説明

検査結果出力方法

【課題】高価な全自動検査装置を導入することなく、各種処理装置や処理キットを組み合わせて検査を行う場合に、複雑な処理経路を経て検査結果を得る状況においても、トレーサビリティを失わないようにする検査結果表示のための出力方法を提供することを課題とする。
【解決手段】検体検査において、対象者より取得された生物学的検体に対し、複数の生物学的及び生化学的反応操作が段階的に行われることで、目的の情報を該生物学的検体より取得する検査結果処理装置における結果の出力方法であって、反応操作の各工程に設定される処理単位を記憶し、各工程において反応操作における生物学的検体に対する検査項目と反応操作により取得される検査結果とを取得し、記憶装置に対応付けて格納し、記憶装置に格納された検査項目および検査結果と、記憶された処理単位と、を関連付けて出力装置に出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の作業工程を経ることを必要とする、生物学的検体に対する検査の結果を出力する方法に関する。より詳しくは、各工程における処理単位と検査結果との対応付けを行い、それを表示するよう出力する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、臨床検査には生化学検査、免疫検査、遺伝子検査などの様々な検査手法が存在する。特に、生化学検査や免疫検査などはかなり以前より行われ、定期健康診断などでも広く一般的に行われてきた。
【0003】
定期健康診断などで行われる生化学検査、免疫検査は主に採血により取得された血液を対象に行われる。すなわち、検査は検査センターや病院の検査室などで行われ、作業担当者が行う一般的な作業としては、医師により採血された血液検体を遠心分離装置により遠心分離し、遠心分離後の分離した血液成分のうち上清(血清又は血漿)を検査装置にかける、という作業である(例えば、非特許文献1参照)。すなわち、「採血」、「遠心分離」、「検出」といった作業工程である。
【0004】
このように、生化学検査、免疫検査のための検査装置においては、近年、工程の簡略化が進み、比較的少ない作業工程で検査結果を得られる場合もある。しかしながら、未だ多くの場合は、検査装置でエラーが発生した場合の予備として中間処理物を保存する「保存」の工程が追加されたり、高価な自動分注装置などの装置を使用できない検査室では、検査技師による「分注」の操作を必要としたりするため、総じて検査工程は複雑になる。また各病院の検査室ごとにそれらの仕組みが異なる場合もあり、複雑である。
【0005】
また、近年、遺伝子検査が注目を浴びているが、一般的な遺伝子検査において作業者が行う作業は、医師により採血された血液サンプルから多数の試薬や反応操作によって核酸を抽出し、抽出された核酸に対して増幅反応を行い、増幅産物を電気泳動やマイクロアレイ等で検出するといった作業であり、以前行われていた生化学検査、免疫検査よりも多数の工程で処理する必要がある(例えば、非特許文献2参照)。
【0006】
遺伝子検査の作業工程の一例としては「採血」、「核酸抽出」、「PCR増幅」、「検出」に大きく分かれるが、先の生化学・免疫検査と同様に「分注」、「保存」などが必要な工程に付加されることもある。このように遺伝子検査における、大きな枠としての作業工程は生化学・免疫検査よりも少し多い程度であるが、遺伝子検査は生化学・免疫検査ほど作業の簡略化が進んでおらず、大きな工程の中に、さらに細分化された小工程が多数存在することが一般的である。
【0007】
例えば、核酸の抽出工程を、磁性粒子を用いる核酸抽出方法として行う場合、「細胞の溶解」、「中和」、「磁性粒子の添加」、「(磁性粒子に吸着した)DNAの分離」、「洗浄」、「核酸の溶出」という作業に分かれている。これらの作業はあまりに煩雑であるため、自動化された装置が販売されている。一例としてMagtration System 6GC(商品名)(非特許文献3)があり、前述の核酸抽出工程を全自動で行う。
【0008】
また、各工程における作業の複雑さだけでなく、工程間に関連性がないために起こる問題もある。例えば、臨床における遺伝子検査の標準化は進んでおらず、試薬キットの用量や装置の処理能力などは不統一である。一例として、先述の核酸抽出装置Magtration System 6GC(非特許文献3参照)の同時処理検体数は6検体であるが、その後に続く核酸増幅反応で用いる装置、例えばGeneAmp PCR System 9700(商品名)(非特許文献4参照)は一度に処理できる処理検体数が96検体であり、さらにその後に続く検出方法の1つであるアガロースゲル電気泳動で用いる装置、例えばMupid-exU(商品名)(非特許文献5)では、一度に処理できる単位を13若しくは26のいずれかから選べるようになっている。基本的には遺伝子工学では12若しくは8を単位とし、96(12×8)、384(96×4)などの単位が用いられることが多いが、必ずしもその形式でなければならないということはなく、上記のように統一されていないのが現状である。
【0009】
さらに、これらの検査キット及び装置を組み合わせて用いる必要があるにもかかわらず、特にこれらの検査キット及び装置間に関連性があるわけではなく、最終的な結果にエラーが見つかったときに、どの工程においてそのエラーが発生したのかを検討するのは非常に困難である。例えば、核酸増幅工程では一度に96検体を処理でき、まとめて増幅の処理を行うことが普通であるが、その前段階である核酸抽出工程は一度に6検体を複数回行い、さらに核酸増幅後には、まとめて処理を行った96検体を今度は複数の処理単位(例えば13または26)に分割して、それぞれ検出することになる。
【0010】
このように工程間の処理単位が複雑に交錯して処理が行われる結果、どの工程のどの処理単位でエラーが発生したのか、そしてそのエラーが起こった処理単位の影響はどの範囲に及ぶのかを知ることは非常に難しい。現在、このようなエラー発生原因及びその影響範囲を調べる、いわゆるトレーサビリティの確立は、臨床検査において必須命題であり、その整備が急がれており、様々な企業がそれに取り組んでいる。例えば、非特許文献6に示す臨床検査システム(製作・販売 株式会社ライジンシャ(会社名))や非特許文献7に示す臨床検査システム(製作・販売 株式会社石川コンピュータ・センター(会社名))などは、主に生化学検査や免疫検査などを対象にした臨床検査の管理システムである。
【0011】
ここで、特許文献1は、複数の遺伝子の発現パターンと、その発現パターンをクラスタ分析して得た樹状図とを対応付けて表示し、遺伝子間の機能的関連を推測する方法である。また、特許文献2は、データ入力モードから依頼票確認モードへ切り替えることによって、データベースの登録内容が依頼票と合っているか確認する方法である。
【0012】
【特許文献1】特許第3532911号公報
【特許文献2】特開平11−264826号公報
【非特許文献1】埼玉県立小児医療センター、“生化学・免疫検査室”、[online]、掲載年月日不明、埼玉県、[平成18年5月30日検索]、インターネット<URL:http://www.pref.saitama.lg.jp/A80/BA03/05section/kennsa/kagaku/rinsyou.html>
【非特許文献2】家畜改良技術研究所、“検査の流れ”、[online]、掲載年月日不明、(社)家畜改良事業団、[平成18年5月30日検索]、インターネット<URL: http://www.liaj.or.jp/giken/kensabu/2ka/kensa/kensa_flow.htm>
【非特許文献3】プレシジョン・システム・サイエンス株式会社、“Magtration(R) System 6GC”、[online]、2005年11月、プレシジョン・システム・サイエンス株式会社、[平成18年5月30日検索]、インターネット<URL: http://www.pss.co.jp/products/pdf/leaf/Magtration_System_6GC_J.pdf>
【非特許文献4】アプライド・バイオシステムズ・ジャパン、“GeneAmp(R) PCR System 9700シリーズ”、[online]、掲載年月日不明、アプライド・バイオシステムズ・ジャパン、[平成18年5月30日検索]、インターネット<URL:http://www.appliedbiosystems.co.jp/website/jp/product/print.jsp MODELCD=217>
【非特許文献5】ADVANCE Co., Ltd.、“タイマー機能・マルチピペット対応の新世代Mupid(R)”、[online]、掲載年月日不明、mupid.com、[平成18年5月30日検索]、インターネット<URL: http://www.mupid.com/exU/exu_main.html>
【非特許文献6】株式会社 ライジンシャ、“臨床検査システム”、[online]、掲載年月日不明、株式会社 ライジンシャ、[平成18年5月30日検索]、インターネット<URL: http://www.raijin.co.jp/KENSA1.htm>
【非特許文献7】株式会社石川コンピュータ・センター、“臨床検査システム(PC-検査)”、[online]、掲載年月日不明、株式会社石川コンピュータ・センター、[平成18年5月30日検索]、インターネット<URL: http://www.icc.co.jp/product/medical/rinshou/index_gamen.html>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、非特許文献3などの自動化装置及びそれに用いる試薬は、高コストであり、中小の病院検査室では導入が困難で、検査技師の手技によって行われることが多い。また、核酸抽出から核酸増幅、検出までの全工程を自動化したCOBAS TaqMan(商品名)(Roche Diagnostics(会社名))のような装置が臨床検査向けに販売されているが、数千万円もする非常に高価な装置であり、一般の病院検査室では導入が困難であり、遺伝子検査の敷居を高いものにしている。
【0014】
また、非特許文献6および非特許文献7に示した、これら既存の臨床検査管理システムは生化学検査や免疫検査などその標準化が進んだ検査が対象であって、遺伝子検査のように標準化が進んでいない、複雑な作業工程が存在するようなシステムには対応していない。また、既存の臨床検査管理システムでは、あくまでも検査とその結果が対応しているに過ぎない。すなわち、どの作業工程でエラーが発生し、その影響範囲がどこまでであるかまで踏み込んで、分かり易く表示するような形態ではない。それゆえ、遺伝子検査のように、工程数が多く標準化が十分進んでいない検査項目に対して、エラーの発生箇所を分かり易く伝えるような表示の新たな出力方法の開発が求められている。
【0015】
特に、特許文献1または特許文献2に記載のいずれの検査方法においても、データ間または現物とデータベース間のエラーの有無を判定し易くなるに過ぎず、検査工程という時系列的な要素を管理することが想定されておらず、依然として臨床検査工程におけるエラー管理の困難さという問題がある。
【0016】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、生化学検査、免疫検査、遺伝子検査などの生物学的検査において、生物学的検体の採取以降の操作すべてを自動で行うような高価な全自動検査装置を導入することなく、各種処理装置や処理キットを組み合わせて行う場合に、これらの複雑な処理経路を経て検査結果を得る状況においても、トレーサビリティを失わないようにする検査結果の表示のための出力方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
このような目的を達成するため、本発明にかかる請求項1に記載の検査結果出力方法は、検体検査において、対象者より取得された生物学的検体に対し、複数の生物学的及び生化学的反応操作が段階的に行われることで、目的の情報を該生物学的検体より取得する、少なくとも記憶装置と制御装置と出力装置とを備えた検査結果処理装置における結果の出力方法であって、上記記憶装置は、上記反応操作の各工程に設定される処理単位を記憶する処理単位記憶手段を備え、上記制御装置において実行される、各工程において、上記反応操作における上記生物学的検体に対する検査項目と上記反応操作により取得される検査結果と、を取得し、上記記憶装置に対応付けて格納する検査結果格納ステップと、上記検査結果格納ステップにより上記記憶装置に格納された上記検査項目および上記検査結果と、上記処理単位記憶手段に記憶された上記処理単位と、を関連付けて上記出力装置に出力する処理単位関連付ステップと、を含むことを特徴とする。
【0018】
また、本発明にかかる請求項2に記載の検査結果出力方法は、請求項1に記載の検査結果出力方法において、上記処理単位関連付ステップは、上記反応操作の各工程に対応する項目を第一軸上に配し、該第一軸と交差する第二軸上に上記検査項目及び上記検査結果を配し、該第一軸と該第二軸とにより構成される領域に該検査項目が処理された該処理単位を配する表を作成する二軸関連付ステップ、をさらに含むことにより、上記検査項目及び上記検査結果と、上記反応操作の各工程に設定される上記処理単位と、を関連付けて出力すること、を特徴とする。
【0019】
また、本発明にかかる請求項3に記載の検査結果出力方法は、請求項2に記載の検査結果出力方法において、上記二軸関連付ステップは、上記反応操作の各工程に対応する項目を配する上記第一軸を縦軸方向と設定し、該第一軸と交差する上記検査項目及び上記検査結果が配された上記第二軸を横軸方向と設定する表示方向設定ステップ、をさらに含むことを特徴とする。
【0020】
また、本発明にかかる請求項4に記載の検査結果出力方法は、請求項2に記載の検査結果出力方法において、上記二軸関連付ステップは、上記反応操作の各工程に対応する項目を配する上記第一軸を横軸方向と設定し、該第一軸と交差する上記検査項目及び上記検査結果が配された上記第二軸を縦軸方向と設定する表示方向設定ステップ、をさらに含むことを特徴とする。
【0021】
また、本発明にかかる請求項5に記載の検査結果出力方法は、請求項3に記載の検査結果出力方法において、上記制御装置において実行される、操作者により入力装置を介して横スクロール入力があった場合に、各工程における処理単位の処理担当範囲を表示し、操作者により入力装置を介して縦スクロール入力があった場合に、各検査項目及び各検査結果における処理単位の遍歴を、表示するよう制御するスクロール制御ステップ、をさらに含むことを特徴とする。
【0022】
また、本発明にかかる請求項6に記載の検査結果出力方法は、請求項3に記載の検査結果出力方法において、上記制御装置において実行される、操作者により入力装置を介して縦スクロール入力があった場合に、各工程における処理単位の処理担当範囲を表示し、操作者により入力装置を介して横スクロール入力があった場合に、各検査項目及び各検査結果における処理単位の遍歴を表示するよう制御するスクロール制御ステップ、をさらに含むことを特徴とする。
【0023】
また、本発明にかかる請求項7に記載の検査結果出力方法は、請求項1乃至6のいずれか一つに記載の検査結果出力方法において、上記制御装置において実行される、上記処理単位に属する項目が同一処理単位に属する項目数が最大連続となるように表示する、処理単位優先表示を行うよう制御する最大連続化ステップ、をさらに含むことを特徴とする。
【0024】
また、本発明にかかる請求項8に記載の検査結果出力方法は、請求項1乃至6のいずれか一つに記載の検査結果出力方法において、上記制御装置において実行される、上記操作者により上記入力装置を介して選択された検査項目群、若しくは検査結果群に属する項目数が最大連続となるように表示する、処理項目優先表示を行うよう制御する最大連続化ステップ、をさらに含むことを特徴とする。
【0025】
また、本発明にかかる請求項9に記載の検査結果出力方法は、請求項7または8に記載の検査結果出力方法において、上記最大連続化ステップは、上記処理単位優先表示と上記処理項目優先表示と、を上記操作者に上記入力装置を介して選択および切替させるよう制御すること、を特徴とする。
【0026】
また、本発明にかかる請求項10に記載の検査結果出力方法は、請求項1乃至9のいずれか一つに記載の検査結果出力方法において、上記制御装置において実行される、上記操作者により上記入力装置を介して、上記反応操作の各工程における上記処理単位が選択された場合に、該処理単位によって処理された上記検査項目の項目一覧及び上記検査結果の項目一覧を表示するよう制御する項目一覧化ステップ、をさらに含むことを特徴とする。
【0027】
また、本発明にかかる請求項11に記載の検査結果出力方法は、請求項1乃至9のいずれか一つに記載の検査結果出力方法において、上記制御装置において実行される、上記操作者により上記入力装置を介して、上記検査項目又は上記検査結果が選択された場合に、上記検査項目が処理された上記処理単位の項目一覧を表示するよう制御する項目一覧化ステップ、をさらに含むことを特徴とする。
【0028】
また、本発明にかかる請求項12に記載の検査結果出力方法は、請求項10または11に記載の検査結果出力方法において、上記項目一覧化ステップは、上記操作者により上記入力装置を介して複数の上記項目一覧が同時に選択された場合に、該複数の上記項目一覧の表示を重ならずに表示するよう制御する重畳防止ステップ、をさらに含むことを特徴とする。
【0029】
また、本発明にかかる請求項13に記載の検査結果出力方法は、請求項10または11に記載の検査結果出力方法において、上記項目一覧化ステップは、上記操作者により上記複数の項目一覧が同時に選択された場合に、該複数の上記項目一覧の表示領域を異なる色で表示するよう制御する表示異色化ステップ、をさらに含むことを特徴とする。
【0030】
また、本発明にかかる請求項14に記載の検査結果出力方法は、請求項10乃至13のいずれか一つに記載の検査結果出力方法において、上記項目一覧化ステップは、上記項目一覧をロールオーバー処理により表示するよう制御する操作応答ステップ、をさらに含むことを特徴とする。
【0031】
また、本発明にかかる請求項15に記載の検査結果出力方法は、請求項10乃至13のいずれか一つに記載の検査結果出力方法において、上記項目一覧化ステップは、上記項目一覧をハイパーリンクによって表示するよう制御する操作応答ステップ、をさらに含むことを特徴とする。
【0032】
また、本発明にかかる請求項16に記載の検査結果出力方法は、請求項10乃至13のいずれか一つに記載の検査結果出力方法において、上記項目一覧化ステップは、上記項目一覧をポップアップによって表示するよう制御する操作応答ステップ、をさらに含むことを特徴とする。
【0033】
また、本発明にかかる請求項17に記載の検査結果出力方法は、請求項1乃至16のいずれか一つに記載の検査結果出力方法において、上記制御装置において実行される、上記処理単位を、上記反応操作で用いる処理装置及び処理キットにより、一度に処理できる処理数を上限とし、それ以下の処理数で規定する処理単位設定ステップ、をさらに含むことを特徴とする。
【0034】
また、本発明にかかる請求項18に記載の検査結果出力方法は、請求項1乃至16のいずれか一つに記載の検査結果出力方法において、上記制御装置において実行される、上記処理単位を、上記反応操作で用いられる同一条件の試薬で処理される処理数を上限とし、それ以下の処理数で規定する処理単位設定ステップ、をさらに含むことを特徴とする。
【0035】
また、本発明にかかる請求項19に記載の検査結果出力方法は、請求項1乃至16のいずれか一つに記載の検査結果出力方法において、上記制御装置において実行される、上記処理単位を、1つの工程で1種以上規定し表示するよう制御する処理単位設定ステップ、をさらに含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0036】
この発明によれば、結果がどのような処理単位を経たかを容易に表示できるため、全工程を自動化する高価な装置を用いることなく、結果のトレーサビリティを大幅に向上することができる。また、本発明によれば、例えばエラー発生時などにおいてエラーが発生した処理単位に対し、その処理単位で処理された検体を表示し、再検査を促すことでシステム全体の健全性や信頼性を維持することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下に、本発明にかかる検査結果出力方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0038】
特に以下の実施の形態においては、本発明を特に遺伝子検査に適用した例について説明するが、この場合に限られず、生化学検査や免疫検査など全ての臨床検査において、同様に適用することができる。
【0039】
[本発明の概要]
以下、本発明の概要について説明し、その後、本発明の構成および処理等について詳細に説明する。ここで、図1は、本発明のシステム構成の一例を示すシステム構成図である。
【0040】
本発明は、概略的に、以下の基本的特徴を有する。
【0041】
本発明は、対象者より取得された生物学的検体に対し、複数の生物学的及び生化学的反応操作が段階的に行われることで、目的の情報を生物学的検体より取得する検体検査における、結果の出力方法であることを特徴とする。
【0042】
すなわち、図1に示すように、患者などの対象者から取得された生物学的検体(血液、尿など)は、抽出手段200による抽出操作、増幅手段400による増幅操作、増幅手段400による検出操作等の複数の生物学的・生化学的反応操作によって段階的に処理される。そして、検査結果処理装置100は、ネットワーク300を介して、抽出手段200や増幅手段400、検出手段500等から目的の情報を取得し、記憶装置に格納し、出力装置に取得した情報の処理結果を表示する。
【0043】
以上が、本発明の基本となるシステム構成である。
【0044】
つぎに、本発明にかかる本検査結果処理装置100における検査結果出力方法の概要について説明する。
【0045】
すなわち、本発明にかかる検査結果処理装置100は、少なくとも記憶装置と制御装置と出力装置とを備えており、記憶装置は、反応操作の各工程に設定される処理単位を記憶する処理単位記憶手段を備える。
【0046】
つぎに、本検査結果処理装置100は、制御装置の処理により、各工程において、反応操作における生物学的検体に対する検査項目と反応操作により取得される検査結果とを取得し、記憶装置に対応付けて格納する。
【0047】
そして、記憶装置に格納された検査項目および検査結果と、処理単位記憶手段に記憶された処理単位と、を関連付けて出力装置に出力する。
【0048】
これにより、結果がどのような処理単位を経たかを容易に把握できるため、全工程を自動化する高価な装置を用いることなく、結果のトレーサビリティを大幅に向上することができる。
【0049】
以上が、本発明にかかる本検査結果処理装置100における検査結果出力方法の基本的概要である。
【0050】
ここで、本発明は、反応操作の各工程に対応する項目を第一軸上に配し、第一軸と交差する第二軸上に検査項目及び検査結果を配し、第一軸と第二軸とにより構成される領域に検査項目が処理された処理単位を配した表によって、生物学的検体に対する検査項目及び反応操作により処理された検査結果と、反応操作の各工程に設定される処理単位とを関連付けて出力してもよい。
【0051】
これにより、利用者は、対応表により容易に各工程と各検査結果の成否を確認することができ、トレーサビリティをより向上することができる。
【0052】
また、本発明は、上記発明において、反応操作の各工程に対応する項目が配された第一軸を縦軸方向とし、第一軸と交差する検査項目及び検査結果が配された第二軸を横軸方向としてもよい。
【0053】
また、本発明は、上記発明において、反応操作の各工程に対応する項目が配された第一軸を横軸方向とし、第一軸と交差する検査項目及び検査結果が配された第二軸を縦軸方向としてもよい。
【0054】
上記により、さらに、利用者は、上下、左右に区画された対応表を、出力装置を介して、容易に見ることができる。また、出力装置の出力形態が横長の場合と縦長の場合とで、利用者に見やすくなるよう切り替えることができる。
【0055】
また、本発明は、上記発明において、操作者により入力装置を介して横スクロール入力があった場合に、各工程における処理単位の処理担当範囲を、操作者により入力装置を介して縦スクロール入力があった場合に、各検査項目及び各検査結果における処理単位の遍歴を、表示するよう制御する構成としてもよい。
【0056】
また、本発明は、上記発明において、操作者により入力装置を介して縦スクロール入力があった場合に、各工程における処理単位の処理担当範囲を、操作者により入力装置を介して横スクロール入力があった場合に、各検査項目及び各検査結果における処理単位の遍歴を、表示するよう制御する構成としてもよい。
【0057】
上記により、さらに、利用者は、工程数や検査項目が多く、出力装置の表示画面に表示しきれない場合でも、入力装置を介してスクロール操作を行うことにより、容易に、工程や検査項目、各工程における処理単位を見渡すことができる。
【0058】
また、本発明は、上記発明において、処理単位に属する項目が同一処理単位に属する項目数が最大連続となるように表示される、処理単位優先表示が行うよう制御する構成してもよい。
【0059】
また、本発明は、上記発明において、操作者による入力装置を介した選択により、検査項目群、若しくは検査結果群に属する項目数が最大連続となるように表示される、処理項目優先表示を行うよう制御する構成としてもよい。
【0060】
また、本発明は、上記発明において、処理単位優先表示と処理項目優先表示が、操作者による入力装置を介した選択により、選択・切替可能となるよう構成してもよい。
【0061】
以上により、さらに、同一種類の項目が連続して表示されるので見易くなり、利用者は、多数の項目がある場合でも容易に検査結果を把握することができる。
【0062】
また、本発明は、上記発明において、反応操作の各工程における処理単位を選択することで、処理単位によって処理された検査項目の項目一覧及び検査結果の項目一覧が表示されるよう制御する構成としてもよい。
【0063】
また、本発明は、上記発明において、検査項目又は検査結果を選択することで、検査項目が処理された処理単位の項目一覧が表示されるよう制御する構成としてもよい。
【0064】
以上により、利用者は、エラー発生時などにおいてエラーが発生した処理単位に対し、(選択により)その処理単位で処理された検体を表示し、再検査を促すことでシステム全体の健全性や信頼性を維持することが可能となる。
【0065】
また、本発明は、上記発明において、複数の項目一覧が選択により同時に表示されるとき、複数の項目一覧の表示が重ならずに表示されるよう制御する構成としてもよい。
【0066】
また、本発明は、上記発明において、複数の項目一覧が選択により同時に選択されるとき、複数の項目一覧の表示領域が異なる色で表示されるよう制御する構成としてもよい。
【0067】
以上により、さらに、複数項目を利用者が選択した場合でも、容易に検査結果を把握することができる。
【0068】
また、本発明は、上記発明において、項目一覧の表示がロールオーバーによって行われるよう制御する構成としてもよい。
【0069】
また、本発明は、上記発明において、項目一覧の表示がハイパーリンクによって行われるよう制御する構成としてもよい。
【0070】
また、本発明は、上記発明において、項目一覧の表示がポップアップによって行われるよう制御する構成としてもよい。
【0071】
以上により、上記によれば、さらに、利用者が、入力装置を介して選択等することに対応して、影響範囲を表示するので、容易に検査結果を把握することができる。
【0072】
また、本発明は、上記発明において、処理単位が、反応操作で用いられる処理装置及び処理キットによって、一度に処理できる処理数を上限とし、それ以下の処理数で規定されること、としてもよい。
【0073】
また、本発明は、上記発明において、処理単位が、反応操作で用いられる同一条件の試薬で処理される処理数を上限とし、それ以下の処理数で規定されること、としてもよい。
【0074】
また、本発明は、上記発明において、処理単位が、1つの工程で1種以上規定され、表示されること、としてもよい。
【0075】
以上により、処理単位の設定をより適切に行うことができる。
【0076】
以上が、本発明の概要である。
【0077】
[システム構成]
まず、本システムの構成について説明する。先に紹介した図1は、本発明が適用される本システム構成の一例を示すブロック図であり、該構成のうち本発明に関係する部分のみを概念的に示している。すなわち本システムは、概略的に検査結果処理装置100と、抽出処理を行う抽出手段200と、増幅処理を行う増幅手段400と、検出処理を行う検出手段500と、収量や純度、平均鎖長を取得する収量純度取得手段600と、ネガティブコントロール、ポジティブコントロール、サイズマーカーによる基準情報を取得するコントロール取得手段700と、をネットワーク300を介して通信可能に接続して構成されている。なお、本実施の形態においては、検査工程を、抽出工程・増幅工程・検出工程の3工程で説明するが、検査工程はこれに限られず、生化学検査、免疫検査、遺伝子検査などの検査種別に拠って、便宜、検査工程を変更・追加してもよい。
【0078】
図1において、ネットワーク300は、検査結果処理装置100と、抽出手段200と、増幅手段400と、検出手段500と、収量純度取得手段600と、コントロール取得手段700と、を相互に接続する機能を有し、例えば、内部LAN等である。
【0079】
また、図1において、抽出手段200は、ネットワーク300を介して、検査結果処理装置100等と相互に接続され、本実施の形態において第1の検査工程を実行する手段である。すなわち、抽出手段200は、医師等によって採取された生物学的検体(血液、尿など)のタンパク質や核酸等を抽出する抽出手段として機能する。ここで、抽出対象(タンパク質、核酸等)は、検査の目的によって変更可能である。すなわち、検出工程を核酸電気泳動法によって実行する場合は、抽出対象は核酸であり、検出工程をウェスタン・ブロッティング法によって実行する場合は、抽出対象はタンパク質となる。
【0080】
また、図1において、増幅手段400は、ネットワーク300を介して、検査結果処理装置100等と相互に接続され、本実施の形態において第2の検査工程を実行する手段である。すなわち、増幅手段400は、抽出手段200によって処理された生物学的検体の抽出物(核酸等)を増幅する増幅手段として機能する。ここで、増幅対象(核酸等)は、検査の目的によって変更可能である。例えば、検出工程が核酸電気泳動の場合、増幅対象は核酸であり、増幅手段400は、PCR法等を実行することにより増幅手段として機能する。
【0081】
また、図1において、検出手段500は、ネットワーク300を介して、検査結果処理装置100等と相互に接続され、本実施の形態において第3の検査工程を実行する手段である。すなわち、検出手段500は、増幅手段400によって処理された生物学的検体の増幅物(核酸等)を検出する検出手段として機能する。ここで、検出対象(タンパク質、核酸等)は、検査の目的によって変更可能である。
【0082】
また、収量純度取得手段600は、ネットワーク300を介して、検査結果処理装置100等と相互に接続され、抽出手段200によって処理された生物学的検体の抽出物の純度や収量の情報を取得する収量純度取得手段として機能する。
【0083】
また、コントロール取得手段700は、ネットワーク300を介して、検査結果処理装置100等と相互に接続され、抽出手段200、増幅手段400および検出手段500によって処理された生物学的検体の抽出物、増幅物および検出物のネガティブコントロール(N.C.)、ポジティブコントロール(P.C.)、サイズマーカー(S.M)等による検査基準情報を取得するコントロール取得手段として機能する。
【0084】
ここで、上記抽出手段200、増幅手段400、および検出手段500、収量純度取得手段600並びにコントロール取得手段700は、各工程を自動で行う抽出装置、増幅装置、および検出装置、収量純度取得装置並びにコントロール取得装置によって実現してもよく、また、各工程を検査技師等が検査キット等を用いて行う用手法により実現してもよい。また、抽出手段200、増幅手段400、検出手段500、収量純度取得手段600およびコントロール取得手段700は、装置として実現するか用手法により実現するかを問わず、バーコードリーダー等の入力手段を備えており、ネットワーク300を介して、検体項目および検体検査結果の情報を検査結果処理装置100に送信するよう構成してもよい。
【0085】
すなわち、各工程における、検体項目に表示される各検体Noと、検査項目に表示される処理Noとの対応付けは、ミスなく容易に管理するため、バーコードとバーコードリーダーを用いて管理してもよい。また、同様の目的で、バーコードの換わりにICタグなどを用いてもよい。また、単にシールやペンによる記入などの検体識別標識を用いて、検査技師等が手動によって端末などの入力手段に直接入力してもよい。
【0086】
また、図1において、検査結果処理装置100は、ネットワーク300を介して、抽出手段200、増幅手段400、検出手段500、収量純度取得手段600およびコントロール取得手段700と、双方向または、検査結果処理装置100へ一方向に接続され、これら抽出手段200等によって処理された生物学的検体に関する情報を取得し、生物学的検体に対する検査項目と抽出手段200等による反応操作により取得された検査結果と、抽出手段200、増幅手段400および検出手段500による各工程(抽出工程・増幅工程・検出工程)に設定される処理単位と、を関連付けて出力装置114に表示するよう制御する装置である。ここで、図2は、検査結果処理装置100の論理構成の一例を示す論理ブロック図である。
【0087】
また、図2に示すように、検査結果処理装置100は、概略的に、検査結果処理装置100の全体を統括的に制御するCPU等の制御装置102、通信回線等に接続されるルータ等の通信装置(図示せず)に接続される通信制御インターフェース部104、入力装置112や出力装置114に接続される入出力制御インターフェース部108、および、各種のデータベースやテーブルなどを格納する記憶装置106を備えて構成されており、これら各部は任意の通信路を介して通信可能に接続されている。更に、この検査結果処理装置100は、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回線を介して、ネットワーク300に通信可能に接続されている。
【0088】
記憶装置106に格納される各種のデータベースやテーブル(検査結果データベース106a、処理単位データベース106b)は、固定ディスク装置等のストレージ手段であり、各種処理に用いる各種のプログラムやテーブルやファイルやデータベースやウェブページ等を格納する。
【0089】
これら記憶装置106の各構成要素のうち、検査結果データベース106aは、検査結果を記憶する検査結果記憶手段である。
【0090】
また、処理単位データベース106bは、反応操作の各検査工程に設定される処理単位を記憶する処理単位記憶手段である。
【0091】
また、図2において、通信制御インターフェース部104は、検査結果処理装置100とネットワーク300(またはルータ等の通信装置)との間における通信制御を行う。すなわち、通信制御インターフェース部104は、他の端末と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。
【0092】
また、図2において、入出力制御インターフェース部108は、入力装置112や出力装置114の制御を行う。
【0093】
また、入力装置112としては、キーボード、マウス、およびマイク等を用いることができる。また、マウスには横スクロールボタン、縦スクロールボタンを備えていてもよい。
【0094】
ここで、出力装置114は、例えば、プリンタなどの印刷装置や、フレキシブルディスク、CD−R等の外部記憶装置、モニタ等の表示装置などを用いることができる。
【0095】
また、図2において、制御装置102は、OS(Operating System)等の制御プログラム、各種の処理手順等を規定したプログラム、および所要データを格納するための内部メモリを有し、これらのプログラム等により、種々の処理を実行するための情報処理を行う。制御装置102は、機能概念的に、検査結果格納手段102a、処理単位関連付手段102b、二軸関連付手段102c、表示方向設定手段102d、スクロール制御手段102e、最大連続化手段102f、項目一覧化手段102g、重畳防止手段102h、表示異色化手段102i、操作応答手段102j、処理単位設定手段102kを備えて構成されている。
【0096】
このうち、検査結果格納手段102aは、ネットワーク300を介して抽出手段200等から生物学的検体に対する検査項目と反応操作により取得された検査結果または処理単位を取得し、検査結果データベース106aに検査結果を格納する検査結果格納手段である。
【0097】
また、処理単位関連付手段102bは、検査結果データベース106aに格納された生物学的検体に対する検査項目と反応操作により得られた検査結果と、処理単位データベース106bに格納された反応操作の各工程に設定される処理単位と、を関連付けて出力装置114に表示するよう制御する処理単位関連付手段である。
【0098】
また、二軸関連付手段102cは、処理単位データベース106bに格納された反応操作の各工程に対応する項目を第一軸上に配し、第一軸と交差する第二軸上に検査結果データベース106aに格納された検査項目及び検査結果を配し、第一軸と第二軸とにより構成される領域に検査項目が処理された処理単位を配した表を作成し、処理単位関連付手段102bの処理により検査項目及び検査結果と処理単位とを当該表により関連付けて出力するよう制御する二軸関連付手段である。
【0099】
また、表示方向設定手段102dは、反応操作の各工程に対応する項目が配された第一軸を縦軸方向とし、第一軸と交差する検査項目及び検査結果が配された第二軸を横軸方向と設定するよう制御する表示方向設定手段である。ここで、表示方向設定手段102dは、第一軸を横軸方向とし、第二軸を縦軸方向としてもよい。
【0100】
また、スクロール制御手段102eは、操作者に入力装置112を介してスクロール入力させるよう出力装置114の画面表示を制御し、横スクロール入力があった場合に各工程における処理単位の処理担当範囲を、縦スクロール入力があった場合に各検査項目及び各検査結果における処理単位の遍歴を、操作者に対して出力するよう制御するスクロール制御手段である。ここで、スクロール制御手段102eは、入力装置112から、縦スクロール入力があった場合に処理単位の処理担当範囲を、横スクロール入力があった場合に処理単位の遍歴を、出力してもよい。
【0101】
また、最大連続化手段102fは、処理単位に属する項目が同一処理単位に属する項目数が最大連続となるように表示(処理単位優先表示)するよう制御する最大連続化手段である。ここで、最大連続化手段102fは、操作者に入力装置112を介して選択させた検査項目群、若しくは検査結果群に属する項目数が最大連続となるように表示(処理項目優先表示)するよう制御してもよい。また、ここで最大連続化手段102fは、操作者に、処理単位優先表示と処理項目優先表示とのいずれで優先表示を行うかを選択させるよう制御し、処理単位優先表示/処理項目優先表示を切り替え可能になるよう制御する構成としてもよい。
【0102】
また、項目一覧化手段102gは、操作者に入力装置112を介して反応操作の各工程における処理単位を選択させるよう制御し、処理単位によって処理された検査項目の項目一覧及び検査結果の項目一覧を表示するよう制御する項目一覧化手段である。ここで、項目一覧化手段102gは、操作者に入力装置112を介して検査項目又は検査結果を選択させるよう制御し、検査項目が処理された処理単位の項目一覧を表示してもよい。
【0103】
また、重畳防止手段102hは、操作者によって入力装置112を介して複数の項目一覧が選択された場合に、複数の項目一覧が重ならずに同時に表示するよう制御する重畳防止手段である。
【0104】
また、表示異色化手段102iは、操作者によって入力装置112を介して複数の項目一覧が選択された場合に、複数の項目一覧が同時に選択・表示されるときに、複数の項目一覧の表示領域のそれぞれを異なる色で表示するよう制御する表示異色化手段である。
【0105】
また、操作応答手段102jは、利用者による項目一覧の選択/非選択により、項目一覧をロールオーバー表示する操作応答手段である。ここで、操作応答手段102jは、利用者による項目一覧の選択により、選択された項目一覧をハイパーリンクによって表示してもよい。また、ここで、操作応答手段102jは、利用者による項目一覧の選択により、項目一覧をポップアップ表示してもよい。
【0106】
また、処理単位設定手段102kは、処理単位が、反応操作で用いられる処理装置及び処理キットによって、一度に処理できる処理数を上限とし、それ以下の処理数で規定されるよう制御する処理単位設定手段である。ここで、処理単位設定手段102kは、処理単位が、反応操作で用いられる同一条件の試薬で処理される処理数を上限とし、それ以下の処理数で規定されるよう制御してもよい。また、ここで、処理単位設定手段102kは、処理単位が、1つの工程で1種以上規定され、表示されるよう制御してもよい。
【0107】
以上が、本システムの構成および本検査結果処理装置100の論理構成である。
【0108】
[システムの処理]
次に、このように構成された本実施の形態における本システムの処理の一例について、以下に図2〜図10を参照して詳細に説明する。図3〜10は、検査結果処理装置100の制御装置の各種処理により、検査結果を出力装置114に出力した表示例を示す図である。
【0109】
[A.検査結果格納処理]
検査結果格納処理の詳細について説明する。
【0110】
検査結果処理装置100は、検査結果格納手段102aの処理により、ネットワーク300を介して抽出手段200等から、検査項目および検査結果を取得し、検査結果データベース106aに格納する。ここで検査項目および検査結果は対応付けて格納する。なお、本実施の形態に限らず、検査結果処理装置100は、操作者等の入力装置112からの入力により、検査項目および検査結果を取得してもよい。
【0111】
[B.処理単位関連付処理]
次に、処理単位関連付処理の詳細について説明する。
【0112】
検査結果処理装置100は、処理単位関連付手段102bの処理により、検査結果データベース106aに格納された生物学的検体に対する検査項目と反応操作により取得した検査結果と、処理単位データベース106bに記憶された反応操作の各工程に設定される処理単位と、を関連付けて、出力装置114に表示するよう制御する。
【0113】
[C.二軸関連付処理]
二軸関連付処理の詳細について説明する。
【0114】
検査結果処理装置100は、処理単位関連付手段102bの処理により、処理単位データベース106bに格納された反応操作の各工程に対応する項目を第一軸上に配し、第一軸と交差する第二軸上に検査結果データベース106aに格納された検査項目及び検査結果を配し、第一軸と第二軸とにより構成される領域に検査項目が処理された処理単位を配した表を作成し、処理単位関連付手段102bの処理により検査項目及び検査結果と、処理単位と、を当該表により関連付けて表示するよう制御する。
【0115】
図3に示すように、「抽出」、「増幅」、「検出」の各作業工程の項目を第一軸(縦軸方向)に配し、「検体番号」、「検査項目」、「(各工程における)処理単位(番号)」の項目を第二軸(横軸)方向に配し、最下段には最終的に得られた検査結果を表示している。なお、処理単位関連付手段102bの処理において、第一軸は横軸でもよく、第二軸は縦軸でもよい。
【0116】
また、図3に示すように、処理単位には、必要に応じて処理番号が記載される。また、必要に応じて処理項目と処理単位とにより構成される領域には「OK」または「Error」の表示がされるが、これらは得られたデータの正当性を評価するために用いられる指標で、各工程に設けられた閾値内に収まっているかどうかを表す。具体例は、実施例で示す。
【0117】
また、図3に示すように、同一処理単位は太両矢印で表現され、その影響範囲が表現される。
【0118】
これにて、二軸関連付処理の説明を終了する。
【0119】
[D.表示方向設定処理]
次に、表示方向設定処理の詳細について説明する。
【0120】
すなわち、検査結果処理装置100は、表示方向設定手段102dの処理により、反応操作の各工程に対応する項目が配された第一軸を縦軸方向とし、第一軸と交差する検査項目及び検査結果が配された第二軸を横軸方向とするよう設定する。ここで、表示方向設定手段102dは、第一軸を横軸方向とし、第二軸を縦軸方向と設定してもよい。
【0121】
ここで、図3に示すように、第一軸を縦方向とし、第二軸を横方向と設定した場合の画面例である。なお、第一軸を縦方向と設定した場合、横長の表示になるが、既存のディスプレイの多くは横長の規格が多いため、表示できる項目数も多くなる。
【0122】
他方、図8は、図3と同様(一部追加)の項目を表示しているが、逆に、「抽出」、「増幅」、「検出」の各作業工程の項目を横軸方向に配し、「検体番号」、「検査項目」、「(各工程における)処理単位(番号)」の項目を横軸方向に配する。すなわち、第一軸を縦軸方向とし、第二軸を横軸方向と設定した例である。
【0123】
これにて、表示方向設定処理の説明を終了する。
【0124】
[E.スクロール制御処理]
次に、スクロール制御処理の詳細について説明する。
【0125】
すなわち、検査結果処理装置100は、スクロール制御手段102eの処理により、操作者に入力装置112を介してスクロール入力させるよう出力装置114の画面表示を制御し、操作者により、横スクロール入力があった場合に、各工程における処理単位の処理担当範囲を表示し、縦スクロール入力があった場合に各検査項目及び各検査結果における処理単位の遍歴を、操作者に対して出力するよう制御するスクロール制御手段である。ここで、スクロール制御手段102eは、入力装置112から、縦スクロール入力があった場合に処理単位の処理担当範囲を、横スクロール入力があった場合に処理単位の遍歴を、出力してもよい。
【0126】
例えば、表示方向設定手段102dの処理により、第一軸を縦軸方向に第二軸を横軸方向に設定した場合であって、工程数が非常に多く、処理単位を複数設定しているような場合には縦方向の項目数が増えることになる。このように、工程数が非常に多いため、縦スクロールが必要な場合に、操作者により縦スクロール入力があると、検査結果処理装置100は、スクロール制御手段102eの処理により、縦スクロール処理を実行して表示する。
【0127】
また、図8に示すように、表示方向設定手段102dの処理により第一軸を横軸方向に設定した場合は、通常、検体数が多いため縦長の表示になり、ディスプレイ上に表示しきれない。このような場合には、縦方向のスクロールが必要になる。
【0128】
なお、現在一般的に用いられているポインティングデバイスでは、縦方向のスクロール機能が搭載されているものが多いが、横方向のスクロール機能が搭載されているものは少ない。従って、操作者は、項目数が増えたとしてもそれらをポインティングデバイスの縦スクロール機能を用いて縦スクロールすることができる場合が多い。すなわち、処理する検体や項目数が多いような場合には、図3に示す表示方法よりも、図8に示すように、表示方向設定手段102dの処理により、第一軸を横軸方向に設定した方が、画面操作性に優れる場合が多い。
【0129】
これにて、スクロール制御処理の説明を終了する。
【0130】
[F.最大連続化処理]
次に、最大連続化処理の詳細について説明する。
【0131】
すなわち、検査結果処理装置100は、最大連続化手段102fの処理により、処理単位に属する項目が同一処理単位に属する項目数が最大連続となるように表示(処理単位優先表示)するよう制御する。
【0132】
ここで、最大連続化手段102fは、操作者が選択した検査項目群、若しくは検査結果群に属する項目数が最大連続となるように表示(処理項目優先表示)するよう制御してもよい。また、ここで最大連続化手段102fは、操作者に、処理単位優先表示と処理項目優先表示とのいずれで優先表示を行うかを選択させるよう制御し、処理単位優先表示/処理項目優先表示を切り替え可能に構成してもよい。
【0133】
例えば、図3は、同一処理単位で処理されたものが、できるかぎり集まるように表示されているので、「処理単位優先表示」を示す例である。また、図6では、図3と同様の構成であるが、「検査結果」が同一のものを集めて表示されている。すなわち、図6では、処理単位が連続するよりも項目が連続することを優先する表示であるので「処理項目優先表示」である。この表示形式により「G/G」という結果が得られた場合に、エラーが特に多い傾向にあることが分かる。ここで、図6は、検査結果に対して並べ替えを行ったものであるが、検査項目ごと、検体ごとなどに並べ替えを行ってもよい。
【0134】
また、図8も、図3と縦横方向が逆であるが、同様に同一処理単位で処理されたものが出来る限り集まるように表示されており、「処理単位優先表示」である。また、図3に対応する図6のように処理単位優先表示ではなく処理項目優先表示も可能である。
【0135】
これにて、最大連続化処理の説明を終了する。
【0136】
[G.項目一覧化処理]
次に、項目一覧化処理の詳細について説明する。
【0137】
すなわち、検査結果処理装置100は、項目一覧化手段102gの処理により、操作者に反応操作の各工程における処理単位を選択させるよう制御し、処理単位によって処理された検査項目の項目一覧及び検査結果の項目一覧を表示するよう制御する。ここで、項目一覧化手段102gは、操作者に検査項目又は検査結果を選択させるよう制御し、検査項目が処理された処理単位の項目一覧を表示するよう制御してもよい。
【0138】
たとえば、図3において、操作者が、「Error」表示のある項目を選択した場合、図4に示すように、「Error」が発生した処理単位、及びその処理単位で処理された検査項目、検体(番号)、検査結果などが背景色とは異なる色(例えば、グレー)で表示される。これにより、操作者に、「Error」の発生した範囲を明確かつ簡易に知らせることができる。
【0139】
ここで、選択方法は例えばシングルクリック、ダブルクリックでもよく、右クリック、または、ポイントであってもよい。これらの選択のための入力装置112は、マウスポインタやトラックパッドのようなポインティングデバイスでもよく、単純にキーボードやテンキー、若しくは専用のボタン群によって実現されても良い。さらに、ディスプレイとしてタッチパネルを用い、画面上を指や指示棒、光ポインタのようなものでポイントすることで実現してもよい。
【0140】
図9は、図4と同様(一部追加)の項目を示しているが、「Error」表示のある項目を選択することで、「Error」が発生した処理単位、及びその処理単位で処理された検査項目、検体(番号)、検査結果などが背景色とは異なる色(例えば、グレー)で表示される。これにより「Error」の発生した範囲が明確かつ簡易に示されることになる。図9の選択方法は図4と同様にシングルクリック、ダブルクリック、右クリック、ポイントなどであるが、選択方法はこれに限らない。選択方法の詳細については、「J.操作応答処理」の項で詳細に説明する。なお、選択のために専用ボタン(テンキー、キーボード、特注ボタン)を設定してもよい。
【0141】
これにて、項目一覧化処理の説明を終了する。
【0142】
[H.重畳防止処理]
次に、重畳防止処理の詳細について説明する。
【0143】
すなわち、検査結果処理装置100は、重畳防止手段102hの処理により、操作者による複数の項目一覧の選択により、複数の項目一覧を同時に表示する場合に、複数の項目一覧が重ならずに表示されるよう制御する。
【0144】
図5は、操作者により、二つの項目が同時に選択された場合の表示例である。このように、ポップアップ表示された項目一覧は、重畳防止手段102hの処理により、重なって表示されないように制御する。
【0145】
このように、2つ以上の項目が選択された場合には、重畳防止手段102hの処理により必要に応じて互いに重なり合わないようにそれぞれの選択項目一覧が示される。
【0146】
これにて、重畳防止処理の説明を終了する。
【0147】
[I.表示異色化処理]
次に、表示異色化処理の詳細について説明する。
【0148】
すなわち、検査結果処理装置100は、表示異色化手段102iは、利用者による複数の項目一覧の選択により、複数の項目一覧が同時に選択・表示される場合に、複数の項目一覧の表示領域のそれぞれを異なる色で表示するよう制御する。
【0149】
ここで、図10は、同時に2つ以上の項目が選択された際の表示例である。図10に示すように、図5と同じく2つ以上の項目が選択され、それぞれの選択領域を同時に表示しているが、図5とは異なり、表示異色化手段102iの処理により、異なる色を用いてそれぞれの選択領域を区別している。選択領域が重なる領域では、表示異色化手段102iの処理により、色が半透明状態で重ね合わされる。
【0150】
すなわち、第一選択領域(例えば、緑)と第二選択領域(例えば、赤)の場合、第一選択領域と第2選択領域の重なる領域は、緑と赤の重ね合わせにより、黄色で表示される。
【0151】
これにて、表示異色化処理が終了する。
【0152】
[J.操作応答処理]
次に、操作応答処理の詳細について説明する。
【0153】
そして、検査結果処理装置100は、操作応答手段102jの処理により、利用者による項目一覧の選択/非選択により、項目一覧をロールオーバー表示する。ここで、操作応答手段102jは、利用者による項目一覧の選択により、項目一覧をハイパーリンクによって表示してもよい。また、ここで、処理単位設定手段102kは、利用者による項目一覧の選択により、項目一覧をポップアップ表示してもよい。ここで、図4は、項目一覧がロールオーバー表示された表示例であり、図5は、項目一覧がポップアップ表示された表示例を示す。
【0154】
図4に示すように、操作者により、シングルクリックや、ポイント等の選択があった場合、灰色で図示するように、操作応答手段102jは、選択領域をロールオーバー処理により表示するよう制御する。このように、マウスポインタ等で「Error」項目にポイントした場合等には、操作応答手段102jは、例えばJava(登録商標)(又は簡単にはJava(登録商標)Script)を用いたロールオーバー機能により、背景色とは異なる色(例えば、グレー)で図示されるような影響範囲を示すよう処理する。処理に用いるプログラム言語は特に限定されない。
【0155】
一方、図5では、図4と同様の表示形態であるが、「Error」表示等の選択における反応が異なる。すなわち、図4ではロールオーバーなどを用いたが、図5ではポップアップによる表示である。すなわち、図5に示すように、何らかの選択操作があると、第一軸と第二軸の表とは別枠で選択項目(「Error」表示)の影響範囲が表示される。
【0156】
また、ポップアップではなく、ハイパーリンクを用いた場合においても、同様に別枠で表示されることになる。このように別枠で表示されることのメリットは、複数の項目を同時選択した場合に、それらの影響範囲が重ならずに表示されることである。多くの項目を同時選択したい場合などではこの方法が優れている。
【0157】
また、図9においても図5で示されるようなポップアップやハイパーリンクを用いた関連付けを行うことが可能である。このような場合、選択によりその影響範囲が別枠で表示されることになるが、このような別枠での表示方法のメリットは、図5の場合と同様に複数の項目を同時選択した場合にそれらの影響範囲が重ならずに表示されることである。
【0158】
図7は、図4に対応した「Error」の影響範囲を示した表示である。図4と同様にロールオーバーの機能を用いて表現しているが、これに限定されず、前述のポップアップ、ハイパーリンクなどの機能を用いて表現してもよい。
【0159】
なお、タッチパネル表示での各項目は、指の太さより広いほうがよい。また、タップすることで表示/非表示の切替が可能なように構成してもよい。
【0160】
これにて、操作応答処理の説明を終了する。
【0161】
[K.処理単位設定処理]
次に、処理単位設定処理の詳細について図を参照して説明する。
【0162】
すなわち、検査結果処理装置100は、処理単位設定手段102kの処理により、処理単位が、反応操作で用いられる処理装置及び処理キットによって、一度に処理できる処理数を上限とし、それ以下の処理数で規定されるよう制御する。ここで、処理単位設定手段102kは、処理単位が、反応操作で用いられる同一条件の試薬で処理される処理数を上限とし、それ以下の処理数で規定されるよう制御してもよい。また、処理単位設定手段102kは、処理単位が、1つの工程で1種以上規定され、表示されるよう制御してもよい。
【0163】
この、処理単位設定処理の詳細な具体例については、以下の「各検査工程の処理単位」の項で説明を行う。
【0164】
[各検査工程の処理単位]
本実施の形態における抽出手段200、増幅手段400、または、検出手段500によって実行される抽出工程、増幅工程、検出工程などの各検査工程における処理単位について詳細に説明する。
【0165】
一般的に、装置を用いて各工程の手段を実現する場合には、装置の処理単位が設定される処理単位となる。また、用手法で行った場合には、装置を用いた場合と異なり、物理的な処理単位は存在しないが、エラーや反応条件のバラツキを低く抑える目的で、作業者が特定の処理単位を設定し、処理してもよい。また、各工程の手段を、装置を用いて実現する場合でも、用手法で実現する場合でも、使用する試薬のLOT単位や、購入単位などを処理単位として設定してもよい。
【0166】
すなわち、処理単位は、工程における処理装置の構成、試薬調製の単位、または試薬キットの単位(LOT単位や購入単位)を、用手法によって作業を行うときは作業者が行いやすい数などを設定してもよい。
【0167】
[抽出工程の処理単位]
第一の工程である「抽出工程」における処理単位について説明する。
【0168】
抽出手段200として、例えば自動核酸抽出装置などを用いた場合、抽出処理の単位数は抽出装置の処理単位数によって規定される。すなわち、例えば自動核酸抽出装置の一つであるBioRobot EZ1 System(商品名)(QIAGEN社(会社名))を用いた場合、当該抽出装置で一度に処理できる検体は6検体であるので、処理単位は「6」と設定される。なお、当該抽出装置においては、6検体ずつ処理することが最も効率よく一般的であるが、必ずしもこれに限らず6検体以下で処理し、処理単位を6検体以下の自然数に設定してもよい。
【0169】
[増幅処理の処理単位]
第二の工程である「増幅工程」における処理単位について説明する。ここで、増幅工程としては、各種増幅方法が存在するが、最も一般的に用いられているPCR法での処理を例示する。
【0170】
増幅手段400として、PCR法を用いて実現する場合、一般にサーマルサイクラーと呼ばれる温度変調装置を用いる。例えば、GeneAmp 9700(商品名)(Applied Biosystems社(会社名))を用いる場合、一度に処理できる検体は96検体(8×12)であり、処理単位として「96」が上限数となる。
【0171】
ここで、一般的なサーマルサイクラーで用いる容器としては、1wellチューブのほか、8連穴チューブ、12連穴チューブ、96穴プレートなどが挙げられる。これ以外の数を連結する容器は特注や何らかのキットなどで一部存在するのみであり、一般的ではない。8連穴チューブを用いる場合、処理単位は8検体ずつであり、容器を対象とした場合には、処理単位の上限は「8」となる。
【0172】
また、温度変調による増幅法を用いずに、恒温増幅方法(ICAN法、LAMP法、WGA法など)を用いてもよい。この場合、恒温槽などを用いて行ってもよく、同時に処理できる検体数はサーマルサイクラーを用いるよりも、一般に多い。なお、この場合でも使用する容器には限界があるため、それを処理単位の上限としてもよい。
【0173】
また、複数の検体を同時に処理する場合、PCRで使用する試薬をまとめて調製し、PCRに供することが多い。この調製された試薬を分注し、そこに個々の検体を添加して増幅反応を行う。このような場合、一度に調製したPCR試薬を用いて増幅したものの数をもって処理単位の上限として設定してもよい。また、装置によっても、使用する容器によっても、また調製する試薬によっても、処理単位数を設定することができるが、どれか1つの処理単位を用いてもよいし、複数を組み合わせて用いてもよい。
【0174】
[検出工程の処理単位]
第三の工程である「検出工程」における、処理単位について説明する。検出方法としては、増幅方法と同様に多数の方法が存在する。例えば、インターカレーターを用いて電気泳動やプレートリーダー、Real Time PCRによる検出、蛍光ラベルを用いたTaqMan(R)一分子蛍光検出法、光を用いないラジオアイソトープ標識、さらには肉眼でも認識可能な呈色反応など多岐にわたる。
【0175】
しかし、何れの方法においても一度に処理できる数には限界があるので、その最大処理数を上限としてそれ以下の任意の数を処理単位として設定する。例えば、電気泳動を例にとると二本鎖特異的インターカレーターであるSYBR Green I(商品名)(Molecular Probe社(会社名))を用い、キャピラリに充填されたゲル内に電圧をかけ、その中の通過速度により分離を行うキャピラリ電気泳動装置の一つであるAgilent 2100 BioAnalyzer(商品名)(Agilent社(会社名))を用いた場合、12穴の電気泳動チップを用いるため、処理単位の上限は「12」であり、この数以下であれば任意に設定できる。また、通常のアガロース電気泳動では、wellの数は10〜50程度であり、様々な仕様の装置が存在するが、その数が処理単位の上限とする。また、アガロースゲル電気泳動で用いる試薬はまとめて調製することが多く、その場合には同じ条件で調整された試薬を用いた検査群を処理単位として設定してもよい。
【0176】
また、検出方法としては特定の処理単位を持たないものもある。例えば、生化学分析装置の一つであるAU640(商品名)(OLYMPUS社(会社名))の場合、153本のキュベットが円形に配され、それが測定系の前を1つずつ通過する際に測定が行われる。次から次へと溶液を入れ替えて測定を行っていくため、処理単位の設定は難しい。この場合、処理単位を最初にキャリブレーションを行って次にキャリブレーションを行うまでにとってもよい。また、装置にサンプルを投入する際のサンプルラックが10検体ずつであるので、10検体を処理単位の上限に設定してもよい。そのほか、処理単位は、検出に用いる試薬のボトル単位、使用期間単位、LOT単位など、いろいろな基準を元に設定してもよい。
【0177】
以上で、各検査工程における処理単位の説明を終える。
【0178】
[収量純度取得処理]
収量純度取得手段600は、抽出工程により抽出された核酸の品質を評価する項目として、抽出核酸の収量、純度、平均鎖長などの情報を抽出手段200から取得する。ここで、これらの項目のうち、どれを調べるかは後に続く工程における操作に依存する。すなわち、増幅方法としてPCRを用いる場合、核酸収量、純度、平均鎖長はいずれも増幅効率に影響を与えるため、これらを測定することにより適切な品質評価を得られる。
【0179】
ここで、核酸抽出を、自動装置を用いて行う場合においては、純度と収量のみの測定でもよい。すなわち、純度と収量は、検査対象の個体差により大きく影響されるが、平均鎖長は、主に抽出工程に依存し、自動装置を用いる場合においては、大きな偏倚はないからである。
【0180】
拡散の抽出収量及び抽出純度の測定方法としては、従来から一般的に用いられている吸光度測定法を用いてもよい。吸光度測定装置としては、例えば、セルを必要とせず1μlという少量で測定を行うことができ容易であるため、NanoDrop ND-1000(商品名)(NanoDrop(会社名))を用いてもよい。
【0181】
平均鎖長の測定方法としては、吸光度測定法によっては測定が難しいため、電気泳動法を用いてもよい。例えば、ゲル作製や撮影の必要がなく容易に測定できるため、Agilent 2100 BioAnalyzer(商品名)(Agilent(会社名))などのキャピラリ電気泳動装置を用いてもよい。また、電気泳動法の代わりにHPLCなどを用いてもよい。
【0182】
収量純度取得手段600は、抽出手段200の処理による抽出物を対象として、上記の方法等で測定したデータを、ネットワーク300を介して検査結果処理装置100に送信する。検査結果処理装置100は、取得したデータが閾値を超えるか超えないかを判定し、それらを総合して抽出工程が成功であるか否かを判定する。そして、検査結果処理装置100は、処理単位関連付手段102bの処理により、この正否データと抽出処理Noとを関連付け、出力装置114に出力表示する。ここで、抽出工程などの各工程の成否の判断は、各工程にかかる手段が行ってもよい。
【0183】
また、図3に示す例では、必要に応じて処理項目と処理単位との交点には「OK」または「Error」の表示がされているが、これらは得られたデータの正当性を評価するために用いられる指標で、各工程に設けられた閾値内に収まっているかどうかという指標である。
【0184】
図3に示す例では、検査結果処理装置100は、検査結果格納手段102aの処理により、抽出処理単位内の全ての検査項目に対して個別に成否の検証を行うが、処理単位内の代表的な1つに対して検証を行い、その結果を持って処理単位全体の正否を判定してもよい。ここで、図11は、検出方法としてキャピラリ電気泳動装置であるAgilent 2100 BioAnalyzer(商品名)(Agilent(会社名))を用いた場合の、各工程における閾値を示した図である。
【0185】
図11に示すように、検出工程にAgilent 2100 BioAnalyzerを用いる場合、それぞれ、抽出工程の収量は1.00μg以上であること、純度は吸光度測定によるA260/A280が1.8〜2.0であること、平均鎖長が1kb〜40kbであることなので、検査結果処理装置100は、検査結果格納手段102aの処理により、これらの閾値を基準として抽出物の品質の判定を行ってもよい。
【0186】
[コントロール取得処理]
増幅工程におけるエラーをチェックするには、増幅工程のみで工程の正否を判定することは難しい。そこで、一般的には、処理する検体と同一条件でポジティブコントロール(正しい条件で増幅が行われたとき、必ずシグナルが得られるサンプル)とネガティブコントロール(コンタミネーションなどが起きていない場合には、シグナルが出ないサンプル)を別途処理し、それらのシグナルをもって成功か否かを判定する。
【0187】
すなわち、コントロール取得手段700は、抽出手段200と増幅手段400と検出手段500とから、抽出物、増幅物、検出物のポジティブコントロールおよびネガティブコントロールの情報を取得し、コントロールの増幅量やサイズマーカー量、最終結果の情報等の収集結果を検査結果処理装置100に送信する。これにより、後に続く検出工程において、他の検体とまとめて処理が行え、簡便であると同時に、同一条件における検出により、より正確な判定が行える。ここで、図11は、検出方法としてキャピラリ電気泳動装置であるAgilent 2100 BioAnalyzerを用いた場合の、各工程における閾値を示した図である。
【0188】
図11に示すように、Agilent 2100 BioAnalyzerを用いる場合、それぞれ、ポジティブコントロールの閾値は1.0μg/μl以上であること、ネガティブコントロールの閾値は0.5μg/μl以下であること、サイズマーカーの検出限界は0.5μg/μlであること、と検出限界値は0.5μg/μlであるので、検査結果処理装置100は、検査結果格納手段102aの処理により、これらの閾値を基準としてコントロールの判定をしてもよい。
【0189】
すなわち、図11に示すように、増幅工程の正否を確認するために処理したP.C.値(ポジティブコントロールの値)とN.C.値(ネガティブコントロールの値)をコントロール取得手段700(Agilent 2100 BioAnalyzer)で検出し、検査結果処理装置100は、P.C.値がある閾値以上の値で、且つN.C.値がある閾値以下の値を取得した場合、検査結果格納手段102aの処理により、増幅工程が成功であったと判定する。これらの閾値は増幅対象の特性や検出手段の検出限界に応じて設定する。
【0190】
つぎに、検査結果処理装置100は、検査結果格納手段102aの処理により、P.C.値、N.C.値を用いて増幅工程の正否を判定した後、処理単位関連付手段102bの処理により、その結果を増幅工程処理Noと関連付け、表示手段(出力装置114)にデータを送り、増幅工程の項目欄に表示する。ここで、図3では増幅処理単位内の全ての項目に対して個別に検証を行っているが、処理単位内の代表的な1つに対して行い、その結果を持って処理単位全体の正否を判定してもよい。
【0191】
また、検出工程自体の成否を判定する方法としては、増幅工程と同様にコントロールを用意し、そのシグナル強度をもって正否を判定する方法が最も簡単である。これは処理単位に1つ設ければ十分であるが、図1では全ての項目に対しコントロールが用意された場合で、表示している。例えば、Agilent 2100 BioAnalyzerでは検体ごとにMarkerが用意されており、これをコントロールとして採用する。この検出工程で得た最終結果は、検出手段500の処理により検査結果処理装置100に送られ、検査結果処理装置100は、処理単位関連付手段102bの処理により、検体・項目Noと関連付け、表示手段(出力装置114)にデータを送り、最終結果の項目欄に表示する。また、検出工程での成否判定結果は、コントロール取得手段700の処理により検査結果処理装置100に送られ、検査結果処理装置100は、処理単位関連付手段102bの処理により、検出工程処理Noと関連付け、表示手段(出力装置114)にデータを送り、検出工程の項目欄に表示する。
【0192】
また、検出工程で、PicoGreen(商品名)(Molecular Probes(会社名))やSYBR Green(商品名)(Molecular Probes(会社名))などのインターカレーターを用いてプレートリーダーで2本鎖増幅産物を測定する場合は、Real Time PCRによる測定の場合と同様、正確な増幅量を測定することは難しい。しかし、これらの方法は簡便であるので、増幅工程及びその前の抽出工程が安定しており、コンタミネーションなどの恐れが少ない場合で、量だけの見積もりだけで十分であるような場合にはこちらの方法を用いることも可能である。
【0193】
以上が、コントロール取得処理の詳細である。
【0194】
[保存工程]
なお、実施の形態では、簡単のため説明を省略したが、保存工程はこれ以外の全ての工程において付随的に発生する。例えば、核酸抽出後に次の増幅工程に移る際や、増幅に用いる装置が使用中であるような場合、その処理が完了するまで安定的に抽出核酸を保存する。例えば、EDTAを含むBufferでの保存(この場合、数時間であれば室温でもかまわない)、冷凍保存などがある。また、抽出核酸量に余裕があるような場合、次の工程におけるエラー発生のバックアップとして、分注して保存しておいたりする。このように後に続く処理工程の処理単位が、現工程の処理単位と一致していないような場合、必ず一時的に保存する工程が発生し、これが保存工程に相当する。また、保存工程とは、別に「分注工程」を設けてもよく、その他、検査の種別に応じて各工程は、設定することができる。
【0195】
[実施例]
以下、本発明の実施例について、図12および図13を参照して説明する。特に、本実施例では、各工程にかかる各手段がどのように関連付けて検査結果処理装置100にデータを送信する結果、検査結果処理装置100は、検査項目・検査結果と処理単位を関連付けるのか、に主眼を置いて説明する。ここで、図12は検体及びデータの流れを示す図であり、図13はデータベース上のデータ構造を示す図である。なお、本実施例においては、検査対象は血液である。また、本実施例においては、分注工程は、説明の簡単のため詳細は省略するが、分注工程は用手法を用いてもよく、分注ロボットのような自動装置によって実現してもよい。
【0196】
図12、図13に示すように、本実施例において、検体の処理工程は、大きく4工程に分けられる。すなわち、第1に採血工程(SA−1)であり、これは医療従事者等によって行われる。第2に、採取された血液検体(s-1)は抽出工程に運ばれ、抽出手段200によって血液から核酸だけが抽出される(SA−2)。第3に、この抽出された核酸(s-2)はさらに増幅工程に運ばれ、増幅手段400によって、増幅に必要な試薬と混合された後、増幅処理が行われる(SA−3)。第4に、増幅産物(s-3)は検出工程に運ばれ、検出手段500によって増幅産物を検出・識別する(SA−4)。そして、各工程のデータを受け取った検査結果処理装置100は、対応する検査項目に対して最終的な結果を出力する(SA−7)。以下、各工程に関して詳細に説明する。
【0197】
[1. 採血工程]
[1.1 採血と血液検体の標識、及び登録]
検査における最初の工程は、採血工程(SA−1)である。すなわち、本実施例では、検体を血液としたので、この工程は、医師などの医療従事者によって行われる必要がある。
【0198】
つぎに、医療従事者は、この工程で取得した血液検体(s-1)を、特定の採血容器に保存する。この際、血液検体(s-1)には、個人を特定できる識別記号(例えば、名前、番号等)と対応付けられた識別標識(バーコード)を付与する。
【0199】
この際、検査結果処理装置100は、医療従事者に、入力装置112等を介し、個人を特定する識別記号を入力させ、付与した識別標識と対応付けて、記憶装置106に保存する。入力は、他の装置からネットワーク300を介して入力されてもよい。また、必ずしも検査結果処理装置100本体の記憶装置に保存する必要はなく、検査結果処理装置100がアクセス可能なオンライン上の外部記憶装置に保存されてもよい。ここで、図13は、各工程で付与される識別記号や、各工程の処理単位を示す処理単位記号、各種データを対応付けて示した表である。
【0200】
図13に示すように、各工程で付与する識別記号としては、血液検体識別記号(401)の一つとして示すように、アルファベットと数字を使ったもの(「OLY-12892」)がある。なお、識別記号はこのような作業者が分かりにくい表記を用いる必要はなく、直接被採血者の氏名を用いてもよい。しかしながら、個人情報保護の観点等から、血液検体識別記号(401)で示す例のように、匿名化された表記方法を用いてもよい。ここで、識別記号と識別標識とを対応付けたデータベース(検査結果データベース106aなど)にアクセスできる者は、同じく個人情報保護の観点等から、医師などの守秘義務のある者に制限してもよい。
【0201】
このようなデータベースとしては、既存の周知・慣用技術を用いることができる。本発明の実施例においては、被採血者などの識別記号と血液検体識別記号(401)等の識別記号との対応付けデータベースに関しての記載は省略する。血液検体識別記号(401)と対応付けられた識別標識(バーコード)が付与された登録済血液検体(s-1)は、医療従事者等から次の工程を実行する抽出手段200へと引き継がれる。
【0202】
[1.2 登録済血液検体の搬送]
登録済血液検体(s-1)等の搬送方法としてはベルトコンベアやロボットを用いた自動搬送によってもよく、医療従事者等による搬送でもよい。また、これを各施設の作業標準に従うこととしてもよい。本実施の形態においては、搬送工程を実行する主体は、限定されないが、本実施例においては、前後の工程を実行する各手段が行うものとして説明する。
【0203】
[2. 抽出工程]
[2.1 抽出方法]
採血工程(SA−1)から送られてきた登録済血液検体(s-1)を抽出工程(SA−2)で処理する。
【0204】
すなわち、抽出工程(SA−2)では、抽出手段200が、血液検体から核酸の抽出操作を行う。つまり、抽出手段200は、抽出工程を実行し、入力された登録済血液検体(s-1)を抽出核酸検体(s-2)へと変換する。ここで、抽出手段200としては、手技(用手法)によって行ってもよく、バラツキやエラー発生率を考慮して自動化してもよい。本実施例では、例えば、前述した自動核酸抽出装置であるBioRobot EZ1(商品名)(QIAGEN(会社名))を抽出手段200として用いた例を示す。
【0205】
[2.2 抽出工程における処理単位とその登録]
抽出手段200として、手技(用手法)を用いた場合でも、自動核酸抽出装置を用いた場合でも、抽出操作はいくつかの検体をまとめて処理していくほうが効率的である。BioRobot EZ1を抽出手段200として用いた場合、6検体単位で処理を行うことが可能であるので、処理単位「6」とする。6検体以下でも処理可能であるが、その場合、使わないレーンが生じることとなり、処理効率が落ちてしまう。
【0206】
また、当該装置(BioRobot EZ1)は、一連の処理を終了するまで検体の追加を行えないことからも、装置が一度に処理することができる単位を処理単位とする方がよい。すなわち、いくつかの検体をまとめて処理する場合、その処理単位ごとに管理する。この処理単位の識別記号を設定する場合、例えば自動核酸抽出装置内のログ内に記録されているバッチ処理番号などを用いてもよく、さらに簡単な方法としては処理の日時を用いてもよい。
【0207】
また、工程を実行する装置が何台もあり、処理が並列して行うことができる場合には、処理の日時を設定するだけでは識別不可能な場合も生じる。この場合は、処理装置にそれぞれの固有の識別名称を付けておき、それと日時を組み合わせることでユニークな識別記号として用いてもよい。
【0208】
このように処理単位の対応付けは、例えば抽出工程処理単位記号(402)で表現され、その対応情報を検査結果処理装置100に保存する。ここで、必ずしも各種情報は検査結果処理装置100本体の記憶装置に保存される必要はなく、検査結果処理装置100がアクセス可能な、オンライン上の記憶装置に保存されてもよい(以下、各工程において同じ。)。
【0209】
[2.3 抽出核酸検体の標識と血液検体との対応付け及びその登録]
次に、抽出手段200は、バーコードリーダー(a-1)を制御して、抽出核酸が保存された容器に付与された識別標識(バーコード)と血液検体との対応付けを行う。すなわち、抽出手段200は、バーコードリーダー(a-1)を制御して、識別標識(バーコード)を読み取り、抽出核酸を示す抽出核酸識別記号(403)との対応付けを行う。ここで、抽出核酸識別記号(403)としては血液検体識別記号(401)と同じものを用いてもよいが、この場合、抽出工程前であるのか抽出工程後であるのか分からなくなる場合や、抽出処理の方法、その後の処理方法によっては血液検体と1対1に対応しないこともあるので、適さない場合もある。
【0210】
そこで、本実施例では、核酸検体であることを示すN(Nucleic Acid)を記号先頭に配し、以下は通し番号で表記することとする。このような情報を検査結果処理装置100は、検査結果格納手段102aの処理により、対応付けて記憶装置106に保存し、管理する。
【0211】
そして、抽出手段200は、抽出核酸検体を保持した容器にそれを識別するための抽出核酸識別記号(403)と対応する識別標識(バーコード)が付与された登録済抽出核酸検体(s-2)を、次の工程を実行する増幅手段400へと引き渡す。
【0212】
[2.4 抽出工程で登録された検体管理情報]
このように、検査結果処理装置100は抽出工程において、血液検体識別記号(401)との対応付けを行うことから、抽出核酸が血液検体の何れから生じたものであるか、また、抽出工程処理単位記号(402)との対応付けを行うことから、どの処理単位で処理されたものか、そして、抽出核酸識別記号(403)との対応付けを行うことから、抽出核酸がどの識別標識及び容器に対応するのか、を特定することができ、十分なトレーサビリティを確保することができる。
【0213】
すなわち、抽出手段200は、これら一群の抽出工程処理データ(d-1)を随時更新しながら、検査結果処理装置100へ送信し、データを受け取った検査結果処理装置100は検査結果データベース106aに保存する。
【0214】
[2.5 登録済抽出核酸検体の搬送]
次に、抽出手段200は、抽出し、容器に保持し、識別標識によって標識した登録済抽出核酸検体(s-2)を、次の増幅工程(SA−3)を担う増幅手段400へ搬送するために受け渡す。ここで、登録済抽出核酸検体(s-2)の搬送方法としてはベルトコンベアやロボットを用いた自動搬送でもよく、医療従事者などの人による搬送でもよい。また、各施設の作業標準に従ってもよい。
【0215】
[2.6 吸光度測定による抽出工程健全性評価]
ここで、抽出手段200によって抽出工程(SA−2)で抽出され、検査結果処理装置100に登録された登録済抽出核酸検体(s-2)は、品質確認のため、吸光度測定用登録済抽出核酸検体(s-21)として、一部分注される。
【0216】
つぎに、収量純度取得手段600は、分注された抽出核酸(吸光度測定用登録済抽出核酸検体(s-21))の吸光度を測定することにより、その純度と見かけの濃度である吸光度の情報を得る。
【0217】
ここで、収量純度取得手段600による吸光度測定は、吸光光度計の1つであるNanoDrop ND-1000(商品名)(NanoDrop社(会社名))を用いてもよい。その場合、登録済抽出核酸検体(s-2)から直接、極微量を分注して測定してもよいので、容易である。また、図12に示すように、登録済抽出核酸検体(s-2)から分注された吸光度測定用登録済抽出核酸検体s-21は、NanoDrop ND-1000に供してもよい。
【0218】
つぎに、収量純度取得手段600は、バーコードリーダーa-4を制御して、登録済抽出核酸検体(s-2)に付与された標識を読み取る。
【0219】
そして、収量純度取得手段600は、読み取ったデータである抽出核酸識別記号(403)と、吸光光度計により測定したデータとを関連付け、抽出核酸吸光度データ(d-21)として、検査結果処理装置100へ送信する。
【0220】
抽出核酸吸光度データ(d-21)を受信した検査結果処理装置100は、抽出核酸識別記号(403)と吸光光度測定データとを対応付けて検査結果データベース106aに格納する。
【0221】
[2.7 電気泳動測定による抽出工程品質評価]
次に、コントロール取得手段700は、抽出工程の品質を検査するため、すなわち抽出産物の断片化状態を知るため、抽出核酸の鎖長を測定し、平均鎖長を測定する。本実施例においては、コントロール取得手段700として、キャピラリ電気泳動装置の一つであるAgilent 2100 BioAnalyzerを用いる。この場合、前述と同様に、登録済抽出核酸検体(s-2)から直接分注してもよく、容易である。
【0222】
すなわち、図12に示すように、コントロール取得手段700(Agilent 2100 BioAnalyzer)は、登録済抽出核酸検体(s-2)から分注された抽出核酸鎖長測定用登録済抽出核酸検体(s-22)を対象に、測定を行う。
【0223】
そして、コントロール取得手段700は、バーコードリーダー(a-5)を制御して、登録済抽出核酸検体(s-2)に付与された標識を読み取る。
【0224】
つぎに、コントロール取得手段700は、読み取ったデータである抽出核酸識別記号(403)と、測定したデータとを関連付け、抽出核酸鎖長データ(d-22)として、検査結果処理装置100へ送信する。
【0225】
データを受け取った検査結果処理装置100は、抽出核酸識別記号(403)と、鎖長測定データとを対応付けて格納する。
【0226】
[3. 増幅工程]
[3.1 増幅方法]
次に、増幅手段400は、抽出手段200から送られてきた登録済核酸検体(s-2)を、増幅工程(SA−3)を実行することによって処理する。増幅工程(SA−3)としては、各種増幅技術を利用することができるが、一般的なPCR(Polymerase Chain Reaction)を用いてもよい。本実施例では、増幅工程(SA−3)として、PCR法を用いて増幅する例を示す。
【0227】
すなわち、増幅手段400は、抽出された核酸検体(s-2)、ポリメラーゼと呼ばれる酵素、及びバッファーとを混合し、GeneAmp 9700(商品名)(Applied Biosystems社(会社名))のような温度変調装置を用いて核酸の特定の配列のみを特異的に増幅する。なお、この特異的に増幅された増幅産物は、後の工程である検出工程(SA−4)において検出されることになる。
【0228】
[3.2 増幅工程における処理単位とその登録]
GeneAmp 9700のようなPCR用温度変調装置の多くでは、96穴(8×12穴)のPCRプレートが処理できるような構成になっている。従って、96検体の処理が並行して行えるのであるが、それ以下の検体数でも処理は可能である。この場合、使われないwellが生じることとなり、処理効率が落ちる。装置が一連の処理を終了するまで検体の追加は行えないため、できるだけ一度に処理を行ったほうが効率よく行えることは、上述の通りである。
【0229】
いくつかの検体をまとめて処理を行う場合、その処理単位ごとに管理してもよい。処理単位の識別記号を設定する場合、核酸抽出の場合と同様の理由で処理装置の固有識別名称と処理の日時を組み合わせてユニークな識別記号として用いてもよい。
【0230】
処理単位の対応付けは増幅工程処理単位記号(404)で行い、増幅手段400から検査結果処理装置100へ送信する。
【0231】
そして、検査結果処理装置100は、増幅工程処理単位記号(404)を増幅核酸識別記号(405)と対応付けて保存する。
【0232】
[3.3 増幅核酸検体の標識と抽出核酸検体との対応付け及びその登録]
増幅産物(s-3)が保持された容器に付与された識別標識(バーコード)と増幅産物それぞれに対応する増幅核酸識別記号(405)を対応付ける必要がある。増幅核酸識別記号(405)としては最も簡単な場合には抽出核酸識別記号(403)と同じものを用いてもよいが、上述のことを考慮し、本実施例では増幅核酸検体であることを示すA(Amplification Product)を先頭に配し、以下は通し番号で表記することする。
【0233】
このような対応情報を検査結果処理装置100は検査結果データベース106aに保存する。
【0234】
このようにして、増幅核酸検体を保存した容器に、増幅核酸識別記号(405)と対応付けられた識別標識(バーコード)が付与された登録済増幅核酸検体(s-3)が、次の工程へと引き継がれる。
【0235】
[3.4 増幅工程で登録された検体管理情報]
以上により、検査結果処理装置100は増幅工程において、抽出核酸識別記号(403)との対応付けを行うことから、増幅核酸が抽出核酸の何れから生じたものであるか、また、増幅工程処理単位記号(404)との対応付けを行うことから、どの処理単位で処理されたものか、そして、増幅核酸識別記号(405)との対応付けを行うことから、増幅核酸がどの識別標識及び容器に対応するか、を特定することができ、十分なトレーサビリティを確保することができる。これら一群の増幅工程処理データ(d-2)は随時更新されながら、検査結果処理装置100へと送信され、保存される。
【0236】
[3.5 登録済抽出核酸検体の搬送]
上記のように、増幅手段400により、増幅され、容器に保持され、識別標識によって標識された登録済増幅核酸検体(s-3)は、次の検出工程(SA−4)を行う検出手段500へと搬送される。登録済増幅核酸検体(s-3)の搬送方法としては、上述の通り、ベルトコンベアやロボットを用いた自動搬送でもよく、医療従事者等による搬送でもよい。また、これは各施設の作業標準に従ってもよい。
【0237】
[3.6 Control検体による増幅工程健全性評価]
増幅工程単独では、この工程で正しく処理が行われたのかどうかを判定することは難しい。そこで、一般的には処理する検体と同一条件でポジティブコントロール(正しい条件で増幅が行われたとき、必ずシグナルが得られるサンプル)とネガティブコントロール(コンタミネーションなどが起きていない場合には、シグナルが出ないサンプル)を別途処理し、それらのシグナルをもって成功か否かを判定する方法が一般的に採用されている。この品質確認は、後に続く検出工程(SA−4)において検体とまとめて処理が行え、簡便であると同時に、同一条件における検出により、より正しい判定が行える。なお、検出の態様によっては、検出手段とコントロール取得手段を別の処理に供してもよい。
【0238】
[4. 検出工程]
[4.1 検出方法]
次に、検出手段500は、増幅手段400から送られてきた登録済増幅核酸検体(s-3)を、検出工程(SA−4)を実行して処理する。検出工程(SA−4)としては、現在、各種の検出方法が存在し、多くが自動化され、利用可能となっている。本実施例では、抽出工程(SA−2)の品質検証と共通に、キャピラリ電気泳動装置の1つであるAgilent 2100 BioAnalyzerを検出手段500として用いる。
【0239】
[4.2 検出工程における処理単位とその登録]
Agilent 2100 BioAnalyzerを用いて検出を行う場合、1回の測定で12検体を測定することが可能である。従って12検体ずつ処理することが望ましいが、それ以下の検体数でも処理は可能である。この場合、使われないwellが生じることとなり、処理効率が落ちるのは、前述の通りである。そのため、できるだけ一度に処理を行った方がよい。
【0240】
いくつかの検体をまとめて処理をする場合で、処理単位の識別記号を設定する場合、核酸抽出の場合と同様の理由で、処理装置の固有識別名称と処理の日時を組み合わせてユニークな識別記号として用いてもよい。
【0241】
処理単位の対応付けは検出工程処理単位記号(406)で表現され、検出手段500から検査結果処理装置100へ送信され、保存される。
【0242】
[増幅核酸検体と最終結果との対応付け及びその登録]
次に、増幅工程(SA−3)によって増幅され、検査結果処理装置100に登録された登録済増幅核酸検体(s-3)の一部は分注され、電気泳動測定用登録済核酸検体(s-32)として利用される。
【0243】
つぎに、検出手段500(Agilent 2100 BioAnalyzer)は、登録済増幅核酸検体(s-3)と電気泳動測定用登録済核酸検体(s-32)とについて(後者はコントロールとして)、電気泳動測定を行う。
【0244】
そして、検出手段500は、バーコードリーダー(a-3)を制御して、測定結果と検体との対応付けを行う。すなわち、検出手段500は、バーコードリーダー(a-3)を制御して、登録済増幅核酸検体(s-3)に付与された標識を読み取る。
【0245】
つぎに、検出手段500は、読み取られたデータである増幅核酸識別記号(405)と電気泳動測定された最終結果とを関連付け、核酸検体増幅量データ(d-3)として、検査結果処理装置100へ送信する。
【0246】
データを受信した検査結果処理装置100は、増幅核酸識別記号(405)と電気泳動結果とを対応付けて、検査結果データベース106aに格納する。ここで、上記処理において、検出手段500とコントロール取得手段700とを同一工程によって処理する運用の場合は、コントロール取得手段700としての検出手段500は、電気泳動測定用登録済核酸検体(s-32)によるコントロールの測定データも、検査結果処理装置100に合わせて送信する。
【0247】
[4.4 検出工程で登録された検体管理情報]
以上のように、検査結果処理装置100は検出工程において、増幅核酸識別記号(405)との対応付けを行うことから、最終結果が増幅核酸の何れから生じたものであるか、検出工程処理単位記号(406)との対応付けを行うことから、どの処理単位で処理されたものかを特定することができ、十分なトレーサビリティを確保することができる。これら一群の検出工程処理データ(d-3)は随時更新されながら、検査結果処理装置100へ送信され、保存される。
【0248】
[4.5 Control検体による増幅工程健全性評価]
増幅工程(SA−3)において、増幅され、検査結果処理装置100に登録された登録済増幅核酸検体(s-3)の一部は分注され、Control検体測定用登録済増幅核酸検体(s-31)として利用される。増幅核酸検体の鎖長及び濃度を測定し、Controlが正しい値の範囲内であることを確認するために、コントロール取得手段700としてキャピラリ電気泳動装置の1つであるAgilent 2100 BioAnalyzerを用いてもよい。その場合、前述と同様に登録済増幅核酸検体(s-3)から直接分注できる。
【0249】
すなわち、図12に示すように、コントロール取得手段700(Agilent 2100 BioAnalyzer)は、Control検体測定用登録済増幅核酸検体(s-31)を対象に、測定を行う。
【0250】
つぎに、コントロール取得手段700は、バーコードリーダー(a-6)を制御し、登録済増幅核酸検体(s-3)に付与された標識を読み取る。
【0251】
そして、コントロール取得手段700は、読み取ったデータである増幅核酸識別記号(405)と電気泳動測定されたデータとを関連付ける。すなわち、コントロール取得手段700は、コントロール検体の測定対象として、登録済ポジティブコントロール増幅核酸検体(410)、登録済ネガティブコントロール増幅核酸検体(411)の2種類の検体から結果を得、それぞれのデータを統合した形で、コントロール検体電気泳動データ(d-31)として、検査結果処理装置100に送信する。
【0252】
最後に、データを受け取った検査結果処理装置100は、コントロール検体電気泳動データ(d-31)を対応付けて、検査結果データベース106aに格納する。
【0253】
[4.6 標準検体による検出工程健全性評価]
本実施例では、検出系(検出手段500)としてキャピラリ電気泳動装置の1つであるAgilent 2100 BioAnalyzerを用いた。このシステムは、検出対象としている検体に対して長さの目安となるラダー、検体が装置の検出鎖長領域内にあることを示し、その量の目安となるupper Marker及びlower Markerの2種類を用いてデータの健全性を評価する。これらの標準検体に対し、異常値を示した場合には、その表示が行われる他、その状況が最終結果に反映される。
【0254】
以上により、検査結果処理装置100本体、若しくは、検査結果処理装置100がアクセス可能なオンライン上の記憶装置内に保存された検体のトレーサビリティのためのデータ群である抽出工程処理データ(d-1)、増幅工程処理データ(d-2)、検出工程処理データ(d-3)及び各工程の健全性確認のためのデータ群である抽出核酸吸光度データ(d-21)、抽出核酸鎖長データ(d-22)、Control検体電気泳動データ(d-31)、核酸検体増幅量データ(d-32)を統合したリレーショナル・データベースの構造を、図13に示す。
【0255】
図13に示すように、リレーショナル・データベースの情報が検査結果処理装置100内に存在しない場合、それらのデータを入力する必要がある。図12上では抽出工程処理データ入力(In-d1)、増幅工程処理データ入力(In-d2)、検出工程処理データ入力(In-d3)、抽出核酸吸光度データ入力(In-d21)、抽出核酸鎖長データ入力(In-d22)、Control検体電気泳動データ入力(In-d31)、核酸検体増幅量データ入力(In-d32)と表現されているが、ネットワーク上からダウンロードしてもよいし、作業者が記録媒体に記録したデータを搬送し、入力したりしてもよい。これらのデータを関連付け、情報を基にデータを統合表示したのが図1である。図1では検体管理用に付けられた処理単位番号や検体番号、及び名称等は通し番号等での表現に変換されている。なお、データベースは、リレーショナル・データベースに限られず、XMLデータベースでもよく、また、オブジェクト指向型データベースであってもよい。
【0256】
[他の実施の形態]
さて、これまで本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上述した実施の形態以外にも、上記特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施の形態にて実施されてよいものである。
【0257】
例えば、検査結果処理装置100、抽出手段200、増幅手段400、検出手段500、収量純度取得手段600、およびコントロール取得手段700は、ネットワーク300を介して相互に接続されたシステムとして説明したが、これらの全部または一部をスタンドアローンの形態で処理を行うよう構成してもよい。
【0258】
また、実施の形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0259】
このほか、上記文献中や図面中で示した各工程、処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0260】
また、検査結果処理装置100に関して、図示の各構成要素は機能概略的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0261】
例えば、検査結果処理装置100の各装置が備える処理機能、特に制御装置102にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPU(Central Processing Unit)および当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現することができ、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現することも可能である。尚、プログラムは、後述する記録媒体に記録されており、必要に応じて検査結果処理装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDなどの記憶装置106などは、OS(Operating System)として協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0262】
また、このコンピュータプログラムは、検査結果処理装置100に対して任意のネットワーク300を介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0263】
また、本発明に係るプログラムを、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM、EEPROM、CD−ROM、MO、DVD等の任意の「可搬用の物理媒体」、あるいは、LAN、WAN、インターネットに代表されるネットワークを介してプログラムを送信する場合の通信回線や搬送波のように、短期にプログラムを保持する「通信媒体」を含むものとする。
【0264】
また、「プログラム」とは、任意の言語や記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードやバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OS(Operating System)に代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施の形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成、読み取り手順、あるいは、読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0265】
記憶装置106に格納される各種のデータベース等(検査結果データベース106aなど)は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラムやテーブルやデータベースやウェブページ用ファイル等を格納する。
【0266】
また、検査結果処理装置100は、既知のパーソナルコンピュータ、ワークステーション等の情報処理装置を接続し、該情報処理装置に本発明の方法を実現させるソフトウェア(プログラム、データ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0267】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じた任意の単位で、機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0268】
本発明によれば、生物学的検体の採取以降の操作すべてを自動で行うような高価な全自動検査装置を導入することなく、各種処理装置や処理キットを組み合わせて行う場合に、これらの複雑な処理経路を経て検査結果を得る状況においても、トレーサビリティを失わないようにする検査結果出力方法を提供することができ、臨床検査など生物学的・生化学的検査の産業の分野に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0269】
【図1】本発明のシステム構成の一例を示すシステム構成図である。
【図2】検査結果処理装置100の論理構成の一例を示す論理ブロック図である。
【図3】検査結果処理装置100の制御装置の各種処理により、検査結果を出力装置114に出力した表示例を示す図である。
【図4】検査結果処理装置100の制御装置の各種処理により、検査結果を出力装置114に出力した表示例を示す図である。
【図5】検査結果処理装置100の制御装置の各種処理により、検査結果を出力装置114に出力した表示例を示す図である。
【図6】検査結果処理装置100の制御装置の各種処理により、検査結果を出力装置114に出力した表示例を示す図である。
【図7】検査結果処理装置100の制御装置の各種処理により、検査結果を出力装置114に出力した表示例を示す図である。
【図8】検査結果処理装置100の制御装置の各種処理により、検査結果を出力装置114に出力した表示例を示す図である。
【図9】検査結果処理装置100の制御装置の各種処理により、検査結果を出力装置114に出力した表示例を示す図である。
【図10】検査結果処理装置100の制御装置の各種処理により、検査結果を出力装置114に出力した表示例を示す図である。
【図11】検出方法としてキャピラリ電気泳動装置であるAgilent 2100 BioAnalyzer(商品名)(Agilent(会社名))を用いた場合の、各工程における閾値を示した図である。
【図12】検体及びデータの流れを示す図である。
【図13】データベース上のデータ構造を示す図である。
【符号の説明】
【0270】
100 検査結果処理装置
102 制御装置
102a 検査結果格納手段
102b 処理単位関連付手段
102c 二軸関連付手段
102d 表示方向設定手段
102e スクロール制御手段
102f 最大連続化手段
102g 項目一覧化手段
102h 重畳防止手段
102i 表示異色化手段
102j 操作応答手段
102k 処理単位設定手段
104 通信制御インターフェース部
106 記憶装置
106a 検査結果データベース
106b 処理単位データベース
108 入出力制御インターフェース部
112 入力装置
114 出力装置
200 抽出手段
300 ネットワーク
400 増幅手段
500 検出手段
600 収量純度取得手段
700 コントロール取得手段
(a-1)、(a-2)、(a-3)、(a-4)、(a-5)、(a-6)、(a-7) バーコードリーダー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体検査において、対象者より取得された生物学的検体に対し、複数の生物学的及び生化学的反応操作が段階的に行われることで、目的の情報を該生物学的検体より取得する、少なくとも記憶装置と制御装置と出力装置とを備えた検査結果処理装置における結果の出力方法であって、
上記記憶装置は、上記反応操作の各工程に設定される処理単位を記憶する処理単位記憶手段を備え、
上記制御装置において実行される、
各工程において、上記反応操作における上記生物学的検体に対する検査項目と、上記反応操作により取得される検査結果と、を取得し、上記記憶装置に対応付けて格納する検査結果格納ステップと、
上記検査結果格納ステップにより上記記憶装置に格納された上記検査項目および上記検査結果と、上記処理単位記憶手段に記憶された上記処理単位と、を関連付けて上記出力装置に出力する処理単位関連付ステップと、
を含むことを特徴とする検査結果出力方法。
【請求項2】
請求項1に記載の検査結果出力方法において、
上記処理単位関連付ステップは、
上記反応操作の各工程に対応する項目を第一軸上に配し、該第一軸と交差する第二軸上に上記検査項目及び上記検査結果を配し、該第一軸と該第二軸とにより構成される領域に該検査項目が処理された該処理単位を配する表を作成する二軸関連付ステップ、
をさらに含むことにより、上記検査項目及び上記検査結果と、上記反応操作の各工程に設定される上記処理単位と、を関連付けて出力すること、
を特徴とする検査結果出力方法。
【請求項3】
請求項2に記載の検査結果出力方法において、
上記二軸関連付ステップは、
上記反応操作の各工程に対応する項目を配する上記第一軸を縦軸方向と設定し、該第一軸と交差する上記検査項目及び上記検査結果が配された上記第二軸を横軸方向と設定する表示方向設定ステップ、
をさらに含むことを特徴とする検査結果出力方法。
【請求項4】
請求項2に記載の検査結果出力方法において、
上記二軸関連付ステップは、
上記反応操作の各工程に対応する項目を配する上記第一軸を横軸方向と設定し、該第一軸と交差する上記検査項目及び上記検査結果が配された上記第二軸を縦軸方向と設定する表示方向設定ステップ、
をさらに含むことを特徴とする検査結果出力方法。
【請求項5】
請求項3に記載の検査結果出力方法において、
上記制御装置において実行される、
操作者により入力装置を介して横スクロール入力があった場合に、各工程における処理単位の処理担当範囲を表示し、操作者により入力装置を介して縦スクロール入力があった場合に、各検査項目及び各検査結果における処理単位の遍歴を、表示するよう制御するスクロール制御ステップ、
をさらに含むことを特徴とする検査結果出力方法。
【請求項6】
請求項3に記載の検査結果出力方法において、
上記制御装置において実行される、
操作者により入力装置を介して縦スクロール入力があった場合に、各工程における処理単位の処理担当範囲を表示し、操作者により入力装置を介して横スクロール入力があった場合に、各検査項目及び各検査結果における処理単位の遍歴を表示するよう制御するスクロール制御ステップ、
をさらに含むことを特徴とする検査結果出力方法。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一つに記載の検査結果出力方法において、
上記制御装置において実行される、
上記処理単位に属する項目が同一処理単位に属する項目数が最大連続となるように表示する、処理単位優先表示を行うよう制御する最大連続化ステップ、
をさらに含むことを特徴とする検査結果出力方法。
【請求項8】
請求項1乃至6のいずれか一つに記載の検査結果出力方法において、
上記制御装置において実行される、
上記操作者により上記入力装置を介して選択された検査項目群、若しくは検査結果群に属する項目数が最大連続となるように表示する、処理項目優先表示を行うよう制御する最大連続化ステップ、
をさらに含むことを特徴とする検査結果出力方法。
【請求項9】
請求項7または8に記載の検査結果出力方法において、
上記最大連続化ステップは、
上記処理単位優先表示と上記処理項目優先表示と、を上記操作者に上記入力装置を介して選択および切替させるよう制御すること、
を特徴とする検査結果出力方法。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか一つに記載の検査結果出力方法において、
上記制御装置において実行される、
上記操作者により上記入力装置を介して、上記反応操作の各工程における上記処理単位が選択された場合に、該処理単位によって処理された上記検査項目の項目一覧及び上記検査結果の項目一覧を表示するよう制御する項目一覧化ステップ、
をさらに含むことを特徴とする検査結果出力方法。
【請求項11】
請求項1乃至9のいずれか一つに記載の検査結果出力方法において、
上記制御装置において実行される、
上記操作者により上記入力装置を介して、上記検査項目又は上記検査結果が選択された場合に、上記検査項目が処理された上記処理単位の項目一覧を表示するよう制御する項目一覧化ステップ、
をさらに含むことを特徴とする検査結果出力方法。
【請求項12】
請求項10または11に記載の検査結果出力方法において、
上記項目一覧化ステップは、
上記操作者により上記入力装置を介して複数の上記項目一覧が同時に選択された場合に、該複数の上記項目一覧の表示を重ならずに表示するよう制御する重畳防止ステップ、
をさらに含むことを特徴とする検査結果出力方法。
【請求項13】
請求項10または11に記載の検査結果出力方法において、
上記項目一覧化ステップは、
上記操作者により上記複数の項目一覧が同時に選択された場合に、該複数の上記項目一覧の表示領域を異なる色で表示するよう制御する表示異色化ステップ、
をさらに含むことを特徴とする検査結果出力方法。
【請求項14】
請求項10乃至13のいずれか一つに記載の検査結果出力方法において、
上記項目一覧化ステップは、
上記項目一覧をロールオーバー処理により表示するよう制御する操作応答ステップ、
をさらに含むことを特徴とする検査結果出力方法。
【請求項15】
請求項10乃至13のいずれか一つに記載の検査結果出力方法において、
上記項目一覧化ステップは、
上記項目一覧をハイパーリンクによって表示するよう制御する操作応答ステップ、
をさらに含むことを特徴とする検査結果出力方法。
【請求項16】
請求項10乃至13のいずれか一つに記載の検査結果出力方法において、
上記項目一覧化ステップは、
上記項目一覧をポップアップによって表示するよう制御する操作応答ステップ、
をさらに含むことを特徴とする検査結果出力方法。
【請求項17】
請求項1乃至16のいずれか一つに記載の検査結果出力方法において、
上記制御装置において実行される、
上記処理単位を、上記反応操作で用いる処理装置及び処理キットにより、一度に処理できる処理数を上限とし、それ以下の処理数で規定する処理単位設定ステップ、
をさらに含むことを特徴とする検査結果出力方法。
【請求項18】
請求項1乃至16のいずれか一つに記載の検査結果出力方法において、
上記制御装置において実行される、
上記処理単位を、上記反応操作で用いられる同一条件の試薬で処理される処理数を上限とし、それ以下の処理数で規定する処理単位設定ステップ、
をさらに含むことを特徴とする検査結果出力方法。
【請求項19】
請求項1乃至16のいずれか一つに記載の検査結果出力方法において、
上記制御装置において実行される、
上記処理単位を、1つの工程で1種以上規定し表示するよう制御する処理単位設定ステップ、
をさらに含むことを特徴とする検査結果出力方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−20312(P2008−20312A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−192094(P2006−192094)
【出願日】平成18年7月12日(2006.7.12)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】