検品装置、検品方法、及びプログラム
【課題】表面用の読み取りセンサーを通過するときのシートの斜行量と裏面用の読み取りセンサーを通過するときのシートの斜行量とが異なる場合であっても、シートの表面と裏面の両方に対して正確に検品処理を実行する。
【解決手段】両面印刷されたシートに対して検品処理を実行する場合には、表面用の読み取りセンサー406と裏面用の読み取りセンサー407のそれぞれでシート504の斜行量を算出する。そして表面と裏面それぞれの検品画像データを生成する場合には、表面と裏面のそれぞれで算出した斜行量に基づいて、表面と裏面のそれぞれに対して斜行補正を実行する。
【解決手段】両面印刷されたシートに対して検品処理を実行する場合には、表面用の読み取りセンサー406と裏面用の読み取りセンサー407のそれぞれでシート504の斜行量を算出する。そして表面と裏面それぞれの検品画像データを生成する場合には、表面と裏面のそれぞれで算出した斜行量に基づいて、表面と裏面のそれぞれに対して斜行補正を実行する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検品装置、検品方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、POD(Print On Demand)機などの印刷システムにおいて、印刷処理が実行されたシートに対して印刷不良の有無を判定する検品処理が実行されている。例えば特許文献1は、表面用の読み取りセンサーと裏面用の読み取りセンサーの2つの読み取りセンサーを用いることで、両面印刷されたシートに対する検品処理を実行する構成を開示している。
また、検品処理については、印刷処理が実行されたシートが検品部に搬送されるまでの間にシートが斜行する可能性がある。斜行したシートに対して検品処理を実行するためには、シートの斜行を補正したうえで検品処理を実行する必要がある。このシートの斜行の補正の方法としては、例えば特許文献2にはシートの端部がセンサーを横切る時間に基づいて斜行量を算出し、そしてシートの斜行を補正する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−123106号公報
【特許文献2】特開平10−081432号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のように表面用の読み取りセンサーが先行してシートを読み取るセンサーの場合、先行する表面用の読み取りセンサーで算出した斜行量を用いて、裏面用の読み取りセンサーで読み取った裏面の画像の斜行補正を行うことができる。しかしながら、例えば表面用の読み取りセンサーと裏面用の読み取りセンサーとが離されて配置された場合には、表面用の読み取りセンサーを通過するときのシートの斜行量と、裏面用の読み取りセンサーを通過するときのシートの斜行量とが異なる場合が発生する。従って、表面用の読み取りセンサーで算出した斜行量を裏面の画像の斜行補正に用いた場合、裏面の画像の斜行補正が正確に行われない場合が発生し、その結果、シートの裏面に対する検品処理が正確に行われない場合も発生し得る。
本発明はかかる点に鑑み、表面用の読み取りセンサーを通過するときのシートの斜行量と裏面用の読み取りセンサーを通過するときのシートの斜行量とが異なる場合であっても、シートの表面と裏面の両方に対して正確に検品処理を実行することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明が提供する検品装置は、印刷処理が実行されたシートを検品する検品処理を実行可能な検品装置であって、前記シートの第1の面を読み取る第1の読取手段と、前記シートの第2の面を読み取る第2の読取手段と、前記第1の読取手段が前記シートを読み取るときのシートの第1の斜行量を算出する算出手段と、前記第1の斜行量に基づいて前記シートの斜行補正を実行し、前記第1の面に対応する第1の検品画像データを生成する生成手段と、前記第1の検品画像データに基づいて、前記第1の面に対する検品処理を実行する検品手段とを備え、前記算出手段は、前記第2の読取手段が前記シートを読み取るときのシートの第2の斜行量を更に算出し、前記生成手段は、前記第2の斜行量に基づいて前記シートの斜行補正を実行し、前記第2の面に対応する第2の検品画像データを更に生成し、前記検品手段は、前記第2の検品画像データに基づいて、前記第2の面に対する検品処理を更に実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、表面用の読み取りセンサーを通過するときのシートの斜行量と、裏面用の読み取りセンサーを通過するときのシートの斜行量とが異なる場合であっても、表面と裏面の両方に対して正確に検品処理を実行することができる。
【0007】
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の検品システムを示す図である。
【図2】本発明のプリンタ部101の構成を示す図である。
【図3】本発明のプリンタ部101の構成を示す図である。
【図4】本発明の検品部102の構成を示す図である。
【図5】本発明の検品部102の構成を示す図である。
【図6】本発明のフィニッシャ103の構成を示す図である。
【図7】本発明の斜行補正について説明する図である。
【図8】本発明の検品処理について説明する図である。
【図9】実施形態1における、シートの表面に対して実行される第1の検品処理について説明するフローチャートである。
【図10】実施形態1における、シートの裏面に対して実行される第2の検品処理について説明するフローチャートである。
【図11】実施形態2における、シートとシート搬送ローラの位置関係を説明するための図である。
【図12】実施形態2における、シートの裏面に対して実行される第2の検品処理について説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。なお、以下の実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでなく、また実施の形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【0010】
(実施形態1)
図1は本実施形態における検品システムを示す図である。検品装置100はプリンタ部101、検品部102、フィニッシャ103がそれぞれ接続可能な構成である。プリンタ部101はシートに対して印刷処理を実行可能である。また、検品部102は、印刷物に印刷不良が発生しているか否かを検品する検品処理を実行可能である。そして、フィニッシャ103はシートに対してステイプルなどの後処理が可能である。
【0011】
検品装置100は、ネットワークを介してPC(Personal Computer)110などの外部装置と通信可能となるように構成される。
【0012】
なお、本実施形態ではシートを搬送するためにプリンタ部101と検品部102とが直接接続されている。同様に、検品部102とフィニッシャ103とが直接接続されている。また、フィニッシャ103の動作を制御するために、プリンタ部101とフィニッシャ103とが専用の通信線で接続されている。
【0013】
まず、検品装置100のプリンタ部101の構成を図2と図3を用いて説明する。
【0014】
CPU201を含む制御部200は、プリンタ部101を統括的に制御する。CPU201はROM202やHDD208に格納された制御プログラムを読み出してプリンタ部101の制御を行う。ROM202にはCPU201が動作するためのプログラムなどが記憶されている。RAM203はCPU201の主メモリ、ワークエリア等の一時記憶領域として用いられる。HDD208はROM202と同様に、CPU201が動作するためのプログラムなどが記憶されている。
【0015】
スキャナI/F205は、スキャナ204と制御部200とを接続する。スキャナ204は原稿を読み取って画像データを生成し、スキャナI/F205を介して制御部200に読み取った画像データを入力する読取処理が実行可能である。
【0016】
操作部I/F207は、操作部206と制御部200とを接続するためのインターフェースである。操作部206には表示部(例えばタッチパネル機能を有する液晶表示部)やキーボードが備えられている。
【0017】
ネットワーク部209は、ネットワークを介して電子メールの送受信やPC110からのPDLデータの入出力などの通信制御を行う。RIP(ラスターイメージプロセッサ)部210はPDLデータをラスターイメージに展開する。印刷処理部211はシートに対して印刷処理を実行するために、図3に示す各ユニットの動作を制御する。
【0018】
接続I/F212は、制御部200が検品部102と通信を行うためのインターフェースである。接続I/F212は、シートに印刷された元の画像データを検品部102に送信したり、検品処理の結果を検品部102から受信(取得)したりする。また、検品部102を制御するためのコマンドを検品部102に送信しても良い。
【0019】
接続I/F213は、制御部200がフィニッシャ103と通信を行うためのインターフェースである。制御部200とフィニッシャ103とは専用の通信線で接続されていて、接続I/F213はフィニッシャ103を制御するためのコマンドをフィニッシャ103に送信する。このコマンドには、検品処理の結果に基づいて図6などに後述するフィニッシャ103のシート処理を制御するための情報も含まれる。
【0020】
次に、プリンタ部101が印刷処理を実行するために印刷処理部211が制御するユニットについて、図3を用いて詳しく説明する。
【0021】
プリンタ部101がシートに印刷を行う際は、制御部200によりCMYKの色信号がそれぞれ露光制御部(303C、303M、303Y、303K)に送出される。露光制御部は送出された色信号に応じてレーザー光を点灯出力する。4個の帯電器(302C、302M、302Y、302K)により帯電した感光ドラム(301C、301M、301Y、301K)に前記レーザー光が照射されることで、感光ドラム上に静電潜像が形成される。なお、感光ドラムは不図示のモーターにより反時計回りに回転している。感光ドラムに形成された潜像画像は現像器(305C、305M、305Y、305K)により現像される。現像器はトナーカートリッジ(304C、304M、304Y、304K)と接続されており、印刷処理に用いる記録材として常時トナーが供給される構成となっている。
【0022】
中間転写体306は感光ドラムと接触しており、感光ドラムの回転に伴って時計回りに回転し、現像されたトナー像が転写される。中間転写体306上に転写されたトナー像は、転写ローラ307によってカセット311やカセット312から搬送されてきたシートに転写される。なお、中間転写体306上に残ったトナーをクリーニングするために、クリーニング手段309が転写ローラ307の後に設けられている。また、中間転写体306上のトナー像の濃度を測定するための濃度センサー310が設置されている。トナー像が転写されたシートは、定着部308に搬送される。定着部308においては、内部のヒータと加圧ローラにより転写されたトナー像を定着させる。
【0023】
定着部308を通過したシートは、図示しないフラッパにより一旦パス313からパス314に搬送され、シートの後端がパス313を通過するとシートをスイッチバックさせてパス315から排出ローラ317に搬送される。これにより、トナー像が転写された面を下向きの状態(フェイスダウン)にして排出ローラ317によりプリンタ部101から排出することが可能である。また、シートの両面に印刷を行う場合は、シートを定着部308からパス313、パス314に搬送し、シートの後端がパス313を通過した直後にシートをスイッチバックさせ、図示しないフラッパにより両面搬送パス316に搬送する。両面搬送パス316に搬送されたシートに対し、再度、転写ローラ307でトナー像が転写され、定着部308でトナー像がシートに定着される。
【0024】
排出ローラ317から排出されたシートは検品部102に搬送される。
【0025】
次に検品装置100の検品部102の構成を図4と図5を用いて説明する。
【0026】
CPU401を含む制御部400は、検品部102を統括的に制御する。CPU401はROM402に格納された制御プログラムを読み出して検品部102の制御を行う。ROM402にはCPU401が動作するためのプログラムなどが記憶されている。RAM403はCPU401の主メモリ、ワークエリア等の一時記憶領域として用いられる。なお、CPU401はプリンタ部101から送信されたコマンドに従って検品部102の制御を行っても良い。
【0027】
接続I/F404は、制御部400がフィニッシャ103と通信を行うためのインターフェースである。接続I/F404は、検品処理の結果をフィニッシャ103に送信する。
【0028】
接続I/F405は、制御部400がプリンタ部101と通信を行うためのインターフェースである。接続I/F405は、検品処理の結果をプリンタ部101に送信したり、シートに印刷された元の画像データをプリンタ部101から受信したりする。また、接続I/F405は、検品部102を制御するためのコマンドをプリンタ部101から受信しても良い。
【0029】
表面読取センサー406は、図5で後述する搬送路502上のシートの表面を読み取り、画像データを生成する。裏面読取センサー407は、図5で後述する搬送路502上のシートの裏面を読み取り、画像データを生成する。
【0030】
斜行補正部408は、表面読取センサー406及び裏面読取センサー407を通過するときのシートの斜行量を検知する。そして、表面読取センサー406及び裏面読取センサー407で読み取った画像データに対して、検知したシートの斜行量に基づいて斜行補正を行う。なお、斜行補正の具体的な方法は図7を用いて詳しく説明する。
【0031】
検品処理部409は、斜行補正部408によってシートの斜行が補正された画像データと、シートに印刷された元の画像データとを比較して印刷物を検査する検品処理を実行する。なお、検品処理の具体的な方法は図8を用いて詳しく説明する。本実施形態では、斜行補正や検品処理は専用のハードウェア(斜行補正部408、検品処理部409)で実行する構成を説明するが、ソフトウェアによりCPU401が実行する構成にしても良い。
【0032】
検品部102の構成を、図5を用いて更に説明する。
【0033】
図5(a)に示すように、給紙ローラ501によってプリンタ部101から印刷処理が実行されたシートが搬送される。その後、シートは不図示のシート搬送ローラによって搬送路502上を搬送され、シートの表面に対しては表面読取センサー406が読み取った画像データを用いた検品処理が実行される。シートの裏面に対しては裏面読取センサー407が読み取った画像データを用いた検品処理が実行される。検品処理が実行されたシートは排紙ローラ503によりフィニッシャ103に搬送される。
【0034】
図5(b)は搬送路502の上から搬送路502を見た図である。表面読取センサー406は搬送されるシート504の表面のライン毎に読み取るラインセンサーである。照射装置505は、シート504が搬送路502上を搬送される際に搬送方向に対して斜行しているか否かを検知するために、光を照射する装置である。照射装置505がシート504に対いて斜め方向から光を照射することで発生するシートの端部の影を表面読取センサー406が読み取り、そして斜行補正部408によってシート504の斜行量の検知及び斜行補正が実行される。本実施形態ではシートの端部の影の読み取りは表面読取センサー406で行う構成を説明したが、他の読取センサーを使用しても良い。また、シートの裏面に対しても図示しない照射装置が光を照射し、裏面読取センサー407がシートの端部に発生した影を読み取ることで斜行補正部408による斜行量の検知及び斜行補正が実行される。
【0035】
図6は検品装置100のフィニッシャ103の構成を示す図である。
【0036】
フィニッシャ103はプリンタ部101と専用の通信線で接続される。この通信線を介してプリンタ部101からコマンドを受信し、このコマンドに基づいてフィニッシャ103の動作(シート処理)が制御される。
【0037】
検品部102から搬送されたシートは、検品処理の結果に応じて排紙部(エスケープトレイ601もしくは出力トレイ602)に排紙される。シートに対してステイプルを行う設定がされている場合は、処理トレイ603にシートを順次蓄えておき、処理トレイ603上でステープラ604がステイプルを行い、その後出力トレイ602に排紙される。
【0038】
パス切り替え部605は検品処理の結果に応じてシートの搬送パスを切り替える。搬送パスを切り替えることにより、シートをエスケープトレイ601、出力トレイ602のいずれかにシートを搬送することができる。
【0039】
なお、フィニッシャ103は不図示のCPUを備え、検品部102から受信(取得)した検品処理の結果に基づいて当該CPUがフィニッシャ103の制御を行う構成にしても良い。
【0040】
次に、斜行補正部408によるシートの斜行量の検知及び斜行補正について図7を用いて説明する。なお、本発明を適用することができる斜行量の検知及び斜行補正の内容は、以下の方法に限定されるものではない。
【0041】
搬送路502上を搬送されるシート504は、照射装置505により光を照射される。すると、照射によってシート504の後端部にシート端部影701が発生する。
【0042】
このシート端部影701を表面読取センサー406が読み取る。そして、読み取られた影画像に対して斜行補正部408が二値化及びエッジ検出等の画像処理を行うことで、影画像の傾きが検知される。この際、影画像の傾きの検知に用いられるシート端部影701は、シート搬送方向とシート搬送方向と直交する方向のいずれかを用いても良いし、両方を求めて平均を取るなどしても良い。
【0043】
斜行補正部408が二値化及びエッジ検出等の画像処理を行った後の画像が図7(b)の読取画像710ようになっていた場合、基準座標711を決定する。次にシート端部影701上に始点座標712と終点座標713を決定し、基準座標711と各座標とのそれぞれの相対座標を求める。基準座標711の座標を(0,0)と、始点座標712の座標が(245,300)、終点座標713の座標が(3885,235)であった場合、始点座標712と終点座標713の傾きθ(deg)は
【0044】
【数1】
【0045】
である。従って、シート504は搬送方向に対して時計回りに1.023度傾斜していることがわかる。ここで検知した傾斜角及び回転方向に基づいて、斜行補正部408が表面読取センサー406で読み取った画像データに対して回転処理を行う。この回転処理により、シートの斜行が補正される。
【0046】
なお、シート504の裏面に対しては、シート504の表面で検知した斜行量を用いて斜行補正を行うことも考えられるが、本実施形態ではシート504の裏面に対しても、上述したシートの斜行量の検知及び斜行補正が改めて実行される。その理由は、表面読取センサー406と裏面読取センサー407とが離されて配置された場合に、表面読取センサー406を通過するときのシートの斜行量と、裏面読取センサー407を通過するときのシートの斜行量とが異なる場合が発生するからである。
【0047】
次に検品処理の具体的な方法について図8を用いて説明する。なお、本発明を適用することができる検品処理の内容は、以下の方法に限定されるものではない。
【0048】
まず、シートの表面に対して実行される検品処理について説明する。表面読取センサー406で読み取られ、斜行補正部408によってシートの斜行が補正された画像データと、シートに印刷された元の画像データとの比較を、検品処理部409が実行する。以降の説明では、シートに印刷された元の画像データを参照画像データ(第1の画像データ)、表面読取センサー406で読み取られ、斜行補正部408によってシートの斜行が補正された画像データを検品画像データ(第2の画像データ)と呼ぶこととする。なお、参照画像データの具体例としては、PDLプリントの時はPDLデータを展開したものを参照画像データとし、スキャナ204で読み取った画像データを印刷するときは、スキャナ204で読み取った画像データを参照画像データとする。
【0049】
検品画像データと参照画像データはそれぞれ検品処理部409で同等の解像度に変換され、各画像をビットマップでマッチングを行う。本実施形態では、まず参照画像データと検品画像データとをCMYKの色空間に変換処理を行う。そして1画素ごとにCMYKでの濃度の比較を行う。
【0050】
図8(a)は検品画像データを示し、図8(c)は図8(a)から一部分を抜き出したものである。図8(b)は図8(c)と同じ部分を参照画像データから抜きだしたものである。
【0051】
濃度データは0〜255の多値データとなっており、比較値を次の式で算出する。
[数2]
比較値=[検品画像データの濃度データ値]−[参照画像データの濃度値]
そして算出した比較値と予め設定した許容できる濃度差とを比較して、|比較値|≦(許容できる濃度差)である場合は該当画素をOKと判定し、|比較値|>(許容できる濃度差)である場合は該当画素をNGと判定する。図8の例は、画素802は本来、画素801のように黒っぽい画素値が読み込まれるはずであるが、画素802の濃度値は少なく読み取られている。これは、画素802が正しく印刷されていないことを示している。本実施形態において許容できる濃度差が例えば40に設定されていて、画素801の濃度データ値が255、画素802の濃度データ値が127であるとする。すると、|比較値|=|127−255|=128>40であるから、画素802はNGと判定される。
【0052】
このように、検品画像データの各画素に対して同様の判定処理を行い、検品画像データの全画素のうちOKと判定された画素の割合を求める。検品画像データの全画素のうちOKと判定された画素の割合のことを、今後は検品画像データと参照画像データの類似度と呼ぶこととする。そして、類似度≧予め設定されている閾値である場合には、当該検品画像データは検品処理の結果がOKだと判定される。例えば予め設定されている閾値が80%である場合は、類似度≧80%である場合に、検品処理の結果がOKと判定される。一方、類似度<80%である場合には、当該検品画像データは検品処理の結果がNGだと判定される。
【0053】
なお、上述した検品処理はシートの表面を検品するときの説明であるが、シートの裏面を検品するときには、裏面読取センサー407で読み取られ、斜行補正部408によってシートの斜行が補正された画像データが検品画像データとして扱われる。
【0054】
なお、検品処理の具体的な方法は図8で説明した方法に限定されるものではない。他には、例えば検品画像データと参照画像データとがどれだけ位置ずれを起こしているかを求めて、当該位置ずれが所定の値よりも大きい場合に検品処理の結果がNGと判定しても良い。この場合では、検品画像データと参照画像データとの位置ずれの値が、検品画像データと参照画像データの類似度として用いられる。
【0055】
なお、本実施形態では検品処理の結果がOKと判定されたシートは出力トレイ602に、NGと判定されたシートはエスケープトレイ601に排紙されることとする。
【0056】
次に、プリンタ部101で印刷処理が実行されたシートが検品部102に搬送されたときに実行される検品処理について、図9、図10のフローチャートを用いて説明する。図9はシートの表面(第1の面)に対して実行される第1の検品処理について、図10はシートの裏面(第2の面)に対して実行される第2の検品処理について説明するフローチャートである。まず、図9の第1の検品処理について説明する。図9のステップS901〜S905の各ステップは、検品部102が備えるCPU401がROM402等のメモリに格納されたプログラムをRAM403に展開して実行することによって処理される。
【0057】
まずステップS901において、接続I/F405はプリンタ部101から送信された参照画像データを受信する。この参照画像データは、シートの表面に印刷された画像データに対応する。検品部102では、この参照画像データを用いて検品処理が実行されることになる。
【0058】
次にステップS902において、表面読取センサー406(第1の読取手段)は搬送されたシートの表面を読み取り、画像データを生成する。このとき、シート端部影701の読み取りも表面読取センサー406によって行われる。
【0059】
次にステップS903において、斜行補正部408はシートの斜行量(第1の斜行量)を算出する。本実施形態では、図7で説明したように表面読取センサー406が読み取ったシート端部影701に基づいて斜行量を算出する。ステップS903でシートの斜行量を算出すると、ステップS904において斜行補正部408は算出した斜行量に基づいてステップS902で読み取った画像データの斜行補正を行い、検品画像データ(第1の検品画像データ)を生成する。そしてステップS905において、検品処理部409はステップS901で受信した参照画像データとステップS905で生成した検品画像データとを用いて、シートの表面に対する検品処理を実行する。なお、検品処理の具体的な方法は図8で説明したので説明は省略する。
【0060】
次に図10の第2の検品処理について説明する。図10のステップS1001〜S1006の各ステップは、検品部102が備えるCPU401がROM402等のメモリに格納されたプログラムをRAM403に展開して実行することによって処理される。
【0061】
まずステップS1001において、CPU401はプリンタ部101で実行された印刷処理が両面印刷であるか否かを判定する。本実施形態では、両面印刷であるか否かはプリンタ部101から接続I/F405を介して検品部102に通知されることとする。ステップS1001において両面印刷ではないとCPU401が判定すると、図10のフローチャートが示す第2の検品処理を終了する。一方、ステップS1001において両面印刷であるとCPU401が判定すると、ステップS1002に進む。
【0062】
ステップS1002において、接続I/F405はプリンタ部101から送信された参照画像データを受信する。この参照画像データは、シートの裏面に印刷された画像データに対応する。検品部102では、この参照画像データを用いて検品処理が実行されることになる。
【0063】
次にステップS1003において、裏面読取センサー407(第2の読取手段)は搬送されたシートの裏面を読み取り、画像データを生成する。このとき、シート端部影701の読み取りも裏面読取センサー407によって行われる。
【0064】
次にステップS1004において、斜行補正部408はシートの斜行量(第2の斜行量)を算出する。本実施形態では、図7で説明したように裏面読取センサー407が読み取ったシート端部影701に基づいて斜行量を算出する。ステップS1004でシートの斜行量を算出すると、ステップS1005において斜行補正部408は算出した斜行量に基づいてステップS1003で読み取った画像データの斜行補正を行い、検品画像データ(第2の検品画像データ)を生成する。そしてステップS1006において、検品処理部409はステップS1002で受信した参照画像データとステップS1005で生成した検品画像データとを用いて、シートの裏面に対する検品処理を実行する。
【0065】
以上のように、本実施形態によれば、シートの表面と裏面に対してそれぞれ検品処理を実行する場合に、表面読取センサー406と裏面読取センサー407のそれぞれで算出したシートの斜行量に基づいて斜行補正を行い、検品画像データを生成する。従って、表面読取センサー406を通過するときのシートの斜行量と裏面読取センサー407を通過するときのシートの斜行量とが異なる場合であっても、シートの表面と裏面の両方に対して正確に検品処理を実行することができる。
【0066】
なお、本実施形態では、図9と図10で説明した検品処理の結果に基づいて、検品OKと判定されたシートは出力トレイ602に、検品NGと判定されたシートはエスケープトレイ601に排紙されることとする。また、検品処理の結果をプリンタ部101の操作部206やPC110の不図示の表示部に表示する構成にしても良い。
【0067】
(実施形態2)
実施形態1では、シートの表面と裏面に対してそれぞれ検品処理を実行する場合に、表面読取センサー406と裏面読取センサー407のそれぞれで算出したシートの斜行量に基づいて斜行補正を行い、検品画像データを生成する構成を説明した。これに対して本実施形態では、表面読取センサー406と裏面読取センサー407のそれぞれでシートの斜行量を算出するか否かを切り換える構成について説明する。
【0068】
図11は、検品部102におけるシートとシート搬送ローラの関係を示す図である。図11の1101、1102、1103はシートを搬送するためのシート搬送ローラであり、本実施形態ではそれぞれ等間隔で配置されていることとする。シート搬送ローラの配置間隔をX、シートのシート搬送方向の長さをLとして以下では説明する。
【0069】
図11(a)は、L<2Xである場合を示す図である。図11(a)では、シート1100は1対のシート搬送ローラによって搬送される瞬間が発生する。1対のシート搬送ローラによって搬送されるということは、空気抵抗等によりシートの斜行が発生し易い状態だと考えられる。従って本実施形態では、L<2Xである場合は実施形態1と同様にシートの表面と裏面のそれぞれに対してシートの斜行量を算出することとする。
【0070】
一方図11(b)は、L≧2Xである場合を示す図である。図11(b)では、シート1110は常に2対以上のシート搬送ローラによって搬送されることになる。2対以上のシート搬送ローラによって搬送されるということは、図11(a)と比べてシートの斜行が発生しにくい状態だと考えられる。従って、本実施形態ではL≧2Xである場合は裏面に対してはシートの斜行量を算出せずに、表面読取センサー406で算出したシートの斜行量に基づいて裏面に対して斜行補正を行うこととする。
【0071】
次に、本実施形態における検品処理について、図12のフローチャートを用いて説明を行う。図12はシートの裏面に対して実行される第3の検品処理について説明するフローチャートである。シートの表面に対して実行される検品処理は図9で説明した第1の検品処理と同様なので、説明は省略する。図12のステップS1201〜S1208の各ステップは、検品部102が備えるCPU401がROM402等のメモリに格納されたプログラムをRAM403に展開して実行することによって処理される。
【0072】
まずステップS1201において、CPU401はプリンタ部101で実行された印刷処理が両面印刷であるか否かを判定する。本実施形態では、両面印刷であるか否かはプリンタ部101から接続I/F405を介して検品部102に通知されることとする。ステップS1201において両面印刷ではないとCPU401が判定すると、図12のフローチャートが示す第3の検品処理を終了する。一方、ステップS1201において両面印刷であるとCPU401が判定すると、ステップS1202に進む。
【0073】
ステップS1202において、接続I/F405はプリンタ部101から送信された参照画像データを受信する。この参照画像データは、シートの裏面に印刷された画像データに対応する。検品部102では、この参照画像データを用いて検品処理が実行されることになる。
【0074】
次にステップS1203において、CPU401は搬送されるシートのサイズが所定サイズ未満であるか否かを判定する。この判定は、図11で説明したようにシート搬送ローラの配置間隔をX、シートのシート搬送方向の長さをLとした場合に、L≧2Xであるか否かに基づいて行われる。L<2Xである場合は、ステップS1203において搬送されるシートのサイズが所定サイズ未満であると判定しステップS1204に進む。一方、L≧2Xである場合は、ステップS1203において搬送されるシートのサイズが所定サイズ未満ではないと判定され、ステップS1206に進む。
【0075】
ステップS1204において、裏面読取センサー407は搬送されたシートの裏面を読み取り、さらにシートの斜行量を算出する。ここではL<2X、つまりシートは1対のシート搬送ローラによって搬送される瞬間が発生しシートの斜行が発生し易い状態だと考えられるため、シートの表面だけではなく、シートの裏面を読み取るときにもシートの斜行量を算出する。そしてステップS1205において、斜行補正部408はステップS1204で算出したシートの斜行量に基づいてステップS1204で読み取った画像データの斜行補正(第2の斜行補正)を行い、検品画像データを生成する。
【0076】
次にステップS1206の説明を行う。ステップS1206において、裏面読取センサー407は搬送されたシートの裏面を読み取る。ここではL≧2X、つまりシートは2対以上のシート搬送ローラによって搬送されるため、シートの斜行が発生しにくい状態だと考えられる。従ってステップS1204とは異なり、シートの裏面を読み取るときにはシートの斜行量を算出しない。そしてステップS1207において、斜行補正部408はステップS903、つまりシートの表面を読み取るときに算出したシートの斜行量に基づいてステップS1206で読み取った画像データの斜行補正(第1の斜行補正)を行い、検品画像データを生成する。
【0077】
次にステップS1208において、検品処理部409はステップS1202で受信した参照画像データと、ステップS1205もしくはステップS1207で生成した検品画像データを用いて、シートの裏面に対する検品処理を実行する。
【0078】
以上のように、本実施形態によれば、シートのサイズが所定サイズ未満ではない場合には、シートの裏面を読み取るときにはシートの斜行量を算出せずに、シートの表面を読み取るときに算出した斜行量に基づいてシートの裏面に対する斜行補正を行う。このとき、シートの裏面に対する斜行量の算出を行わないため、シートの裏面を読み取るときにも斜行量を算出する場合に比べて、裏面に対する検品画像データを生成するために要する時間、つまり検品処理に要する時間を短縮することができる。
【0079】
なお、本実施形態では図11で説明したようにL<2X(Lはシートのシート搬送方向の長さ、Xはシート搬送ローラの配置間隔)である場合をシートのサイズが所定サイズ未満であると説明したが、本発明を適用できる形態はこれに限るものではない。シート搬送ローラは等間隔で配置されるとは限らないため、最大の配置間隔をXとしても良いし、ユーザによって設定された任意のサイズをXとしても良い。
【0080】
(その他の実施形態)
本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【符号の説明】
【0081】
100 検品装置
101 プリンタ部
102 検品部
103 フィニッシャ
401 CPU
406 表面読取センサー
407 裏面読取センサー
408 斜行補正部
409 検品処理部
【技術分野】
【0001】
本発明は、検品装置、検品方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、POD(Print On Demand)機などの印刷システムにおいて、印刷処理が実行されたシートに対して印刷不良の有無を判定する検品処理が実行されている。例えば特許文献1は、表面用の読み取りセンサーと裏面用の読み取りセンサーの2つの読み取りセンサーを用いることで、両面印刷されたシートに対する検品処理を実行する構成を開示している。
また、検品処理については、印刷処理が実行されたシートが検品部に搬送されるまでの間にシートが斜行する可能性がある。斜行したシートに対して検品処理を実行するためには、シートの斜行を補正したうえで検品処理を実行する必要がある。このシートの斜行の補正の方法としては、例えば特許文献2にはシートの端部がセンサーを横切る時間に基づいて斜行量を算出し、そしてシートの斜行を補正する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−123106号公報
【特許文献2】特開平10−081432号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のように表面用の読み取りセンサーが先行してシートを読み取るセンサーの場合、先行する表面用の読み取りセンサーで算出した斜行量を用いて、裏面用の読み取りセンサーで読み取った裏面の画像の斜行補正を行うことができる。しかしながら、例えば表面用の読み取りセンサーと裏面用の読み取りセンサーとが離されて配置された場合には、表面用の読み取りセンサーを通過するときのシートの斜行量と、裏面用の読み取りセンサーを通過するときのシートの斜行量とが異なる場合が発生する。従って、表面用の読み取りセンサーで算出した斜行量を裏面の画像の斜行補正に用いた場合、裏面の画像の斜行補正が正確に行われない場合が発生し、その結果、シートの裏面に対する検品処理が正確に行われない場合も発生し得る。
本発明はかかる点に鑑み、表面用の読み取りセンサーを通過するときのシートの斜行量と裏面用の読み取りセンサーを通過するときのシートの斜行量とが異なる場合であっても、シートの表面と裏面の両方に対して正確に検品処理を実行することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明が提供する検品装置は、印刷処理が実行されたシートを検品する検品処理を実行可能な検品装置であって、前記シートの第1の面を読み取る第1の読取手段と、前記シートの第2の面を読み取る第2の読取手段と、前記第1の読取手段が前記シートを読み取るときのシートの第1の斜行量を算出する算出手段と、前記第1の斜行量に基づいて前記シートの斜行補正を実行し、前記第1の面に対応する第1の検品画像データを生成する生成手段と、前記第1の検品画像データに基づいて、前記第1の面に対する検品処理を実行する検品手段とを備え、前記算出手段は、前記第2の読取手段が前記シートを読み取るときのシートの第2の斜行量を更に算出し、前記生成手段は、前記第2の斜行量に基づいて前記シートの斜行補正を実行し、前記第2の面に対応する第2の検品画像データを更に生成し、前記検品手段は、前記第2の検品画像データに基づいて、前記第2の面に対する検品処理を更に実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、表面用の読み取りセンサーを通過するときのシートの斜行量と、裏面用の読み取りセンサーを通過するときのシートの斜行量とが異なる場合であっても、表面と裏面の両方に対して正確に検品処理を実行することができる。
【0007】
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の検品システムを示す図である。
【図2】本発明のプリンタ部101の構成を示す図である。
【図3】本発明のプリンタ部101の構成を示す図である。
【図4】本発明の検品部102の構成を示す図である。
【図5】本発明の検品部102の構成を示す図である。
【図6】本発明のフィニッシャ103の構成を示す図である。
【図7】本発明の斜行補正について説明する図である。
【図8】本発明の検品処理について説明する図である。
【図9】実施形態1における、シートの表面に対して実行される第1の検品処理について説明するフローチャートである。
【図10】実施形態1における、シートの裏面に対して実行される第2の検品処理について説明するフローチャートである。
【図11】実施形態2における、シートとシート搬送ローラの位置関係を説明するための図である。
【図12】実施形態2における、シートの裏面に対して実行される第2の検品処理について説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。なお、以下の実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでなく、また実施の形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【0010】
(実施形態1)
図1は本実施形態における検品システムを示す図である。検品装置100はプリンタ部101、検品部102、フィニッシャ103がそれぞれ接続可能な構成である。プリンタ部101はシートに対して印刷処理を実行可能である。また、検品部102は、印刷物に印刷不良が発生しているか否かを検品する検品処理を実行可能である。そして、フィニッシャ103はシートに対してステイプルなどの後処理が可能である。
【0011】
検品装置100は、ネットワークを介してPC(Personal Computer)110などの外部装置と通信可能となるように構成される。
【0012】
なお、本実施形態ではシートを搬送するためにプリンタ部101と検品部102とが直接接続されている。同様に、検品部102とフィニッシャ103とが直接接続されている。また、フィニッシャ103の動作を制御するために、プリンタ部101とフィニッシャ103とが専用の通信線で接続されている。
【0013】
まず、検品装置100のプリンタ部101の構成を図2と図3を用いて説明する。
【0014】
CPU201を含む制御部200は、プリンタ部101を統括的に制御する。CPU201はROM202やHDD208に格納された制御プログラムを読み出してプリンタ部101の制御を行う。ROM202にはCPU201が動作するためのプログラムなどが記憶されている。RAM203はCPU201の主メモリ、ワークエリア等の一時記憶領域として用いられる。HDD208はROM202と同様に、CPU201が動作するためのプログラムなどが記憶されている。
【0015】
スキャナI/F205は、スキャナ204と制御部200とを接続する。スキャナ204は原稿を読み取って画像データを生成し、スキャナI/F205を介して制御部200に読み取った画像データを入力する読取処理が実行可能である。
【0016】
操作部I/F207は、操作部206と制御部200とを接続するためのインターフェースである。操作部206には表示部(例えばタッチパネル機能を有する液晶表示部)やキーボードが備えられている。
【0017】
ネットワーク部209は、ネットワークを介して電子メールの送受信やPC110からのPDLデータの入出力などの通信制御を行う。RIP(ラスターイメージプロセッサ)部210はPDLデータをラスターイメージに展開する。印刷処理部211はシートに対して印刷処理を実行するために、図3に示す各ユニットの動作を制御する。
【0018】
接続I/F212は、制御部200が検品部102と通信を行うためのインターフェースである。接続I/F212は、シートに印刷された元の画像データを検品部102に送信したり、検品処理の結果を検品部102から受信(取得)したりする。また、検品部102を制御するためのコマンドを検品部102に送信しても良い。
【0019】
接続I/F213は、制御部200がフィニッシャ103と通信を行うためのインターフェースである。制御部200とフィニッシャ103とは専用の通信線で接続されていて、接続I/F213はフィニッシャ103を制御するためのコマンドをフィニッシャ103に送信する。このコマンドには、検品処理の結果に基づいて図6などに後述するフィニッシャ103のシート処理を制御するための情報も含まれる。
【0020】
次に、プリンタ部101が印刷処理を実行するために印刷処理部211が制御するユニットについて、図3を用いて詳しく説明する。
【0021】
プリンタ部101がシートに印刷を行う際は、制御部200によりCMYKの色信号がそれぞれ露光制御部(303C、303M、303Y、303K)に送出される。露光制御部は送出された色信号に応じてレーザー光を点灯出力する。4個の帯電器(302C、302M、302Y、302K)により帯電した感光ドラム(301C、301M、301Y、301K)に前記レーザー光が照射されることで、感光ドラム上に静電潜像が形成される。なお、感光ドラムは不図示のモーターにより反時計回りに回転している。感光ドラムに形成された潜像画像は現像器(305C、305M、305Y、305K)により現像される。現像器はトナーカートリッジ(304C、304M、304Y、304K)と接続されており、印刷処理に用いる記録材として常時トナーが供給される構成となっている。
【0022】
中間転写体306は感光ドラムと接触しており、感光ドラムの回転に伴って時計回りに回転し、現像されたトナー像が転写される。中間転写体306上に転写されたトナー像は、転写ローラ307によってカセット311やカセット312から搬送されてきたシートに転写される。なお、中間転写体306上に残ったトナーをクリーニングするために、クリーニング手段309が転写ローラ307の後に設けられている。また、中間転写体306上のトナー像の濃度を測定するための濃度センサー310が設置されている。トナー像が転写されたシートは、定着部308に搬送される。定着部308においては、内部のヒータと加圧ローラにより転写されたトナー像を定着させる。
【0023】
定着部308を通過したシートは、図示しないフラッパにより一旦パス313からパス314に搬送され、シートの後端がパス313を通過するとシートをスイッチバックさせてパス315から排出ローラ317に搬送される。これにより、トナー像が転写された面を下向きの状態(フェイスダウン)にして排出ローラ317によりプリンタ部101から排出することが可能である。また、シートの両面に印刷を行う場合は、シートを定着部308からパス313、パス314に搬送し、シートの後端がパス313を通過した直後にシートをスイッチバックさせ、図示しないフラッパにより両面搬送パス316に搬送する。両面搬送パス316に搬送されたシートに対し、再度、転写ローラ307でトナー像が転写され、定着部308でトナー像がシートに定着される。
【0024】
排出ローラ317から排出されたシートは検品部102に搬送される。
【0025】
次に検品装置100の検品部102の構成を図4と図5を用いて説明する。
【0026】
CPU401を含む制御部400は、検品部102を統括的に制御する。CPU401はROM402に格納された制御プログラムを読み出して検品部102の制御を行う。ROM402にはCPU401が動作するためのプログラムなどが記憶されている。RAM403はCPU401の主メモリ、ワークエリア等の一時記憶領域として用いられる。なお、CPU401はプリンタ部101から送信されたコマンドに従って検品部102の制御を行っても良い。
【0027】
接続I/F404は、制御部400がフィニッシャ103と通信を行うためのインターフェースである。接続I/F404は、検品処理の結果をフィニッシャ103に送信する。
【0028】
接続I/F405は、制御部400がプリンタ部101と通信を行うためのインターフェースである。接続I/F405は、検品処理の結果をプリンタ部101に送信したり、シートに印刷された元の画像データをプリンタ部101から受信したりする。また、接続I/F405は、検品部102を制御するためのコマンドをプリンタ部101から受信しても良い。
【0029】
表面読取センサー406は、図5で後述する搬送路502上のシートの表面を読み取り、画像データを生成する。裏面読取センサー407は、図5で後述する搬送路502上のシートの裏面を読み取り、画像データを生成する。
【0030】
斜行補正部408は、表面読取センサー406及び裏面読取センサー407を通過するときのシートの斜行量を検知する。そして、表面読取センサー406及び裏面読取センサー407で読み取った画像データに対して、検知したシートの斜行量に基づいて斜行補正を行う。なお、斜行補正の具体的な方法は図7を用いて詳しく説明する。
【0031】
検品処理部409は、斜行補正部408によってシートの斜行が補正された画像データと、シートに印刷された元の画像データとを比較して印刷物を検査する検品処理を実行する。なお、検品処理の具体的な方法は図8を用いて詳しく説明する。本実施形態では、斜行補正や検品処理は専用のハードウェア(斜行補正部408、検品処理部409)で実行する構成を説明するが、ソフトウェアによりCPU401が実行する構成にしても良い。
【0032】
検品部102の構成を、図5を用いて更に説明する。
【0033】
図5(a)に示すように、給紙ローラ501によってプリンタ部101から印刷処理が実行されたシートが搬送される。その後、シートは不図示のシート搬送ローラによって搬送路502上を搬送され、シートの表面に対しては表面読取センサー406が読み取った画像データを用いた検品処理が実行される。シートの裏面に対しては裏面読取センサー407が読み取った画像データを用いた検品処理が実行される。検品処理が実行されたシートは排紙ローラ503によりフィニッシャ103に搬送される。
【0034】
図5(b)は搬送路502の上から搬送路502を見た図である。表面読取センサー406は搬送されるシート504の表面のライン毎に読み取るラインセンサーである。照射装置505は、シート504が搬送路502上を搬送される際に搬送方向に対して斜行しているか否かを検知するために、光を照射する装置である。照射装置505がシート504に対いて斜め方向から光を照射することで発生するシートの端部の影を表面読取センサー406が読み取り、そして斜行補正部408によってシート504の斜行量の検知及び斜行補正が実行される。本実施形態ではシートの端部の影の読み取りは表面読取センサー406で行う構成を説明したが、他の読取センサーを使用しても良い。また、シートの裏面に対しても図示しない照射装置が光を照射し、裏面読取センサー407がシートの端部に発生した影を読み取ることで斜行補正部408による斜行量の検知及び斜行補正が実行される。
【0035】
図6は検品装置100のフィニッシャ103の構成を示す図である。
【0036】
フィニッシャ103はプリンタ部101と専用の通信線で接続される。この通信線を介してプリンタ部101からコマンドを受信し、このコマンドに基づいてフィニッシャ103の動作(シート処理)が制御される。
【0037】
検品部102から搬送されたシートは、検品処理の結果に応じて排紙部(エスケープトレイ601もしくは出力トレイ602)に排紙される。シートに対してステイプルを行う設定がされている場合は、処理トレイ603にシートを順次蓄えておき、処理トレイ603上でステープラ604がステイプルを行い、その後出力トレイ602に排紙される。
【0038】
パス切り替え部605は検品処理の結果に応じてシートの搬送パスを切り替える。搬送パスを切り替えることにより、シートをエスケープトレイ601、出力トレイ602のいずれかにシートを搬送することができる。
【0039】
なお、フィニッシャ103は不図示のCPUを備え、検品部102から受信(取得)した検品処理の結果に基づいて当該CPUがフィニッシャ103の制御を行う構成にしても良い。
【0040】
次に、斜行補正部408によるシートの斜行量の検知及び斜行補正について図7を用いて説明する。なお、本発明を適用することができる斜行量の検知及び斜行補正の内容は、以下の方法に限定されるものではない。
【0041】
搬送路502上を搬送されるシート504は、照射装置505により光を照射される。すると、照射によってシート504の後端部にシート端部影701が発生する。
【0042】
このシート端部影701を表面読取センサー406が読み取る。そして、読み取られた影画像に対して斜行補正部408が二値化及びエッジ検出等の画像処理を行うことで、影画像の傾きが検知される。この際、影画像の傾きの検知に用いられるシート端部影701は、シート搬送方向とシート搬送方向と直交する方向のいずれかを用いても良いし、両方を求めて平均を取るなどしても良い。
【0043】
斜行補正部408が二値化及びエッジ検出等の画像処理を行った後の画像が図7(b)の読取画像710ようになっていた場合、基準座標711を決定する。次にシート端部影701上に始点座標712と終点座標713を決定し、基準座標711と各座標とのそれぞれの相対座標を求める。基準座標711の座標を(0,0)と、始点座標712の座標が(245,300)、終点座標713の座標が(3885,235)であった場合、始点座標712と終点座標713の傾きθ(deg)は
【0044】
【数1】
【0045】
である。従って、シート504は搬送方向に対して時計回りに1.023度傾斜していることがわかる。ここで検知した傾斜角及び回転方向に基づいて、斜行補正部408が表面読取センサー406で読み取った画像データに対して回転処理を行う。この回転処理により、シートの斜行が補正される。
【0046】
なお、シート504の裏面に対しては、シート504の表面で検知した斜行量を用いて斜行補正を行うことも考えられるが、本実施形態ではシート504の裏面に対しても、上述したシートの斜行量の検知及び斜行補正が改めて実行される。その理由は、表面読取センサー406と裏面読取センサー407とが離されて配置された場合に、表面読取センサー406を通過するときのシートの斜行量と、裏面読取センサー407を通過するときのシートの斜行量とが異なる場合が発生するからである。
【0047】
次に検品処理の具体的な方法について図8を用いて説明する。なお、本発明を適用することができる検品処理の内容は、以下の方法に限定されるものではない。
【0048】
まず、シートの表面に対して実行される検品処理について説明する。表面読取センサー406で読み取られ、斜行補正部408によってシートの斜行が補正された画像データと、シートに印刷された元の画像データとの比較を、検品処理部409が実行する。以降の説明では、シートに印刷された元の画像データを参照画像データ(第1の画像データ)、表面読取センサー406で読み取られ、斜行補正部408によってシートの斜行が補正された画像データを検品画像データ(第2の画像データ)と呼ぶこととする。なお、参照画像データの具体例としては、PDLプリントの時はPDLデータを展開したものを参照画像データとし、スキャナ204で読み取った画像データを印刷するときは、スキャナ204で読み取った画像データを参照画像データとする。
【0049】
検品画像データと参照画像データはそれぞれ検品処理部409で同等の解像度に変換され、各画像をビットマップでマッチングを行う。本実施形態では、まず参照画像データと検品画像データとをCMYKの色空間に変換処理を行う。そして1画素ごとにCMYKでの濃度の比較を行う。
【0050】
図8(a)は検品画像データを示し、図8(c)は図8(a)から一部分を抜き出したものである。図8(b)は図8(c)と同じ部分を参照画像データから抜きだしたものである。
【0051】
濃度データは0〜255の多値データとなっており、比較値を次の式で算出する。
[数2]
比較値=[検品画像データの濃度データ値]−[参照画像データの濃度値]
そして算出した比較値と予め設定した許容できる濃度差とを比較して、|比較値|≦(許容できる濃度差)である場合は該当画素をOKと判定し、|比較値|>(許容できる濃度差)である場合は該当画素をNGと判定する。図8の例は、画素802は本来、画素801のように黒っぽい画素値が読み込まれるはずであるが、画素802の濃度値は少なく読み取られている。これは、画素802が正しく印刷されていないことを示している。本実施形態において許容できる濃度差が例えば40に設定されていて、画素801の濃度データ値が255、画素802の濃度データ値が127であるとする。すると、|比較値|=|127−255|=128>40であるから、画素802はNGと判定される。
【0052】
このように、検品画像データの各画素に対して同様の判定処理を行い、検品画像データの全画素のうちOKと判定された画素の割合を求める。検品画像データの全画素のうちOKと判定された画素の割合のことを、今後は検品画像データと参照画像データの類似度と呼ぶこととする。そして、類似度≧予め設定されている閾値である場合には、当該検品画像データは検品処理の結果がOKだと判定される。例えば予め設定されている閾値が80%である場合は、類似度≧80%である場合に、検品処理の結果がOKと判定される。一方、類似度<80%である場合には、当該検品画像データは検品処理の結果がNGだと判定される。
【0053】
なお、上述した検品処理はシートの表面を検品するときの説明であるが、シートの裏面を検品するときには、裏面読取センサー407で読み取られ、斜行補正部408によってシートの斜行が補正された画像データが検品画像データとして扱われる。
【0054】
なお、検品処理の具体的な方法は図8で説明した方法に限定されるものではない。他には、例えば検品画像データと参照画像データとがどれだけ位置ずれを起こしているかを求めて、当該位置ずれが所定の値よりも大きい場合に検品処理の結果がNGと判定しても良い。この場合では、検品画像データと参照画像データとの位置ずれの値が、検品画像データと参照画像データの類似度として用いられる。
【0055】
なお、本実施形態では検品処理の結果がOKと判定されたシートは出力トレイ602に、NGと判定されたシートはエスケープトレイ601に排紙されることとする。
【0056】
次に、プリンタ部101で印刷処理が実行されたシートが検品部102に搬送されたときに実行される検品処理について、図9、図10のフローチャートを用いて説明する。図9はシートの表面(第1の面)に対して実行される第1の検品処理について、図10はシートの裏面(第2の面)に対して実行される第2の検品処理について説明するフローチャートである。まず、図9の第1の検品処理について説明する。図9のステップS901〜S905の各ステップは、検品部102が備えるCPU401がROM402等のメモリに格納されたプログラムをRAM403に展開して実行することによって処理される。
【0057】
まずステップS901において、接続I/F405はプリンタ部101から送信された参照画像データを受信する。この参照画像データは、シートの表面に印刷された画像データに対応する。検品部102では、この参照画像データを用いて検品処理が実行されることになる。
【0058】
次にステップS902において、表面読取センサー406(第1の読取手段)は搬送されたシートの表面を読み取り、画像データを生成する。このとき、シート端部影701の読み取りも表面読取センサー406によって行われる。
【0059】
次にステップS903において、斜行補正部408はシートの斜行量(第1の斜行量)を算出する。本実施形態では、図7で説明したように表面読取センサー406が読み取ったシート端部影701に基づいて斜行量を算出する。ステップS903でシートの斜行量を算出すると、ステップS904において斜行補正部408は算出した斜行量に基づいてステップS902で読み取った画像データの斜行補正を行い、検品画像データ(第1の検品画像データ)を生成する。そしてステップS905において、検品処理部409はステップS901で受信した参照画像データとステップS905で生成した検品画像データとを用いて、シートの表面に対する検品処理を実行する。なお、検品処理の具体的な方法は図8で説明したので説明は省略する。
【0060】
次に図10の第2の検品処理について説明する。図10のステップS1001〜S1006の各ステップは、検品部102が備えるCPU401がROM402等のメモリに格納されたプログラムをRAM403に展開して実行することによって処理される。
【0061】
まずステップS1001において、CPU401はプリンタ部101で実行された印刷処理が両面印刷であるか否かを判定する。本実施形態では、両面印刷であるか否かはプリンタ部101から接続I/F405を介して検品部102に通知されることとする。ステップS1001において両面印刷ではないとCPU401が判定すると、図10のフローチャートが示す第2の検品処理を終了する。一方、ステップS1001において両面印刷であるとCPU401が判定すると、ステップS1002に進む。
【0062】
ステップS1002において、接続I/F405はプリンタ部101から送信された参照画像データを受信する。この参照画像データは、シートの裏面に印刷された画像データに対応する。検品部102では、この参照画像データを用いて検品処理が実行されることになる。
【0063】
次にステップS1003において、裏面読取センサー407(第2の読取手段)は搬送されたシートの裏面を読み取り、画像データを生成する。このとき、シート端部影701の読み取りも裏面読取センサー407によって行われる。
【0064】
次にステップS1004において、斜行補正部408はシートの斜行量(第2の斜行量)を算出する。本実施形態では、図7で説明したように裏面読取センサー407が読み取ったシート端部影701に基づいて斜行量を算出する。ステップS1004でシートの斜行量を算出すると、ステップS1005において斜行補正部408は算出した斜行量に基づいてステップS1003で読み取った画像データの斜行補正を行い、検品画像データ(第2の検品画像データ)を生成する。そしてステップS1006において、検品処理部409はステップS1002で受信した参照画像データとステップS1005で生成した検品画像データとを用いて、シートの裏面に対する検品処理を実行する。
【0065】
以上のように、本実施形態によれば、シートの表面と裏面に対してそれぞれ検品処理を実行する場合に、表面読取センサー406と裏面読取センサー407のそれぞれで算出したシートの斜行量に基づいて斜行補正を行い、検品画像データを生成する。従って、表面読取センサー406を通過するときのシートの斜行量と裏面読取センサー407を通過するときのシートの斜行量とが異なる場合であっても、シートの表面と裏面の両方に対して正確に検品処理を実行することができる。
【0066】
なお、本実施形態では、図9と図10で説明した検品処理の結果に基づいて、検品OKと判定されたシートは出力トレイ602に、検品NGと判定されたシートはエスケープトレイ601に排紙されることとする。また、検品処理の結果をプリンタ部101の操作部206やPC110の不図示の表示部に表示する構成にしても良い。
【0067】
(実施形態2)
実施形態1では、シートの表面と裏面に対してそれぞれ検品処理を実行する場合に、表面読取センサー406と裏面読取センサー407のそれぞれで算出したシートの斜行量に基づいて斜行補正を行い、検品画像データを生成する構成を説明した。これに対して本実施形態では、表面読取センサー406と裏面読取センサー407のそれぞれでシートの斜行量を算出するか否かを切り換える構成について説明する。
【0068】
図11は、検品部102におけるシートとシート搬送ローラの関係を示す図である。図11の1101、1102、1103はシートを搬送するためのシート搬送ローラであり、本実施形態ではそれぞれ等間隔で配置されていることとする。シート搬送ローラの配置間隔をX、シートのシート搬送方向の長さをLとして以下では説明する。
【0069】
図11(a)は、L<2Xである場合を示す図である。図11(a)では、シート1100は1対のシート搬送ローラによって搬送される瞬間が発生する。1対のシート搬送ローラによって搬送されるということは、空気抵抗等によりシートの斜行が発生し易い状態だと考えられる。従って本実施形態では、L<2Xである場合は実施形態1と同様にシートの表面と裏面のそれぞれに対してシートの斜行量を算出することとする。
【0070】
一方図11(b)は、L≧2Xである場合を示す図である。図11(b)では、シート1110は常に2対以上のシート搬送ローラによって搬送されることになる。2対以上のシート搬送ローラによって搬送されるということは、図11(a)と比べてシートの斜行が発生しにくい状態だと考えられる。従って、本実施形態ではL≧2Xである場合は裏面に対してはシートの斜行量を算出せずに、表面読取センサー406で算出したシートの斜行量に基づいて裏面に対して斜行補正を行うこととする。
【0071】
次に、本実施形態における検品処理について、図12のフローチャートを用いて説明を行う。図12はシートの裏面に対して実行される第3の検品処理について説明するフローチャートである。シートの表面に対して実行される検品処理は図9で説明した第1の検品処理と同様なので、説明は省略する。図12のステップS1201〜S1208の各ステップは、検品部102が備えるCPU401がROM402等のメモリに格納されたプログラムをRAM403に展開して実行することによって処理される。
【0072】
まずステップS1201において、CPU401はプリンタ部101で実行された印刷処理が両面印刷であるか否かを判定する。本実施形態では、両面印刷であるか否かはプリンタ部101から接続I/F405を介して検品部102に通知されることとする。ステップS1201において両面印刷ではないとCPU401が判定すると、図12のフローチャートが示す第3の検品処理を終了する。一方、ステップS1201において両面印刷であるとCPU401が判定すると、ステップS1202に進む。
【0073】
ステップS1202において、接続I/F405はプリンタ部101から送信された参照画像データを受信する。この参照画像データは、シートの裏面に印刷された画像データに対応する。検品部102では、この参照画像データを用いて検品処理が実行されることになる。
【0074】
次にステップS1203において、CPU401は搬送されるシートのサイズが所定サイズ未満であるか否かを判定する。この判定は、図11で説明したようにシート搬送ローラの配置間隔をX、シートのシート搬送方向の長さをLとした場合に、L≧2Xであるか否かに基づいて行われる。L<2Xである場合は、ステップS1203において搬送されるシートのサイズが所定サイズ未満であると判定しステップS1204に進む。一方、L≧2Xである場合は、ステップS1203において搬送されるシートのサイズが所定サイズ未満ではないと判定され、ステップS1206に進む。
【0075】
ステップS1204において、裏面読取センサー407は搬送されたシートの裏面を読み取り、さらにシートの斜行量を算出する。ここではL<2X、つまりシートは1対のシート搬送ローラによって搬送される瞬間が発生しシートの斜行が発生し易い状態だと考えられるため、シートの表面だけではなく、シートの裏面を読み取るときにもシートの斜行量を算出する。そしてステップS1205において、斜行補正部408はステップS1204で算出したシートの斜行量に基づいてステップS1204で読み取った画像データの斜行補正(第2の斜行補正)を行い、検品画像データを生成する。
【0076】
次にステップS1206の説明を行う。ステップS1206において、裏面読取センサー407は搬送されたシートの裏面を読み取る。ここではL≧2X、つまりシートは2対以上のシート搬送ローラによって搬送されるため、シートの斜行が発生しにくい状態だと考えられる。従ってステップS1204とは異なり、シートの裏面を読み取るときにはシートの斜行量を算出しない。そしてステップS1207において、斜行補正部408はステップS903、つまりシートの表面を読み取るときに算出したシートの斜行量に基づいてステップS1206で読み取った画像データの斜行補正(第1の斜行補正)を行い、検品画像データを生成する。
【0077】
次にステップS1208において、検品処理部409はステップS1202で受信した参照画像データと、ステップS1205もしくはステップS1207で生成した検品画像データを用いて、シートの裏面に対する検品処理を実行する。
【0078】
以上のように、本実施形態によれば、シートのサイズが所定サイズ未満ではない場合には、シートの裏面を読み取るときにはシートの斜行量を算出せずに、シートの表面を読み取るときに算出した斜行量に基づいてシートの裏面に対する斜行補正を行う。このとき、シートの裏面に対する斜行量の算出を行わないため、シートの裏面を読み取るときにも斜行量を算出する場合に比べて、裏面に対する検品画像データを生成するために要する時間、つまり検品処理に要する時間を短縮することができる。
【0079】
なお、本実施形態では図11で説明したようにL<2X(Lはシートのシート搬送方向の長さ、Xはシート搬送ローラの配置間隔)である場合をシートのサイズが所定サイズ未満であると説明したが、本発明を適用できる形態はこれに限るものではない。シート搬送ローラは等間隔で配置されるとは限らないため、最大の配置間隔をXとしても良いし、ユーザによって設定された任意のサイズをXとしても良い。
【0080】
(その他の実施形態)
本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【符号の説明】
【0081】
100 検品装置
101 プリンタ部
102 検品部
103 フィニッシャ
401 CPU
406 表面読取センサー
407 裏面読取センサー
408 斜行補正部
409 検品処理部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷処理が実行されたシートを検品する検品処理を実行可能な検品装置であって、
前記シートの第1の面を読み取る第1の読取手段と、
前記シートの第2の面を読み取る第2の読取手段と、
前記第1の読取手段が前記シートを読み取るときのシートの第1の斜行量を算出する算出手段と、
前記第1の斜行量に基づいて前記シートの斜行補正を実行し、前記第1の面に対応する第1の検品画像データを生成する生成手段と、
前記第1の検品画像データに基づいて、前記第1の面に対する検品処理を実行する検品手段とを備え、
前記算出手段は、前記第2の読取手段が前記シートを読み取るときのシートの第2の斜行量を更に算出し、
前記生成手段は、前記第2の斜行量に基づいて前記シートの斜行補正を実行し、前記第2の面に対応する第2の検品画像データを更に生成し、
前記検品手段は、前記第2の検品画像データに基づいて、前記第2の面に対する検品処理を更に実行することを特徴とする検品装置。
【請求項2】
前記生成手段は、前記第2の面に対応する前記第2の検品画像データを生成する場合に、前記第2の斜行量を算出せずに前記第1の斜行量に基づいて前記シートの斜行補正を実行する第1の斜行補正と、前記第2の斜行量を算出して当該第2の斜行量に基づいて前記シートの斜行補正を実行する第2の斜行補正とのいずれかを実行することを特徴とする請求項1に記載の検品装置。
【請求項3】
前記生成手段は、前記シートのサイズに基づいて、前記第1の斜行補正と前記第2の斜行補正とのいずれかを実行することを特徴とする請求項2に記載の検品装置。
【請求項4】
前記生成手段は、前記シートのサイズが所定サイズ未満ではない場合に前記第1の斜行補正を実行し、前記シートのサイズが所定サイズ未満である場合に前記第2の斜行補正を実行することを特徴とする請求項2又は3に記載の検品装置。
【請求項5】
前記所定サイズは、前記シートを搬送する搬送手段の配置間隔に基づいて決定することを特徴とする請求項4に記載の検品装置。
【請求項6】
前記検品装置は前記印刷処理を実行する印刷装置と接続可能であり、
前記検品手段は、前記印刷装置から搬送されたシートに対して検品処理を実行することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の検品装置。
【請求項7】
印刷処理が実行されたシートを検品する検品方法であって、
前記シートの第1の面を読み取る第1の読取ステップと、
前記シートの第2の面を読み取る第2の読取ステップと、
前記第1の読取ステップで前記シートを読み取るときのシートの第1の斜行量を算出する算出ステップと、
前記第1の斜行量に基づいて前記シートの斜行補正を実行し、前記第1の面に対応する第1の検品画像データを生成する生成ステップと、
前記第1の検品画像データに基づいて、前記第1の面に対する検品処理を実行する検品ステップとを有し、
前記算出ステップでは、前記第2の読取ステップで前記シートを読み取るときのシートの第2の斜行量を更に算出し、
前記生成ステップでは、前記第2の斜行量に基づいて前記シートの斜行補正を実行し、前記第2の面に対応する第2の検品画像データを更に生成し、
前記検品ステップでは、前記第2の検品画像データに基づいて、前記第2の面に対する検品処理を更に実行することを特徴とする検品方法。
【請求項8】
請求項7に記載の検品方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項1】
印刷処理が実行されたシートを検品する検品処理を実行可能な検品装置であって、
前記シートの第1の面を読み取る第1の読取手段と、
前記シートの第2の面を読み取る第2の読取手段と、
前記第1の読取手段が前記シートを読み取るときのシートの第1の斜行量を算出する算出手段と、
前記第1の斜行量に基づいて前記シートの斜行補正を実行し、前記第1の面に対応する第1の検品画像データを生成する生成手段と、
前記第1の検品画像データに基づいて、前記第1の面に対する検品処理を実行する検品手段とを備え、
前記算出手段は、前記第2の読取手段が前記シートを読み取るときのシートの第2の斜行量を更に算出し、
前記生成手段は、前記第2の斜行量に基づいて前記シートの斜行補正を実行し、前記第2の面に対応する第2の検品画像データを更に生成し、
前記検品手段は、前記第2の検品画像データに基づいて、前記第2の面に対する検品処理を更に実行することを特徴とする検品装置。
【請求項2】
前記生成手段は、前記第2の面に対応する前記第2の検品画像データを生成する場合に、前記第2の斜行量を算出せずに前記第1の斜行量に基づいて前記シートの斜行補正を実行する第1の斜行補正と、前記第2の斜行量を算出して当該第2の斜行量に基づいて前記シートの斜行補正を実行する第2の斜行補正とのいずれかを実行することを特徴とする請求項1に記載の検品装置。
【請求項3】
前記生成手段は、前記シートのサイズに基づいて、前記第1の斜行補正と前記第2の斜行補正とのいずれかを実行することを特徴とする請求項2に記載の検品装置。
【請求項4】
前記生成手段は、前記シートのサイズが所定サイズ未満ではない場合に前記第1の斜行補正を実行し、前記シートのサイズが所定サイズ未満である場合に前記第2の斜行補正を実行することを特徴とする請求項2又は3に記載の検品装置。
【請求項5】
前記所定サイズは、前記シートを搬送する搬送手段の配置間隔に基づいて決定することを特徴とする請求項4に記載の検品装置。
【請求項6】
前記検品装置は前記印刷処理を実行する印刷装置と接続可能であり、
前記検品手段は、前記印刷装置から搬送されたシートに対して検品処理を実行することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の検品装置。
【請求項7】
印刷処理が実行されたシートを検品する検品方法であって、
前記シートの第1の面を読み取る第1の読取ステップと、
前記シートの第2の面を読み取る第2の読取ステップと、
前記第1の読取ステップで前記シートを読み取るときのシートの第1の斜行量を算出する算出ステップと、
前記第1の斜行量に基づいて前記シートの斜行補正を実行し、前記第1の面に対応する第1の検品画像データを生成する生成ステップと、
前記第1の検品画像データに基づいて、前記第1の面に対する検品処理を実行する検品ステップとを有し、
前記算出ステップでは、前記第2の読取ステップで前記シートを読み取るときのシートの第2の斜行量を更に算出し、
前記生成ステップでは、前記第2の斜行量に基づいて前記シートの斜行補正を実行し、前記第2の面に対応する第2の検品画像データを更に生成し、
前記検品ステップでは、前記第2の検品画像データに基づいて、前記第2の面に対する検品処理を更に実行することを特徴とする検品方法。
【請求項8】
請求項7に記載の検品方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−112493(P2013−112493A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−261836(P2011−261836)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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