説明

検査器具

【課題】少量の体液しかない場合でも体液とインジケーターを確実に接触させることができ、該接触によるインジケーターの変化を利用して容易に体液検査を実施可能な体液検査器具の提供。
【解決手段】体液の吸引部、該吸引部から体液を吸引するための体液吸引手段の接続部、該体液吸引手段によって吸引された体液との接触によって生じる変化を利用して前記吸引された体液を検査可能なインジケーターが保持されたインジケーター部、および前記体液の吸引部からインジケーター部への送液構造を有し、かつ前記送液構造が毛細管であることを特徴とする請求項1記載の体液検査器具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は体液を吸引して該体液をインジケーターと接触させることにより生じるインジケーターの変化を利用して体液の各種検査を行うことが可能な検査器具に関する。特に吸引した体液の種類を決定することによって体内に存在させたカテーテルの存在位置、特にその先端位置を確認することができる検査器具に関する。
【背景技術】
【0002】
医療用現場において胃液や血液、膵液、尿等の体液を吸引して各種の検査することは広く行われている。しかしながら、体液の種類、患者の状態あるいは患者の個人差などによっては十分な体液を吸引することができず、結果として検査が十分に行われないという問題があった。また、少量の体液で十分に各種の検査ができることは患者に余分な負担をかけないという観点から好ましいことであった。このため、少量の液体、特に血液を吸引する機器としては特許文献1および2に記載のものが挙げられる。ただ前記機器はその構成が複雑であり、故障の恐れやコストが上がるといった問題点があった。
【0003】
また、体液の中でも胃液や胃内容物を体内に挿入されたカテーテルを通じて吸引することで該カテーテルの先端の位置を確認することが行われている。このようなカテーテルを体内に存在させる場合、該カテーテルの存在位置、特に先端位置を簡単且つ正確に把握することは、カテーテルを使用する医療用分野において重要な解決すべき課題である。例えば患者に栄養剤を投与するために胃や腸など消化管内に留置される栄養カテーテルの場合、体内におけるその先端位置を正確に確認することは非常に重要である。なぜならば、誤って器官や肺などの呼吸器官にカテーテルを挿入した状態で患者に栄養剤の投与を行うと、肺炎や窒息などを引き起こし、時に患者の生命に関わる事態になるからである。
【0004】
このような事故を防ぐために、様々な体内に留置させたカテーテルの位置確認方法が用いられている。例えば非特許文献1においては、カテーテルを挿入した際に胃液が吸引できるか、気泡音が聴取できるかなどの方法やX線造影による位置確認方法、吸引した体液をリトマス試験紙上にて酸性であることを確認するなどの方法が紹介されている。しかし、X線造影による位置確認方法は患者、特に乳幼児・小児患者の被曝によるQOLの低下が懸念され、毎回行う方法としては好適とは言えない。また、リトマス試験紙を使用する方法についても、リトマス試験紙を用意する手間や吸引した体液をリトマス試験紙に滴下する手間が非常にかかるので、実際の医療現場では敬遠されがちである。
【0005】
このような手間を解消し、かつ容易にカテーテルの位置を確認するために様々なカテーテル位置確認方法が提案されている。特許文献3においては、体内に留置するカテーテルの先端位置に放射線を放射する放射線物質を配置し、体外検出器で前記放射線を検知することでカテーテルの先端位置を探知、確定する方法が示されている。しかしこの方法においては、放射線を発する金属を使用しているために患者及び施術者の健康に悪影響を及ぼすおそれがある。また、特許文献4及び特許文献5には、先端に永久磁石が配置された特殊なカテーテルと該特殊カテーテルの先端位置を検知する装置との組み合わせによるカテーテル先端位置確認方法が提案されている。しかし、この方法では特殊なカテーテルを用いる必要があり、またカテーテルの先端位置を確認するために特殊な装置も必要となる。そのため、この方法の実施に際しては、使い慣れているカテーテルを使用できない、コストが高くなるなどの問題点がある。
【0006】
また、特許文献6には、体液との接触により色変化を起こすインジケーターを用いた体液検査器具が提案されている。これはカテーテルの視認可能な任意の個所に該部材を取り付け、体液を吸引してインジケーターと接触させ、インジケーターの変色を以ってカテーテルの先端位置を確認するというものである。この方法によると通常使用しているカテーテルに取り付けて使用するだけなので手間が省ける。しかし、この方法ではインジケーターと体液が十分に接触することが必要であり、体液が十分に吸引できない場合や体液がほとんど貯留されていない場合には体液とインジケーターが十分に接触せず、カテーテルの先端位置の確認が難しいことがある。
【0007】
【特許文献1】特開昭61−286738号
【特許文献2】特開2000−14662号
【特許文献3】米国特許第5099845号
【特許文献4】特表2000−512873号
【特許文献5】特表平9−503054号
【特許文献6】国際公開WO2006/003960号
【非特許文献1】医療・看護安全管理情報No.8「経鼻栄養チューブの誤挿入・誤注入事故を防ぐ」社団法人日本看護協会 2002年8月15日発行
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、少量の体液しか吸引できない場合でも体液とインジケーターを確実に接触させることが出来、体液の検査を行うことができる検査器具を提供することである。さらに本発明の目的は、例えば胃管内などに栄養カテーテルを留置する際にカテーテルの先端位置が存在する部分の体液を吸引してインジケーターと接触させ、インジケーターの変化によって体液の種類を特定することでカテーテルの先端位置を確認する場合に、少量の体液しか吸引できない場合でもカテーテルの先端位置を安全かつ容易に確認できる検査器具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は体液を採取し、該採取した体液との接触によって該体液の検査可能な変化を生じるインジケーターを有する体液検査器具において、採取した体液をインジケーターへ送る送液構造が毛細管構造であることを特徴とする体液検査器具を提供することにより前記課題を解決することができた。
前記本発明の体液の体液検査器具の例として、吸引部、該吸引部から体液を吸引するための体液吸引手段の接続部、該体液吸引手段によって吸引された体液との接触によって生じる変化を利用して前記吸引された体液を検査可能なインジケーターが保持されたインジケーター部、および前記体液の吸引部からインジケーター部への送液構造を有し、かつ前記送液構造が毛細管であることを特徴とする体液検査器具が挙げられる。
【0010】
前記本発明の体液の体液検査器具の別の例として、体液の吸引部、該吸引部から体液を吸引するための体液吸引手段の接続部、該体液吸引手段によって吸引された体液との接触によって生じる変化を利用して前記吸引された体液を検査可能なインジケーターが容器状物内に収納されたインジケーターチップ、該インジケーターチップを保持したインジケーター部および前記吸引部からインジケーター部への送液構造を有し、かつ前記送液構造が毛細管であることを特徴とする体液検査器具が挙げられる。
【0011】
本発明の前記検査器具は少量の体液しか吸引できない場合でもインジケーターに体液を運ぶことができ、かつ体液とインジケーターを確実に接触させることが出来るという効果を達成することができるが、該効果は毛細管において生じる毛細管現象によって達成することができる。なお、前記毛細管現象とは表面張力や壁面の濡れやすさや液体の密度等の要因で細かい管状物体の内面に存在する液体が重力に逆らって移動する現象を指す。したがって、本願発明においては毛細管とは前記毛細管現象が発生するほど断面積が小さい管を言う。また、前記検査対象の体液としては、例えば胃液や血液、膵液、尿等が挙げられる。
【0012】
前記インジケーターはインジケーター部に体液検査器具本体にそのまま保持させてもよいが、インジケーターの取扱いが簡単になり、また、検査終了後の検査器具の再使用する場合に使用したインジケーターを未使用のインジケーターに交換する作業が簡単となるので、容器条物内に収納させたインジケーターチップの形のものを体液検査器具本体に脱着自在に保持させることが好ましい。
【0013】
本発明の体液検査器具の構成を図に基づいて具体的に説明する。
インジケーターの保持
図1に示す体液検査器具は、インジケーター6自体を該検査器具本体のインジケーター部4内に収容して行われる。これに対して、図3および4の場合は、インジケーターはインジケーターチップ41として該検査器具本体のインジケーター部4’に脱着可能に保持される。前記インジケーターチップ41のインジケーター部4′への装着は図3において矢印A方向にインジケーターチップ41をインジケーター部4’に押し込むことにより図4に示すようにインジケーター部4’にインジケーターチップ41が装着される。また、この装着状態から図4に示すように矢印B方向にインジケーターチップ41をインジケーター部4’から引き出すことによりインジケーター部4′からインジケーターチップ41を分離することができる。
【0014】
図3および4に示すようにインジケーターをインジケーターチップ41の容器内に保持させる場合、インジケーターはインジケーターチップ41の容器状物内部の平面方向にスリット7を形成し、その中に薄く延ばして封入するのが好ましい。前記のような態様でインジケーターチップ41を保持することで吸引した体液をより確実にインジケーターに接触させることができ、またインジケーター部4あるいはインジケーター部4′の内腔容積が小さくなるので必要な体液の量も少量で済むという利点がある。
【0015】
インジケーターをインジケーター部4またはインジケーターチップ41内に封入させる方法としては、インジケーター部4またはインジケーターチップ41の一部または全部を透明な部材で構成し、これら部材に内部と外部とが連通し、かつ平面方向に伸びているスリットを設け、そのスリットよりインジケーターを封入し、封入後に封入口を溶着もしくは接着する方法、インジケーター部4またはインジケーターチップ41の内部にインジケーターを配置した後にその上から透明な窓をかぶせて接着もしくは溶着若しくはヒンジ型で固定することでインジケーターを封入する方法、あるいはインジケーターを配置した後にインジケーター部4の側部から透明な窓をスライドさせ蓋をしてインジケーター6を封入する方法等がある。
【0016】
また、インジケーターの封入されているインジケーター部4またはインジケーターチップ41は上述のように確認に必要な体液量を少なくし、かつ体液の吸引を効果的に行うためにその容積を少なくし、かつ気密を保つことが重要である。このために、例えばインジケーター部4またはインジケーターチップ41の形状を扁平形状として構成することが好ましい。インジケーター部4またはインジケーターチップ41を前記のような扁平な形状の構成とすることにより、前記毛細管構造により運ばれて来た少量の液体であって該液体によって該液体に基づく現象をインジケーターに発現することが可能となる。
【0017】
インジケーター
本発明に用いられるインジケーターは、体液に反応して変化する試薬のみをインジケーター部4若しくはインジケーターチップ41に封入してもよいが、該試薬を担体に保持された形状のものとして用いてもよい。このようなインジケーターは体液と接触することで変化し、その変化により吸引した体液を検査できるものであればよい。
体液の検査を行う場合、体内では酸性もしくはアルカリ性の体液(分泌液)が分泌されることが多いので、前記試薬として体液の水素イオン濃度に応じて変色するものが望ましい。ただし、体液の検査を行う場合に使用する試薬は前記の体液の水素イオン濃度に応じて変色する試薬に限定されるものではなく、臨床検査で一般的に用いられている試薬、例えば蛍光試薬や抗体試薬等も使用可能である。
【0018】
本発明の体液検査器具を用いて体内に留置したカテーテルの先端位置の確認を行う場合、例えば該カテーテルの先端位置が胃に留置されているかどうかの確認を行う場合、前記試薬としては胃液など酸性の物質に反応して変色する色素を採用することが望ましい。この場合、仮にカテーテルの先端が十二指腸まで達していた場合、十二指腸で分泌される体液はアルカリ性のものであるため、酸性の液がインジケーターに触れた時と異なる反応が発生することでカテーテルの先端の位置を確認することができる。なお、上記の確認を容易なものにするために使用前のインジケーターは中性の範囲に調整されていることが望ましい。また、複数のインジケーターを用いることで、酸性の液にもアルカリ性の液にも反応できる構成とすることも有用である。
【0019】
前記試薬を担持する試薬担持担体は、試薬を安定に担持でき且つ生体に無害なものであれば使用可能であるが、吸水性のものであれば少量の体液でも接触した瞬間にその大部分を吸引することができるために特に吸水性のものが有用である。このような吸水性のものとしては、紙・繊維・スポンジ等の多孔質構造体が挙げられ、さらにはこれら多孔質構造体を吸水性素材で形成したものであっても良い。特に極く少量の体液の接触でも該接触による変化を確認し易いように薄いシート形状のもの、例えば紙体形状のものが好ましい。
【0020】
インジケーターは試薬を試薬担持体に試薬を担持させた後、乾燥させることが望ましい。乾燥させることでインジケーターの吸水性能をより向上させると共に、担持させた試薬を使用するまでに安定した状態で担持できるという利点がある。乾燥の方法については常温乾燥、熱風乾燥、減圧乾燥、凍結乾燥などが例として挙げられるが、試薬を変質させずに試薬坦持体に担持させ、乾燥できる方法が望ましい。
【0021】
吸入部
本発明の体液検査器具の吸入部2はその内部に毛細管5を備えており、かつ該吸入部2は体液採取部材、例えばその一端が体内に留置された体液採取カテーテルが接続可能な構造と形状のものであればよい。
前記毛細管5の構造は少量の体液しか吸引できない場合でもインジケーター部4あるいはインジケーターチップ41に吸引手段によって吸引した液体を運び込むことができるという観点から、例えばその断面積は0.01〜3mm2程度、好ましくは0.05〜1mm2程度である。毛細管の断面積が小さ過ぎると単位時間当りの体液の移送量が小さくなり過ぎ、また毛細管の断面積が大き過ぎると体液の吸引ができない。また、毛細管の長さは取扱いが容易という観点から1から30mm程度が好ましい。
【0022】
前記毛細管5としては例えば吸引部2の内部を穿孔して該接続部2の先端で開口して長軸方向に形成されインジケーター部4と連通した穴形状もの、前記穴形状のものの中に予め形成された毛細管5を埋設し、インジケーター部4と連通させた構造のもの、あるいは予め形成された毛細管5を使用して押出成型、例えば押出し被覆して該毛細管5を吸引部2中に配置した構造のものが挙げられる。
【0023】
前記予め形成された毛細管5を使用した構造の場合、毛細管5の材質として吸引部2を構成する材料より毛細管現象の作用をより顕著に発現できるものを使用することができる。このような毛細管5を構成する材料としては金属、ガラス、樹脂等が考えられる。さらに毛細管現象の作用をより顕著にするために、毛細管5の内部を親水性及び/または極性の材料でコーティングする方法なども有効である。その際使用されるコーティングの材料としては、ポリエチレングリコール及びその誘導体、シアノプロピルポリシロキサン、界面活性剤などが有用である。前記のように毛細管現象の作用をより顕著に発現させることにより、吸引手段によって少量の体液しか吸引できず、その吸引量ではインジケーターと体液を十分に接触させることができないような場合であっても、吸引した体液をインジケーター部あるいはインジケーター部4′まで容易に吸引させることができる。
【0024】
体液吸引手段の接続部
前記吸入部2の遠位側には液体吸引手段の接続部の接続部3が形成される。該接続部3はシリンジまたは誤接続防止用注入器若しくは吸引器などの液体吸引手段(図示せず)と接続可能な形状であり、その内部には該接続部3に接続された体液吸収手段の吸引作用によって吸入部2あるいは該吸入部2に接続した体液吸引部材、例えば体液採取カテーテル(図示せず)、毛細管5およびインジケーター部4あるいはインジケーターチップ41内に陰圧を発生させるためにインジケーター部4またはインジケーターチップ41と連通する内腔部を有する。また前記液体吸引操作を効果的に行うために、前記液体吸引手段の接続部3は該接続部に接続される液体吸引手段と機密性を保持できるように嵌合構造で接続できる構造のものが好ましい。さらに、液体吸引手段の接続部3と体液吸引手段が一体で構成されたものであってもよい。その場合には液体吸引手段を準備、接続する手間を省くことができる。
【0025】
本発明の体液検査器具を構成する材料としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート、ポリウレタン等が挙げられるが、医療用途に適した材料であればこの限りではない。また、インジケーター部4とインジケーターチップ41の一部若しくは全部を透明な素材で構成するとインジケーターの変化が確認し易くなるので好ましい。
【0026】
体液の確認操作
吸入部2を体液採取部材、例えば体液採取カテーテルと接続させた後に体液吸引手段の接続部3に接続した体液吸引手段によって体液採取部材、毛細管5およびインジケーター部4あるいはインジケーターチップ41の内腔部を陰圧にして前記各部の内腔内に体液を吸引する。そして吸入部2の先端付近に体液が達した時、毛細管現象により体液は毛細管5を通ってインジケーター部4あるいはインジケーターチップ41の内腔内に吸い上げられ、インジケーターと体液を接触させることができる。なお、吸入部2は体液採取部材を接続させる代わりに、該吸入部2自体が体液採取機能を有するものであってもよい。前記吸引した体液をインジケーター6に接触させることでインジケーター6に変化、例えば変色を生じさせ、前記変化を利用することで体液の検査を行うことができるする。
【0027】
図3および4に示すようにインジケーターチップ41を使用する場合、使用済みのインジケーターチップ41をその本体部と取り外し、新たなインジケーターチップ41を本体部に再装着するだけで再び検査を行うことが出来る。すなわち、インジケーターチップ41の把持部42を把持してインジケーターチップの保持枠4′より取り外し、未使用のインジケーターチップ41をインジケーターの保持枠4′に再び嵌め込み、体液を吸引する操作を繰り返すのである。このとき、各種検査に応じたインジケーターを封入した複数の種類のインジケーターチップ41を用意し、目的とする体液の検査に応じて適当なインジケーターチップ41を装着するだけで、様々な体液の操作を簡単に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の体液検査器具および該検査器具を使用した体内に存在させてカテーテルの先端位置の確認方法を説明する。
【実施例1】
【0029】
図1は本発明の体液検査器具1の正面断面図、また図2は側面断面図である。該体液検査器具1は吸入部2、インジケーター部4、および吸引手段の接続部3がポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂あるいはポリエチレン樹脂で一体的に形成されている。前記吸引部2と吸引手段の接続部3は円筒形状、またインジケーター部4は薄い厚さの扁平形状に構成され、前記吸引部2とインジケーター部4は毛細管5によって連通されている。さらに毛細管5は吸引部2の先頭部で開口している。該吸引部2は体液採取カテーテルと接続可能であり、該体液採取カテーテルの内腔部と毛細管5は液通可能に構成されている。前記毛細管5は断面積0.1mm2程度の毛細管で、前記吸入部2を構成する材料とは別の材料で構成されている。また前記インジケーター部4を薄い扁平形状で構成することによってその容積を少なくし体液の確認に必要な体液量を少なくしている。
【0030】
前記インジケーター部4の内腔と体液吸引手段の接続部の内腔部も体液吸引手段の吸引によって前記吸引部2に接続されるカテーテル、前記毛細管5およびインジケーター部4の内腔部を陰圧にできるように連通している。この内腔部の断面積は前記体液吸引手段によって前記各部を陰圧にして前記カテーテルで吸引した体液をインジケーター部4の内腔まで体液を吸い上げられるだけの大きさがあればよい。
【実施例2】
【0031】
本実施例の体液検査器具は、図3と4に示すように吸引部2、体液吸引手段と接続可能である体液吸引手段接続部3、および前記両部材の間に配置されるインジケーターチップ41を取り外しおよび再装着可能な部位であるインジケーター部4′からなる体液検査器具の本体と該本体のインジケーター部4′に取り外しおよび再装着可能な前記インジケーターチップ41とで構成される。インジケーターチップ41を図3の矢印A方向にインジケーター部4′に挿入することで取付けられ、また図4に示す矢印B方向に取出すことによりインジケーター部4′からインジケーターチップ41は取外される。
【0032】
前記インジケーター部4′には前記毛細管5および前記吸引手段の内腔部が連通しており、また前記インジケーター部4′にはインジケーターチップ41をインジケーター部4′にはめ込んだ場合に前記毛細管5と連通する開口部44および前記吸引手段の内腔部と連通する開口部45を備えている。また、インジケーターチップ41をインジケーター部4′に嵌合させた際、インジケーターチップ41とインジケーター部4′はそれらを嵌合させた際に吸引操作を効果的に行うため気密を保てる形状となることが望ましい。
【0033】
本実施例の体液検査器具も実施例1のものと同様にして体液吸引手段によってカテーテル及びインジケーター部4′の流路内に陰圧を発生させ体液の吸引を行い体液の検査を行う。一度検査を行った後にもう一度検査を行う場合は把持部42を掴んでインジケーターチップ41をインジケーター部4′から取り出し、未使用のインジケーターチップ41をインジケーター部4′に再び挿入し、体液を吸引してインジケーターと接触させるのである。この方法によると位置を再確認する時に体液検査器具を全て交換する手間が省け、且つ経済的である。
【0034】
また前記インジケーター部4′およびインジケーターチップ41は、内部に封入されたインジケーターの色変化が確認できるよう一部または全部が透明な部材で構成されていることが望ましい。さらにインジケーターチップの保持部41には該インジケーターチップ41とインジケーター部4′を嵌合させた後にインジケーターチップ41をインジケーター部4′から取り除く際、容易に握持できるように握持部42を設けてもよい。前記インジケーター部4′はインジケーターの変化を確認するために確認用の窓43を備えていることが望ましい。
実施例3
【0035】
本発明の検査器具を使用して、胃内に挿入された栄養カテーテルの先端位置を確認する。
従来の方法により栄養カテーテルを胃へと挿入する。そして胃に達したと判断した時点で前記実施例1あるいは2の体液検査器具の吸引部2に前記栄養カテーテルの体外側の端部を接続し、また前記体液検査器具の吸引手段接続部3に吸引手段のシリンジを接続する。そして前記シリンジによって前記栄養カテーテル及び体液検査器具の内腔内に陰圧を発生させ、その作用によって吸引部2の吸引部2の先端より体液の吸引を行う。
【0036】
吸引された体液の量に関わらず体液が吸引部2に達した時点で毛細管現象が発生し、該体液は毛細管5を通ってインジケーター部4あるいはインジケーター部4′に達し、インジケーターと接触する。この場合には胃内容物は酸性であるために、酸性の体液に反応して変色を起こす物質を用いることが望ましい。インジケーターと触れた体液が酸性であるという反応により吸引した体液が胃内容物であると特定できる。
【0037】
また、インジケーターに変化が見られなかった場合、吸引した体液は中性もしくはアルカリ性であると認められ、その結果カテーテルの先端位置は胃以外の部位に存在していると確認できる。この場合には検査器具を交換もしくはインジケーターチップ41を交換することで再検査を行うことが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0038】
カテーテル側先端とインジケーター部を毛細管で連通させる構成により、少量の体液しか吸引できなかった場合でも、毛細管現象によって体液をインジケーター部まで吸い上げ、インジケーターと接触させることが容易となり、体液の検査を容易に行うことができる。また、X線や放射性物質などを使用しないので、患者や施術者にとっても安全である。さらに、本発明における体液検査器具は、従来使われているカテーテルと接続して使用するので、特殊な機器を他に用意する必要がなく経済的である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の体液検査器具の正面断面図である。
【図2】本発明の体液検査器具の側面断面図である。
【図3】本発明の別態様の体液検査器具の斜視図である(インジケーターチップを本体に挿着する前)。
【図4】本発明の別態様の体液検査器具の斜視図である(インジケーターチップを本体に挿着した状態)。
【符号の説明】
【0040】
1 体液検査器具
2 吸入部
3 吸引手段接続部
4 インジケーター部
4’ インジケーター部
41 インジケーターチップ
42 インジケーターチップの把持部
43 確認用窓
44 毛細管と連通するインジケーター部の開口部
45 吸引手段接続部の内腔部と連通するインジケーター部の開口部
5 毛細管
6 インジケーター
7 スリット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
体液を採取し、該採取した体液との接触によって該体液の検査可能な変化を生じるインジケーターを有する体液検査器具において、採取した体液をインジケーターへ送る送液構造が毛細管であることを特徴とする体液検査器具。
【請求項2】
体液の吸引部、該吸引部から体液を吸引するための体液吸引手段の接続部、該体液吸引手段によって吸引された体液との接触によって生じる変化を利用して前記吸引された体液を検査可能なインジケーターが保持されたインジケーター部、および前記体液の吸引部からインジケーター部への送液構造を有し、かつ前記送液構造が毛細管であることを特徴とする請求項1記載の体液検査器具。
【請求項3】
体液の吸引部、該吸引部から体液を吸引するための体液吸引手段の接続部、該体液吸引手段によって吸引された体液との接触によって生じる変化を利用して前記吸引された体液を検査可能なインジケーターが容器状物内に収納されたインジケーターチップ、該インジケーターチップを保持したインジケーター部および前記吸引部からインジケーター部への送液構造を有し、かつ前記送液構造が毛細管であることを特徴とする請求項1記載の体液検査器具。
【請求項4】
容器状物はその内部の平面部にスリットを有し、該スリット中にインジケーターが封入されたものである請求項3に記載の体液検査器具。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の体液検査器具に使用する体液との接触によって生じる変化を利用して体液を検査可能なインジケーターが容器状物内に収納されたインジケーターチップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−136485(P2009−136485A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−315851(P2007−315851)
【出願日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【出願人】(000153030)株式会社ジェイ・エム・エス (452)
【Fターム(参考)】