説明

検査対象物の目視検査方法及び目視検査装置

【課題】構造が簡単で点灯及び消灯を繰り返しても寿命の劣化が少ない面発光する照明手段を用いて目視検査をする。
【解決手段】前面を開口し、他の5面を遮光して床に設置されたボックス1と、ボックス1内に配設され、検査対象物を保持して直交する2軸を中心に回動可能とされ、該2軸のうち一つが伸縮支持部材12に支持された保持部2及び外側保持部3と、保持部2及び外側保持部3を上記直交する2軸を中心に回動させて傾斜させる駆動機構4と、ボックス1の天井部及び後壁部のそれぞれに配設され、白色LED20及びオレンジ色LED21が多数個稠密に平面状に並べられて面発光し、保持部2に保持された検査対象物を照明する第1の照明手段5及び第2の照明手段6と、第1及び第2の照明手段5,6の点灯及び消灯を制御する照明制御手段と、を備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、面発光する照明手段から放射される光を検査対象物に照射して目視により欠陥を検査する目視検査方法に関し、詳しくは、構造が簡単で点灯及び消灯を繰り返しても寿命の劣化が少ない面発光する照明手段を用いて目視検査をしようとする検査対象物の目視検査方法及び目視検査装置に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来の目視検査装置は、複数の蛍光灯を平行に配置し、該複数の蛍光灯の前方に拡散板を配置して面発光するようにした照明手段を用いて、該照明手段から放射される光を検査対象物に照射して該検査対象物の欠陥を目視検査するようになっていた(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかし、上記複数の蛍光灯で構成した照明手段は、点灯及び消灯を繰り返すと寿命が劣化するという問題があった。そこで、上記従来の目視検査装置は、上記蛍光灯からなる照明手段を常時点灯させたままで検査対象物の目視検査を行なう必要があった。したがって、例えば検査対象物の厚みむらや表面の傷の検査等のように、反射光による検査と透過光による検査とを二つの照明手段の点灯及び消灯を繰り返しながら行なうという検査目的には適用することができなかった。
【0004】
そこで、このような問題に対処するため、複数の蛍光灯の各々に対応して複数の遮光部材を配設し、該複数の遮光部材を対応する蛍光灯の各々に対応して遮光位置と非遮光位置との間を移動自在に設け、上記複数の遮光部材を同時に連動させるための連動機構と、該連動機構を駆動させるためのモータとを設けて照明手段を構成した目視検査装置がある(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
この目視検査装置によれば、上記複数の蛍光灯は常時点灯した状態にし、検査対象物に光を照射するときには、複数の遮光部材をモータ及び連動機構によって非遮光位置に位置づけ、検査対象物に照射する光を遮断するときには、上記複数の遮光部材をモータ及び連動機構によって遮光位置に位置付けるようになっている。
【特許文献1】特開平10−300582号公報
【特許文献2】特開2005−265803号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、このような特許文献2に記載の目視検査装置においては、使用される照明手段が複数の蛍光灯の各々に対応して複数の遮光部材を設け、該複数の遮光部材を遮光位置と非遮光位置との間を移動させるためのモータ及び連動機構を備えて構成されているため、照明手段の構造が複雑となり、大型化するという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、このような問題点に対処し、構造が簡単で点灯及び消灯を繰り返しても寿命の劣化が少ない面発光する照明手段を用いて目視検査をしようとする検査対象物の目視検査方法及び目視検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、第1の発明による検査対象物の目視検査方法は、多数個のLEDが稠密に平面状に並べられて面発光するようにされ、反射光に基づいて検査対象物の欠陥を目視検査可能とする照明手段及び透過光に基づいて前記検査対象物の欠陥を目視検査可能とする照明手段のいずれか一方を点灯し他方を消灯して照明手段を選択するステップと、前記選択された照明手段から放射される光を前記検査対象物に照射するステップと、前記検査対象物に照射された光の反射光又は透過光に基づいて前記検査対象物の欠陥を目視検査するステップと、を行うものである。
【0009】
このような構成により、多数個のLEDが稠密に平面状に並べられて面発光するようにされ、反射光に基づいて検査対象物の欠陥を目視検査可能とする照明手段及び透過光に基づいて検査対象物の欠陥を目視検査可能とする照明手段のいずれか一方を点灯し他方を消灯して照明手段を選択し、選択された照明手段から放射される光を検査対象物に照射し、検査対象物に照射された光の反射光又は透過光に基づいて検査対象物の欠陥を目視検査する。
【0010】
また、前記照明手段は、発光色の異なる少なくとも2種類のLEDからなり、前記検査対象物の検査目的に応じて前記少なくとも2種類のLEDを切り替えて発光色の選択を可能としたものである。これにより、発光色の異なる少なくとも2種類のLEDを切り替えて照明手段の発光色を選択する。
【0011】
そして、前記照明手段は、前記多数個のLEDがそれぞれ個別に駆動可能とされ、前記検査対象物の大きさに応じて所定領域のLEDを点灯し、それ以外の領域のLEDを消灯して発光領域の設定を可能としたものである。これにより、検査対象物の大きさに応じて多数個のLEDをそれぞれ個別に駆動し、所定領域のLEDを点灯し、それ以外の領域のLEDを消灯して発光領域を設定する。
【0012】
また、第2の発明による目視検査装置は、前面を開口し、他の5面を遮光して床に設置されたボックスと、前記ボックス内に配設され、検査対象物を保持して直交する2軸を中心に回動可能とされ、該2軸のうち一つが支持部材に支持された保持部と、前記保持部を前記2軸を中心に回動させて傾斜させる駆動機構と、前記ボックスの天井部及び後壁部のそれぞれに配設され、多数個のLEDが稠密に平面状に並べられて面発光し、前記保持部に保持された検査対象物を照明する照明手段と、前記各照明手段の点灯及び消灯を制御する照明制御手段と、を備えたものである。
【0013】
このような構成により、前面を開口し、他の5面を遮光して床に設置されたボックス内に配設され、直交する2軸を中心に回動可能とされ、該2軸のうち一つが支持部材に支持された保持部で検査対象物を保持し、駆動機構で上記保持部を上記直交する2軸を中心に回動させて傾斜させ、照明制御手段で上記ボックスの天井部及び後壁部のそれぞれに配設され、多数個のLEDが稠密に平面状に並べられて面発光するようにされた各照明手段の点灯及び消灯を制御し、上記照明手段で上記保持部に保持された検査対象物を照明する。
【0014】
さらに、前記照明手段は、発光色の異なる少なくとも2種類のLEDからなり、前記検査対象物の検査目的に応じて前記少なくとも2種類のLEDを切り替えて発光色の選択を可能としたものである。これにより、発光色の異なる少なくとも2種類のLEDを切り替えて照明手段の発光色を選択する。
【0015】
そして、前記照明手段は、前記多数個のLEDがそれぞれ個別に駆動可能とされ、前記検査対象物の大きさに応じて所定領域のLEDを点灯し、それ以外の領域のLEDを消灯して発光領域の設定を可能としたものである。これにより、検査対象物の大きさに応じて多数個のLEDをそれぞれ個別に駆動し、所定領域のLEDを点灯し、それ以外の領域のLEDを消灯して発光領域を設定する。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に係る検査対象物の目視検査方法の発明によれば、多数個のLEDを並べた照明手段を用いて目視検査をするようにしているので、点灯及び消灯を繰り返しても照明手段の寿命の劣化が少ない。また、照明手段を点灯及び消灯させて検査対象物に対する光の照射及び遮断を行なっているので、遮光部材及びそれを駆動する駆動機構が不要となり、構造を簡単にすることができる。また、多数個のLEDを稠密に配置しているので、従来の蛍光灯による照明手段よりもより均一な照明光を得ることができる。したかって、目視検査の精度を向上することができ、検査の信頼性を向上することができる。
【0017】
また、請求項2又は5に係る発明によれば、発光色の異なる少なくとも2種類のLEDをそれぞれ点灯及び消灯させて検査目的に応じて発光色を容易に選択することができる。したがって、目視検査の精度を向上することができ、検査の信頼性を向上することができる。
【0018】
そして、請求項3又は6に係る発明によれば、例えば、大きさの小さい検査対象物に対しては、照明手段の発光領域を小さくして照射範囲を狭くすることができ、照明光が検査対象物以外の部分で乱反射されて検査空間が明るくなるのを防止することができる。したがって、検査対象物の検査領域のコントラストの低下を抑制することができ、目視検査の精度を向上することができる。
【0019】
また、請求項4に係る目視検査装置の発明によれば、使用する面発光の照明手段の構造を簡単にすることができ、且つ点灯及び消灯を繰り返しても寿命の劣化を少なくすことができる。したがって、例えば検査対象物の厚みむらや表面の傷の検査等のように、反射光による検査と透過光による検査とを二つの照明手段の点灯及び消灯を繰り返しながら行なう検査目的にも適用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明による目視検査装置の実施形態を示す正面図であり、図2は図1の平面断面図、図3は図1の側面断面図である。この目視検査装置は、少なくとも2種類の色を発光する面発光の照明手段の発光色を切り替えて検査対象物に照射して目視により欠陥を検査する方法に直接使用するもので、ボックス1と、保持部2と、外側保持部3と、駆動機構4と、第1の照明手段5と、第2の照明手段6と、照明制御手段7(図6参照)とを備えている。
【0021】
上記ボックス1は、床に設置されており、前面を開口し、他の5面に壁を設けて外光を遮光して内部空間を薄暗く保つことができるようになっている。
【0022】
上記ボックス1の内部には、上記保持部2が配設されている。上記保持部2は、図2に示すように、検査対象物8の周縁部を保持するものであり、四角形のフレームに形成されている。そして、同図においてX軸に平行な対向する辺の中央部からX軸に直交するY軸方向に延びた第1の回動軸9で、後述する外側保持部3に回動可能に支持されて、図1に示す矢印A,B方向に回動するようになっている。
【0023】
上記保持部2を囲んで外側保持部3が設けられている。この外側保持部3は、上記保持部2を回動可能に支持するものであり、図2に示すように、四角形のフレームに形成されている。そして、Y軸に平行な対向する辺の中央部からX軸方向に延びた第2の回動軸10を中心に図3に示す矢印C,D方向に回動可能になっている。これにより、上記第1の回動軸9を中心とした矢印A,B方向の回動と、上記第2の回動軸10を中心とした矢印C,D方向の回動とがあいまって、保持部2を所定の方向に傾斜させ、保持部2に保持された検査対象物8を傾けることができる。
【0024】
上記外側保持部3の第2の回動軸10を回動可能に支持して、駆動機構4が設けられている。この駆動機構4は、保持部2を直交する第1及び第2の回動軸9,10を中心に回動させて所定の方向に傾斜させると共に、X,Y,Z軸方向に移動して上記保持部2に保持された検査対象物8を検査員の目視検査し易い位置に位置付けるためのものであり、駆動機構本体部11と、支持部材としての伸縮支持部材12と、第1のモータ14と、第2のモータ15とからなる。
【0025】
上記駆動機構本体部11は、上記保持部2及び外側保持部3をX,Yの2次元方向に移動するものであり、図2に示すように、ボックス1の底面1aにX軸方向に延びて設けられた第1のレール16と、図3に示すようにY軸方向に延びて設けられた第2のレール17上に設置されており、該レール16,17上をX,Yの2次元方向に移動可能にされている。
【0026】
上記伸縮支持部材12は、上記保持部2及び外側保持部3をZ軸方向へ移動するものであり、図1及び図3に示すように上記駆動機構本体部11の上面後部の両端部に一対設けられ、その上端部12aに正面に向かって水平に延びたアーム19を固定し、該アーム19の先端部に第2の回動軸10を回動可能に支持している。そして、Z軸方向に伸縮することによって、上記保持部2及び外側保持部3をZ軸方向へ移動可能となっている。
【0027】
上記第1のモータ14は、上記第1の回動軸9を回動させるものであり、モータ軸を第1の回動軸9に連結させて図2に示すように上記外側保持部3の側面に固定されている。上記第2のモータ15は、上記第2の回動軸10を回動させるものであり、モータ軸を第2の回動軸10に連結させて上記アーム19の側面に固定されている。なお、上記駆動機構4は、上述したものに限られず、公知の技術を適用して構成してもよい。
【0028】
上記駆動機構4の上方にてボックス1の天井部1bには、図1に示すように、第1の照明手段5が配設されている。この第1の照明手段5は、検査対象物8を照明してその反射光に基づいて検査対象物8の欠陥を目視検査可能とするものであり、図4に示すように、例えば縦一列に並べた多数個の白色LED20とオレンジ色LED21とを基板22上に交互に稠密に取り付けて面発光するようにされている。そして、カバー23及び例えばスリガラス等の光拡散板24によって覆われて保護されている。
【0029】
そして、上記多数個の白色LED20及びオレンジ色LED21は、例えば図5に示すように基板22上に所定間隔で形成された複数の縦配線25に一方の端部を接続し、横方向に所定間隔で形成された複数の横配線26に他方の端部を接続している。また、上記複数の縦配線25には縦配線駆動部27が接続され、各縦配線25が個別にオン・オフ駆動できるようになっている。さらに、上記複数の横配線26には横配線駆動部28が接続され、各横配線26が個別にオン・オフ駆動できるようになっている。
【0030】
上記駆動機構4の後方にてボックス1の後壁部1cには、図3に示すように、第2の照明手段6が配設されている。この第2の照明手段6は、検査対象物8を背面から照明してその透過光に基づいて検査対象物8の欠陥を目視検査可能とするものであり、上記第1の照明手段5と同様に、例えば白色LED20とオレンジ色LED21とからなる多数個のLEDを基板22面に交互に稠密に並べて取り付けて面発光するようにされ、縦配線駆動部27及び横配線駆動部28によってそれぞれ個別にオン・オフ駆動できるようになっている(図4及び図5参照)。
【0031】
上記第1の照明手段5及び第2の照明手段6には、図6に示すように、照明制御手段7が接続されている。この照明制御手段7は、第1の照明手段5及び第2の照明手段6の選択、各照明手段の発光色の選択及び発光領域の設定を可能にするものであり、操作パネル29と、制御部30とからなる。
【0032】
上記操作パネル29は、各照明手段の選択、各照明手段の発光色の選択及び発光領域の設定の操作をするためのものであり、例えば第1の照明手段5及び第2の照明手段6の選択ボタンと、発光色選択ボタンと、照明範囲の大きさを入力する入力手段とを備えている。また、制御部30は、上記操作パネル29によって入力された照明手段の選択、照明手段の発光色の選択及び発光領域の設定情報に基づいて各照明手段を制御する制御信号を第1及び第2の照明手段5,6に出力するものである。
【0033】
次に、このように構成された目視検査装置を使用して行う目視検査方法について説明する。先ず、第1ステップにおいて、検査対象物8が保持部2上に設置され、その周縁部が保持される。
【0034】
第2ステップにおいて、操作パネル29の第1の照明手段5及び第2の照明手段6を選択する選択ボタンを操作して、例えば第1の照明手段5を選択して点灯する。また、発光色選択ボタンを操作して検査対象物8の検査目的に応じて上記第1の照明手段5の発光色を選択する。例えば、検査対象物8の表面の傷や汚れを検査するときには、白色光が選択される。また、検査対象物8の表面の傷や表面に被着された透明膜の厚みむらを検査するときには、干渉を生じやすいオレンジ色光が選択される。さらに、検査対象物8の大きさに応じて照明範囲が操作パネル29の入力手段により入力されて、第1の照明手段5の発光領域が設定される。
【0035】
この場合、例えば縦配線16及び横配線17のオン駆動状態を“1”で表し、オフ駆動状態を“0”で表すと、白色光を選択するためには、図5に示す縦配線駆動部27により縦配線16を同図において左側から“1010101010”というように駆動し、横配線駆動部28により横配線17を同図において上側から“1111111111”というように駆動する。これにより、白色LED20のみが点灯して第1の照明手段5から白色光が放射される。
【0036】
また、上記縦配線16の駆動状態を“0101010101”とし、横配線17の駆動状態を“1111111111”とするとオレンジ色LED21のみが点灯して第1の照明手段5からオレンジ色の光が放射される。
【0037】
さらに、白色光の発光領域を制限するには、図5に示すように、上記縦配線16の駆動状態を同図において左側から“0010101000”とし、横配線17の駆動状態を上側から“0011111100”とすると白色LED20の一部を点灯させその他の部分を消灯させて、図7に示すように白色光の発光領域を所定範囲に制限することができる。
【0038】
第3ステップにおいては、駆動機構4により、保持部2及び外側保持部3がX,Y,Z軸方向に移動されて上記保持部2に保持された検査対象物8が検査し易い位置に位置付けられる。さらに、第1及び第2のモータ14,15が駆動されて保持部2及び外側保持部3が回動され、検査対象物8が所定方向に傾けられる。
【0039】
第4ステップにおいては、第1の照明手段5によって保持部2に保持された検査対象物8に対して照明光が照射される。このとき、ボックス1の正面に立った検査員は、検査対象物8からの反射光に基づいて検査対象物8の表面の傷や汚れ又は膜厚むらなどの欠陥を検査する。例えば、白色光を用いた場合に、検査対象物8上に輝点又は輝線が観察されたときには、該輝点又は輝線が観察された部分に傷や汚れがあることが分かる。また、オレンジ色光を用いた場合に、検査対象物8上の干渉縞に歪みが観察されたときには、該干渉縞の歪みの観察された部分に傷や膜厚のむらがあることが分かる。
【0040】
次に、検査対象物8を透過観察する場合には、第5ステップに進んで、操作パネル29の第1の照明手段5及び第2の照明手段6の選択ボタンを操作して、第1の照明手段5が消灯され、第2の照明手段6が点灯されて第2の照明手段6が選択される。また、第2ステップと同様にして、白色光又はオレンジ色光が選択され、必要に応じて第2の照明手段6の発光領域が設定される。
【0041】
第6ステップにおいては、駆動機構4が駆動されて、保持部2が垂直に起立される。そして、検査員によって、検査対象物8に背面から照射された光の透過光に基づいて検査対象物8の欠陥が検査される。この場合、例えば検査対象物8がカラーフィルタ基板のときには、オレンジ色光を選択するとよい。この場合、カラーフィルタ基板が無欠陥のときには、全面が黒色に見え、その一部に欠陥があるときには、その欠陥部分がオレンジ色の輝点として現れる。
【0042】
また、検査対象物8の厚みむらや表面の傷を検査する場合には、駆動機構4を駆動して保持部4に保持された検査対象物8の位置を変えながら、同時に、第1の照明手段5と第2の照明手段6とを交互に点灯させ、反射光による検査と透過光による検査とが繰り返し行われる。この場合、一般に白色光が選択される。
【0043】
なお、以上の説明においては、照明手段の多数個のLEDが光拡散板24で覆われている場合について述べたが、これに限られず、光拡散板24は無くてもよい。この場合、図8に示すように、第1の照明手段5の光放射方向前方に光を拡散して反射する光拡散反射板31を配設し、その反射光を検査対象物8に照射して間接的に照明するようにしてもよい。これにより、検査対象物8へのLEDのうつり込みが防止される。また、光拡散板24を透過させた場合に比べて光損失が低減されて照明光の輝度が向上し、目視検査精度をより向上することができる。
【0044】
また、上記実施形態において、照明手段の多数個のLED20,21が個別に駆動される場合について説明したが、これに限られず、縦一列に配列された同じ発光色のLEDを直列接続して同時に点灯及び消灯するようにしてもよい。
【0045】
さらに、上記実施形態においては、照明手段が白色LED20とオレンジ色LED21とで構成された場合について説明したが、これに限られず、例えばレッド(R)を発光するLED,グリーン(G)を発光するLED及びブルー(B)を発光するLEDをマトリクス状に配設してもよい。これにより、上記各LEDの発光状態を制御すれば所望の色を発色させることができる。又は、照明手段は、発光色の異なる少なくとも2種類のLEDからなるものに限られず、1種類のLEDを多数個稠密に並べて構成したものであってもよい。
【0046】
そして、以上の説明においては、照明手段として第1の照明手段5及び第2の照明手段6の両方を配設した場合について説明したが、これに限られず、第1の照明手段5又は第2の照明手段6のいずれか一方が配設されたものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明による目視検査装置の実施形態を示す正面図である。
【図2】図1の平面断面図である。
【図3】図1の側面断面図である。
【図4】上記目視検査装置に使用される照明手段の構成を示す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のE−E線断面図である。
【図5】上記照明手段の一結線例を示す説明図である。
【図6】照明手段と照明制御手段の接続について説明するブロック図である。
【図7】上記照明手段の発光領域が設定された状態を示す説明図である。
【図8】上記照明手段において、第1の照明手段による間接照明を示す側面断面図である。
【符号の説明】
【0048】
1…ボックス
1b…天井部
1c…後壁部
2…保持部
3…外側保持部
4…駆動機構
5…第1の照明手段
6…第2の照明手段
7…照明制御手段
8…検査対象物
9…第1の回動軸
10…第2の回動軸
20…白色LED
21…オレンジ色LED

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数個のLEDが稠密に平面状に並べられて面発光するようにされ、反射光に基づいて検査対象物の欠陥を目視検査可能とする照明手段及び透過光に基づいて前記検査対象物の欠陥を目視検査可能とする照明手段のいずれか一方を点灯し他方を消灯して照明手段を選択するステップと、
前記選択された照明手段から放射される光を前記検査対象物に照射するステップと、
前記検査対象物に照射された光の反射光又は透過光に基づいて前記検査対象物の欠陥を目視検査するステップと、
を行うことを特徴とする検査対象物の目視検査方法。
【請求項2】
前記照明手段は、発光色の異なる少なくとも2種類のLEDからなり、前記検査対象物の検査目的に応じて前記少なくとも2種類のLEDを切り替えて発光色の選択を可能としたことを特徴とする請求項1記載の検査対象物の目視検査方法。
【請求項3】
前記照明手段は、前記多数個のLEDがそれぞれ個別に駆動可能とされ、前記検査対象物の大きさに応じて所定領域のLEDを点灯し、それ以外の領域のLEDを消灯して発光領域の設定を可能としたことを特徴とする請求項1又は2記載の検査対象物の目視検査方法。
【請求項4】
前面を開口し、他の5面を遮光して床に設置されたボックスと、
前記ボックス内に配設され、検査対象物を保持して直交する2軸を中心に回動可能とされ、該2軸のうち一つが支持部材に支持された保持部と、
前記保持部を前記2軸を中心に回動させて傾斜させる駆動機構と、
前記ボックスの天井部及び後壁部のそれぞれに配設され、多数個のLEDが稠密に平面状に並べられて面発光し、前記保持部に保持された検査対象物を照明する照明手段と、
前記各照明手段の点灯及び消灯を制御する照明制御手段と、
を備えたことを特徴とする目視検査装置。
【請求項5】
前記照明手段は、発光色の異なる少なくとも2種類のLEDからなり、前記検査対象物の検査目的に応じて前記少なくとも2種類のLEDを切り替えて発光色の選択を可能としたことを特徴とする請求項4記載の目視検査装置。
【請求項6】
前記照明手段は、前記多数個のLEDがそれぞれ個別に駆動可能とされ、前記検査対象物の大きさに応じて所定領域のLEDを点灯し、それ以外の領域のLEDを消灯して発光領域の設定を可能としたことを特徴とする請求項4又は5記載の目視検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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