説明

検体前処理システム

【課題】分析処理対象の検体を収容する検体容器を搬送し、搬送過程で前記分析処理前の所定の前処理を行う検体前処理システムにおいて、システムの組み付け、分離、増設を容易に行えるようにする。
【解決手段】検体前処理システムを機能ごとにユニット化する。ユニット102,104,106には、主搬送モジュール92A〜Cが装着され搬送レーンが形成される第1から第4搬送エリア94,96,98,100が規定されている。搬送エリアに装着された主搬送モジュールのレーンの入口、出口の奥行き方向の位置は、ユニット間で共通化され、ユニットの組み替え、増設が容易である。また、主搬送モジュールは、異なるユニットに対しても装着可能となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分析処理の対象となる検体を収容した検体容器を搬送するとともに、この検体容器または検体に対し、分析処理前の所定の前処理を行う検体前処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
被検者から採取された血液や尿などの検体の分析を行う前には、検体に対し所定の処理が行われ、このような前処理を行う装置が広く知られている。例えば、検体の成分を遠心力により分離させる遠心分離装置、検体が収容されている容器(親検体容器)から、別の容器(子検体容器)に検体を分注する分注装置等がある。また、検体への直接の処理ではなく、検体を収容する容器に対して所定の処理を行う装置も知られている。例えば、被検者から提出された検体を収容する親検体容器の開栓を行う開栓装置、子検体容器に対して識別のためのラベルを作成し、貼付するラベリング装置等がある。
【0003】
これらの装置が組み合わされて、検体容器を各装置に順に搬送して、所定の処理を実行する検体処理システムが知られている(下記特許文献1)。
【0004】
【特許文献1】特開2003−98180号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
複数の装置が組み合わされた検体処理システムは、顧客の注文に応じてその都度、設計、製作が行われるのが一般的であった。また、注文に対応した、いわゆる一品製作のため、製作された後、新たな処理機能の追加等が容易にできず、これを改善したいという要望があった。
【0006】
本発明は、処理機能の組み合わせ、追加等が容易にできる検体前処理システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の検体前処理システムは、分析処理対象の検体を収容する検体容器を搬送し、搬送過程で前記分析処理前の所定の前処理を行う検体前処理システムであって、当該前処理システムは、検体容器の搬送方向に沿って配列された共通の奥行き寸法を有する複数のユニットを有する。前記各ユニットは、検体を搬送する主搬送モジュールを装着するための領域である複数の搬送エリアを有し、当該搬送エリアは、当該ユニットの全幅にわたって延び、同一面上に、奥行き方向に既定値のピッチで、かつ各ユニットにおいて奥行き方向において共通の位置に配置される。また、前記搬送エリアには、前記主搬送モジュールの位置決めを行う位置決め手段が設けられる。前記各ユニットには、奥に配置された搬送エリアの更に奥側には、前記複数の搬送エリアの内、最も奥行き寸法の小さいエリア以上の奥行き寸法を有する余裕エリアが設けられる。前記各ユニットの少なくとも一つの搬送エリアに前記主搬送モジュールが装着され、前記主搬送モジュールは、前記既定値のピッチに対応した奥行き寸法を有し、検体容器を移動させるための駆動源と、駆動源の駆動力により駆動され検体容器を搬送する搬送要素を含む。
【0008】
さらに、前記検体前処理システムは、二つの搬送エリアにまたがって装着され、これらの二つの搬送エリア間で検体容器の受け渡しを行う横断搬送モジュールを有するようにできる。
【0009】
さらに、前記ユニットの横幅は少なくとも2種類あり、この横幅の差が横断搬送モジュールの幅方向の寸法とすることができる。
【0010】
さらに、前記複数のユニットの内、連続するユニットのそれぞれ二つの搬送エリアに主搬送モジュールが装着され、前記連続するユニットの両端のユニットには前記横断搬送モジュールが装着され、これらの主搬送モジュールおよび横断搬送モジュールによりループ状の搬送経路を形成するようにができる。
【0011】
さらに、前記各ユニットは、当該ユニットの搬送エリアに共通であって、前記主搬送モジュールが置かれるベースプレートを有するようにできる。
【発明の効果】
【0012】
主搬送モジュールに対応する搬送エリアの奥行き方向の位置が各ユニットにて共通となっているため、ユニットの組み合わせが容易であり、またユニットの追加も容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を、図面に従って説明する。図1は、本実施形態の検体前処理システム10の概要を示す平面図である。この検体前処理システム10は、分注、すなわち親容器に収容された検体を一つまたはそれ以上の子容器に分ける処理を主に行う装置であり、この処理に伴う他の処理も行うシステムである。検体前処理システム10は、一つまたは複数の処理を担当するユニットに分割されており、この実施形態においては、4個のユニットに分割されている。4個のユニットは、検体供給ユニット12、分注ユニット14、容器供給移載ユニット16および検体排出ユニット18であり、各ユニット同士の組み付け、分離が容易に可能な構造を有している。提供された検体は、容器に収容された状態で、検体供給ユニット12から分注ユニット14および容器供給移載ユニット16を通過して検体排出ユニット18に送られる。以下、検体供給ユニットから検体排出ユニットに向かう向きに沿った方向を搬送方向と記し、搬送方向に直交する方向を奥行き方向と記す。
【0014】
検体供給ユニット12は、提供を受けた検体入りの容器(親容器)20を親容器ラック22に搭載された状態で受け入れ、第1搬送レーン24に送り出す。第1搬送レーン24は、4つのユニットを貫いて、最下流の検体排出ユニット18まで直線状に延びている。第1搬送レーン24の、検体供給ユニット12に属する区間には、供給された検体容器を特定する情報を読み取る読み取り器26が設置されている。個々の親検体容器20には、バーコードなどにより、その検体を特定するための情報が付与されており、親検体容器20が読み取り器26を通過する際に、この情報が読み取られる。
【0015】
検体供給ユニット12は、子検体容器ラック30に搭載された第1子検体容器28も受け入れる。この実施形態では、第1子検体容器28には、親検体容器20に対応して個々の容器を特定するための情報がバーコード等により付与されている。第1子検体容器を載せたラック30は、第2搬送レーン32に送り出される。第2搬送レーン32は、第1搬送レーン24に並行して最下流の検体排出ユニット18まで延びる。
【0016】
分注ユニット14には、第3搬送レーン34および第4搬送レーン36が形成されている。第3および第4搬送レーン34,36は、前述の第1および第2搬送レーン24,32と並行して配置され、下流の容器供給移載ユニット16に延びている。また、第3および第4搬送レーンの上流側の端(図中右側の端)には、第1横断レーン38が設けられ、この第1横断レーン38により、第3、第4搬送レーン間の検体容器の受け渡しが行われる。第3,第4搬送レーンには、第2搬送レーン32を送られる第1子検体容器28とは別の容器である第2子検体容器40が子検体容器ラック42に搭載されて搬送される。分注ユニット14は奥行き方向に移動可能な分注ヘッド44を有し、分注ヘッドに備えられた分注ノズルを使って親検体容器20から第1子検体容器28および第2子検体容器40に検体を分注する。
【0017】
容器供給移載ユニット16には、分注ユニット14に引き続き第1から第4の4本の搬送レーンが形成されている。第1および第2搬送レーン24,32には、上流側の分注ユニット14から送られてきた親検体容器20および第1子検体容器28が、下流側の検体排出ユニット18に向けて流れる。第3および第4搬送レーン34,36の下流側の端に、第2横断レーン46が配置されている。第2横断レーン46は、分注ユニット14に設けられた第1横断レーン38と対向するように設けられ、これらの横断レーン38,46と第3および第4搬送レーン34,36により、ループ状の経路が形成される。
【0018】
容器供給移載ユニット16は、第2子検体容器40を第4搬送レーン36から搬出ラック48に移し替えるマニピュレータ50を備える。マニピュレータ50は、奥行き方向および搬送方向に(上流側にも下流側にも)移動可能であり、第2子検体容器40を所定の搬出ラック48の所定の位置に載置する。容器供給移載ユニット16は容器供給部52から第2子検体容器40を供給する。図1に示す面の下面には、第2子検体容器40が蓄えられており、第2子検体容器40に個々の容器を特定するためのラベル、例えばバーコードラベルを貼付するラベルリング装置も備えられている。ラベルが貼付された第2子検体容器40は、容器供給部52に上昇して、ここでマニピュレータ50により第4搬送レーン36上のラック42に搭載される。
【0019】
容器供給部52から第4搬送レーン36上に移し替えられた第2子検体容器40は、第4搬送レーン36に沿って上流へと向かい、分注ユニット14の最上流端に達すると、第1横断レーン38により第3搬送レーン34に送られる。分注ユニット14内の第3搬送レーンでは、前述のように分注が行われ、親検体容器20からの検体が注入される。検体が注入された第2子検体容器40は、第3搬送レーン34を下流移動して、容器供給移載ユニット16において、マニピュレータ50により、搬出ラック48に移載される。
【0020】
第1搬送レーン24上の親検体容器20および第2搬送レーン32上の第1子検体容器30は、検体排出ユニット18に送られ、ここで搬出されるまで一時的に蓄えられる。
【0021】
図2は、本発明の他の実施形態の検体前処理システム54の概要を示す図である。このシステム54は、前述の検体前処理システム10より大規模であり、より大量の処理を実現するためのシステムである。図1と同様に、親検体容器と第1子検体容器は、図中左から右へと流れる。左側のユニットから、親検体供給ユニット56、開栓ユニット58、第1子検体供給ユニット60、第1分注ユニット62、容器供給ユニット64、第2分注ユニット66、検体移載ユニット68、子検体排出ユニット70および親検体排出ユニット72である。
【0022】
親検体供給ユニット56および第1子検体供給ユニット60は、前述の検体供給ユニット12の機能を、親検体と第1子検体に関し分離したものである。開栓ユニット58は、親検体容器の開栓を行う。搬送される親検体容器の栓の種類に対応したユニットを選定して他のユニットと組み合わせることができる。第1分注ユニット62では、第1子検体容器に対する分注が行われる。第2分注ユニット66では第2子検体容器に対して分注が行われる。分注が別個が行われるようにすることで、システム全体の処理速度が向上する。容器供給ユニット64と検体移載ユニット68は、前述の容器供給移載ユニット16の容器供給機能と、検体移載機能を分離して独立させたユニットである。子検体排出ユニット70および親検体排出ユニット72は、送出された検体容器を搬出されるまで一時的に蓄える。
【0023】
検体前処理システム54も、検体前処理システム10と同様、4本の搬送レーンを有する。最も奥側の第1搬送レーン74には、親検体容器がラックに収容されて搬送される。2番目の第2搬送レーン76には、第1子検体容器がラックに収容されて搬送される。第3および第4搬送レーン78,80は、これらの両端に位置する横断レーン82,84とともにループ状の搬送路を形成する。ここを第2子検体容器が送られる。
【0024】
第1分注ユニット62の第1および第2搬送レーン74,76は、直線に延びる主レーン86と、この主レーンを迂回するように設けられた副レーン88を有する。副レーン88に送られた検体容器が分注の対象となり、そこでの分注対象となっていない検体容器については、主レーン86を送られて、副レーン88の検体容器を追い越す。これによりシステム全体の効率を高める。
【0025】
図3は、各ユニットに対する搬送レーンの形成方法を概念的に示す図である。各ユニットのベース部分90上に、搬送モジュール92が装着されて各ユニットに搬送レーンが形成される。そして、ユニットを連ねることにより、ユニットごとの搬送レーンすなわち搬送モジュールが連なって、検体前処理システム全体の搬送レーンが形成される。ユニットのベース部分90には、搬送モジュール92を装着する箇所が、前述の第1から第4搬送レーンに対応して、第1搬送エリア94、第2搬送エリア96、第3搬送エリア98および第4搬送エリア100が定められている。これらの第1から第4搬送エリアの奥行き方向の位置は、各ユニット間で共通に定められている。これにより装着された搬送モジュール92が形成する搬送レーンが各ユニット間で連なって形成される。
【0026】
図3には、2種類の搬送モジュール92A,92Bが示されている。搬送モジュール92Aは1本のレーンを有するモジュールであり、搬送モジュール92Bは、前述の主レーン86と副レーン88(図2参照)の2本のレーンを有するモジュールである。
【0027】
第1から第3搬送エリア94,96,98の奥行き方向の寸法は共通であり、搬送モジュール92の共通化が図られている。すなわち、搬送モジュール92は、第1から第3搬送エリアのいずれにも装着が可能である。第4搬送エリア100は、他の搬送エリアより幅が狭くされている。第1から第3搬送エリアは、2本のレーンを有する搬送モジュール(例えば、搬送モジュール92B)を装着することを想定しており、これに必要な奥行き方向の寸法が確保されている。一方、第4搬送エリア100は、前述のようにループ状の搬送経路を形成するためのエリアであり、追い越し等のため2本のレーンを有するモジュールは、第3搬送エリア98に装着すれば足り、このため、1本のレーンに対応する幅を確保しておけば十分である。
【0028】
図4は、ユニットと搬送モジュールの寸法の関連を示す図である。ユニットは、奥行き寸法は共通であるが、幅寸法(搬送方向の寸法)が3種類ある。幅が狭いものから小ユニット102(幅寸法a)、中ユニット104(幅寸法b)、大ユニット106(幅寸法c)と呼ぶ。当該ユニットに搭載する機能、すなわち検体移載、容器供給、検体供給、分注等の処理を達成するための機構から、適切なユニットの大きさを選ぶ。幅寸法の差は一定、すなわち(b−a)=(c−b)と設定されている。
【0029】
搬送モジュールは、大別して2種類ある。一つの種類は、一つの搬送エリアに装着され、検体容器を上流側のユニットから下流側のユニットへ、またはその逆に搬送する主搬送モジュールである。もう一つの種類は、二つの搬送エリアにまたがるように配置され、検体容器を一方の搬送エリアから他方の搬送エリアに移し替える横断搬送モジュールである。主搬送モジュールと横断搬送モジュールと区別するために、主搬送モジュールに符号92を用い、横断搬送モジュールに符号108を用いて説明する。
【0030】
主搬送モジュール92は機能別に3種類が提供される。主搬送モジュール92Aは、第1から第3搬送エリア94,96,98に装着されるモジュールであり、入口と出口を結ぶ1本のみのレーンを有するモジュールである。奥行き寸法は、第1から第3搬送エリアのものに対応している。主搬送モジュール92Bは、入口と出口を結ぶ主レーン86と、主レーン86と並行して延びる副レーン88の2本のレーンを有するモジュールである。分注等の処理中の検体容器およびこれを搭載したラックを副レーン88に止めおき、処理の必要のないラックについては、主レーン86によって追い越しを行わせる。主搬送モジュール92Cは、第4搬送エリア100に対応したモジュールで、エリアに合わせて奥行き寸法が短くなっている。レーンは1本のみであり、検体容器を搬送する方向は、システムの下流側から上流側が基本である。
【0031】
これらの主搬送モジュール92は、各モジュールごとに検体容器を移動させる駆動力を得るためのモータと、モータにより駆動され検体容器を搬送する搬送要素とを有している。搬送要素としては、例えばベルトを用いることができる。主搬送モジュール92は、搬送方向の長さが、ユニットの幅寸法に対応していれば、ユニットの有する機能(処理内容)によらず、どのユニットにも装着可能となっている。
【0032】
横断搬送モジュール108は、ラックを載せたレーンが、一つの搬送レーンから他の搬送レーンに移動して、検体容器のレーン変更を行うモジュールである。主搬送モジュールと同様、検体容器を移動させるためのモータおよびベルト等の搬送要素を備え、更に、レーンを移動させるためのモータも備えている。
【0033】
主搬送モジュール92の搬送方向の寸法dは、ユニットの幅寸法a,b,cに対応して3種類用意されている。また、横断搬送モジュール108の搬送方向の寸法eは、前記のユニット間の寸法差(b−a)または(c−b)に対応する。図4に示す大ユニット106には、第1搬送エリア94に主搬送モジュール92B、第2搬送エリア96に主搬送モジュール92A、第3および第4搬送エリア98,100に主搬送モジュール92B,92C、横断搬送モジュール108が装着された状態が示されている。第1、第2搬送エリアに装着された主搬送モジュール92A,Bは、大ユニット106の幅寸法cに対応した寸法を有するモジュールである。一方、第3、第4搬送エリアに装着された主搬送モジュール92B,Cは、大ユニット106より1サイズ小さい中ユニット104の幅寸法bに対応したモジュールである。横断搬送モジュール108と、1サイズ小さいユニットに対応した主搬送モジュール92を組み合わせることにより、当該ユニットの幅寸法に対応している。
【0034】
第1から第4搬送エリアに装着された各搬送モジュールの入口・出口のピッチpは、共通となっている。これにより、搬送モジュールの共用化が達成される。第1搬送エリア94の更に奥には、少なくとも第4搬送エリア100の奥行き方向の寸法と等しい奥行きを有する余裕エリア110が設定されている。すなわち、最も奥行き寸法の小さい第4搬送エリア以上の奥行き寸法を有する余裕エリア110が、最も奥に配置された第1搬送エリア94の奥に設定されている。この余裕エリア110は、更に搬送レーンを形成することを想定している。この搬送レーンは、最下流まで搬送され、所定の処理が終了した親検体容器を最上流まで戻すレーンとして用いることが想定されている。システム設置場所の配置の関係上、処理終了後の親検体容器を上流側より排出したいという要望に対応することが可能である。
【0035】
図5は、ユニットの一例としての検体供給移載ユニット16の外観を示す斜視図である。ベース部分90の上面には、搬送モジュール92,108を載置、固定するための載置プレート112が設けられいる。1枚の載置プレート112上に当該ユニット16に属する全ての搬送モジュール92,108が置かれて、搬送レーンが形成される。これにより、検体、試薬等がこぼれたとしても、プレート上に留まり、汚染の拡大を抑制することができる。
【0036】
図6は、載置プレート112を示す図である。載置プレート112上には、搬送モジュール92,108の位置決めを行う位置決め手段としてピン114A〜Dが立設されている。ピン114A,114B,114C,114Dは、第1〜4の搬送レーンにそれぞれ対応し、ピン116は横断レーンに対応している。以下の説明において、搬送レーンに対応するピン114A〜Dを区別する必要がないときには、単に符号114を用いる。ピン114は、各レーンの入口・出口の位置に一致しており、またこのピン114を基準にして、搬送モジュールが装着される領域、つまり搬送エリアが規定される。図6は、横断搬送モジュール108の装着を想定したプレートであるが、横断搬送モジュール108が装着されないプレートにおいては、ピン116は設けられず、ピン114C,114Dの左側のものは、載置プレート112の左端、すなわちピン114A,114Bと同様の位置に設けられる。
【0037】
図7は、載置プレート112上に搬送モジュール92,108を装着した状態を示す図である。図7の載置プレート112は、図6に示した載置プレート112と横断搬送モジュール108の装着位置が異なるものであるが、左右の勝手が異なるだけで基本的に同様の構成を有する。第1搬送エリア94に装着されて、第1搬送レーンを形成する主搬送モジュール92Bは、2本のレーンを持つタイプである。第2搬送エリア96に装着されて、第2搬送レーンを形成する主搬送モジュール94Aは1本のレーンのみ有するモジュールである。第3搬送エリア98に装着されて第3搬送レーンを形成する主搬送モジュール92Aは、当該ユニットの幅寸法より1サイズ低い寸法を有し、1本のレーンのみを備えたモジュールである。第4搬送エリア100に装着されて第4搬送レーンを形成する主搬送モジュール92Cは、第4搬送エリア用の幅の狭いタイプのものである。さらに、第3および第4搬送レーン間での検体容器の受け渡しを行う横断搬送モジュール108が、第3,第4搬送レーンの右端に装着されている。
【0038】
図8は、第3および第4搬送レーンの左端に、横断搬送モジュール108が装着された例を示す図である。図9は、横断搬送モジュール108の詳細図である。横断搬送モジュール108は、搬送方向と直交して延びるガイド118に沿って移動する移動レーン120を備える。図8において移動レーン120は、第3搬送レーン34の位置にある。第4搬送レーン36を搬送されてくる検体容器を受け取るために、移動レーン120は、図示される位置からガイド118に沿って右下方向に移動する。このとき、移動レーン120に設けられたパッド122が、第4搬送レーン36の出口に対応して設けられたストッパアーム124の先端のローラ126に当接し、これを軸127を中心に回動させ、倒すようにして押しのける。ストッパアーム124は、第4搬送レーン36から送り出されてくる検体容器を載せたラックの落下を防止するために設けられている。
【0039】
第4搬送レーン36に対向する位置に移動した移動レーン120は、ラックごと検体容器を受け入れ、再びガイド118に沿って、図示される第3搬送レーン34の位置まで移動する。そして、ベルト128を駆動してラックを第3搬送レーン34に向けて送り出す。
【0040】
図10は、1本のみのレーンを有する搬送モジュール92Aを示す図である。全長にわたってベルト130が巻き渡されており、この上をラックに搭載された状態で検体容器が、図中左下から右上に向けて搬送される。2カ所にストッパ132が設けられる。ストッパ132がレーンに突出すると、ラックはここで止められる。
【0041】
図11は、2本のレーンを有する搬送モジュール92Bを示す図である。この搬送モジュール92Bの入口と出口を直線状に結ぶ主レーン86と、主レーン86から分岐し、また合流する副レーン88を有する。主レーン86には、搬送要素として、ベルト134,136の2本が設けられ、それぞれ独立して駆動することができる。副レーン88には、搬送要素として、1本のベルト138が巻き渡されている。これらのベルトを駆動することにより、ラックとともに検体容器を搬送することができる。
【0042】
図中左側から送られてきた検体容器(ラック)は、読み取り部140で各検体容器に付された情報を読み取られ、それに応じてこのユニットを通過させるか、処理を行うかが判断される。通過させる場合、ストッパ142を退避させる。通過させず、副レーン88に送る場合は、ストッパ142でラックを止め、送り出しガイド144によりラックを側方より押して、副レーン88に向けて押し出す。副レーン88ではベルト138により搬送され、検体等に対する処理が終了した時点で、送り出しガイド146により、主レーン86に戻される。主レーン86の出口にもストッパ148が設けられている。
【0043】
図12は、狭い第4搬送エリア100に対応した主搬送モジュール92Cを示す図である。レーンを構成する要素については、主搬送モジュール92Aと同様の構成を有し、奥行き方向の寸法が狭い分、穴埋め、または目隠し用のプレート150(図10参照)が省略されている。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本実施形態の検体前処理システム10の概略構成を示す平面図である。
【図2】規模の大きな実施形態の例である検体前処理システム54の概略構成を示す平面図である。
【図3】ユニットと搬送モジュールの関係を示す図である。
【図4】ユニットと搬送モジュールの寸法、種類等を示す図である。
【図5】ユニットの一例としての、容器供給移載ユニットを示す斜視図である。
【図6】搬送モジュールを載置するプレートの概略構成を示す斜視図である。
【図7】プレート上の搬送モジュールを装着した状態を示す図である。
【図8】プレート上の搬送モジュールを装着した状態を示す図である。
【図9】横断搬送モジュールの概略構成を示す図である。
【図10】搬送モジュールの一例を示す図である。
【図11】搬送モジュールの一例を示す図である。
【図12】搬送モジュールの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0045】
10 検体前処理システム、12 検体供給ユニット、14 分注ユニット、16 容器供給移載ユニット、18 検体排出ユニット、20 親検体容器、24 第1搬送レーン、28 第1子検体容器、32 第2搬送レーン、34 第3搬送レーン、36 第4搬送レーン、38 第1横断レーン、40 第2子検体容器、92 主搬送モジュール、94 第1搬送エリア、96 第2搬送エリア、98 第3搬送エリア、100 第4搬送エリア、108 横断搬送モジュール。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析処理対象の検体を収容する検体容器を搬送し、搬送過程で前記分析処理前の所定の前処理を行う検体前処理システムであって、
当該前処理システムは、検体容器の搬送方向に沿って配列された共通の奥行き寸法を有する複数のユニットを有し、
前記各ユニットは、検体を搬送する1個の主搬送モジュールを装着するための領域である複数の搬送エリアを有し、当該搬送エリアは、当該ユニットの全幅にわたって延び、同一面上に、奥行き方向に既定値のピッチで、かつ各ユニットにおいて奥行き方向において共通の位置に配置され、当該搬送エリアには、前記主搬送モジュールの位置決めを行う位置決め手段が設けられ、
前記各ユニットには、奥に配置された搬送エリアの更に奥側には、前記複数の搬送エリアの内、最も奥行き寸法の小さいエリア以上の奥行き寸法を有する余裕エリアが設けられ、
前記各ユニットの少なくとも一つの搬送エリアに前記主搬送モジュールが装着され、前記主搬送モジュールは、前記既定値のピッチに対応した奥行き寸法を有し、検体容器を移動させるための駆動源と、駆動源の駆動力により駆動され検体容器を搬送する搬送要素を含む、
検体前処理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の検体前処理システムであって、
二つの搬送エリアにまたがって装着され、これらの二つの搬送エリア間で検体容器の受け渡しを行う横断搬送モジュールを有する、
検体前処理システム。
【請求項3】
請求項2に記載の検体前処理システムであって、
前記ユニットの横幅は少なくとも2種類あり、この横幅の差が横断搬送モジュールの幅方向の寸法となっている、
検体前処理システム。
【請求項4】
請求項2または3に記載の検体前処理システムであって、
前記複数のユニットの内、連続するユニットのそれぞれ二つの搬送エリアに主搬送モジュールが装着され、前記連続するユニットの両端のユニットには前記横断搬送モジュールが装着され、これらの主搬送モジュールおよび横断搬送モジュールによりループ状の搬送経路が形成される、
検体前処理システム。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の検体前処理システムであって、
前記各ユニットは、当該ユニットの搬送エリアに共通であって、前記主搬送モジュールが置かれるベースプレートを有する、
検体前処理システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2010−91434(P2010−91434A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−262202(P2008−262202)
【出願日】平成20年10月8日(2008.10.8)
【出願人】(390029791)アロカ株式会社 (899)
【Fターム(参考)】