説明

検査情報管理システム

【課題】本発明は上記のような問題点を解消するためになされたもので、検査装置の良否の検査結果を集約すると共に、その相互間の良否の検査結果のデータ管理が出来ることを可能とした検査装置サーバーおよびソフトウェアによる検査情報管理システムを提供すること。
【解決手段】リール形態で製造され、基板上に、順次、パターンを形成し、一つの部品に組み立てるサブストレート基板の製造工程には、複数の検査装置が工程内に配置され、基板に個別に付された識別コードを認識しながら検査し、該検査結果を識別コード毎に登録し、該検査結果を一元管理する工程内の検査情報管理システムであって、該検査情報管理システムへ、識別コードを元に、任意の検査装置群内の全ての検査結果を抽出し、その検査結果の論理和が取れるシステムの手順を付加することによって、識別コード毎に、サブストレート基板の良否結果を出力できることを特徴とした検査情報管理システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体パッケージ用の、特にリール形態で製造されるような配線基板等を初めとするサブストレート基板の検査情報及び品質情報の管理及びその結果を判定する検査情報管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この分野の製造は、多数の工程にわたり、その工程には、基板上に、順次、パターン等を形成する複数の製造装置等、及び工程内の基板を検査する複数の検査装置が組み込まれている。
【0003】
前記検査装置では、製造現場の製造基準、又は製品(顧客)要求の品質規格に従って、自動検査の欠陥種類毎に、検出レベルを定めて、検査し、その計測値を欠陥種類毎に予め設定した判定基準により良否選別し、その検査結果により工程内の基板の良品、不良品を選別する方法を行って来た。なお、各検査装置は、欠陥種類毎の検出レベルと、その判定基準を備え、検出レベル以上の欠陥の計測値及び判定基準を検査情報とする。
【0004】
前記工程内の基板の良否選別の検査情報は、それぞれの自工程で、次工程に基板を回すか、又は不良品扱いとするかを決めていた。
【0005】
又、これらの結果をデータベースに保存し、相互参照出来るようにしてあったとしても、それは主に不良品解析目的で使われていた。
【0006】
また、実際出荷する場合の選別等は、最終検査が行われ、最終検査の出荷決定者、例えば、品質管理部等がその顧客の品質規格(レベル以上の欠陥の計測値及び判定基準)と比較判断し、その基準を適用しながら判断していた。
【0007】
従来の最終検査工程では、通常、不良品流出の防止の意味で、得意先の品質規格より厳しい出荷基準を設定して良否選別を行っている。しかし、年々要求仕様が厳しくなる半導体製品の検査の場合、同様のやり方で、全ての検査工程で良否選別していくと、いたずらに出荷基準が厳しくなり、ひいては顧客に価格面・納期面での不利益を生じることになっていた。
【0008】
また、必ずしも、良品/不良品で判定できない項目も含まれている。例えば、製品内の部品の性能を直接測定、又は保証出来ないために保証用テストクーポンを設けている場合や、目視検査で行う金めっきの変色やソルダーレジストの汚れ、又は傷等、その基準に限度見本を持って行う検査の場合、判定基準に余裕を持たせて(基準を厳しくして)良否判定及び選別をしている。
【0009】
したがって、今までも、各検査装置間、又は一検査装置内の欠陥種類毎に、良品と不良品の間には、品質的なグレードがあり、そのグレードを体系的に管理されたものではなかった。このグレードの体系的管理が、製品の高度化・高機能化に伴って、検査工程も検査種類も増えて来ると、一元的・体系的な管理が望まれて来ていた。
【0010】
以下に公知文献を記す。
【特許文献1】特開2002−257734号公報
【特許文献2】特開2003−202298号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は上記のような問題点を解消するためになされたもので、検査装置の良否の検査結果を集約すると共に、その相互間の良否の検査結果のデータ管理が出来ることを可能とした検査装置サーバーおよびソフトウェアによる検査情報管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものである。本発明の請求項1に係る発明は、リール形態で製造される、半導体パッケージ用の基板上に、順次、パターンを形成し、一つの部品に組み立てるサブストレート基板の製造工程において、前記製造工程には、複数の検査装置が工程内の基板の検査用に配置され、前記各検査装置は、基板に個別に付された識別コードを認識しながら検査し、該検査結果を識別コード毎に登録し、該検査結果を一元管理する工程内の検査情報管理システムであって、該検査情報管理システムへ、識別コードを元に、任意の検査装置群内の全ての検査結果を抽出し、その検査結果の論理和が取れるシステムの手順を付加することによって、識別コード毎に、サブストレート基板の良否結果を出力できることを特徴とした検査情報管理システムである。
【0013】
本発明の請求項2に係る発明は、前記任意の検査装置群内の全ての検査結果おいて、当該の全ての検査結果に重要度を付し、その重要度をキーにして、検査情報管理システムで検査結果を再度抽出し、その検査結果の論理和によって、識別コード毎に、サブストレート基板の良否結果を出力できることを特徴とした請求項1記載の検査情報管理システムである。
【0014】
本発明の請求項3に係る発明は、前記検査情報管理システムに、各々の検査装置毎の検査結果の判定に用いる、当該検査装置の欠陥種類毎の計測値及びその判定基準を含む検査情報を追加登録することにより、前記欠陥種類毎の判定基準に重要度を付し、その重要度をキーにして、当該検査装置の検査結果を検査情報管理システムへ再度登録し、識別コードを元に、任意の検査装置群内の全ての検査結果を再度抽出し、その検査結果の論理和によって、識別コード毎に、サブストレート基板の良否結果を出力できることを特徴とした請求項1、又は2記載の検査情報管理システムである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1記載の検査情報管理システムによれば、従来人手に頼って出荷品を選別、抽出していたものが、検査情報管理サーバーの設定だけすることで出荷品リストが作成できるだけでなく、製造数量の中から顧客の必要数量に応じた欠陥レベルを提示して了解の諾否を問うことができるようになる。
【0016】
また、情報を抽出する際に、重要度をキーとして検索できることで、簡単に良品を抽出し直し、数量を確認し直すことが出来る。
【0017】
もちろん、従来とおり、不良品解析、トレーサビリティ等の出荷製品の記録管理にも活用できる。本発明の検査情報管理システムによれば、検査結果の集約装置にとどまらず、製品の出荷の際の選別手段とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1は、本発明の検査情報管理システムを説明する全体的な説明構成図である。図1aは、検査情報である。図1bは、検査結果である。
【0019】
本発明の検査情報管理システムでは、図1aに示す検査情報を備えている。前記検査情報は、各々の検査装置毎(自動検査―1)に検査結果20の判定に用いる情報であり、当該検査装置の欠陥種類毎13に計測値12が登録され、その判定基準11と比較照合により、当該検査装置の検査結果20を出力する。また必要の場合、前記欠陥種類毎へ重要度30を付し、その重要度30をキーにして、当該検査装置の検査結果20を再出力し、検査情報管理システムへ再度登録する。事例により説明する。ロットNo1−001/自動検査―1では、欠陥Bが不良で、欠陥A及びCは良品(○印)である。総合判定では、ロットNo1−001は不良(×印)となる。また、重要度30を付して、再判定した場合、例えば、欠陥Aと、欠陥Cに重要度30を付し、その重要度をキーにしての再判定は共に○印となり、総合判定では、ロットNo1−001は良品(○印)となる。
【0020】
図1aの検査情報のデータファイルを説明する。キーは、識別番号、例えばロットNo1−001であり、該識別番号毎/検査装置毎(例えば、No1−001/自動検査1)に1ファイルのデータを備えている。前記欠陥種類13は横方向に、例えば、欠陥A、欠陥B、欠陥C、以下必要種類毎に並べられ、各々に品質グレードを記載する。前記品質グレードは、縦方向に記載され、図の下部より、良品レベル、判定基準11、不良品レベル(軽欠陥〜重欠陥)のゾーン内に計測値12がプロットされている。判定基準11は、製造工程の管理レベルに依存して決められ、一般的には、顧客の要求する品質規格より厳しく、前記顧客の品質規格より低い位置、すなわち、判定基準11は、図の下部に設定されている。従って、再設定する場合、重要度30によるか、又は判定基準11のレベルを緩めるかの選択により、当該のNo1−001/自動検査1での検査結果20を決定し、出力する。
【0021】
本発明の検査情報管理システムでは、図1bに示す検査結果を備えている。図1bは、検査装置は横方向に、例えば、自動検査―1、自動検査―2、自動検査―3、以下必要種類の検査装置に並べられ、縦方向には、ロットNo、例えば、1−001、1−002、が記載され、各々には、検査結果20が取り込まれている。事例では、図1aの検査結果20の良/不良は、図1bに示すロットNo、1−001/自動検査1のデータとして取り込まれている。
【0022】
図1bでは、前記任意の検査装置群内の全て(自動検査1、自動検査2,自動検査3)の検査結果おいて、当該の全ての検査結果に重要度を付し、その重要度をキーにして、検査情報管理システムにより総合判定の検査結果を再度抽出する。総合判定の方法は、その検査結果の論理和によって、識別コード毎に、サブストレート基板の良否結果を出力できる検査情報管理システムである。
【0023】
以下、本発明の実施の形態について説明する。図2は、本発明の検査情報管理システムの一実施例であり、製品に識別IDを付けて製品データを管理するためにネットワーク化した一般的な製造ラインにおける複数種類の自動検査装置(ここでは3種類)と目視検査装置、それに検査情報サーバーから成る全体的な機器構成図である。
【0024】
前提として、製品毎に識別出来る識別ID、例えば、各種2次元コード、タグなどを付けて、製品とコードが1:1対応取れるようにしておく。
【0025】
これらの各種検査装置は、検査保証項目に応じて、適した工程に配置されて使用される。
【0026】
図2の半導体製造ラインにおいては、配線パターニングが終わった後に、AOI(自動外観検査)の自動検査1と、製品加工後の布線検査(電気的オープン/ショート検査)の
自動検査2と、その他測長、特性等の自動検査の自動検査3と、出荷前の外観検査(シミ・変色等の官能検査が主)の目視検査4が行われる。検査装置は、LAN5により双方向にネットワークされ、配線パターニング等のその他の製造工程40及び検査装置1〜4を集約する検査情報管理サーバー6を備えた本発明の検査情報管理システムである。基板には、所定の位置には識別IDが形成され、システム内では、識別IDをキーに全ての情報が登録され、検査結果、欠陥種類毎の計測値及び判定基準等の検査情報を備えている(図1参照)。
【0027】
以上のように、検査結果の良/不良を集約するだけでなく、欠陥種類毎に良否の検査結果を判定する計測値のデータ(検査装置の生データ)と良否を判定する判定基準等の検査情報もサーバーに集約されるようにしておき、識別コード毎に出力された検査結果がどの欠陥種別か及び欠陥数で出された結果、すなわち、品質のグレードも体系的に管理し、利用できるように集約した(図1参照)。
【0028】
半導体製品分野におけるこれらの検査の中で、通常、製品のオープン/ショートを検出する自動検査2、例えば、布線検査装置は必須のものである。
【0029】
検査結果では、布線検査装置の検査結果を優先的に確認し、すなわち、重要度を最上位に設定し、製品のオープン/ショートを検出する布線検査装置(自動検査2)で不良と判定された基板は不良品扱いとし、良品のものについて他の検査装置の検査結果を参照して、出荷品を決めているのが実状である。
【0030】
ここで、布線検査装置を含む全ての検査装置での検査結果が全て良品の製品を合格品として納入先への出荷品を決めている。その場合、必要数あれば良いわけだが、例えば、足りない場合に、布線検査のオープン/ショート検査で良品だが、その他の欠陥種類、例えば欠陥サイズ、等で不良な基板を、その項目や品質基準を明示して、その品質のグレードのレベルを体系的に管理され、欠陥種類毎に数量値、又は、重欠陥(又は軽欠陥)により把握出来るようになっている。
【0031】
すなわち、各検査装置の検査結果及び検査情報を一覧に集約する機能と、それらの各検査装置の検査結果、又は欠陥種類毎の品質の判定基準別の良否結果の論理和を取れる機能があり、その論理和をとるべき対象、例えば各検査装置の検査結果、又は、欠陥種類毎の品質の判定基準を選択的に選べる機能とを持たせることで、その選ばれた各検査装置の検査結果、又は、選ばれた各欠陥種類毎の良否結果のグループ間のみの論理和をとり、最終出荷品とすべき、選ばれた基板の識別コードが一意的に決定できる。
【0032】
この時、論理和を取れる組み合わせ列を検査結果(検査装置種類)のみ選択できるだけでなく、欠陥種類毎の判定基準も選択が出来る機能を持たせることで、官能的な検査の判定基準や軽欠陥を除ける機能を持たせることが出来る。
【0033】
また、顧客毎/製品毎の良否基準を設定ファイルとして保存することもできるようになっている。
【0034】
このようにして、各装置の種別毎に選択的に出荷基準を適用することによって、必要な製品を、必要数量出荷することが出来る。
【0035】
図3は、全ての項目を選択し、論理和を取る組み合わせ列の事例であり、その検査結果が良品のもののみを出力する設定例である。選択項目は、自動検査1、自動検査2、自動検査3、目視検査1、の4項で理論和をとり、その結果は識別番号1のみ総合で良品となる。その時、良品は60枚で、不良品は、識別番号2〜5の40枚となる。
【0036】
図3に示す出力データは、縦方向に識別番号、すなわち、ロット番号である。横方向には、各検査装置が記載され、装置名の上部には重要度の有無が表示され、データエリアには検査装置での検査結果が示され、良品は○印で、不良品は×印で出力されている。総合の項目では、システムによる自動判定の結果が出力されている。なお、図示されていないが、検査結果毎、例えば識別番号,No1には検出レベル以上の欠陥の計測値及び判定基準を含む検査情報を備え、その品質のグレードのレベルを体系的にデータベース化で管理されている。
【0037】
図4は、検査項目3のみ重要度を付し、選択し、論理和を取る組み合わせ列の事例であり、その検査結果が良品のもののみを出力する設定例である。選択項目は、自動検査3のみ、の1項で理論和をとり、その結果は識別番号1、識別番号3、識別番号4、が総合で良品となる。その時、良品は80枚で、不良品は、識別番号2、識別番号5、の20枚となる。重要度が1つだけを選択した場合の検査結果からの自動出力の事例である。
【0038】
図5は、検査項目1、検査項目3を選択し、論理和を取る組み合わせ列の事例であり、その検査結果が良品のものにみを出力する設定例である。選択項目は、識別番号1、自動検査3の2項で理論和をとり、その結果は識別番号1、識別番号4、が総合で良品となる。その時、良品は70枚で、不良品は、識別番号2、識別番号3,識別番号5、の30枚となる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の検査情報管理システムを説明する全体的な説明構成図であり、(a)は、検査情報で、(b)は、検査結果である。
【図2】本発明の一実施例の製造工程の全体的な機器構成図である。
【図3】本発明の一実施例の全ての検査結果が良品のものを出力する設定例である。
【図4】本発明の一実施例の1つだけの検査結果が良品のものを出力する設定例である。
【図5】本発明の一実施例の選択した検査結果が良品のものを出力する設定例である。
【符号の説明】
【0040】
1…自動検査1
2…自動検査2
3…自動検査3
4…目視検査1
5…LAN
6…検査情報管理サーバー
10…検査情報
11…判定基準
12…計測値
13…欠陥種類
20…検査結果
30…重要度
40…その他の製造工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リール形態で製造される、半導体パッケージ用の基板上に、順次、パターンを形成し、一つの部品に組み立てるサブストレート基板の製造工程において、前記製造工程には、複数の検査装置が工程内の基板の検査用に配置され、前記各検査装置は、基板に個別に付された識別コードを認識しながら検査し、該検査結果を識別コード毎に登録し、該検査結果を一元管理する工程内の検査情報管理システムであって、該検査情報管理システムへ、識別コードを元に、任意の検査装置群内の全ての検査結果を抽出し、その検査結果の論理和が取れるシステムの手順を付加することによって、識別コード毎に、サブストレート基板の良否結果を出力できることを特徴とした検査情報管理システム。
【請求項2】
前記任意の検査装置群内の全ての検査結果おいて、当該の全ての検査結果に重要度を付し、その重要度をキーにして、検査情報管理システムで検査結果を再度抽出し、その検査結果の論理和によって、識別コード毎に、サブストレート基板の良否結果を出力できることを特徴とした請求項1記載の検査情報管理システム。
【請求項3】
前記検査情報管理システムに、各々の検査装置毎の検査結果の判定に用いる、当該検査装置の欠陥種類毎の計測値及びその判定基準を含む検査情報を追加登録することにより、前記欠陥種類毎の判定基準に重要度を付し、その重要度をキーにして、当該検査装置の検査結果を検査情報管理システムへ再度登録し、識別コードを元に、任意の検査装置群内の全ての検査結果を再度抽出し、その検査結果の論理和によって、識別コード毎に、サブストレート基板の良否結果を出力できることを特徴とした請求項1、又は2記載の検査情報管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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