説明

検出装置及び検出方法

【課題】違法動画コンテンツ情報を検出する際の作業負荷を低減することが可能な検出装置及び検出方法を提供する。
【解決手段】コンテンツ提供事業者によって提供された第1動画コンテンツ情報をコピーした違法動画コンテンツ情報を検出する検出装置であって、第2動画コンテンツ情報を取得する取得部と、取得された第2動画コンテンツ情報に、コンテンツ提供事業者を識別する識別画像情報が含まれているか否かを判定する判定部と、判定部においてコンテンツ提供事業者を識別する識別画像情報が含まれていると判定された場合、第2動画コンテンツ情報を違法動画コンテンツ情報として検出する検出部とを備え、識別画像情報は、コンテンツ提供事業者によって第1動画コンテンツ情報に含められて提供されているとともに、第1動画コンテンツ情報を表示した際に、第1コンテンツ情報を提供するコンテンツ提供事業者を識別する識別画像として表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテンツ提供事業者によって提供された動画コンテンツ情報をコピーした違法動画コンテンツ情報を検出する検出装置及び検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、テレビ局などの放送事業者を含むコンテンツ提供事業者から、様々な動画コンテンツ情報が提供されている。これらの動画コンテンツ情報の多くは、動画コンテンツ情報を表示した際、コンテンツ提供事業者を識別するロゴマーク(識別画像)が表示されるため、ユーザは、視聴している動画コンテンツ情報を提供する放送事業者などのコンテンツ提供事業者を容易に認識することができる。
【0003】
ところで、近年では、インターネット等の通信技術の普及とともに、データ圧縮技術の発達によって、様々な動画コンテンツ情報をアップロード又はダウンロードすることができるようになった。
【0004】
このような動画コンテンツ情報には、コンテンツ提供事業者が著作権を有する動画コンテンツ情報をコピーした違法動画コンテンツ情報が数多く存在している。そこで、このような違法動画コンテンツ情報が広まることを防止する検出装置が提案されており、その一つにフィンガープリント技術を用いた検出装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
以下に、一例として、フィンガープリント技術を用いた検出装置の構成について説明する。かかる検出装置では、コンテンツ提供事業者によって提供された動画コンテンツ情報における所定期間の画像フレーム情報の空間及び時間域特徴を得るとともに、この空間及び時間域特徴を第一のフィンガープリントとして取得する。一方、かかる検出装置は、インターネット等にアップロードされている動画コンテンツ情報に対しても、同様に空間及び時間域特徴を得るとともに、この空間及び時間域特徴を第二のフィンガープリントとして取得する。
【0006】
そして、かかる検出装置は、取得した第一のフィンガープリントと第二のフィンガープリントとを比較して、これらが一致又は近似値であると判定した場合には、アップロードされている動画コンテンツ情報を違法動画コンテンツ情報として検出するように構成されている。
【0007】
このような検出装置を用いれば、コンテンツ提供事業者によって提供された動画コンテンツ情報に含まれる全ての情報と、アップロードされている動画コンテンツ情報に含まれる全ての情報とを比較することなく、違法動画コンテンツ情報を検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特表2009−535920号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、インターネット等にアップロードされている動画コンテンツ情報は膨大な数が存在する。更に、コンテンツ提供事業者によって提供された動画コンテンツ情報についても、例えば、テレビ局などの放送事業者によって毎日異なる放送コンテンツ情報が送信されるため、膨大な数が存在する。
【0010】
したがって、従来の検出装置では、違法動画コンテンツ情報を検出する場合、アップロードされている動画コンテンツ情報とコンテンツ提供事業者によって提供された動画コンテンツ情報とに対して、一つ一つフィンガープリントを算出する処理を実行しなければならないため、作業負荷が非常に大きいという問題があった。
【0011】
更に、従来の検出装置では、コンテンツ提供事業者によって提供された動画コンテンツ情報とアップロードされている動画コンテンツ情報とにおいて、同一の場面、つまり同一期間の画像フレーム情報に対応するフィンガープリントを比較しなければならず、この期間を特定するための作業負荷も大きいという問題があった。
【0012】
そこで、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、違法動画コンテンツ情報を検出する際の作業負荷を低減することが可能な検出装置及び検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した問題を解決するため、本発明は、次のような特徴を有している。本発明の第1の特徴は、コンテンツ提供事業者(例えば、放送事業者2)によって提供された第1動画コンテンツ情報(例えば、放送コンテンツ情報)をコピーした違法動画コンテンツ情報を検出する検出装置(検出装置10)であって、第2動画コンテンツ情報(例えば、アップロードされている動画コンテンツ情報)を取得する取得部(動画コンテンツ取得部11)と、取得された前記第2動画コンテンツ情報に、前記コンテンツ提供事業者を識別する識別画像情報(例えば、放送事業者のロゴマーク情報)が含まれているか否かを判定する判定部(判定部14)と、前記判定部において前記コンテンツ提供事業者を識別する識別画像情報が含まれていると判定された場合、前記第2動画コンテンツ情報を前記違法動画コンテンツ情報として検出する検出部(検出部15)とを備え、前記識別画像情報は、前記コンテンツ提供事業者によって前記第1動画コンテンツ情報に含められて提供されているとともに、前記第1動画コンテンツ情報を表示した際に、前記第1コンテンツ情報を提供する前記コンテンツ提供事業者を識別する識別画像として表示されることを要旨とするものである。
【0014】
かかる特徴によれば、検出装置は、コンテンツ提供事業者を識別する識別画像情報が、第2動画コンテンツ情報に含まれているか否かを判定し、前記識別画像情報が含まれていると判定された場合、かかる動画コンテンツを違法動画コンテンツ情報として検出する。ここで、識別画像情報は、第1動画コンテンツ情報に含めて送信されているとともに、第1動画コンテンツ情報を表示した際に、第1動画コンテンツ情報を送信するコンテンツ提供事業者を識別する識別画像として表示される。つまり、識別画像情報は、ユーザ(視聴者)が第1動画コンテンツ情報を視聴する際、視聴している第1動画コンテンツ情報のコンテンツ提供事業者を認識できるように、第1動画コンテンツ情報に元々含められている情報である。
【0015】
よって、かかる検出装置によれば、コンテンツ提供事業者を識別する識別画像情報を取得さえしておけば、第1動画コンテンツ情報をコピーした違法動画コンテンツ情報を検出することができるので、従来の検出装置ように、第1動画コンテンツ情報及び第2動画コンテンツ情報の一つ一つに対して、フィンガープリントを生成する処理が不要になるため、作業負荷を低減できる。
【0016】
さらに、従来の検出装置では、第1動画コンテンツ情報と第2動画コンテンツ情報とにおいて、時間軸方向で同じ期間の画像フレーム情報のフィンガープリントを比較しなければならなかったため、同じ期間を特定する処理を実行しなければならなかった。しかし、本発明に係る検出装置によれば、第1動画コンテンツ情報と第2動画コンテンツ情報とにおいて、時間軸方向の期間を特定する必要はないため、これらの処理を実行する作業負荷を低減できる。
【0017】
このように、本発明に係る検出装置によれば、違法動画コンテンツ情報を検出する際の作業負荷を低減することできる。
【0018】
本発明の第2の特徴は、上記特徴に係り、第2動画コンテンツ情報は、複数の画像フレーム情報を含んでおり、前記判定部は、前記画像フレーム情報の所定領域に前記識別画像情報が含まれているか否かを判定し、前記所定領域は、前記複数の画像フレーム情報のそれぞれにおける位置が同一であることを要旨とする。
【0019】
かかる特徴によれば、検出装置は、複数の画像フレーム情報に対して、識別画像情報が含まれているか否かを判定する際、位置が同一の所定領域に着目して判定すればよいので、フレーム内の全ての画像情報と識別画像情報とを判定する場合と比べて、処理負荷を低減できる。
【0020】
本発明の第3の特徴は、本発明の第1乃至2の何れか1つの特徴に係り、前記第2動画コンテンツ情報は、複数の画像フレーム情報を含んでおり、前記検出部は、前記判定部によって、前記複数の画像フレーム情報の内、一の前記画像フレーム情報に前記識別画像情報が含まれていると判定された場合、前記第2動画コンテンツ情報を前記違法動画コンテンツ情報として検出することを要旨とするものである。
【0021】
かかる特徴によれば、検出装置は、全ての画像フレーム情報の判定結果に基づかなくとも、違法動画コンテンツ情報を検出することができるので、作業負荷を低減できる。
【0022】
さらに、従来の検出装置では、第1動画コンテンツ情報と第2動画コンテンツ情報とにおいて、時間軸方向で同じ期間の画像フレーム情報のフィンガープリントを比較しなければならなかったため、同じ期間を特定する処理を実行しなければならなかった。本発明に係る検出装置によれば、一の画像フレーム情報に識別画像情報が含まれているか否かを判定すれば、時間軸方向の画像フレーム情報に関係なく違法動画コンテンツ情報を検出することができるので、作業負荷を低減できる。
【0023】
本発明の第4の特徴は、コンテンツ提供事業者によって提供された第1動画コンテンツ情報をコピーした違法動画コンテンツ情報を検出する検出方法であって、第2動画コンテンツ情報を取得する取得ステップ(ステップS2)と、取得された前記第2動画コンテンツ情報に、前記コンテンツ提供事業者を識別する識別画像情報が含まれているか否かを判定する判定ステップ(ステップS5)と、前記判定ステップにおいて前記コンテンツ提供事業者を識別する識別画像情報が含まれていると判定された場合、前記第2動画コンテンツ情報を前記違法動画コンテンツ情報として検出する検出ステップ(ステップS6)とを備え、前記識別画像情報は、前記コンテンツ提供事業者によって前記第1動画コンテンツ情報に含められて提供されているとともに、前記第1動画コンテンツ情報を表示した際に、前記第1動画コンテンツ情報を提供する前記コンテンツ提供事業者を識別する識別画像として表示されることを要旨とするものである。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、違法動画コンテンツ情報を検出する際の作業負荷を低減することが可能な検出装置及び検出方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、本発明の実施形態に係る検出システムの構成図である。
【図2】図2(a)は、本発明の実施形態に係る動画コンテンツテーブルの一例を示す図である。図2(b)は、本発明の実施形態に係る識別画像テーブルの一例を示す図である。
【図3】図3(a)は、本発明の実施形態に係る識別画像情報を表示した識別画像の一例を示す図である。図3(b)は、本発明の実施形態に係る識別画像情報を表示した際の識別画像の一例を示す図である。
【図4】図4は、本発明の実施形態に係る検出装置の構成図である。
【図5】図5は、動画コンテンツ情報における画像フレーム情報を説明するための図である。
【図6】図6は、参照画像フレーム情報における所定領域を説明するための図である。
【図7】図7は、本発明の実施形態に係る検出装置の動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(第1の実施形態)
本発明に係る検出システム及び検出装置の第1の実施形態について、図面を参照して説明する。具体的には、(1)検出システムの概略構成、(2)検出装置の構成、(3)検出装置の動作(4)作用・効果について説明する。なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一または類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、本発明に関係する部分のみを概念的に示している。
【0027】
(1)検出システムの概略構成
図1乃至3を参照して本実施形態に係る検出システムの概略構成を説明する。本実施形態に係る検出システムは、コンテンツ提供事業者によって提供された動画コンテンツ情報(第1動画コンテンツ情報)をコピーした違法動画コンテンツ情報を検出するように構成されている。ここで、本実施形態では、コンテンツ提供事業者をテレビ局などの放送事業者として説明する。なお、コンテンツ提供事業者には、ドラマ、アニメーション、スポーツ、映画など、コンテンツ情報を提供する様々な事業者が含まれることに留意すべきである。また、本実施形態では、コンテンツ提供事業者によって提供された動画コンテンツ情報を、放送事業者から放送される放送コンテンツ情報として説明する。なお、かかる動画コンテンツ情報は、放送コンテンツ情報に限定されるものではなく、様々なコンテンツ提供事業者によって提供される動画コンテンツ情報が含まれることに留意すべきである。
【0028】
図1には、本実施形態に係る検出システム1の全体構成が示されている。図1に示すように、本実施形態に係る検出システム1は、放送事業者2とネットワーク3とに接続されている。また、本実施形態に係る検出システム1は、動画コンテンツデータベース5と識別画像データベース6と検出装置10とを有する。
【0029】
放送事業者2は、放送波を用いて公衆向けに放送コンテンツ情報を送信するテレビ局、ケーブルテレビ(CATV)局、衛星放送局などである。また、ネットワーク3は、インターネットなどの通信網を想定している。なお、放送コンテンツ情報は、デジタル情報であってもよいし、アナログ情報であってもよい。
【0030】
動画コンテンツデータベース5は、ネットワークを介して、動画コンテンツ情報(第2動画コンテンツ情報)を記憶するコンテンツサーバ4から、動画コンテンツ情報を取得するとともに、取得した動画コンテンツ情報を記憶するように構成されている。具体的に、動画コンテンツデータベース5は、図2(a)に示す動画コンテンツテーブルを有しており、かかる動画コンテンツテーブルに示されるように、取得した動画コンテンツ情報と、取得先のサーバのアドレス情報と、動画コンテンツ情報を識別するIDとを関連付けて記憶するように構成されている。なお、動画コンテンツデータベース5は、フラッシュメモリなどの記憶媒体を介して、動画コンテンツ情報を取得するように構成されていてもよい。
【0031】
ここで、アドレス情報は、取得先のサーバを特定できる情報であればどのような情報でもよく、例えば、インターネットのURLなどでもよい。また、動画コンテンツ情報は、MPEG2形式などのように、圧縮された情報を想定しており、複数の画像フレーム情報を含んでいる。具体的に、動画コンテンツ情報は、画像フレーム情報として、フレーム領域内の全領域に画像情報を有する参照画像フレーム情報(Iフレーム情報)や、当該参照画像フレーム情報に基づいて時間軸方向に予測された予測画像フレーム情報(Bフレーム情報及びPフレーム情報)などを有する。なお、上述の例では、動画コンテンツ情報は、圧縮されている場合を例に挙げたが、非圧縮の情報であってもよい。
【0032】
識別画像データベース6は、放送事業者2から、放送事業者2を識別する識別画像情報を取得して、取得した識別画像情報を記憶するように構成されている。具体的に、識別画像データベース6は、図2(b)に示す識別画像テーブルを有しており、かかる識別画像テーブルに示されるように、識別画像情報と、識別画像情報を識別する識別画像IDとを関連付けて記憶するように構成されている。なお、識別画像データベース6は、ネットワークを介して、放送事業者2から識別画像情報を取得するように構成されていてもよいし、フラッシュメモリなどの記憶媒体を介して、動画コンテンツ情報を取得するように構成されていてもよい。
【0033】
ここで、識別画像情報は、放送事業者2によって放送コンテンツ情報に含められて送信されている情報である。また、識別画像情報は、放送コンテンツ情報を表示した際に、放送コンテンツ情報を送信する放送事業者2を識別する識別画像として、例えば、放送コンテンツ情報の表示画像の端に表示される。本実施形態では、識別画像が表示画像の右上の位置に固定されて表示される場合を例に挙げて説明する。なお、識別画像が表示される位置はこれに限定されず、どのような位置でもよい。
【0034】
図3(a)乃至(b)には、識別画像情報を表示した際の識別画像の一例が示されている。図3(a)乃至(b)に示すように、識別画像は、放送事業者を識別するロゴマークなどであり、特定のキャラクター画像などでもよい。このように、識別画像情報は、ユーザ(視聴者)が、視聴している放送コンテンツ情報の放送事業者を認識できるように、放送コンテンツ情報に元々含まれている情報である。
【0035】
検出装置10は、動画コンテンツデータベース5と識別画像データベース6とに接続されている。また、検出装置10は、放送事業者2によって送信された放送コンテンツ情報をコピーした違法動画コンテンツ情報を検出するように構成されている。
【0036】
(2)検出装置の構成
図4乃至6を参照して、本実施形態に係る検出装置10の構成について説明する。図4に示すように、本実施形態に係る検出装置10は、動画コンテンツ取得部11と、識別画像取得部12と、抽出部13と、判定部14と、検出部15とを有する。なお、検出装置10は、半導体メモリなども有しているがここでは説明を省略する。
【0037】
動画コンテンツ取得部11は、動画コンテンツデータベース5に接続されており、動画コンテンツデータベース5から動画コンテンツ情報を取得する。
【0038】
識別画像取得部12は、識別画像データベース6に接続されており、識別画像データベース6から、識別画像情報と識別画像IDとを取得する。
【0039】
抽出部13は、動画コンテンツ取得部11から動画コンテンツ情報とコンテンツIDとを取得し、取得した動画コンテンツ情報から、参照画像フレーム情報を抽出する。具体的に、抽出部13は、図5に示すように、動画コンテンツ情報に含まれる参照画像フレーム情報(Iフレーム情報)や予測画像フレーム情報(B、Pフレーム情報)などの画像フレーム情報の中から、参照画像フレーム情報を抽出する。
【0040】
判定部14は、取得された動画コンテンツ情報に、放送事業者2を識別する識別画像情報が含まれているか否かを判定する。具体的に、判定部14は、抽出部13で抽出された参照画像フレーム情報と、これに対応するコンテンツIDとを取得するとともに、識別画像取得部12から一つ又は複数の識別画像情報と識別画像IDとを取得する。また、判定部14は、取得した参照画像フレーム情報の所定領域に識別画像情報が含まれているかを判定する。ここで、所定領域とは、図6に示すように、画像フレーム情報におけるフレーム座標(X1、Y1)及び(X2、Y2)内の領域であり、画像フレーム情報の全体の領域よりも面積が小さい。
【0041】
なお、この所定領域Zは、複数の画像フレーム情報のそれぞれにおける位置が同一である。また、本実施形態では、識別画像が表示画像の右上の位置に表示されるため、図6に示すように、所定領域Zが、画像フレーム情報の右上の位置である場合を例に挙げて説明するが、所定領域Zは、識別画像の領域を含む領域であればどのような位置でもよい。
【0042】
また、判定部14は、フレーム座標(X1、Y1)及び(X2、Y2)を予め記憶しており、参照画像フレーム情報における所定領域Zの画像情報と識別画像情報とを比較し、一致度合いを示す差分量を算出する。具体的に、判定部14は、参照画像フレーム情報の所定領域Zにおける画素の画素値と、識別画像情報における画素の画素値との差分値の総和を、差分量として算出する。
【0043】
ここで、参照画像フレーム情報の所定領域Zにおける面積は、識別画像情報の画像領域の面積よりも大きい。よって、判定部14は、差分量を算出する際、参照画像フレーム情報の所定領域Z内において、識別画像情報の画像領域を画素単位で移動させながら、所定領域Zと識別画像情報の画像領域との重複領域における差分量を算出する。そして、判定部14は、所定領域Z内の全ての領域において、識別画像情報の画像領域の移動が完了した際、算出した全ての差分量の内、最も小さい差分量を判定結果として特定する。
【0044】
また、判定部14は、予め定められた差分量の閾値を記憶しており、算出した差分量が閾値以下であるか否かを判定する。判定部14は、差分量が閾値以下である場合、動画コンテンツ情報の参照画像フレーム情報に識別画像情報が含まれていると判定し、当該動画コンテンツ情報に対応するコンテンツIDを検出部15に通知する。
【0045】
検出部15は、判定部14において放送事業者2を識別する識別画像情報が含まれていると判定された場合、動画コンテンツ情報を、放送コンテンツ情報をコピーした違法動画コンテンツ情報として検出する。具体的に、検出部15は、判定部14からコンテンツIDを取得し、取得したコンテンツIDに対応する動画コンテンツ情報を違法動画コンテンツ情報として検出する。また、検出部15は、判定部14によって複数の参照画像フレーム情報の内、一の参照画像フレーム情報に識別画像情報が含まれていると判定され、コンテンツIDが通知された場合、当該コンテンツIDに対応する動画コンテンツ情報を違法動画コンテンツ情報として検出する。
【0046】
なお、検出部15は、通知されたコンテンツIDを、例えば、サーバに警告するための通知装置(図示せず)等に出力してもよい。この場合、かかる通知装置は、動画コンテンツデータベース5から、コンテンツIDに対応するアドレス情報を取得すれば、アドレス先のサーバなどに、アップロードされている動画コンテンツ情報が違法動画コンテンツ情報であることを通知できる。
【0047】
(3)検出装置の動作
以下に、本実施形態に係る検出装置10の動作について、図7を参照して説明する。図7は、本実施形態に係る検出装置10の動作を示すフローチャートである。
【0048】
図7に示すように、ステップS1において、識別画像取得部12は、識別画像データベース6から、識別画像情報と識別画像IDを取得する。なお、このとき、識別画像取得部12は、識別画像データベース6に記憶されている全ての識別画像情報と識別画像IDとを取得してもよい。
【0049】
ステップS2において、動画コンテンツ取得部11は、動画コンテンツデータベース5から動画コンテンツ情報を取得する。
【0050】
ステップS3において、抽出部13は、動画コンテンツ取得部11から動画コンテンツ情報とコンテンツIDとを取得し、取得した動画コンテンツ情報から、一つ又は複数の参照画像フレーム情報を抽出する。
【0051】
ステップS4において、判定部14は、抽出部13で抽出された参照画像フレーム情報と、コンテンツIDとを取得するとともに、識別画像取得部12から識別画像情報と識別画像IDとを取得する。また、判定部14は、取得した参照画像フレーム情報の所定領域Zの画像情報と、識別画像情報との差分量を算出する。
【0052】
ステップS5において、判定部14は、画像フレーム情報の所定領域Zに識別画像情報が含まれているか否かを判定する。具体的に、判定部14は、算出した差分量が予め定められた閾値以下であるか否かを判定する。なお、判定部14は、識別画像取得部12から複数の識別画像情報を取得した場合、複数の識別画像情報のそれぞれに基づいて、画像フレーム情報の所定領域Zに識別画像情報が含まれているか否かを判定してもよい。
【0053】
ステップS6において、判定部14は、差分量が閾値以下であると判定した場合(ステップS5において“Yes”の場合)、動画コンテンツ情報の参照画像フレーム情報に識別画像情報が含まれていると判定し、動画コンテンツ情報に対応するコンテンツIDを検出部15に通知する。なお、判定部14は、複数の参照画像フレーム情報の内、一の参照画像フレーム情報に識別画像情報が含まれていると判定した場合、つまり、差分量が閾値以下である場合、動画コンテンツ情報に対応するコンテンツIDを検出部15に通知し、残りの参照画像フレーム情報に対応する差分量については判定しない。
【0054】
また、検出部15は、判定部14によって一の画像フレーム情報に識別画像情報が含まれていると判定された場合、つまり、一のコンテンツIDを取得した場合、当該コンテンツIDに対応する動画コンテンツ情報を違法動画コンテンツ情報として検出する。
【0055】
ステップS7において、判定部14は、差分量が閾値以下でないと判定した場合(ステップS5において“No”の場合)、参照画像フレーム情報に識別画像情報が含まれていないと判定し、検出部15には何も通知しない。よって、検出部15は、動画コンテンツ情報を違法動画コンテンツ情報として検出しない。
【0056】
このようにして、検出装置10は、違法動画コンテンツ情報を検出する動作を実行する。なお、ステップS1の動作と、ステップS2の動作は、いずれを先に実行してもよい。また、検出装置10は、複数の動画コンテンツ情報のそれぞれに対して、ステップS2乃至S7の動作を繰り返し実行して、対象の動画コンテンツ情報が違法動画コンテンツ情報であるか否かを判定してもよい。
【0057】
(4)作用・効果
本実施形態に係る検出装置10では、判定部14が、動画コンテンツ情報の参照画像フレーム情報と識別画像情報とに基づいて、差分量を算出する。また、判定部14は、差分量が閾値以下である場合、放送事業者2を識別する識別画像情報が動画コンテンツ情報に含まれていると判定し、検出部15にコンテンツIDを通知する。この通知を受けた検出部15は、コンテンツIDに対応する動画コンテンツを違法動画コンテンツ情報として検出する。
【0058】
よって、かかる検出装置10によれば、放送事業者2を識別する識別画像情報を取得さえしておけば、違法動画コンテンツ情報を検出することができるので、従来の検出装置ように、放送コンテンツ情報及び動画コンテンツ情報の一つ一つに対して、フィンガープリントを生成する処理が不要になるため、作業負荷を低減できる。
【0059】
さらに、従来の検出装置では、放送コンテンツ情報と動画コンテンツ情報とにおいて、時間軸方向で同じ期間(同じ場面)の画像フレーム情報のフィンガープリントを比較しなければならなかったため、同じ期間を特定する処理を実行しなければならなかった。しかし、本実施形態に係る検出装置10によれば、判定部14が、動画コンテンツ情報に識別画像情報が含まれているか否かを判定し、検出部15が、判定結果に応じて、違法動画コンテンツ情報を検出するので、放送コンテンツ情報と動画コンテンツ情報とにおいて、時間軸方向で同じ期間の画像フレーム情報を特定する必要はないため、これらの処理を実行する作業負荷を低減できる。
【0060】
また、本実施形態に係る検出装置10では、判定部14が、参照画像フレーム情報などの画像フレーム情報の中に識別画像情報が含まれているか否かを判定する際、複数の参照画像フレーム情報のそれぞれにおける位置が同一の所定領域Zの画像と、識別画像情報の画像との差分量を算出する。よって、本実施形態に係る検出装置10では、位置が同一の所定領域Zに着目して差分量を算出すればよいので、フレーム内の全ての画像情報と、識別画像情報との差分量を算出する場合と比べて、作業負荷を低減できる。
【0061】
また、本実施形態に係る検出装置10では、判定部14が、動画コンテンツ情報における複数の参照画像フレーム情報の内、一の参照画像フレーム情報に識別画像情報が含まれていると判定した場合、検出部15が、当該動画コンテンツ情報を違法動画コンテンツ情報として検出する。よって、本実施形態に係る検出装置10では、全ての画像フレーム情報を対象に、識別画像情報が含まれているか否かを判定しなくとも、違法動画コンテンツ情報を検出することができ、作業負荷を低減できる。
【0062】
このように、本発明に係る検出装置10によれば、違法動画コンテンツ情報を検出する際の作業負荷を低減することできる。
【0063】
(第2の実施形態)
以下に、本発明に係る検出装置の第2の実施形態について説明する。なお、本実施形態では、検出装置10における判定部14及び検出部15の構成を除き、他の構成は上述の実施形態と同様である。
【0064】
上述の実施形態では、検出装置10は、一の参照画像フレーム情報に識別画像情報が含まれていると判定された場合、動画コンテンツ情報を違法動画コンテンツ情報として検出するように構成されていたが、本実施形態では、検出装置10は、参照画像フレーム情報に識別画像情報が含まれていると判定した数が所定回数以上である場合、かかる動画コンテンツ情報を違法動画コンテンツ情報として検出する。
【0065】
具体的に、判定部14は、一の参照画像フレーム情報に識別画像情報が含まれていると判定した場合、この回数をカウントする。引き続き、判定部14は、他の参照画像フレーム情報に識別画像情報が含まれているか否かを判定する。つまり、判定部14は、ステップS4乃至S7の処理を繰り返し実行する。また、判定部14は、参照画像フレーム情報に識別画像情報が含まれていると判定した回数が、予め定められた所定回数以上であった場合、コンテンツIDを検出部15に通知する。
【0066】
検出部15は、判定部14からコンテンツIDが通知された場合、かかる動画コンテンツ情報を違法動画コンテンツ情報として検出する。
【0067】
このように、本実施形態に係る検出装置10によれば、参照画像フレーム情報に識別画像情報が含まれていると判定した回数が所定回数以上である場合、対象の動画コンテンツ情報を違法動画コンテンツ情報として検出するので、一回の判定結果に基づいて違法動画コンテンツ情報を検出する場合と比べて、違法動画コンテンツ情報の検出精度を向上させることができる。
【0068】
(その他の実施形態)
上述したように、本発明の実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0069】
例えば、検出装置10は、専用のハードウェアとして用意されてもよい。また、CPU等の制御部によって実行されるソフトウェアモジュールとして実現されてもよい。従って、図7に示した処理は、かかるソフトウェアモジュールを実行するプログラムによって、検出装置10を動作させることで実現できる。
【0070】
また、上述の実施形態では、放送コンテンツ情報をコピーした動画コンテンツ情報を、違法動画コンテンツ情報として説明したが、かかる動画コンテンツ情報は、コピーする権利を有するユーザがコピーした動画コンテンツ情報である場合もある。つまり、上述の違法動画コンテンツ情報には、違法に限らず、放送コンテンツ情報をコピーした動画コンテンツ情報であればどのようなものでも含まれることに留意すべきである。
【0071】
また、上述の実施形態では、放送事業者を識別する識別画像情報の識別画像は、ロゴマークなどを例に挙げて説明した。しかし、放送コンテンツ情報をコピーした動画コンテンツ情報には、反転処理などの所定の処理が施された動画コンテンツ情報も多く存在する。よって、かかる識別画像情報は、ロゴマークなどの識別画像に反転処理などの所定の処理を実行した処理後の画像情報を、識別画像情報としてもよい。
【0072】
このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態などを含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0073】
Z…所定領域、1…検出システム、2…放送事業者、3…ネットワーク、4…コンテンツサーバ、5…動画コンテンツデータベース、6…識別画像データベース、10…検出装置、11…動画コンテンツ取得部、12…識別画像取得部、13…抽出部、14…判定部、15…検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツ提供事業者によって提供された第1動画コンテンツ情報をコピーした違法動画コンテンツ情報を検出する検出装置であって、
第2動画コンテンツ情報を取得する取得部と、
取得された前記第2動画コンテンツ情報に、前記コンテンツ提供事業者を識別する識別画像情報が含まれているか否かを判定する判定部と、
前記判定部において前記コンテンツ提供事業者を識別する識別画像情報が含まれていると判定された場合、前記第2動画コンテンツ情報を前記違法動画コンテンツ情報として検出する検出部とを備え、
前記識別画像情報は、前記コンテンツ提供事業者によって前記第1動画コンテンツ情報に含められて提供されているとともに、前記第1動画コンテンツ情報を表示した際に、前記第1コンテンツ情報を提供する前記コンテンツ提供事業者を識別する識別画像として表示される
ことを特徴とする検出装置。
【請求項2】
前記第2動画コンテンツ情報は、複数の画像フレーム情報を含んでおり、
前記判定部は、前記画像フレーム情報の所定領域に前記識別画像情報が含まれているか否かを判定し、
前記所定領域は、前記複数の画像フレーム情報のそれぞれにおける位置が同一である
ことを特徴とする請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
前記第2動画コンテンツ情報は、複数の画像フレーム情報を含んでおり、
前記検出部は、前記判定部によって、前記複数の画像フレーム情報の内、一の前記画像フレーム情報に前記識別画像情報が含まれていると判定された場合、前記第2動画コンテンツ情報を前記違法動画コンテンツ情報として検出する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれか一項に記載の検出装置。
【請求項4】
コンテンツ提供事業者によって提供された第1動画コンテンツ情報をコピーした違法動画コンテンツ情報を検出する検出方法であって、
第2動画コンテンツ情報を取得する取得ステップと、
取得された前記第2動画コンテンツ情報に、前記コンテンツ提供事業者を識別する識別画像情報が含まれているか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップにおいて前記コンテンツ提供事業者を識別する識別画像情報が含まれていると判定された場合、前記第2動画コンテンツ情報を前記違法動画コンテンツ情報として検出する検出ステップとを備え、
前記識別画像情報は、前記コンテンツ提供事業者によって前記第1動画コンテンツ情報に含められて提供されているとともに、前記第1動画コンテンツ情報を表示した際に、前記第1動画コンテンツ情報を提供する前記コンテンツ提供事業者を識別する識別画像として表示される
ことを特徴とする検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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