磁バルブ27aの開閉によって、測定済み(調製済み)試料の廃棄が行われるように構成されている。
【0049】
図2に示すように、サンプル容器搬送部25は、鉛直方向(矢印Z1及びZ2方向)に直線移動可能に構成され、サンプル容器100を把持することが可能なハンド部25aと、サンプル容器100を矢印Y1及びY2方向に水平移動させるサンプル容器移送部25bと、バーコード読取部25cとを有している。
【0050】
ハンド部25aは、検体搬送ユニット4が搬送するラック101の搬送路の上方に配置されている。また、ハンド部25aは、検体搬送ユニット4により所定の取込位置43bにサンプル容器100が搬送されると、下方(矢印Z2方向)に移動した後、ラック101に収容されたサンプル容器100を把持するように構成されている。
【0051】
また、ハンド部25aは、把持するサンプル容器100内の血液を攪拌することが可能である。また、攪拌終了後、サンプル容器移送部25bにより検体セット位置610に移動された検体セット部25dに、サンプル容器100をセットするように構成されている。なお、図2に示すように、平面的に見て、第2取込位置43bと検体セット位置610とは、重なるように配置されている。
【0052】
サンプル容器移送部25bは、図1及び図2に示すように、検体セット部25dを有し、検体セット部25dを測定処理の動作に応じた所定の位置に移動させることが可能である。具体的には、サンプル容器移送部25bにより、検体セット部25dを、図2に示す吸引位置600と、検体セット位置610とに配置させることが可能である。また、サンプル容器移送部25bは、図1に示すように、緊急検体の測定を行う場合や、検体搬送ユニット4を使用しない場合に使用者が手動でサンプル容器100をセットするように、ユニットカバー24の外部の所定位置まで移動することが可能なように構成されている。
【0053】
バーコード読取部25cは、各サンプル容器100に貼付されたバーコード(図示せず)を読み取るように構成されている。また、各サンプル容器100のバーコード(図示せず)は、各検体に固有に付されたものであり、各検体の分析結果の管理などに使用される。
【0054】
固定保持部26は、吸引位置600に移送されたサンプル容器100を固定保持するように構成されている。具体的には、固定保持部26は、図2に示すように、一対のチャック部26aを有し、一対のチャック部26aが互いに近接移動してサンプル容器100を挟持するように構成されている。
【0055】
次に、本実施形態による第2測定ユニット2及び第1測定ユニット3に用いられ、試薬容器ホルダ660にセットされる試薬容器200及び300について詳細に説明する。
【0056】
図9及び図10は、本実施の形態に係る試薬容器の構成を示す斜視図である。本実施の形態では、図9及び図10に示すように、大型(容量約100mL)の試薬容器200と、小型(容量約20mL)の試薬容器300とが、収容される試薬の種類に対応して用いられるように構成されている。即ち、大型の試薬容器200には、白血球のサブクラス分類用の染色液が収容され、小型の試薬容器300には、網状赤血球検出用の染色液及び血小板検出用の染色液が収容される。試薬容器200及び300は、それぞれ、ピアサ64が挿入される開口部212及び312を前端(試薬容器設置部62に挿入されるときの挿入方向側端)の上部に備えており、この開口部212及び312が設けられた前側部分の形状が互いに同一となっている。また、大型の試薬容器200は、その後側部分(開口部212が設けられた前側の反対側部分)の幅が広がっている。一方、小型の試薬容器300は、全長に亘ってその幅が均一に形成されている。このように、試薬容器200及び300は、それぞれの前側部分の形状が共通するため、同一形状を有するホルダ部660a〜660eの試薬容器設置部62に対してそれぞれセット可能となっている。さらに、図9及び図10に示すように、大型の試薬容器200及び小型の試薬容器300の両方の前側部分の側面には、対応する箇所にRFIDタグ260及び360が取り付けられている。この前側部分の形状は試薬容器200及び300において同一であるので、試薬容器200及び300が試薬容器設置部62に設置された状態においては、試薬容器200及び300の何れに設けられたRFIDタグ260及び360もそれぞれ対応するアンテナ62a〜62eと隣り合う位置に配置されることとなる。
【0057】
開口部212(312)は、図9及び図10に示すように、試薬容器200及び300の前側部分から上方に突出する円筒状に形成されている。突出した開口部212(312)には、アルミ箔などからなるシール材213(313)が設けられ、試薬容器200(300)が封止されるように構成されている。上述したように、試薬容器200及び300が試薬容器設置部62に設置された状態で、カバー663が閉じられ、これと連動してピアサ64が下降したときに、ピアサ64の先端によってシール材213及び313が穿刺され、ピアサ64が開口部212及び312に挿入される。
【0058】
また、図9及び図10に示すように、各試薬容器200(300)には、それぞれ、収容する試薬の名称、試薬のロット番号、及び使用期限などが印刷されたラベル250(350)が貼付されている。このラベル250(350)は、各試薬容器200(300)の後側表面と、少なくとも一方の横側面とにわたって貼付される。またラベル250(350)の一部(各試薬容器200(300)の後側表面に相当する部分)又は全部には、収容する試薬の種類を示す色彩が付され、ラベル250(350)に表示された色によって試薬の種類を識別することが可能なように構成されている。このラベル250(350)と、試薬容器ホルダ660のカバー663に貼付されるラベル632(図5参照)とのそれぞれの色が一致するか否かによって、試薬容器200(300)が正しいホルダ部660a〜660eにセットされたか否かを確認することが可能である。
【0059】
<検体搬送ユニットの構成>
図1及び図2に示すように、検体搬送ユニット4は、分析が行われる前の検体を収容するサンプル容器100が収容された複数のラック101を保持することが可能な分析前ラック保持部41と、分析が行われた後の検体を収容するサンプル容器100が収容された複数のラック101を保持することが可能な分析後ラック保持部42と、ラック101を矢印X1及びX2方向に水平に直線移動するラック搬送部43と、バーコード読取部44と、サンプル容器100の有無を検知する有無検知センサ45と、分析後ラック保持部42内にラック101を移動するラック送出部46とを有している。
【0060】
分析前ラック保持部41は、ラック送込部411を有し、ラック送込部411が矢印Y2方向に移動することによって、分析前ラック保持部41に保持されたラック101を1つずつラック搬送部43上に押し出すように構成されている。
【0061】
ラック搬送部43は、図2に示すように、ラック101を搬送することにより、ラックに保持された所定のサンプル容器100を、第1測定ユニット3が検体を取り込む取込位置43a、及び、第2測定ユニット2が検体を取り込む取込位置43bに配置するように構成されている。また、ラック搬送部43は、有無検知センサ45がサンプル容器100の有無を確認する検体有無検知位置43cと、バーコード読取部44がサンプル容器100のバーコード(図示せず)(図4参照)を読み取る読取位置43dとにサンプル容器100を搬送可能に構成されている。
【0062】
ラック送出部46は、ラック搬送部43を挟んで分析後ラック保持部42に対向するように配置されており、矢印Y1方向に水平に移動するように構成されている。また、ラック送出部46は、矢印Y1方向に水平移動することによって、ラック搬送部43の分析後ラック保持部42とラック送出部46とに挟まれた位置に配置されたラック101を分析後ラック保持部42側に押し出すように構成されている。
【0063】
<情報処理ユニットの構成>
次に、情報処理ユニット5の構成について説明する。情報処理ユニット5は、コンピュータにより構成されている。図11は、情報処理ユニット5の構成を示すブロック図である。情報処理ユニット5は、コンピュータ5aによって実現される。図11に示すように、コンピュータ5aは、本体51と、画像表示部52と、入力部53とを備えている。本体51は、CPU51a、ROM51b、RAM51c、ハードディスク51d、読出装置51e、入出力インタフェース51f、通信インタフェース51g、及び画像出力インタフェース51hを備えており、CPU51a、ROM51b、RAM51c、ハードディスク51d、読出装置51e、入出力インタフェース51f、通信インタフェース51g、及び画像出力インタフェース51hは、バス51jによって接続されている。
【0064】
読出装置51eは、コンピュータを情報処理ユニット5として機能させるためのコンピュータプログラム54aを可搬型記録媒体54から読み出し、当該コンピュータプログラム54aをハードディスク51dにインストールすることが可能である。
【0065】
ハードディスク51dには、ホルダ部660a〜660eを特定する情報と、各ホルダ部660a〜660eに設置可能な試薬の種類を示す試薬コードとが対応付けて記憶された試薬コードテーブルRCTが格納されている。図12は、試薬コードテーブルの構造を示す模式図である。上述したように、ホルダ部660a〜660e毎に、設置可能な試薬の種類が定まっている。即ち、ホルダ部660aは白血球の第1のサブクラス分類用の染色液を収容した試薬容器を設置するためのものであり、ホルダ部660bは白血球の第2のサブクラス分類用の染色液を収容した試薬容器を設置するためのものであり、ホルダ部660cは白血球の第3のサブクラス分類用の染色液を収容した試薬容器を設置するためのものであり、ホルダ部660dは網状赤血球検出用の染色液を収容した試薬容器を設置するためのものであり、ホルダ部660eは血小板検出用の染色液を収容した試薬容器を設置するためのものである。試薬コードテーブルRCTには、ホルダ部660aを示す試薬設置位置番号「1」に対応して、白血球の第1のサブクラス分類用の染色液の試薬コード「S001」が記憶され、ホルダ部660bを示す試薬設置位置番号「2」に対応して、白血球の第2のサブクラス分類用の染色液の試薬コード「S002」が記憶され、ホルダ部660cを示す試薬設置位置番号「3」に対応して、白血球の第3のサブクラス分類用の染色液の試薬コード「S003」が記憶され、ホルダ部660dを示す試薬設置位置番号「4」に対応して、網状赤血球検出用の染色液の試薬コード「S004」が記憶され、ホルダ部660dを示す試薬設置位置番号「5」に対応して、血小板検出用の染色液の試薬コード「S005」が記憶されている。
【0066】
またハードディスク51dには、試薬管理テーブルRMTの領域が設けられている。試薬管理テーブルRMTは、試薬容器ホルダ660に設置されている試薬を管理するためのテーブルであり、試薬の設置位置(ホルダ部)、試薬コード、試薬の使用期限、試薬の最大使用回数、シリアル番号、ロット番号、開封後有効期限、開封日、使用回数等の情報を格納するようになっている。
【0067】
さらにハードディスク51dには、通知メッセージMSが記憶されている。通知メッセージMSは、試薬交換が必要になったとき又はユーザによる試薬交換作業の際に出力される文字情報である。具体的には、ハードディスク51dに、「試薬がありません。カバーを開けて試薬容器を交換してください。」、「交換対象ではないカバーが開けられました。閉じてください。」、「適切な試薬容器をセットしてください。」、「適切な試薬容器がセットされました。カバーを閉じてください。」、「試薬交換が完了しました。」の各通知メッセージMSが記憶されている。
【0068】
入出力インタフェース51fには、ケーブルを介して第1測定ユニット3及び第2測定ユニット2のそれぞれが接続されている。入出力インタフェース51fは、第1測定ユニット3及び第2測定ユニット2のドライバ基板3a及び2a通信可能に接続されており、制御信号をドライバ基板3a,2aに出力することが可能である。かかる制御信号を受信したドライバ基板3a,2aは、この制御信号をデコードし、制御信号に対応して各機構部のアクチュエータを駆動する。また、気泡センサ22p、5つのカバー開閉センサ63a、及びRFIDリーダ61a〜61eはドライバ基板3a,2aに接続されており、気泡センサ22p、カバー開閉センサ63a、及びRFIDリーダ61a〜61eから出力された信号はドライバ基板3a,2aを介して情報処理ユニット5へ送信される。
【0069】
[検体分析装置の動作]
以下、本実施の形態に係る検体分析装置1の動作について説明する。
【0070】
<検体分析動作>
まず、検体分析装置1による検体分析動作について説明する。検体分析は、情報処理ユニット5のCPU51aが検体分析制御処理を実行して、第1測定ユニット3、第2測定ユニット2、及び検体搬送ユニット4を制御することにより行われる。図13は、情報処理ユニット5による検体分析制御処理の手順を示すフローチャートである。
【0071】
本実施の形態に係る検体分析装置1においては、検体分析装置1の電源が切断されており、検体分析装置が起動していない状態では、ソレノイド668に電流が供給されず、各カバー663のロックは解除された状態となっている。したがって、検体分析装置が電源オフの状態では、ユーザは自由にカバー663を開閉し、試薬を交換することができる。
【0072】
検体分析装置1の電源が投入され、検体分析装置1が起動すると、CPU51aは、各ソレノイド668への電流供給を開始し、各カバー663を閉鎖位置でロックする(ステップS101)。その状態でCPU51aは、第1測定ユニット3、第2測定ユニット2、及び検体搬送ユニット4を制御し、各機構の動作チェックを含む初期化動作を行う(ステップS102)。これにより、初期化動作中にユーザがカバー663を開放することが禁止され、第1測定ユニット3又は第2測定ユニット2の動作中に試薬容器が取り外されたり、不適切な試薬容器に交換されたりすることによる検体分析装置1の動作異常の発生が防止される。
【0073】
また、この初期化動作において、CPU51aはRFIDリーダ61a〜61eを駆動し、第1測定ユニット3及び第2測定ユニット2のそれぞれの試薬容器ホルダ660に設置されている試薬容器300,200のRFIDタグ360,260から試薬情報を読み出し、それぞれの試薬情報に含まれる試薬コードと試薬コードテーブルに格納されている試薬コードとを比較して、適切な試薬が設置されているか否かを判定する。また、この処理では、試薬の残料がなくなっているか否か、試薬の使用期限が経過しているか否か、及び、試薬の開封日により定まる開封後有効期限が経過しているか否かも判定され、これによっても設置されている試薬が不適切か適切かが判定される。この処理において、試薬が適切でない場合には、後述する試薬交換制御処理と同様の処理がCPU51aにより実行される。但し、初期化動作では検体の測定が行われていないため、ステップS202の測定中断処理は実行されない。
【0074】
初期化動作が終了すると、検体分析装置1は検体測定を開始可能なスタンバイ状態となる。ここでCPU51aは、各ソレノイド668への電流供給を停止し、各カバー663のロックを解除する(ステップS103)。これにより、スタンバイ状態においては、カバー663の開閉が可能となり、ユーザは試薬交換を行うことができる。
【0075】
ユーザは、検体分析装置1による検体分析を開始するとき、情報処理ユニット5を操作することで検体分析の開始指示を検体分析装置1に与える。CPU51aは、かかる検体分析の開始指示を受け付けを待機し(ステップS104においてNO)、検体分析の開始指示を受け付けると(ステップS104においてYES)、再び各ソレノイド668への電流供給を開始し、各カバー663を閉鎖位置でロックする(ステップS105)。これにより、検体測定中にユーザがカバー663を開放することが禁止され、第1測定ユニット3又は第2測定ユニット2の動作中に試薬容器が取り外されたり、不適切な試薬容器に交換されたりすることによる検体分析装置1の動作異常の発生が防止される。
【0076】
CPU51aは、検体搬送ユニット4にラック101を搬送させ(ステップS106)、1つ目(ラック101において搬送方向最下流側)のサンプル容器100に貼布されたバーコードをバーコード読取部25cに読み取らせ、当該検体の検体情報(検体ID、測定オーダ、患者情報等)を取得する(ステップS107)。CPU51aは、この検体情報から、当該検体の測定を行う測定ユニットを第1測定ユニット3及び第2測定ユニット2から決定し(ステップS108)、決定した測定ユニットにサンプル容器100を取り込ませ、検体吸引部21又は31にサンプル容器100から検体を吸引させる(ステップS109)。検体の吸引が完了したサンプル容器100は、測定ユニットから排出され、ラック101の元の位置に返却される。
【0077】
検体の吸引の後、CPU51aは、試料調製部22に、当該検体と、その検体の測定項目に応じた試薬とが混合させ、測定試料を調製させる(ステップS110)。このように1回試薬が使用されて測定試料が調製されると、CPU51aは試薬管理テーブルRMTにおいて当該試薬の使用回数を1つ増加した値に更新する。さらにCPU51aは、試料調製部22に、測定試料を検出部23へ供給させ、検出部23に検体の測定を実行させる(ステップS111)。CPU51aは、検体の測定データを取得し、この測定データを解析して、検体の分析結果を得る(ステップS112)。次にCPU51aは、ラック101に保持されている全てのサンプル容器100を測定ユニットに供給したか否かを判定し(ステップS113)、まだ測定ユニットに供給されていないサンプル容器100が存在する場合には(ステップS113においてNO)、処理をステップS106へ戻し、ラック101を搬送し、次のサンプル容器100に貼布されたバーコードをバーコード読取部25cに読み取らせて、当該検体の検体情報を取得する。その後、ステップS108以降の処理を実行し、当該検体の分析を行う。
【0078】
ステップS113において、全てのサンプル容器100が測定ユニットに供給されている場合には(ステップS113においてYES)、CPU51aは、検体搬送ユニット4にラック101を分析後ラック保持部42まで搬送させ(ステップS114)、未測定のサンプル容器100を収容した次のラック101が存在するか否かを判定する(ステップS115)。次のラック101が存在する場合には(ステップS115においてYES)、CPU51aはステップS106へ処理を戻して、次のラック101に保持されている検体についてステップS106以下の処理を実行する。これにより、複数のラック101が連続して搬送され、これらのラック101に保持されている検体が順番に分析される。未測定のサンプル容器100を収容した次のラック101が存在しない場合には(ステップS115においてNO)、CPU51aはステップS103に処理を戻し、各カバー663のロックを解除する。
【0079】
また、ここでは検体搬送ユニット4によるラック101の搬送を行う自動検体分析動作について説明したが、検体分析装置1は、検体搬送ユニット4を用いることなくユーザが1つずつサンプル容器100をセットし、セットされたサンプル容器100を測定ユニット内に取り込み、検体の分析を行うマニュアル検体分析動作も可能である。
【0080】
<試薬交換動作>
上記のような検体分析を行った結果試薬が消費された場合、又は試薬の使用期限が経過した場合等には、試薬を交換する必要が生じる。本実施の形態に係る検体分析装置1では、情報処理ユニット5のCPU51aが試薬交換制御処理を実行して、第1測定ユニット3又は第2測定ユニット2を制御することにより、試薬交換動作が行われる。図14A〜図14Cは、本実施の形態に係る情報処理ユニット5による試薬交換制御処理の手順を示すフローチャートである。まずCPU51aは、試薬交換が必要であるか否かを判定する(ステップS201)。この処理においては、分析によって試薬が消費され、試薬管理テーブルRMTにおいて試薬の使用回数が最大使用回数と一致した場合、即ち試薬の残料がなくなった場合に、試薬交換が必要であると判定される。また、気泡センサ22pによって、試薬容器200又は300から反応チャンバ22aへ供給される試薬中に気泡が検出された場合にも、試薬の残料がなくなっており、試薬交換が必要と判定される。さらに、試薬の使用期限が経過している場合、又は、試薬の開封日により定まる開封後有効期限が経過している場合にも、試薬交換が必要であると判定される。
【0081】
ステップS201において試薬交換が必要でない場合には(ステップS201においてNO)、CPU51aはステップS201の処理を試薬交換が必要となるまで繰り返す。一方、試薬交換が必要と判定された場合(ステップS201においてYES)、CPU51aは、第1測定ユニット3又は第2測定ユニット2の測定中断処理を実行する(ステップS202)。この測定中断処理とは、自動検体分析動作を実行中の場合には、まだ測定が行われていない検体については測定を開始せずに、その時点において測定を実行中の検体については最後まで検体の測定を行うように、第1測定ユニット3又は第2測定ユニット2を制御する処理であり、マニュアル検体分析動作を実行中の場合には、その時点において測定を実行中の検体については最後まで検体の測定を行い、新たな検体を受け付けないように、第1測定ユニット3又は第2測定ユニット2を制御する処理である。
【0082】
測定中断処理が終了すると、CPU51aは、試薬交換対象のホルダ部に対応するソレノイド668への電流供給を停止し、試薬交換対象のホルダ部のカバー663のロックを解除する(ステップS203)。これにより、当該カバー663の開閉が可能となる。
【0083】
次にCPU51aは、ハードディスク51dから通知メッセージMSを読み出し、「試薬がありません。カバーを開けて試薬容器を交換してください。」の通知メッセージを画像表示部52に表示させる(ステップS204)。また、ステップS204においては、CPU51aは、上述した通知メッセージと合わせて、ブザー29、39からアラーム音を発生させる。
【0084】
ステップS204においては、上述した通知メッセージと合わせて、交換すべき試薬の名称、及び試薬の交換が必要な測定ユニットを示す情報が画像表示部52に表示される。表示される試薬の交換が必要な測定ユニットを示す情報としては、例えば、第1測定ユニット3又は第2測定ユニット2の名称、ユニット番号、「右側の測定ユニット」若しくは「左側の測定ユニット」等の文字情報、又は、第1測定ユニット3及び第2測定ユニット2を絵で表示し、そのうち試薬交換が必要な測定ユニットを試薬交換が不要な測定ユニットとは異なる色で表示する等、画像情報とすることもできるし、文字情報及び画像情報の両方を組み合わせることもできる。
【0085】
ユーザはかかる通知メッセージにより、試薬の交換が必要であることに加え、交換すべき試薬の種類及び試薬を交換する必要がある測定ユニットを知ることができる。ユーザは、交換する新しい試薬を用意し、試薬の交換が必要な測定ユニットの前面カバー24a又は34aを開く。ユーザは、試薬容器ホルダ660の各カバー663に付されたラベル632を確認し、ホルダ部660a〜660eのうち試薬の交換対象のホルダ部を特定し、試薬の交換対象のホルダ部におけるカバー663を開く。こうしてカバー663が開くと、そのカバー663に対応するカバー開閉センサ63aがカバー663の開放を検出し、検出信号を出力する。
【0086】
また、ここでユーザは、交換対象の試薬以外の試薬であっても、試薬量が残り少ない、使用期限が近い等の理由により交換したい場合もある。このような場合には、ユーザは交換したい試薬容器が設置されている試薬容器設置部62に対応する押しボタンスイッチ667を押下して、検体分析装置1にその試薬容器設置部62に対応するカバー663のロック解除指示を与えることができる。CPU51aは、押しボタンスイッチ667の出力信号を監視し、ロック解除指示を受け付けたか否かを判定する(ステップS205)。ロック解除指示を受け付けた場合には(ステップS205においてYES)、押下された押しボタンスイッチ667に対応するソレノイド668への電流供給を停止し、当該カバー663のロックを解除する(ステップS206)。これにより、試薬交換対象以外のカバー663の開閉が可能となる。こうしてロックが解除されたカバー663がユーザにより開かれると、そのカバー663に対応するカバー開閉センサ63aがカバー663の開放を検出し、検出信号を出力する。
【0087】
CPU51aは、ステップS206においてカバーのロックを解除した場合、又はステップS205においてロック解除指示を受け付けなかった場合(ステップS205においてNO)、カバー開閉センサ63aの検出信号により、カバー663の開放が検出されたか否かを判定する(ステップS207)。カバー663の開放が検出されなければ(ステップS207においてNO)、CPU51aはステップS205へ処理を戻し、再度ロック解除指示を受け付けたか否かを判定する。
【0088】
一方、ステップS207においてカバー663の開放が検出された場合には(ステップS207においてYES)、CPU51aは、開放されたカバー663が試薬交換対象のホルダ部のカバーであるか否かを判定する(ステップS208)。開放されたカバー663が試薬交換対象のホルダ部のカバーとは異なる場合(ステップS208においてNO)、CPU51aは、ハードディスク51dから通知メッセージMSを読み出し、「交換対象ではないカバーが開けられました。閉じてください。」の通知メッセージを画像表示部52に表示させ、ブザー39,29にアラーム音を発生させる(ステップS209)。これにより、ユーザに試薬交換対象とは異なるホルダ部のカバーが開かれたことが通知され、注意が促される。
【0089】
開かれたカバー663がユーザにより閉じられると、このカバーに対応するカバー開閉センサ63aがカバーの閉鎖を検出する。CPU51aは、カバー開閉センサ63aの出力信号により、カバー663が閉じられたか否かを判定する(ステップS210)。カバー663の閉鎖が検出されなければ(ステップS210においてNO)、CPU51aはカバー663の閉鎖が検出されるまでステップS210の処理を繰り返す。
【0090】
一方、ステップS210においてカバー663の閉鎖が検出された場合には(ステップS210においてYES)、CPU51aは、ブザー39,29にアラーム音を停止させ、通知メッセージの表示を終了する(ステップS211)。このとき、表示が終了される通知メッセージは、ステップS209において表示された、カバーの閉鎖を促す通知メッセージであり、ステップS204において表示された、試薬の交換を促す通知メッセージの表示は維持される。また、この時点において、後述するステップS214において表示された、適切な試薬の設置を促す通知メッセージが表示されている場合には、この通知メッセージの表示が終了される。
【0091】
ここで、一度カバー663が開かれたホルダ部においては、試薬容器が交換されている場合がある。例えば、交換対象の試薬以外の試薬であっても、試薬量が残り少ない、使用期限が近い等の理由により交換されることがある。また、ユーザが交換対象の試薬のホルダ部と間違えて別のホルダ部のカバー663を開き、そこの試薬容器を交換対象の新たな試薬容器と交換してしまうことも考えられる。そこで、CPU51aは、カバー663が閉じられたホルダ部のRFIDリーダを駆動し、当該ホルダ部に設置されている試薬容器200,300のRFIDタグ260,360から、試薬情報を読み出し(ステップS212)、設置されている試薬の適否を判定する(ステップS213)。この処理では、CPU51aは、試薬コードテーブルRCTからカバー663が開かれたホルダ部に対応する試薬コードを読み出し、RFIDタグ260,360から読み出された試薬情報に含まれる試薬コードと一致するか否かにより、ホルダ部に設置されている試薬容器が適切であるか否かが判定される。
【0092】
ステップS213において、交換された試薬が適切でない場合には(ステップS213においてNO)、CPU51aはハードディスク51dから通知メッセージMSを読み出し、「適切な試薬容器をセットしてください。」の通知メッセージを画像表示部52に表示させ、ブザー39,29にアラーム音を発生させる(ステップS214)。これにより、ユーザに、ホルダ部に設置された試薬が適切ではないことが通知され、適切な試薬の設置が促される。さらに、CPU51aは、カバー開閉センサ63aの検出信号により、再度カバー663の開放が検出されたか否かを判定する(ステップS215)。カバー663の開放が検出されなければ(ステップS215においてNO)、CPU51aはカバー663の開放が検出されるまでステップS215の処理を繰り返す。
【0093】
一方、ステップS215においてカバー663の開放が検出された場合には(ステップS215においてYES)、CPU51aは、処理をステップS210に戻し、カバー663が閉じられたか否かを判定する。
【0094】
また、ステップS213において、カバー663が閉じられたホルダ部に設置された試薬が適切な場合、即ち、そのホルダ部に設置されている試薬の試薬コードが、当該ホルダ部に対応付けられた試薬コードと一致する場合には(ステップS213においてYES)、CPU51aは、そのホルダ部において試薬が交換されたか否かを判定する(ステップS216)。試薬管理テーブルRMTには、設置されている試薬に関する情報が登録されており、各試薬固有のシリアル番号を含んでいる。つまり、RFIDタグ260,360から読み出されたシリアル番号が、試薬管理テーブルRMTに登録されている、その設置位置における試薬のシリアル番号と一致すれば、カバー663の開閉前に当該ホルダ部に設置されていた試薬と、カバー663の開閉後に当該ホルダ部に設置されている試薬とは同じであり、試薬の交換はされていないと判断できる。一方、RFIDタグ260,360から読み出されたシリアル番号が、試薬管理テーブルRMTに登録されている、その設置位置における試薬のシリアル番号と一致しなければ、カバー663の開閉前に当該ホルダ部に設置されていた試薬と、カバー663の開閉後に当該ホルダ部に設置されている試薬とは異なっており、試薬が交換されたと判断できる。ステップS216の処理では、CPU51aは、このようにRFIDタグ260,360から読み出された試薬のシリアル番号と、試薬管理テーブルRMTに登録されている、その設置位置における試薬のシリアル番号とを照合することにより、試薬が交換されたか否かを判断する。
【0095】
ステップS216において、前記ホルダ部において試薬が交換された場合には(ステップS216においてYES)、CPU51aは、RFIDタグ360,260から読み出された試薬情報を、試薬管理テーブルRMTにおいて当該ホルダ部を示す設置位置に対応付けて記憶する(ステップS217)。この際、試薬管理テーブルRMTにおいてそれまで記憶されていた当該設置位置に対応する試薬情報、即ち、交換前の試薬に関する試薬情報は削除される。CPU51aは、ステップS217の処理を実行した後、処理をステップS205へ処理を戻す。一方、ステップS216において、前記ホルダ部において試薬が交換されていない場合には(ステップS216においてNO)、CPU51aは、処理をステップS205へ戻す。
【0096】
ステップS208において、開放されたカバー663が試薬交換対象のホルダ部のカバーである場合(ステップS208においてYES)、CPU51aは、ステップS204において表示された、試薬の交換を促す通知メッセージの表示を終了する(ステップS218)。
【0097】
ステップS218において、試薬の交換を促す通知メッセージの表示を終了すると、CPU51aは、開放されたカバー663に対応するソレノイド668に電流を供給し、当該カバー663を開放位置においてロックする(ステップS219)。これにより、試薬の交換がされない場合、及び適切な試薬が設置されない場合に、カバー663が閉じられることが防止され、適切且つ確実に試薬交換が行われることとなる。
【0098】
次にCPU51aは、カバー663が開かれたホルダ部のRFIDリーダを駆動し、当該ホルダ部に設置されている試薬容器200,300のRFIDタグ260,360からの試薬情報の読み出しを開始する(ステップS220)。この処理では、RFIDリーダが駆動され、このRFIDリーダに接続されたアンテナからの電波の発信が開始される。ここで、当該ホルダ部において試薬容器300,200が交換されると、新しい試薬容器300,200に貼布されたRFIDタグ360,260からRFIDリーダによって試薬情報が読み出される。
【0099】
一方、ユーザの手元に適切な試薬がない場合等、ユーザが試薬交換を行いたくない場合がある。このような場合には、ユーザは開放位置においてロックされているカバー663に設けられた押しボタンスイッチ667を押下し、検体分析装置1にロック解除指示を与える。CPU51aは、かかるロック解除指示を受け付けたか否かを判定し(ステップS221)、ロック解除指示を受け付けたときには(ステップS221においてYES)、処理をステップS225へ移し、当該カバー663のロックを解除する(ステップS225)。これにより、ユーザは試薬交換の必要がない場合、又は試薬交換を行えない場合に、試薬交換を行うことなくカバー663を閉じることができる。
【0100】
一方、ステップS221においてロック解除指示を受け付けない場合には(ステップS221においてNO)、CPU51aは、上記のように読み出した試薬情報に基づいて、新しい試薬容器が設置されたか否かを判定する(ステップS222)。この処理においては、CPU51aは、RFIDタグ260,360から読み出された試薬のシリアル番号と、試薬管理テーブルRMTに登録されている、その設置位置における試薬のシリアル番号とを照合し、両者が一致していれば、新しい試薬容器が設置されていないと判定し、両者が一致しなければ、新しい試薬容器が設置されたと判定する。CPU51aは、ステップS222において新しい試薬容器の設置が検出されない場合は(ステップS222においてNO)、新しい試薬容器の設置が検出されるまでステップS222の処理を繰り返す。
【0101】
一方、ステップS222において新しい試薬容器の設置が検出された場合には(ステップS222においてYES)、CPU51aは、交換された試薬の適否を判定する(ステップS223)。ステップS223の処理は、ステップS213の処理と同様であるので、その説明を省略する。
【0102】
ステップS223において、交換された試薬が適切でない場合には(ステップS223においてNO)、CPU51aはハードディスク51dから通知メッセージMSを読み出し、「適切な試薬容器をセットしてください。」の通知メッセージを画像表示部52に表示させ、ブザー39,29にアラーム音を発生させ(ステップS224)、処理をステップS221へ戻す。これにより、ユーザに、ホルダ部に設置された試薬が適切ではないことが通知され、正しい試薬の設置が促される。
【0103】
一方、ステップS223において、交換された試薬が適切な場合には(ステップS223においてYES)、CPU51aは、開放位置にある当該カバー663に対応するソレノイド668への電流供給を停止し、当該カバー663のロックを解除する(ステップS225)。これにより、適切な試薬が設置された後にカバー663を閉じることが可能となる。
【0104】
次に、CPU51aはハードディスク51dから通知メッセージMSを読み出し、「適切な試薬容器がセットされました。カバーを閉じてください。」の通知メッセージを画像表示部52に表示させる(ステップS226)。この場合において、他の通知メッセージが画像表示部に表示されており、またアラーム音が発せられている場合には、CPU51aは当該他の通知メッセージの表示を終了し、アラーム音を停止させる。
【0105】
次にCPU51aは、カバー開閉センサ63aの出力信号により、カバー663が閉じられたか否かを判定する(ステップS227)。カバー663の閉鎖が検出されなければ(ステップS227においてNO)、CPU51aはカバー663の閉鎖が検出されるまでステップS227の処理を繰り返す。
【0106】
一方、ステップS227においてカバー663の閉鎖が検出された場合には(ステップS227においてYES)、CPU51aは、閉鎖が検出された当該カバー663に対応するソレノイド668への電流供給を再開し、当該カバー663を閉鎖位置でロックする(ステップS228)。これにより、誤った試薬へ再度交換されることが防止される。
【0107】
次にCPU51aは、ステップS226において表示された、カバーの閉鎖を促す通知メッセージの表示を終了し(ステップS229)、RFIDタグ360,260から読み出された試薬情報を、試薬管理テーブルRMTに登録する(ステップS230)。この処理では、試薬管理テーブルRMTにおいてそれまで記憶されていた当該設置位置に対応する試薬情報、即ち、交換前の試薬に関する試薬情報は削除され、RFIDタグ360,260から読み出された試薬情報が当該ホルダ部を示す設置位置に対応付けて記憶される。
【0108】
次にCPU51aは、駆動されていたRFIDリーダを停止させ、当該RFIDリーダが設けられているホルダ部に設置されている試薬容器200,300のRFIDタグ260,360からの試薬情報の読み出しを終了する(ステップS231)。
【0109】
また、CPU51aは、試薬交換シーケンスを実行する(ステップS232)。試薬交換シーケンスとは、第1測定ユニット3又は第2測定ユニット2において、試薬交換によってピアサ64から反応チャンバ22aまでの流路中に生じた気泡を排除するために、所定量の試薬を交換された試薬容器から吸引し、この結果反応チャンバ22aに溜った試薬を廃棄するための第1測定ユニット3又は第2測定ユニット2の制御処理である。
【0110】
試薬交換シーケンスが終了すると、CPU51aは、ハードディスク51dから通知メッセージMSを読み出し、「試薬交換が完了しました。」の通知メッセージを画像表示部52に表示させる(ステップS233)。
【0111】
ステップS233において試薬交換が完了した旨の通知メッセージを画像表示部52に表示させた後、CPU51aは、各ソレノイド668への電流供給を停止し、各カバー663のロックを解除する(ステップS234)。ステップS233において通知メッセージを表示してから所定時間経過後、CPU51aが当該通知メッセージの表示を終了し(ステップS235)、試薬交換制御処理を終了する。
【0112】
上記のような構成とすることにより、本実施の形態に係る検体分析装置1にあっては、カバー663を開放位置においてロックし、及びそのロックを解除するソレノイド668を設け、このソレノイドによるカバー663の開放位置におけるロック及びその解除を情報処理ユニット5のCPU51aにより制御するようにしたので、試薬交換のときに、開放位置にあるカバー663が閉鎖されるべきでないタイミングで閉鎖されることを防止することができる。例えば、本実施の形態では、試薬交換においてカバー663が開放されたときに、この開放位置でカバー663をロックすることで、適切でない試薬を収容した試薬容器に交換されても、そのままカバー663が閉じられることがなく、適切な試薬に容易に交換し直すことができる。
【0113】
また、本実施の形態に係る検体分析装置1にあっては、カバー開閉センサ63aにより各カバー663の開放を個別に検出可能であるので、カバー663が開放された状態であることを確実に検出することができ、カバー663を開放位置において確実にロックすることが可能となる。
【0114】
また、本実施の形態に係る検体分析装置1にあっては、CPU51aが試薬交換が必要か否かを判定し、試薬交換が必要と判定されたときに、開放されたカバー663をロックする構成であるので、試薬交換が必要なときに試薬交換のためにカバーを開放位置でロックすることができ、試薬交換を円滑に行うことが可能となる。
【0115】
また、新たな試薬容器が試薬容器設置部62に設置されたときに、当該試薬の試薬コードと、試薬コードテーブルRCTにおいて当該試薬容器設置部62に設置すべき試薬の試薬コードとを照合し、設置された試薬容器がその試薬容器設置部62に設置すべき試薬を収容するものではなかった場合に、「適切な試薬容器をセットしてください。」という別の試薬容器の設置を促す通知メッセージを出力するため、ユーザは、適切な試薬容器を設置しなかったことを容易に認識することができ、また、次に行うべき作業が適切な試薬容器の設置であることを容易に認識することができる。
【0116】
また、上記の適切な試薬の設置を促す通知メッセージが表示されているときには、その試薬容器設置部62のカバー663が開放位置でロックされているため、カバー663が閉鎖されて検体の測定動作が実行されることがない。また、適切な試薬が設置されるまでは前記カバー663が開放位置でロックされたままとなっているため、ユーザが適切な試薬を容易に設置し直すことができる。
【0117】
また、本実施の形態に係る検体分析装置1にあっては、カバー663を開放位置及び閉鎖位置の2つの位置においてロックすることが可能であるため、試薬交換がされるべきでないときにはカバー663を閉鎖位置でロックし、試薬交換がされるべきときにはカバー663を開放位置でロックすることができ、ユーザが円滑且つ確実に試薬交換作業を行うことができる。
【0118】
また、本実施の形態に係る検体分析装置1にあっては、カバー663が開放位置においてロックされた状態のときに、押しボタンスイッチ667が押下され、ロック解除指示を受け付けたときには、そのカバー663のロックを解除する構成であるので、ユーザは試薬交換の必要がない、又は、例えば適切な試薬が手元にない等の理由で試薬交換を行うことができないときに、カバー663を開放してしまっても、容易にカバー663を閉じることができる。
【0119】
(その他の実施の形態)
なお、上述した実施の形態においては、試薬の交換が必要と検体分析装置が判断した場合に、試薬交換動作を実行する構成について述べたが、これに限定されるものではない。検体分析装置がユーザから試薬交換の指示を受け付けた場合に、試薬交換動作を実行する構成であってもよい。
【0120】
図15は、この場合の試薬交換制御処理の手順を示すフローチャートである。図15に示すように、検体分析装置がユーザから試薬交換の指示を受け付けた場合には、CPU51aは、カバー開閉センサ63aの検出信号により、何れかのカバー663の開放が検出されたか否かを判定する(ステップS401)。何れかのカバー663の開放が検出されなければ(ステップS401においてNO)、CPU51aは、何れかのカバー663の開放が検出されるまでステップS401の処理を繰り返す。
【0121】
一方、ステップS401において何れかのカバー663の開放が検出された場合には(ステップS401においてYES)、CPU51aは、カバー663が開放されたホルダ部のRFIDリーダを駆動し、当該ホルダ部に設置されている試薬容器200,300のRFIDタグ260,360から、試薬情報を読み出し(ステップS402)、新たな試薬容器が設置されたか否かを判定する(ステップS403)。なお、RFIDリーダによる試薬情報の読み出しは、図15に示す試薬交換制御処理が終了するまで継続的に実行される。ステップS403において新たな試薬容器が設置されたと判定された場合(ステップS403においてYES)、CPU51aは、継続的に読み出した試薬情報に基づいて、ホルダ部に設置されている試薬が適切であるか否かを判定する(ステップS404)。試薬が適切である場合(ステップS404においてYES)、CPU51aは、RFIDタグ360,260から読み出された試薬情報を、試薬管理テーブルRMTにおいて当該ホルダ部を示す設置位置に対応付けて記憶する(ステップS405)。
【0122】
次に、CPU51aは、カバー開閉センサ63aの検出信号により、開放されたカバー663が閉鎖されたか否かを判定し(ステップS406)、閉鎖された場合(ステップS406においてYES)、処理を終了し、閉鎖されない場合(ステップS406においてNO)、処理をステップS403に戻す。
【0123】
CPU51aは、ステップ403において新たな試薬容器が設置されていないと判定した場合(ステップS403においてNO)、処理をステップS406に進める。また、CPU51aは、ステップ404において試薬が適切ではないと判定した場合(ステップS404においてNO)、開放されたカバー663に対応するソレノイド668に電流を供給し、当該カバー663を開放位置においてロックする(ステップS407)。
【0124】
次に、CPU51aは、継続的に読み出した試薬情報に基づいて、ホルダ部に適切な試薬が設置されたか否かを判定し(ステップS408)、適切な試薬が設置された場合には、当該カバー663の開放位置でのロックを解除し(ステップS409)、処理をステップS405に進める。一方、適切な試薬が設置されない場合(ステップS408においてNO)、CPU51aは、適切な試薬が設置されるまでステップS408の処理を繰り返す。
【0125】
また、上述した実施の形態においては、ステップS213,S223で設置された試薬が適切なものであるかどうかを判定する構成について述べたが、これに限定されるものではない。これらのステップを省き、設置された試薬容器が適切か否かの判定を実行しない構成としてもよい。
【0126】
また、上述した実施の形態においては、ソレノイド668のプランジャ668aを第1ロック穴666a及び第2ロック穴666bに挿入することによりカバー663をロックする構成について述べたが、これに限定されるものではない。カバー663を開放位置及び閉鎖位置においてロックできる構造であればよく、例えば、ソレノイドに代えてモータ又はエアシリンダのようなアクチュエータにより、ロックピンをロック穴に係合させることによりカバー663をロックする構造であってもよい。
【0127】
また、上述した実施の形態においては、カバー663の開放位置におけるロックと、閉鎖位置におけるロックとを、1つのソレノイド668により行う構成について述べたが、これに限定されるものではない。カバー663の開放位置におけるロックを1つのソレノイド等のアクチュエータにより行い、カバー663の閉鎖位置におけるロックを他の1つのアクチュエータにより行う構成としてもよい。
【0128】
また、上述した実施の形態においては、カバー663を開放位置及び閉鎖位置の2つの位置においてロック可能な構成について述べたが、これに限定されるものではない。カバー663の開放位置のロックのみを可能とし、閉鎖位置でのロックを行わない構成としてもよい。
【0129】
また、上述した実施の形態においては、カバー663とピアサ64とをピアサ昇降機構665によって連結し、カバー663とピアサ64とがユーザの操作により一体的に昇降する構成について述べたが、これに限定されるものではない。ピアサ64を昇降するためのモータ等の駆動源を設け、カバー663を上下方向に移動させたときに、情報処理ユニット5が駆動源を制御して、カバー663の昇降と連動してピアサ64を昇降させる構成としてもよいし、カバー663とは独立してピアサ64を昇降させる構成としてもよい。
【0130】
また、上述した実施の形態においては、ステップS204,S209,S214,S224において、通知メッセージと共にアラーム音を発生させることにより通知を行う構成について述べたが、これに限定されるものではない。通知メッセージのみを出力し、アラーム音を発生させない構成としてもよいし、アラーム音のみを出力し、通知メッセージを出力させない構成としてもよい。
【0131】
また、上述した実施の形態においては、第1測定ユニット及び第2測定ユニットが、それぞれサンプル容器100をユニット内部に取り込み、ユニット内部においてサンプル容器100から検体を吸引する構成について述べたが、これに限定されるものではない。第1測定ユニットが検体搬送ユニット上にあるサンプル容器100から直接検体を吸引する構成としてもよいし、第2測定ユニットが検体搬送ユニット上にあるサンプル容器100から直接検体を吸引する構成としてもよい。
【0132】
また、上述した実施の形態においては、カバー663の開放は、カバーが少しでも上昇したときに検知され、カバー663の閉鎖は、カバーが完全に閉鎖されたときに検知される構成について述べたが、これに限定されるものではない。カバー663の開放が、カバー663が完全に開放されたときに検知され、カバー663の閉鎖が、カバー663が完全開放の状態から少しでも下降したときに検知されてもよい。また、カバー663の開放が、カバー663が所定の高さまで上昇したときに検知され、カバー663の閉鎖が、カバー663が当該所定の高さまで下降したときに検知されてもよい。
【0133】
また、上述した実施の形態においては、5つのカバー663は、5つの試薬容器設置部62に個別に設けられているが、複数の試薬容器設置部62に共通のカバーを設け、このカバーを開放位置および閉鎖位置においてロックするようにしてもよい。
【0134】
また、上述した実施の形態においては、カバー663を開放位置および閉鎖位置においてロック可能な構成であるが、カバー663を設けず、前面カバー24a、34aを開放位置及び閉鎖位置においてロック可能な構成としてもよい。
【0135】
また、上述した実施の形態においては、検体分析装置が第1測定ユニット及び第2測定ユニットの2つの測定ユニットを備える構成としたが、これに限定されるものではない。検体分析装置が3つ以上の測定ユニットを備えていてもよいし、検体分析装置が1つの測定ユニットを備えていてもよい。
【0136】
また、上述した実施の形態においては、第1測定ユニット、第2測定ユニット及び検体搬送ユニットと別個に設けられた情報処理ユニットによって、第1測定ユニット、第2測定ユニット及び検体搬送ユニットを制御する構成について述べたが、これに限定されるものではない。第1測定ユニット、第2測定ユニット及び検体搬送ユニットのそれぞれの内部にCPU及びメモリ等を搭載した制御基板を設け、それぞれの制御基板を情報処理ユニットと通信可能に接続し、情報処理ユニットから送信されたコマンドにしたがって、制御基板が第1測定ユニット、第2測定ユニット及び検体搬送ユニットの各機構部分を制御する構成としてもよい。
【0137】
また、上述した実施の形態においては、検体分析装置が第1測定ユニット及び第2測定ユニットと別個に設けられた情報処理ユニットを備える構成としたが、これに限定されるものではない。測定ユニット及び情報処理ユニットを1つの筐体内に搭載した一体型の検体分析装置としてもよい。
【0138】
また、上述した実施の形態においては、多項目血球分析装置に本発明を適用した例を示したが、これに限定されるものではない。血液凝固測定装置、免疫分析装置、尿中有形成分分析装置、尿定性分析装置、生化学分析装置、又は免疫分析装置のような多項目血球分析装置以外の検体分析装置であって、複数種類の試薬を使用して検体を分析するものに本発明を適用してもよい。この場合、試薬容器設置部に設置される試薬容器は、血球分析用の染色液を収容した試薬容器に限られない。血液凝固測定装置においては、血液凝固測定用試薬を収容する試薬容器を、尿中有形成分分析装置においては、尿中有形成分分析用の試薬を収容する試薬容器を、尿定性分析装置においては、尿定性分析用試薬を収容する試薬容器を、生化学分析装置においては、生化学分析用試薬を収容する試薬容器を、免疫分析装置においては、免疫分析用試薬を収容する試薬容器を、それぞれ試薬容器設置部に設置する構成とすることができる。また、多項目血球分析装置においても、血球分析用の染色液以外の試薬、例えば溶血剤を収容した試薬容器を試薬容器設置部に設置する構成であってもよい。
【0139】
また、上述した実施の形態においては、単一のコンピュータ5aによりコンピュータプログラム54aの全ての処理を実行する構成について述べたが、これに限定されるものではなく、上述したコンピュータプログラム54aと同様の処理を、複数の装置(コンピュータ)により分散して実行する分散システムとすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0140】
本発明の検体分析装置は、試薬を使用して検体を分析する検体分析装置として有用である。
【符号の説明】
【0141】
1 検体分析装置
2 第2測定ユニット
3 第1測定ユニット
2a、3a ドライバ基板
21、31 検体吸引部
22、32 試料調製部
22p 気泡センサ
23、33 検出部
27 廃液チャンバ
27a 電磁バルブ
29、39 ブザー
4 検体搬送ユニット
5 情報処理ユニット
5a コンピュータ
51a CPU
51b ROM
51c RAM
51d ハードディスク
52 画像表示部
54a コンピュータプログラム
660 試薬容器ホルダ
660a〜660e ホルダ部
661 シャーシ
61a〜61e RFIDリーダ
62 試薬容器設置部
62a〜62e アンテナ
663 カバー
63a カバー開閉センサ
64 ピアサ
665 ピアサ昇降機構
665a 検出片
666 ロック部
666a 第1ロック穴
666b 第2ロック穴
667 押しボタンスイッチ
668 ソレノイド
668a プランジャ
200、300 試薬容器
260、360 RFIDタグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体の分析に使用される試薬が収容された試薬容器を設置可能な容器設置部と、
前記容器設置部を開放状態および閉鎖状態にするカバーと、
前記カバーの閉鎖を許可及び禁止するロック機構と、
前記ロック機構による前記カバーの閉鎖の許可及び禁止を制御する制御部と、
を備える、検体分析装置。
【請求項2】
前記カバーの開放を検知する検知部をさらに備え、
前記制御部は、前記検知部による検知結果に基づいて、前記ロック機構による前記カバーの閉鎖の許可及び禁止を制御する、
請求項1に記載の検体分析装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記検知部により前記カバーの開放が検知された場合に、前記容器設置部に設置された試薬容器の交換が必要か否かを判定し、判定結果に基づいて、前記ロック機構による前記カバーの閉鎖の許可及び禁止を制御する、
請求項2に記載の検体分析装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記容器設置部に新たに試薬容器が設置された場合に、適切な試薬容器が設置されたか否かを判定し、判定結果に基づいて、前記ロック機構による前記カバーの閉鎖の許可及び禁止を制御する、
請求項1乃至3の何れか1項に記載の検体分析装置。
【請求項5】
出力部をさらに備え、
前記制御部は、適切な試薬容器が設置されたと判定した場合に、前記カバーの閉鎖を許可すべく前記ロック機構を制御し、前記カバーの閉鎖を促すメッセージを前記出力部に出力させる、
請求項4に記載の検体分析装置。
【請求項6】
前記ロック機構は、前記カバーの開放の許可及び禁止が可能であり、
前記制御部は、前記ロック機構による前記カバーの開放の許可及び禁止を制御する、
請求項1乃至5の何れか1項に記載の検体分析装置。
【請求項7】
前記制御部は、ユーザによる前記カバーの閉鎖の禁止の解除指示を受付可能であり、前記カバーの閉鎖が禁止されている場合において、ユーザからの前記解除指示を受け付けたときには、前記ロック機構による前記カバーの閉鎖の禁止を解除する、
請求項1乃至6の何れか1項に記載の検体分析装置。
【請求項8】
前記容器設置部および前記カバーが複数設けられており、
前記複数のカバーは、前記複数の容器設置部のそれぞれに個別に設けられている、
請求項1乃至7の何れか1項に記載の検体分析装置。
【請求項9】
前記容器設置部に設置された試薬容器から試薬を吸引する吸引管と、
前記カバーを開放したときに前記吸引管が試薬容器から退出し、前記カバーを閉鎖したときに前記吸引管が試薬容器へ進入するように、前記カバーの開閉と連動して前記吸引管を移動させる連動部と、
をさらに備える、
請求項1乃至8の何れか1項に記載の検体分析装置。
【請求項10】
前記試薬容器は、前記吸引管により穿刺可能な蓋部を備え、
前記連動部は、前記カバーを閉鎖したときに前記吸引管が蓋部を穿刺して試薬容器へ進入するように、前記カバーの開閉と連動して前記吸引管を移動させる、
請求項9に記載の検体分析装置。
【請求項11】
前記制御部は、試薬容器の液量を監視し、監視結果に基づいて、試薬容器の交換が必要か否かを判定する、
請求項1乃至10の何れか1項に記載の検体分析装置。
【請求項12】
試薬容器に収容された試薬と検体とから測定試料を調製する試料調製部と、
前記試料調製部により調製された測定試料から、所定の血球を検出する検出部と、
をさらに備える、
請求項1乃至11の何れか1項に記載の検体分析装置。
【請求項13】
前記試薬容器設置部は、検体に含まれる所定の検出対象物を染色するための染色液が収容される試薬容器を設置するためのものである、
請求項1乃至12の何れか1項に記載の検体分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【図15】
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