検出カートリッジ、モジュール、システム、及び方法
検出カートリッジ、及び関連構成部材、ならびに、それを用いて検出用センサに試料材料を提供する方法が開示されている。本発明の検出カートリッジに関連して用いられ得る構成部材の中には、例えば、入力モジュール、流体流れ前方制御部、及び体積流量制御機構がある。これらのモジュールは、検出カートリッジ内で混合及び/又は送り出される異なる成分を含む1つ以上の室を備え得る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体試料材料中の1つ以上の標的検体を検出する検出カートリッジ及び検出方法に関する。
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、2003年12月30日に出願された、仮出願番号60/533,169号の米国仮特許出願に基づく国内優先権を主張するものである。なお、この仮特許出願の全体を本明細書に援用する。
【0003】
政府の権利
米国政府は、国防総省により認められたDAAD 13−03−C−0047の条項に従って、本発明に対して特定の権利を有し得る。
【背景技術】
【0004】
試験管法及びスライド法のコアグラーゼ試験のような古典的な臨床分析とは異なり、本発明の検出カートリッジは、集積センサを用いる。本明細書で引用した“センサ”の用語は、少なくとも1つの物理的性質の変化を検出し、検出可能な変化に応じた信号を生成する装置を示している。センサがある変化を検出する方式としては、例えば、電気化学変化、光学変化、電気光学変化、音響−機械的変化などがあり得る。例えば、電気化学センサは、電位差及び電流測定を用いているが、一方、光学センサは、吸光波、蛍光波、発光波、及びエバネセント波を用い得る。
【0005】
多くのセンサに関連し得る技術的な問題点は、センサの検出面を通る流量及び/又は流れの前方の進行が標的検体の正確な検出に影響を与え得るということである。しかしながら、体積流量と流体の流れ前方の進行とを両方制御することは、センサの検出面が平坦な場合には、困難となり得る。なぜならば、このような面には、かかる面を移動する流体の表面張力によって、空隙、気泡などの形成が生じ得るためである。センサの中には、平坦でない、及び/又は特徴のない検出面を備えることにより、これらの問題点に対処しようとなされたものもあるが、例えば、音響−機械的センサなどの他のセンサでは、好ましくは、良好に機能する比較的平坦で特徴のない検出面を備え得る。
【0006】
多くの生物学的検体は、液体担体と組み合わされてセンサに導入される。液体担体は、望ましくないことだが、音響−機械的検出システムの感度を低下し得る。さらに、かかるセンサの感度は、迅速に検出することができない特性に依存し得るものであり、例えば、試験試料を、時間をかけて培養するか、又はさもなければ展開させる必要があり得る。しかし、選択性は、標的の生物学的検体を、例えば、検出面に結合させることにより得ることができる。
【0007】
しかしながら、用いたセンサが標的生物学的検体を検出するために音響−機械的なエネルギーに依存する場合には、既存の標的生物学的検体を検出面へ選択的に結合させることは、多くの又は大部分の生物学的検体において検体の大きさ及び比較的低い機械的剛性に起因する問題を生じる可能性がある。特に、この問題は、せん断水平弾性表面波検出システムに関して問題となり得る。
【0008】
せん断水平弾性表面波センサは、センサの検出面に沿って音響−機械的エネルギー波を伝播させるように設計されている。幾つかのシステムでは、検出面で音響−機械波を局所化し、(非導波センサと比べて)センサの感度を高めるために、導波管が検出面に設けられ得る。この変形されたせん断水平弾性表面波は、しばしば、ラブ波せん断水平弾性表面波バイオセンサ(“LSH−SAW”)と称される。
【0009】
このようなセンサは、標的検体の大きさが比較的小さい化学物質又は他の物質の検出に関して用いられてきた。その結果、標的検体物は、センサの有効波動場内に(例えば、水中で103メガヘルツ(MHz)の周波数で動作するセンサの場合には、約60ナノメートル(nm))大方位置付けられる。
【0010】
このように、センサの有効波動場が、検出される生物学的検体の大きさに関連して著しく限定されるということは、今まで認められてこなかったことである。例えば、単細胞微生物の形態で見つけられる生物学的検体では、例えば、約1マイクロメートル(1000nm)の典型的な直径を有し得る。しかしながら、上述したように、センサの有効波動場は、たったの約60nmである。結果的に、標的検体物の大部分がセンサの有効波動場の外に位置することになってしまう。
【0011】
大きさの差異に加えて、標的生物学的検体は、しばしば水分を含む多様な成分で満たされた薄膜状である。その結果、センサ上を有効波動場内で流れる音響−機械的エネルギーによる生物学的検体全質量への効果は、著しく限定される可能性がある。多くの場合には、このようなセンサの表面に付着した標的生物学的検体は、検出器に試薬を加えるために用いた液体媒体と正確に区別することができない。
【0012】
また、理論に拘束されることを意図しないが、検出面に付着する生物学的検体の機械的な剛性が比較的足りないことにより、すなわち、生物学的検体の流体特性により、検出面に効果的に結合される生物学的検体物の量が著しく限定され得るものと理論付けられる。言い換えれば、生物学的検体は検出面に付着され得るものではあるが、生物学的検体物の大部分は、センサにより生じた音響−機械波に音響的に又は機械的に結合されない。その結果、音響−機械的バイオセンサ(例えば、LSH−SAWバイオセンサ)が標的の生物学的検体の有無を効果的に検出する能力が著しく限定される可能性がある。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、検出カートリッジ及びそれに関連する構成部材と同様に、当該検出カートリッジを用いて検出用センサに試料材料を提供する方法を提供する。本発明の検出カートリッジに関連して用いられ得る構成部材の中には、例えば、入力(又は流体)モジュール、流体流れ前方制御部、体積流量制御機構などがある。
【0014】
本発明の装置及び方法の潜在的利点は、検出及び/又は再現性を高め得る制御方法で試料材料(例えば、試験体、試薬、担体流体、緩衝液などを含み得る)をセンサの検出面に提示することである。
【0015】
この制御された提示は、試料材料の検出面への送出の制御を含み得る。好ましくは、モジュール系入力システムを用いて、例えば、試験体、試薬、緩衝液、洗浄剤などの試料材料が選ばれた時に選ばれた流量で選ばれた順番などで検出カートリッジに導入されることが可能である制御が行われ得る。
【0016】
また、制御された提示は、検出面を通る流体流れ前方進行の制御も含み得る。本明細書で用いた用語“流れ前方”とは、検出室内で検出面を通って移動する流体の塊の最先端部を示している。このような流れ前方進行の制御における潜在的な利点は、好ましくは、検出面の全てが試料材料により濡らされ得るということであり、すなわち、検出面の一部を占めかねない流体中の気泡や空隙が、好ましくは、低減されるか無くなり得ることである。
【0017】
また、この制御された提示は、検出室を通る体積流量の制御をも包含し得るものであり、これは、本発明の幾つかの実施形態において、例えば、毛管力、多孔質膜、吸収性媒体などを用いて検出室を通して流体を引っ張ることにより実現され得る。試料材料の検出面にわたる流量の制御は、利点を有し得る。例えば、流量が早すぎると、試料材料の標的検体は、選択的な付着が低減するか妨げられるために正確に検出され得ない。逆に、流量が遅すぎると、検出面への非標的検体又は他の材料の特定されていない連結が過剰に生じ、誤った正信号を潜在的に提供し得る。本発明はまた、検出カートリッジ内で異なる標的検体の検出を容易とするように、例えば、検出カートリッジに選択的に組み込まれ得る封止モジュールをも提供する。このモジュールは、好ましくは、使用前に、内部に位置する材料がモジュールの内部容積から逃げるのを防いだり、及び/又はモジュールの内部容積の汚染を防ぐように封止されても良い。このモジュールは、好ましくは、異なる構成成分が、互いに及び検出カートリッジに導入される前に貯蔵され得る2つ以上の隔離された室を備え得る。検出カートリッジ(及び、最終的には、センサ)への導入に伴う異なる構成成分の導入及び混合は、モジュール及びアクチュエータを用いて制御され得る。多くの異なる試薬の分離貯蔵は、標的検体の検出を補助するのに用いられ得る材料の品質保持期限を著しく高め得る。分離された乾燥貯蔵状態から得られる試薬としては、例えば、溶剤、フィブリノーゲン、アッセイ標識磁粒などが挙げられる。
【0018】
モジュールは、製造者により、場合によっては、エンドユーザにより、選択され、検出カートリッジに取り付けられ得る。エンドユーザに委ねられるこの自由度は、実質的に、使用時の検出カートリッジをカスタマイズすることになり、経済性及び効率の点において、追加的な利点をもたらし得る。例えば、異なる試薬、緩衝液などを含む異なる複数のモジュールは、特定の標的検体のための特定のアッセイを実行するために、エンドユーザが選択した検出カートリッジのモジュールの組み合わせとして、エンドユーザに提供され得る。
【0019】
本発明の検出カートリッジは、1つ以上の標的検体を検出するために、幅広い多様なセンサを組み込み得る。これらセンサは、好ましくは、バイオセンサの形態であっても良い。ここで、“バイオセンサ”とは、試料材料中の1つ以上の標的生物学的検体を検出するようにされたセンサである。
【0020】
本明細書で記載した例示的実施形態は、単一のセンサを備え得るものであるが、本発明の検出カートリッジは、実質的に互いに類似するか、又は異なるようになされた2つ以上のセンサを備え得る。さらに、本発明による検出カートリッジの各センサは、2つ以上の流路(例えば、検出流路、及び参照流路)を含み得る。あるいは、異なるセンサを用いて、検出カートリッジ内の検出流路及び参照流路を提供するようにしても良い。複数センサが設けられる場合には、これらは、検出カートリッジ内で同一の検出室、又は異なる検出室内に位置付けられ得る。
【0021】
本発明の検出カートリッジに関連して用いられるセンサは、幅広い多様な異なるセンサ技術に依存し得る。幾つかの潜在的に有効なセンサ技術の例としては、これらに限られないが、電気化学的変化、光学変化、電気光学的変化、音響−機械的変化などを検出することが含まれ得る。
【0022】
なお、検出カートリッジは、カートリッジ内に位置するセンサにより生じた音響−機械的エネルギーを用いて、試料材料中の標的検体の存在を検出することが好ましい。音響−機械的エネルギーは、好ましくは、音響−機械的センサ、例えば、せん断水平弾性表面波センサ(例えば、LSH−SAWバイオセンサ)などの弾性表面波センサを用いて提供され得るが、場合によっては、本発明のシステム及び方法と関連する他の音響−機械的センサ技術が用いられても良い。
【0023】
また、本発明の検出カートリッジ及びモジュールは、例えば、標的生物学的検体などの自然において生物学的な標的検体を検出するように設計されることが好ましい。ここで用いられているように、“標的生物学的検体”は、例えば、微生物(例えば、バクテリア、ウィルス、内生胞子、菌類、原虫など)、たんぱく質、ペプチド、アミノ酸、脂肪酸、核酸、炭水化物、ホルモン、ステロイド、脂質、ビタミンなどである。
【0024】
標的生物学的検体は、任意の適切な方法により得られた試験体から得られ得るものであり、検出される標的生物学的試剤の種類に負うところが多い。例えば、試験体は、生物学的組織及び/又は流体試料(例えば、血液、尿、糞、唾液、精液、胆汁、接眼レンズ液、関節液、脳脊髄液、膿、汗、浸出液、粘液、乳汁、皮膚、髪、爪など)を収集することなどにより、対象(人体、動物など)又は他の源から得られ得る。他の場合には、試験体は、環境試料、製造サンプル、フード試料などとして得られ得る。これらの得られた試験体は、液体、気体、固体又はそれらの混合物とし得る。
【0025】
試験体には、本発明の検出カートリッジ及び/又はモジュールに送出される前に、例えば、粘性流体の希釈、濃縮、ろ過、蒸留、透析、試薬の追加、化学処理などの従来の処理が施され得る。
【0026】
本発明は、下記に特定した多様な米国特許出願及びPCT特許出願に記載された様々な材料、方法、システム、装置などと組み合わせて用いられ得る。これら全ての特許出願は、それぞれ全てを本明細書に援用する。これら特許出願は、次のものを含む。すなわち、出願日が2003年12月30日の米国特許出願第60/533,162号明細書、出願日が2003年12月30日の米国特許出願第60/533,178号明細書、出願日が2004年7月22日の米国特許出願第10/896,392号明細書、出願日が2003年11月14日の米国特許出願第10/713,174号明細書、出願日が2004年11月12日の米国特許出願第10/987,522号明細書、出願日が2003年11月14日の米国特許出願第10/714,053号明細書、出願日が2004年11月12日の米国特許出願第10/987,075号明細書、出願日が2003年12月30日の米国特許出願第60/533,171号明細書、出願日が2004年10月7日の米国特許出願第10/960,491号明細書、出願日が2003年12月30日の米国特許出願第60/533,177号明細書、出願日が2003年12月30日の米国特許出願第60/533,176号明細書、出願日が2003年12月30日の米国特許出願第60/533,169号明細書、発明の名称が「細胞の細胞壁成分の信号検出を高める方法(Method of Enhancing Signal Detection of Cell−Wall Components of Cells)」で本件と同じ出願日の出願明細書(代理人整理番号No.59467US002)、発明の名称が「アミン捕捉剤としての可溶性重合体、及びその方法(Soluble Polymers as Amine Capture Agents and Methods)」で本件と同じ出願日の出願明細書(代理人整理番号No.59995US002)、発明の名称が「多機能アミン捕捉剤(Multifunctional Amine Capture Agents)」で本件と同じ出願日の出願明細書(代理人整理番号No.59996US002)、発明の名称が「弾性表面波センサを通る推定伝播速度(Estimating Propagation Velocity Through A Surface Acoustic Wave Sensor)」で本件と同じ出願日のPCT特許出願明細書(代理人整理番号No.58927WO003)、発明の名称が「弾性表面波センサ組立体(Surface Acoustic Wave Sensor Assemblies)」で本件と同じ出願日のPCT特許出願明細書(代理人整理番号No.58928WO003)、発明の名称が「音響−機械的検出システム及びその使用方法(Acousto−Mechanical Detection Systems and Methods of Use)」で本件と同じ出願日のPCT特許出願明細書(代理人整理番号No.59468WO003)、及び、発明の名称が「音響センサ及び方法(Acoustic Sensors and Methods)」で本件と同じ出願日のPCT特許出願明細書(代理人整理番号No.60209WO003)である。
【0027】
本発明の一態様において、検出カートリッジは、内部容積を有するハウジングと、ハウジングに動作可能に取り付けられ検出面を有するセンサと、ハウジングの内部容積内に位置し、検出面により画定される容積と検出面から離間されて当該検出面に対面し流れ前方制御部を備える対向面とを有する検出室と、ハウジングの内部容積内に位置し検出室と流体連通する廃棄室とを備える。
【0028】
本発明の他の態様においては、検出カートリッジは、内部容積を有するハウジングと、ハウジングに動作可能に取り付けられ弾性表面波音響−機械的センサを備えるセンサと、ハウジング内部容積内に位置し、検出面により画定される容積と検出面から離間されて当該検出面に対面し1つ以上の流路が形成されてなる対向面とを有する検出室と、ハウジングの内部容積内に位置し検出室と流体連通する廃棄室と、廃棄室内に位置する吸収材料と、検出室と廃棄室との間に位置する毛細管構造とを備える。
【0029】
本発明の他の態様においては、検出カートリッジは、内部容積を有するカートリッジハウジングと、カートリッジハウジングに動作可能に取り付けられ検出面を有するセンサと、カートリッジハウジングの内部容積内に位置し、検出面により画定される容積と検出面から離間されて当該検出面に対面し流れ前方制御部を備える対向面とを有する検出室と、カートリッジハウジングの内部容積内に位置し検出室と流体連通する廃棄室と、各々がカートリッジハウジングの内部容積に開放する1つ以上のモジュール口を通してカートリッジハウジングに取り付けられた出口を備える1つ以上の封止モジュールとを備える。各モジュールは、出口と封止された内部容積とを有するモジュールハウジングと、モジュールの出口上に位置する出口封止材と、モジュールハウジングの内部容積内に位置するプランジャとを備える。プランジャは、当該プランジャが出口から離れている充填位置から、当該プランジャが出口に近接している放出位置まで移動可能であり、プランジャが出口に向かって移動すると、モジュールハウジングの内部容積からの材料がカートリッジハウジングの内部容積内に出口を通って出ていくように、出口封止材が開放される。
【0030】
本発明の他の態様において、検出カートリッジを通して試料材料を移動する方法は、検出カートリッジのハウジングの内部容積内に試料材料を送出する工程を含み、試料材料が検出室に流入し、検出室を通して廃棄室に向かう試料材料の流れ前方進行が、検出室内の対向面上の流れ前方制御部により少なくとも部分的に制御される。
【0031】
本発明の他の態様においては、封止モジュールは、出口と封止された内部容積とを有するハウジングと、出口上に位置する出口封止材と、ハウジングの内部容積内に位置し内部に液体を含む第1の室と、ハウジングの内部容積内に位置し内部に試薬を含む第2の室と、ハウジング内で第1の室から第2の室を隔離する室間封止材と、プランジャとを備えており、第1の室、室間封止材、第2の室、及び出口封止材は、プランジャと出口との間に位置し、プランジャは、当該プランジャが出口から離れている充填位置から、当該プランジャが出口に近接している放出位置まで移動可能である。プランジャが出口に向かって移動すると、第1の室内の液体が第2の室内の試薬と接触するように、室間封止材が開放され、プランジャが放出位置内にさらに移動すると、ハウジングの内部容積からの液体及び試薬が出口を通って出ていくように、出口封止材が開放される。
【0032】
本発明の他の態様においては、本発明の封止モジュールを用いて材料を送出する方法が提供される。本方法は、プランジャを封止モジュールの出口に向かって移動し、室間封止材を開放させ、第1の室からの液体を第2の室内の試薬に接触させる工程と、プランジャを出口に向かって移動し、出口封止材を開放させ、ハウジングの内部容積からの液体及び試薬を出口を介して追い出す工程とを含む。
【0033】
本発明の他の態様においては、モジュールは、出口と封止された内部容積とを有するハウジングと、出口上に位置する出口封止材と、ハウジングの内部容積内に位置し内部に1つ以上の試薬を含む室と、出口から離れた充填位置から出口に近接する放出位置まで移動可能なプランジャと、室と流体連通する投入口とを備え、投入口は、プランジャが充填位置にある際にプランジャと出口との間で室に進入する。プランジャが出口に向かって動くと、ハウジングの内部容積からの材料が出口を通って出ていくように、出口封止材を開放させる。
【0034】
本発明の他の態様においては、本発明のモジュールを用いて材料を送出する方法が提供される。本方法は、液体を含む試料材料を投入口を通ってモジュールの室内に送出し、試料材料を室内に位置する試薬と接触させる工程と、プランジャを出口に向かって移動させ液体が出口を通って室から出ていくように出口封止材を開放する工程とを含む。
【0035】
本発明の検出システム及び方法における上記及び他の特徴及び利点は、以下に示した多様な本発明の例示的実施形態と関連して説明され得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
本発明の例示的実施形態に関する以下の詳細な説明では、実施形態の一部を形成する添付図面を参照するものとする。これら添付図面では、図示により、本発明が実施され得る特定の実施形態が示されている。なお、本発明の範囲を逸脱せずに、他の実施形態を用い、構造上の変更を行い得ることは、理解されるであろう。
【0037】
本発明の一態様では、集積センサと、試料検体をセンサに選択的に送出するのを支援する流体制御機構とを備える検出カートリッジを提供する。図1に概略的に示された例示的検出カートリッジ10は、中間準備室20、検出室30、廃棄室40、センサ50、体積流量制御機構70、及びモジュール80を備える。一般に、図1の検出カートリッジ10は、中間準備室20、検出室30、及び廃棄室40を備える内部容積を有するように示され得るものであり、これらの異なる室は、中間準備室20から検出室30を通って廃棄室40に至る下流方向を画定している。その結果、検出室30は、廃棄室40からの上流側として示され、中間準備室20は、検出室30からの上流側として示され得る。なお、本発明に係る検出カートリッジの何れも、図1の検出カートリッジ10に含まれる構成部材の組み合わせを必ずしも含み得るとは限らない。
【0038】
検出カートリッジ10の検出室30は、好ましくは、センサ50の検出面と、センサの検出面とは反対側に位置する対向面60との間に内部容積を画定する。検出室30は、好ましくは、検出室30の内部容積の側壁又はその残り(すなわち、センサ50の検出面及び対向面60により画定されない検出室30の一部)を画定する他の構造を提供し得る。
【0039】
また、図1では、好ましくは、センサ50に動作可能に接続され、例えば、電力をセンサ50に提供し得るコネクタ54が示されている。このコネクタ50は、好ましくは、電気エネルギーをセンサ50に提供し得るものであるが、実施形態によっては、コネクタは、センサ50の動作に必要な光エネルギー又は任意の他の形態のエネルギーを提供するのに用いられても良い。また、コネクタ54は、センサ50に制御信号を供給し得る、又は、センサ50から信号を受信し得る制御装置又は他のシステムに、センサ50を接続するように機能し得る。必要であれば、コネクタ54(又は増設コネクタ)は、弁、流体モニタ、温度制御要素(加熱及び/又は冷却を行うための)、温度センサなどの他の装置、及び検出カートリッジ10の一部として備えられ得る他の装置に動作可能に接続され得る。
【0040】
検出室30に加えて、図1に示された検出カートリッジ10は、検出室30を出た後の材料が流入する任意の廃棄室40をも備える。廃棄室40は、検出室30からの試料材料が廃棄室40に流入する流量を制御するように用いることができる体積流量制御機構70を通して、検出室30に流体連通し得る。
【0041】
体積流量制御機構70は、好ましくは、流体が廃棄室40内に移動可能となるように検出室30を通る流体を吸引し得る。本明細書で記載した多様な例示的実施形態においては、体積流量制御機構70は、次の構成部材の1つ以上を含み得る。すなわち、1つ以上の毛管流路、多孔質膜、吸収材料、真空源などである。これらの異なる構成部材は、多様な実施形態において、これらが検出カートリッジ10内でどのように及びどこに配置されているかに応じて、流量を限定したり、又は増加したりし得る。例えば、廃棄室40が毛細管構造の存在しない際に過度に流量を高めかねない吸収材料を含む場合には、検出室30から廃棄室40への流れを制限するように、検出室30と廃棄室40との間に毛細管構造が設けられ得る。
【0042】
図1に示した他の機構は、好ましくは、弁78が解放状態の際に周囲大気(つまり、検出カートリッジ10が位置する大気)と流体連通する検出カートリッジ10の内部容積を配置するように設けられ得る弁78である。また、弁78は、好ましくは、弁78を通る空気流が実質的に無くなる閉鎖状態をも取り得る。弁78の閉鎖は、実施形態によっては、検出カートリッジ10の内部容積を通る流れを効果的に停止又は中断させ得る。弁は、廃棄室40に繋がるものとして示されているが、1つ以上の弁が設けられても良く、これらが、例えば、中間準備室20、検出室30などの検出カートリッジ10内の任意の適した位置に直接接続されても良い。弁78は、例えば、1つ以上の空隙、チューブ、取付具などの任意の適切な形態をとり得る。
【0043】
弁78は、弁開口部を開閉するか、又は弁開口部の大きさを調整するために、封止材、ふた、弁、又は他の構造の形態の閉鎖要素79を備え得る。幾つかの実施形態では、閉鎖要素79は、弁を開けるか又は閉じるかのいずれかに用いられ得る。他の実施形態では、閉鎖要素79は、弁開口部の大きさが検出カートリッジ10を通る流体流量を調整するため、完全閉鎖状態と完全開放状態との間の少なくとも1つの大きさに調整され得る。例えば、弁開口部の大きさを大きくすると(例えば、閉鎖要素79を用いて)、流体流量が増加し、一方、弁開口部の大きさを制限すると、例えば、中間準備室20、検出室30などを通って検出カートリッジ10の内部容積を通る流体流量を制御可能に低減させ得る。弁78が複数のオリフィスを含む場合には、1つ以上のオリフィスは、閉鎖要素などを用いて開放又は閉鎖されることができる。
【0044】
検出室30を通って動く流体の体積流量は、体積流量制御機構70により制御され得るものであるが、検出室30を通る流れ前方の進行が制御されると好ましい。流れ前方進行の制御は、検出室30内に露出されるセンサ50の検出面の全ての部位を、気泡又は空隙を形成しないように、確実に試料検体の流体により覆うか、又は濡らすことを支援し得る。例えば、流れの前方は、検出室30を通る流れの方向に垂直に配向される略直線の形態で検出室30を通って進行し得ることが好ましい。
【0045】
図1に示した例示的実施形態では、流れ前方制御部(flow front control features)は、好ましくは、対向面60内又は上に設けられても良い。特に、このことは、センサ50が検出面の形状及び/又は構成により影響され得る物理的性質に依存する場合に、例えば、検出面が当該検出面を形成する、又は検出面の真下にある導波管を通る音響エネルギーの伝達に依存するセンサの一部である場合に、当てはまる。検出面に位置する物理的構造体又は異なる材料における切れ目は、例えば、検出室30内で標的検体の正確な検出につながらないような検出面上の音響エネルギーの伝播を生じ得る。また、例えば、光学センサなどの他のセンサ技術は、検出室内での流体流れ前方の進行を制御するために、物理的構造体又は異なる材料の組み合わせをそれ自身含まない検出面を用いて、より良く実施され得る。
【0046】
上述した問題点を考慮すると、センサ50の検出面における流体流の進行の制御を支援するために、検出室30の対向面60内又は上に流れ前方制御部が提供されると好ましい。流れ前方制御は、好ましくは、検出面における試料材料の進出を制御し得るものであるとともに、検出面上の気泡の形成(又は保持)を低減又は防ぎ得る。
【0047】
流れ前方制御部は、対向面60に設けられ、好ましくは、受動的とし得るものであり、すなわち、流体が検出室30を通って動く間に、任意の外部入力又はエネルギーが働くことを求めるものではない。また、流れ前方制御部は、好ましくは、検出室30を通過し得る幅広い試料体積の範囲にわたっても(例えば、10マイクロリットル以下の範囲の小さな試料体積から5ミリリットル以上のより大きな試料体積まで)動作し得る。
【0048】
センサ50の対向面60と検出面は、対向面60(及びその上に位置する任意の機構)がセンサ50の検出面と接触しないように、互いに離間されていることが好ましい。音響センサに関しては、近接しているだけでも、センサ動作の特性に悪影響し得る。例えば、センサ50の検出面と対向面60の最下部にある機構との間の隙間は、好ましくは、20マイクロメートル以上であり、あるいは、より好ましくは、50マイクロメートル以上であっても良い。流れ前方制御を効果的に行うには、対向面60の最下部機構とセンサ50の検出面との間の距離は、好ましくは、10ミリメートルであり、あるいは、1ミリメートル以下、幾つかの例では、500マイクロメートル以下、及び他の例では、250マイクロメートル以下であっても良い。
【0049】
ある種の流れ前方制御部では、対向面60は、検出室30を通る流体の流れを制御するように使用され得る流路、柱部などの物理的構造体を備え得る。特定の物理的構造体であるかどうかかかわらず、この物理的構造体は、検出室を通る流れ前方進行がかなり影響されるほどの大きなスケールであると好ましい。図2A〜2Eは、流体流れ前方進行を制御するように用いられ得る多様な例示的な物理的構造体を示す。
【0050】
図2Aは、流れ前方制御を行い得る対向面60a上のある種類の物理的構造体を示す平面図である。この物理的構造体は、例えば、柱部、埋没又は取り付けられたビーズなどの複数の離散構造体(discrete structure)62aを備え、これら離散構造体は、対向面60a上に分散され、当該離散構造体62aを分離するランド領域64aから突出されている。離散構造体62aは、例えば、円柱、直角プリズム、三角形プリズム、半球などの任意の形状で設けられ得る。異なる離散構造体62aの高さ、大きさ、間隔、及び/又は配置は、流体粘性、及び/又は検出室内の対向面60aと検出面との間の距離に応じて、所望の流れ前方制御を行うように選択され得る。離散構造体62aは、離散構造体62a間の対向面60aのランド領域64aと同じ材料から製造されると良く、あるいは、離散構造体62aは、離散構造体62a間のランド領域64aを形成する材料とは異なる1つ以上の材料から製造されても良い。
【0051】
図2Bは、対向面60bと連結して設けられ得る物理的構造体の他の例示的実施形態を示している。この物理的構造体は、対向面60bに形成された三角形流路62bの形態となされており、各流路62bが谷66bの各側面にある2つのピーク64bを含み得る。図示された流路62bは、互いに平行であり、所望の流体流れに垂直な直線上を延びているが(図2Bの矢印61bを参照)、これらの特徴のいずれも、検出面を通る所望の流れを得ることを支援するのであれば、変形を行い得るものであることが理解されよう。流路62bは、不規則な大きさ、不規則な形状、不規則な間隔、直線、曲線、又は流体流れに対して90度の角度とは異なる角度などで配向されていても良い。例えば、隣接する流路62bは、図2Bに示すように、互いに間近に隣接し得る。また、流路62bは断面が三角形状であるが、本発明に関連して用いられる流路は、例えば、弓形、長方形、台形、半球などの任意の断面形状、及びその組み合わせであっても良い。
【0052】
他の実施形態では、流路は、ピーク間のランド領域により分離され得るものであり、(すなわち、底部に達せず、次にすぐに隣接するピークに対して上方に向かう)ランド領域を有する谷を備えても良い。ランド領域は、平坦であっても、所望の他の形状をとっても良い。図2Cには、ランド領域64cが対向面60cの流路62cを分離した状態で対向面60cの流路62cが設けられた、かかる1つの変形例が示されている。
【0053】
図2Dは、対向面60dにおける流れ前方制御に用いられ得る物理的構造体の他の変形例を示している。この物理的構造体は、流路62dの形態で設けられる。対向面60dの流路62dは、異なる形状を有しており、すなわち、図2B及び図2Cの三角形流路とは対照的に、壁部63d及び屋根65dを含む、より矩形状又は台形状である。
【0054】
流路62dがより矩形状であっても、各流路62dの先端の壁部63dは、流路62dに上方に向かって繋がる面64dに対して、270度未満の角度θを形成し得ることが好ましい。本明細書で用いられる流路の“先端”とは、検出面にわたって下流方向に移動する液体により、まず遭遇される縁部である。先端での壁部63dと表面64dとの間の角度が大きいほど、流体流れ前方進行を遅らせ得るため、角度θを限定することは、流路62dへの流れを促進し得ることになる。図2B及び図2Cにおける対向面での流路は、三角形状のために、流路に入る流れにつながる角度を実質的に有する。
【0055】
図2Eは、好ましくは、流路62eへ流入する流れをも促進するために、270度未満の入口角度をも提供する弓状(例えば、半球の)外形を有する流路62eを備える対向面60eの他の実施形態を示している。流路62eは、好ましくは、図2Eに示すように、ランド領域64eにより分離され得る。
【0056】
図2A〜図2Eに関する上述の変形例に加えて、他の変形例としては、2つ以上の異なる形状の流路が単一の対向面上に設けられ得る、例えば、三角形、矩形、半球状などの流路を混合したものが同一の対向面に設けられ得るものがある。
【0057】
図2Fは、検出室内において流体の流れ前方を制御するための物理的構造部を備える対向面60fの他の変形例を図示している。この図示された対向面60fは、軸65f、66f、及び67fに沿って及び/又は平行に、対向面60fに形成された一連の三角形状流路により形成された離散構造体を含む。一般に、少なくとも1組の流路は、例えば、軸66fに沿った及び/又は平行な流路として、矢印61fにより表される流体流れ方向に略垂直な方向に形成されることが好ましい。軸66fに沿った/平行な垂直流路は、軸65f及び67fに沿った角度のある流路とともに、角錐構造体の各々の面を形成する。図示した角錐構造体が三角形状の基部を有するが、角錐形状の構造体は、望まれる場合には、4つ以上の面を設けることができる。
【0058】
再び、図1を参照すると、検出室30を通る流れ前方制御は、物理的構造体を用いずにも実現され得る。幾つかの実施形態では、流れ前方制御は、対向面60に位置する親水性及び/又は疎水性材料を用いて実現され得る。図3は、対向面160の一部を占める疎水性材料の領域162及び親水性材料の領域164を含む対向面160を示す平面図である。これらの領域162及び164は、好ましくは、矢印161により示されるように、検出室を通って流れる流れの方向、つまり、検出室の入力端から出力端への方向に対して略垂直に配向された連続帯として設けられ得る(ただし、他の親水性/疎水性パターンを用いても良いが)。領域162及び/又は164に用いた親水性及び/又は疎水性材料は、コーティングされ得るか、あるいはさもなければ対向面160に設けられ得る。場合によっては、対向面160を構築するのに用いられた材料は、それ自体親水性であると考えられ得るが、より疎水性の材料が対向面160の選ばれた部分に位置する(又は、逆に、すなわち、対向面160を構築するのに用いた材料は、疎水性であり、その表面の領域は、コーティングされ得るか、あるいはさもなければ対向面に親水性領域を設けるように処理されても良い)。
【0059】
一般に、液体により濡らされる固体表面の感受性は、液体が水平方向に配置された面上に沈着され安定化された後に固体表面に対して成す接触角により特徴付けられる。それは、しばしば「静的平衡接触角」と称されることもあるし、本明細書では、度々、単に「接触角」と称される。米国特許第6,372,954B1号明細書(ジョンストン(Johnston)ら)、及び国際公開第99/09923号パンフレット(ジョンストン(Johnston)ら)に記載されているように、接触角は、表面上の液体ビーズの表面と接触点で接触する線と、その表面の平面との間の角度である。接線が表面の平面に対して垂直とされた液体ビーズは、接触角が90度となる。通常、接触角は、90度以下であるので、固体表面は、液体によって濡らされると考えられる。表面上でゼロに近い接触角が得られる液体試料材料は、表面を完全に濡らしていると考えられる。
【0060】
しばしば、セ氏20度の水滴が90度以下の接触角を示す水平面は、親水性であると考えられ、一方、セ氏20度の水滴が90度を超える接触角を示す水平面は、疎水性であると考えられる。
【0061】
本発明の目的のためには、表面の親水性/疎水性は、相対的な大きさで決定されることが好ましい。例えば、親水性及び疎水性の水平面として考えられるものにおける接触角の違いは、セ氏20度の水滴の場合には、約10度以上(又は、幾つかの例示では、20度以上)であることが好ましい。言い換えると、本発明の疎水性面は、(セ氏20度の水滴の水平面における場合では、)親水性平面の接触角よりも10度以上(又は20度以上)の接触角を示し得る。
【0062】
本明細書で用いたように、“親水性”は、材料の表面特性、すなわち、表面が水溶液により濡らされていることにのみ言及するために用いられるものであり、材料が水溶液を吸収又は吸着するかどうかを表すものではない。したがって、材料は、その材料のある層が水又は水溶液に対して不浸透性又は浸透性であるかどうかの親水性について言及され得る。
【0063】
図4は、本発明の検出室に用いられ得る対向面260の他の実施形態を示す平面図である。対向面260は、好ましくは、検出室を通る流れの方向に略垂直に配向される直線状の流路の形態の物理的構造体262を備える。また、対向面260は、交差室流路262に加えて、入口端部265で扇状パターンに対向面260の側面に向かって外側に分岐される導流部264をも備える。また、図4に図示された対向面260は、対向面260の出口端部267で対向面260の幅の中央に向かって内側に収束する導流部266をも備える。
【0064】
使用時には、入口端部265での導流部264は、好ましくは、流体が検出室に入る際に対向面260の幅(さらには、これにより対向面260が位置する検出室)にわたって流れの前方を拡張するのを支援し得る。流体が第1の交差室流路262に到達すると、流れの前方は、好ましくは、対向する面260の幅にわたって延びるまで、出口端部267の方向への移動を停止し得る。一旦、流れ前方が対向面260をわたって達すると、好ましくは、次の交差室流路262に進出し、そこで、流れ前方が対向面260の幅にわたって延びるまで、再び停止する。
【0065】
流れ前方部は、対向面260の出口端部付近の任意の導流部266に達するまで、先行するパラグラフで記載した様式で進出する。そこで、この流れは、本明細書で記載したように、廃棄室に向かって配向されることができる検出室の出口端部267に向かって配向される。
【0066】
図5に図示した流れ制御機構は、一連の流路364が流体の流れの方向(矢印361で示したように)に垂直ではない角度で配向される入口区間362を有する対向面360を備える。流路364は、対向面360の幅(ここでは、幅は、流れ方向361に略垂直に測定される)を略二等分する中央軸363から分岐しており、流路364は、略V字状の幅が流れ方向に沿って増加するように、略V字状の形状に配置されることが好ましい。対向面360の第2の区間では、流路366は、流体流れの方向に略垂直に配向され得る。このような配置は、流体の流れを確実に表面338の両側にもたらす利点があり、気泡が検出面の動作を邪魔し得ない検出室の縁部に、気泡を押しのけたり又は方向付け得る。
【0067】
本明細書で記載した流体流れ前方制御の多様な方法は、明確には記載していない組み合わせにおいても用いても良い。例えば、本発明において検出室を通る流れ前方進行を制御するには、物理的構造(例えば、流路、離散突起構造、など)と組み合わせて、対向面に疎水性及び/又は親水性材料からなる選択領域を用いるようにすることが好ましい。さらに、検出室30の内部容積は、好ましくは、略直線形状を有し得るが、本発明に関連して用いられた検出室は、例えば、円筒状、弓形などの他の形状を取り得ることが理解されるべきである。
【0068】
図1を参照すると、任意の中間準備室20は、検出カートリッジ10内にも含まれ得るものであり、検出室30内に試料材料を導入する前に、試料材料に台を準備し、試料材料を混合し、又はさもなければ保持し得る。中間準備室20は、任意の適切な形態をとり得る。場合によっては、中間準備室20から検出室30への受動的な送出を支援可能とする静圧頭が中間準備室20内の試料材料に生じ得るように、検出カートリッジ10の使用中に、中間準備室20の容積が検出室30よりも上に(重力に対して)配置されることが好ましい。
【0069】
任意のポート22は、試料材料が、例えば、シリンジ、ピペットなどにより検出カートリッジ10の内部容積中に導入され得るように、中間準備室20に(検出カートリッジ10の内部につながる他の位置に、)設けられ得る。設けられる場合には、ポート22は、試料材料が検出カートリッジ10内に挿入される前及び/又は後に、例えば、隔壁、弁、及び/又は他の構造体により封止され得る。幾つかの実施形態では、ポート22は、好ましくは、例えば、ルアーロック取付具、ねじ式取付具などの試験試料送出装置と噛み合うように設計された、例えば、外部構造体を備え得る。なお、たった1つのポート22のみが図示されているが、2つ以上の個別の入口が設けられても良いことは理解されるべきである。
【0070】
幾つかの実施形態では、中間準備室20は、流れ制御構造体/機構24(例えば、弁)により、検出室30との直接的な流体連通から隔離され得る。流れ制御構造体/機構24が検出室30を中間準備室20から隔離するように設けられた場合には、中間準備室20は、検出室30に材料が放出される前に材料を貯蔵するように、潜在的により効果的に用いられ得る。流れ制御構造体/機構24がない場合には、例えば、材料の検出室30への送出が望まれるまで重力や求心力などが材料を中間準備室20内に保持するのに役立ち得る定位に、検出カートリッジ10を保持するなどの他の技術により、検出室30への材料の流れの制御がいくらか潜在的に得られる。
【0071】
図1に図示した他の任意の機構は、流体モニタ27を含む。流体モニタ27は、好ましくは、流体の存在、流体速度、流量などを積極的にリアルタイムで監視し得る。流体モニタ27は、例えば、モニタ電極上の流体の流れの特徴及び/又は流体の存在を判定するために、例えば、交流を用いて、例えば、流体に露出され監視される電極などの任意の適切な形態をとり得る。他の代替としては、監視される流体に必ずしも接触する必要のない静電容量による流体モニタを含み得る。
【0072】
なお、流体モニタは、検出室30を監視するように図示しているが、検出カートリッジ10の内部容積内の任意の適切な位置に配置されても良いと理解されるべきである。例えば、流体モニタは、中間準備室(staging chamber)20、廃棄室40などに配置されることができる。加えて、複数の流体モニタが検出カートリッジ10内の異なる位置に採用されても良い。
【0073】
流体モニタ27の潜在的な利点は、例えば、モジュール80などに関連するアクチュエータ90を動作させるためにフィードバックループに用いられた流体モニタ27により検知された状況に対応して、試料材料、試薬、洗浄緩衝液などの導入を自動的に活性化する能力などが挙げられる。あるいは、流体モニタ27により検知された状況は、評価及び/又は作業のために作業者に信号又はフィードバックを提供することができる。例えば、健康管理の診断用途などの幾つかの用途では、流体モニタ27を用いて、検出カートリッジが適切な動作を行うことを、すなわち、許容可能なパラメータ内の流体を受け取ることなどを確実なものとし得る。
【0074】
また、図1には、ポート22に加えて又はそれに代えて、検出カートリッジ10内に材料を導入又は送出するために好ましくは用いられる任意のモジュール80が示される。モジュール80は、幾つかの例では検出室30内に直接潜在的に材料を送出するものだが、材料を中間準備室20内に送出し得ることが好ましい。モジュール80は、幅広い材料を送出するのに用いられ得るが、これら送出された材料は、モジュール80からの材料を検出カートリッジ10内に移動するのを支援するような少なくとも1つの液体成分を含み得ることが好ましい。モジュール80を用いて導入されることが可能な材料の中には、例えば、試料材料、試薬、緩衝液、洗浄材などがある。モジュール80から検出カートリッジ10内への材料の導入は、数多くの方法で制御され得る。例えば、モジュール80は、当該モジュール80内の材料を検出カートリッジ10に進入させるように開放可能な封止材、弁などにより、検出カートリッジ10から隔離され得る。
【0075】
複数のモジュール80は、各モジュール80内に含まれた材料が選択された時間に選択された流量で選択された順番などで検出カートリッジに導入されることができるように、互いに独立し得ることが好ましい。幾つかの例では、アクチュエータ90が各モジュール80と関連して、モジュール80内の材料を検出カートリッジ10に移動させ得る。アクチュエータ90は、モジュール80の設計に基づいて選択され得る。このアクチュエータ90は、手動で動作されても、又は、例えば、油圧、空気力学、ソレノイド、ステップモータなどを用いて自動化されても良い。
【0076】
モジュール80を用いて試薬、緩衝液などの材料を送出する潜在的な利点は、幅広い多様な試料材料、試験などを用いて、検出カートリッジ10を調整する機会があり得ることである。
【0077】
上述した図1に概略を示した検出カートリッジ10の多様な態様として、図6には、中間準備室420、検出室430、及び廃棄室440を備える検出カートリッジ410の一例示的実施形態が示されている。検出カートリッジ410は、ハウジング412と、検出室430内に露出された検出面452を有するセンサ450とを備える。
【0078】
このセンサ450は、好ましくは、例えば、ラブ波せん断水平弾性表面波センサなどの音響−機械的センサとし得る。図示したように、センサ450は、好ましくは、その周辺を可能な限り除いて、センサ450の背面454(すなわち、検出室430から離れて対面する表面)が検出カートリッジ410内の任意の他の構造体に接触しないように、取り付けられても良い。本発明に関連付けて用いられ得るカートリッジ内に音響−機械的センサを取り付ける幾つかの潜在的に適切な方法の例が、例えば、出願日が2003年12月30日の米国特許出願第60/533,176号明細書、及び本件と同じ出願日の発明の名称が「弾性表面波センサ組立体(Surface Acoustic Wave Sensor Assemblies)」であるPCT特許出願明細書(代理人整理番号第58928WO003)に見出される。
【0079】
しかしながら、音響−機械的センサは、本発明に関連付けて用いられ得る1つの部類のセンサを表しているものと理解されるべきである。多くの他のセンサ技術は、本発明のカートリッジに関連付けられて用いられ得るものであり、例えば、表面プラスモン共鳴、電気化学検出、伝導度センサ、蛍光マイクロアレイ、化学発光法などが挙げられる。
【0080】
このようなセンサ450に用いられた特定の検出技術のいかんに関わらず、検出室430内に露出された検出面452の一部は、検出室430を通って流れる試料材料に接触して配置され得ることが好ましい。例えば、検出面452は、検出室430を通って流れる材料が少なくとも重力によって(他の力を介さなくても)検出面452の方向に促されるように、検出室430の底部(重力に対して)に位置し得ることが好ましい。
【0081】
また、検出室430は、好ましくは、検出面452から離間され対面する対向面460を備え得る。好ましくは、1つ以上の異なる流れ前方制御部が対向面460に設けられ、検出室430を通った流れ前方部の進行の制御を支援し得る。本明細書では、潜在的に適切な流れ前方制御部の多様な実施例について説明する。
【0082】
対向面460及び検出面452は、対向面460(及びそれに配置された任意の機構)が検出面452に接触しないように、互いに離間され得ることが好ましい。音響センサに関しては、近接しているだけでも、対向面460が検出面452による音響エネルギーの伝播を妨害するようであれば、センサ動作の特性に悪影響し得る。例えば、検出面452と検出面452の活性部分に対面する対向面460の最下部にある機構との間の隙間は、好ましくは、20マイクロメートル以上であり、あるいは、より好ましくは、50マイクロメートル以上であっても良い。流れ前方制御を効果的に行うには、対向面460の最下部機構と検出面452との間の距離は、好ましくは、10ミリメートルであり、あるいは、1ミリメートル以下、幾つかの例では、500マイクロメートル以下、及び他の例では、250マイクロメートル以下であっても良い。
【0083】
また、図6の検出カートリッジ410は、検出室430と流体連通し、検出室430を出た後の試料材料が流れ込む廃棄室440を備える。検出カートリッジ410は、好ましくは、検出室430と廃棄室440との間の流体経路に介入された体積流量制御機構を備え得る。この体積流量制御機構は、好ましくは、検出室430からの試料材料が廃棄室440に流入する量を制御するように機能し得る。
【0084】
体積流量制御機構は、多くの異なる形態をとり得るが、図6に図示された実施形態では、多孔質膜474の形態の毛細管構造体が位置する開口部472の形態で設けられる。この多孔質膜474に加えて、吸収材料物476が廃棄室440内に位置する。
【0085】
多孔質膜474は、好ましくは、検出室430に対面する側面から廃棄室440に対面する側面への流体圧力降下をもたらし得る。また、多孔質膜474は、好ましくは、検出室430から廃棄室440への流量の制御を支援する。圧力降下は、好ましくは、多孔質膜474内の通路の毛管作用によりもたらされ得る。多孔質膜を通った圧力降下は、通常、薄膜の孔径と厚さの関数である。多孔質膜は、好ましくは、例えば、0.2ミクロン〜50ミクロンの範囲の孔径を有し得る。多孔質膜として有効になり得る材料の幾つかの好適な例としては、例えば、アクリル共重合体、ニトロセルロース、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ナイロン、ポリカーボネート、ポリエステルなどが挙げられる。
【0086】
図6A及び図6Bを参照すると、廃棄室に流入する流体の流量を制御するために多孔質膜1474を用いた代替的構造が示される。開口部1472は、ハウジングの材料を通して形成された一連のオリフィス1471を備える。この開口部1472は、好ましくは、開口部1472を通って流入する流れを阻止し得る鋭い縁部を回避することにより(あるいは、アール形、円形又は円滑な縁部などが用いられても良い)、開口部1472に入って通る流体の流れを支援する面取り部1473を備え得る。
【0087】
多孔質膜1474は、より好ましい実施形態では、多孔質膜1474を間に位置させて、オリフィス1471に超音波溶接され得るカバー板1475により、定位置に保持される。カバー板1475は、好ましくは、流体が廃棄室内に通過し得るオリフィス1479を備え得る。カバー板1475の超音波溶接は、開口部1472の周りのエネルギー導出部1477の利用により支援され得るものであり、エネルギー導出部1477の高さは、多孔質膜1474の厚み分の幾らかの隙間を有するのに十分とし得る。このようなシステムでは、カバー板1475及びエネルギー導出部1477は、多孔質膜1474を破壊することなく、流体密封の取付部の形成を支援し得る。また、多孔質膜1474を開口部1472の上で保持するための他の技術としては、例えば、接着剤、熱溶接、溶剤溶接、機械的クランプなども用いられ得る。これらの技術は、カバー板1475の有無に関わらず、用いられ得るものであり、すなわち、多孔質膜1474自体が開口部1472周辺の構造体に直接取り付けられ得る。
【0088】
図6の実施形態を再び参照すると、多孔質膜474は、検出室430からの流体を吸引し得るものであるが、流体の表面張力により、流体が多孔質膜474から流出し廃棄室440内に流入するのが防がれる。その結果、例えば、廃棄室440内の流体の陰圧を用いて、多孔質膜474から廃棄室40内に流体を吸引し得ることが好ましい。廃棄室440内の流体の陰圧は、多様な技術を用いて提供され得る。廃棄室440内に流体の陰圧を提供する他の技術としては、例えば、図6に図示された廃棄室440内に位置する吸収材料476が挙げられる。廃棄室440内に流体の陰圧を提供する代替的技術としては、廃棄室440内の真空がある。また、他の代替的技術を用いても良い。
【0089】
廃棄室440内の流体の陰圧は、例えば、吸収材料の利用により、あるいは、エネルギーの入力を必要としない他の技術(例えば、廃棄室内の真空を維持する)により、受動的に提供され得ることが好ましい。廃棄室440内に提供され得る幾つかの潜在的に好適な吸収材料の例としては、これらに限らないが、発泡樹脂材(例えば、ポリウレタンなど)、粒子材料(例えば、アルミナ−シリケート、ポリアクリル酸など)、顆粒状物質(例えば、セルロース、木材パルプなど)が挙げられる。
【0090】
図6に示すように、廃棄室440が吸収材料476を内部に位置させて設けられる場合には、この吸収材料が廃棄室440の内部に対面する多孔質膜474の側面(又は、図6A及び図6Bに示すように、カバー板1475内の任意のオリフィス1479)と物理的接触をすることが好ましい。また、吸収材料476と多孔質膜474との間に隙間があることにより、例えば、多孔質膜474内に含まれる流体内の表面張力によって、流体が多孔質膜474を出て廃棄室440に進入するのを制限又は防ぎ得る。
【0091】
吸収材料476が廃棄室440内に設けられる場合には、廃棄室440に流入する体積流量を制御するために多様な複数層の吸収材料を設けると有益となり得る。例えば、吸収材料の第1の層は、多孔質膜474の近隣に設けられ、この第1の層の材料が特徴的な吸上速度及び所定の流体容積を有し得る。吸収材料の第1の層をその容量に装着させると、廃棄室440に入った流体は、異なる吸上速度で第2の層の吸収材料中に引き込まれ、潜在的に廃棄室440に異なる陰圧をかけ得る。
【0092】
例えば、吸収材料の異なる層を用いて廃棄室440内の陰圧を変化させることにより、例えば、試料材料が検出カートリッジ410を通って吸引される際の液頭圧力の変化などの検出カートリッジ410内での他の変化を補償し得る。また、例えば、廃棄室に保持された減圧レベルを変化させたり、カートリッジ内の1つ以上の開口部を開放することなどの他の技術を用いても、液頭圧力の変化を補償し得る。
【0093】
図6の実施形態は、廃棄室440の内部容積を周囲大気と流体連通されて配置し得る廃棄室440内の弁478を備える。この弁478の開閉を用いて、廃棄室440に流入し、これによりカートリッジ410を通る流体の流れを制御し得る。さらに、弁478を用いて、例えば、弁478を通して真空吸引などを行うことにより、廃棄室440内の圧力を低減し得る。
【0094】
図中では、弁が廃棄室440と直接流体連通されているように図示されているが、1つ以上の弁を設けて、これらを、例えば、中間準備室420、検出室430などの検出カートリッジ410の内部容積につながる任意の適切な位置に直接接続しても良い。弁478は、1つ以上の空隙、チューブ、取付具などの任意の適切な形態をとり得る。
【0095】
この弁478は、好ましくは、弁開口部を開閉するか、又は弁開口部の大きさを調整するために、封止材、ふた、弁、又は他の構造の形態の閉鎖要素479を備え得る。封止材として設けられる場合には、封止材は、弁478内に接着又はその他の方法で取り付けられるか、弁478内に配置され得る。幾つかの実施形態では、閉鎖要素479は、弁を開けるか又は閉じるかのいずれかに用いられ得る。他の実施形態では、閉鎖要素479は、弁開口部の大きさが検出カートリッジ410を通る流体流量を調整するため、完全閉鎖状態と完全開放状態との間の少なくとも1つの大きさに調整され得る。例えば、弁開口部の大きさを大きくすると、流体流量が増加し、一方、弁開口部の大きさを制限すると、例えば、中間準備室420、検出室430などを通って検出カートリッジ410の内部容積を通る流体流量を制御可能に低減させ得る。弁478が複数のオリフィスを含む場合には、1つ以上のオリフィスは、流体流れなどを制御するため、開放又は閉鎖されることができる。
【0096】
図7A及び図7Bは、検出室530及び廃棄室540の一部を含む代替的検出カートリッジ510の一部を示している。図示した実施形態では、廃棄室540及び検出室530は、好ましくは、毛管力により検出室530から流体を吸引し得る一組の毛管流路572を備える流れ通路570の形態で毛細管構造により分離される。毛管流路572の特定の形状は、図7Bの断面図で示したものと異なっても良い。また、流れ通路に設けられた毛管流路572の数は、1つの毛管流路の場合の数個から複数の毛管流路の任意の選択された数にいたるまで多岐にわたる。
【0097】
図7A及び図7Bの実施形態では、流れ通路570は、好ましくは、図6の実施形態と関連して用いられる多孔質膜と置き換えられる。好ましくは、1つ又は複数の毛管流路570が、検出室530から流体を吸引するために、所望のレベルの流体の陰圧を提供する。
【0098】
幾つかの例では、多孔質膜と1つ以上の毛管流路の両方は、本発明の検出カートリッジにおける検出室と排気室との間の毛細管構造を提供するために設けられることが好ましい。チューブなどの他の毛細管構造は、本明細書で記載した例示的実施形態の代用とすることができる。
【0099】
毛管流路572は、検出室530からの流体を吸引し得るものであるが、流体の表面張力により、流体が流れ通路570から流出し廃棄室540内に流入するのが防がれる。その結果、例えば、廃棄室540内の流体の陰圧を用いて、流れ通路570から廃棄室540内に流体を吸引し得ることが好ましい。廃棄室540内の流体の陰圧は、多様な技術を用いて提供され得る。廃棄室540内に流体の陰圧を提供する他の技術としては、例えば、図7Aに図示された廃棄室540内に位置する吸収材料576が挙げられる。廃棄室540内に流体の陰圧を提供する代替的技術としては、廃棄室540内の真空がある。また、他の代替的技術を用いても良い。
【0100】
廃棄室540内の流体の陰圧は、例えば、吸収材料の利用により、あるいは、エネルギーの入力を必要としない他の技術(例えば、廃棄室内の真空を維持すること)により、受動的に提供され得ることが好ましい。廃棄室内で吸収材料を用いることは、図6に示した実施形態に関連して上述している。
【0101】
吸収材料を廃棄室540内で用いる場合には、この吸収材料は、さもなければ流体が毛管流路から出ることを妨げるであろう若干の表面張力を克服するために、任意の毛管流路572の1つ又は複数の端部と接触し得ることが好ましい。
【0102】
図6に図示したカートリッジを再び参照すると、中間準備室420は、検出室430の上流側に設けられ得る。この中間準備室420は、多様な構成部材が検出室430に入る前に導入され得る容積を提供し得る。なお、図示していないが、中間準備室420は、例えば、その中に位置する1つ以上の試薬(例えば、適切な時期に選択的に解放されるために乾燥され又は収容された)、被膜(例えば、親水性、疎水性など)、構造/形状(例えば、気泡形成を低減/防止し、混合を向上/誘発し得る)などの多様な特徴を有し得ることを理解すべきである。
【0103】
また、中間準備室420と検出室430との間には、流体通路が、図6に示すように、開放され得る。あるいは、中間準備室420と検出室430との間の流体通路は、例えば、ろ過(例えば、多孔質膜、サイズ排除構造体、ビーズなどを用いて)、流れ制御(例えば、1つ以上の弁、多孔質膜、毛管又は毛管流路、流れ絞り器などを用いて)、被膜(例えば、親水性、疎水性など)、構造/形状(例えば、気泡の形成及び/又は移動を低減/防止し、混合を向上し得る)などの1つ以上の機能を行い得る多様な特徴を有し得る。
【0104】
図6に図示した他の任意の機構は、中間準備室420と検出室430との間の流路に流体モニタ427を備える。流体モニタ427は、好ましくは、流体の存在、流体速度、流量などを積極的にリアルタイムで監視し得る。流体モニタ427は、例えば、モニタ電極上の流体の流れの特性及び/又は流体の存在を判定するために、交流を用いて監視され流体に露出された電極などの任意の適切な形態をとり得る。他の代替としては、監視される流体に必ずしも接触する必要のない静電容量による流体モニタを備えても良い。
【0105】
流体モニタ427の潜在的な利点は、例えば、流体モニタ427により検知された状況に対応して、試料材料、試薬、洗浄緩衝液などの導入を自動的に活性化する能力などが挙げられる。あるいは、流体モニタ427により検知された状況は、評価及び/又は作業のために作業者に信号又はフィードバックを提供することができる。例えば、健康管理の診断用途などの幾つかの用途では、流体モニタ427は、検出カートリッジが適切な動作を行うことを、すなわち、許容可能なパラメータ内の流体を受け取ることなどを確実なものとするために用いられ得る。
【0106】
図6に示された例示的検出カートリッジ410は、検出カートリッジ410の中間準備室420内に材料を送出するように配置された2つのモジュール480を備える(なお、中間準備室420に対するモジュール480の配向又は方向は、図示したものと異なっても良いことは理解されるべきである)。モジュール480は、中間準備室420内に開口するモジュール口428を通して、材料を中間準備室420に送出する。モジュール480は、好ましくは、接着剤424、又はモジュール480とモジュール口428との間に適切な流体密封の封止材を設けることが可能な他の材料により、モジュール口428に取り付けられ得る。モジュール480をモジュール口428に取り付けるための任意の適切な技術が接着剤424の代わりとなり得る。幾つかの例では、モジュール480は、モジュール口428を覆って溶接(化学的、熱的、超音波的など)、又はさもなければ取り付けられ得る。他の例では、モジュール480は、ねじ式取付具、ルアーロック取付具などの補完的な構造体を用いて、モジュール口に接続され得る。
【0107】
モジュールの他の例示的実施形態は、材料を検出カートリッジ410内に導入するのに用い得るものであり、他のところで記載するが、図6に示した各モジュール480は、中間準備室420につながるモジュール口428上を位置合わせされる開口部482を介して封止材489を備える。また、各モジュール480は、封止材489とプランジャ481との間に位置する室486を画定するプランジャ481をも備える。中間準備室420内に送出される1つ又は複数の材料は、通常、プランジャ481がモジュール480の中身を中間準備室420内に送出するのに用いられる前に室486内に位置する。
【0108】
図示された実施形態では、プランジャ481は、好ましくは、封止材489に穴をあけたり、封止材489を破いたり、又はさもなければ開放し、モジュール480内の材料を中間準備室420に進入させるように設計され得る。図示されたプランジャ481は、そのような目的のために鋭い先端部を有する。なお、モジュール480は、弁や、室間の材料の移動を制御するのに用いられる他の任意の適切な流体構造体により、中間準備室420から分離されることができるものと理解すべきである。
【0109】
図6に示した1つの変形例としては、上方モジュール480がモジュール480の室486内に開口する入口490を備える。この入口490は、モジュール480を用いて中間準備室に連続的に送出するために、材料を室486内に送出するのに用いられ得る。例えば、入口490は、収集した標本などをモジュール480に導入するのに用いられ得るものであり、そこでは、標本が選ばれた時及び/又は量で中間準備室420内に導入されることができる。加えて、試料材料を受け取るモジュール480の室486は、モジュール480に導入される際に試料材料に接触し得る1つ以上の試薬、又は他の材料を含み得る。図示されていないが、入口490は、好ましくは、試料材料が弁又は他の構造体/材料を用いてモジュール480内に導入される前及び/又は後に封止され得る。入口490は、試料材料がモジュール480内に挿入される前及び/又は後に、例えば、隔壁、弁、高周波抵抗溶接、キャップ、及び/又は他の構造体により封止され得る。
【0110】
試薬及び/又は他の材料を送出するのに用いられ得る本発明に係るモジュール680の一例示的実施形態は、図8A及び図8Bの断面図に示される。図示した例示的モジュール680は、複数の室を備え、各々が同じ又は異なる材料を含み得るものであり、好ましくは、互いに密閉して封止され得る。また、モジュール680は、異なる室内の材料が導入される際に互いに混合し合うように設計され得ることが好ましい。
【0111】
また、好ましくは、分離された室内に異なる材料を貯蔵することにより、必要となるまで混合されない複数の材料をモジュール680内に提供し得るようにすることができる。例えば、幾つかの物質は、品質保持期限、有効寿命などを延長するために、好ましくは、乾燥状態で貯蔵されても良いが、同じ物質でも、有効な製造品を提供するために、水などを含み得る液体中に混合される必要があるものがある。本発明のモジュールは、要望に応じて、これらの物質を混合及び/又は分配する能力を設けることにより、多くの異なる物質用の便利な貯蔵及び導入装置を提供することができる。
【0112】
図示されたモジュール680は、ハウジング695内に3つの室684、686、及び688を備える。これらの室は、好ましくは、封止材685(室684と686との間に位置する)及び封止材687(室686と688との間に位置する)により分離され得る。また、図示されたモジュール680は、図示された実施形態において、プランジャ681が図8Aに示した充填位置(loaded position。つまり、モジュール680の左端)から放出位置(unloaded position。つまり、図8Aの矢印により示された出口682に向かう)まで動く際に、封止材685及び687を突き刺すように設計された先端部683を有するプランジャ681を備える。このプランジャ681は、好ましくは、室内の材料が反対方向に、すなわち開口部682から離れる方向に、プランジャ681を超えて移動するのを防ぐような、Oリング(図示された)又は他の封止材構造を備え得る。
【0113】
図8Bは、プランジャ681が図8Aの充填位置から放出位置まで移行する計量分配動作を示している。図8Bでは、先端部683は、室684及び686内の材料が互いに接触して混合することができるように、せん孔封止材685を備える。室684は、例えば、水、塩類液などの液体690を含み、且つ、室686は、乾燥後の試薬692(例えば、溶剤、フィブリノーゲンなど)を含み得るものとし、液体690により試薬692が液体690とともに溶液、懸濁液、混合液などに入り込むようにさせ得ることが好ましい。この試薬692は、室686内で乾燥されるものとして図示されるが、例えば、粉、ゲル、溶液、懸濁液、又は他の任意の形態で位置しても良い。室684及び686内の材料の形態のいかんを問わず、封止材685の突き破り又は開口により、2つの材料は、互いに接触し、好ましくは、少なくとも一部がモジュール680から送出可能となるように、モジュール680内を動かされる。
【0114】
プランジャ681が出口682の方に進むと、先端部683はまた、好ましくは、室688内の材料694が室684及び686からの材料690及び692と接触可能となるように、封止材687を突き破る。
【0115】
先端部683は、出口682に完全に進出した際には、好ましくは、出口682に設けられた出口封止材689を突き刺し、これにより、流体モジュール680から、例えば、中間準備室又は他の空間に材料690、692、及び694を解放する。プランジャ681及び先端部683の形状は、プランジャ681が流体モジュール680(すなわち、図8A及び図8Bの右側の経路全て)を完全に通って進む際に、多様な室内の材料のほぼ全てが流体モジュール680から出るように、最終室688及び出口682の形状と噛み合わされ得ることが好ましい。
【0116】
図8Cは、モジュールの開口部1682における一例示的代替先端部1683の拡大図である。この先端部1683は、好ましくは、プランジャ1681から延びる。本明細書で記載したように、先端部1683及びプランジャ1681の形状は、好ましくは、モジュールハウジング1695における開口部1682の形状と噛み合い得る。例えば、図示された先端部1683の一部は、開口部1682の円錐台形に一致する円錐形状を有する。加えて、プランジャ1681及びプランジャ1681に対面するモジュールの内面1696は、互いに一致し得ることが好ましい。モジュールの噛み合う機構を備えるプランジャ1681と先端部1683との一致により、モジュールから本発明のカートリッジへの材料の完全な送出を増進し得る。
【0117】
さらに、先端部1683は、材料が当該先端部1683により突き破かれた封止材を超えて容易に移動させる形状、又は機構を有する状態で設けられ得ることが好ましい。この機構は、図8C及び図8Dに示すように、他の円錐状の先端部1683で形成された流路1697と同様な簡単なものとし得る。あるいは、先端部1683自体は、先端部が突き刺す封止材で流体流れに対するバリアを形成する可能性を低減するような多くの他の形状をとり得る。また、このような代替例は、例えば、星型の鋭い先端部、ネジ山などを含み得る。
【0118】
モジュール680内のプランジャ681は、任意の適切なアクチュエータ又は技術により移動され得る。例えば、プランジャ681は、駆動装置用開口部698を通してモジュール680内に挿入される機械的装置(例えば、ピストン)により駆動され得るか、あるいは、流体圧力は、駆動装置用開口部698を通してモジュール680内に導入され所望の方向にプランジャ681を移動させ得る。好ましくは、例えば、ステップモータや他の制御機械構造を用いて、プランジャ681を駆動し、プランジャ681(及び、例えば、先端部683などの任意の関連構造)の動作制御を高めるようにし得る。プランジャ681を移動する他の手段として、例えば、ソレノイド組立体、油圧組立体、空気圧式組立体などが、当業者に知られている。
【0119】
モジュール680、プランジャ681及び先端部683は、所望の性質又は機械的特性を提供し、流体モジュールに貯蔵される材料と両立する、例えば、ポリマー、金属、ガラス、シリコン、セラミックなどの任意の適切な1つ又は複数の材料から構成され得る。同様に、封止材685、687、及び689は、例えば、ポリマー、金属、ガラスなどの任意の適切な1つ又は複数の材料から製造され得る。例えば、封止材は、所望のバリア性能を提供し、及びモジュール680に貯蔵される多様な材料と両立するために、好ましくは、ポリマーフィルム/金属箔複合材から製造され得る。
【0120】
封止材及びモジュールハウジングの両方に用いられる材料は、好ましくは、異なる室間の漏れを防ぐように、封止材を取り付けるのに用いられる1つ又は複数の取付技術と両立され得る。モジュール680と関連して用いられ得る幾つかの取付技術の例としては、例えば、ヒートシール、接着剤、化学的溶接、熱溶接、超音波溶接、及びこれらの組み合わせなどが挙げられる。なお、モジュールは、封止材が摩擦、圧縮などにより保持されるように構築され得るものと理解されるべきである。さらに、実施形態によっては、封止材を突き破る先端又は他の構造体を用いずに、流体モジュール内で封止材を開放させ得ることが可能であることも理解されるべきである。例えば、封止材は、流体圧力だけを介して開放され得る(すなわち、例えば、プランジャが、封止材などに形成された弱い線を用いて、充填位置から出口に向かって移動する際に、封止材がある圧力を受けて破裂するように設計され得る)。
【0121】
センサに関する検討
本発明のシステム及び方法は、好ましくは、波動減衰、相変化、周波数変動、及び/又は共振周波数変動を決定するように、測定、又はさもなければ検知される音響−機械エネルギーを用いて、試験試料中の標的の生物学的検体の存在を検出し得る。
【0122】
音響−機械エネルギーは、例えば、圧電系弾性表面波(SAW)装置を用いて発生され得る。例えば、米国特許第5,814,525号明細書(レンシュラー(Renschler)ら)に記載されているように、圧電系音響−機械的装置の部類は、検出モードに応じて、弾性表面波(SAW)、音響平面モード(APM)、又は水晶振動子(QCM)装置に、さらに分割することができる。
【0123】
幾つかの実施形態では、本発明のシステム及び方法は、検出面に取り付けられた標的の生物学的検体を検出するのに用いられ得る。他の実施形態では、装置は、例えば、標的の生物学的検体の存在を示す粘度変化などの液体(例えば、水溶液)中の物理的変化を検出するように用いられ得る。表面波の伝播速度は、音響−機械的センサの検出面と接触する媒体について、質量、弾力性、粘弾性、伝導率、及び誘電定数などの変化を検出可能とし得る高感度プローブに関わる。よって、このような(又は潜在的に他の)物理的特性の1つ以上の変化が、結果的に弾性表面波の減衰変化となり得る。
【0124】
APM装置は、用いた音響波が液体と接触する装置とともに動作可能であるという点を除いて、SAW装置と類似の原理に沿って動作する。同様に、QCM(通常、AT−カット水晶)上の2つの対向電極に印加された交流は、共振周波数が塗膜材の質量変化と比例して変化する厚み滑り波モードを誘発する。
【0125】
音響波伝播方向(例えば、導波管と平行な平面に、又は導波管の平面と垂直な平面において)は、バイオセンサが構築される圧電材料のクリスタルカットにより決定され得る。平面の内及び外で音響波の大部分(例えば、レイリー波、大部分のラム波)が伝播するSAWバイオセンサは、通常、表面と接触する液体からの音響減衰のため、液体検知用途には用いられない。
【0126】
液体試料媒体の場合には、せん断水平弾性表面波バイオセンサ(SH−SAW)が、好ましくは、用いられ得る。SH−SAWセンサは、通常、クリスタルカット箇所を有し、波の伝播がせん断水平モード、すなわち、導波管により画定された平面と平行に回転するようにさせる配向を有する圧電材料から構築され、その結果、検出面と接触する液体に対する音響減衰の損失を低減する。せん断水平音響波は、例えば、厚み滑りモード(TSM)、音響板モード(APM)、表面スキミングバルク波(SSBW)、ラブ波、漏洩弾性表面波(LSAW)、及びBG波(Bleustein−Gulyaev)などが挙げられる。
【0127】
特に、ラブ波センサは、ST水晶のSSBWや36°YXLiTaO3の漏洩波などのSH波モードを支持する基板を備え得る。これらのモードは、好ましくは、音響ガイド薄層又は導波管の応用により、ラブ波モードに変換され得る。これらの波は、周波数に依存しており、導波管層のせん断波速が圧電基板のよりも低い場合には、発生し得る。
【0128】
導波管材料は、好ましくは、次の特徴のうちの1つ以上を示す材料とし得る。すなわち、低い音響損失、低い電気伝導率、水中及び水溶液中での堅牢性及び安定性、比較的低い音響速度、疎水性、より高い分子量、高度な交差結合などがある。一例では、SiO2は、水晶基板上の音響導波管層として用いられている。他の熱可塑性及び架橋ポリマーの導波管材料の例としては、例えば、エポキシ化合物、ポリメタクリル酸メチル、フェノール樹脂(例えば、NOVALAC)、ポリイミド、ポリスチレンなどが挙げられる。
【0129】
本発明の検出カートリッジに用いられる音響−機械的センサで用いるための他の潜在的に適切な材料及び構成が、例えば、発明の名称が「音響センサ及び方法(Acoustic Sensors and Methods)」で本件と同じ出願日のPCT出願明細書(代理人整理番号No.60209WO003)に記載され得る。
【0130】
その代わり、QCM装置はまた、液体試料媒体で用いることができ、音響−機械的装置及び構成部材を用いたバイオセンサは、例えば、米国特許第5,076,094号明細書(フライ(Frye)ら)、米国特許第5,117,146号明細書(マーティン(Martin)ら)、米国特許第5,235,235号明細書(マーティン(Martin)ら)、米国特許第5,151,110号明細書(ベイン(Bein)ら)、米国特許第5,763,283号明細書(サーノセク(Cernosek)ら)、米国特許第5,814,525号明細書(レンシュラー(Renschler)ら)、米国特許第5,836,203号明細書(マーティン(Martin)ら)、及び米国特許第6,232,139号明細書(カサルヌオーヴォ(Casalnuovo)ら)に記載され得る。せん断水平SAW装置は、アメリカ合衆国、ニューメキシコ州、アルバカーキー(Albuquerque)のサンディア・コーポレーション(Sandia Corporation)などの様々な製造者から得ることができる。また、本発明に関連して用いられ得る幾つかのSH−SAWバイオセンサは、ブランチ(Branch)らの「36°YX LiTaO3におけるラブ波バイオセンサを用いた炭疽菌類似物の低レベル検出」バイオセンサとバイオエレクトロニクス(2003年8月22日付け受理)にも記載されている。
【0131】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で用いた単数形(「a」、「and」及び「the」)は、文脈で明確に別の指示がなければ、複数の指示対象を包含するものとする。このため、例えば、単数形(「a」、又は「the」)の成分に言及することは、当業者に知られた1つ以上の構成部材及びそれと等価なものを包含し得る。
【0132】
本明細書で引用した参考資料及び出版物の全ては、本開示内容の全体に明確に援用されている。以上、本発明の例示的実施形態について説明し、本発明の範囲内における可能な幾つかの変形例について言及してきた。本発明において、これらの及び他の変形及び変更は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者にとって自明であり、本発明は、本明細書で示した例示的実施形態に限られないことを理解されるべきである。したがって、本発明は、冒頭に添付した特許請求の範囲及びその等価物のみにより限定されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1】本発明に係る一例示的検出カートリッジを示す概略図である。
【図2】本発明に係る流れ前方制御部を備える一例示的対向面を示す平面図である。
【図2B】本発明に係る流れ前方制御部を備える他の例示的対向面を示す斜視図である。
【図2C】本発明に係る流れ前方制御部を備える他の例示的対向面を示す断面図である。
【図2D】本発明に係る流れ前方制御部を備える他の例示的対向面を示す断面図である。
【図2E】本発明に係る流れ前方制御部を備える他の例示的対向面を示す断面図である。
【図2F】本発明に係る流れ前方制御部を備える他の例示的対向面を示す平面図である。
【図3】疎水性及び親水性領域の形態をとる流れ制御機構を備える対向面を示す平面図である。
【図4】本発明に係る流れ制御機構を備える他の例示的対向面を示す平面図である。
【図5】本発明に係る流れ制御機構を備える他の例示的対向面を示す平面図である。
【図6】本発明に係る一例示的検出カートリッジを示す概略図である。
【図6A】本発明に係る検出カートリッジにおける廃棄室への代替的な例示的開口部を示す拡大断面図である。
【図6B】図6Aに示された構成部材を示す分解図である。
【図7A】本発明に係る検出カートリッジにおける検出室と廃棄室との間の一代替的接続を示す図である。
【図7B】図7A中の線7B−7Bに沿った流れ通路の断面図である。
【図8A】本発明に関連して用いられ得る一例示的モジュールを示す断面図である。
【図8B】使用中の図8Aのモジュールを示す断面図である。
【図8C】本発明のモジュール内において放出位置に設置された代替的プランジャ及び先端部を示す部分拡大断面図である。
【図8D】図8C中の線8D−8Dに沿った断面図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体試料材料中の1つ以上の標的検体を検出する検出カートリッジ及び検出方法に関する。
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、2003年12月30日に出願された、仮出願番号60/533,169号の米国仮特許出願に基づく国内優先権を主張するものである。なお、この仮特許出願の全体を本明細書に援用する。
【0003】
政府の権利
米国政府は、国防総省により認められたDAAD 13−03−C−0047の条項に従って、本発明に対して特定の権利を有し得る。
【背景技術】
【0004】
試験管法及びスライド法のコアグラーゼ試験のような古典的な臨床分析とは異なり、本発明の検出カートリッジは、集積センサを用いる。本明細書で引用した“センサ”の用語は、少なくとも1つの物理的性質の変化を検出し、検出可能な変化に応じた信号を生成する装置を示している。センサがある変化を検出する方式としては、例えば、電気化学変化、光学変化、電気光学変化、音響−機械的変化などがあり得る。例えば、電気化学センサは、電位差及び電流測定を用いているが、一方、光学センサは、吸光波、蛍光波、発光波、及びエバネセント波を用い得る。
【0005】
多くのセンサに関連し得る技術的な問題点は、センサの検出面を通る流量及び/又は流れの前方の進行が標的検体の正確な検出に影響を与え得るということである。しかしながら、体積流量と流体の流れ前方の進行とを両方制御することは、センサの検出面が平坦な場合には、困難となり得る。なぜならば、このような面には、かかる面を移動する流体の表面張力によって、空隙、気泡などの形成が生じ得るためである。センサの中には、平坦でない、及び/又は特徴のない検出面を備えることにより、これらの問題点に対処しようとなされたものもあるが、例えば、音響−機械的センサなどの他のセンサでは、好ましくは、良好に機能する比較的平坦で特徴のない検出面を備え得る。
【0006】
多くの生物学的検体は、液体担体と組み合わされてセンサに導入される。液体担体は、望ましくないことだが、音響−機械的検出システムの感度を低下し得る。さらに、かかるセンサの感度は、迅速に検出することができない特性に依存し得るものであり、例えば、試験試料を、時間をかけて培養するか、又はさもなければ展開させる必要があり得る。しかし、選択性は、標的の生物学的検体を、例えば、検出面に結合させることにより得ることができる。
【0007】
しかしながら、用いたセンサが標的生物学的検体を検出するために音響−機械的なエネルギーに依存する場合には、既存の標的生物学的検体を検出面へ選択的に結合させることは、多くの又は大部分の生物学的検体において検体の大きさ及び比較的低い機械的剛性に起因する問題を生じる可能性がある。特に、この問題は、せん断水平弾性表面波検出システムに関して問題となり得る。
【0008】
せん断水平弾性表面波センサは、センサの検出面に沿って音響−機械的エネルギー波を伝播させるように設計されている。幾つかのシステムでは、検出面で音響−機械波を局所化し、(非導波センサと比べて)センサの感度を高めるために、導波管が検出面に設けられ得る。この変形されたせん断水平弾性表面波は、しばしば、ラブ波せん断水平弾性表面波バイオセンサ(“LSH−SAW”)と称される。
【0009】
このようなセンサは、標的検体の大きさが比較的小さい化学物質又は他の物質の検出に関して用いられてきた。その結果、標的検体物は、センサの有効波動場内に(例えば、水中で103メガヘルツ(MHz)の周波数で動作するセンサの場合には、約60ナノメートル(nm))大方位置付けられる。
【0010】
このように、センサの有効波動場が、検出される生物学的検体の大きさに関連して著しく限定されるということは、今まで認められてこなかったことである。例えば、単細胞微生物の形態で見つけられる生物学的検体では、例えば、約1マイクロメートル(1000nm)の典型的な直径を有し得る。しかしながら、上述したように、センサの有効波動場は、たったの約60nmである。結果的に、標的検体物の大部分がセンサの有効波動場の外に位置することになってしまう。
【0011】
大きさの差異に加えて、標的生物学的検体は、しばしば水分を含む多様な成分で満たされた薄膜状である。その結果、センサ上を有効波動場内で流れる音響−機械的エネルギーによる生物学的検体全質量への効果は、著しく限定される可能性がある。多くの場合には、このようなセンサの表面に付着した標的生物学的検体は、検出器に試薬を加えるために用いた液体媒体と正確に区別することができない。
【0012】
また、理論に拘束されることを意図しないが、検出面に付着する生物学的検体の機械的な剛性が比較的足りないことにより、すなわち、生物学的検体の流体特性により、検出面に効果的に結合される生物学的検体物の量が著しく限定され得るものと理論付けられる。言い換えれば、生物学的検体は検出面に付着され得るものではあるが、生物学的検体物の大部分は、センサにより生じた音響−機械波に音響的に又は機械的に結合されない。その結果、音響−機械的バイオセンサ(例えば、LSH−SAWバイオセンサ)が標的の生物学的検体の有無を効果的に検出する能力が著しく限定される可能性がある。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、検出カートリッジ及びそれに関連する構成部材と同様に、当該検出カートリッジを用いて検出用センサに試料材料を提供する方法を提供する。本発明の検出カートリッジに関連して用いられ得る構成部材の中には、例えば、入力(又は流体)モジュール、流体流れ前方制御部、体積流量制御機構などがある。
【0014】
本発明の装置及び方法の潜在的利点は、検出及び/又は再現性を高め得る制御方法で試料材料(例えば、試験体、試薬、担体流体、緩衝液などを含み得る)をセンサの検出面に提示することである。
【0015】
この制御された提示は、試料材料の検出面への送出の制御を含み得る。好ましくは、モジュール系入力システムを用いて、例えば、試験体、試薬、緩衝液、洗浄剤などの試料材料が選ばれた時に選ばれた流量で選ばれた順番などで検出カートリッジに導入されることが可能である制御が行われ得る。
【0016】
また、制御された提示は、検出面を通る流体流れ前方進行の制御も含み得る。本明細書で用いた用語“流れ前方”とは、検出室内で検出面を通って移動する流体の塊の最先端部を示している。このような流れ前方進行の制御における潜在的な利点は、好ましくは、検出面の全てが試料材料により濡らされ得るということであり、すなわち、検出面の一部を占めかねない流体中の気泡や空隙が、好ましくは、低減されるか無くなり得ることである。
【0017】
また、この制御された提示は、検出室を通る体積流量の制御をも包含し得るものであり、これは、本発明の幾つかの実施形態において、例えば、毛管力、多孔質膜、吸収性媒体などを用いて検出室を通して流体を引っ張ることにより実現され得る。試料材料の検出面にわたる流量の制御は、利点を有し得る。例えば、流量が早すぎると、試料材料の標的検体は、選択的な付着が低減するか妨げられるために正確に検出され得ない。逆に、流量が遅すぎると、検出面への非標的検体又は他の材料の特定されていない連結が過剰に生じ、誤った正信号を潜在的に提供し得る。本発明はまた、検出カートリッジ内で異なる標的検体の検出を容易とするように、例えば、検出カートリッジに選択的に組み込まれ得る封止モジュールをも提供する。このモジュールは、好ましくは、使用前に、内部に位置する材料がモジュールの内部容積から逃げるのを防いだり、及び/又はモジュールの内部容積の汚染を防ぐように封止されても良い。このモジュールは、好ましくは、異なる構成成分が、互いに及び検出カートリッジに導入される前に貯蔵され得る2つ以上の隔離された室を備え得る。検出カートリッジ(及び、最終的には、センサ)への導入に伴う異なる構成成分の導入及び混合は、モジュール及びアクチュエータを用いて制御され得る。多くの異なる試薬の分離貯蔵は、標的検体の検出を補助するのに用いられ得る材料の品質保持期限を著しく高め得る。分離された乾燥貯蔵状態から得られる試薬としては、例えば、溶剤、フィブリノーゲン、アッセイ標識磁粒などが挙げられる。
【0018】
モジュールは、製造者により、場合によっては、エンドユーザにより、選択され、検出カートリッジに取り付けられ得る。エンドユーザに委ねられるこの自由度は、実質的に、使用時の検出カートリッジをカスタマイズすることになり、経済性及び効率の点において、追加的な利点をもたらし得る。例えば、異なる試薬、緩衝液などを含む異なる複数のモジュールは、特定の標的検体のための特定のアッセイを実行するために、エンドユーザが選択した検出カートリッジのモジュールの組み合わせとして、エンドユーザに提供され得る。
【0019】
本発明の検出カートリッジは、1つ以上の標的検体を検出するために、幅広い多様なセンサを組み込み得る。これらセンサは、好ましくは、バイオセンサの形態であっても良い。ここで、“バイオセンサ”とは、試料材料中の1つ以上の標的生物学的検体を検出するようにされたセンサである。
【0020】
本明細書で記載した例示的実施形態は、単一のセンサを備え得るものであるが、本発明の検出カートリッジは、実質的に互いに類似するか、又は異なるようになされた2つ以上のセンサを備え得る。さらに、本発明による検出カートリッジの各センサは、2つ以上の流路(例えば、検出流路、及び参照流路)を含み得る。あるいは、異なるセンサを用いて、検出カートリッジ内の検出流路及び参照流路を提供するようにしても良い。複数センサが設けられる場合には、これらは、検出カートリッジ内で同一の検出室、又は異なる検出室内に位置付けられ得る。
【0021】
本発明の検出カートリッジに関連して用いられるセンサは、幅広い多様な異なるセンサ技術に依存し得る。幾つかの潜在的に有効なセンサ技術の例としては、これらに限られないが、電気化学的変化、光学変化、電気光学的変化、音響−機械的変化などを検出することが含まれ得る。
【0022】
なお、検出カートリッジは、カートリッジ内に位置するセンサにより生じた音響−機械的エネルギーを用いて、試料材料中の標的検体の存在を検出することが好ましい。音響−機械的エネルギーは、好ましくは、音響−機械的センサ、例えば、せん断水平弾性表面波センサ(例えば、LSH−SAWバイオセンサ)などの弾性表面波センサを用いて提供され得るが、場合によっては、本発明のシステム及び方法と関連する他の音響−機械的センサ技術が用いられても良い。
【0023】
また、本発明の検出カートリッジ及びモジュールは、例えば、標的生物学的検体などの自然において生物学的な標的検体を検出するように設計されることが好ましい。ここで用いられているように、“標的生物学的検体”は、例えば、微生物(例えば、バクテリア、ウィルス、内生胞子、菌類、原虫など)、たんぱく質、ペプチド、アミノ酸、脂肪酸、核酸、炭水化物、ホルモン、ステロイド、脂質、ビタミンなどである。
【0024】
標的生物学的検体は、任意の適切な方法により得られた試験体から得られ得るものであり、検出される標的生物学的試剤の種類に負うところが多い。例えば、試験体は、生物学的組織及び/又は流体試料(例えば、血液、尿、糞、唾液、精液、胆汁、接眼レンズ液、関節液、脳脊髄液、膿、汗、浸出液、粘液、乳汁、皮膚、髪、爪など)を収集することなどにより、対象(人体、動物など)又は他の源から得られ得る。他の場合には、試験体は、環境試料、製造サンプル、フード試料などとして得られ得る。これらの得られた試験体は、液体、気体、固体又はそれらの混合物とし得る。
【0025】
試験体には、本発明の検出カートリッジ及び/又はモジュールに送出される前に、例えば、粘性流体の希釈、濃縮、ろ過、蒸留、透析、試薬の追加、化学処理などの従来の処理が施され得る。
【0026】
本発明は、下記に特定した多様な米国特許出願及びPCT特許出願に記載された様々な材料、方法、システム、装置などと組み合わせて用いられ得る。これら全ての特許出願は、それぞれ全てを本明細書に援用する。これら特許出願は、次のものを含む。すなわち、出願日が2003年12月30日の米国特許出願第60/533,162号明細書、出願日が2003年12月30日の米国特許出願第60/533,178号明細書、出願日が2004年7月22日の米国特許出願第10/896,392号明細書、出願日が2003年11月14日の米国特許出願第10/713,174号明細書、出願日が2004年11月12日の米国特許出願第10/987,522号明細書、出願日が2003年11月14日の米国特許出願第10/714,053号明細書、出願日が2004年11月12日の米国特許出願第10/987,075号明細書、出願日が2003年12月30日の米国特許出願第60/533,171号明細書、出願日が2004年10月7日の米国特許出願第10/960,491号明細書、出願日が2003年12月30日の米国特許出願第60/533,177号明細書、出願日が2003年12月30日の米国特許出願第60/533,176号明細書、出願日が2003年12月30日の米国特許出願第60/533,169号明細書、発明の名称が「細胞の細胞壁成分の信号検出を高める方法(Method of Enhancing Signal Detection of Cell−Wall Components of Cells)」で本件と同じ出願日の出願明細書(代理人整理番号No.59467US002)、発明の名称が「アミン捕捉剤としての可溶性重合体、及びその方法(Soluble Polymers as Amine Capture Agents and Methods)」で本件と同じ出願日の出願明細書(代理人整理番号No.59995US002)、発明の名称が「多機能アミン捕捉剤(Multifunctional Amine Capture Agents)」で本件と同じ出願日の出願明細書(代理人整理番号No.59996US002)、発明の名称が「弾性表面波センサを通る推定伝播速度(Estimating Propagation Velocity Through A Surface Acoustic Wave Sensor)」で本件と同じ出願日のPCT特許出願明細書(代理人整理番号No.58927WO003)、発明の名称が「弾性表面波センサ組立体(Surface Acoustic Wave Sensor Assemblies)」で本件と同じ出願日のPCT特許出願明細書(代理人整理番号No.58928WO003)、発明の名称が「音響−機械的検出システム及びその使用方法(Acousto−Mechanical Detection Systems and Methods of Use)」で本件と同じ出願日のPCT特許出願明細書(代理人整理番号No.59468WO003)、及び、発明の名称が「音響センサ及び方法(Acoustic Sensors and Methods)」で本件と同じ出願日のPCT特許出願明細書(代理人整理番号No.60209WO003)である。
【0027】
本発明の一態様において、検出カートリッジは、内部容積を有するハウジングと、ハウジングに動作可能に取り付けられ検出面を有するセンサと、ハウジングの内部容積内に位置し、検出面により画定される容積と検出面から離間されて当該検出面に対面し流れ前方制御部を備える対向面とを有する検出室と、ハウジングの内部容積内に位置し検出室と流体連通する廃棄室とを備える。
【0028】
本発明の他の態様においては、検出カートリッジは、内部容積を有するハウジングと、ハウジングに動作可能に取り付けられ弾性表面波音響−機械的センサを備えるセンサと、ハウジング内部容積内に位置し、検出面により画定される容積と検出面から離間されて当該検出面に対面し1つ以上の流路が形成されてなる対向面とを有する検出室と、ハウジングの内部容積内に位置し検出室と流体連通する廃棄室と、廃棄室内に位置する吸収材料と、検出室と廃棄室との間に位置する毛細管構造とを備える。
【0029】
本発明の他の態様においては、検出カートリッジは、内部容積を有するカートリッジハウジングと、カートリッジハウジングに動作可能に取り付けられ検出面を有するセンサと、カートリッジハウジングの内部容積内に位置し、検出面により画定される容積と検出面から離間されて当該検出面に対面し流れ前方制御部を備える対向面とを有する検出室と、カートリッジハウジングの内部容積内に位置し検出室と流体連通する廃棄室と、各々がカートリッジハウジングの内部容積に開放する1つ以上のモジュール口を通してカートリッジハウジングに取り付けられた出口を備える1つ以上の封止モジュールとを備える。各モジュールは、出口と封止された内部容積とを有するモジュールハウジングと、モジュールの出口上に位置する出口封止材と、モジュールハウジングの内部容積内に位置するプランジャとを備える。プランジャは、当該プランジャが出口から離れている充填位置から、当該プランジャが出口に近接している放出位置まで移動可能であり、プランジャが出口に向かって移動すると、モジュールハウジングの内部容積からの材料がカートリッジハウジングの内部容積内に出口を通って出ていくように、出口封止材が開放される。
【0030】
本発明の他の態様において、検出カートリッジを通して試料材料を移動する方法は、検出カートリッジのハウジングの内部容積内に試料材料を送出する工程を含み、試料材料が検出室に流入し、検出室を通して廃棄室に向かう試料材料の流れ前方進行が、検出室内の対向面上の流れ前方制御部により少なくとも部分的に制御される。
【0031】
本発明の他の態様においては、封止モジュールは、出口と封止された内部容積とを有するハウジングと、出口上に位置する出口封止材と、ハウジングの内部容積内に位置し内部に液体を含む第1の室と、ハウジングの内部容積内に位置し内部に試薬を含む第2の室と、ハウジング内で第1の室から第2の室を隔離する室間封止材と、プランジャとを備えており、第1の室、室間封止材、第2の室、及び出口封止材は、プランジャと出口との間に位置し、プランジャは、当該プランジャが出口から離れている充填位置から、当該プランジャが出口に近接している放出位置まで移動可能である。プランジャが出口に向かって移動すると、第1の室内の液体が第2の室内の試薬と接触するように、室間封止材が開放され、プランジャが放出位置内にさらに移動すると、ハウジングの内部容積からの液体及び試薬が出口を通って出ていくように、出口封止材が開放される。
【0032】
本発明の他の態様においては、本発明の封止モジュールを用いて材料を送出する方法が提供される。本方法は、プランジャを封止モジュールの出口に向かって移動し、室間封止材を開放させ、第1の室からの液体を第2の室内の試薬に接触させる工程と、プランジャを出口に向かって移動し、出口封止材を開放させ、ハウジングの内部容積からの液体及び試薬を出口を介して追い出す工程とを含む。
【0033】
本発明の他の態様においては、モジュールは、出口と封止された内部容積とを有するハウジングと、出口上に位置する出口封止材と、ハウジングの内部容積内に位置し内部に1つ以上の試薬を含む室と、出口から離れた充填位置から出口に近接する放出位置まで移動可能なプランジャと、室と流体連通する投入口とを備え、投入口は、プランジャが充填位置にある際にプランジャと出口との間で室に進入する。プランジャが出口に向かって動くと、ハウジングの内部容積からの材料が出口を通って出ていくように、出口封止材を開放させる。
【0034】
本発明の他の態様においては、本発明のモジュールを用いて材料を送出する方法が提供される。本方法は、液体を含む試料材料を投入口を通ってモジュールの室内に送出し、試料材料を室内に位置する試薬と接触させる工程と、プランジャを出口に向かって移動させ液体が出口を通って室から出ていくように出口封止材を開放する工程とを含む。
【0035】
本発明の検出システム及び方法における上記及び他の特徴及び利点は、以下に示した多様な本発明の例示的実施形態と関連して説明され得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
本発明の例示的実施形態に関する以下の詳細な説明では、実施形態の一部を形成する添付図面を参照するものとする。これら添付図面では、図示により、本発明が実施され得る特定の実施形態が示されている。なお、本発明の範囲を逸脱せずに、他の実施形態を用い、構造上の変更を行い得ることは、理解されるであろう。
【0037】
本発明の一態様では、集積センサと、試料検体をセンサに選択的に送出するのを支援する流体制御機構とを備える検出カートリッジを提供する。図1に概略的に示された例示的検出カートリッジ10は、中間準備室20、検出室30、廃棄室40、センサ50、体積流量制御機構70、及びモジュール80を備える。一般に、図1の検出カートリッジ10は、中間準備室20、検出室30、及び廃棄室40を備える内部容積を有するように示され得るものであり、これらの異なる室は、中間準備室20から検出室30を通って廃棄室40に至る下流方向を画定している。その結果、検出室30は、廃棄室40からの上流側として示され、中間準備室20は、検出室30からの上流側として示され得る。なお、本発明に係る検出カートリッジの何れも、図1の検出カートリッジ10に含まれる構成部材の組み合わせを必ずしも含み得るとは限らない。
【0038】
検出カートリッジ10の検出室30は、好ましくは、センサ50の検出面と、センサの検出面とは反対側に位置する対向面60との間に内部容積を画定する。検出室30は、好ましくは、検出室30の内部容積の側壁又はその残り(すなわち、センサ50の検出面及び対向面60により画定されない検出室30の一部)を画定する他の構造を提供し得る。
【0039】
また、図1では、好ましくは、センサ50に動作可能に接続され、例えば、電力をセンサ50に提供し得るコネクタ54が示されている。このコネクタ50は、好ましくは、電気エネルギーをセンサ50に提供し得るものであるが、実施形態によっては、コネクタは、センサ50の動作に必要な光エネルギー又は任意の他の形態のエネルギーを提供するのに用いられても良い。また、コネクタ54は、センサ50に制御信号を供給し得る、又は、センサ50から信号を受信し得る制御装置又は他のシステムに、センサ50を接続するように機能し得る。必要であれば、コネクタ54(又は増設コネクタ)は、弁、流体モニタ、温度制御要素(加熱及び/又は冷却を行うための)、温度センサなどの他の装置、及び検出カートリッジ10の一部として備えられ得る他の装置に動作可能に接続され得る。
【0040】
検出室30に加えて、図1に示された検出カートリッジ10は、検出室30を出た後の材料が流入する任意の廃棄室40をも備える。廃棄室40は、検出室30からの試料材料が廃棄室40に流入する流量を制御するように用いることができる体積流量制御機構70を通して、検出室30に流体連通し得る。
【0041】
体積流量制御機構70は、好ましくは、流体が廃棄室40内に移動可能となるように検出室30を通る流体を吸引し得る。本明細書で記載した多様な例示的実施形態においては、体積流量制御機構70は、次の構成部材の1つ以上を含み得る。すなわち、1つ以上の毛管流路、多孔質膜、吸収材料、真空源などである。これらの異なる構成部材は、多様な実施形態において、これらが検出カートリッジ10内でどのように及びどこに配置されているかに応じて、流量を限定したり、又は増加したりし得る。例えば、廃棄室40が毛細管構造の存在しない際に過度に流量を高めかねない吸収材料を含む場合には、検出室30から廃棄室40への流れを制限するように、検出室30と廃棄室40との間に毛細管構造が設けられ得る。
【0042】
図1に示した他の機構は、好ましくは、弁78が解放状態の際に周囲大気(つまり、検出カートリッジ10が位置する大気)と流体連通する検出カートリッジ10の内部容積を配置するように設けられ得る弁78である。また、弁78は、好ましくは、弁78を通る空気流が実質的に無くなる閉鎖状態をも取り得る。弁78の閉鎖は、実施形態によっては、検出カートリッジ10の内部容積を通る流れを効果的に停止又は中断させ得る。弁は、廃棄室40に繋がるものとして示されているが、1つ以上の弁が設けられても良く、これらが、例えば、中間準備室20、検出室30などの検出カートリッジ10内の任意の適した位置に直接接続されても良い。弁78は、例えば、1つ以上の空隙、チューブ、取付具などの任意の適切な形態をとり得る。
【0043】
弁78は、弁開口部を開閉するか、又は弁開口部の大きさを調整するために、封止材、ふた、弁、又は他の構造の形態の閉鎖要素79を備え得る。幾つかの実施形態では、閉鎖要素79は、弁を開けるか又は閉じるかのいずれかに用いられ得る。他の実施形態では、閉鎖要素79は、弁開口部の大きさが検出カートリッジ10を通る流体流量を調整するため、完全閉鎖状態と完全開放状態との間の少なくとも1つの大きさに調整され得る。例えば、弁開口部の大きさを大きくすると(例えば、閉鎖要素79を用いて)、流体流量が増加し、一方、弁開口部の大きさを制限すると、例えば、中間準備室20、検出室30などを通って検出カートリッジ10の内部容積を通る流体流量を制御可能に低減させ得る。弁78が複数のオリフィスを含む場合には、1つ以上のオリフィスは、閉鎖要素などを用いて開放又は閉鎖されることができる。
【0044】
検出室30を通って動く流体の体積流量は、体積流量制御機構70により制御され得るものであるが、検出室30を通る流れ前方の進行が制御されると好ましい。流れ前方進行の制御は、検出室30内に露出されるセンサ50の検出面の全ての部位を、気泡又は空隙を形成しないように、確実に試料検体の流体により覆うか、又は濡らすことを支援し得る。例えば、流れの前方は、検出室30を通る流れの方向に垂直に配向される略直線の形態で検出室30を通って進行し得ることが好ましい。
【0045】
図1に示した例示的実施形態では、流れ前方制御部(flow front control features)は、好ましくは、対向面60内又は上に設けられても良い。特に、このことは、センサ50が検出面の形状及び/又は構成により影響され得る物理的性質に依存する場合に、例えば、検出面が当該検出面を形成する、又は検出面の真下にある導波管を通る音響エネルギーの伝達に依存するセンサの一部である場合に、当てはまる。検出面に位置する物理的構造体又は異なる材料における切れ目は、例えば、検出室30内で標的検体の正確な検出につながらないような検出面上の音響エネルギーの伝播を生じ得る。また、例えば、光学センサなどの他のセンサ技術は、検出室内での流体流れ前方の進行を制御するために、物理的構造体又は異なる材料の組み合わせをそれ自身含まない検出面を用いて、より良く実施され得る。
【0046】
上述した問題点を考慮すると、センサ50の検出面における流体流の進行の制御を支援するために、検出室30の対向面60内又は上に流れ前方制御部が提供されると好ましい。流れ前方制御は、好ましくは、検出面における試料材料の進出を制御し得るものであるとともに、検出面上の気泡の形成(又は保持)を低減又は防ぎ得る。
【0047】
流れ前方制御部は、対向面60に設けられ、好ましくは、受動的とし得るものであり、すなわち、流体が検出室30を通って動く間に、任意の外部入力又はエネルギーが働くことを求めるものではない。また、流れ前方制御部は、好ましくは、検出室30を通過し得る幅広い試料体積の範囲にわたっても(例えば、10マイクロリットル以下の範囲の小さな試料体積から5ミリリットル以上のより大きな試料体積まで)動作し得る。
【0048】
センサ50の対向面60と検出面は、対向面60(及びその上に位置する任意の機構)がセンサ50の検出面と接触しないように、互いに離間されていることが好ましい。音響センサに関しては、近接しているだけでも、センサ動作の特性に悪影響し得る。例えば、センサ50の検出面と対向面60の最下部にある機構との間の隙間は、好ましくは、20マイクロメートル以上であり、あるいは、より好ましくは、50マイクロメートル以上であっても良い。流れ前方制御を効果的に行うには、対向面60の最下部機構とセンサ50の検出面との間の距離は、好ましくは、10ミリメートルであり、あるいは、1ミリメートル以下、幾つかの例では、500マイクロメートル以下、及び他の例では、250マイクロメートル以下であっても良い。
【0049】
ある種の流れ前方制御部では、対向面60は、検出室30を通る流体の流れを制御するように使用され得る流路、柱部などの物理的構造体を備え得る。特定の物理的構造体であるかどうかかかわらず、この物理的構造体は、検出室を通る流れ前方進行がかなり影響されるほどの大きなスケールであると好ましい。図2A〜2Eは、流体流れ前方進行を制御するように用いられ得る多様な例示的な物理的構造体を示す。
【0050】
図2Aは、流れ前方制御を行い得る対向面60a上のある種類の物理的構造体を示す平面図である。この物理的構造体は、例えば、柱部、埋没又は取り付けられたビーズなどの複数の離散構造体(discrete structure)62aを備え、これら離散構造体は、対向面60a上に分散され、当該離散構造体62aを分離するランド領域64aから突出されている。離散構造体62aは、例えば、円柱、直角プリズム、三角形プリズム、半球などの任意の形状で設けられ得る。異なる離散構造体62aの高さ、大きさ、間隔、及び/又は配置は、流体粘性、及び/又は検出室内の対向面60aと検出面との間の距離に応じて、所望の流れ前方制御を行うように選択され得る。離散構造体62aは、離散構造体62a間の対向面60aのランド領域64aと同じ材料から製造されると良く、あるいは、離散構造体62aは、離散構造体62a間のランド領域64aを形成する材料とは異なる1つ以上の材料から製造されても良い。
【0051】
図2Bは、対向面60bと連結して設けられ得る物理的構造体の他の例示的実施形態を示している。この物理的構造体は、対向面60bに形成された三角形流路62bの形態となされており、各流路62bが谷66bの各側面にある2つのピーク64bを含み得る。図示された流路62bは、互いに平行であり、所望の流体流れに垂直な直線上を延びているが(図2Bの矢印61bを参照)、これらの特徴のいずれも、検出面を通る所望の流れを得ることを支援するのであれば、変形を行い得るものであることが理解されよう。流路62bは、不規則な大きさ、不規則な形状、不規則な間隔、直線、曲線、又は流体流れに対して90度の角度とは異なる角度などで配向されていても良い。例えば、隣接する流路62bは、図2Bに示すように、互いに間近に隣接し得る。また、流路62bは断面が三角形状であるが、本発明に関連して用いられる流路は、例えば、弓形、長方形、台形、半球などの任意の断面形状、及びその組み合わせであっても良い。
【0052】
他の実施形態では、流路は、ピーク間のランド領域により分離され得るものであり、(すなわち、底部に達せず、次にすぐに隣接するピークに対して上方に向かう)ランド領域を有する谷を備えても良い。ランド領域は、平坦であっても、所望の他の形状をとっても良い。図2Cには、ランド領域64cが対向面60cの流路62cを分離した状態で対向面60cの流路62cが設けられた、かかる1つの変形例が示されている。
【0053】
図2Dは、対向面60dにおける流れ前方制御に用いられ得る物理的構造体の他の変形例を示している。この物理的構造体は、流路62dの形態で設けられる。対向面60dの流路62dは、異なる形状を有しており、すなわち、図2B及び図2Cの三角形流路とは対照的に、壁部63d及び屋根65dを含む、より矩形状又は台形状である。
【0054】
流路62dがより矩形状であっても、各流路62dの先端の壁部63dは、流路62dに上方に向かって繋がる面64dに対して、270度未満の角度θを形成し得ることが好ましい。本明細書で用いられる流路の“先端”とは、検出面にわたって下流方向に移動する液体により、まず遭遇される縁部である。先端での壁部63dと表面64dとの間の角度が大きいほど、流体流れ前方進行を遅らせ得るため、角度θを限定することは、流路62dへの流れを促進し得ることになる。図2B及び図2Cにおける対向面での流路は、三角形状のために、流路に入る流れにつながる角度を実質的に有する。
【0055】
図2Eは、好ましくは、流路62eへ流入する流れをも促進するために、270度未満の入口角度をも提供する弓状(例えば、半球の)外形を有する流路62eを備える対向面60eの他の実施形態を示している。流路62eは、好ましくは、図2Eに示すように、ランド領域64eにより分離され得る。
【0056】
図2A〜図2Eに関する上述の変形例に加えて、他の変形例としては、2つ以上の異なる形状の流路が単一の対向面上に設けられ得る、例えば、三角形、矩形、半球状などの流路を混合したものが同一の対向面に設けられ得るものがある。
【0057】
図2Fは、検出室内において流体の流れ前方を制御するための物理的構造部を備える対向面60fの他の変形例を図示している。この図示された対向面60fは、軸65f、66f、及び67fに沿って及び/又は平行に、対向面60fに形成された一連の三角形状流路により形成された離散構造体を含む。一般に、少なくとも1組の流路は、例えば、軸66fに沿った及び/又は平行な流路として、矢印61fにより表される流体流れ方向に略垂直な方向に形成されることが好ましい。軸66fに沿った/平行な垂直流路は、軸65f及び67fに沿った角度のある流路とともに、角錐構造体の各々の面を形成する。図示した角錐構造体が三角形状の基部を有するが、角錐形状の構造体は、望まれる場合には、4つ以上の面を設けることができる。
【0058】
再び、図1を参照すると、検出室30を通る流れ前方制御は、物理的構造体を用いずにも実現され得る。幾つかの実施形態では、流れ前方制御は、対向面60に位置する親水性及び/又は疎水性材料を用いて実現され得る。図3は、対向面160の一部を占める疎水性材料の領域162及び親水性材料の領域164を含む対向面160を示す平面図である。これらの領域162及び164は、好ましくは、矢印161により示されるように、検出室を通って流れる流れの方向、つまり、検出室の入力端から出力端への方向に対して略垂直に配向された連続帯として設けられ得る(ただし、他の親水性/疎水性パターンを用いても良いが)。領域162及び/又は164に用いた親水性及び/又は疎水性材料は、コーティングされ得るか、あるいはさもなければ対向面160に設けられ得る。場合によっては、対向面160を構築するのに用いられた材料は、それ自体親水性であると考えられ得るが、より疎水性の材料が対向面160の選ばれた部分に位置する(又は、逆に、すなわち、対向面160を構築するのに用いた材料は、疎水性であり、その表面の領域は、コーティングされ得るか、あるいはさもなければ対向面に親水性領域を設けるように処理されても良い)。
【0059】
一般に、液体により濡らされる固体表面の感受性は、液体が水平方向に配置された面上に沈着され安定化された後に固体表面に対して成す接触角により特徴付けられる。それは、しばしば「静的平衡接触角」と称されることもあるし、本明細書では、度々、単に「接触角」と称される。米国特許第6,372,954B1号明細書(ジョンストン(Johnston)ら)、及び国際公開第99/09923号パンフレット(ジョンストン(Johnston)ら)に記載されているように、接触角は、表面上の液体ビーズの表面と接触点で接触する線と、その表面の平面との間の角度である。接線が表面の平面に対して垂直とされた液体ビーズは、接触角が90度となる。通常、接触角は、90度以下であるので、固体表面は、液体によって濡らされると考えられる。表面上でゼロに近い接触角が得られる液体試料材料は、表面を完全に濡らしていると考えられる。
【0060】
しばしば、セ氏20度の水滴が90度以下の接触角を示す水平面は、親水性であると考えられ、一方、セ氏20度の水滴が90度を超える接触角を示す水平面は、疎水性であると考えられる。
【0061】
本発明の目的のためには、表面の親水性/疎水性は、相対的な大きさで決定されることが好ましい。例えば、親水性及び疎水性の水平面として考えられるものにおける接触角の違いは、セ氏20度の水滴の場合には、約10度以上(又は、幾つかの例示では、20度以上)であることが好ましい。言い換えると、本発明の疎水性面は、(セ氏20度の水滴の水平面における場合では、)親水性平面の接触角よりも10度以上(又は20度以上)の接触角を示し得る。
【0062】
本明細書で用いたように、“親水性”は、材料の表面特性、すなわち、表面が水溶液により濡らされていることにのみ言及するために用いられるものであり、材料が水溶液を吸収又は吸着するかどうかを表すものではない。したがって、材料は、その材料のある層が水又は水溶液に対して不浸透性又は浸透性であるかどうかの親水性について言及され得る。
【0063】
図4は、本発明の検出室に用いられ得る対向面260の他の実施形態を示す平面図である。対向面260は、好ましくは、検出室を通る流れの方向に略垂直に配向される直線状の流路の形態の物理的構造体262を備える。また、対向面260は、交差室流路262に加えて、入口端部265で扇状パターンに対向面260の側面に向かって外側に分岐される導流部264をも備える。また、図4に図示された対向面260は、対向面260の出口端部267で対向面260の幅の中央に向かって内側に収束する導流部266をも備える。
【0064】
使用時には、入口端部265での導流部264は、好ましくは、流体が検出室に入る際に対向面260の幅(さらには、これにより対向面260が位置する検出室)にわたって流れの前方を拡張するのを支援し得る。流体が第1の交差室流路262に到達すると、流れの前方は、好ましくは、対向する面260の幅にわたって延びるまで、出口端部267の方向への移動を停止し得る。一旦、流れ前方が対向面260をわたって達すると、好ましくは、次の交差室流路262に進出し、そこで、流れ前方が対向面260の幅にわたって延びるまで、再び停止する。
【0065】
流れ前方部は、対向面260の出口端部付近の任意の導流部266に達するまで、先行するパラグラフで記載した様式で進出する。そこで、この流れは、本明細書で記載したように、廃棄室に向かって配向されることができる検出室の出口端部267に向かって配向される。
【0066】
図5に図示した流れ制御機構は、一連の流路364が流体の流れの方向(矢印361で示したように)に垂直ではない角度で配向される入口区間362を有する対向面360を備える。流路364は、対向面360の幅(ここでは、幅は、流れ方向361に略垂直に測定される)を略二等分する中央軸363から分岐しており、流路364は、略V字状の幅が流れ方向に沿って増加するように、略V字状の形状に配置されることが好ましい。対向面360の第2の区間では、流路366は、流体流れの方向に略垂直に配向され得る。このような配置は、流体の流れを確実に表面338の両側にもたらす利点があり、気泡が検出面の動作を邪魔し得ない検出室の縁部に、気泡を押しのけたり又は方向付け得る。
【0067】
本明細書で記載した流体流れ前方制御の多様な方法は、明確には記載していない組み合わせにおいても用いても良い。例えば、本発明において検出室を通る流れ前方進行を制御するには、物理的構造(例えば、流路、離散突起構造、など)と組み合わせて、対向面に疎水性及び/又は親水性材料からなる選択領域を用いるようにすることが好ましい。さらに、検出室30の内部容積は、好ましくは、略直線形状を有し得るが、本発明に関連して用いられた検出室は、例えば、円筒状、弓形などの他の形状を取り得ることが理解されるべきである。
【0068】
図1を参照すると、任意の中間準備室20は、検出カートリッジ10内にも含まれ得るものであり、検出室30内に試料材料を導入する前に、試料材料に台を準備し、試料材料を混合し、又はさもなければ保持し得る。中間準備室20は、任意の適切な形態をとり得る。場合によっては、中間準備室20から検出室30への受動的な送出を支援可能とする静圧頭が中間準備室20内の試料材料に生じ得るように、検出カートリッジ10の使用中に、中間準備室20の容積が検出室30よりも上に(重力に対して)配置されることが好ましい。
【0069】
任意のポート22は、試料材料が、例えば、シリンジ、ピペットなどにより検出カートリッジ10の内部容積中に導入され得るように、中間準備室20に(検出カートリッジ10の内部につながる他の位置に、)設けられ得る。設けられる場合には、ポート22は、試料材料が検出カートリッジ10内に挿入される前及び/又は後に、例えば、隔壁、弁、及び/又は他の構造体により封止され得る。幾つかの実施形態では、ポート22は、好ましくは、例えば、ルアーロック取付具、ねじ式取付具などの試験試料送出装置と噛み合うように設計された、例えば、外部構造体を備え得る。なお、たった1つのポート22のみが図示されているが、2つ以上の個別の入口が設けられても良いことは理解されるべきである。
【0070】
幾つかの実施形態では、中間準備室20は、流れ制御構造体/機構24(例えば、弁)により、検出室30との直接的な流体連通から隔離され得る。流れ制御構造体/機構24が検出室30を中間準備室20から隔離するように設けられた場合には、中間準備室20は、検出室30に材料が放出される前に材料を貯蔵するように、潜在的により効果的に用いられ得る。流れ制御構造体/機構24がない場合には、例えば、材料の検出室30への送出が望まれるまで重力や求心力などが材料を中間準備室20内に保持するのに役立ち得る定位に、検出カートリッジ10を保持するなどの他の技術により、検出室30への材料の流れの制御がいくらか潜在的に得られる。
【0071】
図1に図示した他の任意の機構は、流体モニタ27を含む。流体モニタ27は、好ましくは、流体の存在、流体速度、流量などを積極的にリアルタイムで監視し得る。流体モニタ27は、例えば、モニタ電極上の流体の流れの特徴及び/又は流体の存在を判定するために、例えば、交流を用いて、例えば、流体に露出され監視される電極などの任意の適切な形態をとり得る。他の代替としては、監視される流体に必ずしも接触する必要のない静電容量による流体モニタを含み得る。
【0072】
なお、流体モニタは、検出室30を監視するように図示しているが、検出カートリッジ10の内部容積内の任意の適切な位置に配置されても良いと理解されるべきである。例えば、流体モニタは、中間準備室(staging chamber)20、廃棄室40などに配置されることができる。加えて、複数の流体モニタが検出カートリッジ10内の異なる位置に採用されても良い。
【0073】
流体モニタ27の潜在的な利点は、例えば、モジュール80などに関連するアクチュエータ90を動作させるためにフィードバックループに用いられた流体モニタ27により検知された状況に対応して、試料材料、試薬、洗浄緩衝液などの導入を自動的に活性化する能力などが挙げられる。あるいは、流体モニタ27により検知された状況は、評価及び/又は作業のために作業者に信号又はフィードバックを提供することができる。例えば、健康管理の診断用途などの幾つかの用途では、流体モニタ27を用いて、検出カートリッジが適切な動作を行うことを、すなわち、許容可能なパラメータ内の流体を受け取ることなどを確実なものとし得る。
【0074】
また、図1には、ポート22に加えて又はそれに代えて、検出カートリッジ10内に材料を導入又は送出するために好ましくは用いられる任意のモジュール80が示される。モジュール80は、幾つかの例では検出室30内に直接潜在的に材料を送出するものだが、材料を中間準備室20内に送出し得ることが好ましい。モジュール80は、幅広い材料を送出するのに用いられ得るが、これら送出された材料は、モジュール80からの材料を検出カートリッジ10内に移動するのを支援するような少なくとも1つの液体成分を含み得ることが好ましい。モジュール80を用いて導入されることが可能な材料の中には、例えば、試料材料、試薬、緩衝液、洗浄材などがある。モジュール80から検出カートリッジ10内への材料の導入は、数多くの方法で制御され得る。例えば、モジュール80は、当該モジュール80内の材料を検出カートリッジ10に進入させるように開放可能な封止材、弁などにより、検出カートリッジ10から隔離され得る。
【0075】
複数のモジュール80は、各モジュール80内に含まれた材料が選択された時間に選択された流量で選択された順番などで検出カートリッジに導入されることができるように、互いに独立し得ることが好ましい。幾つかの例では、アクチュエータ90が各モジュール80と関連して、モジュール80内の材料を検出カートリッジ10に移動させ得る。アクチュエータ90は、モジュール80の設計に基づいて選択され得る。このアクチュエータ90は、手動で動作されても、又は、例えば、油圧、空気力学、ソレノイド、ステップモータなどを用いて自動化されても良い。
【0076】
モジュール80を用いて試薬、緩衝液などの材料を送出する潜在的な利点は、幅広い多様な試料材料、試験などを用いて、検出カートリッジ10を調整する機会があり得ることである。
【0077】
上述した図1に概略を示した検出カートリッジ10の多様な態様として、図6には、中間準備室420、検出室430、及び廃棄室440を備える検出カートリッジ410の一例示的実施形態が示されている。検出カートリッジ410は、ハウジング412と、検出室430内に露出された検出面452を有するセンサ450とを備える。
【0078】
このセンサ450は、好ましくは、例えば、ラブ波せん断水平弾性表面波センサなどの音響−機械的センサとし得る。図示したように、センサ450は、好ましくは、その周辺を可能な限り除いて、センサ450の背面454(すなわち、検出室430から離れて対面する表面)が検出カートリッジ410内の任意の他の構造体に接触しないように、取り付けられても良い。本発明に関連付けて用いられ得るカートリッジ内に音響−機械的センサを取り付ける幾つかの潜在的に適切な方法の例が、例えば、出願日が2003年12月30日の米国特許出願第60/533,176号明細書、及び本件と同じ出願日の発明の名称が「弾性表面波センサ組立体(Surface Acoustic Wave Sensor Assemblies)」であるPCT特許出願明細書(代理人整理番号第58928WO003)に見出される。
【0079】
しかしながら、音響−機械的センサは、本発明に関連付けて用いられ得る1つの部類のセンサを表しているものと理解されるべきである。多くの他のセンサ技術は、本発明のカートリッジに関連付けられて用いられ得るものであり、例えば、表面プラスモン共鳴、電気化学検出、伝導度センサ、蛍光マイクロアレイ、化学発光法などが挙げられる。
【0080】
このようなセンサ450に用いられた特定の検出技術のいかんに関わらず、検出室430内に露出された検出面452の一部は、検出室430を通って流れる試料材料に接触して配置され得ることが好ましい。例えば、検出面452は、検出室430を通って流れる材料が少なくとも重力によって(他の力を介さなくても)検出面452の方向に促されるように、検出室430の底部(重力に対して)に位置し得ることが好ましい。
【0081】
また、検出室430は、好ましくは、検出面452から離間され対面する対向面460を備え得る。好ましくは、1つ以上の異なる流れ前方制御部が対向面460に設けられ、検出室430を通った流れ前方部の進行の制御を支援し得る。本明細書では、潜在的に適切な流れ前方制御部の多様な実施例について説明する。
【0082】
対向面460及び検出面452は、対向面460(及びそれに配置された任意の機構)が検出面452に接触しないように、互いに離間され得ることが好ましい。音響センサに関しては、近接しているだけでも、対向面460が検出面452による音響エネルギーの伝播を妨害するようであれば、センサ動作の特性に悪影響し得る。例えば、検出面452と検出面452の活性部分に対面する対向面460の最下部にある機構との間の隙間は、好ましくは、20マイクロメートル以上であり、あるいは、より好ましくは、50マイクロメートル以上であっても良い。流れ前方制御を効果的に行うには、対向面460の最下部機構と検出面452との間の距離は、好ましくは、10ミリメートルであり、あるいは、1ミリメートル以下、幾つかの例では、500マイクロメートル以下、及び他の例では、250マイクロメートル以下であっても良い。
【0083】
また、図6の検出カートリッジ410は、検出室430と流体連通し、検出室430を出た後の試料材料が流れ込む廃棄室440を備える。検出カートリッジ410は、好ましくは、検出室430と廃棄室440との間の流体経路に介入された体積流量制御機構を備え得る。この体積流量制御機構は、好ましくは、検出室430からの試料材料が廃棄室440に流入する量を制御するように機能し得る。
【0084】
体積流量制御機構は、多くの異なる形態をとり得るが、図6に図示された実施形態では、多孔質膜474の形態の毛細管構造体が位置する開口部472の形態で設けられる。この多孔質膜474に加えて、吸収材料物476が廃棄室440内に位置する。
【0085】
多孔質膜474は、好ましくは、検出室430に対面する側面から廃棄室440に対面する側面への流体圧力降下をもたらし得る。また、多孔質膜474は、好ましくは、検出室430から廃棄室440への流量の制御を支援する。圧力降下は、好ましくは、多孔質膜474内の通路の毛管作用によりもたらされ得る。多孔質膜を通った圧力降下は、通常、薄膜の孔径と厚さの関数である。多孔質膜は、好ましくは、例えば、0.2ミクロン〜50ミクロンの範囲の孔径を有し得る。多孔質膜として有効になり得る材料の幾つかの好適な例としては、例えば、アクリル共重合体、ニトロセルロース、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ナイロン、ポリカーボネート、ポリエステルなどが挙げられる。
【0086】
図6A及び図6Bを参照すると、廃棄室に流入する流体の流量を制御するために多孔質膜1474を用いた代替的構造が示される。開口部1472は、ハウジングの材料を通して形成された一連のオリフィス1471を備える。この開口部1472は、好ましくは、開口部1472を通って流入する流れを阻止し得る鋭い縁部を回避することにより(あるいは、アール形、円形又は円滑な縁部などが用いられても良い)、開口部1472に入って通る流体の流れを支援する面取り部1473を備え得る。
【0087】
多孔質膜1474は、より好ましい実施形態では、多孔質膜1474を間に位置させて、オリフィス1471に超音波溶接され得るカバー板1475により、定位置に保持される。カバー板1475は、好ましくは、流体が廃棄室内に通過し得るオリフィス1479を備え得る。カバー板1475の超音波溶接は、開口部1472の周りのエネルギー導出部1477の利用により支援され得るものであり、エネルギー導出部1477の高さは、多孔質膜1474の厚み分の幾らかの隙間を有するのに十分とし得る。このようなシステムでは、カバー板1475及びエネルギー導出部1477は、多孔質膜1474を破壊することなく、流体密封の取付部の形成を支援し得る。また、多孔質膜1474を開口部1472の上で保持するための他の技術としては、例えば、接着剤、熱溶接、溶剤溶接、機械的クランプなども用いられ得る。これらの技術は、カバー板1475の有無に関わらず、用いられ得るものであり、すなわち、多孔質膜1474自体が開口部1472周辺の構造体に直接取り付けられ得る。
【0088】
図6の実施形態を再び参照すると、多孔質膜474は、検出室430からの流体を吸引し得るものであるが、流体の表面張力により、流体が多孔質膜474から流出し廃棄室440内に流入するのが防がれる。その結果、例えば、廃棄室440内の流体の陰圧を用いて、多孔質膜474から廃棄室40内に流体を吸引し得ることが好ましい。廃棄室440内の流体の陰圧は、多様な技術を用いて提供され得る。廃棄室440内に流体の陰圧を提供する他の技術としては、例えば、図6に図示された廃棄室440内に位置する吸収材料476が挙げられる。廃棄室440内に流体の陰圧を提供する代替的技術としては、廃棄室440内の真空がある。また、他の代替的技術を用いても良い。
【0089】
廃棄室440内の流体の陰圧は、例えば、吸収材料の利用により、あるいは、エネルギーの入力を必要としない他の技術(例えば、廃棄室内の真空を維持する)により、受動的に提供され得ることが好ましい。廃棄室440内に提供され得る幾つかの潜在的に好適な吸収材料の例としては、これらに限らないが、発泡樹脂材(例えば、ポリウレタンなど)、粒子材料(例えば、アルミナ−シリケート、ポリアクリル酸など)、顆粒状物質(例えば、セルロース、木材パルプなど)が挙げられる。
【0090】
図6に示すように、廃棄室440が吸収材料476を内部に位置させて設けられる場合には、この吸収材料が廃棄室440の内部に対面する多孔質膜474の側面(又は、図6A及び図6Bに示すように、カバー板1475内の任意のオリフィス1479)と物理的接触をすることが好ましい。また、吸収材料476と多孔質膜474との間に隙間があることにより、例えば、多孔質膜474内に含まれる流体内の表面張力によって、流体が多孔質膜474を出て廃棄室440に進入するのを制限又は防ぎ得る。
【0091】
吸収材料476が廃棄室440内に設けられる場合には、廃棄室440に流入する体積流量を制御するために多様な複数層の吸収材料を設けると有益となり得る。例えば、吸収材料の第1の層は、多孔質膜474の近隣に設けられ、この第1の層の材料が特徴的な吸上速度及び所定の流体容積を有し得る。吸収材料の第1の層をその容量に装着させると、廃棄室440に入った流体は、異なる吸上速度で第2の層の吸収材料中に引き込まれ、潜在的に廃棄室440に異なる陰圧をかけ得る。
【0092】
例えば、吸収材料の異なる層を用いて廃棄室440内の陰圧を変化させることにより、例えば、試料材料が検出カートリッジ410を通って吸引される際の液頭圧力の変化などの検出カートリッジ410内での他の変化を補償し得る。また、例えば、廃棄室に保持された減圧レベルを変化させたり、カートリッジ内の1つ以上の開口部を開放することなどの他の技術を用いても、液頭圧力の変化を補償し得る。
【0093】
図6の実施形態は、廃棄室440の内部容積を周囲大気と流体連通されて配置し得る廃棄室440内の弁478を備える。この弁478の開閉を用いて、廃棄室440に流入し、これによりカートリッジ410を通る流体の流れを制御し得る。さらに、弁478を用いて、例えば、弁478を通して真空吸引などを行うことにより、廃棄室440内の圧力を低減し得る。
【0094】
図中では、弁が廃棄室440と直接流体連通されているように図示されているが、1つ以上の弁を設けて、これらを、例えば、中間準備室420、検出室430などの検出カートリッジ410の内部容積につながる任意の適切な位置に直接接続しても良い。弁478は、1つ以上の空隙、チューブ、取付具などの任意の適切な形態をとり得る。
【0095】
この弁478は、好ましくは、弁開口部を開閉するか、又は弁開口部の大きさを調整するために、封止材、ふた、弁、又は他の構造の形態の閉鎖要素479を備え得る。封止材として設けられる場合には、封止材は、弁478内に接着又はその他の方法で取り付けられるか、弁478内に配置され得る。幾つかの実施形態では、閉鎖要素479は、弁を開けるか又は閉じるかのいずれかに用いられ得る。他の実施形態では、閉鎖要素479は、弁開口部の大きさが検出カートリッジ410を通る流体流量を調整するため、完全閉鎖状態と完全開放状態との間の少なくとも1つの大きさに調整され得る。例えば、弁開口部の大きさを大きくすると、流体流量が増加し、一方、弁開口部の大きさを制限すると、例えば、中間準備室420、検出室430などを通って検出カートリッジ410の内部容積を通る流体流量を制御可能に低減させ得る。弁478が複数のオリフィスを含む場合には、1つ以上のオリフィスは、流体流れなどを制御するため、開放又は閉鎖されることができる。
【0096】
図7A及び図7Bは、検出室530及び廃棄室540の一部を含む代替的検出カートリッジ510の一部を示している。図示した実施形態では、廃棄室540及び検出室530は、好ましくは、毛管力により検出室530から流体を吸引し得る一組の毛管流路572を備える流れ通路570の形態で毛細管構造により分離される。毛管流路572の特定の形状は、図7Bの断面図で示したものと異なっても良い。また、流れ通路に設けられた毛管流路572の数は、1つの毛管流路の場合の数個から複数の毛管流路の任意の選択された数にいたるまで多岐にわたる。
【0097】
図7A及び図7Bの実施形態では、流れ通路570は、好ましくは、図6の実施形態と関連して用いられる多孔質膜と置き換えられる。好ましくは、1つ又は複数の毛管流路570が、検出室530から流体を吸引するために、所望のレベルの流体の陰圧を提供する。
【0098】
幾つかの例では、多孔質膜と1つ以上の毛管流路の両方は、本発明の検出カートリッジにおける検出室と排気室との間の毛細管構造を提供するために設けられることが好ましい。チューブなどの他の毛細管構造は、本明細書で記載した例示的実施形態の代用とすることができる。
【0099】
毛管流路572は、検出室530からの流体を吸引し得るものであるが、流体の表面張力により、流体が流れ通路570から流出し廃棄室540内に流入するのが防がれる。その結果、例えば、廃棄室540内の流体の陰圧を用いて、流れ通路570から廃棄室540内に流体を吸引し得ることが好ましい。廃棄室540内の流体の陰圧は、多様な技術を用いて提供され得る。廃棄室540内に流体の陰圧を提供する他の技術としては、例えば、図7Aに図示された廃棄室540内に位置する吸収材料576が挙げられる。廃棄室540内に流体の陰圧を提供する代替的技術としては、廃棄室540内の真空がある。また、他の代替的技術を用いても良い。
【0100】
廃棄室540内の流体の陰圧は、例えば、吸収材料の利用により、あるいは、エネルギーの入力を必要としない他の技術(例えば、廃棄室内の真空を維持すること)により、受動的に提供され得ることが好ましい。廃棄室内で吸収材料を用いることは、図6に示した実施形態に関連して上述している。
【0101】
吸収材料を廃棄室540内で用いる場合には、この吸収材料は、さもなければ流体が毛管流路から出ることを妨げるであろう若干の表面張力を克服するために、任意の毛管流路572の1つ又は複数の端部と接触し得ることが好ましい。
【0102】
図6に図示したカートリッジを再び参照すると、中間準備室420は、検出室430の上流側に設けられ得る。この中間準備室420は、多様な構成部材が検出室430に入る前に導入され得る容積を提供し得る。なお、図示していないが、中間準備室420は、例えば、その中に位置する1つ以上の試薬(例えば、適切な時期に選択的に解放されるために乾燥され又は収容された)、被膜(例えば、親水性、疎水性など)、構造/形状(例えば、気泡形成を低減/防止し、混合を向上/誘発し得る)などの多様な特徴を有し得ることを理解すべきである。
【0103】
また、中間準備室420と検出室430との間には、流体通路が、図6に示すように、開放され得る。あるいは、中間準備室420と検出室430との間の流体通路は、例えば、ろ過(例えば、多孔質膜、サイズ排除構造体、ビーズなどを用いて)、流れ制御(例えば、1つ以上の弁、多孔質膜、毛管又は毛管流路、流れ絞り器などを用いて)、被膜(例えば、親水性、疎水性など)、構造/形状(例えば、気泡の形成及び/又は移動を低減/防止し、混合を向上し得る)などの1つ以上の機能を行い得る多様な特徴を有し得る。
【0104】
図6に図示した他の任意の機構は、中間準備室420と検出室430との間の流路に流体モニタ427を備える。流体モニタ427は、好ましくは、流体の存在、流体速度、流量などを積極的にリアルタイムで監視し得る。流体モニタ427は、例えば、モニタ電極上の流体の流れの特性及び/又は流体の存在を判定するために、交流を用いて監視され流体に露出された電極などの任意の適切な形態をとり得る。他の代替としては、監視される流体に必ずしも接触する必要のない静電容量による流体モニタを備えても良い。
【0105】
流体モニタ427の潜在的な利点は、例えば、流体モニタ427により検知された状況に対応して、試料材料、試薬、洗浄緩衝液などの導入を自動的に活性化する能力などが挙げられる。あるいは、流体モニタ427により検知された状況は、評価及び/又は作業のために作業者に信号又はフィードバックを提供することができる。例えば、健康管理の診断用途などの幾つかの用途では、流体モニタ427は、検出カートリッジが適切な動作を行うことを、すなわち、許容可能なパラメータ内の流体を受け取ることなどを確実なものとするために用いられ得る。
【0106】
図6に示された例示的検出カートリッジ410は、検出カートリッジ410の中間準備室420内に材料を送出するように配置された2つのモジュール480を備える(なお、中間準備室420に対するモジュール480の配向又は方向は、図示したものと異なっても良いことは理解されるべきである)。モジュール480は、中間準備室420内に開口するモジュール口428を通して、材料を中間準備室420に送出する。モジュール480は、好ましくは、接着剤424、又はモジュール480とモジュール口428との間に適切な流体密封の封止材を設けることが可能な他の材料により、モジュール口428に取り付けられ得る。モジュール480をモジュール口428に取り付けるための任意の適切な技術が接着剤424の代わりとなり得る。幾つかの例では、モジュール480は、モジュール口428を覆って溶接(化学的、熱的、超音波的など)、又はさもなければ取り付けられ得る。他の例では、モジュール480は、ねじ式取付具、ルアーロック取付具などの補完的な構造体を用いて、モジュール口に接続され得る。
【0107】
モジュールの他の例示的実施形態は、材料を検出カートリッジ410内に導入するのに用い得るものであり、他のところで記載するが、図6に示した各モジュール480は、中間準備室420につながるモジュール口428上を位置合わせされる開口部482を介して封止材489を備える。また、各モジュール480は、封止材489とプランジャ481との間に位置する室486を画定するプランジャ481をも備える。中間準備室420内に送出される1つ又は複数の材料は、通常、プランジャ481がモジュール480の中身を中間準備室420内に送出するのに用いられる前に室486内に位置する。
【0108】
図示された実施形態では、プランジャ481は、好ましくは、封止材489に穴をあけたり、封止材489を破いたり、又はさもなければ開放し、モジュール480内の材料を中間準備室420に進入させるように設計され得る。図示されたプランジャ481は、そのような目的のために鋭い先端部を有する。なお、モジュール480は、弁や、室間の材料の移動を制御するのに用いられる他の任意の適切な流体構造体により、中間準備室420から分離されることができるものと理解すべきである。
【0109】
図6に示した1つの変形例としては、上方モジュール480がモジュール480の室486内に開口する入口490を備える。この入口490は、モジュール480を用いて中間準備室に連続的に送出するために、材料を室486内に送出するのに用いられ得る。例えば、入口490は、収集した標本などをモジュール480に導入するのに用いられ得るものであり、そこでは、標本が選ばれた時及び/又は量で中間準備室420内に導入されることができる。加えて、試料材料を受け取るモジュール480の室486は、モジュール480に導入される際に試料材料に接触し得る1つ以上の試薬、又は他の材料を含み得る。図示されていないが、入口490は、好ましくは、試料材料が弁又は他の構造体/材料を用いてモジュール480内に導入される前及び/又は後に封止され得る。入口490は、試料材料がモジュール480内に挿入される前及び/又は後に、例えば、隔壁、弁、高周波抵抗溶接、キャップ、及び/又は他の構造体により封止され得る。
【0110】
試薬及び/又は他の材料を送出するのに用いられ得る本発明に係るモジュール680の一例示的実施形態は、図8A及び図8Bの断面図に示される。図示した例示的モジュール680は、複数の室を備え、各々が同じ又は異なる材料を含み得るものであり、好ましくは、互いに密閉して封止され得る。また、モジュール680は、異なる室内の材料が導入される際に互いに混合し合うように設計され得ることが好ましい。
【0111】
また、好ましくは、分離された室内に異なる材料を貯蔵することにより、必要となるまで混合されない複数の材料をモジュール680内に提供し得るようにすることができる。例えば、幾つかの物質は、品質保持期限、有効寿命などを延長するために、好ましくは、乾燥状態で貯蔵されても良いが、同じ物質でも、有効な製造品を提供するために、水などを含み得る液体中に混合される必要があるものがある。本発明のモジュールは、要望に応じて、これらの物質を混合及び/又は分配する能力を設けることにより、多くの異なる物質用の便利な貯蔵及び導入装置を提供することができる。
【0112】
図示されたモジュール680は、ハウジング695内に3つの室684、686、及び688を備える。これらの室は、好ましくは、封止材685(室684と686との間に位置する)及び封止材687(室686と688との間に位置する)により分離され得る。また、図示されたモジュール680は、図示された実施形態において、プランジャ681が図8Aに示した充填位置(loaded position。つまり、モジュール680の左端)から放出位置(unloaded position。つまり、図8Aの矢印により示された出口682に向かう)まで動く際に、封止材685及び687を突き刺すように設計された先端部683を有するプランジャ681を備える。このプランジャ681は、好ましくは、室内の材料が反対方向に、すなわち開口部682から離れる方向に、プランジャ681を超えて移動するのを防ぐような、Oリング(図示された)又は他の封止材構造を備え得る。
【0113】
図8Bは、プランジャ681が図8Aの充填位置から放出位置まで移行する計量分配動作を示している。図8Bでは、先端部683は、室684及び686内の材料が互いに接触して混合することができるように、せん孔封止材685を備える。室684は、例えば、水、塩類液などの液体690を含み、且つ、室686は、乾燥後の試薬692(例えば、溶剤、フィブリノーゲンなど)を含み得るものとし、液体690により試薬692が液体690とともに溶液、懸濁液、混合液などに入り込むようにさせ得ることが好ましい。この試薬692は、室686内で乾燥されるものとして図示されるが、例えば、粉、ゲル、溶液、懸濁液、又は他の任意の形態で位置しても良い。室684及び686内の材料の形態のいかんを問わず、封止材685の突き破り又は開口により、2つの材料は、互いに接触し、好ましくは、少なくとも一部がモジュール680から送出可能となるように、モジュール680内を動かされる。
【0114】
プランジャ681が出口682の方に進むと、先端部683はまた、好ましくは、室688内の材料694が室684及び686からの材料690及び692と接触可能となるように、封止材687を突き破る。
【0115】
先端部683は、出口682に完全に進出した際には、好ましくは、出口682に設けられた出口封止材689を突き刺し、これにより、流体モジュール680から、例えば、中間準備室又は他の空間に材料690、692、及び694を解放する。プランジャ681及び先端部683の形状は、プランジャ681が流体モジュール680(すなわち、図8A及び図8Bの右側の経路全て)を完全に通って進む際に、多様な室内の材料のほぼ全てが流体モジュール680から出るように、最終室688及び出口682の形状と噛み合わされ得ることが好ましい。
【0116】
図8Cは、モジュールの開口部1682における一例示的代替先端部1683の拡大図である。この先端部1683は、好ましくは、プランジャ1681から延びる。本明細書で記載したように、先端部1683及びプランジャ1681の形状は、好ましくは、モジュールハウジング1695における開口部1682の形状と噛み合い得る。例えば、図示された先端部1683の一部は、開口部1682の円錐台形に一致する円錐形状を有する。加えて、プランジャ1681及びプランジャ1681に対面するモジュールの内面1696は、互いに一致し得ることが好ましい。モジュールの噛み合う機構を備えるプランジャ1681と先端部1683との一致により、モジュールから本発明のカートリッジへの材料の完全な送出を増進し得る。
【0117】
さらに、先端部1683は、材料が当該先端部1683により突き破かれた封止材を超えて容易に移動させる形状、又は機構を有する状態で設けられ得ることが好ましい。この機構は、図8C及び図8Dに示すように、他の円錐状の先端部1683で形成された流路1697と同様な簡単なものとし得る。あるいは、先端部1683自体は、先端部が突き刺す封止材で流体流れに対するバリアを形成する可能性を低減するような多くの他の形状をとり得る。また、このような代替例は、例えば、星型の鋭い先端部、ネジ山などを含み得る。
【0118】
モジュール680内のプランジャ681は、任意の適切なアクチュエータ又は技術により移動され得る。例えば、プランジャ681は、駆動装置用開口部698を通してモジュール680内に挿入される機械的装置(例えば、ピストン)により駆動され得るか、あるいは、流体圧力は、駆動装置用開口部698を通してモジュール680内に導入され所望の方向にプランジャ681を移動させ得る。好ましくは、例えば、ステップモータや他の制御機械構造を用いて、プランジャ681を駆動し、プランジャ681(及び、例えば、先端部683などの任意の関連構造)の動作制御を高めるようにし得る。プランジャ681を移動する他の手段として、例えば、ソレノイド組立体、油圧組立体、空気圧式組立体などが、当業者に知られている。
【0119】
モジュール680、プランジャ681及び先端部683は、所望の性質又は機械的特性を提供し、流体モジュールに貯蔵される材料と両立する、例えば、ポリマー、金属、ガラス、シリコン、セラミックなどの任意の適切な1つ又は複数の材料から構成され得る。同様に、封止材685、687、及び689は、例えば、ポリマー、金属、ガラスなどの任意の適切な1つ又は複数の材料から製造され得る。例えば、封止材は、所望のバリア性能を提供し、及びモジュール680に貯蔵される多様な材料と両立するために、好ましくは、ポリマーフィルム/金属箔複合材から製造され得る。
【0120】
封止材及びモジュールハウジングの両方に用いられる材料は、好ましくは、異なる室間の漏れを防ぐように、封止材を取り付けるのに用いられる1つ又は複数の取付技術と両立され得る。モジュール680と関連して用いられ得る幾つかの取付技術の例としては、例えば、ヒートシール、接着剤、化学的溶接、熱溶接、超音波溶接、及びこれらの組み合わせなどが挙げられる。なお、モジュールは、封止材が摩擦、圧縮などにより保持されるように構築され得るものと理解されるべきである。さらに、実施形態によっては、封止材を突き破る先端又は他の構造体を用いずに、流体モジュール内で封止材を開放させ得ることが可能であることも理解されるべきである。例えば、封止材は、流体圧力だけを介して開放され得る(すなわち、例えば、プランジャが、封止材などに形成された弱い線を用いて、充填位置から出口に向かって移動する際に、封止材がある圧力を受けて破裂するように設計され得る)。
【0121】
センサに関する検討
本発明のシステム及び方法は、好ましくは、波動減衰、相変化、周波数変動、及び/又は共振周波数変動を決定するように、測定、又はさもなければ検知される音響−機械エネルギーを用いて、試験試料中の標的の生物学的検体の存在を検出し得る。
【0122】
音響−機械エネルギーは、例えば、圧電系弾性表面波(SAW)装置を用いて発生され得る。例えば、米国特許第5,814,525号明細書(レンシュラー(Renschler)ら)に記載されているように、圧電系音響−機械的装置の部類は、検出モードに応じて、弾性表面波(SAW)、音響平面モード(APM)、又は水晶振動子(QCM)装置に、さらに分割することができる。
【0123】
幾つかの実施形態では、本発明のシステム及び方法は、検出面に取り付けられた標的の生物学的検体を検出するのに用いられ得る。他の実施形態では、装置は、例えば、標的の生物学的検体の存在を示す粘度変化などの液体(例えば、水溶液)中の物理的変化を検出するように用いられ得る。表面波の伝播速度は、音響−機械的センサの検出面と接触する媒体について、質量、弾力性、粘弾性、伝導率、及び誘電定数などの変化を検出可能とし得る高感度プローブに関わる。よって、このような(又は潜在的に他の)物理的特性の1つ以上の変化が、結果的に弾性表面波の減衰変化となり得る。
【0124】
APM装置は、用いた音響波が液体と接触する装置とともに動作可能であるという点を除いて、SAW装置と類似の原理に沿って動作する。同様に、QCM(通常、AT−カット水晶)上の2つの対向電極に印加された交流は、共振周波数が塗膜材の質量変化と比例して変化する厚み滑り波モードを誘発する。
【0125】
音響波伝播方向(例えば、導波管と平行な平面に、又は導波管の平面と垂直な平面において)は、バイオセンサが構築される圧電材料のクリスタルカットにより決定され得る。平面の内及び外で音響波の大部分(例えば、レイリー波、大部分のラム波)が伝播するSAWバイオセンサは、通常、表面と接触する液体からの音響減衰のため、液体検知用途には用いられない。
【0126】
液体試料媒体の場合には、せん断水平弾性表面波バイオセンサ(SH−SAW)が、好ましくは、用いられ得る。SH−SAWセンサは、通常、クリスタルカット箇所を有し、波の伝播がせん断水平モード、すなわち、導波管により画定された平面と平行に回転するようにさせる配向を有する圧電材料から構築され、その結果、検出面と接触する液体に対する音響減衰の損失を低減する。せん断水平音響波は、例えば、厚み滑りモード(TSM)、音響板モード(APM)、表面スキミングバルク波(SSBW)、ラブ波、漏洩弾性表面波(LSAW)、及びBG波(Bleustein−Gulyaev)などが挙げられる。
【0127】
特に、ラブ波センサは、ST水晶のSSBWや36°YXLiTaO3の漏洩波などのSH波モードを支持する基板を備え得る。これらのモードは、好ましくは、音響ガイド薄層又は導波管の応用により、ラブ波モードに変換され得る。これらの波は、周波数に依存しており、導波管層のせん断波速が圧電基板のよりも低い場合には、発生し得る。
【0128】
導波管材料は、好ましくは、次の特徴のうちの1つ以上を示す材料とし得る。すなわち、低い音響損失、低い電気伝導率、水中及び水溶液中での堅牢性及び安定性、比較的低い音響速度、疎水性、より高い分子量、高度な交差結合などがある。一例では、SiO2は、水晶基板上の音響導波管層として用いられている。他の熱可塑性及び架橋ポリマーの導波管材料の例としては、例えば、エポキシ化合物、ポリメタクリル酸メチル、フェノール樹脂(例えば、NOVALAC)、ポリイミド、ポリスチレンなどが挙げられる。
【0129】
本発明の検出カートリッジに用いられる音響−機械的センサで用いるための他の潜在的に適切な材料及び構成が、例えば、発明の名称が「音響センサ及び方法(Acoustic Sensors and Methods)」で本件と同じ出願日のPCT出願明細書(代理人整理番号No.60209WO003)に記載され得る。
【0130】
その代わり、QCM装置はまた、液体試料媒体で用いることができ、音響−機械的装置及び構成部材を用いたバイオセンサは、例えば、米国特許第5,076,094号明細書(フライ(Frye)ら)、米国特許第5,117,146号明細書(マーティン(Martin)ら)、米国特許第5,235,235号明細書(マーティン(Martin)ら)、米国特許第5,151,110号明細書(ベイン(Bein)ら)、米国特許第5,763,283号明細書(サーノセク(Cernosek)ら)、米国特許第5,814,525号明細書(レンシュラー(Renschler)ら)、米国特許第5,836,203号明細書(マーティン(Martin)ら)、及び米国特許第6,232,139号明細書(カサルヌオーヴォ(Casalnuovo)ら)に記載され得る。せん断水平SAW装置は、アメリカ合衆国、ニューメキシコ州、アルバカーキー(Albuquerque)のサンディア・コーポレーション(Sandia Corporation)などの様々な製造者から得ることができる。また、本発明に関連して用いられ得る幾つかのSH−SAWバイオセンサは、ブランチ(Branch)らの「36°YX LiTaO3におけるラブ波バイオセンサを用いた炭疽菌類似物の低レベル検出」バイオセンサとバイオエレクトロニクス(2003年8月22日付け受理)にも記載されている。
【0131】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で用いた単数形(「a」、「and」及び「the」)は、文脈で明確に別の指示がなければ、複数の指示対象を包含するものとする。このため、例えば、単数形(「a」、又は「the」)の成分に言及することは、当業者に知られた1つ以上の構成部材及びそれと等価なものを包含し得る。
【0132】
本明細書で引用した参考資料及び出版物の全ては、本開示内容の全体に明確に援用されている。以上、本発明の例示的実施形態について説明し、本発明の範囲内における可能な幾つかの変形例について言及してきた。本発明において、これらの及び他の変形及び変更は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者にとって自明であり、本発明は、本明細書で示した例示的実施形態に限られないことを理解されるべきである。したがって、本発明は、冒頭に添付した特許請求の範囲及びその等価物のみにより限定されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1】本発明に係る一例示的検出カートリッジを示す概略図である。
【図2】本発明に係る流れ前方制御部を備える一例示的対向面を示す平面図である。
【図2B】本発明に係る流れ前方制御部を備える他の例示的対向面を示す斜視図である。
【図2C】本発明に係る流れ前方制御部を備える他の例示的対向面を示す断面図である。
【図2D】本発明に係る流れ前方制御部を備える他の例示的対向面を示す断面図である。
【図2E】本発明に係る流れ前方制御部を備える他の例示的対向面を示す断面図である。
【図2F】本発明に係る流れ前方制御部を備える他の例示的対向面を示す平面図である。
【図3】疎水性及び親水性領域の形態をとる流れ制御機構を備える対向面を示す平面図である。
【図4】本発明に係る流れ制御機構を備える他の例示的対向面を示す平面図である。
【図5】本発明に係る流れ制御機構を備える他の例示的対向面を示す平面図である。
【図6】本発明に係る一例示的検出カートリッジを示す概略図である。
【図6A】本発明に係る検出カートリッジにおける廃棄室への代替的な例示的開口部を示す拡大断面図である。
【図6B】図6Aに示された構成部材を示す分解図である。
【図7A】本発明に係る検出カートリッジにおける検出室と廃棄室との間の一代替的接続を示す図である。
【図7B】図7A中の線7B−7Bに沿った流れ通路の断面図である。
【図8A】本発明に関連して用いられ得る一例示的モジュールを示す断面図である。
【図8B】使用中の図8Aのモジュールを示す断面図である。
【図8C】本発明のモジュール内において放出位置に設置された代替的プランジャ及び先端部を示す部分拡大断面図である。
【図8D】図8C中の線8D−8Dに沿った断面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部容積を有するハウジングと、
前記ハウジングに動作可能に取り付けられ、検出面を有するセンサと、
前記ハウジングの前記内部容積内に位置し、前記検出面により画定される容積と、前記検出面から離間されて該検出面に対面し流れ前方制御部を備える対向面とを有する検出室と、
前記ハウジングの前記内部容積内に位置し、前記検出室と流体連通する廃棄室とを備える、検出カートリッジ。
【請求項2】
前記検出面は、音響機械的導波管を備える、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項3】
前記センサは、弾性表面波音響機械的センサを備える、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項4】
前記流れ前方制御部は、前記検出室の前記対向面上のランド領域から突出し該ランド領域により分離される複数の離散構造体を備える、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項5】
前記流れ前方制御部は、前記検出室の前記対向面において1つ以上の流路を備える、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項6】
前記1つ以上の流路のうちの少なくとも1つの流路は、廃棄室の入力端と出力端との間で、前記検出室内に画定された長手軸に略垂直に配向される、請求項5に記載のカートリッジ。
【請求項7】
前記流れ前方制御部は、前記対向面の一部を占める疎水性材料の1つ以上の領域と、前記対向面の一部を占める親水性材料の1つ以上の領域とを備える、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項8】
疎水性材料及び親水性材料の少なくとも1対の連続帯をさらに備え、各対の連続帯は、前記検出室の幅にわたって延びている、請求項7に記載のカートリッジ。
【請求項9】
前記流れ前方制御部は、前記検出室の前記対向面上のランド領域から突出し該ランド領域により分離される複数の離散構造体と、前記対向面の一部を占める疎水性材料の1つ以上の領域と、前記対向面の一部を占める親水性材料の1つ以上の領域とを備える、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項10】
前記流れ前方制御部は、前記検出室の前記対向面における1つ以上の流路と、前記対向面の一部を占める疎水性材料の1つ以上の領域と、前記対向面の一部を占める親水性材料の1つ以上の領域とを備える、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項11】
前記廃棄室内に位置する吸収材料をさらに備える、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項12】
前記カートリッジは、前記検出室と前記廃棄室との間に位置する毛細管構造をさらに備える、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項13】
開放時に前記ハウジングの前記内部容積を前記カートリッジ周りの周囲大気と流体連通させる弁をさらに備える、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項14】
前記弁は前記廃棄室内に位置する、請求項13に記載のカートリッジ。
【請求項15】
前記弁は閉鎖要素を備える、請求項13に記載のカートリッジ。
【請求項16】
前記ハウジングに動作可能に接続された流体モニタをさらに備え、前記ハウジングの前記内部容積内に位置する液体が前記流体モニタにより検知可能となされる、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項17】
内部容積を有するハウジングと、
該ハウジングに動作可能に取り付けられ、弾性表面波音響機械的センサを備えるセンサと、
前記ハウジングの前記内部容積内に位置し、検出面により画定される容積と、前記検出面から離間されて該検出面に対面し1つ以上の流路を備える対向面とを有する検出室と、
前記ハウジングの前記内部容積内に位置し、前記検出室と流体連通する廃棄室と、
前記廃棄室内に位置する吸収材料と、
前記検出室と前記廃棄室との間に位置する毛細管構造とを備える、検出カートリッジ。
【請求項18】
内部容積を有するカートリッジハウジングと、
該カートリッジハウジングに動作可能に取り付けられ、検出面を有するセンサと、
前記カートリッジハウジングの前記内部容積内に位置し、前記検出面により画定される容積と、前記検出面から離間されて該検出面に対面し流れ前方制御部を備える対向面とを有する検出室と、
前記カートリッジハウジングの前記内部容積内に位置し、前記検出室と流体連通する廃棄室と、
各々が前記カートリッジハウジングの前記内部容積内に開放する1つ以上のモジュール口を通して前記カートリッジハウジングに取り付けられた出口を備える1つ以上の封止されたモジュールとを備え、各モジュールは、
出口と封止された内部容積とを有するモジュールハウジングと、
前記モジュールの前記出口上に位置する出口封止材と、
前記モジュールハウジングの前記内部容積内に位置するプランジャとをさらに備え、前記プランジャは、該プランジャが前記出口から離れている充填位置から、前記プランジャが前記出口に近接している放出位置まで移動可能であり、
前記プランジャが前記出口に向かって移動すると、前記モジュールハウジングの前記内部容積からの材料が前記カートリッジハウジングの前記内部容積内に前記出口を通って出ていくように、前記出口封止材を開放する、検出カートリッジ。
【請求項19】
前記カートリッジハウジングの前記内部容積内に中間準備室をさらに備え、該中間準備室は前記検出室から上流側に位置し、前記モジュール口は前記中間準備室内に開放する、請求項18に記載のカートリッジ。
【請求項20】
前記1つ以上の封止されたモジュールのうちの少なくとも1つのモジュールの前記内部容積は、
内部に液体を含む第1の室と、
前記モジュールハウジングの前記内部容積内に位置し、内部に試薬を含む第2の室と、
前記モジュールハウジング内で前記第1の室から前記第2の室を隔離する室間封止材とを備え、
前記第1の室、前記室間封止材、及び前記第2の室は、前記プランジャと前記出口封止材との間に位置し、
前記プランジャが前記出口に向かって移動すると、前記第1の室内の前記液体が前記第2の室内の前記試薬と接触するように、前記室間封止材を開放する、請求項18に記載のカートリッジ。
【請求項21】
請求項1に記載の前記検出カートリッジを通して試料材料を移動する方法であって、
請求項1に記載の検出カートリッジを提供する工程と、
前記検出カートリッジの前記ハウジングの前記内部容積内に試料材料を送出する工程とを含み、前記試料材料が前記検出室に流入し、該検出室を通して前記廃棄室に向かう前記試料材料の流れ前方の進行が、前記検出室内の前記対向面上の前記流れ前方制御部により少なくとも部分的に制御される、試料材料を移動する方法。
【請求項22】
試料材料を前記検出室内に送出する工程は、前記ハウジングの前記内部容積内に位置する中間準備室内に前記試料材料を送出する工程を含み、前記試料材料は前記中間準備室から前記検出室内に流出する、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記検出カートリッジは、前記廃棄室内に吸収材料をさらに備え、前記吸収材料は試料材料を前記廃棄室内に吸引する、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記検出室と前記廃棄室との間に位置する毛細管構造をさらに備え、前記毛細管構造は前記検出室から試料材料を吸引する、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
開放時に前記ハウジングの前記内部容積を前記カートリッジ周りの周囲大気と流体連通させる弁をさらに備え、前記方法は、前記検出室を通る試料材料流を制御するために前記弁を開放する工程を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
前記弁を開放する工程は、前記検出室を通る試料材料流の流量を調整するために前記弁の大きさを調整する工程を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
出口と封止された内部容積とを有するハウジングと、
前記出口上に位置する出口封止材と、
前記ハウジングの前記内部容積内に位置し、内部に液体を含む第1の室と、
前記ハウジングの前記内部容積内に位置し、内部に試薬を含む第2の室と、
前記ハウジング内で前記第1の室から前記第2の室を隔離する室間封止材と、
プランジャとを備え、前記第1の室、前記室間封止材、前記第2の室、及び前記出口封止材は、前記プランジャと前記出口との間に位置し、前記プランジャは、該プランジャが前記出口から離れている充填位置から、該プランジャが前記出口に近接している放出位置まで移動可能であり、
前記プランジャが前記出口に向かって移動すると、前記第1の室内の前記液体が前記第2の室内の前記試薬と接触するように、前記室間封止材を開放し、前記プランジャが前記放出位置内にさらに移動すると、前記ハウジングの前記内部容積からの前記液体及び前記試薬が前記出口を通って出ていくように、前記出口封止材を開放する、封止されたモジュール。
【請求項28】
前記プランジャは先端部を有し、該先端部は、前記室間封止材と対面し、該室間封止材を突き破り、該室間封止材を開放する、請求項27に記載のモジュール。
【請求項29】
前記第1の室及び前記第2の室は密閉封止された区間室を備える、請求項27に記載のモジュール。
【請求項30】
前記プランジャは、該プランジャが前記充填位置にある際に前記第1の室の容積の一部を画定する、請求項27に記載のモジュール。
【請求項31】
前記プランジャは、該プランジャが前記放出位置にある際に前記出口と噛み合う、請求項27に記載のモジュール。
【請求項32】
前記第1の室内の前記液体は水を含み、前記第2の室内の前記試薬は、加水分解性材料を含む、請求項27に記載のモジュール。
【請求項33】
請求項27に記載の封止されたモジュールを用いて材料を送出する方法であって、
請求項27に記載の封止されたモジュールを提供する工程と、
前記室間封止材を開放し、前記第1の室からの前記液体を前記第2の室内の前記試薬に接触させるために、前記プランジャを前記封止モジュールの前記出口に向かって移動する工程と、
前記出口封止材を開放し、前記ハウジングの前記内部容積からの前記液体及び前記試薬を前記出口を介して追い出すために、前記プランジャを前記出口に向かって移動する工程とを含む、材料を送出する方法。
【請求項34】
前記プランジャは前記室間封止材を突き破る先端部を備える、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
出口と封止された内部容積とを有するハウジングと、
前記出口上に位置する出口封止材と、
前記ハウジングの前記内部容積内に位置し、内部に1つ以上の試薬を含む室と、
前記出口から離れた充填位置から前記出口に近接する放出位置まで移動可能なプランジャと、
前記室と流体連通する投入口とを備え、該投入口は、前記プランジャが前記充填位置にある際に前記プランジャと前記出口との間で前記室に進入し、
前記プランジャが前記出口に向かって動くと、前記ハウジングの前記内部容積からの材料が前記出口を通って出ていくように、前記出口封止材を開放する、モジュール。
【請求項36】
前記投入口を閉じる封止材をさらに備える、請求項35に記載のモジュール。
【請求項37】
前記プランジャは先端部を有し、該先端部は、前記出口封止材に対面し、該出口封止材を突き破り、該出口封止材を開放する、請求項35に記載のモジュール。
【請求項38】
前記プランジャは、該プランジャが前記充填位置にある際に前記室の容積の一部を画定する、請求項35に記載のモジュール。
【請求項39】
前記プランジャは、該プランジャが前記放出位置にある際に前記出口と噛み合う、請求項35に記載のモジュール。
【請求項40】
請求項35に記載のモジュールを用いて材料を送出する方法であって、
請求項35に記載のモジュールを提供する工程と、
液体を含む試料材料を、前記投入口を通って前記室内に送出し、前記試料材料を前記室内に位置する前記試薬と接触させる工程と、
前記液体が前記出口を通って前記室から出ていくように、前記出口封止材を開放するために、前記プランジャを前記出口に向かって移動する工程とを含む、材料を送出する方法。
【請求項1】
内部容積を有するハウジングと、
前記ハウジングに動作可能に取り付けられ、検出面を有するセンサと、
前記ハウジングの前記内部容積内に位置し、前記検出面により画定される容積と、前記検出面から離間されて該検出面に対面し流れ前方制御部を備える対向面とを有する検出室と、
前記ハウジングの前記内部容積内に位置し、前記検出室と流体連通する廃棄室とを備える、検出カートリッジ。
【請求項2】
前記検出面は、音響機械的導波管を備える、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項3】
前記センサは、弾性表面波音響機械的センサを備える、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項4】
前記流れ前方制御部は、前記検出室の前記対向面上のランド領域から突出し該ランド領域により分離される複数の離散構造体を備える、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項5】
前記流れ前方制御部は、前記検出室の前記対向面において1つ以上の流路を備える、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項6】
前記1つ以上の流路のうちの少なくとも1つの流路は、廃棄室の入力端と出力端との間で、前記検出室内に画定された長手軸に略垂直に配向される、請求項5に記載のカートリッジ。
【請求項7】
前記流れ前方制御部は、前記対向面の一部を占める疎水性材料の1つ以上の領域と、前記対向面の一部を占める親水性材料の1つ以上の領域とを備える、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項8】
疎水性材料及び親水性材料の少なくとも1対の連続帯をさらに備え、各対の連続帯は、前記検出室の幅にわたって延びている、請求項7に記載のカートリッジ。
【請求項9】
前記流れ前方制御部は、前記検出室の前記対向面上のランド領域から突出し該ランド領域により分離される複数の離散構造体と、前記対向面の一部を占める疎水性材料の1つ以上の領域と、前記対向面の一部を占める親水性材料の1つ以上の領域とを備える、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項10】
前記流れ前方制御部は、前記検出室の前記対向面における1つ以上の流路と、前記対向面の一部を占める疎水性材料の1つ以上の領域と、前記対向面の一部を占める親水性材料の1つ以上の領域とを備える、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項11】
前記廃棄室内に位置する吸収材料をさらに備える、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項12】
前記カートリッジは、前記検出室と前記廃棄室との間に位置する毛細管構造をさらに備える、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項13】
開放時に前記ハウジングの前記内部容積を前記カートリッジ周りの周囲大気と流体連通させる弁をさらに備える、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項14】
前記弁は前記廃棄室内に位置する、請求項13に記載のカートリッジ。
【請求項15】
前記弁は閉鎖要素を備える、請求項13に記載のカートリッジ。
【請求項16】
前記ハウジングに動作可能に接続された流体モニタをさらに備え、前記ハウジングの前記内部容積内に位置する液体が前記流体モニタにより検知可能となされる、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項17】
内部容積を有するハウジングと、
該ハウジングに動作可能に取り付けられ、弾性表面波音響機械的センサを備えるセンサと、
前記ハウジングの前記内部容積内に位置し、検出面により画定される容積と、前記検出面から離間されて該検出面に対面し1つ以上の流路を備える対向面とを有する検出室と、
前記ハウジングの前記内部容積内に位置し、前記検出室と流体連通する廃棄室と、
前記廃棄室内に位置する吸収材料と、
前記検出室と前記廃棄室との間に位置する毛細管構造とを備える、検出カートリッジ。
【請求項18】
内部容積を有するカートリッジハウジングと、
該カートリッジハウジングに動作可能に取り付けられ、検出面を有するセンサと、
前記カートリッジハウジングの前記内部容積内に位置し、前記検出面により画定される容積と、前記検出面から離間されて該検出面に対面し流れ前方制御部を備える対向面とを有する検出室と、
前記カートリッジハウジングの前記内部容積内に位置し、前記検出室と流体連通する廃棄室と、
各々が前記カートリッジハウジングの前記内部容積内に開放する1つ以上のモジュール口を通して前記カートリッジハウジングに取り付けられた出口を備える1つ以上の封止されたモジュールとを備え、各モジュールは、
出口と封止された内部容積とを有するモジュールハウジングと、
前記モジュールの前記出口上に位置する出口封止材と、
前記モジュールハウジングの前記内部容積内に位置するプランジャとをさらに備え、前記プランジャは、該プランジャが前記出口から離れている充填位置から、前記プランジャが前記出口に近接している放出位置まで移動可能であり、
前記プランジャが前記出口に向かって移動すると、前記モジュールハウジングの前記内部容積からの材料が前記カートリッジハウジングの前記内部容積内に前記出口を通って出ていくように、前記出口封止材を開放する、検出カートリッジ。
【請求項19】
前記カートリッジハウジングの前記内部容積内に中間準備室をさらに備え、該中間準備室は前記検出室から上流側に位置し、前記モジュール口は前記中間準備室内に開放する、請求項18に記載のカートリッジ。
【請求項20】
前記1つ以上の封止されたモジュールのうちの少なくとも1つのモジュールの前記内部容積は、
内部に液体を含む第1の室と、
前記モジュールハウジングの前記内部容積内に位置し、内部に試薬を含む第2の室と、
前記モジュールハウジング内で前記第1の室から前記第2の室を隔離する室間封止材とを備え、
前記第1の室、前記室間封止材、及び前記第2の室は、前記プランジャと前記出口封止材との間に位置し、
前記プランジャが前記出口に向かって移動すると、前記第1の室内の前記液体が前記第2の室内の前記試薬と接触するように、前記室間封止材を開放する、請求項18に記載のカートリッジ。
【請求項21】
請求項1に記載の前記検出カートリッジを通して試料材料を移動する方法であって、
請求項1に記載の検出カートリッジを提供する工程と、
前記検出カートリッジの前記ハウジングの前記内部容積内に試料材料を送出する工程とを含み、前記試料材料が前記検出室に流入し、該検出室を通して前記廃棄室に向かう前記試料材料の流れ前方の進行が、前記検出室内の前記対向面上の前記流れ前方制御部により少なくとも部分的に制御される、試料材料を移動する方法。
【請求項22】
試料材料を前記検出室内に送出する工程は、前記ハウジングの前記内部容積内に位置する中間準備室内に前記試料材料を送出する工程を含み、前記試料材料は前記中間準備室から前記検出室内に流出する、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記検出カートリッジは、前記廃棄室内に吸収材料をさらに備え、前記吸収材料は試料材料を前記廃棄室内に吸引する、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記検出室と前記廃棄室との間に位置する毛細管構造をさらに備え、前記毛細管構造は前記検出室から試料材料を吸引する、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
開放時に前記ハウジングの前記内部容積を前記カートリッジ周りの周囲大気と流体連通させる弁をさらに備え、前記方法は、前記検出室を通る試料材料流を制御するために前記弁を開放する工程を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
前記弁を開放する工程は、前記検出室を通る試料材料流の流量を調整するために前記弁の大きさを調整する工程を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
出口と封止された内部容積とを有するハウジングと、
前記出口上に位置する出口封止材と、
前記ハウジングの前記内部容積内に位置し、内部に液体を含む第1の室と、
前記ハウジングの前記内部容積内に位置し、内部に試薬を含む第2の室と、
前記ハウジング内で前記第1の室から前記第2の室を隔離する室間封止材と、
プランジャとを備え、前記第1の室、前記室間封止材、前記第2の室、及び前記出口封止材は、前記プランジャと前記出口との間に位置し、前記プランジャは、該プランジャが前記出口から離れている充填位置から、該プランジャが前記出口に近接している放出位置まで移動可能であり、
前記プランジャが前記出口に向かって移動すると、前記第1の室内の前記液体が前記第2の室内の前記試薬と接触するように、前記室間封止材を開放し、前記プランジャが前記放出位置内にさらに移動すると、前記ハウジングの前記内部容積からの前記液体及び前記試薬が前記出口を通って出ていくように、前記出口封止材を開放する、封止されたモジュール。
【請求項28】
前記プランジャは先端部を有し、該先端部は、前記室間封止材と対面し、該室間封止材を突き破り、該室間封止材を開放する、請求項27に記載のモジュール。
【請求項29】
前記第1の室及び前記第2の室は密閉封止された区間室を備える、請求項27に記載のモジュール。
【請求項30】
前記プランジャは、該プランジャが前記充填位置にある際に前記第1の室の容積の一部を画定する、請求項27に記載のモジュール。
【請求項31】
前記プランジャは、該プランジャが前記放出位置にある際に前記出口と噛み合う、請求項27に記載のモジュール。
【請求項32】
前記第1の室内の前記液体は水を含み、前記第2の室内の前記試薬は、加水分解性材料を含む、請求項27に記載のモジュール。
【請求項33】
請求項27に記載の封止されたモジュールを用いて材料を送出する方法であって、
請求項27に記載の封止されたモジュールを提供する工程と、
前記室間封止材を開放し、前記第1の室からの前記液体を前記第2の室内の前記試薬に接触させるために、前記プランジャを前記封止モジュールの前記出口に向かって移動する工程と、
前記出口封止材を開放し、前記ハウジングの前記内部容積からの前記液体及び前記試薬を前記出口を介して追い出すために、前記プランジャを前記出口に向かって移動する工程とを含む、材料を送出する方法。
【請求項34】
前記プランジャは前記室間封止材を突き破る先端部を備える、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
出口と封止された内部容積とを有するハウジングと、
前記出口上に位置する出口封止材と、
前記ハウジングの前記内部容積内に位置し、内部に1つ以上の試薬を含む室と、
前記出口から離れた充填位置から前記出口に近接する放出位置まで移動可能なプランジャと、
前記室と流体連通する投入口とを備え、該投入口は、前記プランジャが前記充填位置にある際に前記プランジャと前記出口との間で前記室に進入し、
前記プランジャが前記出口に向かって動くと、前記ハウジングの前記内部容積からの材料が前記出口を通って出ていくように、前記出口封止材を開放する、モジュール。
【請求項36】
前記投入口を閉じる封止材をさらに備える、請求項35に記載のモジュール。
【請求項37】
前記プランジャは先端部を有し、該先端部は、前記出口封止材に対面し、該出口封止材を突き破り、該出口封止材を開放する、請求項35に記載のモジュール。
【請求項38】
前記プランジャは、該プランジャが前記充填位置にある際に前記室の容積の一部を画定する、請求項35に記載のモジュール。
【請求項39】
前記プランジャは、該プランジャが前記放出位置にある際に前記出口と噛み合う、請求項35に記載のモジュール。
【請求項40】
請求項35に記載のモジュールを用いて材料を送出する方法であって、
請求項35に記載のモジュールを提供する工程と、
液体を含む試料材料を、前記投入口を通って前記室内に送出し、前記試料材料を前記室内に位置する前記試薬と接触させる工程と、
前記液体が前記出口を通って前記室から出ていくように、前記出口封止材を開放するために、前記プランジャを前記出口に向かって移動する工程とを含む、材料を送出する方法。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【公表番号】特表2007−517221(P2007−517221A)
【公表日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−547162(P2006−547162)
【出願日】平成16年12月17日(2004.12.17)
【国際出願番号】PCT/US2004/042455
【国際公開番号】WO2005/064349
【国際公開日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年12月17日(2004.12.17)
【国際出願番号】PCT/US2004/042455
【国際公開番号】WO2005/064349
【国際公開日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】
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