説明

検出センサ

【課題】作業者の誤認識を防ぐことが可能な検出センサを提供すること。
【解決手段】デジタル表示部12は検出信号レベルとともに第2のしきい値を表示し、動作表示灯13は、CPUにおいて同じ比較結果が複数回連続した場合に被検出物の検出状態又は非検出状態を出力するファイバセンサ10において、所定期間内の検出信号レベルをCPUの検出結果とともに記憶するメモリを備る。そして、CPUは、メモリに記憶される複数の検出信号レベルのうち、その時々の検出結果と同じ検出結果に対応する検出信号レベルを第1表示部14に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
光電センサ等の検出センサは、投光部から投光された光を受光部にて受光し、被検出物(ワーク)の有無による受光量の変化に対して設定された検出用しきい値レベルに基づき被検出物の検出を行なっている。この種の検出センサとして、受光量に応じて受光素子から出力される電圧(又は電流)をデジタル化し、液晶ディスプレイ等の表示部に受光信号レベルを数値表示するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
検出センサには、受光量に基づいて被検出物の有無を検出する検出方法が設定されている。この検出方法では、被検出物が存在しないときの受光量と、被検出物が存在するときの受光量とに基づいて第1のしきい値が設定され、該第1のしきい値とその時々の受光量とを比較し、該比較結果に基づいて被検出物の有無を判断する。そして、検出センサは、第1のしきい値と受光量とを表示部に表示する。また、検出センサは、判断結果に基づき、被検出物の有無に応じて動作表示灯を点灯/消灯させている。この表示部及び動作表示灯により、受光量及び検出結果を作業者に知らせている。
【0004】
また、別の検出方法として、受光量の変化量に基づいて被検出物の有無を検出する方法がある。この検出方法(微分検出)では、受光量(デジタル値に変換した受光信号レベル)を微分して変化量を算出し、この変化量と予め設定された第2のしきい値とを比較し、該比較結果に基づいて被検出物の有無を判断する。そして、検出センサは、第2のしきい値と変化量とを表示部に表示する。また、検出センサは、判断結果に基づき、被検出物の有無に応じて動作表示灯を点灯/消灯させている。この表示部及び動作表示灯により、受光量及び検出結果を作業者に知らせている。
【0005】
受光量は、発光素子や受光素子の時間的劣化によって徐々に変化する。また、受光量は、塵などが光路を通過するときに変化する。従って、微分検出を用い、第2のしきい値を、これらによる受光量の変化量よりも大きく、且つ被検出物の通過による受光量の変化量よりも小さい値に設定することで、受光量の時間的な変化に対してしきい値を設定し直す手間を省くことができる。
【0006】
上記受光量には、塵等の影響により小さなばらつきがあるため、受光量をデジタル化するサンプリング期間毎に受光信号レベルの表示を更新すると、表示値が頻繁に変更されるので、受光信号レベルの変化を把握し難い。そこで、所定数のサンプルの平均値を算出し、該平均値を表示する。ばらつきが小さい場合、サンプリング期間毎に算出する平均値は、前回算出した平均値と等しくなる場合が多い。従って、平均値を表示することにより、表示部に表示される値が変化しにくくなる、つまり表示部の表示を安定化させることで、受光信号レベルを把握し易くしている。
【0007】
また、検出センサは、微分検出において、変化量が第2のしきい値よりも小さいときには表示部に「0」を表示し、変化量が第2のしきい値よりも大きいときにその変化量を表示部に表示する。これにより、被検出物を検出するときの変化量を確認することができる。
【特許文献1】特開平9−252242号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、微分検出を用いる場合、以下のように作業者の誤認識を招く場合がある。
検出センサは、被検出物の有無を表示するため、該被検出物を検出してから非検出となるまで動作表示灯を点灯している。一方、変化量は、被検出物による受光量の変化、即ち、被検出物により光が遮られたときと被検出物の通過により光が受光されたときに第2のしきい値より大きくなり、被検出物が存在しない、又は被検出物が通過している間、受光量は変化しないため、「0」を表示する。従って、表示部に表示された値が第2のしきい値よりも小さいにも係わらず動作表示灯が点灯して被検出物を検出した旨が示されているため、作業者は検出センサが誤作動していると誤認識してしまう。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、作業者の誤認識を防ぐことが可能な検出センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、被検出物の検出状態に応じたレベルの検出信号を出力する物理量検出手段と、前記検出信号を受け、その検出信号レベルを所定期間ごとに更新表示する表示手段と、被検出信号レベルと予め設定されたしきい値レベルとを比較して前記被検出物の検出を行なう検出手段と、前記検出手段の検出結果に基づき、検出状態又は非検出状態を出力する出力手段と、を有し、前記表示手段は前記検出信号レベルとともに前記しきい値レベルを表示し、前記出力手段は、前記検出手段において同じ比較結果が複数回連続した場合に前記被検出物の検出状態又は非検出状態を出力する検出センサにおいて、前記所定期間内の前記検出信号レベルを前記検出手段の検出結果とともに記憶する記憶手段を備え、前記表示手段は、前記記憶手段に記憶される複数の検出信号レベルのうち、前記検出手段の検出結果と同じ検出結果に対応する検出信号レベルを表示する。このため、表示更新の際に、そのときの動作表示灯の検出結果に対応する検出信号レベルの表示が成されるため、動作表示灯の検出結果の出力と表示手段の表示とが一致しないという不具合が解消される。そして、これにより作業者の誤認識を防ぐことが可能な検出センサを提供することができる。
【0011】
請求項2によれば、請求項1記載の検出センサにおいて、前記表示手段は、更新表示の際に、前記記憶手段に記憶される複数の検出信号レベルのうち、前記検出手段の検出結果と同じ検出結果に対応する検出信号レベルを更新表示する。これにより、更新が行なわれれば動作表示灯の検出結果に対応する検出信号レベルの表示が成されるため、動作表示灯の検出結果の出力と表示手段の表示とが一致しないという不具合が解消される。
【0012】
請求項3によれば、請求項1記載の検出センサにおいて、前記表示手段は、前記所定期間内において前記検出手段が前記被検出物の検出状態となった時に、前記記憶手段に記憶される検出信号レベルのうち、前記検出手段が前記被検出物の検出状態時に対応する検出信号レベルを更新表示する。これにより、所定期間毎に動作表示灯の検出結果に対応する検出信号レベルの表示が成され、所定時間を短くすることで動作表示灯の検出結果の出力とデジタル表示部12の表示とが一致しないという不具合を解消することができる。
【0013】
請求項4によれば、請求項1乃至3の何れか一項に記載の検出センサにおいて、前記表示手段は、前記記憶手段に記憶される検出信号レベルのうち前記検出手段が前記被検出物の検出状態時に対応する複数の検出信号レベルの平均値を算出し更新表示する。平均値を表示するため、ノイズによるばらつきの影響を受けて変化量の表示が安定しない状態を防ぎ、作業者の誤認識を防ぐことができる。
【0014】
請求項5によれば、請求項1乃至4の何れか一項に記載の検出センサにおいて、前記検出手段が前記所定期間内に前記被検出物の非検出状態のとき、前記表示手段は前記所定期間内の検出信号レベルの平均値を算出し表示する。非検出状態時の表示においても平均値を表示するため、ノイズによるばらつきの影響を受けて変化量の表示が安定しない状態を防ぎ、作業者の誤認識を防ぐことができる。
【0015】
請求項6によれば、請求項1,3乃至5の何れか一項に記載の検出センサにおいて、前記記憶手段は、複数回連続した前記所定期間内における前記出力手段と同じ比較結果と、検出された複数回の検出信号レベルとともに、前記複数回の検出信号レベルより移動平均値を算出して記憶し、前記検出手段の検出結果が前記所定期間内にて前記被検出物の非検出状態のとき、前記表示手段は、更新表示の際に、前記検出手段の検出結果と同じ検出結果に対応する移動平均値のうちの最大値を検出信号レベルに替えて表示する。これにより、検出信号レベルに応じて新しいしきい値を設定する場合に、作業者にその指標を示すことができ、しきい値を設定しやすくなる。
【発明の効果】
【0016】
従って、上記記載の発明によれば、作業者の誤認識を防ぐことが可能な検出センサを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1は、本実施形態のファイバセンサ10の上面図である。ファイバセンサ10のセンサ本体11は略直方体に形成されるとともに、その上面には、例えば8桁表示可能なデジタル表示手段としてのデジタル表示部12が配設され、デジタル表示部12の先端側(図1において左側)には、例えばLED(発光ダイオード)からなる出力手段としての動作表示灯13が配設されている。デジタル表示部12には、ファイバセンサ10が備える複数の機能(例えば、検出用しきい値レベルの設定や微調整)や各種設定値等が表示される。デジタル表示部12は4桁を表示する4つの7セグメントLED14a〜14dからなる第1表示部14と、4桁を表示する4つの7セグメントLED15a〜15dからなる第2表示部15とが一列に接続される態様で構成されている。
【0018】
また、センサ本体11の上面にはデジタル表示部12の基端側(図1において右側)に一対の三角形状の選択スイッチ16,17が配設されるとともに、選択スイッチ17の基端側(図1において右側)に近接して、四角形状の決定スイッチ18が配設されている。選択スイッチ16、17は、それぞれの押圧操作によりデジタル表示部12に表示される機能等を互いに逆方向の順序で切り替えるためのものであり、決定スイッチ18は、その押圧操作によりデジタル表示部12に表示される現在の機能等を決定するためのものである。作業者(ユーザ)により操作されるこれら選択スイッチ16,17及び決定スイッチ18は、モード切り替え手段及び検出用しきい値レベル設定手段を構成する。
【0019】
ファイバセンサ10に電源を供給する電源ケーブル19は基端側(図1において右側)に接続され、ファイバセンサ10から投受光される光信号の通過経路となるファイバ20は先端側(図1において左側)に接続されている。
【0020】
図2はファイバセンサ10のブロック図である。ファイバセンサ10は、投光素子21を備える投光回路22と、物理量検出手段としての受光素子23を備える受光回路24と、検出手段(,算出手段,比較手段,出力手段及び表示手段)としてのCPU25とを備えている。CPU25内には記憶手段としてのメモリ26及びCPU25のクロックを司るタイマ27が備えられている。投光回路22はCPU25からの出力信号を受けて投光素子21を発光させる。前記発光された光は受光素子23によって光電変換され受光回路24で増幅されて、受光素子23での受光量に応じたレベルの出力信号がCPU25に出力される。
【0021】
本実施形態では、図1に示すセンサ本体11に接続された投光用ファイバ及び受光用ファイバ(図示略)の先端が順次搬送される被検出物(ワーク)Wの搬送経路(図2の白抜き矢印の方向)の両側に配置されるとともに、該搬送経路と垂直方向に沿って対向するように配置されている。そして、両ファイバを介して形成される投光素子21及び受光素子23間の光路(検出領域)内への被検出物Wの進入量に応じたレベルの出力信号(アナログ信号)が、受光回路24からCPU25へ出力されるように構成されている。CPU25は、この出力信号をサンプリングした測定点での受光信号レベルと所定の検出用しきい値レベルとの大小を比較し、比較結果に応じて反転する検出信号を出力回路28に出力するとともに、動作表示灯13を、例えば赤色に点灯させる。
【0022】
CPU25は、表示回路29を介してデジタル表示部12の7セグメントLED14a〜14d,15a〜15dを駆動しデジタル表示部12に文字,数字,記号を表示する。又、CPU25は、スイッチ入力回路30を介して選択スイッチ16,17及び決定スイッチ18の操作を検出し、選択スイッチ16,17及び決定スイッチ18の操作に応じて、デジタル表示部12の表示(切り替え表示)を制御する。
【0023】
本実施形態では、デジタル表示部12に表示される各機能は、関連するもの同士がまとめられて上層(上位階層),中層(中位階層),下層(下位階層)の3層の階層構造に分類されており、選択スイッチ16,17及び決定スイッチ18の操作によって各機能を実行することができる。
【0024】
具体的には、図3(a)に示すように、上層には「RUN(被検出物Wの検出動作を実行する通常検出状態)」、「TEACH(検出用しきい値レベルの設定)」、「L/D ON(入光時ON/非入光時ONの設定)」、「TIMER(タイマ動作の設定)」、「CUST(カスタム設定の内容表示)」、「PRO(詳細設定)」の各機能が分類されている。図3(b)に示すように、上層の一段下位の層である中層には、「Pro1」〜「Pro5」の各機能が分類されている。また、中層の一段下位の層である下層(図示略)には、「Pro1」〜「Pro5」に対応する各機能が分類されている。
【0025】
ここで、前記選択スイッチ16,17又は決定スイッチ18の操作と、これに対応するデジタル表示部12の表示内容との関係について説明する。
本実施形態では、通常検出状態において、第1表示部14に検出用しきい値レベルが表示されるとともに、第2表示部15に受光信号レベルが表示される。このとき、前記決定スイッチ18が押圧操作されると、デジタル表示部12の下4桁の第1表示部14に上層の機能「RUN」が表示される。この状態で、前記選択スイッチ16,17のいずれか一方が押圧操作されると、図3(a)に示すように、前記第1表示部14に表示される上層の機能がその操作回数に応じて、「RUN」→「TEACH」→「L/D ON」→「TIMER」→「CUST」→「PRO」→「RUN」の順でループ状に切り替えられる。また、前記選択スイッチ16,17のいずれか他方が押圧操作されると、その操作回数に応じて前記第1表示部14に表示される上層の機能が上記とは逆向きの順番でループ状に切り替えられる。
【0026】
さらに、例えば第1表示部14に上層の機能「RUN」、「TEACH」、「L/D ON」、「TIMER」及び「CUST」のいずれかが表示されている状態で前記決定スイッチ18が押圧操作されると、当該機能に係る処理が許容される。あるいは、第1表示部14に上層の機能「PRO」が表示されている状態で、前記決定スイッチ18が押圧操作されると、図3(b)に示すように、前記第1表示部14に表示される機能が一段下位の層である中層の機能「Pro1」に切り替えられる。そして、この状態で前記選択スイッチ16,17のいずれか一方が押圧操作されると、前記第1表示部14に表示される中層の機能がその操作回数に応じて、「Pro1」→「Pro2」→「Pro3」→「Pro4」→「Pro5」→「Pro1」の順番でループ状に切り替えられる。また、前記選択スイッチ16,17のいずれか他方が押圧操作されると、その操作回数に応じて前記第1表示部14に表示される中層の機能が、上記とは逆向きの順番でループ状に切り替えられる。
【0027】
又、例えば第1表示部14に中層の機能「Pro5」が表示されている状態で決定スイッチ18が押圧操作されると、第1表示部14に表示される機能が一段下位の層である下層の機能に切り替えられ、更に決定スイッチ18を押圧操作することにより当該機能に係る処理が許容され、ファイバセンサ10の設定を行うことができる。
【0028】
ここで、ファイバセンサ10に搭載された設定機能の一つである微分検出について説明する。
上記のように操作することによって、例えば中層の「Pro4」の一段下位の層の機能を用いて、CPU25によって微分検出モード、並びに微分検出モード用の第2のしきい値を設定することができる。この検出方法においてCPU25は、受光量をデジタル値にA/D変換し、所定期間(例えば250ms、タイマ27の1クロックなど)における開始点と終了点との値を微分して変化量を算出し、この変化量と予め上記操作により設定された第2のしきい値とを比較し、該比較結果に基づいて被検出物Wの有無を判断する。そして、ファイバセンサ10の第1表示部14に変化量を、第2表示部15に第2のしきい値を表示する。また、ファイバセンサ10のCPU25は、物体有無の判断結果に基づき、被検出物Wの有無に応じて動作表示灯13を点灯/消灯させている。この第1表示部14,第2表示部15及び動作表示灯13により、設定した第2のしきい値、受光量及び検出結果を作業者に知らせている。
【0029】
受光信号レベルが増加すると、その増加具合により図4の微分値に示すように時刻毎に値が変わる。例えば250msの時刻毎にその微分を算出することで変化量を得ることができる。図中の時刻2と時刻3においては10、時刻3と時刻4においては8、と時刻ごとに変化量を得る事ができる。そして、受光信号レベルが減少するとその変化量は時刻7と時刻8において−84、時刻8と時刻9において−141、とマイナスの変化量を得る事ができる。この変化量のプラスマイナスを得る回数を利用することで第1表示部14の表示内容を変更させる。
【0030】
まず、受光量の微分値を計算し、その値の正負を判断し、図中の加算数の列のように、その符号が連続同一であるときのみ加算する。次に、加算された回数のうち最大のものを図中の+回数及び−回数のように、正負それぞれで保持する。そして、所定の区間(図においては時刻として16回分)で測定が終了したときに、現在の微分表示の方向(正負)によりプラスマイナスいずれか1つの保持値を選択し、同じ方向のみの加算回数により除算する。所定区間におけるプラスマイナスを合わせた加算回数が検出のプラス及びマイナス加算数における+/−回数又はそれに連動する値(例えば積分回数/2など)より小さい場合は変化無しとして「0」を表示する。
【0031】
変化量の微分値の変化を利用し、変化点を捉えため、ファイバセンサ10のデジタル表示部12及び動作表示灯13においては、図5(a)(b)に表示されるようになる。図5(a)において、デジタル表示部12の第1表示部14は現在の変化量である「39」を表示し、第2表示部15は第2のしきい値である「23」を表示している。そしてこの時、動作表示灯13は点灯している。このように、動作表示灯13の点灯時には第2のしきい値よりも大きい値が表示される。また、図5(b)において、デジタル表示部12の第1表示部14は現在の変化量である「0」を表示し、第2表示部15は第2のしきい値である「23」を表示している。このように、動作表示灯13の消灯時には第2のしきい値よりも小さい値が表示される。
【0032】
改善前の微分検出モードにおけるデジタル表示部12の表示及び動作表示灯13の動作では、次のような表示が成されていた。例えば、ファイバセンサ10の設置を投下型(投光素子21及び受光素子23の間を被検出物Wが通過するときの受光量を検出する)に設置し、この設置状態で微分検出モードを使用する。この設置状態において、受光量が低下した時には被検出物Wが通過しており、受光量が増加した時には被検出物Wが通過し終えたとCPU25は判断する。動作表示灯13はこの受光量の増減と、予め設定した第2のしきい値とを利用することで物体の有無を判断し動作表示灯13を点灯/消灯する。そして、第1表示部14には変化量を、第2表示部15には第2のしきい値を表示する。
【0033】
しかしこの設置状態において、例えば以下の場合において動作表示灯13の点灯/消灯状態と、第1表示部14の表示値とが異なる場合が起こり得る。
被検出物Wが通過している場合、図6(a)に示すように、被検出物Wが通過し始めるときは、変動量が大きくなるため動作表示灯13も点灯しているが、被検出物Wの変化点が無いために、「0」が第1表示部14に表示される。被検出物Wを検出して動作表示灯13が点灯している状態においても、第2表示部15に表示された第2のしきい値「23」より小さな値である「0」が第1表示部14に変化量として表示されるため、作業者の誤認識を招く虞がある。
【0034】
また、瞬間的にノイズが大きく検出された場合において受光量の値が大きくなり、第2のしきい値「23」を超えて第1表示部14に受光量の値が表示されてしまう時がある。この場合、動作表示灯13は被検出物Wを検出できていないため消灯している状態で変化量が表示されているため、作業者の誤認識に繋がる。
【0035】
連続同一変化があるときのみ変化量が第1表示部14に表示されるよう改善したため、本実施形態は表示と検出の相関関係を正確にし、作業者の誤認識を防ぐことが可能なファイバセンサ10を提供することができる。
【0036】
次に、本実施の形態の特徴的な作用効果を記載する。
(1)デジタル表示部12は検出信号レベルとともに第2のしきい値を表示し、動作表示灯13は、CPU25において同じ比較結果が複数回連続した場合に被検出物Wの検出状態又は非検出状態を出力するファイバセンサ10において、所定期間内の検出信号レベルをCPU25の検出結果とともに記憶するメモリ26を備える。そして、CPU25は、メモリ26に記憶される複数の検出信号レベルのうち、その時々の検出結果と同じ検出結果に対応する検出信号レベルを第1表示部14に表示する。この構成により、表示更新の際に、そのときの動作表示灯13の検出結果に対応する検出信号レベルの表示が成されるため、動作表示灯13の検出結果の出力とデジタル表示部12の表示とが一致しないという不具合が解消される。そして、これにより作業者の誤認識を防ぐことが可能なファイバセンサ10を提供することができる。
【0037】
(2)CPU25は、所定期間内において被検出物Wの検出状態となった時に、メモリ26に記憶される検出信号レベルのうち、CPU25が被検出物Wの検出状態時に対応する検出信号レベルを第1表示部14に更新表示する。これにより、所定期間毎に動作表示灯13の検出結果に対応する検出信号レベルの表示が成され、所定時間を短くすることで動作表示灯13の検出結果の出力とデジタル表示部12の表示とが一致しないという不具合を解消することができる。
【0038】
(3)CPU25は、メモリ26に記憶される検出信号レベルのうちCPU25が被検出物Wの検出状態時に対応する複数の検出信号レベルの平均値を算出し第1表示部14に更新表示する。平均値を表示するため、ノイズによるばらつきの影響を受けて変化量の表示が安定しない状態を防ぎ、作業者の誤認識を防ぐことができる。
【0039】
(4)CPU25が所定期間内に被検出物Wの非検出状態のとき、第1表示部14は所定期間内の検出信号レベルの平均値を算出し表示する。非検出状態時の表示においても平均値を表示するため、ノイズによるばらつきの影響を受けて変化量の表示が安定しない状態を防ぎ、作業者の誤認識を防ぐことができる。
【0040】
尚、本発明の実施の形態は、以下のように変更してもよい。
・微分検出モードにおいてデジタル表示部には第2のしきい値レベルと変化量をそれぞれ表示していたが、これを第1のしきい値レベル、第2のしきい値レベル、受光量、及び変化量のいずれかを組み合わせて表示してもよい。
【0041】
・受光量の検出状態を検出する際に、デジタル値に変換して積分を行ったが、アナログ値のままアナログ積分回路を使用することで積分値を得て、その積分値をデジタル値に変換してもよい。
【0042】
・所定期間を定め、その所定期間中に被検出物Wが検出された場合に変化量の算出と、被検出物Wの有無判断と、デジタル表示部12の表示更新とを行っていたが、これをデジタル表示部12の表示更新タイミングに従って行なってもよい。ただし、表示更新タイミングが所定期間より長くなると、表示更新までに時間がかかり、タイミングのずれた表示を行なう場合があるため、所定期間の設定条件は手動で変えることができるものとする。
【0043】
・被検出物Wの検出時及び非検出時に第1表示部14の表示を検出した状態に応じた検出信号レベルにて更新表示する機能と、更新表示時にその時々の検出状態に応じた検出信号レベルを更新表示する機能とを備えた検出センサに具体化してもよい。
【0044】
・第2表示部15には検出レベル信号に応じた値を表示していたが、CPU25はメモリ26に、複数回連続した所定期間内における動作表示灯13と同じ比較結果と、検出された複数回の検出信号レベルとともに、該複数回の検出信号レベルより移動平均値を算出して記憶する。そして、ファイバセンサ10の検出結果が所定期間内にて被検出物Wの非検出状態のとき、CPU25は、更新表示の際に、ファイバセンサ10の検出結果と同じ検出結果に対応する移動平均値のうちの最大値を検出信号レベルに替えて第2表示部15に表示してもよい。これにより、検出信号レベルに応じて新しいしきい値を設定する場合に、作業者にその指標を示すことができ、しきい値を設定しやすくなる。
【0045】
また、この時メモリ26に、被検出物Wの非検出状態のときにのみ、複数回連続した所定期間内における動作表示灯13と同じ比較結果と、検出された複数回の検出信号レベルとともに、該複数回の検出信号レベルより移動平均値を算出して記憶する構成としてもよい。これにより、メモリ26の使用量を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】ファイバセンサの上面図。
【図2】ファイバセンサの電気的構成を示すブロック図。
【図3】(a)(b)は機能の階層構造を示す説明図。
【図4】受光量の変化を示す説明図。
【図5】(a)(b)はデジタル表示部の表示態様を示す説明図。
【図6】(a)(b)は従来のデジタル表示部の表示態様を示す説明図。
【符号の説明】
【0047】
10…ファイバセンサ、12…デジタル表示部、13…動作表示灯、14…第1表示部、15…第2表示部、16,17…選択スイッチ、18…決定スイッチ、21…投光素子、23…受光素子、25…CPU、W…被検出物。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検出物の検出状態に応じたレベルの検出信号を出力する物理量検出手段と、
前記検出信号を受け、その検出信号レベルを所定期間ごとに更新表示する表示手段と、
被検出信号レベルと予め設定されたしきい値レベルとを比較して前記被検出物の検出を行なう検出手段と、
前記検出手段の検出結果に基づき、検出状態又は非検出状態を出力する出力手段と、
を有し、
前記表示手段は前記検出信号レベルとともに前記しきい値レベルを表示し、
前記出力手段は、前記検出手段において同じ比較結果が複数回連続した場合に前記被検出物の検出状態又は非検出状態を出力する検出センサにおいて、
前記所定期間内の前記検出信号レベルを前記検出手段の検出結果とともに記憶する記憶手段を備え、
前記表示手段は、前記記憶手段に記憶される複数の検出信号レベルのうち、前記検出手段の検出結果と同じ検出結果に対応する検出信号レベルを表示する、ことを特徴とする検出センサ。
【請求項2】
前記表示手段は、更新表示の際に、前記記憶手段に記憶される複数の検出信号レベルのうち、前記検出手段の検出結果と同じ検出結果に対応する検出信号レベルを更新表示する、ことを特徴とする請求項1記載の検出センサ。
【請求項3】
前記表示手段は、前記所定期間内において前記検出手段が前記被検出物の検出状態となった時に、前記記憶手段に記憶される検出信号レベルのうち、前記検出手段が前記被検出物の検出状態時に対応する検出信号レベルを更新表示する、ことを特徴とする請求項1記載の検出センサ。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一項に記載の検出センサにおいて、
前記表示手段は、前記記憶手段に記憶される検出信号レベルのうち前記検出手段が前記被検出物の検出状態時に対応する複数の検出信号レベルの平均値を算出し更新表示することを特徴とする検出センサ。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか一項に記載の検出センサにおいて、
前記検出手段が前記所定期間内に前記被検出物の非検出状態のとき、前記表示手段は前記所定期間内の検出信号レベルの平均値を算出し表示することを特徴とする検出センサ。
【請求項6】
請求項1,3乃至5の何れか一項に記載の検出センサにおいて、
前記記憶手段は、複数回連続した前記所定期間内における前記出力手段と同じ比較結果と、検出された複数回の検出信号レベルとともに、前記複数回の検出信号レベルより移動平均値を算出して記憶し、
前記検出手段の検出結果が前記所定期間内にて前記被検出物の非検出状態のとき、
前記表示手段は、更新表示の際に、前記検出手段の検出結果と同じ検出結果に対応する移動平均値のうちの最大値を検出信号レベルに替えて表示することを特徴とする検出センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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